JP4967137B2 - 癌治療用組成物 - Google Patents
癌治療用組成物 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4967137B2 JP4967137B2 JP2007528119A JP2007528119A JP4967137B2 JP 4967137 B2 JP4967137 B2 JP 4967137B2 JP 2007528119 A JP2007528119 A JP 2007528119A JP 2007528119 A JP2007528119 A JP 2007528119A JP 4967137 B2 JP4967137 B2 JP 4967137B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- gpr48
- cells
- cancer
- expression
- cell
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Classifications
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C07—ORGANIC CHEMISTRY
- C07K—PEPTIDES
- C07K16/00—Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies
- C07K16/18—Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies against material from animals or humans
- C07K16/28—Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies against material from animals or humans against receptors, cell surface antigens or cell surface determinants
- C07K16/30—Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies against material from animals or humans against receptors, cell surface antigens or cell surface determinants from tumour cells
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61P—SPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
- A61P35/00—Antineoplastic agents
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61P—SPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
- A61P35/00—Antineoplastic agents
- A61P35/04—Antineoplastic agents specific for metastasis
-
- G—PHYSICS
- G01—MEASURING; TESTING
- G01N—INVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
- G01N33/00—Investigating or analysing materials by specific methods not covered by groups G01N1/00 - G01N31/00
- G01N33/48—Biological material, e.g. blood, urine; Haemocytometers
- G01N33/50—Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing
- G01N33/53—Immunoassay; Biospecific binding assay; Materials therefor
- G01N33/574—Immunoassay; Biospecific binding assay; Materials therefor for cancer
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C07—ORGANIC CHEMISTRY
- C07K—PEPTIDES
- C07K2317/00—Immunoglobulins specific features
- C07K2317/70—Immunoglobulins specific features characterized by effect upon binding to a cell or to an antigen
- C07K2317/76—Antagonist effect on antigen, e.g. neutralization or inhibition of binding
-
- G—PHYSICS
- G01—MEASURING; TESTING
- G01N—INVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
- G01N2333/00—Assays involving biological materials from specific organisms or of a specific nature
- G01N2333/435—Assays involving biological materials from specific organisms or of a specific nature from animals; from humans
- G01N2333/705—Assays involving receptors, cell surface antigens or cell surface determinants
- G01N2333/72—Assays involving receptors, cell surface antigens or cell surface determinants for hormones
- G01N2333/726—G protein coupled receptor, e.g. TSHR-thyrotropin-receptor, LH/hCG receptor, FSH
-
- G—PHYSICS
- G01—MEASURING; TESTING
- G01N—INVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
- G01N2500/00—Screening for compounds of potential therapeutic value
- G01N2500/04—Screening involving studying the effect of compounds C directly on molecule A (e.g. C are potential ligands for a receptor A, or potential substrates for an enzyme A)
Landscapes
- Health & Medical Sciences (AREA)
- Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
- Chemical & Material Sciences (AREA)
- Immunology (AREA)
- Organic Chemistry (AREA)
- General Health & Medical Sciences (AREA)
- Medicinal Chemistry (AREA)
- Molecular Biology (AREA)
- Engineering & Computer Science (AREA)
- Biochemistry (AREA)
- Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
- Hematology (AREA)
- Urology & Nephrology (AREA)
- Cell Biology (AREA)
- Veterinary Medicine (AREA)
- Public Health (AREA)
- Animal Behavior & Ethology (AREA)
- Pharmacology & Pharmacy (AREA)
- Biomedical Technology (AREA)
- Oncology (AREA)
- Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
- General Chemical & Material Sciences (AREA)
- Analytical Chemistry (AREA)
- Biotechnology (AREA)
- Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
- Hospice & Palliative Care (AREA)
- Biophysics (AREA)
- Pathology (AREA)
- General Physics & Mathematics (AREA)
- Microbiology (AREA)
- Physics & Mathematics (AREA)
- Genetics & Genomics (AREA)
- Food Science & Technology (AREA)
- Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
- Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)
- Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)
- Investigating Or Analysing Biological Materials (AREA)
- Medicines Containing Antibodies Or Antigens For Use As Internal Diagnostic Agents (AREA)
- Peptides Or Proteins (AREA)
Description
一方、大腸癌、乳癌、胃癌、肺癌等の癌において、細胞周期制御因子であるCDK阻害タンパク質p27Kip1の発現量低下が見出され、p27Kip1の発現量が低下している癌では予後が悪いという報告がある(非特許文献1〜3)。しかしp27Kip1の発現量低下で何故予後が悪いのかは不明であった。
なお本発明者らにより予後不良の癌及び癌細胞の転移浸潤性に関連することが解明されたGPR48は、7回貫通ドメインを有するタンパク質のスーパーファミリーに属するロイシンリッチリピートを含むGタンパク質結合レセプターであることは知られていたが、その機能は不明であった(非特許文献4,5)。
即ち、本発明は、癌を治療するための方法と治療薬を提供する。
本発明者らは、GPR48と転移との関係を解明する研究を行った結果、GPR48が癌細胞の浸潤能を亢進させる機能を持つことを見出し、更に、GPR48の発現を阻害する又はその機能を阻害することにより癌の転移浸潤能が阻害されることを見出し、本発明を完成させるに至った。
また本発明は、Gタンパク共役型受容体GPR48の発現を抑制する又はGPR48の機能を阻害することから成る癌の治療方法でもある。
対象となる癌は如何なる癌でもよく、例えば、大腸癌、乳癌、胃癌、肺癌、胆道癌(胆管細胞癌、胆嚢癌)、膵癌、食道癌、肝細胞癌、喉頭癌、咽頭癌、甲状腺癌、子宮癌、卵巣癌、腎細胞癌、前立腺癌、膀胱癌、悪性黒色腫、脳腫瘍などが挙げられる。
本発明においては、中和抗体やアンタゴニスト等によりGPR48の機能を阻害し、又はsiRNAやアンチセンス等によりGPR48の発現を抑制することによって癌の浸潤転移を抑制する。
本発明で用いるRNA断片としては、標的RNAのセンス又はアンチセンスのものでもよいが、これらはRNaseで容易に分解され、また効果が劣ると考えられるため、これらから成る2本鎖RNAが好ましく用いられる。この2本鎖RNAは通常センスとアンチセンスの2本を別々に合成し、それをハイブリダイズさせて2本鎖にして用いられる。
このRNA断片の長さは19〜27塩基が有効と考えられており、後述の実施例においては19塩基のもの(配列番号5〜9)が有効に機能している。
Gタンパク共役型受容体GPR48をコードするポリヌクレオチド(配列番号1)の連続する19〜27塩基の塩基配列に「相当する」オリゴリボヌクレオチドとは、この遺伝子が転写されて生成するmRNAの、GPR48遺伝子の特定の塩基配列に相当する部分に相補的なRNAという意味であり、具体的にはこのGPR48遺伝子の特定のDNA配列のTをUに置き換えたものという意味である。またsiRNAは修飾されたものでもよい。
また、本発明の癌治療用組成物は、上記癌治療用組成物を製剤化したものを希釈剤などと混合して投与するための注射用キットや、製剤化した個々の製剤を投与するための錠剤用キットなどのキットとして提供してもよい。
またsiRNAを直接細胞に導入してもよく、その手段には特に制限はなく、リン酸カルシウム法、マイクロインジェクション法、プロトプラスト融合法、エレクトロポレーション、ウイルスベクターを用いる方法などが挙げられるが、リポソーム等に基づく市販のトランスフェクション試薬を用いるのが簡便である。
この癌細胞又は癌組織は、被検者から採取した細胞又は組織であることが好ましく、癌の疑いのある患者からの生検試料又は外科的手法によって癌の疑いのある患者から採取された細胞又は組織であることがより好ましい。
GPR48の発現の変化を検出する方法に特に制限は無いが、抗原抗体反応、RT−PCR、cDNAマイクロアレイ、ノーザンブロッティング、マススペクトロメトリー解析、プロテインチップ解析等が挙げられる。これらは各分野の常法に従って行えばよい。
(1)GPR48のアンタゴニスト及びシグナル伝達阻害のスクリーニング法
(i)マトリゲル浸潤アッセイによる方法
野生型GPR48及び恒常活性化型GPR48をHCT116等の細胞に導入したGPR48高発現細胞はマトリゲル浸潤アッセイで高い浸潤能を示すため、これらの細胞に被検物質を作用させ、その浸潤能を阻害する活性を指標にして、GPR48のアンタゴニストをスクリーニングすることができる。
(ii)cAMP濃度の測定による方法
GPR48の活性化状態は細胞内cAMP濃度で測定できるため、野生型GPR48及び恒常活性化型GPR48をHCT116等の細胞に導入したGPR48高発現細胞に被検物質を加えて培養後、細胞内cAMP濃度を測定し、cAMP濃度の低下を指標に阻害作用を評価する。被検物質が野生型GPR48のcAMP濃度を低下させ恒常活性化型GPR48のcAMP濃度を低下させない場合は、GPR48のリガンド(未知)と拮抗する物質であることが予想される。一方両方のcAMP濃度を低下させた場合はリガンド拮抗物質でなく、GPR48とリガンドの結合以降のGタンパク質からアデニル酸シクラーゼを活性化の細胞内シグナル伝達経路を阻害することが予想される。
(i)GPR48mRNAの発現量を測定することによる方法
HCT116等の培養細胞に被検物質を加えて培養後、RNAを抽出し、RT-PCR、cDNAマイクロアレイ、ノーザンブロッティング等を用いてGPR48mRNA量を測定し、GPR48mRNAの低下を指標にして、GPR48の発現抑制薬をスクリーニングすることができる。
(ii)GPR48タンパク質の発現量を測定することによる方法
HCT116等の培養細胞に被検物質を加えて培養後、免疫蛍光染色、ウエスタンブロット、フローサイトメトリー、プロテインチップなどの抗原抗体反応によって、あるいはマススペクトロメトリーなどによる解析によってGPR48タンパク質量を測定し、その低下を指標にして、GPR48の発現抑制薬をスクリーニングすることができる。
(iii)GPR48レポーターアッセイによる方法
ヒトGPR48遺伝子上流-1671までの転写制御領域をPCRで増幅し、ルシフェラーゼレポーターベクターのPGVBに導入し、PGVB-GPR48-1671を構築した。このPGVB-GPR48-1671をHCT116等の培養細胞に導入し、被検物質を加えて培養後、細胞抽出液中のルシフェラーゼ活性を測定し、その低下を指標にして、GPR48の発現抑制薬をスクリーニングすることができる。
ヒトGPR48(配列番号1)から、常法に従ってヒトGPR48mRNAを特異的に増幅するプライマーを設計する。プライマーの配列はヒトGPR48mRNA中の配列で特異的な増幅を示すものあれば特に制限するものではない。Gタンパク共役型受容体GPR48の配列中の適当な2つのプライマーを用いたRT−PCT法により、前記細胞におけるGPR48の発現量を調べることができる。
抗体は、ヒトGPR48(配列番号2)に対するペプチドを抗原として抗体を作成することができる。この抗体は、ポリクローナル抗体でもモノクローナル抗体でもよい。
抗原抗体反応を検出する方法の例を挙げると,本発明の抗体を、検体中に存在するGPR48と反応させ、更にこの抗体を認識するプローブを反応させる。このプローブとしては、抗ヒトIgG抗体、プロテインG、プロテインA、プロテインLなどが挙げられる。このプローブには通常標識を付す。この標識としては、放射性同位元素(125I)、酵素(ペルオキシダーゼ、アルカリフォスファターゼ)、蛍光物質、発光物質等が挙げられる。酵素抗体を用いた場合には、基質を反応させてその変化(着色等)を観察すればよい。
ノーザンブロッティングの場合には、検体からRNA分画あるいはmRNAを調整した後、電気泳動により分画したRNAを、ゲルからニトロセルロース膜等に固定する。これにヒトGPR48(配列番号1)から作成した標識DNA(プローブ)に対合させて、発現するmRNAを検出して、GPR48の発現を知ることができる。
マススペクトロメトリー(質量分析)解析には、検体からタンパク質を抽出し、質量分析機で分析し、GPR48のアミノ酸配列を持つ断片の量を測定することによりGPR48の発現を知ることができる。
プロテインチップ解析の場合には、検体からタンパク質を抽出し、GPR48の抗体等を固定したチップと反応させ、洗浄後、発色させプロテインチップ解析装置により量を測定することによりGPR48の発現を知ることができる。
以下、実施例にて本発明を例証するが本発明を限定することを意図するものではない。
培養細胞(又は凍結検体)にIsogen(和光社製)試薬を加え、ポリトロンホモジナイザーでホモジナイズし遠心し、エタノール沈殿し、RNAを抽出した。このRNAを鋳型にして、ランダムオリゴプライマーを用いてSuperScript Reverse Transcriptase (Invitrogen社製)でcDNAを合成した。
次にGPR48の発現量を定量するため、CAGTACCCAGTGAAGCCATT(配列番号3)及びTGTTGTCATCCAGCCACAGA(配列番号4)をヒトGPR48のプライマーセットとし、定量的RT-PCR(Cyber Green法)を行った。タックマン法等他のQRT-PCR法を用いてもよい。
耐熱性ポリメラーゼを含む反応液にプライマーセットと検体のcDNAを加え、リアルタイムPCR機(ロッシュ社製、Light Cycler)にセットし、94℃15秒の熱変性のあと、54℃20秒及び72℃20秒のサイクル増幅を行うことによりGPR48mRNA量を定量した。
マトリゲル浸潤チャンバー(Matrigel invasion chamber、BD Bioscience社製、24-well plate size)を用い、マトリゲル(matrigel)でコーティングされたPET膜(PET membrane、ポアサイズ8.0-μm)のchamberの上にこれらの細胞を5×104 cells/wellの数で播いた。チャンバーの下のウェル(well)中には、ケモアトラクタント(chemo-attractant)として10μg/mlフィブロネクチン(fibronectin、Roche製)を含んだ培地750μlをいれた。36時間後、37℃のCO2インキュベーターから出して、綿棒でチャンバーの上の細胞を取り除き、マトリゲルを通り抜け、チャンバーの下へ浸潤した細胞をDiff-Quik kit (International Reagents Corporation社製)で染色し、顕微鏡で100倍拡大の条件で観察し、全視野の細胞を数えた。3回実験を行い、毎回の実験で1サンプルについて、3ウェルずつ実験を行った。
細胞内cAMPの測定にはDirect cAMP enzyme immunoassay キット(Sigma-Aldrich社)等を用いた。具体的には、上記細胞の培養培地を吸引して、直ちに0.1M HClを細胞の上にかけて、内因性のホスホジエステラーゼを失活させる。室温で10分後、600 gで遠心してて得た上清を96ウェル-プレートに移して中和試薬を加える。さらにcAMP 抱合体(conjugate)及び抗cAMP抗体を入れ、2時間室温500rpmで振とうする。その後、well中の反応液を捨て洗浄用緩衝液で2回洗う。200μlのp-NPP 基質を各ウェルに加えて室温で一時間インキュベートする。最後に50μlのストップ液(stop solution)を加え405nmで吸光度を測る。各サンプルについて、3ウェルずつ実験する。標準曲線はcAMPを段階希釈した標準液を調整し、本プロトコルによりcAMP濃度を定量して検量線を作成し、これを用いて各サンプルのcAMP濃度を算出した。
GPR48の癌細胞における機能を調べるためにGPR48発現プラスミド(pcDNA4-HisMax-hGPR48)をヒト大腸癌細胞HCT116にトランスフェクトし、導入された細胞をZeocinで選択し、安定発現細胞株(GPR48-19及びGPR48-33)を得た。また、比較のため、空ベクター(pcDNA4-HisMax (R)、Invitrogen Corp.、図1)をヒト大腸癌細胞HCT116にトランスフェクトし、導入された細胞をZeocinで選択し、安定発現細胞株(Vector 2及びVector 6)を得た。
これらの細胞におけるGPR48発現を、定量的RT-PCR法により調べた。その結果を図2に示す。pcDNA4-HisMax-hGPR48が導入されたGPR48-19及びGPR48-33においてGPR48mRNAが高発現していることが確認された。
次に、培養細胞の浸潤能を調べた。図3は、浸潤した細胞を染色した写真である。図4はその結果をグラフで表し、統計処理したものを示す。*印は、0.01以下の危険率で有意にGPR48-19, GPR48-33が対照のベクターより浸潤能が高いことを示す。
その結果、GPR48mRNAを高発現しているGPR48-19及びGPR48-33細胞は対照群のVector 2, Vector 6より明らかに浸潤能が高いことがわかった。
即ち、GPR48は癌細胞の浸潤を促進するといえる。
試験例1と同様に、恒常活性型GPR48発現プラスミド(pcDNA4-HisMax-hGPR48-T755I)をヒト大腸癌細胞HCT116にトランスフェクトし安定発現細胞株(GPR48-M6)を得た。各細胞における全GPR48量(内因性GPR48及び導入野生型GPR48、GPR48-T755I)をリアルタイムRT-PCR法により定量した。その結果を図5に示す。GPR48-19及びGPR48-M6では、対照群のvector-2の発現量(内因性GPR48mRNA量)の10倍以上の発現があった。
次に、GPR48-19, GPR48-M6及びVector 2の細胞 各5x106個をヌードマウス(BALB/c-nu/nu)皮下に接種し、6週間後、肺を摘出し、パラフィン抱埋し組織標本を作成した。転移を観察するため抗ヒトサイトケラチン抗体(Santa Cruz Biotechnology社製)で定法により免疫組織染色し、顕微鏡で観察した。その顕微鏡写真を図6に示す。その視野中の転移巣の数を図7(1)に示し、さらに小さな微小転移の数を図7(2)に示す。この結果より、野生型GPR48の導入により大腸癌細胞HCT116の転移能が増大することがわかった。
ノックダウンの効率を確かめるためにHepG2細胞(ATCCから入手)にpcDNA4-HisMax-hGPR48とこれらのプラスミドをコトランスフェクションし、GPR48の発現抑制効果を定量的RT-PCR法で解析した。
その結果を図8に示す。GPR48の発現抑制効果はNo.1が最も強かったが、No.2、3、4のいずれも十分な発現抑制効果を示した。
抗GPR48(実施例4の抗体)を用いた免疫蛍光染色を図9に示す。(1)はHeLa細胞にpSuperプラスミドを導入した対照群の浸潤細胞を示し、(2)はHeLa細胞にNo.1の配列を持つpSuper-GPR48-KDプラスミドを導入した対照群の浸潤細胞を示す。この結果、pSuper-GPR48-KDが導入されたことによりGPR48タンパク質の発現が抑制されていることが確認された。
また定量的RT-PCR法による解析結果を図10に示す。この結果、pSuper-GPR48-KDが導入されたことによりGPR48mRNAの発現が抑制されていることが確認された。
これらの結果は、GPR48は癌細胞の浸潤を促進する機能を持っており、siRNAによるノックダウン等でGPR48の発現量を抑制することにより癌の浸潤能を抑えることができることを示す。
GPR48発現ベクターpcDNA4-HisMax-hGPR48をトランスフェクションした293細胞(ATCCから入手)の抽出液をSDSポリアクリルアミド電気泳動で分離し、ウエスタンブロット解析した。その結果、分子量104kDにヒトGPR48のバンドが検出された。また、図9に示すように、この抗体は、免疫蛍光染色がGPR48の発現量に対応した反応性を示すことから、GPR48に対する特異抗体であることが確認された。
その結果を図16に示す。コントロールIgGで処理したGPR48-19細胞は高い浸潤能を示した。一方、抗GPR48抗体処理群(GPR48-19-GPR48)は、コントロール抗体処理群(GPR48-19-IgG)に比べて、GPR48-19細胞の浸潤能を有意に阻害した。この抗GPR48抗体はGPR48に結合しその機能を阻害し、GPR48依存的浸潤を阻害する中和抗体であることが示された。このことはGPR48の中和抗体が転移抑制を目的とした治療に有用であることを意味している。
これらの結果より、野生型GPR48及び恒常活性化型GPR48をHCT116等の細胞に導入したGPR48高発現細胞の示す上昇した浸潤能を阻害する活性を指標にGPR48のアンタゴニストをスクリーニングすることができる。さらにこのアッセイを用いれば被検物質の作用機序を推察できる。すなわち被検物質が野生型GPR48の浸潤能を低下させ恒常活性化型GPR48の浸潤能を低下させない場合は、GPR48のリガンド(未知)と拮抗する物質であることが予想される。一方両方の浸潤能を低下させた場合はリガンド拮抗物質でなく、GPR48とリガンドの結合以降〜浸潤能発現までの細胞内シグナル伝達経路を阻害することが予想できる。
Claims (2)
- Gタンパク共役型受容体GPR48をコードするポリヌクレオチド(配列番号1)の連続する19〜27塩基の塩基配列に相当するオリゴリボヌクレオチド、又は該オリゴリボヌクレオチドとその相補的オリゴリボヌクレオチドから成る2本鎖RNAから成る癌治療用組成物。
- 前記塩基配列が配列番号5〜9のいずれかである請求項1に記載の癌治療用組成物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007528119A JP4967137B2 (ja) | 2005-04-18 | 2006-04-14 | 癌治療用組成物 |
Applications Claiming Priority (6)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005119290 | 2005-04-18 | ||
JP2005119290 | 2005-04-18 | ||
JP2005368258 | 2005-12-21 | ||
JP2005368258 | 2005-12-21 | ||
JP2007528119A JP4967137B2 (ja) | 2005-04-18 | 2006-04-14 | 癌治療用組成物 |
PCT/JP2006/307950 WO2006112401A1 (ja) | 2005-04-18 | 2006-04-14 | 癌治療用組成物 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPWO2006112401A1 JPWO2006112401A1 (ja) | 2008-12-11 |
JP4967137B2 true JP4967137B2 (ja) | 2012-07-04 |
Family
ID=37115119
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2007528119A Active JP4967137B2 (ja) | 2005-04-18 | 2006-04-14 | 癌治療用組成物 |
Country Status (2)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4967137B2 (ja) |
WO (1) | WO2006112401A1 (ja) |
Families Citing this family (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US20120135422A1 (en) * | 2009-03-31 | 2012-05-31 | Mie University | Anti-gpcr antibody and the method of producing the same |
RU2639540C2 (ru) * | 2011-08-10 | 2017-12-21 | Ланкенау Инститьют Фо Медикал Ресёрч | Способы и композиции для лечения аутоиммунных и воспалительных заболеваний |
EP3157634B1 (en) * | 2014-06-23 | 2018-12-12 | Bionomics, Inc. | Antibodies that bind lgr4 |
CN114853889B (zh) * | 2021-02-03 | 2024-03-01 | 中国科学院动物研究所 | 针对人gpr48的单克隆抗体及其应用 |
Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2001053337A1 (en) * | 2000-01-20 | 2001-07-26 | Smithkline Beecham Corporation | Human 7 transmembrane receptor axor33 |
WO2001092297A2 (en) * | 2000-05-30 | 2001-12-06 | Bayer Aktiengesellschaft | Regulation of human lgr4-like g protein-coupled receptor |
Family Cites Families (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE19613691A1 (de) * | 1996-04-05 | 1997-10-09 | Boehringer Ingelheim Int | Arzneimittel für die Behandlung von Tumorerkrankungen |
DE19956568A1 (de) * | 1999-01-30 | 2000-08-17 | Roland Kreutzer | Verfahren und Medikament zur Hemmung der Expression eines vorgegebenen Gens |
JP2003125780A (ja) * | 2001-10-22 | 2003-05-07 | Mitsubishi Pharma Corp | 新規gpcr、それをコードする遺伝子及びそれらの用途 |
-
2006
- 2006-04-14 WO PCT/JP2006/307950 patent/WO2006112401A1/ja active Application Filing
- 2006-04-14 JP JP2007528119A patent/JP4967137B2/ja active Active
Patent Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2001053337A1 (en) * | 2000-01-20 | 2001-07-26 | Smithkline Beecham Corporation | Human 7 transmembrane receptor axor33 |
WO2001092297A2 (en) * | 2000-05-30 | 2001-12-06 | Bayer Aktiengesellschaft | Regulation of human lgr4-like g protein-coupled receptor |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPWO2006112401A1 (ja) | 2008-12-11 |
WO2006112401A1 (ja) | 2006-10-26 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6223822B2 (ja) | 未分化リンパ腫キナーゼ(alk)キナーゼ阻害剤に耐性である癌の診断および治療のための方法および組成物 | |
JP6032616B2 (ja) | Kif5b遺伝子とret遺伝子との融合遺伝子、並びに該融合遺伝子を標的としたがん治療の有効性を判定する方法 | |
EP2878672A1 (en) | Fusion gene of cep55 gene and ret gene | |
JP6667967B2 (ja) | Met阻害剤に対する感受性予測用の新規なバイオマーカー及びその用途 | |
KR101925125B1 (ko) | Nckap1을 유효성분으로 포함하는 대장암 진단 또는 대장암 전이 예후 예측용 바이오마커 조성물 | |
JP4967137B2 (ja) | 癌治療用組成物 | |
JP6467580B2 (ja) | 小細胞肺がんの診断薬及び治療薬 | |
KR101875935B1 (ko) | Her2 저해제 내성 바이오마커 | |
KR20110046987A (ko) | 암의 진단 및 치료를 위한 eIF3m의 용도 | |
US10563265B2 (en) | Use of RHOA in cancer diagnosis and inhibitor screening | |
TW201204393A (en) | Diagnostic agent and therapeutic agent of cancer | |
JP2014507629A (ja) | 癌の診断および予後ならびに治療応答予測の新規方法 | |
WO2010050268A1 (ja) | がん幹細胞分子マーカー | |
JP2011520781A (ja) | 治療、診断及び検査のためのms4a12を伴う方法、及びms4a12を標的とする剤 | |
CN102321757A (zh) | 一种筛选治疗或预防癌症的药物的方法 | |
CN112143805A (zh) | Rit1在肝细胞癌的诊断和治疗中的应用 | |
JP6175711B2 (ja) | S−1による癌化学療法の投与効果の判定方法 | |
KR20130137562A (ko) | 폐암 진단 및 치료를 위한 표적 단백질 | |
US20190055565A1 (en) | Prevention, diagnosis and treatment of cancer overexpressing gpr160 | |
KR102549771B1 (ko) | 대장암 전이 억제제 스크리닝 방법 | |
EP2754713B1 (en) | ANTIBODY AGAINST MUTANT alpha-ACTININ-4 | |
US11639530B2 (en) | CD133 related to anticancer agent resistance in colon cancer and use thereof | |
CN102321755A (zh) | 一种筛选治疗或预防癌症的药物的方法 | |
JP6462632B2 (ja) | 変異型α−アクチニン−4に対する抗体 | |
KR101753457B1 (ko) | 암 줄기 유사세포 검출용 바이오마커 gpr50 및 이의 용도 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20090331 |
|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20090331 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20111114 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20120105 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20120220 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20120220 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |