以下、本発明を具体化した実施例について図面に従って説明する。
尚、各図面における各部材は、各図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各部材毎に縮尺を異ならせて図示している。
(第1の実施形態)
本実施形態では、液滴吐出装置と、この液滴吐出装置を用いて液滴を吐出して描画する、本発明の特徴的な吐出方法の例について、図1〜図9に従って説明する。
(液滴吐出装置)
最初に、ワークに液滴を吐出して塗布する液滴吐出装置1について図1〜図3に従って説明する。液滴吐出装置に関しては様々な種類の装置があるが、インクジェット法を用いた装置が好ましい。インクジェット法は微小な液滴の吐出が可能であるため、微細加工に適している。
図1は、液滴吐出装置の構成を示す概略斜視図である。液滴吐出装置1により、機能液が吐出され塗布される。図1に示すように、液滴吐出装置1には、直方体形状に形成される基台2を備えている。本実施形態では、この基台2の長手方向をY方向とし、Y方向と直交する方向をX方向とする。
基台2の上面2aには、Y方向に延在する一対の案内レール3a,3bがY方向全幅にわたり凸設されている。その基台2の上側には、一対の案内レール3a,3bに対応する図示しない直動機構を備えた走査手段を構成するステージ4が取付けられている。そのステージ4の直動機構は、例えば案内レール3a,3bに沿ってY方向に延びるネジ軸(駆動軸)と、同ネジ軸と螺合するボールナットを備えたネジ式直動機構であって、その駆動軸が、所定のパルス信号を受けてステップ単位で正逆転するY軸モータ(図示しない)に連結されている。そして、所定のステップ数に相対する駆動信号がY軸モータに入力されると、Y軸モータが正転又は逆転して、ステージ4が同ステップ数に相当する分だけ、Y軸方向に沿って所定の速度で往動又は、復動する(Y方向に走査する)ようになっている。
さらに、基台2の上面2aには、案内レール3a,3bと平行に主走査位置検出装置5が配置され、ステージ4の位置が計測できるようになっている。
そのステージ4の上面には、載置面6が形成され、その載置面6には、図示しない吸引式の基板チャック機構が設けられている。そして、載置面6にワークとしての基板7を載置すると、基板チャック機構によって、その基板7が載置面6の所定位置に位置決めされて、固定されるようになっている。
基台2のX方向両側には、一対の支持台8a,8bが立設され、その一対の支持台8a,8bには、X方向に延びる案内部材9が架設されている。
案内部材9の上側には、吐出する機能液を供給可能に収容する収容タンク10が配設されている。一方、その案内部材9の下側には、X方向に延びる案内レール11がX方向全幅にわたり凸設されている。
案内レール11に沿って移動可能に配置されるキャリッジ12は、略直方体形状に形成されている。そのキャリッジ12の直動機構は、例えば案内レール11に沿ってX方向に延びるネジ軸(駆動軸)と、同ネジ軸と螺合するボールナットを備えたネジ式直動機構であって、その駆動軸が、所定のパルス信号を受けてステップ単位で正逆転するX軸モータ(図示しない)に連結されている。そして、所定のステップ数に相当する駆動信号をX軸モータに入力すると、X軸モータが正転又は逆転して、キャリッジ12が同ステップ数に相当する分だけX方向に沿って往動又は復動する(X方向に走査する)。案内部材9とキャリッジ12との間には、副走査位置検出装置13が配置され、キャリッジ12の位置が計測できるようになっている。そして、キャリッジ12の下面(ステージ4側の面)には、液滴吐出ヘッド14が凸設されている。
基台2の上側であって、ステージ4の片側の一方(図中右側)には、クリーニングユニット15が配置されている。クリーニングユニット15は、保守ステージ16と、保守ステージ16の上に配置されている、予備吐出領域としてのフラッシングユニット17、キャッピングユニット18、ワイピングユニット19、重量測定装置20等により構成されている。
保守ステージ16は、案内レール3a,3b上に位置し、ステージ4と同様の直動機構を備えている。主走査位置検出装置5を用いて位置を検出し、直動機構で移動することにより、所望の場所に移動し、停止することが可能となっている。
フラッシングユニット17は、液滴吐出ヘッド14内の流路を洗浄するとき、液滴吐出ヘッド14から吐出される液滴を受ける装置である。液滴吐出ヘッド14内に固形物が混入した場合に、固形物を液滴吐出ヘッド14から排除するため、液滴吐出ヘッド14から液滴を吐出して洗浄する。この液滴を受ける機能をフラッシングユニット17が行う。
キャッピングユニット18は、液滴吐出ヘッド14に蓋をする装置である。液滴吐出ヘッド14から吐出する液滴は、揮発性を有する場合があり、液滴吐出ヘッド14に内在する機能液の溶媒がノズルから揮発すると、機能液の粘度が変わり、ノズルが目詰まりすることがある。キャッピングユニット18は、液滴吐出ヘッド14に蓋をすることで、ノズルが目詰まりすることを防止するようになっている。
ワイピングユニット19は、液滴吐出ヘッド14のノズルが配置されているノズルプレートを拭く装置である。ノズルプレートは、液滴吐出ヘッド14において、基板7と対向する側の面に配置されている部材である。ノズルプレートに液滴が付着しているとき、ノズルプレートに付着している液滴と基板7とが接触して、基板7において、予定外の場所に液滴が付着してしまうことがある。ワイピングユニット19は、ノズルプレートを拭くことにより、基板7において、予定外の場所に液滴が付着してしまうことを防止している。
重量測定装置20には、電子天秤が設置され、電子天秤には、受け皿が配置されている。液滴が、液滴吐出ヘッド14から受け皿に吐出され、電子天秤が液滴の重量を測定するようになっている。受け皿は、スポンジ状の吸収体を備え、吐出される液滴が、跳ねて、受け皿の外に出ないようになっている。電子天秤は、液滴吐出ヘッド14が液滴を吐出する前後で、受け皿の重量を測定する。重量測定装置20は、吐出前後の受け皿における重量の差分を演算して、吐出する液滴の重量を測定する。
保守ステージ16が、案内レール3a,3bに沿って移動して、キャリッジ12が、案内レール11に沿って移動することにより、液滴吐出ヘッド14と対向する場所に、フラッシングユニット17、キャッピングユニット18、ワイピングユニット19、重量測定装置20のいずれか一つの装置が配置されるようになっている。
ステージ4及び保守ステージ16が、案内レール3a,3bに沿って、Y方向に移動することにより、液滴吐出ヘッド14は、クリーニングユニット15、又は、基板7と対向する場所に移動し、液滴を吐出するようになっている。
液滴吐出装置1は、四隅に支柱21を備え、上部(図中上側)に、空気制御装置22を備えている。空気制御装置22は、ファン、フィルタ、冷暖房装置、湿度調整装置などを備えている。ファン(送風機)は、工場内の空気を取り込んで、フィルタを通過することにより、空気内の塵、埃を除去し、清浄化された空気を供給する。
冷暖房装置は、液滴吐出装置1の雰囲気温度を所定の温度範囲に保持するように、供給する空気の温度を制御する装置である。湿度調整装置は、液滴吐出装置1の雰囲気湿度を所定の湿度範囲に保持するように、空気を除湿、又は加湿して供給する空気の湿度を制御する装置である。
4本の支柱21の間には、シート23が配置され、空気の流れを遮断するようになっている。空気制御装置22から供給される空気は、空気制御装置22から床24に向かって(図中上から下へ向かう方向)流れ、シート23に囲まれる空間内の塵や埃は、床24に向かって流動する。それにより、基板7に塵や埃が付着しにくいようになっている。
さらに、シート23が、空気の流れを制限することにより、シート23に囲まれる空間内の温度及び湿度を、シート23の外から影響されにくくしている。そして、空気制御装置22がシート23に囲まれる空間内の温度及び湿度を制御し易くなっている。
図2(a)は、キャリッジを示す模式平面図である。図2(a)に示すように、キャリッジ12には、第1液滴吐出ヘッド14a〜第12液滴吐出ヘッド14lの12個の液滴吐出ヘッド14が配置され、液滴吐出ヘッド14の表面には、ノズルプレート30が配置されている。ノズルプレート30には、ノズル31が複数、配置されている。ノズル31の数は、吐出するパターンと基板7の大きさに合わせて設定すればよく、本実施形態においては、例えば、1個のノズルプレート30には、ノズル31の配列が2列形成され、各列には15個のノズル31が配置されている。
図2(b)は、キャリッジを示す模式側面図であり、図2(a)に示すキャリッジをY方向から見た図である。図2(b)に示すように、キャリッジ12は、ベース板32を備えている。ベース板32の上側には、走査手段としての移動機構33が配置されており、キャリッジ12が、案内レール11に沿って移動するための機構が収納されている。
ベース板32の下側には、支持部34を介して駆動回路基板35が配置されている。そして、駆動回路基板35の下側には、ヘッド駆動回路36が配置されている。さらに、ベース板32には、支持部37を介して、ヘッド取付板38が配置され、ヘッド取付板38の下面には、液滴吐出ヘッド14が配置されている。ヘッド駆動回路36と液滴吐出ヘッド14とは、図示しないケーブルにより接続され、ヘッド駆動回路36が出力する駆動信号が、液滴吐出ヘッド14に入力されるようになっている。
ベース板32の下側には、供給装置39が配置され、収容タンク10と供給装置39との間、及び、供給装置39と液滴吐出ヘッド14との間は、図示しないチューブにより接続されている。そして、収容タンク10から供給される機能液が、供給装置39により液滴吐出ヘッド14に供給されるようになっている。
図2(c)は、液滴吐出ヘッドの構造を説明するための要部模式断面図である。図2(c)に示すように、液滴吐出ヘッド14は、ノズルプレート30を備え、ノズルプレート30には、ノズル31が形成されている。ノズルプレート30の上側であって、ノズル31と相対する位置には、ノズル31と連通するキャビティ40が形成されている。そして、液滴吐出ヘッド14のキャビティ40には、収容タンク10に貯留されている機能液41が供給される。
キャビティ40の上側には、上下方向(Z方向)に振動して、キャビティ40内の容積を拡大縮小する振動板42と、上下方向に伸縮して振動板42を振動させる圧電素子43が配設されている。圧電素子43が上下方向に伸縮して振動板42を加圧して振動し、振動板42がキャビティ40内の容積を拡大縮小してキャビティ40を加圧する。それにより、キャビティ40内の圧力が変動し、キャビティ40内に供給された機能液41は、ノズル31を通って吐出されるようになっている。
そして、液滴吐出ヘッド14が圧電素子43を制御駆動するためのノズル駆動信号を受けると、圧電素子43が伸張して、振動板42がキャビティ40内の容積を縮小する。その結果、液滴吐出ヘッド14のノズル31からは、縮小した容積分の機能液41が液滴44として吐出される。ノズル31から液滴44を吐出するとき、液滴44を吐出するために、液滴吐出ヘッド14に加えられるエネルギの一部が、熱に変換される。そして、液滴44を吐出するノズル31の周辺は加熱されて、温度が上昇する。
図3は、液滴吐出装置の電気制御ブロック図である。図3において、液滴吐出装置1はプロセッサとして各種の演算処理を行うCPU(演算処理装置)48と、各種情報を記憶するメモリ49とを有する。
主走査駆動装置50、副走査駆動装置51、主走査位置検出装置5、副走査位置検出装置13、液滴吐出ヘッド14を駆動するヘッド駆動回路36は、入出力インターフェース52及びデータバス53を介してCPU48に接続されている。さらに、入力装置54、ディスプレイ装置55、重量測定装置20、フラッシングユニット17、キャッピングユニット18、ワイピングユニット19も入出力インターフェース52及びデータバス53を介してCPU48に接続されている。同じく、クリーニングユニット15において、保守ステージ16を駆動する保守ステージ駆動装置56及び、保守ステージ16の位置を検出する保守ステージ位置検出装置57も入出力インターフェース52及びデータバス53を介してCPU48に接続されている。
主走査駆動装置50は、ステージ4の移動を制御する装置であり、副走査駆動装置51は、キャリッジ12の移動を制御する装置である。主走査位置検出装置5が、ステージ4の位置を認識し、主走査駆動装置50が、ステージ4の移動を制御することにより、ステージ4を所望の位置に移動及び停止することが可能になっている。同じく、副走査位置検出装置13が、キャリッジ12の位置を認識し、副走査駆動装置51が、キャリッジ12の移動を制御することにより、キャリッジ12を所望の位置に移動及び停止することが可能となっている。
入力装置54は、液滴44を吐出する各種加工条件を入力する装置であり、例えば、基板7に液滴44を吐出する座標を図示しない外部装置から受信し、入力する装置である。ディスプレイ装置55は、加工条件や、作業状況を表示する装置であり、操作者は、ディスプレイ装置55に表示される情報を基に、入力装置54を用いて操作を行う。
重量測定装置20は、電子天秤及び受け皿を備え、液滴吐出ヘッド14が吐出する液滴44と、液滴44を受ける受け皿との重量を測定する装置である。液滴44が吐出される前後の受け皿の重量を測定して、測定値をCPU48に送信する。
保守ステージ駆動装置56は、フラッシングユニット17、キャッピングユニット18、ワイピングユニット19、重量測定装置20から1つの装置を選択して、液滴吐出ヘッド14と対向する場所に位置するように、保守ステージ16を移動する装置である。そして、保守ステージ位置検出装置57が、保守ステージ16の位置を検出した後、保守ステージ駆動装置56が保守ステージ16を移動することにより、所望の装置又はユニットが、確実に、液滴吐出ヘッド14と対向する場所に、移動可能となっている。
メモリ49は、RAM、ROM等といった半導体メモリや、ハードディスク、CD−ROMといった外部記憶装置を含む概念である。機能的には、液滴吐出装置1における動作の制御手順が記述されたプログラムソフト58を記憶する記憶領域が設定される。さらに、基板7内における吐出位置の座標データである吐出位置データ59を記憶するための記憶領域も設定される。
他にも、液滴吐出ヘッド14の暖機駆動において、暖機駆動する液滴吐出ヘッド14の順番や駆動時間データなどの暖機駆動データ60が設定される。さらに、重量測定装置20が、ノズル31から吐出される液滴44の重量を測定するときに、液滴吐出ヘッド14の測定順のデータであるヘッド測定順番データ61を記憶するための記憶領域が設定される。さらに、ノズル31から吐出される液滴44の重量を測定するときに、圧電素子43を駆動する測定用駆動信号データ62を記憶するための記憶領域が設定される。
さらに、基板7を主走査方向(Y方向)へ移動する主走査移動量と、キャリッジ12を副走査方向(X方向)へ移動する副走査移動量とを記憶するための記憶領域や、CPU48のためのワークエリアやテンポラリファイル等として機能する記憶領域やその他各種の記憶領域が設定される。
CPU48は、メモリ49内に記憶されたプログラムソフト58に従って、基板7における表面の所定位置に機能液を液滴44吐出するための制御を行うものである。具体的な機能実現部として、重量測定を実現するための演算を行う重量測定演算部63を有する。さらに、液滴吐出ヘッド14を洗浄するタイミングを演算する洗浄演算部64や、液滴吐出ヘッド14を暖機駆動するときに、暖機駆動する液滴吐出ヘッド14の選択や、暖機駆動時間の制御を行う暖機制御演算部65を有する。
他に、液滴吐出ヘッド14によって液滴44を吐出するための演算を行う吐出演算部66などを有する。吐出演算部66を詳しく分割すれば、液滴吐出ヘッド14を液滴吐出のための初期位置へセットするための吐出開始位置演算部67を有する。さらに、吐出演算部66は、基板7を主走査方向(Y方向)へ所定の速度で走査移動させるための制御を演算する主走査制御演算部68を有する。加えて、吐出演算部66は、液滴吐出ヘッド14を副走査方向(X方向)へ所定の副走査量で移動させるための制御を演算する副走査制御演算部69を有する。さらに、吐出演算部66は液滴吐出ヘッド14内に複数あるノズルのうち、どのノズルを作動させて機能液を吐出するかを制御するための演算を行うノズル吐出制御演算部70等といった各種の機能演算部を有する。
(吐出方法)
次に、上述した液滴吐出装置1を使って、基板7に描画する吐出方法について図4〜図9にて説明する。図4は、基板に液滴を吐出して塗布する製造工程を示すフローチャートである。図5〜図9は、液滴吐出装置を使った吐出方法を説明する図である。
ステップS1は、吐出条件設定工程に相当し、吐出量を測定するときに駆動するノズル群順序としての液滴吐出ヘッドの順番、暖機駆動時間、吐出時間及び非吐出時間等の条件を設定する工程である。次にステップS2に移行する。ステップS2は、移動工程に相当し、重量測定装置と対向する場所に液滴吐出ヘッドを移動する工程である。次にステップS3に移行する。ステップS3は、暖機駆動工程に相当し、ノズルから液滴が吐出しない程度に圧電素子を駆動する工程である。次にステップS4に移行する。ステップS4は測定用吐出工程に相当し、ノズルから重量測定装置の受け皿へ所定の回数の吐出を行う工程である。次にステップS5に移行する。ステップS5は、測定工程に相当し、重量測定装置の受け皿の重量を計測する。そして、吐出1回当りの吐出量を演算する工程である。
ステップS6は、総ての吐出ヘッドの吐出量を測定したか、を判断する工程に相当し、第1液滴吐出ヘッド〜第12液滴吐出ヘッドの総てのヘッドにおける吐出量を測定したかを判断する工程である。吐出量を測定していない吐出ヘッドがあるとき(NOのとき)、ステップS2に移行する。ステップS6において、総ての吐出ヘッドの吐出量を測定したとき(YESのとき)、ステップS7に移行する。ステップS2〜ステップS6のステップによりステップS11の吐出量測定工程が構成される。
ステップS7は、吐出量調整工程に相当し、ノズルから吐出する吐出量を調整する工程である。次にステップS8に移行する。ステップS8は、塗布工程に相当し、基板に液滴を吐出して塗布する工程である。以上で、基板に塗布する製造工程を終了する。
次に、図5〜図9を用いて、図4に示したステップと対応させて、液滴吐出ヘッドから吐出する吐出量を精度良く測定して、ワークに塗布する製造方法を詳細に説明する。
図5〜図8は、ステップS1に対応する図であり、図5(a)は、ノズルプレートの温度を測定する方法を説明するための図である。図5(a)に示すように、赤外線放射温度計74を用いて、ノズル31付近の温度であるノズル温度を計測する。重量測定装置20の横には、エリアセンサを備えた赤外線カメラ75が配置され、赤外線カメラ75は、配列されているノズル31を撮像可能となっている。赤外線カメラ75には、温度分析装置76が電気的に接続され、赤外線カメラ75及び温度分析装置76などにより赤外線放射温度計74が構成されている。赤外線カメラ75は、ノズルプレート30が発光する赤外線を受光し、電気信号に変換して、温度分析装置76に出力する。温度分析装置76は、赤外線カメラ75が受光する光エネルギを温度に変換する。従って、ノズルプレート30の各ノズル31の周囲における温度をノズル温度として計測可能となっている。
続いて、ノズル31から液滴44を重量測定装置20に向けて、吐出する。重量測定装置20は、電子天秤77を備え、電子天秤77の上には受け皿78が配置され、受け皿78の中には、スポンジ状の受容体79が格納されている。ノズル31から吐出される液滴44が受容体79に着弾するとき、液滴44は、受容体79に吸収され、液滴44の一部が受け皿78の外へ飛び出さないようになっている。また、液滴44が揮発性のある液体を含んでいるとき、液滴44が、受容体79に染み込むことにより、液滴44が外気と接触しにくくなり、揮発しにくくなっている。1回のステップで吐出する吐出回数は、赤外線放射温度計74の応答性を鑑みて設定するのが好ましく、本実施形態では、例えば、100回を採用している。従って、ステップS11を10回繰り返すとき、ノズル31から1000回吐出することとなる。
図5(b)は、連続して吐出するときのノズル温度と吐出量との関係を示すグラフである。図において、横軸は、ノズル温度80の変化を示し、右側が左側より高い温度となっている。縦軸は、吐出量81の変化を示し、上側が下側より大きい量となっている。そして、第1機能液を吐出する場合に、ノズル温度80が変化するときの、吐出量81の変化を第1吐出量温度相関線82aに示す。同様に、第2機能液を吐出する場合を、第2吐出量温度相関線82bに示し、第3機能液を吐出する場合を、第3吐出量温度相関線82cに示す。
この第1機能液〜第3機能液は、例えば、カラーフィルタを製造する場合は、赤インク、青インク、緑インクが該当する。他に、配線を形成する場合は、溶剤に分散する金属粉末濃度の異なる機能液が該当する。他に液晶表示装置を製造するときに、複数の異なる機能液を吐出する場合が該当する。この機能液には、液晶を含有する液、配向膜の材料を含有する液、配線を形成する材料を含有する液などが該当する。
第1機能液〜第3機能液供に、ノズル温度80が低いときに比べて、ノズル温度80が高いときに、吐出量81が大きくなる。機能液は、溶媒に溶質が溶解もしくは、分散している状態となっている。そして、溶媒及び溶質の温度が高くなるとき、溶媒及び溶質を構成する分子が振動する振幅が大きくなるので、溶質の流動性が高くなる。従って、ノズル温度80が高くなるとき、機能液の粘度が低くなる。そして、機能液が液滴吐出ヘッド14の流路やノズル31を通過するとき、機能液の流体抵抗が低くなるので、機能液が吐出し易くなる。その結果、吐出量81が大きくなる。
このとき、第1機能液〜第3機能液において、機能液の粘度と温度との関係は各々異なるので、吐出量81は、第1機能液〜第3機能液毎に異なっている。
図6(a)及び図6(b)は液滴吐出ヘッドの駆動波形を説明するタイムチャートである。図6(a)は、液滴吐出ヘッド14から液滴44を連続吐出するときの一例であり、ヘッド駆動回路36が、圧電素子43を駆動する吐出駆動波形83を3個分表示している。図の横軸は時間84の経過を示し、縦軸は、駆動電圧85の変化を示す。吐出駆動波形83は、略台形の波形形状をしており、吐出時の駆動電圧のピーク値である吐出電圧86及び吐出パルス幅87は、所定の電圧及び時間に設定されている。そして、吐出駆動波形83の周期である吐出波形周期88も、所定の時間間隔に形成されている。吐出電圧86、吐出パルス幅87及び吐出波形周期88は、圧電素子43や振動板42の動特性に合わせて設定する必要がある。従って、実際に吐出する予備試験を実施して、最適な吐出条件を導くことが望ましい。
図6(b)は、滴吐出ヘッド14から液滴44を吐出せずに駆動することにより、暖機駆動するときの一例である非吐出駆動波形89を3個分表示している。非吐出駆動波形89は、略台形の波形形状をしており、非吐出時の駆動電圧のピーク値である非吐出電圧90は、液滴44を吐出しない範囲で、圧電素子43を大きく振動させる方が良い。本実施形態において、例えば、非吐出電圧90は、吐出電圧86の約3分の1程度の電圧を採用している。非吐出時のパルス幅である非吐出パルス幅91は、吐出パルス幅87と同じ値を採用している。そして、非吐出駆動波形89の波形周期である非吐出波形周期92は、圧電素子43が振動する間隔に設定する。非吐出波形周期92は、本実施形態では、例えば、吐出波形周期88と同一の時間間隔を採用している。
図6(c)は、液滴吐出ヘッドを連続して駆動するときの時間とノズル温度との関係を示すグラフである。図6(c)において、横軸は、液滴吐出ヘッドを駆動する時間84の経過を示し、縦軸は、ノズル温度80の変化を示す。ノズル31から液滴44を連続して吐出するときにおける、時間84の経過に対するノズル温度80の推移を吐出ノズル温度曲線93に示す。吐出ノズル温度曲線93において、吐出を開始するときの吐出開始点93aにおける吐出ノズル温度曲線93は、時間84の経過に伴いノズル温度80が上昇する。温度上昇域93bの間では、時間84の経過に伴いノズル温度80が上昇する。
そして、時間84が経過しても、ノズル温度80が上昇しない温度平衡域93cになる。温度平衡域93cでは、ノズル31の近くにおいて、液滴吐出ヘッド14が放熱する熱エネルギと、吐出により発生する熱エネルギとが等しい平衡状態となる。ノズル温度80が上昇すると、ノズル温度80と、液滴吐出ヘッド14の周辺を取り囲む気体(以下、周辺気体と称す)との温度差が大きくなる。ノズル温度80と周辺気体の温度との差が大きい程、液滴吐出ヘッド14から放熱する熱エネルギが大きくなる。従って、ノズル温度80が上昇せずに、あるノズル温度80で安定する。この温度を平衡ノズル温度94とする。
ノズル31から液滴44を吐出せずに、暖機駆動するときにおける、時間84の経過に対するノズル温度80の推移を非吐出ノズル温度曲線95に示す。非吐出ノズル温度曲線95においても、暖機吐出を開始するときの暖機開始点95aにおける非吐出ノズル温度曲線95は、時間84の経過に伴いノズル温度80が上昇する。そして、温度上昇域95bの間では、時間84の経過に伴いノズル温度80が上昇した後、平衡ノズル温度94に到達する。そして、時間84が経過しても、ノズル温度80が上昇しない温度平衡域95cとなる。
非吐出駆動波形89の非吐出電圧90は、吐出駆動波形83の吐出電圧86に比べて、低い電圧で、圧電素子43を駆動するため、液滴吐出ヘッド14に供給されるエネルギは小さい。従って、暖機駆動するときは、液滴44を吐出するときに比べて、液滴吐出ヘッド14が加熱されない。その結果、温度上昇域95bにおいて、非吐出ノズル温度曲線95は、吐出ノズル温度曲線93に比べて、緩やかにノズル温度80が上昇する。
そして、吐出駆動するときには、加熱された液滴44を吐出するので、吐出する液滴44により熱が奪われる。従って、吐出駆動するときは、供給されるエネルギが大きく、失うエネルギも大きくなっている。一方、非吐出駆動するときは、供給されるエネルギが吐出駆動するときに比べて小さく、失うエネルギも小さくなっている。その結果、ノズル温度80は平衡ノズル温度94と略同じ温度となっている。ただし、吐出駆動するときと、非吐出駆動するときの平衡ノズル温度94は、必ずしも同じになるとは、限らないので、実験により確認しておくのが、好ましい。
図7(a)は、第1液滴吐出ヘッドを駆動するときに、圧電素子を駆動する駆動電圧のタイムチャートである。横軸は時間84の経過を示し、縦軸は、駆動電圧85の変化を示している。図7(a)に示すように、時間84の経過において、第1非駆動区間96a、暖機駆動区間96b、第2非駆動区間96c、吐出駆動区間96d、第3非駆動区間96eの順に推移する。
第1非駆動区間96aは、液滴吐出ヘッド14を重量測定装置20と対向する場所に移動する時間と、暖機駆動するための準備を行う区間であり、この区間では、駆動電圧85は出力されない。
暖機駆動区間96bは、暖機駆動する区間であり、非吐出駆動波形89の駆動信号が圧電素子43に出力される。そして、液滴44が吐出しない程度に圧電素子43が、振動板42を振動させる区間である。
第2非駆動区間96cは、暖機駆動から吐出する駆動に切り換えるための準備区間であり、回路における動作の変更指示が行われる。従って、この区間では、駆動電圧85は出力されない。
吐出駆動区間96dは、吐出駆動波形83の駆動信号が圧電素子43に出力される。そして、ノズル31から液滴44を重量測定装置20の受け皿78に吐出する区間である。
第3非駆動区間96eは、吐出を終了した後、液滴吐出ヘッド14を重量測定装置20と対向する場所から移動する区間であり、この区間では、駆動電圧85は出力されない。
図7(b)は、第1液滴吐出ヘッドにおけるノズル温度の変化を示すタイムチャートである。横軸は時間84の経過を示し、縦軸は、ノズル温度80の変化を示す。そして、ノズル温度推移線97は、時間84の推移に対する第1液滴吐出ヘッド14aにおけるノズル温度80の変化を示している。
図7(b)に示すように、第1非駆動区間96aでは、ノズル温度80が一定の温度97aで推移する。そして、暖機駆動区間96bにおいて、暖機駆動することにより、圧電素子43及び振動板42が振動して、エネルギの一部が熱に変換されて、ノズル温度80が上昇する。
ヘッド駆動回路36が圧電素子43に電圧をかけるとき、ヘッド駆動回路36が発熱する。発熱するヘッド駆動回路36の熱の一部が、放射されて、液滴吐出ヘッド14を加熱する。さらに、ヘッド駆動回路36と液滴吐出ヘッド14とは、近い場所に配置されるので、暖機駆動する液滴吐出ヘッド14は、ヘッド駆動回路36に加熱されて、ノズル温度80が上昇する。
第2非駆動区間96cにおいて、液滴吐出ヘッド14は、周辺気体と接触することにより熱を奪われて放熱する。従って、ノズル温度80が低下する。
吐出駆動区間96dでは、液滴44を吐出するために、圧電素子43及び振動板42が振動して、エネルギの一部が熱に変換されて、ノズル温度80が上昇する。さらに、ヘッド駆動回路36に加熱されて、ノズル温度80が上昇する。そして、温度上昇時間97bの間、ノズル温度80が上昇して、平衡ノズル温度94になった後、同じノズル温度80で推移する。
第3非駆動区間96eでは、第2非駆動区間96cと同様に、放熱するので、徐々にノズル温度80が低下する。
図7(c)は、第1液滴吐出ヘッドにおける吐出量の変化を示すタイムチャートである。横軸は時間84の経過を示し、縦軸は、吐出量81の変化を示す。そして、吐出量推移線98は、時間84の推移に対する吐出量81の変化を示している。図7(c)に示すように、吐出量推移線98は、吐出駆動区間96dにおいて、ノズル温度推移線97と連動して推移する。
ノズル温度80が高い程、機能液41の流体抵抗が少なくなるため、吐出量81が大きくなる。従って、吐出量増加時間98aの間では、ノズル温度80が上昇するので、吐出量81が増加する。
図7(d)は、第3液滴吐出ヘッドにおけるノズル温度の変化を示すタイムチャートであり、図7(e)は、第5液滴吐出ヘッドにおけるノズル温度の変化を示すタイムチャートである。横軸は時間84の経過を示し、縦軸は、ノズル温度80の変化を示す。そして、ノズル温度推移線99は、時間84の推移に対する第3液滴吐出ヘッド14cにおけるノズル温度80の変化を示している。同様に、ノズル温度推移線100は、時間84の推移に対する第5液滴吐出ヘッド14eにおけるノズル温度80の変化を示している。このとき、第3液滴吐出ヘッド14c及び、第5液滴吐出ヘッド14eにおいて、圧電素子43は駆動していない状態と示している。
第3液滴吐出ヘッド14cは、第1液滴吐出ヘッド14aの隣に位置することから、第1液滴吐出ヘッド14aの影響を受け易くなっている。そして、ノズル温度推移線99は、ノズル温度推移線97の温度変化の影響を受けて、変化する。
第5液滴吐出ヘッド14eは、第3液滴吐出ヘッド14cの隣に位置している。第5液滴吐出ヘッド14eは、第3液滴吐出ヘッド14cに比べて、第1液滴吐出ヘッド14aから離れているので、第1液滴吐出ヘッド14aの温度の影響を受け難くなっている。従って、ノズル温度推移線100は、ノズル温度推移線99に比べて温度変化が少なく推移する。
図7(f)は、第3液滴吐出ヘッドにおけるノズル温度の変化を示すタイムチャートである。そして、ノズル温度推移線101は、第1液滴吐出ヘッド14aのノズル31から液滴44を吐出した後、第3液滴吐出ヘッド14cのノズル31から液滴44を吐出するときの、ノズル温度80の変化を示す。
第1非駆動区間96aにおける温度101aは、ノズル温度推移線97の温度97aより、高い温度となっている。なぜなら、第1液滴吐出ヘッド14aを駆動するときに発熱して放熱する影響を受けて、第3液滴吐出ヘッド14cの温度が上昇しているからである。そして、第3液滴吐出ヘッド14cの温度は、常温まで下降していない状態となっている。
次に、暖機駆動区間96bにおいて、ノズル温度推移線101は上昇した後、第2非駆動区間96cにおいて、ノズル温度推移線101は下降する。このとき、ノズル温度推移線101は、ノズル温度推移線97より高い温度で推移する。
吐出駆動区間96dにおいて、液滴44を吐出するとき、ノズル温度推移線101は上昇して、平衡ノズル温度94に到達する。このとき、ノズル温度推移線101は、ノズル温度推移線97より高いノズル温度80で推移していることから、平衡ノズル温度94に到達する温度上昇時間101bは、温度上昇時間97bより短い時間となる。
ノズル温度80が高い程、流体抵抗が少なくなり吐出量81が大きくなる。そして、温度上昇時間101bが温度上昇時間97bより短いことから、第1液滴吐出ヘッド14aより、第3液滴吐出ヘッド14cから吐出する吐出量81が大きくなる。
つまり、第1液滴吐出ヘッド14a〜第12液滴吐出ヘッド14lのうち、1個の液滴吐出ヘッド14を駆動するとき、駆動していない液滴吐出ヘッド14も温度の影響を受ける。そして、温度の影響を受けた液滴吐出ヘッド14が液滴44を吐出するとき、吐出量81が変化することとなる。
図8は、液滴吐出ヘッドの吐出量を測定するときに、圧電素子を駆動する駆動電圧のタイムチャートであり、第1液滴吐出ヘッド14a〜第12液滴吐出ヘッド14lの駆動波形を示す。横軸は、時間84の経過を示し、縦軸は、駆動電圧85の変化を示している。各液滴吐出ヘッドの波形は、図7(a)に示す波形と同様に、非吐出駆動波形89と吐出駆動波形83により構成されている。
図8に示すように、第1液滴吐出ヘッド14aと第2液滴吐出ヘッド14bとが同時に、並行して駆動され、第3液滴吐出ヘッド14cと第4液滴吐出ヘッド14dとが同時に、並行して駆動されるように設定する。同様に、第5液滴吐出ヘッド14eと第6液滴吐出ヘッド14f、第7液滴吐出ヘッド14gと第8液滴吐出ヘッド14h、第9液滴吐出ヘッド14iと第10液滴吐出ヘッド14j、第11液滴吐出ヘッド14kと第12液滴吐出ヘッド14l、の各1対の液滴吐出ヘッド14が同時に、並行して駆動され、この順番で駆動されるように設定する。つまり、ノズル群としての液滴吐出ヘッド14から液滴44を吐出する順序であるノズル群順序を設定する。
次に、液滴吐出ヘッド14毎に暖機駆動する時間である暖機駆動時間102と、暖機駆動した後、液滴44を吐出するまでの暖機停止時間103とを設定する。暖機駆動時間102と暖機停止時間103とは、吐出する液滴吐出ヘッド14による熱の影響を配慮して、液滴吐出ヘッド14毎に異なる時間を設定しても良い。又、暖機駆動時間102と暖機停止時間103とは、総ての液滴吐出ヘッド14において、同じ時間に設定して、吐出量81の測定値を補正しても良い。本実施形態においては、例えば、暖機駆動時間102と暖機停止時間103とは、総ての液滴吐出ヘッド14において、同じ時間に設定する方法を採用している。
次に、液滴吐出ヘッド14毎に液滴44を吐出する時間である吐出時間104と、吐出した後、次に吐出する順番の液滴吐出ヘッド14から、液滴44を吐出するまでの時間である非吐出時間105とを設定する。非吐出時間105は、液滴吐出ヘッド14の移動にかかる時間、吐出量の計測にかかる時間、暖機駆動時間102、暖機停止時間103等の時間を含むように設定される。尚、吐出時間104と非吐出時間105とは、吐出する液滴吐出ヘッド14による熱の影響を配慮して、液滴吐出ヘッド14毎に異なる時間を設定しても良い。又、吐出時間104と非吐出時間105とは、総ての液滴吐出ヘッド14において、同じ時間に設定して、吐出量81の測定値を補正しても良い。本実施形態においては、例えば、吐出時間104と非吐出時間105とは、総ての液滴吐出ヘッド14において、同じ時間に設定する方法を採用している。
図9(a)はステップS2に対応する図である。図9(a)に示すように、保守ステージ16とキャリッジ12とを移動することにより、第1液滴吐出ヘッド14a及び第2液滴吐出ヘッド14bと対向する場所に重量測定装置20が位置するようにする。
図9(b)はステップS3に対応する図である。図9(b)に示すように、第1液滴吐出ヘッド14a及び第2液滴吐出ヘッド14bの圧電素子43に非吐出駆動波形89の電圧を印加することにより、圧電素子43を駆動する。そして、第1液滴吐出ヘッド14a及び第2液滴吐出ヘッド14bは、圧電素子43が駆動するときに発生する熱と、ヘッド駆動回路36が発生する熱により加熱される。
図9(c)はステップS4に対応する図である。図9(c)に示すように、第1液滴吐出ヘッド14a及び第2液滴吐出ヘッド14bの圧電素子43に吐出駆動波形83の電圧を印加することにより、圧電素子43を駆動する。そして、ノズル31から重量測定装置20に液滴44が吐出される。
ステップS5において、重量測定装置20は、吐出された液滴44の重量を測定する。重量測定装置20は、ステップS4にて、液滴44が吐出される前の受容体79の重量である吐出前重量と、液滴44が吐出された後の受容体79の重量である吐出後重量とを測定する。そして、その吐出後重量から吐出前重量を引いた差分を演算することにより吐出した液滴44の重量を測定する。次に、測定した液滴44の重量を、吐出した回数で除算することにより、1回の吐出によって吐出される液滴44の吐出量を算出する。
続いて、第3液滴吐出ヘッド14c及び第4液滴吐出ヘッド14dを重量測定装置20と対向する場所に移動して、同様に吐出量の測定を行う。さらに、同じく、第5液滴吐出ヘッド14e〜第12液滴吐出ヘッド14lの吐出量の測定を行う。このとき、ステップS1にて設定した、図8に示すタイムチャートに沿って、ステップS11を行う。従って、吐出する液滴吐出ヘッド14の順番、駆動時間、吐出時間104、非吐出時間105が、予め設定された順番で、予め設定された時間間隔にて、行われる。
次に、ステップS7において、吐出量の調整を行う。この工程では、相関表を用いて調整を行う。この相関表は、ステップS11における測定条件にて測定する吐出量と、ステップS8にて、基板7に吐出するときの吐出量との相関を示す表である。そして、この相関表は、上記に記載したステップとは、異なるステップにて調査することにより設定した表である。そして、ステップS11にて測定した吐出量の測定値と相関表とを用いて、ステップS8にて吐出するときの吐出量を推定し、推定した吐出量を推定吐出量とする。次に、ステップS8にて目標とする吐出量である目標吐出量と推定吐出量とを比較する。そして、推定吐出量が、目標吐出量より小さいとき、吐出駆動波形83の電圧振幅を大きくする。一方、推定吐出量が、目標吐出量より大きいとき、吐出駆動波形83の電圧振幅を小さくする。
吐出量の調整を液滴吐出ヘッド14毎に行い、各液滴吐出ヘッド14の吐出量を目標吐出量に近づける。総ての液滴吐出ヘッド14における吐出量を調整して、ステップS7を終了する。
図9(d)はステップS8に対応する図である。図9(d)に示すように、キャリッジ12及びステージ4を移動して、液滴吐出ヘッド14と基板7とが対向するように、液滴吐出ヘッド14と基板7とを移動する。次に、所定の描画パターンに基づいて、液滴44を吐出して、基板7に塗布する。予定した描画パターンの総てを塗布してステップS8を終了し、基板に液滴を吐出して塗布する製造工程を終了する。
上述したように、本実施形態によれば、以下の効果を有する。
(1)本実施形態によれば、ステップS1の吐出条件設定工程において、液滴吐出ヘッド14の吐出順序、吐出時間104、非吐出時間105を設定する。そして、ステップS4の測定用吐出工程では、設定された液滴吐出ヘッド14の吐出順序、吐出時間104、非吐出時間105の条件に従って、吐出を行っている。
複数の液滴吐出ヘッド14を備え、この複数の液滴吐出ヘッド14において、順番に吐出するとき、吐出しない液滴吐出ヘッド14は、吐出する液滴吐出ヘッド14の発熱の影響を受ける。
そして、吐出している液滴吐出ヘッド14に近い場所の液滴吐出ヘッド14は、伝熱により加熱されることから、液滴吐出ヘッド14の位置関係の影響を受ける。熱伝導し易い場所のノズル群が連続して吐出するときと、熱伝導し難い場所のノズル群が連続して吐出するときとでは、熱の影響を受ける度合いが異なるため、吐出するときの吐出量が異なる。従って、吐出量を測定するとき、吐出する順番が、毎回異なるときは、吐出する順番が、毎回同じときと比べて、吐出量の測定値における再現性が悪くなる。
この吐出量測定方法では、設定された液滴吐出ヘッド14の吐出順序、吐出時間104、非吐出時間105の条件に従って、吐出を行っている。従って、吐出するときに発熱する条件を略固定して測定する為、再現性良くノズル群のノズルから吐出される吐出量を測定することができる。その結果、精度良く吐出量を測定することができる。
(2)本実施形態によれば、非吐出時間105は、略同じ時間間隔に設定されている。非吐出時間の間に、ノズル31付近の熱は、大気中及び、ノズルプレート30を通じて放熱する。そして、ノズル31付近の温度が低下する。
非吐出時間105が、略同じ時間間隔に設定されることにより、低下するノズル31付近の温度変化量が略同じとなる。そして、温度の変化に伴い、機能液41における粘度の変化量が略同じとなる。従って、非吐出時間105が吐出量に与える影響を略同じにする為、ノズル群間の吐出量の測定誤差を少なくすることができる。その結果、精度良く吐出量を測定することができる。
(3)本実施形態によれば、測定用に吐出する前に、設定された暖機駆動時間102の間、暖機駆動を行う。そして、設定された暖機停止時間103の後、測定用に吐出する。吐出量を測定する場所へ液滴吐出ヘッド14を移動する間や、吐出せずに待機するとき、暖機駆動することにより、ノズル31付近の温度を上昇させている。そして、ノズル31付近の温度を、基板7に液滴44を吐出するときの温度に近い温度にして、吐出量を測定することができる。
このとき、暖機駆動時間102と、暖機停止時間103とを設定し、測定する毎に、設定した暖機駆動時間102の間、暖機駆動して、設定された暖機停止時間103の間、暖機駆動を停止することにより、加熱と冷却の時間を制御している。従って、ノズル31付近の温度が制御される為、再現性良く液滴吐出ヘッド14のノズル31から吐出される液滴44の吐出量を測定することができる。その結果、精度良く吐出量を測定することができる。
(4)本実施形態によれば、ノズル31から液滴44が吐出されない程度に暖機駆動している。従って、液滴44が無駄に吐出されない為、省資源に暖機駆動して、吐出量を測定することができる。
(5)本実施形態によれば、複数の液滴吐出ヘッド14において、並行して、2つの液滴吐出ヘッド14におけるノズル31から、液滴を吐出している。従って、1回に1つの液滴吐出ヘッド14から吐出する場合に比べて、少ない回数で、測定する予定の総ての液滴吐出ヘッド14から吐出することができる。その結果、生産性良く、液滴吐出ヘッド14から液滴を吐出して、吐出量を測定することができる。
(6)本実施形態によれば、ステップS11にて、吐出量を測定した後、ステップS7にて、吐出量を調整することにより、吐出量を所望の吐出量にして、ワークに吐出している。従って、精度良く測定した吐出量の測定値を基に、吐出量を調整する為、基板7に吐出する吐出量は、精度良く調整された吐出量の吐出をすることができる。その結果、吐出量を精度良く基板7に吐出することができる。
(第2の実施形態)
次に、本発明の吐出方法を応用して液晶表示装置を製造する一実施形態について図10を用いて説明する。
まず、カラーフィルタを備えた電気光学装置の一つである液晶表示装置について説明する。図10は、液晶表示装置の構造を示す概略分解斜視図である。
図10に示すように、電気光学装置としての液晶表示装置110は、透過型の液晶表示パネル111と、液晶表示パネル111を照明する照明装置113とを備えている。液晶表示パネル111は、液晶112を第1基板としての素子基板114と第2基板としての対向基板115とで挟持して配置されている。そして、素子基板114における下側の表面には、下偏光板116が配置され、対向基板115における上側の表面には、上偏光板117が配置される。
素子基板114は、光透過性のある材料からなる基板118を備え、基板118の上側には、絶縁膜119が形成されている。絶縁膜119上には、マトリクス状に電極としての画素電極120が形成され、各画素電極120には、スイッチング機能を有する半導体としてのTFT(Thin Film Transistor)素子121が形成されている。そして、TFT素子121のドレイン端子に画素電極120が接続されている。
各画素電極120及びTFT素子121を囲んで、格子状に、配線としての走査線122及び配線としてのデータ線123が形成されている。そして、走査線122は、TFT素子121のゲート端子と接続され、データ線123は、TFT素子121のソース端子と接続されている。
そして、画素電極120、TFT素子121、走査線122、データ線123などからなる素子層124の液晶112側には、配向膜125が形成されている。
対向基板115は、光透過性のある材料からなる基板127を備えている。基板127の下側には、遮光性を有する材料からなる下層バンク128が格子状に形成され、下層バンク128の下側には、有機化合物などからなる上層バンク129が形成されている。そして、下層バンク128及び上層バンク129により隔壁部130が構成されている。
隔壁部130によってマトリクス状に区画された凹部には、着色層131として、赤(R)、緑(G)、青(B)のカラーフィルタ131R,131G,131Bが形成されている。そして、隔壁部130とカラーフィルタ131R,131G,131Bとを覆う平坦化層としてのオーバーコート層132が形成されている。このオーバーコート層132を覆うようにITO(Indium Tin Oxide)などの透明導電膜からなる電極としての対向電極133が形成されている。さらに、対向電極133の液晶112側には、配向膜134が形成されている。配向膜134と配向膜125とには、溝状の凹凸が配列して形成され、液晶112が凹凸に沿って配列して形成されている。
液晶112は、該液晶112を挟持する画素電極120と対向電極133とに電圧を印加すると液晶112の傾き角度が変化する性質を持っており、TFT素子121のスイッチング動作により、液晶112にかける電圧をコントロールして液晶112の傾き角度を制御し、画素毎に光を透過させたり遮ったりする動作を行う。尚、光が液晶112により遮られた画素には当然光は入射しないため、黒色となる。このようにTFTのスイッチング動作により、液晶112をシャッタとして動作させることにより、画素毎に光の透過をコントロールし、画素を明滅させることにより、映像を表示させることができる。
画素電極120は、TFT素子121のドレイン端子に電気的に接続されており、TFTを一定期間だけオン状態とすることにより、データ線123から供給される画素信号が各画素電極120に所定のタイミングで供給される。このようにして画素電極120に供給された所定レベルの画素信号の電圧レベルは、対向基板115の対向電極133と画素電極120との間で保持され、画素信号の電圧レベルに応じて、液晶112の光透過量が変化する。
照明装置113は、光源を備え、この光源からの光を液晶表示パネル111に向かって出射することができる導光板や拡散板、反射板等を備えている。光源には、白色のLED、EL、冷陰極管等を用いることが可能であり、本実施形態においては、冷陰極管を採用している。
尚、下偏光板116及び、上偏光板117は、視角依存性を改善する目的等で用いられる位相差フィルムなどの光学機能性フィルムと組み合わされたものでもよい。液晶表示パネル111は、アクティブ素子としてTFT素子に限らずTFD(Thin Film Diode)素子を有したものでもよく、画素を構成する電極が互いに交差するように配置されるパッシブ型の液晶表示装置でもよい。
対向基板115のカラーフィルタ131R,131G,131Bを形成する工程において、第1の実施形態における吐出方法を用いる。具体的には、基板127に下層バンク128及び上層バンク129を形成して、隔壁部130を形成する。隔壁部130の形成方法は、公知であり、説明を省略する。そして、カラーフィルタ131R,131G,131Bの材料を溶媒に溶解又は分散媒に分散することにより、各色のカラーインクを製造する。次に、液滴吐出装置1を用いて、このカラーインクを隔壁部130に囲まれた凹部に吐出して塗布する。
このとき、吐出条件設定工程にて、液滴吐出ヘッド14の吐出順序、暖機駆動時間102、暖機停止時間103、吐出時間104、非吐出時間105の条件を設定する。そして、測定用吐出工程では、設定された条件に従って吐出した後、吐出量を測定する。次に、吐出量調整工程にて、吐出量を調整した後、カラーインクの吐出を行って塗布する。その後、塗布されたカラーインクを加熱乾燥して固化することによりカラーフィルタ131R,131G,131Bを形成する。
さらに、対向基板115において、オーバーコート層132の下側に対向電極133を形成する工程において、第1の実施形態における吐出方法を用いる。具体的には、対向電極133の材料を溶媒に溶解又は分散媒に分散することにより、電極膜の材料液を製造する。次に、液滴吐出装置1を用いて、この電極膜の材料液をオーバーコート層132の表面に吐出して塗布する。
このとき、吐出条件設定工程にて、液滴吐出ヘッド14の吐出順序、暖機駆動時間102、暖機停止時間103、吐出時間104、非吐出時間105の条件を設定する。そして、測定用吐出工程では、設定された条件に従って吐出した後、吐出量を測定する。次に、吐出量調整工程にて、吐出量を調整した後、電極膜の材料液の吐出を行って塗布する。その後、塗布された電極膜の材料液を加熱乾燥して固化することにより対向電極133を形成する。
さらに、対向基板115において、対向電極133の下側に配向膜134を形成する工程において、第1の実施形態における吐出方法を用いる。具体的には、配向膜134の材料を溶媒に溶解又は分散媒に分散することにより、配向膜の材料液を製造する。次に、液滴吐出装置1を用いて、この配向膜の材料液を対向電極133の下側に吐出して塗布する。
このとき、吐出条件設定工程にて、液滴吐出ヘッド14の吐出順序、暖機駆動時間102、暖機停止時間103、吐出時間104、非吐出時間105の条件を設定する。そして、測定用吐出工程では、設定された条件に従って吐出した後、吐出量を測定する。次に、吐出量調整工程にて、吐出量を調整した後、配向膜の材料液の吐出を行って塗布する。その後、塗布された配向膜の材料液を加熱乾燥して固化することにより配向膜134を形成する。
さらに、素子基板114の素子層124に走査線122及びデータ線123の配線を形成する工程において、第1の実施形態における吐出方法を用いる。具体的には、絶縁膜でバンクを形成して、配線を形成する場所が凹部となるようにする。そして、配線の材料を溶媒に溶解又は分散媒に分散することにより、配線の材料液を製造する。次に、液滴吐出装置1を用いて、この配線の材料液をバンクの間に形成された凹部に吐出して塗布する。
このとき、吐出条件設定工程にて、液滴吐出ヘッド14の吐出順序、暖機駆動時間102、暖機停止時間103、吐出時間104、非吐出時間105の条件を設定する。そして、測定用吐出工程では、設定された条件に従って吐出した後、吐出量を測定する。次に、吐出量調整工程にて、吐出量を調整した後、配線の材料液の吐出を行って塗布する。その後、塗布された配線の材料液を加熱乾燥して固化することにより走査線122及びデータ線123を形成する。
さらに、素子基板114において、素子層124にTFT素子121を形成する工程において、第1の実施形態における吐出方法を用いる。具体的には、絶縁膜でバンクを形成して、TFT素子121を形成する場所が凹部となるようにする。そして、シリコン等のTFT素子の材料を溶媒に溶解又は分散媒に分散することにより、TFT素子の材料液を製造する。次に、液滴吐出装置1を用いて、このTFT素子の材料液をバンクの間に形成された凹部に吐出して塗布する。
このとき、吐出条件設定工程にて、液滴吐出ヘッド14の吐出順序、暖機駆動時間102、暖機停止時間103、吐出時間104、非吐出時間105の条件を設定する。そして、測定用吐出工程では、設定された条件に従って吐出した後、吐出量を測定する。次に、吐出量調整工程にて、吐出量を調整した後、TFT素子の材料液の吐出を行って塗布する。その後、TFT素子の材料液を加熱乾燥して固化し、結晶化する。その後、イオンドープした後、絶縁膜及び端子を形成することにより、TFT素子121を形成する。
さらに、素子基板114において、素子層124の表面に画素電極120を形成する工程において、第1の実施形態における吐出方法を用いる。具体的には、画素電極120の材料を溶媒に溶解又は分散媒に分散することにより、電極膜の材料液を製造する。次に、液滴吐出装置1を用いて、この電極膜の材料液を素子層124の表面に吐出して塗布する。
このとき、吐出条件設定工程にて、液滴吐出ヘッド14の吐出順序、暖機駆動時間102、暖機停止時間103、吐出時間104、非吐出時間105の条件を設定する。そして、測定用吐出工程では、設定された条件に従って吐出した後、吐出量を測定する。次に、吐出量調整工程にて、吐出量を調整した後、電極膜の材料液の吐出を行って塗布する。その後、電極膜の材料液を加熱乾燥して固化することにより画素電極120を形成する。
さらに、素子基板114において、素子層124の上側に配向膜125を形成する工程において、第1の実施形態における吐出方法を用いる。具体的には、配向膜125の材料を溶媒に溶解又は分散媒に分散することにより、配向膜の材料液を製造する。次に、液滴吐出装置1を用いて、この配向膜の材料液を素子層124の上側に吐出して塗布する。
このとき、吐出条件設定工程にて、液滴吐出ヘッド14の吐出順序、暖機駆動時間102、暖機停止時間103、吐出時間104、非吐出時間105の条件を設定する。そして、測定用吐出工程では、設定された条件に従って吐出した後、吐出量を測定する。次に、吐出量調整工程にて、吐出量を調整した後、配向膜の材料液の吐出を行って塗布する。その後、塗布された配向膜の材料液を加熱乾燥して固化することにより配向膜125を形成する。
さらに、液晶112を素子基板114と対向基板115とで挟持させるために、素子基板114に液晶112を塗布する工程において、第1の実施形態における吐出方法を用いる。具体的には、液滴吐出装置1を用いて、この液晶の材料液を配向膜125の上側に吐出して塗布する。
このとき、吐出条件設定工程にて、液滴吐出ヘッド14の吐出順序、暖機駆動時間102、暖機停止時間103、吐出時間104、非吐出時間105の条件を設定する。そして、測定用吐出工程では、設定された条件に従って吐出した後、吐出量を測定する。次に、吐出量調整工程にて、吐出量を調整した後、液晶の材料液の吐出を行って塗布する。
上述したように、本実施形態によれば、以下の効果を有する。
(1)本実施形態によれば、カラーフィルタ131R,131G,131Bを製造する工程において、第1の実施形態における吐出方法を用いることにより、カラーインクの吐出量を精度良く吐出して塗布している。従って、カラーインクの塗布量を精度良く塗布されたカラーフィルタ131R,131G,131Bを製造することができる。
(2)本実施形態によれば、配向膜125,134を製造する工程において、第1の実施形態における吐出方法を用いることにより、配向膜の材料における吐出量を精度良く吐出して塗布している。従って、配向膜の材料における塗布量が精度良く塗布された配向膜125,134を製造することができる。
(3)本実施形態によれば、液晶を塗布する工程において、第1の実施形態における吐出方法を用いることにより、液晶の吐出量を精度良く吐出して塗布している。従って、液晶の塗布量が精度良く塗布された液晶表示装置110を製造することができる。
(4)本実施形態によれば、画素電極120及び対向電極133を製造する工程において、第1の実施形態における吐出方法を用いることにより、電極材料の吐出量を精度良く吐出して塗布している。従って、電極材料の塗布量が精度良く塗布された画素電極120及び対向電極133を製造することができる。
(5)本実施形態によれば、走査線122及びデータ線123を製造する工程において、第1の実施形態における吐出方法を用いることにより、配線材料の吐出量を精度良く吐出して塗布している。従って、配線材料の塗布量が精度良く塗布された走査線122及びデータ線123を製造することができる。
(6)本実施形態によれば、TFT素子121を製造する工程において、第1の実施形態における吐出方法を用いることにより、半導体材料の吐出量を精度良く吐出して塗布している。従って、半導体材料の塗布量が精度良く塗布されたTFT素子121を製造することができる。
(第3の実施形態)
次に、本発明の吐出方法を応用して有機EL装置を製造する一実施形態について図11を用いて説明する。
まず、電気光学装置の一つである有機EL装置について説明する。図11は、有機EL装置の構造を示す概略分解斜視図である。
図11に示すように、電気光学装置としての有機EL装置137は、基板138を備えている。基板138の上側には、絶縁膜139が形成されている。絶縁膜139上には、コンタクト電極140がマトリクス状に形成され、各コンタクト電極140と隣接する場所には、スイッチング機能を有する半導体としてのTFT素子141が形成されている。そして、TFT素子141のドレイン端子にコンタクト電極140が接続されている。
各コンタクト電極140及びTFT素子141を囲むように、配線としての走査線142及び配線としてのデータ線143が格子状に形成されている。そして、走査線142は、TFT素子141のゲート端子と接続され、データ線143は、TFT素子141のソース端子と接続されている。
そして、コンタクト電極140、TFT素子141、走査線142、データ線143などからなる素子層144が形成されている。素子層144の上側には、絶縁膜145が形成され、絶縁膜145の上側には、バンク146が格子状に形成されている。
バンク146により形成される凹状領域の各底部には、電極としての画素電極147が形成され、画素電極147は、コンタクト電極140と電気的に接続されている。画素電極147の上面には、発光素子としての正孔輸送層148が形成され、正孔輸送層148の上面には、発光素子としての発光層149R,149G,149Bが形成されている。そして、正孔輸送層148と発光層149R,149G,149Bとにより発光素子としての機能層150が形成されている。
発光層149Rは、赤色を発光する有機発光材料などにより構成された発光層であり、発光素子としての発光層149Gは、緑色を発光する有機発光材料などにより構成された発光層である。同様に、発光素子としての発光層149Bは、青色を発光する有機発光材料などにより構成された発光層である。
機能層150及びバンク146の上側全面に渡って、光透過性を有する導電性材料などからなる電極としての陰極151が形成されている。本実施形態においては、陰極151は、例えば、ITOを採用している。
陰極151の上面には、光透過性を有する材料などからなる封止膜152が形成され、陰極151及び機能層150が空気中の酸素により酸化されることを防止している。
画素電極147と陰極151との間に電圧を印加するとき、正孔輸送層148は、正孔のみを流動する。そして、発光層149R,149G,149Bは、正孔輸送層148から供給される正孔と陰極151から供給される電子とが、合体するときのエネルギにより、発光する性質を持っている。TFT素子141は、スイッチング動作を行い、機能層150にかける電圧をコントロールすることにより、発光層149R,149G,149Bが発光する光量を制御する。このように、発光層149R,149G,149Bが発光する光量を制御することにより、画素毎に光量をコントロールし、画素を明滅させることにより、映像を表示させることができる。
画素電極147は、TFT素子141のドレイン端子に電気的に接続されており、TFTを一定期間だけオン状態とすることにより、データ線143から供給される画素信号が各画素電極149に所定のタイミングで供給される。このようにして画素電極149に供給された所定レベルの画素信号の電圧レベルは、陰極151と画素電極147との間で保持され、画素信号の電圧レベルに応じて、発光層149R,149G,149Bが発光する光量が変化する。
素子層144に走査線142及びデータ線143の配線を形成する工程において、第1の実施形態における吐出方法を用いる。具体的には、絶縁膜でバンクを形成して、配線を形成する場所が凹部となるようにする。そして、配線の材料を溶媒に溶解又は分散媒に分散することにより、配線の材料液を製造する。次に、液滴吐出装置1を用いて、この配線の材料液をバンクの間に形成された凹部に吐出して塗布する。
このとき、吐出条件設定工程にて、液滴吐出ヘッド14の吐出順序、暖機駆動時間102、暖機停止時間103、吐出時間104、非吐出時間105の条件を設定する。そして、測定用吐出工程では、設定された条件に従って吐出した後、吐出量を測定する。次に、吐出量調整工程にて、吐出量を調整した後、配線の材料液の吐出を行って塗布する。その後、塗布された配線の材料液を加熱乾燥して固化することにより走査線142及びデータ線143を形成する。
さらに、素子層144にTFT素子141を形成する工程において、第1の実施形態における吐出方法を用いる。具体的には、絶縁膜でバンクを形成して、TFT素子141を形成する場所が凹部となるようにする。そして、シリコン等のTFT素子の材料を溶媒に溶解又は分散媒に分散することにより、TFT素子の材料液を製造する。次に、液滴吐出装置1を用いて、このTFT素子の材料液をバンクの間に形成された凹部に吐出して塗布する。
このとき、吐出条件設定工程にて、液滴吐出ヘッド14の吐出順序、暖機駆動時間102、暖機停止時間103、吐出時間104、非吐出時間105の条件を設定する。そして、測定用吐出工程では、設定された条件に従って吐出した後、吐出量を測定する。次に、吐出量調整工程にて、吐出量を調整した後、TFT素子の材料液の吐出を行って塗布する。その後、TFT素子の材料液を加熱乾燥して固化し、結晶化する。その後、イオンドープした後、絶縁膜及び端子を形成することにより、TFT素子141を形成する。
さらに、絶縁膜145の表面に画素電極147を形成する工程において、第1の実施形態における吐出方法を用いる。具体的には、画素電極147の材料を溶媒に溶解又は分散媒に分散することにより、電極膜の材料液を製造する。次に、液滴吐出装置1を用いて、この電極膜の材料液を絶縁膜145の表面に吐出して塗布する。
このとき、吐出条件設定工程にて、液滴吐出ヘッド14の吐出順序、暖機駆動時間102、暖機停止時間103、吐出時間104、非吐出時間105の条件を設定する。そして、測定用吐出工程では、設定された条件に従って吐出した後、吐出量を測定する。次に、吐出量調整工程にて、吐出量を調整した後、電極膜の材料液の吐出を行って塗布する。その後、電極膜の材料液を加熱乾燥して固化することにより画素電極147を形成する。
さらに、画素電極147の表面に正孔輸送層148を形成する工程において、第1の実施形態における吐出方法を用いる。具体的には、発光素子形成材料としての正孔輸送層148の材料を溶媒に溶解又は分散媒に分散することにより、正孔輸送層の材料液を製造する。次に、液滴吐出装置1を用いて、この正孔輸送層の材料液を画素電極147の表面に吐出して塗布する。
このとき、吐出条件設定工程にて、液滴吐出ヘッド14の吐出順序、暖機駆動時間102、暖機停止時間103、吐出時間104、非吐出時間105の条件を設定する。そして、測定用吐出工程では、設定された条件に従って吐出した後、吐出量を測定する。次に、吐出量調整工程にて、吐出量を調整した後、正孔輸送層の材料液の吐出を行って塗布する。その後、正孔輸送層の材料液を加熱乾燥して固化することにより正孔輸送層148を形成する。
さらに、正孔輸送層148の表面に発光層149R,149G,149Bを形成する工程において、第1の実施形態における吐出方法を用いる。具体的には、発光素子形成材料としての発光層149R,149G,149Bの材料を溶媒に溶解又は分散媒に分散することにより、発光層の材料液を製造する。次に、液滴吐出装置1を用いて、この発光層の材料液を正孔輸送層148の表面に吐出して塗布する。
このとき、吐出条件設定工程にて、液滴吐出ヘッド14の吐出順序、暖機駆動時間102、暖機停止時間103、吐出時間104、非吐出時間105の条件を設定する。そして、測定用吐出工程では、設定された条件に従って吐出した後、吐出量を測定する。次に、吐出量調整工程にて、吐出量を調整した後、発光層の材料液の吐出を行って塗布する。その後、発光層の材料液を加熱乾燥して固化することにより発光層149R,149G,149Bを形成する。
さらに、機能層150及びバンク146の上面に陰極151を形成する工程において、第1の実施形態における吐出方法を用いる。具体的には、陰極151の材料を溶媒に溶解又は分散媒に分散することにより、陰極の材料液を製造する。次に、液滴吐出装置1を用いて、この陰極の材料液を機能層150及びバンク146の上面に吐出して塗布する。
このとき、吐出条件設定工程にて、液滴吐出ヘッド14の吐出順序、暖機駆動時間102、暖機停止時間103、吐出時間104、非吐出時間105の条件を設定する。そして、測定用吐出工程では、設定された条件に従って吐出した後、吐出量を測定する。次に、吐出量調整工程にて、吐出量を調整した後、陰極の材料液の吐出を行って塗布する。その後、陰極の材料液を加熱乾燥して固化することにより陰極151を形成する。
上述したように、本実施形態によれば、以下の効果を有する。
(1)本実施形態によれば、走査線142及びデータ線143を製造する工程において、第1の実施形態における吐出方法を用いることにより、配線材料の吐出量を精度良く吐出して塗布している。従って、配線材料の塗布量が精度良く塗布された走査線142及びデータ線143を製造することができる。
(2)本実施形態によれば、TFT素子141を製造する工程において、第1の実施形態における吐出方法を用いることにより、半導体材料の吐出量を精度良く吐出して塗布している。従って、半導体材料の塗布量が精度良く塗布されたTFT素子141を製造することができる。
(3)本実施形態によれば、画素電極147及び陰極151を製造する工程において、第1の実施形態における吐出方法を用いることにより、電極材料の吐出量を精度良く吐出して塗布している。従って、電極材料の塗布量が精度良く塗布された画素電極147及び陰極151を製造することができる。
(4)本実施形態によれば、機能層150を製造する工程において、第1の実施形態における吐出方法を用いることにより、発光素子形成材料の吐出量を精度良く吐出して塗布している。従って、発光素子形成材料の塗布量が精度良く塗布された機能層150を製造することができる。
(第4の実施形態)
次に、本発明の吐出方法を応用して表面電界表示装置を製造する一実施形態について図12を用いて説明する。
まず、電気光学装置の一つである表面電界表示装置について説明する。図12は、表面電界表示装置の構造を示す概略分解斜視図である。
図12に示すように、電気光学装置としての表面電界表示装置153は、主に、素子基板154と対向基板155とから構成されている。そして、素子基板154は、基板156を備えている。基板156の上には、絶縁膜157が形成されている。絶縁膜157上には、対をなす略円状の電極としての電子放出素子158がマトリクス状に形成され、一方の電子放出素子158が機能しないとき、他の一方の電子放出素子158が動作するようになっている。各電子放出素子158の対を囲むように、配線としての走査線159及び配線としてのデータ線160の配線が格子状に形成されている。データ線160は1対が電子放出素子158の対の間に配置されている。
電子放出素子158は、中心を通る線で2分割されており、電子放出素子158の一方は、走査線159と接続されている。そして、電子放出素子158のもう一方は、データ線160と接続されている。この電子放出素子158、走査線159、データ線160などにより素子層161が構成されている。
対向基板155は、光透過性の材料からなる基板162を備えている。そして、基板162の下側には、光透過性の材料からなる電極としての陽極163が形成されている。陽極163の下面には、発光素子としてのカラー蛍光膜164が形成され、カラー蛍光膜164と陽極163とを覆うように保護膜165が形成されている。
素子基板154と対向基板155とが、図示しないスペーサを介して接合され、素子基板154と対向基板155との間は、脱気されて略真空状態となっている。
電極が2つに分割されている電子放出素子158において、2つの電極間に電圧を印加するとき、電極間の隙間が狭く形成されているので、2つの電極間に微小の電子が通過する。そして、電子放出素子158と陽極163との間に電圧を印加することにより、電場を形成するとき、2つの電極間を通過する電子に電磁力が作用することにより、電子が陽極163に移動する。
陽極163に向かって移動する電子の一部は、カラー蛍光膜164に衝突する。カラー蛍光膜164は、電子の衝突によるエネルギを光に変換するので、発光する。表面電界表示装置153は、図示しないデータ電圧駆動回路と走査電圧駆動回路とを備え、データ電圧駆動回路及び走査電圧駆動回路は、電子放出素子158に印加される電圧を制御する。電子放出素子158に印加される電圧とカラー蛍光膜164が発光する光量とは正の相関があるので、データ電圧駆動回路及び走査電圧駆動回路は、カラー蛍光膜164が発光する光量を制御可能となっている。
そして、データ電圧駆動回路及び走査電圧駆動回路は、画素毎に光量をコントロールし、画素を明滅させることにより、映像を表示させることができる。カラー蛍光膜164には、赤、青、緑の各光を発光する各色の蛍光膜が配置されており、データ電圧駆動回路及び走査電圧駆動回路は、発光する色を選択して制御することによりカラー画像を表示することが可能となっている。
素子層161に走査線159及びデータ線160の配線を形成する工程において、第1の実施形態における吐出方法を用いる。具体的には、絶縁膜でバンクを形成して、配線を形成する場所が凹部となるようにする。そして、配線の材料を溶媒に溶解又は分散媒に分散することにより、配線の材料液を製造する。次に、液滴吐出装置1を用いて、この配線の材料液をバンクの間に形成された凹部に吐出して塗布する。
このとき、吐出条件設定工程にて、液滴吐出ヘッド14の吐出順序、暖機駆動時間102、暖機停止時間103、吐出時間104、非吐出時間105の条件を設定する。そして、測定用吐出工程では、設定された条件に従って吐出した後、吐出量を測定する。次に、吐出量調整工程にて、吐出量を調整した後、配線の材料液の吐出を行って塗布する。その後、塗布された配線の材料液を加熱乾燥して固化することにより走査線159及びデータ線160を形成する。
さらに、素子層161に電子放出素子158を形成する工程において、第1の実施形態における吐出方法を用いる。具体的には、電子放出素子158における電極の材料を溶媒に溶解又は分散媒に分散することにより、電極膜の材料液を製造する。次に、液滴吐出装置1を用いて、この電極膜の材料液を絶縁膜157の表面に吐出して塗布する。
このとき、吐出条件設定工程にて、液滴吐出ヘッド14の吐出順序、暖機駆動時間102、暖機停止時間103、吐出時間104、非吐出時間105の条件を設定する。そして、測定用吐出工程では、設定された条件に従って吐出した後、吐出量を測定する。次に、吐出量調整工程にて、吐出量を調整した後、電極膜の材料液の吐出を行って塗布する。その後、電極膜の材料液を加熱乾燥して固化することにより電子放出素子158における電極を形成する。
さらに、基板162の表面に陽極163を形成する工程において、第1の実施形態における吐出方法を用いる。具体的には、陽極163における電極の材料を溶媒に溶解又は分散媒に分散することにより、電極膜の材料液を製造する。次に、液滴吐出装置1を用いて、この電極膜の材料液を基板162の表面に吐出して塗布する。
このとき、吐出条件設定工程にて、液滴吐出ヘッド14の吐出順序、暖機駆動時間102、暖機停止時間103、吐出時間104、非吐出時間105の条件を設定する。そして、測定用吐出工程では、設定された条件に従って吐出した後、吐出量を測定する。次に、吐出量調整工程にて、吐出量を調整した後、電極膜の材料液の吐出を行って塗布する。その後、電極膜の材料液を加熱乾燥して固化することにより陽極163を形成する。
さらに、陽極163の表面にカラー蛍光膜164を形成する工程において、第1の実施形態における吐出方法を用いる。具体的には、発光素子形成材料としてのカラー蛍光膜の材料を溶媒に溶解又は分散媒に分散することにより、カラー蛍光膜の材料液を製造する。次に、液滴吐出装置1を用いて、この電極膜の材料液を陽極163の表面に吐出して塗布する。
このとき、吐出条件設定工程にて、液滴吐出ヘッド14の吐出順序、暖機駆動時間102、暖機停止時間103、吐出時間104、非吐出時間105の条件を設定する。そして、測定用吐出工程では、設定された条件に従って吐出した後、吐出量を測定する。次に、吐出量調整工程にて、吐出量を調整した後、カラー蛍光膜の材料液の吐出を行って塗布する。その後、カラー蛍光膜の材料液を加熱乾燥して固化することによりカラー蛍光膜164を形成する。
上述したように、本実施形態によれば、以下の効果を有する。
(1)本実施形態によれば、走査線159及びデータ線160を製造する工程において、第1の実施形態における吐出方法を用いることにより、配線材料の吐出量を精度良く吐出して塗布している。従って、配線材料の塗布量が精度良く塗布された走査線159及びデータ線160を製造することができる。
(2)本実施形態によれば、電子放出素子158及び陽極163を製造する工程において、第1の実施形態における吐出方法を用いることにより、電極材料の吐出量を精度良く吐出して塗布している。従って、電極材料の塗布量が精度良く塗布された電子放出素子158及び陽極163を製造することができる。
(3)本実施形態によれば、カラー蛍光膜164を製造する工程において、第1の実施形態における吐出方法を用いることにより、カラー蛍光膜形成材料の吐出量を精度良く吐出して塗布している。従って、カラー蛍光膜形成材料の塗布量が精度良く塗布されたカラー蛍光膜164を製造することができる。
(第5の実施形態)
次に、本発明の吐出方法を応用してプラズマ表示装置を製造する一実施形態について図13を用いて説明する。
まず、電気光学装置の一つであるプラズマ表示装置について説明する。図13は、プラズマ表示装置の構造を示す概略分解斜視図である。
図13に示すように、電気光学装置としてのプラズマ表示装置168は、主に、背面板169と前面板170とから構成されている。背面板169は、基板171を備えている。基板171の上面には、絶縁膜172が形成され、絶縁膜172の上面には、電極としてのアドレス電極173と絶縁膜174とが縞状に形成されている。
そして、アドレス電極173及び絶縁膜174の上面には、誘電体層175が形成されている。誘電体層175の上面には、格子状のリブ176が形成され、リブ176により囲まれて形成される凹状領域の各底部に、蛍光体などにより形成された赤(R)、緑(G)、青(B)の発光素子としての発光層177R,177G,177Bが形成されている。そして、この発光層177R,177G,177Bは、アドレス電極173と対向する場所に形成されている。
前面板170は、光透過性の材料からなる基板178を備え、基板178の下面には、絶縁膜179が形成されている。そして、絶縁膜179の下面には、アドレス電極173が延在する方向と直交する方向に電極としてのバス電極180が形成されている。バス電極180と隣接して、発光層177R,177G,177Bと対向する場所には、光透過性の材料からなる矩形の電極としての維持電極181が形成され、バス電極180と維持電極181とが、電気的に接続されている。
維持電極181の下面には、誘電体層182が形成され、バス電極180の下面には、非光透過性の絶縁材料からなる絶縁膜183が形成されている。そして、背面板169と前面板170とが接合され、背面板169と前面板170との間は、脱気されて略真空状態にした後、キセノンガス等のガスが封入されている。
アドレス電極173と維持電極181との間にパルス電圧を印加するとき、誘電体層175と誘電体層182との間にプラズマが発生する。プラズマは、紫外線を発光し、発光した紫外線が発光層177R,177G,177Bに含まれる蛍光体を励起することにより赤、緑、青色の可視光が発光される。
プラズマ表示装置168は、アドレス電極173と維持電極181との間に印加されるパルス電圧を制御する駆動回路を、備えている。この駆動回路は、パルス電圧の電圧値とタイミングとを制御することにより、画素毎に発光する光量をコントロールし、画素を明滅させることにより、映像を表示させることができるようになっている。
背面板169の絶縁膜172の表面にアドレス電極173を形成する工程において、第1の実施形態における吐出方法を用いる。具体的には、絶縁膜172上にバンク状の絶縁膜174を形成する。次に、アドレス電極173の材料を溶媒に溶解又は分散媒に分散することにより、電極膜の材料液を製造する。次に、液滴吐出装置1を用いて、この電極膜の材料液を絶縁膜174により形成された凹部に吐出して塗布する。
このとき、吐出条件設定工程にて、液滴吐出ヘッド14の吐出順序、暖機駆動時間102、暖機停止時間103、吐出時間104、非吐出時間105の条件を設定する。そして、測定用吐出工程では、設定された条件に従って吐出した後、吐出量を測定する。次に、吐出量調整工程にて、吐出量を調整した後、電極膜の材料液の吐出を行って塗布する。その後、電極膜の材料液を加熱乾燥して固化することによりアドレス電極173を形成する。
前面板170の絶縁膜179の表面にバス電極180及び維持電極181を形成する工程において、第1の実施形態における吐出方法を用いる。具体的には、絶縁膜179上にバンク状の絶縁膜183を形成する。次に、バス電極180及び維持電極181の材料を溶媒に溶解又は分散媒に分散することにより、電極膜の材料液を製造する。次に、液滴吐出装置1を用いて、この電極膜の材料液を絶縁膜183により形成された凹部に吐出して塗布する。
このとき、吐出条件設定工程にて、液滴吐出ヘッド14の吐出順序、暖機駆動時間102、暖機停止時間103、吐出時間104、非吐出時間105の条件を設定する。そして、測定用吐出工程では、設定された条件に従って吐出した後、吐出量を測定する。次に、吐出量調整工程にて、吐出量を調整した後、電極膜の材料液の吐出を行って塗布する。その後、電極膜の材料液を加熱乾燥して固化することによりバス電極180及び維持電極181を形成する。
さらに、誘電体層175の表面に発光層177R,177G,177Bを形成する工程において、第1の実施形態における吐出方法を用いる。具体的には、発光素子形成材料としての発光層177R,177G,177Bの材料を溶媒に溶解又は分散媒に分散することにより、発光層の材料液を製造する。次に、液滴吐出装置1を用いて、この発光層の材料液を誘電体層175の表面に吐出して塗布する。
このとき、吐出条件設定工程にて、液滴吐出ヘッド14の吐出順序、暖機駆動時間102、暖機停止時間103、吐出時間104、非吐出時間105の条件を設定する。そして、測定用吐出工程では、設定された条件に従って吐出した後、吐出量を測定する。次に、吐出量調整工程にて、吐出量を調整した後、発光層の材料液の吐出を行って塗布する。その後、発光層の材料液を加熱乾燥して固化することにより発光層177R,177G,177Bを形成する。
上述したように、本実施形態によれば、以下の効果を有する。
(1)本実施形態によれば、アドレス電極173、バス電極180及び維持電極181を製造する工程において、第1の実施形態における吐出方法を用いることにより、電極材料の吐出量を精度良く吐出して塗布している。従って、電極材料の塗布量が精度良く塗布されたアドレス電極173、バス電極180及び維持電極181を製造することができる。
(2)本実施形態によれば、発光層177R,177G,177Bを製造する工程において、第1の実施形態における吐出方法を用いることにより、発光素子形成材料の吐出量を精度良く吐出して塗布している。従って、発光層の材料の塗布量が精度良く塗布された発光層177R,177G,177Bを製造することができる。
尚、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変更や改良を加えることも可能である。変形例を以下に述べる。
(変形例1)
前記第1の実施形態において、液滴吐出ヘッド14毎に吐出量を測定したが、これに限らず、ノズル31を他の分け方で分割して吐出量を測定してもよい。例えば、液滴吐出ヘッド14の列毎に測定しても良い。又、1つの液滴吐出ヘッド14のノズル31を3等分して吐出量を測定しても良い。塗布工程において、描画するパターンに合わせて、測定するノズル31を分割して、吐出量を測定しても良い。
(変形例2)
前記第1の実施形態において、ノズル31の温度を測定する温度計に、赤外線カメラ75を用いたが、他の温度計を用いても良い。温度計は、ノズル31の温度を検出可能であれば良い。他に、例えば、熱電対、白金測温抵抗体、水晶振動子等を、サーミスタを温度センサとして使用することができる。ノズル温度に対して感度の良いセンサを用いることにより、精度良く温度を検出することができる。
(変形例3)
前記第1の実施形態では、キャビティ40を加圧する加圧手段に、圧電素子43を用いたが、他の方法でも良い。例えば、コイルと磁石とを用いて振動板42を変形させて、加圧しても良い。他に、キャビティ40内にヒータ配線を配置して、機能液41に含む気体を膨張して加圧しても良い。他にも、静電気の引力及び斥力を用いて振動板42を変形させて、加圧しても良い。いずれの場合にも、機能液41を吐出する液滴吐出ヘッド14の順番、暖機駆動時間102、暖機停止時間103、吐出時間104、非吐出時間105等の測定条件を設定し、設定した測定条件にて吐出して、吐出量を測定することにより、前記実施形態と同様の効果を得ることができる。
(変形例4)
前記第1の実施形態において、ノズル31から吐出する液滴44の重量を測定して、吐出量を算出したが、吐出量の体積を測定して、吐出量を測定しても良い。例えば、断面積が一定の管に吐出する液滴44を溜めて、管内における液体の長さを測定することにより体積を計測し、吐出量を推定しても良い。揮発性の高い液体の場合に、揮発しにくい状態で計測することができる。
(変形例5)
前記第1の実施形態において、重量測定装置20は、2つの受け皿78を備え、2つの液滴吐出ヘッド14から吐出される液滴44の吐出量を測定している。受け皿78の個数は2つに限定されず、1個でも良く、3個以上でもよい。受け皿78の個数が多い方が、同時に測定可能な液滴吐出ヘッド14の個数が多くなるので、生産性良く吐出量を測定することができる。
(変形例6)
前記第1の実施形態では、ステップS3の暖機駆動工程にて、液滴吐出ヘッド14を暖機駆動したが、ステップS3を省略しても良い。ステップS3を省略したときにも、吐出量を再現性良く測定可能であるときには、ステップS3を省略しても良い。ステップS3にかかる暖機駆動時間102に相当する製造時間を短縮することができる為、生産性良く吐出量を測定することができる。
(変形例7)
前記第1の実施形態では、液滴吐出装置1に1個のキャリッジ12を備えているが、複数のキャリッジ12を備えていても良い。キャリッジ12を複数にすることにより、各キャリッジ12を小さくすることができる。キャリッジ12が大きいときに比べて、小さい方が、軽量となり操作し易くなる為、保守しやすいキャリッジ12にすることができる。
(変形例8)
前記第1の実施形態では、1個のキャリッジ12に、12個の液滴吐出ヘッド14を配置しているが、これに限定されない。1個のキャリッジ12に配置する液滴吐出ヘッド14の数は1個でも良く、複数でも良い。液滴44を吐出する描画パターンに適した個数と配置にするのが好ましい。
(変形例9)
前記第1の実施形態では、第1液滴吐出ヘッド14aと第2液滴吐出ヘッド14bとから同時に並行して吐出した後、吐出量を測定することが可能な重量測定装置20の配置にしている。これに限定されず、吐出し易い液滴吐出ヘッド14の組み合わせにて、同時に並行して吐出した後、吐出量を測定することが可能な重量測定装置20の配置にしても良い。例えば、第1液滴吐出ヘッド14aと第3液滴吐出ヘッド14cとから同時に並行して吐出した後、吐出量を測定することが可能な重量測定装置20の配置にしても良い。熱伝導の影響が少ない測定となるように重量測定装置20を配置することが好ましい。
(変形例10)
前記第1の実施形態では、ステップS3の暖機駆動工程では、液滴44を吐出しない程度に圧電素子43を駆動して、暖機駆動したが、液滴44を吐出して暖機駆動しても良い。液滴44を吐出しないときに比べて、液滴44を吐出する方が圧電素子43に大きなエネルギを加えることができる為、短い時間で暖機駆動することができる。
(変形例11)
前記第2の実施形態では、液晶表示パネル111の内部にカラーフィルタ131R,131G,131Bを備えている。カラーフィルタ131R,131G,131Bは、液晶表示パネル111の内部に備えず、液晶表示パネル111とは別の部品として備えても良い。検査工程で選別された液晶表示パネル111の良品と、同じく検査工程で選別されたカラーフィルタを備える部品の良品とを組み合わせることにより、液晶表示装置110の歩留りを向上することができる。
(変形例12)
前記第1の実施形態では、図7に示す第2非駆動区間96cを設け、非吐出駆動波形89から、吐出駆動波形83に移行するのにかかる区間を設けた。非吐出駆動波形89から、吐出駆動波形83への移行が、瞬時に可能であるとき、第2非駆動区間96cを設けなくとも良い。温度上昇時間97b、吐出量増加時間98a、温度上昇時間101bがなくなる為、吐出量81の分散が大きくなる要因を減らすことができる。従って、吐出量81をさらに、再現性良く測定することができる。
このとき、図8に示す暖機停止時間103を、0時間とすることになり、暖機停止時間103がない条件に設定することとなる。
7…ワークとしての基板、14…ノズル群としての液滴吐出ヘッド、31…ノズル、41…液状体としての機能液、44…液滴、102…暖機駆動時間、103…暖機停止時間、104…吐出時間、105…非吐出時間、110…電気光学装置としての液晶表示装置、112…液晶、114…第1基板としての素子基板、115…第2基板としての対向基板、120,147…電極としての画素電極、121,141…半導体としてのTFT素子、122,142,159…配線としての走査線、123,143,160…配線としてのデータ線、125,134…配向膜、133…電極としての対向電極、137…電気光学装置としての有機EL装置、138,156,162,171,178…基板、148…発光素子としての正孔輸送層、149B,149G,149R,177R,177G,177B…発光素子としての発光層、150…発光素子としての機能層、151…電極としての陰極、153…電気光学装置としての表面電界表示装置、158…電極としての電子放出素子、163…電極としての陽極、164…発光素子としてのカラー蛍光膜、168…電気光学装置としてのプラズマ表示装置、173…電極としてのアドレス電極、180…電極としてのバス電極、181…電極としての維持電極。