JP4965622B2 - 自動変速機 - Google Patents

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Description

本発明は、変速段の多段化要求やギヤ比幅のワイド化要求がある車両の変速装置として適用される自動変速機に関する。
従来、3遊星・6摩擦要素により前進8速の変速段を達成する自動変速機としては、ダブルピニオン型遊星歯車と、ラビニオ式遊星歯車ユニット(ダブルピニオン型遊星1つとシングルピニオン型遊星1つ)と、4個のクラッチと、2個のブレーキを有するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2001−182785号公報
しかしながら、従来の自動変速機にあっては、3遊星・6摩擦要素により前進8速の変速段を達成するものの、ダブルピニオン型遊星歯車を2つ使っているため、下記の項目で不利になる、という問題があった。
・歯車噛み合い回数が多くなるため、ギヤ効率とギヤノイズが悪い。
・ピニオンのギヤ径が小さくなるため、耐久信頼性が低下する。
・部品点数が多くなるため、コストアップになる。
また、前進8速の各変速段を達成するに際し、摩擦要素を二つ締結するようにしているため、各変速段において、空転する摩擦要素が4つとなり、空転する摩擦要素でのフリクション損失が大きく、駆動エネルギの伝達効率の悪化を招く、という問題があった。
特に、摩擦要素として多用されている多板クラッチや多板ブレーキの場合、要素解放による空転状態のとき、冷却や潤滑のために吹き付けられるオイルが相対回転するプレート間に介在し、引き摺り抵抗(オイルのせん断抵抗)によるフリクション損失の発生を避けることができない。しかも、このフリクション損失は、プレート枚数が多くてプレート間の相対回転速度が高いほど大きくなる。
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、3遊星6摩擦要素で前進8速を達成しながら、ギヤ効率・ギヤノイズ・耐久性信頼性・コストの面で有利であると共に、フリクション損失を小さく抑えることで、駆動エネルギの伝達効率の向上を図ることができる自動変速機を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の自動変速機は、第1のサンギヤと、第1のリングギヤと、前記第1のサンギヤと前記第1のリングギヤに噛み合う第1のダブルピニオンを支持する第1のキャリヤとからなる第1の遊星歯車と、
第2のサンギヤと、第2のリングギヤと、前記第2のサンギヤと前記第2のリングギヤに噛み合う第2のシングルピニオンを支持する第2のキャリヤとからなる第2の遊星歯車と、
第3のサンギヤと、第3のリングギヤと、前記第3のサンギヤと前記第3のリングギヤに噛み合う第3のシングルピニオンを支持する第3のキャリヤとからなる第3の遊星歯車と、
6つの摩擦要素と、を備え、
前記6つの摩擦要素を適宜締結解放することにより少なくとも前進8速の変速段に変速して入力軸からのトルクを出力軸に出力可能な自動変速機において、
前記入力軸は、前記第2のリングギヤに常時連結しており、
前記出力軸は、前記第3のリングギヤに常時連結しており、
前記第1のキャリヤと前記第2のキャリヤは、常時連結して第1の回転メンバを構成しており、
前記第1のサンギヤと前記第3のサンギヤは、常時連結して第2の回転メンバを構成しており、
前記6つの摩擦要素は、
前記第2のサンギヤと前記第2の回転メンバとの間を選択的に連結する第1の摩擦要素と、
前記第2のリングギヤと前記第3のキャリヤとの間を選択的に連結する第2の摩擦要素と、
前記第1のリングギヤと前記第3のキャリヤとの間を選択的に連結する第3の摩擦要素と、
前記第1のリングギヤと前記第1の回転メンバとの間を選択的に連結する第4の摩擦要素と、
前記第2のサンギヤの回転を係止可能な第5の摩擦要素と、
前記第3のキャリヤの回転を係止可能な第6の摩擦要素と、
により構成され、
前記6つの摩擦要素のうち、三つの同時締結の組み合わせにより、少なくとも前進8速及び後退1速を達成することを特徴とする。
よって、本発明の自動変速機にあっては、3遊星・6摩擦要素により少なくとも前進8速及び後退1速の変速段を達成する。このうち、3遊星については、2つのシングルピニオン型遊星歯車と1つのダブルピニオン型遊星歯車が用いられる。このため、トルク伝達に関与する歯車噛み合い回数が、1つのシングルピニオン型遊星歯車と2つのダブルピニオン型遊星歯車を用いる場合の歯車噛み合い回数以下に減少し、ギヤ効率が向上し、ギヤノイズが低下する。そして、ピニオンのギヤ径が大きくなるので、耐久信頼性が向上する。さらに、部品点数が減少するので、コストダウンになる。
さらに、6摩擦要素については、三つの同時締結の組み合わせにより各変速段を達成するようにしている。このため、各変速段において、空転する摩擦要素が3つとなり、二つの同時締結の組み合わせにより各変速段を達成する場合に比べ、空転する摩擦要素でのフリクション損失が小さく抑えられる。したがって、例えば、エンジン車に適用する場合、燃費性能が向上するというように、駆動エネルギの伝達効率が向上する。
この結果、3遊星6摩擦要素で前進8速を達成しながら、ギヤ効率・ギヤノイズ・耐久信頼性・コストの面で有利であると共に、フリクション損失を小さく抑えることで、駆動エネルギの伝達効率の向上を図ることができる。
実施例1の自動変速機を示すスケルトン図である。 実施例1の自動変速機において6つの摩擦要素のうち三つの同時締結の組み合わせにより前進8速及び後退1速を達成する締結作動表を示す図である。 実施例1の自動変速機において前進8速の各変速段での歯車噛み合い回数表を示す図である。 実施例1の自動変速機における第1速(1st)の変速段での変速作用説明図である。 実施例1の自動変速機における第2速(2nd)の変速段での変速作用説明図である。 実施例1の自動変速機における第3速(3rd)の変速段での変速作用説明図である。 実施例1の自動変速機における第4速(4th)の変速段での変速作用説明図である。 実施例1の自動変速機における第5速(5th)の変速段での変速作用説明図である。 実施例1の自動変速機における第6速(6th)の変速段での変速作用説明図である。 実施例1の自動変速機における第7速(7th)の変速段での変速作用説明図である。 実施例1の自動変速機における第8速(8th)の変速段での変速作用説明図である。 実施例1の自動変速機における後退速(Rev)の変速段での変速作用説明図である。 従来例の自動変速機を示すスケルトン図である。 従来例の自動変速機において6つの摩擦要素のうち二つの同時締結の組み合わせにより前進8速及び後退2速を達成する締結作動表を示す図である。 従来例の自動変速機において前進8速の各変速段での歯車噛み合い回数表を示す図である。
以下、本発明の自動変速機を実現する最良の形態を、図面に示す実施例1に基づいて説明する。
まず、構成を説明する。
図1は、実施例1の自動変速機を示すスケルトン図である。以下、図1に基づいて、実施例1の自動変速機の遊星歯車構成と摩擦要素構成を説明する。
実施例1の自動変速機は、図1に示すように、第1の遊星歯車PG1と、第2の遊星歯車PG2と、第3の遊星歯車PG3と、入力軸INと、出力軸OUTと、第1の回転メンバM1と、第2の回転メンバM2と、第1クラッチC1(第1の摩擦要素)と、第2クラッチC2(第2の摩擦要素)と、第3クラッチC3(第3の摩擦要素)と、第4クラッチC4(第4の摩擦要素)と、第1ブレーキB1(第5の摩擦要素)と、第2ブレーキB2(第6の摩擦要素)と、トランスミッションケースTCと、を備えている。
前記第1の遊星歯車PG1は、第1のダブルピニオンP1s,P1rを有するダブルピニオン型遊星歯車であり、第1のサンギヤS1と、該第1のサンギヤS1に噛み合うピニオンP1sと該ピニオンP1sに噛み合うピニオンP1rを支持する第1のキャリヤPC1と、前記ピニオンP1rに噛み合う第1のリングギヤR1とからなる。
前記第2の遊星歯車PG2は、シングルピニオン型遊星歯車であり、第2のサンギヤS2と、該第2のサンギヤS2に噛み合う第2のシングルピニオンP2を支持する第2のキャリヤPC2と、前記第2のシングルピニオンP2に噛み合う第2のリングギヤR2とからなる。
前記第3の遊星歯車PG3は、シングルピニオン型遊星歯車であり、第3のサンギヤS3と、該第3のサンギヤS3に噛み合う第3のシングルピニオンP3を支持する第3のキャリヤPC3と、前記第3のシングルピニオンP3に噛み合う第3のリングギヤR3とからなる。
前記入力軸INは、駆動源(エンジン等)からの回転駆動トルクがトルクコンバータ等を介して入力される軸で、前記第2のリングギヤR2に常時連結している。
前記出力軸OUTは、プロペラシャフトやファイナルギヤ等を介して駆動輪へ変速後の回転駆動トルクを出力する軸で、前記第3のリングギヤR3に常時連結している。
前記第1の回転メンバM1は、前記第1のキャリヤPC1と前記第2のキャリヤPC2を、摩擦要素を介在させることなく常時連結する回転メンバである。
前記第2の回転メンバM2は、前記第1のサンギヤS1と前記第3のサンギヤS3を、摩擦要素を介在させることなく常時連結する回転メンバである。
前記第1クラッチC1は、前記第2のサンギヤS2と前記第2の回転メンバM2の間を選択的に連結する第1の摩擦要素である。
前記第2クラッチC2は、前記第2のリングギヤR2と前記第3のキャリヤPC3の間を選択的に連結する第2の摩擦要素である。
前記第3クラッチC3は、前記第1のリングギヤR1と前記第3のキャリヤPC3の間を選択的に連結する第3の摩擦要素である。
前記第4クラッチC4は、前記第1のリングギヤR1と前記第1の回転メンバM1の間を選択的に連結する第4の摩擦要素である。
前記第1ブレーキB1は、前記第2のサンギヤS2の回転を、前記トランスミッションケースTCに対し係止可能な第5の摩擦要素である。
前記第2ブレーキB2は、前記第3のキャリヤPC3の回転を、前記トランスミッションケースTCに対し係止可能な第6の摩擦要素である。
前記第1の遊星歯車PG1と前記第2の遊星歯車PG2と前記第3の遊星歯車PG3は、図1に示すように、駆動源が接続される前記入力軸INから前記出力軸OUTに向かって順に配列している。
図2は、実施例1の自動変速機において6つの摩擦要素のうち三つの同時締結の組み合わせにより前進8速及び後退1速を達成する締結作動表を示す図である。図3は、実施例1の自動変速機において前進8速の各変速段での歯車噛み合い回数表を示す図である。以下、図2及び図3に基づいて、実施例1の自動変速機の各変速段を成立させる変速構成を説明する。
実施例1の自動変速機は、6つの摩擦要素C1,C2,C3,C4,B1,B2のうち三つの同時締結の組み合わせにより、下記に述べるように前進8速及び後退1速の各変速段を達成する。
第1速(1st)の変速段は、図2に示すように、第1クラッチC1と第3クラッチC3と第2ブレーキB2の同時締結により達成する。この第1速の変速段での歯車噛み合い回数は、図3に示すように、第1の遊星歯車PG1と第2の遊星歯車PG2と第3の遊星歯車PG3が噛み合いに関与するため、合計回数は、7回(=3回+2回+2回)となる。
第2速(2nd)の変速段は、図2に示すように、第3クラッチC3と第1ブレーキB1と第2ブレーキB2の同時締結により達成する。この第2速の変速段での歯車噛み合い回数は、図3に示すように、第1の遊星歯車PG1と第2の遊星歯車PG2と第3の遊星歯車PG3が噛み合いに関与するため、合計回数は、7回(=3回+2回+2回)となる。
第3速(3rd)の変速段は、図2に示すように、第1クラッチC1と第3クラッチC3と第1ブレーキB1の同時締結により達成する。この第3速の変速段での歯車噛み合い回数は、図3に示すように、第1の遊星歯車PG1と第2の遊星歯車PG2と第3の遊星歯車PG3が噛み合いに関与するため、合計回数は、7回(=3回+2回+2回)となる。
第4速(4th)の変速段は、図2に示すように、第3クラッチC3と第4クラッチC4と第1ブレーキB1の同時締結により達成する。この第4速の変速段での歯車噛み合い回数は、図3に示すように、第2の遊星歯車PG2のみが噛み合いに関与するため、合計回数は、2回(=0回+2回+0回)となる。
第5速(5th)の変速段は、図2に示すように、第2クラッチC2と第3クラッチC3と第1ブレーキB1の同時締結により達成する。この第5速の変速段での歯車噛み合い回数は、図3に示すように、第1の遊星歯車PG1と第2の遊星歯車PG2と第3の遊星歯車PG3が噛み合いに関与するため、合計回数は、7回(=3回+2回+2回)となる。
第6速(6th)の変速段は、図2に示すように、第2クラッチC2と第3クラッチC3と第4クラッチC4の同時締結により達成する。この第6速の変速段での歯車噛み合い回数は、図3に示すように、第1の遊星歯車PG1と第2の遊星歯車PG2と第3の遊星歯車PG3がいずれも噛み合いに関与しないため、合計回数は0回となる。
第7速(7th)の変速段は、図2に示すように、第2クラッチC2と第4クラッチC4と第1ブレーキB1の同時締結により達成する。この第7速の変速段での歯車噛み合い回数は、図3に示すように、第2の遊星歯車PG2と第3の遊星歯車PG3が噛み合いに関与するため、合計回数は、4回(=0回+2回+2回)となる。
第8速(8th)の変速段は、図2に示すように、第1クラッチC1と第2クラッチC2と第1ブレーキB1の同時締結により達成する。この第8速の変速段での歯車噛み合い回数は、図3に示すように、第3の遊星歯車PG3のみが噛み合いに関与するため、合計回数は、2回(=0回+0回+2回)となる。
後退速(Rev)の変速段は、図2に示すように、第4クラッチC4と第1ブレーキB1と第2ブレーキB2の同時締結により達成する。
次に、作用を説明する。
実施例1の自動変速機における作用を、「各変速段での変速作用」、「従来技術との対比による有利性」に分けて説明する。
[各変速段での変速作用]
(第1速の変速段)
第1速(1st)の変速段では、図4のハッチングに示すように、第1クラッチC1と第3クラッチC3と第2ブレーキB2が同時締結される。
この第1クラッチC1の締結と第2の回転メンバM2により、第1のサンギヤS1と第2のサンギヤS2と第3のサンギヤS3が直結される。第3クラッチC3と第2ブレーキB2の同時締結により、第1のリングギヤR1と第3のキャリヤPC3がトランスミッションケースTCに固定される。
したがって、第2のリングギヤR2へ入力軸INを経過して入力回転数が入力されると、第2の遊星歯車PG2の第2のキャリヤPC2と第2のサンギヤS2は、リングギヤ固定の第1の遊星歯車PG1の第1のキャリヤPC1と第1のサンギヤS1の回転により拘束を受けながら回転する。このときの拘束条件は、第1の回転メンバM1を介して第1のキャリヤPC1と第2のキャリヤPC2が同じ回転数を保ち、且つ、第1クラッチC1及び第2の回転メンバM2を介して第1のサンギヤS1と第2のサンギヤS2が同じ回転数を保つという条件である。この回転拘束関係により第1のサンギヤS1及び第2のサンギヤS2の回転は、第2のリングギヤR2への入力回転方向に対して逆方向の回転となる。この第2のサンギヤS2の回転は、第1クラッチC1と第2の回転メンバM2を経過して第3のサンギヤS3にそのまま入力される。このため、キャリヤ固定の第3の遊星歯車PG3において、第3のサンギヤS3の回転を逆転して正回転とし、第3のリングギヤR3から出力する。この第3のリングギヤR3からの出力回転数(=入力回転数より低い減速回転数)は、出力軸OUTにそのまま伝達され、第1速の変速段が達成される。
(第2速の変速段)
第2速(2nd)の変速段では、図5のハッチングに示すように、第3クラッチC3と第1ブレーキB1と第2ブレーキB2が同時締結される。
この第3クラッチC3と第2ブレーキB2の同時締結により、第1のリングギヤR1と第3のキャリヤPC3が、トランスミッションケースTCに固定される。第1ブレーキB1の締結により第2のサンギヤS2がトランスミッションケースTCに固定される。
したがって、第2のリングギヤR2へ入力軸INを経過して入力回転数が入力されると、サンギヤ固定の第2の遊星歯車PG2において、入力回転を減速し、第2のキャリヤPC2から出力する。この第2のキャリヤPC2の回転は、第1の回転メンバM1を経過して第1のキャリヤPC1にそのまま入力される。このため、リングギヤ固定の第1の遊星歯車PG1において、第1のキャリヤPC1の回転を逆転して逆回転とし、第1のサンギヤS1から出力する。この第1のサンギヤS1の回転は、第2の回転メンバM2を経過して第3のサンギヤS3にそのまま入力される。このため、キャリヤ固定の第3の遊星歯車PG3において、第3のサンギヤS3の回転を逆転して正回転とし、第3のリングギヤR3から出力する。この第3のリングギヤR3からの出力回転数(=入力回転数より低く第1速より高い減速回転数)は、出力軸OUTにそのまま伝達され、第2速の変速段が達成される。
(第3速の変速段)
第3速(3rd)の変速段では、図6のハッチングに示すように、第1クラッチC1と第3クラッチC3と第1ブレーキB1が同時締結される。
この第3クラッチC3の締結により第1のリングギヤR1と第3のキャリヤPC3が直結される。第1クラッチC1と第1ブレーキB1の同時締結と第2の回転メンバM2により、第1のサンギヤS1と第2のサンギヤS2と第3のサンギヤS3がトランスミッションケースTCに固定される。
したがって、第2のリングギヤR2へ入力軸INを経過して入力回転数が入力されると、サンギヤ固定の第2の遊星歯車PG2において、入力回転を減速し、第2のキャリヤPC2から出力する。この第2のキャリヤPC2の回転は、第1の回転メンバM1を経過して第1のキャリヤPC1にそのまま入力される。このため、サンギヤ固定の第1の遊星歯車PG1において、第1のキャリヤPC1へ入力された回転を減速し、第1のリングギヤR1から出力する。この第1のリングギヤR1の回転は、第3クラッチC3を経過して第3のキャリヤPC3にそのまま入力される。このため、サンギヤ固定の第3の遊星歯車PG3において、第3のキャリヤPC3の回転を増速し、第3のリングギヤR3から出力する。この第3のリングギヤR3からの出力回転数(=入力回転数より低く第2速より高い減速回転数)は、出力軸OUTにそのまま伝達され、第3速の変速段が達成される。
(第4速の変速段)
第4速(4th)の変速段では、図7のハッチングに示すように、第3クラッチC3と第4クラッチC4と第1ブレーキB1が同時締結される。
この第3クラッチC3と第4クラッチC4の同時締結と第1,第2の回転メンバM1,M2により、第1の遊星歯車PG1の三つの回転要素S1,PC1,R1と、第3の遊星歯車PG3の三つの回転要素S3,PC3,R3が一体に回転する状態にされると共に、第1の遊星歯車PG1と第2のキャリヤPC2と第3の遊星歯車PG3が直結される。第1ブレーキB1の締結により、第2のサンギヤS2がトランスミッションケースTCに固定される。
したがって、第2のリングギヤR2へ入力軸INを経過して入力回転数が入力されると、サンギヤ固定の第2の遊星歯車PG2において、入力回転を減速し、第2のキャリヤPC2から出力する。この第2のキャリヤPC2の回転は、第1の回転メンバM1を経過して三つの回転要素S3,PC3,R3が一体に回転する第3の遊星歯車PG3にそのまま入力される。このため、第3のリングギヤR3の回転は、第2のキャリヤPC2と同じ回転になる。この第3のリングギヤR3からの出力回転数(入力回転数より低く第3速より高い減速回転数)は、出力軸OUTにそのまま伝達され、第4速の変速段が達成される。
(第5速の変速段)
第5速(5th)の変速段では、図8のハッチングに示すように、第2クラッチC2と第3クラッチC3と第1ブレーキB1が同時締結される。
この第2クラッチC2と第3クラッチC3の同時締結により、入力軸INと第1のリングギヤR1と第2のリングギヤR2と第3のキャリヤPC3が直結される。第1ブレーキB1の締結により、第2のサンギヤS2がトランスミッションケースTCに固定される。
したがって、入力軸INが入力回転数により回転すると、入力軸INを経過して第2のリングギヤR2が入力回転数により回転する。このため、サンギヤ固定の第2の遊星歯車PG2において、入力回転を減速し、第2のキャリヤPC2から出力する。この第2のキャリヤPC2の回転は、第1の回転メンバM1を経過して第1のキャリヤPC1にそのまま入力される。このため、2入力1出力の第1の遊星歯車PG1において、第1のキャリヤPC1の回転数と第1のリングギヤR1の回転数(=入力回転数)が規定されることにより、第1のサンギヤS1の回転数が決まる。この第1のサンギヤS1の回転は、第2の回転メンバM2を経過して第3のサンギヤS3にそのまま入力される。このため、2入力1出力の第3の遊星歯車PG3において、第3のサンギヤS3の回転数と第3のキャリヤPC3の回転数(=入力回転数)が規定されることにより、第3のリングギヤR3の回転数が決まる。この第3のリングギヤR3からの出力回転数(入力回転数より低く第4速高い減速回転数)は、出力軸OUTにそのまま伝達され、第5速の変速段が達成される。
(第6速の変速段)
第6速(6th)の変速段では、図9のハッチングに示すように、第2クラッチC2と第3クラッチC3と第4クラッチC4が同時締結される。
この第2クラッチC2と第3クラッチC3と第4クラッチC4の同時締結と第1,第2の回転メンバM1,M2により、第1の遊星歯車PG1の三つの回転要素S1,PC1,R1と、第2の遊星歯車PG2の三つの回転要素S2,PC2,R2と、第3の遊星歯車PG3の三つの回転要素S3,PC3,R3が一体に回転する状態にされると共に、入力軸INと第1の遊星歯車PG1と第2の遊星歯車PG2と第3の遊星歯車PG3が直結される。
したがって、入力軸INが入力回転数により回転すると、第1の遊星歯車PG1と第2の遊星歯車PG2と第3の遊星歯車PG3が入力回転数により一体に回転する。このため、第3のリングギヤR3からの出力回転数(入力軸INからの入力回転数と同じ回転数)は、出力軸OUTにそのまま伝達され、変速比1の第6速の変速段(直結変速段)が達成される。
(第7速の変速段)
第7速(7th)の変速段では、図10のハッチングに示すように、第2クラッチC2と第4クラッチC4と第1ブレーキB1が同時締結される。
この第2クラッチC2の締結により、入力軸INと第2のリングギヤR2と第3のキャリヤPC3が直結される。第4クラッチC4の締結と第1,第2の回転メンバM1,M2により、第1の遊星歯車PG1の三つの回転要素S1,PC1,R1が一体に回転する状態にされると共に、第1の遊星歯車PG1と第2のキャリヤPC2と第3のサンギヤS3が直結される。第1ブレーキB1の締結により、第2のサンギヤS2がトランスミッションケースTCに固定される。
したがって、入力軸INが入力回転数により回転すると、入力軸INを経過して第2のリングギヤR2が入力回転数により回転する。このため、サンギヤ固定の第2の遊星歯車PG2において、入力回転を減速し、第2のキャリヤPC2から出力する。この第2のキャリヤPC2の回転は、第1の回転メンバM1と第1の遊星歯車PG1と第2の回転メンバM2を経過して第3のサンギヤS3にそのまま入力される。このため、2入力1出力の第3の遊星歯車PG3において、第3のサンギヤS3の回転数と第3のキャリヤPC3の回転数(=入力回転数)が規定されることにより、第3のリングギヤR3の回転数が決まる。この第3のリングギヤR3からの出力回転数(入力回転数より高い増速回転数)は、出力軸OUTにそのまま伝達され、第7速の変速段が達成される。
(第8速の変速段)
第8速(8th)の変速段では、図11のハッチングに示すように、第1クラッチC1と第2クラッチC2と第1ブレーキB1が同時締結される。
この第2クラッチC2の締結により、入力軸INと第2のリングギヤR2と第3のキャリヤPC3が直結される。第1クラッチC1と第1ブレーキB1の同時締結と第2の回転メンバM2により、第1のサンギヤS1と第2のサンギヤS2と第3のサンギヤS3がトランスミッションケースTCに固定される。
したがって、入力軸INが入力回転数により回転すると、第2クラッチC2を経過して第3のキャリヤPC3が入力回転数により回転する。このため、サンギヤ固定の第3の遊星歯車PG3において、第3のキャリヤPC3の回転(=入力回転数)を増速し、第3のリングギヤR3から出力する。この第3のリングギヤR3からの回転数(=入力回転数及び第7速より高い増速回転数)が、出力軸OUTにそのまま伝達され、第8速の変速段が達成される。
(後退速の変速段)
後退速(Rev)の変速段では、図12のハッチングに示すように、第4クラッチC4と第1ブレーキB1と第2ブレーキB2が同時締結される。
この第4クラッチC4の締結と第1,第2の回転メンバM1,M2により、第1の遊星歯車PG1の三つの回転要素S1,PC1,R1が一体に回転する状態にされると共に、第1の遊星歯車PG1と第2のキャリヤPC2と第3のサンギヤS3が直結される。第1ブレーキB1の締結により、第2のサンギヤS2がトランスミッションケースTCに固定される。第2ブレーキB2の締結により、第3のキャリヤPC3がトランスミッションケースTCに固定される。
したがって、サンギヤ固定の第2の遊星歯車PG2において、入力回転を減速し、第2のキャリヤPC2から出力する。この第2のキャリヤPC2の回転は、第1の回転メンバM1と第1の遊星歯車PG1と第2の回転メンバM2を経過して第3のサンギヤS3にそのまま入力される。このため、キャリヤ固定の第3の遊星歯車PG3において、第3のサンギヤS3の回転を逆転して逆回転とし、第3のリングギヤR3から出力する。この第3のリングギヤR3からの出力回転数(入力回転数とは逆方向でほぼ等しい回転数)は、出力軸OUTにそのまま伝達され、後退速の変速段が達成される。
[従来技術との対比による有利性]
図13は、従来例の自動変速機を示すスケルトン図である。図14は、従来例の自動変速機において6つの摩擦要素のうち二つの同時締結の組み合わせにより前進8速及び後退2速を達成する締結作動表を示す図である。以下、図13及び図14を用いて、従来技術との対比による実施例1の自動変速機の有利性を説明する。
まず、実施例1の自動変速機(図1及び図2)と従来例の自動変速機(図13及び図14)を対比すると、下記に列挙する点について、性能は同等であるということができる。
(基本構成と変速性能)
従来例の自動変速機と実施例1の自動変速機は、何れも3遊星・6摩擦要素により前進8速及び後退1速の変速段を達成する。
(変速制御性能)
従来例の自動変速機と実施例1の自動変速機は、何れも隣接する変速段への変速を、1つの摩擦要素の解放と1つの摩擦要素の締結という1重架け替え変速により達成する。
しかし、下記に列挙する「(a)3遊星歯車」「(b)各変速段でのフリクション損失」「(c)ギヤ比幅」「(d) 後退動力性能」「(e) 飛び変速」で、実施例1の自動変速機は、従来例の自動変速機に比べて有利性を持つ。
(a) 3遊星歯車
自動変速機に用いる遊星歯車を選択する場合、選択肢として、シングルピニオン型遊星歯車とダブルピニオン型遊星歯車があるが、ギヤの伝達効率等の観点からダブルピニオン型遊星歯車よりもシングルピニオン型遊星歯車の選択が好ましいとされている。
従来例の自動変速機は、図13に示すように、ダブルピニオン型遊星歯車と、ラビニオタイプ遊星歯車ユニット(ダブルピニオン型遊星歯車1つとシングルピニオン型遊星歯車1つ)を用いている。すなわち、実質的にダブルピニオン型遊星歯車を2つ使っているため、歯車噛み合い回数が多くなるため、ギヤの伝達効率とギヤノイズが悪い、ピニオンのギヤ径が小さくなるため、耐久信頼性が低下する、部品点数が多くなるため、コストアップになるになる、という問題がある。
これに対し、実施例1の自動変速機の場合、ダブルピニオンによる第1の遊星歯車PG1と、シングルピニオンによる第2の遊星歯車PG2と第3の遊星歯車PG3を用いている。このため、2つのダブルピニオン型遊星歯車を用いる従来例に比べて、ダブルピニオン型遊星歯車の使用数が減少する。このため、2つのダブルピニオン型遊星歯車を用いる従来例に比べて、下記の項目で有利になる。
実施例1の自動変速機の場合、歯車噛み合い回数が従来例に比べて減少し、ギヤの伝達効率が向上し、ギヤノイズが低下する。
すなわち、1組のダブルピニオンの遊星歯車は、噛み合い回数が3であるのに対し、1組のシングルピニオンの遊星歯車は、ピニオン同士の噛み合いがない分、噛み合い回数が2である。したがって、実施例1の場合には、図3に示すように、平均噛み合い数は4.50となる。これに対し、2組のダブルピニオン型遊星歯車による従来例の場合、図15に示すように、平均噛み合い数が4.75となる。この結果、実施例1の場合、各変速段の平均値をとっても、従来例の平均噛み合い数4.75に比べ、平均噛み合い回数が0.25減少する。
実施例1の自動変速機の場合、ピニオンのギヤ径が大きくなるため、耐久信頼性が向上する。
すなわち、シングルピニオンの場合、サンギヤとリングギヤの間に、両ギヤの間隔をギヤ径とするピニオンが複数個配置される。一方、ダブルピニオンの場合、両ギヤの間隔より小さい径をギヤ径とする必要がある。このように、シングルピニオンの場合、ダブルピニオンに比べピニオンのギヤ径が大きくなるので、ピニオンの剛性や歯面強度を高めることができ、耐久信頼性が向上する。
実施例1の自動変速機の場合、部品点数が少なくなり、コスト的に有利となる。
例えば、ダブルピニオンの遊星歯車の場合、4組のダブルピニオンをサンギヤの周囲に配置する場合、ピニオンの数は8個となる。これに対し、シングルピニオンの遊星歯車の場合、サンギヤの周囲に4個のピニオンを配置すれば良く、部品点数が4個減少する。この結果、コストダウンを達成できる。
(b) 各変速段でのフリクション損失
摩擦要素を締結して各変速段を得る場合、空転する摩擦要素(解放要素)で生じる引き摺り等によりフリクション損失を避けることができないが、自動変速機としては、フリクション損失が少ないほど好ましいとされる。
従来例の自動変速機の場合、前進8速の各変速段を達成するために、図14に示すように、各変速段で摩擦要素を二つ同時締結するようにしている。このため、例えば、1速で空転する摩擦要素は、第2クラッチC2と第3クラッチC3と第4クラッチC4と第1ブレーキB1というように、各変速段において、空転する摩擦要素が4個となる。このため、空転する4個の摩擦要素での引き摺り等によるフリクション損失が大きくなり、駆動エネルギの伝達効率の悪化を招く。例えば、エンジン車に従来例の自動変速機を適用する場合、空転する4個の摩擦要素によるフリクション損失が、燃費性能の悪化を招く一因となる。
これに対し、実施例1の自動変速機の場合、前進8速の各変速段を達成するために、図2に示すように、各変速段で摩擦要素を三つの同時締結するようにしている。このため、例えば、第1速段で空転する摩擦要素は、第2クラッチC2と第4クラッチC4と第1ブレーキB1というように、各変速段において、空転する摩擦要素が3個となる。このため、従来例に比べ、空転する摩擦要素でのフリクション損失が小さく抑えられ、駆動エネルギの伝達効率の向上を図ることができる。例えば、エンジン車に実施例1の自動変速機を適用する場合、燃費性能の向上が図られる。
(c) ギヤ比幅
自動変速機のギヤ比の変更幅は、レシオカバレッジ(=最低変速段ギヤ比/最高変速段ギヤ比:以下、「RC」という。)によりあらわされる。このRC値は、大きい値であればあるほどギヤ比の変更幅が広いことをあらわし、ギヤ比の設定自由度が高くなることで好ましいとされる。
従来例の自動変速機の場合、図14に示すように、RC=6.711(=4.597/0.685)の値である。これに対し、実施例1の自動変速機において、図2に示すように、第1の遊星歯車PG1のギヤ比をρ1=-0.416、第2の遊星歯車PG2のギヤ比をρ2=0.643、第3の遊星歯車PG3のギヤ比をρ3=0.357とした場合、隣接する変速段での適正な段間比を保ちながら、RC=6.891(=5.079/0.737)を得ている。
つまり、適正な段間比を保ちながらもRC値を、従来例よりも大きな値とすることができ、最低変速段ギヤ比での発進性能と最高変速段ギヤ比での高速燃費の両立を確保することができる。ここで、「適正な段間比」とは、各変速段での段間比をプロットし、プロットした各点を線により結んだ特性を描いた場合、ローギヤ側からハイギヤ側に向かって滑らかな勾配にて低下した後、横這い状態で推移するような特性線が描けることをいう。
そして、実際に駆動輪へ伝達される回転数は、自動変速機の下流位置に設けた終減速機のファイナルギヤ比で調整される。よって、RC値が大きな値であるほど、ファイナルギヤ比による調整自由度が高くなり、例えば、よりロー側に調整することで、トルクコンバータを持たないハイブリッド車の自動変速機への対応が有利になる。また、最適燃費域や最高トルク域が異なるガソリンエンジンとディーゼルエンジンへの対応も有利になる。つまり、エンジン車の場合、発進駆動力と燃費(エンジン回転数の低回転化)を両立することができる。
(d) 後退動力性能
1速ギヤ比と後退ギヤ比は、発進加速性と登坂性能を決定付ける値であり、例えば、1速ギヤ比と後退ギヤ比の比が1近傍にない場合、前後進の切り替え時に駆動力差が生じる。また、後退ギヤ比が1速ギヤ比より低いと、前進発進時の駆動力よりも後退発進時の駆動力が低くなり、後退発進性が劣ってしまう。
従来例の自動変速機の場合、図14に示すように、Rev1/1st=0.882であり、Rev2/1st=0.473であり、Rev1/1stの場合には後退時の駆動力不足を防止できるレベルは保てるもの、後退1速(Rev1)を選択した場合も後退2速(Rev2)を選択した場合も、1速ギヤ比と後退ギヤ比の比が1より低い値であり、前後進の切り替え時に駆動力差が生じ、後退発進性が劣ってしまう。
これに対し、実施例1の自動変速機の場合、図2に示すように、Rev/1st=0.906であり、1速ギヤ比と後退ギヤ比の比が1近傍にある。このため、前後進の切り替え時に駆動力差が生じないし、後退発進性が劣ってしまうこともない。つまり、発進加速性と登坂性能を損なうことなく動作させることができる。
(e) 飛び変速
例えば、高速道路等での走行シーンとして、変速段がオーバードライブ側の第7速による定速走行中、自車両の前方車両の追い越し等を意図してアクセル踏み込み操作を行うと、第8速から第5速への2段飛びダウン変速や第7速から第4速への2段飛びダウン変速による踏み込みダウン変速が行われる。
従来例の自動変速機の場合、第8速から第5速への2段飛びダウン変速については、1つの摩擦要素の解放と1つの摩擦要素の締結という1重架け替え変速により達成することができる。しかし、第7速から第4速への2段飛びダウン変速については、2つの摩擦要素の解放と2つの摩擦要素の締結という2重架け替え変速となる。このため、第7速から第4速への変速要求があると、第7速→第5速→第4速、あるいは、第7速→第6速→第4速、あるいは、第7速→第6速→第5速→第4速というように、中間変速段を経過する変速となる。
したがって、中間加速を意図してアクセル踏み込み操作を行ったとき、変速指令に基づく変速開始から変速終了までに時間を要し、ドライバのアクセル踏み込み操作にあらわれる中間加速要求に対する駆動力上昇のレスポンスが遅れる。
これに対し、実施例1の自動変速機では、第8速から第5速への2段飛びダウン変速と第7速から第4速への2段飛びダウン変速のうち、何れの変速パターンによる変速指令が出力されたとしても、図2に示すように、1つの摩擦要素の解放と1つの摩擦要素の締結という1重架け替え変速により達成することができる。このため、第7速から第4速への変速要求があっても、中間変速段(第6速、第5速)を経過することなく、第7速からそのまま第4速への2段飛びダウン変速を行うことができる。
したがって、中間加速を意図してアクセル踏み込み操作を行ったとき、変速指令に基づく変速開始から短時間にて変速が終了し、ドライバのアクセル踏み込み操作にあらわれる中間加速要求に対する駆動力上昇のレスポンスが確保される。
次に、効果を説明する。
実施例1の自動変速機にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
(1) 第1のサンギヤS1と、第1のリングギヤR1と、前記第1のサンギヤS1と前記第1のリングギヤR1に噛み合う第1のダブルピニオンP1s,P1rを支持する第1のキャリヤPC1とからなる第1の遊星歯車PG1と、第2のサンギヤS2と、第2のリングギヤR2と、前記第2のサンギヤS2と前記第2のリングギヤR2に噛み合う第2のシングルピニオンP2を支持する第2のキャリヤPC2とからなる第2の遊星歯車PG2と、第3のサンギヤS3と、第3のリングギヤR3と、前記第3のサンギヤS3と前記第3のリングギヤR3に噛み合う第3のシングルピニオンP3を支持する第3のキャリヤPC3とからなる第3の遊星歯車PG3と、6つの摩擦要素と、を備え、前記6つの摩擦要素を適宜締結解放することにより少なくとも前進8速の変速段に変速して入力軸INからのトルクを出力軸OUTに出力可能な自動変速機において、前記入力軸INは、前記第2のリングギヤR2に常時連結しており、前記出力軸は、前記第3のリングギヤR3に常時連結しており、前記第1のキャリヤPC1と前記第2のキャリヤPC2は、常時連結して第1の回転メンバM1を構成しており、前記第1のサンギヤS1と前記第3のサンギヤS3は、常時連結して第2の回転メンバM2を構成しており、前記6つの摩擦要素は、前記第2のサンギヤS2と前記第2の回転メンバM2との間を選択的に連結する第1の摩擦要素(第1クラッチC1)と、前記第2のリングギヤR2と前記第3のキャリヤPC3との間を選択的に連結する第2の摩擦要素(第2クラッチC2)と、前記第1のリングギヤR1と前記第3のキャリヤPC3との間を選択的に連結する第3の摩擦要素(第3クラッチC3)と、前記第1のリングギヤR1と前記第1の回転メンバM1との間を選択的に連結する第4の摩擦要素(第4クラッチC4)と、前記第2のサンギヤS2の回転を係止可能な第5の摩擦要素(第1ブレーキB1)と、前記第3のキャリヤPC3の回転を係止可能な第6の摩擦要素(第2ブレーキB2)と、により構成され、前記6つの摩擦要素のうち、三つの同時締結の組み合わせにより、少なくとも前進8速及び後退1速を達成する構成とした。
このため、3遊星6摩擦要素で前進8速を達成しながら、ギヤ効率・ギヤノイズ・耐久性信頼性・コストの面で有利であると共に、フリクション損失を小さく抑えることで、駆動エネルギの伝達効率の向上を図ることができる。
(2) 前記6つの摩擦要素のうち、三つの同時締結の組み合わせにより、少なくとも前進8速は、前記第1の摩擦要素(第1クラッチC1)と前記第3の摩擦要素(第3クラッチC3)と前記第6の摩擦要素(第2ブレーキB2)の同時締結により達成する第1速と、前記第3の摩擦要素(第3クラッチC3)と前記第5の摩擦要素(第1ブレーキB1)と前記第6の摩擦要素(第2ブレーキB2)の同時締結により達成する第2速と、前記第1の摩擦要素(第1クラッチC1)と前記第3の摩擦要素(第3クラッチC3)と前記第5の摩擦要素(第1ブレーキB1)の同時締結により達成する第3速と、前記第3の摩擦要素(第3クラッチC3)と前記第4の摩擦要素(第4クラッチC4)と前記第5の摩擦要素(第1ブレーキB1)の同時締結により達成する第4速と、前記第2の摩擦要素(第2クラッチC2)と前記第3の摩擦要素(第3クラッチC3)と前記第5の摩擦要素(第1ブレーキB1)の同時締結により達成する第5速と、前記第2の摩擦要素(第2クラッチC2)と前記第3の摩擦要素(第3クラッチC3)と前記第4の摩擦要素(第4クラッチC4)の同時締結により達成する第6速と、前記第2の摩擦要素(第2クラッチC2)と前記第4の摩擦要素(第4クラッチC4)と前記第5の摩擦要素(第1ブレーキB1)の同時締結により達成する第7速と、前記第1の摩擦要素(第1クラッチC1)と前記第2の摩擦要素(第2クラッチC2)と前記第5の摩擦要素(第1ブレーキB1)の同時締結により達成する第8速と、からなる構成とした。
このため、隣接段への変速が、1つの摩擦要素の締結と1つの摩擦要素の解放による1重架け替えにより達成され、変速制御が単純化されて有利である。加えて、適正な段間比を保ちながらもRC値を、最低変速段ギヤ比での発進性能と最高変速段ギヤ比での高速燃費の両立を図る要求値に達する設定とすることができる。加えて、第7速と第4速の間の2段飛び変速の変速指令が出力されたとしても、1重架け替えにより変速を達成することができる。
(3) 前記6つの摩擦要素のうち、三つの同時締結の組み合わせにより達成する後退1速は、前記第4の摩擦要素(第4クラッチC4)と前記第5の摩擦要素(第1ブレーキB1)と前記第6の摩擦要素(第2ブレーキB2)の同時締結により達成する構成とした。
このため、適切なRC値及び段間比を達成するようなギヤ比を選択しても、後退ギヤ比評価値(=後退ギヤ比/1速ギヤ比)を1近傍の値とすることができ、この結果、前後進の切り替え時に駆動力差が生じることを防止できるし、後退発進加速性や登坂性能を確保することができる。
以上、本発明の自動変速機を実施例1に基づき説明してきたが、具体的な構成については、この実施例1に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
実施例1では、第1の遊星歯車PG1のギヤ比ρ1と、第2の遊星歯車PG2のギヤ比ρ2と、第3の遊星歯車PG3のギヤ比ρ3を、それぞれについて好適の値に設定する例を示した。しかし、各遊星歯車PG1,PG2,PG3のギヤ比ρ1,ρ2,ρ3は、ギヤ比設定が可能な範囲内の値であって、RC値の高いギヤ比や適切な段間比を得るように設定したものであれば、具体的な値は、実施例1の値に限られるものではない。
実施例1では、入出力軸を同軸配置とするFRエンジン車に適用される自動変速機の例を示したが、FRエンジン車に限らず、FFエンジン車やハイブリッド車や電気自動車や燃料電池車、等の様々な車両の自動変速機としても適用することができる。
PG1 第1の遊星歯車
PG2 第2の遊星歯車
PG3 第3の遊星歯車
IN 入力軸
OUT 出力軸
M1 第1の回転メンバ
M2 第2の回転メンバ
C1 第1クラッチ(第1の摩擦要素)
C2 第2クラッチ(第2の摩擦要素)
C3 第3クラッチ(第3の摩擦要素)
C4 第4クラッチ(第4の摩擦要素)
B1 第1ブレーキ(第5の摩擦要素)
B2 第2ブレーキ(第6の摩擦要素)
TC トランスミッションケース

Claims (3)

  1. 第1のサンギヤと、第1のリングギヤと、前記第1のサンギヤと前記第1のリングギヤに噛み合う第1のダブルピニオンを支持する第1のキャリヤとからなる第1の遊星歯車と、
    第2のサンギヤと、第2のリングギヤと、前記第2のサンギヤと前記第2のリングギヤに噛み合う第2のシングルピニオンを支持する第2のキャリヤとからなる第2の遊星歯車と、
    第3のサンギヤと、第3のリングギヤと、前記第3のサンギヤと前記第3のリングギヤに噛み合う第3のシングルピニオンを支持する第3のキャリヤとからなる第3の遊星歯車と、
    6つの摩擦要素と、を備え、
    前記6つの摩擦要素を適宜締結解放することにより少なくとも前進8速の変速段に変速して入力軸からのトルクを出力軸に出力可能な自動変速機において、
    前記入力軸は、前記第2のリングギヤに常時連結しており、
    前記出力軸は、前記第3のリングギヤに常時連結しており、
    前記第1のキャリヤと前記第2のキャリヤは、常時連結して第1の回転メンバを構成しており、
    前記第1のサンギヤと前記第3のサンギヤは、常時連結して第2の回転メンバを構成しており、
    前記6つの摩擦要素は、
    前記第2のサンギヤと前記第2の回転メンバとの間を選択的に連結する第1の摩擦要素と、
    前記第2のリングギヤと前記第3のキャリヤとの間を選択的に連結する第2の摩擦要素と、
    前記第1のリングギヤと前記第3のキャリヤとの間を選択的に連結する第3の摩擦要素と、
    前記第1のリングギヤと前記第1の回転メンバとの間を選択的に連結する第4の摩擦要素と、
    前記第2のサンギヤの回転を係止可能な第5の摩擦要素と、
    前記第3のキャリヤの回転を係止可能な第6の摩擦要素と、
    により構成され、
    前記6つの摩擦要素のうち、三つの同時締結の組み合わせにより、少なくとも前進8速及び後退1速を達成することを特徴とする自動変速機。
  2. 請求項1に記載された自動変速機において、
    前記6つの摩擦要素のうち、三つの同時締結の組み合わせにより、少なくとも前進8速は、
    前記第1の摩擦要素と前記第3の摩擦要素と前記第6の摩擦要素の同時締結により達成する第1速と、
    前記第3の摩擦要素と前記第5の摩擦要素と前記第6の摩擦要素の同時締結により達成する第2速と、
    前記第1の摩擦要素と前記第3の摩擦要素と前記第5の摩擦要素の同時締結により達成する第3速と、
    前記第3の摩擦要素と前記第4の摩擦要素と前記第5の摩擦要素の同時締結により達成する第4速と、
    前記第2の摩擦要素と前記第3の摩擦要素と前記第5の摩擦要素の同時締結により達成する第5速と、
    前記第2の摩擦要素と前記第3の摩擦要素と前記第4の摩擦要素の同時締結により達成する第6速と、
    前記第2の摩擦要素と前記第4の摩擦要素と前記第5の摩擦要素の同時締結により達成する第7速と、
    前記第1の摩擦要素と前記第2の摩擦要素と前記第5の摩擦要素の同時締結により達成する第8速と、
    からなることを特徴とする自動変速機。
  3. 請求項1または請求項2に記載された自動変速機において、
    前記6つの摩擦要素のうち、三つの同時締結の組み合わせにより達成する後退1速は、前記第4の摩擦要素と前記第5の摩擦要素と前記第6の摩擦要素の同時締結により達成することを特徴とする自動変速機。
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