JP4976187B2 - 流量計 - Google Patents

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Description

本発明は、空気等の被測定流体の微少な流量測定に好適に利用可能な流量計に関し、特に流量計を取付対象物に接続する際に流量計本体からシール部材が脱落し難く、かつシール部材の全周に亘り一様な気密性を有する流量計に関する。
ガスや空気等の被測定流体の微少流量変化を検出する流量計(フローセンサ)として、被測定流体の導入路と導出路が両側部に対向して設けられ、これらの各一側端が接続面としての上面に並んで開口して形成された取付対象物の前記上面に取り付けられている。そして、導入路と導出路の開口端に連通する流入口と流出口が接続面としての底面に並んで形成され、かつ内部に流入口と流出口を屈曲して形成されて連通する流路の中央部に流量センサが設けられ、被測定流体の流量を計測するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
被測定流体が通流する取付対象物の流体通路に流量計を介挿するに当たり、流体通路内が大気圧に比べて負圧である場合は、流量計に形成された被測定流体出口と流体通路の接続面を介して流量計及び流体通路の周囲から大気が流体通路内へ流入しないようにするために、Oリングやパッキン等のシール部材で接続面を気密に封止している。上述した特許文献1に記載されている流量計においては、流量計の底面に流入口と流出口を囲むように形成された溝に当該溝と同形状のパッキンが嵌合され、流量計と取付対象物の接続面が気密に封止されている。
このような流量計を取付対象物に取り付ける際、取付対象物に流量計を載置して摺動させながら位置合わせを行うことがあり、特に小型の流量計を狭いスペースに多数並べて組み付けるような場合取付対象物に流量計を載置して摺動させながら位置合わせを行うことが多くなり、この際に取付面とシール部材との摩擦力によりシール部材が流量計のボディから脱落し易い。
Oリングをボディの溝に嵌合保持して脱落を防止する手段として、Oリングの外周に少なくとも一箇所以上の突起を設け、ボディの溝に圧入させてOリングが溝から脱落することを防止するようにしたものが知られている(例えば、特許文献2参照)。
PCT/WO2005−121718号公報(5頁、図1) 特開2000−314362号公報(2頁−3頁、図2)
しかしながら、特許文献2に記載されたようにOリング等のシール部材の外周に少なくとも一箇所以上の突起が設けられると、このシール部材を流量計のボディの溝に圧入する際、突起が設けられた部位と突起が設けられていない部位とでは一様な力で圧入され難いため、結果的に、シール部材の全周に亘り流量計と流体通路との接続面に対して一様な高さとし難い、即ち接続面に接するシール部材の面形状は波打つようになっている。
この影響によりシール部材の全周に亘り一様な気密性を持っていないまま流量計が流体通路に接続されている場合も出てくる。例えば、被測定流体の圧力が負圧である場合、この被測定流体の圧力が変化し、流量計及び流体通路の周囲の圧力(大気圧)との圧力差が大きくなったときは、この圧力差に起因してシール部材の気密性が弱い箇所から大気が流体通路内に流入してしまう。また、被測定流体が正圧の場合には流体通路内の被測定流体が大気にリークしてしまう虞がある。例えば特許文献1に記載されたパッキンを、特許文献2に記載されたように、外周に少なくとも一箇所以上の突起を設けて溝に嵌め込んだ場合も同様にパッキンの全周に亘り一様な気密性を持っていないまま流量計が取付対象物の被測定流体通路に接続される場合も出てくる。
そして、流量計がこのような状態で取付対象物に接続されると、被測定流体の流体圧が大気圧よりも低い負圧の場合には流体通路に大気が流入して微少流量変化を検出することが困難となり、測定精度が大きく低下する。例えば、このような流量計をチップマウンタ装置のチップの吸着状態の確認装置として用いる場合にチップの基板への表面実装に支障をきたす虞がある。また、被測定流体の流体圧が大気に比べて高い場合には、圧力差が大きい程被測定流体が大気にリークし易くなり、これに伴い測定精度が低下する。
本発明の目的は、流量計を取付対象物に接続する際に用いるシール部材が流量計に形成された溝から脱落し難く、かつシール部材外周の全周に亘り接続面における気密性を十分に保有することが可能な流量計を提供することにある。
上述した課題を解決するために、本発明に係る流量計は、
流体の導入路と導出路の各一側端が一面に並んで開口して形成された取付対象物の前記一面に取り付けられて前記導入路と導出路の開口端に連通する流入口と流出口が一面に並んで形成され、かつこれらの流入口と流出口を連通する流路に設けられた流量センサにより前記取付対象物を介して流れる流体の流量を計測する流量計であって、
前記流量計の一面には前記流入口及び流出口を取り囲むように形成された外周溝と前記流入口と流出口との間を仕切るように形成された仕切溝からなる溝が連続して形成され、
前記溝には前記外周溝に嵌合する外周部と仕切溝に嵌合する仕切部が弾性部材で一体に形成されたシール部材が嵌合され、
前記仕切溝には前記仕切部に張力を付与する張力付与手段が設けられていることを特徴としている。
流量計の一面(取付面)に並んで開口して形成された流入口と流出口とを囲むように形成された外周溝と、この外周溝と連続し流入口と流出口との間を仕切るように形成された仕切溝にシール部材の外周部と仕切部を嵌め込み、仕切部に張力を付与して仕切溝の壁面に圧接させる。これにより、シール部材の仕切部が仕切溝に嵌合保持されて外れ難くなり、流量計を取付対象物に取り付ける際の作業性の向上が図られる。また、シール部材の外周部の接続面に対する高さが一様となり、高さにムラが無くなる。これにより、流量計と取付対象物との接続面が極めて良好に封止されて被測定流体に外部の流体が流入したり、被測定流体が外部にリークしたりすることがなくなり、流量計の測定精度の低下が防止される。
また、本発明の請求項2に記載の流量計は、請求項1に記載の流量計において、
前記張力付与手段は、前記仕切部を直線状に形成し、前記仕切溝を直線状に形成しかつ側壁に前記シール部材の仕切部を湾曲させて張力を付与する少なくとも1つの突起を形成することで前記仕切部に張力を付与するようになっていることを特徴としている。
シール部材の仕切部を直線状に形成し、仕切溝を直線状に形成して側壁に少なくとも1つの突起を形成して、シール部材の仕切部を湾曲させて嵌め込む。これにより、仕切部の長さが彎曲された分だけ引き延ばされて長くなり、この引き延ばされた長さに応じた張力が付与されて仕切溝の突起の先端面に圧接される。これにより、シール部材の脱落が防止される。
また、本発明の請求項3に記載の流量計は、請求項1に記載の流量計において、
前記張力付与手段は、前記仕切部を直線状に形成し、前記仕切溝を湾曲させて形成して前記仕切部を湾曲させることで当該仕切部に張力を付与するようになっていることを特徴としている。
シール部材の仕切部を直線状に形成し、仕切溝を彎曲させて形成してシール部材の仕切部を湾曲させて嵌め込む。これにより、仕切部の長さが自由長よりも彎曲された分だけ引き延ばされて長くなり、この引き延ばされた長さに応じた張力が付与されて仕切溝の湾曲部分の側壁に圧接される。これにより、シール部材の脱落が防止される。
また、本発明の請求項4に記載の流量計は、
流体の導入路と導出路の各一側端が一面に並んで開口して形成された取付対象物の前記一面に取り付けられて前記導入路と導出路の開口端に連通する流入口と流出口が一面に並んで形成され、かつこれらの流入口と流出口を連通する流路に設けられた流量センサにより前記取付対象物を介して流れる流体の流量を計測する流量計であって、
前記流量計の一面には前記流入口及び流出口を取り囲むように形成された外周溝と前記流入口と流出口との間を仕切るように形成された仕切溝からなる溝が連続して形成され、
前記溝には前記溝と略同形状をなし外周溝に嵌合する外周部と仕切溝に嵌合する仕切部が弾性部材で一体に形成されたシール部材が嵌合され、
前記仕切部は少なくとも一側面に長手方向に沿って延在する圧接部が形成され、当該圧接部が前記仕切溝の内面に圧接することを特徴としている。
流量計の一面(取付面)に並んで開口して形成された流入口と流出口とを囲むように形成された外周溝と、この外周溝と連続し流入口と流出口との間を仕切るように形成された仕切溝にシール部材の外周部と仕切部を嵌め込み、仕切部の少なくとも一側面に長手方向に沿って延在する圧接部を形成して仕切溝に圧入嵌合する。これにより、シール部材の仕切部が仕切溝に保持されて外れ難くなり、流量計を取付対象物に取り付ける際の作業性の向上が図られる。そして、外周溝に収容されたシール部材の外周部の接続面に対する高さが一様となり、高さにムラが無くなる。これにより、流量計と取付対象物との接続面が極めて良好に封止されて被測定流体に外部の流体が流入したり、被測定流体が外部にリークしたりすることがなくなり、流量計の測定精度の低下が防止される。
本発明によると、流量計の一面(取付面)に並んで開口して形成された流入口と流出口とを囲むように形成された外周溝と、この外周溝と連続し流入口と流出口との間を仕切るように形成された仕切溝にシール部材の外周部と仕切部を嵌め込み、仕切部に張力を付与して仕切溝の壁面に圧接させることにより、シール部材の仕切部が仕切溝に保持されて外れ難くなり、流量計を取付対象物に取り付ける際の作業性の向上が図られる。そして、外周溝に収容されたシール部材の外周部の接続面に対する高さが一様となり、高さにムラが無くなる。これにより、取付対象物との接続面が極めて良好に気密に封止されて被測定流体に外部の流体が流入したり、被測定流体が外部にリークしたりすることがなくなり、流量計の測定精度の低下が防止される。
また、本発明によると、仕切溝を直線状に形成して側壁にシール部材の仕切部を湾曲させる少なくとも1つの突起を形成して仕切部を自由長よりも引き延ばして張力を付与して突起に圧接させ、或いは仕切り溝を湾曲させて形成しシール部材の仕切り部を湾曲させて自由長よりも引き延ばして張力を付与して彎曲部分の側壁に圧接させることにより、簡単な構成でシール部材の脱落を有効に防止することができる。
また、本発明によると、シール部材の仕切部の少なくとも一側面に長手方向に沿って延在する圧接部を形成して仕切溝に圧入嵌合することで、シール部材の仕切部が仕切溝に保持されて外れ難くなり、流量計を取付対象物に取り付ける際の作業性の向上が図られる。そして、外周溝に収容されたシール部材の外周部の接続面に対する高さが一様となり、高さにムラが無くなる。これにより、流量計と取付対象物との接続面が極めて良好に封止されて被測定流体に外部の流体が流入したり、被測定流体が外部にリークしたりすることがなくなり、流量計の測定精度の低下が防止される。
以下、本発明の実施形態にかかる流量計について図面に基づいて説明する。尚、本実施形態にかかる流量計は、例えば後述するように負圧源と吸着対象物(チップ)との間を繋ぐホースとの間に介在されるマニホールド体に組み付けてチップマウンタ装置におけるチップの吸着状態の適否を確認するのに用いられる。
図1に示すように流量計1は、流量計本体2、回路基板3、及び図4に示すシール部材4からなる。流量計本体2は、略直方体形状をなし、直方体形状の上部21、直方体形状の中央部22、及び直方体形状の下部23からなり、中央部22が上部21及び下部23よりも僅かに小さく括れた形状をなし、下部23が上部21よりも僅かに小さい形状をなしている。
上部21の上面には後述する回路基板3を収容するための長方形状の基板収容部21aが形成されており、この基板収容部21aの底面21bの中央に長手方向に沿って長い長方形状の開口凹部21cが形成されている。この開口凹部21cは、後述するように回路基板3の下面3aにより気密に封止されて被測定流体の流路24を形成する。開口凹部21cの開口端の周縁部21dは、全周に亘り底面21bよりも僅かに高い平面をなして形成されている。また、周縁部21dの長手方向の両側位置にボス(突起)21eが周縁部21dと同じ高さに形成されている。
開口凹部21cの周縁部21dには回路基板3の下面3aの中央部が載置され、両側のボス21eには回路基板3の下面3aの周縁部21dの長手方向両外側の部位が載置される。また、基板収容部21aの長手方向一側端の側面には回路基板3に実装されたコネクタ33の接続ケーブルを引き出すための切欠21fが形成されている。
下部23の下面23aには図2に示すように短辺方向の中心線CLに対して左右両側に被測定流体の流入口23bと流出口23cが並んで形成されている。これらの流入口23b、流出口23cは、下方向から見て略正方形状をなす浅い凹部とされている。また、中央部22には図3に示すように開口凹部21cと流入口23b、流出口23cとを連通する連通路22a,22bが形成されている。これらの連通路22a,22bは、各一端が開口凹部21cの長手方向両端部に開口して連通され、各他端が流入口23b、流出口23cの中心線CL側(互いに近接する側)の略1/3程度に開口して連通している。
連通路22a,22bは、開口凹部21cに連通する上部と流入口23b、流出口23c側に連通する下部の軸線方向(縦方向)の軸心位置を長手方向側にずらして形成され、開口凹部21cと流入口23b、流出口23cの略中間位置(途中位置)において長手方向に沿って形成された流路により連通されている。即ち、連通路22a,22bは、略中間位置において直角に屈曲されて上下方向に略クランク状をなしている。
これらの連通路22a、流路24、連通路22bにより流量計1の被測定流体の流路が形成される。そして、屈曲形状をなす連通路22a,22bは、被測定流体の流速分布を安定化させる作用を有している。即ち、流入口23bから流入する被測定流体を、その壁面に衝突させながら流路24に導き、この流路24から再び屈曲形状をなす連通路22bの壁面に衝突させながら流出口23cから流出させることにより、流路24内の被測定流体の流速分布を安定化させている。
下部23の下面23aには図2に示すように後述するシール部材4を嵌合するための断面角形の溝26が形成されている。この溝26は、流入口23bと流出口23cを取り囲む外周溝26aと、流入口23bと流出口23cとの間を仕切る仕切溝26bが連続して形成されており、略8字状をなしている。外周溝26aは、四隅が円弧をなす長円形状をなしている。また、仕切溝26bは、外周溝26aの長手方向に沿う両側部の中央を直線状に連結しており、その幅が外周溝26aの略2倍とされている。
そして、仕切溝26bの対向する側壁26c,26dにシール部材4に張力を付与するための張力付与手段としての突起26e,26fが下面23aから仕切溝26bの底面まで形成されている。突起26eと突起26fは交互に配置されており、突起26eは仕切溝26bの一側近傍に、突起26fは仕切溝26bの他側近傍に形成されている。そして、これらの突起26e,26fは、下方から見て先端部の隅部が僅かに面取りされた略角形をなし先端面が中心線CLの位置まで突出して形成されている。上述したように仕切溝26bは、外周溝26aの幅の略2倍に設定されていることで、突起26e,26fの各先端面と対向する側壁26d、26cとの間の各幅が外周溝26aと略同じ幅とされている。この流量計本体2は、樹脂部材例えば、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂部材で一体に成形されている。
回路基板3は、流量計本体2の基板収容部21aに収容可能な長方形状をなしており、図3に示すように下面3aの中央位置、即ち開口凹部21cの中央位置(流路24の中央位置)と対応する位置に被測定流体の流量を検出する流量センサ31が設けられている。また、上面3bに流量センサ31を駆動する駆動回路、制御回路、流量センサ31の出力に基づいて被測定流体の流量を算出する演算回路(マイクロプロセッサ)等からなる検出回路32、及びこの検出回路32の外部接続部品としてのコネクタ33が実装されている。
流量センサ31は、例えばシリコン基板の上面に窒化シリコン又は二酸化シリコンの絶縁膜(薄膜)が形成され、この絶縁膜の流路24の中央位置と対応する位置に流量検出部(センサ部)が形成され、更に流量検出部が窒化シリコン又は二酸化シリコンの絶縁膜により被覆された構成とされている。
前記流量検出部が形成されている絶縁膜の部位はダイアフラムとされて流量検出部とシリコン基板とが熱的に遮断されている。前記流量検出部は熱式の検出部で、絶縁膜状に例えば白金薄膜でできた発熱素子としてのヒータと、このヒータの上流側及び下流側に等間隔で配置された例えば白金薄膜でできた抵抗素子としての測温素子とにより構成されている。
前記流量検出部のヒータに通電すると、このヒータは制御回路によりシリコン基板上に設けられた周囲温度センサで測定された被測定流体の温度よりもある一定温度高く加熱され、流路24を流れる被測定流体を加熱する。被測定流体が流れないときは、ヒータの上流側/下流側に均一の温度分布が形成されており、上流側の測温素子と下流側の測温素子は、略等しい温度に対応する抵抗値を示す。
一方、被測定流体の流れがあるときには、ヒータの上流側/下流側の均一な温度分布が崩れ、上流側の温度が低くなり、下流側の温度が高くなる。そして、上流側の測温素子と下流側の測温素子により構成される例えばホイーストンブリッジ回路により測温素子の抵抗値差つまり温度差を検出して流路24内を流れる被測定流体の流量を測定する。
この回路基板3は、図2に示すように基板収容部21aに収容されて開口凹部21cの周縁部21d及びボス21eに載置される。そして、回路基板3は、下面3aが開口凹部21cの周縁部21dに接着されて固定される。回路基板3は、開口凹部21cを全周に亘り覆うように密着されてこの開口凹部21cを気密に封止して前述した流路24を形成する。そして、流量センサ31が流路24の中央位置に配置され、その検出面が流路24内を流れる被測定流体の流れる方向と平行になっている。また、コネクタ33は、基板収容部21aの側面の切欠21fと対向して配置される。
図4に示すようにシール部材(パッキン)4は、流量計本体2の下面23aに形成されている溝26と同じ形状に形成されており、外周溝26aに嵌合する外周部4aと仕切溝26bに嵌合する仕切部4bが連続して一体に形成されている。外周部4aの幅は、外周溝26aに嵌合する幅とされ、その高さは外周溝26aの深さよりも僅かに高く、断面形状が図5に示すように上下方向に長い長円形状をなしている。仕切部4bは、その幅、高さ及び断面形状が外周部4aと同一に形成されており、仕切溝26bと同じ長さにかつ直線状に形成されている。このシール部材4は、弾性を有するゴム部材例えばクロロプレンゴムにより形成されている。
このシール部材4は、図6に斜線で示すように外周部4aが流量計本体2の下面23aに形成されている溝26の外周溝26aに嵌合され、仕切部4bが仕切溝26bに嵌合される。そして、仕切部4bを仕切溝26bに嵌合するときに、突起26eと対向する側壁26dとの間及び突起26fと対向する側壁26cとの間を図示のように交互に屈曲させて嵌合させる。仕切部4bの長さ(自由長)は仕切溝26bと同じ長さとされており、従って、屈曲された分だけ引き延ばされることになる。この結果、仕切部4bに張力が付与され、一側の側面が突起26eの先端面に、他側の側面が突起26fの先端面に圧接される。これにより、仕切部4bが仕切溝26b内に強固に保持される。
一方、外周部4aは、外周溝26aに単に嵌合されていることで、その下面、内周面及び外周面が外周溝26aの底面、内周面及び外周面に当接しているだけであり、何れの方向からも圧力を受けることが無い。この結果、下面3aから外周部4aの上面までの高さが全周に亘り一様となる。即ち、外周部4aは、上下方向に波打つことなく外周溝26aに嵌合されている。このようにして、流量計1が構成されている。
この流量計1は、図7に示すように取付対象物としての例えばマニホールド体7に取り付けられる。マニホールド体7は、直方体形状をなし、長手方向の両端部中央に長手方向に沿って被測定流体の導入路8、導出路9が対向して形成されている。これらの導入路8、導出路9の先端は、僅かに縮径された後上方に直角に屈曲されて流量計1の取付面としての上面7aに並んで開口されている。
導入路8の開口部8aと導出路9の開口部9aは、流量計1の下面3aに形成されている流入口23b、流出口23cの長手方向の外側(図3の中心線CLから遠い側)の略2/3程度の底面と対向している。マニホールド体7にはこのような屈曲形状をなす導入路8、導出路9が所定の間隔で複数並設されている。そして、導入路8は、例えば図示しない負圧源に接続され、導出路9は図示しない吸着対象物との間を繋ぐホースに接続される。このマニホールド体7は、例えばアルミニウム等の金属部材により形成されている。
そして、屈曲形状をなす導入路8、導出路9は、被測定流体の流速分布を更に安定化させる作用を有している。
このように取付対象物としてのマニホールド体7の両端部に対向して設けられた被測定流体の導入口8と導出口9との間に多数の屈曲する流路を形成して流量計1の小型化を図りつつ流速分布の安定化を図るようにしている。
この流量計1は、マニホールド体7の上面7aの所定の取付位置に載置され、導入路8の開口部8aと流入口23b、導出路9の開口部9aと流出口23cが正確に合致するように微調整されて位置決めされる。この流量計1の位置決めの微調整は、マニホールド体7の上面7aを摺動されて行われ、このとき下面23aから僅かに突出しているシール部材4が上面7aから摺動抵抗を受け、シール部材4が溝26から引き出される力を受ける。
しかしながら、シール部材4は、仕切部4bが仕切溝26b内に形成されている突起26e,26fにより強固に保持されていることにより溝26から引き出されることが防止される。即ち、シール部材4が溝26から脱落することが防止される。これにより、流量計1は、シール部材4が脱落することなく位置決めされて流入路8の開口部8aと流入口23b、流出路9の開口部9aと流出口23cとが正確に合致される。
このようにして、マニホールド体7に並設された複数の導入路8、導出路9の開口部8a,9aに順次流量計1が取り付けられる。そして、全ての流量計が取り付けられた後固定部材10によりマニホールド体7に固定される。固定部材10は、断面略逆L字形状をなし、流量計本体2の下部23の長手方向両端部と中央部22との段差をなす上面をマニホールド体7の上面7aに均一に押し付けてその両端部がねじ11によりマニホールド体7の上面7aに固定される。これにより、各流量計1のシール部材4がマニホールド体7の上面7aに均一に密着されて接続面が気密に封止される。
シール部材4の外周部4aは、流量計本体2の下面23aからの突出高さが全周に亘り一様である、即ち高さにムラがないために被測定流体のリークが極めて良好に防止される。特に被測定流体が負圧でその圧力が変化して流量計1及びマニホールド体7の周囲の圧力(大気圧)との圧力差が大きくなった場合でもシール部材4の外周部4aにおけるシール性が確保されていることで、圧力差に起因して大気が流量計1内に流入することが防止される。これにより、被測定流体の流量の検出精度が向上し、被測定流体の微少な圧力変化も精度良く検出することが可能となる。上述と反対に被測定流体が正圧で大気圧との圧力差が大きくなった場合においても同様である。
尚、仕切部4bが仕切溝26bに張力を付与されて嵌合されることにより上下方向に波打ち、上面7aに一様に押し付けられない箇所があり得る。しかしながら、流入口23bと流出口23cとの間に気密性が多少弱い箇所がある場合でもこれらの流入口23bと流出口23cとの間における被測定流体の差圧は殆どなく、特に問題はない。
このようにして流量計1は、図示しない負圧源と吸着対象物としての例えばチップとの間を繋ぐホースとの間に介在されるマニホールド体7に組み付けられ、図示しないチップマウンタ装置におけるチップの吸着状態の適否を確認するのに用いられる。
図8は流量計本体2の下面23aに形成するシール部材が嵌合する溝の別の実施形態を示す。溝27は、図3に示した溝26と同様に外周溝27aと仕切溝27bが連続して形成されており、外周溝27aは、溝26の外周溝26aと同様の形状をなしている。また、仕切溝27bは、その幅が外周溝27aと同じ幅とされており、かつ中央部が例えば流出口23c側から流入口23b側に向けて凸形に彎曲した彎曲部27cが形成されている。この彎曲部27cは、仕切溝27bに嵌合されるシール部材の仕切部に張力を付与するための張力付与手段として作用する。
そして、この溝27に図4に示すシール部材4が斜線で示すように嵌合される。シール部材4は、外周部4aが外周溝27aに嵌合され、仕切部4bが仕切溝27bに嵌合される。仕切溝27bは、彎曲していることによりその長さがシール部材4の仕切部4bの長さ(自由長)よりも長くなる。この結果、仕切部4bに張力が付与され、この仕切部4bの一側の側面が仕切溝27bの凸形をなす彎曲部27cの凸側の側壁27dに圧接することとなる。これにより、仕切部4bが仕切溝27b内に強固に保持される。従って、流量計1をマニホールド本体7に位置決めする際にシール部材4が脱落することが防止される。
外周部4aは、外周溝27aに単に嵌合されていることで、下面23aからの高さが全周に亘り一様となり、上下方向に波打つことなく外周溝27aに嵌合されている。従って、前述と同様にマニホールド本体7との接続面のシール性が確保され、従来技術のように外周部のシール部材に突起が設けられているような不具合は生じない。
尚、上述したように仕切部4bが仕切溝27bに張力を付与されて嵌合されることにより上下方向に波打ち、上面7aに一様に押し付けられない箇所があり得る。しかしながら、流入口23bと流出口23cとの間に気密性が多少弱い箇所がある場合でもこれらの流入口23bと流出口23cとの間における被測定流体の差圧は殆どなく、特に問題はない。
図8は流量計本体2の下面23aに形成するシール部材が嵌合する溝の別の実施形態を示す。溝28は、図2に示した溝26と同様に外周溝28aと仕切溝28bが連続して形成されており、外周溝28aは、溝26の外周溝26aと同様の形状をなしている。また、仕切溝28bは、その幅が外周溝28aと同じ幅とされており、かつ直線状に形成されている。
一方、この溝28に嵌合するシール部材5は、図10に示すように溝28の状と同じ形状とされており、外周部5aと仕切部5bが連続して形成されている。そして、外周部5aは、外周溝28aに単に嵌合可能とされている。仕切部5bは、両側部に長手方向に沿って圧接部5cが一体に延在して形成されている。この圧接部5cは、図11の断面図に示すように仕切部5bの両側部の中央に略半円形状をなして側方に膨出して形成されている。従って、仕切部5bは、これら両側部に形成された圧接部5cの高さ分だけ仕切溝28bの幅よりも幅広に形成されている。
そして、溝28にシール部材5が嵌合される。シール部材5の外周部5aは、外周溝28aに単に嵌合される。一方、仕切部5bは、両側部に形成されている圧接部5cにより仕切溝28bに圧入され、両側部の圧接部5cがこの仕切溝28bの対向する側壁28c,28dに圧接する。これにより、仕切部5bが仕切溝28b内に強固に保持される。従って、流量計1をマニホールド本体7に位置決めする際にシール部材5が脱落することが防止される。
外周部5aは、外周溝28aに単に嵌合されていることで、流量計本体2の下面23aからの高さが全周に亘り一様となり、上下方向に波打つことなく外周溝28aに嵌合される。従って、前述と同様にマニホールド本体7との接続面のシール性が確保され、従来技術のように外周部のシール部材に突起が設けられているような不具合は生じない。
尚、仕切部5bが仕切溝28bに圧入されることで上下方向に波打ち、上面7aに一様に押し付けられない箇所がある、即ち流入口23bと流出口23cとの間に気密性が多少弱い箇所がある場合でも上述したように流入口23bと流出口23cとの間における被測定流体の差圧は殆どなく、特に問題はない。
また、シール部材5の仕切部5bの側部に形成する圧接部5cは、断面略半円形状に膨出させる形状に限るものではなく、他の形状、例えば側面の下部又は中央部近傍から斜め上方に向かって広がる舌片状に形成しても良い。また、圧接部5cは、仕切部5bの一側に形成するようにしても良い。
尚、本実施形態における流量計は、チップマウンタ装置におけるチップの吸着状態の確認のための流量計として使用した場合について説明したが、必ずしもこれに限るものではなく管路内を流れる流体(気体)の流量を測定するアプリケーションに広く適用可能である。
本発明に係る流量計の一実施形態を示す組立斜視図である。 図1に示した流量計の下面図である。 図1に示した流量計本体に回路基板を収容した状態の矢線III―III方向に沿う断面図である。 図2に示した流量計の下面の溝に嵌合するシール部材の平面図である。 図4に示したシール部材の矢線V―Vに沿う断面図である。 図3に示した流量計の下面の溝に図4に示したシール部材を嵌合させた状態の説明図である。 図1に示した流量計をマニホールド体に取り付けた状態の断面図である。 図2に示した流量計の別の実施形態を示す下面図である。 図2に示した流量計の別の実施形態を示す下面図である。 図9に示した流量計に適用するシール部材の別の実施形態を示す平面図である。 図10に示したシール部材の矢線XI―XIに沿う断面図である。
符号の説明
1 流量計
2 流量計本体
3 回路基板
3a 下面
3b 上面
4 シール部材(パッキン)
4a 外周部
4b 仕切部
5 シール部材
5a 外周部
5b 仕切部
5c 圧接部
7 マニホールド体(取付対象物)
7a 上面
8 導入路
8a 開口部
9 導出路
9a 開口部
10 固定部材
11 ねじ
21 上部
21a 基板収容部
21b 底面
21c 開口凹部
21d 周縁部
21e ボス
21f 切欠
22 中央部
22a,22b 連通路
23 下部
23a 下面
23b 流入口
23c 流出口
24 流路
26 溝
26a 外周溝
26b 仕切溝
26c,26d 側壁
26e,26f 突起(張力付与手段)
27 溝
27a 外周溝
27b 仕切溝
27c 彎曲部
27d 彎曲部側壁
28 溝
28a 外周溝
28b 仕切溝
28c,28d 側壁
31 流量センサ
32 検出回路
33 コネクタ
CL 中心線

Claims (4)

  1. 流体の導入路と導出路の各一側端が一面に並んで開口して形成された取付対象物の前記一面に取り付けられて前記導入路と導出路の開口端に連通する流入口と流出口が一面に並んで形成され、かつこれらの流入口と流出口を連通する流路に設けられた流量センサにより前記取付対象物を介して流れる流体の流量を計測する流量計であって、
    前記流量計の一面には前記流入口及び流出口を取り囲むように形成された外周溝と前記流入口と流出口との間を仕切るように形成された仕切溝からなる溝が連続して形成され、
    前記溝には前記外周溝に嵌合する外周部と仕切溝に嵌合する仕切部が弾性部材で一体に形成されたシール部材が嵌合され、
    前記仕切溝には前記仕切部に張力を付与する張力付与手段が設けられていることを特徴とする流量計。
  2. 前記張力付与手段は、前記仕切部を直線状に形成し、前記仕切溝を直線状に形成しかつ側壁に前記シール部材の仕切部を湾曲させて張力を付与する少なくとも1つの突起を形成することで前記仕切部に張力を付与するようになっていることを特徴とする、請求項1に記載の流量計。
  3. 前記張力付与手段は、前記仕切部を直線状に形成し、前記仕切溝を湾曲させて形成して前記仕切部を湾曲させることで当該仕切部に張力を付与するようになっていることを特徴とする、請求項1に記載の流量計。
  4. 流体の導入路と導出路の各一側端が一面に並んで開口して形成された取付対象物の前記一面に取り付けられて前記導入路と導出路の開口端に連通する流入口と流出口が一面に並んで形成され、かつこれらの流入口と流出口を連通する流路に設けられた流量センサにより前記取付対象物を介して流れる流体の流量を計測する流量計であって、
    前記流量計の一面には前記流入口及び流出口を取り囲むように形成された外周溝と前記流入口と流出口との間を仕切るように形成された仕切溝からなる溝が連続して形成され、
    前記溝には前記溝と略同形状をなし外周溝に嵌合する外周部と仕切溝に嵌合する仕切部が弾性部材で一体に形成されたシール部材が嵌合され、
    前記仕切部は少なくとも一側面に長手方向に沿って延在する圧接部が形成され、当該圧接部が前記仕切溝の内面に圧接することを特徴とする流量計。
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