JP4943290B2 - トナー及び現像剤 - Google Patents

トナー及び現像剤 Download PDF

Info

Publication number
JP4943290B2
JP4943290B2 JP2007272852A JP2007272852A JP4943290B2 JP 4943290 B2 JP4943290 B2 JP 4943290B2 JP 2007272852 A JP2007272852 A JP 2007272852A JP 2007272852 A JP2007272852 A JP 2007272852A JP 4943290 B2 JP4943290 B2 JP 4943290B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
toner
resin
acid
rosin
mass
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2007272852A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2009103742A (ja
Inventor
慎也 中山
昭宏 小番
陽一郎 渡辺
一己 鈴木
隆浩 本多
伸二 大谷
義浩 法兼
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ricoh Co Ltd filed Critical Ricoh Co Ltd
Priority to JP2007272852A priority Critical patent/JP4943290B2/ja
Publication of JP2009103742A publication Critical patent/JP2009103742A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4943290B2 publication Critical patent/JP4943290B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Developing Agents For Electrophotography (AREA)

Description

本発明は、複写機、静電印刷、プリンタ、ファクシミリ、静電記録等における静電荷像を現像するためのトナー及び現像剤に関する。
電子写真、静電記録、静電印刷等において使用される現像剤は、その現像工程において、例えば、静電荷像が形成されている静電潜像担持体に一旦付着され、次に転写工程において静電潜像担持体から転写紙等の転写媒体に転写された後、定着工程において紙面に定着される。その際、潜像保持面上に形成される静電荷像を現像するための現像剤として、キャリアとトナーからなる二成分系現像剤及び、キャリアを必要としない一成分系現像剤(磁性トナー、非磁性トナー)が知られている。
従来より、電子写真、静電記録、静電印刷などに用いられる乾式トナーとしては、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂等の結着樹脂(トナーバインダーとも呼ぶ)を着色剤等と共に溶融混練し、微粉砕したもの、いわゆる粉砕トナーが広く用いられている。
また、最近では、懸濁重合法、乳化重合凝集法等によるトナー製造法、いわゆるケミカルトナーが検討されている。ケミカルトナーの製造法の一つに、ポリマー溶解懸濁法と呼ばれる、体積収縮を伴う工法が検討されている(特許文献1参照)。この工法は、トナー材料を低沸点有機溶媒等の揮発性溶剤に分散、溶解させ、これを分散剤の存在する水系媒体中で乳化、液滴化した後に揮発性有機溶剤を除去するものである。この工法は、懸濁重合法や乳化重合凝集法と異なり、適用可能な樹脂に汎用性が広く、特に透明性や定着後の画像部の平滑性が要求されるフルカラープロセスに有用なポリエステル樹脂を用いることができる点で優れている。
しかしながら、上記のようなケミカルトナー工法は、水系媒体中で分散剤を使用することを前提としているために、分散剤がトナー表面に残存し、トナーの帯電特性において環境安定性が損なわれたり、分散剤を除去するために大量の洗浄水を必要とする等の欠点があった。
そこで、これに代わるトナーの製造方法として、圧電パルスを利用して微少液滴を形成し、更にこれを乾燥固化してトナー化する工法が提案されている(特許文献2参照)。また、ノズル内の熱膨張を利用して微少液滴を形成し、乾燥固化してトナー化する工法が提案されている(特許文献3参照)。更に、音響レンズを利用して微少液滴を形成し、乾燥固化する工法が提案されている(特許文献4参照)。他にも、熱硬化性樹脂やUV硬化樹脂を含有させたトナー原料を分散質として、分散媒中に微分散した分散液を、ノズルから液滴として間欠的に吐出した後、液滴を凝集させ、熱硬化樹脂もしくはUV硬化樹脂を硬化させて粒子形成の安定化を図る方法も提案されている(特許文献5及び6参照)。
しかし、これらの工法では、一つのノズルから単位時間あたりに吐出できる液滴数が少なく、生産性が悪いという問題があった。また、液滴同士の合一による粒度分布の広がりが避けられず、単一分散性の点で満足できるものでは無かった。更には、トナー組成物中に離型剤を含有している場合、トナー組成物を液滴化した際に、離型剤が液滴内部に移動して内部凝集しやすいため、トナーの定着離型性が悪化する問題があった。特に、特許文献5及び特許文献6の工法においては、流体に直接加振部が触れることを特徴としているが、この様な構成の場合、細孔と振動部の数が一致する場合はシャープな粒径分布を達成できるが、多数の細孔と1つの加振部の場合、細孔の位置と加振部の位置関係によるその距離に応じて、細孔から吐出する液滴の大きさが変化するので、トナー粒子が異なる複数のオリフィス間で異なった粒径を生産してしまうことが判明した。
一方、電子写真技術の発展に伴い、低温定着性、耐オフセット性、及び耐熱保存性(耐ブロッキング性)に優れたトナーが要求されている。そのため、例えば分子量等の物性を規定した線状ポリエステル樹脂を含有したトナー(特許文献7参照)、ポリエステル中に酸成分としてロジン類を使用した非線状架橋型ポリエステル樹脂を含有したトナー(特許文献8参照)、マレイン酸で変性したロジンを使用し、定着性を改良したトナー(特許文献9参照)、などが提案されている。
しかし、近年の画像形成装置の更なる高速化及び省エネルギー化により、従来のトナー用結着樹脂では市場の要求に対しては不十分であることが判明した。即ち、定着工程での定着時間の短縮化及び定着機での加熱温度の低温化により、十分な定着性を維持することが非常に困難になっている。特に、低分子量樹脂を用いる方法では、ガラス転移温度の低下を必然的に伴うため、保存時にトナーが凝集してしまう等の課題がある。また、印刷時に受ける強いストレスに伴い、トナーの耐久性の不足や、内添剤の分散不良によるフィルミングの発生により、特に、高速連続印字での画像劣化が顕著となる。更に、特許文献8及び特許文献9で用いられているロジンモノマーは低温定着性の向上には有効であるものの、臭気が発生しやすいという欠点がある。
これらの課題を解決できるトナーとして、例えば脂肪族多価アルコールと多価カルボン酸を重縮合したポリエステル樹脂を用い、脂肪族多価アルコールの含有量や熱特性を規定したトナー、又はこれらのトナーに精製ロジンをカルボン酸成分として使用したトナー(特許文献10、11、12、及び13参照)が提案されている。これらの提案は、低温定着性と耐熱保存性を両立した上で、ロジン特有の臭気を抑えたものである。また、前記特許文献12は、ワックス微分散によりフィルミングの発生を抑えることができるものである。
しかし、これらの提案のトナーは粉砕トナーであるため、粉砕時にトナー表面にワックスが露出するのを防止できず、フィルミング及びキャリア汚染を完全に解決できるものではなかった。また、ワックスが微分散することで、定着時にワックスが機能し難くなり、必ずしも定着離型性に優れたものではなく、更なる改良、開発が望まれているのが現状である。
特開平7−152202号公報 特開2003−262976号公報 特開2003−280236号公報 特開2003−262977号公報 特開2006−28432号公報 特開2006−28433号公報 特開2004−245854号公報 特開平4−70765号公報 特開平4−307557号公報 特開2007−137910号公報 特開2007−139811号公報 特開2007−155978号公報 特開2007−156347号公報
本発明は、従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、小粒径、かつ今までにない粒度の単一分散性を有した粒子であることにより、流動性及び帯電特性といったトナーに求められる多くの特性値において、今までのトナーの製造方法にみられた粒子による変動の幅が全くないか、又は非常に少ない上に、耐オフセット性、低温定着性、定着離型性、耐熱保存性、及び耐フィルミング性のいずれにも優れ、かつ臭気の発生がなく、高解像度で、高精細及び高品質な画像を形成でき、長期にわたって画像劣化のないトナー及び現像剤を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 少なくとも結着樹脂、着色剤、及び離型剤を含有するトナー組成物を溶媒に溶解乃至分散させたトナー組成液を貯留する貯留部に設けた複数の吐出口を有する薄膜を、該薄膜の吐出口を有する領域の周囲に円環状に設けた振動発生手段により振動させて、前記複数の吐出口から前記トナー組成液を液滴化して周期的に放出させる周期的液滴化工程と、
前記放出されたトナー組成液の液滴を固化させてトナー粒子を形成するトナー粒子形成工程と、を含むトナーの製造方法により製造されるトナーであって、
前記結着樹脂が、脂肪族多価アルコールを含有したアルコール成分と、(メタ)アクリル変性ロジンを含有したカルボン酸成分とを縮重合させて得られるポリエステル樹脂を含有することを特徴とするトナーである。
<2> 振動発生手段の振動周波数が、20kHz以上2.0MHz未満である前記<1>に記載のトナーである。
<3> 吐出口の開口径が、1μm〜40μmである前記<1>から<2>のいずれかに記載のトナーである。
<4> トナー組成液の液滴から溶媒を除去してトナー粒子化する前記<1>から<3>のいずれかに記載のトナーである。
<5> 脂肪族多価アルコールが、炭素数2〜6の脂肪族多価アルコールを含有する前記<1>から<4>のいずれかに記載のトナーである。
<6> (メタ)アクリル変性ロジンの含有量が、カルボン酸成分中、5質量%〜85質量%である前記<1>から<5>のいずれかに記載のトナーである。
<7> (メタ)アクリル変性ロジンが、精製ロジンを(メタ)アクリル酸で変性して得られる前記<1>から<6>のいずれかに記載のトナーである。
<8> アルコール成分及びカルボン酸成分の少なくともいずれかが、3価以上のアルコール及び3価以上カルボン酸化合物の少なくともいずれかを含む前記<1>から<7>のいずれかに記載のトナーである。
<9> 結着樹脂が、更にハイブリッド樹脂を含有する前記<1>から<8>のいずれかに記載のトナーである。
<10> 離型剤が、パラフィンワックス及びカルナウバワックスのいずれかである前記<1>から<9>のいずれかに記載のトナーである。
<11> トナーにおける重量平均粒径(D)と個数平均粒径(Dn)の比(D/Dn)が、1.00〜1.10である前記<1>から<10>のいずれかに記載のトナーである。
<12> 前記<1>から<11>のいずれかに記載のトナーを含有することを特徴とする現像剤である。
<13> 前記<1>から<11>のいずれかに記載のトナーが容器に収容されていることを特徴とするトナー入り容器である。
<14> 静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に前記<1>から<11>のいずれかに記載のトナーで静電潜像を現像して可視像を形成する現像手段を少なくとも有し、画像形成装置本体に着脱可能であることを特徴とするプロセスカートリッジである。
<15> 静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、前記静電潜像を前記<1>から<11>のいずれかに記載のトナーを用いて現像して可視像を形成する現像工程と、前記可視像を記録媒体に転写する転写工程と、前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着工程とを少なくとも含むことを特徴とする画像形成方法である。
<16> 静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、前記静電潜像を前記<1>から<11>のいずれかに記載のトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、前記可視像を記録媒体に転写する転写手段と、前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着手段とを少なくとも有することを特徴とする画像形成装置である。
本発明のトナーは、少なくとも結着樹脂、着色剤、及び離型剤を含有するトナー組成物を溶媒に溶解乃至分散させたトナー組成液を貯留する貯留部に設けた複数のノズルを有する薄膜を、該薄膜のノズルを有する領域の周囲に円環状に設けた振動発生手段により振動させて、前記複数のノズルから前記トナー組成液を液滴化して周期的に放出させる周期的液滴化工程と、
前記放出されたトナー組成液の液滴を固化させてトナー粒子を形成するトナー粒子形成工程と、を含むトナーの製造方法により製造され、
前記結着樹脂は、脂肪族多価アルコールを含有したアルコール成分と、(メタ)アクリル変性ロジンを含有したカルボン酸成分とを縮重合させて得られるポリエステル樹脂を含有する。
本発明のトナーにおいては、前記結着樹脂が、低温定着性と、耐ホットオフセット性及び耐熱保存性の両立性に優れている。また、前記結着樹脂を本発明におけるトナーの製造方法に用いると、トナー組成液が液滴化された時に、離型剤が液滴内部に移動するため、最終的に得られるトナーの表面には離型剤が殆ど露出した状態では存在しない。更に、離型剤は液滴中に適度な分散径を保ちながら微分散する。この現象は、おそらく液相と気相に対する、結着樹脂と離型剤の分配能の差違と、結着樹脂と離型剤の高い相溶性によって生じると考えられる。このため、トナーの均質性が高く、不良トナーが極度に少なく、また、トナー表面には離型剤が存在しないので、耐フィルミング性に非常に優れたトナーが得られる。更に、トナー内部では適度な分散径で離型剤が分散しているので、加熱定着時には速やかにトナー表面に離型剤が移行し、優れた定着離型性を発揮することができる。また、トナー組成液中で離型剤が凝集することがないので、液滴化処理の際におけるノズル詰まりを発生させることがない。更に、小粒径、かつこれまでにない粒度の単一分散性を有するトナーが製造でき、流動性及び帯電特性といったトナーに求められる多くの特性値において、これまでのトナーの製造方法にみられた粒子による変動の幅が全くないか、非常に少ないトナーが得られる。
本発明によると、従来における問題を解決することができ、小粒径、かつ今までにない粒度の単一分散性を有した粒子であることにより、流動性及び帯電特性といったトナーに求められる多くの特性値において、今までのトナーの製造方法にみられた粒子による変動の幅が全くないか、又は非常に少ない上に、耐オフセット性、低温定着性、定着離型性、耐熱保存性、及び耐フィルミング性のいずれにも優れ、かつ臭気の発生がなく、高解像度で、高精細及び高品質な画像を形成でき、長期にわたって画像劣化のないトナー及び現像剤を提供することができる。
(トナー)
本発明のトナーは、周期的液滴化工程と、トナー粒子形成工程とを含むトナーの製造方法により製造され、
前記トナーの結着樹脂が、脂肪族多価アルコールを含有したアルコール成分と、(メタ)アクリル変性ロジンを含有したカルボン酸成分とを縮重合させて得られるポリエステル樹脂を含有する。
本発明のトナーを製造するトナーの製造方法は、周期的液滴化工程と、トナー粒子形成工程とを少なくとも含み、更に必要に応じてその他の工程を含んでなる。
前記周期的液滴化工程は、少なくとも結着樹脂、着色剤、及び離型剤を含有するトナー組成物を溶媒に溶解乃至分散させたトナー組成液を貯留する貯留部に設けた複数のノズルを有する薄膜を、該薄膜のノズルを有する領域の周囲に円環状に設けた振動発生手段により振動させて、前記複数のノズルから前記トナー組成液を液滴化して周期的に放出させる工程である。
前記トナー粒子形成工程は、前記放出されたトナー組成液の液滴を固化させてトナー粒子を形成する工程である。
ここで、前記トナーの製造方法を実施するトナーの製造装置の一実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、トナーの製造装置の一例を示す概略図である。このトナーの製造装置1は、液滴化手段及び貯留部を備える液滴噴射ユニット2と、この液滴噴射ユニット2が上方に配置され、液滴噴射ユニット2から放出されるトナー組成液の液滴を固化してトナー粒子を形成する粒子化手段としての粒子形成部3と、粒子形成部3で形成されたトナー粒子を捕集するトナー捕集部4と、トナー捕集部4で捕集されたトナー粒子がチューブ5を介して移送され、移送されたトナー粒子を貯留するトナー貯留手段としてのトナー貯留部6と、トナー組成液10を収容する原料収容部7と、この原料収容部7内から稼動時などにトナー組成液10を圧送供給するためのポンプ9とを備えている。
図1では、液滴噴射ユニット2が1個配置されている例で図示しているが、好ましくは、図2に示すように、複数、例えば制御性の観点からは100〜1,000個(図2では4個のみ図示)の液滴噴射ユニット2を、粒子形成部3の天面部3Aに並べて配置し、各液滴噴射ユニット2には配管8Aを原料収容部7(共通液溜め)に通じさせてトナー組成液10を供給するようにする。これによって、一度により多くの液滴を放出させることができて、生産効率の向上を図ることができる。
また、原料収容部7からのトナー組成液10は、液滴噴射ユニット2による液滴化現象により自給的に液滴噴射ユニット2に供給されるが、装置稼働時等には上述したように補助的にポンプ9を用いて液供給を行う構成としている。なお、トナー組成液10として、ここでは、少なくとも結着樹脂、着色剤、及び離型剤を含有するトナー組成物を溶媒に溶解乃至分散させたトナー組成液を用いている。
次に、液滴噴射ユニット2について図3〜図5を参照して説明する。なお、図3は同液滴噴射ユニット2の断面説明図、図4は図3を下側から見た要部底面説明図、図5は液滴化手段の概略断面説明図である。
この液滴噴射ユニット2は、少なくとも結着樹脂、着色剤、及び離型剤を含有するトナー組成液10を液滴化して放出させる液滴化手段11と、この液滴化手段11にトナー組成液10を供給する貯留部(液流路)12を形成した流路部材13とを備えている。
液滴化手段11は、複数のノズル(吐出口)15が形成された薄膜16と、この薄膜16を振動させる円環状の振動発生手段である電気機械変換手段(素子)17とで構成されている。ここで、薄膜16は、最外周部(図4の斜線を施して示す領域)をハンダ又はトナー組成液に溶解しない樹脂結着材料によって流路部材13に接合固定している。電気機械変換手段17は、この薄膜16の変形可能領域16A(流路部材13に固定されていない領域)内の周囲に配されている。この電気機械変換手段17にはリード線21、22を通じて駆動回路(駆動信号発生源)23から所要周波数の駆動電圧(駆動信号)が印加されることで、例えば撓み振動を発生する。
薄膜16の材質、ノズル15の形状としては、特に制限はなく、適宜選択した形状とすることができるが、例えば、薄膜16は厚み5μm〜500μmの金属板で形成され、かつ、ノズル15の開口径が1μm〜40μm(好ましくは3μm〜35μm)であることが、ノズル15からトナー組成液の液滴を噴射させるときに、極めて均一な粒子径を有する微小液滴を発生させる観点から好ましい。前記開口径が、1μm未満であると、ノズル詰まりが発生しやすくなり、粒度分布が悪化することがあり、40μmを超えると、液滴の粒径が大きくなり、トナー粒径の微小化が困難となることがある。
なお、前記ノズル15の開口径は、真円であれば直径を意味し、楕円であれば短径を意味する。また、複数のノズル15の個数は、2〜3000個が好ましい。
電気機械変換手段17としては、薄膜16に確実な振動を一定の周波数で与えることができるものであれば特に制限はないが、上述したように、バイモルフ型のたわみ振動の励起される圧電体が好ましい。圧電体としては、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等の圧電セラミックスが挙げられるが、一般に変位量が小さいことから、積層して使用されることが多い。この他にも、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等の圧電高分子や、水晶、LiNbO、LiTaO、KNbO等の単結晶、などが挙げられる。
流路部材13には貯留部12にトナー組成液を供給する液供給チューブ18及び気泡排出用の気泡排出チューブ19がそれぞれ少なくとも1箇所に接続されている。この流路部材13に取り付けた支持部材20によって粒子形成部3の天面部に設置保持されている。なお、ここでは、粒子形成部3の天面部に液滴噴射ユニット2を配置している例で説明しているが、粒子形成部3となる乾燥部側面壁又は底部に液滴噴射ユニット2を設置する構成とすることもできる。
このように、液滴化手段11は、貯留部12に臨む複数のノズル15を有する薄膜16の変形可能領域16A内の周囲に円環状の電気機械変換手段17が配されていることによって、例えば図6に示す比較例の構成のように電気機械変換手段17が薄膜16の周囲を保持している構成に比べて、相対的に薄膜16の変位量が大きくなり、この大きな変位量が得られる比較的大面積(直径1mm以上)の領域に複数のノズル15を配置することができ、これら複数のノズル15より一度に多くの液滴を安定的に形成して放出することができるようになる。
この液滴化手段11の動作原理について図7A及び図7Bを参照して説明すると、図7A及び図7Bに示すような単純円形薄膜16の周辺部16Bを固定した(より具体的には、変形可能領域16Aの外周が固定された状態である)場合、この円形薄膜16に振動を与えると、基本振動は周辺が節になり、図8に示すように、薄膜16の中心Oで変位量ΔLが最大(ΔLmax)となる断面形状となり、振動方向に周期的に上下振動する。
この図8に示すように、薄膜16を、周辺が節となり、直径方向(径方向)に節を持たない振動モードで振動させることが好ましい。なお、図9及び図10に示すような、より高次の振動モードが存在することが知られている。これらのモードは、円形薄膜16内に、同心円状に節を1〜複数持ち、実質的に径方向に対称な変形形状となる。また、図11に示すように、円形薄膜16の中心部を凸形状16Cとすることで、液滴の進行方向を制御し、かつ振動振幅量を調整することが可能となる。なお、この図11の例の詳細については後述する。
ここで、円形薄膜16の振動により、円形薄膜16に設けられた複数のノズル15近傍の液体(トナー組成液)には、薄膜16の振動速度Vmに比例した圧力Pacが与えられる。圧力は、媒質(トナー組成液)の放射インピーダンスZrの反作用として生じることが知られており、放射インピーダンスと膜振動速度Vmの積で、下記数式1で示す方程式を用いて表すことができる。
<数式1>
Pac(r,t) = Zr・Vm(r,t)
薄膜16の振動速度Vmは、時間とともに周期的に変動しているため時間の関数であり、例えばサイン波形、矩形波形など、様々な周期変動を形成することが可能である。また、前述したとおり、薄膜16の各部位で振動方向の振動変位は異なっており、振動速度Vmは、薄膜16上の位置座標の関数でもある。好ましい薄膜の振動形態は、上述のとおり径方向に対称な変形形状であるので、実質的には半径座標の関数となる。
以上のように、分布を持った薄膜16の振動変位速度に対して、それに比例する圧力が発生し、圧力の周期的変化に対応して貯留部12内のトナー組成液10が、気相へ吐出される。そして、気相へ周期的に排出されたトナー組成液10は、液相と気相との表面張力差によって球体を形成するため、液滴化が周期的に発生し、トナー組成液10は複数のノズル15から液滴化されて放出される。
この様子を図12A及び図12Bに模式的に示している。薄膜16の変形可能領域内の周囲に配された電気機械変換手段17に対して撓み振動を与えることによって、薄膜16は、図12Aに示すように貯留部12側と反対側に撓んだ状態と、図12Bに示すように貯留部12側に撓んだ状態との間で振動することになる。その結果、この薄膜16の振動によってトナー組成液10が液滴化されて液滴31が噴射(吐出)される。
ここで、液滴化を可能とする薄膜16の振動周波数としては20kHz〜2.0MHzの範囲が好ましく、50kHz〜500kHzの範囲がより好ましい。20kHz以上の振動周期であれば、液体の励振によって、トナー組成液10中の顔料やワックスなどの微粒子の分散が促進される。
また、圧力が10kPa以上となることによって、上述の微粒子分散促進作用がより好適に発生する。
この場合、形成される液滴31の直径は、薄膜16の複数のノズル15が形成された領域における振動変位が大きいほど大きくなる傾向にあり、振動変位が小さい場合、小滴が形成されるか、又は液滴化しない。このような、複数のノズル15が形成された領域における液滴サイズのばらつきを低減するためには、複数のノズル15の配置を薄膜16の振動変位の最適な位置に規定することが必要である。
実験によれば、図8〜図10に示す、電気機械変換手段17によって発生する薄膜16の複数のノズル15が形成された領域における薄膜16の振動方向変位(変位量)ΔLの最大値ΔLmaxと最小値ΔLminの比R(=ΔLmax/ΔLmin)が、2.0以内である、つまり、比Rが2.0以内になる領域内に複数のノズル15を配置することにより、液滴サイズのばらつきを、高画質な画像を提供することのできるトナー粒子として必要な領域に保てることを知見した。
更に、液滴サイズ(直径)のばらつきの大きな要因として、サテライト粒子(主に形成される液滴のおよそ10分の1の直径の粒子)の発生が挙げられる。つまり、図13は、好適に液滴31が発生している様子を撮影したものである。図14は、これを乾燥固化したときのトナー粒子Tの図であり、単分散である。これに比較して、圧力が500kPaを超えた条件においては、図15に示すように、主滴31の後方に複数個のサテライト32が発生していることが分かる。この場合、図16に示すように、トナー粒子Tに比較して小さな粒子Tsが多数発生する。
この場合、トナー組成液の条件を変更して実験を行ったところ、粘度20mPa・s以下、表面張力20〜75mN/mの領域においてサテライトの発生開始領域が同様であったことから、前記圧力が、10Pa以上500kPa以下の範囲内であることが好ましく、より好ましくは100kPa以下である。圧力をこの範囲にする、つまり、圧力がこの範囲になる薄膜16の領域内に複数のノズル15を配置することでサテライトの発生を抑制できる。
次に、図1に戻って、トナー組成液10の液滴31を固化してトナー粒子を形成する粒子形成部3について説明する。
ここでは、トナー組成液10として、前述したように、少なくとも結着樹脂、着色剤、及び離型剤を含有するトナー組成物を溶媒に溶解乃至分散したトナー組成液を用いているので、液滴31を乾燥して固化することでトナー粒子を形成している。つまり、この実施形態では、粒子形成部3は液滴31の溶媒を乾燥して除去することによってトナー粒子を形成する溶媒除去部としている(以下では、粒子形成部3を「溶媒除去部」あるいは「乾燥部」とも称する)。
具体的には、この粒子形成部3は、液滴噴射ユニット2のノズル15から放出される液滴31を、この液滴31の飛翔方向と同方向に流れる乾燥した気体(乾燥気体)35によって搬送することで、液滴31の溶媒を除去してトナー粒子を形成する。なお、乾燥気体35とは、大気圧下の露点温度が−10℃以下の状態の気体を意味する。乾燥気体35としては、液滴31を乾燥可能な気体であればよく、例えば、空気、窒素などを用いることができる。
次に、この粒子形成部3にて形成されたトナー粒子を捕集するトナー捕集手段としてのトナー捕集部4について説明する。
このトナー捕集部4は、粒子形成部3の粒子飛翔方向下流側に粒子形成部3に連続して設けられ、開口径が入口側(液体噴射ユニット2側)から出口側に向けて漸次縮小するテーパ面41を有している。そして、例えば、図示しない吸引ポンプなどでトナー捕集部4内から吸引を行うことによってトナー捕集部4内に下流側に向かう渦流である気流42を発生させ、この気流42によってトナー粒子を捕集するようにしている。このように渦流(気流42)によって遠心力を発生させてトナー粒子を捕集することで確実にトナー粒子を捕集して下流側のトナー貯留部6に移送することができる。
また、トナー捕集部4の入口部には、粒子形成部3で形成されたトナー粒子の電荷を一時的に中和する(除電する)除電手段43を備えている。この除電手段43は、トナー粒子に対して軟X線を照射する軟X線照射装置43Aを用いているが、図17に示すように、除電手段43としてトナー粒子に対してプラズマ照射を行うプラズマ照射装置43Bを用いることもできる。
このトナー捕集部4で捕集されたトナー粒子は、渦流(気流42)によってそのままチューブ5を介してトナー貯留部6に移送されて貯留される。この場合、トナー捕集部4、チューブ5、トナー貯留部6を導電性の材料で形成したときには、これらが接地されている(アースに接続されている)ことが好ましい。なお、この製造装置は全体が防爆仕様であることが好ましい。また、トナー捕集部4からトナー粒子をトナー貯留部6に向けて圧送したり、あるいは、トナー貯留部6側からトナー粒子を吸い込む構成としたりすることもできる。
次に、このように構成したトナーの製造装置1による本発明のトナーの製造方法の概要について説明する。
前述したように液滴噴射ユニット2の貯留部12に少なくとも結着樹脂、着色剤、及び離型剤を含有するトナー組成物を分散乃至溶解させたトナー組成液10を供給した状態で、液滴化手段11の電気機械変換手段17に対して所要の駆動周波数の駆動信号を印加することによって電気機械変換手段17に撓み振動が発生し、この電気機械変換手段17の撓み振動によって薄膜16が周期的に振動し、この薄膜16の振動によって複数のノズル15から貯留部12のトナー組成液10が周期的に液滴化されて液滴31として溶媒除去部としての粒子形成部3(図1参照)内に放出される。
そして、粒子形成部3内に放出された液滴31は、粒子形成部3内で液滴31の飛翔方向と同方向に流れる乾燥気体35によって搬送されることで、溶媒が除去され、トナー粒子が形成される。この粒子形成部3にて形成されたトナー粒子は下流側のトナー捕集部4にて気流42にて捕集され、チューブ5を介してトナー貯留部6に送られて貯留される。
このように、液滴噴射ユニット2の液滴化手段11には複数のノズル15が設けられているので、同時に複数の液滴化されたトナー組成液の液滴31が連続的に多数放出されることから、トナーの生産効率が飛躍的に向上する。加えて、前述したように、液滴化手段11は、貯留部12に臨む複数のノズル15を有する薄膜16の変形可能領域16A内の周囲に円環状の電気機械変換手段17を配した構成としているので、大きな薄膜16の変位が得られ、この大きな変位量が得られる領域に複数のノズル15を配置することによって一度に多くの液滴31をノズル15の目詰まりを発生することなく安定して放出することができ、安定して効率的なトナー製造が可能になる。更に、これまでにない粒度の単一分散性を有したトナーを得ることができるようになることが確認された。
なお、この実施形態では、トナー組成液10として、少なくとも結着樹脂、着色剤、及び離型剤を含有するトナー組成物を溶媒に溶解乃至分散したトナー組成液を用いて、液滴を固化する手段として、液滴に含まれる溶媒を溶媒除去部(粒子化手段)において乾燥気体へ蒸発させ、乾燥による収縮固化を行ってトナー粒子を形成しているが、これに限られるものではない。
例えば、加熱した貯留部内にトナー組成物を溶融し液状化してトナー組成液とし、液滴として吐出、放出させた後、この液滴を冷却固化してトナー粒子を形成する構成とすることもできる。また、熱硬化性物質を含むトナー組成液を使用して、液滴として放出させた後、加熱し硬化反応させて固化してトナー粒子を形成する構成とすることもできる。
次に、本発明のトナーは、上述したトナーの製造装置を用いたトナーの製造方法により製造され、粒度分布が単分散なものである。
具体的には、前記トナーの粒度分布(重量平均粒径/数平均粒径)としては、1.00〜1.10が好ましく、1.00〜1.05がより好ましい。前記(重量平均粒径/数平均粒径)が1.10を超えると、細線再現性が低下することがある。
また、トナーの重量平均粒径(D)は、1μm〜20μmが好ましく、高画質化の観点から、3μm〜10μmがより好ましい。
ここで、前記トナーの重量平均粒径(D)、数平均粒径(Dn)、及び比(D/Dn)は、例えば次のようにして求めることができる。
・測定機:コールターマルチサイザーII(ベックマンコールター社製)
・アパチャー径:100μm
・解析ソフト:コールターマルチサイザーアキュコンプ バージョン 1.19(ベックマンコールター社製)
・電解液:アイソトンII(ベックマンコールター社製)
・分散液:エマルゲン109P(花王株式会社製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB:13.6)5質量%電解液
・分散条件:分散液5mLに測定試料10mgを添加し、超音波分散機にて1分間分散させ、その後、電解液25mLを添加し、更に、超音波分散機にて1分間分散させる。
・測定条件:ビーカーに電解液100mLと分散液を加え、3万個の粒子の粒径を20秒間で測定できる濃度で、3万個の粒子を測定し、その粒度分布から重量平均粒径、数平均粒径を求め、比(D/Dn)を算出することができる。
本発明のトナーを製造する方法によって製造されたトナーは、静電反発効果により、容易に気流に再分散、即ち浮遊させることができる。このため、従来の電子写真方式で利用されるような搬送手段を用いなくても、現像領域まで容易にトナーを搬送することができる。微弱な気流でも充分な搬送性があり、簡単なエアーポンプでトナーを現像域まで搬送し、そのまま現像することができる。現像は、いわゆるパワークラウド現像となり、気流による像形成の乱れがないことから、極めて良好な静電潜像の現像が行える。また、本発明に係るトナーは、従来の現像方式であっても問題なく応用することができる。このとき、キャリアや現像スリーブ等の部材は、単にトナー搬送手段として使用することになり、従来、機能分担していた摩擦帯電機構を考慮する必要が全くない。したがって、材料の自由度が大きく増すことから、耐久性を大きく向上させたり、安価な材料を使用したりすることもでき、コストの低減を図ることもできる。
次に、本発明で使用できるトナー組成液について説明する。まず、前述したようにトナー組成物を溶媒に分散乃至溶解させたトナー組成液は、結着樹脂を各種溶媒に溶解し、着色剤を分散し、かつ離型剤を分散乃至溶解したものや、また、上記材料を熱溶融混練し得られた混練物を各種溶媒に一度溶解乃至分散した液を用いてもよい。更に、前記トナー組成液は、必要に応じてその他の成分を含有する。
−結着樹脂−
前記結着樹脂は、アルコール成分とカルボン酸成分とを縮重合させてなるポリエステル樹脂を含有し、前記アルコール成分中に脂肪族多価アルコールが、前記カルボン酸成分中に(メタ)アクリル変性ロジンが、それぞれ含有されていることに大きな特徴を有する。
前記(メタ)アクリル変性ロジンにより、極めて低い温度での定着が可能となり、保存性が向上する。従来使用されている変性ロジンであるマレイン酸で変性されたマレイン変性ロジンは、3つの官能基を有するため、架橋剤として機能する。このため、定着性を高めるためにマレイン変性ロジンを多量に含有したカルボン酸成分を用いて得られるポリエステル樹脂は、低分子量成分及び高分子量成分を多量に含有するため、低温定着性と耐オフセット性及び保存性との両立が困難である。逆に、マレイン変性ロジンの量を低減すると、得られるポリエステル樹脂の低温定着性が低下する。しかし、本発明で用いられる(メタ)アクリル変性ロジンは2つの官能基を有するロジンであるために、ポリエステル樹脂の主鎖の一部として分子鎖を伸ばし、分子量を上げることができる一方、分子量500以下の低分子量成分、即ち、残存モノマー成分やオリゴマー成分が低減される。更に、本発明で用いられる脂肪族多価アルコール成分は、分子的にコンパクトで反応性が高いため、分子的に嵩高く、反応性の低い(メタ)アクリル変性ロジンを用いていても、数平均分子量の大きなポリエステルが得られる。即ち、脂肪族多価アルコールを含有したアルコール成分と、(メタ)アクリル変性ロジンを含有したカルボン酸成分とを縮重合させることにより、低分子量成分が低減されかつ数平均分子量の大きいポリエステル樹脂が得られるため、低温定着性と耐オフセット性及び保存性という相反する物性の両立が可能となるという驚くべき効果を奏することができるものと推定される。
前記(メタ)アクリル酸変性ロジンとは、(メタ)アクリル酸で変性されたロジンであり、アビエチン酸、ネオアビエチン酸、パラストリン酸、ピマール酸、イソピマール酸、サンダラコピマール酸、デヒドロアビエチン酸、レポピマール酸等を主成分とするロジンに、(メタ)アクリル酸を付加反応させて得られるものであり、具体的には、ロジンの主成分の中で共役二重結合を有するレポピマール酸、アビエチン酸、ネオアビエチン酸及びパラストリン酸と、(メタ)アクリル酸とによる加熱下でのディールス−アルダー(Diels−Alder)反応を経て得ることができる。
なお、本願明細書において、「(メタ)アクリル」は、アクリル又はメタクリルを意味する。従って、(メタ)アクリル酸は、アクリル酸又はメタクリル酸を意味し、「(メタ)アクリル酸変性ロジン」は、アクリル酸で変性されたロジン又はメタクリル酸で変性されたロジンを意味する。前記(メタ)アクリル酸変性ロジンとしては、ディールス−アルダー(Diels−Alder)反応における反応活性の観点から、立体障害の少ないアクリル酸で変性したアクリル酸変性ロジンが好ましい。
前記(メタ)アクリル酸によるロジンの変性度((メタ)アクリル酸変性度)は、ポリエステル樹脂の分子量を高め、低分子量のオリゴマー成分を低減させる観点から、5〜105が好ましく、20〜105がより好ましく、40〜105が更に好ましく、60〜105が特に好ましい。
ここで、前記(メタ)アクリル酸変性度は、下記数式(1)により算出することができる。
ただし、前記数式(1)中、Xは変性度を算出する(メタ)アクリル酸変性ロジンのSP値を表す。Xは(メタ)アクリル酸1モルとロジン1モルとを反応させて得られる(メタ)アクリル酸変性ロジンの飽和SP値を表す。YはロジンのSP値を表す。
前記SP値とは、後述する実施例で示すように環球式自動軟化点試験器で測定される軟化点を意味する。また、前記飽和SP値とは、(メタ)アクリル酸とロジンの反応を、得られる(メタ)アクリル酸変性ロジンのSP値が飽和値に達するまで反応させたときのSP値を意味する。前記数式(1)の分子(X−Y)は、(メタ)アクリル酸で変性したロジンのSP値の上昇度を意味し、前記数式(1)で表される(メタ)アクリル酸変性度の値が大きいほど変性の度合いが高いことを示す。
前記(メタ)アクリル酸変性ロジンの製造方法は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、ロジンと(メタ)アクリル酸を混合し、180℃〜260℃程度、好ましくは180℃〜210℃に加熱することで、ディールス−アルダー反応により、ロジンに含まれる共役二重結合を有する酸に(メタ)アクリル酸を付加させて、(メタ)アクリル酸変性ロジンを得ることができる。得られた(メタ)アクリル酸変性ロジンは、そのまま使用してもよく、更に蒸留等の操作を経て精製して使用してもよい。
前記(メタ)アクリル酸変性ロジンに使用されるロジンは、松類から得られる天然ロジン、異性化ロジン、二量化ロジン、重合ロジン、不均化ロジン等の、アビエチン酸、ネオアビエチン酸、パラストリン酸、ピマール酸、イソピマール酸、サンダラコピマール酸、デヒドロアビエチン酸及びレポピマール酸を主成分とするロジンであれば、公知のロジンを特に限定することなく使用できるが、色目の観点から、天然ロジンパルプを製造する工程で副産物として得られるトール油から得られるトールロジン、生松ヤニから得られるガムロジン、松の切株から得られるウッドロジン等の天然ロジンが好ましく、低温定着性の観点からトールロジンがより好ましい。
前記(メタ)アクリル酸変性ロジンは、加熱下でのディールス−アルダー反応を経て得られるため臭気の原因となる不純物が低減されており、臭気が少ないものであるが、更に臭気を低減し保存性を向上させる観点から、(メタ)アクリル酸変性ロジンは精製ロジンを(メタ)アクリル酸で変性して得られるものが好ましく、精製トールロジンを(メタ)アクリル酸で変性して得られるものがより好ましい。
前記精製ロジンとは、精製工程により不純物が低減されたロジンである。このようにロジンを精製することにより、ロジンに含まれる不純物が除去される。主な不純物としては、例えば2−メチルプロパン、アセトアルデヒド、3−メチル−2−ブタノン、2−メチルプロパン酸、ブタン酸、ペンタン酸、n−ヘキサナール、オクタン、ヘキサン酸、ベンズアルデヒド、2−ペンチルフラン、2,6−ジメチルシクロヘキサノン、1−メチ−2−(1−メチルエチル)ベンゼン、3,5−ジメチル2−シクロヘキセン、4−(1−メチルエチル)ベンズアルデヒドなどが挙げられる。本発明においては、これらのうち、ヘキサン酸、ペンタン酸、及びベンズアルデヒドの3種類の不純物の、ヘッドスペースGC−MS法により揮発成分として検出されるピーク強度を精製ロジンの指標として用いることができる。なお、不純物の絶対量ではなく揮発成分を指標とするのは、本発明における精製ロジンの使用が、ロジンを使用した従来のポリエステル樹脂に対して、臭気を改良の課題の1つとしていることによる。
具体的には、前記精製ロジンとは、後述する実施例のヘッドスペースGC−MS法の測定条件において、ヘキサン酸のピーク強度が0.8×10以下であり、ペンタン酸のピーク強度が0.4×10以下であり、ベンズアルデヒドのピーク強度が0.4×10以下であるロジンをいう。更に、保存性及び臭気の観点から、ヘキサン酸のピーク強度は、0.6×10以下が好ましく、0.5×10以下がより好ましい。ペンタン酸のピーク強度は、0.3×10以下が好ましく、0.2×10以下がより好ましい。ベンズアルデヒドのピーク強度は、0.3×10以下が好ましく、0.2×10以下がより好ましい。
更に、保存性及び臭気の観点から、上記3種類の物質に加えて、n−ヘキサナールと2−ペンチルフランが低減されていることが好ましい。n−ヘキサナールのピーク強度は、1.7×10以下が好ましく、1.6×10以下がより好ましく、1.5×10以下が更に好ましい。また、2−ペンチルフランのピーク強度は1.0×10以下が好ましく、0.9×10以下がより好ましく、0.8×10以下が更に好ましい。
前記ロジンの精製方法としては、特に制限はなく、公知の方法が利用可能であり、蒸留、再結晶、抽出等による方法が挙げられ、蒸留によって、精製するのが好ましい。前記蒸留の方法としては、例えば特開平7−286139号公報に記載されている方法が利用でき、減圧蒸留、分子蒸留、水蒸気蒸留等が挙げられるが、減圧蒸留によって精製するのが好ましい。例えば、蒸留は通常6.67kPa以下の圧力で200〜300℃のスチル温度で実施され、通常の単蒸留をはじめ、薄膜蒸留、精留等の方法が適用され、通常の蒸留条件下では仕込みロジンに対し2〜10質量%の高分子量物がピッチ分として除去すると同時に2〜10質量%の初留分を同時に除去する。
変性前のロジンの軟化点は、50℃〜100℃が好ましく、60℃〜90℃がより好ましく、65℃〜85℃が更に好ましい。前記ロジンの軟化点とは、後述する実施例で示す測定方法により、ロジンを一度溶融させ、温度25℃、相対湿度50%の環境下で1時間自然冷却させた際に測定される軟化点を意味する。
変性前のロジンの酸価は、100〜200mgKOH/gが好ましく、130〜180mgKOH/gがより好ましく、150〜170mgKOH/gが更に好ましい。
前記ロジンの酸価は、例えばJIS K0070に記載の方法に基づき測定することができる。
前記(メタ)アクリル酸変性ロジンの含有量は、カルボン酸成分中、低温定着性の観点から、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましい。また、保存性の観点からは、85質量%以下が好ましく、65質量%以下がより好ましく、50質量%以下が更に好ましい。これらの観点から、(メタ)アクリル酸変性ロジンの含有量は、カルボン酸成分中、5質量%〜85質量%が好ましく、5質量%〜65質量%がより好ましく、10質量%〜50質量%が更に好ましい。
前記カルボン酸成分に含有される、(メタ)アクリル酸変性ロジン以外のカルボン酸化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えばシュウ酸、マロン酸、マレイン酸、(メタ)アクリル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、n−ドデシルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸等の脂肪族ジカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸;トリメリット酸、ピロリメット酸等の3価以上の多価カルボン酸;又はこれらの酸の無水物、アルキル(炭素数1〜3)エステルなどが挙げられる。本件明細書では、上記のような酸、これらの酸の無水物、又は酸のアルキルエステルを総称してカルボン酸化合物と呼ぶ。
−−アルコール成分−−
前記アルコール成分としては、脂肪族多価アルコールが含有されている。該脂肪族多価アルコールとしては、変性ロジンを含むカルボン酸との反応性の観点から、2〜6価の脂肪族多価アルコールが好ましく、2〜3価の脂肪族多価アルコールがより好ましい。
前記脂肪族多価アルコールは、分子構造がよりコンパクトで反応性に富む炭素数2〜6の脂肪族多価アルコールを含有していることが好ましい。炭素数2〜6の脂肪族多価アルコールとしては、例えばエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,3−ブタンジオール、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ソルビトール、グリセリンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、グリセリンが特に好ましい。
前記炭素数2〜6の脂肪族多価アルコールの含有量は、前記脂肪族多価アルコール中、60モル%以上が好ましく、80モル%以上がより好ましく、90モル%以上が更に好ましく、実質的に100モル%が特に好ましい。
前記アルコール成分に含有される、前記脂肪族多価アルコール以外のアルコールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えばポリオキシプロピレン−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAのアルキレン(炭素数2〜3)オキサイド(平均付加モル数1〜16)付加物等のビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物、1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA、又はそれらのアルキレン(炭素数2〜4)オキサイド(平均付加モル数1〜16)付加物などが挙げられる。
前記脂肪族多価アルコールの含有量は、(メタ)アクリル酸変性ロジンとの反応性の観点から、アルコール成分中、50モル%以上が好ましく、60モル%以上がより好ましく、85モル%以上が更に好ましく、実質的に100モル%が特に好ましい。
前記ポリエステル系樹脂では、耐オフセット性向上の観点から、保存性を損なわない範囲で、3価以上の多価アルコール及び3価以上の多価カルボン酸化合物の少なくともいずれかを含有してもよい。前記3価以上の多価アルコールは前記アルコール成分に含有されていることが好ましく、前記3価以上の多価カルボン酸化合物は前記カルボン酸成分に含有されていることが好ましい。また、前記3価以上の多価アルコールは前記アルコール成分に含有され、かつ前記3価以上の多価カルボン酸化合物は前記カルボン酸成分に含有されていることが好ましい。保存性及び残存モノマー低減の観点から、前記3価以上の多価カルボン酸化合物の含有量は、前記アルコール成分100モルに対して、0.001モル〜40モルが好ましく、0.1モル〜25モルがより好ましい。前記3価以上の多価アルコールの含有量は、前記アルコール成分中、0.001モル%〜40モル%が好ましく、0.1モル%〜25モル%がより好ましい。
前記3価以上の原料モノマーにおいて、前記3価以上の多価カルボン酸化合物としては、例えばトリメリット酸又はその誘導体が好ましく、前記3価以上の多価アルコールとしては、例えばグリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ソルビトール、又はそれらのアルキレン(炭素数2〜4)オキサイド(平均付加モル数1〜16)付加物等が挙げられる。これらの中でも、分岐部位となる、又は架橋剤として作用するだけでなく低温定着性の向上にも有効であることから、グリセリン、トリメリット酸又はその誘導体が特に好ましい。
−−エステル化触媒−−
前記アルコール成分と前記カルボン酸成分との縮重合は、エステル化触媒の存在下で行うことが好ましい。前記エステル化触媒としては、p−トルエンスルホン酸等のルイス酸類、チタン化合物、Sn−C結合を有さない錫(II)化合物が挙げられ、これらはそれぞれ単独で又は両者を併用して用いられる。これらの中でも、チタン化合物、Sn−C結合を有さない錫(II)化合物が特に好ましい。
前記チタン化合物としては、Ti−O結合を有するチタン化合物が好ましく、総炭素数1〜28のアルコキシ基、アルケニルオキシ基、又はアシルオキシ基を有する化合物がより好ましい。
前記チタン化合物としては、例えばチタンジイソプロピレートビストリエタノールアミネート〔Ti(C14N)(CO)〕、チタンジイソプロピレートビスジエタノールアミネート〔Ti(C10N)(CO)〕、チタンジペンチレートビストリエタノールアミネート〔Ti(C14N)(C11O)〕、チタンジエチレートビストリエタノールアミネート〔Ti(C14N)(CO)〕、チタンジヒドロキシオクチレートビストリエタノールアミネート〔Ti(C14N)(OHC16O)〕、チタンジステアレートビストリエタノールアミネート〔Ti(C14N)(C1837O)2〕、チタントリイソプロピレートトリエタノールアミネート〔Ti(C14N)(CO)〕、チタンモノプロピレートトリス(トリエタノールアミネート)〔Ti(C14N)(CO)〕などが挙げられる。これらの中でも、チタンジイソプロピレートビストリエタノールアミネート、チタンジイソプロピレートビスジエタノールアミネート、チタンジペンチレートビストリエタノールアミネートが特に好ましく、これらは、例えばマツモト交商株式会社製の市販品としても入手可能である。
その他の好ましいチタン化合物の具体例としては、テトラ−n−ブチルチタネート〔Ti(CO)〕、テトラプロピルチタネート〔Ti(CO)〕、テトラステアリルチタネート〔Ti(C1837O)〕、テトラミリスチルチタネート〔Ti(C1429O)〕、テトラオクチルチタネート〔Ti(C17O)〕、ジオクチルジヒドロキシオクチルチタネート〔Ti(C17O)(OHC16O)〕、ジミリスチルジオクチルチタネート〔Ti(C1429O)(C17O)〕等で挙げられ、これらの中でも、テトラステアリルチタネート、テトラミリスチルチタネート、テトラオクチルチタネート、ジオクチルジヒドロキシオクチルチタネートが好ましく、これらは、例えばハロゲン化チタンを対応するアルコールと反応させることにより得ることもできるが、ニッソー株式会社等の市販品としても入手可能である。
前記チタン化合物の存在量は、前記アルコール成分及び前記カルボン酸成分の総量100質量部に対して、0.01質量部〜1.0質量部が好ましく、0.1質量部〜0.7質量部がより好ましい。
前記Sn−C結合を有していない錫(II)化合物としては、Sn−O結合を有する錫(II)化合物、Sn−X(ただし、Xはハロゲン原子を示す)結合を有する錫(II)化合物等が好ましく、Sn−O結合を有する錫(II)化合物がより好ましい。
前記Sn−O結合を有する錫(II)化合物としては、例えばシュウ酸錫(II)、ジ酢酸錫(II)、ジオクタン酸錫(II)、ジラウリル酸錫(II)、ジステアリン酸錫(II)、ジオレイン酸錫(II)等の炭素数2〜28のカルボン酸基を有するカルボン酸錫(II);ジオクチロキシ錫(II)、ジラウロキシ錫(II)、ジステアロキシ錫(II)、ジオレイロキシ錫(II)等の炭素数2〜28のアルコキシ基を有するジアルコキシ錫(II);酸化錫(II);硫酸錫(II)などが挙げられる。
前記Sn−X(ただし、Xはハロゲン原子を示す)結合を有する化合物としては、例えば塩化錫(II)、臭化錫(II)等のハロゲン化錫(II)などが挙げられ、これらの中でも、帯電立ち上がり効果及び触媒能の点から、(RCOO)Sn(ただし、Rは炭素数5〜19のアルキル基又はアルケニル基を示す)で表される脂肪酸錫(II)、(RO)Sn(ただし、Rは炭素数6〜20のアルキル基又はアルケニル基を示す)で表されるジアルコキシ錫(II)、SnOで表される酸化錫(II)が好ましく、(RCOO)Snで表される脂肪酸錫(II)、酸化錫(II)がより好ましく、ジオクタン酸錫(II)、ジステアリン酸錫(II)、酸化錫(II)が更に好ましい。
前記Sn−C結合を有していない錫(II)化合物の存在量は、前記アルコール成分及び前記カルボン酸成分の総量100質量部に対して、0.01質量部〜1.0質量部が好ましく、0.1質量部〜0.7質量部がより好ましい。
前記チタン化合物と前記Sn−C結合を有していない錫(II)化合物とを併用する場合、チタン化合物と錫(II)化合物の総存在量は、前記アルコール成分及び前記カルボン酸成分の総量100質量部に対して、0.01質量部〜1.0質量部が好ましく、0.1質量部〜0.7質量部がより好ましい。
前記アルコール成分と前記カルボン酸成分との縮重合は、例えば、前記エステル化触媒の存在下、不活性ガス雰囲気中にて、180℃〜250℃の温度で行うことができる。
前記ポリエステル樹脂の軟化点は、定着性、保存性、及び耐久性の観点から、90℃〜160℃が好ましく、95℃〜155℃がより好ましく、100℃〜150℃が更に好ましい。前記ガラス転移温度は、定着性、保存性及び耐久性の観点から、45℃〜75℃が好ましく、50℃〜70℃がより好ましい。帯電性と環境安定性の観点から、酸価は、1〜80mgKOH/gが好ましく、5〜60mgKOH/gがより好ましく、5〜50mgKOH/gが更に好ましい。水酸基価は、1〜80mgKOH/gが好ましく、8〜50mgKOH/gがより好ましく、8〜40mgKOH/gが更に好ましい。
前記ポリエステル樹脂において、低温定着性、耐オフセット性及び保存性の観点から、残存モノマー成分やオリゴマー成分等に起因する分子量が500以下の低分子量成分の含有量が、ポリエステル樹脂中、12%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましく、9%以下であることが更に好ましく、8%以下であることが更に好ましい。低分子量成分の含有量は、ロジンの(メタ)アクリル変性度を高める等の方法により、低減することができる。
なお、前記ポリエステル樹脂は、実質的にその特性を損なわない程度に変性されたポリエステル樹脂であってもよい。変性されたポリエステル樹脂とは、フェノール、ウレタン等によりグラフト化やブロック化したポリエステル樹脂をいう。
なお、本発明において、結着樹脂には、本発明の効果を損なわない範囲で、上述したポリエステル樹脂以外のポリエステル樹脂を含め、公知の結着樹脂、例えば、スチレン−アクリル樹脂等のビニル系樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリエステルユニットを含む2種以上の樹脂ユニットを有する複合樹脂(ハイブリッド樹脂という)等の他の樹脂が併用されていてもよいが、上述した本発明の樹脂以外の樹脂の含有量は、結着樹脂中、70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上が更に好ましい。
本発明におけるトナーの結着樹脂に併用して用いるその他の樹脂としては、上記の中でも特にハイブリッド樹脂を併用することが好ましい。
本発明においてハイブリッド樹脂を結着樹脂中に併用して用いることにより、トナーの機械的強度を良好に保つ働きがある。前記ハイブリッド樹脂としては、ポリエステルユニットとビニル系樹脂等の付加重合系樹脂ユニットを有する樹脂が好ましい。ポリエステルユニットの原料モノマーとしては、ポリエステルユニットを形成する多価アルコールと多価カルボン酸が挙げられる。
2価のアルコール成分としては、例えば、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−へキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、水素添加ビスフェノールA、又は、ビスフェノールAにエチレンオキシド、プロピレンオキシド等の環状エーテルが重合して得られるジオールなどが挙げられる。
3価以上の多価アルコールとしては、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、例えば、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタトリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン、などが挙げられる。
これらの中でも、水素添加ビスフェノールA、又は、ビスフェノールAにエチレンオキシド、プロピレンオキシド等の環状エーテルが重合して得られるジオールなど、ビスフェノールA骨格を有するアルコール成分は、樹脂に耐熱保存性や機械的強度を付与するので好適に用いることができる。
カルボン酸成分としては、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等のべンゼンジカルボン酸類又はその無水物、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸等のアルキルジカルボン酸類又はその無水物、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸、メサコン酸等の不飽和二塩基酸、マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、アルケニルコハク酸無水物等の不飽和二塩基酸無水物、などが挙げられる。また、3価以上の多価カルボン酸成分としては、トリメット酸、ピロメット酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシ−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、テトラ(メチレンカルボキシ)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、エンポール三量体酸、又はこれらの無水物、部分低級アルキルエステル、などが挙げられる。
これらの中でも、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸等の芳香族多価カルボン酸化合物が、樹脂の耐熱保存性、機械的強度の観点から好適に用いられる。
一方、ビニル系樹脂ユニットの原料モノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン化合物;エチレン、プロピレン等のエチレン性不飽和モノオレフィン類;ブタジエン等のジオレフィン類;塩化ビニル等のハロビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;(メタ)アクリル酸のアルキル(炭素数1〜18)エステル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル等のエチレン性モノカルボン酸のエステル;ビニルメチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニリデンクロリド等のビニリデンハロゲン化物;N−ビニルピロリドン等のN-ビニル化合物類等が挙げられ、これらの中では、スチレン、2−エチルヘキシルアクリレート、ブチルアクリレート及びアクリル酸の長鎖アルキル(炭素数12〜18)エステルが好ましく、帯電性の観点から、スチレンが、定着性及びガラス転移温度の調整の観点から、(メタ)アクリル酸のアルキルエステルが好ましい。
前記スチレンの含有量は、ビニル系樹脂の原料モノマー中、50〜90質量%が好ましく、75〜85質量%がより好ましい。スチレンの(メタ)アクリル酸のアルキルエステルに対するモノマー質量比(スチレン/(メタ)アクリル酸のアルキルエステル)は、50/50〜95/5が好ましく、70/30〜95/5がより好ましい。
なお、ビニル系樹脂ユニットの原料モノマーの付加重合には、重合開始剤、架橋剤等を必要に応じて使用してもよい。
本発明においては、ポリエステルユニットの原料モノマーの付加重合系樹脂ユニットの原料モノマーに対する重量比(ポリエステルユニットの原料モノマー/付加重合系樹脂ユニットの原料モノマー)は、連続相がポリエステルユニットであり、分散相が付加重合系樹脂ユニットであることが好ましいことから、50/50〜95/5が好ましく、60/40〜95/5がより好ましい。
前記ハイブリッド樹脂は、ポリエステルユニットの原料モノマーと付加重合系樹脂ユニットの原料モノマーに加えて、更にポリエステルユニットの原料モノマー及び付加重合系樹脂ユニットの原料モノマーのいずれとも反応し得る化合物(両反応性モノマー)を用いて得られる樹脂であることが好ましい。
前記両反応性モノマーとしては、分子内に、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基、第1級アミノ基及び第2級アミノ基からなる群より選ばれた少なくとも1種の官能基と、エチレン性不飽和結合とを有する化合物が好ましく、このような両反応性モノマーを用いることにより、分散相となる樹脂の分散性をより一層向上させることができる。両反応性モノマーの具体例としては、例えば、アクリル酸、フマル酸、メタクリル酸、シトラコン酸、マレイン酸、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸グリシジル、及びこれらのカルボン酸の無水物、アルキル(炭素数1〜2)エステル等の誘導体が挙げられ、これらのなかでは反応性の観点からアクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸及びこれらのカルボン酸の誘導体が好ましい。
前記両反応性モノマーのうち、官能基を2個以上有するモノマー(ポリカルボン酸等)及びその誘導体はポリエステルユニットの原料モノマーとして、官能基を1個有するモノマー(モノカルボン酸等)及びその誘導体は付加重合系樹脂ユニットの原料モノマーとして扱う。両反応性モノマーの使用量は、両反応性モノマーを除くポリエステルユニットの原料モノマー100モルに対して、1〜30モルが好ましく、より付加重合系樹脂ユニットの分散性を更に高める観点から、結着樹脂の製造過程において、付加重合反応後、高温で反応させる方法においては、1.5〜20モルがより好ましく、2〜10モルが更に好ましく、付加重合反応後、反応温度を一定に保ちつつ両反応性モノマーを多めに使用する方法においては、4〜15モルがより好ましく、4〜10モルが更に好ましい。
前記ハイブリッド樹脂は、ポリエステルユニットと付加重合系樹脂ユニットの均一性の観点から、ポリエステルユニットの原料モノマーと付加重合系樹脂ユニットの原料モノマーとを予め混合し、縮重合反応と付加重合反応を同一反応容器中で並行して行うことにより得られる樹脂であることが好ましく、複合樹脂が更に両反応性モノマーを用いて得られるハイブリッド樹脂である場合には、縮重合系樹脂ユニットの原料モノマー及び付加重合系樹脂ユニットの原料のモノマーの混合物と両反応性モノマーを予め混合し、縮重合反応と付加重合反応を同一反応容器中で並行して行うことにより得られる樹脂であることが好ましい。
本発明において、縮重合反応と付加重合反応の進行及び完結は、時間的に同時である必要はなく、それぞれの反応機構に応じて反応温度及び時間を適当に選択し、反応を進行、完結させればよい。例えば、ポリエステルユニットの原料モノマー、付加重合系樹脂ユニットの原料モノマー、両反応性モノマー等を混合し、まず、主として付加重合反応に適した温度条件、例えば50〜180℃で付加重合反応により縮重合反応が可能な官能基を有する付加重合系樹脂を形成させた後、次いで反応温度を縮重合反応に適した温度条件、例えば190〜270℃に上昇させた後、主として縮重合反応により縮重合系樹脂を形成させる方法が挙げられる。
また、低温定着性、耐ホットオフセット性、耐熱保存性を両立すると同時に、トナーに最適な機械的強度を与えるためのより好ましい条件としては、前記ポリエステル樹脂と前記ハイブリッド樹脂の質量比(ハイブリッド樹脂の質量/ポリエステル樹脂の質量)は、3/97〜20/80が好ましく、5/95〜15/85がより好ましく、5/95〜10/90が更に好ましい。
前記ハイブリッド樹脂の軟化点(Tm)としては、90〜130℃であることが好ましく、100〜120℃がより好ましい。前記軟化点が、90℃より低い場合は、耐熱保存性、耐オフセット性が悪化し、130℃より高い場合は、低温定着性を悪化させる。また、前記ハイブリッド樹脂のガラス転移温度は、定着性、保存性及び耐久性の観点から、45〜80℃が好ましく、50〜70℃がより好ましく、53℃〜65℃が更に好ましい。前記ハイブリッド樹脂の酸価は、帯電性と環境安定性の観点から、5〜80mgKOH/gが好ましく、15〜40mgKOH/gがより好ましい。
−着色剤−
前記着色剤としては、特に制限はなく、公知の染料及び顔料の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミュウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミュウムレッド、カドミュウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ピグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記着色剤の色としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、黒色用のもの、カラー用のもの、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記黒色用のものとしては、例えばファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、銅、鉄(C.I.ピグメントブラック11)、酸化チタン等の金属類、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料、などが挙げられる。
マゼンタ用着色顔料としては、例えばC.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、39、40、41、48、48:1、49、50、51、52、53、53:1、54、55、57、57:1、58、60、63、64、68、81、83、87、88、89、90、112、114、122、123、163、177、179、202、206、207、209、211;C.I.ピグメントバイオレット19;C.I.バットレッド1、2、10、13、15、23、29、35などが挙げられる。
シアン用着色顔料としては、例えばC.I.ピグメントブルー2、3、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、17、60;C.I.バットブルー6;C.I.アシッドブルー45又フタロシアニン骨格にフタルイミドメチル基を1〜5個置換した銅フタロシアニン顔料、グリーン7、グリーン36などが挙げられる。
イエロー用着色顔料としては、例えばC.I.ピグメントイエロー0−16、1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、15、16、17、23、55、65、73、74、83、97、110、151、154、180;C.I.バットイエロー1、3、20、オレンジ36などが挙げられる。
前記着色剤の前記トナーにおける含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1質量%〜15質量%が好ましく、3質量%〜10質量%がより好ましい。前記含有量が、1質量%未満であると、トナーの着色力の低下が見られ、15質量%を超えると、トナー中での顔料の分散不良が起こり、着色力の低下、及びトナーの電気特性の低下を招くことがある。
前記着色剤は、樹脂と複合化されたマスターバッチとして使用してもよい。該樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、スチレン又はその置換体の重合体、スチレン系共重合体、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族炭化水素樹脂、脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記スチレン又はその置換体の重合体としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリスチレン、ポリp−クロロスチレン、ポリビニルトルエン、等が挙げられる。前記スチレン系共重合体としては、例えば、スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体などが挙げられる。
前記マスターバッチは、前記マスターバッチ用樹脂と、前記着色剤とを高せん断力をかけて混合又は混練させて製造することができる。この際、着色剤と樹脂の相互作用を高めるために、有機溶剤を添加することが好ましい。また、いわゆるフラッシング法も着色剤のウエットケーキをそのまま用いることができ、乾燥する必要がない点で好適である。このフラッシング法は、着色剤の水を含んだ水性ペーストを樹脂と有機溶剤とともに混合又は混練し、着色剤を樹脂側に移行させて水分及び有機溶剤成分を除去する方法である。前記混合又は混練には、例えば三本ロールミル等の高せん断分散装置が好適に用いられる。
前記マスターバッチ用の樹脂は、酸価が30mgKOH/g以下、アミン価が1〜100で、着色剤を分散させて使用することが好ましく、酸価が20mgKOH/g以下、アミン価が10〜50で、着色剤を分散させて使用することがより好ましい。酸価が30mgKOH/gを超えると、高湿下での帯電性が低下し、顔料分散性も不十分となることがある。また、アミン価が1未満であるとき、及び、アミン価が100を超えるときにも、顔料分散性が不十分となることがある。なお、酸価はJIS K0070に記載の方法により測定することができ、アミン価はJIS K7237に記載の方法により測定することができる。
また、分散剤は、顔料分散性の点で、結着樹脂との相溶性が高いことが好ましく、具体的な市販品としては、「アジスパーPB821」、「アジスパーPB822」(いずれも、味の素ファインテクノ株式会社製);「Disperbyk−2001」(ビックケミー社製)、「EFKA−4010」(EFKA社製)、などが挙げられる。
前記分散剤は、トナー中に、着色剤に対して0.1質量%〜10質量%の割合で配合することが好ましい。配合割合が0.1質量%未満であると、顔料分散性が不十分となることがあり、10質量%より多いと、高湿下での帯電性が低下することがある。
前記分散剤の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにおけるスチレン換算質量での、メインピークの極大値の分子量で、500〜100,000が好ましく、顔料分散性の観点から、3,000〜100,000がより好ましい。特に、5,000〜50,000が好ましく、5,000〜30,000が最も好ましい。分子量が500未満であると、極性が高くなり、着色剤の分散性が低下することがあり、分子量が100,000を超えると、溶剤との親和性が高くなり、着色剤の分散性が低下することがある。
前記分散剤の添加量は、前記着色剤100質量部に対して1〜50質量部であることが好ましく、5〜30質量部であることがより好ましい。前記添加量が、1質量部未満であると分散能が低くなることがあり、50質量部を超えると帯電性が低下することがある。
−離型剤−
前記離型剤としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、カルボニル基含有ワックス、ポリオレフィンワックス、長鎖炭化水素等のワックス類が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記カルボニル基含有ワックスとしては、例えば、ポリアルカン酸エステル、ポリアルカノールエステル、ポリアルカン酸アミド、ポリアルキルアミド、ジアルキルケトン、等が挙げられる。前記ポリアルカン酸エステルとしては、例えば、カルナウバワックス、モンタンワックス、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18-オクタデカンジオールジステアレート等が挙げられる。前記ポリアルカノールエステルとしては、例えば、トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエート等が挙げられる。前記ポリアルカン酸アミドとしては、例えば、ジベヘニルアミド等が挙げられる。前記ポリアルキルアミドとしては、例えば、トリメリット酸トリステアリルアミド等が挙げられる。前記ジアルキルケトンとしては、例えば、ジステアリルケトン等が挙げられる。これらカルボニル基含有ワックスの中でも、ポリアルカン酸エステルが特に好ましい。前記ポリオレフィンワッックスとしては、例えば、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等が挙げられる。前記長鎖炭化水素としては、例えば、パラフィンワッックス、サゾールワックス等が挙げられる。
これらの中でも、本発明における結着樹脂との分散性が最も良好であり、本発明の効果が特に得られるものとして、カルナウバワックス及びパラフィンワックス、サゾ−ルワックスが好ましい。
前記離型剤の融点としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、40℃〜160℃が好ましく、50℃〜120℃がより好ましく、60℃〜90℃が更に好ましい。前記融点が、40℃未満であると、ワックスが耐熱保存性に悪影響を与えることがあり、160℃を超えると、低温での定着時にコールドオフセットを起こし易い。
前記離型剤の溶融粘度としては、該ワックスの融点より20℃高い温度での測定値として、5〜1000cpsが好ましく、10〜100cpsがより好ましい。前記溶融粘度が、5cps未満であると、離型性が低下することがあり、1000cpsを超えると、耐ホットオフセット性、低温定着性への向上効果が得られなくなることがある。
前記離型剤の前記トナーにおける含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、40質量%以下が好ましく、3質量%〜30質量%がより好ましい。前記含有量が、40質量%を超えると、トナーの流動性が悪化することがある。
−帯電制御剤−
前記帯電制御剤としては、特に制限はなく、公知のもの中から目的に応じて適宜選択することができるが、有色材料を用いると色調が変化することがあるため、無色乃至白色に近い材料が好ましく、例えば、トリフェニルメタン系染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体又はその化合物、タングステンの単体又はその化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸の金属塩、サリチル酸誘導体の金属塩、等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記帯電制御剤は、市販品を使用してもよく、該市販品としては、例えば、第四級アンモニウム塩のボントロンP−51、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(いずれもオリエント化学工業社製)、第四級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(いずれも保土谷化学工業株式会社製)、第四級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、第四級アンモニウム塩のコピーチャージ NEG VP2036、コピーチャージ NX VP434(いずれもヘキスト社製);LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット株式会社製);キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、四級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物などが挙げられる。
前記帯電制御剤は、前記マスターバッチと共に溶融混練させた後、溶解乃至分散させてもよく、あるいは前記トナーの各成分と共に前記有機溶剤に直接、溶解乃至分散させる際に添加してもよく、あるいはトナー粒子製造後にトナー表面に固定させてもよい。
前記帯電制御剤の前記トナーにおける含有量としては、前記結着樹脂の種類、添加剤の有無、分散方法等により異なり、一概に規定することができないが、例えば、前記結着樹脂100質量部に対し、0.1〜10質量部が好ましく、0.2〜5質量部がより好ましい。前記含有量が、0.1質量部未満であると、帯電制御性が得られないことがあり、10質量部を超えると、トナーの帯電性が大きくなりすぎ、主帯電制御剤の効果を減退させて、現像ローラとの静電的吸引力が増大し、現像剤の流動性低下や画像濃度の低下を招くことがある。
−溶媒−
前記溶媒としては、前記樹脂及び前記有機低分子化合物が溶解可能な有機溶剤であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば水;メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、メチルイソカルビノール等のアルコール類;アセトン、2−ブタノン、エチルアミルケトン、ジアセトンアルコール、イソホロン、シクロヘキサノン等のケトン類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、3,4−ジヒドロ−2H−ピラン等のエーテル類;2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、エチレングリコールジメチルエーテル等のグリコールエーテル類;2−メトキシエチルアセテート、2−エトキシエチルアセテート、2−ブトキシエチルアセテート等のグリコールエーテルアセテート類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、乳酸エチル、エチレンカーボネート等のエステル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ヘキサン、ヘプタン、iso−オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類;塩化メチレン、1,2−ジクロルエタン、ジクロロプロパン、クロルベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;N−メチル−2−ピロリドン、N−オクチル−2−ピロリドン等のピロリドン類などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記外添剤としては、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、シリカ微粒子、疎水性シリカ、脂肪酸金属塩(例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウムなど);金属酸化物(例えばチタニア、アルミナ、酸化錫、酸化アンチモンなど)、フルオロポリマーなどが挙げられる。これらの中でも、疎水化されたシリカ微粒子、疎水化されたチタニア微粒子、疎水化された酸化チタン微粒子、疎水化されたアルミナ微粒子が好適に挙げられる。
前記シリカ微粒子としては、例えばHDK H 2000、HDK H 2000/4、HDK H 2050EP、HVK21、HDK H1303(いずれもヘキスト社製);R972、R974、RX200、RY200、R202、R805、R812(いずれも日本アエロジル株式会社製)がある。また、前記チタニア微粒子としては、P−25(日本アエロジル株式会社製)、STT−30、STT−65C−S(いずれもチタン工業株式会社製)、TAF−140(富士チタン工業株式会社製)、MT−150W、MT−500B、MT−600B、MT−150A(いずれもテイカ株式会社製)などが挙げられる。これらの中でも、疎水化処理された酸化チタン微粒子としては、T−805(日本アエロジル株式会社製);STT−30A、STT−65S−S(いずれもチタン工業株式会社製);TAF−500T、TAF−1500T(いずれも富士チタン工業株式会社製);MT−100S、MT−100T(いずれもテイカ株式会社製)、IT−S(石原産業株式会社製)などが挙げられる。
前記疎水化処理された酸化物微粒子、疎水化されたシリカ微粒子、疎水化されたチタニア微粒子、疎水化されたアルミナ微粒子を得るためには、親水性の微粒子をメチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤で処理して得ることができる。また、シリコーンオイルを必要ならば熱を加えて無機微粒子に処理した、シリコーンオイル処理酸化物微粒子、無機微粒子も好適である。
前記シリコーンオイルとしては、例えばジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、クロルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、アルコール変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、エポキシ・ポリエーテル変性シリコーンオイル、フェノール変性シリコーンオイル、カルボキシル変性シリコーンオイル、メルカプト変性シリコーンオイル、アクリル又はメタクリル変性シリコーンオイル、α−メチルスチレン変性シリコーンオイル等が使用できる。
前記無機微粒子としては、例えばシリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化鉄、酸化銅、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ペンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸パリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などを挙げることができる。これらの中でも、シリカ、二酸化チタンが特に好ましい。
前記外添剤の添加量は、前記トナーに対し0.1〜5質量%が好ましく、0.3〜3質量%がより好ましい。前記無機微粒子の一次粒子の平均粒径は、100nm以下が好ましく、3nm〜70nmがより好ましい。この範囲より小さいと、無機微粒子がトナー中に埋没し、その機能が有効に発揮されにくい。この範囲より大きいと、静電潜像担持体表面を不均一に傷つけ好ましくない。前記外添剤としては、無機微粒子や疎水化処理無機微粒子を併用することができるが、疎水化処理された一次粒子の平均粒径は1〜100nmが好ましく、特に5〜70nmの無機微粒子を少なくとも2種含むことがより好ましい。更に疎水化処理された一次粒子の平均粒径が20nm以下の無機微粒子を少なくとも2種類含みかつ、30nm以上の無機微粒子を少なくとも1種類含むことがより好ましい。また、BET法による比表面積は、20〜500m/gであることが好ましい。
前記酸化物微粒子を含む外添剤の表面処理剤としては、例えばジアルキルジハロゲン化シラン、トリアルキルハロゲン化シラン、アルキルトリハロゲン化シラン、ヘキサアルキルジシラザンなどのシランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンオイル、シリコーンワニスなどが挙げられる。
前記外添剤として樹脂微粒子も添加することができる。例えばソープフリー乳化重合や懸濁重合、分散重合によって得られるポリスチレン;メタクリル酸エステル、アクリル酸エステルの共重合体;シリコーン、ベンゾグアナミン、ナイロン等の重縮合系;熱硬化性樹脂による重合体粒子が挙げられる。このような樹脂微粒子と併用することによってトナーの帯電性が強化でき、逆帯電のトナーを減少させ、地肌汚れを低減することができる。前記樹脂微粒子の添加量は、前記トナーに対し0.01〜5質量%が好ましく、0.1〜2質量%がより好ましい。
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、流動性向上剤、クリーニング性向上剤、磁性材料、金属石鹸、等が挙げられる。
前記流動性向上剤は、表面処理を行って、疎水性を上げ、高湿度下においても流動特性や帯電特性の悪化を防止可能なものを意味し、例えば、シランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンオイル、変性シリコーンオイル、などが挙げられる。
前記クリーニング性向上剤は、静電潜像担持体や中間転写体に残存する転写後の現像剤を除去するために前記トナーに添加され、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸等の脂肪酸金属塩、ポリメチルメタクリレート微粒子、ポリスチレン微粒子等のソープフリー乳化重合により製造されたポリマー微粒子、などが挙げられる。該ポリマー微粒子は、比較的粒度分布が狭いものが好ましく、重量平均粒径が0.01〜1μmのものが好適である。
前記磁性材料としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、鉄粉、マグネタイト、フェライト、などが挙げられる。これらの中でも、色調の点で白色のものが好ましい。
(現像剤)
本発明のトナーは、現像剤として用いられ、該現像剤は、キャリア等の適宜選択したその他の成分を含有していてもよい。該現像剤としては、一成分現像剤であってもよいし、二成分現像剤であってもよいが、近年の情報処理速度の向上に対応した高速プリンタ等に使用する場合には、寿命向上等の点で前記二成分現像剤が好ましい。
前記トナーを用いた前記一成分現像剤の場合、トナーの収支が行われても、トナーの粒子径の変動が少なく、現像ローラへのトナーのフィルミングや、トナーを薄層化するためのブレード等の層厚規制部材へのトナーの融着がなく、現像手段の長期の使用(撹拌)においても、良好で安定した現像性及び画像が得られる。また、前記トナーを用いた前記二成分現像剤の場合、長期にわたるトナーの収支が行われても、現像剤中のトナー粒子径の変動が少なく、現像手段における長期の撹拌においても、良好で安定した現像性が得られる。
前記キャリアとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、芯材と、該芯材を被覆する樹脂層とを有するものが好ましい。
前記芯材の材料としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、50〜90emu/gのマンガン−ストロンチウム(Mn−Sr)系材料、マンガン−マグネシウム(Mn−Mg)系材料などが好ましく、画像濃度の確保の点では、鉄粉(100emu/g以上)、マグネタイト(75〜120emu/g)等の高磁化材料が好ましい。また、トナーが穂立ち状態となっている静電潜像担持体への当りを弱くでき高画質化に有利である点で、銅−ジンク(Cu−Zn)系(30〜80emu/g)等の弱磁化材料が好ましい。これらは、1種単独で使用してもよい、2種以上を併用してもよい。
前記芯材の粒径としては、平均粒径(重量平均粒径(D50))で、10μm〜200μmが好ましく、20μm〜100μmがより好ましい。前記平均粒径(重量平均粒径(D50))が、10μm未満であると、キャリア粒子の分布において、微粉系が多くなり、1粒子当たりの磁化が低くなってキャリア飛散を生じることがあり、200μmを超えると、比表面積が低下し、トナーの飛散が生じることがあり、ベタ部分の多いフルカラーでは、特にベタ部の再現が悪くなることがある。
前記樹脂層の材料としては、特に制限はなく、公知の樹脂の中から目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、アミノ系樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ハロゲン化オレフィン樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリフッ化ビニル樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリトリフルオロエチレン樹脂、ポリヘキサフルオロプロピレン樹脂、フッ化ビニリデンとアクリル単量体との共重合体、フッ化ビニリデンとフッ化ビニルとの共重合体、テトラフルオロエチレンとフッ化ビニリデンと非フッ化単量体とのターポリマー等のフルオロターポリマー(フッ化三重(多重)共重合体)、シリコーン樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、シリコーン樹脂が特に好ましい。
前記シリコーン樹脂としては、特に制限はなく、一般的に知られているシリコーン樹脂の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、オルガノシロサン結合のみからなるストレートシリコーン樹脂;アルキド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂等で変性したシリコーン樹脂、などが挙げられる。
前記シリコーン樹脂としては、市販品を用いることができ、ストレートシリコーン樹脂としては、例えば、信越化学工業株式会社製のKR271、KR255、KR152;東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製のSR2400、SR2406、SR2410などが挙げられる。
前記変性シリコーン樹脂としては、市販品を用いることができ、例えば、信越化学工業株式会社製のKR206(アルキド変性)、KR5208(アクリル変性)、ES1001N(エポキシ変性)、KR305(ウレタン変性);東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製のSR2115(エポキシ変性)、SR2110(アルキド変性)、などが挙げられる。
なお、シリコーン樹脂を単体で用いることも可能であるが、架橋反応する成分、帯電量調整成分等を同時に用いることも可能である。
前記樹脂層には、必要に応じて導電粉等を含有させてもよく、該導電粉としては、例えば、金属粉、カーボンブラック、酸化チタン、酸化錫、酸化亜鉛、などが挙げられる。これらの導電粉の平均粒子径としては、1μm以下が好ましい。前記平均粒子径が1μmを超えると、電気抵抗の制御が困難になることがある。
前記樹脂層は、例えば、前記シリコーン樹脂等を溶剤に溶解させて塗布溶液を調製した後、該塗布溶液を前記芯材の表面に公知の塗布方法により均一に塗布し、乾燥した後、焼付を行うことにより形成することができる。前記塗布方法としては、例えば、浸漬法、スプレー法、ハケ塗り法、などが挙げられる。
前記溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、セルソルブ、ブチルアセテート、などが挙げられる。
前記焼付としては、特に制限はなく、外部加熱方式であってもよいし、内部加熱方式であってもよく、例えば、固定式電気炉、流動式電気炉、ロータリー式電気炉、バーナー炉等を用いる方法、マイクロウエーブを用いる方法、などが挙げられる。
前記樹脂層の前記キャリアにおける量としては、0.01〜5.0質量%が好ましい。前記量が、0.01質量%未満であると、前記芯材の表面に均一な前記樹脂層を形成することができないことがあり、5.0質量%を超えると、前記樹脂層が厚くなり過ぎてキャリア同士の造粒が発生し、均一なキャリア粒子が得られないことがある。
前記二成分系現像剤のトナーとキャリアの混合割合は、一般にキャリア100質量部に対しトナー1〜10.0質量部が好ましい。
<トナー入り容器>
本発明で用いられるトナー入り容器は、本発明の前記トナー乃至前記現像剤を容器中に収容してなる。
前記容器としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、トナー入り容器本体とキャップとを有してなるもの、などが好適に挙げられる。
前記トナー入り容器本体としては、その大きさ、形状、構造、材質などについては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記形状としては、円筒状などが好ましく、内周面にスパイラル状の凹凸が形成され、回転させることにより内容物であるトナーが排出口側に移行可能であり、かつ該スパイラル部の一部又は全部が蛇腹機能を有しているもの、などが特に好ましい。
前記トナー入り容器本体の材質としては、特に制限はなく、寸法精度がよいものが好ましく、例えば、樹脂が好適に挙げられ、その中でも、例えば、ポリエステル樹脂,ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアクリル酸、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、ポリアセタール樹脂、などが好適に挙げられる。
前記トナー入り容器は、保存、搬送等が容易であり、取扱性に優れ、後述するプロセスカートリッジ、画像形成装置等に、着脱可能に取り付けてトナーの補給に好適に使用することができる。
<プロセスカートリッジ>
本発明で用いられるプロセスカートリッジは、静電潜像を担持する静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に担持された静電潜像を、現像剤を用いて現像し可視像を形成する現像手段とを、少なくとも有してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の手段を有してなる。
前記現像手段としては、本発明の前記トナー乃至前記現像剤を収容する現像剤収容器と、該現像剤収容器内に収容されたトナー乃至現像剤を担持しかつ搬送する現像剤担持体とを、少なくとも有してなり、更に、担持させるトナー層厚を規制するための層厚規制部材等を有していてもよい。
前記プロセスカートリッジは、各種電子写真方式の画像形成装置に着脱可能に備えさせることができ、後述する本発明の画像形成装置に着脱可能に備えさせるのが好ましい。
<画像形成方法及び画像形成装置>
本発明で用いられる画像形成方法は、静電潜像形成工程と、現像工程と、転写工程と、定着工程とを少なくとも含み、更に必要に応じて適宜選択したその他の工程、例えば、除電工程、クリーニング工程、リサイクル工程、制御工程等を含む。
本発明で用いられる画像形成装置は、静電潜像担持体と、静電潜像形成手段と、現像手段と、転写手段と、定着手段とを少なくとも有してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の手段、例えば、除電手段、クリーニング手段、リサイクル手段、制御手段等を有してなる。
前記静電潜像形成工程は、静電潜像担持体上に静電潜像を形成する工程である。
前記静電潜像担持体(以下、「電子写真感光体」、「感光体」、「像担持体」と称することがある)としては、その材質、形状、構造、大きさ、等について特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができるが、その形状としてはドラム状が好適に挙げられ、その材質としては、例えばアモルファスシリコン、セレン等の無機感光体、ポリシラン、フタロポリメチン等の有機感光体、などが挙げられる。これらの中でも、長寿命性の点でアモルファスシリコン等が好ましい。
前記静電潜像の形成は、例えば、前記静電潜像担持体の表面を一様に帯電させた後、像様に露光することにより行うことができ、前記静電潜像形成手段により行うことができる。前記静電潜像形成手段は、例えば、前記静電潜像担持体の表面を一様に帯電させる帯電器と、前記静電潜像担持体の表面を像様に露光する露光器とを少なくとも備える。
前記帯電は、例えば、前記帯電器を用いて前記静電潜像担持体の表面に電圧を印加することにより行うことができる。
前記帯電器としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、導電性又は半導電性のロール、ブラシ、フィルム、ゴムブレード等を備えたそれ自体公知の接触帯電器、コロトロン、スコロトロン等のコロナ放電を利用した非接触帯電器、などが挙げられる。
前記露光は、例えば、前記露光器を用いて前記静電潜像担持体の表面を像様に露光することにより行うことができる。
前記露光器としては、前記帯電器により帯電された前記静電潜像担持体の表面に、形成すべき像様に露光を行うことができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、複写光学系、ロッドレンズアレイ系、レーザー光学系、液晶シャッタ光学系、などの各種露光器が挙げられる。
なお、本発明においては、前記静電潜像担持体の裏面側から像様に露光を行う光背面方式を採用してもよい。
−現像工程及び現像手段−
前記現像工程は、前記静電潜像を、本発明の前記トナー乃至前記現像剤を用いて現像して可視像を形成する工程である。
前記可視像の形成は、例えば、前記静電潜像を本発明の前記トナー乃至前記現像剤を用いて現像することにより行うことができ、前記現像手段により行うことができる。
前記現像手段は、例えば、本発明の前記トナー乃至前記現像剤を用いて現像することができる限り、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、本発明の前記トナー乃至現像剤を収容し、前記静電潜像に該トナー乃至該現像剤を接触又は非接触的に付与可能な現像器を少なくとも有するものが好適に挙げられ、前記トナー入り容器を備えた現像器などがより好ましい。
前記現像器は、乾式現像方式のものであってもよいし、湿式現像方式のものであってもよく、また、単色用現像器であってもよいし、多色用現像器であってもよく、例えば、前記トナー乃至前記現像剤を摩擦攪拌させて帯電させる攪拌器と、回転可能なマグネットローラとを有してなるもの、などが好適に挙げられる。
前記現像器内では、例えば、前記トナーと前記キャリアとが混合攪拌され、その際の摩擦により該トナーが帯電し、回転するマグネットローラの表面に穂立ち状態で保持され、磁気ブラシが形成される。該マグネットローラは、前記静電潜像担持体(感光体)近傍に配置されているため、該マグネットローラの表面に形成された前記磁気ブラシを構成する前記トナーの一部は、電気的な吸引力によって該静電潜像担持体(感光体)の表面に移動する。その結果、前記静電潜像が該トナーにより現像されて該静電潜像担持体(感光体)の表面に該トナーによる可視像が形成される。
前記現像器に収容させる現像剤は、本発明の前記トナーを含む現像剤であるが、該現像剤としては一成分現像剤であってもよいし、二成分現像剤であってもよい。該現像剤に含まれるトナーは、本発明の前記トナーである。
−転写工程及び転写手段−
前記転写工程は、前記可視像を記録媒体に転写する工程であるが、中間転写体を用い、該中間転写体上に可視像を一次転写した後、該可視像を前記記録媒体上に二次転写する態様が好ましく、前記トナーとして二色以上、好ましくはフルカラートナーを用い、可視像を中間転写体上に転写して複合転写像を形成する第一次転写工程と、該複合転写像を記録媒体上に転写する第二次転写工程とを含む態様がより好ましい。
前記転写は、例えば、前記可視像を転写帯電器を用いて前記静電潜像担持体(感光体)を帯電することにより行うことができ、前記転写手段により行うことができる。前記転写手段としては、可視像を中間転写体上に転写して複合転写像を形成する第一次転写手段と、該複合転写像を記録媒体上に転写する第二次転写手段とを有する態様が好ましい。
なお、前記中間転写体としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の転写体の中から適宜選択することができ、例えば、転写ベルト等が好適に挙げられる。
前記転写手段(前記第一次転写手段、前記第二次転写手段)は、前記静電潜像担持体(感光体)上に形成された前記可視像を前記記録媒体側へ剥離帯電させる転写器を少なくとも有するのが好ましい。前記転写手段は、1つであってもよいし、2つ以上であってもよい。
前記転写器としては、コロナ放電によるコロナ転写器、転写ベルト、転写ローラ、圧力転写ローラ、粘着転写器、などが挙げられる。
なお、前記記録媒体としては、特に制限はなく、公知の記録媒体(記録紙)の中から適宜選択することができる。
前記定着工程は、記録媒体に転写された可視像を定着装置を用いて定着させる工程であり、各色のトナーに対し前記記録媒体に転写する毎に行ってもよいし、各色のトナーに対しこれを積層した状態で一度に同時に行ってもよい。
前記定着装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、公知の加熱加圧手段が好適である。前記加熱加圧手段としては、加熱ローラと加圧ローラとの組合せ、加熱ローラと加圧ローラと無端ベルトとの組合せ、などが挙げられる。
前記加熱加圧手段における加熱は、80℃〜200℃が好ましい。
なお、本発明においては、目的に応じて、前記定着工程及び定着手段と共にあるいはこれらに代えて、例えば、公知の光定着器を用いてもよい。
前記除電工程は、前記静電潜像担持体に対し除電バイアスを印加して除電を行う工程であり、除電手段により好適に行うことができる。
前記除電手段としては、特に制限はなく、前記静電潜像担持体に対し除電バイアスを印加することができればよく、公知の除電器の中から適宜選択することができ、例えば、除電ランプ等が好適に挙げられる。
前記クリーニング工程は、前記静電潜像担持体上に残留する前記トナーを除去する工程であり、クリーニング手段により好適に行うことができる。
前記クリーニング手段としては、特に制限はなく、前記静電潜像担持体上に残留する前記電子写真トナーを除去することができればよく、公知のクリーナの中から適宜選択することができ、例えば、磁気ブラシクリーナ、静電ブラシクリーナ、磁気ローラクリーナ、ブレードクリーナ、ブラシクリーナ、ウエブクリーナ等が好適に挙げられる。
前記リサイクル工程は、前記クリーニング工程により除去した前記トナーを前記現像手段にリサイクルさせる工程であり、リサイクル手段により好適に行うことができる。
前記リサイクル手段としては、特に制限はなく、公知の搬送手段等が挙げられる。
前記制御工程は、前記各工程を制御する工程であり、制御手段により好適に行うことができる。
前記制御手段としては、前記各手段の動きを制御することができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シークエンサー、コンピュータ等の機器が挙げられる。
前記画像形成装置により本発明の画像形成方法を実施する一の態様について、図18を参照しながら説明する。
図18に示す画像形成装置は、非接触帯電方式、二成分現像方式、二次転写方式、ブレードクリーニング方式、及び外部加熱のローラ定着方式を採用した間接転写方式のタンデム型画像形成装置である。
図18に示す画像形成装置において、帯電手段311として非接触のコロナ帯電器を採用している。現像手段324として二成分現像装置を採用している。クリーニング手段330としてクリーニングブレードを採用している。定着手段327として電磁誘導加熱方式のローラ式定着装置を採用している。
図18に示す画像形成装置における画像形成要素351は、感光体ドラム321の周辺に帯電手段311、露光手段323、現像手段324、一次転写手段325、クリーニング手段330が配設されている。画像形成要素351における感光体ドラム321は、回転しながら、帯電手段310による帯電、露光手段323による露光により、その表面に露光像に対応する静電潜像が形成される。この静電潜像は、現像手段324でイエロートナーにより現像され、感光体ドラム321上にイエロートナーによる可視像が形成される。この可視像が一次転写手段325によって中間転写ベルト355上に転写され、クリーニング手段330によって感光体ドラム321上に残ったイエロートナーが除去される。同様にして、各画像形成要素352、353、354によって、中間転写ベルト355上にマゼンタトナー、シアントナー、及びブラックトナーによる可視像が形成される。そして中間転写ベルト355上のカラー画像は、転写器356によって記録媒体326上に転写され、中間転写ベルトクリーニング手段358によって中間転写ベルト355上に残ったトナーが除去される。記録媒体326上に形成されたカラー画像は定着手段327によって定着される。
本発明で用いられる前記画像形成方法、画像形成装置、及びプロセスカートリッジは、本発明の前記トナーを用いているので、耐オフセット性、低温定着性、定着離型性、耐熱保存性、及び耐フィルミング性のいずれにも優れ、かつ臭気の発生がない本発明の前記トナーを用いているので、高解像度で、高精細及び高品質な画像を長期にわたって形成できる。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
下記合成例、製造例、実施例及び比較例において、「樹脂の軟化点」、「ロジンの軟化点」、「樹脂及びロジンの酸価」、「樹脂の水酸基価」、「樹脂のガラス転移温度(Tg)」、「ロジンのSP値」、及び「ロジンの(メタ)アクリル酸変性度」は、以下のようにして測定を行った。
<樹脂の軟化点>
フローテスター(島津製作所製、CFT−500D)を用い、試料として1gの各樹脂を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押出し、温度に対するフローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とした。
<樹脂のガラス転移温度(Tg)>
示差走査熱量計(セイコー電子工業株式会社製、DSC210)を用いて、試料として0.01〜0.02gの各樹脂をアルミニウムパンに計量し、200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分で0℃まで冷却した試料を昇温速度10℃/分で昇温し、吸熱の最高ピーク温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度をガラス転移温度とした。
<ロジンの軟化点>
(1)試料の調製
ロジン10gを、170℃にて2時間ホットプレートで溶融した。その後、開封状態で温度25℃、相対湿度50%の環境下で1時間自然冷却させ、コーヒーミル(National MK−61M)で10秒間粉砕し、試料を調製した。
(2)測定
フローテスター(島津製作所製、CFT−500D)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押出し、温度に対するフローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とした。
<樹脂及びロジンの酸価>
樹脂及びロジンの酸価は、JIS K0070の方法に基づき測定した。ただし、測定溶媒のみJIS K0070の規定のエタノールとエーテルの混合溶媒から、アセトンとトルエンの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))に変更した。
<樹脂の水酸基価>
樹脂の水酸基価は、JIS K0070の方法に基づき測定した。
<ロジンのSP値>
溶融した状態の各試料2.1gを所定のリングに流し込んだ後、室温まで冷却後、JIS B7410に基づき、下記の条件で測定を行った。
・測定機:環球式自動軟化点試験器(ASP−MGK2、株式会社メイテック製)
・昇温速度:5℃/min
・昇温開始温度:40℃
・測定溶剤:グリセリン
<ロジンの(メタ)アクリル酸変性度>
前記ロジンの(メタ)アクリル酸変性度は、下記数式(1)により算出した。
ただし、前記数式(1)中、Xは変性度を算出する(メタ)アクリル酸変性ロジンのSP値を表す。Xは(メタ)アクリル酸1モルとロジン1モルとを反応させて得られる(メタ)アクリル酸変性ロジンの飽和SP値を表す。YはロジンのSP値を表す。
飽和SP値とは、(メタ)アクリル酸とロジンの反応を、得られる(メタ)アクリル酸変性ロジンのSP値が飽和値に達するまで反応させたときのSP値を意味する。なお、ロジン1モルの分子量は、酸価をx(mgKOH/g)とすると、ロジン1gに対して水酸化カリウム(分子量:56.1)がxmg(x×10−3g)反応していることになるから、次式、分子量=(56100÷x)で算出することができる。
(合成例1)
−ロジンの精製−
分留管、還流冷却器、及び受器を装備した2,000mL容の蒸留フラスコ内に1,000gのトールロジンを加え、1kPaの減圧下で蒸留を行い、195℃〜250℃での留出分を主留分として採取した。以下、精製に供したトールロジンを未精製ロジン、主留分として採取したロジンを精製ロジンとする。
各ロジン20gをコーヒーミル(National MK−61M)で5秒間粉砕し、目開き1mmの篩いを通したものをヘッドスペース用バイアル(20mL)に0.5g測りとった。ヘッドスペースガスをサンプリングして、未精製ロジン及び精製ロジン中の不純物を、以下のようにして、ヘッドスペースGC−MS法により分析した。結果を表1に示す。
<ヘッドスペースGC−MS法の測定条件>
A.ヘッドスペースサンプラー(Agilent社製、HP7694)
・サンプル温度:200℃
・ループ温度:200℃
・トランスファーライン温度:200℃
・サンプル加熱平衡時間:30min
・バイヤル加圧ガス:ヘリウム(He)
・バイヤル加圧時間:0.3min
・ループ充填時間:0.03min
・ループ平衡時間:0.3min
・注入時間:1min
B.GC(ガスクロマトグラフィー)(Agilent社製、HP6890)
・分析カラム:DB−1(60m−320μm−5μm)
・キャリア:ヘリウム(He)
・流量条件:1mL/min
・注入口温度:210℃
・カラムヘッド圧:34.2kPa
・注入モード:split
・スプリット比:10:1
・オーブン温度条件:45℃(3min)−10℃/min−280℃(15min)
C.MS(質量分析法)(Agilent社製、HP5973)
・イオン化法:EI(電子衝撃)法
・インターフェイス温度:280℃
・イオン源温度:230℃
・四重極温度:150℃
・検出モード:Scan 29〜350m/s
<未精製ロジンを使用したアクリル酸変性ロジンの飽和SP値の測定>
分留管、還流冷却器、及び受器を装備した1,000mL容のフラスコ内に、未精製ロジン(SP値:77.0℃)332g(1モル)、及びアクリル酸72g(1モル)を加え、160℃から230℃に8時間かけて昇温し、230℃にてSP値が上がらなくなったことを確認した後に、5.3kPaの減圧下で未反応のアクリル酸及び低沸点物の留去を行い、アクリル酸変性ロジンを得た。得られたアクリル酸変性ロジンのSP値、即ち未精製ロジンを使用したアクリル酸変性ロジンの飽和SP値は110.1℃であった。
<精製ロジンを使用したアクリル酸変性ロジンの飽和SP値の測定>
分留管、還流冷却器、及び受器を装備した1,000mL容のフラスコ内に、精製ロジン(SP値:76.8℃)338g(1モル)、及びアクリル酸72g(1モル)を加え、160℃から230℃に8時間かけて昇温し、230℃にてSP値が上がらなくなったことを確認した後に、5.3kPaの減圧下で未反応のアクリル酸及び低沸点物の留去を行い、アクリル酸変性ロジンを得た。得られたアクリル酸変性ロジンのSP値、即ち精製ロジンを使用したアクリル酸変性ロジンの飽和SP値は110.4℃であった。
(合成例2)
−アクリル酸変性ロジンAの合成−
分留管、還流冷却器、及び受器を装備した10L容のフラスコ内に、精製ロジン(SP値:76.8℃)6,084g(18モル)、及びアクリル酸907.9g(12.6モル)を加え、160℃から220℃に8時間かけて昇温し、220℃にて2時間反応させた後、更に5.3kPaの減圧下で蒸留を行い、アクリル酸変性ロジンAを得た。得られたアクリル酸変性ロジンAのSP値は110.4℃、アクリル酸変性度は100であった。
(合成例3)
−アクリル酸変性ロジンBの合成−
分留管、還流冷却器、及び受器を装備した10L容のフラスコ内に、精製ロジン(SP値:76.8℃)6,084g(18モル)、及びアクリル酸648.5g(9.0モル)を加え、160℃から220℃に8時間かけて昇温し、220℃にて2時間反応させた後、更に5.3kPaの減圧下で蒸留を行い、アクリル酸変性ロジンBを得た。得られたアクリル酸変性ロジンBのSP値は99.1℃、アクリル酸変性度は66.4であった。
(合成例4)
−アクリル酸変性ロジンCの合成−
分留管、還流冷却器、及び受器を装備した10L容のフラスコ内に、精製ロジン(SP値:76.8℃)6,084g(18モル)、及びアクリル酸259.4g(3.6モル)を加え、160℃から220℃に8時間かけて昇温し、220℃にて2時間反応させた後、更に5.3kPaの減圧下で蒸留を行い、アクリル酸変性ロジンCを得た。得られたアクリル酸変性ロジンCのSP値は91.9℃、アクリル酸変性度は44.9であった。
(合成例5)
−アクリル酸変性ロジンDの合成−
分留管、還流冷却器、及び受器を装備した10L容のフラスコ内に、未精製ロジン(SP値:77.0℃)5,976g(18モル)、及びアクリル酸907.6g(12モル)を加え、160℃から220℃に8時間かけて昇温し、250℃にて2時間反応させた後、更に5.3kPaの減圧下で蒸留を行い、アクリル酸変性ロジンDを合成した。
得られたアクリル酸変性ロジンDのSP値は110.1℃、アクリル酸変性度は100であった。
(合成例6)
−樹脂L1〜L5、樹脂L7〜L8、及び樹脂H1〜H2の合成−
表2及び表3に示すアルコール成分、無水トリメリット酸以外のカルボン酸成分及びエステル化触媒を、室温の冷水を通水した還流冷却管を上部に装備した98℃の温水を通水した分溜管、窒素導入管、脱水管、攪拌器、及び熱電対を装備した5リットル容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、160℃で2時間縮重合反応させた後、6時間かけて210℃まで昇温し、その後66kPaにて1時間反応を行った。200℃まで冷却した後、無水トリメリット酸を投入し、1時間常圧(101.3kPa)で反応させた後に、210℃に昇温し、40kPaにて所望の軟化点に達するまで反応を行って樹脂L1〜L5、樹脂L7〜L8、及び樹脂H1〜H2を合成した。
(合成例7)
−樹脂L6の合成−
表2に示すグリセリンを除くアルコール成分、無水トリメリット酸を除くカルボン酸成分及びエステル化触媒を、室温の冷水を通水した還流冷却管を上部に装備した98℃の温水を通水した分溜管、窒素導入管、脱水管、攪拌器、及び熱電対を装備した5リットル容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、160℃で2時間縮重合反応させた後、6時間かけて210℃まで昇温し、その後66kPaにて1時間反応を行った。180℃まで冷却した後、グリセリンを投入して、200℃まで5℃/30分にて昇温した。更に、200℃にて、1時間常圧(101.3kPa)で反応させた後に、66kPaにて1時間反応を行った。その後、無水トリメリット酸を投入し、1時間常圧(101.3kPa)で反応させた後に、210℃に昇温し、40kPaにて所望の軟化点に達するまで反応を行って樹脂L6を合成した。
*1:BPA−PO;ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン
(合成例8)
−ハイブリッド樹脂(HB1)の合成−
縮重合系モノマーである、テレフタル酸748g、無水トリメリット酸144g、ビスフェノールA(2,2)プロピレンオキサイド1808g、ビスフェノールA(2,2)エチレンオキサイド712g、エステル化触媒としてジブチル錫オキシド17gを、窒素導入管、脱水管、攪拌器、滴下ロート及び熱電対を装備した5リットル容の四つ口フラスコ内に入れ、付加重合系モノマーである、スチレン937g、アクリル酸32g、2−エチルヘキシルアクリレート193g、重合開始剤としてt−ブチルハイドロパーオキサイド58gを滴下ロートに入れた。窒素雰囲気下、135℃で撹拌を行いながら、付加重合系モノマーの混合物を5時間かけて滴下し、135℃で6時間反応を行った。210℃まで3時間かけて昇温を行い、210℃、10kPaにて所望の軟化点まで反応を行って、ハイブリッド樹脂(HB1)を合成した。
得られたハイブリッド樹脂(HB1)の軟化点は115.0℃、ガラス転移温度は57.7℃、酸価は18.1mgKOH/gであった。
(製造例1)
−着色剤分散液1の作製−
下記の組成の顔料、顔料分散剤、及び酢酸エチルを、撹拌羽を有するミキサーを使用して一次分散を行った。得られた一次分散液を、ダイノーミルを用いて強力なせん断力により細かく分散し、凝集体を完全に除去した二次分散液を調製した。更に、0.45μmの細孔を有するフィルター(PTFE製)を通過させ、サブミクロン領域まで分散させた液を調製し、シアン着色剤分散液1(MB−C1)、マゼンタ着色剤分散液1(MB−M1)、イエロー着色剤分散液1(MB−Y1)、及びブラック着色剤分散液1(MB−K1)からなる着色剤分散液1(MB−1)を作製した。
〔シアン着色剤分散液1処方:(MB−C1)〕
・シアン顔料(C.I.Pigment blue 15:3)・・・20質量部
・顔料分散剤(アジスパーPB821、味の素ファインテクノ株式会社製)・・・2質量部
・酢酸エチル・・・78質量部
〔マゼンタ着色剤分散液1処方:(MB−M1)〕
・マゼンタ顔料(C.I.Pigment red 122)・・・100質量部
・顔料分散剤(アジスパーPB821、味の素ファインテクノ株式会社製)・・・2質量部
・酢酸エチル・・・78質量部
〔イエロー着色剤分散液1処方:(MB−Y1)〕
・イエロー顔料(C.I.Pigment yellow 180)・・・100質量部
・顔料分散剤(アジスパーPB821、味の素ファインテクノ株式会社製)・・・2質量部
・酢酸エチル・・・78質量部
〔ブラック着色剤分散液1処方:(MB−K1)〕
・ブラック顔料(カーボンブラック)・・・100質量部
・顔料分散剤(アジスパーPB821、味の素ファインテクノ株式会社製)・・・2質量部
・酢酸エチル・・・78質量部
(製造例2)
<トナー1の製造>
以下のようにして、シアントナー1、マゼンタトナー1、イエロートナー1、及びブラックトナー1からなるトナー1を製造した。
−シアントナー1の製造−
撹拌羽と温度計をセットした容器に、表4のトナー処方に示される原材料の内、着色剤分散液以外の原材料を表4に示される処方量で仕込み、更に酢酸エチル893質量部を仕込み、85℃に加温し20分間撹拌して結着樹脂及び離型剤を溶解させた。その後、この分散液をダイノーミルを用いて強力なせん断力により更に細かく分散した。
表4に示される着色剤分散液1の内シアン着色剤分散液1を50質量部、前記樹脂及びワックスの分散液1000質量部を攪拌羽を有するミキサーを使用し混合し、得られたトナー組成液に、更に酢酸エチルを加えて固形分が6.0質量%になるよう希釈し、トナー組成液を調製した。
なお、表4に記載されている離型剤のW1はパラフィンワックス(HNP−9、日本精蝋株式会社製、融点76.1℃)、W2は脱遊離脂肪酸カルナウバワックス(WA−03、東亞化成株式会社製、融点82.8℃)、W3は合成エステルワックス(日本油脂株式会社製、融点72.6℃)である。
次いで、得られたトナー組成液を、図1に示したトナー製造装置の円環状に設けた振動発生手段(リング型振動子)のヘッドに供給した。
なお、使用した薄膜としては、外径8.0mmで厚み20μmのニッケル板に、真円形状の直径(開口径)8μmの吐出孔(ノズル)を、電鋳法による加工で作製した。吐出孔は各吐出孔間の距離が100μmとなるように千鳥格子状に、薄膜の中心の直径5mmの範囲にのみ設けた。圧電体としては、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)を積層して使用し、振動周波数は100kHzとした。
トナー組成液(分散液)を、以下のようなトナー作製条件で、液滴化して吐出させた後、該液滴を乾燥固化することにより、トナー母体粒子を作製した。
〔トナー作製条件〕
・乾燥空気流量:分散用窒素ガス 2.0L/分、装置内乾燥窒素ガス 30.0L/分
・装置内温度:27〜28℃
・露点温度:−20℃
・ノズル振動数:98kHz
次に、乾燥固化したトナー母体粒子は、1μmの細孔を有するフィルターで吸引捕集した。更に、このトナー母体粒子に対して、疎水性シリカ(HDK−2000、クラリアントジャパン社製)1.0質量%をヘンシェルミキサー(三井鉱山株式会社製)を用いて外添処理を行い、シアントナー1を作製した。なお、トナーの作製は連続して5時間行ったがノズルが詰まることは無かった。
−マゼンタトナー1の製造−
前記シアントナー1の製造方法において、シアン着色剤分散液1の代わりに、マゼンタ着色剤分散液1を、表4に示す処方量で使用した以外は、前記シアントナー1の製造方法と同様にして、マゼンタトナー1を製造した。
−イエロートナー1の製造−
前記シアントナー1の製造方法において、シアン着色剤分散液1の代わりに、イエロー着色剤分散液1を、表4に示す処方量で使用した以外は、前記シアントナー1の製造方法と同様にして、イエロートナー1を製造した。
−ブラックトナー1の製造−
前記シアントナー1の製造方法において、シアン着色剤分散液1の代わりに、ブラック着色剤分散液1を、表4に示す処方量で使用した以外は、前記シアントナー1の製造方法と同様にして、ブラックトナー1を製造した。
(製造例3〜13)
<トナー2〜12の製造>
上記トナー1の製造例と同様にして、シアントナー2〜12、マゼンタトナー2〜12、イエロートナー2〜12、及びブラックトナー2〜12からなるトナー2〜12を、表4に示される原材料の組合せ及び処方量でそれぞれ製造した。
*( )内の数値は処方量(質量部)を示す。
(製造例14)
<トナー13の作製>
−マスターバッチの作製−
下記の組成の顔料、結着樹脂、及び純水を1:1:0.5(質量比)の割合で、混合して、2本ロールにより混練した。混練を70℃で行い、その後、ロール温度を120℃まで上げて、水を蒸発させて、シアンマスターバッチ(MB−C2)、マゼンタマスターバッチ(MB−M2)、イエローマスターバッチ(MB−Y2)、及びブラックマスターバッチ(MB−K2)からなるマスターバッチ(MB−2)を作製した。
〔シアントナーマスターバッチ処方:(MB−C2)〕
・ポリエステル樹脂L1・・・100質量部
・シアン顔料(C.I.Pigment blue 15:3)・・・100質量部
・純水・・・50質量部
〔マゼンタトナーマスターバッチ処方:(MB−M2)〕
・ポリエステル樹脂L1・・・100質量部
・マゼンタ顔料(C.I.Pigment red 122)・・・100質量部
・純水・・・50質量部
〔イエロートナーマスターバッチ処方:(MB−Y2)〕
・ポリエステル樹脂L1・・・100質量部
・イエロー顔料(C.I.Pigment yellow 180)・・・100質量部
・純水・・・50質量部
〔ブラックトナーマスターバッチ1処方:(MB−K2)〕
・ポリエステル樹脂L1・・・100質量部
・ブラック顔料(カーボンブラック)・・・100質量部
・純水・・・50質量部
以下に示す方法で、シアントナー13、マゼンタトナー13、イエロートナー13、及びブラックトナー13からなるトナー13を製造した。
−シアントナー13の製造−
表5に示すトナー13の使用原料である結着樹脂、離型剤、及びマスターバッチ4色の内シアンマスターバッチを、表5に示される各々の処方量で、へンシェルミキサー(三井三池化工機株式会社製、FM10B)を用いて予備混合した後、二軸混練機(株式会社池貝製、PCM−30)で100〜130℃の温度で溶融、混練した。得られた混練物は室温まで冷却後、ハンマーミルにて200μm〜300μmに粗粉砕した。次いで、超音速ジェット粉砕機ラボジェット(日本ニューマチック工業株式会社製)を用いて、重量平均粒径が5.2±0.3μmとなるように粉砕エアー圧を適宜調整しながら微粉砕した後、気流分級機(日本ニューマチック工業株式会社製、MDS−I)で、重量平均粒径が6.0±0.2μm、4μm以下の微粉量が10個数%以下となるようにルーバー開度を適宜調整しながら分級し、トナー母体粒子を作製した。
得られたトナー母体粒子100質量部に対し、疎水性シリカ(HDK−2000、クラリアントジャパン社製)1.0質量部をヘンシェルミキサーで撹拌混合して、シアントナー13を作製した。
なお、表5に記載されている離型剤のW1はパラフィンワックス(HNP−9PD、日本精蝋株式会社製、融点76.1℃)である。
−マゼンタトナー13の製造−
シアントナー13の製造方法において、表5に示すトナー13の使用原料であるマスターバッチの内シアンマスターバッチの代わりに、マゼンタマスターバッチを、表5に示す処方量で使用した以外は、シアントナー13の製造方法と同様にして、マゼンタトナー13を製造した。
−イエロートナー13の製造−
シアントナー13の製造方法において、表5に示すトナー13の使用原料であるマスターバッチの内シアンマスターバッチの代わりに、イエローマスターバッチを、表5に示す処方量で使用した以外は、シアントナー13の製造方法と同様にして、イエロートナー13を製造した。
−ブラックトナー13の製造−
シアントナー13の製造方法において、表5に示すトナー13の使用原料であるマスターバッチの内シアンマスターバッチの代わりに、ブラックマスターバッチを、表5に示す処方量で使用した以外は、シアントナー13の製造方法と同様にして、ブラックトナー13を製造した。
*( )内の数値は処方量(質量部)を示す。
次に、得られたトナー1〜13について、以下のようにして、重量平均粒径(D)、比(D/Dn)、保存性、及び臭気を評価した。結果を表6に示す。
<トナーの重量平均粒径(D)、数平均粒径(Dn)、及び比(D/Dn)の測定>
前記トナーの重量平均粒径(D)、数平均粒径(Dn)、及び比(D/Dn)は、次のようにして求めた。なお、結果は4色のトナーの平均値で示した。
・測定機:コールターマルチサイザーII(ベックマンコールター社製)
・アパチャー径:100μm
・解析ソフト:コールターマルチサイザーアキュコンプ バージョン 1.19(ベックマンコールター社製)
・電解液:アイソトンII(ベックマンコールター社製)
・分散液:エマルゲン109P(花王株式会社製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB:13.6)5質量%電解液
・分散条件:分散液5mLに測定試料10mgを添加し、超音波分散機にて1分間分散させ、その後、電解液25mLを添加し、更に、超音波分散機にて1分間分散させる。
・測定条件:ビーカーに電解液100mLと分散液を加え、3万個の粒子の粒径を20秒間で測定できる濃度で、3万個の粒子を測定し、その粒度分布から重量平均粒径、数平均粒径を求め、比(D/Dn)を算出した。
<トナーの耐熱保存性>
耐熱保存性は、針入度試験器(日科エンジニアリング株式会社製)を用いて測定した。具体的には、各トナーを10g計量し、温度20〜25℃、40〜60%RHの環境下で30mlのガラス容器(スクリューバイアル)に入れ、蓋を閉めた。トナーを入れたガラス容器を100回タッピングした後、温度を50℃にセットした恒温槽に24時間放置した後、針入度試験器で針入度を測定し、下記の評価基準により耐熱保存性を評価した。針入度の値が大きいほど、耐熱保存性に優れる。なお、トナー4色の測定結果の内、最も悪い結果を評価値とした。
〔評価基準〕
◎:針入度が30mm以上
○:針入度が20mm〜29mm
△:針入度が15mm〜19mm
×:針入度が8mm〜14mm
××:針入度が7mm以下
<トナーの臭気>
トナー20gをアルミホイルカップ(株式会社テラオカ製、FM−409(本体))に測り取り、150℃に加熱したホットプレートの上に30分間静置し、トナーから発生する臭気を以下の評価基準に従って評価した。なお、トナー4色の測定結果の内、最も悪い結果を評価値とした。
〔評価基準〕
◎:臭気は全く感じられない。
○:臭気はほとんど感じられない。
△:臭気が若干感じられるが、実用上問題ない。
×:臭気が強く感じられる。
(製造例15)
−キャリアの作製−
下記組成のコート材を10分間スターラーで分散してコート液を調製し、このコート液と、芯材(Cu−Znフェライト粒子、質量平均粒径=35μm)5,000質量部を流動床内に回転式底板ディスクと攪拌羽根を設けた旋回流を形成させながらコートを行うコーティング装置に投入して、コート液を芯材上に塗布した。得られた塗布物を電気炉で250℃、2時間焼成して、キャリアを作製した。
〔コート材組成〕
・トルエン・・・450質量部
・シリコーン樹脂(SR2400、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製、不揮発分50質量%)・・・450質量部
・アミノシラン(SH6020、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製)・・・10質量部
・カーボンブラック・・・10質量部
−現像剤の作製−
前記トナー1〜13を各5質量%と、上記作製したキャリア95質量%からなる二成分現像剤1〜13を常法により作製した。
(実施例1〜10及び比較例1〜3)
次に、得られた二成分現像剤1〜13を、図18に示す画像形成装置に装填して、画像形成を行い、以下のようにして、各種性能評価を行った。結果を表7に示す。なお、図18に示す画像形成装置は、上述したように、非接触帯電方式、二成分現像方式、二次転写方式、ブレードクリーニング方式、及び外部加熱のローラ定着方式を採用した間接転写方式のタンデム型画像形成装置である。
<定着性>
−低温定着性−
前記画像形成装置を用い、厚紙の転写紙(株式会社NBSリコー製、複写印刷用紙<135>)に、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの各色で、トナー付着量0.85±0.1mg/cmの単色ベタ画像を作成し、定着ベルトの温度を変化させて定着を行い、得られた定着画像表面を描画試験器(AD−401、上島製作所製)を用いて、ルビー針(先端半径260〜320μmR、先端角60度)、荷重50gで描画し、繊維(ハニコット#440、ハニロン社製)で描画表面を強く5回擦り、画像の削れが殆ど無くなる定着ベルト温度をもって定着下限温度とし、下記基準により低温定着性を評価した。なお、ベタ画像は転写紙上において、通紙方向先端から3.0cmの位置に作成した。また、トナー4色の測定結果の内、最も悪い結果を評価値とした。
〔評価基準〕
◎:定着下限温度が125℃以下
○:定着下限温度が126℃以上135℃以下
△:定着下限温度が136℃以上145℃以下
×:定着下限温度が146℃以上155℃以下
××:定着下限温度が156℃以上
−耐ホットオフセット性−
前記画像形成装置を用い、普通紙の転写紙(株式会社リコー製、タイプ6200)に、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの各色で、トナー付着量0.85±0.1mg/cmの単色ベタ画像を作成し、定着ベルトの温度を変化させて定着試験を行い、ホットオフセットの有無を目視評価し、ホットオフセットが発生しない上限温度を定着上限温度とし、下記基準で耐ホットオフセット性を評価した。なお、ベタ画像は転写紙上において、通紙方向先端から3.0cmの位置に作成した。また、トナー4色の測定結果の内、最も悪い結果を評価値とした。
〔評価基準〕
◎:定着上限温度が230℃以上
○:定着上限温度が210℃以上230℃未満
△:定着上限温度が190℃以上210℃未満
×:定着上限温度が180℃以上190℃未満
××:定着上限温度が180℃未満
―定着離型性―
前記画像形成装置を用い、普通紙の転写紙(株式会社リコー製、タイプ6200(縦目))にトナー付着量0.85±0.1mg/cmのベタ画像を作成し、定着ローラ又はベルトの温度を変化させて定着試験を行い、定着ニップ出口付近に定着紙と定着ベルトを分離させるために配置された分離爪に、A4サイズ横方向に排紙された定着画像が接触することで発生する定着画像上の傷跡の程度を目視評価した。傷跡の程度は、ランク見本により5段階で評価され、傷跡若しくはジャムが全く発生しない上限温度を定着離型性の指標とした。なお、ベタ画像は転写紙上において、通紙方向先端から0.5cmの位置に作成した。
〔評価基準〕
◎:上限温度が200℃以上
○:上限温度が190℃以上200℃未満
△:上限温度が170℃以上190℃未満
×:上限温度が160℃以上170℃未満
××:上限温度が160℃未満
<感光体フィルミング性>
前記画像形成装置を用い、単色モードで50%画像面積の画像チャートを100枚ランニング出力した後と50,000枚ランニング出力した後に、感光体上のトナーフィルミング状態を目視評価を行った。出力画像の異常の有無も考慮し、以下の5段階に分けて判定した。
〔評価基準〕
◎:画像異常が全くなく、感光体上のトナーフィルミングはない。
○:画像異常が全くないが、感光体上にうっすらとトナーフィルミングが見られる。
△:若干の異常画像が見られ、感光体上にも明らかなトナーフィルミングが見られる。
×:明らかな画像異常が見られ、感光体上のトナーフィルミングがひどく、問題のあるレベル。
××:明らかな画像異常が見られ、感光体上のトナーフィルミングがひどく、正常な画像が得ることができない。
<初期画質>
初期の画像品質は、前記画像形成装置を用いて、画像評価チャートをフルカラーモードで出力し、色調(色合い)変化、カブリ、画像濃度、及びカスレなどの有無について評価した。異常の有無、及び画質のランク評価を目視評価し、以下の5段階に分けて判定した。
〔評価基準〕
◎:画像異常が全く観察されず良好である。
○:原画と比較するとごく僅かな色合い、画像濃度、地肌部の汚れなどの違いが観察されるが、実用上問題なく良好である。
△:色調(色合い)、画像濃度、地肌部の汚れなどにやや変化が感じられる。
×:色調変化、濃度変化、地肌部の汚れなどが明らかで問題となる。
××:色調変化、濃度変化、地肌部の汚れなどがひどく、正常な画像が得ることができない。
<経時安定性(耐久性)>
前記画像形成装置を用い、フルカラーモードで80%画像面積(各色20%画像面積)の画像チャートを50,000枚ランニング出力した後、前記初期画質評価と同様の評価を行い、初期画像との比較を行って、下記基準により評価した。
〔評価基準〕
◎:画像異常が全く観察されず良好である。
○:初期画像と比較すると、ごく僅かな色合い、画像濃度、地肌部の汚れなどの違いが観察されるが通常温湿度の環境下では問題無いレベルである。
△:初期画像と比較すると、色調(色合い)、画像濃度、地肌部の汚れなどにやや変化が感じられる。
×:初期画像と比較すると、色調変化、濃度変化、地肌部の汚れなどが明らかで問題となる。
××:初期画像と比較すると、色調変化、濃度変化、地肌部の汚れなどがひどく、正常な画像が得ることができない。
本発明のトナーは、小粒径、かつ今までにない粒度の単一分散性を有した粒子であることにより、流動性及び帯電特性といったトナーに求められる多くの特性値において、今までのトナーの製造方法にみられた粒子による変動の幅が全くないか、又は非常に少ない上に、耐オフセット性、低温定着性、定着離型性、耐熱保存性、及び耐フィルミング性のいずれにも優れ、かつ臭気の発生がなく、高解像度で、高精細及び高品質な画像を形成でき、長期にわたって画像劣化がないので、例えばレーザープリンタ、ダイレクトデジタル製版機、直接又は間接の電子写真多色画像現像方式を用いたフルカラー複写機、フルカラーレーザープリンター、及びフルカラー普通紙ファックス等に幅広く使用できる。
図1は、本発明に係るトナーを製造する方法を適用したトナーの製造装置の一実施形態を示す概略構成図である。 図2は、同トナーの製造装置の具体的適用の説明に供する要部説明図である。 図3は、同トナーの製造装置の液滴噴射ユニットの説明に供する拡大説明図である。 図4は、図3を下側から見た底面説明図である。 図5は、同液滴噴射ユニットの液滴化手段の拡大断面説明図である。 図6は、比較の構成に係る液滴化手段の拡大断面説明図である。 図7Aは、同液滴噴射ユニットの液滴化手段による液滴化の動作原理の説明に供する薄膜の模式的説明図である。 図7Bは、同液滴噴射ユニットの液滴化手段による液滴化の動作原理の説明に供する薄膜の模式的説明図である。 図8は、同じく基本振動モードの説明に供する説明図である。 図9は、同じく第二次振動モードの説明に供する説明図である。 図10は、同じく第三次振動モードの説明に供する説明図である。 図11は、同じく薄膜の中央部に凸部を形成した場合の説明図である。 図12Aは、同じく液滴化手段による液滴化の動作原理に供する模式的説明図である。 図12Bは、同じく液滴化手段による液滴化の動作原理に供する模式的説明図である。 図13は、同液滴化手段によって液滴を吐出したときの状態を電子顕微鏡で撮像した結果を示す図である。 図14は、同じくこれを乾燥固化したときのトナー粒子の状態を電子顕微鏡で撮像した結果を示す図である。 図15は、比較として液滴を吐出したときの状態を電子顕微鏡で撮像した結果を示す図である。 図16は、図15の液滴を乾燥固化したトナー粒子の状態を電子顕微鏡で撮像した結果を示す図である。 図17は、別のトナーの製造装置の一例を示す概略構成図である。 図18は、実施例で用いた画像形成装置を示す概略図である。
符号の説明
1 トナーの製造装置
2 液滴噴射ユニット
3 粒子形成部(溶媒除去部)
4 トナー捕集部
5 チューブ
6 トナー捕集部
7 原料収容部
8 配管
10 トナー組成液
11 液滴化手段
12 貯留部
13 流路部材
15 ノズル
16 薄膜
16A 変形可能領域
16D、16E 凸形状部
17 電気機械変換手段(振動発生手段)
31 液滴
35 乾燥気体
42 気流(渦流)
43 除電手段
T トナー粒子

Claims (12)

  1. 少なくとも結着樹脂、着色剤、及び離型剤を含有するトナー組成物を溶媒に溶解乃至分散させたトナー組成液を貯留する貯留部に設けた複数の吐出口を有する薄膜を、該薄膜の吐出口を有する領域の周囲に円環状に設けた振動発生手段により振動させて、前記複数の吐出口から前記トナー組成液を液滴化して周期的に放出させる周期的液滴化工程と、
    前記放出されたトナー組成液の液滴を固化させてトナー粒子を形成するトナー粒子形成工程と、を含むトナーの製造方法により製造されるトナーであって、
    前記結着樹脂が、脂肪族多価アルコールを含有したアルコール成分と、(メタ)アクリル変性ロジンを含有したカルボン酸成分とを縮重合させて得られるポリエステル樹脂を含有することを特徴とするトナー。
  2. 振動発生手段の振動周波数が、20kHz以上2.0MHz未満である請求項1に記載のトナー。
  3. 吐出口の開口径が、1μm〜40μmである請求項1から2のいずれかに記載のトナー。
  4. トナー組成液の液滴から溶媒を除去してトナー粒子化する請求項1から3のいずれかに記載のトナー。
  5. 脂肪族多価アルコールが、炭素数2〜6の脂肪族多価アルコールを含有する請求項1から4のいずれかに記載のトナー。
  6. (メタ)アクリル変性ロジンの含有量が、カルボン酸成分中、5質量%〜85質量%である請求項1から5のいずれかに記載のトナー。
  7. (メタ)アクリル変性ロジンが、精製ロジンを(メタ)アクリル酸で変性して得られる請求項1から6のいずれかに記載のトナー。
  8. アルコール成分及びカルボン酸成分の少なくともいずれかが、3価以上のアルコール及び3価以上カルボン酸化合物の少なくともいずれかを含む請求項1から7のいずれかに記載のトナー。
  9. 結着樹脂が、更にハイブリッド樹脂を含有する請求項1から8のいずれかに記載のトナー。
  10. 離型剤が、パラフィンワックス及びカルナウバワックスのいずれかである請求項1から9のいずれかに記載のトナー。
  11. トナーにおける重量平均粒径(D)と個数平均粒径(Dn)の比(D/Dn)が、1.00〜1.10である請求項1から10のいずれかに記載のトナー。
  12. 請求項1から11のいずれかに記載のトナーを含有することを特徴とする現像剤。
JP2007272852A 2007-10-19 2007-10-19 トナー及び現像剤 Expired - Fee Related JP4943290B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007272852A JP4943290B2 (ja) 2007-10-19 2007-10-19 トナー及び現像剤

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007272852A JP4943290B2 (ja) 2007-10-19 2007-10-19 トナー及び現像剤

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009103742A JP2009103742A (ja) 2009-05-14
JP4943290B2 true JP4943290B2 (ja) 2012-05-30

Family

ID=40705511

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007272852A Expired - Fee Related JP4943290B2 (ja) 2007-10-19 2007-10-19 トナー及び現像剤

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4943290B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5429609B2 (ja) * 2009-03-13 2014-02-26 株式会社リコー 静電荷像現像用トナー
JP5470168B2 (ja) * 2010-06-11 2014-04-16 シャープ株式会社 トナーおよびトナーの製造方法
JP5859825B2 (ja) * 2011-11-29 2016-02-16 花王株式会社 トナー

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0782254B2 (ja) * 1991-04-04 1995-09-06 日本合成化学工業株式会社 トナー用のバインダー樹脂
JP4594789B2 (ja) * 2005-04-22 2010-12-08 株式会社リコー 粒子製造装置及び粒子群の製造方法
JP4647506B2 (ja) * 2006-01-27 2011-03-09 株式会社リコー 粒子特にトナー粒子の製造方法、トナー粒子の製造装置及びトナー

Also Published As

Publication number Publication date
JP2009103742A (ja) 2009-05-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5054443B2 (ja) 画像形成装置、画像形成方法、及びプロセスカートリッジ
JP4523573B2 (ja) トナー及び画像形成装置
US8329370B2 (en) Toner, image forming apparatus, image forming method, and process cartridge
US8084176B2 (en) Toner, developer, and image forming method
JP5261978B2 (ja) トナー、並びに現像剤、トナー入り容器、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法
JP4749939B2 (ja) 画像形成装置、画像形成方法、及びプロセスカートリッジ
JP5100583B2 (ja) トナー及び現像剤
JP2007292860A (ja) 画像形成装置、画像形成方法、及びプロセスカートリッジ
JP2007292792A (ja) 二成分現像剤、並びにそれを用いた画像形成方法及び画像形成装置
JP4749938B2 (ja) 画像形成装置、画像形成方法、及びプロセスカートリッジ
JP4808694B2 (ja) トナー、並びに現像剤、画像形成装置、画像形成方法、及びプロセスカートリッジ
JP4749940B2 (ja) 画像形成装置、画像形成方法、及びプロセスカートリッジ
JP4749928B2 (ja) 画像形成装置、画像形成方法、及びプロセスカートリッジ
JP2007310329A (ja) 画像形成装置及び画像形成方法
JP4943290B2 (ja) トナー及び現像剤
JP5625230B2 (ja) トナー、並び現像剤、及び画像形成装置
JP5151647B2 (ja) 二成分現像剤
JP4749927B2 (ja) 画像形成装置、画像形成方法、及びプロセスカートリッジ
JP5493320B2 (ja) トナー及び現像剤
JP5100200B2 (ja) トナー、並びに現像剤、画像形成装置、画像形成方法、及びプロセスカートリッジ
JP2007292858A (ja) 画像形成装置、画像形成方法、及びプロセスカートリッジ
JP5168113B2 (ja) トナー及び該トナーを用いた現像剤、該トナー又は現像剤用いた画像形成方法及びプロセスカートリッジ
JP5407439B2 (ja) トナー及び現像剤
JP5315945B2 (ja) トナー及び現像剤
JP2007292862A (ja) 画像形成装置、画像形成方法、及びプロセスカートリッジ

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20100603

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20111207

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20111213

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120113

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120207

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120229

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4943290

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150309

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees