JP4956633B2 - 再生アクリル材およびその製造方法 - Google Patents
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Description
アクリル樹脂製の廃材を粉砕して粒状の粉砕片を得る粉砕工程と、
前記粉砕工程の後に、前記粒状の粉砕片をふるいにかけて、直径8mmの孔を通過する一方で直径3mmの孔を通過しないような大きさの粉砕片を選別する選別工程と、
前記選別工程で選別された粒状の粉砕片を第1の金属板上に所定の厚さで敷き詰め、その第1の金属板と共に加熱炉にて220℃〜240℃の炉内温度で加熱することにより、各粉砕片の表面部のみを溶融または軟化させる加熱工程と、
前記加熱炉から取り出した第1の金属板上の粉砕片の上に第2の金属板を載せ、これらをプレス機にセットし、前記第1および第2の金属板間において加熱済み粉砕片を非加熱下で加圧する加圧工程と、を備えており、
前記加圧工程は、被加圧物を加圧下で自然冷却するための冷却工程を兼ねており、
前記粉砕工程、選別工程、加熱工程、および冷却工程を兼ねた加圧工程を経て、各粉砕片の溶融または軟化した表面部以外の中核部が溶けずに元のまま存在すると共に、一つの中核部を取り巻く溶融または軟化した部分と、他の中核部を取り巻く溶融または軟化した部分とが互いに融着して、隣り合う中核部を連結する連結領域を形成してなる、厚板状の再生アクリル材を製造することを特徴とする、再生アクリル材の製造方法である。
前記アクリル樹脂製の廃材は押し出し板に由来するポリメタクリル酸メチル(PMMA)製のアクリル廃材であり、前記加熱工程での加熱時間は50分〜60分の範囲である、ことを特徴とする。
本発明の方法で製造される再生アクリル材によれば、アクリル樹脂廃材を再生利用(リサイクル)して作ることができるので、資源の有効利用を図ることができる。そして、この再生アクリル材は、例えば店舗用備品の構成素材あるいは住宅用建材としての有用性を発揮する。
本発明は、再生アクリル材およびその製造方法に関するものである。再生アクリル材の製造方法は、粉砕工程、選別工程、加熱工程、加圧工程(圧縮成形工程)および仕上げ工程からなる。本発明の再生アクリル材は、これら一連の工程を経て厚板状の部材として得られるものである。
粉砕工程では、アクリル樹脂製の廃材を粉砕して粒状の粉砕片が得られる(図1参照)。ここで「粉砕」とは、粉砕機等を用いて粉々に砕くことをいい、意図して粉にするとの意味ではない。また、「アクリル樹脂」とは、(メタ)アクリル系モノマー(例えば、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルなど)の単独重合体あるいは共重合体をいい、透明、半透明または不透明な、一般に非晶質の合成樹脂である。アクリル樹脂としては、例えばポリメタクリル酸メチル(PMMA)があげられる。
アクリル廃材を粉砕して得られた粒状の粉砕片は、好ましくは選別工程で選別される。その選別工程では、粒状の粉砕片をふるいにかけて、直径8mmの孔を通過する一方で、直径3mmの孔を通過しないような大きさの粉砕片が選別される。直径8mmの孔を通過し得ないほど大きな粉砕片を使用すると、最終的に得られる再生アクリル材が脆くなり過ぎたり、きめの粗い物になったりするという不具合が生ずるおそれがある。他方、直径3mmの孔を通過するほど小さな粉砕片を使用すると、後述する加熱工程での加熱時に個々の粉砕片の全体が溶融してしまって、粉砕片の表面部分だけを溶融または軟化させることが難しくなる。
加熱工程では、粒状の粉砕片(より好ましくは、上記選別工程で選別された粉砕片)を第1の金属板上に所定の厚さで敷き詰め、その第1の金属板と共に加熱炉にて220℃〜240℃の炉内温度で加熱することにより、各粉砕片の表面部のみを溶融または軟化させている。以下に、具体的な加熱手順の一例を説明する。
加圧工程では、前記加熱炉から取り出した第1の金属板上の粉砕片の上に第2の金属板を載せ、これらをプレス機にセットし、第1および第2の金属板間において加熱済み粉砕片が非加熱下で加圧される。以下に、具体的な加圧手順の一例を説明する。
プレス機から被加圧物を取り外すと共に、両金属板21,26を取り除くことにより、矩形厚板状の粗製品(圧縮成形直後の再生アクリル材)が得られる。この粗製品の周辺部は未成形のギザギザした状態にあるので、これら周辺部を捨て耳としてカット成形することにより、図6(A)に示すように、各辺が真っ直ぐに切り揃えられた矩形厚板状の再生アクリル材を得ることができる。
このようにして得られた再生アクリル材は、その表面やカット断面の様子を観察すると、図6(B)に示すように、各粉砕片の溶融または軟化した表面部以外の中核部31が溶けずに元のまま存在すると共に、一つの中核部31を取り巻く溶融または軟化した部分と、他の中核部31を取り巻く溶融または軟化した部分とが互いに融着して、隣り合う中核部を連結する連結領域32(図で梨地模様の部分)が形成されている。そして、この連結領域32は、多数の中核部31の間を隙間無く(少なくとも目視で発見できるほどの隙間がない状態で)埋め尽くしている。
実施例1では、原料として、押し出し板に由来するPMMA製のアクリル廃材を使用した。このアクリル廃材を粉砕後、図2の選別装置を用いて、直径8mmの孔を通過する一方で、直径3mmの孔を通過しないような大きさの粉砕片を選別した。続いて、図3、図4及び図5(A)に示す上記の手順に従って粉砕片の加熱を行った。具体的には、第1の金属板21として、縦70cm×横100cm×厚さ5mmのアルミニウム板を使用すると共に、第1の金属板21上に敷き詰める粉砕片の層の厚さh1を17mmとした。そして、粉砕片を載せた第1の金属板21を加熱炉にて以下に記す条件で加熱した。その後、加熱炉から第1の金属板21を取り出し、図5(B)及び(C)に示す上記の手順に従って加熱済み粉砕片をプレス機にて以下に記す条件で加圧した。なお、第2の金属板26として、縦70cm×横100cm×厚さ5mmのアルミニウム板を使用した。
加熱温度:230℃
加熱時間:55分
加圧力 :1.0kgf/cm2(約98067Pa)
加圧時間:60分
加圧の結果、被加圧物はその厚さh2が10mmとなった。最後に、プレス機から取り外した被加圧物の周辺部を切断機でカット成形することで、図6(A)及び(B)に示すような再生アクリル材を得た。この再生アクリル材の表面を目視観察したが、内部に気泡の巻き込みはほとんど無く、風合いの良い板材となっていた。なお、実施例1の再生アクリル材の物性を公的な試験機関に依頼して測定したところ、次の通りであった。
引張り強度:20.7MPa
曲げ強度 :34.2MPa
シャルピー衝撃強度:2.5KJ/m2
ビカット軟化温度:109.9℃
比較例1は、加熱炉での加熱時間を除いて上記実施例1と同じ製造条件での実験例である。即ち比較例1では、230℃での加熱時間を80分とした。
こうして得られた比較例1の再生アクリル材を観察したところ、粉砕片の多くがかなりの程度まで溶解してしまい、再生材の内部に多数の気泡を巻き込んでいた。このため、実施例1の再生アクリル材に比べて、風合いの劣るものとなっていた。
比較例2は、加熱炉での加熱温度を除いて上記実施例1と同じ製造条件での実験例である。即ち比較例2では、加熱温度として260℃を採用した。
この比較例2では、加熱時に粉砕片の一部が燃えて焦げ付いてしまった。このため、実施例1の再生アクリル材に比べて見栄えの悪いものしか得られなかった。
比較例3は、プレス機での加圧力を除いて上記実施例1と同じ製造条件での実験例である。即ち比較例3では、加圧力として0.5kgf/cm2を採用した。
こうして得られた比較例3の再生アクリル材を観察したところ、粉砕粒の間に目視できる大きさの隙間が存在した。また、その引張り強度も7.7MPaにとどまるものであり、実施例1の再生アクリル材に比べて強度面で劣るものしか得られなかった。
11…内筒
12…外筒
13…内筒に形成された孔
14…外筒に形成された孔
16…内筒と外筒の中間領域
21…第1の金属板
26…第2の金属板
31…中核部
32…連結領域
d1…孔13の直径
d2…孔14の直径
h1…粉砕片の層の厚さ
h2…圧縮成形後の厚さ
Claims (2)
- アクリル樹脂製の廃材を粉砕して粒状の粉砕片を得る粉砕工程と、
前記粉砕工程の後に、前記粒状の粉砕片をふるいにかけて、直径8mmの孔を通過する一方で直径3mmの孔を通過しないような大きさの粉砕片を選別する選別工程と、
前記選別工程で選別された粒状の粉砕片を第1の金属板上に所定の厚さで敷き詰め、その第1の金属板と共に加熱炉にて220℃〜240℃の炉内温度で加熱することにより、各粉砕片の表面部のみを溶融または軟化させる加熱工程と、
前記加熱炉から取り出した第1の金属板上の粉砕片の上に第2の金属板を載せ、これらをプレス機にセットし、前記第1および第2の金属板間において加熱済み粉砕片を非加熱下で加圧する加圧工程と、を備えており、
前記加圧工程は、被加圧物を加圧下で自然冷却するための冷却工程を兼ねており、
前記粉砕工程、選別工程、加熱工程、および冷却工程を兼ねた加圧工程を経て、各粉砕片の溶融または軟化した表面部以外の中核部が溶けずに元のまま存在すると共に、一つの中核部を取り巻く溶融または軟化した部分と、他の中核部を取り巻く溶融または軟化した部分とが互いに融着して、隣り合う中核部を連結する連結領域を形成してなる、厚板状の再生アクリル材を製造することを特徴とする再生アクリル材の製造方法。 - 前記アクリル樹脂製の廃材は押し出し板に由来するポリメタクリル酸メチル(PMMA)製のアクリル廃材であり、前記加熱工程での加熱時間は50分〜60分の範囲である、ことを特徴とする請求項1に記載の再生アクリル材の製造方法。
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