以下、図1から図14を参照し、本発明の一実施形態に係る鉄筋ユニット先組装置について説明する。本実施形態は、例えばマンションやオフィスビルなどの建築物を施工する際に、施工現場内や施工現場近傍に設けたヤードで柱や梁などの鉄筋を所定の大きさのユニットごとに効率的に先組みするための鉄筋ユニット先組装置に関するものである。なお、本実施形態においては、柱の鉄筋ユニットを先組みするものとして説明を行う。
本実施形態の鉄筋ユニット先組装置Aは、図1から図3に示すように、上載された直棒状の複数の主筋1を横方向に搬送する主筋搬送基台2と、主筋搬送基台2で搬送した主筋1の搬送方向M先端1a側と後端1b側をそれぞれ仮受け支持するとともに上下方向の所定位置に搬送する一対の主筋搬送用リフタ3(3a、3b)と、例えば鉄筋を曲げ加工して方形状や円形状の略環状に形成した複数のフープ筋(せん断補強筋)を仮受け支持するフープ筋仮受けスタンド(せん断補強筋仮受けスタンド)4と、主筋搬送用リフタ3で上下方向の所定位置に搬送した主筋1の後端1b側を仮受け支持する主筋後端仮受けスタンド5と、主筋搬送用リフタ3で上下方向の所定位置に搬送した主筋1の先端1a側を支持する主筋先端支持手段6とを備えて構成されている。
主筋搬送基台2は、間隔をあけて平行に並設された一対のH形鋼からなる搬送基台本体2aと、この搬送基台本体2aに回転自在に取り付けられて主筋1を横方向に搬送する複数のローラ(搬送手段)2bとを備えて構成されている。複数のローラ2bは、主筋搬送基台2の軸線O1方向(横方向、主筋1の搬送方向M)一端から他端までの間に所定の間隔をあけて配設されている。また、複数のローラ2bはそれぞれ、両端部が搬送基台本体2aの一対のH形鋼にそれぞれ取り付けられた軸受けに回転自在に支持され、回転軸線を主筋搬送基台2の軸線O1に直交させて設けられている。そして、この主筋搬送基台2は、複数の主筋1がその延設方向を主筋搬送基台2の軸線O1方向に配した状態で複数のローラ2b上に載置され、鉄筋工がこれら主筋1をローラ2bの回転によって人力で主筋搬送基台2の軸線O1方向に(搬送方向M前方に向けて)容易に搬送して主筋搬送基台2の前方に送り出すことができるように構成されている。
一対の主筋搬送用リフタ3は、主筋搬送基台2に対し主筋1の搬送方向(横方向)M前方側に設けられており、一方の主筋搬送用リフタ3aが主筋搬送基台2の搬送方向M前方側の一端よりも僅かに前方に配置され、他方の主筋搬送用リフタ3bが一方の主筋搬送用リフタ3aに対し間隔をあけてさらに前方に配置されている。また、これら一対の主筋搬送用リフタ3a、3bはそれぞれ、図2及び図3に示すように、リフタ本体3cと、主筋搬送基台2で搬送した主筋1を仮受け支持し、リフタ本体3cの駆動によって上下方向に昇降する昇降部3dとを備えて構成されている。さらに、本実施形態において、昇降部3dは、主筋1の搬送方向(横方向)Mに対しその回転軸線を直交させて両端部が軸受けに回転自在に支持されたローラ3eを備えている。そして、このように構成した一対の主筋搬送用リフタ3a、3bは、主筋搬送基台2で搬送した主筋1の先端1a側を他方の主筋搬送用リフタ3bの昇降部3d(ローラ3e)で、後端1b側を一方の主筋搬送用リフタ3aの昇降部3d(ローラ3e)でそれぞれ仮受け支持し、各リフタ本体3cの同期した駆動によって各昇降部3dが同期して上下方向に昇降し、主筋1を機械的に上下方向に(上方に)搬送する。また、各昇降部3dのローラ3eに上載されて主筋1が仮受け支持されることで、鉄筋工がこの主筋1をローラ3eの回転によって人力で横方向Mにも容易に搬送できるように構成されている。
フープ筋仮受けスタンド4は、一対の主筋搬送用リフタ3a、3bの間に設置され、複数のフープ筋7(図5参照)を懸架状態で仮受け支持するフープ筋仮受け支持部(補強筋仮受け支持部)4aと、このフープ筋仮受け支持部4aの両端部をそれぞれ、上下方向に進退自在且つ着脱可能に支持する支柱ガイド部4bを有する一対のフープ筋仮受けスタンド本体(補強筋仮受けスタンド本体)4cとを備えて構成されている。一対のフープ筋仮受けスタンド本体4cは、主筋搬送基台2の軸線O1の延長線を挟んで、この延長線に直交する方向(主筋1の搬送方向(横方向)Mに直交する方向)に対向配置されている。また、フープ筋仮受け支持部4aは、両端部がそれぞれ一対のフープ筋仮受けスタンド本体4cの各支柱ガイド部4bに上下方向に進退自在に支持されて、これら支柱ガイド部4bを架け渡すように設けられている。さらに、フープ筋仮受け支持部4aには、各支柱ガイド部4bの間に位置する中央部側に、主筋搬送基台2の軸線O1の延長線に沿って、主筋1の搬送方向M前方側と後方側にそれぞれ延設された支持アーム4dが設けられている。そして、両支持アーム4dのそれぞれに引っ掛けて、複数のフープ筋7が懸架状態で仮受け支持される。このとき、図5に示すように、フープ筋仮受け支持部4aを進退させてその上下位置を調整することにより、主筋搬送基台2から一対の主筋搬送用リフタ3a、3bに主筋1を搬送して仮受け支持させる際にこの主筋1が複数のフープ筋7の内側を挿通するように、複数のフープ筋7が上下の所定位置で仮受け支持される。
さらに、本実施形態において、フープ筋仮受けスタンド4には、図3に示すように、一対のフープ筋仮受けスタンド本体4cの各支柱ガイド部4bに上下方向に進退自在に支持された一対の支持棒保持部4eと、一対の支持棒保持部4eのそれぞれに両端部が着脱可能に保持され、両支柱ガイド部4bを架け渡すように設けられる支持棒4fとからなる主筋支持部4gが設けられている。また、一対の支持棒保持部4eにそれぞれ、上端から下端に向けて凹む凹部が形成されており、凹部に支持棒4fの端部を嵌合させることによって、両支柱ガイド部4bを架け渡すように支持棒4fが着脱可能に設けられる。そして、主筋支持部4gは、フープ筋仮受け支持部4aの下方に配置され、一対の支持棒保持部4eを進退させてその上下位置を調整するとともにこれら一対の支持棒保持部4eに架け渡した支持棒4fで、後述する最上段の所定位置に配置された主筋(最上段の主筋1c、図8参照)を支持する。
主筋後端仮受けスタンド5は、図2及び図3に示すように、主筋搬送基台2の軸線O1方向一端(主筋1の搬送方向M前方側の一端)側で、且つ一方の主筋搬送用リフタ3aよりも主筋1の搬送方向M後方側に設置されている。また、主筋後端仮受けスタンド5は、複数の主筋1の後端1b側をそれぞれ仮受け支持する複数の主筋仮受け支持部5aと、各主筋仮受け支持部5aを上下方向に進退自在に支持する支柱ガイド部5bを有する一対の主筋仮受けスタンド本体5cとを備えて構成されている。一対の主筋仮受けスタンド本体5cは、主筋搬送基台2の軸線O1を挟んで、この軸線O1に直交する方向(主筋1の搬送方向(横方向)Mに直交する方向)に対向配置されている。
また、主筋仮受け支持部5aは、一対の主筋仮受けスタンド本体5cの各支柱ガイド部5bに上下方向に進退自在に支持された一対の支持棒保持部5dと、一対の支持棒保持部5dのそれぞれに両端部が着脱可能に保持され、両支柱ガイド部5bを架け渡すように設けられる支持棒5eとを備えて構成されている。さらに、一対の支持棒保持部5dにそれぞれ、上端から下端に向けて凹む凹部が形成されており、凹部に支持棒5eの端部を嵌合させることによって、両支柱ガイド部5cを架け渡すように支持棒5eが着脱可能に設けられる。そして、主筋仮受け支持部5aは、一対の支持棒保持部5dを進退させてその上下位置を調整するとともにこれら一対の支持棒保持部5dに架け渡した支持棒5eで、上下方向の所定位置に配された主筋1を支持する。
主筋先端支持手段6は、他方の主筋搬送用リフタ3bよりも主筋1の搬送方向M前方側に設置されており、スリーブユニット10を支持する基台6aと、スリーブユニット10を反転させるための反転用リフタ6bとを備えて構成されている。
基台6aは、それぞれ、間隔をあけて平行に並設された一対のH形鋼からなる第1基台部6cと第2基台部6dで構成されている。また、第1基台部6cと第2基台部6dは、互いの軸線を同軸上に配した状態で、且つ主筋搬送基台2の軸線O1と互いの軸線を同軸上に配した状態で、軸線方向に所定の間隔をあけて並設されている。さらに、主筋1の搬送方向(横方向)M後方側に設けられた第1基台部6cには、図3に示すように、第2基台部6d側(主筋1の搬送方向M前方側)の端部に回動支持部6eが設けられ、この回動支持部6eは、詳細を後述するスリーブユニット10の支持盤(柱の鉄筋ユニットの下端枠)10aの一側端が着脱可能に接続されて、このスリーブユニット10(支持盤10a)を回動可能に支持している。また、回動支持部6eは、その回動軸線が第1基台部6cの軸線に直交するように設けられ、支持盤10aの一面10bが上方を向く水平姿勢から主筋1の先端1aに対向する垂直姿勢(支持盤10aの一面10bが主筋1の搬送方向M後方側を向く垂直姿勢、図3に示した状態)となるように、すなわち、支持盤10a(スリーブユニット10)を水平から垂直の90度の範囲で回動(反転)させるように構成されている。また、このとき、支持盤10aは、第2基台部6dの上面に支持盤10aの他面に設けた当接部10cが当接して支持されることにより水平姿勢が保持される。
反転用リフタ6bは、図2及び図3に示すように、第1基台部6cと第2基台部6dの間に配置されており、リフタ本体6fと、リフタ本体6fの駆動によって上下方向に昇降する昇降部6gとを備えて構成されている。そして、反転用リフタ6bは、リフタ本体6fの駆動に従って上昇する昇降部6gによって、水平姿勢のスリーブユニット10の支持盤10aの下面(他面)が押圧され、この昇降部6gで支持しながら順次スリーブユニット10を水平姿勢から垂直姿勢となるように反転(回動)させる。また、昇降部6gには、主筋1の搬送方向M後方側に向けて突出するガイド支持部6hが設けられており、スリーブユニット10を水平姿勢から垂直姿勢に反転させる際に、順次傾動する支持盤10aをガイド支持部6hが押圧して垂直姿勢に反転させた段階で、このガイド支持部6hが当接することによって、スリーブユニット10が反転用リフタ6bで支持されスリーブユニット10の垂直姿勢が保持される。
ここで、本実施形態のスリーブユニット10は、図3に示すように、柱の鉄筋ユニットの下端を形成する平盤状の支持盤10aと、支持盤10aの一面10b(水平姿勢において上方を向く面、上面)の所定位置に、固定治具を用いるなどして着脱可能に取り付けられた複数の鉄筋ジョイント用のスリーブ10dと、支持盤10aの一面10bに直交する方向に突設したこれら複数のスリーブ10dを囲繞するように、スリーブ10dの突設方向に所定の間隔をあけて設置された複数のフープ筋7とを備えて構成されている。
そして、上記のように構成した本実施形態の主筋先端支持手段6は、反転用リフタ6bで反転させ垂直姿勢にしたスリーブユニット10のスリーブ10dに、主筋搬送用リフタ3で仮受け支持した主筋1の先端1aを嵌合させることにより、この主筋1の先端1a側を支持する。
ついで、上記構成からなる鉄筋ユニット先組装置Aを用いて柱の鉄筋ユニットを先組みする方法を説明するとともに、本実施形態の鉄筋ユニット先組装置Aの作用及び効果を説明する。
本実施形態では、鉄筋ユニット先組装置Aを用い、この鉄筋ユニット先組装置A内でスリーブユニット10の組立てを行う。このスリーブユニット10の組立作業は、主筋先端支持手段6で行われ、はじめに、図4に示すように、反転用リフタ6bの昇降部6gを降下させた状態で、支持盤(柱の鉄筋ユニットの下端枠)10aの一側端を第1基台部6cの回動支持部6eに接続し、支持盤10aの他面(下面)10eに設けた当接部10cを第2基台部6dの上面に当接させ、支持盤10aを水平姿勢で保持する。そして、支持盤10aの一面(上面)10bにコンクリートの付着を防止するための剥離材を塗布するとともに所定位置に固定治具を用いるなどしてスリーブ10dを着脱可能に取り付ける。
このようにスリーブ10dを取り付けた段階で、図5に示すように、複数のスリーブ10dを囲繞するようにフープ筋7を所定の間隔で配置してスリーブ10dに結束する。これにより、スリーブユニット10の組立てが完了する。また、このようにスリーブユニット10の組立作業を行うとともに、例えばクレーンなどを用い、あるいは鉄筋工による人力で主筋搬送基台2のローラ2b上に複数の主筋1を載置する。さらに、フープ筋仮受けスタンド4のフープ筋仮受け支持部4aを一対のフープ筋仮受けスタンド本体4cの支柱ガイド部4bに沿って進退させて、このフープ筋仮受け支持部4aの上下位置を所定位置に調整するとともに、両支持アーム4dに複数のフープ筋7を引っ掛けて懸架状態で仮受け支持させる。なお、この段階において、フープ筋仮受けスタンド4の主筋支持部4gの支持棒4f、主筋後端仮受けスタンド5の主筋仮受け支持部5aの支持棒5eを、各スタンド4、5の支持棒保持部4e、5dから取り外しておく。
ついで、図6に示すように、反転用リフタ6bのリフタ本体6fを駆動して水平姿勢のスリーブユニット10を垂直姿勢に反転させる。このとき、リフタ本体6fを駆動し昇降部6gを上昇させると、この昇降部6gによってスリーブユニット10の支持盤10aの下面(他面)10eが押圧され、これとともに支持盤10aが回動支持部6eの回動軸線回りに回動する。そして、順次昇降部6gが上昇し、スリーブユニット10の支持盤10aが傾動するとともに、支持盤10aの下面10eをガイド支持部6hが押圧し、支持盤10aの上面(一面)10bが垂直になった段階で回動が停止する。このように回動が停止した段階で、スリーブユニット10が垂直姿勢に反転され、ガイド支持部6hを介して反転用リフタ6bで支持され、その垂直姿勢が保持される。そして、このようにスリーブユニット10を垂直姿勢に反転させた状態で、スリーブ10dがその延設方向を主筋搬送基台2の軸線O1方向に沿うように配置され、このスリーブ10dの開口が主筋1の搬送方向M後方側に向けられる。これにより、従来、別途組み立てたスリーブユニット10をクレーンなどで搬送したり、反転させたりしていた作業を無くして、スリーブユニット10が所定位置に配置される。
スリーブユニット10を垂直姿勢の所定位置に配置した段階で、図7に示すように、一対の主筋搬送用リフタ3a、3bのリフタ本体3cを同期して駆動し、それぞれの昇降部3dを、主筋搬送基台2から搬送されてくる主筋1を受け入れて仮受け支持することが可能な所定位置まで上昇させる。また、これとともに、主筋搬送基台2のローラ2b上に載置された主筋1を横方向に搬送し、主筋搬送基台2から順次前方に送り出される主筋1を一方の主筋搬送用リフタ3aや他方の主筋搬送用リフタ3bのローラ3eで支持しながら、且つこのローラ3eの回転によって、前方に搬送する。そして、主筋1の先端1a側を他方の主筋搬送用リフタ3bのローラ3eで、主筋1の後端1b側を一方の主筋搬送用リフタ3aのローラ3eでそれぞれ仮受け支持させる。
このとき、鉄筋工が人力で主筋1を搬送することになるが、主筋搬送基台2のローラ2bの回転によって主筋1を搬送することになり、さらに主筋搬送基台2から順次前方に送り出される主筋1を一方の主筋搬送用リフタ3aや他方の主筋搬送用リフタ3bのローラ3eで支持しながら、且つこのローラ3eの回転によって前方に搬送されるため、鉄筋工の負荷を軽減して主筋1が横方向の所定位置に容易に搬送される。また、フープ筋仮受けスタンド4のフープ筋仮受け支持部4aの上下位置が所定位置に調整されているため、主筋搬送基台2から主筋1を搬送方向M前方に向けて搬送するとともに、この主筋1が支持アーム4dに懸架状態で仮受け支持されている複数のフープ筋7の内側に挿通される。
ついで、図8に示すように、一対の主筋搬送用リフタ3a、3bのリフタ本体3cを同期して駆動し各昇降部3dをさらに上昇させ、これら昇降部3dのローラ3eで支持した主筋1を上方に搬送し、この主筋1(最上段の主筋1c)をスリーブユニット10の最上段のスリーブ10d(10f)と水平方向の同位置に配置する。このとき、フープ筋仮受けスタンド4のフープ筋仮受け支持部4aの上下位置が所定位置に調整されているため、支持アーム4dに懸架状態で仮受け支持されているフープ筋7が邪魔になるようなことはなく、フープ筋7の内側を移動して確実に最上段の主筋1c(1)が最上段のスリーブ10f(10d)と水平方向の同位置に配置される。これにより、従来のように最上段の主筋1c(1)を上方に搬送するとともにこの主筋1cで支持して複数のフープ筋7を上方に搬送する必要がなく、主筋1cに変形が生じるおそれがない。
このように主筋1(最上段の主筋1c)を一対の主筋搬送用リフタ3a、3bによって上下方向の所定位置に配置した段階で、図9に示すように、この主筋1を鉄筋工が人力で横方向に移動させ、先端1aを最上段のスリーブ10d(10f)に嵌合させる。このとき、スリーブユニット10が垂直姿勢で保持されているため、すなわち、スリーブ10dがその延設方向を主筋搬送基台2の軸線O1方向に沿うように配置され、且つこのスリーブ10dの開口が主筋1の搬送方向M後方側に向けられているため、容易に主筋1の先端1aがスリーブ10dに嵌合される。さらに、各昇降部3dのローラ3eに上載されて主筋1が仮受け支持されているため、鉄筋工が人力で主筋1を横方向に搬送する場合においても、ローラ3eの回転によって容易に主筋1を搬送して、容易に先端1aとスリーブ10dの嵌合が行える。そして、このように主筋1の先端1aをスリーブ10dに嵌合させることにより、主筋1が容易に位置決めされるとともに、主筋1の先端1a側が主筋先端支持手段6で支持される。
また、最上段の主筋1c(1)の先端1a側を主筋先端支持手段6で支持させた段階で、フープ筋仮受けスタンド4の支持アーム4dに仮受け支持されている複数のフープ筋7を支持アーム4dから降ろし、先端1a側が主筋先端支持手段6及び他方の主筋搬送用リフタ3bで、後端1b側が一方の主筋搬送用リフタ3aでそれぞれ支持された最上段の主筋1c(1)によって複数のフープ筋7を懸架状態で支持させる。
ここで、スリーブユニット10のスリーブ10dに主筋1の先端1aを嵌合して互いを接続するとともに、スリーブ10d内にグラウト材を注入するなどして確実に主筋1とスリーブ10dとを一体化させる。なお、スリーブ10d内に主筋1の先端1aを螺合させることによって互いを一体化させるようにしてもよい。
ついで、図10に示すように、フープ筋仮受けスタンド4のフープ筋仮受け支持部4aを一対のフープ筋仮受けスタンド本体4cの各支柱ガイド部4bから取り除くとともに、主筋支持部4gの一対の支持棒保持部4eのそれぞれの凹部に端部を嵌合させて、支持棒4fを一対の支柱ガイド部4bを架け渡すように設置する。そして、一対の支持棒保持部4eを支柱ガイド部4bに沿って上方に移動し、支持棒4fが最上段の主筋1c(1)に接触する位置で一対の支持棒保持部4eを固定する。
また、これとともに、主筋後端仮受けスタンド5の主筋仮受け支持部5aの一対の支持棒保持部5dに、それぞれの凹部に端部を嵌合させて支持棒5eを取り付ける。これにより、支持棒5eが一対の主筋仮受けスタンド本体5cの支柱ガイド部5bを架け渡すように設置される。そして、一対の支持棒保持部5dを支柱ガイド部5bに沿って上方に移動し、支持棒5eを最上段の主筋1c(1)に接触する位置で固定する。
そして、このように、先端1aが最上段のスリーブ10d(10f)に接続した最上段の主筋1c(1)の中央部側にフープ筋仮受けスタンド4の主筋支持部4gの支持棒4fを接触させ、この主筋1c(1)の後端1b側に主筋後端仮受けスタンド5の最上段の主筋仮受け支持部5aの支持棒5eを接触させた段階で、図11に示すように、一対の主筋搬送用リフタ3a、3bのリフタ本体3cを駆動して、それぞれの昇降部3dを主筋搬送基台2で搬送する主筋1を受け入れ可能な位置まで降下させる。これにより、一対の主筋搬送用リフタ3a、3bの昇降部3d(ローラ3e)による最上段の主筋1c(1)の支持状態が解除され、これとともに、この主筋1c(1)の先端1a側が主筋先端支持手段6に、後端1b側が主筋後端仮受けスタンド5に、中央部側がフープ筋仮受けスタンド4にそれぞれ支持されて、最上段の主筋1c(1)が複数のフープ筋7を懸架した状態で支持される。また、このとき、中央部側がフープ筋仮受けスタンド4で支持されているため、複数のフープ筋7を懸架状態で支持する主筋1c(1)に変形が生じるおそれはない。
また、このようにフープ筋仮受けスタンド4と主筋後端仮受けスタンド5で最上段の主筋1c(1)を支持させるとともに、一対の主筋搬送用リフタ3a、3bの降下した昇降部3dに、前述と同様に主筋搬送基台2から搬送した主筋1を仮受け支持させる。そして、図12に示すように、再度一対の主筋搬送用リフタ3a、3bの昇降部3dを上昇させ、仮受け支持した主筋1を上方から二段目のスリーブ10dと水平方向の同位置に配置し、このスリーブ10dに先端1aを嵌合させて主筋1を位置決めする。これとともに、主筋後端仮受けスタンド5の上方から二段目の主筋仮受け支持部5aの一対の支持棒保持部5dに支持棒5eを取り付け、一対の支持棒保持部5dを支柱ガイド部5bに沿って上方に移動し、この支持棒5eを二段目に設置した主筋1に接触させた状態で一対の支持棒保持部5dを支柱ガイド部5bに固定する。そして、一対の主筋搬送用リフタ3a、3bの昇降部3dを主筋搬送基台2で搬送する主筋1を受け入れ可能な位置まで降下させ、二段目の主筋1をスリーブ10dと主筋後端仮受けスタンド5で支持させる。
このような操作を順次上段から下段に繰り返し行うことにより、図13に示すように、主筋先端支持手段6のスリーブ10dに先端1a側が接続して支持されて位置決めされ、後端1b側が主筋後端仮受けスタンド5に支持されて、全ての主筋1がフープ筋7の内側に挿通した状態で設置される。
ついで、図14に示すように、最上段の主筋1c(1)に懸架状態で支持されている複数のフープ筋7を所定の間隔で割り付けて配置するとともに各主筋1と結束する。これにより、鉄筋ユニット12が完成し先組作業が完了する。なお、このように先組みした鉄筋ユニット12は、クレーンなどで支持させつつフープ筋仮受けスタンド4、主筋後端仮受けスタンド5の各支持棒4f、5eを取り除き、スリーブユニット10の支持盤10aを回動支持部6eから取り外して分離し、クレーンなどで建築物の所定位置に搬送、設置される。
したがって、本実施形態の鉄筋ユニット先組装置Aにおいては、上載した複数の主筋1を主筋搬送基台2で横方向に搬送し、フープ筋仮受けスタンド4で仮受け支持した複数のフープ筋7に挿通させて一対の主筋搬送用リフタ3a、3bで仮受け支持した主筋1を上下方向の所定位置に搬送し、先端1a側を主筋先端支持手段6で、後端1b側を主筋後端仮受けスタンド5でそれぞれ仮受け支持させるとともに、一対の主筋搬送用リフタ3a、3bの主筋1の仮受け支持状態を解除する。このような操作を上段の主筋1から順次行ってゆくことにより、複数の主筋1を所定位置に配置することができる。
また、このように複数の主筋1を所定位置に配置した段階で、フープ筋仮受けスタンド4で仮受け支持した複数のフープ筋7をフープ筋仮受けスタンド4から降ろしてそれぞれ所定位置に割り付け、複数の主筋1に結束することにより鉄筋ユニット12を先組みすることが可能になる。
そして、このように鉄筋ユニット12を先組みする際に、主筋搬送基台2で搬送した主筋1を仮受け支持する主筋搬送用リフタ3(3a、3b)が上下方向に主筋1を搬送するように、すなわち主筋搬送用リフタ3(3a、3b)が上下方向に昇降するように構成されているため、この主筋搬送用リフタ3(3a、3b)の上下方向の高さ位置を予め調整しておくことで、主筋搬送用リフタ3(3a、3b)で仮受けしながら主筋搬送基台2から主筋1を送り出して横方向の所定位置に配置することができる。
また、複数のフープ筋7をフープ筋仮受けスタンド4に懸架状態で仮受け支持することによって、従来のように主筋1(最上段の主筋1c)を上方に搬送するとともにこの主筋1で支持して複数のフープ筋7を上方に搬送する必要がなく、主筋1に変形が生じるおそれがない。さらに、本実施形態のように、主筋搬送基台2、一対の主筋搬送用リフタ3、フープ筋仮受けスタンド4、主筋後端仮受けスタンド5、主筋先端支持手段6がそれぞれ個別に形成されていることで、設置間隔を自在に調整することができ、主筋1の長さひいては鉄筋ユニット12の長さに柔軟に対応することが可能である。
また、本実施形態のように、主筋先端支持手段6がスリーブユニット10を反転させて支持する反転用リフタ6bを備えて構成されていることにより、支持盤10aに複数のスリーブ10dを着脱可能に取り付けて組み立てたスリーブユニット10を反転用リフタ6bで反転させて支持し、主筋搬送用リフタ3で上下方向の所定位置に搬送した主筋1の先端1aをスリーブ10dに嵌合させることで支持することができ、鉄筋ジョイント用のスリーブ10d(スリーブユニット10)の取付作業を鉄筋(主筋1、フープ筋7)の先組作業と一緒に行うことが可能になる。また、水平姿勢の支持盤10aにスリーブ10dを取り付けて鉄筋ユニット先組装置A内(主筋先端支持手段6内)でスリーブユニット10を組み立てるとともに、反転用リフタ6bで反転させるようにしたことで、スリーブユニット10の組立作業をも一緒に行うことが可能になる。これにより、従来、別途組み立てたスリーブユニット10をクレーンなどで所定位置に搬送したり、反転させたりしていた作業を無くすことができ、鉄筋工の負担をさらに軽減することが可能になる。
さらに、主筋搬送基台2に搬送手段としてローラ2bが具備されていることで、このローラ2bによって確実且つ容易に主筋1を横方向に搬送することが可能になり、確実に鉄筋工の負担を軽減することができる。
また、一対の主筋搬送用リフタ3がそれぞれ、リフタ本体3dと、このリフタ本体3dの駆動によって昇降するローラ3eとを備えていることにより、一対の主筋搬送用リフタ3で上下方向の所定位置に主筋1を搬送するとともに、この主筋1をローラ3eによって容易に横方向に搬送することができる。これにより、主筋1の横方向の位置決めを容易に行うことが可能になるとともに、主筋1の先端1a側を主筋先端支持手段6で、主筋1の後端1b側を主筋後端仮受けスタンド5でそれぞれ容易に仮受け支持させることが可能になる。
さらに、フープ筋仮受けスタンド4が、複数のフープ筋7を仮受け支持するフープ筋仮受け支持部4aと、このフープ筋仮受け支持部4aを上下方向に進退自在に支持するフープ筋仮受けスタンド本体4cとを備えて構成されることにより、フープ筋仮受け支持部4aの上下方向の位置を容易に調整することができ、主筋搬送基台2で主筋1を横方向に搬送し、主筋1を複数のフープ筋7に挿通させる際や、一対の主筋搬送用リフタ3で上下方向の所定位置に最上段の主筋1c(1)を搬送する際に、好適な位置に容易にフープ筋仮受け支持部4aひいてはフープ筋7を配置することが可能になる。
また、主筋後端仮受けスタンド5が、主筋仮受け支持部5aと、この主筋仮受け支持部5aを上下方向に進退自在に支持する一対の主筋仮受けスタンド本体5cとを備えていることにより、主筋仮受け支持部5aの上下位置を容易に調整することができ、一対の主筋搬送用リフタ3で所定位置に配置した各主筋1の位置に主筋仮受け支持部4aの位置を合わせるという簡便な操作で、複数の主筋1のそれぞれの後端1b側を支持することが可能になる。
よって、本実施形態の鉄筋ユニット先組装置Aによれば、主筋1の横方向の搬送、上下方向の搬送、位置決めといった作業を機械的に行うことが可能になり、鉄筋工がフープ筋7の割り付けや主筋1とフープ筋7の結束などの軽作業を行って、好適に鉄筋ユニット12を先組みすることが可能になり、確実に鉄筋工の負担を軽減して鉄筋ユニット12の先組作業の効率化を図ることが可能になる。
以上、本発明に係る鉄筋の先組装置の実施形態について説明したが、本発明は上記の一実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、本実施形態では、柱の鉄筋ユニット12を先組みするものして説明を行ったが、本発明に係る鉄筋ユニット先組装置は、梁の鉄筋ユニットを先組みするために用いられてもよい。この場合には、例えばU字状のスターラップ(せん断補強筋)をせん断補強筋仮受けスタンド4の支持アーム4dに懸架状態で仮受け支持させることにより、本実施形態と同様に鉄筋ユニットを先組みすることができる。なお、本発明においては、このような鉄筋を折り曲げ加工してU字状に形成したスターラップも略環状のせん断補強筋に含まれ、所定位置に配置した複数の主筋1を囲繞するように曲げ加工して形成され、その内側に主筋1を挿通させるようにせん断補強筋仮受けスタンド4に懸架状態で仮受け支持することが可能であれば、本発明に係る略環状のせん断補強筋に含まれる。
また、本実施形態では、主筋先端支持手段6内でスリーブユニット10の組立てを行い、反転用リフタ6bで水平姿勢のスリーブユニット10を垂直姿勢に反転し、このスリーブユニット10のスリーブ10dに主筋1の先端1aを嵌合させることによって、主筋1の先端1a側を支持するものとしたが、本発明に係る主筋先端支持手段は、主筋1を所定位置に配置するとともにこの主筋1の先端1a側を支持することが可能であれば、例えば主筋後端仮受けスタンド5と同様に構成したものを主筋先端支持手段としてもよく、必ずしも反転用リフタ6bを備えていなくてもよい。また、反転用リフタ6bを備えて主筋先端支持手段を構成した場合においても、必ずしもこの主筋先端支持手段内でスリーブユニット10の組み立てを行わなくてもよく、別途組み立てたスリーブユニット10を搬送して、支持盤10aの一側端を回動支持部6eに繋げて設置し、反転用リフタ6bによって本実施形態と同様にこのスリーブユニット10を反転して、主筋1と接続するようにしてもよい。
さらに、本実施形態では、主筋搬送基台2の搬送手段がローラ2bであるものとして説明を行ったが、搬送手段は、鉄筋工の負荷を軽減して主筋1を横方向に搬送可能であれば、例えば搬送基台本体2a上に走行可能に設けられた台車や、ローラを備えた台車など、他の搬送手段であってもよい。