JP4982525B2 - 屋根の融雪装置 - Google Patents

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本発明は屋根の融雪装置に関する。
建築物の屋根に積もった雪に熱を加えることにより融雪を行う融雪装置としては、二重構造の屋根により形成された通気空間に居住空間内の廃熱を供給する方式のものが知られている。このような融雪装置としては例えば特許文献1および特許文献2に開示されているものがある。
実開昭61−147818号公報 実開平1−122151号公報
特許文献1記載の屋根の融雪装置は、屋根材を二重構造にすることで温風を通過させるための通過間隙を形成して、通過間隙内に室内の廃熱を供給するための暖気導入管を配設し、居住空間からの暖気を暖気導入管を介して通過間隙部分に供給することで屋根の融雪を行う構成を有している。また、特許文献2記載の屋根の融雪装置は、特許文献1と同様に、屋根材を二重構造に配設し、上屋根材の下面に温水パイプを密着させた状態で配設して温水パイプ内の熱により上屋根材の表面を加熱する構成を有している。
特許文献1および特許文献2記載の屋根の融雪装置は、いずれも、二重構造の屋根の間に形成されたスペースに温風(熱)を供給することで屋根の融雪を可能にする構成が示されている。このような構成であると、暖気導入管または温水パイプから供給される熱量は、上屋根に最初に接触した部分(通常は屋根の軒先部分)で大半が屋根(または屋根に積もっている雪)に吸収されることになる。したがって、屋根の棟部分まで暖気導入管または温水パイプからの熱を伝えることが困難になり、屋根の棟部の融雪を十分行うことができなくなるおそれがあるといった課題がある。
そこで本願発明は、大規模な屋根であっても屋根全体の融雪を確実に行うことが可能な屋根の融雪装置の提供を課題としている。
以上の目的を達成するため本願発明は以下の構成を有する。
すなわち、断面形状が波型をなす折り曲げ板からなる上屋根材および下屋根材を上下方向に所要間隔をあけて組み立てることにより空気流通部が形成された屋根と、一端側が熱交換器および送風手段に連通して設けられ、前記下屋根材の谷部に沿って配設された温風供給ダクトと、前記屋根の棟部に配設され、前記空気流通部に供給された温風を前記屋根の外部に排出するための温風排出部と、を具備し、前記温風供給ダクトは、外周面に温風吹き出し孔が形成されていて、該温風供給ダクトの他端側が前記空気流通部内において、前記棟部から所要間隔をあけた位置で開口し、前記温風吹き出し孔は、前記屋根の軒先側における配設間隔よりも前記屋根の棟部側における配設間隔の方が狭いことを特徴とする屋根の融雪装置である。
本発明にかかる屋根の融雪装置によれば、大規模な屋根であっても、屋根の法面全体にわたって熱源を供給することができるため、屋根全体における融雪を確実に行うことができる。
本実施形態におけるごみ焼却処理施設の概略構造図である。 図1のごみ焼却処理施設における屋根部分の片側法面(片側斜面)についての概略構造を示す側断面図である。 図2内のA−A線における断面図である。 他の実施形態例における屋根部分の概略構造を示す側断面図である。
以下、本発明にかかる屋根の融雪装置の実施形態について図面に基づいて説明する。本実施形態においては、ごみ焼却処理施設における屋根の融雪装置について説明を行うことにする。
図1に示すように、本実施形態におけるごみの焼却処理施設10には、壁体20および屋根30からなる筐体40に、ごみ搬入部50、ごみ破砕部52、ごみ投入部54、焼却炉60、燃焼ガス処理部70、灰処理部80と、が収容されている。ごみ搬入車により収集されたごみは、ごみ搬入部50からごみの焼却処理施設10に搬入された後、ごみ破砕部52で破砕装置により細分化処理された後、バケット等からなるごみ投入部54により、焼却炉60に投入されて、焼却処理がなされる。
焼却炉60から排出される燃焼ガスおよび灰は、焼却炉60に隣接する燃焼ガス処理部70および灰処理部80により適宜処理される。燃焼ガス処理部70は、燃焼ガスを冷却するガス冷却部72、有毒ガス除去装置74、集じん器76を有している。また、灰処理部80は、焼却炉60からの灰を収集する灰出し装置82および灰貯留ヤード84と、ガス冷却部72および集じん器76からの灰を搬出する飛灰搬出装置86および飛灰搬出装置86により搬出された飛灰の排出処理をする飛灰処理装置88とを有している。このようにして得られた排気は、煙突78からごみ焼却施設10の外部に排出される。
ごみの焼却処理施設10においてごみを焼却処理するための上記各構成については、公知の技術を採用することができるため、ここでの各構成についての詳細な説明は省略している。
本実施形態においては、燃焼ガス処理部70のガス冷却部72を通過し、ごみの焼却処理施設10の筐体40内の空気を加熱するとともに水を加熱するための熱交換器90が配設されている。本実施形態における熱交換器90は、図1に示すように、屋根供給空気加熱配管92、送風ファン94、温水発生器96と、を有している。筐体40内の空気は、送風ファン94により屋根供給空気加熱配管92に吸い込まれてガス冷却部72の内部空間を通過し、燃焼ガスにより加熱されて熱風となる。また、屋根供給空気加熱配管92は温水発生器96を通過するので、熱風の一部の熱量が温水発生器96内の水と熱交換して温水を生成する。このように温水を生成することで熱風の温度が適宜下げられ、融雪に適した温度の温風(準熱風)となり、屋根30に配設された温風供給ダクトである温風供給パイプ36に供給される。ここでは、屋根供給空気加熱配管92として耐熱金属管が用いられ、温風供給パイプ36には、耐熱塩ビ管が用いられている。温水発生器96により生成された温水は、ごみ焼却施設10の外部に配設した図示しない温水取り出し部等に供給されている。
筐体40の屋根30は、図3に示すように、断面形状が波型をなす折り曲げ板からなる上屋根材32と下屋根材34とを、折り曲げ板における山の位置と谷の位置とをそれぞれ一致させた状態で上下に所要間隔をあけて配設することにより構成されている。上屋根材32と下屋根材34との間には両者の隙間間隔を維持させるための支柱33が折り曲げ板の山の位置に適宜間隔をあけて配設されていて、上屋根材32と下屋根材34との間の空気流通部35が形成されている。このようにして形成された空気流通部35には、下屋根材34の谷の部分に温風供給パイプ36が配設されている。温風供給パイプ36は、一端部が送風手段である送風ファン94および温水発生器96を経由する屋根供給空気加熱配管92に連結されている。
熱交換器90により所定の温度に調整(冷却)された空気は、温風供給パイプ36から空気流通部35に放出された温風(準熱風)によって、冬季間であっても屋根30の表面の温度が3℃以上を維持することが可能な温度となるように設定されている。具体的には、オペレータが屋根30の外表面(上屋根材32の外表面)に配設されている図示しない温度センサにより計測された温度データに基づき、制御装置を操作して送風ファン94の出力や屋根供給空気加熱配管92内の熱風に混合させる図示しない外気取込管からの外気取り込み量を調整することで、温風(準熱風)の温度調整を行っている。制御装置の他例としては、屋根30の外表面に配設された温度センサから送信された計測温度データに基づいて、送風ファン94と外気取込管からの外気取り込み量の調整制御を行うための制御プログラムを予め組み込むことにより自動制御装置とすることも可能である。
また、屋根供給空気加熱配管92からの温風(準熱風)は、直接温風供給パイプ36へ供給するのではなく、屋根供給空気加熱配管92と温風供給パイプ36との間に、温風貯留チャンバ(図示せず)に一旦貯留してから各々の温風供給パイプ36に分配供給する形態を採用してもよい。このとき、温風貯留チャンバから各温風供給パイプへの温風(準熱風)の分配は、温風貯留チャンバに配設されたバルブをオペレータが手動開閉操作する方式の他、制御装置が温風貯留チャンバに配設された電磁バルブの開閉動作を制御する方式を採用することができる。後者の構成を採用した場合、上屋根材32の外表面に配設した温度センサによる計測温度データや、屋根30への積雪状況、日照状況等の屋根30の状況に応じて、各々の温風供給パイプ36への温風(準熱風)の供給量を最適化することができる。すなわち、屋根30全体の融雪をより一層均一化することが可能になる。
温風供給パイプ36は、下屋根材34の延長方向に沿って屋根30の軒先38から屋根30の棟部39に向かって延伸した後、棟部39の手前側において、図2に示すように棟部39から所要距離をあけた位置で他端部を開口させた状態で配設されている。温風供給パイプ36の外周面には、温風供給パイプ36の内部から温風を吹き出すための温風吹き出し孔36Aが所要間隔をあけて配設されている。ここでは、温風供給パイプ36として耐熱塩ビ管を用いているので、温風供給パイプ36にドリル孔加工することで温風吹き出し孔36Aを形成している。各温風吹き出し孔36Aの開口径寸法はそれぞれ等しくした。また、温風吹き出し孔36Aは、屋根30の軒先38側における配設間隔に対して棟部39側における配設間隔の方が狭い間隔で配設されている。このように温風吹き出し孔36Aの配設ピッチを変更することで、熱源までの距離が異なり、温風供給パイプ36から放出される温風の温度が異なる軒先38側の位置と棟部39側の位置のいずれの位置においても放出される熱量の均一化を図ることができる。
また、本実施形態においては、屋根30の法面長さ寸法に対して温風供給パイプ36の長さ寸法を60%とした。棟部39側の屋根30の法面長さの40%部分においては、温風吹き出し孔36Aおよび温風供給パイプ36の他端部の開口部から放出された温風が空気流通部35内に直接流通する(通過する)ことになる。温風供給パイプ36の他端部開口部から放出する温風(準熱風)は、温風供給パイプ36の他端側の開口部位置から屋根30の棟部39までの法面長さをLmとした場合、温風供給パイプ36の他端側の開口部から放出される温風(準熱風)の初速度を2Lm/秒とした。このような温風の放出初速度を採用にすることで、温風供給パイプ36から空気流通部35内に放出された温風が融雪不可能な温度(屋根30の外表面の温度が1℃以上(より好ましくは3℃以上)にすることができない温度)になる前に屋根30の外部に排出することができ、屋根30の棟部39側における融雪も確実に行うことができるのである。
空気流通部35には、温水発生部96で得た温水を、温水発生部96と屋根30の空気流通部35内に敷設した温水パイプ98との間で循環させている。このような構成を採用することで、屋根30の空気流通部35に供給する熱量を大幅に増加させることができるので、豪雪地帯であっても、確実に屋根30全体の融雪が可能になる。このような温水パイプ98は、空気流通部35の全体に敷設する形態の他、空気流通部35の軒先38側の所要範囲のみに敷設させる形態のいずれの形態を採用してもよい。温水パイプ98に循環させる熱媒体は水の他にエチレングリコール(不凍液)等を循環させることももちろん可能である。
屋根30の軒先38には温風供給パイプ36および温水パイプ98の導入部よりも先端側には、これらからの熱が供給されない部位が生じてしまう。この部分での凍結等を防ぐため、図2に示すように、軒先38の先端部分には筐体40の室内空気を流通させるための軒先通風路38A,38Bを二重に配設している。軒先通風路38A,38Bの間および軒先通風路38Bと空気流通部35との間には断熱材による隔壁38C,38Dが配設されている。また、隔壁38Cの下部には万が一結露が生じた場合にも結露水が筐体40の内部空間に滴下しないように、排水ドレン38Eが配設されている。
筐体40内部から供給された室内空気は、軒先通風路38A,38Bを通過した後、それぞれ外部に排出してもよいし、軒先通風路38Bの室内空気を軒先通風路38Aに合流させた後に外部に排出する形態のほか、軒先通風路38Bの室内空気は筐体40内に戻すようにしてもよい。
また、本実施形態における屋根30の棟部39には、空気流通部35からの温風を屋根の外部に排出する温風排出部39Aが配設されている。本実施形態における温風排出部39Aは、図2に示すように、温風排出部39Aから排出した廃温風が屋根30の表面に向かって吹き付けられるように開口している。このように屋根30の表面に向かって開口する温風放出部39Aを採用することにより、屋根30の外部に排出される温風(0℃よりも高温であればよいが、3℃以上であることが好ましい)によって棟部39近傍に積もっている雪に直接温風を吹きつけて融雪することが可能になる点において省エネルギーであり好都合である。
さらには、図2に示すように、温風排出部39Aには、冬季間において屋外からの空気(冷気)が温風排出部39Aから空気流通部35に侵入することを防止するためのシールド部39Bが配設されている。ここでは、シールド部39Bとして温風排出部39Aの開口面から離反させた位置に遮蔽板を取り付けている。遮蔽板は、遮蔽板の下端縁を屋根30の外表面から離間させた状態で配設されている。
空気流通部35を通過した後に温風排出部39Aから排出される廃温風は、シールド部39Bに沿ってシールド部39Bである遮蔽板の下端縁と屋根30の表面との隙間部分から屋根30の表面に吹きつけるようにして排出される。このシールド部39Bを温風排出部39Aの開口部近傍の配設部分から着脱自在に取り付けておけば、不要時には取り外しておくこともできる。
以上に本願発明を実施形態に基づいて詳細に説明したが、本願発明の技術的範囲は以上に示した実施形態に限定されるものではない。例えば、以上に説明した実施形態においては、融雪装置を具備する建築物として、ごみの焼却処理施設の屋根について説明しているが、屋根に熱源を給することができれば、必ずしも建築物内に大規模な燃焼装置を具備していなくても良い。屋根への熱源供給を行う際の他の形態としては、建築物の内部(例えば、居住空間)からの廃熱を利用する形態を採用することもできる。
また、以上の実施形態においては、温風供給パイプ36の敷設延長を、屋根30の法面長さの60%とした実施形態について説明しているがこれに限定されるものではない。温風供給パイプ36の敷設延長を、屋根30の法面長さ寸法の50〜85%程度に設定すれば、以上の実施形態と同様に、屋根30の全面に均一な熱量を供給することができる。いずれの敷設比率を採用した場合であっても、温風供給パイプ36の他端側の開口部から放出する温風(準熱風)の初速度は、開口部から棟部39までの距離を0.5秒で通過することができる速度に設定しているのは、先に説明した実施形態と同様である。
また、温風供給パイプ36の外周面に形成した温風吹き出し孔36Aは、屋根30の軒先38側と棟部39側とにおいて、温風吹き出し孔36Aの配設間隔を異にしているが、これに限定されるものではない。他の実施形態としては、屋根30の軒先38側と棟部39側において温風吹き出し孔36Aの径寸法を変更することによっても、以上の実施形態と同様に、屋根30に放出する熱量を均一化することができる。
また、以上の実施形態においては、温風供給ダクトとして耐熱塩ビ管製の温風供給パイプ36を採用しているが、温風供給ダクトは耐熱塩ビ管に限定されるものではない。要は、熱交換器90(屋根供給空気加熱配管92)から供給された温風(準熱風)を不用意に冷却させることなく空気流通部35に放出することができれば、他の形態により温風供給ダクトを構成する実施形態であっても良いのはもちろんである。
また、本実施形態においては、図2に示すように、空気流通部35に供給された温風を屋根30の外部に排出する温風排出部39Aを屋根30の外表面に向けて棟部39から遠ざかる方向(離反する方向)に開口させている形態について説明しているが、この形態に限定されるものではない。例えば、図4に示すように温風排出部39Aは、空気流通部35から棟部39を越えて、反対側の屋根の外側表面に温風を吹きつける配置に開口させてもよい。このような構成を採用することで、温風排出部39Aから屋根30の外表面に吹き付ける風の速度の向上が期待できる。空気流通部35に流通させた温風により屋根30全体の融雪を確実に行うことができる場合には、空気流通部35の延長線上に温風排出部39Aを開口させて、単純に温風を空気流通部35から排出するようにしてもよいのはもちろんである。
また、一般住宅や小規模事務所および工場等のような小規模な建築物であっても断面形状が波型をなす二重の折り曲げ板からなる屋根30を具備していれば、上記実施形態で説明したごみの焼却施設10の屋根30と同様にして本願発明を適用することができるのはもちろんである。
10 ごみの焼却処理施設
30 屋根
32 上屋根部材
33 支柱
34 下屋根部材
35 空気流通部
36 温風供給パイプ
36A 温風吹き出し孔
38 軒先部
38A,38B 軒先通風路
38C,38D 隔壁
38E 排水ドレン
39 棟部
39A 温風排出部
39B シールド部
90 熱交換器
92 屋根供給空気加熱配管
94 送風ファン
96 温水発生器
98 温水パイプ

Claims (5)

  1. 断面形状が波型をなす折り曲げ板からなる上屋根材および下屋根材を上下方向に所要間隔をあけて組み立てることにより空気流通部が形成された屋根と、
    一端側が熱交換器および送風手段に連通して設けられ、前記下屋根材の谷部に沿って配設された温風供給ダクトと、
    前記屋根の棟部に配設され、前記空気流通部に供給された温風を前記屋根の外部に排出するための温風排出部と、を具備し、
    前記温風供給ダクトは、外周面に温風吹き出し孔が形成されていて、該温風供給ダクトの他端側が前記空気流通部内において、前記棟部から所要間隔をあけた位置で開口し
    前記温風吹き出し孔は、前記屋根の軒先側における配設間隔よりも前記屋根の棟部側における配設間隔の方が狭いことを特徴とする屋根の融雪装置。
  2. 前記温風供給ダクトは、前記屋根の法面長さに対して50〜85%の範囲に配設されていることを特徴とする請求項1記載の屋根の融雪装置。
  3. 前記温風供給ダクトの他端側から吹き出される温風の初期速度は、該温風供給ダクトの他端側と前記温風排出部との間の距離を0.5秒で通過する速度に設定されていることを特徴とする請求項1または2記載の屋根の融雪装置。
  4. 前記温風排出部は、該温風排出部から排出される温風が前記上屋根材の外側表面に向けて開口していることを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の屋根の融雪装置。
  5. 前記温風排出部には、屋外からの空気が前記空気流通部に侵入することを防止するためのシールド部が配設されていることを特徴とする請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載の屋根の融雪装置。
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