JP4947907B2 - 被加工物の表面仕上げ方法および加工品 - Google Patents

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Description

本発明は、金属材料などからなる被加工物(ワーク)の表面機能を改善することができる被加工物の表面仕上げ方法および加工品に関する。
金属材料などからなる被加工物を所定形状に成形した後、その表面を滑らかにしたり、光沢をもたせたりする目的で仕上げ加工が行われる。この仕上げ加工としては研磨(例えばバフ研磨)が一般的であり、研磨した被加工物は、各種機械類の部品(例えば、成形金型など)に適用される。
本出願人は、上記技術に関する適当な先行技術文献を見出せなかったため、先行技術文献については開示を省略する。
近年、製品の小型化、高精度化に伴い、それらを成形する際に用いられる金型には超精密加工技術が要求されるようになってきた。レンズなどの成形を行う場合には、より高い屈折率を得るために、ガラス転移点温度や高度・粘性の高い成形材料が使用されることが多くなり、成形金型に対する酸化によるダメージやメンテナンス頻度の増大、さらには型寿命の低下が懸念されている。すなわち、従来のように研磨を施した被加工物を、高温環境下で使用した場合、短期間でその表面に錆が発生し、光沢性が失われ、表面粗さが劣化する等、その表面機能が低下するため、定期的に再研磨が必要となる。このため、再研磨の煩雑性に加え、再研磨によりその形状精度が損なわれるという問題が生じる。
本発明はかかる事情に鑑み、高温環境下で長時間使用しても錆が発生せず、光沢性および表面粗さを維持でき、その表面機能を向上させることができる被加工物の表面仕上げ方法および加工品を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明によれば、導電性砥石の表面に電解現象を発生させることにより砥石を電解ドレッシングしながら被加工物を研削する工程と、研削した被加工物に酸化雰囲気中で熱処理を施してその表面に酸化皮膜を形成する工程と、を含む、ことを特徴とする被加工物の表面仕上げ方法が提供される。
また、本発明によれば、導電性砥石の表面に電解現象を発生させることにより砥石を電解ドレッシングしながら被加工物を研削し、研削した被加工物に酸化雰囲気中で熱処理を施してその表面に酸化皮膜を形成した、ことを特徴とする加工品が提供される。
また、上記本発明において、好ましくは、前記酸化皮膜は、スピネル型複酸化物(FeCr)及びCrからなる皮膜である。また、好ましくは、前記熱処理において、熱処理温度は600〜800℃であり、熱処理時間は10分以上である。
本発明によれば、被加工物の表面にELID研削を施し、その後酸化雰囲気中で熱処理(高温酸化処理)を施すことにより、従来のように単に研磨を施した場合と結晶構造の異なる酸化皮膜がその表面に形成される。後述する試験結果から、ELID研削を施した被加工物の表面に形成される酸化皮膜は、化学的に安定な酸化皮膜であり、被加工物の表面組織が改質され、高温環境下における耐食性が向上するとともに、表面粗さの劣化が少なくなることが確認された。つまり、本発明によれば、高温環境下で長時間使用しても錆が発生せず、光沢性および表面粗さを維持でき、その表面機能が向上するという優れた効果が得られるのである。
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、各図において、同一部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する。
本発明の被加工物の表面仕上げ方法は、導電性砥石の表面に電解現象を発生させることにより砥石を電解ドレッシングしながら被加工物を研削する工程(研削工程)と、研削した被加工物に酸化雰囲気中で熱処理を施してその表面に酸化皮膜を形成する工程(酸化処理工程)と、を含むものである。
図1は、研削工程を実施するための研削装置の構成図である。この研削装置は、被加工物4との接触面を有する導電性砥石1と、砥石1と間隔(0.1〜0.3mm程度)を空けて対向する電極2と、砥石1と電極2との間に導電性研削液3を流すノズル6と、砥石1と電極2との間に電圧を印加する電源8とからなる。導電性砥石1は、非導電性の砥粒(例えばダイヤモンド、SiC、アルミナ、BN等)と導電性のボンド部(例えば、鋳鉄、銅、青銅、Co、Niなどの金属やカーボン等)からなり、全体として導電性を有し、ボンド部を電解することにより、砥粒の目立て(ドレッシング)ができるようになっている。なお、効率よく高品位に研削できるという理由から、砥粒がダイヤモンドであり、ボンド部が鋳鉄あるいはメタルレジン複合材からなるものを使用するのが好適である。
電源8のプラス端子8aは給電体11を介して導電性砥石1に接続され、マイナス端子8bは電極2に接続されており、これにより、導電性砥石1を正電位(+)に印加し、電極2を負電位(−)に印加する。この電源8により印加する電圧は、直流パルス電圧であるのが好ましいが、一定電圧であってもよい。
このように構成された研削装置では、導電性砥石1と電極2との間に導電性研削液3を流しながら、砥石1と電極2との間に電圧を印加し、砥石1の表面に電解現象を発生させる。すると、砥石ボンド材が電解溶出し、微細砥粒の目立て(ドレッシング)が行われる。つまり、砥石を電解ドレッシングしながら被加工物4を研削するようになっているのである。このような研削法を以下、電解インプロセスドレッシング=ELectrolytic Inprocess Dressing(ELID研削)と呼び、この研削装置をELID研削装置と呼ぶこととする。なお、ELID研削法については、例えば特開平7−1333号公報、特開2002−1657公報等に開示されている。
ノズル6は、砥石1と電極2の間を通過した研削液3が、そのまま砥石1と被加工物4との間に流れるように配置するのが良い。また、砥石1と被加工物4との間に研削液を流すように別のノズル9を設け、ノズル9の研削液が砥石1と電極2の間を通過した研削液3と合流して混合するようにしてもよい。
図2は、別のELID研削装置の構成例を示す図である。この図に示すように、本発明に用いるELID研削装置は、(A)ラップ研削装置、(B)ロータリー平面研削装置、(C)曲面加工装置、等であってもよい。図2(C)に示す曲面加工装置は、ミラー、レンズ金型、人工骨頭などの複雑形状を有する被加工物の保護膜形成に適している。
また、本発明に用いるELID研削装置は、図3に示すように、本出願人が特願2004−356625号において出願したノズル式ELID研削装置であってもよい。このノズル式ELID研削装置は、被加工物4との接触面を有する導電性砥石1と、導電性砥石1の表面に水酸イオン(OH)を含む電解媒体12(アルカリ水溶液又はそのミスト)を供給するイオン供給ノズル16とを備え、砥石表面を電解もしくは化学反応によりドレッシングしながら被加工物4を研削する。また、このELID研削装置は、導電性砥石1を正電位(+)に印加する砥石電源14と、研削液を導電性砥石1の表面の被加工物4との接触部付近に供給する研削液供給ノズル20とを備える。イオン供給ノズル16は流路17aを有するノズル本体17と、少なくとも一対のノズル電極対18a、18bと、ノズル電源19を有する。このノズル式ELID研削装置では、イオン供給ノズル16の先端部に(+)(−)の対となるノズル電極対18a、18bを形成し、研削液中の水の電気分解によりOHイオンを砥石表面に供給する。その時、砥石1に(+)の電位((−)電位からみて相対的に(+)の電位として)を与えると導電性砥石1の導電成分がOHイオンに引き寄せられ積極的に反応し溶出しようとすることにより、(+)イオン化とともに、不導体化されることで、砥石1のドレッシングが可能となる。このノズル式ELID研削装置は、砥石対向電極を用いることなくELID研削を行うことができ、これにより例えば砥石の直径が小型化しても容易にELID研削を行うことができる。このため、被加工物がマイクロレンズ用金型等の小型部品である場合の保護膜形成に適している。
上述した研削装置を用い、本発明における研削工程では、導電性砥石1の表面に電解現象を発生させることにより砥石1を電解ドレッシングしながら被加工物4を研削する。
次いで、酸化処理工程では、研削した被加工物4に酸化雰囲気中で熱処理を施してその表面に酸化皮膜を形成する。被加工物がCrを含む材料である場合、例えば、ステンレス鋼、Co−Cr鋼の場合は、被加工物表面にスピネル型複酸化物(FeCr)及びCrからなる皮膜が形成される。この酸化処理は、一般的な大気炉を用いて行うことができる。また、後述する実施例により、大気炉における熱処理温度は600〜800℃であり、熱処理時間は10分以上とすることが好ましい。
本発明によれば、被加工物4の表面にELID研削を施し、その後高温酸化処理を施すことにより、被加工物4の表面組織が改質され、高温環境下における耐食性が向上するとともに、表面粗さの劣化が少なくなる。つまり、高温環境下で長時間使用しても錆が発生せず、光沢性および表面粗さを維持でき、その表面機能が向上するという優れた効果が得られる。
本発明者らは本発明の効果を確認するため各種の試験を行った。以下、この試験を実施例として説明する。
まず、試験方法について説明する。試験片としてφ15mm×5mmのステンレス鋼(SUS316)を使用した。この試験片の一方の端面に対し、図2(A)に示したラップ研削装置を用いて研削加工(ELID研削)を施したものを準備し、アルミナ研磨を施した従来のものとの対比における表面性状について評価を行った。ELID研削条件は以下の通りである。
1.砥石:メタルレジンボンドダイヤモンド砥石(♯8000)
2.被加工物:SUS316
3.ELID電源:90V/5A
4.砥石回転数:92rpm
5.被加工物回転数:92rpm
アルミナ研磨は、耐水エメリー紙により♯320から♯1200まで順次研磨した後、アルミナ粉末(0.3μm)を用いて鏡面状に仕上げた。そして、これらの試験片に対して、大気炉を用い600℃の温度において10分の高温酸化処理を施して供試状態とした。なお、ELID研削したものとアルミナ研磨したものの両者について、処理温度を800℃、1000℃、処理時間を10分として酸化処理を施したところ、1000℃では共に表面の損傷が激しいことが分かった。このため、本発明における熱処理においては、処理温度は600℃〜800℃、処理時間は10分以上であるのが好ましい。以下、ELID研削したものに酸化処理を施した試験片を「ELID材」、アルミナ研磨したものに酸化処理を施した試験片を「研磨材」と呼ぶ。
次に試験結果について説明する。高温酸化処理を施した2種類の試験片のマクロ観察を行った。その結果、ELID材は青紫色、研磨材は黄土色を呈するということが明らかとなった。また、ELID材は光沢性を維持していたが、研磨材は光沢性が失われ乾燥した土のように錆ついた。もともとステンレス鋼の表面には数nmの透明な酸化皮膜が存在しているが、この酸化皮膜がある膜厚以上になると、その厚さに応じて光の干渉効果により様々な色を呈するということが知られている。後述するXPS分析の結果より、両者の皮膜厚さはほぼ同程度であったが、膜の組成の違いにより生じる色が異なったものと考えられる。さらに、研磨材の皮膜は密着性が悪く剥がれ落ち、表面は凹凸となるために光沢性が失われたものと考えられる。
次に、ELID材と研磨材の酸化処理後の皮膜構造について調べるためにX線回折装置(XRD:X−Ray Diffractmeter)を用いて酸化皮膜の構造分析を行った。XRDは、波動の回折現象を利用し、物質中の原子・分子配置の周期性に関する情報を得るための装置である。その結果を図4に示す。同図より、研磨材には、Crの構造を有する酸化皮膜が形成している(図4(B))のに対して、ELID材にはCrの構造を有する酸化皮膜が形成している(図4(A))ことがわかる。すなわち、同条件下で処理を行ったにもかかわらず、ELID材と研磨材では、その表面に形成される酸化皮膜の構造が異なるということになる。
この結晶構造の相違について考察するため、ELID材と研磨材に対し高温酸化処理の前後のそれぞれについて、X線光電子分光分析装置(XPS:X−Ray Photoelectron Spectroscopy)を用いて表面の元素分析を行った。XPSは、代表的な表面分析装置の一つであり、固体の表面から数nmの深さ領域に関する元素および化学結合状態の分析に用いられる。図5(a)、(b)に、XPSを用いてELID材と研磨材のそれぞれに対して、表面から内部深さ方向にFe、Cr、Oの元素を測定対象として分析した結果を示す。同図より、ELID材は、研磨材と比較して表面付近の酸素の拡散濃度が高いことがわかる。この酸素を多く含む拡散層が熱処理(昇温)後の酸化皮膜形成に大きな影響を及ぼすこととなる。
図6(a)、(b)に同じくXPSを用いて、600℃、10分の熱処理を施したELID材と研磨材のそれぞれに対して、表面から内部深さ方向にFe、Cr、Oの元素を測定対象として分析した結果を示す。同図から、とくにエッチング時間が表面から25付近までの領域内において、両者のFe、Crの拡散プロファイルは全く異なった様相を呈していることが分かる。すなわち、図6(a)においてELID材の表面の領域IはCrよりもFeが多いことから、FeCrのスピネル型複酸化物であると考えられる。この酸化物は極めて緻密で均一な構造であるため、外層酸化物として高い保護性を有する。この外層酸化物に覆われた領域内部では、粒界からCrが内部酸化物として発生し、合金中を横方向、内部方向へと拡散し連続的なCr層として安定して形成される。領域IIはFeCrおよびCrが混在しており、領域IIIに至っては,ほぼCrであると考えられる。
一方,図6(b)において研磨材の表面層のFe、Crの拡散プロファイルにはELID材に見られたような大きな変動はない。XRDの結果を踏まえると、この領域は、Crを主成分として、一部Crが混在していると考えられる。ELID材とは異なり、保護性のある外層酸化物が形成されないため、酸化層の成長挙動は不安定となる。さらに、Crは,その化学組成から、安定な三価クロム(Cr3+)と不安定な二価クロム(Cr2+)が混在している状態にあるため、酸化挙動はより一層不安定となる。
ELID材におけるこの特徴的な高温酸化挙動は、熱処理前のELID研削において酸素を多く含む拡散層を形成させていたことが要因と考えられる。ELID研削により酸素を多く拡散させておくことにより,熱処理後はスピネル型複酸化物(FeCr)を保護層として瞬時に形成させ、優先的に内部酸化を促進することができる。
一般的に、酸化物の成長が金属イオンの外方拡散により、酸化物/酸素界面で進行する場合には、皮膜と金属素地との接触が失われる可能性が大きく、一方で、酸素イオンの内方拡散により、金属/酸化物界面での皮膜の成長が行われる場合には、皮膜の密着性は比較的良好であると報告されている。このことからも、ELID材の場合、後者の金属/酸化物界面での皮膜の成長が支配的であるため、酸化皮膜は良好な密着性を有する。一方、研磨材の場合、前者のように皮膜の成長が酸化物/酸素界面で進行するため、酸化皮膜の密着性が悪く剥がれやすく、そのため、その表面はボロボロになる。
図7は、酸化処理前後の試験片に対して、触針式粗さ計を用いて平均表面粗さRaを測定した結果を示している。同図よりELID材では、酸化処理前後でそれほど表面粗さの変化は認められないのに対して、研磨材では処理後において表面粗さの大幅な増加が認められた。
また、酸化処理後のELID材と研磨材に対して、トライボロジー試験を実施した。このトライボロジー試験は、図8に模式的に示すように、相手材となるステンレスボールを所定荷重で試験片に押し当て、この試験片を所定速度で往復摺動させて行う。試験条件は以下の通りである。
1.荷重:10g(0.1N)
2.ステンレスボール径:3.175mm
3.摺動距離:20mm
4.試験片移動速度:5mm/s
5.往復摺動回数:100回
図9にトライボロジー試験結果を示す。同図より、ELID材では往復摺動回数の増加とともに摩擦係数が上昇するが、その上昇は緩やかであり、100回終了時点で0.4強にとどまっている。これに対し、研磨材では往復摺動回数の比較的少ない段階から摩擦係数が急上昇し、その後、摺動回数100回までに0.8前後を推移していることが分かる。この結果から、ELID材は、研磨材と比較して耐磨耗性に優れているということができる。
上述した平均表面粗さ測定およびトライボロジー試験結果から、ELID研削を用いて成形金型の仕上げ加工を行うことで、金型が使用される高温環境化においても形状精度をそれほど損なうことなく長期間使用可能であることが分かる。
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、被加工物の表面にELID研削を施し、その後高温酸化処理を施すことにより、被加工物の表面組織が改質され、高温環境下における耐食性が向上するとともに、表面粗さの劣化が少なくなる。つまり、高温環境下で長時間使用しても錆が発生せず、光沢性および表面粗さを維持でき、その表面機能が向上するという優れた効果が得られる。
したがって、本発明をガラス成形金型の製造に適用すれば、金型の研磨工程がなくなり、再研磨も不要となる。このため、研磨による形状の崩れがなくなり競争力の向上につながる。また、高温摺動部材(例えば、ピストンリング、バルブリフター等のエンジン部材)に適用することにより、長寿命の製品を提供することができる。
また、人工骨の頭部(関節部)には摺動性、耐摩耗性に優れたCo−Cr合金が多く用いられている。かかる部位には体重の約5倍程度の負荷が加わると言われ、この部位には特に優れた耐食性、耐摩耗性、腐食疲労特性等が要求されるうえ、化学的安定性を向上させるためにも、その表面には鏡面上の仕上がりが望まれる。これまでバイオマテリアルの表面を保護する手法として、硬質皮膜を被覆する手法もあるが、生体内で皮膜の剥離、割れ等が発生し、生体に対して致命的な異物混入となる可能性が懸念されている。本発明のように高品位の表面形状創成と同時に素材自体を表面改質する方法であれば、このような問題も回避でき、極めて安定的、効率的に優れた表面機能を実現できる。
なお、被加工物として、SUS310、HPM38、Ti−6Al−4V、Co−Cr合金を対象とした試験を行った結果、上述した実施例と同様の効果が確認された。スピネル型複酸化物は、コバルト(Co)やチタン(Ti)とも形成させることが可能である。したがって、上述した実施例では、被加工物としてステンレス鋼を対象としたが、本発明はこれに限られず、ステンレス鋼以外の合金においても、ELID研削を施すことにより上述したような効果が期待できる。また、本発明は、表面に酸化皮膜を形成して耐食性もつ金属材料(例えば、ステンレス鋼、チタン合金、Co−Cr合金等)に対して好適であるが、その他の金属材料(鋼材、アルミニウム等)、金属質を含む金属ガラス、金属間化合物などに対しても適用できると考えられる。
その他、本発明の技術的範囲は上述した実施形態および実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加え得ることは勿論である。
本発明の実施に用いる研削装置の構成図である。 本発明の実施に用いる別の研削装置の構成図である。 本発明の実施に用いる更に別の研削装置の構成図である。 XRDを用いたELID材と研磨材の被膜構造の分析結果を示す図である。 XPSを用いたELID材と研磨材の表面元素分析結果(熱処理前)を示す図である。 XPSを用いたELID材と研磨材の表面元素分析結果(熱処理後)を示す図である。 ELID材と研磨材の表面平均粗さの測定結果を示す図である。 トライボロジー試験装置の模式図である。 ELID材と研磨材のトライボロジー試験結果を示す図である。
符号の説明
1 導電性砥石
2 電極
3 導電性研削液
4 被加工物
6 ノズル
8 電源
8a プラス端子
8b マイナス端子
9 ノズル
11 給電体
12 電解媒体
14 砥石電源
16 イオン供給ノズル
17 ノズル本体
17a 流路
18a、18b ノズル電極対
19 ノズル電源
20 研削液供給ノズル

Claims (4)

  1. 導電性砥石の表面に電解現象を発生させて砥石を電解ドレッシングしながら、導電性砥石の表面の被加工物との接触部に研削液を供給して、研削液中の水を電気分解し、被加工物を研削することにより、該被加工物の表面付近に酸素を多く含む拡散層を形成する工程を含み、前記被加工物は、金属材料、金属質を含む金属ガラス、または、金属間化合物であり、
    さらに、研削した前記被加工物に酸化雰囲気中で熱処理を施してその表面にスピネル型複酸化物(FeCr)及びCrからなる酸化皮膜を形成する工程を含む、ことを特徴とする被加工物の表面仕上げ方法。
  2. 前記熱処理において、熱処理温度は600〜800℃であり、熱処理時間は10分以上である、ことを特徴とする請求項1に記載の被加工物の表面仕上げ方法。
  3. 導電性砥石の表面に電解現象を発生させて砥石を電解ドレッシングしながら、導電性砥石の表面の被加工物との接触部に研削液を供給して、研削液中の水を電気分解し、金属材料、金属質を含む金属ガラス、または、金属間化合物である被加工物を研削することにより、該被加工物の表面付近に酸素を多く含む拡散層を形成し、研削した前記被加工物に酸化雰囲気中で熱処理を施してその表面にスピネル型複酸化物(FeCr)及びCrからなる酸化皮膜を形成した、ことを特徴とする加工品。
  4. 前記熱処理において、熱処理温度は600〜800℃であり、熱処理時間は10分以上である、ことを特徴とする請求項3に記載の加工品。
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