JP4956633B2 - 再生アクリル材およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、アクリル樹脂製の廃材を原料として作られる再生アクリル材と、その再生アクリル材の製造方法とに関する。
従来、資源の有効利用の観点から、プラスチック廃材を再利用して新たな製品を作る技術が種々提案されている。例えば、特許文献1(特公昭63−35404号公報)は、熱硬化性樹脂、特にポリウレタン樹脂廃材から成形品を成形する方法を開示する。この方法では、熱硬化性樹脂廃材を破砕して原料粒を得るとともに、この原料粒と接着剤とを混合し、しかる後に成形型に導入し加熱加圧して所定形状に成形し、成形品を得ている。
特許文献2(特開平4−7104号公報)は、廃プラスチック再生材の製造方法を開示する。この方法では、廃プラスチックを破砕して粗粒および細粒とした充填材と、廃プラスチックを粉砕して細粉とした成形用樹脂とを混合した後、加熱かつ加圧成形して再生材を得ている。なお、特許文献2には、プラスチックとして、フェノール樹脂、ポリエチレン、ナイロン、発泡スチロールがあげられている。
特許文献3(特開平9−109164号公報)は、カーペット廃材熱プレス成形品及びその製造方法を開示する。この方法では、カーペット繊維をもつ表層部と、表層部の裏面に裏打ちされた熱可塑性樹脂を含む裏打層とを備えたカーペット廃材を用い、カーペット廃材を破砕した破砕片の集合体を容器のキャビティにセットし、加熱後に加圧成形してカーペット廃材熱プレス成形品を得ている。なお、特許文献3には、裏打層における熱可塑性樹脂として、ポリエチレン、(EVA+炭酸カルシウム)、ポリプロピレンが例示されている。
特公昭63−35404号公報(特許請求の範囲) 特開平4−7104号公報(特許請求の範囲など) 特開平9−109164号公報(要約、段落0012など)
従来の樹脂廃材の再生技術を展望する限り、アクリル樹脂廃材の再利用を図ったものは見当たらない。また、特許文献1のように、ポリウレタン樹脂廃材だけでなく接着剤を併用する技術では、接着剤の併用により、再生品の化学的性質がポリウレタン本来の性質からかけ離れてしまうおそれがある。更に、特許文献2では、充填材(樹脂)と成形用樹脂とを混合して用いるため、単一種の樹脂からなる廃プラスチック再生材を得ることができない。同様に、特許文献3のプレス成形品も、複数の樹脂の混合物からなっている。
本発明の目的は、アクリル樹脂廃材を再生利用した再生アクリル材を提供することにある。また、アクリル樹脂廃材を再生利用する際に、追加の添加剤等のアクリル樹脂以外の成分を併用することなく、アクリル樹脂本来の化学的性質そのままの再生アクリル材を製造することができる再生アクリル材の製造方法を提供することにある。
請求項1の発明は、
アクリル樹脂製の廃材を粉砕して粒状の粉砕片を得る粉砕工程と、
前記粉砕工程の後に、前記粒状の粉砕片をふるいにかけて、直径8mmの孔を通過する一方で直径3mmの孔を通過しないような大きさの粉砕片を選別する選別工程と、
前記選別工程で選別された粒状の粉砕片を第1の金属板上に所定の厚さで敷き詰め、その第1の金属板と共に加熱炉にて220℃〜240℃の炉内温度で加熱することにより、各粉砕片の表面部のみを溶融または軟化させる加熱工程と、
前記加熱炉から取り出した第1の金属板上の粉砕片の上に第2の金属板を載せ、これらをプレス機にセットし、前記第1および第2の金属板間において加熱済み粉砕片を非加熱下で加圧する加圧工程と、を備えており、
前記加圧工程は、被加圧物を加圧下で自然冷却するための冷却工程を兼ねており、
前記粉砕工程、選別工程、加熱工程、および冷却工程を兼ねた加圧工程を経て、各粉砕片の溶融または軟化した表面部以外の中核部が溶けずに元のまま存在すると共に、一つの中核部を取り巻く溶融または軟化した部分と、他の中核部を取り巻く溶融または軟化した部分とが互いに融着して、隣り合う中核部を連結する連結領域を形成してなる、厚板状の再生アクリル材を製造することを特徴とする、再生アクリル材の製造方法である。
請求項2の発明は、請求項1に記載の再生アクリル材の製造方法において、
前記アクリル樹脂製の廃材は押し出し板に由来するポリメタクリル酸メチル(PMMA)製のアクリル廃材であり、前記加熱工程での加熱時間は50分〜60分の範囲である、ことを特徴とする。
本発明の再生アクリル材の製造方法によれば、原材料としてアクリル樹脂廃材だけを用い、各種の改質剤・添加剤などのアクリル樹脂以外の成分を併用しないので、アクリル樹脂本来の化学的性質そのままの再生アクリル材を製造することができる。それゆえ、この再生アクリル材を廃棄すべき時が来た場合でも、その廃材自体を次の再生アクリル材の原料として再利用することができ、理論上リサイクル回数を無限大とすることができる。
本発明の方法で製造される再生アクリル材によれば、アクリル樹脂廃材を再生利用(リサイクル)して作ることができるので、資源の有効利用を図ることができる。そして、この再生アクリル材は、例えば店舗用備品の構成素材あるいは住宅用建材としての有用性を発揮する。
アクリル樹脂製廃材の粉砕工程の説明図。 粒状の粉砕片をふるいにかけて選別する選別工程の一例を示し、(A)は選別装置の概略正面図、(B)は選別装置の概略縦断面図、(C)は選別装置を構成する内筒(第1のふるい)の円筒壁の部分拡大図、(D)は選別装置を構成する外筒(第2のふるい)の円筒壁の部分拡大図。 型枠材が装着された第1金属板を示し、(A)はその平面図、(B)はX−X線での拡大断面図。 型枠材付き第1金属板の上に粉砕片を敷き詰めた状態を示し、(A)はその平面図、(B)はY−Y線での拡大断面図。 (A)は加熱時の状態を示す要部拡大断面図、(B)は加圧開始時の状態を示す要部拡大断面図、(C)は加圧後の状態を示す要部拡大断面図。 再生アクリル材の一例を示し、(A)はその一部分(角部)の部分平面図、(B)は再生アクリル材の表面状態を拡大して示す図。
本発明の実施形態について適宜図面を参照しつつ以下に説明する。
本発明は、再生アクリル材およびその製造方法に関するものである。再生アクリル材の製造方法は、粉砕工程、選別工程、加熱工程、加圧工程(圧縮成形工程)および仕上げ工程からなる。本発明の再生アクリル材は、これら一連の工程を経て厚板状の部材として得られるものである。
[粉砕工程]
粉砕工程では、アクリル樹脂製の廃材を粉砕して粒状の粉砕片が得られる(図1参照)。ここで「粉砕」とは、粉砕機等を用いて粉々に砕くことをいい、意図して粉にするとの意味ではない。また、「アクリル樹脂」とは、(メタ)アクリル系モノマー(例えば、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルなど)の単独重合体あるいは共重合体をいい、透明、半透明または不透明な、一般に非晶質の合成樹脂である。アクリル樹脂としては、例えばポリメタクリル酸メチル(PMMA)があげられる。
アクリル樹脂製の廃材(以下「アクリル廃材」ともいう)とは、例えば新品のアクリル板からアクリル樹脂製品を成形加工(例えば、切り出し加工)した際に生じた端材や、アクリル樹脂製品を長年使用した後に廃棄するに至った場合の当該アクリル樹脂製品(廃棄物)を意味する。このアクリル廃材は、いわゆる押し出し板あるいはキャスト板のいずれに由来するものであってもよい。ここで「押し出し板」とは、溶かしたアクリル樹脂を一気にローラーで押し出して成形されるアクリルプレートをいう。一般に押し出し板は、キャスト板に比べて硬度が低いとされる。他方、「キャスト板」とは、対向する2枚のガラス板間にモノマーを封入し、その中で重合し固化させる製法(キャスト製法)で作られるアクリルプレートをいう。一般にキャスト板は、押し出し板に比べて硬くて傷がつき難く、耐熱性に優れる。
[選別工程]
アクリル廃材を粉砕して得られた粒状の粉砕片は、好ましくは選別工程で選別される。その選別工程では、粒状の粉砕片をふるいにかけて、直径8mmの孔を通過する一方で、直径3mmの孔を通過しないような大きさの粉砕片が選別される。直径8mmの孔を通過し得ないほど大きな粉砕片を使用すると、最終的に得られる再生アクリル材が脆くなり過ぎたり、きめの粗い物になったりするという不具合が生ずるおそれがある。他方、直径3mmの孔を通過するほど小さな粉砕片を使用すると、後述する加熱工程での加熱時に個々の粉砕片の全体が溶融してしまって、粉砕片の表面部分だけを溶融または軟化させることが難しくなる。
粉砕片の選別にあたっては、図2(A)及び(B)に示すような選別装置を用いることが好ましい(図2は選別装置の原理図である)。即ち選別装置は、有底円筒状の内筒11と、同じく有底円筒状の外筒12とを具備し、外筒12の中に内筒11が同心配置された状態で両筒(11,12)が一体化された本体部10を備えている。この二重円筒状の本体部10は、その中心軸線Cが装置の水平な設置面19に対して傾斜するように、且つその中心軸線Cを中心として回転可能となるように支持されている(但し本体部10を支持する支持構成については図示せず)。この本体部10はモータMに作動連結されており、モータMの駆動力によって回転駆動される。そして、図2(C)に示すように、内筒11の円筒壁は、多数の孔13が貫通形成されたパンチングメタルからなり、各孔13の直径d1は8mmに設定されている。また図2(D)に示すように、外筒12の円筒壁も、多数の孔14が貫通形成されたパンチングメタルからなり、各孔14の直径d2は3mmに設定されている。
図2の選別装置の使用に際しては、前記本体部の内筒11の上端側開口15から内筒の中に上記粉砕工程で得られた粉砕片を投入すると共に、本体部10を回転駆動する。この回転に伴い、内筒11内に投入された粉砕片のうち内筒の孔13を通過できる大きさの粉砕片は、その孔13を通過して内筒11の円筒壁と外筒12の円筒壁との間の中間領域16に移行する。更に、この中間領域16に移行した粉砕片のうち外筒の孔14を通過できる大きさの粉砕片は、その孔14を通過して外筒12の外に放出される。その結果、上記中間領域16には、相対的に大きい孔13(d1=8mm)を通過する一方で、相対的に小さい孔14(d2=3mm)を通過しないような大きさの粉砕片だけが残される。こうして、図2の選別装置により、所望の大きさの粉砕片を選別することができる。
[加熱工程]
加熱工程では、粒状の粉砕片(より好ましくは、上記選別工程で選別された粉砕片)を第1の金属板上に所定の厚さで敷き詰め、その第1の金属板と共に加熱炉にて220℃〜240℃の炉内温度で加熱することにより、各粉砕片の表面部のみを溶融または軟化させている。以下に、具体的な加熱手順の一例を説明する。
先ず、図3(A)及び(B)に示すように、平面矩形状の第1の金属板21と、その金属板21の四辺に対しそれぞれ着脱自在な四つの型枠材22とを準備する。第1の金属板21は例えば、厚さが3〜7mm程度のアルミニウム製の板材である。各型枠材22は、金属板21の端縁を受け入れ可能な溝23が形成された長尺な部材(例えば木製)である。第1の金属板21の各辺に都合四つの型枠材22が装着されることで、金属板21の上面側は浅い四角形状のトレー(又はお盆)になる。
次に、図4(A)及び(B)に示すように、型枠材22が装着された第1の金属板21上に前記粒状の粉砕片を均一に敷き詰める。その際、敷き詰めた粉砕片の層の厚さh1を型枠材22の上端の高さに一致させる。この厚さh1は、好ましくは10〜30mmである。第1の金属板21上への粉砕片の敷き詰めが完了したら、金属板21から全ての型枠材22を外すと共に、粉砕片を載せた金属板21を加熱炉(図示略)内にセットする(図5(A)参照)。なお、使用可能な加熱炉として、電気加熱炉を例示できる。また、加熱炉内は、酸化性雰囲気または非酸化性雰囲気のいずれであってもよい。
この加熱炉で、第1の金属板21上に厚さh1で積層された粉砕片を220℃〜240℃の炉内温度で加熱する。この範囲の炉内温度が好ましい理由は、炉内温度が220℃未満であると、アクリル樹脂からなる粉砕片の表面部を十分に溶かすことができない、又は、溶かすことができたとしても過大な加熱時間が必要になるといった不都合を生ずるおそれがあるからである。また、炉内温度が240℃を超えると、粉砕片の一部に焦げが生じて最終製品の外観を損なうおそれがあり、更には、溶融した樹脂中に泡が生じ(発泡)その泡が濁った外観等の原因となって最終製品の見栄えを悪くするからである。
上記炉内温度での加熱時間については、各粉砕片を完全に溶融させるのではなく、各粉砕片の表面部のみを溶融または軟化させるだけの時間にとどめられる。それ故、加熱時間については、原料となるアクリル廃材の種類に応じて、より具体的には、そのアクリル廃材が押し出し板に由来するものか、それともキャスト板に由来するものかに応じて最適な時間に設定される。なお、試行実験によれば、押し出し板由来のアクリル廃材の場合、220〜240℃で50〜60分ほど加熱することが好ましい。他方、キャスト板由来のアクリル廃材の場合、220〜240℃で90〜110分ほど加熱することが好ましい。なお、各場合において、それぞれの加熱時間の上限を超えて加熱すると、各粉砕片が完全に溶融してしまい、場合によっては溶融状態の中に気泡が発生してしまう。
[加圧工程]
加圧工程では、前記加熱炉から取り出した第1の金属板上の粉砕片の上に第2の金属板を載せ、これらをプレス機にセットし、第1および第2の金属板間において加熱済み粉砕片が非加熱下で加圧される。以下に、具体的な加圧手順の一例を説明する。
図5(B)に示すように、加熱炉から取り出した第1の金属板21上の加熱済み粉砕片の上に第2の金属板26を載せる。第2の金属板26は第1の金属板21と同じものであり、例えば厚さが3〜7mm程度のアルミニウム製の板材である。こうして加熱済み粉砕片をその上下から二つの金属板21,26で挟んだ状態で、これをプレス機(図示略)にセットする。そして、両金属板21,26の上下から垂直に圧力を付与し、両金属板間の加熱済み粉砕片を挟圧(圧縮)する。その際の圧力は0.8〜1.2kgf/cm(即ち、約78450Pa〜約117680Pa)の範囲内であることが好ましい。加圧時の圧力が0.8kgf/cm(約78450Pa)未満であると、加圧力不足のために粉砕片の間に隙間が生じてしまい、再生アクリル材の品質を低下させる。他方、加圧時の圧力が1.2kgf/cm(約117680Pa)を超えると、両金属板21,26間の粉砕片を必要以上に潰してしまい、再生アクリル材の成形に支障を来たす。
この加圧により、両金属板21,26間の粉砕片は圧縮成形され、例えば図5(C)に示すように、圧縮後の層の厚さh2は、圧縮前の層の厚さh1の半分(1/2)から2/3程度になる。なお、この加圧工程は、被加圧物(加熱済み粉砕片)を加圧下で自然冷却するための冷却工程を兼ねている。その際の加圧状態維持および冷却のための時間は、好ましくは50分〜70分である。加圧状態でこれだけの時間放置することにより、粉砕片の圧縮成形と、常温付近までの冷却が完了する。
[仕上げ工程]
プレス機から被加圧物を取り外すと共に、両金属板21,26を取り除くことにより、矩形厚板状の粗製品(圧縮成形直後の再生アクリル材)が得られる。この粗製品の周辺部は未成形のギザギザした状態にあるので、これら周辺部を捨て耳としてカット成形することにより、図6(A)に示すように、各辺が真っ直ぐに切り揃えられた矩形厚板状の再生アクリル材を得ることができる。
[再生アクリル材]
このようにして得られた再生アクリル材は、その表面やカット断面の様子を観察すると、図6(B)に示すように、各粉砕片の溶融または軟化した表面部以外の中核部31が溶けずに元のまま存在すると共に、一つの中核部31を取り巻く溶融または軟化した部分と、他の中核部31を取り巻く溶融または軟化した部分とが互いに融着して、隣り合う中核部を連結する連結領域32(図で梨地模様の部分)が形成されている。そして、この連結領域32は、多数の中核部31の間を隙間無く(少なくとも目視で発見できるほどの隙間がない状態で)埋め尽くしている。
本発明の再生アクリル材は上述のようなものであるから、粉砕する前のアクリル廃材に比べれば、機械的強度の点で劣ることは否めない。しかしながら、再生過程では、アクリル廃材以外の樹脂成分や添加剤・改質剤の類は使われていないので、アクリル樹脂本来の化学的性質を損なうことなく維持している。また、図6(B)に示すように多数の中核部31の間を連結領域32が埋め尽くすという微細構造は、独特の風合いを醸し出す。このため、本発明の再生アクリル材は、既存のバージン(アクリル)樹脂製品とは異なる質感や趣を与える新しい再生素材として、新たな商品価値を生み出すものである。
以下、本発明に従った試作例たる「実施例1」と、本発明の製造条件から外れた条件で製造した実験例たる「比較例1,2,3」について説明する。
[実施例1]
実施例1では、原料として、押し出し板に由来するPMMA製のアクリル廃材を使用した。このアクリル廃材を粉砕後、図2の選別装置を用いて、直径8mmの孔を通過する一方で、直径3mmの孔を通過しないような大きさの粉砕片を選別した。続いて、図3、図4及び図5(A)に示す上記の手順に従って粉砕片の加熱を行った。具体的には、第1の金属板21として、縦70cm×横100cm×厚さ5mmのアルミニウム板を使用すると共に、第1の金属板21上に敷き詰める粉砕片の層の厚さh1を17mmとした。そして、粉砕片を載せた第1の金属板21を加熱炉にて以下に記す条件で加熱した。その後、加熱炉から第1の金属板21を取り出し、図5(B)及び(C)に示す上記の手順に従って加熱済み粉砕片をプレス機にて以下に記す条件で加圧した。なお、第2の金属板26として、縦70cm×横100cm×厚さ5mmのアルミニウム板を使用した。
加熱温度:230℃
加熱時間:55分
加圧力 :1.0kgf/cm(約98067Pa)
加圧時間:60分
加圧の結果、被加圧物はその厚さh2が10mmとなった。最後に、プレス機から取り外した被加圧物の周辺部を切断機でカット成形することで、図6(A)及び(B)に示すような再生アクリル材を得た。この再生アクリル材の表面を目視観察したが、内部に気泡の巻き込みはほとんど無く、風合いの良い板材となっていた。なお、実施例1の再生アクリル材の物性を公的な試験機関に依頼して測定したところ、次の通りであった。
引張り強度:20.7MPa
曲げ強度 :34.2MPa
シャルピー衝撃強度:2.5KJ/m
ビカット軟化温度:109.9℃
[比較例1]
比較例1は、加熱炉での加熱時間を除いて上記実施例1と同じ製造条件での実験例である。即ち比較例1では、230℃での加熱時間を80分とした。
こうして得られた比較例1の再生アクリル材を観察したところ、粉砕片の多くがかなりの程度まで溶解してしまい、再生材の内部に多数の気泡を巻き込んでいた。このため、実施例1の再生アクリル材に比べて、風合いの劣るものとなっていた。
[比較例2]
比較例2は、加熱炉での加熱温度を除いて上記実施例1と同じ製造条件での実験例である。即ち比較例2では、加熱温度として260℃を採用した。
この比較例2では、加熱時に粉砕片の一部が燃えて焦げ付いてしまった。このため、実施例1の再生アクリル材に比べて見栄えの悪いものしか得られなかった。
[比較例3]
比較例3は、プレス機での加圧力を除いて上記実施例1と同じ製造条件での実験例である。即ち比較例3では、加圧力として0.5kgf/cmを採用した。
こうして得られた比較例3の再生アクリル材を観察したところ、粉砕粒の間に目視できる大きさの隙間が存在した。また、その引張り強度も7.7MPaにとどまるものであり、実施例1の再生アクリル材に比べて強度面で劣るものしか得られなかった。
本発明に係る再生アクリル材は、例えば店舗用備品(商品陳列用の台、ケース、ディスプレイ用具)を構成するための素材として、あるいは、住宅用の建材として利用することができる。
10…選別装置の本体部
11…内筒
12…外筒
13…内筒に形成された孔
14…外筒に形成された孔
16…内筒と外筒の中間領域
21…第1の金属板
26…第2の金属板
31…中核部
32…連結領域
d1…孔13の直径
d2…孔14の直径
h1…粉砕片の層の厚さ
h2…圧縮成形後の厚さ

Claims (2)

  1. アクリル樹脂製の廃材を粉砕して粒状の粉砕片を得る粉砕工程と、
    前記粉砕工程の後に、前記粒状の粉砕片をふるいにかけて、直径8mmの孔を通過する一方で直径3mmの孔を通過しないような大きさの粉砕片を選別する選別工程と、
    前記選別工程で選別された粒状の粉砕片を第1の金属板上に所定の厚さで敷き詰め、その第1の金属板と共に加熱炉にて220℃〜240℃の炉内温度で加熱することにより、各粉砕片の表面部のみを溶融または軟化させる加熱工程と、
    前記加熱炉から取り出した第1の金属板上の粉砕片の上に第2の金属板を載せ、これらをプレス機にセットし、前記第1および第2の金属板間において加熱済み粉砕片を非加熱下で加圧する加圧工程と、を備えており、
    前記加圧工程は、被加圧物を加圧下で自然冷却するための冷却工程を兼ねており、
    前記粉砕工程、選別工程、加熱工程、および冷却工程を兼ねた加圧工程を経て、各粉砕片の溶融または軟化した表面部以外の中核部が溶けずに元のまま存在すると共に、一つの中核部を取り巻く溶融または軟化した部分と、他の中核部を取り巻く溶融または軟化した部分とが互いに融着して、隣り合う中核部を連結する連結領域を形成してなる、厚板状の再生アクリル材を製造することを特徴とする再生アクリル材の製造方法。
  2. 前記アクリル樹脂製の廃材は押し出し板に由来するポリメタクリル酸メチル(PMMA)製のアクリル廃材であり、前記加熱工程での加熱時間は50分〜60分の範囲である、ことを特徴とする請求項1に記載の再生アクリル材の製造方法。
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