JP4977913B2 - 寝具の寝返り性評価方法および評価システム - Google Patents

寝具の寝返り性評価方法および評価システム Download PDF

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本発明は、寝具の寝返り性評価方法および評価システムに関し、詳しくは、マットレスやソファー敷き布団などの寝具の寝返り性評価方法および評価システムに関する。
ベッドやソファー敷き布団などの寝具としては、従来から、いわゆる硬綿を使用したマットレスが敷設使用されていた。こうした寝具の商品価値としては、寝返りのしやすさ(以下「寝返り性」という。)が評価基準の1つとなっていることから、寝心地のよさに加え、寝返り性の改善の研究が進み、マットレスの材質のみならず形状や構造などあらゆる角度からの改善・工夫がされてきた。具体的には、以下のような、いくつかのマットレスやベッドが提案されている。
(1)図5に示すように、上下に重ね合わせた2枚の弾性クッション12,13と、該2枚の弾性クッション12,13の間に挟み込まれた弾性シート14とからなり、2枚の弾性クッション12,13の対向する面には山部16と谷部17からなる多数の凹凸部15を形成するとともに、これら各凹凸部15の山部16を、弾性シート14を隔てて対向する反対側の凹凸部15の谷部17上に位置するように位置合わせして配置されたことを特徴とするマットレス11が提案されている(例えば特許文献1参照)。
(2)また、図6に示すように、マットレス本体61が、マット基体62の表面に突設された多数のキノコ状突起63を有すると共に、マット基体62のキノコ状突起63非突設箇所に貫通孔67が形成されたものであり、四角枠68がマットレス本体61より硬質に形成され、かつ四角枠68及びマットレス本体61の全体が撥水透湿性材料シート69からなるマットレスカバーで覆われたものであることを特徴とするマットレスやベッドが提案されている(例えば特許文献2参照)。
(3)さらに、図7に示すようなマットレスが提案されている。マットレス71に凹設される複数の通気溝72には、使用者身体からの熱気や湿気が放出される。しかも、通気溝72は、平面視略弓形状であってマットレス71の横方向中央部分がマットレス71の縦方向一側へ湾出するような形状であるので、特に使用者の臀部や肩部などの曲線的な部位にフィットして弾性変形し易く、体圧の低減が図られる。また、使用者が寝返りをしてマットレス71の横方向へ転がると、使用者身体は寝返り前後で別の通気溝72に横たわる格好となる。この結果、使用者身体からの熱や湿気が放出される通気溝72が変更されるので、使用者が寝返りを打つことで通気溝72内での熱や湿気のこもりも解消される(例えば特許文献3参照)。
(4)また、ベッドについて、図8に示すように、内蔵されている軟質のシート状部材より成るバッグ81内に封入物83が充填封入されている封入物封入ベッド82において、前記封入物83が、鱗片状粒子の凝集体より成る粉体80であり、固体潤滑により相対的な動きが自在な粉体封入ベッドが提案されている(例えば特許文献4参照)。
特開2005−87239号公報 特開2003−275063号公報 特開2006−34413号公報 特開2003−391号公報
しかしながら、上記のようなマットレスやベッドについては、従前その寝返り性について評価することが困難であった。つまり、
(a)寝返り性は、寝具の商品価値として重要な評価基準の1つであるにも拘らず、一方でその尺度を数値化する方法が存在しなかったため、これを客観的に評価することができなかった。
(b)現状、便法の1つとして、マットレスに実際に人が寝て感性として評価する方法が取られている。こうした方法は、同一人物が異なる寝具について評価する場合には、比較的妥当な相対的評価を得ることができるが、感性の個人差などによって絶対的な評価は行うことができない。
(c)また、実際の評価においては、寝具を使用する人の体型・体重などの個人差、あるいは寝返りの方法によって、その評価が大きくが異なる。
ことから、誰が操作しても同じ結果が得られ、上記の感性の差が定量的に表現できる、基準となる評価方法が強く求められていた。
本発明の目的は、簡便な機構で、実際に人が寝返りをするのと同等の条件を再現するとともに、寝返り性に対する人の感性に近い指標によって、客観的かつ再現性のある数値化された寝具の寝返り性評価方法および評価システムを提供することにある。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、以下に示す寝具の寝返り性評価方法および評価システムによって上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに到った。
つまり、本発明は、寝具の寝返り性評価方法であって、寝具に模擬人体を仰臥させた状態から、該模擬人体をその一側部を基点として横臥する状態まで移動させるのに必要とされる引揚げ力を測定し、該引揚げ力を基に、前記寝具の寝返り性を評価することを特徴とする。
また、本発明は、寝具の寝返り性評価システムであって、側部にフックを有する模擬人体と、該フックに接続あるいは該フックに繋がるワイヤに接続された引揚げ力測定手段とからなり、寝具に模擬人体を仰臥させた状態から、該模擬人体をその一側部を基点として横臥する状態まで移動させるのに必要とされる引揚げ力を測定し、該引揚げ力を基に、前記寝具の寝返り性を評価することを特徴とする。
上記のように、従前は寝返り性に対する定量性のある評価は実質的に不可能であった。これに対し、本発明では、
(i)マットレスなどの寝具に模擬人体例えばマネキンを仰臥させた状態から、その一側部を基点として横臥する状態まで移動させることによって、人の寝返りと同等の状態を形成することができる。
(ii)こうした状態変化を形成させるために必要となる引揚げ力を測定することによって、人が寝返りをするのに要する負荷と同等の数値化された評価値を得ることができる。
ことから、簡便な機構で、実際に人が寝返りをするのと同等の条件を再現するとともに、寝返り性に対する人の感性に近い指標によって、客観的かつ再現性のある数値化された寝具の寝返り性評価方法および評価システムを提供することが可能となった。
ここでいう「引揚げ力を基に」とは、数値化された引揚げ力の大きさによって評価する場合のみならず、これを時間積分した演算値(力積に相当する)あるいは時間平均値、さらには、単位角度の値を角度によって積算した積算値あるいは単位角度当りの角度平均値を用いて評価する場合を含むものである。
本発明は、上記寝具の寝返り性評価方法であって、前記引揚げ力を測定する時の模擬人体の表面温度を、体温と等価な温度に維持することを特徴とする。
また、本発明は、上記寝具の寝返り性評価システムであって、前記引揚げ力を測定する時の模擬人体に、体温と等価な温度の流体を導入することを特徴とする。
寝具の寝返り性は、マットレスなど寝具の表面と人の接触面の条件が影響する。特に、寝具と接する表面温度(人の場合には体温約36℃に相当)が変化すると、寝具への沈み込みが変化することから、模擬人体を用いて評価する場合には、こうした条件を十分考慮する必要がある。具体的には、例えば、測定する時の模擬人体に体温と等価な温度の流体を導入することによって、一定温度(体温)を有する人と室温の寝具との接触面における寝具表面の柔軟度や摩擦状態を再現し、より正確な測定が可能となる。
本発明は、上記寝具の寝返り性評価方法であって、前記模擬人体の引揚げ方向を、該寝具に対する平面方向と垂直方向の該中間の角度を有する方向とすることを特徴とする。
寝具の寝返り性の評価試験においては、寝具以外の評価条件を極力同一にする必要がある。特に、上記引揚げ力の測定に係る条件は、測定値に直接影響するおそれがあることから、より厳格に同一性を確保する必要がある。本発明の検証時に、模擬人体の引揚げ方向を実証試験したところ、仰臥状態に対して45℃近傍が好ましいことが判った。また、人体を剛体と仮定した場合には、その側部を基点とする回転運動の推進ベクトルは、その起点となる仰臥状態から横臥状態への移行に伴い変化するが、一定方向に引揚げる場合には、その適正角度は、両ベクトルの中心が好ましい。
また、本発明は、上記寝具の寝返り性評価方法であって、前記引揚げ力の最大値を、前記寝具の寝返り性を評価値とすることを特徴とする。
上記のように、寝具の寝返り性評価において、「引揚げ力を測定することによって、人が寝返りをするのに要する負荷と同等の数値化された評価値(力積を含む)を得ることができる」との知見を得た。このとき、こうして得られた引揚げ力の測定値をどのように利用して評価するかが重要であり、例えば、横臥するまでの瞬時の測定値を基にした、(i)最大値、(ii)力積、(iii)時間平均値、あるいは単位角度における測定値を基にした、(iv)最大値、(v)積算値、(vi)角度平均値などによって評価することができる。本発明者は、その検証過程において、(i)瞬時の測定値を基にした最大値、あるいは(iv)単位角度における測定値を基にした最大値が、最も上記感性と合致する指標である、とのさらに詳細な知見を得ることができた。
本発明は、上記寝具の寝返り性評価システムであって、前記模擬人体が、人体の体幹部に相当する部位を含むことを特徴とする。
寝具の寝返り性の評価方法においては、寝具の表面と人(模擬人体)の接触条件が影響する。このとき、測定対象となる寝具は、設置条件を固定すれば変動要素は非常に少ない一方、模擬人体については、上記温度条件に加え、体重や四肢や首などの状態によって変動する。本発明者の検証結果において、四肢や首などの状態の影響を受けない人体の体幹部に相当する部位を検体として用いることが好ましいことが判った。また、同時に体重についても、評価に適した代表値として、検証を行った。詳細は後述する。
以上のように、本発明は、上記のような所定の模擬人体を、その一側部を基点として横臥する状態まで移動させるときに必要となる引揚げ力を測定することによって、簡便な機構で、実際に人が寝返りをするのと同等の条件を再現するとともに、寝返り性に対する人の感性に近い指標によって、客観的かつ再現性のある数値化された寝具の寝返り性評価方法および評価システムを提供することを可能とする。
本発明に係る寝具の寝返り性評価システム(以下「本システム」という)は、側部にフックを有する模擬人体と、フックに接続あるいはフックに繋がるワイヤに接続された引揚げ力測定手段とからなり、寝具に模擬人体を仰臥させた状態から、模擬人体をその一側部を基点として横臥する状態まで移動させるのに必要とされる引揚げ力を測定し、引揚げ力を基に、寝具の寝返り性を評価することを特徴とするものである。以下、本発明の実施の形態を、模擬人体として体幹部からなるマネキンを用い、測定対象となる寝具としてマットレスに適用した場合を例に挙げて、図面に基づいて説明する。
<本発明に係る寝具の寝返り性評価システムの基本的な構成>
図1は、本発明における実施の形態の1つであり、マットレス1にマネキン2を仰臥させた状態から、マネキン2の側部2aに設けられたフック3に接続されたワイヤ4を引揚げつつある状態を示している。このとき、ワイヤ4には、フォースゲージの一種であるプッシュプルゲージ5が接続され、マネキンを移動するときの引揚げ力を測定することができる。
ここで、ワイヤ4をフック3に接続するタイプを開示しているが、マネキン2に直接ワイヤ4を接続することも可能であり、その接続方法や用具について、特に限定されるものではない。ワイヤ4は、強度および非弾性が好適であることから金属製が好ましい。
ワイヤ4の引揚げ角度については、仰臥状態に対して45℃近傍が好ましい。つまり、人が寝返りをするときには、図2に示すように、起点となる仰臥状態Aから、人体(マネキン2)の側部2bを基点として横臥状態Bへ移行する。このとき、最大移動する側部2aは、仰臥状態Aにはa方向の推進ベクトルを有し、横臥状態Bにはb方向の推進ベクトルを有することから、ワイヤ4を一定方向に引揚げる場合の適正角度は、両ベクトルの中心である仰臥状態に対して45℃近傍が好ましい。また、引揚げ角度を一定方向にして行った実証結果も、ほぼ同様の条件において引揚げ力の最大値を得ることができた。
また、ワイヤ4の引揚げ速度については、実際に人体が寝返りを行うときの速度に近いことが好ましく、具体的には5〜20m/minが好ましい。つまり、こうした範囲の引揚げ速度によって、人体と寝具との接触面における寝具表面の柔軟度や摩擦状態を再現し、より正確な測定が可能となり、より体感に近い評価を行うことができる。
引揚げ力を測定については、フォースゲージを用いることが、測定精度および操作性の面で好ましい。通常、力の測定においては、弾性体に生じる歪を測定する方法や圧電効果により発生する電荷を計測する方法が用いられるが、本発明のようなワイヤ4における引揚げ力の測定においては、前者を用いたフォースゲージが、ワイヤ4方向の力をより正確に測定することができ、操作性においても優れている。また、マネキン2の仰臥状態から横臥状態への移行に伴う引揚げ力の変化は、図3に示すように、引揚げ開始直後に最大値となり、徐々に減少することが判った。従って、こうした最大値を正確に測定できる測定手段が好ましく、フォースゲージの一種であるプッシュプルゲージ5が、非常に精度よく測定することが判った。
〔模擬人体(マネキン)について〕
模擬人体の外形は、人体と等価であることが好ましいが、体型は年齢や男女差あるいは個人差によって大きなバラツキがあり、体重とも大きな関係がある。これらの要素を含めた集約的な評価を行うことは困難であり、むしろ、検証過程において特定の体型を設定した代表値によって評価する方が、評価の客観性を担保しうるとの確信を得た。本システムにおいては、人間の平均体型(男女のデータ平均)に近いマネキンを用いることが好ましい。つまり、背部や肩部あるいは腰部(臀部を含む)の形状や寸法および各部位間の距離等について、例えば日本人の平均体型を用いることによって、人体と寝具との接触面における寝具表面の柔軟度や摩擦状態を再現し、より正確な測定が可能となり、より体感に近い評価を行うことができる。
また、模擬人体は、人体の体幹部に相当する部位を含むことが好ましい。胴体部は人体の主要部を占めるものであり、これを外すことはできず、また評価時の状態についても比較的固定的に取り扱うことが可能である。一方、人体における四肢や首などは、膝や肘の曲がり具合あるいは首の傾斜状態などが寝返り性に影響する場合がある。従って、こうした四肢や首などのない体の部位が好ましい。ただし、四肢の一部である大腿部は、寝具と接触する部分も大きく寝返り動作に大きな影響を与えるとともに、付加することによって人体に近い形状と重量面においても人体に近い条件を確保することができる。実際の検証においても、図1に示すような体幹部に相当する部位を有する模擬人体を、検体として用いることが好ましいことが判った。
模擬人体の重量は、人体と等価であることが好ましいが、人体の体重は年齢や体型あるいは個人差によって大きなバラツキがある。上記の人体の体型と同様の観点から、本システムにおいては、特定の体重を設定した代表値によって評価する方法として、人間の平均体重(男女のデータ平均)に近いマネキンを用いることが好ましい。つまり、例えば日本人の平均体重を模擬人体の重量として用いることによって、人体と寝具との接触面における寝具表面の柔軟度や摩擦状態を再現し、より正確な測定が可能となり、より体感に近い評価を行うことができる。具体的には、以下の条件設定から模擬人体の重量を27.5kgに調整することができる。
(1)18歳から60歳までの男性平均体重として、64kgを設定した。
(2)体幹部の比率として、43%を設定した。
(3)以上から、模擬人体の重量=64×43/100=27.5(kg)と設定した。
模擬人体は、人と同等の外形・重量を有するとともに、人の体温と同等の表面温度を確保できるものであれば、図1におけるマネキン2に限定されるものではない。例えば、将来模擬人体としてロボットを用いることも可能である。この場合、フックやワイヤなどを用いずに、自己の体からアームを押出し、その仰臥させた状態から横臥する状態まで姿勢を変更することも可能であり、寝返り性を評価する指標として、上記のような引揚げ力に相当する押出し力の大きさを用いることも可能であるとともに、その力積の総和やエネルギーの総和などを算出し用いることも可能である。
模擬人体の表面温度は、体温と等価な温度、具体的には約36℃に維持することが好ましい。一定温度(体温)を有する人と室温の寝具との接触面における寝具表面の柔軟度や摩擦状態を再現するとともに、寝具と接する表面温度が変化に伴う寝具への沈み込みの変化を排除することができる。これによって、より正確な測定が可能となる。
また、模擬人体の材質は、体型を保持し上記の条件を確保できれば、特に限定されないが、通常ポリプロピレン(PP)が多用される。
<本発明に係る寝具の寝返り性の評価方法>
本発明に係る寝具の寝返り性の評価は、図4に例示するように、以下の手順に従い行うことができる。
〔操作手順〕
(1)図4(1)に示すように、マットレス1にマネキン2を仰臥させ、フック3にワイヤ4を接続する。続いてワイヤ4にプッシュプルゲージ5を接続し、その出力をCPUなどのデータ処理手段(図示せず)に送信できるように設定する。
(2)図4(2)に示すように、プッシュプルゲージ5を保持しながら、所定の速度で、マットレス1の静置状態の水平面Hと、その垂直方向に対して略中間の角度θ(つまり45°)の方向に引揚げる。
(3)引揚げ速度および引揚げ角度を一定に保持しながら、図4(3)に示すように徐々に引揚げ、図4(4)に示すように横臥状態になった時点で引揚げを停止する。
(4)このとき、こうして得られた引揚げ力の測定値は、連続したデータとしてデータ処理手段によって演算や処理され、この値(以下「演算値」という)を基に、マットレス1の寝返り性を評価する。
〔評価方法〕
演算値による寝返り性の評価方法としては、横臥するまでの瞬時の測定値を基に評価する方法と、単位起上り角度における測定値を基に評価する方法を挙げることができる。
(1)瞬時の測定値の最大値:寝返り時の人体が受ける最大負荷に相当するものであり、最も感性と合致する指標であると想定することができる。実証試験においても、最も実感覚と合致するとの結果を得ることができた。
(2)瞬時の測定値の力積:寝返り時の人体が受ける総負荷に相当するものであり、特に緩やかな寝返りにおいて感性と合致する指標であると想定することができる。
(3)瞬時の測定値の時間平均値:寝返り時の人体が受ける負荷を時間で平均化することによって、特に短時間での寝返りにおいて感性と合致する指標であると想定することができる。
(4)測定値の最大値とそのときの起上り角度:人体と寝具との接触面における寝具表面の柔軟度や摩擦状態が無視できれば、角度0°において最大となることから、こうした表面の状態の水平方向成分の負荷を想定することができる。
(5)単位起上り角度における積算値:寝返り時の人体が受ける負荷を起上り角度によって積算することによって、上記(2)とは異なり、時間要素を排除した寝返り時の人体が受ける総負荷を想定することができる。
(6)単位起上り角度における角度平均値:寝返り時の人体が受ける負荷を起上り角度によって平均化することによって、上記(5)と同様、時間要素を排除した人体が受ける総負荷を評価することができるとともに、評価開始時の人体の状態に制限されずに評価することができる。つまり寝返り開始時において仰臥の状態でない場合の感性と合致する指標であると想定することができる。
上記寝具の寝返り性の評価方法に基づき、各種寝具について、その寝返り性の評価を行った。
(1)試験条件
(1−1)被検寝具:表1に示す寝具を評価の対象とした。
(1−2)マネキン:図1に例示する形状のマネキンを用い、総重量27.5kgとした。
(1−3)供給温水:温度36℃±1℃に制御された温水を供給した。
(1−4)引揚げ方向:寝具の水平面から約45°方向に固定して、移動速度:10m/minで引揚げた。
(1−5)試験用寝具:下表1に示す6種類の寝具を対象とした。
ここで、「開発品」とは、
上層部:高機能ソフトフォーム#GTF40(密度40ソフトフォーム)、
中間層:高通気高硬度フォーム#XL22HB(密度22高通気高硬度フォーム)
下層部:ブレスエアー
からなる寝具をいう。
(2)試験結果
下表1に、各寝具についての引揚げ力の最大測定値を示す。「開発品」が、最もストレスなく寝返りが打てることが確認できた。上層部の反発と中間層の硬度が適度に相俟って、引揚げ力の低減に効果を発揮していると推測する。低反発マットレスについては、人体の沈み込みが大きく、負荷が大きいと推定することができる。
Figure 0004977913
以上のような、模擬人体を用いることによって、マットレスや敷き布団等の寝具における寝返り性を、数値化して表現できることが可能となった。これにより、従前暖昧であった判断基準を、客観化し明確化することが可能となった。
上記のような、本発明の有する機能は、寝具のみならず、種々の家具や道具などを評価する場合にも利用することが可能である。具体的には、家庭内あるいは自動車の後部座席や、特に幅広タイプのソファーやフローリングなど寝具と同様の機能を有するものについて適用が可能であり、体の負荷を軽減し快適な感触を必要とされる場合に有用である。
本発明に係る寝具の寝返り性評価システムの基本的な構成を例示する説明図 寝具に仰臥された人体が寝返りを行うときの状態を模擬的に示す説明図 人体の仰臥状態から横臥状態への移行に伴う引揚げ力の変化を示す説明図 本発明に係る寝具の寝返り性評価方法を例示する説明図 従来技術に係るマットレスの1の構成を例示する説明図 従来技術に係るマットレスの他の1の構成を例示する説明図 従来技術に係るマットレスの他の2の構成を例示する説明図 従来技術に係るベッドの1の構成を例示する説明図
符号の説明
1 マットレス
2 マネキン
2a、2b 側部
3 フック
4 ワイヤ
5 プッシュプルゲージ

Claims (7)

  1. 寝具に模擬人体を仰臥させた状態から、該模擬人体をその一側部を基点として横臥する状態まで移動させるのに必要とされる引揚げ力を測定し、該引揚げ力を基に、前記寝具の寝返り性を評価することを特徴とする寝具の寝返り性評価方法。
  2. 前記引揚げ力を測定する時の模擬人体の表面温度を、体温と等価な温度に維持することを特徴とする請求項1記載の寝具の寝返り性評価方法。
  3. 前記模擬人体の引揚げ方向を、該寝具に対する平面方向と垂直方向の該中間の角度を有する方向とすることを特徴とする請求項1または2記載の寝具の寝返り性評価方法。
  4. 前記引揚げ力の最大値を、前記寝具の寝返り性を評価値とすることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の寝具の寝返り性評価方法。
  5. 側部にフックを有する模擬人体と、該フックに接続あるいは該フックに繋がるワイヤに接続された引揚げ力測定手段とからなり、寝具に模擬人体を仰臥させた状態から、該模擬人体をその一側部を基点として横臥する状態まで移動させるのに必要とされる引揚げ力を測定し、該引揚げ力を基に、前記寝具の寝返り性を評価することを特徴とする寝具の寝返り性評価システム。
  6. 前記引揚げ力を測定する時の模擬人体に、体温と等価な温度の流体を導入することを特徴とする請求項5記載の寝具の寝返り性評価システム。
  7. 前記模擬人体が、人体の体幹部に相当する部位を含むことを特徴とする請求項5または6記載の寝具の寝返り性評価システム。
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