JP4985350B2 - 空燃比センサの異常診断装置 - Google Patents

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本発明は、内燃機関の排気ガスの空燃比を検出する空燃比センサの異常を診断する装置に関する。
触媒を利用した排気ガス浄化システムを備える内燃機関では、触媒による排気ガスの有害成分の浄化を有効に行うため、内燃機関で燃焼される混合気の空気と燃料との混合割合、すなわち空燃比のコントロールが欠かせない。こうした空燃比の制御を行うため、内燃機関の排気通路に、排気ガスの特定成分の濃度に基づいて空燃比を検出する空燃比センサを設け、その検出された空燃比を所定の目標空燃比に近づけるようフィードバック制御を実施している。
ところで、空燃比センサに劣化、故障等の異常を来すと、正確な空燃比フィードバック制御が実行できなくなり排ガスエミッションが悪化する。よって空燃比センサの異常を診断することが従来から行われている。特に、自動車に搭載されたエンジンの場合、排ガスが悪化した状態での走行を未然に防止するため、車載状態(オンボード)で空燃比センサの異常を検出することが各国法規等からも要請されている。
特許文献1には、オープンループ制御により空燃比を周期的に増減し、これに伴って増減する空燃比センサ出力の軌跡長又は面積に基づいて空燃比センサの異常を検出する空燃比センサの異常検出装置が開示されている。
特開2005−30358号公報
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、空燃比センサの異常自体は特定できるものの、その異常の詳細までは特定することができない。即ち、空燃比センサには複数の特性が含まれているが、これらのうちいずれが異常なのかを特定することができない。また、燃料が噴射されてからその燃料噴射に基づく排気ガスが空燃比センサに到達するまでの間にむだ時間が存在するが、特許文献1に記載の技術ではこのむだ時間の異常を特定することができない。このむだ時間の異常は、例えば、空燃比センサの組み付け時或いは交換時に組み付け位置を誤る誤設置が生じたときに起こり得る。この誤設置もセンサ自体が異常であるときと同様に適正な空燃比フィードバック制御を阻害し、排ガスエミッションを悪化させる要因となるから、この点でむだ時間の異常を検出することは有益である。
そこで、本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、空燃比センサに含まれる個々の特性の異常及びむだ時間の異常を好適に検出することができる空燃比センサの異常診断装置を提供することにある。
本発明によれば、内燃機関の排気ガスの空燃比を検出する空燃比センサの異常診断装置であって、
燃料噴射弁から空燃比センサまでの系を一次遅れ要素とむだ時間要素によりモデル化し、当該モデルに対する入力と出力に基づき、カルマンフィルタを用いて、前記一次遅れ要素と前記むだ時間要素における複数のパラメータを同定する同定手段と、
該同定手段により同定された複数のパラメータに基づき、前記空燃比センサの所定の特性の異常とむだ時間の異常とを個別に判定する異常判定手段と
を備えたことを特徴とする空燃比センサの異常診断装置が提供される。
これによれば、単に空燃比センサの異常が判定されるのではなく、空燃比センサの所定の特性の異常が判定される。よって当該特性の異常を特定して検出することができ、空燃比センサの異常診断をより緻密且つ詳細に実行することができる。またこれに加えてむだ時間の異常も好適に検出することができる。
好ましくは、前記むだ時間が、所定のサンプリング間隔とサンプル数の積に基づいて定義され、
前記同定手段が、前記サンプル数が異なる複数のカルマンフィルタを用い、そのうち誤差の移動共分散が最も小さいカルマンフィルタ及び当該カルマンフィルタで設定されているサンプル数を、前記モデルに対し最適なものとして選択採用し、これら選択採用されたカルマンフィルタ及びサンプル数を用いて前記複数のパラメータを同定する。
一般に、空燃比センサの異常診断においてモデルを用いてパラメータの同定を行う場合、むだ時間を同定するのは困難な場合が多いが、この好ましい形態ではむだ時間の同定を確実に行える点で非常に有利である。同定実施中には実際のむだ時間が変化するが、むだ時間の同定を逐次的に常時行うこととすれば同定誤差をさらに減少することが可能である。
好ましくは、前記同定手段が、所定の基準サンプリング間隔に所定のデシメーションを乗じてなる拡大サンプリング間隔毎に同定を行う。
実際の観測データには様々なノイズが含まれており、あまり細かいサンプリング間隔で同定を実施するとノイズの影響により同定値が安定しない。そこで、基準サンプリング間隔より長い拡大サンプリング間隔毎に同定を実施することで、ノイズの影響を低減し、同定値を安定化させることができる。
好ましくは、前記同定手段が、1乃至複数の基準サンプリング間隔ずつずれた複数の時系列において、同一の拡大サンプリング間隔毎にそれぞれ同定を行う。
拡大サンプリング間隔毎に同定を行うこととした場合、適切なデシメーションを設定することによりサンプリング間隔を適切とし、ノイズの影響を低減することができるが、サンプリング間隔が適切であったとしても、採用する時系列、データ列が常に同定処理に適切であるとは限らない。そこで、デシメーション後のサンプリング時系列を推移させつつ同定を行うことで、同定処理に適切な時系列、データ列を得られるようにし、漏れのない適切な同定処理を行うことができる。
好ましくは、前記むだ時間が、所定のサンプリング間隔とサンプル数の積に、補完係数とサンプリング間隔の積を加えた値として定義され、前記同定手段が前記補完係数の推定をも行う。
カルマンフィルタを用いてむだ時間の同定を行う場合、むだ時間を所定のサンプリング間隔の整数倍として定義するのが便利であるが、実際のむだ時間はサンプリング間隔の整数倍のみで表すことが困難である。一方、この好ましい形態のように補完係数を用いてむだ時間を定義し、且つ補完係数μの推定をも実行するようにすると、サンプリング間隔の整数倍以外で表されるむだ時間も同定できるようになり、むだ時間の同定精度を向上することができる。
好ましくは、前記同定手段が、前記複数のパラメータを同定するに際し、ノイズの共分散行列を可変値として逐次計算する。
カルマンフィルタでパラメータ同定を行う場合、ノイズの共分散行列を固定値として取り扱うのが便利であるが、実際にはその共分散行列は変動し得る値である。よってこの好ましい形態のように共分散行列を可変値として取り扱い、逐次計算することにより、システムに一層適した共分散行列を利用することができるようになり、同定精度を高めることができる。
好ましくは、前記複数のパラメータが、前記一次遅れ要素におけるゲイン及び時定数と前記むだ時間要素におけるむだ時間とを含み、前記空燃比センサの所定の特性が、前記ゲインに対応する出力と前記時定数に対応する応答性とを含む。
これにより空燃比センサの特に重要な特性である出力及び応答性の異常を検出することが可能となる。
好ましくは、前記同定手段が、前記複数のパラメータを同時に同定する。これにより空燃比センサの特性異常とむだ時間異常とを個別且つ同時に判定できる。
好ましくは、前記入力を強制的に振動させるアクティブ制御を実行するアクティブ制御手段を備え、前記同定手段が、前記アクティブ制御の実行中に前記同定を行う。
これにより入力が急激に変化したときの出力変化に基づき同定を実行できるようになり、同定精度及び診断精度を向上することができる。
本発明によれば、空燃比センサに含まれる個々の特性の異常及びむだ時間の異常を好適に検出することができるという、優れた効果が発揮される。
以下、本発明を実施するための最良の形態を添付図面に基づき説明する。
図1は、本実施形態に係る内燃機関の概略図である。図示されるように、内燃機関1は、シリンダブロック2に形成された燃焼室3の内部で燃料および空気の混合気を燃焼させ、燃焼室3内でピストン4を往復移動させることにより動力を発生する。本実施形態の内燃機関1は車両用多気筒エンジン(例えば4気筒エンジン、1気筒のみ図示)であり、火花点火式内燃機関、より具体的にはガソリンエンジンである。
内燃機関1のシリンダヘッドには、吸気ポートを開閉する吸気弁Viと、排気ポートを開閉する排気弁Veとが気筒ごとに配設されている。各吸気弁Viおよび各排気弁Veは図示しないカムシャフトによって開閉させられる。また、シリンダヘッドの頂部には、燃焼室3内の混合気に点火するための点火プラグ7が気筒ごとに取り付けられている。
各気筒の吸気ポートは気筒毎の枝管を介して吸気集合室であるサージタンク8に接続されている。サージタンク8の上流側には吸気集合通路をなす吸気管13が接続されており、吸気管13の上流端にはエアクリーナ9が設けられている。そして吸気管13には、上流側から順に、吸入空気量を検出するためのエアフローメータ5と、電子制御式スロットルバルブ10とが組み込まれている。吸気ポート、枝管、サージタンク8及び吸気管13により吸気通路が形成される。
吸気通路、特に吸気ポート内に燃料を噴射するインジェクタ(燃料噴射弁)12が気筒ごとに配設される。インジェクタ12から噴射された燃料は吸入空気と混合されて混合気をなし、この混合気が吸気弁Viの開弁時に燃焼室3に吸入され、ピストン4で圧縮され、点火プラグ7で点火燃焼させられる。
一方、各気筒の排気ポートは気筒毎の枝管を介して排気集合通路をなす排気管6に接続されている。排気ポート、枝管及び排気管6により排気通路が形成される。排気管6には、その上流側と下流側とに三元触媒からなる触媒11,19が取り付けられている。上流側触媒11の前後の位置にそれぞれ排気ガスの空燃比を検出するための空燃比センサ17,18、即ち触媒前センサ及び触媒後センサ17,18が設置されている。これら触媒前センサ及び触媒後センサ17,18は、排気ガス中の酸素濃度に基づいて空燃比を検出する空燃比センサである。触媒前センサ17は所謂広域空燃比センサからなり、比較的広範囲に亘る空燃比を連続的に検出可能で、その空燃比に比例した出力を発する。他方、触媒後センサ18は所謂Oセンサからなり、理論空燃比を境に出力が急変する特性を持つ。
上述の点火プラグ7、スロットルバルブ10及びインジェクタ12等は、制御手段としての電子制御ユニット(以下ECUと称す)20に電気的に接続されている。ECU20は、何れも図示されないCPU、ROM、RAM、入出力ポート、および記憶装置等を含むものである。またECU20には、図示されるように、前述のエアフローメータ5、触媒前センサ17、触媒後センサ18のほか、内燃機関1のクランク角を検出するクランク角センサ14、アクセル開度を検出するアクセル開度センサ15、その他の各種センサが図示されないA/D変換器等を介して電気的に接続されている。ECU20は、各種センサの検出値等に基づいて、所望の出力が得られるように、点火プラグ7、スロットルバルブ10、インジェクタ12等を制御し、点火時期、燃料噴射量、燃料噴射時期、スロットル開度等を制御する。なおスロットル開度は通常アクセル開度に応じた開度に制御される。
触媒11,19は、これに流入する排気ガスの空燃比A/Fが理論空燃比(ストイキ、例えばA/F=14.6)のときにNOx ,HCおよびCOを同時に浄化する。そしてこれに対応して、ECU20は、内燃機関の通常運転時、触媒11,19に流入する排気ガスの空燃比A/Fが理論空燃比に等しくなるように、空燃比を制御する(所謂ストイキ制御)。具体的にはECU20は、理論空燃比に等しい目標空燃比A/Ftを設定すると共に、燃焼室3内に流入する混合気の空燃比を目標空燃比A/Ftに一致させるような基本噴射量を算出する。そして、触媒前センサ17によって検出される実際の空燃比と目標空燃比A/Ftとの差に応じて基本噴射量をフィードバック補正し、この補正後の噴射量に応じた通電時間だけインジェクタ12を通電(オン)する。この結果、触媒11,19に供給される排気ガスの空燃比は理論空燃比近傍に保たれ、触媒11,19において最大の浄化性能が発揮されるようになる。このようにECU20は、触媒前センサ17によって検出される実際の空燃比が目標空燃比A/Ftに近づくように空燃比(燃料噴射量)をフィードバック制御する。なお、触媒後センサ18は、このような空燃比フィードバック制御における空燃比ズレを補正するために設けられている。
次に、本実施形態における空燃比センサの異常診断について説明する。本実施形態で診断対象となるのは上流側触媒11の上流側に設置された空燃比センサ、即ち触媒前センサ17である。但し上流側触媒11の下流側に設置された空燃比センサ、即ち触媒後センサ18に対しても本発明は適用可能である。
当該異常診断においては、インジェクタ12から触媒前センサ17までの系が一次遅れ要素とむだ時間要素によりモデル化され、当該モデルに対する入力と出力に基づき、カルマンフィルタを用いて、一次遅れ要素とむだ時間要素における複数のパラメータが同定(推定)される。そしてこの同定された複数のパラメータに基づき、触媒前センサ17の所定の特性の異常とむだ時間の異常とが個別に判定される。
入力として、インジェクタ12の通電時間に基づいて計算された燃料噴射量Qと、エアフローメータ5の出力に基づいて計算された吸入空気量Gaとの比Ga/Q、即ち入力空燃比A/Finが用いられる。以下、入力をu(t)で表す(u(t)=A/Fin=Ga/Q)。他方、出力として、触媒前センサ17の出力値から換算される空燃比、即ち出力空燃比A/Foutが用いられる。以下、出力をy(t)で表す(y(t)=A/Fout)。
図2に示すように、本実施形態では前記パラメータの同定に際し、入力u(t)を強制的に振動させるアクティブ制御が実行される。このアクティブ制御では、目標空燃比A/Ftひいては入力u(t)が、所定の中心空燃比A/Fcを境にリーン側及びリッチ側に同一振幅だけ振れるように、一定周期で振動させられる。そしてこれに伴って、触媒前センサ17で検出される空燃比即ち出力y(t)が、入力u(t)の振動に追従するように振動させられる。目標空燃比A/Ft及び入力u(t)の振動における中心空燃比A/Fcは理論空燃比に等しくされ、その振動の振幅は通常の空燃比制御のときより大きく、例えば空燃比で0.5などとされる。
このアクティブ制御を実行する理由は、空燃比を通常時より敢えて大きく急激に変化させて触媒前センサ17の異常診断を行い易くするためであり、また、アクティブ制御がエンジンの定常運転時に実行されることから、各制御量及び各検出値が安定し、診断精度が向上するからである。しかしながら、通常の空燃比制御時に異常診断を実行するようにしてもよい。
図示されるように、入力u(t)はステップ状の波形であり、これに対し出力y(t)は一次遅れを伴った波形となる。図中Lは、入力u(t)から出力y(t)までの輸送遅れに基づくむだ時間である。このむだ時間Lは、シリンダ内の燃焼室3に存在する混合気が燃焼した時からこの燃焼に基づく排気ガスが触媒前センサ17に到達する時までの時間差に相当する。実用上は、むだ時間Lの開始時点を例えば点火時又は排気弁開弁時とすることができる。もっとも、むだ時間全体に比べると点火時から排気弁開弁時までの時間は極短いので、いずれに設定しても精度上特に差し支えない。
さて、インジェクタ12から触媒前センサ17までの系は、一次遅れ要素G(s)=k/(1+Ts)とむだ時間要素G(s)=e−sLの積である伝達関数G(s)=(k/(1+Ts))・e−sLによりモデル化される。ここで、kは触媒前センサ17のゲインであり、Tは触媒前センサ17の時定数を表す。ゲインkは、触媒前センサ17の特性のうち出力に関わるパラメータであり、他方、時定数Tは、触媒前センサ17の特性のうち応答性に関わるパラメータである。図2において、出力y(t)を表す実線は触媒前センサ17が正常な場合を示す。これに対し、触媒前センサ17の出力特性に異常が生じると、ゲインkが正常時より大きくなり、aで示す如くセンサ出力が増大(拡大)するか、またはゲインkが正常時より小さくなり、bで示す如くセンサ出力が減少(縮小)する。よって、同定されたゲインkを所定値と比較することでセンサ出力の増大異常又は減少異常を特定することができる。他方、触媒前センサ17の応答性に異常が生じると、殆どの場合、時定数Tが正常時より大きくなり、cで示す如くセンサ出力が遅れて出てくるようになる。よって、同定された時定数Tを所定値と比較することでセンサの応答性異常を特定することができる。
一方、このような触媒前センサ17自体の異常の他に、むだ時間の異常がある。むだ時間の異常は、例えば触媒前センサ17の誤設置が生じたとき、触媒前センサ17の上流側の排気通路に何等かの異常が発生したとき、さらにはガスがセンサに接触してからセンサ出力が発生するまでの未反応時間がセンサ劣化により長期化したときなどに起こる。このときも適正な空燃比フィードバック制御が阻害され、排ガスエミッションが悪化し得ることから、本実施形態ではむだ時間の異常をも検出するようにしている。具体的には、同定したむだ時間を所定値と比較してむだ時間の異常を検出する。
本実施形態では、ゲインk、時定数T及びむだ時間Lという三つのパラメータが同時に同定され、それぞれに対応したセンサ出力異常、センサ応答性異常及びむだ時間異常という三つの異常が同時に且つ個別に判定される。こうして、触媒前センサ17に含まれる個々の特性の異常及びむだ時間の異常を好適に検出することができる。
次に、ECU20によって実行されるカルマンフィルタ(KF)を用いたパラメータ同定の詳細について説明する。
前述したように、インジェクタ12から触媒前センサ17までの系のモデルの伝達関数G(s)は次式で表される。
Figure 0004985350
また、このモデルに対する入力u(t)及び出力y(t)のラプラス変換をU(s),Y(s)とすると、次式(1)が成立する。
Figure 0004985350
(1)式を逆ラプラス変換すると次式(2)が得られる。
Figure 0004985350
ここで、ECU20のデジタル処理におけるサンプリング間隔(基準サンプリング間隔)Δ(秒)の間は入力が一定であると仮定して(ゼロ次ホールド)、(2)式を離散化して整理すると、次式(3)のようになる。
Figure 0004985350
ωは離散化などによる誤差である。lはサンプル数であり、L=l・Δ、即ちむだ時間Lはサンプリング間隔Δとサンプル数lの積で定義されている。言い換えれば、ここではむだ時間Lはサンプリング間隔Δの整数倍に等しいと仮定されており、そのサンプリング間隔Δに乗じる整数或いは倍数がサンプル数lである。例えばサンプリング間隔Δ=16(ミリ秒)、サンプル数l=5の場合、むだ時間L=16×5=80(ミリ秒)となる。サンプル数lは予め定められた定数である。本実施形態では後述するように複数のサンプル数が予め設定されるが、現段階では便宜上、唯一のサンプル数lが設定されているものと仮定する。
前式(3)により、結局、同定用の線形モデルは次式(4)のように表すことができる。
Figure 0004985350
これを次式(4)’に書き換える(定義する)。
Figure 0004985350
以下、この式(4)’についてカルマンフィルタによりパラメータベクトルθ(t)を推定し、これによりa,bを求め、ゲインk及び時定数Tを求める。
まず式(4)’のパラメータベクトルθ(t)は、サンプリング間隔Δ毎に更新される時変パラメータとみなせる。よってθ(t)の推定値
Figure 0004985350
を状態変数x(t)として以下のような状態方程式で表す。
Figure 0004985350
ここでv(t)及びw(t)はそれぞれシステムノイズ及び観測ノイズであり、平均0の白色ノイズである。V及びWをv(t)及びw(t)の共分散行列とし、以下のような形式のカルマンフィルタに適用してパラメータベクトルθ(t)の推定を行う。ここでV及びWは固定値とする。また初期値を以下の通りとする。
Figure 0004985350
ステップ1:次式(6)によりカルマンフィルタゲインF(t)を算出する。
Figure 0004985350
ステップ2:算出されたカルマンフィルタゲインF(t)を用いて推定値を次式(7)のように更新する。
Figure 0004985350
ここで左辺の項(便宜上「xハット(t|t)」などと称す)は、あるサンプリング時刻での推定値(今回推定値)を意味し、右辺第1項(xハット(t|t−1))はそれより1サンプリング間隔前の前回推定値を意味する。また右辺括弧内において、1項目のy(t)は今回観測値(出力)を意味し、2項目のφ(t)とxハット(t|t−1)の積は、前回推定値から予測される観測値(出力)を意味する。(7)式は、今回推定値を、前回推定値と、今回観測値と前回推定値から予測される観測値との間のずれを用いて算出していることを示しているといえる。
ステップ3:推定誤差共分散行列Xを次式(8)のように更新する。
Figure 0004985350
ステップ4:パラメータを次回のために以下のように更新する。
Figure 0004985350
ステップ5:ステップ1からステップ4を繰り返す。
以上のような更新則により、推定値をサンプリング間隔毎に逐次更新する。
ところで、上の説明では便宜上唯一のサンプル数lが設定されているものとしたが、本実施形態では複数の異なるサンプル数l,l,・・・(以下、lとする)が設定されており、且つ、それぞれのサンプル数を用いる同数(m個)の(4)〜(9)式に基づくカルマンフィルタ更新アルゴリズムが設定されている。言い換えれば、サンプル数lが異なる複数のカルマンフィルタが予め設定されている。mは、予め想定されるむだ時間Lの範囲に応じて適宜な数が設定される。そして、サンプリング時刻毎に、これらカルマンフィルタを用いて複数(m個)の推定値が同時に更新されるが、このとき誤差の移動共分散が最も小さいカルマンフィルタと、このカルマンフィルタで設定されているサンプル数が、モデルに対し最適なものとして選択採用され、これら選択採用されたカルマンフィルタ及びサンプル数を用いてパラメータk、T,Lが同定される。なおサンプル数推定の流れを図3に示し、上記の具体的内容を以下に説明する。
ステップ6:各サンプリング時刻毎に、それぞれのカルマンフィルタから状態変数の推定値
Figure 0004985350
と出力の推定値
Figure 0004985350
を求める。出力の推定値は次式(10)により求められる。
Figure 0004985350
ステップ7:むだ時間の推定基準として、次式(11)で定義する誤差の移動共分散Cym(t)を算出する。
Figure 0004985350
但し、Σの後の括弧内の第1項及び第2項はそれぞれの時刻tでの誤差及び平均値である。
Figure 0004985350
ステップ8:誤差の移動共分散Cym(t)が最小となるカルマンフィルタで設定したサンプル数lを最適なサンプル数と判断し、これを選択して、時刻t(今回)における推定サンプル数
Figure 0004985350
と判断する。また同時に、この最適サンプル数lを用いているカルマンフィルタを最適なカルマンフィルタとしてこれを選択する。
ステップ9:ステップ8で選択したカルマンフィルタで推定された状態変数の推定値と、ステップ8で選択した最適サンプル数とから、次式(13)により、同定値としての時定数、ゲイン及びむだ時間を算出する。
Figure 0004985350
こうして同定されたゲインk、時定数T及びむだ時間Lを用いて、ECU20により次のように異常判定が実行される。まず、同定された時定数Tが所定の時定数異常判定値Tsより大きい場合、応答遅れが生じており、触媒前センサ17は応答性異常であると判定される。他方、同定された時定数Tが時定数異常判定値Ts以下の場合、触媒前センサ17は応答性に関して正常と判定される。
また、同定されたゲインkが所定のゲイン増大異常判定値ks1より大きい場合、触媒前センサ17は出力増大異常であると判定され、同定されたゲインkが所定のゲイン縮小異常判定値ks2(<ks1)より小さい場合、触媒前センサ17は出力減少異常であると判定される。同定されたゲインkがゲイン縮小異常判定値ks2以上で且つゲイン増大異常判定値ks1以下の場合、触媒前センサ17は出力に関して正常であると判定される。
さらに、同定されたむだ時間Lが所定のむだ時間増大異常判定値Ls1より大きい場合、むだ時間は増大異常であると判定され、同定されたむだ時間Lが所定のむだ時間縮小異常判定値Ls2(<Ls1)より小さい場合、むだ時間は減少異常であると判定される。同定されたむだ時間Lがむだ時間縮小異常判定値Ls2以上で且つむだ時間増大異常判定値Ls1以下の場合、むだ時間は正常であると判定される。
このように本実施形態によれば、空燃比センサの個々の特性(出力及び応答性)の異常とむだ時間の異常を個別に検出することができ、特にこれら三つの異常を同時に検出できる。従って空燃比センサの異常診断装置としては極めて好適なものである。
一般に、ゲインと時定数のみを同定するのは比較的容易であるが、むだ時間を同定するのは困難な場合が多い。本実施形態はこのむだ時間の同定を確実に行える点で非常に有利である。また同定実施中には実際のむだ時間が変化するが、本実施形態はむだ時間の同定を逐次的に常時行っているので、同定誤差を減少することが可能である。
図4には、正常な触媒前センサ17についてゲインk、時定数T及びむだ時間Lを同定した試験結果を示す。(A)はアクティブ制御によって強制振動される入力(破線)と出力(実線)とを示す。(B)、(C)、(D)はそれぞれゲインk、時定数T及びむだ時間Lの同定値の推移を示す。
図示されるように、アクティブ制御開始時(t=0秒)からゲインk、時定数T及びむだ時間Lがサンプリング間隔Δ毎に逐次同定され、それらの値が時々刻々と更新されている。そしてアクティブ制御開始時からある時間(約2秒)が経過すると各パラメータが一定値に収束する。この収束が十分に見られた所定時点(例えばt=5秒)における各パラメータ値が前述の各異常判定値と比較され、正常か異常かが判断される。図示例は、車載エンジンにおいて40km/hの定常走行を行っており、且つアクティブ制御によって目標空燃比A/Ft及び入力u(t)を理論空燃比に対し±0.5の振幅で振動させたときの結果を示す。同定対象となる正常な触媒前センサ17としては、ゲインk=1、時定数T=0.224秒、むだ時間L=0.2秒のものが用いられている。各パラメータの収束時点における同定値もほぼ同じ値を示しており、これによって本実施形態が正しい同定結果を得られることが確認された。
繰り返すが、同定実施中、誤差の移動共分散Cym(t)が最小となるカルマンフィルタ及びサンプル数l(つまり同定モデル)がサンプリング間隔毎に選択され続けており、カルマンフィルタ及びサンプル数lはサンプリング間隔毎に異なることもある。しかしながら、本試験のような定常条件下では同じものが選択され続ける可能性があり、また違うものが選択されたとしても結果はそれほど変わらない。逆に非定常条件下だとサンプリング間隔毎に異なるものが選択され、収束後の同定値もある程度変動することが予測される。
次に、上述の基本実施例について同定精度を向上させるための幾つかの変形例を説明する。
第1の変形例は、基準となるサンプリング間隔(基準サンプリング間隔)Δに所定のデシメーションκ(κは2以上の整数)を乗じてなる拡大サンプリング間隔κΔ毎に同定を行うものである。即ち、実際の観測データには様々なノイズが含まれており、あまり細かいサンプリング間隔で同定を実施するとノイズの影響により同定値が安定しない。そこで、基準サンプリング間隔Δより長い拡大サンプリング間隔κΔ毎に同定を実施することで、ノイズの影響を低減し、同定値を安定化させることができる。例えば基準サンプリング間隔Δだと1サンプル毎に同定が実施されるのに対し、デシメーションκ=5と設定した場合には5サンプル毎に同定が実施される。
第2の変形例は、第1の変形例のように拡大サンプリング間隔κΔ毎に同定を行う場合において、1乃至複数の基準サンプリング間隔Δずつずれた複数の時系列において、同一の拡大サンプリング間隔κΔ毎にそれぞれ同定を行うものである。所謂サンプリングシフトである。第1の変形例によれば、適切なデシメーションκを設定することによりサンプリング間隔を適切とし、ノイズの影響を低減することができるが、サンプリング間隔が適切であったとしても、採用する時系列、データ列が常に同定処理に適切であるとは限らない。そこで、デシメーション後のサンプリング時系列を推移させつつ同定を行うことで、同定処理に適切な時系列、データ列を得られるようにし、漏れのない適切な同定処理を行うことができる。
これを図5を用いて説明する。図示例は、1の基準サンプリング間隔Δずつずれたκ個の時系列T,T・・・Tκを示している。例えば時系列Tのあるサンプリング時刻t(1)を基準に考えると、時系列Tではt(1)に対応するサンプリング時刻がt(1)よりΔ遅れたt(2)となる。以下順次、時系列がT,・・・Tκと進むに従って、t(1)に対応するサンプリング時刻がΔずつ遅れたt(3),・・・t(κ)となる。これを繰り返すと、各時系列において、サンプリング間隔が拡大サンプリング間隔κΔに等しくなる。このように時系列全体はΔずつずれたκ個に等分割される。例えば単に時系列Tのみで同定を行うと、拡大サンプリング間隔κΔの間に必要なデータがあってもこれが無視されてしまう。これに対し本変形例だとそのような必要なデータも含めることができるので、漏れのない適切な処理を行うことができる。
なお、この例では各時系列が1の基準サンプリング間隔Δずつずれているが、2以上の基準サンプリング間隔ずつずらすことも可能である。例えばκ=6とした場合に2つの基準サンプリング間隔2Δずつずらすことも可能である。
以下、図5の例に関する処理の流れを説明する。各時系列のサンプリング時刻は以下のように定義される(図5参照)。
Figure 0004985350
同定処理にあたっては、各時系列毎に、前述したようなサンプル数の異なる複数のカルマンフィルタを用いたパラメータ同定を行う。このとき1時系列において、同定処理は拡大サンプリング間隔κΔ毎に実行され、誤差の移動共分散が最小となるカルマンフィルタ及びサンプル数l(つまり同定モデル)が拡大サンプリング間隔κΔ毎に選択されることとなる。
ここで、サンプル数l’が基準時系列T以外のサンプリングシフトされている時系列T・・・Tκから得られた場合、次式(15)の如く、設定したサンプル数lκ[Δ]にシフトした分のシフトパラメータs[Δ]を加えるものとする。但しs=1,2,・・・κ−1である。
Figure 0004985350
またここで、時系列を複数設定したことに合わせて推定値
Figure 0004985350
を次式(16)のように定義する。これによりノイズ低減と同定精度向上を両立させることができる。
Figure 0004985350
次に、第3の変形例を説明する。この第3の変形例は上述の基本実施例をベースとする。そしてむだ時間Lは、基準サンプリング間隔Δとサンプル数lの積に、補完係数μ(0≦μ≦1)と基準サンプリング間隔Δの積を加えた値として定義され、即ち次式(17)で定義される。所謂サンプリング点間補完である。そして、パラメータ同定時に補完係数μの推定も同時に実施される。
Figure 0004985350
上述の(1)式
Figure 0004985350
に関して、時刻(k+1)Δにおける一般解式は次の(18)式の通りである。但しk=0,1,2,・・・である。
Figure 0004985350
基本実施例ではサンプリング間隔Δの区間[kΔ,(k+1)Δ]における入力u(t)=u(kΔ)を一定と仮定した(ゼロ次ホールド)ため、むだ時間をL=l・Δで定義した。しかし、実際のむだ時間はサンプリング間隔Δの整数倍のみで表すことが困難である。このため、この第3の変形例ではむだ時間LをL=l・Δ+μΔで定義する。かかる定義と補完係数μの推定を実行することにより、より正確なむだ時間が得られ、むだ時間の同定精度を向上することができる。ここにおけるサンプリング点間補完の考え方を図6に示す。図示例の場合、サンプリング時刻kΔ,(k+1)Δで観測された出力y(kΔ),y((k+1)Δ)に対する入力がu((k−l−μ−1)Δ),u((k−l−μ)Δ)となる。
さらに、入力が区間[(k−l−μ−1)Δ,(k−l−μ)Δ]で一定値u((k−l−1)Δ)となる場合、式(18)は以下のように変形できる。
Figure 0004985350
但し[k]はサンプリング時点であり、時刻kΔを表す。
式(19)を解くと、次式(20)が得られる。
Figure 0004985350
式(20)をむだ時間を考慮し入力を2項含むARXモデルと対応づけると以下のようになる。
Figure 0004985350
以下、()と[]の時系列を区別せず、また表記を統一するためにu[k]→u(t)のように表記する。ここで式(21)を行列形式にまとめると以下のようになる。
Figure 0004985350
以上より、同定用線形回帰モデルは式(22)のように表されてパラメータベクトルθが推定される。
さらに、前式(21)に従う次式(23)により、時定数T、ゲインk及び補完係数μが算出、同定される。このうち算出された補完係数μを前式(17)に代入し、むだ時間Lが算出、同定される。なおこのときのサンプル数lは当然ながら誤差の移動共分散が最小となるサンプル数である。
Figure 0004985350
なお、ここでは基本実施例をベースにサンプリング点間補完を実行する例を示したが、第1又は第2の変形例をベースにサンプリング点間補完を実行してもよい。この場合、上記の説明における基準サンプリング間隔Δを拡大サンプリング間隔κΔに置き換えればよい。
次に、第4の変形例を説明する。この第4の変形例は、ノイズの共分散行列、即ちシステムノイズと観測ノイズの共分散行列V(t)、W(t)を可変値として逐次計算するものである。即ち、上述の基本実施例ではこれら共分散行列V(t)、W(t)を便宜上、変動しない固定値として取り扱った。しかし実際にはこれら共分散行列も変動し得る値である。よってこの第4の変形例ではこれら共分散行列を可変値として取り扱い、逐次的に計算或いは更新する。これにより、システムに一層適した共分散行列を利用することができるようになり、同定精度を高めることができる。なお、この第4の変形例は第1〜第3の変形例にも適用可能である。
前述したように、モデルのパラメータベクトルθを推定するための状態空間表現は次式(5)で表される。
Figure 0004985350
ここでv(t)はシステムノイズを表し、パラメータの推定誤差に対するノイズを表している。またw(t)は観測ノイズを表している。式(5)から、時刻tにおけるv(t)とw(t)の推定値(vハット(t)、wハット(t))は次式(24)により表される。
Figure 0004985350
本来、共分散行列V(t)、W(t)はシステム固有の固定値であるが、空燃比センサの動特性がエンジン回転速度等によって変化するため、それら共分散行列V(t)、W(t)を可変値として取り扱うのが理想的である。そこで、共分散行列V(t)、W(t)を、v(t)とw(t)の推定値の過去Nサンプル分の値を用いて次式(25)により逐次計算する。
Figure 0004985350
但し、v(t)とw(t)の推定値は解析区間での定常値を表し、次式(26)により表される。
Figure 0004985350
ここで、t、tは定常値を導出するための計測開始時刻と計測終了時刻を表し、t−t>>tとする。また、データ数Nはサンプリング間隔Δ、共分散計算区間t(秒)を用いて以下のように表される。Nは小数点以下を切り捨てた整数値である。
Figure 0004985350
このようにして、共分散行列V(t)、W(t)も逐次更新してやることにより、システムに一層適した共分散行列を利用することができるようになり、同定精度を高めることができる。
以上、本発明の好適な実施形態を詳細に述べたが、本発明の実施形態は他にも様々なものが考えられる。例えば上述の内燃機関は車両用多気筒火花点火式内燃機関であったが、内燃機関の用途、形式等は特に限定されない。前記実施形態では所謂広域空燃比センサへの適用例を示したが、本発明は触媒後センサ18のような所謂Oセンサにも適用可能である。このようなOセンサも含めて、広く、排気ガスの空燃比を検出するためのセンサを本発明にいう空燃比センサというものとする。前記実施形態では空燃比センサの出力及び応答性という代表的な二つの特性の異常を判定するようにしているが、これに限らず、例えば一方の特性の異常のみを判定するようにしてもよいし、出力及び応答性に加えて他の特性の異常を判定するようにしてもよい。前記実施形態では複数のパラメータを同時に同定し、複数の異常を同時に判定するようにしているが、これに限らず、かかる同定及び異常判定を時間差を以て行ってもよい。
本発明の実施形態は前述の実施形態のみに限らず、特許請求の範囲によって規定される本発明の思想に包含されるあらゆる変形例や応用例、均等物が本発明に含まれる。従って本発明は、限定的に解釈されるべきではなく、本発明の思想の範囲内に帰属する他の任意の技術にも適用することが可能である。
本実施形態に係る内燃機関の概略図である。 アクティブ制御時における入力と出力との変化の様子を概略的に示す図である。 サンプル数推定の流れを示すブロック図である。 同定試験結果を示すグラフである。 サンプリングシフトの一例を示すグラフである。 サンプリング点間補完の考え方を示すグラフである。
符号の説明
1 内燃機関
3 燃焼室
5 エアフローメータ
6 排気管
7 点火プラグ
12 インジェクタ
14 クランク角センサ
15 アクセル開度センサ
17 触媒前センサ
18 触媒後センサ
20 電子制御ユニット(ECU)
A/F 空燃比
u(t) 入力
y(t) 出力
Δ サンプリング間隔(基準サンプリング間隔)
l,l サンプル数
ym(t) 誤差の移動共分散
k ゲイン
T 時定数
L むだ時間
κ デシメーション
μ 補完係数
V(t) システムノイズの共分散行列
W(t) 観測ノイズの共分散行列

Claims (8)

  1. 内燃機関の排気ガスの空燃比を検出する空燃比センサの異常診断装置であって、
    燃料噴射弁から空燃比センサまでの系を一次遅れ要素とむだ時間要素によりモデル化し、当該モデルに対する入力と出力に基づき、カルマンフィルタを用いて、前記一次遅れ要素と前記むだ時間要素における複数のパラメータを同定する同定手段と、
    該同定手段により同定された複数のパラメータに基づき、前記空燃比センサの所定の特性の異常とむだ時間の異常とを個別に判定する異常判定手段と
    を備え
    前記むだ時間が、所定のサンプリング間隔とサンプル数の積に基づいて定義され、
    前記同定手段が、前記サンプル数が異なる複数のカルマンフィルタを用い、そのうち誤差の移動共分散が最も小さいカルマンフィルタ及び当該カルマンフィルタで設定されているサンプル数を、前記モデルに対し最適なものとして選択採用し、これら選択採用されたカルマンフィルタ及びサンプル数を用いて前記複数のパラメータを同定する
    ことを特徴とする空燃比センサの異常診断装置。
  2. 前記同定手段が、所定の基準サンプリング間隔に所定のデシメーションを乗じてなる拡大サンプリング間隔毎に同定を行う
    ことを特徴とする請求項1に記載の空燃比センサの異常診断装置。
  3. 前記同定手段が、1乃至複数の基準サンプリング間隔ずつずれた複数の時系列において、同一の拡大サンプリング間隔毎にそれぞれ同定を行う
    ことを特徴とする請求項2記載の空燃比センサの異常診断装置。
  4. 前記むだ時間が、所定のサンプリング間隔とサンプル数の積に、補完係数とサンプリング間隔の積を加えた値として定義され、前記同定手段が前記補完係数の推定をも行う
    ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の空燃比センサの異常診断装置。
  5. 前記同定手段が、前記複数のパラメータを同定するに際し、ノイズの共分散行列を可変値として逐次計算する
    ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の空燃比センサの異常診断装置。
  6. 前記複数のパラメータが、前記一次遅れ要素におけるゲイン及び時定数と前記むだ時間要素におけるむだ時間とを含み、前記空燃比センサの所定の特性が、前記ゲインに対応する出力と前記時定数に対応する応答性とを含む
    ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の空燃比センサの異常診断装置。
  7. 前記同定手段が、前記複数のパラメータを同時に同定する
    ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の空燃比センサの異常診断装置。
  8. 前記入力を強制的に振動させるアクティブ制御を実行するアクティブ制御手段を備え、
    前記同定手段が、前記アクティブ制御の実行中に前記同定を行う
    ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の空燃比センサの異常診断装置。
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