JP4971234B2 - 目的ガスの精製方法および精製装置 - Google Patents

目的ガスの精製方法および精製装置 Download PDF

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Description

本発明は、原料ガスから特定成分の目的ガスを濃縮精製するための方法および装置に関する。
原料ガスから特定の目的ガスを精製する方法としては、例えば、膜を利用した方法、あるいは、吸着や吸収による方法が知られている。
膜による方法は、分子の種類が異なると、分子ごとに膜を通過する速度が異なる性質を利用するものであり、例えばエタノール中に含まれる水を取り除く方法等として膜が用いられている。
膜による方法では、ほとんどのガス成分が膜に対して透過係数を持っているため、膜のガス透過特性と含まれるガスの種類を十分に考慮して分離条件を決める必要がある。また、ガスの超高純度化のためには膜を多段カスケードとして多段階で不純物を含むガスを処理して次第に目的ガスの純度を向上させる工夫が必要になることが多く、高純度ガスの取得率を向上させるためには装置が複雑となる場合も多い。
吸着による方法としては、例えば吸着剤としてゼオライトを用い、当該ゼオライトの有する均一な穴径を利用して特定の大きさの分子を特異的に吸着ないし脱着させることにより濃縮する方法が一般に知られている。他の例としては、アルミナ、シリカゲル、または活性炭上に添着した吸着剤成分に特定の分子を吸着させることを利用する方法などがある。例えば、塩化銅を添着した活性炭を用いると一酸化炭素を濃縮することができる(例えば、特許文献1を参照)。吸着による方法では、吸着剤に原料ガスを通気して圧力あるいは温度を変動させることにより、一般的には短い周期で目的ガスの吸脱着を行うことができる。このような吸着による方法は、圧力スイング吸着法(PSA法)や温度スイング吸着法(TSA法)として工業的に広く利用されている。
しかしながら、吸着による方法は、吸着させたいガス成分以外のガスも吸着してくるので、1回の操作で特定のガス成分を高純度にまで高めるのは難しい。したがって高純度ガスを得るためには工夫を要し、操作手順が複雑になる傾向にある。
吸収による方法の場合には、その構成要素である吸収液として、特定のガス成分を特異的に吸収するための吸収剤を溶解した吸収液を用いれば、高純度で目的とするガス成分を精製できることが期待される。例えば二酸化炭素を濃縮するときのアルカノールアミン水溶液を用いる方法(例えば、特許文献2を参照)や、一酸化炭素の精製・回収に用いる銅系化合物を溶解した吸収液を用いる方法(例えば、特許文献3を参照)、オレフィンとアルカンを分離するときの硝酸銀水溶液を用いる方法(例えば、非特許文献1を参照)などが良く知られている。そして、この吸収による方法においては、一回の操作で高純度化が可能となる場合が多い。
しかしながら、吸収による方法では、再生ガス中に吸収液のミストが混ざるため、再生速度を速くすることは難しく、さらに、ミスト成分を取り除くためにデミスターや洗浄塔を設ける必要があるなどの問題点を有する。また、デミスターを通しても微小な液滴が精製ガス中に含まれる場合が多く、結局はさらに洗浄塔でこの微小な液滴を取り除く必要が生じる。したがって、かかるミスト除去のための装置が複雑となる。
特開2005−289761号公報 特開平06−285333号公報 US 4950462号公報 論文Solubility of Propylene in Aqueous Silver Nitrate, I.H. Cho, D.L. Cho, H.K. Yasuda, and T. R. Marrero, J.Chem.Eng.Data 1995,40, 102-106
本発明は、このような事情の下で考え出されたものであり、目的ガスおよび不要ガスを含む原料ガスから吸収液を用いて目的ガスを精製するにあたり、ミスト成分を含まない精製ガスを、簡単な操作条件ないし装置構成で効率よく得ることを目的としている。
本発明の第1の側面によって提供される目的ガスの精製方法は、目的ガスおよび不要ガスを含む原料ガスから、当該目的ガスを優先的に吸収する吸収液を用いて目的ガスを精製するための方法であって、所定の軸心周りに回転可能とされたロータに上記吸収液を受容させ、当該ロータを第1の回転速度で回転させて上記吸収液に遠心力を作用させつつ、上記原料ガスを上記ロータ内に導入し、第1の温度および第1の圧力下において上記吸収液に上記原料ガス中の目的ガスを優先的に吸収させる吸収工程と、上記ロータを第2の回転速度で回転させて上記吸収液に遠心力を作用させつつ、第2の温度および第2の圧力下において上記吸収液からガス成分を再生させて回収する回収工程と、を含むことを特徴としている。ここで、上記吸収工程および回収工程においては、上記第2の圧力が上記第1の圧力よりも低くされること、上記第2の温度が上記第1の温度よりも高くされること、または上記第2の回転速度が上記第1の回転速度よりも低速とされていること、の条件のうち少なくともいずれか1つが満たされていればよい。
本発明者は、ガス成分の選択性に優れた吸収法を利用して行う目的ガスの精製において、ミスト成分を含まない精製ガスを簡便に取得する方法について鋭意検討したところ、遠心力を利用することによりミストの発生が防止されることを見出して、本発明を完成させるに到ったものである。本精製方法においては、吸収液が受容されたロータを回転させた状態でガスの吸収ないし再生を行う。このとき、ロータ内の吸収液には遠心力が作用し、当該吸収液はロータの側壁方向に押し付けられる格好となり、吸収液の液面はロータの回転軸心から半径方向に所定の距離隔てた位置にある。このとき、吸収液には、上記回転軸心からの距離に比例した加速度が掛かる。
吸収工程においては、吸収液の内部にかかる圧力が高められ、高圧状態でガスを接触させる方法と同様に吸収液にガスを吸収させることができる。したがって、同じガス圧力下では、従来の通常の重力場における吸収操作に比べて、より多くのガスを吸収液に吸収させることができる。
そして、回収工程において再生ガスを回収するべく吸収液からガスを再生させると、再生ガスに同伴してミストが発生しても、当該ミストには相当に大きな加速度が掛かり、速やかに吸収液の液面に取り込まれる。このようにして、ミスト成分を含まない精製ガスを取得することができる。
好ましくは、上記吸収工程と上記回収工程との間において、上記吸収工程を終了した上記ロータから当該ロータの空間部分にあるガスを排出させる排出工程をさらに含む。この場合、高純度の目的ガスを用いて、当該ロータの空間部分にあるガスを置換してもよい。好ましくは、高純度の目的ガスとして、上記回収工程において回収されたガスの一部を上記ロータ内に導入する。
本発明の第2の側面によって提供される目的ガスの精製装置は、目的ガスおよび不要ガスを含む原料ガスから、当該目的ガスを優先的に吸収する吸収液を用いて目的ガスを精製するための装置であって、所定の軸心周りに回転可能とされており、上記吸収液を受容するためのロータと、上記ロータに原料ガスを導入するための原料ガス導入手段と、上記ロータから再生ガスを回収するための再生ガス回収手段と、上記ロータを回転駆動させる回転駆動手段と、上記ロータ内の温度を調整する温度調整手段と、上記ロータ内の圧力を調整する圧力調整手段と、を備える。好ましくは、上記ロータには、当該ロータの側壁内面から内向きに延びる邪魔板が設けられている。このような構成の精製装置によると、本発明の第1の側面の精製方法を適切に行うことができる。
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
以下、本発明の好ましい実施の形態として、例えば、プロピレン(目的ガス)およびプロパン(不要ガス)を含む原料ガスからプロピレンガスを濃縮精製する方法を一例として、図面を参照して具体的に説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係るガス精製装置X1の概略構成図である。ガス精製装置X1は、ボンベYから供給される粗プロピレンガスを本発明に係る目的ガスの精製方法によって精製可能に構成されたものであり、ロータ1と、支持体2と、駆動部3と、圧力調整器4と、切換弁5と、ロータリージョイント6と、ガス回収口7と、ガス排出口8と、これらを連結する配管とを備える。
ボンベYは、粗プロピレンガスを原料ガスとしてガス精製装置X1に供給するためのものであり、高圧条件で粗プロピレンガスが封入されている。当該粗プロピレンガスは、主成分としてプロピレンを含み、不純物としてプロパンを含む。ボンベYには、原料ガスを通流させるための配管L1が連結されている。この配管L1は、切換弁5を介して配管L2,L4につながっている。
ロータ1は、略円筒形の密閉容器状とされており、その内部には吸収液が受容されている。この吸収液としては、例えば所定の濃度に調製された硝酸銀水溶液が挙げられる。ロータ1は、例えば図示しない軸受を介して支持体2に支持されており、回転軸心O1周りに回転可能となっている。これらロータ1および支持体2は、いわゆる遠心機を構成するものである。また、支持体2には、ロータ1内の吸収液を所望の温度に維持するための温度調整手段(図示せず)が取り付けられている。当該温度調整手段は、例えば、気体または液体からなる温調媒体を支持体2の周囲に設けられたジャケットに通流させる構成とされている。
ロータ1の上部中央には、配管L3が連結され、その先端はロータ1内に開放されている。この配管L3は、ロータリージョイント6を介して配管L2につながっている。これにより、ロータ1の回転にともなって配管L3が回転しても、配管L2,L3間において、ガスがスムーズに通流する。
駆動部3は、ロータ1を回転駆動させるためのものであり、回転軸31を介してロータ1の下部中央に連結されている。駆動部3は、例えばモータおよび当該モータの制御部を含んで構成されており、ロータ1を所望の回転速度で回転させることができる。
駆動部3によってロータ1を所定以上の回転速度(回転数)で回転させると、ロータ1内の吸収液には遠心力が作用し、当該吸収液がロータ1の側壁1aに押し付けられる。このとき、吸収液の液面は回転軸心O1から半径方向に所定の距離隔てた位置にある(図1において当該液面の位置を破線で表す)。ここで、回転軸心O1から距離rの円周上を速度vで回転する物体の遠心加速度aは、a=v2/rで表される。吸収液にかかる遠心加速度については、回転軸心O1からの距離r(m)、回転数nの場合、G(G=重力加速度、9.8m/s2とする)を用いて表すと、(2πr×n)2/r/9.8=4π2×n2×r/9.8となり、吸収液には、回転軸心O1からの距離に比例し、かつロータ1の回転数の2乗に比例した遠心加速度が作用している。例えば、回転軸心O1からの距離が20cmのところでは、ロータ1を毎秒50回転で回転させた場合、約2000Gもの大きな遠心加速度が掛かる。回転軸心O1からの距離が10cmのところにおいてロータ1を毎秒20回転で回転させた場合でも、約160Gの遠心加速度が掛かる。吸収液に作用する遠心力は、当該遠心加速度に、回転運動する吸収液の質量を乗じて算出される。したがって、遠心場にある吸収液においては、回転軸心O1から離れるほど、また回転数が大きくなるほど液にかかる圧力が高められ、高いガス圧をかけるのと同様の状態が実現されており、その結果、通常の重力場と比較すると、低いガス圧であるにも拘わらず、プロピレンの吸収液(硝酸銀水溶液)に対する溶解度が高くなる。
圧力調整器4は、ボンベYから供給される原料ガスを、所定の圧力に制御してロータ1へ導入するためのものであり、配管L1に設けられている。
切換弁5は、これに連結されている配管L1,L2,L4間のガスの流れを切換えるためのものである。具体的には、配管L1内のガスを配管L2へ通流させる状態と、配管L2内のガスを配管L4へ通流させる状態とに切換えることができるようになっている。
配管L4は、ロータ1からのガスをガス回収口7に導くためのものである。配管L4には、背圧弁10が設けられている。背圧弁10は、ロータ1の内部が所定の圧力となるように開度が制御される。配管L4にはまた、配管L5が分岐状に連結されている。配管L5は、ロータ1からのガスの一部をガス排出口8に導くためのものである。配管L4,L5には、弁11,12が設けられている。
なお、ガス精製装置X1は、圧力調整器4、切換弁5、背圧弁10、および弁11,12の作動を制御するためのコントローラ(図示せず)を有している。
以上の構成を有するガス精製装置X1を使用して本発明の目的ガスの精製方法を実行する際には、まず、ロータ1を所定の回転速度で回転させながら、ボンベYから圧力調整器4、切換弁5、ロータリージョイント6、および配管L1〜L3を介してロータ1内に原料ガスを導入する。ロータ1の回転速度(回転数)は、ロータの直径にもよるが、例えば毎秒10回転〜200回転とされ、より好ましくは毎秒10回転〜100回転とされる。遠心加速度としては、例えば、直径40cmのロータでは、80〜32220Gとなる。
原料ガスは、上述のように主成分としてプロピレンを含み且つ不純物としてプロパンを含むが、ボンベYから供給される原料ガスのプロピレン濃度およびプロパン濃度は、それぞれ、モル比にして例えば、95〜99.8%、0.2〜5.0%である。
ロータ1内の吸収液は、ロータ1の回転によって側壁1aに押しつけられた格好となり、吸収液の液面は、回転軸心O1から半径方向に所定の距離隔てた位置にある。ロータ1内においては、配管L3を通じて原料ガスが導入されると、当該原料ガスは、吸収液と接触することにより、順次吸収液に吸収される。吸収液(硝酸銀水溶液)に対するプロピレンの溶解度がプロパンの溶解度に比べて相当に大きいので、原料ガス中のプロピレンが優先的に吸収液に吸収される。
ここで、ロータ1内の吸収液(硝酸銀水溶液)については、濃度が高いほうが単位体積・単位時間あたりのプロピレンの吸収量が多くなるので好ましい。実用上の観点から、硝酸銀水溶液の濃度は、例えば1〜8mol/dm3の範囲とされ、より好ましくは3〜5mol/dm3とされる。吸収液(硝酸銀水溶液)の温度については、低温であるほうがガス(プロピレン)の吸収量が多くなるので有利である。吸収液の温度は、例えば0〜60℃の範囲とされ、より好ましくは0〜40℃とされる。また、プロピレンの吸収によって発熱し、吸収液の温度が上昇する傾向にあるが、支持体2に取付けられた上記温度調整手段により、吸収液を所望の温度に維持することができる。
ロータ1の内部ガス圧力については、一定範囲では高圧であるほうがプロピレンの吸収量が多くなるので好ましい。実用上の観点から、吸収工程におけるロータ1の内部ガス圧力は、例えば0.1〜0.8MPa(ゲージ圧)とされる。
ここで、吸収液には、回転軸心O1からの距離に比例した遠心加速度が作用している。例えば、重力加速度を1Gで表すと、ロータ1を毎秒20回転で回転させた場合、回転軸心O1からの距離が10cmのところでは約160Gの遠心加速度が掛かり、ロータ1を毎秒50回転で回転させた場合、回転軸心O1からの距離が20cmのところでは約2000Gもの大きな遠心加速度が掛かる。
このように、吸収液に遠心力を作用させることにより、液面に接するガス圧が低い場合においても、吸収液の内部にかかる圧力が高められている。そして、回転軸心O1から遠ざかるほど吸収液の内部にかかる圧力がより高められ、プロピレンガスの溶解度も大きくなり、吸収液単位体積あたりのプロピレンの吸収量も多くなる。
本実施形態のように、硝酸銀水溶液にプロピレンを溶かす場合には、硝酸銀水溶液の濃度やロータ1の内部ガス圧力、ロータ1の回転速度などにも左右されるが、数分程度で飽和状態に達する。このとき、ロータ1の空間部分にある吸収液に吸収されていないガス(非吸収ガス)については、原料ガスに比べて、プロピレン濃度が低くなる一方、プロパン濃度が高くなっている。
このようにして、ロータ1においては、遠心力の作用した吸収液に原料ガスが接触することにより、当該原料ガス中のプロピレンが吸収液に効率よく吸収される。即ち、ロータ1では、本発明でいう吸収工程が実行される。
次いで、吸収液からプロピレンを再生させて回収する。このとき、切換弁5を、配管L2,L4が通流する状態に切換えておく。ここで、プロピレンの回収に先立ち、ロータ1の空間部分にあるガスを排出する。具体的には、弁11を閉じるとともに弁12を開けて、ロータ1から導出される初期のガス(主にロータ1の空間部分にある非吸収ガス)を、配管L2〜L5、およびガス排出口8を介して系外に排出する(排出工程)。非吸収ガスは原料ガスよりもプロパン濃度が高いので、これを回収せずに排出することは、後述する精製ガスのプロピレン純度を高める上で好ましい。非吸収ガスの排出が終了すると、弁12を閉じ、弁11を開ける。
プロピレンの再生は、吸収液に対するプロピレンの溶解度を低下させることにより行う。プロピレンの溶解度を低下させる方法としては、例えばロータ1内を減圧することが挙げられる。ロータ1の回転数を一定に保ったままロータ1内を減圧すると、吸収液からガス成分が抜け出してくる。液深の深いところ(換言すると側壁1aに近い箇所、即ち回転軸心O1から離れた箇所)では、十分な圧力がかかった状態であるので、ガス発生は主に液面近傍において起こる。この方法では、圧力と溶解度の関係により、再生されてくるガス量が決定する。回収工程におけるロータ1の内部ガス圧力については、−0.09〜0.3MPa(ゲージ圧)が好ましく、0〜0.3MPa(ゲージ圧)がより好ましい。
このとき、吸収液の液面からの再生ガスに同伴してミストが発生しても、当該ミストには大きな加速度が掛かって液面に叩きつけられることになり、速やかに吸収液に取り込まれる。したがって、かかる方法によれば、ミストの発生を効果的に抑制することができる。このようにして、ミスト成分を実質的に含まない再生ガス(高純度プロピレンガス)が得られる。再生ガス中のミスト含有量は、例えば再生ガス中の銀含有量(銀イオン濃度)を測定することにより、確認することができる。例えばロータ1の回転数が毎秒10回転以上であれば、再生ガス中の銀イオン濃度は1ppm以下であり、ミスト成分が有意に除去されている。
プロピレンの溶解度を低下させる他の方法としては、例えばロータ1の回転速度を低下させる(ロータ1の回転数を下げる)ことが挙げられる。ロータ1の回転速度を減速すると、吸収液にかかっている圧力は全体的に減少するので、吸収液のどの部分においてもガスの溶解度が低下してくる。この方法では、圧力と溶解度の関係により、再生されてくるガス量が決定する。また、再生ガスに同伴してミストが発生しても、上述の理由により当該ミストは速やかに吸収液に取り込まれる。このようにして、ミスト成分を実質的に含まない再生ガス(高純度プロピレンガス)が得られる。
プロピレンの溶解度を低下させるさらに他の手法としては、吸収液の温度を上昇させることが挙げられる。ロータ1の回転速度を変えることなく吸収液の温度のみを上昇させると、吸収液のどの部分においてもガスの溶解度が低下してくる。この方法では、温度と溶解度の関係により、再生されてくるガス量が決定する。吸収液の温度は、例えば10〜70℃の範囲とされ、より好ましくは20〜70℃とされる。また、再生ガスに同伴してミストが発生しても、上述の理由により当該ミストは速やかに吸収液に取り込まれる。このようにして、ミスト成分を実質的に含まない再生ガス(高純度プロピレンガス)が得られる。なお、以上の3種類の再生方法(ロータ1内減圧、吸収液の温度上昇、およびロータ1の回転速度低下)については、これらのうち2種以上を組み合わせて実行することも可能である。
このようにして、ロータ1においては、吸収液(硝酸銀水溶液)に対する溶解ガス(プロピレン)の溶解度を低下させることにより、吸収液からプロピレンが再生される。そして、当該再生ガスは、配管L2〜L4、およびガス回収口7を介して精製ガスとして回収される。即ち、ロータ1では、本発明でいう回収工程が実行される。
本実施形態においては、例えば上述の吸収工程、排出工程、回収工程からなるサイクルを繰り返し行う。この場合、再生操作(回収工程)が終了した吸収液に再び原料ガスを吸収させ、吸収液からガスを再生させると、前回の再生の終了時点で純度の高いプロピレンガスが吸収液中に溶け込んだ状態のまま残っているので、新たに吸収されるガスとほぼ同じ量のガスを再生操作で取り出すことが可能となる。
本実施形態によれば、吸収液に遠心力を作用させながら原料ガスの吸収、ガスの再生ないし回収を行うといった独自の方法を採用することにより、吸収法による比較的に簡単な操作によって、デミスターや洗浄塔などのミスト除去のための専用装置を用いなくても、ミスト成分を実質的に含まない精製ガス(例えば高純度プロピレンガス)を取得することができる。
また、上記のロータ1を複数(例えば2〜4台)組み合わせることも可能である。この場合、複数のロータ1において、吸収工程、排出工程、および回収工程からなるサイクルを、そのタイミングをずらして行うことにより、圧力スイング吸着法(PSA法)や温度スイング吸着法(TSA法)などの吸着剤を用いたガス精製方法と同様に、連続的に精製ガスを取得することが可能となる。
図2は、本発明の第2の実施形態に係るガス精製装置X2の概略構成図である。ガス精製装置X2は、ロータ1の内部に複数の邪魔板1bが設けられている点において、ガス精製装置X1と異なる。本実施形態では、図2および図3に表れているように、例えば8枚の邪魔板1bがロータ1の側壁1aの円周方向において均等に配されており、各邪魔板1bは、半径方向に沿って内向きに延びている。
本実施形態の構成によれば、吸収工程において、ロータ1の回転速度を微小変化させると、吸収液については邪魔板1bで区切られた領域で対流が生じ、液面部分は、当該対流によって液深の深い部分から移動した液分によって更新される。その結果、原料ガスと吸収液との接触効率が向上することになり、邪魔板1bが設けられていない場合と比べて、原料ガスの吸収に要する時間の短縮を図ることができる。
また、回収工程においても、ロータ1の回転速度を微小変化させると、吸収液については邪魔板1bで区切られた領域で対流が生じ、液深の深い部分から液面近傍に液成分が移動することにより、溶解しているガスの再生効率が向上する。このように、邪魔板1bを設けておくと、ロータ1の回転速度を微小変化させることによって、吸収されるガス量と再生されるガス量を増大させることが可能であり、その結果、精製ガスの生成効率を高めることができる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明の範囲は上記した実施形態に限定されるものではない。本発明に係る目的ガス(例えばプロピレンガス)の精製装置、および本発明に係る目的ガス(例えばプロピレンガス)の精製方法の具体的な構成は、発明の思想から逸脱しない範囲で種々に変更が可能である。
上記実施形態では、排出工程において、ロータ1の空間部分にあるガス(非吸着ガス)を配管L5およびガス排出口8を介して排出していたが、これに代えて、当該空間部分のガスをロータ1の下部に接続された配管を介して排出する構成としてもよい。この場合、回収工程において回収された精製ガスの一部を、例えば逆流配管を介してロータ1内に導入し、ロータ1の空間部分にあるガスをロータ1の下部からパージする方法を採用することができる。かかる構成は、精製ガスの回収率を高めるうえで好ましい。
上記実施形態においては、目的ガスがプロピレンである場合を例に挙げて説明したが、目的ガスとしては、これに限定されるものではなく、所定の吸収液に特異的に吸収されるガスであれば適用可能である。例えば、吸収液としてアルカノールアミン水溶液を用いれば、目的ガスとしての二酸化炭素を濃縮・精製することができる。この場合、例えば、発電所の燃焼排ガス中から二酸化炭素を連続的に精製・濃縮する利用態様や、酸素ボンベを利用したアクアラングにおいて、呼吸により発生した二酸化炭素のみを選択的に取り除き、残存している酸素を循環使用する利用態様など、工業的に多くの利用分野を切り開くことが可能となる。さらに二酸化炭素の場合には、水への吸収量が大きいため、吸収液として水のみを用いることも可能である。
次に、本発明の有用性を実施例および比較例により説明するが、本発明は、これらに限定されるものでない。
〔実施例1〕
本実施例においては、上記第1の実施形態に係るガス精製装置X1を使用して、原料ガスからプロピレンを精製した。
本実施例では、ロータ1として、内径40cm、高さ30cm、内容積37.7dm3の円筒容器状のものを用いた。吸収液として3mol/dm3の硝酸銀水溶液(比重1.4)を用い、当該吸収液をロータ1内に15dm3受容させた。原料ガスとしては、プロピレン濃度が99.5%、プロパン濃度が0.5%のものを用いた。ロータ1を毎秒10回転で回転させた状態で、ロータ1内に原料ガスを導入し、吸収液に原料ガス中のプロピレンを吸収させた。吸収操作は、ロータ1の内部ガス圧力が最終的に0.6MPa(ゲージ圧)となった時点で終了した。硝酸銀水溶液に吸収されたプロピレンガスの量は、ボンベYの重量変化より、1.45kgであった。本実施例では、吸収操作に約3分を要した。吸収液の温度は、吸収操作開始前には20℃、吸収操作終了時には31℃であった。
次に、ロータ1の回転数を保ったまま、硝酸銀水溶液に吸収されているプロピレンの一部を再生・回収した。まず、ロータ1の内部ガス圧力が0.5MPa(ゲージ圧)となるまで減圧した。この操作に1分を要し、この間に0.06kgのガスが回収された。当該ガスは、主にロータ1の空間部分にある非吸収ガスであり、当該ガス中には、不純物であるプロパンが比較的高い濃度(10.3%)で含まれていた。
次いで、ロータ1の内部ガス圧力が0.1MPa(ゲージ圧)となるまで減圧したところ、0.13kgの精製ガスが得られた。この精製ガス中のプロパン濃度は0.04%であり、最初に供給した原料ガス(プロパン濃度が0.5%)に比べてプロパン濃度は大きく低下していた。精製ガス中の銀イオン濃度は1ppm以下であった。この一連の再生操作において、吸収液の温度は31℃から27℃へと変化した。再生操作に要した時間は10分であった。なお、得られた精製ガス中には微量の水蒸気が存在するが、上記の精製ガスの量は、水蒸気量を補正した値である。以下の実施例においても精製ガスの量は水蒸気量を補正した値で示している。
〔実施例2〕
本実施例においては、実施例1と同一のガス精製装置X1を使用して、実施例1とは異なる条件で、原料ガスからプロピレンを精製した。吸収操作は、ロータ1を毎秒50回転で回転させた状態で行い、ロータ1の内部ガス圧力が最終的に0.1MPa(ゲージ圧)となった時点で終了した。吸収操作の他の条件は実施例1と同様であった。この操作により、1.85kgのプロピレンガスが吸収液に吸収された。本実施例では、温度調整手段によって支持体2を冷却することにより、吸収液の温度は、吸収操作終了時に27℃となった。
次に、ロータ1の回転数を保ったまま、硝酸銀水溶液に吸収されているプロピレンの一部を再生・回収した。本実施例では、まず、吸収液の温度を31℃まで上昇させると、0.12kgのガス(主に非吸収ガス)が回収された。当該ガス中には、プロパンが比較的高い濃度(6.9%)で含まれていた。
次いで、吸収液の温度を40℃まで上昇させたところ、0.76kgの精製ガスが得られた。この精製ガス中のプロパン濃度は0.04%であり、最初に供給した原料ガス(プロパン濃度が0.5%)に比べてプロパン濃度は大きく低下していた。精製ガス中の銀イオン濃度は1ppm以下であった。この一連の再生操作に要した時間は30分であった。
〔実施例3〕
本実施例においては、実施例1と同一のガス精製装置X1を使用して、実施例1とは異なる条件で、原料ガスからプロピレンを精製した。吸収操作の条件は実施例2と同様であった。本実施例では、吸収操作を終了した後に、ロータ1内にプロピレン濃度が99.99%の高純度プロピレンガスを120Ndm3通流させ、ロータ1の空間部分にある非吸収ガスを外部へとパージした。
次に、ロータ1の回転数を保ったまま、硝酸銀水溶液に吸収されているプロピレンの一部を再生・回収した。本実施例では、まず、吸収液の温度を30℃まで上昇させると、0.10kgのガスが回収された。当該ガス中のプロパン濃度は0.08%であった。
次いで、吸収液の温度を40℃まで上昇させたところ、0.78kgの精製ガスが得られた。この精製ガス中のプロパン濃度は0.03%であり、最初に供給した原料ガス(プロパン濃度が0.5%)に比べてプロパン濃度は大きく低下していた。精製ガス中の銀イオン濃度は1ppm以下であった。この一連の再生操作に要した時間は30分であった。
〔実施例4〕
本実施例においては、上記第2の実施形態に係るガス精製装置X2を使用して、原料ガスからプロピレンを精製した。ガス精製装置X2においては、実施例1と同様のロータ1に対し、半径方向長さが4cmの8枚の邪魔板1bが追加的に設けられている。本実施例では、吸収操作の条件は実施例2と同様であった。この吸収操作により、1.88kgのプロピレンガスが吸収液に吸収された。
次に、ロータ1の内部ガス圧力および吸収液の温度を一定に維持したまま、硝酸銀水溶液に吸収されているプロピレンの一部を再生・回収した。本実施例では、まず、ロータ1の回転数を毎秒50回転から20回転に低下させると、0.12kgのガス(主に非吸収ガス)が回収された。当該ガス中には、プロパンが比較的高い濃度(7.2%)で含まれていた。
次いで、ロータ1の回転数を毎秒10回転まで低下したところ、0.33kgの精製ガスが得られた。この精製ガス中のプロパン濃度は0.05%であり、最初に供給した原料ガス(プロパン濃度が0.5%)に比べてプロパン濃度は大きく低下していた。精製ガス中の銀イオン濃度は1ppm以下であった。この一連の再生操作に要した時間は5分であった。
〔実施例5〕
本実施例においては、実施例4で再生を終えたロータ1の回転数を再び毎秒50回転にまで速め、このロータ1内に原料ガスを再度導入し、吸収液に原料ガス中のプロピレンを吸収させた。吸収操作は、ロータ1の内部ガス圧力が最終的に0.6MPa(ゲージ圧)となった時点で終了した。ボンベYの重量変化より、硝酸銀水溶液に吸収されたプロピレンガスの量は0.46kgであった。この吸収操作に2分を要した。
次に、実施例4と同様にロータ1の回転数を毎秒50回転から20回転まで低下させると、0.13kgのガスが回収された。当該ガス中のプロパン濃度は1.4%であった。次いで、ロータ1の回転数を毎秒10回転まで低下したところ、0.34kgの精製ガスが得られた。この精製ガス中のプロパン濃度は0.02%であり、精製ガス中の銀イオン濃度は1ppm以下であった。この一連の再生操作に要した時間は3分であった。
〔実施例6〕
本実施例においては、実施例1と同一のガス精製装置X1を使用して、原料ガスから二酸化炭素を精製した。吸収液として20%濃度のエタノールアミン水溶液を用い、当該吸収液をロータ1内に15dm3受容させた。原料ガスとしては、二酸化炭素濃度が20%、残りの80%は空気からなるものを用いた。吸収操作は、ロータ1を毎秒50回転で回転させた状態で行い、ロータ1の内部ガス圧力が最終的に0.5MPa(ゲージ圧)となった時点で終了した。次にロータ1の回転数を保ったまま、ロータ1の内部ガス圧力が0.1MPa(ゲージ圧)となるまで減圧することにより、ロータ1の内部空間にある非吸収ガス(主に空気成分)を外部に排出した。さらに上記と同様の操作(昇圧しながら原料ガスの導入による吸収操作、および減圧しながら非吸収ガスの排出操作)を9回繰り返し、二酸化炭素を吸収液に吸収させた。この一連の操作でロータ1に導かれた二酸化炭素は、純分換算で約1.6kgであった。
次いで、ロータ1の回転数を毎秒50回転から10回転まで低下したところ、0.52kgの精製ガスが得られた。この精製ガス中の二酸化炭素濃度は98%であり、最初に供給した原料ガス(二酸化炭素濃度が20%)に比べて、二酸化炭素が効率よく濃縮・精製されていた。
〔実施例7〕
本実施例においては、実施例4と同一のガス精製装置X2を使用して、原料ガスから二酸化炭素を吸収除去した。吸収液として20%濃度のエタノールアミン水溶液を用い、当該吸収液をロータ1内に15dm3受容させた。原料ガスとしては、酸素濃度が96%、二酸化炭素濃度が4%のものを用いた。吸収操作は、ロータ1を毎秒50回転で回転させた状態で行い、ロータ1の内部ガス圧力が最終的に0.5MPa(ゲージ圧)となった時点で終了した。次にロータ1の回転数を保ったまま、ロータ1の内部ガス圧力が0.1MPa(ゲージ圧)となるまで減圧することにより、ロータ1の内部空間にある非吸収ガス(主に酸素)を外部に抜き出した。抜き出したガス中の二酸化炭素濃度は0.2%であった。さらに上記と同様の操作(昇圧しながら原料ガスの導入による吸収操作、および減圧しながら非吸収ガスの排出操作)を9回繰り返した。10回目に抜き出したガス中の二酸化炭素濃度も0.2%であった。次いで、ロータ1の回転数を低下させると、吸収液(エタノールアミン水溶液)から吸収された二酸化炭素がガスとして回収できることが確認できた。
〔実施例8〕
本実施例においては、実施例1と同一のガス精製装置X1を使用して、原料ガスからプロピレンを精製した。吸収液としてイオン性液体である1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムに25%濃度で四フッ化ホウ素銀を溶かし込んだ液を用い、当該吸収液をロータ1内に15dm3受容させた。原料ガスとしては、プロピレン濃度が99.5%、プロパン濃度が0.5%のものを用いた。吸収操作は、ロータ1を毎秒50回転で回転させた状態で行い、ロータ1の内部ガス圧力が最終的に0.6MPa(ゲージ圧)となった時点で終了した。吸収液に吸収されたプロピレンガスの量は、ボンベYの重量変化より、1.38kgであった。吸収液の温度は、吸収操作開始前には22℃、吸収操作終了時には29℃であった。
次に、ロータ1の内部ガス圧力および吸収液の温度を一定に維持したまま、吸収液に吸収されているプロピレンの一部を再生・回収した。本実施例では、まず、ロータ1の回転数を毎秒50回転から20回転に低下させると、0.08kgのガス(主に非吸収ガス)が回収された。当該ガス中には、プロパンが比較的高い濃度(5.6%)で含まれていた。
次いで、ロータ1の回転数を毎秒10回転まで低下したところ、0.27kgの精製ガスが得られた。この精製ガス中のプロパン濃度は0.06%であり、最初に供給した原料ガス(プロパン濃度が0.5%)に比べてプロパン濃度は大きく低下していた。本実施形態ではイオン性液体を溶媒として用いているので、得られた精製ガス中には実質的に水蒸気が含まれていなかった。
〔比較例1〕
本比較例においては、実施例1と同一のガス精製装置X1を使用して、原料ガスからプロピレンを精製した。吸収操作は、ロータ1を停止させた状態で行い、ロータ1の内部ガス圧力が最終的に0.6MPa(ゲージ圧)となった時点で終了した。吸収操作の他の条件は実施例1と同様であった。この操作により、0.93kgのプロピレンガスが吸収液に吸収された。吸収液の温度は、吸収操作開始前には20℃、吸収操作終了時には27℃であった。
次に、ロータ1を停止させたまま、硝酸銀水溶液に吸収されているプロピレンの一部を再生・回収した。まず、ロータ1の内部ガス圧力が0.5MPa(ゲージ圧)となるまで減圧した。この操作に1分を要し、この間に0.04kgのガスが回収された。当該ガスは、主にロータ1の空間部分にある非吸収ガスであり、当該ガス中には、不純物であるプロパンが比較的高い濃度(6.6%)で含まれていた。
次いで、ロータ1の内部ガス圧力が0.1MPa(ゲージ圧)となるまで減圧したところ、0.09kgの精製ガスが得られた。この精製ガス中のプロパン濃度は0.14%であり、最初に供給した原料ガス(プロパン濃度が0.5%)に比べてプロパン濃度は大きく低下していた。精製ガス中の銀イオン濃度は8ppmであった。この一連の再生操作において、吸収液の温度は27℃から25℃へと変化した。再生操作に要した時間は10分であった。
〔比較例2〕
本実施例においては、実施例1と同一のガス精製装置X1を使用して、原料ガスからプロピレンを精製した。吸収操作は、ロータ1を停止させた状態で行い、ロータ1の内部ガス圧力が最終的に0.1MPa(ゲージ圧)となった時点で終了した。吸収操作の他の条件は実施例1と同様であった。この操作により、0.43kgのプロピレンガスが吸収液に吸収された。本比較例では、温度調整手段によって支持体2を冷却することにより、吸収液の温度は、吸収操作終了時に24℃となった。
次に、ロータ1を停止させたまま、硝酸銀水溶液に吸収されているプロピレンの一部を再生・回収した。まず、吸収液の温度を31℃まで上昇させると、0.03kgのガス(主に非吸収ガス)が回収された。当該ガス中には、プロパンが比較的高い濃度(1.4%)で含まれていた。
次いで、吸収液の温度を40℃まで上昇させたところ、0.12kgの精製ガスが得られた。この精製ガス中のプロパン濃度は0.09%であり、最初に供給した原料ガス(プロパン濃度が0.5%)に比べてプロパン濃度は大きく低下していた。精製ガス中の銀イオン濃度は5ppmであった。この一連の再生操作に要した時間は30分であった。
Figure 0004971234
表1に示す実施例1,2および比較例1,2を対比すると理解できるように、比較例1,2では、精製ガス中の銀イオン濃度が高く、再生の際にミスト成分が多量に発生している一方、実施例1,2では、精製ガス中の銀イオン濃度が1ppm以下になっており、吸収液に遠心力を作用させながらガスを再生させると、ミスト成分が有意に除去できる。
本発明の第1の実施形態に係るガス精製装置の概略構成図である。 本発明の第2の実施形態に係るガス精製装置の概略構成図である。 図2のIII−III線に沿う断面図である。
符号の説明
X1,X2 ガス精製装置(目的ガスの精製装置)
Y ボンベ
1 ロータ
1a 側壁
1b 邪魔板
2 支持体
3 駆動部(回転駆動手段)
4 圧力調整器
5 切換弁
6 ロータリージョイント
7 ガス回収口
8 ガス排出口
L1〜L5 配管
O1 回転軸心

Claims (8)

  1. 目的ガスおよび不要ガスを含む原料ガスから、当該目的ガスを優先的に吸収する吸収液を用いて目的ガスを精製するための方法であって、
    所定の軸心周りに回転可能とされた密閉容器状のロータに上記吸収液を受容させ、当該ロータを第1の回転速度で回転させて上記吸収液に遠心力を作用させつつ、上記原料ガスを上記ロータ内に導入し、第1の温度および第1の圧力下において上記吸収液に上記原料ガス中の目的ガスを優先的に吸収させる吸収工程と、
    上記ロータを第2の回転速度で回転させて上記吸収液に遠心力を作用させつつ、第2の温度および第2の圧力下において上記吸収液からガス成分を再生させて回収する回収工程と、を含むことを特徴とする、目的ガスの精製方法。
  2. 上記第2の圧力は、上記第1の圧力よりも低くされる、請求項1に記載の目的ガスの精製方法。
  3. 上記第2の温度は、上記第1の温度よりも高くされる、請求項1または2に記載の目的ガスの精製方法。
  4. 上記第2の回転速度は、上記第1の回転速度よりも低速とされている、請求項1ないし3のいずれかに記載の目的ガスの精製方法。
  5. 上記吸収工程と上記回収工程との間において、上記吸収工程を終了した上記ロータから当該ロータの空間部分にあるガスを排出させる排出工程をさらに含む、請求項1ないし4のいずれかに記載の目的ガスの精製方法。
  6. 上記排出工程においては、上記回収工程において回収されたガスの一部を上記ロータ内に導入する、請求項5に記載の目的ガスの精製方法。
  7. 目的ガスおよび不要ガスを含む原料ガスから、当該目的ガスを優先的に吸収する吸収液を用いて目的ガスを精製するための装置であって、
    所定の軸心周りに回転可能とされており、上記吸収液を受容するための密閉容器状のロータと、
    上記ロータに原料ガスを導入するための原料ガス導入手段と、
    上記ロータから再生ガスを回収するための再生ガス回収手段と、
    上記ロータを回転駆動させて、上記吸収液に遠心力を作用させるための回転駆動手段と、
    上記ロータ内の温度を調整する温度調整手段と、
    上記ロータ内の圧力を調整する圧力調整手段と、を備える、目的ガスの精製装置。
  8. 上記ロータには、当該ロータの側壁内面から内向きに延びる邪魔板が設けられている、請求項7に記載の目的ガスの精製装置。
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