JP4984289B2 - 通信システム、通信方法および通信装置 - Google Patents

通信システム、通信方法および通信装置 Download PDF

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Description

本発明は通信システム、通信方法および通信装置に関し、特に時分割多重された光信号による通信システム、通信方法および通信装置に関するものである。
近年の情報技術の発展に伴い、家庭においても大容量で高品質なインターネット環境に対する要求が高まっている。このような要求に対応するため、光ファイバを介して加入者宅をインターネット網に接続するFTTH(Fiber To The Home)サービスが急速に普及している。
FTTHの構成は、基地局と各加入者宅とをそれぞれ専用の光ファイバで接続するシングルスター網と、一端が複数に分岐された光ファイバを用いて、基地局と複数の加入者宅とを1対n(n:複数)で接続するダブルスター網とに分類される。FTTHサービスを提供するにあたり、光ファイバの敷設量が少なくて済むダブルスター網の方がコスト的に有利である。後者に関するものとして、1本の光ファイバを複数のユーザーで共有するPON(Passive Optical Network)がある。PONとは光ファイバの途中に光カプラを設けて伝送路を2〜32本に分岐させるスター型ネットワークのことである。
基地局側装置(OLT:Optical Line Terminal)とn台のONU(Optical Network Unit;「光回線終端装置」とも呼ばれる)とが光ファイバを介して接続されたPON型の光ネットワークでは、たとえばギガビットのFTTHサービスを実現する技術(GE−PON)が用いられている。GE−PONでは、OLTがONUに対してデータフレームの送出タイミングを指定する。ONUは指定されたタイミングでデータフレームを送出する。これにより複数のONUからそれぞれ送出された複数のデータが時分割多重されて、OLTに送られる。なお上記の動作はIEEE802.3ahに規定されたものである。
GE−PONでの伝送レートは、電子回路の信号処理が可能な程度の大きさである。しかしながら、より大きな伝送レートに対応するためには、光信号での処理が求められる。このような要求に対応可能な技術の例として、たとえば特表2000−513158号公報(特許文献1)は、中央局が光パルスを送出し、各ノードに設けられた送信器がその光パルスを変調して中央局に戻す光TDMA(時分割多重)光ネットワークを開示する。
また、たとえば特許第3549801号公報(特許文献2)は、基地局から光時分割多重伝送されたデータ(たとえば100Gbit/秒を超える信号光パルス列)を端末装置で分離する技術を開示する。この文献によれば端末装置は、基地局からの光データ信号から所望のデータを取り出すため、信号光パルス列とビット位相が同期した制御光パルス列を生成する。
また、たとえば特開2004−193666号公報(特許文献3)は、伝送レートが高い時分割多重信号に対して、精度よく時分割多重分離を行なうことが可能な光時分割多重分離装置を開示する。この装置は、信号光の中から抽出したい光パルスにピークが一致するように光パルスの間隔を周期として強度変調する強度変調手段と、光パルスのピークが大きいほど強度変調された信号光のスペクトルを大きく拡げるスペクトル拡大手段と、抽出したい光パルスの拡大されたスペクトルを、他の光パルスの拡大されたスペクトルが届かない位置で抽出する抽出手段とを備える。
特表2000−513158号公報 特許第3549801号公報 特開2004−193666号公報
伝送レートが高くなるほど、基地局側で時分割多重信号を生成する際にデータに割当てられるタイムスロットが短くなる。従来の技術によれば、時分割多重信号を分離するための制御信号は受信端末が生成する。このため受信端末側ではより高速に、かつ、精度よく信号処理を行なうための装置が必要となる。これにより受信端末側の構成を簡易にすることが困難になるため、システム全体のコストが上昇する。
本発明の目的は、時分割多重アクセスネットワークにおける端末側の構成を簡易にしながら高速の通信にも対応することが可能な通信システムおよび通信方法、ならびに、通信装置を提供することである。
本発明は要約すれば、通信システムであって、伝送路と、複数の第1のデータを含む第1の光信号と、複数の第1のデータを互いに区別するための複数の第2の光信号とを伝送路に送出する第1の通信装置と、伝送路を介して第1の光信号と複数の第2の光信号とを受けて、複数の第1のデータを分離する第2の通信装置とを備える。第1の通信装置は、複数の第1のデータをタイムスロットに順次割当てて第1の光信号を生成し、伝送路に第1の光信号を送出する第1の送出手段と、複数の第2の光信号を生成して送出する第2の送出手段とを含む。複数の第2の光信号は、互いに異なる複数の波長をそれぞれ有する。複数の波長は、第2の送出手段の波長分散特性に基づいて、複数の第2の光信号がタイムスロットに等しい間隔で第2の通信装置に順次到着するように定められる。
好ましくは、第2の送出手段は、複数の波長をそれぞれ有する複数の光束を発する複数の光発生手段と、複数の光束を結合して出力光を出力する光結合手段と、タイムスロットに応じた周期を有する参照信号を生成する信号生成手段と、参照信号に応じて出力光を変調して、複数の第2の光信号を出力する変調手段と、自身の波長分散特性に基づき変調手段から受ける複数の第2の光信号を時間的に分離して、伝送路に送出する分離手段とを含む。
より好ましくは、第2の通信装置は、第1の光信号と複数の第2の光信号との間で光相互作用を生じさせて、複数の第3の光信号を出力する光相互作用発生手段と、複数の第3の光信号に基づいて複数の第1のデータをそれぞれ復号する復号手段と、複数の第2のデータを含む光データ信号を第1の通信装置に送信するデータ送信手段とを含む。第1の通信装置は、光データ信号を受信する受信手段をさらに含む。
さらに好ましくは、第2の通信装置は、複数の第2の光信号を遅延させて光相互作用発生手段に出力する遅延手段と、複数の第3の光信号の各々の強度を検知する検知手段と、検知手段の検知結果を受けて、複数の第3の光信号の各々の強度が最大となるように遅延手段における遅延量を制御する遅延量制御手段とをさらに含む。
さらに好ましくは、データ送信手段は、複数の第2の光信号を用いて複数の第2のデータを時分割多重することにより光データ信号を生成する。受信手段は、光データ信号を受けて第2の通信装置における複数の第2の光信号の到着タイミングを判定し、複数の光発生手段の中から到着タイミングの調整が必要な光信号に対応する光発生手段を特定し、対応する光発生手段から発せられる光束の波長を調整する波長調整手段を含む。
本発明の他の局面に従うと、複数のデータを含む第1の光信号と、複数のデータを互いに区別するための複数の第2の光信号とを伝送路に送出する第1の通信装置と、伝送路を介して第1の光信号と複数の第2の光信号とを受けて複数のデータを分離する第2の通信装置との間の通信方法である。複数の第2の光信号は、互いに異なる複数の波長をそれぞれ有する。通信方法は、複数のデータをタイムスロットに順次割当てて第1の光信号を生成し、伝送路に第1の光信号を送出するステップと、複数の第2の光信号を一括して生成するステップと、自身の波長分散特性に基づいて互いに波長の異なる複数の光信号を分離可能な分離手段を用いて、複数の第2の光信号を分離して送出するステップとを含む。複数の波長は、分離手段の波長分散特性に基づいて、複数の第2の光信号がタイムスロットに等しい間隔で第2の通信装置に順次到着するように定められる。
本発明のさらに他の局面に従うと、伝送路を介して、複数のデータを含む第1の光信号と複数のデータを互いに区別するための複数の第2の光信号とを受けて、複数のデータを分離する端末装置に対して、第1の光信号と複数の第2の光信号とを送信する通信装置である。複数の第2の光信号は、互いに異なる複数の波長をそれぞれ有する。通信装置は、複数のデータをタイムスロットに順次割当てて第1の光信号を生成して、第1の光信号を伝送路に送出する第1の送出手段と、複数の第2の光信号を生成して伝送路に送出する第2の送出手段とを備える。第2の送出手段は、複数の第2の光信号を一括して生成する光信号生成手段と、自身の波長分散特性に基づいて、複数の第2の光信号を分離して伝送路に送出する分離手段とを含む。複数の波長は、分離手段の波長分散特性に基づいて、複数の第2の光信号がタイムスロットに等しい間隔で端末装置に順次到着するように定められる。
本発明によれば、時分割多重アクセスネットワークにおける端末側の構成を簡易にしながら高速の通信にも対応することが可能になる。
以下において、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一または相当部分については、同一符号を付してその説明は繰返さない。
[実施の形態1]
図1は、本発明の実施の形態1に従う通信システム100の概略構成図である。図1を参照して、通信システム100は、基地局側装置1と、中継装置2と、伝送路20とを含む。中継装置2はたとえばオフィスビルやマンションに設置され、複数のONT(Optical Network Terminal)が接続される。ただし、図1にはONTは示されていない。
基地局側装置1は、送信部1.1と、パルス発生部12とを含む。
送信部1.1は、図示しないインターネット網やWAN(Wide Area Network:広域通信網)などから、中継装置2に送信するための下りデータ1,2,・・・,nを受ける。送信部1.1は、本発明における「第1の送出手段」を実現する。送信部1.1は、下りデータ1,2,・・・,nを時分割多重した光データ信号を生成して出力する。
送信部1.1は、符号化部30と、光源10と、光変調部32と、光結合部34とを含む。符号化部30は、外部から下りデータ1,2,・・・,nを受けて、所定の時間間隔で区切ったタイムスロットに下りデータ1,2,・・・,nを所定のデータ量ずつ順次割当て、1次元の「0」と「1」とからなる2値のデータ列に符号化する。そして、符号化部30は、符号化したデータ列を光変調部32へ出力する。
光源10は、たとえばレーザ発振器で構成され、所定の光強度をもつ波長λ0のレーザ光を発生する。光源10は、その発生したレーザ光を光変調部32へ出力する。
光変調部32は、符号化部30から受けたデータ列に基づいて、光源10から出力されるレーザ光を光強度変調して光データ信号を生成する。たとえば光変調部32は、データ列の「0」および「1」にそれぞれ対応して光強度がゼロおよび最大(すなわち、「オフ」または「オン」)となるように変調する。このようにして光変調部32は、下りデータ1,2,・・・,nを時分割多重した光データ信号を生成する。光変調部32は、生成した光データ信号を光結合部34へ出力する。
パルス発生部12は、本発明における「第2の送出手段」を実現し、互いに波長が異なる複数の光パルス信号を発生させる。本実施の形態では、パルス発生部12は、波長λ1〜λnをそれぞれ有するn個の光パルス信号を発生させる。パルス発生部12は、n個の光パルス信号を光結合部34へ出力する。
なお、複数の光パルス信号の各々の周期は、光変調部32で生成される光データ信号における下りデータの周期、すなわち、下りデータ1,2,・・・,nの割当てが一巡するまでに要する時間に等しい。
光結合部34は、光変調部32から受けた光データ信号とパルス発生部12から受けた光パルス信号とを結合して伝送路20に送出する。
伝送路20は、光ファイバで構成される。基地局側装置1から出力された光データ信号と、複数の光パルス信号(波長λ1〜λnの光)とは伝送路20を介して中継装置2に送られる。
ここで、物質中を伝わる光の速さは光の波長により異なる。この現象は波長分散と呼ばれる。本実施の形態では波長λ1〜λnは、パルス発生部12の内部の波長分散特性に基づいて、複数の光パルス信号が、光データ信号のタイムスロットに等しい間隔で中継装置2に順次到着するように定められる。
中継装置2は、複数の光パルス信号を用いて光データ信号を下りデータ1,2,・・・,nに復号する。これらのデータは中継装置2に接続されるn個のONTにそれぞれ送られる。
中継装置2は、波長選択性光分配部62と、遅延部84と、光相互作用発生部18と、光分波器64と、復号部86とを含む。
波長選択性光分配部62は、伝送路20を介して受けた光データ信号および光パルス信号を波長に応じて分離する。波長選択性光分配部62は、光データ信号(波長λ0)を光相互作用発生部18へ出力し、複数の光パルス信号(波長λ1〜λn)を遅延部84へ出力する。
遅延部84は複数の光パルス信号を所定の時間だけ遅延させる。この遅延時間は、光パルス信号の最大強度となるタイミングが、光データ信号において、その光パルス信号に対応する下りデータのタイムスロットと同期するように定められる。遅延部84は、遅延させた光パルス信号を光相互作用発生部18へ出力する。
光相互作用発生部18は、光データ信号と光パルス信号との間で光学非線形効果による相互作用を生じさせる。特に、光相互作用発生部18は、光カー効果の一種である4光波混合(FWM:Four Wave Mixing)を生じさせる。たとえば、光相互作用発生部18に光データ信号と、波長λ1の光パルス信号が入力された場合、光相互作用発生部18は光データ信号の波長λ0と光パルス信号の波長λ1との波長差Δλ(=|λ1−λ0|)だけ異なる波長(λ0−Δλ),(λ1+Δλ)をもつ新たな2つの相互作用光を出力する。
波長λ1の光パルス信号が最大強度となるタイミングは下りデータ1が割当てられるタイムスロットと同期するので、この場合には、4光波混合は下りデータ1が割当てられたタイムスロットの期間だけ生じることになる。したがって、光相互作用発生部18は、光データ信号のうち下りデータ1の光強度に応じた相互作用光だけを出力する。すなわち、光相互作用発生部18は、波長λ1の光パルス信号を用いて、光データ信号の中からデータ1で変調された光信号を抽出する。以下では、光データ信号から抽出された光信号をDEMUX信号(分離信号)とも称す。
光相互作用発生部18には、光データ信号のタイムスロットと同じ時間間隔で複数の光パルス信号が順次入力される。よって、光相互作用発生部18は、下りデータ1、下りデータ2・・・,下りデータnのそれぞれに対応する複数のDEMUX信号を出力する。
光分波器64は、複数のDEMUX信号を波長ごとに分離して出力する。複数のDEMUX信号は復号部86に入力される。
復号部86は、複数のDEMUX信号に対応してそれぞれ設けられる復号器86.1〜86.nを含む。復号器86.1〜86.nは対応するDEMUX信号の光強度に応じてデータ列を生成し、そのデータ列を下りデータとして出力する。復号器86.1〜86.nからは下りデータ1,・・・,下りデータnがそれぞれ出力される。
図2は、図1に示すパルス発生部12の構成例を示す図である。図2を参照して、パルス発生部12は、信号発生部51と、光源52.1,52.2,・・・,52.nと、光合波器54と、光変調部55と、波長分散性媒質56とを含む。
信号発生部51は、図1の光変調部32で生成される光データ信号における下りデータ1の周期と等しい周期(たとえばGHzのオーダー)の参照信号を発生させる。光源52.1,52.2,・・・,52.nの各々は、たとえば半導体レーザを含み、所定の光強度を有するレーザ光(光束)を発生させる。なお光源52.1,52.2,・・・,52.nから発せられるレーザ光の波長はそれぞれλ1,λ2,・・・,λnである。
光合波器54は、光源52.1,52.2,・・・,52.nから入力された、波長の異なる光を合波する。光変調部55は、信号発生部51からの参照信号に基づいて、光合波器54から出力される光を光強度変調して、波長λ1〜λnをそれぞれ有する複数の光パルス信号を生成する。このように本実施の形態では光合波器54から出力される光を変調するので、複数の光パルス信号を一括して生成することができる。これにより光源ごとに光変調部を設ける必要がなくなるので、簡易な構成で複数の光パルス信号を発生させることが可能になる。
光変調部55から出力された複数の光パルス信号は、波長分散性媒質56を通り、光結合部33を介して伝送路20へ出力される。複数の光パルス信号は、波長分散性媒質56での波長分散により時間的に分離される(伝送速度が互いに異なる)。すなわち波長分散性媒質56は本発明における「分離手段」を実現する。また、信号発生部51と、光源52.1,52.2,・・・,52.nと、光合波器54と、光変調部55とは「光信号生成手段」を実現する。
波長分散性媒質56はたとえば光ファイバであるが、光ファイバに特に限定されるものではない。
図3は、図1に示す光相互作用発生部18の概略構成図である。図5を参照して、光相互作用発生部18は、光結合部33と、光増幅器36と、高非線形ファイバ38と、光フィルタ40とを含む。
光結合部33は、波長λ0の光データ信号と波長λ1の光パルス信号とを結合して光増幅器36へ出力する。光増幅器36は、光学非線形効果が生じるように光結合部33から受けた光データ信号および光パルス信号を増幅して高非線形ファイバ38へ出力する。
高非線形ファイバ38は、非線形係数が高い媒質からなる。高非線形ファイバ38は、所定の光強度をもつ波長λ1の光データ信号と波長λ2の光パルス信号との4光波混合により、波長(λ0−Δλ)および波長(λ1+Δλ)の新たな2つの相互作用光を発生する。
光フィルタ40は、高非線形ファイバ38から出力される光データ信号、光パルス信号および2つの相互作用光を受けて、光データ信号および光パルス信号を阻止(吸収や拡散等)し、かつ、2つの相互作用光のうちいずれか一方を通過させる。そして、光フィルタ40は、通過させた相互作用光をDEMUX信号として出力する。
図4は、光相互作用発生部18における4光波混合を説明する図である。図4(a)は、光相互作用発生部18に入力する光信号の周波数スペクトルを示す。図4(b)は、高非線形ファイバ38から出力される光信号の周波数スペクトルを示す。図4(c)は、光フィルタ40から出力される光信号の周波数スペクトルを示す。
図4(a)を参照して、光増幅器36で所定の光強度まで増幅された光データ信号(波長λ0)および光パルス信号(波長λ1)は光相互作用発生部18に入力する。
図4(b)を参照して、光データ信号および光パルス信号が高非線形ファイバ38を伝搬すると4光波混合が生じ、光データ信号と光パルス信号との波長差Δλだけ離れた波長をもつ2つの相互作用光が生じる。
図4(c)を参照して、光フィルタ40は、光データ信号、光パルス信号および2つの相互作用光のうち1つの相互作用光だけを通過させ、その光をDEMUX信号として出力する。たとえば、光データ信号の波長λ0は1550[nm]であり、光パルス信号の波長λ1は1555[nm]である。
図5は、中継装置2におけるデータの抽出を説明する図である。
図5(a)は、波長選択性光分配部62から出力される光データ信号の時間波形を示す。図5(a)を参照して、光データ信号は、「0」と「1」とからなる2値のデータ列に対応した光強度をもつ。そして、1つのタイムスロットの時間間隔をtとすると、すべての下りデータの割当てが一巡するのに要する時間Tは、T=t×4となる。
図5(b)は、波長選択性光分配部62から出力される波長λ1の光パルス信号の時間波形を示す。図5(b)を参照して、基地局側装置1から送出される波長λ1の光パルス信号は、すべての下りデータの割当てが一巡する時間Tごとに光強度ピークをもつ。
図5(c)は、光相互作用発生部18へ与えられる波長λ1の光パルス信号の時間波形を示す。図5(c)を参照して、遅延部84は、光パルス信号の強度のピークが、下りデータ1が割当てられたタイムスロットと同期するように、波長λ1の光パルス信号を遅延時間Td1だけ遅延させる。下りデータ1が割当てられたタイムスロットの周期は、光パルス信号の周期と一致するので、タイムスロット毎に遅延時間Td1を調整する必要はない。
図5(d)は、光相互作用発生部18から下りデータ1として出力されるDEMUX信号を示す。図5(d)を参照して、光相互作用発生部18は、光パルス信号の光強度ピークが存在する期間において、下りデータ1に応じたDEMUX信号を出力する。
図5(e)は、光相互作用発生部18へ与えられる波長λ2の光パルス信号の時間波形を示す。図5(e)を参照して、波長λ2の光パルス信号は波長λ1の光パルス信号よりも時間Td2だけ遅れて光相互作用発生部18に到着する。遅延部84は、波長λ1の光パルス信号と同様に、波長λ2の光パルス信号を遅延時間Td1だけ遅延させる。
波長λ2の光パルス信号は、波長λ1の光パルス信号が中継装置2に到着した時点からタイムスロットの時間間隔tだけ遅れて中継装置2に到着する。よって波長λ2の光パルス信号は下りデータ2が割当てられたタイムスロットと同期した信号である。遅延部84は波長λ2の光パルス信号を遅延させることによって、光パルス信号の強度のピークを下りデータ2が割当てられたタイムスロットと同期させる。
図5(f)は、光相互作用発生部18から下りデータ2として出力されるDEMUX信号を示す。図5(f)を参照して、図5(d)と同様に、光相互作用発生部18は、光パルス信号の強度ピークが存在する期間において、下りデータ2に応じたDEMUX信号を出力する。
図6は、複数の光パルス信号の時間差を模式的に説明するための図である。
図6(a)は、図2の光変調部55から出力される複数の光パルス信号の時間波形を示す。図6(a)を参照して、複数の光パルス信号は時間軸上でほぼ重なり合う。なお、図6(a)では、複数の光パルス信号の区別が容易になるように、複数の光パルス信号をずらして示す。
図6(b)は、図2の波長分散性媒質56から出力される複数の光パルス信号の時間波形を示す。図6(a)および図6(b)を参照して、複数の光パルス信号が波長分散性媒質56を通ることにより、複数の光パルス信号同士の間隔は広がる。この点を分かりやすく示すため、図6(a)と図6(b)とで第1番目(左端)のパルスの時間軸上の位置を同じにしている。
図6(c)は、図1の波長選択性光分配部62に入力される光パルス信号の時間波形を示す。図6(c)を参照して、複数の光パルス信号が伝送路20を通ることによって複数の光パルス信号の時間間隔は広がる。なお図6(b)と同様に、第1番目(左端)のパルスの時間軸上の位置は図6(a)と図6(c)とで同じである。
図6(d)は、図1の波長選択性光分配部62に入力される光データ信号の時間波形を示す。図6(d)および図6(c)を参照して、波長λ1の光パルス信号は下りデータ1が割当てられたタイムスロットと同期する。同様に、波長λ2の光パルス信号、波長λ3の光パルス信号、波長λ4の光パルス信号は、下りデータ2が割当てられたタイムスロット、下りデータ3が割当てられたタイムスロット、下りデータ4が割当てられたタイムスロットとそれぞれ同期する。
図6(c)に示す複数の光パルス信号は、遅延部84によって遅延時間Td1だけ遅延する。これにより複数のDEMUX信号の各々の強度を最大とすることが可能になる。
本実施の形態では、複数の光パルス信号が光データ信号のタイムスロットに対応する時間だけずれて中継装置2に順次到着する。これにより中継装置2(より特定的には光相互作用発生部18)において、1つの光データ信号を複数のDEMUX信号に分離することが容易になる。さらに、本実施の形態によれば、遅延時間をタイムスロット毎に調整しなくてもよくなる。
実施の形態1の通信システム100について再度包括的に説明する。通信システム100では、基地局側装置1は、下りデータ1,2,・・・nを含む光データ信号と、これらのデータを互いに区別するための複数の光パルス信号とを伝送路20に送出する。複数の光パルス信号はそれぞれ波長λ1〜λnを有する。波長λ1〜λnは、伝送路20の波長分散特性に基づいて、複数の光パルス信号が光データ信号のタイムスロットに等しい間隔で中継装置2に順次到着するように定められる。中継装置2は、複数の光パルス信号を用いて、複数の下りデータを分離する。
これにより光信号中継装置側では、光データ信号を分離するための光パルス発生装置が不要になる。よって、本実施の形態の通信システムによれば光信号中継装置を低コストで実現できる。
さらに、時分割多重アクセスネットワークにおける通信速度が高くなっても、光信号中継装置で、基地局側装置から送られる複数の光パルス信号とを用いて光データ信号を分離すればよい。このため本実施の形態によれば高速の光時分割多重伝送にも対応することができる。
なお、光相互作用発生部18は、上述した高非線形ファイバに代えて、半導体光増幅器を含んで構成されてもよい。
(変形例1)
図7は、実施の形態1の変形例1に従う光相互作用発生部19Aの概略構成図である。図7を参照して、光相互作用発生部19Aは、図3に示す光相互作用発生部18において、光増幅器36および高非線形ファイバ38を半導体光増幅器42に代えたものである。なお、光結合部34および光フィルタ40は、光相互作用発生部18と同様の構成および機能を有するので、これらについての詳細な説明は以後繰返さない。
半導体光増幅器42は、半導体光増幅素子(SOA:Semiconductor Optical Amplifiers)を含む光増幅器であり、光強度を増加させると同時に光学非線形効果による相互作用を生じさせる。半導体光増幅素子に用いられる半導体の種類は、たとえば、InP、InGaAsおよびInGaAsPなどである。
変形例1によれば、光相互作用発生部19Aには高非線形ファイバが含まれていないので図3に示す光相互作用発生部18に比較して、より小型化を実現できる。
(変形例2)
図8は、実施の形態1の変形例2に従う光相互作用発生部19Bの概略構成図である。図8を参照して、光相互作用発生部19Bは、非線形ループミラーとも称されるものである。光相互作用発生部19Bは、光分岐部66,68と、高非線形ファイバ38とを含む。
光分岐部68は、4つのポートを有する。4つのポートのうち2つは高非線形ファイバ72の両端と接続される。残りの2つのポートは、光データ信号を受ける入力ポートと、DEMUX信号を出力する出力ポートとして機能する。
光分岐部66は、光分岐部68と高非線形ファイバ38との間に介挿され、光パルス信号を受けて高非線形ファイバ72へ送出する。
高非線形ファイバ72は、非線形係数が高い媒質からなり、波長λ0の光データ信号と波長λ1の光パルス信号との間の光学非線形効果により、光データ信号の位相を変化させる。
以下、光相互作用発生部19Bの動作について説明する。光分岐部68は、受けた光データ信号を2分割して、時計回りおよび反時計回りにそれぞれ伝搬する2つの光データ信号を出力する。光パルス信号が入力されなければ、各々の光データ信号は、高非線形ファイバ72を伝搬した後、光分岐部68へ帰還する。すると2つの光データ信号は、光分岐部68で互いに干渉して打消し合う。そのため光分岐部68からはいずれの光信号も出力されない。
一方、光分岐部66を介して光パルス信号が高非線形ファイバ72へ入力されると、高非線形ファイバ72を伝搬する過程で光学非線形効果により、光データ信号の回転位相が変化する。そのため、各々の光データ信号は、光分岐部68での干渉が不十分となり打消し合わない。よって、光分岐部68から、光データ信号と光パルス信号の光相互作用に応じたDEMUX信号が出力される。すなわち、光データ信号におけるタイムスロットと光パルス信号の光強度ピークとを同期させて、光相互作用発生部19Aへ入力することで、光データ信号の中から特定のデータを抽出できる。
変形例2によれば、光強度の低い光信号であっても光相互作用を生じさせることができるので、光信号を過度に増幅させる必要はない。そのため、低出力の光増幅器を用いても十分に光相互作用を生じさせることができる。よって、より経済的な構成の光相互作用発生部を実現できる。
(変形例3)
図9は、実施の形態1の変形例3に従う光相互作用発生部19Cの概略構成図である。図9を参照して、光相互作用発生部19Cは、電界吸収型半導体光変調器(Electro-absorption modulator;以下「EA変調器」と称する)の相互吸収変調(Cross-absorption modulation;XAM)効果を利用する光相互作用発生部である。光相互作用発生部19Cは、光カプラ701と、EA変調器706と、フィルタ707とを含む。
波長λ1の光データ信号(信号光)と、波長λ2の光パルス信号(光タイミングパルス列)とは、光カプラ701によって合波された後にEA変調器706の一方の出入力端面に供給される。EA変調器の相互吸収変調効果によって、EA変調器706の一方の出入力端面からは信号光によって変調された波長λ2の光タイミングパルス列、および、光タイミングパルス列の影響を受けた波長λ1の信号光が出力される。フィルタ707により波長λ2の光を抽出することによって、データに応じた短パルスの信号光が出力される。
(変形例4)
図10は、実施の形態1の変形例4に従う光相互作用発生部19Dの概略構成図である。図10を参照して、光相互作用発生部19Dは、方向性結合器702と、EA変調器706と、フィルタ707と、アイソレータ708とを含む。
光データ信号(信号光)は、方向性結合器702を介してEA変調器706の一方の出入力端面に供給される。一方、光パルス信号(光クロックパルス列)は、EA変調器706の他方の出入力端面に供給される。これにより、EA変調器706の上記一方の出入力端面からは、信号光によって変調された光クロックパルス列が出力される。この光クロックパルス列は、方向性結合器702およびフィルタ707を通過して出力される。
なお、EA変調器706の上記他方の出入力端面からは光クロックパルス列によって強度変調された信号光が出力されることになるが、かかる信号光はアイソレータ708により遮断される。かかる信号光が出力されると、この信号光が光クロックパルス列と干渉して、パルス列の品質を損なうからである。
ここで、EA変調器とは、本来は、印加電界に応じて光吸収係数が変化する特性を利用して、入力光に強度変調を施すデバイスである。しかし、EA変調器の光吸収係数は、入力光の強度にも依存する。すなわち、入力光の強度が大きいほど、EA変調器の光吸収量は小さくなる。そして、入力光の強度が所定値より大きい場合、光吸収量の低下は飽和する。図10のEA変調器706は、この性質を利用して、信号光の再生を行っている。
図11は、図10のEA変調器706の動作原理を説明するための概念図である。図11に示すように、EA変調器706には、一方の出入力端面801から光クロックパルス列が入力され、かつ、他方の出入力端面802から信号光が入力される。
出入力端面802から信号光の‘1’(すなわち、光強度の大きい部分)が入力されたとき、EA変調器706内の光吸収量は最低レベルに飽和する。このため、信号光の‘1’に対応する光クロックパルスC1,C2,C4,C5は、あまり吸収されることなく、出入力端面802から出力される。
一方、出入力端面802から信号光の‘0’(すなわち、光強度の小さい部分)が入力されたとき、EA変調器706内の光吸収量は大きくなる。したがって、‘0’が入力されたときは、光クロックパルスに対して非常に大きい光吸収が生じる。このため、信号光の‘0’に対応する光クロックパルスC3は、強度が非常に小さい光に変換されて、出入力端面802から出力される。
このようにして、図10の構成によれば、信号光に応じた強度変調を受け、光相互作用発生部として動作することが可能になる。
[実施の形態2]
実施の形態2の通信システムの構成は図1に示す通信システム100と同様であるので以後の説明は繰返さない。実施の形態2の通信システムでは光信号中継装置はDEMUX信号の強度が最大となるように制御を行なう。このため、実施の形態1と実施の形態2とでは光信号中継装置におけるDEMUX信号の制御に関連する部分が異なる。
図12は、実施の形態2に係る中継装置21のDEMUX信号の制御に関連する部分の構成を説明する図である。図12を参照して、中継装置21は図1の通信システム100に用いられる中継装置である。中継装置21は、遅延部84に代えて遅延部84Aを含む点で中継装置2と異なる。中継装置21は、光分配部91と、強度モニタ部92と、遅延制御部93とをさらに含む点で中継装置2と異なる。中継装置21の他の部分の構成は中継装置2の対応する部分の構成と同様であるので以後の説明は繰返さない。
実施の形態1と同様に、光相互作用発生部18は波長λ0の光データ信号と複数の光パルス信号(波長λ1〜λn)とを受けて、複数のDEMUX信号を出力する。光分配部91は、光相互作用発生部18から出力される複数のDEMUX信号の各々を2分配する。2分配されたDEMUX信号の一方および他方は復号部86および強度モニタ部92にそれぞれ入力される。
強度モニタ部92は、DEMUX信号の強度をモニタして、遅延制御部93にモニタ結果を出力する。遅延制御部93は強度モニタ部92のモニタ結果(DEMUX信号の強度)に応じて、遅延部84Aを制御する。これにより遅延部84Aでの波長λ1の光パルス信号の遅延時間が変化する。遅延制御部93は強度モニタ部92が示すDEMUX信号の強度が最大となるように光パルス信号の遅延時間を制御する。たとえば遅延制御部93は複数のパルス信号に対して遅延量を一律に変化させる。
理想的な状態では、光パルス信号の強度が最大となるタイミングは光データ信号において、下りデータ(たとえば下りデータ1)が割当てられるタイムスロットと同期しているので、DEMUX信号の強度は常に最大となる。しかしながら、たとえば温度による伝送路の長さの変動などの各種の要因によって、光パルス信号の強度が最大となるタイミングと下りデータが割当てられるタイムスロットとの間にずれが生じることが起こり得る。
実施の形態2によれば、DEMUX信号の強度に応じて光パルス信号の遅延時間を制御することによって、復号部86がDEMUX信号の光強度に応じてデータ列を復号する際に、基地局側装置で生成したデータ列の再現精度をより高めることが可能になる。
[実施の形態3]
図13は、本発明の実施の形態3に従う通信システム100Aの概略構成図である。図13を参照して、通信システム100Aは、基地局側装置1Aと、伝送路20,24と、中継装置2Aとを含む。
中継装置2Aはn個のONTから上りデータ1,上りデータ2,・・・,上りデータnをそれぞれ受ける。中継装置2Aはn個の上りデータを時分割多重して生成した光データ信号を、伝送路24を介して基地局側装置1Aに送信する。基地局側装置1Aは中継装置2Aからの光データ信号を復号する。この点で通信システム100Aは、実施の形態1に係る通信システム100と異なる。次に通信システム100Aと通信システム100との構成上の違いを説明する。
図13および図1を参照して、中継装置2Aは、光分配部60と、フィルタ70と、符号化部74と、光相互作用発生部75と、光結合部67とをさらに含む点で中継装置2と異なる。フィルタ70と、符号化部74と、光相互作用発生部75と、光結合部67とは、本発明の「データ送信手段」を実現する。
光分配部60は、遅延部84から受ける複数の光パルス信号を光相互作用発生部18と光相互作用発生部75とに分配する。フィルタ70は複数の光パルス信号のうちの所定の波長(たとえば波長λ1)を有する光パルス信号を透過する。なお以下ではフィルタ70からは波長λ1を有する光パルス信号が出力されるものとする。
符号化部74は、外部から上りデータ1,上りデータ2,・・・,上りデータnを受けて、これらのデータの各々を1次元の「0」と「1」とからなる2値のデータ列に符号化する。そして、符号化部74は、符号化したデータ列に応じた光データ信号を生成して光相互作用発生部75へ出力する。符号化部74は、上りデータ1,上りデータ2,・・・,上りデータnのそれぞれに対応して設けられる符号化器74.1〜74.nを含む。符号化器74.1〜74.nは対応する上りデータを符号化して光データ信号を出力する。
光相互作用発生部75は、符号化器74.1〜74.nにそれぞれ対応して設けられる光相互作用発生器75.1〜75.nを含む。光相互作用発生器75.1〜75.nの各々は図3に示す光相互作用発生部18と同様の構成を有する(図7あるいは図8に示す構成でもよい)。
光相互作用発生器75.1〜75.nは対応する符号化器からの光データ信号と波長λ1の光パルス信号との間に光相互作用を生じさせる。光結合部67は光相互作用発生器75.1〜75.nからそれぞれ出力される複数の光信号を結合して伝送路24に送出する。なお、光相互作用発生器75.1〜75.nおよび光結合部67により、基地局側装置1Aに送られる光データ信号は上りデータ1,上りデータ2,・・・,上りデータnを時分割多重することにより生成した信号と等価になる。
基地局側装置1Aは、受信部1.2をさらに含む点で基地局側装置1と異なる。受信部1.2は、復号部80とを含む。復号部80は、伝送路24を介して受けた光データ信号を電気信号に変換し、「0」または「1」の2値のデータ列を生成する。そして、復号部80は、生成したデータ列を所定のタイムスロット毎に分離し、上りデータ1,2,・・・,nに復号して出力する。
実施の形態3によれば、実施の形態1の効果に加えて中継装置2Aから基地局側装置1にデータを送信することが可能になる。これにより実施の形態3によれば双方向での光時分割多重伝送を実現することができる。
[実施の形態4]
図14は、本発明の実施の形態4に従う通信システム100Bの概略構成図である。図14および図13を参照して、通信システム100Bは、基地局側装置1Aに代えて基地局側装置1Bを含む点、および、中継装置2Aに代えて中継装置2Bを含む点で通信システム100Aと異なる。
基地局側装置1Bは、受信部1.2において光分配部35と、波長制御部14とをさらに含む点で、基地局側装置1Aと異なる。中継装置2Bは、フィルタ70に代えて光分波器76を含む点で中継装置2Aと異なる。光分波器76と、符号化部74と、光相互作用発生部75と、光結合部67とは、本発明の「データ送信手段」を実現する。
なお、通信システム100Bの他の部分の構成については通信システム100Aの対応する部分の構成と同様である。
中継装置2Bにおいて光分波器76は、光分配部60から受ける複数の光パルス信号を波長ごとに分離する。複数の光パルス信号は光相互作用発生器75.1〜75.nにそれぞれ入力される。
基地局側装置1Bでは、光分配部35は、伝送路24から受ける光データ信号を復号部80と波長制御部14とに分配する。波長制御部14は、光分配部35から光データ信号を受けて、中継装置2Bにおける複数の光パルス信号の到着タイミングを判定する。具体的には、波長制御部14は、光データ信号に含まれるデータ列のうち、2つのデータが時間的に重なっていないかどうかを判定する。
光データ信号中の2つのデータが時間的に重なっているということは、基地局側装置1Bから中継装置2Bに送られた複数の光パルス信号の2つが時間的に重なっていることを意味する。波長制御部14は、光データ信号中の2つのデータが重なっている場合には、その2つのデータに基づいて、複数の光パルス信号のうち到着タイミングがずれている光パルス信号を特定する。そして、波長制御部14は、その光パルス信号の波長を制御するための信号SWをパルス発生部12に出力する。パルス発生部12は、信号SWを受けて、その光パルス信号の波長を変化させる。
図15は、図14の波長制御部14によるパルス発生部12の制御を説明するための図である。図15を参照して、波長制御部14は、信号SW1,SW2,・・・,SWnを含む信号SWを出力する。光源52.1,52.2,・・・,52.nは信号SW1,SW2,・・・,SWnをそれぞれ受けた場合に、出力する光の波長を変化させる。
たとえば光源52.1,52.2,・・・,52.nの各々は半導体レーザと、その半導体レーザに接して半導体レーザの温度を変化させるペルチェ素子と、ペルチェ素子の印加電圧を制御する電圧制御部を含む。電圧制御部は波長制御部14からの信号に応じてペルチェ素子の印加電圧を変化させる。これにより半導体レーザから発せられるレーザ光の波長が変化する。
このように実施の形態4によれば、波長制御部14は、中継装置2Bからの光データ信号を受けて、中継装置2Bにおける複数の光パルス信号の到着タイミングを判定する。波長制御部14は、光源52.1,52.2,・・・,52.nの中から、中継装置2Bに到着するタイミングの調整が必要な光パルス信号に対応する光源を特定する。波長制御部14は、その光源から発せられる光束の波長を調整する。これにより、中継装置2Bに到着する複数の光パルス信号の時間間隔を、基地局側装置1Bから送信される光データ信号のタイムスロットの間隔に保つことができる。よって、中継装置2Bでは、基地局側装置1Bから送信される光データ信号をn個のデータに正確に分離することが可能になる。また、基地局側装置1Bは、中継装置2Bから受けた光データ信号に基づいて上りデータ1,2,・・・,nを正しく復号することができる。
なお、本構成においては光方向性結合器を介して基地局側装置と中継装置とを接続することで、光ファイバ20と光ファイバ24とを1つにする(1心の光ファイバにより双方向伝送を行なう)ことが可能であるのは明らかである。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明の実施の形態1に従う通信システム100の概略構成図である。 図1に示すパルス発生部12の構成例を示す図である。 図1に示す光相互作用発生部18の概略構成図である。 光相互作用発生部18における4光波混合を説明する図である。 中継装置2におけるデータの抽出を説明する図である。 複数の光パルス信号の時間差を模式的に説明するための図である。 実施の形態1の変形例1に従う光相互作用発生部19Aの概略構成図である。 実施の形態1の変形例2に従う光相互作用発生部19Bの概略構成図である。 実施の形態1の変形例3に従う光相互作用発生部19Cの概略構成図である。 実施の形態1の変形例4に従う光相互作用発生部19Dの概略構成図である。 図10のEA変調器706の動作原理を説明するための概念図である。 実施の形態2に係る中継装置21のDEMUX信号の制御に関連する部分の構成を説明する図である。 本発明の実施の形態3に従う通信システム100Aの概略構成図である。 本発明の実施の形態4に従う通信システム100Bの概略構成図である。 図14の波長制御部14によるパルス発生部12の制御を説明するための図である。
符号の説明
1,1A,1B 基地局側装置、2,2A,2B,21 中継装置、1.1 送信部、1.2 受信部、10,52.1〜52.n 光源、12 パルス発生部、14 波長制御部、18,19A〜19D,75 光相互作用発生部、20,24 伝送路、30,74 符号化部、32,55 光変調部、33,34,67 光結合部、35,60,91 光分配部、36 光増幅器、38,72 高非線形ファイバ、40 光フィルタ、42 半導体光増幅器、51 信号発生部、54 光合波器、56 波長分散性媒質、62 波長選択性光分配部、64,76 光分波器、66,68 光分岐部、70 フィルタ、74.1〜74.n 符号化器、75.1〜75.n 光相互作用発生器、80,86 復号部、84,84A 遅延部、86.1〜86.n 復号器、92 強度モニタ部、93 遅延制御部、100,100A,100B 通信システム、701 光カプラ、702 方向性結合器、706 EA変調器、708 アイソレータ、801,802 出入力端面、C1〜C5 光クロックパルス。

Claims (4)

  1. 伝送路と、
    複数の第1のデータを含む第1の光信号と、前記複数の第1のデータを互いに区別するための複数の第2の光信号とを前記伝送路に送出する第1の通信装置と、
    前記伝送路を介して前記第1の光信号と前記複数の第2の光信号とを受けて、前記複数の第1のデータを分離する第2の通信装置とを備え、
    前記第1の通信装置は、
    前記複数の第1のデータをタイムスロットに順次割当てて前記第1の光信号を生成し、前記伝送路に前記第1の光信号を送出する第1の送出手段と、
    前記複数の第2の光信号を生成して送出する第2の送出手段とを含み、
    前記複数の第2の光信号は、互いに異なる複数の波長をそれぞれ有し、
    前記複数の波長は、前記第2の送出手段の波長分散特性に基づいて、前記複数の第2の光信号が前記タイムスロットに等しい間隔で前記第2の通信装置に順次到着するように定められ
    前記第2の送出手段は、
    前記複数の波長をそれぞれ有する複数の光束を発する複数の光発生手段と、
    前記複数の光束を結合して出力光を出力する光結合手段と、
    前記タイムスロットに応じた周期を有する参照信号を生成する信号生成手段と、
    前記参照信号に応じて前記出力光を変調して、前記複数の第2の光信号を出力する変調手段と、
    自身の波長分散特性に基づき前記変調手段から受ける前記複数の第2の光信号を時間的に分離して、前記伝送路に送出する分離手段とを含み、
    前記第2の通信装置は、
    前記複数の第2の光信号を用いて複数の第2のデータを時分割多重することにより、前記複数の第2のデータを含む光データ信号を前記第1の通信装置に送信するデータ送信手段を含み、
    前記第1の通信装置は、前記光データ信号を受信する受信手段をさらに含み、
    前記受信手段は、
    前記光データ信号を受けて前記第2の通信装置における前記複数の第2の光信号の到着タイミングを判定して、その判定結果に基づいて、前記到着タイミングの調整が必要な光信号に対応する光発生手段を前記複数の光発生手段の中から特定し、特定された光発生手段から発せられる光束の波長を調整する波長調整手段を含む、通信システム。
  2. 前記第2の通信装置は、
    前記第1の光信号と前記複数の第2の光信号との間で光相互作用を生じさせて、複数の第3の光信号を出力する光相互作用発生手段と、
    前記複数の第3の光信号に基づいて前記複数の第1のデータをそれぞれ復号する復号手段とをさらに含む、請求項に記載の通信システム。
  3. 前記第2の通信装置は、
    前記複数の第2の光信号を遅延させて前記光相互作用発生手段に出力する遅延手段と、
    前記複数の第3の光信号の各々の強度を検知する検知手段と、
    前記検知手段の検知結果を受けて、前記複数の第3の光信号の各々の強度が最大となるように前記遅延手段における遅延量を制御する遅延量制御手段とをさらに含む、請求項に記載の通信システム。
  4. 複数のデータを含む第1の光信号と、前記複数のデータを互いに区別するための複数の第2の光信号とを伝送路に送出する第1の通信装置と、前記伝送路を介して前記第1の光信号と前記複数の第2の光信号とを受けて前記複数のデータを分離する第2の通信装置との間の通信方法であって、
    前記複数の第2の光信号は、互いに異なる複数の波長をそれぞれ有し、
    前記通信方法は、
    前記複数のデータをタイムスロットに順次割当てて前記第1の光信号を生成し、前記伝送路に前記第1の光信号を送出するステップと、
    前記複数の波長をそれぞれ有する複数の光束を発するステップと、
    前記複数の光束を結合して出力光を生成するステップと、
    前記タイムスロットに応じた周期を有する参照信号を生成するステップと、
    前記参照信号に応じて前記出力光を変調して、前記複数の第2の光信号を出力するステップと、
    自身の波長分散特性に基づいて互いに波長の異なる複数の光信号を分離可能な分離手段を用いて、前記複数の第2の光信号を分離して前記伝送路に送出するステップとを含み、
    前記複数の波長は、前記分離手段の波長分散特性に基づいて、前記複数の第2の光信号が前記タイムスロットに等しい間隔で前記第2の通信装置に順次到着するように定められ、
    前記第2の通信装置において、前記複数の第2の光信号を用いて複数の第2のデータを時分割多重することにより、前記複数の第2のデータを含む光データ信号を前記第1の通信装置に送信するステップと、
    前記第1の通信装置において前記光データ信号を受けることにより、前記第2の通信装置における前記複数の第2の光信号の到着タイミングを判定するステップと、
    前記複数の第2の光信号のうちの前記到着タイミングの調整が必要な光信号に対応する光束を、前記複数の光束から特定するステップと、
    特定された光束の波長を調整するステップとを含む、通信方法。
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