JP4982079B2 - 多層金属クラッド板 - Google Patents
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Description
また、特許文献3には、硬靭なチタン合金とステンレス鋼をこれらよりも軟質な0.05mmの薄層のアルミニウムで接合させた多層金属クラッド板を用いて、このチタン合金がクラブヘッドの表面(打球面)に前記低比重材料を配することが記載されている。
このように、従来は、硬靭性金属層と軟質金属層との適切な関係が見出されておらず、したがって、フェース部材の表面層の反発力を活用しつつ、ソフトな打球感を得る方法についても確立されてはいない。
すなわち、ゴルフクラブのフェース部材のごとく、表面に配された層の反発力を活用しつつインパクトの衝撃を和らげることが求められる多層金属クラッド板においては、その要望を十分に満足させることが困難であるという問題を有している。
すなわち、本発明は、前記課題を解決すべく、3層以上の多層構造を有する多層金属クラッド板であって、純チタンもしくはチタン合金からなるチタン層が表面層として備えられ、該チタン層よりもヤング率の低い低ヤング率層が前記チタン層の次層として備えられ、前記チタン層よりも変形抵抗の高い高変形抵抗層が前記低ヤング率層の次層として備えられ、前記チタン層のヤング率をE(kgf/mm2)、厚さをh1(mm)とし、W=9100/E/h1 3としたときに、前記低ヤング率層の厚さh2(mm)が、h2>Wとなるよう形成されていることを特徴とする多層金属クラッド板を提供する。
本実施形態における多層金属クラッド板4は、3層構造を有し、表面側から、純チタンもしくはチタン合金からなるチタン層1、該チタン層1よりヤング率の低い低ヤング率層2、前記チタン層2よりも変形抵抗の高い高変形抵抗層3の順に備えられている。
また、このチタン層1には、純チタンやチタン合金を使用することができ、該チタン合金としては、Ti−5Al−2.5Snなどのα形チタン合金、Ti−5Al−6Sn−2Zr−1Mo−0.2Si、Ti−8Al−1Mo−1V、Ti−6Al−2Sn−4Zr−2Moなどのnearα形チタン合金、Ti−6Al−4Vなどのα+β形チタン合金、Ti−8Mnなどのnearβ形チタン合金、Ti−10V−2Fe−3Al、Ti−20V−4Al−1Sn、Ti−13V−11Cr−3Alなどのβ形チタン合金を用いることができる。
なお、このような純チタンやチタン合金としては、β型チタン合金が低ヤング率でありながらも高変形抵抗を示す点において好適である。
この低ヤング率層2がこのような厚さとされるのは、Wの値以下では、インパクトの衝撃を和らげる効果が得られないためである。また、3mmを超える厚さとしても、表面層の反発力を活用しつつインパクトの衝撃を和らげる効果をそれ以上向上させることが困難で、多層金属クラッド板4の厚さが増して、コストアップとなるおそれを有する。
またこの低ヤング率層2に用いる金属としては、このヤング率層2を前記チタン層1よりもヤング率を低く形成し得る金属であれば特に限定されるものではなく、例えば、アルミニウムやその合金、マグネシウム、マグネシウム合金、金、銀、銀蝋、鉛などを用いることができる。なかでも、純アルミニウムやアルミニウム合金は、一般的な金属の中で比較的低いヤング率を有し、入手が容易で優れた加工性を有する点において好適である。
また、この高変形抵抗層3に用いる金属としては、この高変形抵抗層3を前記チタン層1よりも変形抵抗を高く形成し得る金属であれば特に限定されるものではなく、例えば、鋼、ステンレス鋼、純チタン、チタン合金、銅合金、ニッケル基合金などを用いることができる。なかでも、鋼、ステンレス鋼は、入手が容易で優れた加工性を有しクラッド板の生産性を高め得る点において好適である。
なお、多層金属クラッド板4をより高強度のものとする場合には、一般的にハイテンと呼ばれる高張力鋼、冷間加工され加工硬化されたステンレス鋼、焼き入れ処理されたマルテンサイト系ステンレス鋼、析出硬化型ステンレス鋼などの鋼やステンレス鋼を用いることが好ましい。また、多層金属クラッド板をより軽量化されたものとする場合には、純チタンもしくはチタン合金を用いることが好ましい。
本実施形態の多層金属クラッド板4は、一般的な多層金属クラッド板を製造する製造方法を用いて製造することができ、例えば、各層の金属材料を予め板状に形成させた素材金属板を用いて、それらを重ね合わせて圧延する圧延接合法を用いることができる。
本実施形態の多層金属クラッド板4を製造する圧延接合法としては、前記素材金属板を予め100〜400℃に加熱した状態で、10〜70%の圧延率で圧延する温間圧延接合法が好ましい。また、このとき各素材金属板として、製造時の座屈変形を防止することができ、製造歩留まりを高め得る点において、0.3mm以上の厚さのものを用いることが好ましい。
このフェース部材とヘッド部材5との接合については、カシメなどの嵌合方法や、ろう付け、接着材などを用いた接着、溶接など一般的な金属部材の接合方法を用いることができる。
また、このような製造方法で製造されるゴルフクラブヘッドの用途としては、ドライバー、バフィー、スプーンなどのいわゆるウッドと呼ばれるものや、アイアン、パターなど種々のものに用いることができる。
また、本実施形態においては、ゴルフクラブのフェース部材として、多層金属クラッド板4の総厚が厚くなりすぎることを抑制しフェース面をコンパクト化し得る点ならびにコストが上がりすぎることを抑制し得る点において3層のクラッド板4を例に説明したが、本発明においては、多層金属クラッド板の層数を3層のみに限定するものでなく、高変形抵抗層の裏面側にさらに積層構造を備える4層以上の多層金属クラッド板も意図する範囲である。
また、本発明の効果を損ねない範囲において、要すればチタン層の表面に表面処理、メッキ、塗装などを施してもよい。
(実施例1〜10、比較例1〜6)
第一層を純チタンもしくはチタン合金で、第二層を純アルミニウムもしくはアルミニウム合金、第三層をステンレス鋼、純チタン、冷間圧延鋼板1種(SPCC)、冷間圧延高張力鋼板(SPFC)を用い、この第一層から第三層までを表1の厚さとなるよう、350℃の温間圧延により多層金属クラッド板を形成し、外形加工の後、第一層が打球面となるようにヘッド部材に配してアイアンを作製した。このときヘッド部材とフェース部材との接合は、TIG溶接により接合した実施例5、10を除きカシメ嵌合により実施した。
第一層から第三層を表1の材料を用いて、真空中で組み立て溶接した上で、900℃の熱間圧延により作製したこと以外は、実施例1〜10、比較例1〜6と同様にアイアンを製造した。
クラッド板に代えて、JIS4種の純チタン単板を用いたこと以外は、実施例1〜10、比較例1〜6と同様にアイアンを製造した。
各実施例、比較例の評価については次のとおり実施した。
(ヤング率の測定)
前記第一層の素材板に対して、各実施例、比較例での多層金属クラッド板製造時と同じ温度で同じ圧延率となるように圧延を実施し共振法によるヤング率の測定を実施した。
(W値の算出)
前記ヤング率の測定から得られた第一層のヤング率をE(kgf/mm2)とし、該E値と、第一層の厚さをh1(mm)から次式に基づきW値を求めた。
式:W=9100/E/h1 3
(変形抵抗の測定)
前記第一層および第三層の各素材板を各実施例、比較例での多層金属クラッド板製造時と同じ温度で同じ圧延率となるようにそれぞれ別個に圧延を実施し引張り試験による耐力の測定を実施した。
それらの測定結果を表2に示す。
各実施例、比較例のアイアンを用いて実際にゴルフボールを100回試打し、良好なる打感が得られたものを「○」、手に衝撃を感じるものを「×」として官能評価した。
また、各アイアンの試打後、フェース面の変形を目視にて確認し、変形の見られないものを「○」、変形が見られたものを「×」として評価した。
結果を、表3に示す。
2 低ヤング率層
3 高変形抵抗層
4 多層金属クラッド板
Claims (4)
- 3層以上の多層構造を有する多層金属クラッド板であって、純チタンもしくはチタン合金からなるチタン層が表面層として備えられ、該チタン層よりもヤング率の低い低ヤング率層が前記チタン層の次層として備えられ、前記チタン層よりも変形抵抗の高い高変形抵抗層が前記低ヤング率層の次層として備えられ、
前記チタン層のヤング率をE(kgf/mm2)、厚さをh1(mm)とし、W=9100/E/h1 3としたときに、前記低ヤング率層の厚さh2(mm)が、h2>Wとなるよう形成されていることを特徴とするゴルフクラブヘッドのフェース部材用多層金属クラッド板。 - 前記低ヤング率層が純アルミニウムもしくはアルミニウム合金により形成されている請求項1記載のゴルフクラブヘッドのフェース部材用多層金属クラッド板。
- 前記高変形抵抗層がステンレス鋼、鋼、チタン合金のいずれかにより形成されている請求項1又は2に記載のゴルフクラブヘッドのフェース部材用多層金属クラッド板。
- 請求項1乃至3のいずれかに記載の多層金属クラッド板が用いられ、該多層金属クラッド板のチタン層が打球面となるように配されていることを特徴とするゴルフクラブヘッド。
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