JP4980387B2 - 直流電源装置、これを備えた直流電源システム及びこれを備えたヒートポンプ式給湯機システム - Google Patents
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また、第2の目的は、複数台の直流電源装置が接続されている場合に、それらのスイッチ部が同時に動作することによる電圧歪みの発生を抑制し、電源系統に接続された他の機器への影響を低減する直流電源装置を備えた直流電源システム及びそれを備えたヒートポンプ式給湯機を得るものである。
(直流電源装置の回路構成)
図1は、本発明の実施の形態1に係る直流電源装置の回路構成図である。
図1において、交流電源1は、リアクトル2を介して、交流電源1が出力する交流電圧を全波整流するブリッジ整流回路3に接続されている。このブリッジ整流回路3は、整流用ダイオード3a、3b、3c及び3dによって構成されている。また、このブリッジ整流回路3の入力端には、スイッチ部4が並列に接続されている。すなわち、このスイッチ部4が短絡することで、交流電源1はリアクトル2を介して短絡される。また、ブリッジ整流回路3の出力端間には、平滑コンデンサ5が接続されている。さらに、この平滑コンデンサ5の両端には、負荷6が並列に接続されている。
次に、本実施の形態に係る直流電源装置11の基本動作について説明する。
交流電源1から供給された交流電圧は、リアクトル2を介してブリッジ整流回路3に入力する。ブリッジ整流回路3は、入力した交流電圧を全波整流して出力する。そして、この整流された電圧は、平滑コンデンサ5によって平滑され直流電圧となる。この直流電圧は、負荷6に供給され駆動させる。
図2は、本発明の実施の形態1に係る直流電源装置におけるスイッチ部4の動作を示す図であり、図3は、同直流電源装置におけるスイッチ部4のパルス動作が複数である場合の動作を示す図である。
図2(a)で示されるゼロクロス点から図2(c)で示されるように制御部10からの駆動信号によって予め設定された遅延時間Tdl後に、短絡時間Tonの時間幅だけ、スイッチ部4がON動作、すなわち、短絡する。このスイッチ部4が短絡状態になることで、交流電源1からリアクトル2、スイッチ部4、そして、再び、交流電源1へ短絡電流が流れ、その短絡電流は、図2(b)で示されるような尖った形状を有する入力電流となる。このスイッチ部4の短絡動作によって、図2(b)に示すような入力電流が流れ、入力力率の改善及び高調波電流の抑制が実現でき、例えば高調波電流の値を所定値以下に制御することも可能となる。
以上の構成及び動作によって、直流電源装置として出力する直流電圧を一定に制御しながらも、直流電源装置の出力側に接続された負荷6に応じて、最適なスイッチパターンを設定することによって、入力力率の改善及び高調波電流の抑制が実現する直流電源装置を得ることができる。
また、直流電源装置11として所望の特定が得られていれば、最適なスイッチパターンとして固定のスイッチパターンで駆動するのに限られず、ある所定の幅でスイッチパターンが変動して動作させるものとしても、入力力率を改善及び高調波電流を抑制する性能は確保できる。
(直流電源システムの構成)
図9は、本発明の実施の形態2に係る直流電源システムの構成図である。
発電所等の交流電源1は、送電線12を介して、交流電源1から供給される高電圧な交流電圧を降圧し電柱等に設置されている柱上トランス13の一次側に接続されている。その柱上トランス13の二次側には電線14を介して実施の形態1に係る直流電源装置11が並列に複数台(図9においては3台)接続されている。その直流電源装置11の出力側にはそれぞれ負荷6が接続されている。
本実施の形態に係る直流電源システムが備える直流電源装置11の動作について、以下、実施の形態1との相違点を中心に説明する。
図10は、直流電源装置11への入力電圧Vinの電圧歪みを示す図である。
実施の形態1で説明したように、直流電源装置11の出力側に接続された負荷6に応じて最適なスイッチパターンが存在する。このスイッチパターンが一意に存在するということは、図9で示される複数の直流電源装置11の出力側にそれぞれ接続される負荷6の容量が全て同じである場合、それぞれのスイッチパターンは同期することになる。このとき、実施の形態1で説明したように、直流電源装置11において、交流電源1の短絡が微小時間である短絡時間Tonだけ実施されることで、入力力率の改善及び高調波電流の抑制が実現できる。ただし、このことは直流電源装置11が1台だけの運転であれば問題とならないが、図9で示されるように、複数の直流電源装置11が並列に接続され、かつ、同じスイッチパターンによってスイッチ部4が制御され、スイッチパターンが同期して同じタイミングでスイッチ部4が短絡すると、交流電源1に大きな短絡電流が流れ、交流電源1のインピーダンス等による電圧降下によって、図10(b)で示されるように、交流電源1の電圧Vsは正弦波は歪みはなくとも直流電源装置11の入力電圧Vinについては電圧降下し電圧歪みが発生する。この電圧歪みは、電線14から電力供給される電気機器全てに供給されるため、この電圧歪みによって電気機器の不具合動作、特に、電気機器によっては電圧歪みによる電磁騒音を発生させる場合がある。
図11は、スイッチパターンを変動させた場合の入力電流の波形の変化を示す図である。
図11(b)で示されるようにスイッチパターンを変動させると、図11(a)で示されるように入力電流の波形も変化し、スイッチ部4の短絡動作を開始するタイミングにおける交流電源1が供給する交流電圧の値によって入力電流の時間変化率di/dtも変化する。これによって、入力電圧Vinの電圧歪みの発生タイミングや電圧歪みによる電圧低下量も変化する。
図12は、本発明の実施の形態2に係る直流電源システムにおける直流電源装置11の制御部10の構成図である。
制御部10は、目標直流電圧と直流電圧検出器9によって検出される直流電圧との偏差を入力し、その偏差から短絡時間Tonを出力するPI制御器20、乱数を発生する乱数発生器21、その乱数発生器21が発生する乱数に基づいて、後述する乱数による遅延時間Tdl1を発生させるランプ器22、並びに、スイッチ部4の開閉動作を実施する駆動信号を生成して出力する駆動信号生成器23によって構成されている。
制御部10には、直流電源装置11の本来の機能である特定の直流電圧を負荷6に対して供給する機能を満たすため、外部から目標直流電圧が入力され、その目標直流電圧と直流電圧検出器9によって検出された直流電圧との偏差が、PI制御器20に入力される。その偏差を入力したPI制御器20は、直流電圧が目標値となるようにスイッチ部4の短絡時間Tonを算出し出力する。交流電源1のゼロクロス点からの遅延時間Tdlは、乱数によってランダムに変動させるが、ゼロクロス点が基準となるため、制御部10は、そのゼロクロス点を基準とした場合に実現可能な遅延時間最小値Tdl0を設定する。また、乱数発生器21は、乱数を発生して出力し、ランプ器22は、その乱数に基づいて乱数による遅延時間Tdl1を算出する。ここで、この乱数による遅延時間Tdl1がステップで大きく変動すると、直流電圧が大きく変動するため、乱数発生器21により出力された遅延時間が、所定の単位時間当たりの変動幅以下で変動するように時間変動率を制限して乱数による遅延時間Tdl1を出力するようにランプ器22は作用する。これにより、乱数による遅延時間Tdl1は緩やかに変動することとなる。制御部10は、上記の遅延時間最小値Tdl0とランプ器22が出力する乱数による遅延時間Tdl1とを加算して遅延時間Tdlを求める。そして、駆動信号生成器23は、前述の短絡時間Ton及び遅延時間Tdlを入力してスイッチ部4の開閉動作を実施する駆動信号を生成して出力する。なお、短絡時間Ton及び遅延時間Tdlの可変範囲は高調波電流に対する規制限度値に収まる範囲で設定することが望ましい。
また、上記の動作において、乱数発生器21によって遅延時間Tdlのみ規則性がなくランダムに変動させる構成としたが、これに限られるものではなく、短絡時間Tonのみ規則性がなくランダムに変動させる構成としてもよく、又は、遅延時間Tdl及び短絡時間Ton双方を規則性がなくランダムに変動させる構成としてもよい。
また、遅延時間Tdlを緩やかに変動させるためにランプ器22を設けているが、これに限られるものではなく、ランプ器22ではなくても同等の機能を有するものであればよい。
さらに、上記で示した構成及び動作を備える制御部10は、実施の形態1に係る直流電源装置11に備えられるものとしてもよい。
複数の直流電源装置11におけるスイッチ部4が、同じスイッチパターンによって開閉動作をするのを低減させるため、及び、直流電源装置11が出力する直流電圧を安定させるために、遅延時間Tdl及び短絡時間Tonを緩やかに変動、すなわち、スイッチパターンを緩やかに変動させた後、図13(c)で示されるように所定時間(例えば、1秒)だけスイッチパターンを変動させずに安定させる。その所定時間後、乱数発生器21によって乱数が発生し、スイッチパターンが緩やかに変動していくことが繰り返される。
図14は、スイッチパターンを固定した場合と変動させた場合の電圧歪みを比較した図である。
図14において、横軸は直流電源装置11への入力電圧Vinをフーリエ展開した場合の各周波数(Hz)であり、縦軸はその周波数に対応する電圧歪みの周波数成分(V)である。また、図14で示されるプロットは、スイッチパターンを固定した場合と、スイッチパターンを変動させた場合のプロットを示している。このとき、特に点線で囲まれた部分の周波数において、スイッチパターンを変動させた場合の電圧歪みの周波数成分の方が、スイッチパターンを固定した場合よりも小さくなっており、電圧歪みが抑制されている。この点線で囲まれた部分の周波数は、不快に感じる人が多数いる周波数の領域である。
以上のような構成及び動作によって、複数の直流電源装置において、そのスイッチパターンを変動させることでスイッチパターンが同期するのを低減することによって、入力力率の改善及び高調波電流の抑制を実現するのはもちろんのこと、直流電源装置の入力電圧の電圧歪みを抑制し、その電力系統に接続されている他の機器への悪影響を抑制することができる。
また、近年、普及が進んでいる誘導加熱調理器等への影響を考えると、調理する鍋から前述の電圧歪みによる電磁騒音が発生することがあるが、本実施の形態におけるスイッチパターンの変動によって、誘導加熱調理器の鍋が発生する電磁騒音を抑制することができる。
さらに、白熱電球等の照明機器のチラツキも前述の電圧歪みによって引き起こされるため、そのチラツキの抑制にも効果がある。
(ヒートポンプ式給湯機システムの構成)
図15は、本発明の実施の形態3に係るヒートポンプ式給湯機システムの構成図である。本実施の形態においては、前述の実施の形態2と相違する構成及び動作を中心に説明する。
本実施の形態においては、直流電源装置11の出力側に接続される負荷としてインバータ30が接続されており、そのインバータ30の出力側には圧縮機31が接続されている。圧縮機31の内部の圧縮部(図示せず)から冷媒配管32によって冷媒サイクル給湯部33に接続されている。上記の直流電源装置11、インバータ30、圧縮機31、冷媒配管32及び冷媒サイクル給湯部33によって、ヒートポンプ式給湯機34が構成されている。
直流電源装置11から出力される直流電圧はインバータ30に入力され、インバータ30は圧縮機31を駆動する。この圧縮機31が駆動することによって、圧縮機31に冷媒配管32を介して流入する低温低圧の冷媒が圧縮され、高温高圧の冷媒となって冷媒配管32を介して冷媒サイクル給湯部33に供給される。冷媒サイクル給湯部33は、給水された水を沸かすように動作し、例えば、深夜電力を利用して温水を貯湯する。そのため、深夜電力の利用時間の終了直前となる明け方に沸き上げを実施することが一般的である。また、冷媒サイクル給湯部33に給水される水温は、世帯間で温度差がある訳でなく、ほぼ同一温度となる。さらに、気温も近隣世帯間で温度差があるわけではないため、大気熱と水温とを熱交換するヒートポンプ式給湯機34は、動作する時刻が同じであれば、直流電源装置11からみた負荷はほぼ同一になる。
また、誘導加熱調理器35においては、誘導加熱は可聴周波数以上であるため、通常は鍋から音は聞こえないが、電圧歪みが発生する場合に鍋から音が聞こえることがあるが、上記の動作によって鍋から聞こえる音を低減することができる。
また、本実施の形態に係るヒートポンプ式給湯機システムにおいて、それぞれのヒートポンプ式給湯機34は、直流電源装置11を備えた構成としているが、これに限られるものではなく、実施の形態1における図4〜図8で示される直流電源装置11a〜直流電源装置11e及び直流電源装置11のうちから任意に選択され備えられる構成としてもよい。
Claims (7)
- 交流電源に接続されるリアクトルと、
前記交流電源の出力端を前記リアクトルを介して短絡するスイッチ部と、
前記交流電源を前記リアクトルを介して整流する整流器と、
該整流器の出力電圧を平滑する平滑コンデンサと、
前記スイッチ部の開閉動作を制御する制御部と、
前記交流電源のゼロクロス点を検出するゼロクロス検出器と、
を備え、
前記制御部は、前記ゼロクロス検出器によって検出される前記ゼロクロス点を基準とした前記スイッチ部の短絡開始タイミング及びその短絡時間のうち少なくとも一方を規則性なく変動させて前記スイッチ部の開閉動作を実施し、
前記短絡開始タイミング及び前記短絡時間のうち少なくとも一方を規則性なく変動させる際に、その変動の動作を所定間隔毎に実施する
ことを特徴とする直流電源装置。 - 交流電源に接続されるリアクトルと、
前記交流電源の出力端を前記リアクトルを介して短絡するスイッチ部と、
前記交流電源を前記リアクトルを介して整流する整流器と、
該整流器の出力電圧を平滑する平滑コンデンサと、
前記スイッチ部の開閉動作を制御する制御部と、
前記平滑コンデンサの両端電圧を検出する直流電圧検出器と、
前記交流電源のゼロクロス点を検出するゼロクロス検出器と、
を備え、
前記制御部は、前記直流電圧検出器によって検出される前記両端電圧を一定にするために前記スイッチ部の短絡時間を制御し、前記ゼロクロス検出器によって検出される前記ゼロクロス点を基準とした前記スイッチ部の短絡開始タイミングを規則性なく変動させて前記スイッチ部の開閉動作を実施し、
前記短絡開始タイミングを規則性なく変動させる際に、その変動の動作を所定間隔毎に実施する
ことを特徴とする直流電源装置。 - 前記制御部は、前記変動の動作において所定の変動の時間変化幅以下で変動させる
ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の直流電源装置。 - 前記制御部は、直流電源装置に入力される電流に含まれる高調波電流値が所定値以下となるように前記短絡開始タイミングを規則性なく変動させて制御する
ことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の直流電源装置。 - 前記制御部は、前記交流電源の半周期に、前記スイッチ部の前記開閉動作を複数回実施する
ことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の直流電源装置。 - 請求項1〜請求項5のいずれかに記載の複数の直流電源装置を備え、
複数の該直流電源装置は、
前記交流電源に対して並列に接続され、
その出力側のそれぞれに負荷が接続される
ことを特徴とする直流電源システム。 - 請求項1〜請求項5のいずれかに記載の1つ又は複数の直流電源装置と、
該直流電源装置の出力側に負荷として接続されるインバータと、
該インバータによって駆動される圧縮機と、
を備え、
前記直流電源装置は、前記交流電源に対して並列に接続される
ことを特徴とするヒートポンプ式給湯機システム。
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