JP4970322B2 - 記録パラメータ設定方法、及び情報記録媒体 - Google Patents

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Description

本発明は、情報の記録再生を行うための記録パラメータ設定方法に関するものである。
大容量のデータを記録する情報記録媒体(例えば、光ディスク)の記録再生装置では、レーザ光を情報記録媒体上に集光させて加熱することによって、当該媒体の物理特性を変化させて情報を記録する技術が従来から用いられている。情報記録媒体上に記録マークが形成される状態(以下、「マーク」と呼ぶ)と記録マークが形成されない状態(以下、「スペース」と呼ぶ)との2つの状態、および上記2つの状態の長さとして、上記情報記録媒体上には2値のデジタルデータが記録されることになる。ここでは、上記デジタルデータのことを記録情報と呼ぶことにする。実際に記録情報を情報記録媒体に記録するときは、記録する記録情報に応じて設定される記録パラメータを用いてレーザ光を変化させることによって、情報記録媒体上に記録マークを形成し、記録情報を記録する。
また、近年では、取り扱うデータ容量の増加に対して、記録再生装置の処理時間を短縮するために、記録の高速化が進んでいる。高速記録が可能な情報記録媒体では、下位互換のために低速で記録できることも望まれることから、記録感度を向上させるために熱が蓄積しやすい特性となっている。上述の熱の蓄積は、記録マークの歪みを生じさせて再生信号品質を悪化させる可能性があるため、高速記録が可能な情報記録媒体では、記録マーク形成のための熱の制御が重要になっている。
記録マーク形成のための熱の制御に用いられる技術としては、高度なレーザ出力制御技術であるライトストラテジが知られており、ライトストラテジでは、上述した記録パラメータをもとにレーザ出力制御を行うことによって、記録マーク形成のための熱の制御を行っている。従って、記録パラメータの数が多いほど、記録マーク形成のための熱の制御が複雑になる。また、記録パラメータを参照テーブルとして情報記録媒体に記録しておいて、記録再生装置で読み出して設定する場合、記録パラメータの数が多いと、記録再生装置で参照テーブルの情報を読み出すための処理時間が長くなり、記録を開始するまでに時間がかかってしまうことになる。よって、使用する記録パラメータの数はできるだけ少ないほうが望ましい。
そこで、例えば特許文献1では、記録パラメータに対して定義した参照テーブルを備え、テーブルを参照しながら記録マーク形成のための熱を制御する光ディスク記録方法が開示されている。
具体的には、特許文献1では、記録パラメータのうち、記録マークを形成し始める位置である前エッジの熱を制御するための先頭パルスに関して、記録マークの前スペース長を2T、3T、4T、5T以上の4種類に分類し、記録マーク長を2T、3T、4T以上の3種類に分類した参照テーブルを用いている(図17参照)。また、記録パラメータのうち、記録マークを形成し終わる位置である後エッジの熱を制御するための最終パルスに関しては、記録マークの後スペース長を2T、3T、4T、5T以上の4種類に分類し、記録マーク長を3T、4T以上の2種類に分類した参照テーブルを用いている(図18参照)。すなわち、特許文献1では、参照テーブルでのマーク長の分類を4T以上では同じ分類にまとめ、前スペース長および後スペース長の分類を5T以上では同じ分類にまとめることによって、記録パラメータの数を少なくして記録マーク形成のための前エッジの熱および後エッジの熱を制御している。ここで、Tはクロック1周期分の時間を表している。従って、例えば2Tマーク長とは、クロック2周期分の時間に「1」の記録マークが形成される領域、つまり記録領域を表しており、2Tスペース長とは、クロック2周期分の時間に記録マークが形成されていない領域を表している。
特開2005−92942号公報(平成17年4月7日公開)
記録の高速化が今後進んでいくにつれて、より記録感度を向上させた情報記録媒体に記録マークを形成することになる。レーザ光によって記録マークを形成する場合、記録マークを形成し終わる位置である記録マークの後エッジに熱分布は偏るので、記録の高速化に伴って、後エッジに熱が蓄積する傾向がより強まることになる。従って、記録パラメータによって、更に厳密な後エッジの熱の制御を行う必要性が生じてきている。
しかしながら、特許文献1では、記録マークを形成し始める位置である前エッジの熱の制御を行うための記録パラメータの分類と、厳密な制御が必要になる後エッジの熱の制御を行うための記録パラメータの分類とを同じ設定にしている。つまり、いずれも4T以上の記録マーク長を同じ分類とした参照テーブルを利用している。また、記録パラメータを定義した参照テーブルにおいて、記録パラメータの数を少なくするために、記録マーク長および前後スペース長の分類を何に基づいてまとめたのかについては具体的に開示されていない。そのため、記録パラメータの数を少なく抑えてはいるが、記録マークを実際に読み出した際に良好な再生信号品質が得られる保証がない(所定の再生信号品質を満足する保証がない)という問題点を有していた。
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、使用する記録パラメータの数を抑えながらも、より確実に良好な再生信号品質が得られる記録マークを形成することを可能にする記録パラメータ設定方法を提供することにある。
本発明の記録パラメータ設定方法は、前記課題を解決するために、記録情報に応じて情報記録媒体に記録マークを形成するための記録パラメータの設定を行う記録パラメータ設定方法であって、前記記録マークのうちの前エッジの熱を制御するための記録パラメータ群を、前記記録情報のうちの少なくとも記録マーク長に応じて分類するとともに、第1所定記録マーク長から最大の記録マーク長は同一の分類にする第1記録パラメータ群分類工程と、前記記録マークのうちの後エッジの熱を制御するための記録パラメータ群を、前記記録情報のうちの少なくとも記録マーク長に応じて分類するとともに、前記第2所定記録マーク長から最大の記録マーク長は同一に分類する第2記録パラメータ群分類工程とを含み、前記第2所定記録マーク長は、前記第1所定記録マーク長よりも長い記録マーク長である。
また、本発明の記録パラメータ設定方法は、前記記録マークのうちの後エッジの熱を制御するための記録パラメータ群の第1所定記録マーク長以上の分類を、当該第1所定記録マーク長と当該第1所定記録マーク長以外の記録マーク長とに分類する。
また、本発明の記録パラメータ設定方法は、前記記録マークのうちの後エッジの熱を制御するための記録パラメータ群の第1所定記録マーク長以上の分類を、当該第1所定記録マーク長と当該第1所定記録マーク長以外の記録マーク長とに分類し、当該第1所定記録マーク長以外の記録マーク長の記録パラメータを、当該第1所定記録マーク長の記録パラメータに対して、異なった値に設定する。
また、本発明の記録パラメータ設定方法は、前記記録マークのうちの後エッジの熱を制御するための記録パラメータは、前記記録マークを形成するためのパルス列の終端立下り位置であるとともに、前記第1所定記録マーク長以外の記録マーク長の記録マークを形成するためのパルス列の終端立下り位置を、前記第1所定記録マーク長の記録マークを形成するためのパルス列の終端立下り位置に対して、各記録マーク長に対応する記録情報の立下り位置を基準として、時間軸方向の時間の進行方向に対して逆方向に、相対的にずらして設定する。
本発明によれば、記録パラメータ群の分類数を増やしながら所定の再生信号品質を満足する記録パラメータを決定していくことになるので、所定の再生信号品質を満足する記録パラメータが決定したときの記録パラメータ群の分類数をより少なく抑えることが可能になる。さらに、少なくとも後エッジの熱を制御するための記録パラメータを、所定の再生信号品質を満足するように決定することになるので、後エッジに蓄積した熱の影響を補償して、良好な再生信号品質が得られる記録マークを形成することが可能になる。したがって、使用する記録パラメータの数を抑えながらも、より確実に良好な再生信号品質が得られる記録マークを形成することを可能にするという効果を奏する。
〔実施の形態1〕
本発明の一実施形態について図1〜図16(b)に基づいて説明すれば、以下の通りである。
最初に、本実施の形態に係る記録再生装置として、光ディスク装置(記録再生装置)1を例に挙げて説明する。図2に示すように、本実施の形態に係る光ディスク装置1は、光ヘッド(光ピックアップ)11、ピックアップ12、ピックアップ駆動回路13、レーザ駆動回路14、再生回路15、および制御部20を備えている。また、ピックアップ駆動回路13、レーザ駆動回路14、および再生回路15によって記録再生回路群10が構成されている。光ディスク装置1は、光ディスク2に対して情報の記録および再生を行う装置である。なお、光ディスク2は光学ディスクであればよく、例えば光磁気ディスクなど、その種類は限定されるものではない。
まず、光ヘッド11はピックアップ12に備えられており、光ヘッド11は光ディスク2に対して、情報を記録再生するための光ビーム(レーザビーム)を照射するとともに、光ディスク2からの反射光を検出し、再生回路15に対して出力するものである。ピックアップ12は、光ヘッド11を備えてデータの記録および再生を行うものであり、光軸方向および光ディスク2の経方向であるラジアル方向に対して移動可能になっている。
続いて、ピックアップ駆動回路13は、制御部20からの制御信号に従ってピックアップ12を駆動させるものであって、ピックアップ12を光ディスク2の図示しないトラックに対して、つまり上記ラジアル方向および上記光軸方向に移動させるものである。さらに、レーザ駆動回路14は、光ヘッド11から照射する光ビームの出力を制御するものである。そして、再生回路15は、光ヘッド11が検出した反射光を再生信号に変換し、制御部20に対して出力するものである。
制御部20は、光ディスク2に記録させる情報である記録マークの記録パラメータを設定するものである。また、制御部20は、ピックアップ駆動回路13を介してピックアップ12を移動させるものであり、レーザ駆動回路14を介して光ヘッド11から光ビーム照射させるものである。そして、光ヘッド11が検出した反射光を変換した再生信号を、再生回路15から受け取るものでもある。なお、制御部20については後に詳述する。
次に、図3を用いて光ディスク装置1によって情報が記録される光ディスク2の概要について説明を行う。光ディスク2は、図3に示すように設定用領域41およびユーザ領域42を備えている。設定用領域41は、情報の試し記録を行うための領域(部位)であり、ユーザ領域42はユーザが所望する情報を記録するための部位である。また、設定用領域41は、後述する参照テーブルを記録している領域でもある。
なお、設定用領域41の位置は、図3に示した位置に限らず、光ディスク2の任意の半径位置に存在していてもよいし、設定用領域41は複数存在していてもよい。
次に、光ディスク装置1によって光ディスク2へ情報を記録する動作、および光ディスク装置1によって光ディスク2に記録された情報を再生する動作のそれぞれについて簡単に説明を行う。
光ディスク装置1によって光ディスク2へ情報を記録する場合には、まず、記録情報に基づいて制御部20が記録パラメータを設定する。そして、光ヘッド11から記録用の光ビームが光ディスク2の設定用領域41に照射され、光ディスク2の設定用領域41のトラックに情報が記録されることになる。また、光ディスク装置1によって光ディスク2に記録された情報を再生する場合には、まず、制御部20がピックアップ駆動回路13を介してピックアップ12を光ディスク2の設定用領域41またはユーザ領域42のうちの情報が記録されている記録部位へ移動させる。そして、制御部20がレーザ駆動回路14を介して、光ヘッド11から再生用の光ビームを光ディスク2の情報が記録された記録部位のトラックに対して照射する。光ヘッド11が検出した反射光は、再生回路15にて再生信号に変換され、制御部20に入力される。これにより、上記光ディスク装置1は、光ディスク2のトラックに記録された情報を再生することができる。ここで、記録情報とは、光ディスク2上に記録マークが形成される状態(マーク)と記録マークが形成されない状態(スペース)との2つの状態、および上記2つの状態の長さとして、光ディスク2(情報記録媒体)上に記録される2値のデジタルデータのことを表す。従って、記録情報では、記録パラメータに設定する光ディスク2上に記録マークが形成される状態(マーク)と記録マークが形成されない状態(スペース)との2つの状態、および上記2つの状態の長さが指定されていることになる。
また、本実施の形態に係る光ディスク装置1は、上述したように光ディスク2の設定用領域41にまず記録(試し記録)を行い、試し記録の情報を再生して得られる再生信号の値に基づいて、制御部20によって記録パラメータの設定を行っている。そして、設定した当該記録パラメータに従ってユーザ領域42の各トラックに情報を記録している。なお、光ディスク装置1の記録パラメータ設定後のユーザ領域42への記録動作は一般に知られた記録動作と同様であり、ここでの詳細な説明は省略する。また、制御部20での記録パラメータの設定については、後に制御部20についての説明とともに詳述する。
制御部20と制御部20での記録パラメータの設定とについての詳述を行う前に、図4および図5を用いて記録パラメータについて説明する。以下の説明では、変調方式として(1,7)RLL(Run Length Limited code)を例に挙げて説明を行うが、本実施の形態においては、変調方式は(1,7)RLLの変調方式に限るものではない。なお、(1,7)RLLコードとは、磁気的、光学的ディジタル記録において、反転間隔の最小値と最大値とを制限したコードである。
また、この(1,7)RLLの変調方式では、後で詳述するが、記録パルスのパルス列は、最短の記録マーク2Tが先頭部と終端部とから構成される一方、最短の記録マークよりも長い記録マークではこの先頭部と終端部との間に当該マーク長に応じた中間部を加えて構成される。なお、他の変調方式においては、例えば、最短の記録マーク長が3Tから始まるものもあり、このときは最短の記録マーク長が先頭部、中間部、終端部にて構成されている(例えば、DVD−RW等)。また、先頭部のみで構成されているものもある(例えば、DVD−R等)。ここで、Tはクロック1周期分の時間を表している。従って、例えば記録マーク長が3Tの場合には、クロック3周期分の時間に記録マークが形成される記録領域を表すことになる。
図4に示すように、光ディスク2には、記録を行うための媒体温度分布を考慮し、記録情報に対応する記録パルスのパルス列が設定されている。図4では、記録情報が5Tの記録マーク長であった場合を例として、記録情報に対応するための記録パルスを示している。記録パルスのパルス列は、時間と記録パルスのパワーとで表されており、図4の横軸方向が照射時間を、図4の縦軸方向が記録パルスのパワーを表している。
上記パルス列は、上述したように、先頭部と終端部、中間部とから構成されている。図4に示すように、ここでは、先頭立上り位置および先頭パルスで構成される部分を先頭部、終端パルス、終端立上り位置、冷却期間、および冷却終了位置で構成される部分を終端部、先頭パルスと終端パルスの間の期間である中間期間で構成される部分を中間部としている。また、上記パルス列は、図4に示すように、記録パワー、スペースパワー、中間パワーおよびバイアス(冷却)パワーとからも構成されている。そして、本実施の形態では、パルス列を構成する記録パワー、スペースパワー、中間パワーおよびバイアス(冷却)パワーを記録パワーパラメータと呼ぶことにする。これらの記録パワーパラメータは上述の記録パラメータに含まれる。なお、図4では、先頭部、終端部の記録パルスの記録パワーは同一になっているが、必ずしもこれに限らず、先端部と終端部とで別個の記録パワーであってもよい。また、図4では、記録パワー、スペースパワー、中間パワー、バイアス(冷却)パワーの順にパワーが小さくなっているが、必ずしもこれに限らない。ただし、先頭部または終端部の記録パルスの記録パワーのいずれかが最も大きく、冷却パワーが最も小さいことが好ましい。
また、図5に、2Tの記録マーク長から9Tの記録マーク長までのそれぞれの記録マークを形成するためのパルス列、および記録パルスパラメータを示す。図5では、2Tの記録マーク長の記録マークおよび3Tの記録マーク長の記録マークは、先頭パルスおよび冷却期間で構成されていて、4Tの記録マーク長以上の記録マークは、先頭パルス、中間期間、終端パルス、および冷却期間で構成されている例を示している。また、図5において、dTtopは先頭部のパルス開始位置である先頭立上り位置、Ttopは先頭パルスの幅、dTeは終端部の冷却期間の終了する冷却終了位置、およびTlpは終端パルスの幅、dTlpは終端パルスの立下り位置(終端立下り位置)を示している。なお、dTlpは終端パルスの立下り位置であるとともに、パルス列の終端部にある冷却期間の冷却開始位置ともいえる。また、dTeは終端部の冷却期間の終了する冷却終了位置であるとともに、冷却期間に続くスペースパワーPsを照射する期間の開始位置ともいえる。dTtop、dTe、dTlpはそれぞれクロックの基準タイミングからの時間で設定されるものであって、dTtopは、各記録マーク長に対応する記録情報の立上り位置(0から1になる位置)を基準とした時間で設定され、dTeとdTlpとは、各記録マーク長に対応する記録情報の立下り位置(1から0になる位置)を基準とした時間で設定される。このとき、全ての記録マーク長に対して、同じ基準が使用される。なお、図5において、dTtopは、記録情報の立上り位置を基準とした時間で設定されているが、記録情報の立上り位置から所定クロック間隔ずれた位置を基準にしてもよい。同様に、図5において、dTeとdTlpとは、記録情報の立下り位置を基準とした時間で設定されているが、記録情報の立下り位置から所定クロック間隔ずれた位置を基準にしてもよく、記録情報の立下り位置からの基準位置のずれ量をdTeとdTlpとで別々に設定してもよい。本実施の形態では、記録パルスのタイミングを定義するdTtop、Ttop、dTe、Tlp、dTlpを記録パルスパラメータと呼ぶことにする。これらの記録パルスパラメータは上述の記録パラメータに含まれる。
なお、図5において、Ttopによって先頭パルスの幅を設定しているが、先頭パルスの立下り位置に記録パルスパラメータを設定しても、先頭パルスの期間を表現することができる。同様に、Tlpによって終端パルスの幅を設定しているが、終端パルスの立上り位置に記録パルスパラメータを設定しても、終端パルスの期間を表現することができる。
記録パルスパラメータの値を変化させることにより、形成される記録マークの形状が変化する。先頭部を構成するdTtopおよびTtopは、記録マークを形成し始める位置である前エッジの形状を変化させるため、記録パルスパラメータのうちのdTtopおよびTtopのパラメータによって前エッジの熱の制御を行うことができる。また、終端部を構成するdTe、Tlp、およびdTlpは、記録マークを形成し終わる位置である後エッジの形状を変化させるため、記録パルスパラメータのうちのdTe、Tlp、およびdTlpのパラメータによって後エッジの熱の制御を行うことができる。他にも、記録パワーパラメータのうちの中間パワーの値の変化は中間部の熱の蓄積を変化させるため、記録パワーパラメータのうちの中間パワーのパラメータによって前エッジから後エッジまでの間の記録マークの形状の制御を行うことができる。
また、上述した記録パワーパラメータおよび記録パルスパラメータからなる記録パラメータの値は参照テーブル(記録パラメータ群)の形で設定用領域41に記録されており、光ディスク装置1に読み取られて格納部3に格納(記録)されている。なお、格納部3はメモリ等の情報記録媒体、サーバなどの何れであってもよく、光ディスク装置1に備えられていてもよいし、光ディスク装置1の外部に接続可能にそなえられていてもよい。また、参照テーブルの詳細については後述する。
次に、光ディスク装置1の制御部20での記録パラメータの設定について詳細な説明を行う。まず、図1を用いて制御部20の構成の概要について説明を行う。図1は本実施の形態における制御部20の構成を示す機能ブロック図である。
図1に示すように、制御部20は、記録パラメータ設定部(記録パラメータ設定装置)21を備えている。記録パラメータ設定部21は、制御部20の機能のうち、光ディスク2に記録させる情報である記録マークの記録パラメータを設定する働き、レーザ駆動回路14を介して光ヘッド11から光ビーム照射させる働き、および光ヘッド11が検出した反射光を変換した再生信号を再生回路15から受け取る働きを担っている。また、記録パラメータ設定部21は、記録情報取得部22、試し記録パラメータ設定部(試し記録パラメータ設定手段)23、試し記録指示部24、再生信号取得部25、再生信号品質判定部(再生信号品質判定手段)26、および記録指示部27を備えており、上記各部によって上述した働きを担っている。
記録情報取得部22は、光ディスク2に記録する記録情報を取得するものである。記録情報の取得先としては制御部20の上位の制御部、記録情報を格納したメモリ、サーバなどの何れであってもよく、記録情報の取得先は光ディスク装置1に備えられていてもよいし、光ディスク装置1の外部に接続可能に備えられていてもよい。
また、試し記録パラメータ設定部23は、記録情報取得部22で取得した記録情報に基づいて格納部3に照会を行うことによって、格納部3の参照テーブルに定義されている記録パラメータのうちの当該記録情報に応じた記録パラメータを得て、試し記録動作のための試し記録パラメータの設定を行うものである。また、試し記録パラメータ設定部23は、試し記録動作のための試し記録パラメータの再設定を行う命令(試し記録パラメータ変更命令)を、後述する再生信号品質判定部26から受けた場合に、試し記録パラメータの再設定を行うものである。上記試し記録パラメータの再設定については後述する。
そして、試し記録指示部24は、試し記録パラメータ設定部23によって設定された試し記録パラメータに従って光ディスク2の設定用領域41に試し記録動作を行うように、ピックアップ駆動回路13およびレーザ駆動回路14に指示を行うものである。
再生信号取得部25は、試し記録指示部24の指示によって光ディスク2の設定用領域41に試し記録が行われた記録マークから得られた再生信号を、再生回路15から取得するものである。
そして、再生信号品質判定部26は、再生信号取得部25が取得した再生信号に基づいて、当該試し記録に用いた試し記録パラメータの良否を判定するものである。再生信号品質判定部26では、当該試し記録に用いた試し記録パラメータの良否を、再生信号取得部25が取得した再生信号が所定の再生信号品質を満たすか否かに応じて判定している。再生信号品質判定部26は、当該再生信号が所定の再生信号品質を満たしていた場合には、当該試し記録に用いた試し記録パラメータを記録パラメータとして決定(設定)し、記録指示部27に送るものである。また、再生信号品質判定部26は、当該再生信号が所定の再生信号品質を満たしていなかった場合には、試し記録パラメータ設定部23が照会した参照テーブルにおける分類数が所定値以上であったか否かの判定を行うものである。そして、当該参照テーブルにおける分類数が所定値以上でなかった場合には、試し記録パラメータの再設定を行う試し記録パラメータ変更命令を試し記録パラメータ設定部23へ送るとともに、格納部3に格納されている参照テーブルの分類を細かく再設定するものである。また、再生信号品質判定部26は、当該参照テーブルにおける分類数が所定値以上であった場合には、記録パラメータ設定エラーが生じたとして、図示していない表示部にエラーを表示させて記録パラメータ設定動作を終了させるものである。ここで言うところの所定値については後に詳述する。なお、ここで言うところの所定の再生信号品質とは、記録再生装置(本実施の形態では光ディスク装置1)の誤り訂正の機能によって十分に補償可能な範囲の再生信号品質であり、記録再生装置および光学ディスク(本実施の形態では光ディスク2)などの製造ばらつきを考慮して任意に設定する値である。再生信号品質としてはジッタ、エラーレートなどを用いることができ、光学ディスクごとにジッタ、エラーレートなどのボトムレベルの規格が存在する場合には、上記規格に定められたボトムレベルの値を所定の再生信号品質として利用することもできる。
記録指示部27は、再生信号品質判定部26から送られてきた記録パラメータに従って光ディスク2のユーザ領域42に記録動作を行うようにピックアップ駆動回路13およびレーザ駆動回路14に指示を行うものである。
以下、光ディスク装置1における記録パラメータの設定動作について、図6〜11を用いて説明を行う。図6は、本実施の形態における記録パラメータの設定動作の動作フローを説明するフローチャートである。図7〜図11は、本実施の形態における参照テーブルを示す図である。
まず、ステップS1では、記録情報取得部22が、光ディスク2に記録する記録情報を取得する。続いてステップS2では、試し記録パラメータ設定部23が、記録情報取得部22で取得した記録情報に基づいて格納部3に照会を行い、試し記録パラメータの設定を行う。詳しくは、記録情報に基づいて、まずは図7および図11のような参照テーブルを参照し、当該記録情報に応じた記録パラメータを得て、試し記録パラメータの設定を行う。図7は、記録マークを形成し終わる位置である後エッジの熱を制御するための参照テーブルとして、記録パルスパラメータである終端パルスの立下り位置dTlpの参照テーブルを示している。図7では、4T以上の記録マーク長に対して1種類のみの分類が対応した参照テーブルを使用している。このとき、記録情報の記録マーク長が4T未満であった場合には、デフォルトで設定されている記録パラメータを記録パラメータとして設定し、記録情報の記録マーク長が4T以上であった場合には、参照テーブルの対応する分類の値(ここでは、b4)を記録パラメータとして設定する。例えば、デフォルトの設定としては、この場合ではTtop、またはdTlpの値を予め設定しておけばよい。
また、図11は、記録マークを形成し始める位置である前エッジの熱を制御するための参照テーブルとして、記録パルスパラメータである先頭立上り位置dTtopの参照テーブルを示している。図11では、記録マーク長を2T、3T、4T以上の3種類に分類しており、以降の試し記録ではこの分類数は変更しない。したがって、前エッジの熱を制御するための記録パラメータの数はこれ以上増加しない。
上述したように、図7および11の参照テーブルはディスクの設定用領域41に記録されており、光ディスク装置1が上記参照テーブルを読み取って格納部3に格納する。以降、試し記録パラメータ設定部23は、格納部3の参照テーブルを参照して試し記録パラメータの設定を行う。ここでは、4Tより長い記録マーク長(5T以上)の終端パルスの立下り位置dTlpに対して、4Tと同じ値、つまり、b4を試し記録パラメータ設定部23に設定する。また、4Tより長いマーク長(5T以上)の先頭立上り位置dTtopに対して、4Tと同じ値、つまり、c4を試し記録パラメータ設定部23に設定する。試し記録パラメータ設定部23は、5T以上に4Tと同じ値を設定するので、9Tまでのそれぞれ異なる記録パラメータを読み出すのに比べて読み出し時間を短縮することができる。試し記録パラメータ設定部23は、4Tから9Tに同じ記録パラメータの値を設定し、試し記録の際には同じ変化量を与える。つまり、4Tから9Tまでの共通の試し記録時の変化量の値として4Tの変化量の値を使用する。
ステップS3では、試し記録指示部24が、試し記録パラメータ設定部23で設定された試し記録パラメータに従って光ディスク2の設定用領域41に試し記録動作を行うように、ピックアップ駆動回路13およびレーザ駆動回路14に指示を行う。続いて、ステップS4では、ピックアップ駆動回路13およびレーザ駆動回路14によって、当該試し記録パラメータに従った光ディスク2の設定用領域への情報の記録を、光ヘッド11に行わせる。そして、ステップS5では、光ヘッド11によって当該情報の再生を行って、再生回路15にて再生信号を得る。
ステップS6では、再生信号取得部25が当該再生信号を取得し、再生信号品質判定部26に送る。続いて、ステップS7では、再生信号品質判定部26が、再生信号取得部25が取得した再生信号が所定の再生信号品質を満たすか否かの判定を行う。ここで、当該再生信号が所定の再生信号品質を満たしていた場合(ステップS7でYES)には、ステップS8に移る。そして、当該再生信号が所定の再生信号品質を満たしていなかった場合(ステップS7でNO)には、ステップS9に移る。具体的には、所定の再生信号品質として、ジッタが所定値(例えば、6.5%以下)を満たすか否かによって、再生信号が所定の再生信号品質を満たすか否かの判定を行う。
ステップS8では、当該試し記録に用いた試し記録パラメータが、再生信号品質判定部26によって記録指示部27に送られる。つまり、光ディスク2のユーザ領域42に実際に記録動作を行うための記録パラメータが設定(決定)され、記録パラメータ設定動作が終了する。
ステップS9では、再生信号品質判定部26によって、試し記録パラメータ設定部23が照会した参照テーブルにおける分類数が所定値以上であったか否かの判定を行う。そして、当該参照テーブルにおける分類数が所定値以上であった場合(ステップS9でYES)には、ステップS10に移る。また、当該参照テーブルにおける分類数が所定値以上でなかった場合(ステップS9でNO)には、ステップS11に移る。上記所定値について以下で説明する。具体的に例を挙げると図7では参照テーブルの分類数は1つである。本実施の形態では、最大の記録マーク長は9Tであるため、4Tから9Tまでが個別に分類される場合に、参照テーブルの分類数は最大の6個となる。ここで、試し記録パラメータ設定部23が照会した参照テーブルにおける分類数が7個だと再生信号品質判定部26がステップS9で判定したとき、図7の参照テーブルの分類数は最大6個であるので矛盾する。従って、記録パラメータ設定動作にエラーが生じていることになる。また、試し記録パラメータ設定部23が照会した参照テーブルにおける分類数が6個だと再生信号品質判定部26がステップS9で判定したとき、図7の参照テーブルの分類数の最大値と同じであるので、これ以上分類数を増やすことが出来ず、記録パラメータ設定動作にエラーが生じていることになる。従って、本実施の形態では、記録パラメータ設定動作にエラーが生じていることを検出可能にするために、試し記録パラメータ設定部23が照会した参照テーブルにおける分類数の最大値を上記所定値として用いる。なお、試し記録動作のための試し記録パラメータを再設定するごとに、試し記録パラメータ設定部23が照会する参照テーブルも変更されるが、上記所定値は、上記参照テーブルの変更に伴って変化する参照テーブルの分類数の最大値に応じて変動する。
ステップS10では、記録パラメータ設定動作にエラーが生じたとして、再生信号品質判定部26が、図示していない表示部にエラーを表示させるとともに、記録パラメータ設定動作を終了させる。
ステップS11では、試し記録パラメータの再設定を行う試し記録パラメータ変更命令を試し記録パラメータ設定部23へ送るとともに、格納部3に格納されている参照テーブルの分類を細かく設定する。具体的には、4T以上の記録マーク長に対して1つの分類しかなかった参照テーブルの分類を、図8に示すように、4Tと5T以上とに対しての2種類に分類して試し記録パラメータ設定部23に設定できるようにする。これにより、4Tと5T以上との試し記録パラメータの設定値を独立に制御して試し記録を行うことができる。そして、試し記録パラメータ変更命令を受けた試し記録パラメータ設定部23が、新たに格納部3に照会を行い、図8の参照テーブルに定義されている記録パラメータのうちの当該記録情報に応じた記録パラメータを得て、試し記録動作に使用する試し記録パラメータの再設定を行う。このとき、5Tから9Tに同じ値を設定し、試し記録の際には同じ変化量を与える。つまり、5Tの値を、9Tまで共通の値として使用する。そして、参照テーブルの変更を行った後は、ステップS2に戻って動作フローを繰り返す。なお、ステップS2に戻って動作フローを繰り返すごとに、上述したようにして格納部3に格納されている参照テーブルの分類を細かく設定し直していく。具体的には、図8の参照テーブルの次には、図9に示すような4Tと5Tと6T以上との3種類に分類した参照テーブルを用いる。そして、図9の参照テーブルの次には、図10に示すような4Tと5Tと6Tと7T以上との4種類に分類した参照テーブルを用いるといったように、段階的に参照テーブルの分類を細かく設定し直していく。
なお、本実施の形態では、試し記録動作を開始した時点で格納部3に格納されている前エッジの熱を制御するための参照テーブルと後エッジの熱を制御するための参照テーブルとの両方で4T以上(所定記録マーク長以上)が同一に分類されているが、必ずしもこれに限らない。例えば、試し記録動作を開始した時点で格納部3に格納されている前エッジの熱を制御するための参照テーブルと後エッジの熱を制御するための参照テーブルとのうち、上記後エッジの熱を制御するための参照テーブルは、上記前エッジの熱を制御するための参照テーブルよりも更に細かく分類されていることが好ましい。
また、上述した前エッジの熱を制御するための参照テーブルと後エッジの熱を制御するための参照テーブルとのうち、上記後エッジの熱を制御するための参照テーブルは、上記前エッジの熱を制御するための参照テーブルよりも更に細かく分類されているテーブルとして、光ディスク2の設定用領域41に記録しておいてもよい。この場合、参照テーブルが光ディスク装置1に読み取られて格納部3に格納(記録)されると、試し記録動作を開始した時点で格納部3に格納されている前エッジの熱を制御するための参照テーブルと後エッジの熱を制御するための参照テーブルとのうち、上記後エッジの熱を制御するための参照テーブルは、上記前エッジの熱を制御するための参照テーブルよりも更に細かく分類されることになる。すなわち、所定の記録マーク長以上で同じ分類とした前エッジの熱を制御するための参照テーブルと、所定の記録マーク長よりも長いマーク長で同じ分類とした(すなわち、所定の記録マーク長と所定の記録マーク長よりも長いマーク長とに分けて分類した)後ろエッジの熱を制御するための参照テーブルとを含むこととなる。
これにより、記録マークの前エッジの熱を制御する記録パラメータと比較して、記録マークの後エッジの熱を制御する記録パラメータを細かく分類することができ、前エッジと後エッジの記録パラメータの両方の分類の数を増やすよりも、記録パラメータの数を少なくすることができる。また、記録マークの後エッジは記録マークの他の領域よりも熱の影響を受けやすいので、後エッジの熱を制御するための参照テーブルをより細かく分類することによって、記録マークを形成し終わる地点である後エッジの熱をより厳密に制御でき、蓄積した熱の影響を補償して良好な再生品質が得られる記録マークを形成することが可能になる。
また、本実施の形態では、試し記録パラメータの再設定を行う場合には、格納部3に格納されている参照テーブルの分類を細かく設定する構成になっているが、必ずしもこれに限らない。例えば、格納部3に予め分類数の異なる複数の参照テーブルを格納しておき(例として、図7、図8、図9および図10の参照テーブルのすべてを格納部3に格納しておく等)、試し記録パラメータの再設定を行う場合には、試し記録パラメータ設定部23で照会する参照テーブルの種類を変更する構成に代えてもよい。
例えば、終端パルスの立下り位置dTlpについて最終的に決定した記録パラメータの参照テーブルが図10の参照テーブルの場合、記録マークの後エッジの熱を制御するための記録パラメータであるdTlpは、図10のように記録マーク長4T以上が4T、5T、6T、7T以上に分類して設定されることになる。また、記録マークの前エッジの熱を制御するための記録パラメータであるdTtopは、試し記録による再設定を行わないので、ステップS2での設定のまま、図11のように記録マーク長が2T、3T、4T以上の3種類に分類して設定されることになる。
また、参照テーブルが光ディスク2の設定用領域41に記録されるケースでは、例えば記録パルスパラメータdTtop、dTlpは、記録マーク長に応じた値が記録されることになり、図16(a)および図16(b)に示されるような記録パルスパラメータdTtop、dTlpの値が設定用領域41に記録されることになる。
図16(a)および図16(b)からもわかるように、記録パルスパラメータdTtopは2T、3T、4T以上の3つの領域に分類されて割当てられており、一方、記録パルスパラメータdTlpは2T、3T、4T、5T以上の4つの領域に分類されて割当てられている。すなわち、記録パルスパラメータdTtopの値を格納する領域は、記録マーク長に応じて割当てられているとともに、所定の記録マーク長以上(図16(a)では4T以上)の値を格納する領域は一つの領域に割当てられている。そして、記録パルスパラメータdTlpの値を格納する領域は、記録マーク長に応じて割当てられているとともに、所定の記録マーク長よりも長い記録マーク長(図16(b)では5T以上)の値を格納する領域は一つの領域に割当てられている。
このように、参照テーブルが光ディスク2の設定用領域41に記録されるケースでも、後エッジの熱を制御して後エッジを形成するための参照テーブルは前エッジの熱を制御して前エッジを形成するための参照テーブルよりも更に細かく分類されていることとなる。よって、光ディスク2の設定領域41から参照テーブルを読み出すことによって、本発明の作用効果を得ることができる。
なお、光ディスク2の設定領域41に記録する参照テーブルのそれぞれの値は、上述の試し書きによって記録された値でも良いし、出荷時の各種設定の際の事前記録として記録された値であってもよい。
次に、本発明における作用効果について図12を用いて説明を行う。図12は、参照テーブルの分類の度合いと記録マークの再生信号のジッタとの相関関係を示す図である。
条件1では、終端パルスの立下り位置dTlpの記録パラメータとして、図7の参照テーブル(4T以上の記録マーク長に対して記録パルスパラメータを1つに分類したもの)を使用し、条件2では、図8の参照テーブル(4Tと5T以上との記録マーク長に対して記録パルスパラメータを2つに分類したもの)を使用した。また、条件3として、図9の参照テーブル(4Tと5Tと6T以上との記録マーク長に対して記録パルスパラメータを3つに分類したもの)を使用し、条件4として、図10の参照テーブル(4Tと5Tと6Tと7T以上との記録マーク長に対して記録パルスパラメータを4つに分類したもの)を使用した。例えば、所定の再生信号品質を、6.5%以下のジッタとした場合には、図12から明らかなように、条件4のみしか所定の再生信号品質を満足しないことになる。つまり、記録パラメータの数を少なくするために記録マーク長の分類をまとめすぎると条件1、条件2および条件3の場合のように所定の再生信号品質を満足できないことになる。これに対して、本発明では、条件1の参照テーブルで所定の再生信号品質を満足できない場合には、条件2の参照テーブルを使用するといったように、所定の再生信号品質を満足できるところまで参照テーブルの分類を細かく設定し直していくことができる。
なお、所定の再生信号品質は必ずしも6.5%以下のジッタに限らない。ここで、所定の再生信号品質とは、光ディスク装置1によって再生信号の誤り訂正が可能なレベルを表すものであり、光ディスク装置1および光ディスク2の量産等によるばらつきに対する余裕を確保できる再生信号品質であればよい。例えば、所定の再生信号品質を7%以下のジッタとした場合は、図12から明らかなように、条件2、3および4が所定の再生信号品質を満足する条件となる。
次に、本発明における作用効果について図15を用いて説明を行う。図15は、終端パルスの立下り位置dTlpの記録パラメータとして、図8の参照テーブル(4Tと5T以上との記録マーク長に対して記録パルスパラメータを2つに分類したもの)を使用し、4TのdTlpの位置に対して、5T以上のdTlpの位置を時間軸方向に対して相対的に前方向(時間の進行方向に対して逆方向)に変化させた場合の、dTlpの相対位置と記録マークの再生信号のジッタとの相関関係を示す図である。つまり、図4および図5では、時間の進行方向は図中の左から右の方向であるため、5T以上のdTlpの位置を左側に変化させることになる。なお、dTlpの値は、各記録マーク長に対応する記録情報の立下り位置を基準とした時間で設定されている。ここでのクロック間隔Tは約3.8nsで、T/16単位でdTlpの位置をずらした(動かした)ものとする。図15に示すように、4TのdTlpの位置に対して5T以上のdTlpの位置を、各記録情報の立下り位置を基準として時間軸方向の前方向(時間の進行方向に対して逆方向)に相対的に動かすにつれて、一旦ジッタが良好になった後、やがて悪化していく(詳しくは、相対位置“−3”まではジッタが徐々に良好になっていき、相対位置“−3”以降でジッタが徐々に悪化していく)ことがわかる。なお、dTlpを変化させる際、終端パルス幅Tlpの値は変化させない。よって、dTlpを変化させると、先頭パルス幅Ttopの立下り位置に、Tlpの立上り位置が近づいていくことになる。このとき、5T以上のdTlpは、Ttopの立下り位置とTlpの立上り位置が重ならない位置まで、時間の進行方向と逆方向に変化させることができる。
なお、上述のジッタの変化は以下の理由による。まず、記録マーク長が長くなるにつれて、先頭パルスと終端パルスとの間の中間期間が長くなる。そのため、記録マークの後エッジに熱の蓄積が大きくなっていく。したがって、5T以上、つまり、長い記録マーク長のdTlpの位置を前方向に移動させることで、中間期間を短くして後エッジの熱の蓄積を軽減することにより、中間期間を短くしない場合よりも、ジッタが良好になる。しかし、dTlpの位置を前方向に大きく動かすと、中間期間が短くなりすぎて、記録マークの後エッジを形成するための熱が不足して、ジッタが悪化していくことになる。図15に示した結果より、4TのdTlpを基準とした、5T以上のdTlpの相対位置は、−T/16から−5T/16の間(ここでは、時間軸方向に対して後ろ方向(時間の進行方向)を+として表現)であれば、ジッタは7.0%以下になり、良好になるといえる。
以上のように、記録マークの少なくとも後エッジの熱を制御するための記録パラメータに対して定義した参照テーブルを持ち、前記参照テーブルは、前記記録情報のうち少なくともマーク長に応じて分類され、かつ、所定マーク長以上は同じ分類となっており、前記参照テーブルに基づき設定した試し記録パラメータにより試し記録を行い、試し記録を再生し、所定の再生信号品質を満足しない場合は、前記所定マーク長以上の参照テーブルをマーク長によって更に細かく分類し直して、試し記録を行い、試し記録を再生し、所定の再生信号品質を満足する参照テーブルを決定する。これにより、使用する記録パラメータの数をできるだけ少なくし、記録マークを形成し終わる地点である後エッジの熱を制御することにより蓄積した熱の影響を補償して、良好な再生信号品質が得られる(所定の再生信号品質を満足する)記録マークを形成することができる。
なお、記録マークの後エッジは記録マークの前エッジなどの他の領域よりも熱の影響を受けやすいので、所定の記録マーク長以上の記録マークを形成する場合には、後エッジの熱を制御するだけで所定の再生信号品質を得られる記録マークを形成することが可能である。従って、少なくとも後エッジの熱を制御するための記録パラメータを本発明によって設定するだけで、より確実に良好な再生信号品質が得られる記録マークを形成することが可能になる。
また、予め固定された参照テーブルを用いる構成では、時間経過に伴って光ディスク2のトラックの記録条件が変化した場合、トラックの記録条件の変化に応じて参照テーブルをこまめに変更することができないので、トラックの記録条件が変化によって良好な再生信号品質が得られる(所定の再生信号品質を満足する)記録マークを形成できなくなるおそれがある。これに対して、本発明では、試し記録の結果に応じて参照テーブルの分類を設定し直す構成になっているので、時間経過に伴って光ディスク2のトラックの記録条件が変化した場合でも、トラックの記録条件の変化に応じて参照テーブルの分類を設定し直すことができる。従って、時間経過に伴ってトラックの記録条件が変化した場合でも良好な再生信号品質が得られる(所定の再生信号品質を満足する)記録マークを形成することができる。
なお、設定した記録パラメータの参照テーブルを光ディスク2の設定用領域41に記録し、次以降に記録パラメータを設定するために、設定用領域41に記録した当該参照テーブルを光ディスク装置1が読み出して使用する構成であってもよい。例えば、終端パルスの立下り位置dTlpについて決定した記録パラメータの参照テーブルが図10の場合、光ディスク2の設定用領域41に、この情報を記録する。これにより、光ディスク装置1は、次以降に記録パラメータdTlpを設定するために、図10の参照テーブルの情報を設定用領域41から読み出して使用することができる。
また、以上の構成によれば、予め試し記録を行うことによって設定した記録パラメータの参照テーブルを、新たな記録時の試し記録パラメータに利用することができるので、記録パラメータの決定までに試し記録を繰り返す回数を減らすことが可能になる。また、設定した記録パラメータの参照テーブルを光ディスク2の設定用領域41に記録するため、メモリ等の記憶装置を新たに設ける必要がなくなる。
なお、本実施の形態では、記録パラメータを参照テーブルといったテーブルの形にして用いているが、必ずしもこれに限らず、記録パラメータの集合を格納部に格納していてもよい。
また、本実施の形態では、参照テーブルの分類の仕方として、短いマーク長から段階的に分類していったが、必ずしもこれに限らない。ただし、記録マーク長が短いほど、ユーザ領域42に記録するデータの中に発生する頻度が多くなる。なお、試し記録では、ユーザ領域42に記録するデータをそのまま用いる必要はなく、ランダムなデータを使用することで、記録マーク長から段階的に記録マーク長を分類していく場合に良好な再生信号品質を得やすくなるという利点がある。また、短い記録マーク長から段階的に記録マーク長を分類していくと、所定の再生信号品質を満足できる最小限の分類数にとどめることが可能になるので、参照テーブルの記録パラメータ数を所定の再生信号品質を満足できる最小限の数に設定することが容易になる利点がある。
なお、本実施の形態では、参照テーブルで分類する記録情報として記録マーク長を用いたが、必ずしもこれに限らない。例えば記録マーク長とスペース長とを記録情報として参照テーブルで分類してもよい。この場合、記録マーク長の分類のみを変化させ、スペース長に対する分類に変更を行わないことによって、本実施の形態と同様に記録パラメータ数を抑えることができる。
また、本実施の形態では、参照テーブルの例として、終端パルスの立下り位置dTlpを用いて説明を行ったが、終端パルスの幅を表すTlpまたは冷却期間の終了する冷却終了位置dTeによる参照テーブルを用いたとしても、記録マークの後エッジの熱を制御できるため、同様の効果を得ることができる。また、記録マーク長が4T以上の場合に先頭パルスと終端パルスとの2つのパルスが生じるような図5に示したパルス列の他にも、中間パワーPmと記録パワーPwとを同じにすることにより、記録マークを一つの記録パルスにて構成する図13に示すパルス列、終端パルスの記録パワーPwと中間パワーPmとを同じにする構成の図14に示すパルス列などもある。図13および図14の場合には、終端パルスの幅を表すTlpが存在しないので、図13および図14に示す終端パルスの立下り位置dTlpを利用すればよい。つまり、図13および図14に示すようなパルス列を生じる記録媒体を用いる場合には、終端パルスの立下り位置dTlpによる参照テーブルを用いればよい。このとき、図13では、dTlpを変化させる際、dTtopの位置とdTlpの位置とが重ならない位置まで、時間の進行方向と逆方向に変化させることができる。また、図14では、dTlpを変化させる際、Ttopの立下り位置とdTlpの位置とが重ならない位置まで、時間の進行方向と逆方向に変化させることができる。
なお、本実施の形態では、前エッジの熱を制御するための記録パラメータとして先頭立上り位置dTtopを用いたが、必ずしもこれに限らず、先頭パルスの幅Ttopを記録パラメータとして用いてもよい。
また、本実施の形態では、前エッジの熱を制御するための記録パラメータを試し記録によって再設定しない構成になっているが、必ずしもこれに限らない。例えば、後エッジの熱を制御するための記録パラメータに加えて、前エッジの熱を制御するための記録パラメータを試し記録によって再設定する構成であってもよい。この場合には、後エッジの熱を制御するための記録パラメータを再設定するのと同様にして前エッジの熱を制御するための記録パラメータの再設定を行えばよい。
また、本実施の形態では、前エッジの熱を制御するための記録パラメータ群を、所定記録マーク長以上は同一の分類にする工程(第1の工程)と、後エッジの熱を制御するための記録パラメータ群を、上記記録情報のうちの少なくとも記録マーク長に応じて分類するとともに、上記所定記録マーク長以上では、上記前エッジの熱を制御するための記録パラメータよりも更に細かく分類する工程(第2の工程)の両工程を記録パラメータ設定部21内で行っているが、各工程(第1および第2の工程)のそれぞれに対応する別々の手段で行う構成であってもよい。
なお、本実施の形態では、最初に試し記録に用いる参照テーブルにおいて、記録マーク長が4T以上を同じ分類にしているが、必ずしもこれに限らず、所定記録マーク長以上であればあらゆる正の整数値をとってもよい。ここで言うところの所定記録マーク長以上とは、記録マークの前エッジでの蓄熱の影響を後エッジが受けないと見込まれる、すなわち、後エッジの記録パラメータが前エッジの記録パラメータと独立に制御できると見込まれる記録マーク長以上の記録マーク長であって、情報記録媒体(本実施の形態では、光ディスク2)の種類に応じて任意に設定されるものである。
また、本実施の形態では、試し記録の再生信号品質の評価にジッタを用いた場合を例に説明を行ったが、必ずしもこれに限らない。例えば、他にもエラーレートなどを再生信号品質の評価に用いてもよく、試し記録の再生信号品質の評価に用いる指標であれば何を用いてもよい。
なお、本実施の形態では、d=1のランレングス制限符号として(1,7)RLLコードを用いたが、必ずしもこれに限らず、他の変調方式および他のコードを用いてもよい。
また、本実施の形態では、光変調記録の光ディスク装置1を用いているが、これに限らず、光磁界変調記録の光ディスク装置でも同様に用いることができる。さらに、本実施の形態においては、記録再生装置の一例として光ディスク装置1を用いているが、必ずしもこれに限らない。例えば、情報記録媒体上を加熱することによって該情報記録媒体の物理特性を変化させて情報を記録する装置であればよく、磁気記録装置、光磁気ディスク装置などでも光ディスク装置1と同様に用いることができる。
なお、本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
最後に、上記実施形態の記録パラメータ設定部21の各部や各処理ステップは、CPUなどの演算手段が、ROM(Read Only Memory)やRAMなどの記憶手段に記憶されたプログラムを実行し、キーボードなどの入力手段、ディスプレイなどの出力手段、あるいは、インターフェース回路などの通信手段を制御することにより実現することができる。したがって、これらの手段を有するコンピュータが、上記プログラムを記録した記録媒体を読み取り、当該プログラムを実行するだけで、本実施形態の記録パラメータ設定部21の各種機能および各種処理を実現することができる。また、上記プログラムをリムーバブルな記録媒体に記録することにより、任意のコンピュータ上で上記の各種機能および各種処理を実現することができる。
この記録媒体としては、マイクロコンピュータで処理を行うために図示しないメモリ、例えばROMのようなものがプログラムメディアであっても良いし、また、図示していないが外部記憶装置としてプログラム読取り装置が設けられ、そこに記録媒体を挿入することにより読取り可能なプログラムメディアであっても良い。
また、何れの場合でも、格納されているプログラムは、マイクロプロセッサがアクセスして実行される構成であることが好ましい。さらに、プログラムを読み出し、読み出されたプログラムは、マイクロコンピュータのプログラム記憶エリアにダウンロードされて、そのプログラムが実行される方式であることが好ましい。なお、このダウンロード用のプログラムは予め本体装置に格納されているものとする。
また、上記プログラムメディアとしては、本体と分離可能に構成される記録媒体であり、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フレキシブルディスクやハードディスク等の磁気ディスクやCD/MO/MD/DVD等のディスクのディスク系、ICカード(メモリカードを含む)等のカード系、あるいはマスクROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、フラッシュROM等による半導体メモリを含めた固定的にプログラムを担持する記録媒体等がある。
また、インターネットを含む通信ネットワークを接続可能なシステム構成であれば、通信ネットワークからプログラムをダウンロードするように流動的にプログラムを担持する記録媒体であることが好ましい。
さらに、このように通信ネットワークからプログラムをダウンロードする場合には、そのダウンロード用のプログラムは予め本体装置に格納しておくか、あるいは別な記録媒体からインストールされるものであることが好ましい。
また、本発明は以下のようにも表現することができる。
本発明に係る記録パラメータ設定装置は記録情報に応じて情報記録媒体に記録マークを形成するための記録パラメータの設定を行う記録パラメータ設定装置であって、上記記録情報のうちの少なくとも記録マーク長に応じて分類されているとともに、所定記録マーク長以上は同一の分類にされている、上記記録マークのうちの少なくとも上記記録マークを形成し終わる領域である後エッジの熱を制御するための記録パラメータ群を格納した格納部に対して上記記録情報に基づいて照会を行って、試し記録を行うための試し記録パラメータを設定する試し記録パラメータ設定手段と、上記試し記録パラメータに従って行われる試し記録を再生して得られる再生信号が、所定の再生信号品質を満足しない場合には、上記記録パラメータ群の所定記録マーク長以上の分類を更に細かく分類し直して再度試し記録を行わせ、当該再生信号が所定の再生信号品質を満足する場合は、試し記録パラメータを上記記録パラメータとして設定する再生信号品質判定手段とを備える。
上記の発明によれば、記録マークの少なくとも後エッジの熱を制御するための記録パラメータ群が、所定記録マーク長以上は同一の分類にされているので、上記記録パラメータ群をすべての記録マーク長ごとに異なる分類にする場合よりも全体の記録パラメータの数を減らすことができる。
なお、上記分類とは、記録マーク長に従ったまとまりであって、具体的には、1つのくくりにまとめられた記録マーク長に対応する記録パラメータに対して共通の値、または共通の変化量が与えられていることを言う。
また、上記の発明では、試し記録のための試し記録パラメータを、記録情報に基づいて試し記録パラメータ設定手段で設定し、上記試し記録パラメータに従って行われる試し記録を再生して得られる再生信号が再生信号品質判定手段で所定の再生信号品質を満足するかどうかを判定する構成になっている。再生信号品質判定手段では、再生信号が所定の再生信号品質を満足しない場合には、上記記録パラメータ群の所定記録マーク長以上の分類を記録マーク長によって更に細かく分類し直して再度試し記録を行わせ、当該再生信号が所定の再生信号品質を満足する場合は、試し記録パラメータを上記記録パラメータとして設定するので、上記記録パラメータ群の分類数を増やしながら所定の再生信号品質を満足する記録パラメータを決定していくことになる。従って、所定の再生信号品質を満足する記録パラメータが決定したときの記録パラメータ群の分類数をより少なく抑えることが可能になる。さらに、記録マークの他の領域よりも熱の影響を受けやすい後エッジの熱を制御するための記録パラメータを、所定の再生信号品質を満足するように決定することになるので、後エッジに蓄積した熱の影響を補償して、良好な再生信号品質が得られる記録マークを形成することが可能になる。
その結果、使用する記録パラメータの数を抑えながらも、より確実に良好な再生信号品質が得られる記録マークを形成することが可能になる。
なお、上記記録パラメータ設定装置における各手段を、プログラムによりコンピュータ上で実行させることができる。さらに、上記プログラムをコンピュータ読取り可能な記録媒体に記憶させることにより、任意のコンピュータ上で上記プログラムを実行させることができる。
また、本発明の記録パラメータ設定装置では、前記再生信号品質判定手段は、前記再生信号が所定の再生信号品質を満足しない場合には、前記記録パラメータ群の所定記録マーク長以上の分類を、所定記録マーク長とそれ以外の記録マーク長とに分類し直すことが好ましい。
これにより、記録パラメータ群の分類数を1つずつ段階的に増やしながら所定の再生信号品質を満足する記録パラメータを決定していくことになる。よって、所定の再生信号品質を満足する記録パラメータが決定したときの記録パラメータ群の分類数が、より確実に所定の再生信号品質を満足する記録パラメータが得られる記録パラメータ群の分類数のうちの最小値になる。従って、使用する記録パラメータの数を最小値に抑えながらも、より確実に良好な再生信号品質が得られる記録マークを形成することが可能になる。
また、本発明の記録パラメータ設定装置では、前記記録パラメータは、前記記録マークのパルス列の終端立下り位置であることが好ましい。
これにより、記録マークのパルス列の終端立下り位置を記録パラメータとして、使用する記録パラメータの数を抑えながらも、より確実に良好な再生信号品質が得られる記録マークを形成することが可能になる。
また、本発明の記録パラメータ設定装置では、前記記録パラメータは、前記記録マークのパルス列の終端パルスの幅であることが好ましい。
これにより、記録マークのパルス列の終端パルスの幅を記録パラメータとして、使用する記録パラメータの数を抑えながらも、より確実に良好な再生信号品質が得られる記録マークを形成することが可能になる。
また、本発明の記録パラメータ設定装置は、上記課題を解決するために、記録情報に応じて情報記録媒体に記録マークを形成するための記録パラメータの設定を行う記録パラメータ設定装置であって、上記記録情報のうちの少なくとも記録マーク長に応じて分類されているとともに、所定記録マーク長以上は同一の分類にされている、上記記録マークのうちの前エッジの熱を制御するための記録パラメータ群と、上記記録情報のうちの少なくとも記録マーク長に応じて分類されているとともに、上記所定記録マーク長以上では、上記前エッジの熱を制御するための記録パラメータよりも更に細かく分類されている、上記記録マークのうちの後エッジの熱を制御するための記録パラメータ群とから上記記録パラメータがなっている。
これにより、記録マークの前エッジの熱を制御するための記録パラメータ群と比較して、記録マークの後エッジの熱を制御するための記録パラメータ群を細かく分類することができ、前エッジの熱を制御するための記録パラメータ群と後エッジの熱を制御するための記録パラメータ群との両方の分類の数を増やすよりも、全体の記録パラメータの数を少なく抑えることができる。また、記録マークの後エッジは記録マークの他の領域よりも熱の影響を受けやすいので、後エッジの熱を制御するための記録パラメータ群をより細かく分類することによって、記録マークを形成し終わる地点である後エッジの熱をより厳密に制御でき、蓄積した熱の影響を補償して良好な再生品質が得られる記録マークを形成することが可能になる。
その結果、使用する記録パラメータの数を抑えながらも、より確実に良好な再生信号品質が得られる記録マークを形成することが可能になる。
また、本発明の記録パラメータ設定装置では、前記記録マークのうちの後エッジの熱を制御するための記録パラメータは、上記記録マークのパルス列の終端立下り位置であることが好ましい。
これにより、記録マークのパルス列の終端立下り位置を後エッジの熱を制御するための記録パラメータとして、使用する記録パラメータの数を抑えながらも、より確実に良好な再生信号品質が得られる記録マークを形成することが可能になる。
また、本発明の記録パラメータ設定装置では、前記記録マークのうちの後エッジの熱を制御するための記録パラメータは、上記記録マークのパルス列の終端パルスの幅であることが好ましい。
これにより、記録マークのパルス列の終端パルスの幅を後エッジの熱を制御するための記録パラメータとして、使用する記録パラメータの数を抑えながらも、より確実に良好な再生信号品質が得られる記録マークを形成することが可能になる。
また、本発明の記録パラメータ設定装置では、前記記録マークのうちの後エッジの熱を制御するための記録パラメータは、上記記録マークのパルス列の冷却期間の終了する冷却終了位置であることが好ましい。
これにより、記録マークのパルス列の冷却期間の終了する冷却終了位置を後エッジの熱を制御するための記録パラメータとして、使用する記録パラメータの数を抑えながらも、より確実に良好な再生信号品質が得られる記録マークを形成することが可能になる。
また、本発明の記録パラメータ設定装置では、前記記録マークのうちの前エッジの熱を制御するための記録パラメータは、上記記録マークのパルス列の先頭立上り位置であることが好ましい。
これにより、記録マークのパルス列の先頭立上り位置を後エッジの熱を制御するための記録パラメータとして、使用する記録パラメータの数を抑えながらも、より確実に良好な再生信号品質が得られる記録マークを形成することが可能になる。
また、本発明の記録パラメータ設定装置では、前記記録マークのうちの前エッジの熱を制御するための記録パラメータは、上記記録マークのパルス列の先頭パルスの幅であることが好ましい。
これにより、記録マークのパルス列の先頭パルスの幅を前エッジの熱を制御するための記録パラメータとして、使用する記録パラメータの数を抑えながらも、より確実に良好な再生信号品質が得られる記録マークを形成することが可能になる。
また、本発明の記録パラメータ設定装置は、前記記録マークのうちの後エッジの熱を制御するための記録パラメータ群の所定記録マーク長以上の分類を、当該所定記録マーク長と当該所定記録マーク長以外の記録マーク長とに分類していることが好ましい。
これにより、記録マークの前エッジの熱を制御するための記録パラメータ群の分類数よりも記録マークの後エッジの熱を制御するための記録パラメータ群の分類数を1つだけ細かくして分類することになる。従って、使用する記録パラメータの数を最低限に抑えながら、より確実に良好な再生信号品質が得られる記録マークを形成することが可能になる。
また、本発明の記録パラメータ設定装置では、前記記録マークのうちの後エッジの熱を制御するための記録パラメータ群の所定記録マーク長以上の分類を、当該所定記録マーク長と当該所定記録マーク長以外の記録マーク長とに分類し、当該所定記録マーク長以外の記録マーク長の記録パラメータを、当該所定記録マーク長の記録パラメータに対して、異なった値に設定することが好ましい。
これにより、所定記録マーク長以外の記録マーク長の記録パラメータを、所定記録マーク長の記録パラメータに対して異なった値に設定するので、ジッタを悪化させるほど所定記録マーク長以外の記録マーク長が長くなった場合にも、所定記録マーク長以外の記録マーク長の記録パラメータを、所定記録マーク長の記録パラメータから独立して、後エッジの熱の蓄積を軽減するように設定することが可能になる。従って、使用する記録パラメータの数を最低限に抑えながら、より確実に良好な再生信号品質が得られる記録マークを形成することが可能になる。
また、本発明の記録パラメータ設定装置では、前記記録マークのうちの後エッジの熱を制御するための記録パラメータは、上記記録マークのパルス列の終端立下り位置であるとともに、前記所定記録マーク長以外の記録マーク長のパルス列の終端立下り位置を、前記所定記録マーク長のパルス列の終端立下り位置に対して、各記録マーク長に対応する記録情報の立下り位置を基準として、時間軸方向の時間の進行方向に対して逆方向に、相対的にずらして設定することが好ましい。
これにより、記録マーク長が長くなるにつれて先頭パルスと終端パルスとの間の中間期間が長くなることによって増大する記録マークの後エッジの熱の蓄積を軽減することが可能になる。すなわち、所定記録マーク長よりも長い所定記録マーク長以外の記録マーク長のパルス列の終端立下り位置を時間軸方向の時間の進行方向に対して逆方向に、相対的にずらすことによって、中間期間を短くして後エッジの熱の蓄積を軽減することが可能になり、ジッタを良好にすることが可能になる。
また、本発明の記録パラメータ設定装置では、前記所定記録マーク長は、4T以上であることが好ましい。
これにより、記録マークの前エッジでの蓄熱の影響を後エッジが受けないと見込まれる、すなわち、後エッジの記録パラメータが前エッジの記録パラメータと独立に制御できると見込まれる記録マーク長以上の記録マーク長に対して、後エッジの熱の蓄積を軽減するように設定することが可能になる。従って、使用する記録パラメータの数を最低限に抑えながら、より確実に良好な再生信号品質が得られる記録マークを形成することが可能になる。
本発明の情報記録媒体は、上記課題を解決するために、前記のいずれかの記録パラメータ設定装置で設定した記録パラメータを所定領域に記録している。
上記の発明によれば、使用する記録パラメータの数を抑えながらも、より確実に良好な再生信号品質が得られる記録マークを形成することが可能になる。
本発明の情報記録媒体は、上記課題を解決するために、記録情報に応じて記録マークを形成するための記録パラメータが所定領域に記録された情報記録媒体であって、上記記録パラメータは、上記記録情報のうちの少なくとも記録マーク長に応じて分類されているとともに、所定記録マーク長以上では同一に分類されている上記記録マークのうちの前エッジの熱を制御するための記録パラメータ群と、上記記録情報のうちの少なくとも記録マーク長に応じて分類されているとともに、上記所定記録マーク長よりも長い記録マーク長では同一に分類されている上記記録マークのうちの後エッジの熱を制御するための記録パラメータ群と、を含む。
上記の発明によれば、記録マークの少なくとも前エッジの熱を制御するための記録パラメータ群が所定記録マーク長以上は同一の分類にされているとともに、後エッジの熱を制御するための記録パラメータ群が所定記録マーク長よりも長い記録マーク長では同一の分類にされているので、上記記録パラメータ群をすべての記録マーク長ごとに異なる分類にする場合よりも全体の記録パラメータの数を減らすことができる。
また、記録マークの前エッジの熱を制御するための記録パラメータ群と比較して、記録マークの後エッジの熱を制御するための記録パラメータ群をより細かく分類することが可能になるので、前エッジの熱を制御するための記録パラメータ群と後エッジの熱を制御するための記録パラメータ群との両方の分類の数を増やすよりも、全体の記録パラメータの数を少なく抑えることができる。
その結果、使用する記録パラメータの数を抑えながらも、より確実に良好な再生信号品質が得られる記録マークを形成することが可能になる。
本発明の記録再生装置は、上記課題を解決するために、情報記録媒体に対して記録再生を行う光ピックアップと、前記のいずれかの記録パラメータ設定装置とを含む。
上記の発明によれば、使用する記録パラメータの数を抑えながらも、より確実に良好な再生信号品質が得られる記録マークを形成することが可能になる。
本発明の記録パラメータ設定方法は、上記課題を解決するために、記録情報に応じて情報記録媒体に記録マークを形成するための記録パラメータの設定を行う記録パラメータ設定方法であって、上記記録情報のうちの少なくとも記録マーク長に応じて分類されているとともに、所定記録マーク長以上は同一の分類にされている、上記記録マークのうちの少なくとも上記記録マークを形成し終わる領域である後エッジの熱を制御するための記録パラメータ群を格納した格納部に対して上記記録情報に基づいて照会を行って、試し記録を行うための試し記録パラメータを設定する試し記録パラメータ設定工程と、上記試し記録パラメータに従って行われる試し記録を再生して得られる再生信号が、所定の再生信号品質を満足しない場合には、上記記録パラメータ群の所定記録マーク長以上の分類を更に細かく分類し直して再度試し記録を行わせ、当該再生信号が所定の再生信号品質を満足する場合は、試し記録パラメータを上記記録パラメータとして設定する再生信号品質判定工程とを含む。
上記の発明によれば、使用する記録パラメータの数を抑えながらも、より確実に良好な再生信号品質が得られる記録マークを形成することが可能になる。
また、本発明の記録パラメータ設定方法は、上記課題を解決するために、記録情報に応じて情報記録媒体に記録マークを形成するための記録パラメータの設定を行う記録パラメータ設定方法であって、上記記録マークのうちの前エッジの熱を制御するための記録パラメータ群を、上記記録情報のうちの少なくとも記録マーク長に応じて分類するとともに、所定記録マーク長以上は同一の分類にする第1記録パラメータ群分類工程と、上記記録マークのうちの後エッジの熱を制御するための記録パラメータ群を、上記記録情報のうちの少なくとも記録マーク長に応じて分類するとともに、上記所定記録マーク長以上では、上記前エッジの熱を制御するための記録パラメータよりも更に細かく分類する第2記録パラメータ群分類工程とを含む。
上記の発明によれば、使用する記録パラメータの数を抑えながらも、より確実に良好な再生信号品質が得られる記録マークを形成することが可能になる。
以上のように、本発明の記録パラメータ設定方法は、使用する記録パラメータの数を抑えながらも、より確実に良好な再生信号品質が得られる記録マークを形成することを可能にする。したがって、本発明は、光ディスク、光磁気ディスクなどの情報記録媒体を利用する産業分野、特に高速記録が可能な情報記録媒体を利用する産業分野に好適に用いることができる。
本発明における光ディスク装置の制御部の実施の一形態を示す機能ブロック図である。 上記光ディスク装置の実施の一形態を示すブロック図である。 上記光ディスク装置によって情報が記録される光ディスクを示す斜視図である。 記録情報に対応するパルス列の設定を説明するタイミングチャートである。 2Tマーク長から9Tマーク長の記録マークを形成するためのパルス列および記録パルスパラメータを説明するタイミングチャートである。 本発明における記録パラメータの設定動作の動作フローを説明するフローチャートである。 本発明における参照テーブルの実施の一形態を示す図である。 本発明における参照テーブルの実施の一形態を示す図である。 本発明における参照テーブルの実施の一形態を示す図である。 本発明における参照テーブルの実施の一形態を示す図である。 本発明における参照テーブルの実施の一形態を示す図である。 記録パラメータの条件に対するジッタの変化を示す図である。 2Tマーク長から9Tマーク長の記録マークを形成するためのパルス列および記録パルスパラメータの一例を説明するタイミングチャートである。 2Tマーク長から9Tマーク長の記録マークを形成するためのパルス列および記録パルスパラメータの一例を説明するタイミングチャートである。 本発明における記録パラメータの条件に対するジッタの変化を示す図である。 (a)および(b)は、本発明における光ディスクに記録された参照テーブルの一例を示す図である。 従来技術に係る参照テーブルを示す図である。 従来技術に係る参照テーブルを示す図である。
符号の説明
1 光ディスク装置(記録再生装置)
2 光ディスク(情報記録媒体)
3 格納部
10 記録再生回路群
11 光ヘッド(光ピックアップ)
12 ピックアップ
13 ピックアップ駆動回路
14 レーザ駆動回路
15 再生回路
20 制御部
21 記録パラメータ設定部(記録パラメータ設定装置)
22 記録情報取得部
23 試し記録パラメータ設定部(試し記録パラメータ設定手段)
24 試し記録指示部
25 再生信号取得部
26 再生信号品質判定部(再生信号品質判定手段)
27 記録指示部
41 設定用領域
42 ユーザ領域

Claims (5)

  1. 報記録媒体に記録マークを形成するためのパルス列の記録パラメータの設定を行う記録パラメータ設定方法であって、
    第1所定記録マーク長以上で最大の記録マーク長以下の記録マークを形成するためのパルス列は、先頭パルスを含む先頭部と、冷却期間を含む終端部と、前記先頭部と前記終端部との間の期間として単一パルスで構成される中間部とを含み、
    前記記録マークのうちの前エッジの熱を制御するための記録パラメータ前記第1所定記録マーク長以上最大の記録マーク長以下について、共通の値に設定する第1記録パラメータ設定工程と、
    前記記録マークのうちの後エッジの熱を制御するための記録パラメータを、第2所定記録マーク長以上最大の記録マーク長以下について、共通の値に設定する第2記録パラメータ設定工程とを含み、
    前記第2所定記録マーク長は、前記第1所定記録マーク長よりも長い記録マーク長であることを特徴とする記録パラメータ設定方法。
  2. 前記記録マークのうちの後エッジの熱を制御するための記録パラメータを、前記第1所定記録マーク長以上については、当該第1所定記録マーク長と当該第1所定記録マーク長以外の記録マーク長とに設定することを特徴とする請求項1に記載の記録パラメータ設定方法。
  3. 前記記録マークのうちの後エッジの熱を制御するための記録パラメータを、第1所定記録マーク長以上については、当該第1所定記録マーク長と当該第1所定記録マーク長以外の記録マーク長とに設定し、当該第1所定記録マーク長以外の記録マーク長の記録パラメータを、当該第1所定記録マーク長の記録パラメータに対して、異なった値に設定することを特徴とする請求項2に記載の記録パラメータ設定方法。
  4. 前記記録マークのうちの後エッジの熱を制御するための記録パラメータは、前記記録マークを形成するためのパルス列の終端立下り位置であるとともに、前記第1所定記録マー
    ク長以外の記録マーク長の記録マークを形成するためのパルス列の終端立下り位置を、前記第1所定記録マーク長の記録マークを形成するためのパルス列の終端立下り位置に対し
    て、各記録マーク長に対応する記録情報の立下り位置を基準として、時間軸方向の時間の進行方向に対して逆方向に、相対的にずらして設定することを特徴とする請求項3に記載の記録パラメータ設定方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の記録パラメータ設定方法で用いられる記録パラメータを所定領域に記録していることを特徴とする情報記録媒体。
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