JP4972821B2 - 燃料電池装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料電池装置に関し、詳しくは、商用ガスの供給を受けてこれを改質する据え置き型の燃料電池装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池装置は、エネルギ効率が高いエネルギ発生装置であり、従来、種々の用途が検討されてきた。その一例として、家庭や集合住宅、オフィスビルなどの施設で用いる小規模コージェネレーション用電源としての用途が知られている。すなわち、据え置き型(オンサイト型)の燃料電池装置を、例えば家庭用の電源として用いる場合には、燃料電池装置を構成する各部で生じる熱を、暖房や給湯などに利用することが可能となり、燃料電池装置を備える上記施設全体でさらなるエネルギ効率の向上を図ることができる構成として期待されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、上記したように小規模コージェネレーション用電源として燃料電池装置を用いる場合には、通常は、都市ガスなどの商用ガスを改質燃料として購入し、これを改質して生成した水素を燃料電池装置に供給することで発電を行なうが、電力の供給を受ける家庭や集合住宅などの施設における消費電力と、改質に供する改質燃料量とが、充分に釣り合っていない場合には、発電効率の低下や発電コストの増大を引き起こすおそれがあった。
【0004】
すなわち、上記施設における消費電力に応じた量の電力を燃料電池によって発電するときに、この発電量に見合った改質燃料量を超える量の改質燃料が改質に供されたときには、改質燃料およびこれから生成される水素の一部が無駄となり、エネルギ効率の低下を招くおそれがある。あるいは、過剰に供給された改質燃料から生成される水素量に応じた量の電力を燃料電池において発電する場合には、余剰の電力を貯蔵する蓄電手段を別途設けたり、余剰の電力を外部の電力会社に売却する等の必要が生じる。大型の蓄電手段を設けることは、上記小規模コージェネレーション用電源としての用途に鑑みて望ましいとは言い難く、また、装置の大型化も望ましくない。余剰の電力を売却する場合には、改質燃料の購入価格と電力の売却価格の関係からコスト増を引き起こすおそれがある。さらに、過剰量の電力を発電する場合には、燃料電池装置において非所望の短寿命化を引き起こすおそれがある。
【0005】
また、上記施設における消費電力に見合った改質燃料量に比べて不足する量の改質燃料が供給される場合には、所望の量の電力を発電することができないため、電力の不足分を外部の電力会社から購入して補う必要が生じる。このような場合には、コージェネレーションによって上記施設全体で高いエネルギ効率を実現する効果を充分に得られなくなるおそれがある。このように、上記施設における消費電力と、燃料電池装置において改質に供される改質燃料量とは、充分に釣り合っていることが望ましいが、消費電力と供給する改質燃料量との調和を図ることが可能となる効果的な方法は、従来知られていなかった。
【0006】
本発明の燃料電池装置は、こうした問題を解決し、コージェネレーション用電源として用いる燃料電池装置において、所定の負荷の消費電力と、燃料電池装置に供給する改質燃料量との調和を図ることを目的としてなされ、次の構成を採った。
【0007】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】
本発明の燃料電池装置は、特定の負荷に対して電力を供給する燃料電池を備える据え置き型の燃料電池装置であって、
商用ガスの供給を受けて改質反応を進行させ、水素を生成する改質器と、
前記改質器に前記商用ガスを供給する改質燃料供給手段と、
前記改質器が生成した前記水素を、前記燃料電池に供給する水素供給手段と、
前記特定の負荷の消費電力が変動する際に示す周期性に基づいて、前記改質器に供給すべき前記商用ガスの量を決定する改質燃料量決定手段と
前記特定の負荷における実際の消費電力の大きさを検出する消費電力検出手段と、
を備え、
前記改質燃料量決定手段は、前記周期性に加えて、過去の一定時間である過去数分間に前記消費電力検出手段が検出した消費電力の履歴にさらに基づいて、前記周期性に基づく消費電力と前記過去数分間の消費電力の履歴との間で重み付け平均を求めることによって、前記改質器に供給すべき前記商用ガスの量を決定し、
前記改質燃料供給手段は、前記改質燃料量決定手段が決定した前記商用ガスの量に従って、前記改質器に対して前記商用ガスを供給することを要旨とする。
【0008】
以上のように構成された本発明の燃料電池装置は、据え置き型の燃料電池装置であって、改質器が商用ガスの供給を受けて改質反応を進行させて水素を生成する際に、特定の負荷の消費電力が変動する際に示す周期性に基づいて、前記改質器に供給すべき前記商用ガスの量を決定する。改質器が生成した水素は燃料電池に供給されて、発生した電力は特定の負荷に対して供給される。
【0009】
また、本発明の燃料電池装置の運転方法は、特定の負荷に対して電力を供給する燃料電池を備える据え置き型の燃料電池装置の運転方法であって、
(a)前記特定の負荷の消費電力が変動する際に示す周期性に基づいて、前記燃料電池に供給する水素を生成するための改質反応に供すべき商用ガスの量を決定する工程と、
(b)前記(a)工程での決定に従って前記商用ガスを前記改質反応に供し、前記商用ガスから水素を生成する工程と、
(c)前記改質反応で生成された前記水素を、燃料ガスとして前記燃料電池に供給する工程と、
(d)前記特定の負荷における実際の消費電力の大きさを検出する工程と、
を備え
前記(a)工程は、前記周期性に加えて、過去の一定時間である過去数分間に前記(d)工程で検出した消費電力の履歴にさらに基づいて、前記周期性に基づく消費電力と前記過去数分間の消費電力の履歴との間で重み付け平均を求めることによって、前記改質反応に供すべき前記商用ガスの量を決定することを要旨とする。
【0010】
このような本発明の燃料電池装置、および、本発明の燃料電池装置の運転方法によれば、特定の負荷の消費電力が変動する際に示す周期性に基づいて、改質器に供給すべき商用ガスの量を決定するため、燃料電池が発生する電力を、上記特定の負荷の消費電力に精度良く近づけることが可能となる。したがって、燃料電池装置を用いて上記特定の負荷に電力を供給する際に、燃料電池が発生する電力が不足して外部から電力を補う必要が生じたり、過剰量の商用ガスが燃料電池に供給されてしまうのを抑えることができる。本発明の燃料電池装置を、上記特定の負荷を備える特定の施設に併設するコージェネレーション用電源として用いる場合には、より高いエネルギ効率をより低コストに実現するというコージェネレーション用電源の効果を充分に実現することが可能となる。さらに、本発明の燃料電池装置および燃料電池装置の運転方法によれば、特定の負荷の消費電力において、周期性には反映されない一時的な変動が生じたときにも、燃料電池の発電量を、この変動に追従させることが可能となり、燃料電池が発生する電力を上記特定の負荷の消費電力に近づける効果を、より充分に確保することができる。
【0011】
本発明の燃料電池装置において、前記改質燃料量決定手段は、前記特定の負荷の消費電力が変動する際に示す周期性として、1年を1周期とする周期性と、1週間を1周期とする周期性と、1日を1周期とする周期性とのうちの、少なくとも一つの周期性に基づいて、前記商用ガスの量を決定することとしても良い。
【0012】
また、本発明の燃料電池装置の運転方法において、
前記(a)工程は、前記特定の負荷の消費電力が変動する際に示す周期性として、1年を1周期とする周期性と、1週間を1周期とする周期性と、1日を1周期とする周期性とのうちの、少なくとも一つの周期性に基づいて、前記商用ガスの量を決定することとしても良い。
【0013】
このような構成とすれば、前記商用ガスの量を決定する際に利用する周期性の種類に応じて、燃料電池が発生する電力を上記特定の負荷の消費電力に近づける所定の効果を得ることができる。
【0017】
本発明の燃料電池装置において
記改質燃料量決定手段は、
前記周期性に関する情報を記憶する記憶手段と、
前記消費電力検出手段が検出した実際の消費電力の大きさに基づいて、前記記憶手段が記憶する前記周期性に関する情報を補正する周期情報補正手段と、を備え、
前記記憶手段が記憶し、前記周期情報補正手段が補正した前記周期性に関する情報を参照して、前記重み付け平均を求めることによって、前記商用ガス量を決定することとしてもよい。
【0018】
また、本発明の燃料電池装置の運転方法において
e)前記周期性に関する情報を記憶する記憶手段において、前記(d)工程で検出した実際の消費電力の大きさに基づいて、該記憶手段が記憶する前記周期性に関する情報を補正する工程と
をさらに備え、
前記(a)工程は、前記(e)工程において補正した前記周期性に関する情報を記憶する前記記憶手段を参照して、前記重み付け平均を求めることによって、前記商用ガスの量を決定することとしても良い。
【0019】
このような構成とすれば、実際の消費電力の大きさに基づいて、前記記憶手段が記憶する前記周期性に関する情報を補正することにより、燃料電池が発生する電力を上記特定の負荷の消費電力に近づける精度を、より向上させることが可能となる。
【0024】
本発明の燃料電池装置において、前記改質燃料量決定手段は、前記改質器に供給すべき前記商用ガスの量を決定する際に、位相進み補正を行なう第1の補正手段を備えることとしても良い。
【0025】
また、本発明の燃料電池装置の運転方法において、
前記(a)工程は、前記改質反応に供すべき前記商用ガスの量を決定する際に、位相進み補正を行なうこととしても良い。
【0026】
このような構成とすれば、決定した量の商用ガスを燃料電池装置に供給してから所望量の水素が実際に燃料電池に供給されるまでに、所定の遅れが生じるおそれがある場合に、このような遅れに起因する不都合が生じるのを防止することができる。
【0027】
本発明の燃料電池装置において、
前記改質燃料供給手段が前記改質器に実際に供給する前記商用ガスの量を検出する供給ガス量検出手段をさらに備え、
前記改質燃料供給手段は、前記改質燃料量決定手段が決定した前記商用ガスの量に従って前記商用ガスを供給する際に、前記改質燃料量決定手段が過去に決定した前記商用ガスの量と、これに従って前記改質燃料供給手段が実際に供給し、前記供給ガス量検出手段が検出した前記商用ガスの量との差に基づいて、前記改質器に実際に供給する前記商用ガスの量を補正する第2の補正手段を備えることとしても良い。
【0028】
また、本発明の燃料電池装置の運転方法において、
(f)前記改質反応に実際に供されている前記商用ガスの量を検出する工程をさらに備え、
前記(b)工程は、前記(a)工程での決定に従って前記商用ガスを前記改質反応に供する際に、過去に前記(a)工程を実行した際に決定した前記商用ガスの量と、これに従って前記(b)工程において実際に供給し、前記(f)工程において検出した前記商用ガスの量との差に基づいて、前記改質反応に実際に供する前記商用ガスの量を補正することとしても良い。
【0029】
このような構成とすれば、改質器に供給する商用ガスの量として決定した量と、実際に改質器に供給された少量ガスの量との間に誤差が生じるのを抑え、燃料電池が発生する電力を特定の負荷の消費電力に近づける効果をより高めることができる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以上説明した本発明の構成・作用を一層明らかにするために、以下本発明の実施の形態を、実施例に基づき以下の順序で説明する。
(1)燃料電池装置10の構成
(2)供給都市ガス量の制御について
(2−1)電気負荷が変動する際に示す周期性について
(2−2)消費電力に基づく補正
(2−3)実際の動作の例
【0031】
(1)燃料電池装置10の構成:
図1は、本発明の好適な一実施例である燃料電池装置10の構成の概略を表わすブロック図である。この燃料電池装置10は、家庭内使用を目的としたコージェネレーション用電源として設けられており、燃料電池装置10が備える燃料電池40が発電した電力は、家庭内の種々の電気負荷に対して供給される。図2は、燃料電池40と、上記家庭内電気負荷との接続の様子を表わす説明図である。本実施例の燃料電池装置10は、都市ガスを改質燃料として用いて水素を生成し、この生成した水素を利用して発電を行ない、上記家庭内電気負荷に対して電力を供給している。また、本実施例の燃料電池装置10は、改質燃料として用いる都市ガス量を、上記家庭内電気負荷が変動する際に示す周期性に基づいて決定することを特徴としているが、最初に、図1に基づいて燃料電池装置10の構成について説明する。
【0032】
燃料電池装置10は、都市ガスおよび水蒸気の供給を受けてこれらを混合・昇温させる昇温部20、昇温部20で要する熱を発生する燃焼部22、改質反応により水素リッチガスを生成する改質部24、改質部24から排出される水素リッチガス中の一酸化炭素(CO)濃度を酸化反応により低減するCO酸化部26、電気化学反応により起電力を得る燃料電池40、空気を圧縮して燃料電池40に供給するブロワ28、コンピュータにより構成される制御部50を主な構成要素とする。以下、それぞれの構成要素について順に説明する。
【0033】
昇温部20には、ガス流路60および水蒸気流路62が接続されている。ガス流路60は、商用ガスである都市ガスの配管に接続する流路である。また、水蒸気流路62は、外部のプレヒータから水蒸気が供給される流路である。ガス流路60には、流量制御弁32と、流量センサ36が設けられており、水蒸気流路62には、流量制御弁34と、流量センサ38が設けられている。流量制御弁32および流量制御弁34は、それぞれ、昇温部20に供給される都市ガス量および水蒸気量を調節可能な弁であり、流量センサ36および流量センサ38は、それぞれ、昇温部20に実際に供給されている都市ガス量および水蒸気量を検出するセンサである。これらの流量制御弁および流量センサは、制御部50に接続されている。なお、ガス流路60を介して供給される都市ガスが硫黄化合物を含有する場合には、ガス流路60に脱硫器を設け、都市ガスを脱硫してから昇温部20へ供給することとすればよい。
【0034】
昇温部20は、水蒸気流路62を介して供給される水蒸気をスーパーヒートさせると共に、ガス流路60を介して供給される都市ガスと混合して両者を昇温させる装置であり、都市ガスと水蒸気とから成る原燃料ガスを生成し、これを所定の温度に昇温して排出する。昇温部20から排出される上記原燃料ガスは、ガス流路63を介して改質部24に供給される。昇温部20には、都市ガスおよび水蒸気を昇温させるための熱源として、燃焼部22が併設されている。燃焼部22は、内部に燃焼触媒を備えており、ガス流路61を介して燃焼の燃料として都市ガスが供給されると共に、併設されたブロワ23によって空気を供給される。ガス流路61は、ガス流路60と同様に、商用ガスである都市ガスの配管に接続する流路であって、制御部50によって駆動されて、燃焼部22に供給する都市ガス量を調節する流量制御弁30を備えている。燃焼部22に対して燃焼の燃料が供給されると、この燃料と空気とを用いて触媒上で燃焼反応が進行し、所望の熱を発生する。燃焼部22と昇温部20との間には熱交換部21が設けられており、この熱交換部21によって燃焼部22で発生した熱が昇温部20に伝えられる。なお、燃焼部22に供給される上記燃焼の燃料としては、本実施例では、上記ガス流路61を介して供給される都市ガスの他に、後述する燃料電池40から排出されるアノード排ガスも利用可能となっている(図示せず)。
【0035】
改質部24は、内部に改質触媒を備えており、供給された都市ガスと水蒸気とからなる上記原燃料ガスを改質して、水素リッチガスを生成する。都市ガスの主成分はメタンであり、改質触媒としては、本実施例ではニッケル触媒を用いた。なお、本実施例では、上記したように改質部24に水蒸気が供給されており、水蒸気改質反応によって水素リッチガスが生成されるが、改質部24にブロワ25を併設して、改質部24内にさらに空気を供給することとしても良く、このような構成とすれば、都市ガス(メタン)の部分酸化反応によっても水素の生成を行うことができる。このような場合には、水蒸気改質反応で要する熱を、部分酸化反応で生じる熱によって賄うことが可能となる。もとより、改質部24にヒータなどの加熱装置を併設し、上記部分酸化反応で生じる熱では不足する熱量、あるいは、ブロワ25を設けて部分酸化反応を行なう構成とはしない場合に水蒸気改質反応で要する熱量を、この加熱装置を用いて発生する構成としても良い。
【0036】
なお、上記改質触媒上で進行する反応は、触媒温度を所定の温度範囲に維持することによって、充分に高い活性を得ることが可能となる。上記改質触媒は、既述した反応(メタンの水蒸気改質反応および部分酸化反応)を促進する充分な活性を示す温度が600℃以上である。したがって、既述した昇温部20では、都市ガスと水蒸気とを混合・昇温させて原燃料ガスを生成する際には、改質部24における反応温度である600℃以上の所定の温度に対応するように原燃料ガスを充分に昇温して、これを改質部24側に排出する。また、改質部24では、部分酸化反応を進行させるために改質部24に供給する空気量を制御する、あるいは、既述した加熱装置による発熱量を制御することによって、改質部24の内部温度が600℃〜800℃の温度範囲に保たれるように制御している。改質部24で生成された水素リッチガスは、ガス流路64を介してCO酸化部26に供給される。
【0037】
CO酸化部26は、改質部24で生成された水素リッチガス中の一酸化炭素濃度を低減するための装置である。改質部24で改質反応によって生成された水素リッチガスは、所定量の一酸化炭素を含有しており、また、燃料ガスとして水素リッチガスの供給を受ける燃料電池40は、供給されるガス中に一酸化炭素が含まれると、触媒が被毒して電気化学反応が阻害されるという性質を有している。したがって、本実施例の燃料電池装置10では、燃料電池40に先立ってCO酸化部26を設け、一酸化炭素濃度を低減した後に水素リッチガスを燃料電池40に供給している。CO酸化部26で進行する反応は、水素リッチガス中に豊富に含まれる水素に優先して、一酸化炭素を酸化する一酸化炭素選択酸化反応である。CO酸化部26には、一酸化炭素の選択酸化触媒である白金触媒、ルテニウム触媒、パラジウム触媒、金触媒、あるいはこれらを第1元素とした合金触媒を担持した担体が充填されている。このような一酸化炭素選択酸化触媒のもとでは、反応温度を100℃〜200℃程度に保つことで、一酸化炭素選択酸化反応は良好に進行する。
【0038】
なお、CO酸化部26で進行する一酸化炭素選択酸化反応で要する酸素を供給するために、CO酸化部26には、ブロワ27が併設されている。ブロワ27は、外部から空気を取り込んでこれを圧縮し、CO酸化部26に供給する。ブロワ27の駆動量、すなわち、CO酸化部26に供給する空気(酸素)量を調節することで、CO酸化部26で進行する一酸化炭素選択酸化反応の状態を制御することができる。
【0039】
なお、CO酸化部26で進行する一酸化炭素選択酸化反応は、発熱反応である。したがって、CO酸化部26は、内部温度(触媒温度)を上記した望ましい反応温度に保つために、内部に所定の冷却手段を備える構成も好ましい。
【0040】
CO酸化部26で上記のように一酸化炭素濃度が下げられた水素リッチガスは、燃料ガス流路65によって燃料電池40に導かれ、燃料ガスとしてアノード側における電池反応に供される。電気化学反応において燃料ガス中の水素のすべてが消費されるわけではないが、燃料電池40で電池反応に供された後に排出されるアノード排ガスは、既述したように燃焼部22に供給して燃焼反応の燃料として利用することで、燃料電池装置10全体のエネルギ効率を向上することが可能となる。一方、燃料電池40のカソード側における電池反応に関わる酸化ガスは、制御部50から駆動信号を出力されるブロワ28によって、酸化ガス流路66を介して圧縮空気として供給される。電池反応に用いられた残りのカソード排ガスは、外部に排出される。
【0041】
燃料電池40は、固体高分子電解質型の燃料電池であり、電解質膜、アノード、カソード、およびセパレータとを備える単セルを複数積層して構成されている。電解質膜は、例えばフッ素系樹脂などの固体高分子材料で形成されたプロトン伝導性のイオン交換膜である。アノードおよびカソードは、共に炭素繊維を織成したカーボンクロスにより形成されている。また、電解質膜と、アノードあるいはカソードとの間には、電気化学反応を促進する触媒を備える触媒層が設けられている。このような触媒としては、白金、あるいは白金と他の金属から成る合金が用いられる。セパレータは、カーボンを圧縮してガス不透過とした緻密質カーボンや、耐食性に優れた金属など、ガス不透過性を有する導電性部材により形成されている。また、このセパレータは、上記アノードおよびカソードとの間に、燃料ガスおよび酸化ガスの流路を形成する。燃料電池40は、燃料ガスとしての水素リッチガスと酸化ガスとしての圧縮空気とを上記流路に供給されて、電気化学反応を進行することで起電力を発生する。燃料電池40で生じた電力は、燃料電池40に接続される所定の負荷に供給される。以下に、燃料電池40で進行する電気化学反応を示す。(1)式はアノード側における反応、(2)式はカソード側における反応を示し、電池全体では(3)式に示す反応が進行する。
【0042】
2 → 2H++2e- …(1)
(1/2)O2+2H++2e- → H2O …(2)
2+(1/2)O2 → H2O …(3)
【0043】
制御部50は、マイクロコンピュータを中心とした論理回路として構成され、詳しくは、予め設定された制御プログラムに従って所定の演算などを実行するCPU54と、CPU54で各種演算処理を実行するのに必要な制御プログラムや制御データ等が予め格納されたROM56と、同じくCPU54で各種演算処理をするのに必要な各種データが一時的に読み書きされるRAM58と、燃料電池装置10が備える流量センサ36,38などの各種センサからの検出信号や、燃料電池に接続された負荷に関わる情報などを入力すると共に、CPU54での演算結果に応じて既述した各ブロワや流量制御弁などに駆動信号を出力する入出力ポート52等を備える。制御部50は、このように各種の信号を入出力することによって、燃料電池装置10全体の運転状態を制御する。
【0044】
なお、上記実施例では、改質反応によって生成した水素リッチガス中の一酸化炭素濃度を低減する一酸化炭素濃度低減部として、一酸化炭素選択酸化反応を進行するCO酸化部26を設けることとしたが、このCO酸化部26に加えて、あるいはCO酸化部26に代えて、一酸化炭素と水蒸気とから二酸化炭素と水素とを生成するシフト反応を進行するシフト部を設け、水素リッチガス中の一酸化炭素濃度の低減を図ることとしても良い。また、改質反応の反応温度は、一般に、上記した一酸化炭素濃度を低減する反応の反応温度よりも高いため、改質反応で生成された水素リッチガスを一酸化炭素低減反応に供給するのに先立って、水素リッチガスを降温させるために、改質部24の下流に熱交換部を設けることとしてもよい
【0045】
上記燃料電池装置10が備える燃料電池40で発生した電力は、この燃料電池装置10が設けられた施設における負荷、ここでは家庭内電気負荷に対して供給される。図2に示すように、家庭内電気負荷としては種々のものを挙げることができる。これらの家庭内電気負荷においては交流電流が用いられるが、燃料電池40は直流電流を発生するため、燃料電池40と家庭内電気負荷とを接続するために、DC−ACインバータ70が設けられている。燃料電池40が発生させた直流電流は、DC−ACインバータ70によって交流電流に変換されて、家庭内電気負荷に供給される。
【0046】
なお、DC−ACインバータ70と家庭内電気負荷との接続部には電力計72が設けられており、家庭内電気負荷の総量を検出可能となっている。電力計72は、既述した制御部50に接続しており、家庭内電気負荷の総量に関する情報は制御部50に入力される。また、DC−ACインバータ70と家庭内電気負荷との間には、外部の電力会社との間で電力の売買が可能となる外線74が接続されており、電力会社から購入した電力を家庭内電気負荷に対して供給したり、燃料電池装置10によって発生した電力を、交流電流に変換した後、電力会社に売却することが可能となっている。
【0047】
(2)供給都市ガス量の制御について:
本実施例の燃料電池装置10では、既述したように、家庭内電気負荷が変動する際に示す周期性に基づいて、改質反応に供する都市ガス量を決定している。以下に、家庭内電気負荷が変動する際に示す周期性について説明する。
【0048】
(2−1)電気負荷が変動する際に示す周期性について:
本実施例の燃料電池装置10では、家庭内電気負荷80の大きさが変動する際に示す周期性として、1年を1周期とする周期性と、1週間を1周期とする周期性と、1日を1周期とする周期性とを利用して、改質反応に供する都市ガス量を決定している。図3は、家庭内電気負荷の変動が1年を1周期とする周期性を有することを表わす例を、図4は、家庭内電気負荷の変動が1週間を1周期とする周期性を有することを表わす例を、図5は、家庭内負荷の変動が1日(24時間)を1周期とする周期性を有することを表わす例を、それぞれ示す。
【0049】
図3では、横軸に1年を構成する各月をとり、縦軸に消費電力をとっている。この図3は、各月の消費電力の大きさをプロットした点をつないだ曲線を示しており、図3に示した例では、消費電力(家庭内電気負荷の大きさ)は、夏と冬に相当する時期に大きくなっている。このような傾向は、例えば、家庭内電気負荷の中で、エアコンやファンヒータ等の冷暖房機器の使用量が、夏や冬に多くなった場合に起こる。このように、各家庭ごとの消費電力が変動する際には、1年を1周期とする所定の周期性を認めることが可能となる。本実施例の燃料電池装置10が備える制御部50は、図3に示した図のように、1年を構成する各月(Xff1 )に対応した消費電力(1年を1周期とする周期性を示す消費電力Uff1 )を記憶するマップ(MAP1)を備えている。
【0050】
すなわち、1年を構成する各月(Xff1 )と、その月の消費電力(Uff1 )との間には、
Uff1[kW]=MAP1(Xff1) …(4)
という関数が成り立つものとして扱っている。
【0051】
本実施例の燃料電池装置10では、このマップを参照することによって、家庭内電気負荷80の大きさを予測している。なお、1年を1周期とする周期性を示す消費電力Uff1 を求めるMAP1は、予め作成したものを制御部50に記憶して、これを用いることとしても良いが、本実施例では、電力計72によって実測した家庭内電気負荷80の値に基づいてこのMAP1のデータを随時補正するという学習の動作を行なっている。このマップの学習については後述する。また、各月を構成する1ヶ月の間にも家庭内電気負荷80の消費電力は変動するが、各月の消費電力として上記MAP1に記憶する値の設定の方法についても後述する。
【0052】
図4では、横軸に1週間を構成する各曜日をとり(例えば、図4において1は月曜日、2は火曜日のように曜日を設定し)、縦軸に消費電力をとっている。この図4は、各曜日の消費電力の大きさをプロットした点をつないだ曲線を示しており、図4に示した例では、消費電力(家庭内電気負荷の大きさ)は、週末の休日に相当する時期に大きくなっている。このような傾向は、例えば、掃除、洗濯、あるいは調理の一部などを週末にまとめて行なうような家庭において起こり得る。逆に、週末の休日は外出が多いような家庭では、図4に示したような傾向とはならず、週末には消費電力が少なくなる傾向となることが考えられる。このように、各家庭ごとの消費電力が変動する際には、1週間を1周期とする所定の周期性を認めることが可能となる。本実施例の燃料電池装置10が備える制御部50は、図4に示した図のように、1週間を構成する各曜日(Xff2 )に対応した消費電力(1週間を1周期とする周期性を示す消費電力Uff2 )を記憶するマップ(MAP2)を備えている。
【0053】
すなわち、1週間を構成する各曜日(Xff2 )と、その曜日の消費電力(Uff2 )との間には、
Uff2[kW]=MAP2(Xff2) …(5)
という関数が成り立つものとして扱っている。
【0054】
本実施例の燃料電池装置10では、上記MAP1に加えて、さらにこのMAP2を参照することによって、家庭内電気負荷80の大きさを予測している。MAP2においても、MAP1と同様に、電力計72によって実測した家庭内電気負荷80の値に基づいてマップのデータを随時補正するという学習の動作を行なっている。
【0055】
図5では、横軸に1日を構成する各時間(0時〜24時)をとり、縦軸に消費電力をとっている。この図5は、1日の内の各時間の消費電力の大きさをプロットした点をつないだ曲線を示しており、図5に示した例では、消費電力(家庭内電気負荷の大きさ)は、起床時から就寝時までの間は多くなっている。このように、各家庭ごとの消費電力が変動する際には、1日を1周期とする所定の周期性を認めることが可能となる。本実施例の燃料電池装置10が備える制御部50は、図5に示した図のように、1日を構成する各時間(Xff3 )に対応した消費電力(1日を1周期とする周期性を示す消費電力Uff3 )を記憶するマップ(MAP3)を備えている。
【0056】
すなわち、1日を構成する各時間(Xff3 )と、その時間の消費電力(Uff3 )との間には、
Uff3[kW]=MAP3(Xff3) …(6)
という関数が成り立つものとして扱っている。
【0057】
本実施例の燃料電池装置10では、上記MAP1,MAP2に加えて、さらにこのMAP3を参照することによって、家庭内電気負荷80の大きさを予測している。MAP3においても、MAP1およびMAP2と同様に、電力計72によって実測した家庭内電気負荷80の値に基づいてマップのデータを随時補正するという学習の動作を行なっている。
【0058】
(2−2)消費電力に基づく補正:
以下に、周期性を示しながら変動する消費電力に関するデータを記憶する既述した各マップを、実測した家庭内電気負荷80の大きさに基づいて補正する動作について説明する。まず、MAP1が記憶するデータを補正する動作について説明する。(7)式は、i年次のj月における消費電力(L1j(i) )を電力計72を用いて検出した際に、MAP1におけるj月のデータ(Ymap1j )を補正する動作を表わす式である。
【0059】
Ymap1j(i)=(Ymap1j(i-1)+Ymap1j(i-2)+L1j(i))/3…(7)
ここで、
MAP1=table(X:1,2,...,12,Y:Ymap101,Ymap102,...,Ymap112)
…(8)
と表わすものとする。
【0060】
すなわち、i年次のj月における消費電力(L1j(i) )を検出すると、この検出した値と、MAP1における「i−1」年次j月のデータ(Ymap1j(i-1))と、MAP1における「i−2」年次j月のデータ(Ymap1j(i-2))との平均値を求めてi年次j月のデータ(Ymap1j(i))と成し、改質燃料量を決定する後述する動作を行なう際にMAP1を参照するときに利用するj月のデータ(Ymap1j )として、MAP1に新たに記憶する。
【0061】
ここで、i年次のj月における消費電力(L1j(i) )は、上記したように電力計72によって検出される値であるが、本実施例の燃料電池装置10では、この値は、i年次j月のあいだ検出し続けた消費電力の積算平均値として求めている。i年次のj月における消費電力(L1j(i) )を算出する式を以下に示す。
【0062】
L1j(i)=(Σ(W1j×ΔH1))/H1 …(9)
ここで、 W1j:サンプル時間毎の電力値[kW]
ΔH1:サンプル時間、例えば1[H]
H1 :月間のトータル時間、例えば30×24[H]
を表わす。
【0063】
このように、各月における消費電力としては、サンプル時間(1時間)ごとに電力計70が検出した消費電力値を読み込んで、これにサンプル時間を掛け合わせながら1ヶ月の間積算を続け、1ヶ月分積算したところで、この積算値を、サンプル時間に応じた月間のトータル時間(サンプル時間が1時間であるので1ヶ月を時間単位で表わした長さ)で割ることによって、その月(j月)の消費電力(L1j)を求めている。なお、上記(9)式ではサンプル時間を1時間としたが、1分あるいは1秒など異なるサンプル時間を選択することも可能である。サンプル時間の長さは、積算を行なう期間(この場合1ヶ月)よりも充分に短い期間であれば良く、メモリの負担や要求精度などを考慮して適宜設定すればよい。
【0064】
次に、MAP2が記憶するデータを補正する動作について説明する。以下の(10)式は、i週次のj日(曜日)における消費電力(L2j(i) )を電力計72を用いて検出した際に、MAP2におけるj日のデータ(Ymap2j )を補正する動作を表わす式である。
【0065】
Ymap2j(i)=(Ymap2j(i-1)+Ymap2j(i-2)+L2j(i))/3…(10)
ここで、
MAP2=table(X:1,2,...,7,Y:Ymap201,Ymap202,...,Ymap207)
…(11)
と表わすものとする。
【0066】
すなわち、i週次のj日における消費電力(L2j(i) )を検出すると、この検出値と、MAP2における「i−1」週次j日のデータ(Ymap2j(i-1))と、MAP2における「i−2」週次j日のデータ(Ymap2j(i-2))との平均値を求めてi週次j日のデータ(Ymap2j(i))と成し、改質燃料量を決定する後述する動作を行なう際にMAP2を参照するときに利用するj日のデータ(Ymap2j )として、MAP2に新たに記憶する。
【0067】
ここで、i週次のj日における消費電力(L2j(i) )は、上記したように電力計72によって検出される値であるが、本実施例の燃料電池装置10では、この値は、i週次j日のあいだ検出し続けた消費電力の積算平均値として求めている。i週次のj日における消費電力(L2j(i) )を算出する式を以下に示す。
【0068】
L2j(i)=(Σ(W2j×ΔH2))/H2 …(12)
ここで、 W2j:サンプル時間毎の電力値[kW]
ΔH2:サンプル時間、例えば1[min]
H2 :1日のトータル時間、例えば24×60[min]
を表わす。
【0069】
このように、各日(曜日)における消費電力としては、サンプル時間(1分間)ごとに電力計70が検出した消費電力値を読み込んで、これにサンプル時間を掛け合わせながら1日の間積算を続け、1日月分積算したところで、この積算値を、サンプル時間に応じた1日のトータル時間(サンプル時間が1分間であるので1日を分単位で表わした長さ)で割ることによって、その日(j日)の消費電力(L2j)を求めている。なお、上記(12)式ではサンプル時間を1分間としたが、既述したように異なる値を選択しても良い。
【0070】
次に、MAP3が記憶するデータを補正する動作について説明する。以下の(13)式は、i日次のj時間における消費電力(L3j(i) )を電力計72を用いて検出した際に、MAP3におけるj時間のデータ(Ymap3j )を補正する動作を表わす式である。
【0071】
Ymap3j(i)=(Ymap3j(i-1)+Ymap3j(i-2)+L3j(i))/3 …(13)
ここで、
MAP3=table(X:1,2,...,24,Y:Ymap301,Ymap302,...,Ymap324)
…(14)
と表わすものとする。
【0072】
すなわち、i日次のj時間における消費電力(L3j(i) )を検出すると、この検出値と、MAP3における「i−1」日次j時間のデータ(Ymap3j(i-1))と、MAP3における「i−2」日次j時間のデータ(Ymap3j(i-2))との平均値を求めてi日次j時間のデータ(Ymap3j(i))と成し、改質燃料量を決定する後述する動作を行なう際にMAP3を参照するときに利用するj時間のデータ(Ymap3j )として、MAP3に新たに記憶する。
【0073】
ここで、i日次のj時間における消費電力(L3j(i) )は、上記したように電力計72によって検出される値であるが、本実施例の燃料電池装置10では、この値は、i日次j時間のあいだ検出し続けた消費電力の積算平均値として求めている。i日次のj時間における消費電力(L3j(i) )を算出する式を以下に示す。
【0074】
L3j(i)=(Σ(W3j×ΔH3))/H3 …(15)
ここで、 W3j:サンプル時間毎の電力値[kW]
ΔH3:サンプル時間、例えば1[sec]
H3 :1時間のトータル時間、例えば60×60[sec]
を表わす。
【0075】
このように、各時間における消費電力としては、サンプル時間(1秒間)ごとに電力計70が検出した消費電力値を読み込んで、これにサンプル時間を掛け合わせながら1時間の間積算を続け、1時間分積算したところで、この積算値を、サンプル時間に応じた1時間のトータル時間(サンプル時間が1秒間であるので1時間を秒単位で表わした長さ)で割ることによって、その時間(j時間)の消費電力(L3j)を求めている。なお、上記(15)式ではサンプル時間を1秒間としたが、既述したように異なる値を選択しても良い。
【0076】
1周期を構成する単位時間(例えばMAP1では1ヶ月)の間には、消費電力の実測値において、異なる周期による変動(1週間を1周期とする変動や1日を1周期とする変動)や、その他種々の要因による変動が現われる。しかしながら、上記単位時間の間の実測値を積算平均して、この単位時間に対応する消費電力(例えばL1j)を求めることによって、目的とする周期以外の要因の影響は緩和され、求められる消費電力(L1j)の値は、単位時間ごとに所定の傾向を示し、所定の周期性を示す値となる。このように、本実施例では、各マップに応じた単位時間ごとに、家庭内電気負荷80の消費電力の実測値に基づいて消費電力の積算平均値を求めることで、消費電力の実測値から、所望の周期性を示す数値を得て(所望の周期性を示す成分を抽出して)いる。
【0077】
(2−3)実際の動作の例:
以下に、このような周期性を示すデータを記憶したマップを利用して、本実施例の燃料電池装置10において改質器24に供給する改質燃料量を決定する動作について説明する。本実施例では、上記MAP1ないしMAP3を参照して、負荷が変動する際に示す周期性に基づいて消費電力の推定値を求め、この推定した消費電力から改質燃料量を算出する。すなわち、本実施例では、消費電力を予測するというフィードフォーワード的な制御によって、改質燃料量の決定を行なっている。図6は、制御部50において実行される改質燃料量決定処理ルーチンを表わすフローチャートである。改質燃料量決定処理ルーチンは、燃料電池装置10が起動されると、制御部50において所定時間ごとに実行される。
【0078】
改質燃料量決定処理ルーチンが実行されるときには、まず、時間情報の入力が行なわれる(ステップS100)。すなわち、既述したマップを参照するのに先立って、現在の時間情報(月、曜日、時間に関わる情報)を入力するものであり、具体的には、現時点におけるXff1 ,Xff2 ,Xff3 を入力する。これは、制御部50が備える内部クロック(図示せず)を参照することによって実行される。
【0079】
次に、ステップS100で入力した時間情報に基づいて、MAP1ないしMAP3を参照し((4)〜(6)式に基づいて)、現時点(Xff1 ,Xff2 ,Xff3 )に対応する消費電力として、年周期に基づいて求められるUff1 、週周期に基づいて求められるUff2 、日周期に基づいて求められるUff3 をそれぞれ決定する(ステップS110〜S130)。ここで、既述した各マップの学習は、改質燃料量決定処理ルーチンとは別個に、平行して実行されており、上記ステップS110〜S130では、この学習の動作によって補正(更新)された最新のマップが参照される。
【0080】
次に、過去数分間の消費電力の履歴に基づいて求められる消費電力であるUff4 を決定する(ステップS140)。上記したUff1〜Uff3は、負荷が変動する際に示す周期性に基づいて求められる値であると共に、既述した学習を行なうことにより、過去において家庭内電気負荷80の実際の消費電力が変動した履歴に基づいて決定されるものであるといえる。本実施例では、このように、家庭内電気負荷80の消費電力が過去において実際に変動した履歴に基づいて、家庭内電気負荷80の消費電力の予測を行なうが、消費電力の過去の履歴として、消費電力が変動する際に示す周期性に基づいて求めた上記したUff1〜Uff3に加えて、過去数分間(本実施例では過去2分間)の消費電力の履歴より求められるUff4 をさらに用いている。過去2分間の消費電力の履歴に基づいてUff4 を決定する式を、以下に(16)式として示す。
【0081】
Uff4[kW]=(L4(i)+L4(i-1)+L4(i-2)+…+L4(i-5))/6
…(16)
【0082】
ここで、L4(i)ないしL4(i-5)は、20秒ごとに電力計70が検出した消費電力の実測値を表わし、20秒ごとに検出した6つの実測値の平均値、すなわち、20秒ごとに過去2分間にわたって検出した値の平均値をUff4 としている。もとより、2分間以外の時間を選択しても良く、20秒ごと以外の間隔を置いて消費電力を検出することとしても良い。現時点に近い、過去一定時間のあいだの消費電力の状態を反映させることができればよい。また、Uff4 の値は、ステップS140の実行時にその都度求めることとしてもよく、また、改質燃料量決定処理ルーチンとは別個の処理を実行することによって常に求めることとして、ステップS140では、その時点で求められているUff4 の値を参照することとしても良い。
【0083】
次に、Uff1〜Uff4の値に基づいて、家庭内電気負荷80における消費電力の推定を行なう(ステップS150)。消費電力の推定値(Uest)を求める式を、以下に(17)式として示す。
【0084】
Uest[kW]=α×(Uff1+Uff2+Uff3)/3
+(1−α)×Uff4 …(17)
ここで、αは、0<α<1の制御パラメータである。
【0085】
(17)式は、家庭内電気負荷80が、1年を1周期とする周期性を示すこと、1週間を1周期とする周期性を示すこと、1日を1周期とする周期性を示すこと、のすべてを反映させて、さらに、過去2分間における消費電力の傾向も反映させて、家庭内電気負荷80の消費電力を予測するための式である。ここで、上記(17)式の前半部では、Uff1 ないしUff3 を加えたものを3で割っているため、消費電力を予測する際に上記3種類の各周期性は均等に反映されることになるが、異なる制御パラメータを設けて、消費電力を予測する際に各周期性を反映させる度合いを異ならせることも可能である。また、上記したように、αは、0〜1の間の値をとる制御パラメータであるが、この値によって、過去数分間において消費電力が変動した傾向を反映させる程度を調節することができる。このように、過去数分間における消費電力の変動に基づくUff4 を用いて、家庭内電気負荷80の消費電力を予測し、燃料電池装置10に供給する改質燃料量を算出することで、家庭内電気負荷80における数分間単位の変動に対して、なめらかに発電量を追従させることが可能となる。しかしながら、過去数分間において消費電力が変動した傾向を反映させる程度を大きくするほど、周期性にあまり関わらない突発的な消費電力の変動の影響が強く出ることになり、消費電力を予測する際に制御の動作を安定化させるためには、αの値は大きくとることが好ましいといえる。
【0086】
次に、推定した消費電力に基づいて、供給すべき改質燃料量、すなわち、改質器24に供給する都市ガスの流量目標値Frk[mol/s]を算出する(ステップS160)。ここではまず、ステップS150で推定した家庭内電気負荷80の消費電力に基づいて、燃料電池40がこの推定した消費電力に見合った発電を行なうときに出力する電流値Ifcを、以下の(18)式に基づいて算出する。
【0087】
Ifc[A]=Kdcac×Uest/Vfc …(18)
ここで、Kdcac:DC−ACインバータ70の変換効率などを含む定数、
Vfc[V]:燃料電池40の出力電圧
を表わす。
【0088】
なお、上記した燃料電池40の出力電圧値Vfcとしては、電圧センサを用いて燃料電池40の出力電圧値を検出した実測値を用いることとしてもよいが、近似的に設定した値を用いることも可能である。次に、この燃料電池40の出力電流値Ifcを用いて、この電流値を燃料電池40から出力するために燃料電池40が必要とする水素量Fh を算出する。燃料電池40において進行する電気化学反応は、(1)ないし(3)式に示したが、必要な水素量Fh は、(1)式を利用して以下のように求めることができる。
【0089】
Fh[mol/s]=Ifc×Kfch/(2×F) …(19)
ここで、F:ファラデー定数、
Kfch:水素利用率の逆数
を表わす。なお、上記水素利用率とは、(実際に発電に関与する水素量)/(燃料電池のアノード側に供給した水素量)として求められる値である。燃料電池40に供給した水素のすべてが電気化学反応に利用されるわけではなく、上記のような計算を行なうことで、所望量の電流を出力するために燃料電池40に供給すべき水素の流量を求めることができる。
【0090】
電気化学反応に供する水素は、本実施例では、改質部24において水蒸気改質反応によって都市ガスから生成されるが、都市ガスの主成分であるメタンの水蒸気改質反応を表わす式を以下に示す。
【0091】
CH4 + 2H2O → 4H2 + CO2 …(20)
【0092】
上記(19)式より求められる必要な水素量を、改質部24において水蒸気改質反応によって生成するために必要となるメタンの流量Fm は、(20)式より以下のようになる。
【0093】
Fm[mol/s]=Fs/4 …(21)
【0094】
したがって、燃料電池装置10において、昇温部20を介して改質部24に供給する都市ガスの流量目標値Frkは、以下のように算出することができる。
【0095】
Frk[mol/s]=Km2k×Fm …(22)
ここで、Km2k は、都市ガスとして用いられる天然ガスに一定の割合で混入している窒素量を補正するための係数である。
【0096】
なお、上記(21)式は、燃料電池40に供給する水素がすべて水蒸気改質反応によって生成されることを前提としているが、既述したように改質部24において部分酸化反応を行なう場合には、メタンの部分酸化反応と、水蒸気改質反応と部分酸化反応の割合とをさらに考慮して、必要なメタンの流量Fm を求めることとすればよい。
【0097】
このように、ステップS160において、改質燃料量として、都市ガスの流量目標値Frkを算出すると、次に、本実施例では、この流量目標値Frkに対して位相進み補正を行なう(ステップS170)。本実施例では、家庭内電気負荷80の消費電力を推定する際に、ステップS140およびステップS150で説明したように、過去数分間における家庭内電気負荷80の消費電力の履歴を反映させており、これによって、家庭内電気負荷80の消費電力が数分間単位で変動するような場合にも、これに対して燃料電池40の発電量を追従させることが可能となっているが、燃料電池装置10においては、例えば、燃料電池装置10に対して都市ガスが供給されてから、このガスが燃料電池装置10内部を通過して改質反応に供され、改質反応によって生成された所望量の水素が実際に燃料電池40に供給されるまでには所定の時間を要し、所望量の水素が燃料電池40供給されて所望量の電流が出力されるまでに遅れが生じるおそれがある。このように所望量の発電が行なわれるまでの間に生じる遅れが問題となる場合には、ステップS170として示した位相進み補正を行なうこととすればよい。流量目標値Frkに関して位相進み補正を行ない、補正後の都市ガスの流量目標値F'rk を算出するための式を以下に示す。ここでは、燃料電池装置10に対する都市ガスの供給と、燃料電池装置10からの電力の出力との間に生じる遅れを、一時遅れ要素として扱っており、伝達関数表現により制御則を記述する。
【0098】
F'rk[mol/s]={(T1×S+1)/(T2×S+1)}×Frk
…(23)
ここで、T1:燃料電池装置10の時定数、
T2:燃料電池装置10に比べて充分に速い時定数(通常30倍以上)を表わす。
【0099】
燃料電池40から所望の出力を得るためには、改質部24に対して、上記のように算出された目標値F'rk に相当する流量の都市ガスが供給されればよい。そこで、ガス流路60を介して上記目標値F'rk に相当する流量の都市ガスが供給されるよう、流量制御弁32に対して指令値 Vkfc(駆動信号)が出力される。
ここで、制御部50においては、ガス流路60を通過する都市ガス量と、これを実現するために流量制御弁32に出力すべき指令値との関係が予め記憶されているが、ガス流量が多くなるほど、流量制御弁32によって流量を精密に制御することが困難になるという性質を有している。すなわち、供給される改質燃料量(都市ガス量)が多くなるほど、改質部24において、また、ここに通じるガス流路60においても、内部の圧力が高くなり、このような圧力の上昇は、都市ガスが圧縮性流体であることにより、流量制御弁32において精密な流量制御を困難にするおそれがある。そこで本実施例では、ガス流路60に流量センサ36を設け、ガス流路60を実際に通過する都市ガス量を検出し、流量制御弁32に対して出力する指令値においてフィードバック制御を行なうことで、流量制御弁32に出力する指令値の補正を行ない(ステップS180)、改質部24に実際に供給される都市ガス量が目標値F'rk からはずれてしまうのを抑えている。
【0100】
Vkfc[V]=Vkfc0+Kp×(F'rk−Fk)+Ki×Σ(F'rk−Fk)
…(24)
ここで、Kp、Ki:フィードバック制御のパラメータ、
Vkfc:初期フィードフォーワード値、
Fk:流量センサ36で計測した都市ガス流量を表わす。初期フィードフォーワード値とは、都市ガス流量の目標値F'rkに対応して、上記補正を行なう前に流量制御弁32に出力される指令値である。
【0101】
本実施例では、フィードバック制御を行なう際に、上記指令値Vkfc0(初期フィードフォーワード値)に基づいて流量制御弁32が駆動されるときにガス流路60を流れる都市ガスの流量Fk と、目標値F'rk との偏差に基づいて、周知のPI制御を行なっている。このように、都市ガス流量の目標値F'rk と実測値Fk との偏差に基づいて指令値の補正を行なうことで、都市ガスの圧力が上昇して流量制御弁32の動作に誤差が生じる場合にも、所望量の都市ガスを改質部24に供給することが可能となる。ステップS180において指令値の補正を行なうと、流量制御弁32に出力すべき指令値Vkfc が決定され(ステップS190)、本ルーチンを終了する。
【0102】
以上のように構成された本実施例の燃料電池装置10によれば、家庭内電気負荷80の消費電力が変動する際に示す周期性に基づいて、家庭内電気負荷80の消費電力を予測し、改質部24に供給する都市ガス量を決定するため、供給した都市ガスを改質して成る水素を用いて燃料電池40で発生する電力と、家庭内電気負荷80における実際の消費電力との間の差をより小さくすることができる。したがって、過剰に発電した電力として、外部の電力会社に売却したり、蓄電手段を用いて蓄えることになる電力をより少なくすることができる。あるいは、不足する電力として外部の電力会社から購入すべき電力をより少なくすることができる。これによって、燃料電池装置10は、小規模コージェネレーション用電源としての効果を充分に確保することができる。また、供給する都市ガス量を決定する際に、家庭内電気負荷80における実際の消費電力と、燃料電池40が実際に発生させた電力との偏差を求めて行なうフィードバック制御を不要とすることで、制御の動作をより安定化することができる。すなわち、負荷の消費電力と発生した電力との偏差を用いてフィードバック制御を行なう場合には、負荷変動が激しい場合などにはハンチングが発生して制御が不安定となるおそれがあるが、このような不都合を回避することができる。
【0103】
また、上記実施例では、家庭内電気負荷80の消費電力を予測する動作を、家庭内電気負荷80の消費電力が変動する際に示す周期性(1年を1周期とする周期性と、1週間を1周期とする周期性と、1日を1周期とする周期性)に基づいて行なっており、高い精度で予測を行なうことができる。もとより、これらすべての周期性を反映させる必要はなく、少なくともいずれか一つの周期性に基づいて家庭内電気負荷80の消費電力を予測すれば、予測の精度を向上させる所定の効果を得ることができる。また、燃料電池装置10が電力を供給する負荷の性質によっては、上記した3種類の周期性とは異なる周期性に着目して負荷の大きさを予測することとしても良い。このような場合にも、消費電力が変動する際に示す周期性に基づいて負荷の大きさを予測することによって、予測の精度が向上するという同様の効果を得ることができる。
【0104】
さらに、本実施例では、上記周期性に基づいて負荷の消費電力を予測する際に、実際の負荷の消費電力を検出しつつ、この検出値に基づいて、消費電力を予測する際に用いる上記周期性に関するデータを補正している。このように、負荷の消費電力が過去に変動した履歴(センサにより検出した測定値)に基づいて、上記周期性に関わるデータを補正することで、周期性に関わるデータの内容をより実状に近いものとすることができ、予測の精度を向上させることができる。なお、上記実施例では、周期性に関わるデータにおける学習の動作(マップの補正の動作)を、今回の検出値と、過去2回のマップデータとの平均を求めることとしたが((7)式、(10)式、(13)式参照)、過去2回分以外のマップデータを用いるなど、異なる動作によって学習を行なうこととしても良い。ここで、上記学習の動作を行なう際に、今回の検出値と過去の検出値との平均を求めることによってマップデータの補正を行なうことも可能であるが、上記実施例のように、今回の検出値と過去のマップデータとの平均を求めることで、消費電力が突発的に変動するときの影響を抑えることができる。
【0105】
また、このように負荷の消費電力が過去に変動した履歴(センサにより検出した測定値)として、周期性に関わるデータに加えて、過去数分間における消費電力をさらに反映させている。したがって、数分間単位を単位とする負荷の変動に対しても、改質部24に供給する都市ガス量をある程度追従させることができ、燃料電池40における発電量を所望の状態により近づけることができる。なお、上記実施例では、消費電力が過去に変動した履歴として過去2分間の履歴を用いているが、異なる長さの履歴を用いることとしても良い。負荷の消費電力が変動する際に示す周期性に基づいて家庭内電気負荷80の消費電力を予測する場合には、予測に用いる周期性において1周期を構成する単位時間(例えば、1日を1周期とする周期性における単位時間である1時間)よりも充分に短い時間の過去の履歴を用いることによって、消費電力を予測する精度を向上させる効果を充分に得ることが可能となる。
【0106】
また、予測した負荷の消費電力に基づいて、改質部24に供給する都市ガス量を決定する際に、既述した位相進み補正を行なうことにより、燃料電池装置10の性質として改質部24に都市ガスを供給してから所望の量の水素が燃料電池40に供給されるまでの間に、遅れが生じるおそれがある場合などには、このような遅れが生じるのを抑えることができる。特に、本実施例のように、1年や1週間あるいは1日などを1周期とする周期性の他に、過去数分間における消費電力の変動の履歴を反映させて、負荷の消費電力の予測を行なう場合には、消費電力において数分間単位での変動が起きた際にも、上記位相進み補正を行なうことによって、負荷変動に対して非所望の遅れを生じることなく速やかに燃料電池40の発電量を追従させることが可能となり、過去数分間における消費電力の変動の履歴を反映させて消費電力を予測する効果を、より充分に確保することができる。
【0107】
さらに、改質部24に供給すべき都市ガス量として決定された量と、この決定に基づいて実際に改質部24に供給されたガス量との偏差を求めてフィードバック制御を行なうため、所望量の都市ガスを改質部24に供給する動作の精度を向上させることができる。なお、このようなフィードバック制御の動作は、燃料電池装置10を構成する部材が動作する際の精度を補償するものであり、負荷の大きさを予測する際に実際に測定した負荷の大きさに基づいて行なうフィードバック制御とは異なるため、既述したハンチングなどの不都合が生じるおそれはない。
【0108】
また、消費電力が変動する際に示す周期性に基づいて負荷の大きさを予測する際に、上記実施例では、家庭内電気負荷80全体の消費電力を対象として、各周期ごとにマップを作成し、これら各マップを参照して得られるそれぞれの消費電力の値を平均することによって、家庭内電気負荷80の大きさ(消費電力)を予測することとしたが、異なる方法によって、負荷変動が示す周期性を反映させることとしても良い。例えば、家庭内電気負荷80を構成する各負荷において、少なくともその一部の負荷において、主に1年を1周期とする周期性を示す負荷と、主に1週間を1周期とする周期性を示す負荷と、主に1日を1周期とする周期性を示す負荷とに分類することが可能であれば、これら分類した負荷ごとの消費電力の合計を、それぞれが示す周期性に基づいて別個に予測し、予測した消費電力を合計して、家庭内電気負荷80全体の消費電力を予測することとしても良い。家庭内電気負荷80の消費電力が変動する際に示す周期性に基づいて負荷の大きさを予測するのであれば、同様の効果を得ることができる。
【0109】
上記実施例では、商用ガスとして都市ガス(天然ガス)を用いることとしたが、所望の量を容易に利用可能であって、据え置き型の燃料電池装置において、水素を生成するための改質燃料として用いることができれば、他種の燃料を用いることとしても良い。
【0110】
また、上記実施例では、燃料電池装置の構成として図1に示した燃料電池装置10の構成を挙げたが、本発明を異なる構成の燃料電池装置に適用することとしても良く、商用ガスを改質するシステムであれば同様の効果を奏することができる。例えば、燃料電池装置において、パラジウムなどから成る水素分離膜を利用する水素分離装置を備えさせ、この水素分離装置を用いて、商用ガスを改質して成る改質ガスから水素を抽出して、抽出した水素を燃料電池に供給することとしても良い。商用ガスを改質することで水素を生成し、改質反応に供した商用ガス量に対応する量の水素を燃料電池に供給する構成であれば、本発明を適用することが可能である。
【0111】
また、上記実施例では、燃料電池40として固体高分子型燃料電池を用いたが、他種の燃料電池を用いる場合にも同様の効果を得ることができる。
【0112】
さらに、上記実施例では、燃料電池装置10は、家庭内電気負荷80に対して電力を供給することとしたが、異なる種類の負荷に対して電力を供給することとしても良い。例えば、集合住宅やオフィス(ビル)、あるいは、コンビニエンスストアなどの店舗等、個々の施設内負荷に対して電力を供給するような、様々な種類のコージェネレーション用電源において適用することが可能であり、これらの負荷の消費電力が変動する際に示す周期性に基づいて負荷の大きさを予測し、改質器に供給する改質燃料量を決定することで、同様の効果を得ることができる。
【0113】
以上本発明の実施例について説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々なる様態で実施し得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好適な一実施例である燃料電池装置10の構成を表わす説明図である。
【図2】燃料電池40と家庭内負荷との接続の様子を表わす説明図である。
【図3】家庭内電気負荷における1年を1周期とする周期性の例を表わす説明図である。
【図4】家庭内電気負荷における1週間を1周期とする周期性の例を表わす説明図である。
【図5】家庭内負荷における1日を1周期とする周期性の例を表わす説明図である。
【図6】改質燃料量決定処理ルーチンを表わすフローチャートである。
【符号の説明】
10…燃料電池装置
20…昇温部
21…熱交換部
22…燃焼部
23,25,27,28…ブロワ
24…改質部
26…CO酸化部
30,32,34…流量制御弁
36,38…流量センサ
40…燃料電池
50…制御部
60,61,63,64…ガス流路
62…水蒸気流路
65…燃料ガス流路
66…酸化ガス流路

Claims (10)

  1. 特定の負荷に対して電力を供給する燃料電池を備える据え置き型の燃料電池装置であって、
    商用ガスの供給を受けて改質反応を進行させ、水素を生成する改質器と、
    前記改質器に前記商用ガスを供給する改質燃料供給手段と、
    前記改質器が生成した前記水素を、前記燃料電池に供給する水素供給手段と、
    前記特定の負荷の消費電力が変動する際に示す周期性に基づいて、前記改質器に供給すべき前記商用ガスの量を決定する改質燃料量決定手段と
    前記特定の負荷における実際の消費電力の大きさを検出する消費電力検出手段と、
    を備え、
    前記改質燃料量決定手段は、前記周期性に加えて、過去の一定時間である過去数分間に前記消費電力検出手段が検出した消費電力の履歴にさらに基づいて、前記周期性に基づく消費電力と前記過去数分間の消費電力の履歴との間で重み付け平均を求めることによって、前記改質器に供給すべき前記商用ガスの量を決定し、
    前記改質燃料供給手段は、前記改質燃料量決定手段が決定した前記商用ガスの量に従って、前記改質器に対して前記商用ガスを供給することを特徴とする
    燃料電池装置。
  2. 前記改質燃料量決定手段は、前記特定の負荷の消費電力が変動する際に示す周期性として、1年を1周期とする周期性と、1週間を1周期とする周期性と、1日を1周期とする周期性とのうちの、少なくとも一つの周期性に基づいて、前記商用ガスの量を決定することを特徴とする
    請求項1記載の燃料電池装置。
  3. 請求項1または2記載の燃料電池装置であって
    記改質燃料量決定手段は、
    前記周期性に関する情報を記憶する記憶手段と、
    前記消費電力検出手段が検出した実際の消費電力の大きさに基づいて、前記記憶手段が記憶する前記周期性に関する情報を補正する周期情報補正手段と、を備え、
    前記記憶手段が記憶し、前記周期情報補正手段が補正した前記周期性に関する情報を参照して、前記重み付け平均を求めることによって、前記商用ガス量を決定することを特徴とする
    燃料電池装置。
  4. 前記改質燃料量決定手段は、前記改質器に供給すべき前記商用ガスの量を決定する際に、位相進み補正を行なう第1の補正手段を備える
    請求項1ないしいずれか記載の燃料電池装置。
  5. 請求項1ないしいずれか記載の燃料電池装置であって、
    前記改質燃料供給手段が前記改質器に実際に供給する前記商用ガスの量を検出する供給ガス量検出手段をさらに備え、
    前記改質燃料供給手段は、前記改質燃料量決定手段が決定した前記商用ガスの量に従って前記商用ガスを供給する際に、前記改質燃料量決定手段が過去に決定した前記商用ガスの量と、これに従って前記改質燃料供給手段が実際に供給し、前記供給ガス量検出手段が検出した前記商用ガスの量との差に基づいて、前記改質器に実際に供給する前記商用ガスの量を補正する第2の補正手段を備える
    燃料電池装置。
  6. 特定の負荷に対して電力を供給する燃料電池を備える据え置き型の燃料電池装置の運転方法であって、
    (a)前記特定の負荷の消費電力が変動する際に示す周期性に基づいて、前記燃料電池に供給する水素を生成するための改質反応に供すべき商用ガスの量を決定する工程と、
    (b)前記(a)工程での決定に従って前記商用ガスを前記改質反応に供し、前記商用ガスから水素を生成する工程と、
    (c)前記改質反応で生成された前記水素を、燃料ガスとして前記燃料電池に供給する工程と、
    (d)前記特定の負荷における実際の消費電力の大きさを検出する工程と、
    を備え
    前記(a)工程は、前記周期性に加えて、過去の一定時間である過去数分間に前記(d)工程で検出した消費電力の履歴にさらに基づいて、前記周期性に基づく消費電力と前記過去数分間の消費電力の履歴との間で重み付け平均を求めることによって、前記改質反応に供すべき前記商用ガスの量を決定することを特徴とする
    燃料電池装置の運転方法。
  7. 前記(a)工程は、前記特定の負荷の消費電力が変動する際に示す周期性として、1年を1周期とする周期性と、1週間を1周期とする周期性と、1日を1周期とする周期性とのうちの、少なくとも一つの周期性に基づいて、前記商用ガスの量を決定することを特徴とする
    請求項記載の燃料電池装置の運転方法。
  8. 請求項または記載の燃料電池装置の運転方法であって
    e)前記周期性に関する情報を記憶する記憶手段において、前記(d)工程で検出した実際の消費電力の大きさに基づいて、該記憶手段が記憶する前記周期性に関する情報を補正する工程と
    をさらに備え、
    前記(a)工程は、前記(e)工程において補正した前記周期性に関する情報を記憶する前記記憶手段を参照して、前記重み付け平均を求めることによって、前記商用ガスの量を決定することを特徴とする
    燃料電池装置の運転方法。
  9. 前記(a)工程は、前記改質反応に供すべき前記商用ガスの量を決定する際に、位相進み補正を行なうことを特徴とする
    請求項ないしいずれか記載の燃料電池装置の運転方法。
  10. 請求項ないしいずれか記載の燃料電池装置の運転方法であって、
    (f)前記改質反応に実際に供されている前記商用ガスの量を検出する工程をさらに備え、
    前記(b)工程は、前記(a)工程での決定に従って前記商用ガスを前記改質反応に供する際に、過去に前記(a)工程を実行した際に決定した前記商用ガスの量と、これに従って前記(b)工程において実際に供給し、前記(f)工程において検出した前記商用ガスの量との差に基づいて、前記改質反応に実際に供する前記商用ガスの量を補正することを特徴とする
    燃料電池装置の運転方法。
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