JP4950805B2 - メタンハイドレート採掘方法およびメタンハイドレート採掘装置 - Google Patents

メタンハイドレート採掘方法およびメタンハイドレート採掘装置 Download PDF

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Description

本発明は、海底下のメタンハイドレート層からメタンハイドレートを採掘する方法および装置に関するものである。
メタンハイドレートは、複数個の水分子が集まって構成される結晶格子構造(籠構造)の中にメタン等の炭化水素(メタンを含む。)が閉じ込められたものであり、日本近海を含む大陸周辺部の海底地盤中に低温度かつ高圧力のもとに固体状態で大量に存在することが知れられている。メタンハイドレートを含有する層(メタンハイドレート層)は水深数千mの海底下数百mの深さに存在すると想定されている。また、メタンハイドレートの埋蔵量は天然ガスの確認埋蔵量の数十倍であると推定されている。それ故、メタンハイドレートは未来のエネルギー源として期待されている。
特許文献1に記載されているように、メタンハイドレート採掘技術は、熱刺激法,減圧法および分解促進剤注入法などが検討されているが、未だ研究段階である。熱刺激法は、坑井を介してメタンハイドレート層に熱流体(熱水や蒸気)を注入し、メタンハイドレートを熱分解させて炭化水素ガス(メタンガスを含む。)を発生させ、その炭化水素ガスを収集する方法である。減圧法は、坑井内の泥水量や泥水比重を低下させ、メタンハイドレート層の付近の圧力を低下させて、メタンハイドレートを分解させて炭化水素ガスを発生させ、その炭化水素ガスを収集する方法である。また、分解促進剤注入法は、メタノール等の分解促進剤(インヒビタ)をメタンハイドレート層に注入して、メタンハイドレートの分解を促進させて炭化水素ガスを発生させ、その炭化水素ガスを収集する方法である。これらのメタンハイドレート採掘技術は何れも難点があって実用化が困難であるとされている。
これに対して、特許文献2に提案されているメタンハイドレート採掘技術は、メタンハイドレート層にレーザ光を照射することにより、メタンハイドレートを分解させて炭化水素ガスを発生させ、その炭化水素ガスを収集するものである。また、この文献に提案されている技術では、レーザ光源は海上または地上に配置され、そのレーザ光源から出力されたレーザ光は光ファイバにより導波されてメタンハイドレート層に照射される。このことから、レーザ光波長としては、石英光ファイバの伝送損失が少ない波長域(1.0〜1.3μm)に含まれる波長が好ましいとされている。また、この波長域内ではレーザ光は水中の吸収が少ないと記載されている。
また、特許文献3に提案されている技術は、レーザ光源から出力されたレーザ光をレーザ波長変換手段により波長変換して、水中での吸収率が高い波長の第1レーザ光、または、水中での吸収率が低い波長の第2レーザ光を発生させて、この第1レーザ光または第2レーザ光を水中の地層に照射して、その地層を掘削するものである。なお、この特許文献3にはメタンハイドレート採掘について何ら記載がない。
特開2005-139825号公報 特許第3506696号公報 特許第3856811号公報
特許文献2に提案されているメタンハイドレート採掘技術、および、特許文献3に提案されている技術をメタンハイドレート採掘に適用したと仮定した場合のメタンハイドレート採掘技術は、何れも、メタンハイドレート層にレーザ光を照射することによりメタンハイドレートを分解させようとするものである。
しかし、特許文献2において、波長域(1.0〜1.3μm)内ではレーザ光は水中の吸収が少ないと記載されているが、これは誤りである。実際には、該波長域における水中の吸収は非常に大きい。すなわち、水の吸収スペクトルを用いてランベルト・ベールの法則から見積もると、例えば、波長1.06μmの光は、厚さ1mの水の層があると、1兆分の1程度以下にまで減衰してしまう。また、波長1.3μmの光は、厚さ10cmの水の層でさえも、1000億分の1程度以下にまで減衰してしまう。したがって、この波長域を用いて海中でレーザ光照射を行っても、そのレーザ光の殆どが水に吸収されてしまい、光エネルギーをメタンハイドレート層に注入することができず、実質的には、炭化水素ガスを收集することは極めて困難である。
また、特許文献3に提案されている技術をメタンハイドレート採掘に適用したと仮定した場合のメタンハイドレート採掘技術では、水中での吸収率が高い波長の第1レーザ光、または、水中での吸収率が低い波長の第2レーザ光を、メタンハイドレート層に照射することになるが、何れの波長のレーザ光をメタンハイドレート層に照射したとしても、メタンハイドレート採掘効率は非常に低い。すなわち、水中での吸収率が高い波長の第1レーザ光は、その殆どが水で吸収されてしまい、メタンハイドレート層に到達する光エネルギーが僅かなものとなってしまう。また、水中での吸収率が低い波長の第2レーザ光は、水での吸収が少なくメタンハイドレート層に到達し得るが、メタンハイドレートとのクロスセクションが小さく(充分な光吸収ができず)充分な相互作用を行なうことができない。何れの場合にも効率的な炭化水素ガスの収集は困難である。
本発明は、上記問題点を解消する為になされたものであり、レーザ光を用いて効率よくメタンハイドレートを採掘することができる方法および装置を提供することを目的とする。
本発明に係るメタンハイドレート採掘方法は、海底下のメタンハイドレート層からメタンハイドレートを採掘する方法であって、波長範囲300〜700nmに含まれる何れかの波長のレーザ光をレーザ光源から出力させ、レーザ光源から出力されたレーザ光をメタンハイドレート層へ向けて出力するとともに、そのレーザ光をメタンハイドレート層の表面または内部で集光することで高調波光を発生させ、その高調波光をメタンハイドレート層へ照射して、レーザ光または高調波光が照射されたメタンハイドレート層で発生する炭化水素ガスを収集することを特徴とする。
本発明に係るメタンハイドレート採掘方法は、高調波光をメタンハイドレート層へ照射することによりメタノールを生成して、このメタノールを分解促進剤として用いるのが好適であり、また、高調波光をメタンハイドレート層へ照射することにより炭素の微粒子または重合体を生成して、この炭素の微粒子または重合体を光吸収増強剤として用いるのが好適である。ここで言う炭素の微粒子または重合体とは、高調波光の照射による光反応によりメタンハイドレートが分解または重合して生成されたスス状カーボンやタールなどの物質である。
本発明に係るメタンハイドレート採掘方法は、海中に配置したレーザ光源からレーザ光を出力させ、海上または陸上に配置された駆動部によりレーザ光源を動作させるのが好適である。さらに、収集した炭化水素ガスをエネルギー源として用いて駆動部を動作させるのが好適である。
本発明に係るメタンハイドレート採掘装置は、海底下のメタンハイドレート層からメタンハイドレートを採掘する装置であって、(1) 波長範囲300〜700nmに含まれる何れかの波長のレーザ光を出力するレーザ光源と、(2) レーザ光源から出力されたレーザ光をメタンハイドレート層へ向けて出力するとともに、そのレーザ光をメタンハイドレート層の表面または内部で集光することで高調波光を発生させ、その高調波光をメタンハイドレート層へ照射する照射光学系と、(3)レーザ光または高調波光が照射されたメタンハイドレート層で発生する炭化水素ガスを収集する収集手段と、を備えることを特徴とする。
本発明に係るメタンハイドレート採掘装置では、照射光学系が高調波光をメタンハイドレート層へ照射することによりメタノールを生成するのが好適であり、また、照射光学系が高調波光をメタンハイドレート層へ照射することにより炭素の微粒子または重合体を生成するのが好適である。
本発明に係るメタンハイドレート採掘装置では、レーザ光源が海中に配置されてレーザ光を出力し、レーザ光源を動作させる駆動部が海上または陸上に配置されているのが好適である。さらに、収集した炭化水素ガスをエネルギー源として用いて駆動部が動作するのが好適である。
本発明に係るメタンハイドレート採掘方法またはメタンハイドレート採掘装置では、波長範囲300〜700nmに含まれる何れかの波長のレーザ光がレーザ光源から出力される。そのレーザ光源から出力されたレーザ光は、メタンハイドレート層へ向けて出力されるとともに、メタンハイドレート層の表面または内部で集光される。この集光位置において多光子過程により高調波光が発生し、その高調波光がメタンハイドレート層へ照射される。そして、レーザ光または高調波光が照射されたメタンハイドレート層で炭化水素ガスが発生し、その炭化水素ガスが収集される。
なお、レーザ光源から出力されるレーザ光はパルスレーザ光であるのが好ましい。また、レーザ光源から出力されるレーザ光の波長は、好ましくは400〜550nmの範囲内であり、より好ましくは425〜500nmの範囲内であり、最も好ましくは460nm近傍である。
このように、本発明では、水における吸収が小さい波長のレーザ光をレーザ光源からメタンハイドレート層へ向けて出力し、そのレーザ光をメタンハイドレート層の表面または内部の集光位置で集光することにより、水中でのレーザ光の損失を低く抑えることができる。また、この集光位置での多光子過程により高調波光を発生させ、その高調波光をメタンハイドレート層へ照射することにより、効率よくメタンハイドレートを分解して炭化水素ガスを生成することができる。
また、高調波光をメタンハイドレート層へ照射することによりメタノールおよび炭素の微粒子または重合体の双方または何れか一方を生成して、このメタノールまたは炭素の微粒子もしくは重合体を分解促進剤や光吸収増強剤として用いることにより、更に効率よくメタンハイドレートを分解して炭化水素ガスを生成することができる。
また、海中に配置したレーザ光源からレーザ光を出力させ、海上または陸上に配置された駆動部によりレーザ光源を動作させることにより、上記波長範囲のレーザ光を海上または陸上から光ファイバで海底まで導く必要がなく、光ファイバにより導波される間のレーザ光の損失が回避される。さらに、収集した炭化水素ガスをエネルギー源として用いて駆動部を動作させる場合には、海上または陸上に配置された駆動部に対して電力供給設ける上で好ましい。
本発明によれば、レーザ光を用いて効率よくメタンハイドレートを採掘することができる。
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、各図面の寸法比率は、必ずしも実際の寸法比率とは一致していない。
図1は、本実施形態に係るメタンハイドレート採掘装置1の構成を示す図である。この図に示されるメタンハイドレート採掘装置1は、海底93下のメタンハイドレート層95からメタンハイドレートを採掘する装置である。メタンハイドレート層95は、海底93の直下の地盤94と更に下の地盤96との間にある。メタンハイドレート採掘装置1は、海上構造物11,貯蔵部12,発電部13,駆動部14,採掘管21,電力供給線22,移動部31,保護部32,レーザ光源33,照射光学系34および光出射面洗浄部35を備えている。
海上構造物11は、船舶や掘削リグであり、海面91上に貯蔵部12,発電部13および駆動部14を配置するためのものである。貯蔵部12は、メタンハイドレート層95で発生して採掘管21の内部を通過して来た炭化水素ガス(メタンガスを含む。)を貯蔵するものである。貯蔵部12は、炭化水素ガスを気体のまま貯蔵してもよいが、炭化水素ガスを液化したものを貯蔵するのが好適であり、また、メタンハイドレートに戻したものを貯蔵するのも好適である。
発電部13は、海上構造物11上に配置された駆動部14を含む諸設備に供給されるべき電力を発生するものである。発電部13は、貯蔵部12に貯蔵された炭化水素の一部を燃焼させ、その熱エネルギーを電気エネルギーに変換して、電力を発生するのが好適である。駆動部14は、発電部13から電力供給を受けて、レーザ光源33を駆動するための駆動電力を電力供給線22へ出力する。
採掘管21は、上端が海上構造物11上の貯蔵部12まで達し、海水32および海底93下の地盤94を経て、下端がメタンハイドレート層95まで達している。電力供給線22は、採掘管21内に挿通されており、駆動部14から出力される駆動電力をレーザ光源33へ伝送する。採掘管21の下端の近傍に、移動部31,保護部32,レーザ光源33,照射光学系34および光出射面洗浄部35が設けられている。
移動部31は、レーザ光源33の位置および方位を変更することで、レーザ光源33からの光出射の位置および方向を変更するものである。レーザ光源33は、保護部32に覆われて移動部31の先端に設けられている。保護部32は、水圧に対してレーザ光源33を保護するためのものである。また、この保護部32は、レーザ光源33で発生する熱を外部へ放出する役目も有している。なお、外部へ放出された熱はメタンハイドレートの熱分解にも活用することができる。
レーザ光源33は、駆動部14から電力供給線22を経て駆動電力を供給されて、波長範囲300〜700nmに含まれる何れかの波長のレーザ光L1を出力する。このレーザ光L1はパルスレーザ光であるのが好ましい。また、このレーザ光L1の波長は、好ましくは400〜550nmの範囲内であり、より好ましくは425〜500nmの範囲内であり、最も好ましくは460nm近傍である。
照射光学系34は、レーザ光源33から出力されたレーザ光L1をメタンハイドレート層95へ向けて出力するとともに、そのレーザ光L1をメタンハイドレート層95の表面または内部の集光位置Pで集光することで多光子過程により高調波光L2を発生させ、その高調波光L2をメタンハイドレート層95へ照射する。この照射光学系34は、1または複数のレンズまたは曲面鏡からなり、これらの各位置を調整することでレーザ光L1の集光位置Pを調整することができるのが好適である。光出射面洗浄部35は、泥水等に因る光出射面の汚れを落とすため該光出射面を洗浄するものである。
なお、メタンハイドレート層95までの距離を測定する測距部が更に設けられているのが好適である。この測距部は、光学式のものであってもよいし、超音波を用いたものであってもよい。そして、この測距部により得られたメタンハイドレート層95までの距離に基づいて照射光学系34が制御されてレーザ光L1の集光位置Pが調整されるのが好ましい。
また、採掘管21の下端の近傍に設けられる各構成要素の動作を制御する制御信号を海上構造物11から送るための制御信号線や、採掘管21の下端の近傍における状態(温度や圧力など)を測定した結果を海上構造物11へ送るための測定信号線は、採掘管21内に挿通される。さらに、メタンハイドレート層95にレーザ光L1または高調波光L2が照射されることにより発生する炭化水素ガスは、採掘管21の下端から内部を経て上端に達して、貯蔵部12内に貯蔵される。すなわち、採掘管21および貯蔵部12は、レーザ光L1または高調波光L2が照射されたメタンハイドレート層95で発生する炭化水素ガスを収集する収集手段として作用する。炭化水素ガスを収集する収集手段として、コレクター(収集容器)が用いられてもよい。
図2も、本実施形態に係るメタンハイドレート採掘装置1の構成を示す図である。図1では、レーザ光源33からの光出射の方向を下方向としていたが、図2では、特に移動部31の作用によりレーザ光源33からの光出射の方向を横方向にした様子を示している。
図3は、本実施形態に係るメタンハイドレート採掘装置1の要部の構成を示す図である。この図には、採掘管21の下端の近傍に設けられる保護部32,レーザ光源33,照射光学系34および光出射面洗浄部35が示されている。
本実施形態に係るメタンハイドレート採掘装置1またはメタンハイドレート採掘方法は、水97における吸収が小さい波長範囲300〜700nmに含まれる何れかの波長のレーザ光L1をレーザ光源33からメタンハイドレート層95へ向けて出力する。そして、照射光学系34により、そのレーザ光L1をメタンハイドレート層95の表面または内部の集光位置Pで集光することで多光子過程により高調波光L2を発生させ、その高調波光L2をメタンハイドレート層95へ照射する。また、多光子過程に寄与しなかった残りのレーザ光L1をもメタンハイドレート層95へ照射する。
高調波光L2は、レーザ光L1の周波数に対して2倍の周波数を有する第2高調波光を含み、また、レーザ光L1の周波数に対して3倍の周波数を有する第3高調波光を含む。例えばレーザ光L1の波長が460nmであるとすると、第2高調波光の波長は230nmであり、第3高調波光の波長は153nmである。
波長460nmにおいて水の吸収係数は略最小となり約0.0002cm−1以下である。すなわち、波長460nmのレーザ光L1が水97中を1m進んでも、吸光度は0.02以下であり、透過率は95%以上となる。なお、水97は、元々メタンハイドレート層95に存在していたもの、メタンハイドレートの分解により生じたもの、および、海水92が流れ込んできたもの、を含む。一方、レーザ光L1と比べて高調波光L2の波長では、メタンハイドレートの吸収係数が数桁程度(100倍〜10万倍)大きく、強い相互作用が起こる。
なお、光化学の研究から、メタンは、上記の高調波光L2のような紫外光または真空紫外光の照射により励起されると、メチルラジカルおよび水素ラジカルに分解されることが知られている。また、水は、紫外光または真空紫外光の照射により励起されると、水素ラジカルおよびヒドロキシルラジカルに分解されることが知られている。さらに、海底1000m以上という環境の条件(温度が数℃、100気圧程度)の下では高密度の反応基質は容易に光化学反応を起こす。すなわち、レーザ光のエネルギーがメタンハイドレートに注入されることにより、メタンを含む炭化水素および水の分解反応が起こり、各種のラジカルが生成し、一部は、水素、エタン、メタノールなどを生じ、その結果、メタンハイドレートの構造が崩壊し、籠状の水構造を形作る水素結合も切断される。
このように、本実施形態では、メタンハイドレート層95の集光位置P1まではレーザ光L1が低損失で進み、集光位置P1で発生した紫外域または真空紫外域の高調波光L2がメタンハイドレート層95に照射されることで、高効率にメタンハイドレートが分解されて炭化水素が生成される。そして、この炭化水素ガスは、採掘管21の下端から内部を経て上端に達して、貯蔵部12内に貯蔵される。
上述したように、高調波光L2がメタンハイドレート層95に照射されることに因るメタンハイドレートの分解反応の結果、一部メタノールが生成される。前述したように、メタノールは、分解促進剤注入法において分解促進剤(インヒビタ)として用いられるものであるが、これまで、メタンハイドレート層全体に如何にして注入するかが研究課題となっていた。しかし、本実施形態では、外部からメタノールを注入するのではなく、メタンハイドレート層95に高調波光L2照射により光エネルギーを注入することにより、メタンハイドレート中にメタノールを生成することができる点に大きな特徴がある。また、生成されるメタノールは、紫外光の波長域における吸収端が260nm付近にあるので、第2高調波の230nmおよび第3高調波の153nmの各波長において、絞られた高調波光L2のエネルギーを効率良く吸収する光吸収増強剤としても機能することもでき、レーザ光によるメタンハイドレートの分解に有効に機能する。
また、上記の高調波光L2の強い相互作用の結果、メタンハイドレートが分解し、一部のメタンは炭素の微粒子または重合体となる。この炭素の微粒子または重合体は、メタンハイドレートと比べて、紫外および可視の波長域で極めて大きな吸収係数を持ち、レーザ光を非常に効率良く吸収するので、光吸収増強剤として機能する。すなわち、炭素の微粒子または重合体は、レーザ光照射によるメタンハイドレートの分解に極めて有効であり、一種の分解促進剤として機能する。しかも、外部から光吸収増強剤または分解促進剤を注入する必要がないので、これまでの分解促進剤注入法の注入方法に関する課題は問題とならない。
本実施形態では、特に、メタンハイドレートが均質で砂岩や石灰岩などが共存しない場合に有効である。何故なら、砂岩や石灰岩などが共存している場合には、これらの岩石が紫外光を比較的効率良く吸収するので炭素の微粒子または重合体の生成は不可欠ではないが、紫外光を効率よく吸収する砂岩や石灰岩などが共存しない場合には、これらに替わって炭素の微粒子または重合体が紫外光を効率よく吸収するからである。
なお、炭素の微粒子または重合体が生成された後は、必ずしも高調波光L2をメタンハイドレート層95に照射する必要はなく、基本波のレーザ光L1をメタンハイドレート層95に照射しても充分に炭素の微粒子または重合体が光エネルギーを吸収するので、メタンハイドレートの分解は可能である。
また、本実施形態では、メタンハイドレート層95へ高調波光L2を照射することによりメタノールおよび炭素の微粒子または重合体の双方を生成するのが好ましい。この場合には、メタノールおよび炭素の微粒子または重合体の相乗効果により、レーザ光照射によるメタンハイドレートの分解を更に効率的に実施することができる。
図4は、本実施形態に係るメタンハイドレート採掘方法を説明するフローチャートである。ステップS1では、波長範囲300〜700nmに含まれる何れかの波長のレーザ光L1をレーザ光源33から出力させ、そのレーザ光L1をメタンハイドレート層95へ向けて出力するとともに、そのレーザ光L1をメタンハイドレート層95の表面または内部で集光することで高調波光L2を発生させ、その高調波光L2をメタンハイドレート層95へ照射する。
上記波長範囲のレーザ光L1は水97中を低損失で進むことができる。レーザ光L1の最も好適な波長は460nmであり、この場合には、1mの水97の層をレーザ光L1が通過しても95%以上の透過率を達成できる。しかし、このレーザ光L1の波長では、メタンハイドレートの吸収のクロスセクションが非常に小さいので、強い相互作用を起こすには不充分である。そこで、レーザ光L1の多光子励起を利用することにより、高調波光L2(第2高調波光または第3高調波光)を生成して、この高調波光L2をメタンハイドレート層95に照射する。
続くステップS2では、高調波光L2をメタンハイドレート層95へ照射することにより、メタノールおよび炭素の微粒子または重合体の双方または何れか一方を生成して、このメタノールまたは炭素の微粒子もしくは重合体を分解促進剤や光吸収増強剤として用いる。さらに、ステップS3で、レーザ光L1または高調波光L2をメタンハイドレート層95に照射し、ステップS4で、メタンハイドレートを分解して炭化水素ガスを生成し、そして、その炭化水素ガスを収集する。
以上のように、本実施形態では、水97における吸収が小さい波長のレーザ光L1をレーザ光源33からメタンハイドレート層95へ向けて出力し、そのレーザ光L1をメタンハイドレート層95の表面または内部の集光位置Pで集光することにより、この間のレーザ光L1の損失を低く抑えることができる。また、この集光位置Pでの多光子過程により高調波光L2を発生させ、その高調波光L2をメタンハイドレート層95へ照射することにより、効率よくメタンハイドレートを分解して炭化水素ガスを生成することができる。また、高調波光L2をメタンハイドレート層95へ照射することによりメタノールおよび炭素の微粒子または重合体の双方または何れか一方を生成して、このメタノールまたは炭素の微粒子または重合体を分解促進剤や光吸収増強剤として用いることにより、更に効率よくメタンハイドレートを分解して炭化水素ガスを生成することができる。
なお、メタンハイドレート層付近の水圧は100気圧程度にまで及ぶが、高温の水や水蒸気のような物質を吹き付けることをしないので、高圧という条件による制約を受けずに、本実施形態のように最適な波長を選択することにより、光エネルギーを減少させることなく、メタンハイドレートにエネルギーを注入することができ、高効率でメタンを生産することができる。
本実施形態に係るメタンハイドレート採掘装置1の構成を示す図である。 本実施形態に係るメタンハイドレート採掘装置1の構成を示す図である。 本実施形態に係るメタンハイドレート採掘装置1の要部の構成を示す図である。 本実施形態に係るメタンハイドレート採掘方法を説明するフローチャートである。
符号の説明
1…メタンハイドレート採掘装置、11…海上構造物、12…貯蔵部、13…発電部、14…駆動部、21…採掘管、22…電力供給線、31…移動部、32…保護部、33…レーザ光源、34…照射光学系、35…光出射面洗浄部、91…海面、92…海水、93…海底、94…地盤、95…メタンハイドレート層、96…地盤、97…水、L1…レーザ光、L2…高調波光、P…集光位置。

Claims (10)

  1. 海底下のメタンハイドレート層からメタンハイドレートを採掘する方法であって、
    波長範囲300〜700nmに含まれる何れかの波長のレーザ光をレーザ光源から出力させ、
    前記レーザ光源から出力されたレーザ光をメタンハイドレート層へ向けて出力するとともに、そのレーザ光をメタンハイドレート層の表面または内部で集光することで高調波光を発生させ、その高調波光をメタンハイドレート層へ照射して、
    前記レーザ光または前記高調波光が照射されたメタンハイドレート層で発生する炭化水素ガスを収集する、
    ことを特徴とするメタンハイドレート採掘方法。
  2. 前記高調波光をメタンハイドレート層へ照射することによりメタノールを生成して、このメタノールを分解促進剤として用いる、ことを特徴とする請求項1記載のメタンハイドレート採掘方法。
  3. 前記高調波光をメタンハイドレート層へ照射することにより炭素の微粒子または重合体を生成して、この炭素の微粒子または重合体を光吸収増強剤として用いる、ことを特徴とする請求項1記載のメタンハイドレート採掘方法。
  4. 海中に配置した前記レーザ光源からレーザ光を出力させ、海上または陸上に配置された駆動部により前記レーザ光源を動作させる、ことを特徴とする請求項1記載のメタンハイドレート採掘方法。
  5. 収集した炭化水素ガスをエネルギー源として用いて前記駆動部を動作させることを特徴とする請求項4記載のメタンハイドレート採掘方法。
  6. 海底下のメタンハイドレート層からメタンハイドレートを採掘する装置であって、
    波長範囲300〜700nmに含まれる何れかの波長のレーザ光を出力するレーザ光源と、
    前記レーザ光源から出力されたレーザ光をメタンハイドレート層へ向けて出力するとともに、そのレーザ光をメタンハイドレート層の表面または内部で集光することで高調波光を発生させ、その高調波光をメタンハイドレート層へ照射する照射光学系と、
    前記レーザ光または前記高調波光が照射されたメタンハイドレート層で発生する炭化水素ガスを収集する収集手段と、
    を備えることを特徴とするメタンハイドレート採掘装置。
  7. 前記照射光学系が前記高調波光をメタンハイドレート層へ照射することによりメタノールを生成することを特徴とする請求項6記載のメタンハイドレート採掘装置。
  8. 前記照射光学系が前記高調波光をメタンハイドレート層へ照射することにより炭素の微粒子または重合体を生成することを特徴とする請求項6記載のメタンハイドレート採掘装置。
  9. 前記レーザ光源が海中に配置されてレーザ光を出力し、前記レーザ光源を動作させる駆動部が海上または陸上に配置されている、ことを特徴とする請求項6記載のメタンハイドレート採掘装置。
  10. 収集した炭化水素ガスをエネルギー源として用いて前記駆動部が動作することを特徴とする請求項9記載のメタンハイドレート採掘装置。
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