JP4952916B2 - 液体現像剤及びそれを用いた画像形成装置 - Google Patents
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Description
そこで、蒸発ないし揮発された揮発性炭化水素系有機溶媒の回収手段が定着装置近傍に設けられる必要があるが、揮発性炭化水素系有機溶媒の回収手段によって、画像形成装置が大型化せざるを得なかった。
従来の液体現像剤が製造されるとき、各成分がキャリア液である非水系の無極性溶媒に分散させられる。装置の大型化、記録物の品質の悪化、液体現像剤の保存安定性低下等の問題が、当該無極性溶媒の性質により発生した。
化学式1
(CmH2m+1O)3P
ここで、mは2〜20である。
本発明の液体現像剤は、優れた保存安定性及び正帯電安定性を有している。
本発明の好ましい実施態様では、上記液体現像剤が含有する植物油が、アマニ油、MOヒマワリ油、菜種油、デバイダーオイル、HOLLキャノーラ、紅花油、オリーブ油、落花生油、ゴマ油、コーン油、大豆油、綿実油、サフラワー油から選ばれる少なくとも一種からなる。
本発明の別の好ましい実施態様では、上記液体現像剤が含有するトリアルキルホスファイト及び/又はジフェニルアルキルホスファイトが植物油に溶解する。トリアルキルホスファイト及び/又はジフェニルアルキルホスファイトの植物油への溶解は、着色剤の正電荷性が保たれる機能を向上させる。
本発明の別の好ましい実施態様では、上記液体現像剤が含有するトリアルキルホスファイト及び/又はジフェニルアルキルホスファイトの添加量が、植物油と正帯電性顔料の合計に対して0.01〜5.0質量%である。トリアルキルホスファイト及び/又はジフェニルアルキルホスファイトの添加量が、植物油と正帯電性顔料の合計に対して5.0質量%を超える液体現像剤は、定着率が低い画像を形成してしまう。
本発明の別の好ましい実施態様では、上記液体現像剤が含有するトリアルキルホスファイトが、トリエチルホスファイト、トリス(2−エチルヘキシル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリラウリルホスファイト又はトリス(トリデシル)ホスファイトである。
本発明の別の好ましい実施態様では、上記液体現像剤が含有するジフェニルアルキルホスファイトが、ジフェニルモノ(2−エチルヘキシル)ホスファイト、ジフェニルモノデシルホスファイト又はジフェニルモノ(トリデシル)ホスファイトである。
本発明は、上記液体現像剤が用いられる画像形成装置である。
オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸等の不飽和結合の割合が多い脂肪酸組成からなるトリグリセライドは、酸化重合を起こすので、当該トリグリセライドがキャリア液として使用される液体現像剤が用いられる画像形成装置は、定着手段を必要としない、あるいは定着手段を簡素化できる。
本発明の液体現像剤のキャリア液として使用される植物油中のトリグリセライドの組成の一例が、表1に示されている。表1において、各脂肪酸の全脂肪酸に対する割合が質量%で示されている。
植物油、顔料、酸化防止剤等が配合され、アトライター、サンドミル、ボールミル、振動ミル等の分散機による分散が行われて、本発明の液体現像剤が得られる。本発明の液体現像剤に含まれる着色微粒子の好ましい一次粒子径は、個数平均粒径として1μm以下である。
転写残りトナーが発生した場合、感光体に接触したクリーニング弾性ローラ32が、感光体上から液体現像剤を移動させ、液体現像剤は、上部に位置するクリーニングブレード33によって除去される。クリーニングされた感光体は、再び帯電、露光、現像、転写、クリーニングのサイクルに付され、単色画像が形成される。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
直径5ミリのジルコニアボール320g、オレイン酸(関東化学(株)製)100g、分散剤(味の素ファインテクノ(株)製アジスパーPB822)0.23g、Pigment Blue15:3(正帯電性シアン顔料)15g及び表2に示される酸化防止剤4gが、容量500mlのステンレス容器に入れられ、市販の攪拌機であるトルネードSM型プロベラ攪拌羽根により、回転数504rpmで11時間分散混合され、着色剤分散液が作製された。次いで、着色剤分散液5gが、キャリア液であるアマニ油(日清オイリオグループ(株)製、トリグリセライドの全脂肪酸成分に対するリノレン酸成分の含有量は56.2質量%である)30gに添加されて十分に混合され、液体現像剤が得られた。酸化防止剤が添加されない液体現像剤もブランクとして作製された。そして、各着色剤分散液の25℃における室温での帯電挙動が、図1に示される電気泳動実験装置により調べられた。
実施例1と同様、キャリア液として大豆油(日清オイリオグループ(株)製、トリグリセライドの全脂肪酸成分に対するリノール酸成分の含有量は53.4質量%である)が用いられ、表4に示されるトリアルキルホスファイト又はジフェニルアルキルホスファイトが、液体現像剤中のキャリア液と着色剤の合計重量に対するトリアルキルホスファイトの添加量が0.5質量%となるように添加されて、評価用の液体現像剤が作製され、画像コントラストが求められた。酸化防止剤が添加されていない液体現像剤も作製され、ブランクとされた。その結果が表4に示されている。そして、表4には後述される官能検査による臭気評価試験結果も示されている。
液体現像剤が入れられた透明ガラス容器が密封され、40℃で6ヶ月間静置保存された。6ヶ月後の液体現像剤の臭気が、新たに調製された同一組成から成る液体現像剤と比較され、10名のパネラーによる官能試験にて、次のように評価された。
まず、各液体現像剤の臭気が、10名のパネラーにより、以下に示す4段階のスコアで評価された。
0点…全く変化を感じない、1点…少し変化を感じた、2点…明らかに変化を感じた、3点…完全に変化し、強く臭気を感じた
各液体現像剤に関して得られたスコアの平均点が求められ、以下の評価基準により、各液体現像剤の臭いが判定された。
非常に良い…平均点が0.3点以下、良い…平均点が0.3〜1.0点、少し良い…平均点が1.0〜2.0、良くない…平均点が2.1〜3.0点
直径5ミリのジルコニアボール320g、オレイン酸(関東化学(株)製)100g、分散剤(味の素ファインテクノ(株)製アジスパーPB822)0.23g及びPigment Red 57:1(正帯電性マゼンタ顔料)15gが、容量500mlのステンレス容器に入れられ、市販の攪拌機であるトルネードSM型プロベラ攪拌羽根により、回転数504rpmで11時間分散混合され、着色剤分散液が作製された。次いで、着色剤分散液5gが、キャリア液であるサフラワー油(日清オイリオグループ(株)製、トリグリセライドの全脂肪酸成分に対するリノール酸成分の含有量は76.0質量%である)30gに添加され、十分に混合され、液体現像剤が得られた。次いで、亜リン酸エステル系酸化防止剤であるトリス(2−エチルヘキシル)ホスファイトが表5に示される量、すなわち液体現像剤中のキャリア液と着色剤の合計重量に対するトリス(2−エチルヘキシル)ホスファイトの添加量が、質量比で0%、0.01%、0.1%、0.3%、0.5%、2.0%、5.0%となるように添加され、十分に混合され、評価用の液体現像剤が作製された。そして、実施例1と同様、画像コントラストが求められた。その結果が表5に示されている。
実施例1の要領に従い、250gの液体現像剤が作製され、現像、転写、クリーニング及び定着が、図2に示される液体現像方式の作像装置により行われた。単層型の正帯電有機感光体が、画像形成装置20の感光体21として用いられ、現像ローラ22は弾性部材からなる。先ず、感光体21表面がスコロトロン23で+650Vに帯電され、レーザー光が画像信号により制御されたレーザー光照射手段24から照射されて、静電潜像が形成される。次いで、+300Vの現像バイアスが現像ローラ22に印加され、現像が行われる。アニロックスローラ25が、現像ローラ22と接触して回転しながら、規制ブレード26で層厚を規制された液体現像剤を現像ローラ22供給する。更に、液体現像剤が、スポンジ状弾性ローラである供給ローラ27からアニロックスローラ25に供給されている。転写バイアスは−950Vであり、記録媒体28が、供給ローラ対29により速度200mm/秒で矢印方向に供給される。
転写残りトナーが発生した場合、感光体に接触したクリーニング弾性ローラ32が、感光体上から液体現像剤を移動させ、液体現像剤は、上部に位置するクリーニングブレード33によって除去される。クリーニングされた感光体は、再び帯電、露光、現像、転写、クリーニングのサイクルに付され、単色画像が形成される。
実施例3で使用されたトリス(2−エチルヘキシル)ホスファイトに代えて、ジフェニルモノ(トリデシル)ホスファイトが使用される以外は実施例3と同じ操作が行われ、画像コントラスト及び定着率が測定された。その結果が表6に示されている。
直径5ミリのジルコニアボール320g、オレイン酸(関東化学(株)製)100g、ベンジイミダゾロン顔料P.R.185(正帯電性顔料)15g及び分散剤(味の素ファインテクノ(株)製アジスパーPB822)0.23gが、容量500mlのステンレス容器に入れられ、市販の攪拌機であるトルネードSM型プロベラ攪拌羽根により、回転数504rpmで14時間分散混合され、着色剤分散液が作製された。次いで、着色剤分散液5gと亜リン酸エステル系酸化防止剤のトリデシルホスファイト0.175gが、表7の各植物油30gに添加されて十分に混合され、9種類の液体現像剤が得られた。そして、各液体現像剤の25℃における室温での帯電挙動が、図1に示される電気泳動実験装置により実施例1と同様にして調べられ、その画像コントラストが表7に示されている。更に、定着性の評価が、前述の液体現像方式の作像装置による画像評価試験で行われ、その結果も定着率として表7に示されている。
実施例5で使用されたトリデシルホスファイトに代えて、ジフェニルモノデシルホスファイトが使用される以外は実施例5と同じ操作が行われ、画像コントラスト及び定着率が測定された。その結果が表8に示されている。
実施例3の着色剤分散液50gが、酸化防止剤であるトリラウリルホスファイト(透明液体、分子量586)0.875gと共にコーン油(日清オイリオグループ(株)製)150gに分散され、液体現像剤が調製された。そして、現像、転写、定着及びクリーニングが、図2に示される液体現像方式の作像装置により行われた。作像手順は実施例3に準じる。この作像装置で得られた5%原稿の印字出力物の画質と定着性の経時変化が評価され、その結果が表9に示されている。
初期に印字した画像が実験室内に保存され、6月後に再びベタ部の定着率が測定されて、ベタ部の定着率が評価された。液体現像剤と印字画像は、常温25℃、常湿50%で実験室内(730ルックスで14時間の照明が行われた)に保存された。液体現像剤はビーカに入れられ、蓋がされずに保存された。比較のために、酸化防止剤が添加されていない液体現像剤がブランクとして作製され、用いられた。
実施例7で使用されたトリラウリルホスファイトに代えて、ジフェニルモノデシルホスファイト(透明液体、分子量374)が使用される以外、実施例7と同じ操作が行われた。その結果が表10に示されている。
実施例7で使用されたトリラウリルホスファイト0.875gに代えて、トリラウリルホスファイト0.438g及びジフェニルモノデシルホスファイト0.438gが使用される以外、実施例7と同じ操作が行われた。その結果が表11に示されている。
キャリア液であるコーン油の酸化重合が、液体現像剤の保存中に進むため、コーン油が含まれる液体現像剤により作像された画像のベタ部の定着率は経時的に向上する。しかしながら、トリアルキルホスファイト及び/又はジフェニルアルキルホスファイトが添加されていない液体現像剤により作像された画像のベタ部の定着率向上は、トリラウリルホスファイト及び/又はジフェニルアルキルホスファイトが添加された本発明の液体現像剤により作像された画像のベタ部の定着率向上より小さかった。この理由は、トリラウリルホスファイト及び/又はジフェニルアルキルホスファイトが添加されていない液体現像剤では、酸化重合したコーン油が分解したためと予測される。
Claims (7)
- 植物油が、アマニ油、MOヒマワリ油、菜種油、デバイダーオイル、HOLLキャノーラ、紅花油、オリーブ油、落花生油、ゴマ油、コーン油、大豆油、綿実油、サフラワー油から選ばれる少なくとも一種からなる、請求項1に記載の液体現像剤。
- トリアルキルホスファイト及び/又はジフェニルアルキルホスファイトが植物油に溶解する、請求項1又は2に記載の液体現像剤。
- トリアルキルホスファイト及び/又はジフェニルアルキルホスファイトの添加量が、植物油と正帯電性顔料の合計に対して0.01〜5.0質量%である、請求項1〜3のいずれかに記載の液体現像剤。
- トリアルキルホスファイトが、トリエチルホスファイト、トリス(2−エチルヘキシル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリラウリルホスファイト又はトリス(トリデシル)ホスファイトである、請求項1〜4のいずれかに記載の液体現像剤。
- ジフェニルアルキルホスファイトが、ジフェニルモノ(2−エチルヘキシル)ホスファイト、ジフェニルモノデシルホスファイト又はジフェニルモノ(トリデシル)ホスファイトである、請求項1〜4のいずれかに記載の液体現像剤。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の液体現像剤が用いられる画像形成装置。
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