(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置を、図1を参照しながら説明する。図1は、本発明に係る画像形成装置の構成を概略的に示した図である。
符号10に示される画像形成装置は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、およびブラック(K)のトナーを用いてシートSに画像を形成する装置である。なお、符号にY、M、C、Kのアルファベットが含まれている構成要素は、そのアルファベットに対応する色用の構成要素である。
画像形成装置10は、円筒形状の感光体12Y、12M、12C、12Kと、感光体の表面(像担持面)を一様に帯電する帯電装置14Y、14M、14C、14Kと、帯電された像担持面上に潜像を形成する露光装置16Y、16M、16C、16Kと、像担持面上の潜像をトナーによって現像する現像装置18Y、18M、18C,18Kとを有する。
また、画像形成装置10は、感光体12Y、12M、12C、12Kそれぞれの像担持面上のトナー画像が重ねて転写される中間転写ベルト20と、中間転写ベルト20の表面(像担持面)上に重ねて転写された4色のトナー画像(カラー画像)をシートSに転写する2次転写ローラ22と、ヒータランプ24を備えてシートS上に転写されたカラー画像を該シートSに熱定着させる定着装置26とを有する。
さらに、画像形成装置10は、トナー画像を中間転写ベルト20に転写した後に像担持面に残るトナーを掻き取って感光体12Y、12M、12C、12Kをクリーニングするクリーニング装置28Y、28M、28C、28Kと、カラー画像をシートSに転写した後に像担持面に残るトナーを掻き取って中間転写ベルト20をクリーニングするクリーニング装置30とを有する。
この画像形成装置10では、画像は以下のようにシートSに形成される。
まず、クリーニング装置28Y、28M、28C、28Kによってクリーニングされた感光体12Y、12M、12C、12Kの像担持面が、帯電装置14Y、14M、14C、14Kによって一様に帯電される。次に、帯電された像担持面上に、露光装置16Y、16M、16C、16Kによって潜像が形成される。続いて、像担持面上に形成された潜像が、現像装置18Y、18M、18C、18Kによって現像される(トナー画像が形成される。)。
感光体12Y、12M、12C、12Kそれぞれの像担持面上のトナー画像が、中間転写ベルト20に順番に静電的に転写されて該中間転写ベルト20の像担持面上に重ねられる(カラー画像が形成される。)。
中間転写ベルト20の像担持面上のカラー画像は、二次転写ローラ22と中間転写ベルト20との間の領域に移動され、その領域に搬送されてきたシートSに静電的に転写される。
シートS上のカラー画像は、定着装置26によって該シートSに定着される。
次に、本発明に係る定着装置26のヒータランプ24の制御について説明する。
まず、ヒータランプ24の制御に関わる複数の構成要素について説明する。図2は、ヒータランプ24の制御に関わる画像形成装置10の制御系を概略的に示している。
画像形成装置10の制御系は、画像形成を実行するプリンタ部50と、ユーザのタッチパネル操作を検出するパネル操作部70と、交流電源PSからの電流を画像形成装置10内の負荷に供給する電源部80と、これらを管理するシステムコントローラ部90と、ヒータランプ24の温度を検出する温度センサ92とを含んでいる。
プリンタ部50は、本発明に係る構成要素として、CPU52、記憶部54、ゼロクロス信号エッジ間測定部56、交流周波数算出部58、ゼロクロス信号周期タイマ部60、ヒータランプ制御部62、およびI/O64とを有する。
CPU52は、記憶部54に記憶されているプログラムやデータと、プリンタ部50の他の構成要素からの信号とに基づいて、演算、制御信号出力などの種々の処理を実行するように構成されており、特に本実施形態においては、ワンショットタイマとして機能するように構成されている。
CPU52は、ワンショットタイマとして機能する場合、開始タイミング(後述するゼロクロス信号周期タイマ部60のトリガタイミング)とカウント時間(後述する記憶部54に記憶されている待機時間データ)とを取得し、該開始タイミングからカウントを開始して該カウント時間経過すると、そのタイミングにトリガタイミングを生成する(トリガ信号を出力する)ように構成されている。
記憶部54には、CPU52に種々の処理を実行させるプログラムやデータが記憶されており、特に本実施形態においては、図3に示すような、詳細は後述する待機時間データを保持している。
ゼロクロス信号エッジ間測定部56は、図4(A)に示すように、後述する電源部80のゼロクロス信号生成部82が生成したゼロクロス信号の立ち上がりエッジと立ち下がりエッジとを検出し、立ち下がりエッジから立ち上がりエッジまでのLOWの間隔(LOWの継続時間)Lと、立ち上がりエッジから立ち下がりエッジまでHIGHの間隔H(HIGHの継続時間)とを測定(計測)するように構成されている。
交流周波数算出部58は、ゼロクロス信号エッジ間測定部56が測定したLOW間隔LとHIGH間隔Hとに基づいて、交流電源PSの交流周波数を算出するように構成されている。交流電源PSの交流周波数は、LOW間隔LとHIGH間隔Hとの和(ゼロクロス信号の周期)の2倍である。
ゼロクロス信号周期タイマ部60は、インターバルタイマであって、ゼロクロス信号エッジ間測定部56が測定したゼロクロス信号のLOW間隔LとHIGH間隔Hとの和(ゼロクロス信号の周期)をカウント時間として繰り返しカウントし、カウント完了毎にトリガタイミングを生成する(トリガ信号を出力する)ように構成されている。
ヒータランプ制御部62は、ヒータランプ24を制御するものであって、具体的には、I/O64を介して電源部80のヒータランプ電流供給部84に待機信号を出力し、該待機信号の出力中は該ヒータランプ電流供給部84にヒータランプ24への電流供給を待機させるものである。ヒータランプ制御部62は、詳細は後述するが、ワンショットタイマとして機能するCPU52のトリガ信号とゼロクロス信号周期タイマ部60のトリガ信号とに基づいて、待機信号を出力したり、その出力を待機したりするように構成されている。
I/O64は、他の構成要素と信号をやり取りするためのものである。
電源部80は、ゼロクロス信号生成部82と、ヒータランプ電流供給部84とを有する。
ゼロクロス信号生成部82は、HIGHとLOWの2値の矩形波のゼロクロス信号を生成するものであって、具体的には、交流電源PSの電圧波形のゼロクロス点を検出し、図4(A)に示すように、交流電源PSの電圧が略ゼロのときにLOWとなるゼロクロス信号を生成するように構成されている。
なお、本発明は、交流電源電圧が略ゼロになるときにLOWになるゼロクロス信号に限定しているわけではなく、図4(B)に示すように、交流電源電圧が略ゼロになるときにHIGHとなるゼロクロス信号であってもよい。
ヒータランプ電流供給部84は、スイッチとして機能し、ヒータランプ制御部62からの待機信号に基づいて、交流電源PSからヒータランプ24に電流を供給したり、その供給を待機するように構成されている。
温度センサ92は、ヒータランプ24の温度を検出するセンサであって、検出温度に対応する信号をプリンタ部50に出力するように構成されている。
ここからは、本発明に係るヒータランプ24の制御の内容について説明する。
本発明において、ヒータランプ24は、温度センサ92の検出結果に基づいて、その温度が適温範囲に維持されている。適温範囲は、中間転写ベルト20の像旦持面上からシートS上に転写されたトナー画像を該シートSに良好に安定して熱定着することができる範囲である。
具体的には、ヒータランプ24の温度が適温範囲より低くなると、ヒータランプ24の温度を上げるスルーアップ制御が実行される。一方、適温範囲より高くなると、ヒータランプ24の温度を下げるスルーダウン制御が実行される。
このスルーアップ制御とスルーダウン制御について説明する。
まず、本発明に係るスルーアップ制御やスルーダウン制御に必要な、ゼロクロス信号の立ち下がりエッジから立ち上がりエッジまでのLOW間隔L、立ち上がりエッジから立ち下がりエッジまでのHIGH間隔H、ゼロクロス信号の周期、および交流電源PSの交流周波数の算出の流れについて、図4と図5を参照しながら説明する。図5は、これらの算出の流れを示すフローチャートである。
まず、図5に示すように、ステップS100において、温度センサ92からの信号に基づいて、CPU52により、ヒータランプ24の温度が適温範囲内か否かが判定される。ヒータランプ24の温度が適温範囲内である場合、次のステップS110に進む。
なお、このステップS100は、別の観点からみれば、スルーアップ制御またはスルーダウン制御を実行していないことを確認するステップである。
ステップS110において、CPU52からの制御信号に基づき、ゼロクロス信号エッジ間測定部56は、ゼロクロス信号生成部82が生成したゼロクロス信号の立ち下がりエッジから立ち上がりエッジまでのLOW間隔Lnの測定を開始する。複数のLOW間隔Lnを測定する。
ステップS120において、CPU52からの制御信号に基づき、ゼロクロス信号エッジ間測定部56は、ゼロクロス信号生成部82が生成したゼロクロス信号の立ち下がりエッジから立ち上がりエッジまでのHIGH間隔Hの測定を開始する。複数のHIGH間隔Hnを測定する。
ステップS130において、CPU52により、ステップS110やステップS120で開始された測定の回数が所定の回数か否か、すなわち測定したLOW間隔Lの数やHIGH間隔Hの数が所定数か否かが判定される。測定回数が所定の回数である場合、ステップS140に進む。
ステップS140において、CPU52からの制御信号に基づき、ゼロクロス信号エッジ間測定部56は、ステップS110やステップS120で開始した測定を終了する。
ステップS150において、CPU52により、測定した複数のLOW間隔Lnの平均値AVELが算出される。
ステップS160において、CPU52により、測定した複数のHIGH間隔Hnの平均値AVEHが算出される。
ステップS170において、CPU52により、ステップS150で算出されたLOW間隔Lの平均値AVELと、ステップS160で算出されたHIGH間隔Hの平均値AVEHとを足し算して、ゼロクロス信号の平均周期AVEL+Hが算出される。
ステップS180において、交流周波数算出部58は、1をステップS170で算出したゼロクロス信号の平均周期AVEL+Hの2倍で割り算して、交流電源PSの交流周波数を算出する。
ステップS190において、CPU52により、ステップS110やステップS120で開始された測定の回数がゼロにリセットされる。そして、リターンに進み、スタートに戻る。
これによれば、ゼロクロス信号の平均LOW間隔AVEL、平均HIGH間隔AVEH、平均周期AVEL+H、交流電源PSの交流周波数は定期的に更新される。
続いて、ヒータランプ24に対するスルーアップ制御とスルーダウン制御について図6を参照しながら説明する。図6は、ゼロクロス信号と、ゼロクロス信号周期タイマ部60が出力するトリガ信号と、ワンショットタイマとして機能するCPU52が出力するトリガ信号と、ヒータランプ制御部62が出力する待機信号と、ヒータランプ24のON−OFFとのタイミングチャートを示している。また、図6(A)はスルーアップ制御を示し、図6(B)はスルーダウン制御を示している。
図6(A),6(B)に示すように、ゼロクロス信号周期タイマ部60は、図6のステップS160で算出されたゼロクロス信号の平均周期AVEL+H経過毎にトリガ信号を出力する。そのトリガ信号の出力は、CPU52がスルーアップ制御やスルーダウン制御の実行を決定した直後のゼロクロス信号の立ち下がりタイミングから開始される。
CPU52は、図6(A),6(B)に示すように、スルーアップ制御やスルーダウン制御の開始を決定すると、ゼロクロス信号周期タイマ部60の始動と同時にワンショットタイマとして機能し始める。
また、ワンショットタイマとして機能するCPU52は、ゼロクロス信号周期タイマ部60のトリガ信号をスタート基準としてカウントし始める。カウントする時間は、記憶部54にデータとして記憶されている、図3にテーブル形式で示されている待機時間である。待機時間は、図3に示すように、スルーアップ制御用とスルーダウン制御用とがあって、それぞれに50Hz用と60Hz用とがある。図5のステップS180で交流周波数算出部58が算出した周波数が約50Hzのときは50Hz用の待機時間が使用され、算出する周波数が約60Hzのときは60Hz用の待機時間が使用される。
図6(A),6(B)に示すように、CPU52は、スルーアップ制御またはスルーダウン制御が開始されると、ゼロクロス信号周期タイマ部60のトリガ信号が発生する毎に、そのトリガ信号をスタート基準として、記憶部54に記憶されている待機時間のカウントを開始する。スタートして待機時間後に(カウント完了後に)、CPU52は、トリガ信号を出力する。そのカウント時間(待機時間)は、順次変わっていく。
例えば、図6(A)に示すように、スルーアップ制御が開始されると、CPU52は、スルーアップ制御開始タイミングに発生したゼロクロス信号周期タイマ部60のトリガ信号をスタート基準として、図3のテーブルに示す待機時間Ttu(1)(50Hzの場合9.80ms、60Hzの場合、8.17ms)経過後に、トリガ信号を出力する。次のゼロクロス信号周期タイマ部60のトリガ信号が発生すると、その待機時間Ttu(2)経過後に、次のトリガ信号を出力する。そして、最後は、スルーアップ制御が開始されて40回目のゼロクロス信号周期タイマ部60のトリガ信号が発生すると、その待機時間Ttu(40)後に、トリガ信号を出力する。
一方、例えば、図6(B)に示すように、スルーダウン制御が開始されると、CPU52は、スルーダウン制御開始タイミングに発生したゼロクロス信号周期タイマ部60のトリガ信号をスタート基準として、図3のテーブルに示す待機時間Ttd(1)(50Hzの場合4.20ms、60Hzの場合、4.17ms)経過後に、トリガ信号を出力する。次のゼロクロス信号周期タイマ部60のトリガ信号が発生すると、その待機時間Ttd(2)経過後に、次のトリガ信号を出力する。そして、最後は、スルーダウン制御が開始されて40回目のゼロクロス信号周期タイマ部60のトリガ信号が発生すると、その待機時間Ttd(40)経過後に、トリガ信号を出力する。
ヒータランプ制御部62は、図6(A),6(B)に示すように、ゼロクロス信号周期タイマ部60のトリガ信号と、ワンショットタイマとして機能するCPU52のトリガ信号とに基づいて、待機信号を出力する。
具体的には、ヒータランプ制御部62は、CPU52のトリガ信号が発生すると待機信号の出力を停止してそのまま出力停止状態を維持し、ゼロクロス信号周期タイマ部60のトリガ信号が発生すると待機信号を出力してそのまま出力状態を維持する。
ヒータランプ24は、ヒータランプ制御部62が待機信号を出力している間は、電源部80のヒータランプ電流供給部84によって電流供給が停止され(OFFにされ)、待機信号を出力していない間は電流供給される(ONにされる。)。
したがって、ヒータランプ24は、ヒータランプ制御部62が2つのトリガ信号に基づいて待機信号を出力することにより、図6(A),6(B)に示すように、スルーアップ制御ではON時間が漸増し、スルーダウン制御ではON時間が漸減する。
次に、スルーアップ制御およびスルーダウン制御の流れを、図7,8に示すフローチャートを参照しながら説明する。
図7に示すように、ステップS300において、温度センサ92からの信号に基づいて、CPU52は、ヒータランプ24の温度が適温範囲外か否かを判定する。すなわちスルーアップ制御やスルーダウン制御の実行が必要であるか否かを判定する。ヒータランプ24の温度が適温範囲外である場合、ステップS310に進む。
ステップS310において、CPU52は、図5に示すステップS180で算出した交流周波数を取得する。
ステップS320において、CPU52は、変数nを1とする。
ステップS330において、ワンショットタイマのカウント時間Tos(1)を決定する制御が実行される。
この制御の詳細な流れを、図8に示すフローチャートを参照しながら説明する。
図8に示すように、ステップS330−1において、CPU52は、現在の制御がスルーアップ制御であるか否か、すなわちスルーアップ制御中かまたはスルーダウン制御中であるか否かを判定する。例えば、温度センサ92の検出温度が適温範囲より低い場合はスルーアップ制御と判定し、一方高い場合はスルーダウン制御と判定する。スルーアップ制御中である場合はステップS330−2に進む。そうでない場合はステップS330−4に進む。
ステップS330−2において、CPU52は、ステップS310で取得した交流周波数に対応するスルーアップ制御用待機時間Ttu(n)(データ)を記憶部54から取得する(図3参照。)。例えば、変数nが1の場合、待機時間Ttu(1)を取得する。
ステップS330−3において、CPU52は、ステップS330−2で取得した待機時間Ttu(n)をワンショットタイマのカウント時間Tos(n)とする。そして、ステップS340に進む。
一方、ステップS330−1でスルーアップ制御中でないと判定された場合、ステップS330−4において、CPU52は、ステップS310で取得した交流周波数に対応するスルーダウン制御用待機時間Ttd(n)(データ)を記憶部54から取得する(図3参照。)。例えば、変数nが1の場合、待機時間Ttd(1)を取得する。
続くステップS330−5において、CPU52は、ステップS330−4で取得した待機時間Ttd(n)をワンショットタイマのカウント時間Tos(n)とする。そして、ステップS340に進む。
図7に戻り、ステップS340において、ゼロクロス信号周期タイマ部60は、図5に示すステップS170で算出されたゼロクロス信号の平均周期AVEL+Hを取得する。
ステップS350において、図6に示すように、CPU52からの制御信号に基づき、ゼロクロス信号周期タイマ部60は、ゼロクロス信号の立ち下がりエッジの発生タイミングに始動し、ステップS340で取得したゼロクロス信号の平均周期AVEL+H間隔でトリガ信号を出力し始める。それと同時に、CPU52がカウント時間Tos(1)をカウントするワンショットタイマとして機能し始める。
ステップS360は待機ステップであって、ワンショットタイマのカウントが完了する、すなわちCPU52のトリガ信号が発生すると、待機が完了して次のステップに進む。
ステップS370において、ヒータランプ制御部62は、CPU52(ワンショットタイマ)のトリガ信号に基づいて待機信号の出力を停止する。すなわち、ヒータランプ24に電流が供給される。
ステップS380は待機ステップであって、ゼロクロス信号周期タイマ部60のトリガ信号が発生すると、待機が完了して次のステップに進む。
ステップS390において、CPU52により、変数nが所定値(本実施形態では40(図3参照。))であるか否かが判定される。所定値の場合は、スルーアップ制御またはスルーダウン制御が完了したとして、ステップS400に進む。そうでない場合は、スルーアップ制御またはスルーダウン制御を継続するとして、ステップS410に進む。
ステップS400において、スルーアップ制御またはスルーダウン制御が完了したので、CPU52は、ゼロクロス信号周期タイマ部60を停止させる。それにより、ゼロクロス信号の平均周期AVEL+H間隔のトリガ信号の出力が停止する。そして、リターンに進み、スタートに戻る。
一方、ステップS410において、ヒータランプ制御部62は、ゼロクロス信号周期タイマ部60のトリガ信号に基づいて待機信号を出力する。すなわち、ヒータランプ24に対して電流供給が停止される。
ステップS420において、CPU52は、変数nをインクリメントする。
ステップS430において、ステップS330と同様に、ワンショットタイマのカウント時間Tos(n)を決定する制御が実行される。
ステップS440において、CPU52が、ステップS430で決定されたカウント時間Tos(n)をカウントするワンショットタイマとして機能し始める。そして、ステップS360に戻る。
本実施形態によれば、ヒータランプ24への電流供給の制御としてのスルーアップ制御やスルーダウン制御は、ゼロクロス信号でなく、ゼロクロス信号の周期と同一時間を繰り返しカウントするタイマ(ゼロクロス信号周期タイマ部60)に基づいて実行される。したがって、交流電源PSを含む電源系統がスルーアップ制御やスルーダウン制御のように短時間にヒータランプ24が繰り返しオンオフされると交流電源電圧が異常になるような高いインピーダンスであって、それによりゼロクロス信号が異常になっても、スルーアップ制御やスルーダウン制御が正常に実行される。その結果、過大な突入電流の発生は抑制され、同一交流電源から電流の供給を受けている他の電気機器に悪影響を与えることが抑制される。
(第2の実施形態)
本実施形態は、スルーアップ制御やスルーダウン制御の内容が、上述の第1の実施形態と異なる。
具体的には、図2に示すゼロクロス信号周期タイマ部が存在せず、CPUがスルーアップ制御やスルーダウン制御時にワンショットタイマとして機能しない。そして、ヒータランプ制御部が、待機信号としてPWM(Pulse Width Modulation)信号を出力する。また、プリンタ部が、PWM信号の立ち上がりエッジまたは立ち下がりエッジのいずれか1つを検出し、検出する毎にトリガタイミングを生成する(トリガ信号を出力する)PWM信号エッジ検出部を有する。それ以外の構成は第1の実施形態と同じである。
図9は、本実施形態に係る、ゼロクロス信号と、ヒータランプ制御部が出力する待機信号(PWM信号)と、PWM信号エッジ部のトリガ信号と、ヒータランプのON−OFFとのタイミングチャートを示している。また、図9(A)はスルーアップ制御を示し、図9(B)はスルーダウン制御を示している。
ヒータランプ制御部は、図9(A),9(B)に示すように、ゼロクロス信号の平均周期AVEL+H経過毎に1パルスが発生し、そのパルス幅(duty比)が変化するPWM信号を出力するように構成されている。また、ヒータランプ制御部は、PWM信号のduty比を、後述するPWM信号エッジ検出部のトリガ信号が発生する毎に、スルーアップ制御では漸減し、スルーダウン制御では漸増するように構成されている。スルーアップ制御用のduty比Dtu(n)やスルーダウン制御用のDuty比Dtd(n)は、第1の実施形態の待機時間データのようにデータとして記憶部に記憶されていてもよいし、PWM信号エッジ検出部のトリガ信号の発生回数nの関数であってもよい。
PWM信号エッジ検出部は、図9(A),9(B)に示すように、ヒータランプ制御部が出力したPWM信号の立ち上がりエッジ(パルス発生タイミング)を検出し、その検出タイミングにトリガ信号を出力するように構成されている。
したがって、ヒータランプ制御部は、PWM信号エッジ検出部を介して、出力したPWM信号をフィードバックし、そのフィードバック信号に基づいてPWM信号のduty比を変更していることになる。
次に、PWM信号によるスルーアップ制御およびスルーダウン制御の流れを、図10,11に示すフローチャートを参照しながら説明する。
図10に示すように、ステップS500において、温度センサからの信号に基づいて、CPUは、ヒータランプの温度が適温範囲外か否かを判定する。すなわちスルーアップ制御やスルーダウン制御の実行が必要であるか否かを判定する。ヒータランプの温度が適温範囲外である場合、ステップS510に進む。
ステップS510において、CPUは、変数nを1とする。
ステップS520において、PWM信号のduty比D(n)を決定する制御を実行する。
この制御の詳細な流れを、図11に示すフローチャートを参照しながら説明する。
図11に示すように、ステップS520−1において、CPUは、現在の制御がスルーアップ制御であるか否か、すなわちスルーアップ制御中かまたはスルーダウン制御中であるか否かを判定する。スルーアップ制御中である場合はステップS520−2に進む。そうでない場合ステップS520−4に進む。
ステップS520−2において、ヒータランプ制御部は、スルーアップ制御用duty比Dtu(n)を取得する。
ステップS520−3において、ヒータランプ制御部は、ステップS520−2で取得したduty比Dtu(n)をPWM信号のduty比D(n)とする。そして、ステップS530に進む。
一方、ステップ520−1でスルーアップ制御中でないと判定された場合、ステップS520−4において、ヒータランプ制御部は、スルーダウン制御用duty比Dtd(n)を取得する。
ステップS520−5において、ヒータランプ制御部は、ステップS520−4で取得したduty比Dtd(n)をPWM信号のduty比D(n)とする。そして、ステップS530に進む。
図10に戻り、ステップ530において、ヒータランプ制御部は、図5に示すステップS170で算出されたゼロクロス信号の平均周期AVEL+Hを取得する。
ステップS540において、図9に示すように、CPUからの制御信号に基づき、ヒータランプ制御部は、ゼロクロス信号の立ち下がりエッジの発生タイミングに、PWM信号を出力し始める。
ステップS550は待機ステップであって、PWM信号エッジ検出部のトリガ信号が発生すると、待機が完了して次のステップに進む。
ステップS560において、CPUは、変数nをインクリメントする。
ステップS570において、ステップS520と同様に、PWM信号のduty比D(n)を決定する制御を実行する。
ステップS580において、CPUにより、変数nが所定値であるか否かが判定される。所定値の場合は、スルーアップ制御またはスルーダウン制御が完了したとして、ステップS590に進む。そうでない場合は、スルーアップ制御またはスルーダウン制御を継続するとして、ステップS550に戻る。
ステップS590において、CPUからの制御信号に基づき、ヒータランプ制御部は、PWM信号の出力を停止する。そして、リターンに進み、スタートに戻る。
本実施形態によれば、ヒータランプへの電流供給の制御としてのスルーアップ制御やスルーダウン制御は、ゼロクロス信号ではなく、ゼロクロス信号の周期と同一時間の経過毎に1パルスが発生し、そのパルス幅が変更されるPWM信号に基づいて実行される。したがって、交流電源を含む電源系統がスルーアップ制御やスルーダウン制御のように短時間にヒータランプが繰り返しオンオフされると交流電源電圧が異常になるような高いインピーダンスであって、それによりゼロクロス信号が異常になっても、スルーアップ制御やスルーダウン制御が正常に実行される。その結果、過大な突入電流の発生は抑制され、同一交流電源から電流の供給を受けている他の電気機器に悪影響を与えることが抑制される。
以上、2つの実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されない。
例えば、上述の2つの実施形態は、図6や図9に示すように、スルーアップ制御やスルーダウン制御は、ゼロクロス信号の立ち下がりタイミングに開始されている。すなわち、正確に交流電源電圧がゼロのときに開始されているわけではない。
その対処として、図12や図13に示すように、ゼロクロス信号の立ち下がりタイミングから平均のLOW間隔AVELの半分の時間の経過タイミングに、スルーアップ制御やスルーダウン制御を開始するようにしてもよい。この平均のLOW間隔AVELの半分の時間は、図5のステップS150で算出したLOW間隔の平均値AVELを2で割れば算出することができる。
この場合、第1の実施形態においては、図7に示すスルーアップ制御やスルーダウン制御のステップS350が、図14に示すステップS350−1〜S350−3と置き換わる。置き換わるステップS350−1〜S350−3について説明する。
図14に示すように、ステップS350−1において、CPUは、図5のステップS150で算出した平均LOW間隔AVELを取得する。
次に、ステップS350−2において、CPUは、ステップS350−1で取得した平均LOW間隔AVELを2で割り算して、その半値を算出する。
続くステップS350−3において、CPUは、図12に示すように、ゼロクロス信号周期タイマ部を、ゼロクロス信号の立ち下がりエッジの発生タイミングからステップS350−2で算出した半値時間経過後のタイミングに始動させる。それと同時に、CPUが、ワンショットタイマとして機能し始める。
一方、第2の実施形態においては、図10に示すステップS540が、図15に示すステップS540−1〜S540−3と置き換わる。置き換わるステップS540−1〜S5430−3について説明する。
図15に示すように、ステップS540−1において、CPUは、図5のステップS150で算出した平均LOW間隔AVELを取得する。
次に、ステップS540−2において、CPUは、ステップS540−1で取得した平均LOW間隔AVELを2で割り算して、その半値を算出する。
続くステップS540−3において、CPUは、図13に示すように、ヒータランプ制御部に、ゼロクロス信号の立ち下がりエッジの発生タイミングからステップS540−3で算出した半値時間経過後のタイミングからPWM信号を出力させる。
これによれば、ゼロの交流電源電圧を基準として、スルーアップ制御やスルーダウン制御が実行されるので、上述の実施形態に比べて、より過大な突入電流の発生を抑制でき、それにより、同一交流電源から電流の供給を受けている他の電気機器に悪影響を与えることがより抑制される。
また、上述の2つの実施形態の場合、図5に示すように、ゼロクロス信号のLOW間隔やHIGH間隔は、ヒータランプの温度が適温範囲内にあるとき、すなわちスルーアップ制御やスルーダウン制御が実行されていないときに測定されている。これは、確実に、正常なゼロクロス信号のLOW間隔やHIGH間隔を測定するためである。言い換えると、スルーアップ制御やスルーダウン制御の最中に、ゼロクロス信号のLOW間隔やHIGH間隔を測定すると、仮に交流電源を含む電源系統のインピーダンスが高い場合、異常なゼロクロス信号のLOW間隔やHIGH間隔を測定する可能性があるからである。
したがって、交流電源を含む電源系統のインピーダンスが正常であるなどの理由から、スルーアップ制御中やスルーダウン制御中であっても正常なゼロクロス信号が生成されていることが保証されているのであれば、LOW間隔やHIGH間隔の測定はいつでもよい。この場合、ゼロクロス信号の異常を検出する手段を設け、該手段が異常を検出していないときに、ゼロクロス信号のLOW間隔やHIGH間隔を測定するのが好ましい。
最後に、上述の2つの実施形態のゼロクロス信号は、交流電源電圧が略ゼロになるときにLOWとなる信号であるが、これに限定するわけではない。略ゼロになるときにHIGHになるゼロクロス信号であってもよい。すなわち、本発明に係るゼロクロス信号は交流電源電圧が略ゼロになるときに第1信号値になり、それ以外は第2信号値となる信号であって、本発明は、その第1信号値の発生タイミングを基準として、第1の実施形態ではゼロクロス信号周期タイマ部とワンショットタイマ(CPU)が、第2の実施形態ではヒータランプ制御部が、始動したり、信号を出力するものである。