JP4976703B2 - 固体撮像素子収納用ケース及び固体撮像装置 - Google Patents
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Description
セラミックケースでは、セラミックと、金属等からなるリードフレームや固体撮像素子と、ガラス等からなる透明板等との熱膨張差は同等であるので、ケースの成形時や固体撮像素子の実装時の加熱等によるケースの歪み、反り等の変形は小さく、特に問題にはならない。しかしながら、樹脂製ケースでは、樹脂と金属又はガラス等との熱膨張差が大きいため、通常、成形時や実装時の熱によるケースの変形は大きくなる。このような変形があると、入射光の焦点にずれが生じ、固体撮像素子が画像を正確に読み取れなくなる等の問題が生じる。
しかしながら、射出成形等によって成形された樹脂製ケースは、樹脂が線膨張率に異方性を有することが多いことから、成形時のケース内への樹脂の流れ方によってケース底板と側壁部で線膨張率に差を有することがあり、この線膨張率の差がケースを加熱・冷却した場合のソリの原因となる。したがって、特許文献1のようにケース上部と下部の体積比を制御するだけではケースのソリを抑制するのは困難であり、成形時のケース内への樹脂の流れ方を制御するためにケース底板と側壁部の寸法を制御する必要がある。
歪が生じやすいアスペクト比の高いケース本体であって、且つ、樹脂からなるにも拘わらず、長手方向に延びたリブを有することにより、ケース本体の長手方向に垂直な方向の反りや撓みを抑制することができる。リブの数は複数であることが好ましく、剛性を高める観点からは、リブは側壁の高さ方向の延長線上に位置することが好ましい。リード端子は固体撮像素子に電気的に接続される。
尚、本発明において、ケース本体とは、底板及び側壁からなる部分を指し、本発明の固体撮像素子収納用ケースは、ケース本体とリブを備え、必要に応じて、後述する補強部を有する。さらに、固体撮像素子収納ケースにはリード端子が挿設されている。
また、樹脂内に無機材料からなるフィラーを含むことが好ましい。すなわち、無機材料からなるフィラーが樹脂内に含まれることにより、さらに剛性を高めることができるので好ましい。液晶ポリマーと無機材料フィラーとの組み合わせにより相乗的に高剛性を有するケースを構成することができる。
フィラーは、複数の繊維状体及び/又は針状体からなり、個々の繊維状体又は針状体のアスペクト比は5以上であることが好ましい。すなわち、アスペクト比が5以上である場合にはケース剛性を十分に高めることができるので好ましい。
また、これら複数の凹部の長手方向の長さの合計は、底板のの長手方向の長さの20%〜90%であることが好ましい。この場合においても、ケース本体の剛性は十分に維持することができるので好ましい。
なお、側壁部の詳細については、段落0026に後述する。
底板の厚みh、前記リブの幅c、前記複数の肉盗み部(凹部)の個々の深さiは、以下の関係式:0.1≦i/(c+h)≦0.4、を満たすことが好ましい。
底板の厚みh、ケースの高さ方向に沿った前記複数の肉盗み部(凹部)の個々の幅gは、以下の関係式:0.7≦g/h≦1.5、を満たすことが好ましい。
リブの幅c、前記リブの高さdは、以下の関係式:0.5≦d/c≦2.0、を満たすことが好ましい。
図1は本発明の固体撮像装置の一例をその装置の長手方向中央部で短手方向に切断した断面概略図である。図2は、本発明の固体撮像装置の他の一例をその装置の長手方向中央部で短手方向に切断した断面概略図である。
図1及び図2に示すように本発明の固体撮像装置10は、固体撮像素子収納用ケース20、リード端子30、透明板40、及び、固体撮像素子50を有し、この他にボンディングワイヤ60等の記録情報をケース外に電気的に取り出すための手段を有することが好ましい。
本発明の固体撮像素子収納用ケース20は、略矩形の樹脂製底板22と該底板22と略同一の外形面積を有し該底板22に略垂設された樹脂製側壁24とから一体に形成されると共に、金属製リード端子30が挿設され、開口部が透明板40により閉塞可能な中空の樹脂製固体撮像素子収納用ケースであって、該底板22の外底面の長手方向に垂設された少なくとも1つのリブ26を有する。
本発明の固体撮像装置10は、金属製リード端子30が挿設された該固体撮像素子収納用ケース20を具備し、該固体撮像素子収納用ケース20の開口部を透明板40が閉塞し、該透明板40を通して装置外から入射する画像を固体撮像素子50により撮像可能である。この固体撮像素子50は該ケースの内底面上に設置され、素子回路を装置外に接続するための外部導線を有している。該ケースの内底面は、固体撮像素子50を載置する領域を有する。固体撮像素子50と導電性金属から形成されるリード端子30とは、ボンディングワイヤ60により電気的に接続されるのが好ましく、該リード端子30により固体撮像装置は外部と電気的に接続される。リード端子以外に金属バンプ等の外部と電気的に接続可能な手段を使用しても良い。
内底面とは、側壁が設けられた側の面のことを言い、外底面とは、側壁が設けられた面とは反対側の面をいう。
側壁は略矩形の底板に略垂設されているが、厳密に垂直に設けられた側壁の他に、開口部に向かってやや広がって設けられた樹脂製側壁をも含む意である。「やや広がって」とは垂直方向から45°以内、好ましくは30°以内の傾斜を有することをいう。
リード端子は、リードフレームを用い、該ケース成形時に樹脂組成物と一体に成形し、その後曲げや切断等の加工を施し、リード端子とするのが好ましい。
該ケースにリード端子が挿設される位置や数としては、本発明の趣旨を逸脱しない限り特に制限はない。
ここで、透明板とは、撮像に使用する入射光、一般には可視光(400〜700nm)及び近赤外域において透過率が80%以上、好ましくは90%以上の板状部材をいう。透明板40は、波長400〜800nmにおいて90%以上の透過率を有することが好ましい。特に、固体撮像装置をバーコードリーダーとして用いる場合には、波長650〜660nmにおいて、90%以上の透過率を有することが好ましい。
透明板の材質としては、本発明の趣旨を満たす限り特に限定されないが、例えば、透明ガラス、透明樹脂又は透光性セラミック等が好ましい。より具体的には、透明板の材質として、ガラス、アクリル樹脂、ポリカーボネート、シクロオレフィン単位含有ポリマーが例示できる。また、集光効果を得るため、透明板にレンズ等を用いてもよい。
透明板と固体撮像素子収納用ケースとの接合方法としては、接着剤等による接着や、嵌合などの方法が挙げられる。接着剤としては、公知のものを用いることができ、特に公知の熱硬化性樹脂、湿気硬化性樹脂、可視光硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂を用いることが好ましく、例えば、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ユリア・メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂、アクリレート樹脂などを例示することができる。これらの硬化性樹脂を形成する樹脂形成組成物は、該硬化性樹脂を形成するモノマーやオリゴマーやポリマーに対して、必要に応じて重合開始剤、架橋剤、反応促進剤等の添加剤、シリカ等の無機充填材等を用途に合わせて適宜組み合わせてもよい。
「リブ」とは、樹脂ケースの機械的強度を補強する部分をいう。
「長手方向」とは、矩形の長辺方向のことをいい、「短手方向」とは、矩形の短辺方向のことをいう。
「外底面の長手方向に垂設された」とは、外底面の長手方向とほぼ平行であって、外底面からほぼ垂直に設けられていればよく、リブの断面形状は、長方形や台形、三角形であってもよい。
本発明の固体撮像素子収納用ケースはリブを有することで、機械的強度が増加するだけでなく、加熱・冷却時の熱膨張や熱収縮に伴い、成形時及び実装時に生じる歪みや反りを抑制することができる。
また、本発明の固体撮像素子収納用ケースはリブを有することで、該固体撮像素子収納用ケースの放熱表面積が広がり、固体撮像装置として用いる際、固体撮像素子より生じる熱をそのリブ表面より放熱でき、リブのない固体撮像素子収納用ケースの態様よりも優れた放熱効果が得られる。また、本発明の固体撮像装置と、公知の送風装置とを組み合わせて用いて、固体撮像装置の短手方向から風を送ることでより優れた放熱効果が得られる。
また、リブには必要に応じ、後述する肉盗み部や、穴がリブを貫通した貫通部等を設けてもよい。
「長手方向の側壁」とは、図3に示すように、底板の長辺とほぼ平行であって、底板よりほぼ垂直に設けられた側壁24aのことをいい、「短手方向の側壁」とは、底板の短辺とほぼ平行であって、底板よりほぼ垂直に設けられた側壁24bのことをいう。
「該ケースの長手方向中央部の断面」とは、該ケースの長手方向で、短手方向側壁部分より外側を除いた内側の部分の断面をいう。
固体撮像素子収納用ケースが図1に示す形状を有していると、熱変形の抑制、固体撮像装置組み立て時の作業性、放熱効果及びコストの面において優れている。また、ワイヤボンティングを行う際には、通常、固体撮像素子及びリード端子を加熱する必要があるが、該ケースが図1に示す形状であると、外底面にヒータ等の加熱ブロックを接触させて効率的に加熱することもできる。
また、図2に断面図を示すように、長手方向の2つの側壁24aの幅よりも対向して設けられる2つのリブ26の幅を広くすることもできる。
ゲートを短手方向の片側側壁面内に設けることにより、長手方向の側壁及び長手方向と平行に設けられたリブに対して平行方向に樹脂がバランスよく流動することになり、成形されたケースの側壁、底板及びリブの各部の線膨張率が均等になり、加熱・冷却時の熱変形に伴う反りの発生を抑制することができるので好ましい。
また、本発明の固体撮像素子収納用ケースは、その長手方向の寸法が短手方向の3倍以上の寸法を有するのが好ましく、4〜20倍の寸法を有するのが、より好ましく、4〜15倍の寸法であるのが、さらに好ましい。
熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂及び不飽和ポリエステル樹脂等が例示でき、フェノール樹脂、エポキシ樹脂が好ましく使用される。
また熱可塑性樹脂としては、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、フッ素樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、液晶性ポリマー、ポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂等が例示でき、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、液晶性ポリマーが好ましく使用され、流動性、耐熱性及び剛性に優れているという観点からは液晶性ポリマーが特に好ましく使用できる。これらの樹脂は単独で用いても、ポリマーアロイとして複数を同時に用いても良い。上記の例示の中でも、ケース本体及びケース本体と一体に成形されるリブ及び補強部は、共に液晶ポリマーからなることが好ましい。
なお、上記の樹脂の概要については、「高分子大辞典」(丸善株式会社、平成6年9月20日発行)及びそれに引用された文献などに記載されている。
使用される充填剤としては、ガラス繊維(ミルドガラスファイバー、チョップドガラスファイバーなど)、ガラスビーズ、中空ガラス球、ガラス粉末、マイカ、タルク、クレー、シリカ、アルミナ、チタン酸カリウム、ウォラストナイト、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸ソーダ、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、亜硫酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、珪酸カルシウム、けい砂、けい石、石英、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、グラファイト、モリブデン、アスベスト、シリカアルミナ繊維、アルミナ繊維、石膏繊維、炭素繊維、カーボンブラック、ホワイトカーボン、珪藻土、ベントナイト、セリサイト、シラス、黒鉛などの無機フィラー、チタン酸カリウムウィスカ、アルミナウィスカ、ホウ酸アルミニウムウィスカ、炭化珪素ウィスカ、窒化珪素ウィスカなどの金属ウィスカ又は非金属ウィスカ類などを例示することができる。その中でも、遮光効果及びケース内部での光の乱反射防止効果等が得られるカーボンブラックを用いるのが好ましい。
図3は、リード端子が挿設され、固体撮像素子及びボンディングワイヤが設けられ、肉盗み部が設けられた本発明の固体撮像素子収納用ケースの一例を示す斜視図であり、図4は、肉盗み部が設けられた本発明の固体撮像装置の一例をその肉盗み部で短手方向に切断した断面概略図である。
図3及び図4に示すように、該ケースの長手方向の側壁部には、数箇所の肉盗み部28が設けられている。側壁部とは、該ケースの長手方向外側に面する部分を意味し、側壁、底板及びリブの一部を指す。
肉盗み部28とは、該固体撮像素子収納用ケース20の強度が十分に得られるよう必要な部分を残し、軽量化や射出成形時のケース内への樹脂の流れを均一化する目的でケースの側壁部等から不要な部分を取り除いた部分のことをいう。肉盗み部28の位置、形状、大きさ及び数は、固体撮像素子収納用ケース20の強度が十分であれば特に制限はない。
図3及び図4に示すように、該固体撮像素子収納用ケース20の側壁部が底板部に接続する肉厚の厚い領域に数箇所の肉盗み部28を設置することが好ましい。上記のような肉盗み部を設けることにより、ゲートが短手方向の片側側壁に設けられた金型を用いてケースを射出成形する際、ケースの側壁、底板及びリブにより均等に樹脂を流動させることができるようになり、ケースの反りをさらに抑制することができるので好ましい。
本発明の固体撮像装置は、例えば、ファクシミリ、スキャナ、バーコードリーダー及びテレビカメラ等に利用することができる。
ボンディングワイヤは金属細線であり、金、アルミニウム、銅及びそれらを主成分とする合金からなるのが好ましい。ボンディングワイヤの接続方法は、導線の材質等によるが、ボールボンディング法やウェッジボンディング法等が挙げられる。
固体撮像素子は、アイランドに接着剤、ハンダ等で固着されていることが好ましく、接着剤で固着されていることがより好ましい。用いる接着剤としては、公知のものを使用することができるが、熱伝導率が高く、かつ絶縁性の接着剤が好ましく、熱伝導率が1W/mK以上のものがより好ましく、3W/mK以上のものが特に好ましい。
アイランドは、長手方向に垂直な方向に突出した突出部を有していてもよく、該突出部はその一部をケースに埋設されて固定されたアイランド押さえ部を形成していてもよい。
無機繊維状フィラー及び無機針状フィラーとしては、ガラス繊維、炭素繊維、炭化珪素繊維、アルミナ繊維、ボロン繊維、炭化珪素ウィスカ、窒化珪素ウィスカ、ホウ酸アルミニウムウィスカ、酸化亜鉛ウィスカ、チタン酸カリウムウィスカ等が挙げられる。これらは単独で用いられても良いし、複数を同時に用いても良い。
本発明において、複数の繊維状体及び/又は複数の針状体からなるフィラーを使用することが好ましい。また、繊維状体は、無機繊維状体(無機繊維状フィラー)であることが好ましく、針状体は無機針状体(無機針状フィラー)であることが好ましい。本発明に用いられる繊維状体及び針状体はアスペクト比が5以上であることが好ましく、10以上であることがさらに好ましい。換言すれば、フィラーは複数の繊維状体又は針状体からなり、個々の繊維状体又は針状体のアスペクト比は5以上であることが好ましい。アスペクト比は5〜100であることが好ましく、10〜50であることがより好ましい。このようにアスペクト比が高い無機フィラーを用いることにより、力学特性や寸法精度に優れ、線膨張係数の低い固体撮像素子収納用ケースが得られるので好ましい。
ここで、アスペクト比とは、長さと幅の比である。特に短繊維のアスペクト比についてはJIS H−7402−1993に定められており、繊維の投影輪郭形状の外周上の最大2点間距離を繊維長さ(L)とし、繊維長さの中点を通り、繊維長さの方向に直角な線が繊維の輪郭を横切る長さを繊維径(D)としたとき、アスペクト比(X)は、下記式で与えられる。
X=L/D
強度や剛性、耐熱性の向上、寸法精度の向上、線膨張係数の低下等の目的から、本発明に好適に用いられる無機板状フィラーとしては、タルク、マイカ、ガラスフレーク、モンモリロナイト、スメクタイト、黒鉛、窒化ホウ素、二硫化モリブデン等が挙げられる。これらは単独で用いられても良いし、複数を同時に用いても良い。樹脂組成物の熱伝導率を向上させる目的から、熱伝導率1W/mK以上の無機板状フィラーを用いることが好ましく。熱伝導率1W/mK以上の無機板状フィラーとしては、タルク、黒鉛、窒化ホウ素等が挙げられる。これらの中でコスト、絶縁性の観点から、タルクが最も好ましい。
上述のように、固体撮像素子収納用ケース20は、固体撮像素子50が内部に配置されるべき収納用中空凹部DPを有し、底板の長手方向Xの寸法jが底板の短手方向Yの寸法aの3倍以上の樹脂製のケース本体100と、収納用中空凹部DPの内部からケース本体100の長手方向Xに平行な側壁24aを介して外部に延びた複数のリード端子30と、ケース本体100の底板22の長手方向Xに沿って底板22と一体的に設けられた一対の樹脂製のリブ26とを備えている。ここで、上述した通り、ケース本体100とは、底板22、長手方向に底板に略垂設された側壁24a、及び、短手方向に底板22に略垂設された側壁24bとよりなる。
ケースのアスペクト比は高く、アスペクト比の高い固体撮像素子50が設けられている。この固体撮像素子50は、一次元CCD(ラインセンサ)である。ケース本体100は、歪みが生じやすいアスペクト比の高いものであって、且つ、樹脂からなるにも拘わらず、この装置では、長手方向Xの延びたリブ26を有することにより、ケース本体100の長手方向Xに垂直な方向の反りや撓みを抑制することができる。
また、上述のように、好適には樹脂内に無機材料からなるフィラーを含む。すなわち、無機材料からなるフィラーが樹脂内に含まれることにより、さらに剛性を高めることができるので好ましい。液晶ポリマーと無機材料フィラーとの組み合わせにより相乗的に高剛性を有するケースを構成することができる。フィラーは、複数の繊維状体及び/又は複数の針状体からなり、個々の繊維状体又は針状体のアスペクト比は5以上であることが好ましい。
これら複数の肉盗み部(凹部)28の長手方向の長さL1、L2、L3の合計Σは、ケース本体100の長手方向Xの長さj(底板の長手方向の長さ)の20%〜90%であることが好ましい。合計Σは、30%〜80%であるとより好ましく、40%〜70%であるとさらに好ましい。
1≦a/b≦2.5
0.1≦i/(c+h)≦0.4
0.7≦g/h≦1.5
0.5≦d/c≦2.0
これらの関係式を満たす場合は、ケース本体100の剛性をさらに高く維持することができる。
この固体撮像素子収納用ケースでは、収納用中空凹部DPを画成する側壁24aの幅方向Yに沿った最大離隔距離eは、底板22及びリブ26の幅方向Yに沿った最大離隔距離fと異なっており、側壁24は高さ方向に段差を有している。本例の場合には、最大離隔距離eは、最大離隔距離fよりも小さい。この構造の場合、以下の関係式を満たすことが好ましい。
0.8≦f/e≦2.0
段差が構成されている場合に、この関係式を満たすと、ケース本体100の剛性を高く維持することができるので好ましい。
射出成型を行う場合、対向面間に上述のケース形状のキャビティを有する第1金型M1と第2金型M2との間に、樹脂REを流し込む。第2金型M2は、Z方向に延びたテーパ状の樹脂導入孔M21を有しており、樹脂導入孔M21の先端部からX方向に延びる連絡通路M22を有している。連絡通路M22の先端部は、ゲート部を構成し、ここからキャビティ内に樹脂REが導入され、樹脂はX方向に沿ってキャビティ内を流れていく。したがって、樹脂REが液晶ポリマーである場合には、これを構成する高分子の配向がX方向に揃ってくる。
樹脂を充填、固化した後、第1金型M1を貫通した複数のエジェクタピンEPにより、固化した樹脂を第2金型M2方向へ押すと、固体撮像素子収納用ケースが得られる。
なお、図5に示した複数の肉盗み部28は、突起部M28を有する一対の側方金型M281、M282によって、上述の樹脂射出時に形成される。射出成型時、樹脂REはX方向に進行するが、肉盗み部(凹部)28が形成されるように樹脂が充填され、固化した後、金型M1及びM2が開く際に、側方金型M281、M282が、それぞれ−Y、Y方向に移動して、成型された固体撮像素子収納用ケースが金型M281、M282から分離する。
液晶性ポリマー(住友化学(株)製スミカスーパーE6000)100重量部にホウ酸アルミニウムウィスカ(四国化成工業(株)製YS−3A、繊維径 0.5〜1μm、繊維長 10〜30μm)87重量部、ガラス繊維(旭グラスファイバー(株)製CS03JAPX−1、繊維径 10μm、繊維長 3,000μm)37重量部、タルク(日本タルク(株)製X−50)25重量部及びカーボンブラック(三菱化学(株)製#45B)2.5重量部を混合し、二軸押し出し機((株)池貝製PCM30型)を用い、シリンダ温度340℃で造粒し、液晶ポリエステル組成物を得た。得られた液晶ポリエステル組成物を射出成形機(日精樹脂工業(株)製ES400型)を用いて、予め金型に幅2mm、長さ94mmのアイランドを設置し、該金型にインサート成形(成形温度360℃、射出速度100mm/sec、金型温度80℃)することで、内底面にアイランドを備えた、図5に示す固体撮像素子収納用ケースを得た。
得られた固体撮像素子収納用ケースの図6に示す寸法は、下記のとおりである。
底板の短手方向の長さ(a)=9.5mm
ケースの合計高さ(リブ及びケース本体の合計高さ)(b)=4.5mm
リブの幅(c)=1.7mm
リブの高さ(d)=1.5mm
肉盗み部の幅(g)=1.5mm
底板の厚み(h)=1.5mm
肉盗み部の深さ(i)=0.8mm
底板の長手方向の長さ(j)=105.0mm
個々の肉盗み部の長手方向の長さ(L1=L2=L3)=15.3mm
このように、リブを有する固体撮像素子収納用ケースは、成形時及び実装時の温度変化によるケースの熱膨張・熱収縮に基づく反り、撓みが少なかった。また、得られた固体撮像素子収納用ケースを用いて作製した固体撮像装置は、読み取り不良等が少なく、また、使用温度の変動による動作不良を抑制することができた。
実施例と同様にして、図5における固体撮像素子収納用ケースからリブを形成していないケース(図10参照)を作製した。
すなわち、本比較例で固体撮像素子収納用ケースの寸法は、下記のとおりである。
底板の短手方向の長さ(a’)=9.5mm
ケース本体の高さ(b’)=3.0mm
肉盗み部の幅(g’)=1.5mm
底板の厚み(h’)=1.5mm
肉盗み部の深さ(i’)=0.8mm
底板の長手方向の長さ(j’)=105.0mm
個々の肉盗み部の長手方向の長さ(L1=L2=L3)=15.3mm
得られたケースは、温度変化によるケースの熱膨張・熱収縮に基づく反り、撓みが多かった。
20 固体撮像素子収納用ケース
22 樹脂製底板
24 樹脂製側壁
24a 長手方向の側壁
24b 短手方向の側壁
26 リブ
28 肉盗み部
30 リード端子
40 透明板
50 固体撮像素子
60 ボンディングワイヤ
70 リードフレーム
71 ダイパッド
72 開口
100 ケース本体
RF 補強部
DP 収納用中空凹部
M1、M2、M281、M282 金型
EP エジェクタピン
M21 樹脂導入孔
M22 連絡通路
RE 樹脂
a,a’ 底板の短手方向の長さ
b ケースの合計の高さ
b’ ケース本体の高さ
c リブの幅
d リブの高さ
e 側壁の幅方向Yに沿った最大離隔距離
f 底板及びリブの幅方向Yに沿った最大離隔距離
g,g’ 肉盗み部の幅
h,h’ 底板の厚み
i,i’ 肉盗み部の深さ
j 底板の長手方向の長さ
Claims (11)
- 固体撮像素子収納用ケースであって、
固体撮像素子が内部に配置されるべき収納用凹部を有し、長手方向の寸法が幅方向の寸法の3倍以上の樹脂製ケース本体と、
前記収納用凹部の内部から前記ケース本体の長手方向に平行な側壁を介して外部に延びた複数のリード端子と、
前記ケース本体の底板の長手方向に沿って前記底板と一体的に設けられた樹脂製のリブと、を備え、
該リブは、該底板の外底面の長手方向に垂設され、
該側壁及び該リブと一体的に形成され、該ケースの長手方向両端から該長手方向に沿って外方に突き出した補強部を更に備えることを特徴とする
固体撮像素子収納用ケース。 - 該樹脂が、液晶ポリマーを含む樹脂からなる請求項1記載の固体撮像素子収納用ケース。
- 該樹脂内に無機材料からなるフィラーを含む請求項1又は2に記載の固体撮像素子収納用ケース。
- 該フィラーは、複数の繊維状体及び/又は複数の針状体からなり、個々の繊維状体又は針状体のアスペクト比が5以上である請求項3記載の固体撮像素子収納用ケース。
- 該リブを含む該ケースの合計の高さb及び該ケースの幅aは、以下の関係式:
1≦a/b≦2.5
を満たす請求項1〜4いずれか1つに記載の固体撮像素子収納用ケース。 - 側壁部は、幅方向を深さ方向とし、長手方向に沿って延びた複数の肉盗み部を有している請求項1〜5いずれか1つに記載の固体撮像素子収納用ケース。
- 該複数の肉盗み部の長手方向の長さの合計が、該側壁部の長手方向の長さの20%〜90%である請求項6記載の固体撮像素子収納用ケース。
- 該底板の厚みh、前記リブの幅c、前記複数の肉盗み部の個々の深さiは、以下の関係式:
0.1≦i/(c+h)≦0.4
を満たす請求項6又は7に記載の固体撮像素子収納用ケース。 - 該底板の厚みh、該複数の肉盗み部の個々の幅gは、以下の関係式:
0.7≦g/h≦1.5
を満たす請求項6〜8いずれか1つに記載の固体撮像素子収納用ケース。 - 該リブの幅c、該リブの高さdは、以下の関係式:
0.5≦d/c≦2.0
を満たす請求項1〜9いずれか1つに記載の固体撮像素子収納用ケース。 - 請求項1〜10いずれか1つに記載の固体撮像素子収納用ケースを具備することを特徴とする固体撮像装置。
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