JP4977011B2 - バチルス・ズブチリスを用いた甲殻類カビ病および魚介類カビ病の予防方法 - Google Patents
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Description
1.残留性の高い化学物質ではないこと;
2.微生物の力を利用した方法であること;
3.その微生物が人畜に無害であること;および
4.医薬品ではなく、飼料としても利用可能なこと。
(1)B1144株菌液の調製
B1144株菌株を普通寒天培地で培養し、250mg/ml(湿重量)となるように調製し、マイクロチューブに入れ、-20℃で保存した。この菌液の100倍希釈液(2.5mg/ml)を試験に用いた。
フサリウム・ソラニ(Fusarium solani)をポテトデキストロース培地で7日間培養した。培地上に滅菌水を加えて、よくピペッティングし、分生子を分散させた。血球計算盤を使って分生子を計数した。105細胞/mlとなるように調製し、試験に用いた。分生子液は用時調製した。
丸形シャーレに3%の塩化ナトリウムを添加した普通寒天培地を10ml加え、均等に直径8mmのペニシリンカップを配置した。ペニシリンカップを配置した状態で、3%の塩化ナトリウムを添加した普通寒天培地を等量(10ml)加えた。固化したのちにペニシリンカップを除去したものを試験培地とした。
クルマエビを使用して、B1144株による鰓黒病予防試験を行った。
(1)水槽
用いたクルマエビは体重約10gであった。これを60リットル水槽に10尾ずつ入れた。飼育には水槽の底に厚さ2cmとなるように砂を敷いた。枯草菌の処理を行うまでは、市販飼料を毎夕体重3%与えた。
使用するB1144株は普通培地で5日間培養した液を用いた。98%以上の胞子形成を認めた培養液を使用した。菌濃度は約8×109細胞/mlであった。一定量の菌液を市販のクルマエビ飼料と混合し、B1144株混合飼料を作製した。B1144株培養菌液と混合飼料は使用時まで冷蔵庫に保存した。
フサリウム・ソラニ(Fusarium solani)をポテトデキストロース培地で7日間培養した。培地上に滅菌水を加えて、よくピペッティングし、分生子を分散させた。血球計算盤を使って分生子数を数えた。105細胞/mlとなるように調製し、試験に用いた。分生子液は用時調製した。
試験は、
1.クルマエビ飼料にB1144株を混合し毎日投与;
2.試験水槽に毎日一定量のB1144株培養液を添加;
3.試験開始前に底砂にB1144株の培養液を混ぜ込む;および
4.無処理
の4区を設定して行った。一定期間の処理を行ったのち、フサリウム菌の分生子105〜107細胞をそれぞれの飼育水槽に添加した。添加後20日間観察を行い、最終生残率から効果を判定した。それぞれの区の飼料投与量は毎夕体重3%とした。試験結果を図2に示す。
B1144株を用いたクルマエビの養殖を実施した。
(1)使用した試験飼料
使用するB1144株は普通培地で5日間培養し、98%以上の胞子形成を認めた培養液を使用した。菌濃度は約8×109細胞/mlであった。この培養液を凍結乾燥し、菌培養液粉末を作製した。一定量の粉末を市販のクルマエビ飼料と混合し(約104細胞/g)、B1144株混合飼料を作製した。B1144株混合飼料は使用時まで冷蔵庫に保存した。
直径7mのFRPシート水槽を4基用いて、B1144株処理区と無処理区に分けて養殖を開始した。砂の厚さを3〜4cmとした。水深を60cmとし、水中ブロアーによって酸素供給を行った。平均体重5gのクルマエビを放養した。飼育密度は20尾/m2とした。養殖水槽の飼育水は、毎日10%量の換水を行った。試験期間中の水温は21℃から28℃であった。試験期間中の飼料投与量は毎夕体重3〜5%とした。対照区ではB1144株を含まない餌料を同様に与えた。試験期間中、死亡したクルマエビは解剖を行い、鰓の顕微鏡観察を行うとともに、感染部位からフサリウム菌の検出を行った。
養殖期間中、鰓黒病の症状を示して死亡したエビの出現頻度(平均)は、B1144株処理区3%、無処理区66%であった。処理期間中、フサリウム・ソラニ(Fusarium solani)の投与は行わず、鰓黒病の発生は自然感染であった。このように、本発明のB1144株を用いて養殖することにより、クルマエビの死亡頻度は激減した。
(1)B1144株菌液の調製
B1144株菌株を普通寒天培地で培養し、250 mg/ml(湿重量)となるように調整し、マイクロチューブに入れ、−20℃で保存した。この菌液の100倍希釈液(2.5mg/ml)を試験に用いた。
サプロレグニア・パラシチカ(Saprolegnia parasitica)をポテトデキストロース培地で7日間培養した。伸長した菌糸を含む寒天(7mm角)を切り出した切片を抗菌試験に用いた。
角形シャーレに0.2%の塩化ナトリウムを添加した普通寒天培地を30ml加え、均等に直径8mmのペニシリンカップを配置した。ペニシリンカップを配意した状態で、3%の塩化ナトリウムを添加した普通寒天培地を等量加えた。固化したのちにペニシリンカップを除去し、試験培地を完成させた。この穴の中に1)B1144株菌液50μlのみを加える、および2)菌糸を含む寒天片のみを加える、の2区を設定した。28℃に保った恒温インキュベーター内で10日間培養した。
B1144株を加えた穴の周りでは、サプロレグニア・パラシチカの発育は認められなかった。これら結果からB1144株は、サプロレグニア・パラシチカの発育を抑制または阻止していることが示された。
(1)B1144株の培養上清の調製
普通寒天培地で培養したB1144株菌株の1白金耳を、普通液体培地に加え、浸透培養(150rpm、27℃)を行った。72時間培養ののち、遠心分離(10,000rpm、10分)を行い、上清を回収した。0.45μmのメンブレンフィルターでろ過を行い、培養上清とした。
寒天平板上で良好に発育したフサリウム・ソラニ(Fusarium solani)とサプロレグニア・バラシチカ(Saprolegnia parasitica)の菌糸の先端部分を切り出した寒天片(5mm角)を試験に用いた。
普通寒天培地を入れたシャーレ(直径105mm)に、培養上清を染みこませたペーパーディスクを中心に置いた。その周囲1.0〜2.0 cm離れた位置に菌糸寒天片を等間隔に並べた。27℃で培養を行った。
フサリウム・ソラニ(Fusarium solani)とサプロレグニア・バラシチカ(Saprolegnia parasitica)の伸長してくる菌糸に対して、培養上清を含んだペーパーディスクを中心とした伸長阻止領域が形成された。B1144株が生産し、かつ寒天内を拡散する抗菌物質があることが示唆された。
Claims (23)
- バチルス・ズブチリスB1144株(受託番号:NITE BP-39)。
- 甲殻類カビ病および魚介類カビ病の予防作用を有する、請求項1に記載のバチルス・ズブチリスB1144株(受託番号:NITE BP-39)。
- 甲殻類カビ病がエビの鰓黒病である、請求項2に記載のバチルス・ズブチリスB1144株(受託番号:NITE BP-39)。
- 魚介類カビ病がミズカビ目による疾病(ミズカビ病)である、請求項2に記載のバチルス・ズブチリスB1144株(受託番号:NITE BP-39)。
- 甲殻類病原カビおよび魚介類病原カビに対して抗菌活性を有する、バチルス・ズブチリスB1144株(受託番号:NITE BP-39)の菌体を含む培養液。
- 請求項2に記載のバチルス・ズブチリスB1144株(受託番号:NITE BP-39)または請求項5に記載の菌体を含む培養液を用いた甲殻類カビ病または魚介類カビ病の予防方法。
- 請求項2に記載のバチルス・ズブチリスB1144株(受託番号:NITE BP-39)または請求項5に記載の菌体を含む培養液を甲殻類または魚介類の飼料に混合することにより行う、請求項6に記載の方法。
- 請求項2に記載のバチルス・ズブチリスB1144株(受託番号:NITE BP-39)または請求項5に記載の菌体を含む培養液を甲殻類または魚介類の養殖水槽に混合することにより行う、請求項6に記載の方法。
- 請求項2に記載のバチルス・ズブチリスB1144株(受託番号:NITE BP-39)または請求項5に記載の菌体を含む培養液を甲殻類または魚介類の養殖水槽の飼育砂に混合することにより行う、請求項6に記載の方法。
- 請求項2に記載のバチルス・ズブチリスB1144株(受託番号:NITE BP-39)または請求項5に記載の菌体を含む培養液を甲殻類または魚介類の濾過材または養殖水槽にコーティングすることにより行う、請求項6に記載の方法。
- 請求項2に記載のバチルス・ズブチリスB1144株(受託番号:NITE BP-39)の菌液または請求項5に記載の菌体を含む培養液に甲殻類または魚介類を浸漬することにより行う、請求項6に記載の方法。
- 請求項2に記載のバチルス・ズブチリスB1144株(受託番号:NITE BP-39)または請求項5に記載の菌体を含む培養液を甲殻類または魚介類の体表に直接スプレーすることにより行う、請求項6に記載の方法。
- 請求項2に記載のバチルス・ズブチリスB1144株(受託番号:NITE BP-39)または請求項5に記載の菌体を含む培養液を甲殻類または魚介類の体内に注射することにより行う、請求項6に記載の方法。
- 甲殻類カビ病がエビの鰓黒病である、請求項6ないし13のいずれかに記載の方法。
- 魚介類カビ病がミズカビ目による疾病(ミズカビ病)である、請求項6ないし13のいずれかに記載の方法。
- 請求項2に記載のバチルス・ズブチリスB1144株(受託番号:NITE BP-39)または請求項5に記載の菌体を含む培養液を有効成分として含む、甲殻類カビ病の予防用製剤。
- 甲殻類カビ病がエビの鰓黒病である、請求項16に記載の予防用製剤。
- 請求項2に記載のバチルス・ズブチリスB1144株(受託番号:NITE BP-39)または請求項5に記載の菌体を含む培養液を含む、甲殻類カビ病の予防作用を有する甲殻類用飼料。
- 甲殻類カビ病がエビの鰓黒病である、請求項18に記載の甲殻類用飼料。
- 請求項2に記載のバチルス・ズブチリスB1144株(受託番号:NITE BP-39)または請求項5に記載の菌体を含む培養液を有効成分として含む、魚介類カビ病の予防用製剤。
- 魚介類カビ病がミズカビ目による疾病(ミズカビ病)である、請求項20に記載の予防用製剤。
- 請求項2に記載のバチルス・ズブチリスB1144株(受託番号:NITE BP-39)または請求項5に記載の菌体を含む培養液を含む、魚介類カビ病の予防作用を有する魚介類用飼料。
- 魚介類カビ病がミズカビ目による疾病(ミズカビ病)である、請求項22に記載の魚介類用飼料。
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