JP4943907B2 - 引出形回路遮断器 - Google Patents

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Description

本発明は、遮断器本体が固定された台車を配電盤の前方に引出すことで開路状態とする引出形回路遮断器に関する。
発電所等における機器の運転を停止する際、電源系統の遮断を行うものとして、いわゆる引出形回路遮断器が知られている。この引出形回路遮断器は、可動接触端子を有する遮断器本体を搭載した台車を配電盤に格納し、遮断器本体の可動接触端子と配電盤の固定接触端子とを接続することで電源系統を閉路状態とし、例えば、保守点検を行う際には、台車を配電盤内から引き出して可動接触端子と固定接触端子とを切り離すことで開路状態とする。
このように台車を配電盤内から引き出して電源系統を開路状態とするために、従来の引出形回路遮断器では、配電盤の前方に昇降式荷台を有するリフタを他の場所から移動して配置して、このリフタ上に台車を引き出していた。しかしながら、このリフタは人力によって移動可能に構成されたものであるため移動に難があり、また配電盤内に載置されている台車との位置合わせが必要であるため、作業に手間がかかるという問題がある。
このような問題を解決するために、台車が格納される格納部の底板を、水平方向に移動可能に配電盤に支持し、当該底板を台車ごと配電盤の前方に引き出すようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
特開平8−331713号公報
ここで、引出形回路遮断器においては、固定接触端子(連結部)と可動接触端子(連結部)とを良好に接続させるために、両者の高さを比較的高精度に調整する必要がある。すなわち、台車の高さを比較的高精度に調整することで、可動接触端子の高さを固定接触端子の高さと一致させる必要がある。
しかしながら、特許文献1に記載の構成では、底板自体が台車と共に引き出される構成となっているため、初期状態で台車の高さが高精度に調整されていても、引き出し動作の繰り返しによって底板が変形し、この変形に伴って台車の高さが変化してしまう虞がある。具体的には、遮断器本体(開配装置)の重さは数百kgにも及ぶため、台車が載置された底板を引き出した際に底板が遮断器本体の重みによって変形して台車の高さが変化してしまう虞がある。また、特許文献1に記載の構成は、既存の設備に採用することは難しく、このような構成を採用するには新たに莫大な設備投資が必要となるという問題もある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、台車を配電盤から容易に引き出すことができ、且つ比較的安価で設備可能な引出形回路遮断器を提供することを目的とする。
上記課題を解決する本発明の第1の態様は、配電盤に設けられる格納部内に格納された状態で当該配電盤の固定接触端子に接続される可動接触端子を有する遮断器本体が固定された台車を有し、該台車を前記格納部から引き出すことで前記可動接触端子を前記固定接触端子から切り離して開路状態とする引出形回路遮断器であって、前記格納部の底板下側に引出し可能に設けられる引出収容部材と、該引出収容部材内に収容可能に設けられる一対のレール部材とを具備し、該レール部材は、その基端部側が前記引出収容部材の引出方向に沿って設けられる回動軸を中心として回動可能に前記引出収容部材に支持されており、前記回動軸を中心として回動させて当該レール部材を起立状態とすることでその上面が前記底板表面から連続して前記台車を移動可能な延長レールとして機能することを特徴とする引出形回路遮断器にある。
本発明の第2の態様は、前記引出収容部材の側壁が前記台車の車輪間隔で形成されており、前記レール部材は、起立状態としたときに前記引出収容部材の各側壁上に立設されるように支持されていることを特徴とする第1の態様の引出形回路遮断器にある。
かかる本発明では、リフタを使用することなく、遮断器本体が固定された台車を配電盤の外側まで容易に引き出すことができ、保守点検作業等の作業効率が大幅に向上する。
また、レール部材と、このレール部材が収容される引出収容部材とは、配電盤内で台車が載置される格納部の底板とは全く独立した部材である。このため、レール部材及び引出収容部材が、遮断器本体の重みによって多少変形したとしても、可動接触端子と固定接触端子との接続には全く影響を及ぼすことがない。さらに、スペースさえ確保されていれば既存の設備にも採用することができ、設備投資を抑えることもできる。
以下、本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る引出形回路遮断器を示す概略斜視図であり、図2は、その要部を示す側面図である。また、図3〜図5は、引出形回路遮断器の要部を示す正面図及び側面図であり、図6は、レール部材の拡大図である。
本実施形態に係る引出形回路遮断器10は、例えば、発電機等に用いられるものであり、遮断器本体11が搭載され、配電盤20内に載置される台車12を具備する。なお、遮断器本体11は、いわゆる真空遮断器であり、真空の優れたアークの消弧力及び絶縁性能を利用したものであり、開極時に生じるアークは、真空中で高速拡散するため、容易に大電流を遮断することができるという利点を備えている。
遮断器本体11が搭載される台車12の下部には車輪13が取り付けられており、この台車12は前後方向に直線移動可能となっている。そして、発電機の運転時には、この台車12が配電盤20の格納部21内に押し入れられて遮断器本体11が配電盤20の主回路と接続され、保守点検時には台車12が配電盤20から引き出されて遮断器本体11が主回路と遮断されるようになっている。具体的には、配電盤20には、その後面側に、主回路に接続された固定接触端子22が格納部21内に略水平方向に突出して設けられている。一方、遮断器本体11には、その後面側、すなわち、固定接触端子22に対向する面には、各固定接触端子22に対応する可動接触端子14が、略水平方向に突出して設けられている。そして、配電盤20の格納部21に配された遮断器本体11を、台車12(車輪13)によって前後方向に移動させることで、可動接触端子14が固定接触端子22に対して接続又は遮断されるようになっている。
ここで、遮断器本体11の可動接触端子14を配電盤20の固定接触端子22に対して遮断する場合、台車12を配電盤20の外側まで引き出す必要がある。そして、本発明では、台車12を配電盤20の外側まで引き出すための手段として、一対のレール部材15と、この一対のレール部材15を支持すると共に収納する引出収容部材16とが配電盤20に設けられている。引出収容部材16は、所定深さを有する箱状の部材であり、配電盤20の格納部21の底板21a下側に、台車12の移動方向に沿ってスライド可能に設けられている。一対のレール部材15は、その基端部側が回動軸17を中心として回動可能に支持されている。回動軸17は、引出収容部材16のスライド方向(引出方向)に沿って設けられており、レール部材15は、引出収容部材16のスライド方向に直交する方向に回動可能に支持されている。また、これら一対のレール部材15は、起立状態としたときに、台車12の車輪13の間隔と略同一間隔となるように引出収容部材16に設けられている。そして、回動軸17を中心としてこれら一対のレール部材15を回動させて起立状態とすることで、各レール部材15の上面15aが、格納部21の底板21a表面と略同一の高さとなるようになっている。これにより、これらレール部材15の上面15aが、格納部21の底板21aから連続して、台車12を移動可能な一対の延長レールとして機能するようになっている。
本実施形態では、引出収容部材16の両側壁16a,16bが、台車12の車輪13の間隔と略同一間隔で形成されており、各レール部材15は、起立状態としたときに引出収容部材16の各側壁16a,16b上に立設されるように支持されている。具体的には、引出収容部材16の各側壁16a,16bには、引出収容部材16の内側に向かって突出する一対の支持板18が所定間隔で設けられており、各レール部材15は、回動軸17によってこの一対の支持板18に回動可能に支持されている。
なお、本実施形態では、各レール部材15が引出収容部材16の側壁16a,16b上に立設されるようにしたが、勿論、各レール部材15は、引出収容部材16の底板上に立設されるようにしてもよい。
以下、このような引出形回路遮断器10の引き出し動作について説明する。
図3に示すように、運転時には、一対のレール部材15は引出収容部材16内に収納されており、引出収容部材16は配電盤20内に格納されている。このとき、各レール部材15は、図6中に二点鎖線で示すように、延長レールとして機能する上面15aが下方を向いた状態で引出収容部材16内に収容されている。保守点検を行う場合には、図4に示すように、引出収容部材16を配電盤20の前方外側に引き出し、各レール部材15を回動軸17中心で回動させて引出収容部材16の側壁16a,16b上に起立状態とする。また、本実施形態では、図4に示すように、各レール部材15には、上面15a部分が配電盤側に張り出した庇部15bが設けられている。このため、引出収容部材16を最大限引き出した状態で、各レール部材15を回動させて起立状態とする。
次いで、図5に示すように、引出収容部材16を配電盤方向に若干スライドさせて各レール部材15の庇部15bが格納部21の底板21a上に重なるようにした状態で、台車12を配電盤20の格納部21からレール部材15上まで引き出すことで、遮断器本体11の可動接触端子14と配電盤20の固定接触端子22とを切り離す。
その後は、図示しないが、例えば、チェーンブロック等の吊り装置によって遮断器本体11が固定された台車12を床に下ろす。
以上説明したように、本発明の構成では、遮断器本体11が搭載された台車12を配電盤20の外側まで引き出すためのレール部材15が設けられているため、リフタを使用することなく、遮断器本体11が固定された台車12を配電盤20の外側まで容易に引き出すことができ、保守点検作業等の作業効率が大幅に向上する。また、レール部材15は、引出収容部材16内に収容することができるため、通常の作業の妨げになることもない。
特に、レール部材15を回動軸17によって回動可能に引出収容部材16に支持するようにしたので、レール部材15を回動させるだけで、レール部材15の上面15aの高さを格納部21の底板21aの高さと一致させることができる。すなわち、引出収容部材16を引き出しただけでは、台車12を移動するための延長レールは設置されないものの、レール部材15を回動させることで、極めて容易に延長レールを設置することができる。
また、レール部材15と、このレール部材15が支持、収容される引出収容部材16とは、台車12が載置される配電盤20の格納部21の底板21aとは全く独立した部材であるため、レール部材15及び引出収容部材16が、遮断器本体11及び台車12の重みによって多少変形したとしても、可動接触端子14と固定接触端子22との接触状態には全く影響を及ぼすことがない。さらに、本発明の遮断器本体を引き出すための機構は全く独立した構成であるため、スペースさえ確保できれば既存の設備にも採用することができ、設備投資を抑えることもできる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、この実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能なことは言うまでもない。
本発明の一実施形態に係る引出形回路遮断器の概略斜視図である。 本発明の一実施形態に係る引出形回路遮断器の要部を示す側面図ある。 本発明の一実施形態に係る引出形回路遮断器の要部を示す正面図及び側面図である。 本発明の一実施形態に係る引出形回路遮断器の要部を示す正面図及び側面図である。 本発明の一実施形態に係る引出形回路遮断器の要部を示す正面図及び側面図である。 本発明の一実施形態に係るレール部材の拡大図である。
符号の説明
10 引出形回路遮断器
11 遮断器本体
12 台車
13 車輪
14 可動接触端子
15 レール部材
16 引出収容部材
17 回動軸
18 支持板
20 配電盤
21 格納部
22 固定接触端子

Claims (2)

  1. 配電盤に設けられる格納部内に格納された状態で当該配電盤の固定接触端子に接続される可動接触端子を有する遮断器本体が固定された台車を有し、該台車を前記格納部から引き出すことで前記可動接触端子を前記固定接触端子から切り離して開路状態とする引出形回路遮断器であって、
    前記格納部の底板下側に引出し可能に設けられる引出収容部材と、該引出収容部材内に収容可能に設けられる一対のレール部材とを具備し、
    該レール部材は、その基端部側が前記引出収容部材の引出方向に沿って設けられる回動軸を中心として回動可能に前記引出収容部材に支持されており、前記回動軸を中心として回動させて当該レール部材を起立状態とすることでその上面が前記底板表面から連続して前記台車を移動可能な延長レールとして機能することを特徴とする引出形回路遮断器。
  2. 前記引出収容部材の側壁が前記台車の車輪間隔で形成されており、前記レール部材は、起立状態としたときに前記引出収容部材の各側壁上に立設されるように支持されていることを特徴とする請求項1に記載の引出形回路遮断器。
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