JP4964488B2 - プレス成形性の良好な高強度高ヤング率鋼板、溶融亜鉛めっき鋼板、合金化溶融亜鉛めっき鋼板及び鋼管、並びにそれらの製造方法 - Google Patents

プレス成形性の良好な高強度高ヤング率鋼板、溶融亜鉛めっき鋼板、合金化溶融亜鉛めっき鋼板及び鋼管、並びにそれらの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、プレス成形性の良好な高強度高ヤング率鋼板、溶融亜鉛めっき鋼板、合金化溶融亜鉛めっき鋼板及び鋼管並びにそれらの製造方法に関するものである。
自動車からの炭酸ガスの排出量の抑制、搭乗者安全性の確保のために、軟鋼板の替わりに高強度鋼板を使用した自動車車体の軽量化が進められている。今後、更に自動車車体の軽量化を進めていくために、従来以上に高強度の鋼板を使用したいという要望は高まりつつある。
高強度鋼板を複雑な形状の自動車部品に適用するには、良好なプレス成形性を確保する必要がある。そのため、鋼板にオーステナイトを残留させ、この残留オーステナイト(以下、残留γともいう。)のマルテンサイトへの加工誘起変態を利用し、プレス成形性を向上させた高強度鋼板が、例えば特許文献1に提案されている。また、残留オーステナイトの加工誘起変態を利用して、良好な加工性を有しつつ自動車の衝突時の衝撃エネルギー吸収能を高める方法が、例えば特許文献2に提案されている。
一方、高強度鋼板をプレス成形した場合、例えば曲げ加工される部位では、加工冶具の形状から離すと、加工前の形状の方向に戻ろうとするスプリングバックと呼ばれる現象が生じる。このスプリングバックが発生すると、狙いとする加工部品の形状が得られないため、従来、自動車車体への高強度鋼板の適用は、主として440MPa以下に限られていた。即ち、自動車車体に490MPa以上の高強度鋼板を適用するには、プレス成形性だけでなく、スプリングバックが少なく形状凍結性も良い高強度鋼板が必要である。
スプリングバックの発生は、応力除荷時に弾性歪分が元に戻ることに起因するため、弾性歪量が小さい場合には、スプリングバック量が減少する。また、ヤング率を増加させると弾性歪量は減少することから、高ヤング率化によってスプリングバックを抑制することができる。さらにヤング率の増加により、高剛性にもなることから、ヤング率は自動車の車体骨格部材に対しては重要な特性である。この点については、特許文献1及び2には、開示されておらず、鋼板の成形性とヤング率を同時に高める方法については不明である。
ヤング率を高める技術についてはこれまでにも多数の報告があるものの、そのほとんどが、圧延方向(以下、RD方向ともいう。)に対して直角であり、かつ板面に平行な方向(以下、TD方向ともいう。)のヤング率を高める技術に関するものである。例えば、特許文献3〜11のいずれも、組織がフェライト相とオーステナイト相との2相である温度域(以下、α+γ域ともいう。)で圧延を行うことによってTD方向のヤング率を高める技術を提案している。また、特許文献12では表層にAr3変態点未満での圧延を加えることによってTD方向のヤング率を高める技術を提案している。特許文献13はヤング率の高い冷延鋼板及びその製造方法を提案するものであるが、これもTD方向のヤング率を向上させる技術であり、RD方向のヤング率が高いわけではない。
このように、従来の高ヤング率鋼板は、いずれも圧延方向と直角方向(幅方向)のヤング率が高い鋼板が多い。しかし、通常、鋼板の幅は最大でも2m程度であるため、ヤング率最大の方向を部材の長手方向とする場合には、その長さを幅以上にすることはできないという問題がある。したがって、長物部材や大型の成形品に対しては圧延方向のヤング率を高めた高強度鋼板が必要である。また、製造法についてもα+γ域での熱延を行うと圧延反力が変動しやすいため、製造性を損なうという問題があった。
これに対し、一定方向への圧延に加えてそれと直角方向の圧延を施し、TD方向のヤング率と同時にRD方向のヤング率を高める厚鋼板の製造技術が、特許文献14に提案されている。しかしながら、薄板の連続熱延プロセスにおいては、圧延方向を途中で変化することは生産性を著しく阻害するため、現実的ではない。また、本発明者らの一部は特許文献15に、Mn、Mo及びBを所定量含有する鋼の表面近傍に所定の集合組織を発達せしめることによって、RD方向のヤング率を高める技術を提案した。しかし、鋼板の組織及び成形性については開示していない。
特開平6−145892号公報 特開平11−080879号公報 特開昭59−83721号公報 特開平5−263191号公報 特開平8−283842号公報 特開平8−311541号公報 特開平9−53118号公報 特開平4−136120号公報 特開平4−141519号公報 特開平4−147916号公報 特開平4−293719号公報 特開平4−143216号公報 特開平5−255804号公報 特開平4−147917号公報 特開2005−273001号公報
本発明は、良好な加工性と衝撃エネルギー吸収能を持つ高強度鋼板のRD方向のヤング率を向上させて形状凍結性及び剛性率を改善する方法については明確ではなく、また、自動車などの構造部材を考えた際に、高強度化に伴う形状凍結性の劣化、剛性率の向上、衝突吸収エネルギーの向上を両立させた鋼板は、未だ開発されていないという現状に鑑み、特に圧延方向のヤング率に優れたプレス成形性の良好な高強度鋼板、溶融亜鉛めっき鋼板、合金化溶融亜鉛めっき鋼板及び鋼管並びにそれらの製造方法を提供するものである。
本発明者らは、上記の課題を解決するために、オーステナイト単相である温度域(以下、γ域ともいう。)での熱間仕上圧延を前提として圧延方向のヤング率を高める方法について鋭意、研究を遂行し、以下に述べるような従来にはない知見を得た。
すなわち、Mo、Nb、B、Tiの1種又は2種以上を所定量含有する鋼の表面近傍に所定の集合組織を発達せしめることによって、圧延方向のヤング率が高い鋼板を発明することに成功したものである。本発明によって得られる鋼板は230GPa以上、特に表面近傍では240GPa以上の極めて高いヤング率が得られることから曲げ剛性が著しく向上し、例えば形状凍結性も著しく改善される。
また、鋼板の高強度化に伴いスプリングバックなどの形状凍結不良の度合いが大きくなる要因は、プレス成形時の弾性変形量に対応しており、高ヤング率化によりその低減が可能である。 さらに残留オーステナイトを有する組織とすることで、衝突吸収エネルギーの増加やプレス成形性の向上が見込まれる。
本発明は、このような知見に基づいて完成された従来にはない全く新しい鋼板及びその製造方法であり、その要旨とするところは以下のとおりである。
(1) 質量%で、C:0.05〜0.30%、Mn:0.1〜2.30%、Si、Alの双方を合計で0.15〜3.0%含有し、P:0.15%以下、S:0.015%以下、N:0.01%以下に制限し、Mo:0.01%〜1.5%、Nb:0.005〜0.2%、Ti:48/14×N[mass%]以上,0.2%以下、B:0.0001〜0.01%の全てを合計で0.015〜1.91質量%含有し、残部鉄及び不可避的不純物からなり、フェライト又はベイナイトを体積分率最大の組織とし、体積分率で3〜20%の残留オーステナイトを含む複合組織鋼であり、かつ板厚の1/8層における{110}<223>、{110}<111>の一方又は双方の極密度が10以上であり、圧延方向のヤング率が230GPa超であることを特徴とするプレス成形性の良好な高強度高ヤング率鋼板。
(2) 質量%で、Ni、Cu、Crの1種又は2種以上を合計で0.001〜0.1%含むことを特徴とする上記(1)に記載のプレス成形性の良好な高強度高ヤング率鋼板。
(3) 質量%で、Ca:0.0005〜0.01%を含むことを特徴とする上記(1)又は(2)に記載のプレス成形性の良好な高強度高ヤング率鋼板。
(4) 質量%で、Sn、Co、Zn、W、Zr、V、Mg、Remの1種又は2種以上を合計で0.001〜1%含むことを特徴とする上記(1)〜(3)の何れか1項に記載のプレス成形性の良好な高強度高ヤング率鋼板。
(5) 板厚の1/8層における{110}<001>の極密度が6以下であることを特徴とする上記(1)〜(4)の何れか1項に記載のプレス成形性の良好な高強度高ヤング率鋼板。
(6) 板厚1/2層における{211}<011>の極密度が6以上、{332}<113>の極密度が6以上、{100}<011>の極密度が6以下の何れか1以上を満足することを特徴とする上記(1)〜(5)の何れか1項に記載のプレス成形性の良好な高強度高ヤング率鋼板。
(7) 上記(1)〜(6)の何れか1項に記載のプレス成形性の良好な高強度高ヤング率鋼板に、溶融亜鉛めっきが施されていることを特徴とするプレス成形性の良好な高強度高ヤング率溶融亜鉛めっき鋼板。
(8) 上記(1)〜(6)の何れか1項に記載のプレス成形性の良好な高強度高ヤング率鋼板に、合金化溶融亜鉛めっきが施されていることを特徴とするプレス成形性の良好な高強度高ヤング率合金化溶融亜鉛めっき鋼板。
(9) 上記(1)〜(6)の何れか1項に記載のプレス成形性の良好な高強度高ヤング率鋼板、請求項7記載のプレス成形性の良好な高強度高ヤング率溶融亜鉛めっき鋼板、請求項8記載のプレス成形性の良好な高強度高ヤング率合金化溶融亜鉛めっき鋼板の何れか1つを母材とする高ヤング率鋼管。
(10) 上記(1)〜(6)のいずれか1項に記載のプレス成形性の良好な高強度高ヤング率鋼板を製造する方法であって、上記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の化学成分を有するスラブを1000℃以上の温度に加熱し、熱間圧延をする際、圧延ロールと鋼板との摩擦係数が0.2超、[1]式で計算される有効ひずみ量εが0.4以上、かつ圧下率の合計が50%以上となるように圧延を行い、Ar3変態点[℃]以上900℃以下の温度で熱間圧延を終了し、30s以内の空冷を行った後、10℃/s以上の冷却速度で650〜800℃の範囲内に冷却する第一制御冷却を行い、更に2〜15sの空冷を行い、10℃/s以上の冷却速度で300℃超、500℃未満の範囲内に冷却する第二制御冷却を行った後、巻き取ることを特徴とするプレス成形性の良好な高強度高ヤング率鋼板の製造方法。
Figure 0004964488
ここで、nは仕上げ熱延の圧延スタンド数、εjはj番目のスタンドで加えられたひずみ、εnはn番目のスタンドで加えられたひずみ、tiはi〜i+1番目のスタンド間の走行時間[s]、τiは気体常数R(=1.987)とi番目のスタンドの圧延温度Ti[K]によって[2]式で計算できる。
Figure 0004964488
(11) 上記(1)〜(6)のいずれか1項に記載のプレス成形性の良好な高強度高ヤング率鋼板を製造する方法であって、上記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の化学成分を有するスラブを1000℃以上の温度に加熱し、熱間圧延をする際、圧延ロールと鋼板との摩擦係数が0.2超、[3]式で計算される有効ひずみ量εが0.4以上、かつ圧下率の合計が50%以上となるように圧延を行い、Ar3変態点[℃]以上900℃以下の温度で熱間圧延を終了し、得られた熱延鋼板を酸洗し、最高加熱温度をAc1変態点[℃]以上0.5×(Ac1+Ac3)[℃]以下の範囲内とする焼鈍を施した後、1〜150℃/sの冷却速度で380℃超、500℃未満の過時効温度域まで冷却し、該過時効温度域に1〜1800s保持することを特徴とするプレス成形性の良好な高強度高ヤング率鋼板の製造方法。
Figure 0004964488
ここで、nは仕上げ熱延の圧延スタンド数、εiはi番目のスタンドで加えられたひずみ、εnはn番目のスタンドで加えられたひずみ、tiはi〜i+1番目のスタンド間の走行時間[s]、τiは気体常数R(=1.987)とi番目のスタンドの圧延温度Ti[K]によって[4]式で計算できる。
Figure 0004964488
(12) 上記(1)〜(6)のいずれか1項に記載のプレス成形性の良好な高強度高ヤング率鋼板を製造する方法であって、上記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の化学成分を有するスラブを1000℃以上の温度に加熱し、熱間圧延をする際、圧延ロールと鋼板との摩擦係数が0.2超、[5]式で計算される有効ひずみ量εが0.4以上、かつ圧下率の合計が50%以上となるように圧延を行い、Ar3変態点[℃]以上900℃以下の温度で熱間圧延を終了し、得られた熱延鋼板を酸洗し、10%以上60%未満の圧下率で冷間圧延を施し、最高加熱温度をAc1変態点[℃]以上0.5×(Ac1+Ac3)[℃]以下の範囲内とする焼鈍を施した後、1〜150℃/sの冷却速度で380℃超、500℃未満の過時効温度域まで冷却し、該過時効温度域に1〜1800s保持することを特徴とするプレス成形性の良好な高強度高ヤング率鋼板の製造方法。
Figure 0004964488
ここで、nは仕上げ熱延の圧延スタンド数、εjはj番目のスタンドで加えられたひずみ、εnはn番目のスタンドで加えられたひずみ、tiはi〜i+1番目のスタンド間の走行時間[s]、τiは気体常数R(=1.987)とi番目のスタンドの圧延温度Ti[K]によって[6]式で計算できる。
Figure 0004964488
(13) 熱間圧延の少なくとも1パス以上を、異周速率が1%以上の異周速圧延とすることを特徴とする上記(10)〜(12)の何れか1項に記載のプレス成形性の良好な高強度高ヤング率鋼板の製造方法。
(14) 熱間圧延を実施する際にロール径が700mm以下の圧延ロールを少なくとも1つ以上使用することを特徴とする上記(10)〜(13)の何れか1項に記載のプレス成形性の良好な高強度高ヤング率鋼板の製造方法。
(15) 上記(7)に記載のプレス成形性の良好な高強度高ヤング率溶融亜鉛めっき鋼板を製造する方法であって、上記(10)〜(14)の何れか1項に記載の方法により製造した高強度高ヤング率鋼板に、溶融亜鉛めっきを施すことを特徴とするプレス成形性の良好な高強度高ヤング率溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
(16) 請求項8に記載のプレス成形性の良好な高強度高ヤング率合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造する方法であって、上記(15)記載の溶融亜鉛めっきを施した後、450〜600℃の温度範囲で5s以上保持する熱処理を行うことを特徴とするプレス成形性の良好な高強度高ヤング率合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
(17) 上記(10)〜(14)のいずれか1項に記載の製造方法により得られた高強度高ヤング率鋼板、上記(15)に記載の製造方法により得られた高強度高ヤング率溶融亜鉛めっき鋼板、上記(16)記載の製造方法により得られた高強度高ヤング率合金化溶融亜鉛めっき鋼板の何れか1つを筒状に成形し、溶接して鋼管にすることを特徴とするプレス成形性の良好な高強度高ヤング率鋼管の製造方法。
本発明により、特に圧延方向のヤング率に優れたプレス成形性の良好な高強度鋼板、溶融亜鉛めっき鋼板、合金化溶融亜鉛めっき鋼板及び鋼管並びにそれらの製造方法を得ることができ、産業上の貢献が極めて顕著である。
まず、本発明の鋼板の成分について説明する。成分元素の含有量の単位は質量%である。
Cは安価に引張強度を増加させる元素であり、その添加量は狙いとする強度レベルに応じて変化するが、残留オーステナイトを室温で安定的に残留させるためには、鋼材成分でCを0.05%以上とする必要があるためこれを下限とする。一方、C量が0.30%を超えると成形性が劣化し、溶接性を損なうためこれを上限とする。
Mnはオーステナイト相(以下、γ相又はγともいう。)を安定化し、γ域を低温まで拡張する元素であり、γ域低温圧延を容易にする。また、表層近傍の剪断集合組織形成にMn自体が有利に作用している可能性もある。これらの観点から、Mnは0.1%以上添加することが必要であり、この観点から0.5%以上添加することが好ましい。更にγ域低温圧延を指向する場合の好ましい下限は1.5%以上である。一方、5.0%を超えると強度が高くなりすぎて延性が低下したり、亜鉛めっきの密着性が阻害されたりするのでこれを上限とする。なお、この観点からの好ましい上限は4.0%である。
本発明において、SiとAlの添加量の合計は重要であり、その範囲は0.15〜3.0%とする。これは、SiとAlの添加量の合計が0.15%未満では、残留オーステナイト中にセメンタイトなどの炭化物が析出し、オーステナイト中のC濃度が減少する恐れがあるためである。一方、これら元素の合計が3.0%超では脆化層である金属間化合物が生成し著しく成形性を劣化させるため、上限を3.0%とする。
また、Siは、固溶強化元素として強度を増加させる効果があり、ベイナイト、残留γを含む組織を得るためにも有効であり、狙いとする強度レベルに応じて0.001%以上を添加することが好ましい。溶融亜鉛めっきを施す場合には、めっき密着性の低下、合金化反応の遅延による生産性の低下などの問題が生ずるのでSi添加量の上限を1.2%以下とすることが好ましい。
Alは脱酸剤として有効であるため、0.01%以上を添加することが好ましい。一方、Alは変態点を著しく高める元素であり、過剰に添加すると低温γ域での圧延が困難となるので、上限を3.0%とすることが好ましい。
Pは、添加量が0.15%を超えると、スポット溶接後の疲労強度を損なうことや、降伏強度が増加してプレス時に面形状不良を引き起こすことなど、2次加工性が劣化する。また、Pを過剰に添加すると、連続溶融亜鉛めっき時に合金化反応が極めて遅くなり、生産性が低下する。したがって、その上限値を0.15%とする。一方、Pは、Siと同様に安価に強度を高める元素であり、熱延組織を微細にし、加工性を向上する効果も有するため、0.005%以上添加することが好ましい。
Sは不純物であり、0.015%超を含有すると、熱間割れの原因となったり加工性を劣化させたりするので、これを上限とする。
Nは不純物であり、Bと結合して窒化物を形成し、Bの再結晶抑制効果を低減させることから0.01%以下に抑える。この観点から好ましくは0.005%、更に好ましくは0.002%以下とする。一方、Nの含有量を0.0005%未満とするには製造コストの増大を招くため0.0005%以上を含有しても良い。
Mo、Nb、Ti及びBは本発明において重要である。これらの元素の1種又は2種以上の添加によって初めて圧延方向のヤング率を高めることが可能となる。この理由は必ずしも明らかではないが、熱延中の再結晶が抑制され、γ相の加工集合組織が鮮鋭化することで、結果的に鋼板と熱延ロールとの摩擦に起因する剪断変形集合組織にも変化が生じ、これにより熱延板の板厚表層から板厚1/4層近傍までの範囲において非常に鮮鋭な集合組織が形成され、圧延方向のヤング率が高くなると考えられる。
Mo、Nb、Ti及びB量の下限はそれぞれ0.01%、0.005%、48/14×N%、0.0001%であり、これより少ない量の添加では、上述のヤング率向上効果が小さくなることがある。圧延方向のヤング率の観点からMo、Nb、Ti及びB量の好ましい下限は、0.03%、0.01%、0.03%、0.0003%であり、更に好ましくは0.1%、0.03%、0.05%、0.0006%である。一方、Mo、Nb、Ti、Bをそれぞれ1.5%超、0.2%超、0.2%超、0.01%超添加してもヤング率の向上効果は飽和し、コストアップとなるのでこれを上限とする。
また、Mo、Nb、Ti、Bの1種又は2種以上の合計添加量が0.015%未満では十分なヤング率向上効果が得られないことから0.015%を合計添加量の下限とする。圧延方向のヤング率の観点からMo、Nb、Ti、Bの1種又は2種以上の合計は好ましくは0.035%以上、更に好ましくは合計で0.05%以上添加する。合計添加量の上限は各元素添加量の上限の和、すなわち1.91%とする。
なお、Mo、Nb、TiとBの間には相互作用があり複合添加することで更に集合組織が強くなり、ヤング率が上昇することから、少なくとも2種以上を複合添加することがより好ましい。特にTiはγ相の高温域でNと結合して窒化物を形成し、BNの生成を抑制するため、Bを添加する場合はTiも48/14×N%以上添加することが好ましい。
また、0.15%以上のMo、0.01%以上のNb、48/14×N%以上のTi、0.0006%以上のBが、同時に添加されている場合には、集合組織が鮮鋭化し、特にLD方向のヤング率を低減させる表層の{110}<001>が減少する。これにより、効果的にヤング率が上昇するため、高いLD方向ヤング率が達成される。
Ni、Cu、Crは低温γ域圧延を行うためには有利な元素であるので、これらの1種又は2種以上を合計で0.001以上添加しても良い。一方、上限は、4.0%超添加すると加工性が劣化することがあるため、4.0%以下とすることが好ましい。
Caは、脱酸元素として有用であるほか、硫化物の形態制御にも効果を奏するので、0.0005〜0.01%の範囲で添加しても良い。Caの含有量が0.0005%未満では効果が十分でないことがあり、0.01%超添加すると加工性が劣化することがあるのでこの範囲とすることが好ましい。
更に、Sn、Co、Zn、W、Zr、V、Mg、Remの1種又は2種以上を、結晶粒径の細粒化を目的とし、合計で0.001〜1%の範囲で添加しても構わない。これらの元素の合計含有量が0.001%未満では細粒化の効果が十分に得られないことがり、一方、1%を超えるとプレス成形性を損なうことがある。WとVはγ域の再結晶を抑制する効果があることから、何れか一方又は双方を0.01%以上添加することが好ましい。
次に、本発明のプレス成形性の良好な高強度高ヤング率鋼板の組織について説明する。
鋼板の組織は、フェライト、ベイナイトの一方又は双方と、残留オーステナイトからなり、フェライト又はベイナイトを体積分率最大の組織とし、体積分率で3〜20%の残留オーステナイトを含む複合組織鋼とする。これにより、高強度が得られ、かつ成形性が良好となり、衝撃吸収エネルギーも上昇させることができる。フェライト又はベイナイトを体積率で最大としたのは、これらの組織の体積分率が小さいと、オーステナイト相からフェライト又はベイナイトに変態する際に、オーステナイト相中に十分にCが濃化されず、室温で安定な残留オーステナイトが得られないためである。また、フェライト又はベイナイトの体積分率は、ナイタールで腐食した試料の光学顕微鏡組織写真を画像処理するか、又はポイントカウント法によって測定した面積率とすれば良い。
残留オーステナイトの体積分率は、3%未満では十分な加工誘起変態によるn値(加工硬化指数)の向上、すなわちTRIP(TRansformation−nduced lasticity)効果が得られないため、下限を3%とした。また、残留オーステナイト分率の上限は高いほど好ましいが、本発明の鋼において20%超の残留オーステナイトを室温で安定的に存在させることが不可能であるため、これを上限値とした。残留オーステナイトの体積分率は、X線回折法によって測定することができる。
フェライトとベイナイトの両相が混在する場合は、フェライト、ベイナイトの何れか一方の体積分率が最大であれば良く、フェライト及びベイナイトの体積分率が同一である場合は、残留オーステナイトの体積分率よりも大きければ良い。また、フェライト、ベイナイト、残留オーステナイト以外の相として、マルテンサイト、炭化物、窒化物を初めとする化合物が5%未満、好ましくは2%未満存在していても構わない。すなわち要求特性に応じて組織を作り分ければ良い。
次に本発明のプレス成形性の良好な高強度高ヤング率鋼板の集合組織、ヤング率について説明する。
板厚1/8層における{110}<223>方位、{110}<111>方位の一方又は双方の極密度は10以上とする。これによって圧延方向のヤング率を高めることが可能となり、両者が共に10未満では圧延方向のヤング率を230GPa超とすることは困難である。好ましくは14以上、さらに好ましくは20以上である。この極密度に関する限定は少なくとも板厚1/8層については満足し、実際には1/8層のみならず、板厚表層から1/4層までの広い範囲で成り立つことが好ましい。
これらの方位の極密度(X線ランダム強度比)は、X線回折によって測定される{110}、{100}、{211}、{310}極点図のうち複数の極点図を基に級数展開法で計算した3次元集合組織(ODF)から求めれば良い。すなわち、各結晶方位の極密度を求めるには、3次元集合組織のφ2=45°断面における(110)[2−23]、(110)[1−11]の強度で代表させる。
さらに板厚1/8層における{110}<001>(上記ODFのφ2=45°断面における(110)[001])方位の極密度は6以下とすることが好ましい。この方位は圧延方向のヤング率を著しく低下させることから、この方位の極密度が6超になると圧延方向のヤング率が低下することがある。圧延方向のヤング率を向上させるためには、好ましくは3以下、さらに好ましい上限は1.5未満である。この極密度についても板厚1/8層のみならず、板厚表層から板厚1/4層までの広い範囲で成り立つことが好ましい。
板厚1/2層における{211}<011>(上記ODFのφ2=45°断面における(112)[1−10])の極密度は6以上であることが好ましい。この方位が発達するとTD方向に<111>方位が集積するためTD方向のヤング率が高くなる。この極密度が6未満ではTD方向のヤング率を230GPa超とするのは困難である。TD方向のヤング率を高めるには、板厚1/2層における{211}<011>の極密度を8以上とすることが好ましく、さらに好ましくは10以上とする。
また、板厚1/2層における{332}<113>(上記ODFのφ2=45°断面における(332)[−1−13])の極密度は圧延方向のヤング率には若干の寄与が期待できる。したがってこの方位の極密度は6以上であることが好ましい。この観点から好ましくは極密度が8以上、更に好ましくは10以上とする。
更に、板厚1/2層における{100}<011>(上記ODFのφ2=45°断面における(001)[1−10])の極密度は圧延方向との角度が45°の方向(以下、単に45°方向、又はD方向ともいう)のヤング率を著しく低下させることから極密度を6以下にすることが好ましい。45°方向のヤング率の観点から板厚1/2層における{100}<011>の極密度を3以下とすることが好ましく、更に好ましい上限は1.5以下である。
上記の板厚1/2層における結晶方位の極密度の条件は、少なくとも1つを満足することが好ましく、複数を満足することがさらに好ましく、最適条件は、全てを満足することである。なお、以上で述べた結晶方位はいずれも±2.5°以内のばらつきは許容するものである。
鋼板のヤング率については、上述した板厚1/8層と1/2層における結晶方位の極密度に関する要件を同時に満たすことで、圧延方向だけでなく、TD方向のヤング率も同時に230GPa超とすることが可能となる。ヤング率の測定はJIS Z 2280に記載の横共振法を常温にて行えば良い。すなわち試料を固定せずに振動を加え、発振機の振動数を徐々に変化させて一次共振振動数を測定して、[7]式よりヤング率を算出する。
Figure 0004964488
ここで、E:動的ヤング率[N/m]、l:試験片の長さ[m]、h:試験片の厚さ[m]、m:質量[kg]、w:試験片の幅[m]、f:横共振法の一次共振振動数[s−1]、である。
X線回折用試料の作製は、例えば次のようにして行う。
鋼板を機械研磨や化学研磨などによって板厚方向に所定の位置まで研磨し、バフ研磨によって鏡面に仕上げた後、電解研磨や化学研磨によって歪みを除去すると同時に板厚1/8層又は1/2層が測定面となるように調整する。例えば、板厚1/8層の場合は、鋼板の板厚をtとしたとき、t/8の厚み分の研磨量で鋼板表面を研磨して現れる研磨面を測定面とする。なお、正確に板厚1/8層や1/2層を測定面とすることは困難であるので、これら目標とする層を中心として板厚に対して±3%の範囲が測定面となるように試料を作製すれば良い。また、鋼板の板厚中心層に偏析帯が認められる場合には、板厚の3/8〜5/8の範囲で偏析帯のない場所について測定すれば良い。さらにX線測定が困難な場合には、EBSP(lectron ack catter diffraction attern)法やECP(lectron hanneling attern)法により統計的に十分な数の測定を行う。
また、上記の{hkl}<uvw>は、上述の方法でX線用試料を採取したとき、板面に垂直な結晶方位が<hkl>で圧延方向に平行な方位が<uvw>であることを意味する。
固溶C量は0.0005〜0.004%とすることが好ましい。これを含有する鋼板が部材として加工されると、常温でも歪時効を生じ、ヤング率が高くなる。たとえば自動車用途に使用した場合に、加工後塗装焼付処理を施すことで鋼板の降伏強度のみならずヤング率も増加する。固溶C量は、全C量からFe、Al、Nb、Ti、Bなどの化合物として存在するC量(抽出残査の化学分析から定量)を差し引いた値から求めることもできる。また、内部摩擦法やFIM(Field Ion Microscopy)によって求めても良い。固溶C量が0.0005%未満では十分な効果を得ることができない。また、0.004%を超えてもBH性は飽和する傾向にあるので、これを上限とする。
板厚の表層から1/8層における圧延方向のヤング率の下限値は240GPaとすることが好ましい。これにより曲げ剛性が顕著に向上し、この観点から圧延方向の表層ヤング率の下限は245GPaとすることが好ましい。更に好ましくは250GPaである。上限値は特に規定しないが、300GPa超にするためには他の合金元素を大量に添加する必要があり、加工性等の他の特性が劣化することから実質300GPa以下となる。また、表層のヤング率が240GPaを超えていても、その層の厚みが1/8厚未満では十分な形状凍結性向上効果が発揮されない。高ヤング率を有する層の厚みは厚いほど高い曲げ剛性が得られるのは言うまでもない。
なお、表層のヤング率の測定は表層から1/8以上の厚みで試験片を切り出し、前述の横振動法にて行う。板幅方向の表層ヤング率は特に規定しないが、表層ヤング率が高い方が幅方向の曲げ剛性が上がることは言うまでもない。また上述のような成分製法によって幅方向の表層ヤング率も圧延方向と同様に240GPaを超える。
次に、製造条件の限定理由について述べる。
熱間圧延に供するスラブは特に限定するものではない。すなわち、連続鋳造スラブや薄スラブキャスターなどで製造したものであれば良い。また、鋳造後に直ちに熱間圧延を行う連続鋳造−直接圧延(CC−DR)のようなプロセスにも適合する。
熱延鋼板製造時に、集合組織を制御するために以下のように製造条件を限定する必要がある。
熱延加熱温度は1000℃以上とする。これは、後述する熱延仕上温度をAr3変態点以上とするために必要な温度である。熱間圧延を行う際には[8]式で計算される有効ひずみ量εが0.4以上かつ圧下率の合計が50%以上となるようにする。このときの圧延ロールと鋼板との摩擦係数を0.2超とする。以上の条件は表層の剪断集合組織を発達せしめ、圧延方向のヤング率を高めるのに必須の条件である。
Figure 0004964488
ここで、nは仕上げ熱延の圧延スタンド数、εjはj番目のスタンドで加えられたひずみ、εnはn番目のスタンドで加えられたひずみ、tiはi〜i+1番目のスタンド間の走行時間[s]、τiは気体常数R(=1.987)とi番目のスタンドの圧延温度Ti[K]によって[9]式で計算できる。
Figure 0004964488
有効ひずみεは0.4以上とし、0.5以上が好ましく、0.6以上であればより好ましい。板厚1/2層における{211}<011>、{332}<113>方位の極密度を大きくするためには、圧下率の合計は50%以上とし、70%以上が好ましく、100%以上であればより好ましい。圧下率の合計RTは、nパスの圧延の場合、1パス目〜nパス目までの各圧下率をR1[%]〜Rn[%]とすると、下記[10]式で定義できる。
Figure 0004964488
ただし、Rn={(n−1)パス後の板厚−nパス後の板厚}/(n−1)パス後の板厚×100[%]である。
熱延の仕上温度は900℃以下とする。900℃超では、圧延方向に好ましい剪断集合組織を板厚表層から板厚1/4層付近まで発達させることが困難であり、{110}<223>、{110}<111>の双方の極密度が低下する。また、仕上げ温度を900℃以下で、より低温にすると、γの再結晶が抑制されて板厚1/2層における{100}<011>方位の極密度が低下し、45°方向のヤング率には好ましくない集合組織の発達を抑制することができる。なお、せん断集合組織が発達した部位の表層からの深さを大きくするためにも、仕上圧延を低温で行うことが好ましい。この観点から、熱延の仕上温度は、好ましくは850℃以下、更に好ましくは800℃以下とする。
一方、熱延の仕上温度がAr3変態点未満では、{110}<223>、{110}<111>の双方の極密度が低下し、圧延方向のヤング率にとって好ましくない{110}<001>集合組織が発達することもあるため、Ar3変態点以上とする。
熱間圧延を実施する際には圧延ロールの異周速率が1%以上の異周速圧延を少なくとも1パス以上施すと表層近傍での集合組織形成が促進されるため、異周速圧延を実施しない場合の本発明以上にヤング率が向上する。この観点から異周速率は1%以上とし、好ましくは異周速率5%以上、更に好ましくは異周速率10%以上の異周速圧延を施すことが好ましい。異周速率及び異周速圧延パス数の上限は特に規定しないが、上記の理由からいずれも大きい方が大きなヤング率向上効果が得られることは言うまでもない。しかし、50%以上の異周速率は現状困難であり、仕上熱延パスは通常8パス程度までである。
ここで本発明における異周速率とは、上下圧延ロールの周速差を低周速側ロールの周速で除した値を百分率で表示したものである。また、本発明の異周速圧延は、上下ロール周速のいずれが大きくてもヤング率向上効果に差はない。
また、仕上熱延に使用する圧延機にロール径が700mm以下のワークロールを一つ以上使用すると表層近傍での集合組織形成が促進されるため、使用しない場合の本発明以上にヤング率が向上することからロール径700mm以下のワークロールを使用することが好ましい。この観点から、ワークロール径は700mm以下とし、600mm以下であることが好ましく、500mm以下とすることが更に好ましい。ワークロール径の下限は特に規定しないが、300mm以下になると通板制御が困難になる。小径ロールを使用するパス数の上限は特に規定しないが、前述のように仕上熱延パスは通常8パス程度までである。
熱延中に変態組織制御を行う際、すなわち熱延板の組織を室温で安定な残留オーステナイトを含む複合組織とする際には、上記製造条件に加え仕上げ圧延後の冷却条件が重要となるため、熱延仕上げ後、制御冷却を行う。この制御冷却は、熱延仕上げ後の空冷時間に制限を設け、第一制御冷却を行い、空冷した後、第二制御冷却を行い、巻き取るというものである。
仕上圧延後、そのまま第一制御冷却を行うことが好ましく、空冷時間の下限は規定しない。しかし、例えば、水冷又はミスト冷却によって制御冷却を行う場合、仕上圧延機の出側から制御冷却装置までの間、空冷される時間の上限を30s以内とすることが必要である。
第一制御冷却の冷却速度が10℃/s未満では、フェライト又はベイナイトの体積分率の増加やパーライトの析出により、3%以上の残留オーステナイトを確保できなくなる。第一制御冷却の冷却速度は速いほど好ましいが、現状の技術では300℃/s超とすることは困難である。
本発明においては、第一制御冷却を650〜800℃の温度範囲で停止して空冷を開始し、空冷時間を2〜15sとすることが残留オーステナイト量の確保のために極めて重要である。この空冷開始温度が800℃超又は空冷時間が2s未満では、残留オーステナイト中にCを濃化させるために重要なフェライト又はベイナイト変態が不十分であるため、その後の第二制御冷却の際にマルテンサイトが生成して、残留オーステナイト量を3%以上とすることができない。一方、空冷開始温度が650℃未満の場合、フェライト又はベイナイト体積率が十分でないため、同様に第二制御冷却の際にマルテンサイトが生成してしまう。また、空冷時間を15s超とすると、パーライト組織へと変態するため、十分な残留オーステナイト量を確保できない。
第二制御冷却は、第一制御冷却後の空冷で確保した残留オーステナイトがフェライトに変態するのを抑制するため、冷却速度を10℃/s以上として行う。第二制御冷却の冷却速度が10℃/s未満では残留オーステナイトを3%以上とすることができないため、下限とし、上限は速いほど好ましいが、現状の技術では300℃/s超とすることは困難である。
第二制御冷却の停止温度は300℃超〜500℃未満の範囲内とし、この温度域で巻き取る。これは、巻き取り温度が500℃以上では、セメンタイトの析出量が多くなることで、オーステナイト中のC濃度が減少し、室温で安定な残留オーステナイトを3%以上得ることが難しいからである。また、下限値を300℃超としたのは、第二制御冷却時のマルテンサイト変態を抑制し、3%以上の残留オーステナイトを確保するためである。
熱延鋼板には、最高加熱温度を500℃以上0.5×(Ac1+Ac3)[℃]以下の範囲とする焼鈍を施しても良い。これによって圧延方向にヤング率はより一層向上する。この理由は定かではないが、熱延後の変態によって導入された転位が、熱処理によって再配列することによるものと推測される。最高加熱温度が500℃未満ではその効果が顕著ではなく、一方、0.5×(Ac1+Ac3)[℃]を超えると、焼鈍温度におけるオーステナイト相への変態が促進されて集合組織の集積が弱くなり、ヤング率が低下することがある。ヤング率の向上のため、熱延板焼鈍の最高加熱温度は、更に好ましくは650〜800℃とする。最高加熱温度に到達後、直ちに冷却しても良いが、鋼板の温度を均一にするには、120s以上保持することが好ましく、1800s超の保持は生産性を損なう。なお、鋼板の材質の均質性と生産性を両立するには、保持時間を300s以上600s以下とすることが更に好ましい。
熱間圧延によって組織を制御せず、酸洗後に熱延鋼板を焼鈍し、残留オーステナイトを確保しても良い。この熱延鋼板の焼鈍は、加熱時に一部のフェライト、ベイナイトをオーステナイト相に逆変態させ、その後の冷却制御及び保持によって、フェライト、ベイナイトを形成させ、残留オーステナイトを確保するために行う。
この場合も、熱間圧延によって、圧延方向のヤング率を向上させる剪断集合組織を表層に発達させるため、スラブ加熱温度、圧延ロールと鋼板との摩擦係数、有効ひずみ量ε*、圧下率の合計、熱間圧延の終了温度は上記の条件を満足する必要がある。仕上圧延後の冷却条件は特に規定しないが、巻取り条件については、400〜600℃で巻き取るとヤング率が向上する場合があるので、この範囲で巻き取るのが好ましい。
組織制御を目的とする熱延鋼板の焼鈍の最高加熱温度はAc1[℃]以上0.5×(Ac1+Ac3)[℃]とする。これは、焼鈍の最高加熱温度がAc1変態点[℃]未満では、組織制御に必要なオーステナイトへの逆変態が起こりにくく、残留オーステナイトを確保することが難しくなり、0.5×(Ac1+Ac3)[℃]を超えると、組織の大部分がオーステナイトに逆変態し、熱延時に制御した集合組織が崩れてヤング率向上効果が得られなくなるためである。なお、最高加熱温度に到達後、直ちに冷却しても良いが、120s以上1800s以下の保持が好ましく、300s以上600s以下の保持が更に好ましい。
加熱速度は特に限定しないが、3〜70℃/sの範囲とすることが好ましい。加熱速度が3℃/s未満では加熱中に再結晶が進行し、圧延方向のヤング率の向上に有利な集合組織が崩れることがある。一方、加熱速度を70℃/s超としても材料特性は変化しないが、実質上、連続焼鈍ラインではこれ以上の昇温速度を得ることは困難である。
熱延鋼板の焼鈍後の冷却は、冷却速度を1℃/s未満として行うとフェライト変態が促進されるか、又はパーライトが生成して残留オーステナイトの確保が難しくなることがある。一方、冷却速度を150℃/s超とすることは現状の技術では困難である。したがって、焼鈍後の冷却速度を1〜150℃/sの範囲とする。
焼鈍後の冷却停止温度は過時効温度域であり、380℃以下ではマルテンサイト変態が生じ、500℃超では、セメンタイトの析出によってオーステナイト中のC濃度が減少し、又はパーライト変態を生じて、室温で安定な残留オーステナイトを確保できない。したがって、冷却停止温度は380℃超500℃未満とする。
冷却後、更に、380℃超〜500℃未満の範囲内で1〜1800s保持する。これは、保持時間が1s未満であるとその後の冷却中にマルテンサイト変態が生じ、保持時間が1800sを超えるとベイナイトが過剰に生成して、安定な残留オーステナイトを確保できないためである。
また、組織制御を行った熱延鋼板には、必要に応じて酸洗、インライン又はオフラインによる圧下率10%以下のスキンパスを施しても良く、酸洗後に60%未満の圧下率で冷間圧延しても良い。ここで冷延率を60%超とすると、熱延鋼板に形成されたヤング率を高める集合組織が大きく変化し、圧延方向のヤング率が低下することがある。また、下限は、製造上の観点から10%以上とすることが好ましい。更に、冷間圧延後、500℃以上0.5×(Ac1+Ac3)[℃]以下の焼鈍を行っても良い。これによって熱延後の集合組織を損なうことなく、圧延方向のヤング率の低下を抑制し、かつ、体積分率で3〜20%の残留オーステナイトを確保することができる。
熱間圧延後の冷却、熱延板焼鈍で変態組織を制御せず、冷間圧延後の焼鈍、冷却時に変態組織を制御しても良い。この場合も、熱間圧延におけるスラブ加熱温度、圧延ロールと鋼板との摩擦係数、有効ひずみ量ε*、圧下率の合計、熱間圧延の終了温度は上記の条件を満足する必要がある。巻取り条件については、ヤング率の観点から400〜600℃で巻き取るのが好ましい。
この場合も、冷間圧延の圧下率の下限は生産性の観点から10%以上とし、上限は圧延方向のヤング率の観点から60%未満とする。冷延後の焼鈍によって組織制御を行う際にも、熱延後の焼鈍によって組織制御を行う場合と同様の条件、即ち、最高加熱温度をAc1変態点[℃]以上0.5×(Ac1+Ac3)[℃]以下の範囲内とし、冷却速度を1〜150℃/sの範囲内とし、冷却停止温度を過時効温度域である380℃超、500℃未満とし、この過時効温度域での保持時間を1〜1800sとする。これにより、加熱時に一部のフェライト、ベイナイトをオーステナイト相に逆変態させ、その後の冷却制御及び保持によって、フェライト、ベイナイトを形成させ、残留オーステナイトを確保することができる。
また上記の方法で製造した熱延鋼板、冷延鋼板には溶融亜鉛めっき又は合金化溶融亜鉛めっきを施しても良い。亜鉛めっきの組成は特に限定するものではなく、亜鉛のほか、Fe、Al、Mn、Cr、Mg、Pb、Sn、Niなどを必要に応じて添加しても構わない。熱延板焼鈍、冷延板焼鈍を連続焼鈍設備によって行う場合には、更に連続して溶融亜鉛めっき浴に浸漬することが好ましい。
合金化処理は、溶融亜鉛めっきを施した後に、450〜600℃の範囲内で行う。450℃未満では合金化が十分に進行せず、また、600℃超では過度に合金化が進行し、めっき層が脆化するため、プレス等の加工によってめっきが剥離するなどの問題を誘発する。合金化処理の時間は、5s以上とする。5s未満では合金化が十分に進行しない。上限は特に定めないが、めっき密着性を考慮すると10s程度とすることが好ましい。
焼鈍後、必要に応じて酸洗した冷延鋼板並びに溶融亜鉛めっき鋼板及び合金化処理後のめっき鋼板に、インライン又はオフラインで圧下率10%以下のスキンパスを施しても良い。
また、上記の熱延鋼板、冷延鋼板にはAl系めっきや各種電気めっきを施しても構わない。さらに熱延鋼板や冷延鋼板及び各種めっき鋼板には有機皮膜、無機皮膜、各種塗料などの表面処理を目的に応じて行うことができる。
本発明のプレス成形性の良好な高強度高ヤング率鋼板、溶融亜鉛めっき鋼板、合金化溶融亜鉛めっき鋼板を圧延方向が鋼管の長手方向との間の角度が0〜30°以内になるように巻いて鋼管にすると、鋼管の長手方向のヤング率が高い高ヤング率鋼管を製造することができる。圧延方向と平行に巻くのが最もヤング率が高くなることからこの角度は出来るだけ小さいことが好ましい。この観点から、15°以下の角度で巻くことが更に好ましい。圧延方向と鋼管の長手方向の関係が満足されていれば、造管方法は、鋼板を筒状に成形して突合せ部を溶接する方法であれば良い。すなわち、UO管、電縫溶接、スパイラル等、任意の方法をとることができる。もちろん、ヤング率の高い方向を鋼管の長手方向に平行に限定する必要はなく、用途に応じて任意の方向にヤング率の高い鋼管を製造しても何ら問題はない。
次に本発明を実施例にて説明する。
表1に示す組成を有する鋼を溶製し、表2に示す条件で熱間圧延を施した。Ar3、Ac1及びAc3は、フォーマスター試験機を用い、冷却中の試験片の熱膨張変化を測定して求めた。表1及び2において、また表3〜11においても同様に、下線は本発明の範囲外又は好ましい範囲外であることを意味する。
熱間圧延の加熱温度は全て1230℃とした。全7段からなる仕上圧延スタンドにおいてロールと鋼板との摩擦係数を0.21〜0.24の範囲とし、最終3段の合計の圧下率を55%とした。光学顕微鏡による組織観察と画像解析によって、フェライト体積率、ベイナイト体積率、マルテンサイト体積率、セメンタイト及びパーライト体積率を求め、X線回折法によって残留オーステナイトの体積率を求めた。
ヤング率は上述した横共振法により測定した。E(RD)、E(D)、E(TD)は、それぞれ、長手方向をRD方向、45°方向、TD方向として試験片を採取し、測定して得られた室温におけるヤング率である。JIS Z 2201の5号引張試験片を採取してTD方向の引張特性をJIS Z 2241に準拠して評価した。また、板厚1/8層及び板厚7/16層における集合組織をX線回折法によって測定した。結果を表2及び3に示す。
なお、表2において、FT[℃]は熱間圧延機で仕上圧延を行う際の最終スタンドの出側の温度であり、tAC1[s]は熱間圧延の仕上圧延後、第一制御冷却を開始するまでの空冷時間であり、CR[℃/s]は空冷後の第一制御冷却中の平均冷却速度であり、T1[℃]は第一制御冷却の停止温度であり、tAC2[s]は第一制御冷却後の空冷時間であり、CR[℃/s]は第二制御冷却中の平均冷却速度であり、CT[℃]は巻取り温度であり、Vα1[%]は熱延鋼板のフェライト体積率であり、VB1[%]は熱延鋼板のベイナイト体積率であり、Vγ1[%]は熱延鋼板の残留オーステナイト体積率であり、VM1[%]は熱延鋼板のマルテンサイト体積率であり、Vother1[%]は熱延鋼板のセメンタイト及びパーライト体積率の合計である。
表3において、TS[MPa]は引張強さであり、YS[MPa]は降伏強さであり、El[%]は伸びであり、E(RD)[GPa]はRD方向の平均ヤング率であり、R(D)[GPa]はRD方向に対して45°傾斜した方向の平均ヤング率であり、E(TD)[GPa]はTD方向の平均ヤング率である。これらの指標は、表4〜11においても共通する。
表2及び3からより明らかなとおり、本発明の化学成分を有する鋼を適正な条件で熱間圧延した場合には、圧延方向のヤング率を230GPa超とすることができた。
Figure 0004964488
Figure 0004964488
Figure 0004964488
表2における鋼No.K、N及びQの熱延鋼板を酸洗後、表4に示す条件にて連続焼鈍設備にて焼鈍あるいは、焼鈍後に溶融亜鉛めっきやその後の合金化により合金化溶融亜鉛めっきを施した。溶融亜鉛めっきは、焼鈍設備と連続する溶融亜鉛めっき浴に浸漬して行い、合金化溶融亜鉛めっきは、溶融亜鉛めっき鋼板に500℃で10sの合金化処理を施して製造した。また、調質圧延圧下率はすべて0.3%とした。フェライト体積率、ベイナイト体積率、マルテンサイト体積率、セメンタイト及びパーライト体積率、残留オーステナイトの体積率、集合組織、ヤング率の測定及び引張特性の評価は実施例1と同様にして行った。結果を表4及び5に示す。
表4には、熱延条件及び熱延鋼板の組織も併記した。なお表4においてTmax1[℃]は熱延鋼板の焼鈍の最高加熱温度であり、CRA1[℃/s]は最高加熱温度からの平均冷却速度であり、TOA1[℃]は冷却停止温度、tOA1[s]は冷却停止後の過時効温度域における保持時間である。また、Vα2[%]は焼鈍後の熱延鋼板又はめっき鋼板のフェライト体積率、VB2[%]は焼鈍後の熱延鋼板又はめっき鋼板のベイナイト体積率、Vγ2[%]は焼鈍後の熱延鋼板又はめっき鋼板のオーステナイト体積率、VM2[%]は焼鈍後の熱延鋼板又はめっき鋼板のマルテンサイト体積率、Vother2[%]は焼鈍後の熱延鋼板又はめっき鋼板のセメンタイト及びパーライト体積率の合計である。
これから明らかなとおり、本発明の化学成分を有する鋼を適正な条件で熱延し、さらに適切に熱処理や溶融亜鉛めっきを施すことにより、残留オーステナイトを残しつつ230GPa超とすることができた。
Figure 0004964488
Figure 0004964488
表1に示す組成を有する鋼を溶製し、表6に示す条件で熱間圧延を施し、冷間圧延、焼鈍し、一部溶融亜鉛めっき、合金化処理を施した。表6に記載のない熱延条件は全て実施例1と同じである。焼鈍は連続焼鈍設備で行い、最高加熱温度での保持時間は90sとした。溶融亜鉛めっきは、焼鈍設備と連続する溶融亜鉛めっき浴に浸漬して行い、合金化溶融亜鉛めっきは、溶融亜鉛めっき鋼板に500℃で10sの合金化処理を施して製造した。また、調質圧延圧下率はすべて0.3%とした。
なお、表6において、CR[℃/s]は仕上圧延から巻取りまでの平均冷却速度であり、Tmax2[℃]は冷間圧延後の焼鈍の最高加熱温度、CRA2[℃/s]は焼鈍後の最高加熱温度から冷却時の平均冷却速度、TOA2[℃]は冷却停止温度、tOA2[s]は冷却後の過時効温度域における保持時間である。
フェライト体積率、ベイナイト体積率、マルテンサイト体積率、セメンタイト及びパーライト体積率、残留オーステナイトの体積率、集合組織、ヤング率の測定及び引張特性の評価は実施例1及び2と同様にして行った。結果を表7に示す。なお、表7において、Vα2[%]は焼鈍後の冷延鋼板又はめっき鋼板のフェライト体積率、VB2[%]は焼鈍後の冷延鋼板又はめっき鋼板のベイナイト体積率、Vγ2は[%]焼鈍後の冷延鋼板又はめっき鋼板のオーステナイト体積率、VM2[%]は焼鈍後の冷延鋼板又はめっき鋼板のマルテンサイト体積率であり、Vother2[%]は焼鈍後の冷延鋼板又はめっき鋼板のセメンタイト及びパーライト体積率の合計である。
表7から明らかなとおり、本発明の化学成分を有する鋼を適正な条件で熱間圧延し、さらに適切に冷間圧延、熱処理や溶融亜鉛めっきを施すことにより、残留オーステナイトを残しつつ圧延方向のヤング率を230GPa超とすることができた。
Figure 0004964488
Figure 0004964488
表1に示した鋼BとKを用いて異周速圧延を行った。周速率は全7段からなる仕上げ圧延スタンドにおいて最終の3段で変化させた。表8に熱延条件並びに実施例1と同様にして測定した熱延鋼板の組織を示し、表9に集合組織、引張特性及びヤング率を示す。なお、表8に記載のない熱延条件は全て実施例1と同じである。
これから明らかなとおり、本発明の化学成分を有する鋼を適正な条件で熱延する際に1%以上の異周速圧延を1パス以上加えると、表層近傍での集合組織形成が促進され、更にヤング率が向上する。
表1に示した鋼BとKを用いて異周速圧延を行った。周速率は全7段からなる仕上げ圧延スタンドにおいて最終の3段で変化させた。表10に熱延条件並びに実施例1と同様にして測定した熱延鋼板の組織を示し、表11に集合組織、引張特性及びヤング率を示す。なお表10に記載のない熱延条件は全て実施例1と同じである。
これから明らかなとおり、本発明の化学成分を有する鋼を適正な条件で熱延する際に1%以上の異周速圧延を1パス以上加えると、表層近傍での集合組織形成が促進され、更にヤング率が向上する。
Figure 0004964488
Figure 0004964488
Figure 0004964488
Figure 0004964488

Claims (17)

  1. 質量%で、
    C:0.05〜0.30%、
    Mn:0.1〜2.30%、
    Si、Alの双方を合計で0.15〜3.0%
    含有し、
    P:0.15%以下、
    S:0.015%以下、
    N:0.01%以下
    に制限し、
    Mo:0.01%〜1.5%、
    Nb:0.005〜0.2%、
    Ti:48/14×N[mass%]以上,0.2%以下、
    B:0.0001〜0.01%
    全てを合計で0.015〜1.91質量%含有し、残部鉄及び不可避的不純物からなり、フェライト又はベイナイトを体積分率最大の組織とし、体積分率で3〜20%の残留オーステナイトを含む複合組織鋼であり、かつ板厚の1/8層における{110}<223>、{110}<111>の一方又は双方の極密度が10以上であり、圧延方向のヤング率が230GPa超であることを特徴とするプレス成形性の良好な高強度高ヤング率鋼板。
  2. 質量%で、Ni、Cu、Crの1種又は2種以上を合計で0.001〜0.1%含むことを特徴とする請求項1に記載のプレス成形性の良好な高強度高ヤング率鋼板。
  3. 質量%で、Ca:0.0005〜0.01%を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のプレス成形性の良好な高強度高ヤング率鋼板。
  4. 質量%で、Sn、Co、Zn、W、Zr、V、Mg、Remの1種又は2種以上を合計で0.001〜1%含むことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のプレス成形性の良好な高強度高ヤング率鋼板。
  5. 板厚の1/8層における{110}<001>の極密度が6以下であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のプレス成形性の良好な高強度高ヤング率鋼板。
  6. 板厚1/2層における{211}<011>の極密度が6以上、{332}<113>の極密度が6以上、{100}<011>の極密度が6以下の何れか1以上を満足することを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載のプレス成形性の良好な高強度高ヤング率鋼板。
  7. 請求項1〜6の何れか1項に記載のプレス成形性の良好な高強度高ヤング率鋼板に、溶融亜鉛めっきが施されていることを特徴とするプレス成形性の良好な高強度高ヤング率溶融亜鉛めっき鋼板。
  8. 請求項1〜6の何れか1項に記載のプレス成形性の良好な高強度高ヤング率鋼板に、合金化溶融亜鉛めっきが施されていることを特徴とするプレス成形性の良好な高強度高ヤング率合金化溶融亜鉛めっき鋼板。
  9. 請求項1〜6の何れか1項に記載のプレス成形性の良好な高強度高ヤング率鋼板、請求項7記載のプレス成形性の良好な高強度高ヤング率溶融亜鉛めっき鋼板、請求項8記載のプレス成形性の良好な高強度高ヤング率合金化溶融亜鉛めっき鋼板の何れか1つを母材とする高ヤング率鋼管。
  10. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のプレス成形性の良好な高強度高ヤング率鋼板を製造する方法であって、請求項1〜4のいずれか1項に記載の化学成分を有するスラブを1000℃以上の温度に加熱し、熱間圧延をする際、圧延ロールと鋼板との摩擦係数が0.2超、[1]式で計算される有効ひずみ量εが0.4以上、かつ圧下率の合計が50%以上となるように圧延を行い、Ar3変態点[℃]以上900℃以下の温度で熱間圧延を終了し、30s以内の空冷を行った後、10℃/s以上の冷却速度で650〜800℃の範囲内に冷却する第一制御冷却を行い、更に2〜15sの空冷を行い、10℃/s以上の冷却速度で300℃超、500℃未満の範囲内に冷却する第二制御冷却を行った後、巻き取ることを特徴とするプレス成形性の良好な高強度高ヤング率鋼板の製造方法。
    Figure 0004964488
    ここで、nは仕上げ熱延の圧延スタンド数、εjはj番目のスタンドで加えられたひずみ、εnはn番目のスタンドで加えられたひずみ、tiはi〜i+1番目のスタンド間の走行時間[s]、τiは気体常数R(=1.987)とi番目のスタンドの圧延温度Ti[K]によって[2]式で計算できる。
    Figure 0004964488
  11. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のプレス成形性の良好な高強度高ヤング率鋼板を製造する方法であって、請求項1〜4のいずれか1項に記載の化学成分を有するスラブを1000℃以上の温度に加熱し、熱間圧延をする際、圧延ロールと鋼板との摩擦係数が0.2超、[3]式で計算される有効ひずみ量εが0.4以上、かつ圧下率の合計が50%以上となるように圧延を行い、Ar3変態点[℃]以上900℃以下の温度で熱間圧延を終了し、得られた熱延鋼板を酸洗し、最高加熱温度をAc1変態点[℃]以上0.5×(Ac1+Ac3)[℃]以下の範囲内とする焼鈍を施した後、1〜150℃/sの冷却速度で380℃超、500℃未満の過時効温度域まで冷却し、該過時効温度域に1〜1800s保持することを特徴とするプレス成形性の良好な高強度高ヤング率鋼板の製造方法。
    Figure 0004964488
    ここで、nは仕上げ熱延の圧延スタンド数、εjはj番目のスタンドで加えられたひずみ、εnはn番目のスタンドで加えられたひずみ、tiはi〜i+1番目のスタンド間の走行時間[s]、τiは気体常数R(=1.987)とi番目のスタンドの圧延温度Ti[K]によって[4]式で計算できる。
    Figure 0004964488
  12. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のプレス成形性の良好な高強度高ヤング率鋼板を製造する方法であって、請求項1〜4のいずれか1項に記載の化学成分を有するスラブを1000℃以上の温度に加熱し、熱間圧延をする際、圧延ロールと鋼板との摩擦係数が0.2超、[5]式で計算される有効ひずみ量εが0.4以上、かつ圧下率の合計が50%以上となるように圧延を行い、Ar3変態点[℃]以上900℃以下の温度で熱間圧延を終了し、得られた熱延鋼板を酸洗し、10%以上60%未満の圧下率で冷間圧延を施し、最高加熱温度をAc1変態点[℃]以上0.5×(Ac1+Ac3)[℃]以下の範囲内とする焼鈍を施した後、1〜150℃/sの冷却速度で380℃超、500℃未満の過時効温度域まで冷却し、該過時効温度域に1〜1800s保持することを特徴とするプレス成形性の良好な高強度高ヤング率鋼板の製造方法。
    Figure 0004964488
    ここで、nは仕上げ熱延の圧延スタンド数、εjはj番目のスタンドで加えられたひずみ、εnはn番目のスタンドで加えられたひずみ、tiはi〜i+1番目のスタンド間の走行時間[s]、τiは気体常数R(=1.987)とi番目のスタンドの圧延温度Ti[K]によって[6]式で計算できる。
    Figure 0004964488
  13. 熱間圧延の少なくとも1パス以上を、異周速率が1%以上の異周速圧延とすることを特徴とする請求項10〜12の何れか1項に記載のプレス成形性の良好な高強度高ヤング率鋼板の製造方法。
  14. 熱間圧延を実施する際にロール径が700mm以下の圧延ロールを少なくとも1つ以上使用することを特徴とする請求項10〜13の何れか1項に記載のプレス成形性の良好な高強度高ヤング率鋼板の製造方法。
  15. 請求項7に記載のプレス成形性の良好な高強度高ヤング率溶融亜鉛めっき鋼板を製造する方法であって、請求項10〜14の何れか1項に記載の方法により製造した高強度高ヤング率鋼板に、溶融亜鉛めっきを施すことを特徴とするプレス成形性の良好な高強度高ヤング率溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
  16. 請求項8に記載のプレス成形性の良好な高強度高ヤング率合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造する方法であって、請求項15記載の溶融亜鉛めっきを施した後、450〜600℃の温度範囲で5s以上保持する熱処理を行うことを特徴とするプレス成形性の良好な高強度高ヤング率合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
  17. 請求項10〜14のいずれか1項に記載の製造方法により得られた高強度高ヤング率鋼板、請求項15に記載の製造方法により得られた高強度高ヤング率溶融亜鉛めっき鋼板、請求項16記載の製造方法により得られた高強度高ヤング率合金化溶融亜鉛めっき鋼板の何れか1つを筒状に成形し、溶接して鋼管にすることを特徴とするプレス成形性の良好な高強度高ヤング率鋼管の製造方法。
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