JP4971724B2 - 圧力調整機構、圧力調整機構付きマイクロバルブ、および圧力調整機構付きマイクロバルブを搭載した燃料電池 - Google Patents
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Description
また、バルブはアクティブ駆動のもの、パッシブ駆動のものに大きく分類される。アクティブ駆動のバルブは、圧力センサなどのセンサ類とバルブ駆動手段、制御機構とを備える。
一方、パッシブ駆動の減圧弁は、圧力差によるダイヤフラムのたわみ等を利用して、バルブが自動的に開閉する。
例えば、パッシブ型の減圧弁の設定圧力の調整には、従来、弁体に対して力を伝えるバネを具備し、ハンドルなどによって、バネのたわみを変化させる機構がよく用いられてきた。
このような機構として、特許文献1においては、バネによる圧力設定機構を有する減圧弁が開示されている。
燃料電池が小型電気機器の駆動源として有用な理由に体積当たり、重量当たりの供給可能なエネルギー量が従来のリチウムイオン2次電池に比べて、数倍から十倍近くであることが挙げられる。
特に、大きな出力を得るための燃料電池には、水素を燃料に使用するのが最適である。しかし、水素は常温で気体であり、小型の燃料タンクの中に高密度に水素を貯蔵するための技術が必要である。
第一の方法は、水素を圧縮して高圧ガスとして保存する方法である。タンク内のガスの圧力を200気圧にすると体積水素密度は18mg/cm3程度となる。第二の方法は、水素を低温にして、液体として貯蔵する方法である。水素を液化するためには、大きなエネルギーが必要であること、また、液体水素が自然気化して、漏れだしてしまうことが問題であるが、高密度な保存が可能である。
第三の方法は、水素吸蔵合金を使用して水素を貯蔵する方法である。この方法では、水素吸蔵合金の比重が大きいため、重量ベースでは、2wt%程度の水素しか吸蔵できず、燃料タンクが重たくなってしまうという問題点があるが、体積ベースでの吸蔵量は大きいので、小型化には有効である。
例えば、このような膜としては、デュポン社のナフィオンなどがよく知られている。
固体高分子電解質膜を、白金などの触媒を担持した一対の多孔質電極、すなわち、燃料極と酸化剤極とで狭持した膜電極複合体が発電セルとなる。
この発電セルに対して、酸化剤極には酸化剤を、燃料極には燃料極を供給することにより、高分子電解質膜中をプロトンが移動し、発電が行われる。
高分子電解質膜は機械的強度を保ち、また、燃料ガスが透過しないようにするために通常50〜100μm程度の厚さのものが使用される。
これらの固体高分子電解質膜の強度は3〜5kg/cm2程度である。
従って、差圧による膜の破断を防ぐためには、燃料電池の酸化剤極室と燃料極室との差圧が、平常時には0.5kg/cm2、非常時でも1kg/cm2以下になるように制御することが好ましい。
しかし、酸化剤極室が大気に解放されており、また、より高密度に燃料を充填する場合においては、燃料タンクから燃料極室に燃料を供給する過程において、減圧する事が必要となる。
また、発電の起動・停止操作や、発電電力を安定させるためにも、前記機構は必要となる。
特許文献2においては、小型バルブを燃料タンクと燃料電池セルの間に設けることにより、燃料電池セルを大きな圧力差による破断から防ぎ、発電の起動、停止を制御し、発電電力を安定に保っている。
特に、燃料供給路と酸化剤供給路との境界にダイヤフラムを使用し、バルブに直結することで、電気を使用しないで、燃料供給路と酸化剤供給路との差圧により駆動し、燃料電池セルに供給する燃料圧を最適に制御する減圧弁を実現している。
半導体加工技術は、サブミクロンオーダーの微細加工が可能な上、バッチプロセスにより大量生産化が容易であるという特徴を有する。
非特許文献1においては、複数の半導体基板を材料を用い、半導体加工技術を用いて作製したアクティブ駆動のマイクロバルブについて開示している。本マイクロバルブはPZTに電圧をかけることによって駆動されている。
しかしながら、特にパッシブ駆動型のバルブにおいて、設計段階で設定圧力をある値に設計することはできても、作製後にバルブの設定圧力を状況に応じて調整することは困難であった。
これは、バルブが小型になると、従来の減圧弁のように調整用のバネやハンドルを具備するのが困難であると同時に、それらを操作・調整することが困難であるためである。
また、本発明は、上記機能に加え、規定温度以上の環境下において負荷の解除をすることができる機能を併せ有する設定を調整する圧力調整機構、設定を調整する圧力調整機構を取り付けた圧力調整機構付きマイクロバルブ、および圧力調整機構付きマイクロバルブを搭載した燃料電池の提供を目的とする。
本発明の圧力調整機構は、マイクロバルブの設定圧を調整する圧力調整機構であって、
前記圧力調整機構は、入口流路と出口流路を有し、差圧によって動作する可動部を備えた作製後におけるマイクロバルブに対して、該マイクロバルブの外部側から取り付け可能に構成され、
前記圧力調整機構における前記マイクロバルブへの前記外部側からの取り付けによって、前記可動部に予め定められた変位を与えて前記設定圧を調整することを特徴とする。
また、本発明の圧力調整機構は、前記可動部が、ダイヤフラムを含むことを特徴とする。
また、本発明は、前記圧力調整機構が、前記可動部に前記変位を与えるためのバネ機構によって構成されていることを特徴とする。
また、本発明の圧力調整機構は、前記バネ機構が、板バネを備えた機構であることを特徴とする。
また、本発明は、前記圧力調整機構が、前記可動部に前記変位を与えるための弾性材料からなる機構によって構成されていることを特徴とする。
また、本発明の圧力調整機構は、前記バネ機構が、温度により変位する温度変位部を含み構成され、該温度変位部が閾値以上の温度において前記可動部に変位を与えないことを特徴とする。
また、本発明の圧力調整機構は、前記弾性材料からなる機構が、温度により変位する温度変位部を含み構成され、該温度変位部が閾値以上の温度において前記可動部に変位を与えないことを特徴とする。
また、本発明の圧力調整機構は、前記温度変位部が、形状記憶合金で形成されていることを特徴とする。
また、本発明の圧力調整機構は、前記形状記憶合金が、バイメタルで形成されていることを特徴とする。
また、本発明の圧力調整機構は、前記バネ機構が、バネ部と、該バネ部を支持する支持部と、該バネ部に設けられ前記可動部に接触可能な加圧部と、を有することを特徴とする。
また、本発明の圧力調整機構は、前記弾性材料からなる機構が、弾性材料からなる弾性部と、該弾性部を支持する支持部と、該弾性部に設けられ前記可動部に接触可能な加圧部と、を有することを特徴とする。
また、本発明は、前記圧力調整機構が、前記可動部に前記変位を与えるための可動部に隣接する圧力チャンバによって構成されていることを特徴とする。
また、本発明の圧力調整機構は、前記チャンバが、逆止弁を備えていることを特徴とする。
また、本発明の圧力調整機構は、上記したいずれかに記載の可動部を備え、
前記可動部に予め定められた変位を与えて設定圧を調整するため、上記したいずれかに記載の圧力調整機構が、前記マイクロバルブに取り付けられていることを特徴とする。
また、本発明の圧力調整機構は、前記マイクロバルブが、減圧弁であることを特徴とする。
また、本発明の燃料電池は、上記したいずれかに記載の圧力調整機構付きマイクロバルブを搭載したことを特徴とする。
特に、本発明の設定を調整する圧力調整機構をマイクロバルブに取り付けることで、設定値をマイクロバルブ自体の構造を変更せずに調整することができ、マイクロバルブ自体の構造も単純にすることができ、システム全体の小型化を図ることができる。
また、本発明の設定を調整する圧力調整機構を小型減圧弁と併せて小型燃料電池の制御に用いれば、適正な圧力で燃料を燃料電池に供給できると共に、燃料電池システムを小型化できる。
その際、マイクロバルブ設定の異なる製品に搭載する場合にはマイクロバルブ自体のプロセスを変更する必要が無く、部品の共通化が図られてコストダウンが可能となる。
また、上記機能に加え、規定温度以上の環境下において負荷の解除をすることができる機能を併せ有する設定を調整する圧力調整機構を構成することにより、通常の減圧弁の機能に加えて、温度状態によって変位する温度遮断弁として機能させることが可能となる。
[実施例1]
実施例1においては、本発明の圧力調整機構を適用して構成したマイクロバルブ(小型減圧弁)及びその作製方法の一例について説明する。
なお、本発明は、以下に説明するバルブの構造および製法に限定されるものではない。例えば、リリーフバルブなどの他の形態のバルブや機械加工などの他の製法で作製されたバルブに対しても有効である。
本実施例のマイクロバルブの作製方法においては、まず可動部を構成するダイヤフラム部を作製し、その上に新規ウェハを接合する。
その後、可動部を構成するバルブ軸部を作製し、さらに、その上に新規ウェハを接合した後、バルブシートを作製し、最後にバルブシートをリリースすることによって、作製される。ウェハには両面研磨されたものを使用するのが好ましい。
図1及び図2に、上記製法における作製手順を説明するための各工程を示す。
まず、図1(a)示す第1のステップは、新しいウェハ表面に位置あわせのためのアライメントマークを作製する工程である。
ウェハには厚さ300μmの両面研磨シリコンウェハ1を用いた。Shipley社S1805をフォトレジストに使用し、パターニング後、ICP−RIEエッチングによって、深さ30μmのアライメントマーク21を作製した。
図1(b)に示す第2のステップは、ダイヤフラム、バルブ軸の一部、および、その支持部のためのマスクを作製する工程である。
まず、2枚のアルミマスクを順番にウェハの第1のステップで作製したアライメントマーク21と反対側の面にパターニングした。
1枚目のアルミマスク11はShipley社S1805をフォトレジストに使用し、ダイヤフラム24と支持部22を形成するためのマスクをパターニング後、真空蒸着によって成膜した。
さらに、その上に、2枚目のアルミマスク12をフォトレジストによって、バルブ軸23と出口流路26になる部分をパターニング後、真空蒸着によって成膜した。
ここでは、ICP−RIEエッチングによってシリコンウェハを垂直に150μmエッチングした。
図1(d)に示す第4のステップでは、エッチング時間を制御することによって、1枚目のアルミマスク11の厚みをウェットエッチングによって取り除き、2枚目のアルミマスク12に対応する部分のみを残した。
図1(e)に示す第5のステップでは、残ったマスクを用いて、ICP−RIEエッチングによって125μmシリコンウェハを垂直にエッチングした。これにより25μmのシリコンウェハ部分が残り、これがダイヤフラム24となる。また、出口流路26が形成される。
まず、残ったアルミマスクをウェットエッチングで取り除いた。
厚さ300μmの両面研磨シリコンウェハをまず、SPM洗浄(過酸化水素水と硫酸の混合液中で80℃10分間洗浄)後、1%フッ酸で洗浄し、SC1洗浄(過酸化水素水とアンモニア水の混合液中で75℃10分間洗浄)した。
次に、前の工程までに作製したウェハ1と新しいウェハ2とを重ね合わせ、4.5atmの圧力で10分間保持した。
その後、試料を3時間で1100℃に加熱し、4時間保持後、自然冷却によりアニールを行った。
図2(g)に示す第7のステップは、バルブ軸23の残りの部分を作製する工程である。
アルミを新しいウェハの表面に成膜後、第1のステップで作製したアライメントマークをもとにShipley S1805フォトレジストによってバルブ軸をパターニングした。
こでは、ICP−RIEによって、バルブ軸となる部分を垂直にエッチングして作製した。
まず、アルミマスクをウェットエッチングによって取り除いた。その後、試料を超音波洗浄によって数分間洗浄した。
新しい厚さ300μmの両面研磨シリコンウェハ3の表面を熱酸化し、前の工程までに作製したウェハと接合した。接合条件は第6のステップの場合と同様である。
図2(i)に示す第9のステップは、バルブシートを形成する工程である。
ウェハの接合されていない側のシリコン酸化物層を取り除き、その上にアルミを成膜した。Shipley S1805フォトレジストによってバルブシート25を形成し、ICP−RIEによって垂直にエッチングした。
図2(j)に示す第10のステップは、バルブシート25をリリースする工程である。
こでは、vapor HFによって25μmの長さをサイドエッチングした。エッチング時間は2時間であった。
図3は、前記作製方法により作製したマイクロバルブの断面図である。
図3において、22は支持部、23はバルブ軸、24はダイヤフラム、25はバルブシート、26は出口流路である。
図4(a)のようにダイヤフラム上部の圧力をP0、バルブ上流の1次圧力をP1、バルブ下流の圧力をP2とし、バルブシートの面積をS、ダイヤフラム面積をS2とする。
このとき、圧力の釣り合いから、図4(b)のようにバルブが開く条件は、
(P1−P2)S1<(P0−P2)S2となる。
P2がこの条件の圧力より高いとバルブは閉じ、低いとバルブは開く。
これによって、P2を一定に保つことができる。
バルブシートの面積やダイヤフラムの面積、バルブ軸の長さ、ダイヤフラムの厚さなどを調整することで、バルブが開閉する圧力や流量を最適に設計することができるが、作製後に設定圧力を変更することは困難である。
図5に、本実施例の圧力調整機構の構造を説明するための図を示す。
図5(a)は、本発明の圧力調整機構の構造を表す正面図であり、図5(b)は圧力調整機構の構造を表す立面図である。
圧力調整機構は、周辺支持部101、バネ部(バネ機構)102、加圧部103からなる。
図6は本実施例の圧力調整機構1016をマイクロバルブ1015に取り付けた際の圧力調整機構付きバルブの立断面図である。
図6において、26は出口流路、27は入口流路、1015はマイクロバルブ、1016は圧力調整機構である。取り付けには接着剤により接着してもよいし、ハウジングによって周辺支持部101を上から押さえつけてもよい。
これにより、加圧部103がマイクロバルブのダイヤフラムに接触可能となり、バネ部102によって押される。
これにより、マイクロバルブの動作圧力にオフセットがかかる。
バネ部102のバネ定数は材質を変えたり、図7(a)、図7(b)などのようにバネの形状を変えたり、厚さや太さを変えることによって設計可能である。
圧力調整機構の材料にはステンレスやアルミ、銅などの金属やシリコンなどの半導体、ポリイミドやゴムなどの有機材料を用いることができる。
これらにより、バネ部として板バネを形成し、あるいは圧力調整機構を弾性材料で形成する構成を採ることができる。
この弾性材料からなる構成として、弾性材料からなる弾性部と、該弾性部を支持する支持部と、該弾性部に設けられ上記可動部に接触可能な加圧部による構成とすることができる。
加工方法としては、金属の場合には、切削加工やエッチング、半導体の場合にはドライエッチングやウェットエッチング、有機物の場合には、エッチングや射出成形、切削などを用いることができる。
また、圧力調整機構は、一体加工によることもできるし、加圧部103を別に加工しておき、接着することもできる。
加圧部103の高さを大きくするに従い、バルブの動作圧力に大きなオフセットがかかるのがわかる。
加圧部103がマイクロバルブに接触している際のバルブの動作はバネ部102のバネ定数とバルブのダイヤフラムのバネ定数との合成定数によって決定される。
この場合、調整後の圧力流量特性は、もとのバルブの特性にオフセットをかけたものに近くなる。
一方、バネ部102のバネ定数をダイヤフラムのバネ定数に比べ大きくすると、バルブの動作はバネ部102のバネ定数に大きく依存するようになる。
バネ部102のバネ定数を変化させた場合の、特性の変化を図9に示す。この場合、バルブが開く圧力(クラッキング圧)は高くなるが、圧力流量特性は流量が増加するとともに、調整前の特性に近づく。
以上のように本実施例の圧力調整機構をバルブに取り付けることで、バルブ自体の構造を変更せずに、圧力流量特性を変えることができる。
実施例2においては、圧力調整機構を可動部に変位を与えるための可動部に隣接する圧力チャンバで構成した例について説明する。
本実施例に用いるマイクロバルブは、実施例1と同様に作製することができる。図10に、本実施例における圧力調整機構をマイクロバルブに取り付けた状態を説明するための図を示す。
本実施例の圧力調整機構は、図10に示すように、圧力チャンバ201によって構成されている。
圧力チャンバ201内の空間はマイクロバルブのダイヤフラムの片側(バルブによって制御される流体と接していない側)と接しており、チャンバ内の圧力を調整することにより、マイクロバルブのダイヤフラムにかかる圧力を変化させることができる。
また、図11のように逆止弁202を有することにより、逆止弁からチューブを接続してチャンバ内の圧力を設定圧力にした後、チューブをはずすことによっても良い。
チャンバ内に供給する流体としては、空気のほかに、窒素、酸素、水素など様々な気体を使用することが可能である。
圧力チャンバ201内の流体に圧力に応じて、マイクロバルブ1015の2次圧力にオフセットがかけられていることがわかる。また、設定圧力は正の圧力だけでなく、負圧にすることも可能である。
実施例3においては、圧力調整機構として、実施例1で説明した周辺支持部、バネ部、加圧部の他に、温度変位部を設けた構成例について説明する。本実施例に用いるマイクロバルブは、実施例1と同様に作製することができる。
図13に、本実施例の圧力調整機構の構造を説明するための正面図を示す。
本実施例における圧力調整機構は、周辺支持部301、バネ部302、加圧部303、温度変位部304からなる。
図14は本実施例の圧力調整機構1016をマイクロバルブ1015に取り付けた際の立断面図である。
圧力調整機構1016は実施例1と同様に、加圧部303がマイクロバルブのダイヤフラムに接触し、バネ部302によって押される。
温度変位部304はチタン−ニッケル合金などの形状記憶合金が形成されており通常温度では塑性変形を行い前述のバネ部302の加圧には影響しない。
マイクロバルブの周りの温度が異常上昇して予め設定した温度以上になると図15のように温度変位部304の形状記憶合金が加圧しない方向(図15では上側)に反り返るように変位する。
これにより、加圧部303がマイクロバルブのダイヤフラムから離れ加圧しなくなる。
温度が閾値(点線)より小さい領域では温度変位部304は機能しないので実施例1で示したように通常の加圧部303により加圧された2次圧になる。
さらに、温度が上昇して閾値を超えると(閾値以上になると)、温度変位部304の形状記憶合金が機能して加圧部303が持ち上げられるため、負圧動作のノーマリークローズバルブとなり弁が閉じる。
また、温度が閾値を下回ると通常の減圧弁として機能するため可逆的に利用可能である。
このように圧力調整機構に形状記憶合金の温度変位部304を設けることにより閾値温度より下では減圧弁、それ以上では遮断弁として機能させることができ、より安全性の高い弁機構を提供することができる。
また、本実施例ではバネ部302と温度変位部304を別の位置に配置した例を示したが、温度変位部304にバネ性を有する金属材料等を利用して同じ機能をもたせる構成にしてもよい。
実施例4においては、本発明の圧力調整機構によって調整されたマイクロバルブを搭載した燃料電池について説明する。
図17に、本実施例の燃料電池を説明するための斜視図を示す。
また、図18は、本実施例の燃料電池システムを説明するための概要図である。
本実施例における燃料電池の外寸法は50mm×30mm×10mmであり、通常コンパクトデジタルカメラで使用されているリチウムイオン電池の大きさとほぼ同じである。
このように、本実施例の燃料電池は小型で一体化されているため、携帯機器に組み込みやすい形状となっている。
また、この孔は生成した水を水蒸気として逃がしたり、反応により発生した熱を外に逃がす働きもしている。
また、一方の側面には、電気を取り出すための電極1012がある。
内部は、高分子電解質膜112、酸化剤極111、燃料極113からなる燃料電池セル1011と、燃料を貯蔵する燃料タンク1014、燃料タンクと各セルの燃料極とをつなぎ、燃料の流量を制御するマイクロバルブ1015によって構成されている。
タンクの内部には水素を吸蔵することが可能な水素吸蔵合金が充填されている。
燃料電池に用いる高分子電解質膜の耐圧が0.3〜0.5MPaであることから、外気との差圧が0.1MPa以内の範囲で用いる必要がある。
水素の解放圧が常温で0.2MPaの特性を持つ水素吸蔵合金として、例えばLaNi5などを用いる。
燃料タンクの容積を燃料電池全体の半分とし、タンク肉厚を1mm、タンク材質をステンレスとすると、燃料タンク容積は5.2cm3になる。
LaNi5は重量当たり1.1wt%の水素を吸脱着可能なので、充填率を50%とすると燃料タンクに蓄えられている水素量は0.2gであり、
発電可能なエネルギーは、約5[W・hr]となる。
一方、水素の解放圧が常温で0.2MPaを超えるような水素吸蔵材料を超える場合には、燃料タンク1014と燃料極113との間に減圧のためのマイクロバルブ1015を設ける必要がある。
尚、LaNi5の各温度における解離圧は図19に示すようになっている。タンクに蓄えられた水素はマイクロバルブ1015で減圧され、燃料極113に供給される。
また、酸化剤極111には通気孔1013から外気が供給される。
燃料電池セルで発電された電気は電極1012から小型電気機器に供給される。
マイクロバルブの1次側は、燃料タンク1014とつながっている。出口流路26は、燃料極113へとつながり、ダイヤフラム24の出口流路と反対面は酸化剤極(外気)と接している。
バルブ全体のサイズは1cm角以内であり、弁体の大きさは1mm角以内となっている。
このように小さなバルブ機構を実現することにより、小型燃料電池に燃料流量の制御機構を組み込むことが可能になっている。
発電停止中はマイクロバルブ1015は閉じている。発電が始まると燃料極室の燃料は消費され、燃料極室の燃料の圧力は下がって行く。
ダイヤフラム24は、外気圧と燃料極室の圧力との差圧から、燃料極室側にたわみ、ダイヤフラム24にバルブ軸23で直結されたバルブシート25は押し下げられ、バルブは開く。
これにより、燃料タンク1014から、燃料極室113に燃料が供給される。燃料極室の圧力が回復すると、ダイヤフラム24は上に押し上げられ、マイクロバルブ1015は閉じる。
そこで、燃料電池に搭載するマイクロバルブに本発明の圧力調整機構を取り付けることにより、マイクロバルブの開閉圧力を調整することで、適正な圧力に保つことができる。これにより、燃料電池の燃料流路内を破損の危険が無く、良好な発電特性を発揮することが可能となる。
また、実施例3の温度変位部をもつ圧力調整機構を燃料電池に適応することにより、何らかの要因で燃料電池が異常温度に上昇した場合に燃料の供給を自動的に遮断することが可能になりさらに安全性の高い構成にすることができる。
2:第2のウェハ
3:第3のウェハ
11:第1のアルミマスク
12:第2のアルミマスク
13:第3のアルミマスク
14:シリコン酸化物層
15:第4のアルミマスク
21:アライメントマーク
22:支持部
23:バルブ軸
24:ダイヤフラム
25:バルブシート
26:出口流路
27:入口流路
101:周辺支持部
102:バネ部
103:加圧部
111:酸化剤極
112:高分子電解質膜
113:燃料極
201:加圧チャンバ
202:逆止弁
301:周辺支持部
302:バネ部
303:加圧部
304:温度変位部
1011:燃料電池セル
1012:電極
1013:通気孔
1014:燃料タンク
1015:マイクロバルブ
1016:圧力調整機構
Claims (16)
- マイクロバルブの設定圧を調整する圧力調整機構であって、
前記圧力調整機構は、入口流路と出口流路を有し、差圧によって動作する可動部を備えた作製後におけるマイクロバルブに対して、該マイクロバルブの外部側から取り付け可能に構成され、
前記圧力調整機構における前記マイクロバルブへの前記外部側からの取り付けによって、前記可動部に予め定められた変位を与えて前記設定圧を調整することを特徴とする圧力調整機構。 - 前記可動部が、ダイヤフラムを含むことを特徴とする請求項1に記載の圧力調整機構。
- 前記圧力調整機構が、前記可動部に前記変位を与えるためのバネ機構によって構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の圧力調整機構。
- 前記バネ機構が、板バネを備えた機構であることを特徴とする請求項3に記載の圧力調整機構。
- 前記圧力調整機構が、前記可動部に前記変位を与えるための弾性材料からなる機構によって構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の圧力調整機構。
- 前記バネ機構が、温度により変位する温度変位部を含み構成され、該温度変位部が閾値以上の温度において前記可動部に変位を与えないことを特徴とする請求項3または請求項4に記載の圧力調整機構。
- 前記弾性材料からなる機構が、温度により変位する温度変位部を含み構成され、該温度変位部が閾値以上の温度において前記可動部に変位を与えないことを特徴とする請求項5に記載の圧力調整機構。
- 前記温度変位部が、形状記憶合金で形成されていることを特徴とする請求項6または請求項7に記載の圧力調整機構。
- 前記形状記憶合金が、バイメタルで形成されていることを特徴とする請求項8に記載の圧力調整機構。
- 前記バネ機構が、バネ部と、該バネ部を支持する支持部と、該バネ部に設けられ前記可動部に接触可能な加圧部と、
を有することを特徴とする請求項3、請求項4、請求項6、請求項8、請求項9のいずれか1項に記載の圧力調整機構。 - 前記弾性材料からなる機構が、弾性材料からなる弾性部と、該弾性部を支持する支持部と、該弾性部に設けられ前記可動部に接触可能な加圧部と、
を有することを特徴とする請求項5、請求項7、請求項8、請求項9のいずれか1項に記載の圧力調整機構。 - 前記圧力調整機構が、前記可動部に前記変位を与えるための可動部に隣接する圧力チャンバによって構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の圧力調整機構。
- 前記チャンバが、逆止弁を備えていることを特徴とする請求項12に記載の圧力調整機構。
- 請求項1または請求項2に記載の可動部を備え、
前記可動部に予め定められた変位を与えて設定圧を調整するため、請求項1から13のいずれか1項に記載の圧力調整機構が、前記マイクロバルブに取り付けられていることを特徴とする圧力調整機構付きマイクロバルブ。 - 前記マイクロバルブが、減圧弁であることを特徴とする請求項14に記載の圧力調整機構付きマイクロバルブ。
- 請求項14または請求項15に記載の圧力調整機構付きマイクロバルブを搭載したことを特徴とする燃料電池。
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