JP4959101B2 - 繊維強化熱可塑性複合成形品およびその成形方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は水上バイクや漁船、遊具、モニュメントなど、従来、熱硬化性複合材料を用いたハンドレイアップ、スプレイアップ、RTMなどの成形方法で成形されていたような比較的大型の成形品を繊維強化熱可塑性複合材料を用いて、巨額の設備投資をしなくても、簡便に成形できる方法および、その成形方法によって得られる繊維強化熱可塑性複合成形品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、水上バイクや漁船、遊具、モニュメントなど比較的大型で生産量の少ないFRP成形品は熱硬化性複合材料を用いて、ハンドレイアップ成形やスプレイアップ成形、RTM(レジントランスファーモールディング)などの成形方法で成形されている。
【0003】
FRPの最も伝統的な成形方法であるハンドレイアップ成形は、オープンモールドの上に強化繊維の織物(主としてガラスロービングクロス:R)やマット(主としてガラスチョップドストランドマット:M)を積層し、液状の熱硬化性樹脂を強化繊維に垂らしながら、含浸ローラーでしごいて強化繊維の間にある空気を追い出し、手作業で樹脂を含浸する最も原始的なFRPの成形方法である。この方法は作業が労働集約的であり非常な手間が掛かるが、巨額の設備投資が不要であるために、漁船、遊具やモニュメントなどのような大型で、生産量の少ない成形品には、専らこの成形方法が用いられている。
【0004】
しかしながら、含浸作業が手作業であるために、作業そのものが熟練を必要とする上に、FRP成形品の性能を左右する最も重要な要素である強化繊維の含有率は勘と経験に頼るしかなく、その結果として成形品の性能にばらつきが生じるという大きな問題点がある。
また、有機溶剤を大量に含む液状の熱硬化性樹脂を取り扱うために、臭気による作業環境は劣悪である上、長期間この作業に従事すると健康を害する恐れもある。さらに、有機溶剤は大気中に放出されるため、環境汚染等の問題が発生している。
【0005】
前記スプレイアップ成形は、ハンドレイアップ成形を省力化するために考えられた成形方法で、スプレーガンに付属しているガラスストランドカッターでガラスロービングを所定の長さに切断しながら、液状の熱硬化性樹脂をスプレーガンでオープンモールドに吹き付け、切断されたガラスストランドと熱硬化性樹脂を同時にオープンモールドの上に堆積させてゆく成形方法である。
【0006】
この方法は、ハンドレイアップ成形に比べれば、強化繊維であるガラス繊維と熱硬化性樹脂との比率、すなわち強化繊維の含有率はスプレーガンの設定で決められるので、含有率のばらつきは少ないと言える。しかしながら、有機溶剤を大量に含む液状の熱硬化性樹脂をスプレーガンによって噴霧する上に、切断されたガラスストランドも飛び散るため、作業環境はさらに劣悪である。また、チョップドストランドのみでは性能が低いため、漁船等ではロービングクロスとガラスマットを積層して用いることが一般的であるが(MR積層)、当然のことながら、織物をスプレイアップで成形することは不可能であり、結局のところ、ハンドレイアップ成形との併用となるので、省力化効果は少ないと言える。
【0007】
RTMはオープンモールドではなく、上型と下型で構成されるクローズドモールドで、両型の間に強化繊維を設置し、型を閉じて、上型と下型で形成される空間(キャビティー)に液状の熱硬化性樹脂を注入し、型ごとオーブンによって加熱硬化させるか、常温で硬化させる場合もある。クローズドモールドであるために、ハンドレイアップ成形やスプレーアップ成形に比べれば、有機溶剤の大気への放出は少なく、作業環境は大幅に改善される。また、上型と下型で形成されるキャビティーがすなわち成形品の肉厚になるため、成形品の肉厚精度、強化繊維の含有量の精度も大幅に向上する。
【0008】
しかしながら、この成形方法の問題点は、あらかじめ全ての強化繊維を成形型に設置しなければならず、時間が掛かる。また、強化繊維は固定されていないため、注入した樹脂の粘性抵抗で強化繊維が押し流され、所定の位置から強化繊維がずれてしまうという問題がある。スプレイアップの手法を応用して、略成形品の形状に近いネット状の型の上に、チョップドストランドとバインダーを吹き付けて堆積させ、その状態でオーブンに入れてバインダーを固めて、ガラス繊維のみで略成形品の形状に近い状態で形状を保持し(ニアネットシェイプのプリフォーム)、そのプリフォームを成形型にセットするという方法もある。しかしながら、このプリフォームを作製する作業は手作業であり、均一なプリフォームを作製するには、かなりの熟練を必要とする作業である。また、バインダーによって、ガラス繊維を固定するため、バインダーが樹脂の含浸を阻害する場合もある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
これら従来の熱硬化性複合材料の成形方法は極めて労働集約的な作業である上に、有機溶剤の臭気や強化繊維の飛散により、劣悪な作業環境である。また、手作業に依存する作業が多く、作業者の熟練度によって、成形品の性能がばらつくという問題もある。さらには、有機溶剤を使用するので、作業者の健康を害する恐れがあるばかりでなく、自然環境に対しても悪影響を及ぼす危険性がある。
【0010】
本発明は、水上バイクや漁船、遊具、モニュメントなど、従来、熱硬化性複合材料を用いたハンドレイアップ、スプレイアップ、RTMなどの成形方法で成形されていたような比較的大型の成形品を繊維強化熱可塑性複合材料を用いて、巨額の設備投資をしなくても、簡便に成形できる方法および、その成形方法によって得られる繊維強化熱可塑性複合成形品を提供することを課題とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討の結果、繊維強化熱可塑性複合材料を用いることにより有機溶剤に起因する様々な問題を解決できると共に、強化繊維の含有量を高めることが出来、成形品の性能のばらつきも小さいものを提供できることを見出し、遂に本発明を完成するに到った。すなわち、本発明は以下のような構成を有するものである。
(1)強化繊維と、ポリオレフィン系樹脂またはポリアミド系樹脂の熱可塑性樹脂を含有するテープ状プリプレグからなる繊維強化熱可塑性複合材料を用いて得られ成形品の成形方法であって、前記繊維強化熱可塑性複合材料を電気ヒータを設けた金属製の雄型または雌型のオープンモールドに堆積または積層し、シリコンゴム製のシールリブでシールするようにしたシリコンゴム製の耐熱性バッグ材で繊維強化熱可塑性複合材料の表面を含むオープンモールド全体を覆った後、前記バッグ材とオープンモールドの間の空気を排出することにより、バッグ材によって繊維強化熱可塑性複合材料をオープンモールドに密着させた状態で、前記電気ヒータによって熱可塑性樹脂の融点より高い温度に加熱し、成形することを特徴とする繊維強化熱可塑性複合成形品の加熱真空バッグ成形方法。
(2)繊維強化熱可塑性複合材料がテープ状プリプレグを所定の長さに切断した短冊状物を無作為に分散、堆積させ、該堆積させた短冊状物を一体化したシート状材料である前記(1)記載の繊維強化熱可塑性複合成形品の加熱真空バッグ成形方法。
(3)繊維強化熱可塑性複合材料がテープ状プリプレグから得られる織物または多軸積層布である前記(1)記載の繊維強化熱可塑性複合成形品の加熱真空バッグ成形方法。
)強化繊維と、ポリオレフィン系樹脂またはポリアミド系樹脂の熱可塑性樹脂を含有するテープ状プリプレグからなる繊維強化熱可塑性複合材料を用いて得られ成形品であって、前記繊維強化熱可塑性複合材料を電気ヒータを設けた金属製の雄型または雌型のオープンモールドに堆積または積層し、シリコンゴム製のシールリブでシールするようにしたシリコンゴム製の耐熱性バッグ材で繊維強化熱可塑性複合材料の表面を含むオープンモールド全体を覆った後、前記バッグ材とオープンモールドの間の空気を排出することにより、バッグ材によって繊維強化熱可塑性複合材料をオープンモールドに密着させた状態で、前記電気ヒータによって熱可塑性樹脂の融点より高い温度に加熱し、成形して得られることを特徴とする繊維強化熱可塑性複合成形品。
)繊維強化熱可塑性複合成形品が、水上バイク、漁船、遊具及びモニュメントのうちのいずれかである前記()記載の繊維強化熱可塑性複合成形品。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明で用いられる強化繊維としては、ガラス繊維、炭素繊維等の無機繊維、アラミド繊維などの有機繊維等が挙げられる。なかでもガラス繊維は、強度・弾性率と屈曲性に富み、表面処理剤の最適化が容易であり、樹脂との接着性が良好で安価であることから最も好ましい。ガラス繊維にはEガラス(電気用)、Cガラス(耐食用)、Sガラス、Tガラス(高強度・高弾性率)等があるが、使用目的に応じて、適宜選択することができる。
強化繊維束表面には、樹脂との接着性を良好にするためにカップリング剤や、集束性を上げるためのサイジング剤(集束剤)が塗布されていることが望ましい。また樹脂の種類によってこれらの成分を変えることが好ましい。
【0013】
本発明に用いられる熱可塑性樹脂としては、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、ナイロン46に代表されるポリアミド系樹脂、ポリエチレンテレフタレ−トやポリブチレンテレフタレ−トなどのポリエステル系樹脂、ポリエ−テルケトン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエ−テルイミド樹脂、ポリカ−ボネ−ト樹脂などが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。特に耐熱性が要求される分野においては、ポリエステル系樹脂であることが好ましい。また、加水分解防止剤、熱劣化防止剤等の添加剤を目的に応じて添加することができる。
また、コストダウン、耐水性、耐化学薬品性が要求される分野には、ポリオレフィン系樹脂であることが好ましい。さらに耐溶剤性能に優れること、成形条件が広いことからポリプロピレンが望ましい。ポリプロピレンは、その本来持つ特性から強化繊維との接着性に乏しいことが欠点として挙げられていたが、近年、酸変性することにより接着性が改良された。そのため本発明の繊維強化熱可塑性複合材料にポリプロピレンを用いる場合は、このような変性が成されていることが好ましい。
また、耐摩耗性、耐油性が必要な場合にはポリアミド系樹脂が好ましい。吸湿性が問題にならない分野では、ナイロン6であることが望ましい。この場合、例えば酸素雰囲気下で加熱されると酸化劣化を起こすので、これを防止するために酸化劣化防止剤等を目的に応じて添加することができる。
【0014】
本発明で用いられる繊維強化熱可塑性樹脂複合材料は、前記強化繊維および熱可塑性樹脂とを含有するものであるが、その形態としてはテープ状プリプレグが好ましく、例えば、特開平05−177633号公報に記載されているような製造方法で得られるものである。プリプレグ中の強化繊維の体積含有率は30〜60%、好ましくは40〜50%である。体積含有率が30%未満になると補強効果が少なくなり強度の低下を招く。また、体積含有率が60%よりも大きくなると、強化繊維間への樹脂含浸が困難になり、ボイドが発生しやすくなり、やはり強度が逆に低下する。
【0015】
テープ状プリプレグを所定の長さに切断した短冊状物あるいは、該短冊状物を無作為に分散、堆積させ、一体化したシート状材料を使用する場合、その短冊状物の長さは20〜100mmであることが好ましい。20mm未満では、強化繊維全表面積で生じる接着力よりも強化繊維の強度の方が高くなり、強化繊維の強度を十分に利用できない。100mmより長くなると分散性が悪くなり、強化繊維に方向性が出やすくなるため好ましくない。この繊維長の選択は本発明による成形方法を用いて成形する成形品の形状、大きさにより吟味される必要がある。一般的には、より好ましくは30mmから60mmである。
【0016】
本発明で用いられるテープ状プリプレグから得られる織物としては、平織、綾織、朱子織等の織り組織を用いることができる。複雑な形状に沿わせる場合には、綾織が適しており、材料本来の強度・弾性率を活かす場合は、クリンプの少ない朱子織が適している。最も、補強効果を発揮できる形態として多軸積層布を選択することもできるが、これらに限定されるものではない。
また、目的に応じて、テープ、短冊状物、短冊状物から得られるシート状物、織物、多軸積層布などの中から、複数の形態を組み合わせて用いることもできる。
さらに、成形品の剛性を高める目的で、厚みを増すために、成形品の厚み方向の中程に発泡体、ハニカム材、バルサ材などを挟み込んで積層、成形することもできる。
【0017】
次に本発明の成形品を得る方法として、前記繊維強化熱可塑性複合材料を雄型または雌型のオープンモールドに堆積または積層し、耐熱性バッグ材でオープンモールド全体を覆った後、前記バッグ材とオープンモールドの間の空気を排出することにより、バッグ材によって繊維強化熱可塑性複合材料をオープンモールドに密着させた状態で、熱可塑性樹脂の融点より高い温度に加熱し、成形する加熱真空バッグ成形方法を採用することができる。オープンモールドとバッグ材、加熱源で成形できるため、巨額な設備投資を必要とせず、漁船や遊具、モニュメント等の比較的大型の成形品で生産量の少ないものの成形方法として優れている。
本発明で用いられる耐熱性真空バッグ材としては、前記熱可塑性樹脂の成形温度に耐えうる耐熱性が必要である。また、成形後に成形品から容易に離型しうる材料であることが好ましい。具体的には、伸びが大きく、成形品の形状に追随しやすいシリコンゴムが好ましい。
【0018】
本発明で用いられるオープンモールド(以下成形型ともいう)の材質としては、木材、石膏、樹脂、金属等特に限定される物ではないが、加熱源の種類、成形品の大きさ、形状の複雑さ、要求される寸法精度等によって、最適な成形型の材質を選択することができる。例えば、漁船のように成形品サイズの大きなものは、加工性、コストに優れる木材が適している。水上バイクのように、成形品のサイズがそれ程大きくなく、寸法精度が要求される成形品の場合は、アルミ型が適している。また、加熱源によっても成形型の材質は選択されるべきである。加熱源が成形型全体を入れることのできるオーブンである場合、成形型が金属であれば熱容量が大きいため、成形型全体を成形温度にまで昇温するのに時間が掛かるので、断熱性のある材料が好ましい。一方、加熱源が成形型に設けられた循環可能な流路に通される熱媒または、電気ヒーターである場合は、成形型の熱伝導が良くないと成形型の昇温に時間が掛かるばかりでなく、成形型の温度に斑が生じてしまうので、金属材料の方が適している。さらに、加熱源がバッグ材のオープンモールドとは反対側の表面に設置されたフレキシブルな面状発熱体である場合、成形型の材質は、加熱源の熱が奪われにくい断熱性の材料であることが好ましい。
【0019】
成形温度は使用する繊維強化熱可塑性複合材料を構成する熱可塑性樹脂の融点より、数十度高い温度に加熱する。例えば、ポリプロピレンの融点は約170℃であるので、200℃〜230℃程度に加熱する。最適な成形温度は、熱可塑性樹脂の種類によって異なる。本発明に用いる繊維強化熱可塑性複合材料は、あらかじめ強化繊維に熱可塑性樹脂が含浸されているプリプレグを使用するため、強化繊維の含有率は、熱硬化性複合材料のハンドレイアップ成形とは異なり、作業者によって含有率が変化する心配が無い。また、成形の時に含浸する必要が無く、熱可塑性樹脂を溶融し、堆積または、積層した繊維強化熱可塑性複合材料を一体化するだけで良いので、成形時間は極めて短時間で終了する。成形品の肉厚によっても異なるが、概ね数分から長くても数十分の成形時間であり、反応、硬化という工程を必要とする熱硬化性複合材料に比較して、大幅に短縮することができる。さらに、このようにして出来上がった成形品は、あらかじめ強化繊維に熱可塑性樹脂が含浸されているプリプレグを使用するため、成形品の場所によって強化繊維の含有量がばらつくこともなく、また作業者の技量によって成形品の性能がばらつく心配も無く、安定した成形品を得ることができる。
【0020】
本発明に使用する材料は、熱可塑性複合材料であるので、有機溶剤は一切使用する必要がない。作業者の作業環境はもちろんのこと、自然環境にも有害な有機溶剤を放出する心配が全くないクリーンな成形方法である。また、出来上がった成形品も熱可塑性複合材料であることから、粉砕して、再溶融すればリサイクルできるので、産業廃棄物の量を減らすこともできる。
【0021】
【実施例】
以下実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお各評価については以下の通りに行った。曲げ強度、曲げ弾性率はJIS K 7055に準拠して測定した値である。強化繊維の体積含有率は、JIS K 7052に準拠し、成形品から切り出した3g以上の試験片を電子天秤を使用して1mgまで正確に測定し、これを電気炉中で雰囲気温度625℃で、4時間加熱した後、室温になるまで冷却し、焼成後の質量を1mgまで測定した。焼成前後の質量からガラス繊維の重量含有率を算出した。この重量含有率と強化繊維および樹脂の密度から体積含有率を算出した。
【0022】
実施例1
プリプレグテープ(東洋紡績株式会社製クイックフォーム:ガラスロービングにポリプロピレンを含浸させた幅30mmのテープ、強化繊維の体積含有率50%、比重1.72)を35mmに切断した短冊状物を、1000×1000mm、厚さ3mmのアルミ板上に無作為に分散、堆積させ、シリコンゴム製のバッグ材(タイガースポリマー製)で覆い、シリコンゴム製のシールリブでシールし、アルミ板とバッグ材の間の空気を排出した状態で、220℃に加熱した熱風循環オーブンに3分間入れ、短冊状物を一体化した厚さ0.5mmのシート状材料(目付け:860g/m2)を作製した。
このシート状材料を水上バイクのハルの形状をしたアルミ製のオープンモールドの上に6層積層し、その上をシリコンゴム製のバッグ材(タイガースポリマー製)で覆い、シリコンゴム製のシールリブでシールし、オープンモールドとバッグ材の間の空気を排出することにより、上記複合材料をハルの形状に沿わせ、オープンモールドに密着させた。
次に、前記アルミ製のオープンモールドに内蔵した電気ヒーターにより型全体を220℃に昇温し、20分間加熱した後、電気ヒーターの加熱を止め、室温になるまで放冷し、バッグ材を取り除いたところ、ハルの形状を忠実に再現した厚さ3mmの成形品が得られた。得られた成形品の平らな部分から、曲げ試験片を切り出し、曲げ強度および曲げ弾性率を測定した。その結果を表1に示す。
【0023】
実施例2
プリプレグテープ(東洋紡績株式会社製クイックフォーム:ガラスロービングにポリプロピレンを含浸させた幅10mmのテープ)を綾織にした繊維強化熱可塑性複合材料(目付け:500g/m2)を水上バイクのハルの形状をしたアルミ製のオープンモールドの上に10層積層し、その上をシリコンゴム製のバッグ材(タイガースポリマー製)で覆い、シリコンゴム製のシールリブでシールし、オープンモールドとバッグ材の間の空気を排出することにより、上記複合材料をハルの形状に沿わせ、オープンモールドに密着させた。
次に、前記アルミ製のオープンモールドに内蔵した電気ヒーターにより型全体を220℃に昇温し、20分間加熱した後、電気ヒーターの加熱を止め、室温になるまで放冷し、バッグ材を取り除いたところ、ハルの形状を忠実に再現した厚さ3mmの成形品が得られた。
得られた成形品の平らな部分から、曲げ試験片を切り出し、曲げ強度および曲げ弾性率を測定した。その結果を表1に示す。
【0024】
【表1】
Figure 0004959101
【0025】
【発明の効果】
以上、かかる構成よりなる本発明を採用することにより、従来、熱硬化性複合材料を用いたハンドレイアップ、スプレイアップ、RTMなどの成形方法で成形されていたような比較的大型の成形品を、作業環境は勿論のこと、自然環境にも有益な繊維強化熱可塑性複合材料を用いて、巨額の設備投資をしなくても、簡便に成形でき、かつ得られた成形品は、使用後、粉砕、再溶融すればリサイクルできるので、産業廃棄物の量を減らすことができる。また前記複合材料として、あらかじめ強化繊維に熱可塑性樹脂が含浸されているプリプレグを使用することにより、成形の時に含浸する必要が無く、熱可塑性樹脂を溶融し、堆積または、積層した繊維強化熱可塑性複合材料を一体化するだけで良いので、反応、硬化という工程を必要とする熱硬化性複合材料に比較して、大幅に短縮することができる等、産業界に寄与すること大である。

Claims (5)

  1. 強化繊維と、ポリオレフィン系樹脂またはポリアミド系樹脂の熱可塑性樹脂を含有するテープ状プリプレグからなる繊維強化熱可塑性複合材料を用いて得られ成形品の成形方法であって、前記繊維強化熱可塑性複合材料を電気ヒータを設けた金属製の雄型または雌型のオープンモールドに堆積または積層し、シリコンゴム製のシールリブでシールするようにしたシリコンゴム製の耐熱性バッグ材で繊維強化熱可塑性複合材料の表面を含むオープンモールド全体を覆った後、前記バッグ材とオープンモールドの間の空気を排出することにより、バッグ材によって繊維強化熱可塑性複合材料をオープンモールドに密着させた状態で、前記電気ヒータによって熱可塑性樹脂の融点より高い温度に加熱し、成形することを特徴とする繊維強化熱可塑性複合成形品の加熱真空バッグ成形方法。
  2. 繊維強化熱可塑性複合材料がテープ状プリプレグを所定の長さに切断した短冊状物を無作為に分散、堆積させ、該堆積させた短冊状物を一体化したシート状材料である請求項1記載の繊維強化熱可塑性複合成形品の加熱真空バッグ成形方法。
  3. 繊維強化熱可塑性複合材料がテープ状プリプレグから得られる織物または多軸積層布である請求項1記載の繊維強化熱可塑性複合成形品の加熱真空バッグ成形方法。
  4. 強化繊維と、ポリオレフィン系樹脂またはポリアミド系樹脂の熱可塑性樹脂を含有するテープ状プリプレグからなる繊維強化熱可塑性複合材料を用いて得られ成形品であって、前記繊維強化熱可塑性複合材料を電気ヒータを設けた金属製の雄型または雌型のオープンモールドに堆積または積層し、シリコンゴム製のシールリブでシールするようにしたシリコンゴム製の耐熱性バッグ材で繊維強化熱可塑性複合材料の表面を含むオープンモールド全体を覆った後、前記バッグ材とオープンモールドの間の空気を排出することにより、バッグ材によって繊維強化熱可塑性複合材料をオープンモールドに密着させた状態で、前記電気ヒータによって熱可塑性樹脂の融点より高い温度に加熱し、成形して得られることを特徴とする繊維強化熱可塑性複合成形品。
  5. 繊維強化熱可塑性複合成形品が、水上バイク、漁船、遊具及びモニュメントのうちのいずれかである請求項記載の繊維強化熱可塑性複合成形品。
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