JP4967336B2 - 画素回路及び表示装置 - Google Patents

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Description

本発明は、画素毎に配した発光素子を電流駆動する画素回路に関する。又この画素回路がマトリクス状(行列状)に配列された表示装置であって、特に各画素回路内に設けた絶縁ゲート型電界効果トランジスタによって、有機ELなどの発光素子に通電する電流量を制御する、いわゆるアクティブマトリクス型の表示装置に関する。
画像表示装置、例えば液晶ディスプレイなどでは、多数の液晶画素をマトリクス状に並べ、表示すべき画像情報に応じて画素毎に入射光の透過強度又は反射強度を制御することによって画像を表示する。これは、有機EL素子を画素に用いた有機ELディスプレイなどにおいても同様であるが、液晶画素と異なり有機EL素子は自発光素子である。その為、有機ELディスプレイは液晶ディスプレイに比べて画像の視認性が高く、バックライトが不要であり、応答速度が高いなどの利点を有する。又、各発光素子の輝度レベル(階調)はそれに流れる電流値によって制御可能であり、いわゆる電流制御型であるという点で液晶ディスプレイなどの電圧制御型とは大きく異なる。
有機ELディスプレイにおいては、液晶ディスプレイと同様、その駆動方式として単純マトリクス方式とアクティブマトリクス方式とがある。前者は構造が単純であるものの、大型且つ高精細のディスプレイの実現が難しいなどの問題がある為、現在はアクティブマトリクス方式の開発が盛んに行なわれている。この方式は、各画素回路内部の発光素子に流れる電流を、画素回路内部に設けた能動素子(一般には薄膜トランジスタ、TFT)によって制御するものであり、以下の特許文献に記載がある。
特開2003−255856 特開2003−271095 特開2004−133240 特開2004−029791 特開2004−093682
従来の画素回路は、制御信号を供給する行状の走査線と映像信号を供給する列状の信号線とが交差する部分に配され、少なくともサンプリングトランジスタと容量部とドライブトランジスタと発光素子とを含む。サンプリングトランジスタは、走査線から供給される制御信号に応じ導通して信号線から供給された映像信号をサンプリングする。容量部は、サンプリングされた映像信号に応じた入力電圧を保持する。ドライブトランジスタは、容量部に保持された入力電圧に応じて所定の発光期間に出力電流を供給する。尚一般に、出力電流はドライブトランジスタのチャネル領域のキャリア移動度及び閾電圧に対して依存性を有する。発光素子は、ドライブトランジスタから供給された出力電流により映像信号に応じた輝度で発光する。
ドライブトランジスタは、容量部に保持された入力電圧をゲートに受けてソース/ドレイン間に出力電流を流し、発光素子に通電する。一般に発光素子の発光輝度は通電量に比例している。更にドライブトランジスタの出力電流供給量はゲート電圧すなわち容量部に書き込まれた入力電圧によって制御される。従来の画素回路は、ドライブトランジスタのゲートに印加される入力電圧を入力映像信号に応じて変化させることで、発光素子に供給する電流量を制御している。
ここでドライブトランジスタの動作特性は以下の式1で表わされる。
Ids=(1/2)μ(W/L)Cox(Vgs−Vth)・・・式1
このトランジスタ特性式1において、Idsはソース/ドレイン間に流れるドレイン電流を表わしており、画素回路では発光素子に供給される出力電流である。Vgsはソースを基準としてゲートに印加されるゲート電圧を表わしており、画素回路では上述した入力電圧である。Vthはトランジスタの閾電圧である。又μはトランジスタのチャネルを構成する半導体薄膜の移動度を表わしている。その他Wはチャネル幅を表わし、Lはチャネル長を表わし、Coxはゲート容量を表わしている。このトランジスタ特性式1から明らかな様に、薄膜トランジスタは飽和領域で動作する時、ゲート電圧Vgsが閾電圧Vthを超えて大きくなると、オン状態となってドレイン電流Idsが流れる。原理的に見ると上記のトランジスタ特性式1が示す様に、ゲート電圧Vgsが一定であれば常に同じ量のドレイン電流Idsが発光素子に供給される。従って、画面を構成する各画素に全て同一のレベルの映像信号を供給すれば、全画素が同一輝度で発光し、画面の一様性(ユニフォーミティ)が得られるはずである。
しかしながら実際には、ポリシリコンなどの半導体薄膜で構成された薄膜トランジスタ(TFT)は、個々のデバイス特性にばらつきがある。特に、閾電圧Vthは一定ではなく、各画素毎にばらつきがある。前述のトランジスタ特性式1から明らかな様に、各ドライブトランジスタの閾電圧Vthがばらつくと、ゲート電圧Vgsが一定であっても、ドレイン電流Idsにばらつきが生じ、画素毎に輝度がばらついてしまう為、画面のユニフォーミティを損なう。従来からドライブトランジスタの閾電圧のばらつきをキャンセルする機能を組み込んだ画素回路が開発されており、例えば前記の特許文献3に開示がある。
閾電圧のばらつきをキャンセルする機能を組み込んだ画素回路は、ある程度画面のユニフォーミティを改善することが可能である。しかしながら、ポリシリコン薄膜トランジスタの特性は、閾電圧ばかりでなく移動度μも素子毎にばらつきがある。前述のトランジスタ特性式1から明らかな様に、移動度μがばらつくと、ゲート電圧Vgsが一定であってもドレイン電流Idsにばらつきが出てしまう。この結果発光輝度が画素毎に変化する為、画面のユニフォーミティを損なうという課題がある。
上述した従来の技術の課題に鑑み、本発明は移動度の影響をキャンセルし、以ってドライブトランジスタが供給するドレイン電流(出力電流)のばらつきを補正可能な画素回路及び表示装置を提供することを目的とする。特に、全ての階調にわたって移動度補正を適正化することが可能な画素回路及び表示装置を提供することを目的とする。かかる目的を達成するために以下の手段を講じた。即ち本発明は、制御信号を供給する行状の走査線と映像信号を供給する列状の信号線とが交差する部分に配され、少なくともサンプリングトランジスタと、これに接続する画素容量と、これに接続するドライブトランジスタと、これに接続する発光素子とを含み、前記サンプリングトランジスタは、所定のサンプリング期間に走査線から供給される制御信号に応じ導通して信号線から供給された映像信号を該画素容量にサンプリングし、前記画素容量は、該サンプリングされた映像信号に応じて該ドライブトランジスタのゲートとソース間に入力電圧を印加し、前記ドライブトランジスタは、所定の発光期間中該入力電圧に応じた出力電流を該発光素子に供給し、該出力電流は該ドライブトランジスタのチャネル領域のキャリア移動度に対して依存性を有し、前記発光素子は、該ドライブトランジスタから供給された出力電流により該映像信号に応じた輝度で発光する画素回路において、該出力電流のキャリア移動度に対する依存性を打ち消すために、該画素容量に保持された該入力電圧を補正する補正手段を備えており、前記補正手段は走査線から供給される制御信号に応じて該サンプリング期間の一部で動作し、該映像信号がサンプリングされている状態で該ドライブトランジスタから出力電流を取り出し、これを該画素容量に負帰還して該入力電圧を補正するとともに、該ドライブトランジスタのゲートとドレインの間に接続された付加容量及びスイッチングトランジスタを備えており、前記サンプリング期間であって、かつ前記スイッチングトランジスタがオンされる移動補正期間に、前記付加容量が前記ドライブトランジスタのゲートとドレインの間に挿入され、前記移動補正期間では、前記ドライブトランジスタの移動度に応じた補正分の電圧が前記画素容量に書き込まれた映像信号から差し引かれ、以って該補正手段の動作を適正化し、前記付加容量は、該補正手段の動作に伴って生じる該ドライブトランジスタのドレイン電圧の上昇をゲートにカップリングし、以って低階調の映像信号での移動度補正に必要な時間を短縮し、これにより全階調での移動度補正時間を均一化することを特徴とする。
具体的には前記付加容量は、該補正手段の動作に伴って生じる該ドライブトランジスタのドレイン電圧の上昇をゲートにカップリングし、以って低階調の映像信号での移動度補正に必要な時間を短縮し、これにより全階調での移動度補正時間を均一化する。又前記ドライブトランジスタは、その出力電流がチャネル領域のキャリア移動度に加え閾電圧に対しても依存性を有し、前記補正手段は、該出力電流の閾電圧に対する依存性を打ち消すために、あらかじめサンプリング期間に先立って該ドライブトランジスタの閾電圧を検出し、且つ該検出された閾電圧を該入力電圧に足し込む様にしている。
本発明は又、画素アレイ部とスキャナ部と信号部とを含み、前記画素アレイ部は、行状に配された走査線と列状に配された信号線と両者が交差する部分に配された行列状の画素とからなり、前記信号部は、該信号線に映像信号を供給し、前記スキャナ部は、該走査線に制御信号を供給して順次行ごとに画素を走査し、各画素は、少なくともサンプリングトランジスタと、これに接続する容量部と、これに接続するドライブトランジスタと、これに接続する発光素子とを含み、前記サンプリングトランジスタは、所定のサンプリング期間に走査線から供給される制御信号に応じ導通して信号線から供給された映像信号を該容量部にサンプリングし、前記容量部は、該サンプリングされた映像信号に応じて該ドライブトランジスタのゲートとソース間に入力電圧を印加し、前記ドライブトランジスタは、所定の発光期間中該入力電圧に応じた出力電流を該発光素子に供給し、該出力電流は該ドライブトランジスタのチャネル領域のキャリア移動度に対して依存性を有し、前記発光素子は、該ドライブトランジスタから供給された出力電流により該映像信号に応じた輝度で発光する表示装置において、各画素は、該ドライブトランジスタの出力電流のキャリア移動度に対する依存性を打ち消すために、あらかじめ該発光期間の前又は先頭で該容量部に保持された該入力電圧を補正する補正手段を備えており、前記補正手段は走査線から供給される制御信号に応じて該サンプリング期間の一部で動作し、該映像信号がサンプリングされている状態で該ドライブトランジスタから出力電流を取り出し、これを該容量部に負帰還して該入力電圧を補正し、更に各画素は、該ドライブトランジスタのゲートとドレインの間に接続された付加容量及びスイッチングトランジスタを備えており、前記サンプリング期間であって、かつ前記スイッチングトランジスタがオンされる移動補正期間に、前記付加容量が前記ドライブトランジスタのゲートとドレインの間に挿入され、前記移動補正期間では、前記ドライブトランジスタの移動度に応じた補正分の電圧が前記画素容量に書き込まれた映像信号から差し引かれ、以って該補正手段の動作を適正化し、前記付加容量は、該補正手段の動作に伴って生じる該ドライブトランジスタのドレイン電圧の上昇をゲートにカップリングし、以って低階調の映像信号での移動度補正に必要な時間を短縮し、これにより全階調での移動度補正時間を均一化する
本発明によれば、ドライブトランジスタの出力電流のキャリア移動度に対する依存性を打ち消す為、画素回路は発光期間の前または先頭でドライブトランジスタに対する入力電圧(ゲート電圧)を補正する補正手段を備えている。この補正手段はサンプリング期間の一部で動作し、映像信号の電位(信号電位)がサンプリングされている状態でドライブトランジスタから出力電流(ドレイン電流)を取り出し、これを容量部に負帰還して入力電圧(ゲート電圧)を補正している。前述のトランジスタ特性式1から明らかな様に、出力電流(ドレイン電流)は移動度に比例している。したがって、ある画素のドライブトランジスタの移動度が高いと、出力電流は相対的に大きくなる。これを容量部に負帰還して入力電圧(ゲート電圧)を補正する。移動度が大きいと結果的に負帰還量が大きくなるので、入力電圧(ゲート電圧)はその分大きく下方修正される。ゲート電圧が下がるので、結果的にドレイン電流は抑制される事になる。一方、別の画素のドライブトランジスタの移動度が相対的に小さい場合、ドレイン電流も少なくなる。したがって容量部に対する負帰還量も小さいので、ゲート電圧の下方修正分が小さい。結果的に、ドライブトランジスタの移動度が小さいと出力電流はさほど低く補正されない。この様に、本発明の補正手段は、移動度のばらつきをキャンセルする様に、入力電圧をフィードバック補正するので、画面のユニフォーミティが改善される。特に、信号電位をサンプリングしている状態で移動度補正をかけている。これにより、映像信号電位は黒レベルから白レベルまで振幅が変化するにもかかわらず、どのレベルにおいても適切に移動度補正を行う事が可能である。
ここで入力電圧にかける負帰還量は、出力電流の取り出し時間に依存している。取り出し時間を長く取るほど、負帰還量が大きくなる。本発明では、ドライブトランジスタのゲートとドレインの間に付加容量を挿入しており、移動度補正手段の負帰還動作を適正化している。即ちこの付加容量は、移動度補正手段の動作に伴って生じるドライブトランジスタのドレイン電圧の上昇をゲートにカップリングし、以って低階調(黒レベル)の映像信号での移動度補正に必要な時間を短縮し、これにより全階調での移動度補正時間を均一化している。全階調にて移動度ばらつきを補正し高ユニフォーミティの画質を得ることができる。これによりパネルの高歩留まりが可能となる。
以下図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は本発明にかかる表示装置の全体構成を示すブロック図である。図示する様に、本表示装置はアクティブマトリクス型であり、主要部となる画素アレイ1と周辺の回路部とで構成されている。周辺の回路部は水平セレクタ3、ライトスキャナ4、ドライブスキャナ5、第1補正用スキャナ71、第2補正用スキャナ72などを含んでいる。画素アレイ1は行状の走査線WSと列状の信号線SLと両者の交差する部分にマトリクス状に配列した画素R,G,Bとで構成されている。カラー表示を可能とするため、RGBの3原色画素を用意しているが、本発明はこれに限られるものではない。各画素R,G,Bはそれぞれ画素回路2で構成されている。信号線SLは水平セレクタ3によって駆動される。水平セレクタ3は信号部を構成し、信号線SLに映像信号を供給する。走査線WSはライトスキャナ4によって走査される。なお、走査線WSと並行に別の走査線DS、AZ1及びAZ2も配線されている。走査線DSはドライブスキャナ5によって走査される。走査線AZ1は第1補正用スキャナ71によって走査される。走査線AZ2は第2補正用スキャナ72によって走査される。ライトスキャナ4、ドライブスキャナ5、第1補正用スキャナ71及び第2補正用スキャナ72はスキャナ部を構成しており、1水平期間ごと画素の行を順次走査する。各画素回路2は走査線WSによって選択されたとき信号線SLから映像信号をサンプリングする。さらに走査線DSによって選択されたとき、サンプリングされた映像信号に応じて画素回路2内に含まれている発光素子を駆動する。加えて画素回路2は走査線AZ1及びAZ2によって走査されたとき、予め決められた補正動作を行う。本実施形態の場合、この補正動作は閾電圧補正動作と移動度補正動作が含まれる。
上述した画素アレイ1は通常ガラスなどの絶縁基板上に形成されており、フラットパネルとなっている。各画素回路2はアモルファスシリコン薄膜トランジスタ(TFT)または低温ポリシリコンTFTで形成されている。アモルファスシリコンTFTの場合、スキャナ部はパネルとは別のTABなどで構成され、フレキシブルケーブルによってフラットパネルに接続される。低温ポリシリコンTFTの場合、信号部及びスキャナ部も同じ低温ポリシリコンTFTで形成できるので、フラットパネル上に画素アレイと信号部とスキャナ部を一体的に形成することが出来る。
図2は、図1に示した表示装置に組み込まれる画素回路の先行開発例を示す回路図である。この先行開発例にかかる画素回路は本発明の基になるものである。そこで本発明の説明の一環として、以下この画素回路を詳細に説明する。
画素回路2は、5個の薄膜トランジスタTr1〜Tr4及びTrdと1個の容量素子(画素容量)Csと1個の発光素子ELとで構成されている。トランジスタTr1〜Tr3とTrdはNチャネル型のポリシリコンTFTである。トランジスタTr4のみPチャネル型のポリシリコンTFTである。1個の容量素子Csは本画素回路2の容量部を構成している。発光素子ELは例えばアノード及びカソードを備えたダイオード型の有機EL素子である。但し本発明はこれに限られるものではなく、発光素子は一般的に電流駆動で発光する全てのデバイスを含む。
画素回路2の中心となるドライブトランジスタTrdはそのゲートGが画素容量Csの一端に接続され、そのソースSが同じく画素容量Csの他端に接続されている。またドライブトランジスタTrdのゲートGはスイッチングトランジスタTr2を介して基準電位Vss1に接続されている。ドライブトランジスタTrdのドレインはスイッチングトランジスタTr4を介して電源Vccに接続されている。スイッチングトランジスタTr2のゲートは走査線AZ1に接続されている。スイッチングトランジスタTr4のゲートは走査線DSに接続している。発光素子ELのアノードはドライブトランジスタTrdのソースSに接続し、カソードは接地されている。この接地電位はVcathで表される場合がある。また、ドライブトランジスタTrdのソースSと所定の基準電位Vss2との間にスイッチングトランジスタTr3が介在している。このトランジスタTr3のゲートは走査線AZ2に接続している。一方サンプリングトランジスタTr1は信号線SLとドライブトランジスタTrdのゲートGとの間に接続されている。サンプリングトランジスタTr1のゲートは走査線WSに接続している。
かかる構成において、サンプリングトランジスタTr1は、所定のサンプリング期間に走査線WSから供給される制御信号WSに応じ導通して信号線SLから供給された映像信号Vsigを容量部Csにサンプリングする。容量部Csは、サンプリングされた映像信号Vsigに応じてドライブトランジスタのゲートGとソースS間に入力電圧Vgsを印加する。ドライブトランジスタTrdは、所定の発光期間中入力電圧Vgsに応じた出力電流Idsを発光素子ELに供給する。なおこの出力電流(ドレイン電流)IdsはドライブトランジスタTrdのチャネル領域のキャリア移動度μ及び閾電圧Vthに対して依存性を有する。発光素子ELは、ドライブトランジスタTrdから供給された出力電流Idsにより映像信号Vsigに応じた輝度で発光する。
本発明の特徴事項として、画素回路2はスイッチングトランジスタTr2〜Tr4で構成される補正手段を備えており、出力電流Idsのキャリア移動度μに対する依存性を打ち消す為に、予め発光期間の先頭で容量部Csに保持された入力電圧Vgsを補正する。具体的には、この補正手段(Tr2〜Tr4)は、走査線WS及びDSから供給される制御信号WS,DSに応じてサンプリング期間の一部で動作し、映像信号Vsigがサンプリングされている状態でドライブトランジスタTrdから出力電流Idsを取り出し、これを容量部Csに負帰還して入力電圧Vgsを補正する。さらにこの補正手段(Tr2〜Tr4)は、出力電流Idsの閾電圧Vthに対する依存性を打ち消すために、予めサンプリング期間に先立ってドライブトランジスタTrdの閾電圧Vthを検出し、且つ検出された閾電圧Vthを入力電圧Vgsに足し込む様にしている。
本実施形態の場合、ドライブトランジスタTrdはNチャネル型トランジスタでドレインが電源Vcc側に接続する一方、ソースSが発光素子EL側に接続している。この場合、前述した補正手段は、サンプリング期間の後部分に重なる発光期間の先頭部分でドライブトランジスタTrdから出力電流Idsを取り出して、容量部Cs側に負帰還する。その際本補正手段は、発光期間の先頭部分でドライブトランジスタTrdのソースS側から取り出した出力電流Idsが、発光素子ELの有する容量にも流れ込むようにしている。具体的には、発光素子ELはアノード及びカソードを備えたダイオード型の発光素子からなり、アノード側がドライブトランジスタTrdのソースSに接続する一方カソード側が接地されている。この構成で、本補正手段(Tr2〜Tr4)は、予め発光素子ELのアノード/カソード間を逆バイアス状態にセットしておき、ドライブトランジスタTrdのソースS側から取り出した出力電流Idsが発光素子ELに流れ込む時、このダイオード型の発光素子ELを容量性素子として機能させている。なお本補正手段は、サンプリング期間内でドライブトランジスタTrdから出力電流Idsを取り出す時間幅tを調整可能であり、これにより容量部Csに対する出力電流Idsの負帰還量を最適化している。
図3は、図2に示した表示装置から画素回路の部分を取り出した模式図である。理解を容易にする為、サンプリングトランジスタTr1によってサンプリングされる映像信号Vsigや、ドライブトランジスタTrdの入力電圧Vgs及び出力電流Ids、さらには発光素子ELが有する容量成分Coledなどを書き加えてある。以下図3に基づいて、本画素回路2の基本的な動作を説明する。
図4は、図3に示した画素回路のタイミングチャートである。図4を参照して、図3に示した画素回路の動作をより具体的且つ詳細に説明する。図4は、時間軸Tに沿って各走査線WS,AZ1,AZ2及びDSに印加される制御信号の波形を表してある。表記を簡略化する為、制御信号も対応する走査線の符号と同じ符号で表してある。トランジスタTr1,Tr2,Tr3はNチャネル型なので、走査線WS,AZ1,AZ2がそれぞれハイレベルの時オンし、ローレベルの時オフする。一方トランジスタTr4はPチャネル型なので、走査線DSがハイレベルの時オフし、ローレベルの時オンする。なおこのタイミングチャートは、各制御信号WS,AZ1,AZ2,DSの波形と共に、ドライブトランジスタTrdのゲートGの電位変化及びソースSの電位変化も表してある。
図4のタイミングチャートではタイミングT1〜T8までを1フィールド(1f)としてある。1フィールドの間に画素アレイの各行が一回順次走査される。タイミングチャートは、1行分の画素に印加される各制御信号WS,AZ1,AZ2,DSの波形を表してある。
当該フィールドが始まる前のタイミングT0で、全ての制御線号WS,AZ1,AZ2,DSがローレベルにある。したがってNチャネル型のトランジスタTr1,Tr2,Tr3はオフ状態にある一方、Pチャネル型のトランジスタTr4のみオン状態である。したがってドライブトランジスタTrdはオン状態のトランジスタTr4を介して電源Vccに接続しているので、所定の入力電圧Vgsに応じて出力電流Idsを発光素子ELに供給している。したがってタイミングT0で発光素子ELは発光している。この時ドライブトランジスタTrdに印加される入力電圧Vgsは、ゲート電位(G)とソース電位(S)の差で表される。
当該フィールドが始まるタイミングT1で、制御信号DSがローレベルからハイレベルに切り替わる。これによりトランジスタTr4がオフし、ドライブトランジスタTrdは電源Vccから切り離されるので、発光が停止し非発光期間に入る。タイミングT1に入ると、全てのトランジスタTr1〜Tr4がオフ状態になる。
続いてタイミングT2に進むと、制御信号AZ1及びAZ2がハイレベルになるので、スイッチングトランジスタTr2及びTr3がオンする。この結果、ドライブトランジスタTrdのゲートGが基準電位Vss1に接続し、ソースSが基準電位Vss2に接続される。ここでVss1−Vss2>Vthを満たしており、Vss1−Vss2=Vgs>Vthとする事で、その後タイミングT3で行われるVth補正の準備を行う。換言すると期間T2‐T3は、ドライブトランジスタTrdのリセット期間に相当する。また、発光素子ELの閾電圧をVthELとすると、VthEL>Vss2に設定されている。これにより、発光素子ELにはマイナスバイアスが印加され、いわゆる逆バイアス状態となる。この逆バイアス状態は、後で行うVth補正動作及び移動度補正動作を正常に行うために必要である。
タイミングT3では制御信号AZ2をローレベルにし且つ直後制御信号DSもローレベルにしている。これによりトランジスタTr3がオフする一方トランジスタTr4がオンする。この結果ドレイン電流Idsが画素容量Csに流れ込み、Vth補正動作を開始する。この時ドライブトランジスタTrdのゲートGはVss1に保持されており、ドライブトランジスタTrdがカットオフするまで電流Idsが流れる。カットオフするとドライブトランジスタTrdのソース電位(S)はVss1−Vthとなる。ドレイン電流がカットオフした後のタイミングT4で制御信号DSを再びハイレベルに戻し、スイッチングトランジスタTr4をオフする。さらに制御信号AZ1もローレベルに戻し、スイッチングトランジスタTr2もオフする。この結果、画素容量CsにVthが保持固定される。この様にタイミングT3‐T4はドライブトランジスタTrdの閾電圧Vthを検出する期間である。ここでは、この検出期間T3‐T4をVth補正期間と呼んでいる。
この様にVth補正を行った後タイミングT5で制御信号WSをハイレベルに切り替え、サンプリングトランジスタTr1をオンして映像信号Vsigを画素容量Csに書き込む。発光素子ELの等価容量Coledに比べて画素容量Csは充分に小さい。この結果、映像信号Vsigのほとんど大部分が画素容量Csに書き込まれる。正確には、Vss1に対する。Vsigの差分Vsig−Vss1が画素容量Csに書き込まれる。したがってドライブトランジスタTrdのゲートGとソースS間の電圧Vgsは、先に検出保持されたVthと今回サンプリングされたVsig−Vss1を加えたレベル(Vsig−Vss1+Vth)となる。以降説明簡易化の為Vss1=0Vとすると、ゲート/ソース間電圧Vgsは図4のタイミングチャートに示すようにVsig+Vthとなる。かかる映像信号Vsigのサンプリングは制御信号WSがローレベルに戻るタイミングT7まで行われる。すなわちタイミングT5‐T7がサンプリング期間に相当する。
サンプリング期間の終了するタイミングT7より前のタイミングT6で制御信号DSがローレベルとなりスイッチングトランジスタTr4がオンする。これによりドライブトランジスタTrdが電源Vccに接続されるので、画素回路は非発光期間から発光期間に進む。この様にサンプリングトランジスタTr1がまだオン状態で且つスイッチングトランジスタTr4がオン状態に入った期間T6‐T7で、ドライブトランジスタTrdの移動度補正を行う。即ち本実施形態では、サンプリング期間の後部分と発光期間の先頭部分とが重なる期間T6‐T7で移動度補正を行っている。なお、この移動度補正を行う発光期間の先頭では、発光素子ELは実際には逆バイアス状態にあるので発光する事はない。この移動度補正期間T6‐T7では、ドライブトランジスタTrdのゲートGが映像信号Vsigのレベルに固定された状態で、ドライブトランジスタTrdにドレイン電流Idsが流れる。ここでVss1−Vth<VthELと設定しておく事で、発光素子ELは逆バイアス状態におかれる為、ダイオード特性ではなく単純な容量特性を示すようになる。よってドライブトランジスタTrdに流れる電流Idsは画素容量Csと発光素子ELの等価容量Coledの両者を結合した容量C=Cs+Coledに書き込まれていく。これによりドライブトランジスタTrdのソース電位(S)は上昇していく。図4のタイミングチャートではこの上昇分をΔVで表してある。この上昇分ΔVは結局画素容量Csに保持されたゲート/ソース間電圧Vgsから差し引かれる事になるので、負帰還をかけた事になる。この様にドライブトランジスタTrdの出力電流Idsを同じくドライブトランジスタTrdの入力電圧Vgsに負帰還する事で、移動度μを補正する事が可能である。なお負帰還量ΔVは移動度補正期間T6‐T7の時間幅tを調整する事で最適化可能である。
タイミングT7では制御信号WSがローレベルとなりサンプリングトランジスタTr1がオフする。この結果ドライブトランジスタTrdのゲートGは信号線SLから切り離される。映像信号Vsigの印加が解除されるのでドライブトランジスタTrdのゲート電位(G)は上昇可能となり、ソース電位(S)と共に上昇していく。発光期間の開始に伴って行われるこの動作を、ブートストラップ動作と呼ぶ。このブートストラップ動作の間、画素容量Csに保持されたゲート/ソース間電圧Vgsは(Vsig−ΔV+Vth)の値を維持する。換言すると、ゲート電位(G)におけるブートストラップゲインは基本的に100%である。このブートストラップ動作によってソース電位(S)が上昇し、発光素子ELの逆バイアス状態が解消されるので、出力電流Idsの流入により発光素子ELは実際に発光を開始する。
この時のドレイン電流Ids対ゲート電圧Vgsの関係は、先のトランジスタ特性式1のVgsにVsig−ΔV+Vthを代入する事で、以下の式2のように与えられる。
Ids=kμ(Vgs−Vth)=kμ(Vsig−ΔV)・・・式2
上記式2において、k=(1/2)(W/L)Coxである。この特性式2からVthの項がキャンセルされており、発光素子ELに供給される出力電流IdsはドライブトランジスタTrdの閾電圧Vthに依存しない事が分かる。基本的にドレイン電流Idsは映像信号の信号電圧Vsigによって決まる。換言すると、発光素子ELは映像信号Vsigに応じた輝度で発光する事になる。その際Vsigは帰還量ΔVで補正されている。この補正量ΔVは丁度特性式2の係数部に位置する移動度μの効果を打ち消すように働く。したがって、ドレイン電流Idsは実質的に映像信号Vsigのみに依存する事になる。
最後にタイミングT8に至ると制御信号DSがハイレベルとなってスイッチングトランジスタTr4がオフし、発光が終了すると共に当該フィールドが終わる。この後次のフィールドに移って再びVth補正動作、移動度補正動作及び発光動作が繰り返される事になる。
図5は、移動度補正期間T6‐T7における画素回路2の状態を示す回路図である。図示するように、移動度補正期間T6‐T7では、サンプリングトランジスタTr1及びスイッチングトランジスタTr4がオンしている一方、残りのスイッチングトランジスタTr2及びTr3がオフしている。この状態でドライブトランジスタTr4のソース電位(S)はVss1−Vthである。このソース電位Sは発光素子ELのアノード電位でもある。前述したようにVss1−Vth<VthELと設定しておく事で、発光素子ELは逆バイアス状態におかれ、ダイオード特性ではなく単純な容量特性を示す事になる。よってドライブトランジスタTrdに流れる電流Idsは画素容量Csと発光素子ELの等価容量Coledとの合成容量C=Cs+Coledに流れ込む事になる。換言すると、ドレイン電流Idsの一部が画素容量Csに負帰還され、移動度の補正が行われる。
図6は上述したトランジスタ特性式2をグラフ化したものであり、縦軸にIdsを取り横軸にVsigを取ってある。このグラフの下方に特性式2も合わせて示してある。図6のグラフは、画素1と画素2を比較した状態で特性カーブを描いてある。画素1のドライブトランジスタの移動度μは相対的に大きい。逆に画素2に含まれるドライブトランジスタの移動度μは相対的に小さい。この様にドライブトランジスタをポリシリコン薄膜トランジスタなどで構成した場合、画素間で移動度μがばらつく事は避けられない。例えば両画素1,2に同レベルの映像信号Vsigを書き込んだ場合、何ら移動度の補正を行わないと、移動度μの大きい画素1に流れる出力電流Ids1´は、移動度μの小さい画素2に流れる出力電流Ids2´に比べて大きな差が生じてしまう。この様に移動度μのばらつきに起因して出力電流Idsの間に大きな差が生じるので、画面のユニフォーミティを損なう事になる。
そこで本発明では出力電流を入力電圧側に負帰還させる事で移動度のばらつきをキャンセルしている。トランジスタ特性式から明らかなように、移動度が大きいとドレイン電流Idsが大きくなる。したがって負帰還量ΔVは移動度が大きいほど大きくなる。図6のグラフに示すように、移動度μの大きな画素1の負帰還量ΔV1は移動度の小さな画素2の負帰還量ΔV2に比べて大きい。したがって、移動度μが大きいほど負帰還が大きくかかる事となって、ばらつきを抑制する事が可能である。図示するように、移動度μの大きな画素1でΔV1の補正をかけると、出力電流はIds1´からIds1まで大きく下降する。一方移動度μの小さな画素2の補正量ΔV2は小さいので、出力電流Ids2´はIds2までそれ程大きく下降しない。結果的に、Ids1とIds2は略等しくなり、移動度のばらつきがキャンセルされる。この移動度のばらつきのキャンセルは黒レベルから白レベルまでVsigの全範囲で行われるので、画面のユニフォーミティは極めて高くなる。以上をまとめると、移動度の異なる画素1と2があった場合、移動度の大きい画素1の補正量ΔV1は移動度の小さい画素2の補正量ΔV2に対して小さくなる。つまり移動度が大きいほどΔVが大きくIdsの減少値は大きくなる。これにより移動度の異なる画素電流値は均一化され、移動度のばらつきを補正する事ができる。
以下参考の為図7を参照して、上述した移動度補正の数値解析を行う。図7に示すように、トランジスタTr1及びTr4がオンした状態で、ドライブトランジスタTrdのソース電位を変数Vに取って解析を行う。ドライブトランジスタTrdのソース電位(S)をVとすると、ドライブトランジスタTrdを流れるドレイン電流Idsは以下の式3に示す通りである。
Figure 0004967336
またドレイン電流Idsと容量C(=Cs+Coled)の関係により、以下の式4に示す様にIds=dQ/dt=CdV/dtが成り立つ。
Figure 0004967336
式4に式3を代入して両辺積分する。ここで、ソース電圧V初期状態は−Vthであり、移動度ばらつき補正時間(T6‐T7)をtとする。この微分方程式を解くと、移動度補正時間tに対する画素電流が以下の数式5のように与えられる。
Figure 0004967336
図8は、式5をグラフ化したものであり、実測データに基づいている。縦軸に出力電流Idsを取り、横軸に映像信号Vsigを取ってある。パラメータとして移動度補正時間t=0us、1.0us及び2.0usの場合を設定している。さらに、移動度μもパラメータとして比較的大きい場合1.2μと比較的小さい場合0.8μをパラメータに取ってある。加えて容量Cは画素容量Csと発光素子容量Coledの和である。t=0usとして実質的に移動度補正をかけない場合に比べ、t=1.0usではVsig−Ids特性カーブの傾きがゆるくなっており、移動度が大きい場合(1.2μ)と移動度が小さい場合(0.8μ)で、出力電流Idsの差が小さくなっている。さらに移動度補正時間t=2.0usにすると、移動度の大小によるドレイン電流Idsの差が一層小さくなっており、ユニフォーミティが改善している。この様に最適な移動度補正時間(図示の例ではt=2.0us)を設定することで、移動度μのばらつきを吸収できることが分かる。
以上の動作を行うことで、映像信号電位サンプル方式の画素回路においても移動度ばらつきの補正を行う事ができる事が分かる。既に実用化されている液晶ディスプレイの駆動方式は基本的に映像信号電位をサンプリングする電圧駆動である。よって有機ELパネルにおいても電圧駆動にて移動度ばらつき補正が可能となる事で、従来液晶ディスプレイで用いていた外付けソースドライバや低温ポリシリコンTFTなどを用いたパネル内蔵型ソースドライバなどを利用する事が可能となり、低コストにて有機ELパネルモジュールを作成する事ができる。またこの画素回路ではドライブトランジスタ以外のスイッチングトランジスタはNチャネル型とPチャネル型を混在して用いているが、各トランジスタの特性はNチャネルでもPチャネルでも構わない。
但し図8のグラフを詳細に見ると、移動度補正時間tを最適に設定しても、ドレイン電流Idsに多少のばらつきがあることが分かる。特に、映像信号Vsigが2Vないし4Vの中間調範囲でIdsの変化が大きくなっていることが分かる。ある補正時間に対する移動度補正効果は図8に示すように、階調毎に異なってしまう。その為、全階調にて移動度補正効果を最適な値にすることはできない。その為移動度補正期間の設定マージンは非常に小さいものになってしまう。この先行開発例では移動度補正時間を最適にしてもまだ階調間で出力電流のばらつきに差があり、解決すべき課題となっている。
図9は、本発明にかかる画素回路を示す回路図である。理解を容易にするため、図2に示した先行開発例と対応する部分には対応する参照番号を付してある。本発明は図2に示した先行開発例を改良したものである。具体的には、ドライブトランジスタTrdのゲートGとドレインDとの間に付加容量Cgdを挿入している。この付加容量CgdをドライブトランジスタTrdのゲートGとドレインDとの間に挿入することで、移動度補正期間内にドライブトランジスタTrdのゲートGに容量カップリングを入れ、全階調にわたって移動度の差異をなくし均一化を図っている。これによりパネルの歩留りを改善することが出来る。付加容量CgdをドライブトランジスタTrdのゲートGとドレインDの間に挿入し、以って移動度補正手段の動作を適正化している。付加容量Cgdは、映像信号Vsigの白レベルから黒レベルの間の各階調レベルで、発光素子ELの輝度が最適となるように、その容量値が設定されている。
図10は、図9に示した本発明にかかる画素回路の動作説明に供するタイミングチャートである。理解を容易にするため、図4に示した先行開発例にかかるタイミングチャートと対応する部分には対応する参照番号を付してある。本画素回路の動作はタイミングT1からT8にわたって基本的に先行開発例の画素回路と同じである。異なる点は、移動度補正期間T6−T7で、付加容量CgdがドライブトランジスタのゲートGとドレインDとの間に挿入されているため、ドライブトランジスタTrdのゲート電位(G)がドレインからのカップリングで変動することである。この移動度補正期間T6−T7では、ドライブトランジスタTrdの移動度μに応じた補正分ΔVが、画素容量Csに書き込まれた映像信号Vsigから差し引かれる。
本発明では、全ての階調に対する最適な移動度補正期間tをそろえる為に、ドライブトランジスタのゲート−ドレイン間に容量をレイアウトする。これにより、移動度補正動作でのドレイン電圧上昇に対してゲートにカップリングが入り、低階調での移動度補正動作速度を上げることができ、移動度補正調整マージンを上げる事ができる。サンプリングトランジスタTr1をオンして信号電圧を書き込んだ後、スイッチングトランジスタTr4をオンして移動度補正を開始する。スイッチングトランジスタTr4がオンすることで、ドライブトランジスタTrdのドレイン電圧はカソード電圧からVccまで上昇する。本発明では、この電圧上昇が容量Cgdを介してゲート電圧にカップリングされる。サンプリングトランジスタTr1がオンしている為、ゲート電圧は信号電圧にひかれている。しかしながら、オン抵抗と画素容量Csの時定数がある為、減衰には時間がかかる。よって、ゲート電圧はタイミングチャートの移動度補正期間T6−T7に示す様に、先行開発例よりも数十mVから数v程、大きな値となる。ゲート電圧が大きくなる事で、Vsigは過渡的に大きくなる。移動度補正効果は前述の式5にて求められる。ここで、Vsigが大きくなると、移動度補正の効果が大きくなることが分かる。ゲート電圧が信号電圧まで減衰すると、Vsigは当初の値に戻され、移動度補正効果も先行開発例と同じに戻る。つまり、カップリングにより電圧が上昇している間のみ、移動度補正速度が大きくなることが分かる。
このカップリングによる移動度補正効果上昇度合いは、階調により異なる。例えば、このカップリング値を0.5Vとなるようにする。白階調ではVsig=5V、黒階調ではVsig=0.1Vとする。カップリングは階調によらず均一に入る。その為、Vsigが大きい白階調では、殆ど移動度補正速度に差異は生じない。一方で、黒階調であればVsigの値が低い為、カップリングによりVsigが当初の6倍になり、移動度補正が急速にかかる。これにより、低階調の最適移動度補正期間を従来よりも短い値に設定できる。高階調の最適移動度補正期間は元来短いので、全階調での最適移動度補正期間を均一に設定することができる。
図11は、移動度補正期間T6−T7における本発明の画素回路2の状態を示す回路図である。図示する様に、サンプリングトランジスタTr1とスイッチングトランジスタTr4が全て導通した状態で、移動度補正が行われる。ドライブトランジスタTrdから供給されたドレイン電流Idsは発光素子ELが逆バイアスとなっているため、発光素子ELには流れ込まない。発光素子容量Coledと画素容量Csを充電することになるが、その量は移動度μに対応している。したがってこの動作によりドライブトランジスタTrdの移動度μを補正できる。その際ドライブトランジスタTrdのゲートにCgdのカップリングを入れることで、移動度補正最適時間を全階調にわたって同一に設定できる。
図12は、実際にCgdをレイアウトし、最適なカップリング値とした時の各階調での出力電流を求めたグラフである、ここで用いている素子サイズなどの条件は図8で用いた値と同一である。図12のグラフによると、移動度補正期間1usにおいて全ての階調にて移動度補正が均一にかかっている事が分かる。つまり、Cgdを用いてゲートにカップリングする事で、全階調での最適移動度補正期間が均一になる事が分かる。よって、本発明のゲート・ドレイン間容量を介したカップリングより、高輝度の出力が必要になっても、全階調にて最適な移動度補正期間を求めることができ、パネルの歩留まりを向上させる事ができる。図12のグラフから明らかなように、この改善例では、付加容量Cgdを挿入し、移動度補正動作中ドライブトランジスタのゲートGにカップリングを入れることで、移動度補正最適時間はほぼt=1.0usになっている。t=1.0usに設定すると、移動度μの大小にかかわらず、出力電流Idsは0V〜6Vの全階調範囲にわたって各画素間にほとんど差がない。この様に、付加容量Cgdの容量値を最適に設定することで、全階調における移動度のばらつきをほぼ完全に吸収可能である。
本発明にかかる表示装置の全体構成を示す模式的なブロック図である。 図1に示した表示装置に組み込まれる画素回路の先行開発例を示す回路図である。 先行開発例の画素回路の動作説明に供する模式図である。 同じく先行開発例の動作説明に供するタイミングチャートである。 同じく先行開発例の動作説明に供する回路図である。 同じく先行開発例の動作説明に供するグラフである。 同じく先行開発例の動作説明に供する回路図である。 同じく先行開発例の動作説明に供するグラフである。 本発明にかかる画素回路を示す回路図である。 本発明にかかる画素回路の動作説明に供するタイミングチャートである。 本発明にかかる画素回路の動作説明に供する回路図である。 本発明にかかる画素回路の動作説明に供するグラフである。
符号の説明
1・・・画素アレイ、2・・・画素回路、3・・・水平セレクタ、4・・・ライトスキャナ、5・・・ドライブスキャナ、71・・・第1補正用スキャナ、72・・・第2補正用スキャナ、Tr1・・・サンプリングトランジスタ、Tr2・・・スイッチングトランジスタ、Tr3・・・スイッチングトランジスタ、Tr4・・・スイッチングトランジスタ、Trd・・・ドライブトランジスタ、Cs・・・画素容量、Cgd・・・付加容量、EL・・・発光素子

Claims (2)

  1. 制御信号を供給する行状の走査線と映像信号を供給する列状の信号線とが交差する部分に配され、少なくともサンプリングトランジスタと、これに接続する画素容量と、これに接続するドライブトランジスタと、これに接続する発光素子とを含み、
    前記サンプリングトランジスタは、所定のサンプリング期間に走査線から供給される制御信号に応じ導通して信号線から供給された映像信号を該画素容量にサンプリングし、
    前記画素容量は、該サンプリングされた映像信号に応じて該ドライブトランジスタのゲートとソース間に入力電圧を印加し、
    前記ドライブトランジスタは、所定の発光期間中該入力電圧に応じた出力電流を該発光素子に供給し、該出力電流は該ドライブトランジスタのチャネル領域のキャリア移動度に対して依存性を有し、
    前記発光素子は、該ドライブトランジスタから供給された出力電流により該映像信号に応じた輝度で発光する画素回路において、
    該出力電流のキャリア移動度に対する依存性を打ち消すために、該画素容量に保持された該入力電圧を補正する補正手段を備えており、
    前記補正手段は走査線から供給される制御信号に応じて該サンプリング期間の一部で動作し、該映像信号がサンプリングされている状態で該ドライブトランジスタから出力電流を取り出し、これを該画素容量に負帰還して該入力電圧を補正し、
    該ドライブトランジスタのゲートとドレインの間に接続された付加容量及びスイッチングトランジスタを備えており、
    前記サンプリング期間であって、かつ前記スイッチングトランジスタがオンされる移動補正期間に、前記付加容量が前記ドライブトランジスタのゲートとドレインの間に挿入され、
    前記移動補正期間では、前記ドライブトランジスタの移動度に応じた補正分の電圧が前記画素容量に書き込まれた映像信号から差し引かれ、以って該補正手段の動作を適正化し、
    前記付加容量は、該補正手段の動作に伴って生じる該ドライブトランジスタのドレイン電圧の上昇をゲートにカップリングし、以って低階調の映像信号での移動度補正に必要な時間を短縮し、これにより全階調での移動度補正時間を均一化する
    ことを特徴とする画素回路。
  2. 画素アレイ部とスキャナ部と信号部とを含み、
    前記画素アレイ部は、行状に配された走査線と列状に配された信号線と両者が交差する部分に配された行列状の画素とからなり、
    前記信号部は、該信号線に映像信号を供給し、
    前記スキャナ部は、該走査線に制御信号を供給して順次行ごとに画素を走査し、
    各画素は、少なくともサンプリングトランジスタと、これに接続する容量部と、これに接続するドライブトランジスタと、これに接続する発光素子とを含み、
    前記サンプリングトランジスタは、所定のサンプリング期間に走査線から供給される制御信号に応じ導通して信号線から供給された映像信号を該容量部にサンプリングし、
    前記容量部は、該サンプリングされた映像信号に応じて該ドライブトランジスタのゲートとソース間に入力電圧を印加し、
    前記ドライブトランジスタは、所定の発光期間中該入力電圧に応じた出力電流を該発光素子に供給し、該出力電流は該ドライブトランジスタのチャネル領域のキャリア移動度に対して依存性を有し、
    前記発光素子は、該ドライブトランジスタから供給された出力電流により該映像信号に応じた輝度で発光する表示装置において、
    各画素は、該ドライブトランジスタの出力電流のキャリア移動度に対する依存性を打ち消すために、あらかじめ該発光期間の前又は先頭で該容量部に保持された該入力電圧を補正する補正手段を備えており、
    前記補正手段は走査線から供給される制御信号に応じて該サンプリング期間の一部で動作し、該映像信号がサンプリングされている状態で該ドライブトランジスタから出力電流を取り出し、これを該容量部に負帰還して該入力電圧を補正し、
    又各画素は、該ドライブトランジスタのゲートとドレインの間に接続された付加容量及びスイッチングトランジスタを備えており、
    前記サンプリング期間であって、かつ前記スイッチングトランジスタがオンされる移動補正期間に、前記付加容量が前記ドライブトランジスタのゲートとドレインの間に挿入され、
    前記移動補正期間では、前記ドライブトランジスタの移動度に応じた補正分の電圧が前記画素容量に書き込まれた映像信号から差し引かれ、以って該補正手段の動作を適正化し、
    前記付加容量は、該補正手段の動作に伴って生じる該ドライブトランジスタのドレイン電圧の上昇をゲートにカップリングし、以って低階調の映像信号での移動度補正に必要な時間を短縮し、これにより全階調での移動度補正時間を均一化する
    ことを特徴とする表示装置。
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