JP4951091B2 - 圧電素子駆動式金属ダイヤフラム型制御弁 - Google Patents

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Description

本発明は、主に半導体製造設備等のガス制御ラインに介設される圧力式流量制御装置の制御弁やマスフローコントローラの流量制御部の制御弁として用いられるノーマルオープン型の圧電素子駆動式金属ダイヤフラム型制御弁の改良に係り、特に、高温の反応ガス等を使用する高温環境下に於いても、高精度な安定した流量制御を行えるようにしたノーマルオープン型の圧電素子駆動式金属ダイヤフラム型制御弁に関するものである。
近年、半導体製造設備や化学品製造設備等に於いては、マスフローコントローラに替えて圧力式流量制御装置が広く利用されている。この圧力式流量制御装置には、耐食性が高いこと、発塵が少ないこと、ガスの置換性が良いこと、開閉速度が速いこと等の点から所謂金属ダイヤフラム型制御弁が多く使用されている。又、圧力式流量制御装置の駆動装置としては、推力が大きくて応答性やコントロール特性に優れている圧電素子駆動式の駆動装置が多く使用されている。
従来、圧電素子駆動式の駆動装置を用いた金属ダイヤフラム型制御弁としては、特開平7−310842号公報(特許文献1)や特開2004−197754号公報(特許文献2)等に開示された構造のものが知られている。
即ち、特許文献1に開示された制御弁(図示省略)は、電圧の印加によって圧電素子(ピエゾアクチュエータ)が伸長すると、金属ダイヤフラムが下部受台、ボール及びダイヤフラム押えを介して弁座側へ押圧され、これにより金属ダイヤフラムが弁座に当座して閉弁状態となり、又、圧電素子への印加電圧を解除すると、圧電素子が伸長状態から元の長さ寸法に復帰すると共に、金属ダイヤフラムに加わっていた押圧力が喪失し、これにより金属ダイヤフラムがその弾性力により元の状態に復帰し、弁座から離座して開弁状態となるノーマルオープン型の制御弁である。
この制御弁は、圧電素子の発生力を下部受台、ボール及びダイヤフラム押えを介して金属ダイヤフラムへ伝達しているため、圧電素子の伸長によりダイヤフラムが弁座に接触した後は圧電素子の発生力が直にシート部(弁座及び金属ダイヤフラムの弁座に接触する部分から成る)に印加されることになる。その結果、制御弁のシート部に印加される力は、圧電素子の発生力のみに依存し、その調整が困難になるうえ、圧電素子の大きな発生力がシート部に掛かって金属ダイヤフラム及び弁座等が損傷する等の問題があった。
一方、特許文献2に開示された制御弁(図示省略)は、電圧の印加によって圧電素子(ピエゾアクチュエータ)が伸長すると、圧電素子の変位量が梃子構造の変位拡大機構により拡大され、弁棒及びダイヤフラム押えを介して金属ダイヤフラムが弁座側へ押圧されて弁座にして閉弁状態となり、又、圧電素子への印加電圧を解除すると、圧電素子が伸長状態から元の長さ寸法に復帰すると共に、変位拡大機構がこれに設けた復帰弾性体により元の形態に復帰し、これにより金属ダイヤフラムに加わっていた押圧力が喪失して金属ダイヤフラムがその弾性力により元の状態に復帰し、弁座から離座して開弁状態となるノーマルオープン型の制御弁である。
この制御弁は、圧電素子の発生力を金属ダイヤフラムへ伝達する変位拡大機構が金属ダイヤフラムの弁座への当座時に圧電素子の伸長を吸収する定圧弾性体(緩衝用の皿バネ)を備えているため、金属ダイヤフラムが弁座に当座した後は定圧弾性体が圧電素子の伸長を吸収し、これによりシート部には定圧弾性体の変位量に応じた反発力が印加されることになる。その結果、制御弁のシート部に印加される力は、定圧弾性体の反発力となり、金属ダイヤフラムを弁座へ緩衝させながら当座させることができ、金属ダイヤフラム及び弁座に圧電素子の大きな発生力が掛かることがなく、金属ダイヤフラム及び弁座の損傷を防止することができる。
ところで、緩衝用の皿バネ無しの制御弁に於いては、例えば、圧電素子の印加電圧1V当たりの変位量を0.333μm、圧電素子の印加電圧1V当たりの発生力を約5Nとすると、圧電素子の変位量に対する発生力は、5/0.333≒15N/μmとなる。又、緩衝用の皿バネを備えた制御弁に於いては、皿バネの変位量に対する発生力は、皿バネのバネ定数により約0.267N/μmとなる。よって、緩衝用の皿バネを備えた制御弁のシート部に印加される力は、緩衝用の皿バネ無しの制御弁のシート部に印加される力の約1/56となる。その結果、皿バネを備えた制御弁は、金属ダイヤフラム及び弁座の損傷を防止することができる。
図6は制御弁のシート部への負荷と圧電素子に印加する電圧との関係をグラフ化したものであり、図6のグラフからも明らかなように皿バネ付の制御弁の方が皿バネ無しの制御弁に比べてシート部への負荷が極めて小さいことが判る。
しかし、皿バネ付の制御弁に於いても、解決すべき問題点が残されている。
即ち、制御弁を温度が100℃以上のような高温環境下に於いて使用する場合には、圧電素子を収容する支持筒体(アクチュエータボックス)の熱膨張によって、圧電素子の上端部と支持筒体の上端部に螺着した調整用袋ナットとの間に隙間が発生し、圧電素子の伸長時にその発生力が金属ダイヤフラムへ確実且つ良好に伝わらず、高精度な流量制御が困難になると云う問題があった。特に、圧電素子の変位量が極僅かであるため、制御弁を構成する各部材(支持筒体等)の僅かの熱膨張でも、その流量制御特性に大きな影響を与えることになる。
この問題(支持筒体の熱膨張による隙間の発生)を解決するためには、制御弁自体を予め圧電素子に外部から200N程度の圧縮力を加えられるような構造の制御弁とすることが好ましいが、このような制御弁は未だ開発されていないのが現状である。
尚、特開2004−197754号公報(特許文献2)に開示された制御弁及び特開平2−203087号公報(特許文献3)に開示された制御弁には、圧電素子を加圧できるようにした復帰弾性体や荷重ばねが開示されている。
しかし、これらの制御弁に使用されている復帰弾性体や荷重ばねは、何れも制御弁の部材(変位拡大機構や弁棒)を元の位置に復帰させるためのものである。又、復帰弾性体や荷重ばねは、何れも制御弁の内部に配設されているため、大きな弾性力を有する復帰弾性体や荷重ばねを使用した場合には、復帰弾性体や荷重ばねが大きいために制御弁自体が大型化すると云う問題があった。然も、内部に復帰弾性体や荷重ばねを配設した制御弁に於いては、その弾性力を調整したい場合には、制御弁を分解して内部の復帰弾性体や荷重ばねを別のものと交換したりしなければならず、制御弁の分解及び組立に極めて手数が掛かると云う問題があった。
特開平7−310842号公報 特開2004−197754号公報 特開平2−203087号公報
本発明は、このような問題点に鑑みて為されたものであり、その目的は、高温環境下に於いても、高精度な安定した流量制御を行えると共に、制御弁自体を分解することなく、圧電素子に加わる圧縮力を簡単且つ容易に調整できるようにしたノーマルオープン型の圧電素子駆動式金属ダイヤフラム制御弁を提供することにある。また、本発明は、金属ダイヤフラムが弁座へ当座したときに、金属ダイヤフラムへ所定の押圧力を印加する皿バネの弾性力を調整できるようにした皿バネ機構を備えた圧電素子駆動式金属ダイヤフラム制御弁を提供するものである。
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、圧電素子13の伸長によりダイヤフラム押え12を介して弁座7cへ当座又は弁座7cから離座する金属ダイヤフラム8を備えた圧電素子駆動式金属ダイヤフラム型制御弁において、圧電素子13と金属ダイヤフラム8との間に配設される皿バネ機構14を、下端部にダイヤフラム押え12が挿着されると共に上端部に上方が開放された収納空間22bを形成したダイヤフラム押えホルダー22と、ダイヤフラム押えホルダー22の収納空間22bに配設された複数枚の皿バネ23と、最上位の皿バネ23の上面に載置され、圧電素子13の下方に位置して圧電素子13の伸長を皿バネ23へ伝達するボール受け24と、皿バネ23の反発力を調整すると共にボール受け24及び皿バネ23を抜け止めするようダイヤフラム押えホルダー22に螺着されたバネ調整用ナット25とから構成したことを特徴とするとから構成したことに特徴がある。
又、請求項2の発明は、請求項1の発明に於いて、圧電素子13と皿バネ機構14との間に配設され、圧電素子13に常時上向きの圧縮力を加える予圧機構21を備えた構成としたことに特徴がある。
更に、請求項3の発明は、請求項1又は請求項2の発明に於いて、予圧機構21は、圧電素子13の直下位置に配設され、圧電素子13の下端面にボール16を介してバネの弾性力により上向きの圧縮力を加える構成としたことに特徴がある。
また、請求項4の発明は、請求項1、請求項2又は請求項3の発明に於いて、予圧機構21は、圧電素子13に加える上向きの圧縮力を調整可能な構成としたことに特徴がある。
本発明のノーマルオープン型の圧電素子駆動式金属ダイヤフラム型制御弁は、次のような優れた効果を発揮することができる。
(1)即ち、本発明の圧電素子駆動式金属ダイヤフラム型制御弁は、圧電素子に常時上向きの圧縮力を加える予圧機構を備えているため、例えば、制御弁を高温環境下に於いて使用する場合に、圧電素子を収容するアクチュエータボックスが熱膨張により伸びても、予圧機構を介して圧電素子に常時一定の圧縮力を加えることができる。その結果、本発明の圧電素子駆動式金属ダイヤフラム型制御弁は、圧電素子の伸長時にその発生力を金属ダイヤフラムへ確実且つ良好に伝達することができ、高精度な流量制御を行える。
(2)本発明の圧電素子駆動式金属ダイヤフラム型制御弁は、予圧機構により圧電素子を常時上方へ圧縮しているため、圧電素子の重量が金属ダイヤフラムに掛かると云うことがなく、金属ダイヤフラムに掛かる重量を軽減することができ、金属ダイヤフラムがその弾性力により弁座から離座するときに金属ダイヤフラムに掛かる負担が小さくなり、金属ダイヤフラムの延命化を図れる。
(3)本発明の圧電素子駆動式金属ダイヤフラム型制御弁は、圧電素子を常時加圧する予圧機構の予圧バネをアクチュエータボックスの周囲に配設すると共に、アクチュエータボックスの外側に位置する第2予圧治具に螺着した予圧調整用ナットにより圧電素子に加わる圧縮力を調整できるようにしているため、大きな弾性力を有する予圧バネを使用した場合でも、アクチュエータボックス等が大型化すると云うことがなく、又、制御弁自体を分解することなく圧電素子に加わる圧縮力を自由に調整することができる。
(4)本発明の圧電素子駆動式金属ダイヤフラム型制御弁は、予圧機構の第2予圧治具、予圧調整用ナット及び予圧バネをアクチュエータボックスの周囲に配設しているため、組立も比較的簡単且つ容易に行える。
(5)本発明の圧電素子駆動式金属ダイヤフラム型制御弁は、金属ダイヤフラムの上面側に配設したダイヤフラム押えと圧電素子との間に、金属ダイヤフラムが弁座へ当座したときに圧電素子の伸長を吸収すると共に、弁座及び金属ダイヤフラムの弁座に接触する部分(シート部)へ所定の押圧力を印加する皿バネ機構を介設しているため、金属ダイヤフラムが弁座に当座した後は皿バネ機構が圧電素子の伸長を吸収することになり、圧電素子の大きな発生力が直にシート部に掛かると云うことがなく、金属ダイヤフラム及び弁座の損傷を防止することができる。
(6)本発明の圧電素子駆動式金属ダイヤフラム型制御弁は、皿バネ機構が、上方が開放された収納空間を形成したダイヤフラム押えホルダーと、ダイヤフラム押えホルダーの収納空間に配設された複数枚の皿バネと、最上位の皿バネの上面に載置されたボール受けと、ダイヤフラム押えホルダーに上下方向へ移動調整自在に螺着され、皿バネの反発力を調整すると共に、ボール受け及び皿バネを抜け止めするバネ調整用ナットとから成り、バネ調整用ナットの締め込み量を調整することによって、皿バネの反発力を調整できる構成としているため、皿バネを別の皿バネと交換することなく、皿バネの反発力を自由に調整することができる。
図1は本発明の実施の形態に係るノーマルオープン型の圧電素子駆動式金属ダイヤフラム型制御弁を用いた圧力式流量制御装置の縦断正面図である。 圧電素子駆動式金属ダイヤフラム型制御弁の要部の縦断正面図である。 圧電素子駆動式金属ダイヤフラム型制御弁の要部の縦断側面図である。 圧電素子駆動式金属ダイヤフラム型制御弁の要部の横断平面図である。 本発明に係る圧電素子駆動式金属ダイヤフラム型制御弁と予圧機構を備えていない通常の圧電素子駆動式金属ダイヤフラム型制御弁の使用温度と変位量との関係を示すグラフである。 制御弁のシート部への負荷と圧電素子に印加する電圧との関係を示すグラフである。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明の実施の形態に係るノーマルオープン型の圧電素子駆動式金属ダイヤフラム型制御弁1を圧力式流量制御装置用の制御弁として用いたものであり、前記圧力式流量制御装置は、圧電素子駆動式金属ダイヤフラム型制御弁1と、圧電素子駆動式金属ダイヤフラム型制御弁1の上流側に接続された入口側ブロック2と、圧電素子駆動式金属ダイヤフラム型制御弁1の下流側に接続された出口側ブロック3と、圧電素子駆動式金属ダイヤフラム型制御弁1の下流側に設けた流量制御用のオリフィス4と、オリフィス4の上流側に設けられてオリフィス4の上流側圧力を検出する圧力センサー5と、圧電素子駆動式金属ダイヤフラム型制御弁1の上流側に設けたガスケットフィルター6と、圧電素子駆動式金属ダイヤフラム型制御弁1を制御する制御回路(図示省略)等から構成されており、オリフィス4上流側圧力によりオリフィス通過流量を演算しながら圧電素子駆動式金属ダイヤフラム型制御弁1の開閉によりオリフィス通過流量を制御するようにしたものである。
前記圧電素子駆動式金属ダイヤフラム型制御弁1は、図1に示す如く、ボディ7、金属ダイヤフラム8、押えアダプター9、アクチュエータボックス10、ベース押え11、ダイヤフラム押え12、圧電素子13(ピエゾアクチュエータ)、皿バネ機構14、下側のボール15、上側のボール16、ベアリング受け17、ベアリング18、調整用袋ナット19、ロックナット20及び予圧機構21等から構成されており、高温の反応ガス等を使用する高温環境下に於いても高精度な安定した流量制御を行えるようにしたノーマルオープン型の制御弁である。
具体的には、ボディ7は、図1に示す如く、ステンレス材によりブロック状に形成されており、上方が開放された弁室7a′を形成する凹部7aと、弁室7a′に連通する入口通路7bと、弁室7a′の底面に形成された環状の弁座7cと、弁室7a′に連通する出口通路7dと、圧力センサー5が挿着されるセンサー挿着穴7eと、ガスケットフィルター6が挿着されるフィルター挿着孔7fと、オリフィス4が挿着されるオリフィス挿着孔7g等を備えている。
このボディ7の上流側には、ボディ7の入口側通路に連通する導入通路2aと、導入通路2aの出口側に形成されたフィルター挿着孔2bと、流体の漏洩を検査するためのリークポート2cとを夫々備えたステンレス材製の入口側ブロック2が複数本のボルト(図示省略)により接続されている。又、ボディ7の下流側には、ボディ7の出口通路7dに連通する排出通路3aと、排出通路3aの入口側に形成されたオリフィス挿着孔3bと、流体の漏洩を検査するためのリークポート3cとを夫々備えたステンレ材製の出口側ブロック3が複数本のボルト(図示省略)により接続されている。
金属ダイヤフラム8は、図2に示す如く、コバルト、ニッケルを基ベースにタングステン、モリブデン、チタン、クロ−ム等を加えた耐久性、耐食性、耐熱性に優れた高弾性合金(スプロン100)製の極薄板材により中央部が上方へ膨出した逆皿形に形成されており、弁座7cと対向するように凹部7a内へ配置され、凹部7a内に夫々挿入した筒状の押えアダプター9、アクチュエータボックス10の下端部及びベース押え11を複数本のボルト31によりボディ7側へ締め込み固定することによって、金属ダイヤフラム8の外周縁部が押えアダプター9等によりボディ7側へ気密状に保持固定されている。
尚、金属ダイヤフラム8の材質は、ステンレス鋼やインコネル、その他の合金鋼であっても良く、又、複数枚の金属ダイヤフラム8を積層した金属ダイヤフラム8であっても良い。
アクチュエータボックス10は、図2に示す如く、熱膨張率の小さなインバー材により筒状に形成されており、アクチュエータボックス10の下端部外周面には、ベース押え11により下方へ押圧される段部10aが形成されていると共に、アクチュエータボックス10の上端部外周面には、調整用袋ナット19及びロックナット20が上下方向へ移動調整自在に螺着される雄ネジ10bが形成されている。又、アクチュエータボックス10の下端部周壁には、予圧機構21の構成部材である二本の連結ピン28が遊嵌状態で挿通される縦長のガイド孔10cが貫通状に形成されている。
圧電素子13(ピエゾアクチュエータ)は、図1に示す如く、アクチュエータボックス10内に配設されており、金属ダイヤフラム8を押圧するものである。この圧電素子13は、その上端部側がアクチュエータボックス10の上端部に螺着した調整用袋ナット19にベアリング受け17及びベアリング18を介して支持されており、電圧の印加により下方へ伸長して上側のボール16、予圧機構21の第1予圧治具26、下側のボール15、皿バネ機構14及びダイヤフラム押え12を介して金属ダイヤフラム8の中央部を弁座7c側へ押圧するようになっている。
尚、圧電素子13には、使用温度範囲が−20℃〜150℃の積層タイプのものが使用されている。
皿バネ機構14は、金属ダイヤフラム8の上面側に配設したダイヤフラム押え12と圧電素子13の直下位置に配設された予圧機構21の第1予圧治具26との間に介設されており、圧電素子13の伸長により金属ダイヤフラム8が弁座7cへ当座したときに圧電素子13の伸長を吸収すると共に、制御弁1のシート部(弁座7c及び金属ダイヤフラム8の弁座7cに接触する部分から成る)へ所定の押圧力を印加するものである。
即ち、皿バネ機構14は、図2に示す如く、下端部にダイヤフラム押え12が挿着される下向きの挿着穴22aを有すると共に、上端部に上方が開放された収納空間22bを備え、中間部に隔壁22cを形成した筒状のダイヤフラム押えホルダー22と、ダイヤフラム押えホルダー22の収納空間22bに収納されて隔壁22cに支持載置された複数枚の皿バネ23と、最上位の皿バネ23の上面に載置され、上面中心部に上側のボール16が支持載置される円錐状のボール受け溝24aを有すると共に、下端部外周面に鍔部24bを備えたボール受け24と、ダイヤフラム押えホルダー22の上端部外周面に形成した雄ネジ22dに上下方向へ移動調整自在に螺着され、ボール受け24の鍔部24bが係止されてボール受け24及び皿バネ23をダイヤフラム押えホルダー22の収納空間22bから抜け止めすると共に、皿バネ23の反発力を調整するバネ調整用ナット25とから成り、バネ調整用ナット25の締め込み量を調整することによって、皿バネ23の反発力を自由に調整できるように構成されている。
尚、ダイヤフラム押えホルダー22、ボール受け24及びバネ調整用ナット25は、熱膨張率の小さなインバー材により夫々形成されている。又、ダイヤフラム押え12は、ポリイミドや熱膨張率の小さなインバー材により形成されている。
予圧機構21は、圧電素子13の下端部と皿バネ機構14との間及びアクチュエータボックス10の周囲に配設されており、圧電素子13に常時上向きの圧縮力を加えると共に、圧電素子13に加わる圧縮力を外部から調整できるように構成されている。
即ち、予圧機構21は、図2乃至図4に示す如く、圧電素子13の直下位置に昇降自在に配設され、圧電素子13の下端面に上側のボール16を介して当接する円盤状の第1予圧治具26と、アクチュエータボックス10の外周面に上下動自在に嵌合された筒状の第2予圧治具27と、第1予圧治具26及び第2予圧治具27に貫通状に挿着され、第1予圧治具26と第2予圧治具27とを連結すると共に、アクチュエータボックス10に形成した縦長のガイド孔10cに沿って上下動する二本の平行な連結ピン28と、第2予圧治具27の上端部外周面に上下方向へ移動調整自在に螺着された予圧調整用ナット29と、上端部が予圧調整用ナット29に当接する状態でアクチュエータボックス10の周囲に配設され、第1予圧治具26と連結ピン28と第2予圧治具27と予圧調整用ナット29とを押し上げて圧電素子13を常時加圧する予圧バネ30とから成り、予圧バネ30の反発力を予圧調整用ナット29、第2予圧治具27、連結ピン28及び第1予圧治具26を介して圧電素子13に印加することによって、圧電素子13を常時加圧し、又、予圧調整用ナット29の締め込み量を変えることによって、圧電素子13に加えられる圧縮力を自由に調整できるようになっている。
具体的には、第1予圧治具26は、ステンレス材や熱膨張率の小さなインバー材により円盤状に形成されており、圧電素子13の下端部と皿バネ機構14との間に昇降自在に配設されている。この第1予圧治具26の上面中心部には、圧電素子13の下端面に設けた上側のボール16が支持載置される円錐状のボール受け溝26aが形成されていると共に、第1予圧治具26の下面中心部には、ボール受け24に支持載置された下側のボール15が挿入される逆円錐状のボール受け溝26bが形成されている。又、第1予圧治具26には、二本の連結ピン28が水平姿勢で且つ平行状態で挿着される二つの挿着孔26cが第1予圧治具26の軸心を中心にして左右対称状に形成されている。この二つの挿着孔26cは、アクチュエータボックス10の縦長のガイド孔10cに対向するように形成されている。
第2予圧治具27は、ステンレス材や熱膨張率の小さなインバー材により円筒状に形成されており、アクチュエータボックス10の外周面に上下方向へ摺動自在に嵌合されている。この第2予圧治具27の下端部には、第1予圧治具26の挿着孔26cに挿着された二本の平行な連結ピン28の両端部が夫々挿着される挿着孔27aが形成されていると共に、第2予圧治具27の上端部外周面には、予圧調整用ナット29が螺着される雄ネジ27bが形成されている。
二本の連結ピン28は、ステンレス材や熱膨張率の小さなインバー材により軸状に形成されており、第1予圧治具26及び第2予圧治具27に貫通状に挿着されて第1予圧治具26と第2予圧治具27とを連結するものである。このとき、両連結ピン28は、アクチュエータボックス10の縦長のガイド孔10cに遊嵌状態で挿通されてガイド孔10cに沿って上下動できるようになっていると共に、ベース押え11の上面に形成した窪み部11aに収納された状態になっている。
予圧調整用ナット29は、ステンレス材や熱膨張率の小さなインバー材により形成されており、第2予圧治具27の上端部外周面に形成した雄ネジ27bに上下方向へ移動調整自在に螺着されている。
予圧バネ30は、上端部が予圧調整用ナット29の下面に、又、下端部がベース押え11の上面に夫々当接する状態でアクチュエータボックス10の周囲に配設されており、その反発力により第1予圧治具26と連結ピン28と第2予圧治具27と予圧調整用ナット29とを押し上げて圧電素子13を常時加圧するものである。この予圧バネ30には、圧縮コイルスプリングが使用されている。又、予圧バネ30は、予圧調整用ナット29の締め込み量を調整することによって、圧電素子13に加わる圧縮力を自由にすることができるようになっている。
尚、前記圧電素子駆動式金属ダイヤフラム型制御弁1は、調整用袋ナット19の締め込み量を調整することにより、圧電素子13による金属ダイヤフラム8の作動ストロークが設定値になるように調整されている。又、圧電素子駆動式金属ダイヤフラム型制御弁1は、予圧調整用ナット29の締め込み量を調整することにより、予圧バネ30による圧電素子13への圧縮力が設定値になるように調整されている。この例では、圧電素子13に常時200N程度の圧縮力が加わるように設定されている。更に、圧電素子駆動式金属ダイヤフラム型制御弁1は、組み立てた後にはダイヤフラム押え12、皿バネ機構14の各部材、下側のボール15、第1予圧治具26、上側のボール16、圧電素子13等の軸心は高精度に一致した状態となっている。
而して、前記圧電素子駆動式金属ダイヤフラム型制御弁1によれば、制御回路(図示省略)からコネクターを介して圧電素子13に駆動電圧が印加されると、圧電素子13は印加電圧に応じて設定値だけ伸長する。
このとき、圧電素子13には、予圧機構21により圧電素子13を常時上方へ圧縮する圧縮力が加えられているため、例えば、制御弁1を高温環境下に於いて使用した場合に、圧電素子13を収容するアクチュエータボックス10等が熱膨張により伸びても、圧電素子13の上端部と調整用袋ナット19との間に隙間が生じることがなく、予圧機構21を介して圧電素子13に常時一定の圧縮力を加えることができる。その結果、この圧電素子駆動式金属ダイヤフラム型制御弁1は、圧電素子13の伸長時にその発生力を金属ダイヤフラム8側へ確実且つ良好に伝達することができる。
図5のグラフは予圧機構21の効果を確認するため、予圧機構21を備えた本発明に係る圧電素子駆動式金属ダイヤフラム型制御弁1と予圧機構21を備えていない通常の圧電素子駆動式金属ダイヤフラム型制御弁の使用温度と変位量との関係をグラフ化したものであり、図5のグラフからも明らかなように、予圧機構21を備えた本発明に係る圧電素子駆動式金属ダイヤフラム型制御弁1の方が予圧機構21を備えていない圧電素子駆動式金属ダイヤフラム型制御弁に比べて圧電素子13の発生力を金属ダイヤフラム8へ確実に伝達することができる。
圧電素子13への電圧の印加により圧電素子13が伸長すると、圧電素子13の発生力により上側のボール16、第1予圧治具26、下側のボール15及び皿バネ機構14を介してダイヤフラム押え12が押し下げられ、これにより金属ダイヤフラム8が弁座7c側へ押し下げられて弁座7cに当座して閉弁状態となる。
金属ダイヤフラム8が弁座7cへ当座した後は、圧電素子13の下端部とダイヤフラム押え12との間に介設した皿バネ機構14が圧電素子13の伸長を吸収し、シート部(弁座7c及び金属ダイヤフラム8の弁座7cに接触する部分から成る)には皿バネ23の変位量に応じた反発力が印加される。その結果、この圧電素子駆動式金属ダイヤフラム型制御弁1は、圧電素子13の大きな発生力が直にシート部に掛かると云うことがなく、金属ダイヤフラム8及び弁座7cの損傷を防止することができる。
一方、圧電素子13への印加電圧を解除すると、圧電素子13が伸長状態から元の長さ寸法に復帰すると共に、金属ダイヤフラム8に加わっていた押圧力が喪失し、これにより金属ダイヤフラム8がその弾性力により元の状態に復帰し、弁座7cから離座して開弁状態となる。
このとき、圧電素子13には、予圧機構21により圧電素子13を常時上方へ圧縮する圧縮力が加えられているため、圧電素子13の重量が金属ダイヤフラム8に掛かると云うことがなく、金属ダイヤフラム8に掛かる重量はダイヤフラム押え12と皿バネ機構14の重さとなる。その結果、この圧電素子駆動式金属ダイヤフラム型制御弁1は、金属ダイヤフラム8に掛かる重量を軽減することができ、金属ダイヤフラム8がその弾性力により弁座7cから離座するときに金属ダイヤフラム8に掛かる負担が小さくなって金属ダイヤフラム8の延命化を図れる。
尚、前記圧電素子駆動式金属ダイヤフラム型制御弁1は、圧電素子13を常時加圧する予圧機構21の予圧バネ30をアクチュエータボックス10の周囲に配設すると共に、アクチュエータボックス10の外側に位置する第2予圧治具27に螺着した予圧調整用ナット29により圧電素子13に加わる圧縮力を調整できるようにしているため、大きな弾性力を有する予圧バネ30を使用した場合でも、アクチュエータボックス等が大型化すると云うことがなく、又、制御弁自体を分解することなく圧電素子13に加わる圧縮力を自由に調整することができる。
又、圧電素子駆動式金属ダイヤフラム型制御弁1は、予圧機構21の第2予圧治具27、予圧調整用ナット29及び予圧バネ30をアクチュエータボックス10の周囲に配設しているため、組立も比較的簡単且つ容易に行える。
更に、この圧電素子駆動式金属ダイヤフラム型制御弁1は、皿バネ機構14が、上方が開放された収納空間を形成したダイヤフラム押えホルダー22と、ダイヤフラム押えホルダー22の収納空間に配設された複数枚の皿バネ23と、最上位の皿バネ23の上面に載置されたボール受け24と、ダイヤフラム押えホルダー22に上下方向へ移動調整自在に螺着され、皿バネ23の反発力を調整すると共に、ボール受け24及び皿バネ23を抜け止めするバネ調整用ナット25とから成り、バネ調整用ナット25の締め込み量を調整することによって、皿バネ23の反発力を調整できる構成としているため、皿バネ23を別の皿バネ23と交換することなく、皿バネ23の反発力を自由に調整することができる。
本発明に係る圧電素子駆動式金属ダイヤフラム型制御弁1は、主として半導体製造設備等のガス制御ラインに於いて利用されるが、その利用対象は上記半導体製造装置等に限定されるものではなく、化学産業や薬品産業、食品産業等の各種装置に於けるガス供給ラインに於いても利用されるものである。
1は圧電素子駆動式金属ダイヤフラム型制御弁、7はボディ、7a′は弁室、7cは弁座、8は金属ダイヤフラム、10はアクチュエータボックス、10cはガイド孔、12はダイヤフラム押え、13は圧電素子、14は皿バネ機構、15は下側のボール、16は上側のボール、21は予圧機構、22はダイヤフラム押えホルダー、22bは収納空間、23は皿バネ、24はボール受け、25はバネ調整用ナット、26は第1予圧治具、27は第2予圧治具、28は連結ピン、29は予圧調整用ナット、30は予圧バネ。

Claims (4)

  1. 圧電素子(13)の伸長によりダイヤフラム押え(12)を介して弁座(7c)へ当座又は弁座(7c)から離座する金属ダイヤフラム(8)を備えた圧電素子駆動式金属ダイヤフラム型制御弁において、圧電素子(13)と金属ダイヤフラム(8)との間に配設される皿バネ機構(14)を、下端部にダイヤフラム押え(12)が挿着されると共に上端部に上方が開放された収納空間(22b)を形成したダイヤフラム押えホルダー(22)と、ダイヤフラム押えホルダー(22)の収納空間(22b)に配設された複数枚の皿バネ(23)と、最上位の皿バネ(23)の上面に載置され、圧電素子(13)の下方に位置して圧電素子(13)の伸長を皿バネ(23)へ伝達するボール受け(24)と、皿バネ(23)の反発力を調整すると共にボール受け(24)及び皿バネ(23)を抜け止めするようダイヤフラム押えホルダー(22)に螺着されたバネ調整用ナット(25)とから構成したことを特徴とする圧電素子駆動式金属ダイヤフラム型制御弁。
  2. 圧電素子(13)と皿バネ機構(14)との間に配設され、圧電素子(13)に常時上向きの圧縮力を加える予圧機構(21)を備えた請求項1に記載の圧電素子駆動式金属ダイヤフラム型制御弁。
  3. 予圧機構(21)は、圧電素子(13)の直下位置に配設され、圧電素子(13)の下端面にボール(16)を介してバネの弾性力により上向きの圧縮力を加える構成のものとした請求項1又は請求項2に記載の圧電素子駆動式金属ダイヤフラム型制御弁。
  4. 予圧機構(21)は、圧電素子(13)に加える上向きの圧縮力を調整可能な構成のものとした請求項1、請求項2又は請求項3に記載の圧電素子駆動式金属ダイヤフラム型制御弁。
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