JP4945036B2 - 液晶表示セルの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶表示セルの製造方法に関し、さらに詳しく言えば、マザー基板により複数の液晶表示セルを作製する際に、各液晶表示セルのギャップを均一に保持する技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
よく知られているように、液晶表示セルは、透明電極を有する一対のセル基板を熱硬化型樹脂の周辺シール材を介して圧着してなるが、この製造において、セルギャップを均一に保つことは重要な課題の一つである。
【0003】
そのため、一般的なギャップ制御方法では、周辺シール材にシール内スペーサを混入するとともに、セルギャップ内には面内スペーサを配置するようにしているが、面内の表示部には絶縁膜や配向膜などが形成されているため、通常、シール内スペーサと面内スペーサには、材料および大きさが異なったものが用いられている。
【0004】
一例として、シール内スペーサには、グラスファイバー、シリカビーズもしくは金などが被覆された導電ビーズなどが用いられ、面内スペーサには、プラスチックビーズやシリカビーズなどが用いられている。大きさに関しては、シール内スペーサの方が面内スペーサよりも約0.2〜0.5μm程度大きめの径が選択されている。
【0005】
各スペーサは、シール部と面内表示部との段差や表示部面積およびスペーサの潰れ量などを考慮して各液晶表示セルごとに選択されるが、少量多品種生産を行う場合にはスペーサ材の選択やギャップ管理が煩雑になる。
【0006】
また、シール内スペーサは周辺シール材に混合してセル基板に塗布されるため、その混合具合によってはギャップ不良の原因となることもあり、表示に悪影響をおよぼすおそれがある。
【0007】
そこで、これらのスペーサに代わるものとして、一方のセル基板の内面に感光性樹脂よりなる柱状スペーサを形成してギャップ制御を行う技術が提案されている。その一例を図6の模式図およびその拡大断面図である図7を参照して説明する。
【0008】
多くの場合、液晶表示セルはマザー基板から多面取りされる。すなわち、各マザー基板1,1には複数、この例では10セル分のセル形成領域2が2行×5列配置で割り当てられ、その各々にITOよりなる透明電極が所定のパターンをもって形成される。
【0009】
そして、一方のマザー基板1側に感光性樹脂が一様に塗布され、フォトリソ法により各セル形成領域2内に支柱としての柱状スペーサ3が形成される。これに対して、他方のマザー基板1側には、各セル形成領域2の表示部を囲むように熱硬化型樹脂からなる周辺シール材4が塗布される。
【0010】
しかる後、各マザー基板1,1同士が周辺シール材4を介して圧着され、周辺シール材4の硬化を待って、マザー基板から例えば行単位でスティック基板が切り出されて注入口出しされ、液晶注入後に、スティック基板から液晶表示セルが個々に切り出される。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来においては、各セル形成領域2の表示部内のみに柱状スペーサ3が形成され、各セル形成領域2の間の余白部(切り捨て部)Bには特に基板間の支えが設けられていない。
【0012】
そのため、図7に誇張して示すように、各マザー基板1,1を圧着する際、余白部Bのギャップが狭められ、その反作用として表示部側のセルギャップの特にシール際が拡げられ、ギャップの均一性が損なわれてしまう。
【0013】
したがって、感光性樹脂からなる柱状スペーサによるギャップ制御は、STNなどに代表されるように高精度のギャップ制御が要求されるものへの適用は困難とされていた。
【0014】
なお、従来一般的に用いられている面内スペーサの場合には、余白部Bを含めてマザー基板の全面に散布されるため、上記のようにギャップの均一性が損なわれることはほとんどない。
【0015】
他方において、感光性樹脂にて柱状スペーサを形成するにしても、従来においては、製造する液晶表示セルの大きさやマザー基板上でのレイアウトに応じて、それに合わせてフォトマスク版を作製するようにしているため、その分、コストアップとなっていた。
【0016】
したがって、本発明の目的は、感光性樹脂からなる柱状スペーサにてギャップ制御される複数の液晶表示セルをマザー基板から多面取りするにあたって、面内スペーサを散布するのと同程度の高精度なギャップ制御を実現することにある。
また、本発明の他の目的は、マザー基板からの切り出し時および切り出し後においても、セルギャップ幅を均一に保持し得るスペーサを備えた液晶表示セルを提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の製造方法は、第1および第2の各マザー基板上で、透明電極を有する表示部を含む複数のセル基板をそれぞれ形成した後、上記第1マザー基板には、上記各セル基板の表示部の周りに周辺シール材を塗布し、上記第2マザー基板には、その全面にわたって感光性樹脂を塗布してフォトリソ法により、上記各セル基板の表示部内、上記周辺シール材の圧着部内および上記周辺シール材の外側で各セル基板の周りの余白部内を含めて柱状スペーサを形成したのち、上記第1マザー基板と上記第2マザー基板とを上記周辺シール材を介して圧着して複数の液晶表示セルを同時に形成する液晶表示セルの製造方法であって、上記第2マザー基板で形成される上記各セル基板には、上記表示部に連設された端子部が含まれており、上記第2マザー基板の上記端子部を含む全面にわたって塗布された感光性樹脂の露光には、上記第2マザー基板のほぼ全面にわたって透孔がほぼ均一な密度で穿設されている全網目状フォトマスク版とともに、上記端子部上に塗布されている上記感光性樹脂に対する露光を遮光する遮光板を併用し、上記第2マザー基板で形成される上記各セル基板における上記端子部には上記柱状スペーサが形成されないようにしたことを特徴としている。
【0018】
上記構成によれば、セル基板のサイズや、セル基板のマザー基板上でのレイアウトに拘わらず、上記感光性樹脂の露光には同一のフォトマスク版、すなわち上記第2マザー基板のほぼ全面にわたって透孔がほぼ均一な密度で穿設されている全網目状フォトマスク版を用いることができる
【0021】
また、上記第2マザー基板上で形成される上記セル基板端子部が含まれている態様においても、上記全網目状フォトマスク版はそのままとして、上記端子部を遮光する遮光板を上記全網目状フォトマスク版に重ねて用いればよい。ここで端子部とは、液晶表示セルにおいて、一方の基板を他方の基板よりも突出させ、基板が相対向していない部分である。
【0022】
このように、本発明によれば、必要に応じて上記全網目状フォトマスク版に遮光板を重ねて用いればよく、セル基板のサイズや、セル基板のマザー基板上でのレイアウトに拘わらず、同一の全網目状フォトマスク版を用いることができる。
【0023】
上記液晶表示セルには種々の液晶物質を封入することができるが、70゜以上のツイスト角を有するTN液晶もしくはSTN液晶が用いられる場合には、上記表示部内における上記柱状スペーサの配置間隔は250〜350μmであることが好ましい。
【0024】
また、上記液晶表示セルに、少なくとも強誘電,反強誘電もしくはコレステリック液晶が用いられる場合、上記表示部内における上記柱状スペーサの配置間隔は100〜300μmであることが好ましい。
【0025】
上記のいずれの液晶物質を用いるにしても、良好な表示を得るには、上記表示部内における上記柱状スペーサの径は30μm以下とすることが好ましい。
【0027】
本発明に係る製造方法により形成された液晶表示セルによれば、周辺シール材の外側にも柱状スペーサが配置されているため、マザー基板からの切り出し時や切り出し後において基板周辺に外力が加えられたとしても、セルギャップを均一に保持できる。
【0028】
【発明の実施の形態】
まず、本発明により製造される液晶表示セルを図1の模式的な平面図およびその断面図である図2により説明する。
【0029】
この液晶表示セル10は、第1セル基板20と第2セル基板30とを備え、この実施形態において、第1セル基板20側に接続電極形成部としての端子部21が連設されている。第1セル基板20と第2セル基板30は、それらの間に所定幅のセルギャップが形成されるようにエポキシ系樹脂よりなる周辺シール材40を介して圧着されている。
【0030】
そのセルギャップを均一に保つため、感光性樹脂よりなる柱状スペーサ50が用いられているが、本発明において、柱状スペーサ50は周辺シール材40により囲まれている表示部22内のみでなく、上記端子部21を除いて、周辺シール材40の外側で各セル基板20,30が存在する部分にも配置されている。また、柱状スペーサ50は周辺シール材40内にも配置されている。
【0031】
次に、図3ないし図5を参照して、上記液晶表示セル10の製造方法について説明する。製造にあたっては一対(2枚)のマザー基板が用いられるが、図3はその一方のマザー基板を示す平面図、図4は一対のマザー基板を圧着した状態の拡大断面図、図5はフォトマスク版を示す平面図である。
【0032】
図3のマザー基板20Mは、第1セル基板20を作成するガラス基板で、その一方の面にはITOよりなる透明導電膜が成膜されている。他方の第2セル基板30を作成するマザー基板30M(図4参照)も同様の透明導電膜付きのガラス基板である。
【0033】
この実施形態において、マザー基板20M,30Mには4つのセル基板形成領域が割り当てられる。マザー基板20M側の各セル基板形成領域には表示部22と端子部21とが含まれ、これに対して、マザー基板30M側の各セル基板形成領域には上記表示部22に対向する表示部(参照符号なし)のみが含まれる。
【0034】
まず、マザー基板20M,30Mともに、それらの各セル基板形成領域に透明電極をパターニングする。そして、マザー基板20Mには、その全面にわたって感光性樹脂を塗布し、フォトマスク版を介して露光する。
【0035】
本発明において、フォトマスク版には図5に示すように、全面にわたって透孔をほぼ均一の密度で穿設してなる全網目状フォトマスク版60を用いる。セル基板の大きさや形状,マザー基板上でのレイアウトが異なっても一律にこの全網目状フォトマスク版60を用いる。
【0036】
ただしこの場合、端子部21には柱状スペーサ50が必要でないため、端子部21のみを遮光する遮光板61を全網目状フォトマスク版60上の端子部21に対応する位置に重ねて用いる。
【0037】
このようにして、感光性樹脂を露光し、現像した後、所定温度で焼成して、マザー基板20M上に端子部21を除いた他の全部分、すなわち表示部22,周辺シール材40の圧着部40aおよび第1セル基板20の周りの余白部Bを含む部分に柱状スペーサ50を形成する。
【0038】
他方のマザー基板30M側では、その各セル基板形成領域内の表示部の周りにエポキシ系樹脂からなる周辺シール材40を塗布する。そして、両マザー基板20M,30Mを周辺シール材40を介して図4のように圧着する。
【0039】
本発明によれば、一方のマザー基板20M側に、端子部21を除いた他の全面にわたって柱状スペーサ50が形成されているため、マザー基板20M,30M間のギャップ幅がほぼ均一に保たれる。また、周辺シール材40内およびその外側にも柱状スペーサ50が存在するため、マザー基板からスティック基板、そしてスティック基板から個々のセル切り出し時にもセル内のギャップ幅がほぼ均一に保たれる。
【0040】
なお、上記実施形態とは異なり、マザー基板30M側に柱状スペーサ50を形成してもよい。その場合、マザー基板30M側の各セル基板形成領域には端子部がないため、感光性樹脂の露光には、全網目状フォトマスク版60のみを用いてマザー基板30Mの全面に柱状スペーサ50を形成し、端子部に対応する部分の柱状スペーサ50は、端子部出しのときに不要となる基板片とともに除去すればよい。
【0041】
また、上記実施形態では、一方のマザー基板20M側に柱状スペーサ50を形成し、他方のマザー基板30M側に周辺シール材40を塗布するようにしているが、一方のマザー基板20M側に柱状スペーサ50を形成するとともに、周辺シール材40を塗布してもよい。
【0042】
【実施例】
次に、本発明の具体的な実施例を比較例を交えて説明する。透明電極を形成済みの一対のマザー基板を用意し、その一方のマザー基板に、日立化成社製のネガ型感光性樹脂CR−410をスピンコート法で約7μm厚に塗布して、100℃で10分間プリベークしたのち、150mJ/cm(波長365nm)のエネルギーで露光し、アルカリ水溶液で現像した。そして、230℃で60分間ポストベーク処理を行った。
【0043】
このようにして、直径30μmのほぼ円柱状のスペーサを300μm間隔で、本実施例については、周辺シール材塗布部分の外側2mmまで形成した。比較例については、上記と同じ円柱状のスペーサの配置を周辺シール材塗布部分の内側2mmまでとした。
【0044】
次に、上記一方のマザー基板のセル基板の表示部と、他方のマザー基板のセル基板の表示部とに、配向膜をフレキソ印刷法で約500Åの膜厚に形成し250℃で焼成後、240゜ツイストとなるようにラビング処理した。
【0045】
他方のマザー基板のセル基板にスクリーン印刷法により周辺シール材を塗布し、各マザー基板を熱圧着したのちに個々の空セルに分断した。その後、空セルに液晶を注入,封止して約6μmギャップのSTN液晶表示セルを作製した。
【0046】
円柱状のスペーサを周辺シール材の外側2mmまで配置した本実施例は、ギャップムラがなく均一なギャップ幅が得られたが、円柱状のスペーサの配置を周辺シール材の内側2mmまでとした比較例の場合、シール際でギャップムラが観察された。
【0047】
次に、柱状スペーサの直径を10〜35μmまで5μmごとに変更し、また、配置間隔を50〜400μmまで50μmごとに変更して、上記と同様にして液晶表示セルを作製したところ、配置間隔が特に250〜350μmの範囲で良好な配向状態およびギャップの均一性が得られた。また、直径については特に30μm以下で良好な表示が得られた。
【0048】
また、上記のように柱状スペーサの直径および配置間隔を変更して作製した液晶表示セルにコレステリック液晶を封入し、その表示部にパチンコ球にて1kgの加重を加えたところ、配置間隔が特に100〜300μmの範囲で良好な耐外圧性を示した。
【0049】
また、別の実施例として、露光用のフォトマスクとして、マザー基板の各辺から10mm入った領域内の全面に、直径30μmの柱状スペーサが配置間隔250μmで形成されるような網目状フォトマスクを用い、これに端子部のみを遮光する遮光板を併用して、端子部を除いて感光性樹脂からなる柱状スペーサを形成したところ、セル基板の大きさやレイアウトに関係なく、セルギャップを良好に維持できる液晶表示セルが作製できた。
【0050】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、一方のマザー基板上に、その全面にわたって感光性樹脂を塗布してフォトリソ法により、各セル基板の表示部内、周辺シール材の圧着部内および周辺シール材の外側で各セル基板の周りの余白部内を含めて柱状スペーサを形成するようにしたことにより、感光性樹脂からなる柱状スペーサにてギャップ制御される複数の液晶表示セルをマザー基板から多面取りするにあたって、面内スペーサを散布するのと同程度の高精度なギャップ制御を実現することができる。
【0051】
また、透明電極を有する一対のセル基板を周辺シール材を介して圧着してなり、少なくともいずれか一方のセル基板に端子部が連設されている液晶表示セルにおいて、周辺シール材により囲まれている表示部内のみならず、周辺シール材の外側(ただし、端子部を除く)のセル基板間にも、感光性樹脂よりなる柱状スペーサを配置したことにより、マザー基板からの切り出し時および切り出し後においても、セルギャップ幅を均一に保持し得るスペーサを備えた液晶表示セルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る液晶表示セルを示す模式的な平面図。
【図2】上記液晶表示セルの断面図。
【図3】本発明の製造方法に用いられるマザー基板を示す平面図。
【図4】上記マザー基板の一対を圧着した状態を示す拡大断面図。
【図5】本発明の製造方法に用いられる全網目状フォトマスク版の平面図。
【図6】従来法により柱状スペーサが形成されたマザー基板を示す平面図。
【図7】従来法によるマザー基板の一対を圧着した状態を示す拡大断面図。
【符号の説明】
10 液晶表示セル
20 第1セル基板
21 端子部
22 表示部
20M 第1セル基板用マザー基板
30 第2セル基板
30M 第2セル基板用マザー基板
40 周辺シール材
50 柱状スペーサ
60 全網目状フォトマスク版

Claims (5)

  1. 第1および第2の各マザー基板上で、透明電極を有する表示部を含む複数のセル基板をそれぞれ形成した後、上記第1マザー基板には、上記各セル基板の表示部の周りに周辺シール材を塗布し、上記第2マザー基板には、その全面にわたって感光性樹脂を塗布してフォトリソ法により、上記各セル基板の表示部内、上記周辺シール材の圧着部内および上記周辺シール材の外側で各セル基板の周りの余白部内を含めて柱状スペーサを形成したのち、上記第1マザー基板と上記第2マザー基板とを上記周辺シール材を介して圧着して複数の液晶表示セルを同時に形成する液晶表示セルの製造方法であって、
    上記第2マザー基板で形成される上記各セル基板には、上記表示部に連設された端子部が含まれており、
    上記第2マザー基板の上記端子部を含む全面にわたって塗布された感光性樹脂の露光には、上記第2マザー基板のほぼ全面にわたって透孔がほぼ均一な密度で穿設されている全網目状フォトマスク版とともに、上記端子部上に塗布されている上記感光性樹脂に対する露光を遮光する遮光板を併用し、上記第2マザー基板で形成される上記各セル基板における上記端子部には上記柱状スペーサが形成されないようにしたことを特徴とする液晶表示セルの製造方法。
  2. 上記全網目状フォトマスク版は、上記第2マザー基板で形成される上記セル基板のサイズやレイアウトにかかわらずに、上記第2マザー基板に適用可能なフォトマスク版であることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示セルの製造方法。
  3. 上記液晶表示セルに、70゜以上のツイスト角を有するTN液晶もしくはSTN液晶が用いられる場合、上記表示部内における上記柱状スペーサの配置間隔は250〜350μmである請求項1または2に記載の液晶表示セルの製造方法。
  4. 上記液晶表示セルに、少なくとも強誘電,反強誘電もしくはコレステリック液晶が用いられる場合、上記表示部内における上記柱状スペーサの配置間隔は100〜300μmである請求項1または2に記載の液晶表示セルの製造方法。
  5. 上記表示部内における上記柱状スペーサの径は30μm以下である請求項1ないしのいずれか1項に記載の液晶表示セルの製造方法。
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