本発明は、コイル冷却装置に係り、特に、例えばインホイルモータなどのモータの有するコイルを冷却すべくオイルなどの作動流体が流通する冷却ジャケットを備えるコイル冷却装置に関する。
従来、インホイルモータの有するコイルエンドを、リザーバに溜められているオイルを循環させることにより冷却するコイル冷却装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。このコイル冷却装置においては、オイルポンプにより吸引したオイルが、ロータシャフトに設けられたねじ溝によるスクリュー作用によりコイルエンドに圧送される。このため、上記の冷却装置によれば、コイルエンドにオイルを供給することで、そのコイルエンドを効果的に冷却することが可能となっている。
特開2005−80397号公報
ところで、上記のコイル冷却装置は、コイルエンドに供給されたオイルがそのままそのコイルエンド近傍に溜まるような構造を有していない。このため、例えばオイルポンプが停止した後やロータシャフトが回転しなくなったときには、コイルエンドに循環オイルが供給されずかつそのコイルエンド近傍にオイルが存在しないものとなるので、コイルエンドを効果的に冷却することができなくなる。また、オイルポンプが起動しかつロータシャフトの回転が開始された後であっても、オイルがポンプによりリザーバから吸い上げられてロータシャフトの回転によりコイルエンドに供給されるまでには多少の時間がかかるので、その期間もコイルエンドを冷却することができなくなる。更に、コイルエンド近傍がオイルを溜める構造になっていないと、循環オイルを溜めるリザーバタンクの容量を大きくせざるを得なくなってしまう。
本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、コイルの近傍を常に作動流体で満たしたコイル冷却装置を提供することを目的とする。
上記の目的は、モータの有するコイルを冷却すべく作動流体が流通する冷却ジャケットを備えるコイル冷却装置であって、前記冷却ジャケットの流出口に連通する排出配管に設けられ、該流出口側への作動流体の逆流を阻止すると共に、該冷却ジャケット内の圧力が所定値を超える場合に該流出口側からの作動流体の排出を許可し、かつ、該冷却ジャケット内の圧力が前記所定値以下である場合に該流出口側からの作動流体の排出を阻止する第1の逆止弁と、リザーバタンクから汲み上げた作動流体を前記冷却ジャケットに導くポンプと、前記ポンプと前記冷却ジャケットの流入口とに連通して前記作動流体が流通する供給配管と、前記供給配管に連通し、該供給配管に供給された前記ポンプからの前記作動流体の一部を前記リザーバタンクにリターンする配管の途中に設けられ、前記供給配管の圧力が所定圧力を超える場合に該供給配管側からの前記作動流体の流通を許可し、かつ、前記供給配管の圧力が前記所定圧力以下である場合に該供給配管側からの前記作動流体の流通を阻止する第2の逆止弁と、を備えるコイル冷却装置により達成される。
この態様の発明において、排出配管から冷却ジャケットの流出口への作動流体の逆流を阻止する逆止弁は、冷却ジャケット内の圧力が所定値以下である場合に流出口から排出配管への作動流体の排出を阻止する。かかる構成によれば、冷却ジャケット内の圧力が所定値を超えるまでその冷却ジャケット内に作動流体が残留するので、これにより、コイル近傍の冷却ジャケット内を常に作動流体で満たすことができる。
尚、上記したコイル冷却装置において、前記冷却ジャケットが、複数の前記流出口と、該流出口に対して交互に配置された該流出口の数と同数の流入口と、を有することとすれば、冷却ジャケット内に流入口から流出口へのスムースな作動流体の流れを形成することができると共に、その作動流体の温度分布の均一化を図ることができる。
ところで、上記したコイル冷却装置において、前記冷却ジャケットが、モータ内部を循環する流路により構成されていることとすればよい。
本発明によれば、モータの有するコイルの近傍を常に作動流体で満たすことができる。このため、コイルの冷却効率を向上させることができると共に、また、作動流体を貯留するリザーバタンクの容量を低減させることができる。
以下、図面を用いて、本発明の具体的な実施の形態について説明する。
図1は、本発明の第1実施例であるコイル冷却装置10を備えるモータ12の側断面図を示す。また、図2は、本実施例のコイル冷却装置10のシステム構成図を示す。更に、図3は、本実施例のコイル冷却装置10の詳細構成図を示す。尚、図2及び図3にはそれぞれ、コイル冷却装置10の備える冷却ジャケットについて、図1に示す如き直線III−IIIで切断した際の断面図を示している。
本実施例において、モータ12は、例えば車両の駆動輪に適用されるインホイルモータである。モータ12は、ハウジング14内に収容された環状のロータ16及びステータ18を備えている。ロータ16には、その中心を貫くようにロータシャフト20が取り付けられている。また、ステータ18には、周方向等間隔に軸方向に延びたスロット22が設けられており、コイル24が巻回されている。コイル24に電流が流れると、ステータ18とロータ16との間に回転磁界が発生し、ロータシャフト20が回転する。
本実施例のコイル冷却装置10は、モータ12の有するコイル24を作動流体である冷媒により冷却する装置である。コイル冷却装置10は、冷媒としての液状のオイルが流通する冷却ジャケット26を備えている。冷却ジャケット26は、樹脂などの絶縁部材からなっており、ステータ18の軸方向端部それぞれに隣接して取り付けられている。各冷却ジャケット26はそれぞれ、ステータ18の軸方向端面に沿って環状に連なるように形成された流路を有しており、オイルの流通により、軸方向に隣接するステータ18に巻回されたコイル24のコイルエンドを冷却する。
冷却ジャケット26には、該冷却ジャケット26内を流通すべきオイルの流入する流入口28、及び、該冷却ジャケット26内を流通したオイルの流出する流出口30がそれぞれ一箇所ずつ設けられている。流出口30は、少なくとも冷却ジャケット26の最下端よりも高い位置に配置されていると共に、また、流入口28は、少なくともその流出口30よりも高い位置に配置されている。具体的には、流入口28及び流出口30は共に、環状の冷却ジャケット26の最上部に設けられている。流入口28と流出口30とは、冷却ジャケット26の最上部において隔壁32を介して隣接している。冷却ジャケット26は、流入口28から流出口30にかけてモータ内部を循環する流路(図2に矢印で示す流路)により構成されている。
流入口28には、冷却ジャケット26に供給するオイルを導く供給配管34が非接触で連なっている。供給配管34は、モータ12のハウジング14を貫いており、外部からハウジング14内にある冷却ジャケット26の流入口28の上方に開口した吐出口34aを有している。供給配管34の冷却ジャケット26側に開口する吐出口34aは、流出口30よりも高い位置に配置され、かつ、その流入口28の上方に間隔を空けて配置されている。吐出口34aから吐出したオイルは、流入口28を通じて冷却ジャケット26内に供給される。
供給配管34は、また、オイルポンプ36の一端に連通している。オイルポンプ36の他端には、オイルを貯留するリザーバタンク38に連通する供給配管40が連通している。すなわち、オイルポンプ36は、リザーバタンク38と冷却ジャケット26とを結ぶ供給配管34,40上に介在されている。オイルポンプ36は、例えば電動式のポンプであって、モータ12の作動時(例えば車両のイグニションオン時)に、リザーバタンク38から供給配管40を通じてオイルを汲み上げて、そのオイルを下流側(冷却ジャケット26側)にある供給配管34に供給する。供給配管34に供給されたオイルは、その供給配管34内を流通して冷却ジャケット26の流入口28に達し、そして、冷却ジャケット26内に供給される。
供給配管40の途中には、逆止弁42が設けられている。すなわち、逆止弁42は、オイルポンプ36から見て上流側(リザーバタンク36側)にある供給配管40に設けられている。逆止弁42は、供給配管40のリザーバタンク38側からオイルポンプ36側へのオイルの流通を許可するが、オイルポンプ36側からリザーバタンク38側へのオイルの逆流を阻止する機能を有している。
供給配管34には、潤滑油系配管44が連通している。潤滑油系配管44は、また、例えば、ロータシャフト20やそのロータシャフト20に接続する減速機構の可動部に連通しており、その可動部に潤滑のためのオイルを滴下するために設けられている。モータ作動時にオイルポンプ36によりリザーバタンク38から汲み上げられたオイルは、その一部が供給配管34を通じて冷却ジャケット26に供給されると共に、かつ、その他が供給配管34の途中から潤滑油系配管44内を流通して上記の可動部に供給されることとなる。かかる可動部に供給されたオイルは、リターン配管46内を流通してリザーバタンク38にリターンされる。
また、流出口30は、モータ12のハウジング14内部に露出している。ハウジング14内は、冷却ジャケット26の流出口30から流出したオイルの排出通路としての機能を有している。ハウジング14の下部には、排出口が設けられており、排出配管48が連通している。排出配管48は、他端を上記のリザーバタンク38に開放している。冷却ジャケット26の流出口30から流出したオイルは、排出通路としてのハウジング14内を流通して排出口に達し、更に、排出配管48内を流通してリザーバタンク38にリターンされる。
次に、本実施例のコイル冷却装置10を含むシステムの動作について説明する。図4は、本実施例のコイル冷却装置10の備える冷却ジャケット26内のオイル流入停止後の状況を表した図を示す。
本実施例において、車両のイグニションオン時などのモータ12が作動される際には、オイルポンプ36が作動状態にされる。オイルポンプ36が作動されると、リザーバタンク38に貯留されていたオイルが吸い上げられて、逆止弁42で阻止させることなく供給配管40をリザーバタンク38側からそのオイルポンプ36側へ向けて流通し、供給配管34及び潤滑油系配管44に高圧で圧送される。
潤滑油系配管44に圧送されたオイルは、その潤滑油系配管44内を流通した後、ロータシャフト20や減速機構などの可動部に滴下される。このため、本実施例によれば、これらの可動部を滴下オイルにより潤滑することが可能である。そして、可動部を潤滑したオイルは、リターン配管46内を流通してリザーバタンク38にリターンされる。
また、供給配管34に圧送されたオイルは、その供給配管34内を流通して吐出口34aから吐出された後、流入口28から冷却ジャケット26内に流入する。冷却ジャケット26は、その上部に設けられて隔壁32により互いに分離された流入口28と流出口30とを有し、その流入口28はその流出口30よりも高い位置に配置されている。このため、流入口28から冷却ジャケット26内に流入したオイルは、流出口30の高さに至るまでその冷却ジャケット26内に保持される。また、流入口28側と流出口30側との間にはオイルの流入に起因する差圧が発生するので、冷却ジャケット26内には、流入口28側から流出口30側へ向けたオイルの流れが生ずる。
モータ12の有するコイル24はそのモータ作動時に発熱し得るが、上記の如く冷却ジャケット26内にオイルが流通・保持されると、その冷却ジャケット26に対して軸方向に隣接するステータ18のコイル24のコイルエンドがその流通オイルとの熱交換により冷却される。従って、本実施例によれば、冷却ジャケット26内に冷媒としてのオイルを流通・保持することにより、モータ12の有するコイル24を冷却することが可能となっている。
冷却ジャケット26内のオイルは、その上部の流入口28から流入して環状に一周した後、流入口28に隔壁32を介して隣接した流出口30から外部に流出する。冷却ジャケット26の流出口30から外部に流出したオイルは、排出通路としてのハウジング14内を流通してその排出口に達し、そして、排出配管48内を流通してリザーバタンク38にリターンされる。
一方、例えば車両のイグニションオフによりモータ12の作動が停止されてオイルポンプ36の作動が停止されると、そのオイルポンプ36によるリザーバタンク38からのオイルの汲み上げが中止され、オイルポンプ36による供給配管34及び潤滑油系配管44への高圧オイルの圧送が中止される。この場合には、可動部へのオイルの滴下が生じなくなり、その可動部の滴下オイルによる潤滑が中止される。また、供給配管34の吐出口34aからの吐出が生じなくなり、その供給配管34から冷却ジャケット26へのオイルの流入が中止される。
本実施例において、冷却ジャケット26は、その最下端よりも高い位置に配置された流出口30と、その流出口30よりも高い位置に配置された流入口28と、を有している。この点、オイルポンプ36の作動が停止されて供給配管34から冷却ジャケット26へのオイルの流入が中止されると、その冷却ジャケット26のオイル水位が図4に示す如くその最下端よりも高くかつ流入口28の高さよりも低い流出口30の高さに保持されるまで、その流出口30から外部にオイルが流出し、その後、冷却ジャケット26のオイル水位が流出口30の高さに保持される。すなわち、冷却ジャケット26には、オイル流入停止後においても、その最下端からの流出口30の高さ分だけオイルが確実に残留する。
このように、本実施例のコイル冷却装置10によれば、冷却ジャケット26内をその最下端から流出口30までの高さ分だけ常にオイルで満たすことが可能となっている。このため、オイルポンプ36の作動停止時や起動開始直後など、冷却ジャケット26へのオイルの流入が停止されてからその再開がなされるまでの期間も、冷却ジャケット26に残留した流出口30の高さ分のオイルにより、モータ12の有するコイル24のコイルエンドを冷却することが可能となっており、この点、コイル24を冷却する性能を確保することができ、コイル24の冷却効率を向上させることが可能となっている。また、オイル流入停止後にも冷却ジャケット26内の最下端から流出口30までの高さ分のオイルがリザーバタンク38側へリターンされることなく残留するので、その残留分だけリザーバタンク38の容量・容積を低減することが可能となっており、例えば車両のホイール内スペースを有効活用することが可能となっている。
また、本実施例において、オイルポンプ36とリザーバタンク38との間の供給配管40には、オイルポンプ36側からリザーバタンク38側へのオイルの逆流を阻止する逆止弁42が設けられている。かかる構造においては、オイルポンプ36の停止後、供給配管40内の逆止弁42上流側にあるオイルはリザーバタンク38に戻りかつ供給配管34内の一部のオイルは冷却ジャケット26や潤滑油系配管44に流入するが、それ以外の供給配管34,40内のオイルはリザーバタンク38に戻ることなくその配管34,40内に留まり保持される。このため、本実施例の構成によれば、逆止弁42が設けられていない構造に比べて、オイルポンプ36の停止時に供給配管34,40からリザーバタンク38へ戻るオイルの量が低減されるので、その分だけリザーバタンク38の容量・容積を低減することが可能となっている。
更に、本実施例において、冷却ジャケット26の流入口28に連なる供給配管34の吐出口34aは、流出口30よりも高い位置に配置され、かつ、その流入口28の上方に間隔を空けて配置されている。かかる構造によれば、オイル流入停止後に限らずオイル流入中においても、冷却ジャケット26内のオイルをサイホン効果により供給配管34側に吸い出すのは防止される。従って、本実施例のコイル冷却装置10によれば、冷却ジャケット26から供給配管34へのオイルの逆流を確実に防止することが可能となっている。
ところで、上記の第1実施例においては、冷却ジャケット26の流出口30をその最上部に設けることで、コイル24の冷却性能の向上やリザーバタンク38の容量の低減を最も効果的なものとすることができるが、その作用効果を得るうえでは、流出口30を少なくとも冷却ジャケット26の最下端よりも高い位置に配置することとすれば十分である。
また、上記の第1実施例においては、冷却ジャケット26の流入口28を流出口30よりも高い位置に配置することで、コイル24の冷却性能の向上やリザーバタンク38の容量の低減を最も効果的なものとすることができるが、その作用効果を得るうえでは、流入口28を冷却ジャケット26の最下端よりも高い位置に配置することとすれば十分であり、流出口30よりも低い位置に配置することとしてもよい。
図5は、本発明の第2実施例であるコイル冷却装置100のシステム構成図を示す。本実施例は、上記した第1実施例において、コイル冷却装置10のシステム構成に代えて、コイル冷却装置100のシステム構成を用いることにより実現される。尚、本実施例において、上記した第1実施例に示す構成部分と同一の部分については、同一の符号を付してその説明を省略又は簡略する。
本実施例のコイル冷却装置100は、モータ12の有するコイル24を作動流体である冷媒により冷却する装置である。コイル冷却装置100は、液状のオイルが流通する冷却ジャケット102を備えている。冷却ジャケット102は、樹脂などの絶縁部材からなっており、ステータ18の軸方向端部それぞれに隣接して取り付けられている。各冷却ジャケット102はそれぞれ、ステータ18の軸方向端面に沿って環状に連なるように形成された流路を有しており、オイルの流通により、軸方向に隣接するステータ18に巻回されたコイル24のコイルエンドを冷却する。
冷却ジャケット102には、該冷却ジャケット102内を流通すべきオイルの流入する流入口104、及び、該冷却ジャケット102内を流通したオイルの流出する流出口106がそれぞれ一箇所ずつ設けられている。流出口106は、少なくとも冷却ジャケット102の最下端よりも高い位置に配置されており、具体的には、環状の冷却ジャケット102の最上部に設けられている。また、流入口104は、少なくともその流出口106よりも低い位置に配置されており、具体的には、環状の冷却ジャケット102の最下部に設けられている。冷却ジャケット102は、流入口104から流出口106にかけて二手に分かれてモータ内部を循環する流路(図5に矢印で示す流路)により構成されている。
流入口104には、冷却ジャケット102に供給するオイルを導く供給配管108が連通している。供給配管108は、モータ12のハウジング14を貫いており、外部からハウジング14内にある冷却ジャケット102の流入口104に連通していると共に、ハウジング14外にあるオイルポンプ36の一端に連通している。供給配管108の途中には、逆止弁110が設けられている。逆止弁110は、供給配管108のオイルポンプ36側から冷却ジャケット102側へのオイルの流通を許可するが、冷却ジャケット102側からオイルポンプ36側へのオイルの逆流を阻止する機能を有している。
オイルポンプ36の他端には、オイルを貯留するリザーバタンク38に連通する供給配管40が連通している。すなわち、オイルポンプ36は、リザーバタンク38と冷却ジャケット102とを結ぶ供給配管40,108上に介在されている。オイルポンプ36は、モータ作動時に、リザーバタンク38から供給配管40を通じてオイルを汲み上げて、そのオイルを下流側(冷却ジャケット102側)にある供給配管108に供給する。供給配管108に供給されたオイルは、その供給配管108内を流通して冷却ジャケット102の流入口104に達し、そして、その冷却ジャケット102内に高圧で圧送される。
供給配管108の逆止弁110上流側には、潤滑油系配管44が連通している。モータ作動時にオイルポンプ36によりリザーバタンク38から汲み上げられたオイルは、その一部が供給配管108を通じて冷却ジャケット102に供給されると共に、かつ、その他が供給配管108の途中から潤滑油系配管44内を流通して上記の可動部に供給されることとなる。かかる可動部に供給されたオイルは、リターン配管46内を流通してリザーバタンク38にリターンされる。
また、流出口106は、モータ12のハウジング14内部に露出している。ハウジング14内は、冷却ジャケット102の流出口106から流出したオイルの排出通路としての機能を有している。冷却ジャケット102の流出口106から流出したオイルは、排出通路としてのハウジング14内を流通して排出口に達し、更に、排出配管48内を流通してリザーバタンク38にリターンされる。
次に、本実施例のコイル冷却装置100を含むシステムの動作について説明する。
本実施例において、オイルポンプ36が作動されると、リザーバタンク38に貯留されていたオイルが吸い上げられて、供給配管108及び潤滑油系配管44に高圧で圧送される。潤滑油系配管44に圧送されたオイルは、その潤滑油系配管44内を流通した後、ロータシャフト20や減速機構などの可動部に滴下され、可動部を潤滑し、その後は、リターン配管46内を流通してリザーバタンク38にリターンされる。
また、供給配管108に圧送されたオイルは、その供給配管108内を流通した後、流入口104から冷却ジャケット102内に流入する。冷却ジャケット102は、その最下部に設けられた流入口104とその最上部に設けられた流出口106とを有している。従って、冷却ジャケット102内には、その冷却ジャケット102内に存在するオイルからの圧力に抗してオイルポンプ36による高圧のオイルが流入口104から流入する。また、流入口104から冷却ジャケット102内に流入したオイルは、その冷却ジャケット102内を流通し、流出口106の高さに至るまでその冷却ジャケット102内に保持される。
上記の如く冷却ジャケット102内にオイルが流通・保持されると、その冷却ジャケット102に対して軸方向に隣接するステータ18のコイル24のコイルエンドがその流通オイルとの熱交換により冷却される。従って、本実施例によれば、冷却ジャケット102内に冷媒としてのオイルを流通・保持することにより、モータ12の有するコイル24を冷却することが可能となっている。
冷却ジャケット102内のオイルは、その最下部の流入口104から流入して二手に分かれて流通した後、その最上部の流出口106から外部に流出する。冷却ジャケット102の流出口106から外部に流出したオイルは、排出通路としてのハウジング14内を流通してその排出口に達し、そして、排出配管48内を流通してリザーバタンク38にリターンされる。
一方、オイルポンプ36の作動が停止されると、そのオイルポンプ36によるリザーバタンク38からのオイルの汲み上げが中止され、オイルポンプ36による供給配管34及び潤滑油系配管44への高圧オイルの圧送が中止される。この場合には、可動部へのオイルの滴下が生じなくなりその可動部の滴下オイルによる潤滑が中止されると共に、供給配管108から冷却ジャケット102へのオイルの流入が中止される。
本実施例において、冷却ジャケット102は、流出口106よりも低い位置に配置された流入口104を有し、更に、その流入口104は冷却ジャケット102の最下部に設けられている。この点、オイルポンプ36の作動が停止されて供給配管108から冷却ジャケット102へのオイルの流入が中止されると、その冷却ジャケット102内や供給配管108内のオイルが、冷却ジャケット102のオイル水位が流入口104の高さ(具体的にはゼロ)になるように流入口104側から供給配管108側へ逆流するおそれがあり、このため、それらのオイルのすべてが潤滑油系配管44や可動部を経由するものを含めてリザーバタンク38にリターンされる可能性がある。
これに対して、本実施例においては、供給配管108の途中に、オイルポンプ36側から冷却ジャケット102側へのオイルの流通を許可する一方で、冷却ジャケット102側からオイルポンプ36側へのオイルの逆流を阻止する逆止弁110が設けられている。かかる構造においては、オイルポンプ36の停止後、供給配管108内の逆止弁110下流側にあるオイルや冷却ジャケット102内のオイルは、その逆止弁110上流側に逆流することなくすなわちリザーバタンク38に戻ることなくその配管108内や冷却ジャケット102内に留まり保持される。この際、冷却ジャケット102内のオイル水位は流出口106の高さに保持される。
すなわち、オイルポンプ36の停止によるオイル流入停止後においても、冷却ジャケット102内にはその流出口106の高さ分だけオイルが確実に残留すると共に、供給配管108内の逆止弁110下流側にはオイルが確実に残留する。このように、本実施例のコイル冷却装置100によれば、冷却ジャケット102内をその最下端から流出口106までの高さ分だけ常にオイルで満たすことが可能となっていると共に、供給配管108内の逆止弁110下流側を常にオイルで満たすことが可能となっている。
このため、オイルポンプ36の作動停止時や起動開始直後など、冷却ジャケット102へのオイルの流入が停止されてからその再開がなされるまでの期間も、冷却ジャケット102に残留した流出口106の高さ分のオイルにより、モータ12の有するコイル24のコイルエンドを冷却することが可能となっており、この点、コイル24を冷却する性能を確保することができ、コイル24の冷却効率を向上させることが可能となっている。
また、オイル流入停止後にも冷却ジャケット102内の最下端から流出口106までの高さ分のオイルや供給配管108内の逆止弁110下流側のオイルがリザーバタンク38側へリターンされることなく残留するので、その残留分だけリザーバタンク38の容量・容積を低減することが可能となっており、例えば車両のホイール内スペースを有効活用することが可能となっている。
また、本実施例において、オイルポンプ36とリザーバタンク38との間の供給配管40には、オイルポンプ36側からリザーバタンク38側へのオイルの逆流を阻止する逆止弁42が設けられている。かかる構造においては、オイルポンプ36の停止後、供給配管40内の逆止弁42下流側にあるオイルや供給配管108の逆止弁110上流側にあるオイル(厳密には、潤滑油系配管44内を流通するものを除く。)はリザーバタンク38に戻ることなくその配管40,108内に留まり保持される。このため、本実施例の構成によれば、逆止弁42が設けられていない構造に比べて、オイルポンプ36の停止時に供給配管40,108からリザーバタンク38へ戻るオイルの量が低減されるので、その分だけリザーバタンク38の容量・容積を低減することが可能となっている。
更に、本実施例において、最下部の流入口104から環状の冷却ジャケット102内に流入したオイルは、その冷却ジャケット102内を二手に分かれて流通し、それぞれ半周した後に最上部の流出口106から外部へ流出する。かかる構造においては、上記第1実施例の如く流入口28に流入したオイルが冷却ジャケット26内を一周して流出口30から流出する構造に比べて、冷却ジャケット102内の流入口から流出口に至るオイルの流通経路が短くなる。このため、本実施例のコイル冷却装置100によれば、冷却ジャケット102内を流通するオイルの温度上昇を抑制し、その温度分布の均一化を図ることができ、これにより、オイル流通経路が長いことに起因した冷却性能の低下を防止することが可能となっている。
ところで、上記の第2実施例においては、冷却ジャケット102に、流出口106よりも低い位置に配置された流入口104を唯一つ設けることとしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、図6に示す如くその流出口106よりも低い位置に配置された流入口104を環状の冷却ジャケット102の周上に複数(図6に示す例では3つ)設けることとしてもよい。かかる変形例の構造によれば、上記の第2実施例に示す構造と同様の効果を得ることができると共に、更に、冷却ジャケット102がその最下部だけでなくその最下部から流出口106のある最上部に至る途中にも流入口104を有し、最下部から最上部に至るオイル流通経路の中途で新たなオイルが流入することとなるため、上記の第2実施例に示す構造と比べても、冷却ジャケット102内を流通するオイルの更なる温度上昇を抑制し、その温度分布の更なる均一化を図ることができ、これにより、オイル流通経路が長いことによる冷却性能の低下を更に防止することが可能となる。
また、上記の第2実施例においては、冷却ジャケット102内を常にオイルで満たすべく、リザーバタンク38からオイルポンプ36を経由して冷却ジャケット102にオイルを導く供給配管108上に、冷却ジャケット102側からオイルポンプ36側へのオイルの逆流を阻止する逆止弁110を設けることとしているが、その逆止弁110に代えて、図7に示す如く、供給配管108に連通する潤滑油系配管44の途中に、その潤滑油系配管44の可動部側から供給配管108側へのオイルの逆流を阻止すると共に、供給配管108側(冷却ジャケット102内を含むオイルポンプ36下流側)の圧力が所定値を超える場合にのみ供給配管108側から可動部側へのオイルの流通を許可する逆止弁150を設けることとしてもよい。
かかる変形例の構造においては、オイルポンプ36の停止後、供給配管108内のオイルや冷却ジャケット102内のオイル,潤滑油系配管44内の逆止弁150上流側のオイルは、その圧力が所定値に低下するまでは潤滑油系配管44を経由してリザーバタンク38にリターンするが、その所定値に達した後は潤滑油系配管44を経由してリザーバタンク38に戻ることはなくその配管108,44内や冷却ジャケット102内に留まり保持される。すなわち、オイルポンプ36の停止によるオイル流入停止後においても、冷却ジャケット102内や供給配管108内,潤滑油系配管44内にはその圧力が所定値となるだけのオイルが確実に残留する。従って、かかる変形例のシステムによれば、冷却ジャケット102内や供給配管108内,潤滑油系配管44内の逆止弁150上流側を常に所定圧以上のオイルで満たすことが可能となっており、このため、コイル24の冷却効率を向上させると共に、リザーバタンク38の容量・容積を低減することが可能となる。
また、上記の第2実施例においては、冷却ジャケット26の最上部に設けられた流出口30をモータハウジング14内部に露出させることとしているが、その流出口30に排出配管を連通してハウジング14内部に開放することとしてもよい。
更に、上記の第2実施例においては、冷却ジャケット26の流出口30をその最上部に設けることで、コイル24の冷却性能の向上やリザーバタンク38の容量の低減を最も効果的なものとすることができるが、その作用効果を得るうえでは、流出口30を少なくとも冷却ジャケット26の最下端よりも高い位置に配置することとすれば十分である。
図8は、本発明の第3実施例であるコイル冷却装置200のシステム構成図を示す。本実施例は、上記した第1実施例において、コイル冷却装置10のシステム構成に代えて、コイル冷却装置200のシステム構成を用いることにより実現される。尚、本実施例において、上記した第1実施例に示す構成部分と同一の部分については、同一の符号を付してその説明を省略又は簡略する。
本実施例のコイル冷却装置200は、モータ12の有するコイル24を作動流体である冷媒により冷却する装置である。コイル冷却装置200は、液状のオイルが流通する冷却ジャケット202を備えている。冷却ジャケット202は、樹脂などの絶縁部材からなっており、ステータ18の軸方向端部それぞれに隣接して取り付けられている。各冷却ジャケット202はそれぞれ、ステータ18の軸方向端面に沿って環状に連なるように形成された流路を有しており、オイルの流通により、軸方向に隣接するステータ18に巻回されたコイル24のコイルエンドを冷却する。
冷却ジャケット202には、該冷却ジャケット202内を流通すべきオイルの流入する流入口204、及び、該冷却ジャケット202内を流通したオイルの流出する流出口206がそれぞれ一箇所ずつ設けられている。冷却ジャケット202は、流入口204から流出口206にかけて二手に分かれてモータ内部を循環する流路により構成されている。
流入口204には、冷却ジャケット202に供給するオイルを導く供給配管208が連通している。供給配管208は、モータ12のハウジング14を貫いており、外部からハウジング14内にある冷却ジャケット202の流入口204に連通していると共に、ハウジング14外にあるオイルポンプ36の一端に連通している。オイルポンプ36の他端には、オイルを貯留するリザーバタンク38に連通する供給配管40が連通している。すなわち、オイルポンプ36は、リザーバタンク38と冷却ジャケット202とを結ぶ供給配管40,208上に介在されている。オイルポンプ36は、モータ作動時に、リザーバタンク38から供給配管40を通じてオイルを汲み上げて、そのオイルを下流側(冷却ジャケット202側)にある供給配管208に供給する。供給配管208に供給されたオイルは、その供給配管208内を流通して冷却ジャケット202の流入口204に達し、そして、その冷却ジャケット202内に高圧で圧送される。
供給配管208には、潤滑油系配管44が連通している。潤滑油系配管44の途中には、逆止弁210が設けられている。逆止弁210は、潤滑油系配管44の可動部側から供給配管208側へのオイルの逆流を阻止すると共に、供給配管208側(すなわち、冷却ジャケット202内を含むオイルポンプ36下流側)の圧力が所定値を超える場合にのみ供給配管208側から可動部側へのオイルの流通を許可する機能を有している。モータ作動時にオイルポンプ36によりリザーバタンク38から汲み上げられたオイルは、オイルポンプ36下流側の圧力が所定値を超える場合に、その一部が供給配管208を通じて冷却ジャケット202に供給されると共に、かつ、その他が供給配管208の途中から潤滑油系配管44内を流通して上記の可動部に供給されることとなる。かかる可動部に供給されたオイルは、リターン配管46内を流通してリザーバタンク38にリターンされる。
また、流出口206には、冷却ジャケット202内を流通したオイルを排出するための排出配管212が連通している。排出配管212は、また、モータ12のハウジング14内部にある或いはハウジング14を貫いて外部にあるオイル溜まり214に開放されている。排出配管212の途中には、逆止弁216が設けられている。逆止弁216は、排出配管212のオイル溜まり214側から冷却ジャケット202側へのオイルの逆流を阻止すると共に、冷却ジャケット202側の圧力が所定値を超える場合にのみ冷却ジャケット202側からオイル溜まり214側へのオイルの流通を許可する機能を有している。尚、この冷却ジャケット202側の圧力に関する所定値は、逆止弁210についての冷却ジャケット202側の圧力に関する所定値と同じであることが望ましい。冷却ジャケット202内のオイルは、その圧力が所定値を超える場合に、流出口206から流出し、排出配管212内を流通してオイル溜まり214に達し、更に、排出配管218内を流通してリザーバタンク38にリターンされる。
次に、本実施例のコイル冷却装置200を含むシステムの動作について説明する。
本実施例において、オイルポンプ36が作動されると、リザーバタンク38に貯留されていたオイルが吸い上げられて、供給配管208及び潤滑油系配管44に高圧で圧送される。潤滑油系配管44に圧送されたオイルは、その潤滑油系配管44内を流通した後、ロータシャフト20や減速機構などの可動部に滴下され、可動部を潤滑し、その後は、リターン配管46内を流通してリザーバタンク38にリターンされる。
また、供給配管208に圧送されたオイルは、その供給配管208内を流通した後、流入口204から冷却ジャケット202内に流入する。この際、冷却ジャケット202内には、その冷却ジャケット202内に存在するオイルからの圧力に抗してオイルポンプ36による高圧のオイルが流入口204から流入する。そして、冷却ジャケット202内に流入したオイルは、その冷却ジャケット202内を流通しその冷却ジャケット202内に保持される。
上記の如く冷却ジャケット202内にオイルが流通・保持されると、その冷却ジャケット202に対して軸方向に隣接するステータ18のコイル24のコイルエンドがその流通オイルとの熱交換により冷却される。従って、本実施例によれば、冷却ジャケット202内に冷媒としてのオイルを流通・保持することにより、モータ12の有するコイル24を冷却することが可能となっている。
冷却ジャケット202内のオイルは、流入口204から流入して二手に分かれて流通した後、流出口206から外部に流出する。冷却ジャケット202の流出口206から外部に流出したオイルは、排出配管212内を流通してオイル溜まり214に達し、そして、排出配管218内を流通してリザーバタンク38にリターンされる。
一方、オイルポンプ36の作動が停止されると、そのオイルポンプ36によるリザーバタンク38からのオイルの汲み上げが中止され、オイルポンプ36による供給配管208及び潤滑油系配管44への高圧オイルの圧送が中止される。この場合には、可動部へのオイルの滴下が生じなくなりその可動部の滴下オイルによる潤滑が中止されると共に、供給配管208から冷却ジャケット202へのオイルの流入が中止される。
本実施例においては、供給配管208に連通する潤滑油系配管44の途中に、潤滑油系配管44の可動部側から供給配管208側へのオイルの逆流を阻止すると共に、供給配管208側(すなわち、冷却ジャケット202内を含むオイルポンプ36下流側)の圧力が所定値を超える場合にのみ供給配管208側から可動部側へのオイルの流通を許可しかつ供給配管208側の圧力が所定値以下である場合には供給配管208側から可動部側へのオイルの流通を阻止する逆止弁210が設けられている。かかる構造においては、オイルポンプ36の停止後、供給配管208内のオイルや冷却ジャケット202内のオイル,潤滑油系配管44内の逆止弁210上流側のオイルは、その圧力が所定値に低下するまでは潤滑油系配管44を経由してリザーバタンク38にリターンするが、その所定値に達した後は潤滑油系配管44を経由してリザーバタンク38に戻ることはなくその配管208,44内や冷却ジャケット202内に留まり保持される。
また、本実施例においては、排出配管212の途中に、排出配管212のオイル溜まり214側から冷却ジャケット202側へのオイルの逆流を阻止すると共に、冷却ジャケット202側の圧力が所定値を超える場合にのみ冷却ジャケット202側からオイル溜まり214側へのオイルの流通を許可しかつ冷却ジャケット202側の圧力が所定値以下である場合には冷却ジャケット202側からオイル溜まり214側へのオイルの排出を阻止する逆止弁216が設けられている。かかる構造においては、オイルポンプ36の停止後、供給配管208内のオイルや排出配管212内の逆止弁216上流側のオイルは、その圧力が所定値に低下するまでは排出配管212,218を経由してリザーバタンク38にリターンするが、その所定値に達した後は排出配管212,218を経由してリザーバタンク38に戻ることはなくその排出配管212内や冷却ジャケット202内に留まり保持される。
すなわち、オイルポンプ36の停止によるオイル流入停止後においても、冷却ジャケット202内や供給配管208内,潤滑油系配管44内,排出配管212内にはその圧力が所定値となるだけのオイルが確実に残留する。このように、本実施例のコイル冷却装置200によれば、冷却ジャケット202内や供給配管208内,潤滑油系配管44内の逆止弁210上流側,排出配管212の逆止弁216上流側を常に所定圧以上のオイルで満たすことが可能となっている。
このため、オイルポンプ36の作動停止時や起動開始直後など、冷却ジャケット202へのオイルの流入が停止されてからその再開がなされるまでの期間も、冷却ジャケット202に残留したオイルにより、モータ12の有するコイル24のコイルエンドを冷却することが可能となっており、この点、コイル24を冷却する性能を確保することができ、コイル24の冷却効率を向上させることが可能となっている。また、オイル流入停止後にも冷却ジャケット202内などのオイルがリザーバタンク38側へリターンされることなく残留するので、その残留分だけリザーバタンク38の容量・容積を低減することが可能となっており、例えば車両のホイール内スペースを有効活用することが可能となっている。
また、本実施例において、流入口204から環状の冷却ジャケット202内に流入したオイルは、その冷却ジャケット202内を二手に分かれて流通し、それぞれ半周した後に流出口206から外部へ流出する。かかる構造においては、上記第1実施例の如く流入口28に流入したオイルが冷却ジャケット26内を一周して流出口30から流出する構造に比べて、流入口から流出口に至るオイルの流通経路が短くなる。このため、本実施例のコイル冷却装置200によれば、冷却ジャケット202内を流通するオイルの温度上昇を抑制し、その温度分布の均一化を図ることができ、これにより、オイル流通経路が長いことに起因した冷却性能の低下を防止することが可能となっている。
ところで、上記の第3実施例においては、冷却ジャケット202に、流入口204を唯一つ設けることとしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、流入口204を環状の冷却ジャケット202の周上に複数設けることとしてもよい。かかる変形例の構造によれば、上記の第3実施例に示す構造と同様の効果を得ることができると共に、更に、冷却ジャケット202がその環状の周上に複数の流入口204を有し、オイル流通経路の中途で新たなオイルが流入することとなるため、上記の第3実施例に示す構造と比べても、冷却ジャケット202内を流通するオイルの更なる温度上昇を抑制し、その温度分布の更なる均一化を図ることができ、これにより、オイル流通経路が長いことに起因した冷却性能の低下を更に防止することが可能となる。
また、図9に示す如く、環状の冷却ジャケット202の周上に流入口204を複数設けると共に、更に、流出口206を複数設けることとしてもよい(図9に示す例では3つずつ)。この際、流入口204と流出口206とを、互いに同数としたうえで冷却ジャケット202の周上に交互に配置することとしてもよい。かかる変形例の構造においては、図9に矢印で示す如く、各流入口204からはそれぞれ両隣りの2つの流出口206へ向かうオイル流通経路が形成され、かつ、各流出口206にはそれぞれ両隣りの2つの流入口204から導かれるオイル流通経路が形成されるので、冷却ジャケット202内に流入口204から流出口206に至るスムースなオイルの流れを形成することができる。また、かかる変形例の構造においては、上記第1実施例の如く流入口28に流入したオイルが冷却ジャケット26内を一周して流出口30から流出する構造に比べて、冷却ジャケット202内の流入口204から流出口206に至るオイルの流通経路が短くなる(図9に示す例では、オイル流通経路が環状の冷却ジャケット202の周上60°分だけになるので、約1/6になる。)ので、冷却ジャケット202内を流通するオイルの温度上昇を抑制し、その温度分布の均一化を図ることができ、これにより、オイル流通経路が長いことによる冷却性能の低下を防止することが可能となる。
また、上記の第3実施例においては、潤滑油系配管44の途中に、供給配管208側の圧力が所定値を超える場合にのみ供給配管208側から可動部側へのオイルの流通を許可しかつ供給配管208側の圧力が所定値以下である場合には供給配管208側から可動部側へのオイルの流通を阻止する逆止弁210を設けることとしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、その逆止弁210に代えて、上記の第2実施例に示す逆止弁110と同様の、供給配管208の途中に、供給配管208のオイルポンプ36側から冷却ジャケット202側へのオイルの流通を許可する一方で、冷却ジャケット202側からオイルポンプ36側へのオイルの逆流を阻止する逆止弁を設けることとしてもよい。
尚、上記の第1乃至第3実施例においては、冷却ジャケット26,102,202を、ステータ18の両軸方向端部それぞれに取り付けるのがそのコイル24を冷却するうえでは望ましいが、片側だけに取り付けることとしてもよい。
本発明の第1実施例であるコイル冷却装置を備えるモータの側断面図である。
本実施例のコイル冷却装置のシステム構成図である。
本実施例のコイル冷却装置の詳細構成図である。
本実施例のコイル冷却装置の備える冷却ジャケット内のオイル流入停止後の状況を表した図である。
本発明の第2実施例であるコイル冷却装置のシステム構成図である。
本発明の変形例であるコイル冷却装置のシステム構成図である。
本発明の変形例であるコイル冷却装置のシステム構成図である。
本発明の第3実施例であるコイル冷却装置のシステム構成図である。
本発明の変形例であるコイル冷却装置のシステム構成図である。
符号の説明
10,100,200 コイル冷却装置
12 モータ
14 ハウジング
24 コイル
26,102,202 冷却ジャケット
28,104 流入口
30,106 流出口
34,40,108 供給配管
36 オイルポンプ
38 リザーバタンク
110,150,210,216 逆止弁
212 排出配管