JP4970407B2 - 磁気記憶素子およびこの磁気記憶素子を備えた磁気メモリならびに磁気メモリの駆動方法 - Google Patents

磁気記憶素子およびこの磁気記憶素子を備えた磁気メモリならびに磁気メモリの駆動方法 Download PDF

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Description

本発明は、磁気記憶素子およびこの磁気記憶素子を備えた磁気メモリならびに磁気メモリの駆動方法に関する。
強磁性体を用いた磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM(Magnetic Random Access Memory)、以下、磁気メモリともいう)は不揮発性、高速動作、大容量、低消費電力を備えた不揮発性メモリとして期待されている。この磁気メモリは、2つの強磁性層の間に1層の誘電体層(トンネルバリア層)を挿入したサンドイッチ構造膜を有し、膜面に対して垂直に電流を流し、トンネル電流を利用した「トンネル磁気抵抗効果素子(Tunneling Magneto-Resistance effect:TMR素子)」が磁気記憶素子として各メモリセルに設けられた構造を有している。
しかし、従来のMRAMは、磁気記憶素子上に配した配線からの局所電流磁界によって磁気記憶素子の磁性層(磁気記憶層)の磁化の方向を反転させ磁気記憶を行う方式を用いていたため、微細化にともない配線に流すことのできる電流値が減少し十分な電流磁界を供給することが困難になる。さらに磁気記憶素子に情報を記録するために必要とする電流磁界の大きさは微細化に伴い増加するため126Mbits〜256Mbits世代で配線からの局所電流磁界によって書き込みを行う方式を有するMRAMの原理的な限界が来ると考えられている。
そこで、より少ない電流で磁化反転が可能な書き込み方式として、スピン注入による磁化反転を利用する磁気メモリが注目されている(例えば、特許文献1参照)。スピン注入による磁化反転とは、磁気記憶素子の一方の磁性層(磁化固着層)の中を通過してスピン偏極した電子を、他方の磁性層(磁気記憶層)に注入することにより、他方の磁性層(磁気記憶層)において磁化反転を誘起させるものである。スピン注入による磁化反転方法では情報を記憶するために必要とする電流の大きさは磁気記憶層の膜厚方向に流したときの電流密度で与えられるため、情報を記憶するために必要とする電流の大きさは微細化と共に減少する。
さらに、スピン注入による磁化反転は、素子を微細化しても、磁化反転に必要な電流密度の大きさはほとんど増加しないため、電流磁界を用いた書き込み方式より、高効率な書き込みが可能である利点を有している。
米国特許第6,256,223号明細書
従来、スピン注入型のMRAMでは書き込みと読み出しに同じ方向の電流経路を用いるため、読み出し時に磁気記憶素子の磁気記憶層にスピンが注入される。磁気記憶層に注入されたスピンは磁気記憶層のスピンにトルクを与えるため、磁気記憶層のスピンはエネルギー的に励起された状態になる。エネルギー的に励起されたスピンの熱擾乱耐性は低下するため、読み出し時に磁気記憶層に情報が誤書き込みされ、記憶した情報を長期間保持することが非常に困難であった。
この問題の解決のため、磁気記憶層の記憶保持エネルギーの向上により、熱擾乱耐性を向上させ、読み出し時の誤書き込みを防ぐ手法が挙げられる。しかし、磁気記憶層の記憶保持エネルギーの向上は書き込み電流密度の上昇を引き起こすため、書き込み電流の増加が問題となる。
一方、読み出しと書き込みを行う電流値の比を大きくする方法が上げられる。すなわち読み出し電流を小さく、書き込み電流を大きくすることによって読み出し時の誤書き込みを防ぐ方法である。しかし、読み出し電流はセンスアンプの感度によって下限が決定され、書き込み電流は磁気記憶素子のトンネルバリア層のブレークダウン電圧の大きさによって上限が決定されるため、読み出し電流と書き込み電流の差を広げるには限界がある。
また、読み出し電流の下限と書き込み電流の上限とが決められた状態で読み出し電流と書き込み電流の比を大きくする方法として、読み出し電流値と書き込み電流値のばらつきを低減する方法が考えられるが、スピン注入素子のばらつきは大容量化に伴い増加するため、ばらつきの低減は非常に困難であった。
本発明は、上記事情を考慮してなされたものであって、読み出し時の誤書き込みを防ぐことのできるスピン注入型の磁気記憶素子およびこの磁気記憶素子を備えた磁気メモリならびに磁気メモリの駆動方法を提供することを目的とする。
本発明の第1の態様による磁気メモリの駆動方法は、膜面に略垂直方向の磁化を有し磁化の向きが固着された磁化固着層と、膜面に略垂直方向の磁化を有し磁化の向きが可変の磁気記憶層と、前記磁化固着層と前記磁気記憶層との間に設けられたトンネルバリア層と、を備え、前記磁気記憶層に電流パルスを流してスピン偏極した電子を注入することにより前記磁気記憶層の磁化の向きが反転可能である磁気記憶素子を有するメモリセルを備えた磁気メモリの駆動方法であって、前記磁気記憶層に情報を書き込むための書き込み電流パルスの幅が、前記磁気記憶層から情報を読み出すための読み出し電流パルスの幅より大きく、かつ前記磁気記憶層の磁気異方性磁界Hkは50Oe〜5000Oeであることを特徴とする。
また、本発明の第2の態様による磁気メモリは、膜面に略垂直方向の磁化を有し磁化の向きが固着された磁化固着層と、膜面に略垂直方向の磁化を有し磁化の向きが可変の磁気記憶層と、前記磁化固着層と前記磁気記憶層との間に設けられたトンネルバリア層と、を備え、前記磁気記憶層に電流パルスを流すことにより前記磁気記憶層の磁化の向きが反転可能である磁気記憶素子を有するメモリセルと、前記磁気記憶層から情報を読み出すための読み出し電流パルスを発生する読み出し回路と、前記読み出し電流パルスのパルス幅よりも大きなパルス幅を有する、前記磁気記憶層に情報を書き込むための書き込み電流パルスを発生する書き込み回路と、前記磁気記憶素子の一方の端子が接続され書き込み時は前記書き込み電流パルスが流れ、読み出し時は前記読み出し電流が流れる第1配線と、前記磁気記憶素子の他方の端子が接続され書き込み時は前記書き込み電流パルスが流れ、読み出し時に前記読み出し電流が流れる第2配線と、を備え、前記磁気記憶層の磁気異方性磁界Hkは50Oe〜5000Oeであることを特徴とする。
また、本発明の第3の態様による磁気記憶素子は、磁化の方向が一定の方向に固着された第1の磁化を有する第1の磁化固着層と、前記第1の磁化の方向に対して実質的に平行に向き、スピン偏極した電子を注入することにより反転可能な第2の磁化を有する磁気記憶層と、前記第1の磁化固着層と前記磁気記憶層との間に設けられた非磁性層と、前記磁気記憶層に対して前記非磁性層と反対側に設けられ、前記第1の磁化と実質的に反対の方向に固着された第3の磁化を有する第2の磁化固着層と、前記第2の磁化固着層と前記磁気記憶層との間に設けられたスピンフィルタ層と、を備えたことを特徴とする。
また、本発明の第4の態様による磁気メモリは、上記の磁気記憶素子を有するメモリセルと、前記磁気記憶層から情報を読み出すための読み出し電流パルスを発生する読み出し回路と、前記磁気記憶層に情報を書き込むための書き込み電流パルスを発生する書き込み回路と、前記磁気記憶素子の一方の端子が接続され書き込み時は前記書き込み電流パルスが流れ、読み出し時は前記読み出し電流が流れる第1配線と、前記磁気記憶素子の他方の端子が接続され書き込み時は前記書き込み電流パルスが流れ、読み出し時に前記読み出し電流が流れる第2配線と、を備えていることを特徴とする。
上述の本発明によれば、読み出し時に誤書き込みを防止することができる。
本発明の実施形態を、以下に図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態による磁気メモリの駆動方法を説明する。この実施形態の駆動方法は、スピン注入型のMRAM(Magnetic Random Access Memory)に用いられる。このMRAMは、複数のメモリセルを有し、各メモリセルは、TMR素子を磁気記憶素子として備えている。TMR素子の一般的な構成を図1に示す。このTMR素子1は、磁化の向きが可変の磁性層(磁化自由層(磁気記憶層))2と、磁化の向きが固着された磁性層(磁化固着層)6と、これらの磁性層間に設けられたトンネルバリア層4とを備えており、2つの磁性層2、6の磁化の向きが平行であるか反平行であるかによって“1”情報または“0”情報が割り当てられる。このTMR素子1の2つの磁性層2、6の磁化の向きの2つの状態を図2(a)、2(b)に示す。図2(a)に示すように、2つの磁性層2、6の磁化の向き(図面上で矢印の向き)が平行の場合(同じ向きの場合)は、2つの磁性層2、6に挟まれたトンネルバリア層4のトンネル抵抗は最も低くなる(すなわち、トンネル電流が最も大きくなる)。また、図2(b)に示すように、2つの磁性層2、6の磁化の向きが反平行である場合(互いに反対の場合)は、2つの磁性層2、6に挟まれたトンネルバリア層4のトンネル抵抗は最も高くなる(すなわち、トンネル電流が最も小さくなる)。ただし、図2(a)、2(b)においては、磁化の向きは膜面に垂直となっているが、膜面に平行であっても良い。
このように、MRAMでは、TMR素子の抵抗値が異なる2つの状態を、“1”情報の記憶状態(“1”状態)および“0”情報の記憶状態(“0”状態)に対応させている。
次に、TMR素子1に書き込みを行う際の電流と読み出しを行う際の電流を図3に示す。TMR素子1の磁性層2、6の磁化の向きを反平行な状態から平行な状態に変えるときの書き込み電流をI、平行な状態から反平行な状態に変えるときの書き込み電流をIとすると、書き込み電流Iは磁性層(磁気記憶層)2からトンネルバリア層4を介して磁性層(磁化固着層)6に流れ、書き込み電流Iは磁性層(磁化固着層)6からトンネルバリア層4を介して磁性層(磁気記憶層)2に流れる。また、TMR素子1に記憶された情報を読み出す電流をIとすると、読み出し電流Iは磁性層(磁化固着層)6からトンネルバリア層4を介して磁性層(磁気記憶層)2に流れる。このように、MRAMにおいては、書き込み電流Iと、読み出し電流IはTMR素子1に対して同じ方向に電流が流れる。読み出し電流Iは磁気記憶層2に対してスピントルクを与えるため、磁気記憶層2は読み出し電流Iによって擾乱を受ける。
例えば1GbitsのMRAMにおける、読み出し電流I、書き込み電流I、Iの分布を図4に示す。図4において、横軸は電流を示し、縦軸は、読み出しの場合はその電流によって読み出される確率を、書き込みの場合はその電流によって書き込まれる確率を示す。図4の読み出し電流Iの左側の分布はTMR素子の磁気記憶層と磁化固着層の磁化の向きが反平行な場合(高抵抗の場合)を示し、読み出し電流Iの右側の分布はTMR素子の磁気記憶層と磁化固着層の磁化の向きが平行な場合(低抵抗な場合)を示している。なお、図4においては、電流I、Iの流れる方向を正に、電流Iの流れる方向を負としている。
図4に示すように、書き込み電流Iと読み出し電流Iは、ばらついて分布し、読み出し電流値Iの最大値I3maxと、書き込み電流Iの最小値I2minとの比I3max/I2minが1に近づくと、読み出し時に磁気記憶層2に誤書き込みが生じる。
誤書き込みが生じる場合の読み出し電流と書き込み電流の比I3max/I2minは以下の条件によって決められる。以降の議論においてI3maxのことをIread1と、I2minのことをIwrite1と呼ぶが同義である。
1GbitsのMRAMにおいて1GHz駆動で10年間動作させた場合の熱揺らぎによる記憶情報の消失するビット数nは以下の式で示される。
n=N・f・τ・e−β ・・・ (1)
上記式においてn≦1となるとき、10年間の動作において情報が消失するビット数を1bits以下にすることができる。(1)式において、NはMRAMの規模(bits)、fは動作周波数(Hz)、τは緩和時間(sec)を示し、それぞれに以下の条件を与えることによってβの値を求めることができる。例えばN=1Gbits、f=1GHz、τ=10年(3.15×10sec)のときn≦1の条件を満たすβの値としてβ≧61が求まる。
一方、βの値は熱擾乱の関係より、
β=ΔE/kT=αtherm(1−Iread1/Iwrite1) ・・・ (2)
と表される。ここで、Tは動作温度(K)、Kはボルツマン定数(1.38×1022erg/K)、ΔEはエネルギーバリアの大きさを示し、ΔE以上のエネルギーが外部から加えられるとスピンは磁化の情報を保てなくなる。Iread1は読み出しを行うときの電流値を示し、Iwrite1は書き込み電流値を示している。先の見積もりより『1GbitsのMRAMにおいて1GHz駆動で10年間動作させた場合の熱揺らぎによる記憶情報の消失の確率を1ビット以下にする』条件を満たすβの最小値は61として与えられるため、Iread1とIwrite1が決まればαthermの値も決定する。
また、αthermは以下の式で示される。
αtherm=KV/KT ・・・ (3)
ここで、Kは磁気異方性定数(erg/cm)、Vは磁気記憶層の体積(cm)である。αthermは磁気記憶層の磁気的エネルギーKVと熱エネルギーKTとの比を表している。
また、磁気記憶層の面積A(cm)はMRAMの規模と集積度によって一意に決定されるため磁気記憶層の膜厚をt(cm)とおくと、磁気記憶層の体積は磁気記憶層の面積Aと磁気記憶層の膜厚tとの積A×tと与えられる。例えば、動作保障する温度を85℃と決めると、式(2)と式(3)より、式(4)
At(1−Iread1/Iwrite1)/(K×358)
=61 ・・・(4)
の関係が求まり、Aは設計環境により一意に決まるため、t、KおよびIread1/Iwrite1の値によって『1GbitsのMRAMにおいて1GHz駆動で10年間動作させた場合の熱揺らぎによる記憶情報の消失の確率を1ビット以下にする』の条件が決められる。
t、Kの増加は書き込み電流の増加を引き起こす。このため(1−Iread1/Iwrite1)をなるべく大きくしなければならない。換言するとIread1をIwrite1よりできるだけ小さくしなければばらない。しかし、前述したように、読み出し電流および書き込み電流はそれぞれ、センスアンプの感度およびTMR素子のトンネルバリア層のブレークダウン電圧の大きさによって下限および上限が決定されるため、Iread1とIwrite1の差を広げるには限界がある。
また、読み出し電流の下限と、書き込み電流の上限とが決められた状態でIread1とIwrite1の比を大きくする方法として、読み出し電流値と書き込み電流値のばらつきを低減する方法が考えられるが、スピン注入素子のばらつきは大容量化に伴い増加するため、ばらつき低減は非常に困難である。
一方、書き込みもしくは読み出し電流の通電時間(τ)と、スピン注入による磁化反転が生じる電流値Iの関係には磁化反転物理の起源の違いにより2つの領域に分別される。第1の起源はτ>τの関係を満たす場合で、この場合スピンは熱擾乱の影響を受け反転する。またτ(本発明では初期反転に関連した切り替え時間:Initial reversal-related switching timeと呼ぶ)は書き込みもしくは読み出し電流によってスピン注入トルクを与えられたスピンが歳差運動を行いながら反転するために必要とする時間を示している(K. Yagami, A. A. Tulapurkar, A. Fukushima, and Y. Suzuki, IEEE TRANSACTIONS ON MAGNETICS,VOL. 41, NO. 10, 2615 (2005)参照)。図5にτ>τの関係を満たす場合の書き込みもしくは読み出し電流の通電時間と、スピン注入による磁化反転が生じる電流値Iの関係を示す。図5の横軸は、電流を通電する時間τを示し、縦軸はスピン注入による磁化反転が生じる電流値Iを示す。τ>τの関係を満たす場合、スピン注入磁化反転は熱擾乱の影響により下記の式で示される。
=Ic0{1−(kT/ΔE)ln(τ/τ)} ・・・ (5)
c0はτの時間でスピン注入磁化反転が生じる電流値を示している。式(5)および図5よりスピン注入により磁化反転が生じる電流値Iは電流を通電する時間τの対数に比例して減少することがわかる。読み出し電流の通電時間τreadを、書き込み電流の通電時間τwriteより短くすることにより、読み出し時にスピン注入による磁化反転によって誤書き込みが生じる電流値Iread2が、書き込みを行うために必要な電流値Iwrite2より大きくなる(図5)。先に述べた読み出し時の誤書き込み防止条件、Iread1/Iwrite1を1より小さくするためにはIwrite1をIread1より大きな値に設計しなければならない。これはIwrite1とIread1の大きさに十分な差をつけないと、Iread1に熱擾乱エネルギーが付加されることによってIwrite1に相当するエネルギーが読み出し時に生じ、読み出し時に誤書き込みが生じることを意味している。そこで書き込み時より早い時間で読み出しを行うことによって読み出し時に誤書き込みが生じる電流値をIread2で与えることができたとすると、読み出し電流に熱擾乱が加わり読み出し時にIwrite1に相当するエネルギーが付加されても、スピン注入磁化反転に必要な電流はIread2以上であるため誤書き込みは生じない。
つまり、磁気記憶層に書き込みを行うための書き込み電流の通電時間より、読み出しを行うための読み出し電流の通電時間を短く設定すれば、見かけ上のIread1/Iwrite1の値が小さくなり、読み出し時に生じる誤書き込みを防ぐことができる。これは、本発明者達によって初め知見されたものである。
また、比Iread1/Iwrite1の値が小さくなると(1−Iread1/Iwrite1)の値が大きくなるため、t、Kの値を小さくできる。その結果、消費電力の値も低減できる。
一方、書き込みもしくは読み出し電流の通電時間(τ)とτがτ<τの関係を満たす場合(第2の起源)、磁気回転の効果によりスピン注入による磁化反転に必要となる電流値が急激に上昇する。τ=τの時、スピンは書き込みもしくは読み出し電流によってトルクを受け歳差運動を行いながら一定の軌道を通り反転する。歳差運動の軌道は材料パラメータである減衰定数αdamp、ジャイロ磁気因子γおよび有効磁場Heffの値で決められる。
τをτ以下にするためには歳差運動の軌道を変えスピンの制動を大きくする必要があるため、大きなスピン注入磁化反転電流が必要となる。この現象のことを本文では磁化回転の効果と呼んでいる。これを、図6を参照して説明する。図6のグラフgにパルス幅τ付近での電流の通電時間τと、スピン注入による磁化反転に必要な電流値Iとの関係を示す。通電時間τが初期反転に関連した切換時間τ(Initial reversal-related switching time)より小さくなると磁気回転の効果により磁化反転に必要な電流値Iが急激に上昇する。図6に示す通電時間τ(>τ)のパルス幅で書き込みを行い、通電時間τ(<τ)の時間で読み出しを行えば、書き込み電流値がIc1になり、読み出し時に誤書き込みが生じる電流値がIc2になる。図6のケースにおける(1−Iread1/Iwrite1)を考えると、Iread1を書き込み電流値より小さい電流値もしくは書き込み電流値と同等の値Ic1とすると、読み出し時に誤書き込みが生じる電流値Iwrite1はIc2で与えられるため(1−Iread1/Iwrite1)は(1−Ic1/Ic2)となる。このためIread1/Iwrite1は飛躍的に小さくなり、逆に(1−Iread1/Iwrite1)は理想的な1に近い値となる。その結果、読み出し時の誤書き込みを防いだ状態で、『1GbitsのMRAMにおいて1GHz駆動で10年間動作させた場合の熱揺らぎによる記憶情報の消失の確率を1ビット以下にする』を満たす条件の下で、t、Kを低減でき、その結果αthermを低減できることを、本発明者達は見出した。
図7にIread/Iwriteとαthermの関係を示す。スピン注入による磁化反転に必要とされる書き込み電流Iwriteの大きさはαthermに正比例して大きくなるため、スピン注入による磁化反転電流の低減にはαthermの低減が必要である。Iread/Iwriteが0.8のときαが305必要であるものが、磁気回転の効果を利用して読み出しを行えば、Iread/Iwriteが飛躍的に低下して0.4以下にすることも可能となる。Iread/Iwriteが0.4のときの必要なαは102であるため、スピン注入磁化反転に必要とされる電流値は1/3程度に低減可能になる。
τの大きさを1nsec以下にする場合、τは磁気記憶層の磁気異方性磁界とスピンの向きによって決められるため、実際の設計では磁気異方性磁界の値は50Oe以上にする必要がある。逆に異方性磁界の大きさが大きくなりすぎるとτが極めて小さくなるため、読み出し時に磁気回転の効果を利用するため読み出し時間をτ以下に設計するには読み出し時間が極めて短くなる。その結果、読み出し電流値を十分に確保することが困難になる。それゆえ異方性磁界の大きさは50Oe〜5000Oeが最適である。
以上説明したように、本実施形態によれば、図9に示すように、磁気記憶層から情報(データ)を読み出すための読み出しパルスの幅(通電時間)を、書き込むための書き込みパルスの幅より小さくすることにより、読み出し時の誤書き込みを防ぐことができる。図9においては、パルスの幅を比較するため、読み出しパルスと書き込みパルスの立ち上がりを揃えて表示している。なお、読み出しパルスの幅とは1回のパルスで生じる読み出し時間の長さを示し、書き込みパルスの幅とは1回のパルスで生じる書き込み時間の長さを示す。
読み出しパルスの幅が短くなると、読み出し電流値が小さくなるため“1”と“0”の情報を取得するために必要な出力が十分に得られなくなる。このため、図9に示すように、パルス幅の短いパルスの読み出し電流を複数回に分け、積算した読み出し電流値によって情報を取得すれば、十分な出力を得ることができる。
また、図10に示すように、パルス幅の短いパルスの読み出し電流の大きさを、書き込み電流の大きさに比べて大きくして、十分な出力を得てもよい。なお、この場合、読み出し電流は、読み出し電流のパルス幅τreadによって決定される図5に示す電流値Iread2もしくは図6に示す電流値Ic2よりも小さくする必要がある、さもないと、読み出し時に誤書き込みが生じる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態による磁気メモリを図11乃至図14を参照して説明する。本実施形態の磁気メモリは、スピン注入型のMRAMであって、図11に示すように、複数のメモリセル40ij(i,j=1,2)と、各メモリセル40ijに接続されたワード線WLと、各メモリセル40ijに接続された2本のビット線BLj1、BLj2と、ワード線WLを選択するロウ・デコーダ60と、2本のビット線BLj1、BLj2を選択するカラム・デコーダ/書き込み回路/読み出し回路70とを備えている。
各メモリセル40ij(i,j=1,2)は、磁気記憶素子10と、選択トランジスタ50とを備えている。メモリセル40ijの磁気記憶素子10の一端はビット線BLj2に接続され、他端は選択トランジスタ50の一端(ソースおよびドレインの一方)に接続されている。メモリセル40ijの選択トランジスタ50の他端はビット線BLj1に接続され、ゲートがワード線WLに接続されている。
本実施形態の磁気メモリに用いられる磁気記憶素子10は、図12に示すように磁化固着層12と、この磁化固着層12上に設けられたトンネルバリア層14と、このトンネルバリア層14上に設けられた磁気記憶層16と、磁気記憶層16上に設けられたスピンフィルタ層18と、スピンフィルタ層18上に設けられた磁化固着層22と、磁化固着層22上に設けられた非磁性層24と、非磁性層24上に設けられた磁化固着層26とを備えている。なお、磁気記憶層16、磁化固着層12,22,26は結晶磁気異方性エネルギー密度の高い材料からなることが好ましい。
本実施形態に係る磁気記憶素子10は、スピン(磁化)の向きが膜面に実質的に垂直であり、スピンの向きを図中において矢印で示す。磁化固着層12、26のスピンの向きは下向き、磁化固着層22のスピンの向きが上向きとなっている。ただし、磁化固着層12、26、22のスピンの方向は180°反転した方向を向いていても良い。
本実施形態に係る磁気記憶素子10は、スピン(磁化)の向きが膜面に実質的に平行であっても良い。平行の場合のスピンの向きは磁化固着層12、26が同じ方向を向き、磁化固着層22のスピンの向きが磁化固着層12、26に対して逆向きを向いていれば良い。
スピンフィルタ層18は、結晶磁気異方性を有するナノサイズの磁性体20を非磁性層19中に分散させたいわゆるグラニュラー構造となっている。この場合、磁性体20の結晶磁気異方性の方向は粒子間で分散した状態にあり、磁気記憶素子の動作温度(例えば、−20℃以上80℃以下)かつ無磁場(外部磁場がない状態)では、スピンフィルタ層18中の磁性体20の磁化はおおよそゼロとなっている。すなわち、磁性体20は超常磁性である。また、スピンフィルタ層18の磁性体20は、後述するように、磁気異方性エネルギー密度が磁気記憶層16の磁気異方性エネルギー密度より小さいことが望ましい。
また、スピンフィルタ層18は図13に示すように、磁気異方性を有する磁性層20aを2つの非磁性層19a、19bで挟んだ構造を有していてもよい。この場合、磁性層20aは、磁気記憶素子の動作温度(例えば、−20℃以上80℃以下)かつ無磁場(外部磁場がない状態)では、磁化はおおよそゼロとなっている。すなわち、磁性層20aは超常磁性である。また、磁性層20aは、磁気異方性エネルギー密度が磁気記憶層16の磁気異方性エネルギー密度より小さく、磁気記憶層16の膜厚よりも薄いことが望ましい。
次に、本実施形態による磁気メモリの動作を説明する。
メモリセルに情報を書き込む場合は、書き込みを行うべきメモリセル40に接続されているワード線をロウ・デコーダ60によって選択し、上記メモリセル40の選択トランジスタ50をオンにする。その後、上記メモリセル40に接続されている2本のビット線をカラム・デコーダ/書き込み回路/読み出し回路70のカラム・デコーダによって選択し、カラム・デコーダ/書き込み回路/読み出し回路70の書き込み回路によって書き込み電流を選択されたビット線を介して上記メモリセル40の磁気記憶素子10に電流を流し、書き込みを行う。
また、読み出しの場合は、読み出しを行うべきメモリセル40に接続されているワード線をロウ・デコーダ60によって選択し、上記メモリセル40の選択トランジスタ50をオンにする。その後、上記メモリセル40に接続されている2本のビット線をカラム・デコーダ/書き込み回路/読み出し回路70のカラム・デコーダによって選択し、カラム・デコーダ/書き込み回路/読み出し回路70の読み出し回路によって、読み出し電流を選択されたビット線を介して上記メモリセル40の磁気記憶素子10に電流を流し、選択されたビット線間の電位をカラム・デコーダ/書き込み回路/読み出し回路70の読み出し回路によって検知することにより、読み出しを行う。
次に、本実施形態に係る磁気記憶素子10の書き込み方法を説明する。
図12において磁気記憶層16の磁化の向きが下方向を向いている場合に、磁化を上方向に反転させるためには磁化固着層12から磁化固着層26の方向に向かって電流を流す。このとき、磁化固着層22から上向きのスピンがスピンフィルタ層18の磁性体20に注入される。
図14のグラフgにスピンフィルタ層18の磁性体20の磁化を一方向に揃えるための電流密度Jと電流パルスの幅との関係を示し、図14のグラフgに磁気記憶層16の書き込み電流密度Jと電流パルスの幅との関係を示す。グラフgは、スピンフィルタ層18の磁性体20のαが2で、パルス幅が初期反転に関連した切換時間τとなるときの磁化が反転する電流密度Jc0が5.0×10A/cmの場合を示し、グラフgは、磁気記憶層16のαが100で、パルス幅が初期反転に関連した切換時間τとなるときの磁化が反転する電流密度Jc0が1.0×10A/cmの場合を示している。
磁化固着層12から磁化固着層26の方向に向かって流れた電流の電流密度が1×10A/cm程度の場合、電流パルスの幅が5nsec以上になるとスピンフィルタ層18の磁性体20のスピンの向きが磁化固着層22から与えられたスピントルクにより上向きに向く。さらにスピンフィルタ層18の磁性体20から磁気記憶層16に上向きのスピントルクが与えられ、磁気記憶層16のスピンの向きは下向きから上向きに反転する。
逆に、磁気記憶層16のスピンの向きが上方向を向いている場合、上向きに向かっている磁化を下方向に反転させるために、磁化固着層26から磁化固着層12の方向に向かって電流を流す。磁化固着層26から磁化固着層12の方向に向かって流した電流の電流密度が1×10A/cm程度の場合、磁化固着層12から磁気記憶層16に向かって下向きのスピンが注入され磁気記憶層16の磁化は下向きを向く。
読み出しは磁化固着層12から磁化固着層26の方向に向かって電流を流すことによって行う。例えば、読み出し時間が2nsec〜3nsecで、磁気記憶層16の磁化の向きが下向きの場合において読み出し電流の電流密度が1×10A/cm程度の場合ではスピンフィルタ層18の磁性体20のスピンの向きがランダムな方向を向いたままとなるため、読み出し時に磁気記憶層16へ与えられるスピントルクが低減し、読み出し時における誤書き込みを防ぐことができる。
このように、本実施形態においては、読み出しの場合に、スピンフィルタ層18の磁性体20(または磁性層20a)のスピンの向きがランダムな方向を向いたままとなる必要がある。このため、スピンフィルタ層18の磁性体20(または磁性層20a)は、外部磁場がないときは、磁化がほぼゼロであることが望ましい。
また、本実施形態においては、スピンフィルタ層18の磁性体20(または磁性層20a)のαthermは、磁気記憶層16のαthermよりも小さいことが望ましい。このことから、本実施形態においては、スピンフィルタ層18の磁性体20は磁気記憶層16よりも熱擾乱の影響を受けやすい。スピンフィルタ層18の磁性体20のαtherm1の値と磁気記憶層16のαtherm2の値はそれぞれαtherm1<25、αtherm2>60が望ましい。
また、本実施形態においても、読み出し電流パルスのパルス幅が初期反転に関連した切換時間τよりも狭く、書き込み電流パルスのパルス幅が初期反転に関連した切換時間τ以上であることが好ましい。
本実施形態の磁気記憶素子10の磁気記憶層16、および磁化固着層12,22,26に用いられる磁性材料は、垂直磁気異方性を有する磁性材料であることが望ましい。垂直磁化を実現する磁気記録層16および磁化固着層12,22,26の磁性材料としては、例えば5×10erg/cc以上の高い磁気異方性エネルギー密度をもつ材料が望ましく、具体例を以下にあげる。
(1)不規則合金の場合
Coを主成分とし、Cr、Ta、Nb、V、W、Hf、Ti、Zr、Pt、Pd、Fe、Niのうち1つ以上の元素を含む合金であってもよい。例えば、CoCr合金、CoPt合金、CoCrTa合金、CoCrPt合金、CoCrPtTa合金、CoCrNb合金等があげられる。これらの合金は、非磁性元素の割合を増加させて磁気異方性エネルギー密度、飽和磁化を調整することができる。
(2)規則合金の場合
Fe、Co、Niのうち1つ以上の元素とPt、Pdのうち1つ以上の元素とからなる合金であり、この合金の結晶構造がL10型の規則合金であってもよい。例えば、Fe50Pt50、Fe50Pd50、Co50Pt50、Fe30Ni20Pt50、Co30Fe20Pt50、Co30Ni20Pt50等があげられる。これらの規則合金に、Cu(銅)、Cr、Ag(銀)等の不純物元素あるいはその合金、絶縁物を加えて磁気異方性エネルギー密度、飽和磁化を低く調整することができる。
(3)人工格子の場合
Fe、Co、Niのうち1つ以上の元素あるいはこの1つの元素を含む磁性層と、Cr、Pt、Pd、Ir、Rh、Ru、Os、Reのうち1つの非磁性元素あるいはこの1つの非磁性元素を含む非磁性層とが交互に積層された構造を有していてもよい。例えば、Co/Pt人工格子、Co/Pd人工格子、CoCr/Pt人工格子、Co/Ru人工格子、Co/Os人工格子等があげられる。これらの人工格子は、磁性層への元素の添加、磁性層と非磁性層の膜厚比を調整することで、磁気異方性エネルギー密度、飽和磁化を調整することができる。
(4)フェリ磁性体の場合
希土類金属と遷移金属との合金からなるフェリ磁性体であってもよい。例えば、Tb(テルビウム)、Dy(ジスプロシウム)、Gd(ガドリニウム)と、遷移金属のうちのうち1つ以上の元素とからなるアモルファス合金であってもよい。例えば、TbFe、TbCo、TbFeCo、DyTbFeCo、GdTbCo等があげられる。これらの合金は、組成を調整することで磁気異方性エネルギー密度、飽和磁化を調整することができる。
なお、磁性層は、非磁性体部が偏析することにより、磁性体部と非磁性体部とが分離した構造としてもよい。例えば、SiO、MgO、SiN、SiC等の酸化物、窒化物、炭化物を非磁性体部としてもよいし、例えばCr濃度が25at%以上と大きい非磁性CoCr合金のような合金でもよい。
また、トンネルバリア層14に接する磁性層(磁気記憶層16、磁化固着層12)と、トンネルバリア層14との界面には、高分極率材料として、Fe、Co、Niのうち1つ以上の元素あるいはこの1つの元素を含む合金からなる磁性金属層を配置して、磁気抵抗比(MR(Magneto Resistive)比)を上昇させた構成でもよい。但し、通常、これらの磁性層は単層では面内磁化となるため、垂直磁化の安定性を損なわないように積層する垂直磁気異方性材料との磁気的な膜厚比を調整する必要がある。
また、本実施形態では、磁気固定層12,22,26および磁気記憶層16の磁化の向きは膜面に垂直であったが、膜面に対して平行であってもよい。この場合、以下の構成となることが好ましい。
磁化固着層22/非磁性層24/磁化固着層26で構成される積層膜および磁化固着層12のどちらか一方は、反強磁性層/第1強磁性層/非磁性層/第2強磁性層からなる積層膜が望ましく、他方は磁気記憶層16に比べ保磁力が大きい単層の第3強磁性層であることが望ましい。それぞれ、以下の材料で構成される。
反強磁性層はPtMn、IrMn、FeMn等のいずれかの材料から構成される。
第1乃至第3強磁性層および磁気記憶層16の材料には高分極率材料として、Fe、Co、Niのうち1つ以上の元素あるいはこの1つの元素を含む合金からなる磁性金属からなっていてもよい。または、スピン分極率の大きいマグネタイト、CrO、RXMnO3−Y(R:希土類、X:Ca、Ba、Sr)等の酸化物の他、NiMnSb、PtMnSb等のホイスラー合金等を用いてもよい。また、これら金属には、強磁性を失わない限り、Ag、Cu、Au、Al、Mg、Si、Bi、Ta、B、C、O、N、Pd、Pt、Zr、Ir、W、Mo、Nb等の非磁性元素が多少含まれていても良い。
上記非磁性層および図12に示す非磁性層24の材料として、Ru、Cu、Cr等の貴金属材料を用いることが望ましい。
磁化の向きが膜面に垂直であっても膜面に平行な場合であっても、磁気記憶層16は強磁性層/非磁性層/強磁性層からなる積層膜であってもよい。その場合、磁化固着層22/非磁性層24/磁化固着層26で構成される積層膜と、磁化固着層12は反強磁性層/強磁性層/非磁性層/強磁性層からなる積層構造をもつことが望ましい。ただし、磁化固着層22/非磁性層24/磁化固着層26で構成される積層膜と磁化固着層12は磁気記憶層16に比べ保磁力が大きい単層の強磁性層であってもよい。
図12に示すスピンフィルタ層18の磁性体20の材料としては、磁気記憶層16および磁化固着層12,22,26で挙げた材料を用い、結晶磁気異方性エネルギー密度は材料の組成比をコントロールすることにより調整する。また、図12に示すスピンフィルタ層18の非磁性層19の材料としてはRu、Cu、Cr等の貴金属材料を用いることが望ましい。
また、図13に示すスピンフィルタ層18の磁性層20aの材料としては、磁気記憶層16および磁化固着層12,22,26で挙げた材料を用い、結晶磁気異方性エネルギー密度は材料の組成比をコントロールすることにより調整する。また、図13に示すスピンフィルタ層18の非磁性層19a、19bの材料としてはRu、Cu、Cr等の貴金属材料を用いることが望ましい。
トンネルバリア膜14の材料としては、AlO(例えばAl)、MgO、SiO、AlN、Bi、MgF、CaF、SrTiO、AlLaO等のさまざまな誘電体を使用することができる。これらの誘電体には、酸素、窒素、フッ素欠損が存在していてもかまわない。あるいは、層14はトンネルバリアではなくとも導電性金属、半金属、半導体などの磁気抵抗効果を発現する磁気抵抗層であればよい。
なお、第1実施形態で説明した図1に示すTMR素子1の磁気記憶層2および磁化固着層6の材料としては、第2実施形態で説明した磁気記憶層16および磁化固着層12,22,26の磁性材料と同じ材料を用いることができる。また、図1に示すTMR素子1のトンネルバリア層4は、第2実施形態で説明したトンネルバリア層14の材料と同じ材料を用いることができる。
なお、図11に示す第2実施形態の磁気メモリにおいて、磁気記憶素子10を第1実施形態で説明したTMR素子1に置き換えれば、第1実施形態の駆動方法が用いられる磁気メモリとなる。
また、第2実施形態の磁気メモリに第1実施形態の駆動方法を用いて読み出し、書き込みを行ってもよい。
MRAMのメモリセルのTMR素子の概略の断面図。 TMR素子の磁化の向きを示す図。 スピン注入型のTMR素子に書き込みを行う際の電流方向と読み出しを行う際の電流方向を示した図。 読み出しディスターブを説明するための図。 パルス幅(通電時間)によってディスターブを受ける反転電流Icの大きさが変化することを説明した図。 パルス幅によってディスターブを受ける反転電流Icの大きさが変化することを説明した図。 読み出し電流と書き込み電流の比に対する磁気記憶層に要求されるαthermの値を説明した図。 第1実施形態によるMRAMの駆動方法を説明した図。 第1実施形態の駆動方法の第1変形例を説明した図。 第1実施形態の駆動方法の第2変形例を説明した図。 本発明の第2実施形態による磁気メモリを示す回路図。 第2実施形態の磁気メモリに係る磁気記憶素子を示す断面図。 第2実施形態に係るスピンフィルタ層の他の例を示す断面図。 第2実施形態における電流のパルス幅と電流密度との関係を示す図。
符号の説明
1 TMR素子
2 磁気記憶層
4 トンネルバリア層
6 磁化固着層
10 磁気記憶素子
12 磁化固着層
14 トンネルバリア層
16 磁気記憶層
18 スピンフィルタ層
19 非磁性層
19a 非磁性層
19b 非磁性層
20 磁性体
20a 磁性層
22 磁化固着層
24 非磁性層
26 磁化固着層
50 選択トランジスタ
60 ロウ・デコーダ
70 カラム・デコーダ/書き込み回路/読み出し回路

Claims (4)

  1. 膜面に略垂直方向の磁化を有し磁化の向きが固着された磁化固着層と、膜面に略垂直方向の磁化を有し磁化の向きが可変の磁気記憶層と、前記磁化固着層と前記磁気記憶層との間に設けられたトンネルバリア層と、を備え、前記磁気記憶層に電流パルスを流してスピン偏極した電子を注入することにより前記磁気記憶層の磁化の向きが反転可能である磁気記憶素子を有するメモリセルを備えた磁気メモリの駆動方法であって、
    前記磁気記憶層に情報を書き込むための書き込み電流パルスの幅が初期反転に関連した切換時間τ 以上であり、前記磁気記憶層から情報を読み出すための読み出し電流パルスの幅が前記初期反転に関連した切換時間τ より小さく、かつ
    前記磁気記憶層の磁気異方性磁界Hkは50Oe〜5000Oeであることを特徴とする磁気メモリの駆動方法。
  2. 前記書き込み電流よりもパルス幅の短いパルスを有する前記読み出し電流の印加を複数回行い、これらの複数回印加した前記読み出し電流の積算によって読み出し情報を取得することを特徴とする請求項1記載の磁気メモリの駆動方法。
  3. 膜面に略垂直方向の磁化を有し磁化の向きが固着された磁化固着層と、膜面に略垂直方向の磁化を有し磁化の向きが可変の磁気記憶層と、前記磁化固着層と前記磁気記憶層との間に設けられたトンネルバリア層と、を備え、前記磁気記憶層に電流パルスを流すことにより前記磁気記憶層の磁化の向きが反転可能である磁気記憶素子を有するメモリセルと、
    初期反転に関連した切換時間τ よりも小さなパルス幅を有する、前記磁気記憶層から情報を読み出すための読み出し電流パルスを発生する読み出し回路と、
    前記初期反転に関連した切換時間τ 以上であるパルス幅を有する、前記磁気記憶層に情報を書き込むための書き込み電流パルスを発生する書き込み回路と、
    前記磁気記憶素子の一方の端子が接続され書き込み時は前記書き込み電流パルスが流れ、読み出し時は前記読み出し電流が流れる第1配線と、
    前記磁気記憶素子の他方の端子が接続され書き込み時は前記書き込み電流パルスが流れ、読み出し時に前記読み出し電流が流れる第2配線と、
    を備え、
    前記磁気記憶層の磁気異方性磁界Hkは50Oe〜5000Oeであることを特徴とする磁気メモリ。
  4. 前記書き込み電流よりもパルス幅の短いパルスを有する前記読み出し電流の印加を複数回行い、これらの複数回印加した前記読み出し電流の積算によって読み出し情報を取得することを特徴とする請求項3記載の磁気メモリ。
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