JP4977290B2 - 隔膜法によるNaCl電解工場における希塩水の濃度を上昇させる方法 - Google Patents

隔膜法によるNaCl電解工場における希塩水の濃度を上昇させる方法 Download PDF

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Description

【0001】
本発明は、隔膜法によるNaCl電解工場における希塩水の濃度を上昇させる方法に関する。
【0002】
隔膜法による塩素及び水酸化ナトリウムの製造では、実質的に飽和のNaCl溶液(塩水)を電解槽に供給する。この方法では所望の生成物の塩素、水酸化ナトリウム及び水素を直流で製造する。同時に、塩水中における塩の濃度は80−130g/lまで減少する。更に電解槽に存在する塩水量も、電解過程で生成するNaOHモル当たりH2O 3−4モル減少する。
【0003】
電解過程を維持するために、これらの槽には、槽を出る希塩水(陽極液)の塩濃度を、隔膜製造業者の特定する最小濃度以下に低下させないように、十分な濃度の塩水を連続的に供給しなければならない。これはNaCl約170g/lである。塩水の低下は普通NaCl200−220g/lに制限されている。
【0004】
かくして電解槽に塩水と共に導入される塩の量の約40%が利用される。槽を出る希塩水は経済的且つ環境的理由からリサイクルされる。即ち脱塩素後、固体の塩を用いて塩の濃度を再び上昇させ、適当な精製後に電解槽に返送する。この濃度を上昇させる結晶塩の添加に先立って、失われた水量を添加して膜を通って流出する液体量を補充する。
【0005】
塩水の濃度を高める通常の工場では、普通結晶塩を含む容器(迅速溶解器)中を底部から上部へ塩水を通過させる。塩は機械的な供給装置により連続的に迅速溶解器へ導入される。他の方法では、希塩水を開放された塩の貯蔵器中へ導入し、そこで濃度を上昇させる[ウルマンの工業化学辞典、章「塩素と塩化ナトリウム、リインホルド出版社(Reinhold Publishing corp.,米国)、1962年]。
【0006】
そのような工場においては、自動コンベア装置またはバケット−フィール装填機を用いて適当な乾燥塩貯蔵装置から塩が取り出される。
【0007】
従来法で公知の方法は、一連の欠点を被る。
【0008】
可能ならば塩の輸送路から、中間的な貯蔵装置なしに塩を迅速溶解器へ直接供給したい。しかしながら、この場合に使用される塩にはその貯蔵を可能にするためにケーク化防止剤(例えばヘキサシアノ鉄(III)カリウム)をドープしなければならない。しかしこの防止剤は電解法の電流効率を悪くする[参照、W.フェルステーゲン(Versteegen)、アクゾ・ノベル(Akzo Nobel)報告書、塩素−苛性工場のアルカリ性塩水における、溶解及び塩水処理中の鉄ヘキサシアニドの分解、著者J.H.G.ファン・デア・ステーゲン(Steegen)、26.03.1990]。
【0009】
開放溶解ピットは塩を含むミストを発生させ、これが順次周囲の装置を腐食によってかなり損傷する。更に、消散流の結果として不必要に多量の熱が失われるため、後で加熱しなければならない。
【0010】
更に迅速溶解器へ供給するための機械的供給装置は連続的な摩耗を受け、高度のメインテナンス条件を必要とし、対応して労力のいる管理と注視を要する。
【0011】
本発明の目的は、上述した欠点を回避した、且つ
−貯蔵器(サイロ)から希塩水の濃度を自動的に上昇させ、
−ケーク化防止剤を添加しないで塩の貯蔵を可能にし、
−熱損失が低く、
−多量の塩を使用状態に保ち、
−機械的輸送装置を使用しない、
希塩水の濃度を高める方法を提供することである。
【0012】
しかしながら、乾燥或いは残存水分量1−3%を含むほとんど乾燥状態のNaClはサイロ中に貯蔵できはしない。それはブリッジ(bridge)の形成及びケーク化の害を受けがちであり、信頼できる秤量を不可能にするからである。
【0013】
今回驚くことに、ケーク化防止剤を添加してないNaClが、NaClをいくらかの上澄液が常に保証されるように水と混合するならば、サイロに貯蔵でき、そこから問題なく秤量できるということが発見された。塩の上の液体の高さはサイロの寸法と形態に依存して変えられる。それは塩が乾かないように選択すべきである。必要ならば、調合中に水を添加しなければならない。
【0014】
したがって本発明は、塩を、上澄液と共に物質流サイロ中に貯蔵し、そこから迅速溶解器へ連続的にまたは好ましくは希塩水流へ直接供給する、隔膜法によるNaCl電解工場における希塩水の濃度を上昇させる方法を提供する。
【0015】
本発明によれば、塩床が飽和塩水または水で覆われているようにして、塩をサイロ中に貯蔵する。塩床上の液体の高さは水/NaCl混合物を取り出す時に低下するから、塩の上の液体の最小高さ20cmを維持するために更なる水を導入しなければならない。
【0016】
ブリッジの形成を抑制し、サイロの出口導管から結晶塩をフラッシュするために、上澄塩水が使用される。塩の放出には比較的少量の液体で十分である。
【0017】
サイロの寸法は、塩に起因する濾過抵抗が所望の塩量を放出しうる液体をもたらすようなものであることが必要である。好適なサイロは物質流(mass flow)サイロである。一般に、この種のサイロは次の寸法を有する:直径5−12m、高さ10−25m。
【0018】
サイロの内容物を通って濾出する液体量はチェックでき、その大きさは例えば地下水流に対する公知の計算法の助けをかり、サイロにおける静置固体を仮定して推定される。
【0019】
数学的計算は、通常の物質流サイロにおいて、隔膜法電解で必要とされる塩量を放出するのに十分な濾出液が細かく粉砕された塩の場合にでさえ得られることを示す。
【0020】
一方、実験は、放出物中の液体の割合が塩水循環に必要とされる更なる水の量よりも少ないことを示す。これは、必要に応じて添加水量を制禦すべきことと関連して、NaCl隔膜法にとって有利であることが分かる。
【0021】
【実施例】
いずれのケーク化防止剤も含まない結晶化させた塩20tを、円錐底と出口導管を有する20m3 の容器に入れ、上澄液層の高さが約20cmとなるまで脱イオン水を入れた。
【0022】
出口導管から、約250g/lの濃度を有する塩の塩水を、ポンプにより流量測定器及び放射線密度測定器を介して次の工程段階(塩水濾過)へ送入した。
【0023】
この放射線密度測定器は、密度1.198g/m3 の実質的に飽和の塩水を与えるのに十分な塩スラリーを塩水流に秤入する制禦バルブを調節するために使用した。
【0024】
濃度を上昇させる希塩水の量が半分になった後、約90秒後に上述した値1.198g/m3 が回復した。
【0025】
ポンプの出力を再び増加させるならば、上述した密度値は60秒以内に再構築できた。
【0026】
約2.1m3 /時の平均塩水流において、塩は83時間後にサイロから完全に消費され、一方上澄液は依然出口円錐の高さの三分の一を覆った。
【0027】
なお本発明の特徴と態様は以下の通りである。
【0028】
1.必要とされるNaClを、上澄液と共に物質流サイロ中に貯蔵し、そこから迅速溶解器へ連続的に供給する、隔膜法によるNaCl電解工場における希塩水の濃度を上昇させる方法。
【0029】
2.塩/水混合物を希塩水流に直接供給する、上記1の方法。
【0030】
3.塩を、機械的輸送装置を用いてサイロに供給する、上記1の方法。
【0031】
4.塩を、水圧輸送装置を用いてサイロに供給する、上記1の方法。

Claims (5)

  1. 隔膜法によるNaCl電解工場における希塩水の濃度を上昇させる方法であって、必要とされるNaClを、上澄液と共にケーク化防止剤なしでNaCl塩床として物質流サイロ中に貯蔵し、そしてそこから迅速溶解器へ又は希塩水を運ぶ導管へ連続的に供給し、そしてここで塩の上の液体の高さは塩が乾かないように選択されることを特徴とする、上記方法。
  2. 塩/水混合物を希塩水流に直接供給する、請求項1記載の方法。
  3. 塩を、自動コンベア装置を用いてまたはバケット−フィール装填機によってサイロに供給する、請求項1記載の方法。
  4. 塩を、水圧輸送装置を用いてサイロに供給する、請求項1記載の方法。
  5. NaCl塩をサイロ中に貯蔵する方法であって、ここで、塩が乾燥しないように且つ塩の放出の間中サイロ出口導管から結晶塩がフラッシュするように、塩がケーク化防止剤なしで且つ上澄液と共に塩床として貯蔵される、上記方法。
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