JP4963595B2 - 車両用シートのモータ駆動式シートバック前倒し装置 - Google Patents

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Description

本発明は、シートバックを起立位置から前倒し位置までモータの駆動のもとで揺動させる車両用シートのモータ駆動式(パワー式)シートバック前倒し装置に関する。
車両用シートにおいては、貨物スペースを確保するなど車内を広く使用するために、シートバックをシートクッション上でほぼ平らになるまで揺動させて倒れ込ませることが必要となる。そのため、シートバックを起立位置からシートクッション上でほぼ平らになる前倒し位置までモータの駆動のもとで揺動させるモータ駆動式シートバック前倒し装置が採用されている。
モータの駆動によってシートバックを揺動する構成においては、シートバックをその前倒し位置への倒れ込みや、起立位置への復帰(立ち上げ)をスイッチ操作で容易に行なえる。
たとえば、特表2005−506234号公報では、シートバックのサイドフレームの下端にセクタギヤを設け、このセクタギヤにモータシャフトのピニオンを噛合させてモータの駆動力を伝達することによりシートバックを揺動可能としている。
また、シートバックのサイドフレームに停止面を設け、この停止面にスライドピンを当接させてシートバックをその起立位置に維持している。そして、モータを駆動してピニオンが回転すると、モータシャフトに連結されたリンクアームが回動してスライドピンを停止面との当接位置から逃がすことにより、シートバックが揺動可能となり、起立位置から前倒し位置に揺動し、倒れ込むように構成されている。
特表2005−506234号公報
しかし、シートクッションに物(障害物)を置いたままモータを駆動させてシートバックを前倒しすると、シートクッションとの間に物を挟み込んでシートバックの揺動が規制され、その揺動規制によりモータも拘束される。そして、過負荷がモータに発生すると、場合によっては過度に加熱してモータを故障させることとなる。
一般的には、モータの過負荷を検出してモータを停止させる構成とされるが、過負荷を検出するまでモータは駆動を継続する。そのため、シートバックの前倒し時にシートクッションとの間に物を挟み込むと、モータが停止するまでシートバックが挟み込んだ物を押圧し続けてその物を破損、損傷させるとともに、シートクッション、シートバックの表面を汚したり、損傷させるなどの弊害も生じる。
また、シートクッションとの間に物を強固に挟み込んだままシートバックが止まってモータが故障すれば、挟み込んだものを取り除くことも容易でない。
さらに、モータの故障によってシートバックが揺動不能となり中途半端な位置に留まるため、シートとして使用できなくなるとともに、貨物スペースも確保できない状態の生じるおそれもある。
本発明は、シートクッション上に物を置いたままシートバックを前倒ししてその物を挟み込んだ場合でも、モータを故障させない車両用シートのモータ駆動式シートバック前倒し装置の提供を目的としている。
本発明では、モータの駆動力の伝達経路にクラッチ機構を設け、シートクッション上の物(障害物)によってシートバックの前倒しが妨げられると、クラッチが作用して駆動力の伝達を断ち、モータを空転させてモータの故障を防止するように構成されている。
すなわち、請求項1の本発明においては、シートバックを起立位置から前倒し位置までモータの駆動のもとで揺動させる車両用シートのモータ駆動式シートバック前倒し装置には、前倒し位置方向へのシートバックの揺動がシートクッション上の障害物に妨げられれば、シートバックへのモータ駆動力の伝達を断ってモータを空転させ、前倒し位置方向へのシートバックの揺動が妨げられなければ、モータの駆動力をシートバックに伝達してシートバックを前倒し方向に揺動させるクラッチ機構が、シートバックへのモータの駆動力伝達経路に配置されている。
たとえば、クラッチ機構は、内歯と、モータの駆動力の伝達される外歯とを有する駆動ギヤと;駆動ギヤの内歯に噛合し、半径方向にスライド可能な複数のロックギヤをその一面に有し、駆動ギヤの内歯とロックギヤとの噛合を介して駆動ギヤからの駆動力をシートバックに伝達する駆動プレートと;を備え、前倒し位置方向へのシートバックの揺動が困難であれば、半径方向内方で駆動ギヤの内歯との噛合の外れる位置にロックギヤが逃げて、駆動ギヤ、駆動プレート間でのモータの駆動力の伝達を断つ構成とされる。
また、駆動プレートは保持プレートに保持されて保持プレートと一体的に回転可能とされ;シートバックの動きに連動したピンの差し込まれる長孔が保持プレートに形成され;保持プレートの長孔は、シートバックのリクライニング範囲においてはピンと長孔の側端とが係合しない形状に形成される。
モータを正転するフォワードスイッチと、モータを逆転させるリバーススイッチとがモータ回路に配置され、フォワードスイッチ、リバーススイッチによるモータの駆動時間がタイマーによって予め設定される。
請求項1の本発明では、前倒し位置方向へのシートバックの揺動がシートクッション上の物に妨げられれば、クラッチ機構がシートバックへのモータ駆動力の伝達を断ってモータを空転させている。そのため、シートクッション上に物を置いたままシートバックを前倒ししても、モータに過度の過負荷を生じさせず、モータの故障を防止できる。
また、シートバックに駆動力が伝達されないから、シートバックがシートクッション上の物を押しつぶしながら前倒しされることもなく、シートクッション、シートバックの表面を汚したり、破損させることもない。
クラッチ機構がシートバックへのモータの駆動力伝達経路に配置され、前倒し位置方向へのシートバックの揺動がシートクッション上の障害物に妨げられれば、シートバックへのモータ駆動力の伝達を断ってモータを空転させる。たとえば、クラッチ機構は、モータの駆動力の伝達される駆動ギヤと、駆動ギヤとの噛合を介して駆動ギヤからの駆動力をシートバックに伝達する駆動プレートとを備えている。駆動プレートは保持プレートに保持されて保持プレートと一体的に回転可能とされ、シートバックの動きに連動したピンの差し込まれる長孔が保持プレートに形成され、保持プレートの長孔は、シートバックのリクライニング範囲においてはピンと長孔の側端とが係合しない形状に形成される。また、モータを正転するフォワードスイッチと、モータを逆転させるリバーススイッチとがモータ回路に、たとえば並列に配置され、フォワードスイッチ、リバーススイッチによるモータの駆動時間がタイマーによって予め設定されている。
以下、図面を参照しながら本発明の実施例を詳細に説明する。まず、シートバックの動作の概略を説明する。図1は本発明の一実施例に係る車両用シートのモータ駆動式シートバック前倒し装置の概念図を示す。
まず、シートバックの前倒しの概略について述べる。図1に示すように、モータ駆動式シートバック前倒し装置(シートバック前倒し装置)10において、シートバック22は、起立位置Aとシートクッション24上に倒れ込んだ前倒し位置Bとの間をモータの駆動によって揺動可能となっている。シートバック22を前倒しさせるようにモータを駆動(この場合のモータの駆動方向を正転とする)するためのスイッチ(フォワードスイッチ、前倒しスイッチ)FSWが、たとえば、シートバック22の窓側側面の上端部でシートバックに内蔵されている。ストラップ22aがスイッチFSWの上方でシートバック22の上端に設けられ、ストラップを引くことによりスイッチFSWがオンとなり、モータが起動される。もちろん、ストラップ22aと無関係にスイッチFSWを操作する構成としてもよい。シートバック22の前倒し位置Bはストッパ(メカロック)によって規制され、モータの駆動(正転)時間は後述するタイマーを内蔵する制御手段によって予め設定され、その設定時間の経過によってモータは停止する。
また、別のスイッチ(リバーススイッチ、復帰スイッチ)RSWがシートバック22の窓側側面の上端部に設けられており、このスイッチを作動させると、モータが駆動(逆転)し、シートバック22が立ち上がって(起立して)前倒し位置からBから起立位置Aに戻される。リバーススイッチRSWの作動によるモータの駆動(逆転)時間も制御手段のタイマーによって予め設定されている。
ここではストラップ22a、スイッチFSW、RSWをシートバック22の窓側に設けている。しかし、ストラップ、スイッチの設置位置はこれに限定されない。
シートバック22は起立した位置で角度θの範囲でそのリクライニング位置を設定可能となっている。シートバック22のリクライニングの設定は、たとえば特開平02−228914号記載のような周知のリクライニングデバイスのもとでなされ、本発明の趣旨でないため、リクライニングデバイスの詳細な説明は省略する。
リバーススイッチRSWを作動しモータを逆転させて最前のリクライニング位置までシートバック22が起立すると、リクライニングデバイスがシートバックをロックしてその位置を規制するため、シートバック前倒し装置10における起立位置Aは最前のリクライニング位置となる。つまり、起立位置Aに相当する最前のリクライニング位置から後方に角度θの範囲でリクライニング位置がリクライニングデバイスによって任意に設定される。
なお、リクライニングデバイスによるシートバック22のロックは、リクライニングデバイスの主軸(リクライニング軸)を回動することにより解除(ロックオフ)され、ばねの死点などを利用した保持機構によってシートバックはロックオフの状態で保持される。
ストラップ22aはフォワードスイッチFSWをオンにするスイッチ片であるとともに、リクライニングデバイスによるシートバック22のロックを解除するロック解除片としても機能する。つまり、ストラップ22aを引くと、フォワードスイッチFSWがオンとなるとともに、その牽引動作を利用してリクライニング軸が回動されてリクライニングデバイスによるシートバック22のロックが解除される。そして、ロックオフされたシートバック22が、モータの駆動(正転)によって前倒しされる。
このようにストラップ22aを引くことにより、フォワードスイッチFSWがオンとなり、リクライニングデバイスによるシートバック22のロックが解除される構成では、シートバックの前倒しがワンタッチで行える。
図2は、図1の矢印方向から見た自動車用シート1のフレームの正面図を示す。図2に示すように、自動車用シート1は、シートバックの取付けられるバックフレーム32と、シートクッションの取付けられるクッションフレーム34とを左右に一対ずつ備えている。バックフレーム32はフレームブラケット36に固定され、フレームブラケットはラウンドリクライナ(リクライニングデバイス)38を介在してクッションフレーム34に回動可能に取付けられている。
左右のフレームブラケット36は連結シャフト40によって連結され、リクライニング軸38aが左右のラウンドリクライナ38を貫いて延び、その一端(通常は窓側の端)に操作レバー38bが固定されている。この操作レバー36bを操作してリクライニング軸36aを回動させれば、ラウンドリクライナ36のロックが解除され、バックフレーム32と一体のシートバック22が角度θの範囲でリクライニング位置に設定される。
モータブラケット42がクッションフレーム34に固定され、ギヤモータなどのモータ44がモータブラケットに取付けられている。シートバック22の揺動を制限するリミットスイッチLSWが、クッションフレーム34の内面に取付けられており、このリミットスイッチは、後述するように、保持プレートの一対のキッカー片のキックによって作動する。
図2に示すように、シートバック前倒し装置10は、クッションフレーム34、モータブラケット42の間に配置されている。図3はシートバック前倒し装置10の概略分解図を示し、図3に示すように、シートバック前倒し装置は駆動プレート11、ロックギヤ12、偏倚部材13、駆動ギヤ14、保持プレート15を備えて構成されている。
図4(A)〜(C)は駆動プレートを示し、(A)は正面図、(B)は(A)の線B−Bに沿った部分断面図、(C)は右側面図をそれぞれ示す。図4(A)〜(C)に示すように、駆動プレート11の一面(図4(A)の上面)には、複数の、たとえば90°相互に離反した4つの凸状のガイド片11aと、ガイド片に対して45°離反し相互に90°離反した4つの支持ピン11bが、たとえばエンボス加工などによって形成されている。また、半径方向に延びたガイド溝11a’がガイド片上面から駆動プレートの上面にかけて形成されている。ガイド溝11a’は、半径方向でのロックギヤ12のスライドを許容する形状となっている。支持ピン11bはその一部の欠けた円弧形状となっている。
また、駆動プレート11の他面(図4(A)の下面)には、ガイド片11aに対して45°離反し相互に90°離反した4つの取付けピン11cが、たとえばエンボス加工などによって形成されている。さらに、中央孔11dが駆動プレート11の中央に形成されている。
図5(A)(B)はロックギヤを示し、(A)は正面図、(B)は右側面図をそれぞれ示す。また、図6は偏倚部材の正面図を示す。図5(A)(B)に示すように、ロックギヤ12は、長手方向の一端に歯部12aを、他端にストッパとして機能するフランジ12bを有し、駆動プレートのガイド片のガイド溝11a’内に収納可能な形状に形成されている。また、突起12b’がフランジ中央に形成されている。偏倚部材13は、たとえば、ねじりばねからなり、円弧形状の支持ピン11bに巻装可能に折曲された内端13aを有して形成されている。
4つずつのロックギヤ12、ねじりばね(偏倚部材)13は駆動プレート11の所定位置に配置される。すなわち、図7はロックギヤ、ねじりばね13の組み込まれた駆動プレートの正面図を示し、4つのロックギヤ12はその歯部12aを半径方向で外にして駆動プレートのガイド片のガイド溝11a’にそれぞれ収納される。また、4つのねじりばね13はその内端13aを駆動プレートの支持ピン11bにそれぞれ巻装し、他端13bをロックギヤの突起12b’を当接させてそれぞれ配置される。支持ピン11bが円弧形状とされ、支持ピンの円弧形状に対応した形状にねじりばねの内端13aが折曲しているため、内端を支持ピンに巻装するだけで、ねじりばね13が支持ピン11bに回転不能に装着される。
図8(A)(B)は駆動ギヤを示し、(A)は正面図、右側面図をそれぞれ示す。図8(A)(B)に示すように、駆動ギヤ14は外歯14aと、外歯の内面に形成された内歯14bとを有して形成されている。内歯14bはロックギヤの歯部12aに噛合する形状となっている。また、中央孔14dが駆動ギヤ14の中央に形成されている。なお、内歯14bをファインブランキングで成形すると、対応する外歯14cも成形される。
図9(A)(B)は保持プレートを示し、(A)は正面図、(B)は右側面図をそれぞれ示す。図9(A)(B)に示すように、保持プレート15は、長孔15aと、たとえば溶着によってその一面に固定された一対のキッカー片15b1、15b2と、相互に90°離反した4つ取付け孔15cと、中央孔15dとを有して形成されている。キッカー片15b1、15b2がリミットスイッチLSWをキックしてモータ44を停止することにより、起立位置A、前倒し位置Bを越えたシートバック12の揺動が制限される。
駆動プレート11、ロックギヤ12、ねじりばね(偏倚部材)13、駆動ギヤ14、保持プレート15を備えたシートバック前倒し装置の組み立ての一例を以下に述べる。
たとえば、図7に示すように、まず、4つのロックギヤ12を駆動プレートのガイド片のガイド溝11a’にそれぞれ収納する。次に、図6(A)に実線で示す自然な形状から一点鎖線で示すようにねじりばね13を変形させて、その一端13aを支持ピン11bに巻装させるとともに、他端13bをロックギヤの突起12b’に当接させてロックギヤを押さえる。すると、ねじりばね13の偏倚力によって、そのフランジ12bがガイド片11aの内端に押圧されるまでロックギヤ12はガイド溝11a’内を半径方向で外方にスライドし、フランジがガイド片の内端に押圧されると、歯部12aはガイド片から僅かに突出する。
それから、駆動プレート11が駆動ギヤ14に重ねて装着され、4つのロックギヤの歯部12aが駆動ギヤ14の内歯14bに噛合される。そして、駆動プレート11、駆動ギヤ14を挟んで中空の支持軸16a(図3参照)が駆動プレート、駆動ギヤの中央孔11d、14dに挿通されて、駆動プレート11、駆動ギヤ14を回転自在に支持する。ここで、支持軸16aの外面は大小2段の段付形状とされ、小径の段部16a1は駆動ギヤの中央孔14dに、大径の段部16a2は駆動プレートの中央孔11dに遊装される。
また、駆動プレート11が保持プレート15に保持され、保持プレートの取付け孔15cに駆動プレートの4つの取付けピン11cを嵌合し溶着して駆動プレート11が一体化される。
このように、ロックギヤ12が駆動ギヤの内歯14bに噛合されて、駆動ギヤ14、駆動プレート11が一体的に回転可能とされ、さらに、駆動プレート、保持プレート15が溶着で一体化されて、駆動ギヤ、駆動プレート、保持プレートがユニット体として組立てられる。この構成では、駆動ギヤ14が回転すれば、駆動プレート11、保持プレート15も駆動ギヤに連動して回転する。
ここで、4つのロックギヤ12が等角的に配置されて駆動ギヤの内歯12bに噛合することにより、駆動ギヤ14からロックギヤを介して駆動プレート11にモータの駆動力が偏在することなくほぼ均一に伝達される。もちろん、ロックギヤ12の数は4つに限定されない。
図10は図1の線X−Xに沿ったシートバック前倒し装置の概略断面図を示す。なお、図面の複雑化を避けるために、一部を想像線(一点鎖線)で示す。図11はモータ、駆動ギヤの関係を示すシートバック前倒し装置の概略側面図である。
駆動プレート11を駆動ギヤ14に装着し、駆動プレート、保持プレート15を一体化してユニット化されたシートバック前倒し装置10は、モータブラケット42にボルト止めされる。つまり、図10に示すように、めねじの切られたヒンジピン16b(図3参照)を支持軸16aに挿通させるとともに、ヒンジピンの逆側からボルト16c(図3参照)をヒンジピンに螺着して、ヒンジピン、ボルトで挟持してシートバック前倒し装置10がモータブラケット42に固定される。また、モータのピニオンギヤ44aに駆動ギヤの外歯14aが螺合される。
そして、ピン46がフレームブラケット36に溶着、固定される。また、ラウンドリクライナ38がフレームブラケット36に溶着、固定されるとともに、ラウンドリクライナがベースブラケット48に溶着、固定されてラウンドリクライナはフレームブラケット、ベースブラケットの間に収納される。
それから、保持プレートの長孔15aにピン46を差し込みながら、モータブラケット42がベースブラケット48に溶着、固定されて、シートバック前倒し装置10などとラウンドリクライナなどとが一体化される。そして、リミットスイッチLSWがベースブラケット48に取り付けられる。
図12は、図10の矢印方向から見た前倒しシートバック前倒し機構10の主要部の側面図を示す。図12に示すように、リミットスイッチLSWは、スイッチ本体LSW−1と、棒状の作動部材LSW−2とを備えて形成される。ここで、スイッチ本体LSW−1がベースブラケット48に固定されるのに対して、作動部材はピンPによってベースブラケットに揺動可能に取り付けられている。そして、作動部材LSW−2の一端aは、スイッチ本体LSW−1の可動接点bを挟んだ二股形状とされ、他端cに保持プレートの一対のキッカー片15b1、15b2が当接可能となっている。可動接点bの左右には、固定接点(図示しない)がそれぞれ設けられており、二股端aが左右に振られて可動接点bが左右の固定接点(図示しない)に接触すれば、リミットスイッチLSWが作動してモータ44の駆動が停止される。なお、二股形状の一端a、可動接点bが絶縁状態で当接することはいうまでもない。
リミットスイッチLSWは、不慮の事故を防止するためのものであり、シートバック22の正常な揺動範囲、つまり、起立位置A、前倒し位置Bの間でのシートバックの揺動範囲においては作動せず、起立位置A、前倒し位置Bを越えてシートバックが揺動したときに作動するように、保持プレートのキッカー片15b1、15b2の設定位置が決められている。
以下に、シートバック前倒し装置10の動作について説明する。
任意のリクライニング位置において、ストラップ22a(図1参照)を引くと、ラウンドリクライナ(リクライニングデバイス)38(図10参照)によるシートバック22のロックが解除されるとともに、フォワードスイッチFSWがオンとなってモータ44が駆動(正転)する。モータのピニオンギヤ44a(図11参照)が駆動ギヤの外歯14aに螺合されているため、モータの駆動力が駆動ギヤ14に伝達される。
駆動プレート11、保持プレート15が一体化され、ロックギヤ12を介在して駆動プレート、駆動ギヤ14が噛合しているため、モータの駆動力が駆動ギヤ14に伝達されて駆動ギヤが回転すると、駆動プレート、保持プレートも連動して回転する。
モータのピニオンギヤ44aと駆動ギヤの外歯14aとの間に歯付ベルトを架設し、歯付ベルトを介してモータ44の駆動力を駆動ギヤ14に伝達してもよい。
上記のように、シートバック22はバックフレーム32に取り付けられ、バックフレームはフレームブラケット36に固定され、フレームブラケットはクッションフレーム34に回動可能に取付けられている。また、保持プレートの長孔15a(図9参照)にピン46を差し込んで、モータブラケット42がベースブラケット48に溶着、固定され、ピンはフレームブラケット36に固定されている。そのため、ピン46はシートバック22と一体的に移動する(連動する)。
保持プレートの長孔15aにピン46が差し込まれてバックフレーム32が保持プレート15と連動可能であるため、保持プレートが回転すると、バックフレーム32がシートバックを伴って揺動する。つまり、駆動ギヤ14が回転すると、駆動プレート11、保持プレート15が回転してシートバック22が揺動する。
保持プレート15、シートバック22の連動の詳細は以下に述べる。
前倒しとリクライニングとの関係について述べると、上述したようにシートバック22の起立位置Aは最前のリクライニングの位置とされ、最前のリクライニング(起立位置A)からシートバック22をラウンドリクライナ(リクライニングデバイス)38のもとで後に倒して任意のリクライニング位置が設定される。
ピン46がシートバック22と連動しているため、シートバックのリクライニング時には、保持プレートの長孔15aに差し込まれたピン46は、リクライニング範囲(角度θ)に等しい範囲で長孔内を移動する。そのため、保持プレートの長孔15aは、リクライニング範囲でのピンの移動を許容し、シートバック22が最も前のリクライニング位置にあるときでも、最も後に倒されたときでも、ピンがその端に係合しない幅(長さ)を持つ形状に形成されている。つまり、図9(A)に示すように、最前のリクライニング位置に相当するシートバックの起立位置Aでは、ピン46は長孔15aの左端15aLから離反した位置A1(初期位置)にある。そして、シートバックがリクライニングされると、初期位置A1から時計方向に移動して、シートバックが最も後に倒されれば、長孔15aの右端15aRから離反した位置A2に至る(リクライニング角度に等しい)角度θの範囲を動く。
このように、シートバック22が最も後に倒されたときでも、シートバックと一体のピン46が長孔15aの右端15aRに係合せず、保持プレートが障害にならないため、任意のリクライニング位置が設定できる。また、リクライニング範囲においてピン46が長孔15aの左右の端15aL、15aRに係合しない形状に形成されているため、後述するように、シート着座時においてはクラッチ機構が機能せず、着座時にシートバックに作用する荷重(着座荷重)によってシートバックが後ろに倒れることがない。
シートバック22の前倒しは、そのリクライニング位置から開始される。つまり、どのリクライニング位置にシートバック22が位置しても、駆動ギヤ14とともに保持プレート15が、たとえば図9(A)で反時計方向に回転し、長孔の右端15aRがピン46に係合するまで、シートバックは動かない。そして、長孔の右端15aRがピンに係合すると、保持プレートはシートバック22を伴って回転し、シートバックの実質的な前倒しが開始される。
図13は、シートバック前倒し装置10のモータ回路を示す。モータ44、フォワードスイッチFSW、リバーススイッチRSW、リミットスイッチLSWなどはモータ回路49に接続されている。モータ回路49には、タイマー、リレーを内蔵する制御手段50が設けられている。フォワードスイッチFSW、リバーススイッチRSWはノーマルオフでモータ回路49に並列に配置され、リバーススイッチRSWはノーマルオンでモータ回路に直列に配置されている。そのため、フォワードスイッチFSW、リバーススイッチRSWは作動するとモータ回路49を閉じてモータ44を駆動させ、リバーススイッチRSWは作動するとモータ回路を開いてモータを停止させる。
2つのスイッチ(フォワードスイッチFSW、リバーススイッチRSW)を設ける代わりに、1つのスイッチでモータの正転、逆転を制御する構成としてもよい。
ここで、制御手段50のタイマーには、フォワードスイッチFSWを作動させたときのモータ44の駆動(正転)時間と、リバーススイッチRSWを作動させたときのモータの駆動(逆転)時間とが予め設定されている。モータ44の駆動(正転、逆転)時間、つまり、タイマーの設定時間は、ストッパ(メカロック)による前倒し位置Bでのシートバック22の位置規制や、リクライニングデバイスのロックによる起立位置Aでの位置規制に若干遅れてモータ44を停止させるように設定される。
ストラップ22aを引くと、ロックオフとなるとともにフォワードスイッチFSWが作動し(オンとなり)、シートクッション24に物(障害物)が置かれていなければ、図1において、シートバック22は反時計方向(前倒し方向)に円滑に揺動し、ストッパ(メカロック)によって規制されるその前倒し位置Bに至る。前倒し位置に達した直後に、制御手段50のタイマーに設定されたモータ44の駆動(正転)時間が経過してモータが停止される。
逆に、シートバック22が前倒し位置にあるとき、リバーススイッチRSWを作動すれば、モータが駆動(逆転)して、リクライニングデバイスのロックによって規制される起立位置Aにシートバックは復帰し、起立位置に達した直後に、制御手段50のタイマーに設定されたモータの駆動(逆転)時間が経過してモータ44が停止される。
このように、シートクッション24に物(障害物)が置かれていなければ、フォワードスイッチFSWのワンタッチ操作で(具体的には、ストラップ22aを引くだけで)、シートバック22は、ストッパ(メカロック)による位置規制や、所定時間経過後に停止するモータ44のもとで円滑に揺動して、前倒し位置Bに至る。また、リバーススイッチRSWのワンタッチ操作で、前倒し位置Bから起立位置Aにも円滑に戻される。
もし、何らかの理由によって、ストッパ(メカロック)やリクライニングデバイスのロックによる位置規制が機能せず、また、モータ44が設定時間経過しても停止しないで、起立位置A、前倒し位置Bを越えてシートバック22が揺動すれば、起立位置、前倒し位置を越えた直後にリミットスイッチLSWが作動しモータ回路49を開いてモータ44が直ちに停止して、予期しない事故が防止される。
次に、シートクッション24に物が置かれている場合について述べる。図14は駆動ギヤ、駆動プレートの正面図を示し、(A)(B)(C)は、噛合位置(連結位置)、途中位置、非噛合位置(非連結位置)をそれぞれ示す。
図14(A)に示すように、ロックギヤ12は駆動プレートのガイド溝11a’内に位置し、ねじりばね(偏倚部材)13のばね力(偏倚力)によって押圧され、ロックギヤ先端の歯部12aは突出して、駆動ギヤの内歯14bに噛合されている。
上記のように、シートクッション24上の物(障害物)がなく、シートバックの揺動(前倒し)が妨げられなければ、駆動ギヤ14は駆動プレート11を伴って回転し、ピン46、保持プレートの長孔15aの係合を経てシートバック22にモータの駆動力が伝達されて、シートバックが前倒しされる。
しかし、シートクッション24上に物(障害物)があれば、シートクッションとの間にその障害物を挟みこんでシートバック22の揺動(前倒し)が妨げられ、前倒し位置Bまで倒れ込むことができない。そして、シートバック22が揺動しなければ、保持プレート15に連動する駆動プレート11も回転しない。シートバック22が揺動せず、駆動プレート11が回転しないにも拘らず、モータ44は駆動(正転)しその駆動力は駆動ギヤ14に伝達されて駆動ギヤを、たとえば図14(A)で反時計方向に回転させようとする。しかし、シートバック22が揺動不能で、駆動プレート11も回転できず、シートバック、駆動プレートなどの駆動プレート側(被駆動側)の負荷に妨げられて、駆動ギヤ14は駆動プレート11を伴って回転できない。
ここで、駆動ギヤ14を回転させようとするモータ44の駆動力は、駆動ギヤの内歯14bに噛合するロックギヤの歯部12aに作用する。当然ながら、駆動ギヤの内歯14b、ロックギヤ先端の歯部12aの歯面はいずれも傾斜面となっている。そのため、駆動ギヤ14に伝達されたモータ44の駆動力は、ねじりばね(偏倚部材)13のばね力に抗して、ロックギヤ12を半径方向内方に押圧し、ロックギヤはガイド溝11a’内を図14(B)に示すように半径方向内方に後退する(押し戻される)。
図14(C)に示すように、歯部12aが駆動ギヤの内歯14bに噛合しない位置までロックギヤ12が半径方向内方に後退して(押し戻されて)、歯部12a、内歯14b間の噛合が外れれば、ロックギヤ、つまりは回転不能の駆動プレート11に邪魔されることなく、駆動ギヤ14は回転する。この駆動ギヤ14の回転は駆動プレート11を伴う回転でなく駆動ギヤのみの回転であり、モータ44の駆動力を駆動プレートに伝達するものでない。つまり、ロックギヤの歯部12a、駆動ギヤの内歯14bの噛合が外れれば、駆動ギヤ14、モータ44は空転する。
このように、駆動プレート11、駆動ギヤ14を備えたクラッチ機構20がモータの駆動力伝達経路に設けられている。つまり、シートバック22の前倒しが妨げられなければ(シートバックが揺動可能であれば)、駆動プレート11、駆動ギヤ14を接続し(連動可能とし)、シートクッション24上の障害物によってシートバックの前倒しが妨げられれば(シートバックの揺動ができなければ)それらの接続を断つ(連動不能とする)クラッチ機構20がモータの駆動力伝達経路に配置されている。
シートクッション24上に物(障害物)が置かれて、シートバック22、シートクッション24の間に障害物を挟み込んでシートバック22の揺動(前倒し)が妨げられると、クラッチ機構20が切られて(非連動となって)モータ44の駆動力の伝達される駆動ギヤ14が空転し、駆動ギヤから駆動プレート11へのモータの駆動力の伝達が断たれる。そして、シートバック22にモータ44の駆動力が伝達されず、駆動ギヤ14、モータ44の空転と同時にシートバック22の揺動が停止される。そして、モータ44は空転するにすぎず、過度の過負荷の生じるおそれがないため、シートバック22が障害物を挟み込んでも、モータの故障が防止できる。
駆動ギヤ14、モータ44が空転する間に、制御手段50のタイマーに設定されたモータの駆動(正転)時間が経過して、モータが停止される。シートクッション24との間での障害物の挟み込みは、シートバック22が前倒し位置Bに倒れ込む直前に生じるものであり、モータの駆動(正転)時間のほとんどが既に経過しており、モータ44の空転時間は僅かな時間にすぎず、シートバック22がシートクッション24上の障害物に接触した直後にモータは停止し、モータの故障が確実に防止できる。
シートバック22がシートクッション24上の障害物に接触した直後にモータ44が空転し停止してシートバック22の揺動が停止されるから、シートバックがシートクッション上の物を押しつぶすこともない。そのため、シートクッション、シートバックの表面を汚すこともない。また、シートクッション24上の物が、シートクッション、シートバックの表面に強く押付けられて、その表面を破損させることもない。
シートクッション24上の物(障害物)に妨げられて前倒し方向の揺動が不能であっても、起立(立ち上げ)方向へのシートバック22の揺動は可能であり、シートバックを手動で立ち上げて障害物を除くことができる。そして、障害物を除いてからシートバック22を前倒し位置Bに手動で倒すことにより貨物スペースが確保される。
クラッチ機構20は、駆動プレートの一面に設けた半径方向にスライド可能な複数のロックギヤ12を駆動ギヤの内歯14bに噛合させて、駆動プレート11が回転可能であれば、駆動ギヤ14から駆動プレート11にモータの駆動力を伝達し、駆動プレート11が回転不能であれば、ロックギヤ12を逃がし(半径方向に後退させ)駆動ギヤ14、駆動プレート11間の噛合を外して、駆動力の伝達を断つ構成となっている。この構成では、クラッチ機構20が構成的に簡単化され、軽量小型のクラッチ機構が得られる。
複数の凸状のガイド片11aを等角的に駆動プレート11の一面に設け、ガイド片上面から駆動プレートの一面にかけて半径方向に延びたガイド溝11a’を形成して、ロックギヤ12をガイド溝に配置しているため、ロックギヤはガイド片にガイドされて半径方向に円滑に押し戻される。
また、複数の支持ピンを等角的に駆動プレートの一面に設け、ねじりばね13の一端を支持ピンに装着し、他端がロックギヤの内端を当接して、半径方向外方の偏倚力をロックギヤに与えている。ねじりばね13では大きなばね力が得られるため、簡単な構成でロックギヤ12が駆動ギヤの内歯14bに確実に噛合される。また、そのばね力を調整することにより、駆動力の伝達を断つ被駆動側の荷重(クラッチ作動荷重;駆動プレート11、駆動ギヤ14間の噛合を外す荷重)を容易に調整できる。
ガイド片に当接してロックギヤ12の半径方向の位置を規制するフランジ12bをロックギヤの半径方向の内端に形成しているため、駆動ギヤの内歯14bとのロックギヤの噛合位置を正確に調整できる。
支持ピン11bを一部の欠けた円弧形状とし、ねじりばねの内端13bを円弧形状の支持ピンに巻装可能に折曲しているため、ねじりばねの内端を支持ピンに巻装するだけでねじりばね13は支持ピンに固定され、ねじりばねが簡単に装着できる。
なお、偏倚部材はねじりばねに限定されず、他のばねとしてもよく、たとえば、偏倚部材を板ばねとし、円形の支持ピン11bの上面に形成した切り溝に板ばねの一端を嵌合、固定してもよい。
クラッチ機構20とリクライニングとの関係について以下に述べる。
任意のリクライニング位置とされたシートへの着座によってシートバック22に着座荷重(押力)が加わり、この着座荷重によって駆動プレート11に回転力が作用しロックギヤ12を逃がし、駆動プレート、駆動ギヤ14間の噛合が外れてシートバックが後に倒れるおそれがある。そのため、着座時での駆動プレート11、駆動ギヤ14間の噛合の外れを防ぐために、クラッチ作動荷重を大きくする必要がある。
しかし、前倒し時においては、シートバック22がシートクッション24上の障害物を挟み込んだ直後に、駆動プレート11、駆動ギヤ14間の噛合を外してシートバックの揺動(前倒し)を即座に停止させるように、クラッチ作動荷重を小さくする必要がある。
クラッチ作動荷重を大きくすれば、クラッチ機構20が十分有効に作用しないとともに、モータ停止後のシートバック22の手動での立ち上げにも大きな力(手動操作力)が要求され、好ましくない。
この対策として、実施例では、図9(A)に即して述べたように、シートバックのリクライニングの範囲よりも長孔15aの幅が広く形成されている。つまり、リクライニング範囲でシートバック22が最も前にあっても、後に倒されたときでも、保持プレートの長孔15aに差し込まれたピン46は、長孔の左右の端15aL、15aRのいずれにも離反した位置にある。
この構成では、リクライニング設定時に保持プレート15に回転力が伝達されず、保持プレートが回転されないとともに、着座時においても、シートバック22からピン46を経て保持プレート15に着座荷重が伝達されない。そのため、クラッチ作動荷重を小さくすることができるため、シートクッション24上の障害物を挟み込んだ直後にシートバック22の動きを停止でき、クラッチ機構20が十分有効に作用する。また、モータ停止後のシートバック22の手動での立ち上げに必要な力(手動操作力)も僅かで足り、挟み込んだ障害物がシートクッション24上から迅速、容易に除去できる。
もちろん、着座時に着座荷重が伝達されないから、シートバック22が後ろに倒れることもない。
上記のように、本発明では、モータの駆動力伝達経路にクラッチ機構を設けている。そのため、シートバック、シートクッションの間に障害物を挟み込んでシートバックの揺動が妨げられると、モータの駆動力の伝達される駆動ギヤが空転し、駆動ギヤから駆動プレートへのモータの駆動力の伝達が断たれて、モータを空転させるため、過度の過負荷の生じるおそれがなく、モータの故障が防止できる。
また、シートバックがシートクッション上の物(障害物)を挟み込むとモータが空転してシートバックの揺動が停止されるため、シートバックが障害物を押しつぶすこともなく、シートクッション、シートバックの表面を汚したり破損することがない。
シートバックのリクライニング範囲においてはピンと長孔の側端とが係合しない形状に保持プレートの長孔を形成すれば、リクライニングされたシートバックの着座時におけるシートバックからクラッチ機構への着座荷重の伝達が防止できる。そのため、クラッチ作動荷重を小さくすることができ、クラッチ機構が十分有効に作用する。また、リクライニング時にクラッチ機構が外れてシートバックが後へ倒れることもない。
フォワードスイッチ、リバーススイッチを設ければ、ワンタッチ操作(スイッチ操作)でシートバックの前倒し、起立が行える。モータの駆動時間を制限して設定時間経過後にモータを停止させれば、モータが設定時間経過後に停止し、モータの故障を確実に防止できる。
上記実施例は、この発明を説明するためのものであり、この発明を何等限定するものでなく、この発明の技術範囲内で上記以外の変形、改造等の施されたものも全てこの発明に包含されることはいうまでもない。
たとえば、ピン46の差し込まれる保持プレートの長孔15aは、クライニング範囲においてピンが長孔の左右の端15aL、15aRに係合しない幅を持つ形状であれば足り、その形状は図示の形状に限定されない。
本発明は、シートバックを起立位置から前倒し位置までモータの駆動のもとで揺動させる車両用シートに広範囲に応用できる。
本発明の一実施例に係る車両用シートのモータ駆動式シートバック前倒し装置の概念図を示す。 図1の矢印方向から見た自動車用シートのフレームの正面図を示す。 シートバック前倒し装置の概略分解図を示す。 (A)〜(C)は駆動プレートを示し、(A)は正面図、(B)は(A)の線B−Bに沿った部分断面図、(C)は右側面図をそれぞれ示す。 (A)(B)はロックギヤを示し、(A)は正面図、(B)は右側面図をそれぞれ示す。 偏倚部材の正面図を示す。 ロックギヤ、ねじりばね(偏倚部材)の組み込まれた駆動プレートの正面図を示す。 (A)(B)は駆動ギヤを示し、(A)は正面図、右側面図をそれぞれ示す。 (A)(B)は保持プレートを示し、(A)は正面図、(B)は右側面図をそれぞれ示す。 図1の線X−Xに沿ったシートバック前倒し装置の概略断面図を示す。 モータ、駆動ギヤの関係を示すシートバック前倒し装置の概略側面図である。 図10の矢印方向から見たシートバック前倒しシートバック機構の主要部の側面図を示す。 シートバック前倒し装置の回路図を示す。 駆動ギヤ、駆動プレートの正面図を示し、(A)(B)(C)は、噛合位置(連結位置)、途中位置、非噛合位置(非連結位置)をそれぞれ示す。
符号の説明
1 自動車用シート
10 モータ駆動式シートバック前倒し装置
11 駆動プレート
11a ガイド片
11a’ ガイド溝
11b 支持ピン
12 ロックギヤ
12a 歯部
12b フランジ(ストッパ)
13 偏倚部材(ねじりばね)
14 駆動ギヤ
14a 外歯
14b 内歯
15 保持プレート
15a 長孔
15b キッカー片
20 クラッチ機構
22 シートバック
24 シートクッション
44 モータ
44a モータピニオン
46 ピン
49 モータ回路
50 制御手段
FSW フォワードスイッチ
RSW リバーススイッチ
LSW リミットスイッチ
A、B シートバックの起立位置、前倒し位置

Claims (9)

  1. シートバックを起立位置から前倒し位置までモータの駆動のもとで揺動させる車両用シートのモータ駆動式シートバック前倒し装置において、
    前倒し位置方向へのシートバックの揺動がシートクッション上の障害物に妨げられれば、シートバックへのモータ駆動力の伝達を断ってモータを空転させ、前倒し位置方向へのシートバックの揺動が妨げられなければ、モータの駆動力をシートバックに伝達してシートバックを前倒し方向に揺動させるクラッチ機構が、シートバックへのモータの駆動力伝達経路に配置され、
    クラッチ機構は、
    内歯モータの駆動力の伝達される外歯とを有する駆動ギヤと、
    駆動ギヤの内歯に噛合し、半径方向にスライド可能な複数のロックギヤをその一面に有し、駆動ギヤの内歯とロックギヤとの噛合を介して駆動ギヤからの駆動力をシートバックに伝達する駆動プレートと、
    を備え、前倒し位置方向へのシートバックの揺動が妨げられれば、半径方向内方にロックギヤが逃げ、駆動ギヤ、駆動プレート間の噛合を外してモータの駆動力の伝達を断つことを特徴とする車両用シートのモータ駆動式シートバック前倒し装置。
  2. 駆動プレートは保持プレートに保持されて保持プレートと一体的に回転可能とされ、
    シートバックの動きに連動したピンの差し込まれる長孔が保持プレートに形成され、
    保持プレートの長孔は、シートバックのリクライニング範囲においてはピンと長孔の側端とが係合しない形状に形成されていることを特徴とする請求項1記載の車両用シートのモータ駆動式シートバック前倒し装置。
  3. シートバックを起立位置から前倒し位置までモータの駆動のもとで揺動させる車両用シートのモータ駆動式シートバック前倒し装置において、
    前倒し位置方向へのシートバックの揺動がシートクッション上の障害物に妨げられれば、シートバックへのモータ駆動力の伝達を断ってモータを空転させ、前倒し位置方向へのシートバックの揺動が妨げられなければ、モータの駆動力をシートバックに伝達してシートバックを前倒し方向に揺動させるクラッチ機構が、シートバックへのモータの駆動力伝達経路に配置され、
    クラッチ機構は、
    内歯モータの駆動力の伝達される外歯とを有する駆動ギヤと、
    駆動ギヤの内歯に噛合する歯部を半径方向の外端に有して、半径方向にスライド可能な複数のロックギヤと、ロックギヤに半径方向外方の偏倚力を与えて駆動ギヤの内歯に噛合させる複数の偏倚部材とがその一面に配置され、駆動ギヤの内歯とロックギヤとの噛合を介して駆動ギヤからの駆動力をシートバックに伝達する駆動プレートと、
    を備え、前倒し位置方向へのシートバックの揺動が妨げられれば、駆動ギヤがその内歯との噛合の外れる位置にロックギヤを偏倚部材の偏倚力に抗して半径方向内方に押し戻し駆動ギヤ、駆動プレート間の噛合を外してモータの駆動力の伝達を断つことを特徴とする車両用シートのモータ駆動式シートバック前倒し装置。
  4. 駆動プレートは保持プレートに保持されて保持プレートと一体的に回転可能とされ、
    シートバックの動きに連動したピンの差し込まれる長孔が保持プレートに形成され、
    保持プレートの長孔は、シートバックのリクライニング範囲においてはピンと長孔の側端とが係合しない形状に形成されていることを特徴とする請求項3記載の車両用シートのモータ駆動式シートバック前倒し装置。
  5. 複数の凸状のガイド片が等角的に駆動プレートの一面に設けられ、半径方向に延びたガイド溝がガイド片上面から駆動プレートの一面にかけて形成され、ロックギヤがガイド溝にスライド可能に配置され、
    複数の支持ピンが等角的に駆動プレートの一面に設けられ、上記偏倚部材はねじりばねであり、ねじりばねの内端は支持ピンに巻装、固定され、他端がロックギヤの内端を当接して、半径方向外方の偏倚力をロックギヤに与えることを特徴とする請求項3記載の車両用シートのモータ駆動式シートバック前倒し装置。
  6. ガイド片に当接してロックギヤの半径方向の位置を規制するフランジがロックギヤの半径方向の内端に形成され、
    支持ピンはその一部の欠けた円弧形状とされ、ねじりばねの内端は、円弧形状の支持ピンに巻装可能に折曲されたことを特徴とする請求項5記載の車両用シートのモータ駆動式シートバック前倒し装置。
  7. シートバックを起立位置から前倒し位置まで揺動させるようにモータを正転するフォワードスイッチと、モータを逆転させて前倒し位置から起立位置に戻すリバーススイッチとがモータ回路に配置され、フォワードスイッチ、リバーススイッチによるモータの駆動時間がタイマーによって予め設定されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか記載の車両用シートのモータ駆動式シートバック前倒し装置。
  8. ストラップを引くことにより、シートバックをその起立位置にロックするリクライニングデバイスのロックが解除されるとともに、フォワードスイッチがオンとなることを特徴とする請求項7記載の車両用シートのモータ駆動式シートバック前倒し装置。
  9. フォワードスイッチ、リバーススイッチがモータ回路に並列に配置された別のスィツチからなる請求項7または8記載の車両用シートのモータ駆動式シートバック前倒し装置。
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