JP6004024B2 - 振動型電磁発電機 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば、1個以上のソレノイドコイルで構成する発電コイルの中を、長さ方向に着磁された複数個の磁石を含む可動磁石が振動又は移動することにより発電を行う振動型電磁発電機に関する。
近年、携帯電話やゲーム機などの携帯電子機器の普及が進み、これらに内蔵されている2次電池の量がますます多くなってきている。また、無線技術の発展にともない、微小電力で信号を送受するRFID(Radio Frequency IDentification)の応用が拡がっている。特に電源を有するアクティブRFIDは、数百メートル以上の通信も可能である。このため、牧場の牛や馬などの健康管理や、子供達の登下校時の安全管理等への応用に期待が高まっている。
一方、地球環境の維持改善のため、できるだけ環境負荷の少ない電池の研究開発も活発に行われている。その中で、通常無意識かつ無駄に消費されているエネルギーを電気エネルギーに変換して、充電し、この電気エネルギーを携帯機器などの電源として利用することが広く考えられている。
特許文献1には、外部から加わる振動によって発電する振動型電磁発電機について開示されている。
図23は、振動型電磁発電機100の構成例を示す。
振動型電磁発電機100は、中空のパイプ105と、パイプ105に巻回された2個のソレノイドコイル104a,104bと、パイプ105の内部を移動可能な可動磁石101を備える。可動磁石101は、2個の磁石102a,102bを備える。磁石102a,102bは、非磁性体のスペーサ103を介し、同極を向き合わせて接合される。振動型電磁発電機100に振動が加わると、可動磁石101がソレノイドコイル104a,104bの巻き軸方向に往復振動し、発電する。
なお、以下の説明では、ソレノイドコイルを単に「コイル」と略称する場合もある。
特表2007−521785号公報
従来の振動型電磁発電機100は、小型でありながら発電効率が高いという利点がある。発電効率を高めるには、Nd(ネオジム)磁石等に代表されるエネルギー積の大きな磁石を使用する必要がある。しかし、磁石102a,102bの同極を向かい合わせて近づけると互いの反発力が大きくなってしまう。このため、通常の製造方法や構造を用いただけでは、磁石102a,102bを十分に支持し、固定することが困難であった。
また、隣接した複数個のコイルの内部を、同極対向された複数個の磁石が往復することで、コイルに起電力が発生する。しかし、複数個のコイルのそれぞれの出力が、位相ズレにより出力電圧を互いに打ち消すタイミングがあり、これが発電機の出力を大きく低減させる要因となっていた。
本発明はこのような状況に鑑みて成されたものであり、簡素な構成でかつ組立が容易でありながら、起電力が高い振動型電磁発電機を提供することを目的とする。
本発明の振動型電磁発電機は、非磁性材料で形成され、両端部が閉じられた中空の第1のパイプと、第1のパイプの周囲に巻回され、複数個のソレノイドコイルが設けられた発電コイルと、第1のパイプの内部に配置され、発電コイルの巻き軸方向に沿って移動可能である可動磁石と、を備える。発電コイルは、少なくとも3個のソレノイドコイルを備え、少なくとも3個のソレノイドコイルのうち、両端に位置するソレノイドコイルの長さを、他のソレノイドコイルの長さの1.05倍以上乃至1.50倍以下の間の長さとする。
また、本発明の振動型電磁発電機は、非磁性材料で形成され、両端部が閉じられた中空の第1のパイプと、第1のパイプの周囲に巻回され、複数個のソレノイドコイルが設けられた発電コイルと、第1のパイプの内部に配置され、発電コイルの巻き軸方向に沿って移動可能である可動磁石と、を備える。発電コイルは、少なくとも3個のソレノイドコイルを備え、少なくとも3個のソレノイドコイルのうち、両端に位置するソレノイドコイルの長さに片方コイル間隔を加えた長さを、他のソレノイドコイルの長さに片方コイル間隔を加えた長さの1.05倍以上乃至1.50倍以下の間の長さとする。
本発明によれば、磁石が発生する磁界がソレノイドコイルを通過する範囲を拡大し、ソレノイドコイルが出力する電圧の位相を合わせる事ができる。このため、振動型電磁発電機の出力電圧を高めることができるという効果がある。また、振動型電磁発電機の構成を極めて簡素としてあるため、組み立てが容易となる。
本発明の第1の実施の形態に係る振動型電磁発電機の構成例を示す断面図である。 従来の振動型電磁発電機が備える3個のソレノイドコイルと、2個の磁石の構成例(比較例1)を示す断面図である。 2個又は3個の磁石から生じる磁束分布の様子を示す説明図である。 本発明の第1の実施の形態に係る振動型電磁発電機が備える3個のソレノイドコイルと、2個の磁石の構成例(実施例1)を示す断面図である。 本発明の第1の実施の形態に係る振動型電磁発電機が備える3個のソレノイドコイルと、2個の磁石の構成例(実施例2)を示す断面図である。 本発明の第1の実施の形態に係る振動型電磁発電機が備える3個のソレノイドコイルと、2個の磁石の構成例(実施例3)を示す断面図である。 従来の振動型電磁発電機が備える3個のソレノイドコイルが出力する電圧波形の例を示す説明図である。 本発明の第1の実施の形態に係る振動型電磁発電機が備える3個のソレノイドコイルが出力する電圧波形の例を示す説明図である。 本発明の第1の実施の形態に係る可動磁石組立て装置に磁石をセットした状態の例を示す断面図である。 本発明の第1の実施の形態に係る可動磁石組立て装置に2個の磁石をセットした状態の例を示す断面図である。 本発明の第1の実施の形態に係る可動磁石組立て装置にセットされた2個の磁石を第2のパイプに押し込んだ状態の例を示す断面図である。 本発明の第1の実施の形態に係る振動型電磁発電機の構成例を示す外観斜視図である。 本発明の第2の実施の形態に係る振動型電磁発電機の構成例を示す断面図である。 従来の振動型電磁発電機が備える4個のソレノイドコイルと、2個の磁石の構成例(比較例2)を示す断面図である。 本発明の第2の実施の形態に係る振動型電磁発電機が備える4個のソレノイドコイルと、2個の磁石の構成例(実施例4)を示す断面図である。 本発明の第3の実施の形態に係る振動型電磁発電機の構成例を示す断面図である。 従来の振動型電磁発電機が備える4個のソレノイドコイルと、3個の磁石の構成例(比較例3)を示す断面図である。 本発明の第3の実施の形態に係る振動型電磁発電機が備える4個のソレノイドコイルと、3個の磁石の構成例(実施例5)を示す断面図である。 本発明の第3の実施の形態に係る振動型電磁発電機が備える4個のソレノイドコイルと、3個の磁石の構成例(実施例6)を示す断面図である。 本発明の第4の実施の形態に係る振動型電磁発電機の構成例を示す断面図である。 本発明の第4の実施の形態に係る可動磁石の端部の構成例を示す断面図である。 本発明の第5の実施の形態に係る振動型電磁発電機の構成例を示す断面図である。 従来の振動型電磁発電機の例を示す構成図である。
以下、本発明の第1の実施の形態例について、図1〜図12を参照して説明する。本実施の形態例は、複数個のソレノイドコイルの中に、長さ方向に着磁された複数個の円筒形の磁石を振動または移動して発電する振動型電磁発電機1に適用したものである。
<第1の実施の形態>
図1は、本例の振動型電磁発電機1の構成例を示す断面図である。
振動型電磁発電機1は、第1のパイプ2の内部を移動可能に配置される可動磁石3と、ソレノイドコイル4a〜4cで構成される。ソレノイドコイル4a〜4cは、中空の第1のパイプ2の外周に巻き付けられる。第1のパイプ2は、非磁性材料で形成される。第1のパイプ2の材質は、金属等の非磁性材料であってもよいが、加工性等を考慮するとプラスチック等の合成樹脂で製造することが望ましい。第1のパイプ2の内部を、可動磁石3が直線往復運動(以下、単に振動とも言う。)すると、ソレノイドコイル4a〜4cが電圧を発生する。
可動磁石3は、非磁性材料で形成された中空の第2のパイプ5を備え、第2のパイプ5の内部には、同じ極性が対向して接合された複数個の磁石(例えば、ネオジム磁石)が封止される。長さ方向に着磁された同じ長さの磁石3a,3bは、同じ極を向かい合わせて一体に接合される。ただし、磁石3a,3bの間には、磁性体又は非磁性体のいずれかを用いて、スペーサを介して接合してもよい。また、可動磁石3は、複数個の磁石を備えることが望ましい。磁石3a,3bは、第2のパイプ5の内部に挿入された状態で、第2のパイプ5の両端に施される加締め加工によって、第2のパイプ5の内部に封止される。このため、第2のパイプ5は、複数個の磁石を固定する磁石固定部として用いられる。
なお、以下の説明において、第1のパイプ2の内壁面と可動磁石3が物理的に接触した状態で、相対的に移動する際に、互いの運動を互いに妨げる向きに力が働く現象を、「摩擦」と定義する。摩擦は、可動磁石3が振動する際にブレが生じ、第1のパイプ2の内壁面と可動磁石3との接触箇所や衝突回数が増えることによって発生し、可動磁石3の振動が減衰する要因となりうる。
このような理由から、第1のパイプ2と第2のパイプ5のうち、少なくとも一方または双方に、ポリプロピレン(PP:polypropylene)等の摩擦係数が低い材質を用いることが望ましい。このような材質を用いることで、第1のパイプ2の内壁面と可動磁石3の摩擦を低減させることができる。
ソレノイドコイル4a〜4cは、逆極性に直列接続された複数個のコイルであって、所定の間隔を空けた状態で第1のパイプ2の周囲に巻回される。各ソレノイドコイルの巻き方向は、隣り合うソレノイドコイル毎に互いに逆向きの正・逆・正方向である。以下の説明では、直列接続されたソレノイドコイル4a〜4cを、発電コイル9と称する。第1のパイプ2には、少なくとも1個のソレノイドコイルが、発電コイル9として設けられる。
第1のパイプ2の両端部には、可動磁石3の飛び出しを防止するため、樹脂等で形成された端部材7a,7bがはめ込まれ、端部材7a,7bによって第1のパイプ2の両端部が閉じられる。端部材7a,7bは、同形状であるが、これら端部材を、お互いに異なる形状としてもよい。このようにして、振動型電磁発電機1では、可動磁石3が発電コイル9の巻き軸方向に振動可能となる。そして、操作者が、振動型電磁発電機1を振ると、可動磁石3が発電コイル9の中を振動し、ソレノイドコイル4a〜4cで電圧が誘起され、起電力が生じる。
そして、ソレノイドコイル4a〜4cが発生する電圧の位相を合わせて、合成することにより、振動型電磁発電機1が出力する電圧が増大する。そのためには、磁石長と、コイル長と、を調整するか、磁石長と、コイル長にコイル間隔を加えた長さと、を調整する必要がある。以下、コイル長、又は、コイル長にコイル間隔を加えた長さを、「コイルピッチ」とも呼ぶ。
本例では、振動型電磁発電機1が備える複数個のソレノイドコイル4a〜4cのうち、1個以上のソレノイドコイルのコイル長を、磁石の磁石長以上の長さとしている。磁石長とコイルピッチとの条件については後述する。
次に、磁石の長軸寸法を変えた場合における可動磁石とコイルの構成例について、図2〜図8を参照して説明する。ここで、図2、図4〜図6では、振動型電磁発電機の構成から第2のパイプを省略して示す。
図2は、3個のソレノイドコイルと、2個の磁石を備える従来の振動型電磁発電機110の構成例を示す。以下、このような構成とした振動型電磁発電機110を「比較例1」とも呼ぶ。
従来の振動型電磁発電機110は、互いに接続された2個の磁石112a,112bからなる可動磁石111と、3個のソレノイドコイル113a〜113cと、を備える。各ソレノイドコイル113a〜113cの巻き軸方向の長さLと、磁石112a,112bの長軸方向の長さaは等しい。
従来、同極を対向させた振動型電磁発電機110において、磁石112a,112bとソレノイドコイル113a〜113cを以下の構成としていた。
(1)複数個の磁石を、同極を対向させて、隙間無く密着させて、磁石ユニットを構成する。(着磁は磁石の長軸方向とする。)
(2)複数個のコイルを、隣接するコイルの巻方向を反転させ、コイル軸を合わせて構成し、電気的に直列に接続する。
(3)1個の磁石の長軸寸法と、複数個のコイルの巻き軸方向のコイルピッチを等しくする。
本来、磁石とコイルの構成を、上記の(1)〜(3)の条件に合わせた構成とすることにより、各磁石が各コイルを通過するタイミングが一致する。このとき、磁石がコイル内を通過することにより各コイルが発生する電圧の出力波形は、位相が一致するため、各コイルが出力する電圧が加算され、大きな電圧を出力できると考えられる。しかし、従来の構成とした振動型電磁発電機110で得られる発電出力は小さかった。
ここで、振動型電磁発電機110を試作し、各コイルの出力を測定すると、位相のズレが生じており、出力波形が「+」から「−」、又は「−」から「+」に反転するタイミングで、コイル同士が発電出力を打ち消すことが判明した。この原因としては、各磁石の磁束分布のうち、同極対向している部分の磁束分布と、同極対向していない可動磁石111の両端部に配置された磁石の磁束分布に差があるためと推定している。
ここで、同極対向する複数個の磁石を連結した場合に生じる磁束分布について説明する。
図3は、3個の磁石112a〜112cから生じる磁束分布の様子を示す。
図3Aは、2個の磁石112a,112bを連結した場合における磁束分布の様子を示す。
磁石112a,112bは、同極が対向すると互いに反発する。このとき、可動磁石111における両端部と、中心部における磁束分布が異なる。具体的には、可動磁石111の中心部における磁束の方が、可動磁石111における両端部における磁束より密度が高い。このため、従来の振動型電磁発電機110では、可動磁石111が発生する磁束を有効に活用できず、ソレノイドコイル113a〜113cが出力する電圧が低い。
図3Bは、3個の磁石112a〜112cを連結した場合における磁束分布の様子を示す。
ここで、可動磁石111の変形例として、3個の磁石112a〜112cを有する可動磁石111′を例に挙げる。上述したように、磁石112a〜112cは、それぞれの同極が対向すると互いに反発する。このとき、磁束分布は、可動磁石111′の両端に配置される磁石112a,112cに比べて,真ん中に配置される磁石112bの方が、磁石112a〜112cの長軸方向に対して垂直方向に磁束密度が高い。このため、磁石112bが発生する磁束と同じだけの磁束が通過するように、ソレノイドコイルの長さを変えなければ各コイルの出力電圧に位相のズレが発生してしまう。
そこで、振動型電磁発電機1において、以下の条件(A)に合わせて磁石長とコイル長を設定する。
(A)複数個のコイルピッチを、1個の磁石の長軸寸法に対して、1.05倍以上乃至1.50倍以下、好ましくは1.10倍以上乃至1.4倍以下の間の長さとする。
このように振動型電磁発電機1を構成すると、コイル間の出力電圧の位相差が補正される。このため、電圧波形が打ち消し合うタイミングを大幅に低減することができ、比較例1の振動型電磁発電機110に比べて、振動型電磁発電機1の電圧出力を改善することができることが実験によって求められた。以下、従来の振動型電磁発電機110と、本実施の形態に係る振動型電磁発電機1との構成と出力電圧の比較を行う。
図4は、3個のソレノイドコイルと、2個の磁石を備える本発明に係る振動型電磁発電機1の構成例を示す。以下、このような構成とした振動型電磁発電機1を「実施例1」とも呼ぶ。
実施例1に係る振動型電磁発電機1は、上述したように2個の磁石3a,3bからなる可動磁石3と、3個のソレノイドコイル4a〜4cと、を備える。ただし、後述する比較例1との発電効率を比較するため、ソレノイドコイル4a〜4cの間にスペーサを介した構成としている。そして、コイルピッチをLとし、磁石長をaとした場合に、1.05a≦L≦1.50aの関係を満たす。
図5は、3個のソレノイドコイルと、2個の磁石を備える本発明に係る振動型電磁発電機1の構成例を示す。以下、このような構成とした振動型電磁発電機1を「実施例2」とも呼ぶ。
実施例2に係る振動型電磁発電機1は、ソレノイドコイル4a〜4cの間にスペーサを有さない構成としている。そして、コイルピッチをLとし、磁石長をaとした場合に、1.05a≦L≦1.50aの関係を満たす。
図6は、3個のソレノイドコイルと、2個の磁石を備える本発明に係る振動型電磁発電機1の構成例を示す。以下、このような構成とした振動型電磁発電機1を「実施例3」とも呼ぶ。
実施例3に係る振動型電磁発電機1は、ソレノイドコイル4a〜4cの間にスペーサを有さない構成としている。そして、ソレノイドコイル4bのコイルピッチをL1とし、ソレノイドコイル4a,4cのコイルピッチをL2とし、磁石長をaとした場合に、L1=a、1.05a≦L2≦1.50aの関係を満たす。
次に、比較例1として示した従来の振動型電磁発電機110と、実施例1として示した振動型電磁発電機1を例に挙げて、各コイルが出力する電圧波形について説明する。
図7は、従来の振動型電磁発電機110が備えるソレノイドコイル113a〜113cが出力する電圧波形の例を示す。
このグラフにおいて、ソレノイドコイル113a〜113cが出力する電圧波形をそれぞれ電圧波形115〜117で表示している。そして、ソレノイドコイル113a〜113cが出力する電圧を合成して得られる電圧波形を電圧波形118で表示している。
電圧波形118より、振動型電磁発電機110では、±3Vの電圧を出力することが分かる。
図8は、実施例1として示した振動型電磁発電機1が備えるソレノイドコイル4a〜4cが出力する電圧波形の例を示す。
このグラフにおいて、ソレノイドコイル4a〜4cが出力する電圧波形をそれぞれ電圧波形13〜16で表示している。そして、ソレノイドコイル4a〜4cが出力する電圧を合成して得られる電圧波形を電圧波形28で表示している。電圧波形28より、振動型電磁発電機1では、±4Vの電圧を出力することが分かる。
さらに、発明者は、比較例1に係る振動型電磁発電機110に対して、実施例1に示した振動型電磁発電機1の最適なコイルピッチを求めるため、9パターンのコイルピッチ比(コイル長/磁石の長軸寸法)毎に出力される電圧値を測定した。そして、比較例1に示した振動型電磁発電機110が出力する電圧の実効値を基準とした場合に、パターンごとにコイルピッチ比を変えた振動型電磁発電機1が出力する電圧の実効値の比を、出力実効値電圧アップ率として求めた。この測定結果を表1に示す。
Figure 0006004024
表1に示すように、コイルピッチ比を1.03〜1.55とした場合に、振動型電磁発電機1が出力する電圧の実効値が上がることが示される。ここで、出力実効値電圧アップ率が0.0%〜5.0%の範囲内である場合に判定結果を“△”で示し、出力実効値電圧アップ率が5.0%以上である場合に判定結果を“○”で示す。このため、望ましくは、コイルピッチ比を1.05〜1.50の範囲内とすれば、振動型電磁発電機1は高い電圧を出力する。
同様に、発明者は、実施例2,3に係る振動型電磁発電機1の最適なコイルピッチを求めるため、5パターンのコイルピッチ比毎に出力される電圧値を測定した。
Figure 0006004024
Figure 0006004024
表2、表3に示すように、実施例2,3に係る振動型電磁発電機1においても、コイルピッチ比を1.05〜1.50とした場合に、振動型電磁発電機1が出力する電圧の実効値が上がることが示される。
次に、可動磁石3を組立てる可動磁石組立て装置20の構成例と、可動磁石組立て装置20を用いて行われる可動磁石3の製造方法の例について、図9〜図11を参照して説明する。
可動磁石3は、強い磁力を有する磁石3a,3bを備えるため、弱い磁力を有する磁石を用いた場合に比べて、振動型電磁発電機1の発電コイル9に生じる起電力が上がる。しかし、各磁石の同極がスペーサを介さないで対向すると、対向した磁石は強く反発する。このため、可動磁石3の製造方法には、特別な工夫が必要となる。
図9は、可動磁石組立て装置20に磁石3aをセットした状態の例を示す。
可動磁石組立て装置20は、長さに応じて第2のパイプ5を保持する位置決めストッパ部21と、第2のパイプ5から磁石が飛び出さないように、磁石を押さえる飛び出し押さえ部22と、磁石を第2のパイプ5の内部に真っすぐ挿入するための挿入口を有する磁石ガイド23と、磁石を第2のパイプ5に押し込む押し棒24と、押し棒24の押込みを制御する押し棒制御装置25と、を備える。
第2のパイプ5の一方の端部は、事前に位置決めストッパ部21に固定されており、予め加締め加工が施されて固定される。そして、磁石3aが磁石ガイド23にセットされる。
図10は、セットした磁石3aを、押し棒24で第2のパイプ5に押し込んだ後、可動磁石組立て装置20に磁石3bをセットした状態の例を示す。
図11は、第2のパイプ5に磁石3bを押し込んだ状態の例を示す。
第2のパイプ5の奥には、磁石3aが押し込まれており、磁石3aのN極が磁石3bに向く。一方、磁石3bは、磁石3bのN極が磁石3aに向いた状態で、第2のパイプ5に挿入される。このように、磁石3a,3bの同極が対向するため、磁石3a,3bは互いに反発力が生じる。この反発力によって、第2のパイプ5から磁石3bが飛び出すおそれがある。
そこで、磁石3bが第2のパイプ5に完全に挿入されると、飛び出し押さえ部22が動く。飛び出し押さえ部22は、第2のパイプ5の内径より狭い位置まで動いて、第2のパイプ5から飛び出そうとする磁石3bを押さえる。
これにより、磁石3bは、押し棒24が離れても、飛出し押さえ部22により、第2のパイプ5の中に保持される。
このため、押し棒24が、磁石3bから離れても、磁石3bは第2のパイプ5から飛び出さない。そして、加熱冶具(図示せず)により、第2のパイプ5と磁石3bの重なっている部分を、熱溶着や接着によって固定・封止、あるいは加締め加工できる。
また、第2のパイプ5の両端部を加締めることによって、可動磁石3が一体に接合されるため、衝撃が加わっても容易に分解することがない。さらに、第2のパイプ5の内壁面に接着剤を塗布して第2のパイプ5と磁石3a,3bを接着固定してもよい。このとき用いる接着剤としては、使用する樹脂に対して十分に接着力が大きい接着剤を選定することは言うまでもない。
3個以上の磁石を含む可動磁石を形成する場合、図9〜図11に示したように、可動磁石組立て装置20に磁石をセットして、第2のパイプ5に押し込む工程を繰り返せばよい。
図12は、振動型電磁発電機1の外観構成例を示す。
図12Aは、振動型電磁発電機1を構成する各部品を分解した状態の斜視図である。
図12Bは、各部品を組み合わせた振動型電磁発電機1のうち、第1のパイプ2を一部透視した部分透視図である。
ソレノイドコイル4a〜4cは、所定のコイル間隔を空けて、可動磁石3を収納する円筒形の第1のパイプ2の外周面に巻きつけられている。ソレノイドコイル4a〜4cは、直列接続されている。そして、各ソレノイドコイルは互いに逆方向に巻回されており、それぞれ正巻、逆巻、正巻としている。
ソレノイドコイル4aとソレノイドコイル4cからは、それぞれコイル端部12が引き出されており、図示しない外部負荷に接続される。
可動磁石3を第1のパイプ2内に収納するため、第1のパイプ2の両端には、端部材7a,7bが取り付けられる。
可動磁石3は、第1のパイプ2の内部をなめらかに動くため、ソレノイドコイル4a〜4cの内側であって巻き軸方向に移動する。このため、ソレノイドコイル4a〜4cは、電圧を生じ、発電機として機能する。
以上説明した第1の実施の形態に係る振動型電磁発電機1において、1個以上のソレノイドコイルのコイル長を、磁石の磁石長以上の長さとしている。このため、磁石が発生する磁界がソレノイドコイルを通過する範囲を拡大し、ソレノイドコイルが出力する電圧の位相を合わせる事ができ、振動型電磁発電機1の出力電圧を高めることができるという効果がある。
また、可動磁石3は、対向する磁極が互いに同極となるように配置された複数個の磁石(磁石3a,3b)を備える。これら複数個の磁石は、第2のパイプ5の内部に挿入されるという簡素な構成であるため、可動磁石3の組み立ては、極めて容易であるという効果がある。
また、可動磁石3の形成工程は、第2のパイプ5の内壁面に沿って磁石3a,3bを挿入するという簡単な作業のみである。そして、第2のパイプ5に挿入された複数個の磁石と、磁石端部材は、強制的に整列されるため、可動磁石3の外周面が歪まない。このため、可動磁石3が振動する際に、可動磁石3と第1のパイプ2の内壁面に生じていた不要な摩擦抵抗が抑えられる。この結果、発電効率に優れた振動型電磁発電機1を実現できるという効果がある。
また、複数個の磁石が同極対向するため、発電コイル9に鎖交する磁束の磁束分布は、急激に大きくなる。この結果、振動型電磁発電機1の発電効率が高まるという効果がある。また、第2のパイプ5が樹脂材料で構成される場合には、加熱や溶剤による溶着処理を封止加工とすることができる。このため、可動磁石3の製造を容易化できるという効果がある。
また、磁石の外周径は、第2のパイプ5の内周径よりわずかに小さくしてある。このようにしておくと、可動磁石組立て装置20で可動磁石3を組立てる場合に、第2のパイプ5の内部に空気が圧縮されることがなく、押し棒24の押下力に対する抵抗力とならない。または、磁石に溝等を形成して、圧縮される空気を逃がしてもよい。
<第2の実施の形態>
次に、本発明の第2の実施の形態に係る振動型電磁発電機40の構成例について、図13を参照して説明する。なお、図13において、既に説明した図1に対応する部分には同一符号を付し、詳細な説明を省略する。
図13は、4個のソレノイドコイルと、2個の磁石を備える振動型電磁発電機30の構成例を示す。
振動型電磁発電機30は、互いに接続された2個の磁石3a,3bからなる可動磁石3と、4個のソレノイドコイル4a〜4dと、を備える。4個のソレノイドコイル4a〜4dを、発電コイル39とも呼ぶ。
図14は、4個のソレノイドコイルと、2個の磁石を備える従来の振動型電磁発電機120の構成例を示す。以下、このような構成とした振動型電磁発電機120を「比較例2」とも呼ぶ。
従来の振動型電磁発電機120は、互いに接続された2個の磁石112a,112bからなる可動磁石111と、4個のソレノイドコイル113a〜113dと、を備える。ソレノイドコイル113a〜113dのコイルピッチをLとし、磁石長をaとした場合に、L=aの関係を満たす。
図15は、4個のソレノイドコイルと、2個の磁石を備える本発明に係る振動型電磁発電機30の構成例を示す。以下、このような構成とした振動型電磁発電機30を「実施例4」とも呼ぶ。
実施例4に係る振動型電磁発電機30は、上述したように2個の磁石3a,3bからなる可動磁石3と、4個のソレノイドコイル4a〜4dと、を備える。そして、両端部に配置されるソレノイドコイル4a,4dのコイルピッチをL2とし、真ん中に配置されるソレノイドコイル4b,4cのコイルピッチをL1とし、磁石長をaとした場合に、L1=a、1.05a≦L2≦1.50aの関係を満たす。
ここで、発明者は、比較例2に係る振動型電磁発電機120に対して、実施例4に示した振動型電磁発電機30の最適なコイルピッチを求めるため、5パターンのコイルピッチ比毎に出力される電圧値を測定した。そして、比較例2に示した振動型電磁発電機120が出力する電圧の実効値を基準とした場合に、パターンごとにコイルピッチ比を変えた振動型電磁発電機30が出力する電圧の実効値の比を、出力実効値電圧アップ率として求めた。この測定結果を表4に示す。
Figure 0006004024
表4に示すように、コイルピッチ比を1.05〜1.50とした場合に、振動型電磁発電機30が出力する電圧の実効値が上がることが示される。このため、コイルピッチ比を1.05〜1.50の範囲内とすれば、振動型電磁発電機30は高い電圧を出力する。
以上説明した第2の実施の形態に係る振動型電磁発電機30によれば、両端部に配置されたソレノイドコイル4a,4dのコイルピッチを、磁石3a,3bの磁石長より長くしたことにより、振動型電磁発電機30が出力する電圧が高まるという効果がある。
<第3の実施の形態>
次に、本発明の第3の実施の形態に係る振動型電磁発電機40の構成例について、図16〜図19を参照して説明する。なお、図16において、既に説明した図1に対応する部分には同一符号を付し、詳細な説明を省略する。
図16は、4個のソレノイドコイルと、3個の磁石を備える振動型電磁発電機40の構成例を示す。
振動型電磁発電機40は、互いに接続された3個の磁石3a〜3cからなる可動磁石43と、4個のソレノイドコイル4a〜4dからなる発電コイル39と、を備える。
ここで、振動型電磁発電機40は、磁石長に対して、発電コイル39の両端部に配置されるソレノイドコイル長を、磁石長より長くする。
具体的には、振動型電磁発電機40は、複数コイルのピッチに対して、可動磁石3の両端部に配置される磁石の長軸寸法を0.70倍以上乃至0.95倍以下の間、好ましくは0.80倍以上乃至0.92倍以下の間の長さとし、可動磁石3の両端部以外に配置される磁石の長軸寸法をコイルピッチに等しくする。以下、従来の振動型電磁発電機130と、本実施の形態に係る振動型電磁発電機40との構成と出力電圧の比較を行う。
図17は、4個のソレノイドコイルと、3個の磁石を備える従来の振動型電磁発電機130の構成例を示す。以下、このような構成とした振動型電磁発電機130を「比較例3」とも呼ぶ。
従来の振動型電磁発電機130は、互いに接続された3個の磁石132a〜132cからなる可動磁石131と、4個のソレノイドコイル133a〜133と、を備える。各ソレノイドコイル133a〜133dの巻き軸方向の長さLと、磁石132a,132b、132cの長軸方向の長さaは等しい。つまり、L=aの関係を満たす。
図18は、4個のソレノイドコイルと、3個の磁石を備える本発明に係る振動型電磁発電機40の構成例を示す。以下、このような構成とした振動型電磁発電機40を「実施例5」とも呼ぶ。
実施例5に係る振動型電磁発電機40において、磁石3a〜3cの磁石長をaと、ソレノイドコイル4b,4cのコイルピッチをL1とし、ソレノイドコイル4a,4dのコイルピッチをL2とする。このとき、L1=a、1.05a≦L2≦1.50aの関係を満たすように、コイルピッチと磁石長を調整する。
図19は、4個のソレノイドコイルと、3個の磁石を備える本発明に係る振動型電磁発電機40の構成例を示す。以下、このような構成とした振動型電磁発電機40を「実施例6」とも呼ぶ。
実施例6に係る振動型電磁発電機40において、磁石3a,3cの磁石長をaとし、磁石3bの磁石長をbとする。また、ソレノイドコイル4a〜4dのコイルピッチをLとする。このとき、0.70L≦a≦0.95L、b=Lの関係を満たすように、コイルピッチと磁石長を調整する。
ここで、発明者は、比較例3に係る振動型電磁発電機130に対して、実施例5に示した振動型電磁発電機40の最適なコイルピッチを求めるため、5パターンのコイルピッチ比(両端部コイルピッチ長マグネット長軸寸法)毎に出力される電圧値を測定した。そして、比較例3に示した振動型電磁発電機130が出力する電圧の実効値を基準とした場合に、パターンごとにコイルピッチ比を変えた振動型電磁発電機40が出力する電圧の実効値の比を、出力実効値電圧アップ率として求めた。この測定結果を表5に示す。
Figure 0006004024
表5に示すように、コイルピッチ比を1.05〜1.50とした場合、望ましくは1.30〜1.50とした場合に、振動型電磁発電機40が出力する電圧の実効値が上がることが示される。このため、コイルピッチ比を1.05〜1.50の範囲内とすれば、振動型電磁発電機40は高い電圧を出力する。
同様に、発明者は、実施例6に係る振動型電磁発電機40の最適なコイルピッチを求めるため、9パターンのマグネットピッチ比毎に出力される電圧値を測定した。
Figure 0006004024
表6に示すように、実施例6に係る振動型電磁発電機40では、マグネットピッチ比を0.68〜0.97とした場合、望ましくは0.70〜0.95とした場合に、振動型電磁発電機40が出力する電圧の実効値が上がることが示される。
以上説明した第3の実施の形態に係る振動型電磁発電機40によれば、両端部に配置されたソレノイドコイル4a,4dのコイルピッチを、磁石3a,3bの磁石長より長くしたことにより、振動型電磁発電機40が出力する電圧が高まるという効果がある。
<第4の実施の形態>
次に、本発明の第4の実施の形態に係る振動型電磁発電機50の構成例について、図20と図21を参照して説明する。なお、図20と図21において、既に説明した図1と図13に対応する部分には同一符号を付し、詳細な説明を省略する。
振動型電磁発電機50の構成は、上述した振動型電磁発電機1の構成とほぼ同じであるが、可動磁石53の構成が可動磁石3と異なる。可動磁石53は、第2のパイプ5に配置された磁石3a,3bを保護するために非磁性体材料からなる磁石端部材51a,51bを備える。
磁石端部材51a,51bは、第2のパイプ5の両端部を確実に封止するために、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂によって形成される。磁石端部材51a,51bは、後述するように第2のパイプ5と熱溶着により接合されるため、これらの材質は同じであることが望ましい。なお、第2のパイプ5と磁石端部材51a,51bを、接着剤等を用いて接着固定してもよい。ただし、接着性が良好な接着剤を用いるのであれば、第2のパイプ5と磁石端部材51a,51bの材質を同じにする必要はない。
図21は、可動磁石3に取り付けられる磁石端部材51a付近を示す拡大図である。
第2のパイプ5に、磁石3a,3bを封止する工程では、第2のパイプ5の両端部に熱が加えられる。この工程において、熱可塑性樹脂で形成される磁石端部材51aを第2のパイプ5の端部に配置する。第2のパイプ5の端部に熱が加わると、磁石端部材51aと第2のパイプ5の端部が熱溶着し、熱溶着部54が形成される。通常、この工程において、磁石3a,3bに熱が加わると磁気特性が著しく劣化してしまう。このため、第2のパイプ5の端部に磁石端部材51aを設けると、磁石3a,3bに熱が伝わりにくくなる。つまり、磁石端部材51aを第2のパイプ5の端部に配置する構成は、加熱手段によって封止処理を行う場合に望ましい形態であると言える。
また、第2のパイプ5に、磁石3a,3bを封止する工程では、可動磁石3の両端部に接着剤55が用いられる。接着剤55は、使用する樹脂に対して十分な接着性を示す接着剤が用いられる。可動磁石3の両端部に用いられた接着剤55は、第2のパイプ5と磁石端部材51aとの接合面に浸透する。そして、第2のパイプ5と磁石端部材51aは、強固に結合する。
また、第2のパイプ5と磁石端部材51aの材質に、熱硬化性樹脂や非磁性金属を使用する場合、有機接着剤等を用いて、第2のパイプ5と磁石端部材51aを十分に接着固定する必要がある。このためには、第2のパイプ5と磁石端部材51aの隙間に接着剤が十分に流れ込むように、隙間の大きさや形を工夫するとよい。
なお、可動磁石3の磁石端部材51b付近についても、磁石端部材51aと同様の構成であるため、磁石端部材51b付近の構成例については詳細な説明を省略する。
以上説明した第4の実施の形態に係る振動型電磁発電機50によれば、第2のパイプ5の内部に磁石3a,3bが封止され、接着剤等によって固定され、強度もまた向上する。このため、発電を行う際の振動によって可動磁石3に衝撃が加えられても、可動磁石が損傷する虞が小さくなる。
また、可動磁石3の両端部には、磁石端部材51a,51bが配置される。そして、第2のパイプ5の材質に、例えば、アルミニウムや銅、真鍮等に代表される非磁性金属を用いる。この場合、第2のパイプ5に複数個の磁石を挿入した後に、第2のパイプ5の両端部を加締め加工によって封止する。このような製造方法を用いると、磁石端部材51a,51bが変形するのみであり、複数個の磁石の端部に不要な応力が加わったり、変形したりすることがない。また、複数個の磁石に対して熱が加わらないため、磁石の劣化が抑えられる。この結果、複数個の磁石が生じる磁束密度のバラつきを減らせるという効果がある。ただし、加締め加工の方法を最適化し、磁石に対して過度の応力を与えないようにすれば、磁石端部材51a,51bは必ずしも必須の構成にはならない。
なお、非磁性体材料で形成された第2のパイプ5と、磁石端部材51a及び磁石端部材51bの材質として熱可塑性樹脂を用い、それらを熱溶着により接合した場合について説明した。しかし、非磁性体材料として熱硬化性樹脂を用いる場合でも、接着剤による固定手段を用いれば上述した第1の実施の形態とほぼ同じ製造方法で可動磁石3を製造できる。また、第2のパイプ5と、磁石端部材51a,51bは、接着剤を用いて接着するのではなく、予め第2のパイプ5の内壁面と、磁石端部材51a,51bにネジを切っておき、磁石端部材51a,51bを第2のパイプ5にネジ締め固定してもよい。
<第5の実施の形態>
次に、本発明の第5の実施の形態に係る振動型電磁発電機60の構成例について、図22を参照して説明する。なお、図22において、既に説明した図1に対応する部分には同一符号を付し、詳細な説明を省略する。
可動磁石63は、同じ極が互いに対向し、中央部に貫通孔が形成されたリング状の磁石65a〜65cが、非磁性体からなる磁石固定部61a,61bにより挟み固定されて構成される。
磁石固定部61aは、例えば、ボルトである。磁石固定部61bは、例えば、ナットである。磁石固定部61a,61bには、つば部の側面は、円または多角形状に側面が加工されたつば部が形成される。
磁石固定部61aは、磁石65a〜65cの貫通孔に挿入される芯部と、つば部を有しており、芯部とつば部は、一体に形成される。芯部は、第1のパイプ2の中心軸上に位置しており、磁石65a〜65cの貫通孔の直径とほぼ等しいか、わずかに細い程度の太さで形成される。芯部の上側(先端部)には、磁石固定部61bを固定するための雄ネジ(雄状部)が加工・形成される。磁石固定部61bの中心部には、芯部の先端が接続される接続孔である雌ネジ(雌状部)が加工・形成される。そして、同極が対向して、互いに反発するリング状の磁石65a〜65cは、芯部から外れないように、磁石固定部61bによって挟み固定される。
このとき、上述の雄ネジ、雌ネジと同等の効果を有するその他の変形例としては、例えば、磁石固定部61aの芯部が先割れ状とされ、かつその先端部を鉤状部(雄状部)とし、磁石固定部61bに、上記鉤状部を嵌合するための孔部(雌状部)を設けた構成が挙げられる。このように構成する場合、互いを嵌合することで磁石を固定することができる。このため、上述の雄ネジ・雌ネジの構成と比較して、可動磁石の組立てが容易になるという利点を有している。
磁石固定部61aのつば部は、第1のパイプ2の中心軸に対する磁石65a〜65cの幅より大きな幅を有する。磁石固定部61bのつば部は、第1のパイプ2の中心軸に対する磁石65a〜65cの幅より大きな幅を有する。このとき、磁石固定部61aのつば部と、磁石固定部61bのつば部の形状、寸法を同じとすることが、より望ましい。
磁石固定部61b(ナット)と磁石固定部61a(ボルト)の材質として好適なものは、樹脂では、ポリアセタール系素材、金属では、アルミニウム等が挙げられる。
なお、磁石固定部61b(ナット)と磁石固定部61a(ボルト)の材質として、ポリテトラフルオロエチレン系素材を用いてもよい。この素材は、極めて摩擦係数が低いため、可動磁石63の摺動性に優れる。ただし、磁石固定部61bに磁石固定部61aを螺合する場合、摩擦が保てないことがある。このため、磁石固定部61a,61bを用いて磁石を固定した後、磁石固定部61a(ボルト)の先端につぶし加工を施したり、磁石固定部61aの芯部の先端を鉤状部とし、磁石固定部61bに孔部を形成することで、これらを嵌合したりすることによって、磁石固定部61a,61bの緩みを防止することが望ましい。
以上説明した第5の実施の形態に係る振動型電磁発電機50は、同極対向する3個の磁石65a〜65cを、磁石固定部61a,61bによって固定した可動磁石63を備える。また、可動磁石63の両端部は、磁石固定部61a,61bのつば部で保護されるため、磁石端部材7a,7bに接触しても、衝撃が直接伝わらない。このため、振動型電磁発電機50が長時間振られた場合であっても、磁石65a〜65cが破損しない。
可動磁石63と第1のパイプ2の内周面との接触は、つば部と磁石固定部61bの側周面だけとなる。このため、可動磁石63と第1のパイプ2の摩擦が小さくなり、可動磁石63の摺動性が向上するという利点がある。
なお、上述した第1〜第5の実施の形態に係る振動型電磁発電機によれば、第1のパイプ2の内部で可動磁石を移動可能としたが、可動磁石を支持するため、第1のパイプ2の内部に少なくとも1本のコイルバネ(引っ張りバネ)を設置してもよい。この場合、可動磁石の重力方向(上側)にコイルバネを設置すればよい。
また、弾性体として2本の圧縮バネを用いてもよい。圧縮バネであっても、可動磁石の両端部を発電コイルの巻き軸方向に振動可能に支持することができる。さらに、一個の圧縮バネを用いてもよい。この場合、圧縮バネを可動磁石の重力方向(下側)に設置すればよい。このような構成であっても、好適に発電を行うことが可能である。
この場合、微弱な振動エネルギーを効率的に可動磁石の直線往復運動に変換することができる。このため、重力方向に対して振動型電磁発電機が平行な状態であって、かつ振動型電磁発電機の設置方向が一定である場合、例えば、海上船舶の安全な航行のために波の上下運動によって発電し発光する発光ブイ等、への発電機として好適であると言える。また、自転車の荷台あるいはサドル、または、自動車のサスペンション部等に採用することも可能である。
また、上述した実施の形態において、可動磁石を構成する複数個の磁石うち、隣り合う磁石の同極を対向させて配置したが、異極を対向させて配置してもよい。また、磁石の個数は、ソレノイドコイルの個数より多くても良い。
1…振動型電磁発電機、2…第1のパイプ、3…可動磁石、3a,3b…磁石、4a〜4c…ソレノイドコイル、5…第2のパイプ、7a,7b…端部材、9…発電コイル、12…コイル端部、20…可動磁石組立て装置、30…振動型電磁発電機、39…発電コイル、40…振動型電磁発電機、43…可動磁石、50…振動型電磁発電機、51a,51b…磁石端部材、53…可動磁石、60…振動型電磁発電機、61a,61b…磁石固定部、63…可動磁石、65a,65b…磁石

Claims (4)

  1. 非磁性材料で形成され、両端部が閉じられた中空の第1のパイプと、
    前記第1のパイプの周囲に巻回され、複数個のソレノイドコイルが設けられた発電コイルと、
    前記第1のパイプの内部に配置され、前記発電コイルの巻き軸方向に沿って移動可能である可動磁石と、を備え、
    前記発電コイルは、
    少なくとも3個の前記ソレノイドコイルを備え、
    少なくとも3個の前記ソレノイドコイルのうち、両端に位置する前記ソレノイドコイルの長さを、他の前記ソレノイドコイルの長さの1.05倍以上乃至1.50倍以下の間の長さとする
    振動型電磁発電機。
  2. 非磁性材料で形成され、両端部が閉じられた中空の第1のパイプと、
    前記第1のパイプの周囲に巻回され、複数個のソレノイドコイルが設けられた発電コイルと、
    前記第1のパイプの内部に配置され、前記発電コイルの巻き軸方向に沿って移動可能である可動磁石と、を備え、
    前記発電コイルは、
    少なくとも3個の前記ソレノイドコイルを備え、
    少なくとも3個の前記ソレノイドコイルのうち、両端に位置する前記ソレノイドコイルの長さに片方コイル間隔を加えた長さを、他の前記ソレノイドコイルの長さに片方コイル間隔を加えた長さの1.05倍以上乃至1.50倍以下の間の長さとする
    振動型電磁発電機。
  3. 前記可動磁石は、
    少なくとも3個の磁石と、
    少なくとも3個の磁石を固定する非磁性体からなる磁石固定部と、を備え、
    前記磁石固定部は、中空の第2のパイプであって、前記第2のパイプの内部に複数個の磁石が封止される
    請求項1又は2に記載の振動型電磁発電機。
  4. 前記磁石は、中央部に貫通孔が形成され、
    前記磁石固定部は、前記磁石の貫通孔に挿入される芯部を有する第1の磁石固定部と、
    前記芯部に固定される第2の磁石固定部と、を備え、
    前記第1の磁石固定部は、前記パイプの中心軸に対する前記磁石の幅より大きな幅を有する第1のつば部を備え、
    前記第2の磁石固定部は、前記パイプの中心軸に対する前記磁石の幅より大きな幅を有する第2のつば部を備える
    請求項1〜3のいずれか一項に記載の振動型電磁発電機。
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