JP4964299B2 - 振動型電磁発電機及び振動型電磁発電機の製造方法 - Google Patents
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Description
また、無線技術の発展にともない、微小電力で信号の送受を行うRFID(Radio Frequency IDentification)の応用が拡がっている。特に、電源を有するアクティブRFIDは、数百メートル以上の通信も可能である。このため、牧場の牛や馬などの健康管理や、子供達の登下校時の安全管理などに期待が高まっている。
この振動型電磁発電機の製造方法は、所定のコイル径と所定の単位長当たりの巻数を有し、コイル長がコイル径の少なくとも3倍以上のソレノイドコイルを製作するステップと、ソレノイドコイル中を、所定の磁石径を有し、コイル長とほぼ同じ長さの磁石を一定の通過速度で通過させたときの出力電圧の立ち上がり特性を測定するステップと、立ち上がり特性において、最大振幅の10%から90%に達するまでの立ち上がり時間を求めるステップと、立ち上がり時間と通過速度から求めた距離のほぼ2倍の長さを、磁石ピッチの長さとするステップと、を含む。
振動型電磁発電機10を構成するソレノイドコイル1の長さは、円筒形磁石2の長さにほぼ等しい。そして、1個の円筒形磁石2が、ソレノイドコイル1の巻軸方向に沿って通過したときに得られる出力電圧を出力電圧波形3として示している。
出力電圧波形3は、周期が磁石長あるいはコイル長(ソレノイドコイルの長さ)のほぼ2倍であり、正弦波の波形にほぼ等しい1周期分の波形となる。つまり、図1において、出力電圧波形の横軸を時間軸とした場合には、1周期の時間は、磁石長の2倍の長さの距離を通過速度で割った値となる。
隣り合うソレノイドコイルは、所定の間隔24をあけてある。コイルの巻き方向は、隣り合うソレノイドコイル毎に互いに逆向きの正・逆・正方向である。この直列接続された第1のソレノイドコイル21〜第3のソレノイドコイル23を、発電コイル26と称する。可動磁石25の長さは、コイル長とコイル間隔の合計の長さ(例えば、ソレノイドコイル21と間隔24の合計の長さ)に等しい。
図3において、グラフ中の数字は、それぞれのソレノイドコイルの出力電圧と合成出力電圧の振幅比を示している。
また、第1のソレノイドコイル21〜第3のソレノイドコイル23は、それぞれ直列に接続されている。このため、取り出される電圧は、第1のソレノイドコイル21〜第3のソレノイドコイル23が発生する電圧を足し合わせた合成出力電圧になる。このとき、図3に示す合成出力電圧波形が得られる。
振動型電磁発電機40は、1個の可動磁石48と、3個のソレノイドコイル(第1のソレノイドコイル41〜第3のソレノイドコイル43)で構成される。
隣り合うソレノイドコイルは、所定の間隔44をあけてある。コイルの巻き方向は、隣り合うソレノイドコイル毎に互いに逆向きの正・逆・正方向である。この直列接続された第1のソレノイドコイル41〜第3のソレノイドコイル43を、発電コイル49と称する。
可動磁石48は、長さ方向に着磁された同じ長さの2個の磁石45、46を、所定の厚さの非磁性体からなる磁石スペーサ47を介した上で、同じ極を向かい合わせて一体に接合される。
極性が異なる2個の磁石45,46が各ソレノイドコイルを通過すると、ソレノイドコイル毎に位相がコイル長に対応した時間だけずれた電圧が発生する。これらの電圧がすべて合成された出力電圧は、図5に示す合成出力電圧波形になる。
図6より、磁石の端面付近の磁界は円筒形磁石60の長さよりも長い方向まで達することが示される。また、円筒形磁石60の端面付近の磁界の向きは、円筒形磁石60の長さ方向に対して平行になっていないことが示される。従って、コイル長を磁石長よりも短くすることで、ソレノイドコイルと、磁石の長さ方向に平行な磁界とを効率よく結合させる必要がある。
4種類の円筒形磁石は、直径を同じ4mmとしているが、磁石ピッチが異なる8mm,16mm,24mm,32mmの構成としている。
ソレノイドコイルは、内径6mm、単位長さ当たりの巻数60回、コイル長30mmの構成としている。
つまり、磁石長を12mmとすることが、出力電圧をほぼ最大値に等しくし、同時に磁石長を最も短くできることになると言える。
円筒形磁石は、直径4mm、磁石長8mmの構成としている。
ソレノイドコイルは、単位長当りの巻数が等しく、コイル長が異なる7mm、10mm、30mmの構成としている。
つまり、長さ8mmの一個の磁石に対しては、図1に示したように、コイル長を磁石長と同じ長さの8mmとすれば、出力電圧がほぼ最大値(飽和電圧)となる。
すなわち、磁石長とスペーサ厚さの合計寸法からなる磁石ピッチと、コイル長とコイル間隔の合計寸法からなるコイルピッチを等しくすることにより、高い発電効率を得ながら、全体の寸法を小さくすることができる。なお、磁石ピッチとコイルピッチを等しくするとともに、コイル長を磁石長よりも短くすることが望ましい。
(1)まず、所定のコイル径と所定の単位長当たりの巻数を有し、コイル長がコイル径の少なくとも3倍以上のソレノイドコイルを製作する。
(2)次に、このソレノイドコイル中を、所定の磁石径を有し、コイル長とほぼ同じ長さの磁石を一定の速度で通過させて、そのときの出力電圧の立ち上がり特性を測定する。
(3)この立ち上がり特性において、最大振幅の10%から90%に達するまでの時間を求める。
(4)この結果、求めた時間と通過速度から求めた距離のほぼ2倍の長さを、求める磁石ピッチとする。
磁石ピッチを求めた後、ソレノイドコイルのコイル長とコイル間隔の合計寸法を磁石ピッチと等しく設定し、かつ上述のソレノイドコイルのコイル長よりも、磁石長を長くするという条件の下、コイル間隔と磁石スペーサの寸法条件を設定する。こうして、最大出力に近い電圧を得られると共に、発電機本体の寸法を小さくすることが可能な振動型電磁発電機を得ることができる。
なお、上述において、所定のコイル径,所定の単位長当たりの巻数,所定の磁石径とは、それぞれ作製しようとする振動型電磁発電機に用いられる寸法を意味する。
図9Aは、振動型電磁発電機40を構成する各部品を分解した状態の斜視図である。
図9Bは、各部品を組み合わせた振動型電磁発電機40のうち、収納ケース55を一部透視した部分透視図である。
第1のソレノイドコイル41と第3のソレノイドコイル43からは、それぞれコイル端部53が引き出されており、図示しない外部部品(負荷)に接続される。
可動磁石48は、収納ケース55の内部をなめらかに動くため、第1のソレノイドコイル41〜第3のソレノイドコイル43の内側であって巻軸方向に移動することとなる。このため、第1のソレノイドコイル41〜第3のソレノイドコイル43は、電圧を生じ、発電機として機能する。
ソレノイドコイルは、コイル長6.5mm、コイル内径5mm、巻数3000回のコイルを3個、コイル間隔3mmで正・逆・正に直列接続した構成としている。
そして、ソレノイドコイル中の巻き線軸方向に沿って、可動磁石を速度約1.2m/sで移動させた場合の出力電圧波形を図10に示している。
図10を図5の合成出力電圧波形と比較すると非常によく一致している。このことは、図1から図5を参照して説明した内容の妥当性を示していると言える。
図11は、円筒形磁石と、磁石スペーサを介して円筒形磁石を接合された可動磁石の構成例を示す。
図11Bは、磁石スペーサ71,81の構成例を示す。磁石スペーサ71を形成する材料には、非磁性体材料として、例えば樹脂が用いられる。磁石スペーサ81を形成する材料には、磁性体材料として、例えば純鉄が用いられる。磁石スペーサ71,81の軸方向の長さは、約2mmとし、直径は、約5mmとする。
図11Cは、可動磁石70,80の構成例を示す。可動磁石70は、非磁性体材料で形成された磁石スペーサ71を介して、3つの円筒形磁石61の同極が対向した状態で接合される。一方、可動磁石80は、磁性体材料で形成された磁石スペーサ81を介して、3つの円筒形磁石61の同極が対向した状態で接合される。
図12Aは、1個の円筒形磁石61の磁束密度の測定結果を示す。
図12Bは、可動磁石70の磁束密度の測定結果を示す。
図12Cは、可動磁石80の磁束密度の測定結果を示す。
図12A〜図12Cにおいて、磁束密度を示す縦軸には、等間隔の目盛り(B1〜B6)を付して、各図を比較する。
また、図12Bと図12Cに示すように、同極を対向して接合された可動磁石のN極とS極付近は、1個の円筒形磁石61の磁束密度よりもピークが高い。これは、同極が対向して接合されることによって、磁束が互いに反発し、磁束密度が高まるためである。
図12A〜図12Cの測定結果より、磁性体材料で形成された磁石スペーサ81を含む可動磁石80を用いて振動型発電機を構成すると、磁束密度が高くなり、ソレノイドコイルと交差する磁束が多くなる。このため、磁石スペーサに用いられる材質が磁性体材料である場合、非磁性体材料の場合と比べて、さらに振動型電磁発電機の発電効率を高めることができると言える。
Claims (2)
- 複数のソレノイドコイルが直列に接続された発電コイルと、
前記発電コイルの内側であってかつ巻軸方向に移動可能であり、対向する磁極が互いに同極となるように配置された、複数の磁石を含む可動磁石と、
から構成された振動型電磁発電機であって、
前記複数のソレノイドコイルは、所定のコイル間隔を有するとともに互いに逆方向に巻回され、
前記可動磁石は、所定の厚さの磁石スペーサを介して同極が対向するように接合され、
さらに、前記複数のソレノイドコイルの一つあたりのコイル長と前記コイル間隔の合計寸法であるコイルピッチと、前記可動磁石の一つあたりの磁石長と前記磁石スペーサの厚さとの合計寸法である磁石ピッチとをほぼ等しくするとともに、
前記コイル長を前記磁石長よりも短くし、
前記磁石スペーサは、磁性体であることを特徴とする振動型電磁発電機。 - 複数のソレノイドコイルが直列に接続された発電コイルと、
前記発電コイルの内側であってかつ巻軸方向に移動可能であり、対向する磁極が互いに同極となるように配置された、複数の磁石を含む可動磁石と、を備え、
前記複数のソレノイドコイルは、所定のコイル間隔を有するとともに互いに逆方向に巻回され、
前記可動磁石は、所定の厚さの磁石スペーサを介して同極が対向するように接合され、
さらに、前記複数のソレノイドコイルの一つあたりのコイル長と前記コイル間隔の合計寸法であるコイルピッチと、前記可動磁石の一つあたりの磁石長と前記磁石スペーサの厚さとの合計寸法である磁石ピッチとをほぼ等しくするとともに、
前記コイル長が前記磁石長よりも短く構成される振動型電磁発電機の製造方法であって、
所定のコイル径と所定の単位長当たりの巻数を有し、前記コイル長が前記コイル径の少なくとも3倍以上のソレノイドコイルを製作するステップと、
前記ソレノイドコイル中を、所定の磁石径を有し、前記コイル長とほぼ同じ長さの磁石を一定の通過速度で通過させたときの出力電圧の立ち上がり特性を測定するステップと、
前記立ち上がり特性において、最大振幅の10%から90%に達するまでの立ち上がり時間を求めるステップと、
前記立ち上がり時間と前記通過速度から求めた距離のほぼ2倍の長さを、前記磁石ピッチの長さとするステップと、を含むことを特徴とする振動型電磁発電機の製造方法。
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