以下、本発明をスロットマシン(回動式遊技機の一態様)に適用した一実施形態について図面を参照しながら説明する。
A.第1実施例:
1.全体構成:
2.内部の構成:
3.スロットマシンの内部構成:
4.スポットライトの構成:
5.放射態様:
6.スポットライトによる演出例:
7.スポットライトの演出制御:
B.点灯データ生成装置:
1.装置構成:
2.点灯データの生成方法:
C.第2実施例:
A.第1実施例:
1.全体構成:
図1は、回胴式遊技機の一実施形態であるスロットマシン1の正面図である。スロットマシン1は、遊技媒体であるメダル(遊技メダル)を遊技価値としてゲームを行うことができるタイプのものである。「遊技価値」とは、遊技場(ホール)において1回ごとのゲームについて掛ける対象、およびゲームの結果に応じた特典として払い出しの対象となることを意味する。
本実施例の回胴式遊技機は遊技球を用いてスロットマシン遊技を行う遊技機や、遊技価値を情報として記録する記録媒体(磁気カード、ICカード等)を用いてもよい。本実施例は、この他、パチンコ機などの遊技機として構成してもよい。
スロットマシン1の本体(遊技機本体)は、箱形の本体部2および前面扉4(前面部材)から構成されている。図1中、本体部2は前面扉4の奥側に隠れて位置しており、その正面からみた外形は前面扉4とほぼ一致している。すなわち、本体部2は縦長の箱形状をなしており、その前面側の開口が前面扉4でぴったり閉塞されている。図1には示されていないが、本体部2の内部はある程度の奥行きを有した収容空間となっており、この内部に各種の構成要素が収容されている。
(1−1.前面部材) 前面扉4はその左側端部にて本体部2にヒンジ機構を介して接合されており、このヒンジ機構の働きにより、前面扉4は左側を基端として開閉動作することができる。また図1には示されていないが、前面扉4の右側端部には、その裏側の位置にラッチ機構を有した錠装置が設けられており、一方、本体部2の右側壁には、その内側の位置にストライカが設置されている。図示のように前面扉4が本体部2の前面を閉塞した状態では、本体部2のストライカが前面扉4のラッチ機構を受け止め、そのラッチ(係止片・係止爪等)と噛み合うことで前面扉4が施錠される。
また、前面扉4の右側縁部には鍵穴付きのキーシリンダ部48が設置されており、ホールにて管理されている専用鍵を鍵穴に挿入して時計回り方向にひねれば、本体部2のストライカと前面扉4のラッチとの噛み合いが外れ、前面扉4の施錠が解除された状態となる。この状態でホールの管理者が前面扉4を手間側へ引くと、そのまま前面扉4を片開き式に開くことができる。
前面扉4は通常、遊技者に正面から相対する部材であり、それゆえ前面扉4には装飾的な要素が各所に配置されている。すなわち、前面扉4の表面には全体的にめっき処理(クロームめっき、着色クロームめっき、ゴールドめっき等)が施されており、それゆえ前面扉4は、全体として金属的な重厚感のあるイメージを観るものに与えている。
(1−2.画像表示装置) 前面扉4はその上半分に比較的大型の液晶表示装置58を備えている。液晶表示装置58は前面扉4の前面に沿って設置されており、それゆえ遊技者はほぼ正面から液晶表示装置58を視認することができる。液晶表示装置58は、その横幅が前面扉4の幅方向に大きく拡がっており、また縦方向の長さは前面扉4の中央あたりから上半分のほぼ全域を占めるほどの大きさ(画面サイズが19インチ程度)を有している。
(1−3.図柄表示部) 液晶表示装置58の表示画面(表示領域)には、中央から僅かに下寄りの位置に表示窓6が形成されている。表示窓6は横長の矩形形状をなしており、この表示窓6の部位では液晶表示装置58が透明な状態となっている。つまり、液晶表示装置58は前面側の液晶表示パネルの背後に光拡散板、導光板、反射板等の構成部材を重ね合わせることで構成されているが、表示窓6に相当する部位には光拡散板や導光板、反射板等の構成部材が配置されておらず、液晶表示パネル(液晶層と2枚のアレイ基板)だけが配置された状態となっている。それゆえ本実施形態では、表示窓6を通じて前面扉4(液晶表示装置58)の奥を視認することが可能となっている。
(1−4.可動表示体) 表示窓6の奥には、図柄を表示するための可動表示体として3つのリール10a,10b,10cが配置されている。これら3つのリール10a,10b,10cは前面扉4の奥、つまり、本体部2の内部に配置されている。3つのリール10a,10b,10cは本体部2の内部で横方向に並んで配置されており、その並び位置を冠して左リール10a、中リール10b、右リール10cとしてそれぞれ呼び分けられている。
(1−5.操作部) 前面扉4において、液晶表示装置58の部分は全体的に奥まっているが、前面扉4の下半分の部位は表示窓6(液晶表示装置58の画面)よりも前面側に突出するようにして成形されており、それゆえ下半分の部位と液晶表示装置58との間には前後方向への段差が与えられている。この段差を埋めるようにして、前面扉4の下半分の部位には右側にメダルの投入口26が設けられているほか、左側に1ベットボタン12およびMAXベットボタン16が間隔をおいて配置されている。
遊技者は投入口26を通じて1枚ずつメダルを投入することができ、投入されたメダルはゲームごとの掛け数(ベット数)となり、最大のベット数を超えて投入されたメダルはクレジットとして貯留される。また遊技者は、いずれかのベットボタン12,16を操作(押し下げ操作)すると、残存するクレジットの中からベット数を決定することができる。このうち左端側に位置する1ベットボタン12は、最初(ベット数がない状態)の操作で1ベット(1枚掛け)に対応し、この後の繰り返し操作はベット数を1ずつ加算することに対応する。したがって、遊技者が1ベットボタン12を2回操作すれば2ベットになり、さらにもう1回操作すれば3ベットになる。もう一方のMAXベットボタン16は、1回の操作で最大ベット数に対応する。本実施形態の場合、通常ゲームまたはビッグボーナス中の小役ゲームでは最大ベット数が3であり、レギュラーボーナスゲーム(JACゲーム)では1である。
なお、前面扉4の左端部には貯留精算ボタン46が配置されており、遊技者はこの貯留精算ボタン46を操作することでクレジットの貯留を精算し、メダルの返却を受けることができる。
また前面扉4には、上記のベットボタン12,16の下方の位置に始動レバー18が設けられており、この始動レバー18は、前面扉4から前面側へ突出するようにして配置されている。なお、始動レバー18の操作態様については、これを押し下げるもの、押し上げるもの、上下左右を含むいずれかの方向へ傾斜させるもの等のパターンがある。いずれにしても、遊技者は始動レバー18を操作することで、リール10a,10b,10cの回転を開始(始動)させることができる。
また前面扉4の中央位置には、左停止ボタン20、中停止ボタン22および右停止ボタン24が横方向に3つ並んで配置されている。始動レバー18が操作されて3つのリール10a,10b,10cが回転した後、遊技者が左停止ボタン20、中停止ボタン22および右停止ボタン24を1つずつ操作(例えば押し込む操作)すると、その操作順に対応する左リール10a、中リール10b、右リール10cの回転が停止される。
(1−6.表示部) 前面扉4には、その上部位置に3つのベットランプ(有効ラインランプ)42a,42b,42cが配置されており、これらベットランプ42a〜42cの点灯数によってゲームごとのベット数(1〜3)が表示されるものとなっている。3つのベットランプ42a,42b,42cは上下に並べて配置されており、一番下のベットランプ42cだけが点灯するとベット数として1(1枚掛け)が表示され、下から2つのベットランプ42b,42cがともに点灯するとベット数として2(2枚掛け)が表示され、そして3つのベットランプ42a,42b,42cが点灯するとベット数として3が表示される。
また前面扉4には、その上部位置にクレジット数表示部30、ゲーム数表示部32および払出枚数表示部34が設けられており、これら表示部には7セグメントLED等によってクレジット数、ゲームカウント数、払出枚数等の各種数値情報が表示される。
遊技者は1回のゲームごとに必要な掛け数に相当する枚数のメダルを投入していけばよいが、遊技者が保有するメダルを前もってスロットマシン1に投入しておくことで、便宜上、クレジットとして貯留させることができ、クレジット数表示部30には現在のクレジット数が数値表示される。なお本実施形態のスロットマシン1では、クレジットとして貯留が可能な上限値が最大でメダル50枚分である。
また、1回のゲームの結果として遊技者にメダルが付与される場合、その付与されるメダル枚数が払出枚数表示部34に数値表示される。また払出枚数表示部34は、スロットマシン1に発生した各種の障害の種類(エラーコード)を表示するエラー表示部としても機能する。
ゲーム数表示部32には、特別な遊技状態であるビッグボーナス(BB)中に提供される小役ゲームの残回数や、レギュラーボーナス(RB)の残回数等が表示される。遊技者はここでの数値表示から、ビッグボーナスやレギュラーボーナス中における残りゲーム数を確認しながらゲームを進行することができる。
同じく前面扉4の上部位置には、メダルインランプ36、スタートランプ28およびボーナスフラグ告知ランプ44が配置されている。メダルインランプ36は、その点灯によってメダルの投入受け付けが可能である旨を表示し、遊技者にメダルの投入を促す働きをする。反対にメダルインランプ36が消灯していれば、それはメダルの投入受け付けが不可であることを意味する。
またスタートランプ28は、その点灯によって始動レバー18の操作受け付けが可能である旨を表示し、遊技者に始動レバー18の操作を促す働きをしている。そして始動レバー18の操作が有効に受け付けられると、スタートランプ28が消灯して始動レバー18の操作受け付けが不可となる。
ボーナスフラグ告知ランプ44は、その点灯によってビッグボーナスやレギュラーボーナスに内部当選している旨(ボーナス図柄を揃えることができる状態)を表示する。その他、図1には示されていないが、スロットマシン1には公知の表示部として、リールの始動待ち状態を表示するウェイトランプや、今回のゲームが再遊技であることを表すリプレイランプ、ボーナスゲーム中であることを表す状態表示ランプ、ゲームの終了(打ち止め)を表すゲームオーバーランプ等を設けることができる。
前面扉4の下部分には化粧パネル50が設置されている。化粧パネル50には装飾的なデザインが施されており、そこにはスロットマシン1の機種名やゲームコンセプトを象徴する装飾画が描かれているほか、スロットマシン1の役構成や払出枚数等の情報が表示されている。
前面扉4の下縁部にはメダルの払出口52および受皿54が形成されており、払出口52は受皿54の奥に位置する。払出口52から払い出されたり、返却されたりしたメダルは受皿54にて受け止められる。
(1−7.演出要素) その他、スロットマシン1には、遊技の進行に伴う演出を行うための要素が装備されている。例えば、前面扉4の上部位置には、左右で一対のスピーカ56(音響機器)が設置されている。また、前面扉4の左右側縁部にはランプ60,62,64が設置されており、これらランプ60,62,64には発光体としてLEDが内蔵されているほか、その前面がカラフルな(例えば赤色、青色、黄色、橙色等)樹脂製の光拡散カバーで覆われている。
さらに本実施形態では、前面扉4の上部位置に4つのスポットライト140a,140b,140c,140d(光放射器)が設置されている。これらスポットライト140a〜140dは、集光された光線を下方に向けて放射することができるものとなっている。なおスポットライト140a〜140dの詳細についてはさらに後述する。
2.内部の構成
図2は、本体部2の内部を示す説明図である。通常、前面扉4を頻繁に取り外しすることはないが、図2では構造の理解を容易にするため、便宜上前面扉4が取り外された状態で示されている。
(2−1.リール) 本体部2の内部には支持棚2aが設けられており、この支持棚2aは、本体部2の内部を上下に仕切るようにして左右および前後に延びている。支持棚2aの上に3つのリール10a,10b,10cが設置されており、これらリール10a,10b,10cは前面扉4が閉じられた状態で、ちょうど表示窓6を通して前面側から視認される位置にある。
各リール10a,10b,10cは横型円筒形状に成形されており、外周にはそれぞれリール帯と称する光透過性の帯状材が巻かれている。リール帯には複数(本実施形態では21個)の図柄が1列をなして付されており、このようなリール帯が1周するように巻かれることで、各リール10a,10b,10cの表面に図柄列が形成されている。図柄にはいくつか種類があり、例えば数字の「7」や「BAR」、「JAC」、「REPLAY」等の文字、ベル、スイカ、チェリー等を図案化したもの、あるいは、スロットマシン1の機種を特徴付けるキャラクタや図形、記号等を図案化したもの等が含まれている。
各リール10a,10b,10cの内周側にはリールバックライト144が配置されており、このリールバックライト144は対応する各リール10a,10b,10cにつき、表示窓6内で上段、中段、下段に位置する図柄に背後からバックライト(透過光)をあてることで、図柄を点灯表示させることができる。
(2−2.ホッパ装置) また本体部2の内部には、底板の上面にホッパ装置78が設置されており、さらにホッパ装置78の右脇の位置にはメダル補助収納庫84が設置されている。ホッパ装置78はモータを内蔵し、このモータの駆動により貯えたメダルを1枚ずつ払い出す機能を有している。また上記の投入口26から投入されたメダルはホッパ装置78に受け止められ、ここに貯えられる。ホッパ装置78は相当枚数(例えば2000枚程度)のメダルを貯えられるだけの容量を有しているが、容量オーバーになるとメダルが右方向へ溢れ出て、その溢れた分がメダル補助収納庫84に収納される。
(2−3.電子機器類) 本体部2の内部には各種の電子機器類が設置されている。図2中、主なものは電源ユニット70のほか、メイン制御基板92やサブ制御基板94、外部端子板96等の基板類である。
メイン制御基板92やサブ制御基板94等は、いずれも樹脂製の基板ボックスに収容された状態で本体部2内に設置されている。基板ボックスは、外側から各基板への接触を阻害する保護ケースとなる。特にメイン制御基板92の基板ボックスは、機械的な封印部92a(ワンウェイねじによる締結部)によって開封不能に閉止されている。このためメイン制御基板92に不正チップ等を組み込もうとしても、基板ボックスを破壊しない限り改変はできないので、不正改造等を試みた場合にその痕跡をはっきり残すことができる。さらに基板ボックスには本体締結部92bが形成されており、基板ボックス全体が本体締結部92を介して本体部2に対して強固に締結されている。したがって、不正目的で基板ボックスそのものを本体部2から取り外すことはできないし、もしも取り外しを試みた場合はその痕跡がはっきりと残されることになる。
3.スロットマシンの内部構成
図3は、スロットマシン1に装備されている各種の機構要素や電子機器類、操作部材等の構成を概略的に示す説明図である。
(3−1.メイン制御基板〔遊技制御手段〕) 上記のメイン制御基板92は、スロットマシン1の遊技の進行を統括的に制御するためのものである。メイン制御基板92には、CPU110をはじめROM112、RAM114等の電子部品が実装されている。メイン制御基板92は主に遊技者の利益に関わる内部抽選を行い、その抽選結果に基づいて各リール10a,10b,10cの停止位置を制御する機能を有する。
図3に示されているように、上記の操作部である1ベットボタン12やMAXベットボタン16、始動レバー18、左停止ボタン20、中停止ボタン22、右停止ボタン24、貯留精算ボタン46等はいずれもメイン制御基板92に接続されており、これら操作部は図示しないセンサを用いて遊技者による操作を検出し、その操作信号をメイン制御基板92に出力する。
また上記の表示部であるクレジット数表示部30やゲーム数表示部32、払出枚数表示部34、メダルインランプ36、スタートランプ28、ベットランプ42a,42b,42c等はメイン制御基板92に接続されている。メイン制御基板92は、遊技の進行を制御する過程で各表示部にて必要な情報を表示(点灯表示、数値表示)することができる。
またスロットマシン1は、左リール10a、中リール10b、右リール10cを個別に回転させるため、左リール駆動モータ88a、中リール駆動モータ88b、右リール駆動モータ88cを有している。これらリール駆動モータ88a,88b,88cはステッピングモータからなり、それゆえメイン制御基板92からは、各リール駆動モータ88a,88b,88cの駆動(回転・停止)を制御するための駆動パルス信号が個別に出力される。
またスロットマシン1は、各リール10a,10b,10cの回転に関する基準位置を検出するための、左リール位置センサ106a、中リール位置センサ106b、右リール位置センサ106cを有しており、これらリール位置センサ106a,106b,106cからの検出信号(基準位置信号)がメイン制御基板92に入力されている。メイン制御基板92はこの検出信号に基づいて各リール10a,10b,10cの回転に関する位置(いずれの図柄が表示窓6内のどの位置に存在しているか)を割り出し、その停止時にいずれの図柄を有効ライン上に停止させるかの制御、つまりリール制御を実行することができる。
リール10a,10b,10cの停止時にメダルの払い出しが必要となる場合、メイン制御基板92はホッパ装置78に対して駆動信号(ON信号)を出力し、払出用のモータを駆動する制御を行う。一方、ホッパ装置78には払出センサ98が内蔵されており、この払出センサ98は実際に払い出されたメダルを検出し、その検出信号をメイン制御基板92に出力する。メイン制御基板92は、実際の払出枚数が規定の払出枚数に達すると、そこで払出用モータの駆動を停止させる。
一方、スロットマシン1はメダル満タンセンサ86を備えており、上記のメダル補助収納庫84内にある程度の量のメダルが溜まると、メダル満タンセンサ86から検出信号が出力される。この検出信号を受け取ると、メイン制御基板92は障害発生と判断して遊技の進行を一時中断し、上記の払出枚数表示部(エラー表示部)34にてエラーコードを表示させる処理を行う。
一方、前面扉4の裏側には、錠装置と一体にエラー解除センサ100が設置されている。ホールの従業員は上記のキーシリンダ部48に専用キーを差し込んだ状態で、これを反時計回り方向にひねることでエラー解除操作を行うことができ、このようなエラー解除操作がなされると、エラー解除センサ100から検出信号が出力される。メイン制御基板92は既にメダル満タン等の障害が取り除かれていることと、合わせてエラー解除操作がなされたことを各検出信号に基づいて判断すると、エラーコードの表示を止めて遊技を続行可能な状態に復帰させる(エラー解除)処理を行う。なお、ここではメダル満タンを障害の例に挙げているが、この他にも各種障害には投入メダル通過時間エラー(メダルの滞留)、投入メダル通過チェックエラー(重複検出等)、投入メダル逆行エラー(メダル投入通路内での逆行)、ホッパーエンプティエラー(メダル切れ)、ホッパージャムエラー(ホッパ内でのメダル詰まり)、イリーガルヒットエラー(リール制御上の障害)等がある。
また、前面扉4の背面側(本体部2の内部)には、投入口26の奥にメダル投入通路が形成されており、このメダル投入通路の途中に投入センサ104およびロックアウトソレノイド102が設置されている。投入センサ104は、メダル投入口26から投入されたメダルを検出し、その検出信号をメイン制御基板92に出力する。メイン制御基板92は、投入センサ104からの検出信号に基づき、投入されたメダルがメダル投入通路を正常に通過したか否かを判断(通過に要した時間・通過方向の判断)する。一方のロックアウトソレノイド102は、メダル投入通路を開閉する役割を果たす。ロックアウトソレノイド102は、非作動の状態でメダル投入通路を閉塞しているが、作動時にはメダル投入通路を開き、メダルの投入を受け付け可能な状態にする。
逆に、ロックアウトソレノイド102が非作動になるとメダル投入通路が閉塞されてメダルの投入が受け付けられなくなり、遊技者がメダルを投入しても、そのまま受皿54に返却される。これにより、メダル投入によるベット・クレジット加算のいずれも行われなくなる。
(3−2.外部端子板) メイン制御基板92には外部端子板96が接続されており、スロットマシン1はこの外部端子板96を介してホールコンピュータ108に接続されている。外部端子板96は、メダルの出入信号(投入メダル信号や払出メダル信号)のほか、メイン制御基板92から送信される各種信号(BB中、RB中等を表す遊技ステータス)をホールコンピュータ108に中継している。なお、「BB」はビッグボーナス、「RB」はレギュラーボーナスの略号であり、本実施形態では、いずれも公知の内容と同じである。
(3−3.サブ制御基板〔演出制御手段〕) 上記のサブ制御基板94には、CPU118やROM120、RAM122、VDP(Video Display Processor)124、オーディオアンプ126、音源ICOM8(音響機器)等が実装されている。サブ制御基板94は、メイン制御基板92から送信される指令信号に基づいて、例えば液晶表示装置58による画像の表示や、スピーカ56の作動を制御するほか、ランプ(LED)60,62,64の点灯または点滅を制御している。またサブ制御基板94は、上記した4つのスポットライト140a〜140dによる光線の放射をも制御している。
さらにサブ制御基板94は、メイン制御基板92から送信される指令信号(メダル投入音コマンド、ベット操作音コマンド、払出音コマンド等)を受け取って、液晶表示装置58やスピーカ56、ランプ60,62,64の制御を実行することもできる。
前面扉4の背面には、左リール10a、中リール10b、右リール10cの表面を照らすためのリール照明用ライト142が装備されており、このリール照明用ライト142は上記のリールバックライト144とともにサブ制御基板94により点灯状態を制御されている。リール照明用ライト142は冷陰極管等の白色照明からなり、左リール10a、中リール10b、右リール10cを均等に照らすべく表示窓6の上縁部の裏側に配置されている。
(3−4.電源ユニット) 上記の電源ユニット70は外部電源(例えばAC100V)から電力を取り込み、スロットマシン1の作動に必要な電力(例えばDC24V,12V,5V)を生成する。本実施形態では、電源ユニット70からメイン制御基板92に電力が供給され、そして、メイン制御基板92を中継してリール駆動モータ88a,88b,88cやホッパ装置78、サブ制御基板94、各種演出要素に必要な動作電力が供給される。
また電源ユニット70には、設定キースイッチ72やリセットスイッチ74、電源スイッチ76等が付属している。これらスイッチ類はいずれも本体部2の外側に露出しておらず、前面扉4を開くことで始めて操作可能となる。このうち電源スイッチ76は、スロットマシン1への電力供給をON−OFFするためのものであり、設定キースイッチ72はスロットマシン1の設定(例えば設定1〜6)を変更するためのものである。またリセットスイッチ74はスロットマシン1で発生したエラーを解除するためのものであり、さらには設定キースイッチ72とともに設定を変更する際にも操作される。設定の変更は、スロットマシン1の出玉率(投入枚数に対する払出枚数の割合)を段階的に変更するためのものであり、通常、設定1で最も低い出玉率となり、設定6で最も高い出玉率となる。なお、このような設定の変更は遊技場の責任者によって行われる。
また本体部2の内部に扉開放センサ132が設置されており、前面扉4が開放されると、扉開放センサ132から検出信号が出力される。メイン制御基板92は扉開放センサ132からの検出信号に基づいて前面扉4の開閉状態を判別することができ、前面扉4が開放状態であると判断した場合、その旨を表す信号を外部端子板96からホールコンピュータ108に送信することができる。
4.スポットライトの構成
図4は、上記のスポットライト140a〜140dの構造を示す説明図である。本実施形態では、4つのスポットライト140a〜140dについて、その取付位置・や光軸方向等の態様が異なるため参照符号が別々となっているが、構造は全て同一である。
スポットライト140a〜140dは筒状のケース体146を備え、このケース体146に砲弾型の発光ダイオード148(以下、LEDと略称)と複眼式のレンズ体150が内蔵されている。図4(b)に示されているように、LED148は全部で7つあり、中央に配置された1つのLED148を取り巻いて、他の6つが六角形を描くようにして配置されている。これら7つのLED148の配置に合わせて、レンズ体150には7箇所の球面凸レンズ部150aが形成されている。このためスポットライト140a〜140dは、個々のLED148から発せられる光を対応する球面凸レンズ部150aにて集光し、1纏まりの光線として放射する機能を有している。
ケース体146の周囲は先細った円筒形状のシェル体152に覆われており、このシェル体152は前面扉4と一体に成型されている。このためケース体146は、シェル体152に収容された状態で前面扉4に固定されている。シェル体152はケース体146を前面扉4の上部位置に支持した状態でスポットライト140a〜140dを形成するほか、スポットライト140a〜140dから放射される光線の進行方向(角度)を設定する役割を果たしている。なお、光線の進行方向についてはさらに後述する。
図4(b)に示されているように、ケース体146はLED148の配置に合わせて六角柱形状の外形を有しているが、角部は曲面状に成型されている。ケース体146は2つ割式の半体146a,146bから構成されており、これら2つの半体146a,146bを相互に組み合わせた状態で、ケース体146の内部にLED148およびレンズ体150がそれぞれ支持されている。なお半体146a,146bは、図4(b)の”a−a”線にて2つに分離されるが、図4(a)には半体146a,146bの断面形状が示されている。
7つのLED148は全て1つのLED基板154に実装されており、LED基板154はケース体146の内部形状に合わせて円盤状に成型されている。また図4(a)に示されているように、LED基板154の実装面には樹脂製のモールディング156が敷設されており、このモールディング156もまたLED基板154に合わせて円盤状に成型されている。モールディング156は、7つのLED148の配置に合わせて7つのスリーブ部156aを有しており、これらスリーブ部156aはLED148の外形に合致する挿通孔を有する。このためモールディング156がLED基板154の実装面に装着された状態で、個々のLED148はスリーブ部156aに挿通される。この状態で個々のLED148がモールディング156に保持され、それぞれの中心がレンズ体150に対して正確に位置決めされている。またスリーブ部156aは、LED基板154の側面を覆うとともに先端部分のみを突出させることで、周囲に光が拡散するのを遮っている。
レンズ体150は、光の放射方向でみてケース体146の出口部分を塞ぐようにして固定されている。ケース体146内にて、LED148とレンズ体150との間には一定の間隔(25mm程度)が確保されているが、上記のように各LED148の中心は対応する球面凸レンズ部150aの光軸に合致している。
なお本実施形態におけるスポットライト140a〜140dの光学系は以下の諸元により構成される。(1)LED148:φ8.5mm,定格電流50mA,赤色単発光(2)レンズ体150:外径35mm(7レンズ複眼式)(3)球面凸レンズ部150a:外径12mm,厚み3mm,前面曲率半径20mm,裏面曲率半径100mm(4)光放射特性:7個のLED148を点灯させて、レンズ体150から1.5m離れた平面上に直径300mmの大きさで均一な円形状の光線を放射可能。
5.放射態様
図5から図7は、前面扉4の上部位置に取り付けられた4つのスポットライト140a〜140dによる光線の放射態様を示している。先ず図5に示されているように、スロットマシン1の正面からみて、4つのスポットライト140a〜140dは2つずつ左右対称に配置されている。
図5中に一点鎖線で外形が描かれているように、スロットマシン1の正面からみて、各スポットライト140a〜140dは液晶表示装置58の上方から下方に向けて光線B1〜B4を放射することができる。このうち、左右両外側に位置する2つのスポットライト140a,140dから放射される光線B1,B4はほぼ真下(鉛直線との間に僅かな角度を存する)に向かって進行するが、その内側に位置する2つのスポットライト140b,140cから放射される光線B2,B3は、左右外側へ末広がりに拡がるようにして進行する。
また隣り合う2つのスポットライト140a,140b同士、あるいはスポットライト140c,140d同士でみると、それぞれから放射される光線B1,B2あるいは光線B3,B4が互いに交差している。本実施形態では、ちょうど表示窓6の前面側あたりで光線B1と光線B2あるいは光線B3と光線B4とが交差する態様となっている。
また図6から明らかなように、スロットマシン1の側面からみて、左右両側のスポットライト140a,140dから放射される光線B1,B4はほぼ真下(鉛直線との間に僅かな角度を存する)に向かって進行するが、その内側に位置する2つのスポットライト140b,140cから放射される光線B2,B3は、斜め前方に向かうようにして進行する。
(5−1.受光面領域) 本実施形態では、4つのスポットライト140a〜140dから放射された光線B1〜B4により前面扉4の一部が照らし出されるものとなっており、特に光線B1〜B4は、前面扉4のうち上記の操作部(1ベットボタン12、MAXベットボタン16、始動レバー18、停止ボタン20,22,24、投入口26、貯留精算ボタン46等)が配置された前面扉4の表面部位を重点的に照らし出す態様で放射されている。
(5−2.光線の進行経路) ただし本実施形態では、いずれの光線B1〜B4もその進行経路において表示窓6の表面(液晶表示装置58の画面)にまで到達しておらず、ほぼ真下に向かって進行する光線B1,B4でさえ、その進行途中において表示窓6を照射したり、ここで反射されたりすることはない。それゆえ本実施形態では、リール10a,10b,10cの表面にまで光線B1〜B4が到達することはなく、光線B1〜B4はその進行経路においてリール10a,10B,10cに照射されない(干渉しない)態様で放射されていることが理解される。このため光線B1〜B4は、遊技者がリール10a,10b,10cを視認する際に大きな影響を及ぼしたり、視認の妨げとなったりすることはない。
図7に示されているように、スロットマシン1は通常、ホール内の島設備に複数台が横方向に並んだ状態で設置される。この場合、隣り合うスロットマシン1同士の間には、メダルサンド(球貸し機)が配置される間隔が確保されているが、本実施形態では光線B1〜B4(特に光線B2,B3)が隣接する他のスロットマシン1にまで到達しない態様で放射されている。このためホール内の島設備において、ある1台のスロットマシン1によりスポットライト140a〜140dが作動された場合であっても、その光線B1〜B4が左右に隣接するスロットマシン1の遊技に大きな影響を及ぼすことはない。
6.スポットライトによる演出例
図8は、実際にスロットマシン1で遊技者が遊技する際のスポットライト140a〜140dによる演出例を示している。本実施形態では、以下に挙げられる複数の態様でスポットライト140a〜140dを用いた演出が行われる。
(6−1.基本演出) スポットライト140a〜140dを用いた演出の基本的な内容は、その光線B1〜B4によって前面扉4の表面部位や遊技者の身体の一部(手や膝、足)、床面等を照らし出すことである。上記のように、光線B1〜B4は操作部(1ベットボタン12、MAXベットボタン16、始動レバー18、停止ボタン20,22,24、投入口26、貯留精算ボタン46等)が配置された前面扉4の表面部位を重点的に照らし出すため、スポットライト140a〜140dから光線B1〜B4が放射されている間は、何らかの操作を行う遊技者の身体(手、腕)が光線B1〜B4を浴びて照らし出される。また、光線B1〜B4のうち前面扉4から手前側へ漏れ出た光は遊技者の膝元や足下を照らし出す。
このように、スポットライト140a〜140dから光線B1〜B4が放射されると、遊技者はその身体にスポットライト(光線B1〜B4)を浴びて周囲から際立つように照らし出されるため、ホール内で周囲から注目の的となる。また遊技者は、自身の視覚によってもスポットライト140a〜140dによる光線B1〜B4の照射を浴びていることがはっきりと認識できるため、視覚的にインパクトの強い演出効果が発揮される。
このように、視覚的にはっきりと目立つ演出内容であっても、スポットライト140a〜140dから放射される光線B1〜B4は全て下向きに直進し、四方八方への拡散性を有していないので、当の遊技者や周囲の遊技者の肉眼に直接光が入り込むことはない。
この点、従来のような発光部(拡散面発光)による発光演出では、発光面積をいくら大きくしてもスロットマシン自身がやかましく発光して自己主張しているに過ぎず、かえって遊技者が発光演出を煩わしく感じてしまうこともあったが、本実施形態ではスロットマシン1が遊技者に光線(文字通りスポットライト)を浴びせかけ、遊技の主役である遊技者をもり立てるという斬新な発想が採用されている。
(6−2.応用演出) 上記の基本演出内容をもとに、以下にいくつか好ましい応用例が挙げられる。なお以下の演出は、サブ制御基板94により行われる。
(1)スロットマシン1の遊技において、ビッグボーナスやレギュラーボーナス等の特別な遊技状態に移行した場合にスポットライト140a〜140dによる演出を実行することができる。この場合、ホール内においてスポットライト140a〜140dが作動中のスロットマシン1は特別な遊技状態(当り状態)であることが周囲に大きくアピールされるため、光を浴びている当の遊技者に大きな満足感や達成感、優越感を抱かせ、それによって遊技者を夢中にさせることができる。また、このような演出を目にした周囲の遊技者には、自分も同じような目に遭いたい、スポットライト140a〜140dで照らされたいとの強い意欲を沸き立たせ、ますます遊技に対する意欲を高めることができる。
(2)スポットライト140a〜140dによる演出においては、スピーカ56から出力される効果音、BGM等の出力態様(音の強弱や音階の変化等)と同期させて光線B1〜B4に強弱(光量の大小)をもたせたり、各スポットライト140a,140b,140c,140dを順番に作動させて、光線B1,B2,B3,B4をリズム感のあるパターンで放射させたりすることができる(LED148の多階調制御)。この場合、スポットライト140a〜140dの光が単に点けっ放しの集中照明として認識されず、音楽に合わせて態様が変化するアクティブな照明としての視覚的効果が得られる。こうした演出を実現するための制御方法については後述する。
(3)4つのスポットライト140a〜140dを同時に作動させたり、順番に作動させたりすることができる。特に本実施形態では、光線B1,B2同士、あるいは光線B3,B4同士が交差しているため、例えば4つあるスポットライト140a〜140dを単純に左から順番に作動させた場合であっても、光線B1〜B4に照らされる位置は左から順に単純移動していかず、左寄り中程の位置から左端位置、右寄り中程の位置、そして右端位置へと変化しながら移動していくことになる。このためスポットライト140a〜140dの作動順が単純であるにもかかわらず、実際に照射される位置があたかも不規則な順番に変化しているかのように視認されるため、見た目上の態様が変化に富んで面白くなる。
(4)スポットライト140a〜140dに内蔵されたLED148を単色発光のもので統一することができる。すなわち本実施形態では、LED148を単色発光(例えば赤色のみ)としているが、本発明の発明者等によれば、多数の発光色を雑然と混ぜてスポットライト140a〜140dを構成するよりは、単一の発光色でスポットライト140a〜140dを構成した方が視覚的な統一感があり、演出としての効果に優れることが確認済みとなっている。
(5)スポットライト140a〜140dの作動タイミングに同期させて、液晶表示装置58により光線B1〜B4の可視画像を表示することができる。可視画像の具体例としては、図5中に一点鎖線で示される光線B1〜B4の外形を液晶表示装置58により画像として表示するものが挙げられる。この場合、遊技者が可視画像をあたかも光線B1〜B4の道筋であるかのように錯覚するので、スポットライト140a〜140が作動中であることをより効果的に認識させることができる。
(7.その他の形態) 上記の一実施形態では、赤色発光のLED148を用いているが、発光色は適宜その他の種類に変更可能である。
またスポットライト(140a〜140d)の配置や個数、取付角度(光放射角度)等は適宜に変更することができる。
一実施形態ではLED148を複数用いて複眼式のスポットライト140a〜140dを構成しているが、単一のLEDを用いて同等のスポットライトを構成することもできる。
一実施形態では、表示窓6の上方および下方に液晶表示装置58の表示領域が形成されているが、上方または下方のいずれかだけに表示領域が形成されていてもよい。この場合であっても、光線B1〜B4を可視画像として表示することで、一実施形態と同様の演出効果を発揮することができる。
7.スポットライトの演出制御:
(7−1.階調制御) 先に説明した通り、本実施例のスポットライト140a〜140dは、それぞれLEDを多階調で点灯制御することができる。以下では、まずLEDで多階調を表現する制御方法を説明し、次に、音楽に同期させて階調制御を行う方法について説明する。
図9はLEDの階調表現の方法を示す説明図である。LEDの点灯はコモン信号と個別信号によって制御される。コモン信号とは、複数のLEDに共通して出力される信号である。本実施例では、スポットライト140a〜140dをそれぞれ4本のコモン信号に接続することにより、各スポットライトのLEDをグループ化して点灯制御することができる。個別信号とは、各LEDに個別に接続される信号である。例えば、スポットライト140aに内蔵される7つのLEDには、7本の個別信号が接続される。こうすることで、7つのLEDを個別に点灯制御することができる。もっとも、これら7つのLEDを個別に点灯制御する必要がない場合には、7つにまとめて個別信号を接続してもよい。
図中の例では、一つのLEDによって階調0〜8を表現する際の点灯制御を例示した。図の左側には、コモン信号COMおよび個別信号の出力信号を示している。この例では、コモン信号COMは1msec周期でオン・オフする。図示を省略したが、コモン信号COMがオフとなっている期間は、別のコモン信号がオンとなる。こうすることで、例えば、スポットライト140aのコモン信号をオフとしている時には、スポットライト140bをオンとするというように、2組のLEDを交互に点灯制御することが可能となる。
各コモン信号がオンとなる期間t1は1msである。従って、各コモン信号COMは、この倍の2msの周期t2でオン・オフされることになる。コモン信号COMがオン・オフされる周期t2の区間を、以下、フレームと呼ぶものとする。本実施例では、各LEDは、8フレーム、即ち16msの期間を単位としてデューティ制御される。この8フレーム分の期間を、以下、「サイクル」と呼ぶものとする。
コモン信号COMの下側に、階調値に応じたLEDの点灯状態を示した。階調値「0」の場合LEDは、1サイクル中、全フレームでオフとなる。階調値「1」の場合は、1カ所のフレームでオン(図中のハッチングを付した部分)となる。以下、階調値の増大に応じて、オンとなるフレーム数が増え、最も明るい階調値「8」では、全フレームでオンとなる。このように階調値の増加に連れて、サイクル中でLEDがオンとなっている期間の割合、即ちデューティを高くすることにより、9段階の階調を表現することができる。
図の右側には、階調表現を実現するための制御データ(以下、「フレームデータ」と呼ぶ)を例示した。図の下方に示す通り、各LEDについて1ビットが割り当てられ、このビット列によってオン・オフが制御される。右上には、LED3に割り当てられたビット3に出力される制御データを、横に階調値、縦にフレーム番号をとって示した。
階調値「0」の時は、1〜8フレームの全てでオフとなるから、全フレームに対し、「0」が出力される。階調値「1」の時は、第1フレームのみオンとなり、その他のフレームに対してはオフとなる。従って、階調値「1」に対しては、1〜8フレームのビット列「1,0,0,0,0,0,0,0」がこの順に出力されることになる。階調値2〜8についても同様に、オンとなるフレームに対応した部分で「1」、その他の部分で「0」となるよう順次出力される。つまり、ビット番号「3」にのみ着目すれば、LED3で表現すべき階調値に応じて、上述したいずれかのビット列が選択され、時系列的に出力されることになる。ビット番号「3」と同時に、ビット番号「1」からはLED1、ビット番号「2」からはLED2の制御データが順次出力される。このように、各フレーム単位で見れば、全LEDに対応した複数ビットのデータがパラレルに出力されつつ、各ビット単位で1〜8フレームを通して見れば、デューティ制御を実現するオン・オフの時系列的な信号が出力されることになる。
(7−2.演出制御処理)
図10は演出制御処理のフローチャートである。遊技中に、サブ制御基板94のCPU118がROM120に予め格納されたプログラムおよびデータを用いて繰り返し実行する処理である。この処理では、BGMに同期させてスポットライトを点滅させる処理、および音声の出力との同期をとることなくスポットライトを点滅させる処理が、遊技の状況に応じて使い分けて実行される。処理を開始すると、CPU118は、メイン制御基板から指令を受信する(ステップS10)。この指令には、メダル投入音コマンド、ベット操作音コマンド、払出音コマンド等が含まれ、演出効果の一つとしてBGMを流すためのコマンドも含まれる。
CPU118は、コマンドを解析して、BGM出力すべきか否かを判断する(ステップS11)。BGM出力でない場合には、コマンドに応じた効果音スケジューラデータをROM120から読み出し、スピーカ等に出力する(ステップS12)。効果音スケジューラデータとは、スピーカ等から出力すべき音声データを時系列的に記録したものである。また、コマンドに応じた通常ランプパターンデータをROM120から読み出し、スポットライト等に出力する(ステップS13)。通常ランプパターンデータとは、スポットライトの点滅パターンを時系列的に記録したものであり、図9に示した一連のフレームデータから構成されることになる。BGM出力でない場合には、音声の出力とスポットライトの制御とは同期させる必要はない。
一方、BGM出力をすべきと判断された場合には(ステップS11)、CPU118はBGMスケジュールデータをROM120から読み出す(ステップS14)。BGMスケジュールデータとしては、音声データおよび同期ランプ動作データが存在する。音声データとは、BGMを出力するためのデータである。同期ランプ動作データとは、BGMに同期させてスポットライトの階調制御をするよう、図9のフレームデータを時系列的に記録したものである。BGM出力時には、CPU118は、音声データおよび同期ランプ動作データ(単に、「点灯データ」と呼ぶこともある)を、それぞれ同期させて出力する(ステップS15)。こうすることで、BGMの出力に同期させてスポットライトの階調値を制御することができる。
図10では、BGM出力か否かで、処理内容を切り替える例を示したが、いずれの場合においてもROM120に記録されたデータを読み出して出力するという点では共通であり、音声出力とスポットライトへの出力の同期をとるか否かの点で相違するのみである。従って、BGM出力であるか否かに関わらず、音声出力とスポットライトへの出力との同期をとることにより、両者の制御処理を共通化させてもよい。
B.点灯データ生成装置:
1.装置構成
図11は点灯データ生成装置の構成を示す説明図である。この装置は、図10で説明した制御、即ちスポットライトの階調をBGMに合わせて制御するための点灯データを生成するための装置である。
点灯データ生成装置は、模擬サブ制御基板94A、周辺装置、およびテストベッドとしての試験用スロットマシン1Aから構成される。試験用スロットマシン1Aはスピーカ56、スポットライト140a〜140dを備えている点では、図1〜10で説明したスロットマシン1と同じである。ただし、サブ制御基板(図3参照)は内蔵されておらず、外部に設けられた模擬サブ制御基板94Aで置換されている。この結果、スピーカ56、スポットライト140a〜140dの動作は、模擬サブ制御基板94Aによって制御されることになる。試験用スロットマシン1Aに代えて、スピーカ56、スポットライト140a〜140dを備え、模擬サブ制御基板94Aによって制御可能に構成した専用の試験機材を構成してもよい。
模擬サブ制御基板94Aの内部構成は、遊技機に備えられるサブ制御基板(図3参照)と同様である。図11中には点灯データ生成装置としての機能に関連する部分のみを図示した。
模擬サブ制御基板94Aには、動作を制御するためのCPU118Aを中心として、音声を出力するための音源IC128Aおよびアンプ126Aが備えられている。音声出力用のデータ(BGMスケジュールデータ)は音声データROM120Sに格納されている。音源IC128Aは、アンプ126Aへの出力だけでなく、外部にも音声信号を出力可能となっている点で遊技機に備えられる制御基板94とは異なっている。本実施例では、外部に出力される音声信号はアナログ信号としているが、ディジタル信号であってもよい。
遊技機に備えられるサブ制御基板94とは異なり模擬サブ制御基板94Aには、点灯データ入力部120Lが備えられている。これは、周辺装置で生成された点灯データを読み込み、CPU118Aに受け渡すためのI/Oデバイスである。外部からのデータを入力するためのUSBその他のインタフェースと、読み込んだデータを一時的に保存するRAMなどから構成することができる。CPU118Aは、点灯データ入力部120Lから受け取る点灯データに基づいて試験用スロットマシン1Aのスポットライト140a〜140dの点灯を制御する。点灯データ入力部120Lは、CPU118Aに点灯データを受け渡す機能を奏するという点で、遊技機に本来備えられるサブ制御基板94のROM120に代わるものである。
周辺装置として、備えられている各機器の機能を説明する。音源IC128Aから出力される音声信号は、グラフィックイコライザ202に入力される。グラフィックイコライザ202は、音声信号の各周波数帯の信号の強さを個別に調整するための装置である。信号を強調すべき周波数帯は、BGMに応じて任意に設定可能である。一例として、バスドラムの音が聴者に印象を与える場合には、30〜300Hz、より好ましくは30〜200Hzの周波数帯を強調することが好ましい。ヴォーカルが印象を与える場合には、500Hz〜2KHz、より好ましくは500Hz〜3KHzの周波数帯を強調することが好ましい。周波数の調整は、上述した周波数帯など、一部の周波数帯のみを強調する方法で行っても良いし、このように強調するとともに他の周波数帯を弱めるなど全周波数帯にわたって調整を施し全体のバランスを変化させてもよい。
グラフィックイコライザ202で調整された音声信号は、全波整流回路204に入力されノーマライズ、即ち出力レベルの調整が行われる。A/D変換器206は、こうして調整された後の音声信号を一定周期でサンプリングすることでディジタルデータ化する。サンプリング周期は、任意に設定可能であるが、本実施例では、スポットライトを階調表現するためのフレーム周期(図9のt2)の半分(図9中のt1)に合わせ、サンプリング周期を1msecとした。種々の試験に基づき、スポットライトの階調表現をBGMに違和感なく追随させるためには、かかる設定が最適であることが確認されたからである。
点灯データ生成部208は、こうしてディジタル化された音声信号から、階調表現の1サイクル(図9の8フレーム分)、即ち本実施例では16msecの期間を単位として、点灯データを生成し、模擬サブ制御基板94Aに出力する。点灯データの生成方法については、後述する。先に説明した通り、模擬サブ制御基板94Aは、生成された点灯データに基づいて試験用スロットマシン1Aのスポットライト140a〜140dの点灯を制御する。
2.点灯データの生成方法
図12は音声信号から点灯データを生成する方法を示す説明図である。図12(a)の曲線Sはグラフィックイコライザ202で周波数が調整された後の音声出力を表している。区間D1〜D3は、それぞれ点灯データを生成する単位(16msecの期間)を表しているものとする。点灯データの生成単位は任意の期間を設定可能であるが、本実施例においては、16msecとすることが点灯制御上、最も好ましい結果が得られた。もっとも、生成単位は厳密に16msecとなる必要はなく、数msecまでの誤差を含んでいてもよい。A/D変換器206は、図12(a)の区間D1における縦線のように1msec間隔でのサンプリングを行う。
図12(b)はA/D変換器206によるサンプリング結果を表している。図の煩雑化を回避するため、ここでは区間D1についての結果のみを示した。点灯データ生成部208は、各区間ごとの代表値としてサンプリング結果の最大値を抽出する。図の例では、値MAXが抽出される。他の区間D2、D3についても同様にして最大値を抽出する。代表値は、最大値の他、平均値などとすることもできる。
図12(c)は、こうして抽出された各区間ごとの最大値を示している。この値をそれぞれ図9で示した0〜8の9階調に量子化することで、点灯データを作成することができる。
上述の点灯データ生成装置によれば、遊技機に搭載されているBGMデータに基づき、スポットライトの点灯状態を確認しながら、点灯データを生成することができる。BGMには、遊技者がBGMに対して抱くイメージに、ヴォーカルが主として影響を与える部分、その他の楽器演奏が影響を与える部分などが混在する。上述の点灯データ生成装置によれば、グラフィックイコライザ202の操作によって、BGMの各箇所に応じて点灯データに影響する周波数を強調させることができる。従って、スポットライト140a〜140dの階調表現を、BGMに対して遊技者が抱くイメージに、より忠実なものとすることが可能となる。
実施例において、グラフィックイコライザ202に代えて、特定の周波数帯のデータのみを通過させるフィルタ、特定の周波数帯のみを除去するフィルタなどを用いることもできる。この場合もBGMの部分ごとに、周波数帯を変更させ得ることが好ましい。実施例において、試験用スロットマシン1Aを省略した構成としてもよい。この場合は、生成された点灯データを逐一、遊技機1にインストールし、試験を行えばよい。ただし、実施例の点灯データ生成装置によれば、スポットライトの点灯状態を容易に確認することができ、点灯データ生成の作業効率を向上させることができる利点がある。
本実施例のスロットマシン1は、次の工程を経て製造することができる。まず、上述の点灯データ生成装置によって生成された点灯データを、BGMのデータとともに、サブ制御基板94(図3参照)のROM120内に格納する。また、このデータを用いて音声出力を行うとともに、スポットライトの点灯状態を制御するためのプログラムも併せてROM120内に格納する。そして、これらのデータおよびプログラムが格納されたサブ制御基板94をスロットマシン1に取り付ける。また、メイン制御基板92や、スピーカ56やスポットライト140a,140bなどの装置も取り付ける。これらの工程と、上述のサブ制御基板94へのデータの格納、取付けとは、並行して行う他、いずれか一方を他方に先行して行うなど種々のタイミングで行うことができる。
C.第2実施例:
図13は第2実施例としてのスロットマシン1Bの構成を示す説明図である。スロットマシン1Bは、サブ制御基板94Bの構造が、第1実施例(図3)と相違する。図には、スロットマシン1Bのサブ制御基板94Bのうち音声出力およびスポットライト140a〜140dの制御に関連する部分のみを示した。その他の構成は、実施例のサブ制御基板94(図3)と同じである。第2実施例のスロットマシン1Bは、BGMに合わせて点灯データを生成することにより、BGMに応じたスポットライト140a〜140dの階調表現の制御を実現することができる。
図示する通り、サブ制御基板94Bには、全体の動作を制御するためのCPU118B、音声出力するための音源IC128Bが備えられている。BGMを出力するためのデータは音声データROM120BSに格納されている。音源IC128Bが生成した音声出力はアンプ126Bで増幅され、スピーカ56に出力される。
音声出力は、同時に音源IC128Bからグラフィックイコライザ202Bに出力される。グラフィックイコライザ202Bは、BGM中の特定の周波数を強調し、全波整流回路204Bに出力する。強調されるべき周波数は、選択データROM120BWに予め格納されている選択データによって制御される。選択データは、例えば、BGM開始からの各時点で強調されるべき周波数を指定するデータである。ここでは、周波数を強調する場合のみを例示したが、信号の調整は、第1実施例と同様、種々の態様を採ることができる。例えば、一部の周波数帯を強調するとともに、他の周波数帯を弱めるようにして全周波数帯にわたる調整を施しても良い。
グラフィックイコライザ202Bおよび全波整流回路204Bによって調整された音声信号はA/D変換器206Bによってディジタルデータ化され、点灯データ生成部208Bによって点灯データに変換される。生成された点灯データは、RAMの特定領域に設けられた点灯データバッファ122Lに格納される。点灯データの生成方法は、実施例(図12)と同様である。CPU118Bは、この点灯データに基づいてスポットライト140a〜140dを階調制御する。
第2実施例のスロットマシン1Bによっても、スポットライト140a〜140dをBGMに合わせて階調制御することができる。階調制御の際、選択データによってBGMの部分ごとに強調されるべき周波数を切り替えることができるため、第1実施例と同様、BGMに忠実な階調制御を実現することが可能である。
以上、本発明の種々の実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の構成を採ることができることはいうまでもない。本実施例では、遊技機前面に設けられたスポットライトの階調制御を対象として説明したが、本実施例の点灯データの生成および階調制御は、遊技機に用いられる種々の装飾ランプ一般に適用可能である。