JP4943118B2 - 加熱システム - Google Patents

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  • Domestic Hot-Water Supply Systems And Details Of Heating Systems (AREA)

Description

本発明は、例えば蒸気のような加熱流体で冷水を加熱することにより温水を生成する加熱システムに関するものである。
従来、冷水を蒸気で加熱することにより温水を生成する、加熱システムの一種である給湯装置が知られている(特許文献1参照)。この給湯装置における加熱システムは、図5に示すように、熱交換器60によって蒸気のような加熱流体Sの熱で冷水Cを加熱することにより温水Mを生成するものであり、給水源WAからの冷水Cを冷水配管61によって前記熱交換器60に導き、加熱流体供給源VAからの加熱流体Sを加熱流体配管62によって前記熱交換器60に導き、熱交換器60で冷水Cと加熱流体Sとの間の熱交換により生成された温水Mを温水配管63から導出する。前記加熱流体配管62にはこれの内部を流動する加熱流体Sの通過量を調節する調節弁64が設けられ、前記温水配管63には熱交換器60の出口側近傍に温度センサ65が設けられている。
前記給湯装置では、給水源WAからの冷水Cと加熱流体供給源VAからの加熱流体Sとが熱交換器60で熱交換されることによって温水Mが生成され、この温水Mがカラン66の開弁により外部へ取り出される。前記熱交換器60を通った熱交換後の加熱流体Sは、復水(ドレン)として排出通路67から外部へ排出される。また、この給湯装置では、熱交換器60で生成した温水Mの温度を温度センサ65で感知し、その感知した温水Mの温度情報をフィードバック回路68により調節弁64へフィードバックして、温水Mの温度が高ければ調節弁64を絞ることにより熱交換器60への加熱流体Sの供給量を減少させ、逆に温水Mの温度が低ければ調節弁64を開くことにより加熱流体Sの供給量を増加させて所定温度の温水Mを取り出すようになっている。
特開2006−112719号公報
しかしながら、前記給湯装置では、温水Mの温度を感知して、その感知した温度に基づき調節弁64をフィードバック制御する複雑な機構を必要とするので、コスト高となるだけでなく、温度センサ65による温水Mの温度の感知遅れや加熱流体Sの供給量変化に対する温水Mの温度変化の遅れなどに起因して、温水Mの温度が不測に変化し易いので、常に所定温度の温水Mを安定に生成するのが難しい。また、カラン66を閉弁しているとき、つまり、温水Mを使用していないときでも、熱交換器60で生成した温水Mの温度が温度センサ65で常に感知されているから、この温度情報に基づきフィードバック回路68が調節弁64をフィードバック制御して温水Mの温度を所定値に保つように熱交換器60への加熱流体Sの供給量を制御するので、温水Mの不使用時であっても、温水配管63での放熱によって温水Mの温度が低下すると、加熱流体Sが熱交換器60に供給されて無駄に消費されてしまう。
本発明は、前記従来の課題に鑑みてなされたもので、簡単で安価な構成としながらも、所定温度の温水を常に安定に生成することができるとともに、加熱流体が無駄に消費されることがなく、しかも、異常な高温の温水が発生した場合にこの温水の取り出しを有効に防止できる加熱システムを提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、本発明に係る加熱システムは、加熱流体と冷水との間の熱交換により温水を生成する熱交換器と、加熱流体供給源からの前記加熱流体を前記熱交換器に導く加熱流体通路と、給水源からの冷水を前記熱交換器に導く冷水通路と、前記冷水通路に設けられて、上流側の圧力が下流側の圧力よりも所定値以上大きくなったときに開弁する圧力弁と、前記加熱流体通路に設けられて、前記圧力弁の上流側と下流側の差圧に応じて前記熱交換器への加熱流体の供給量を調節する調節弁と、前記熱交換器から温水を導出する温水導出通路とを備えている。前記調節弁は、前記加熱流体通路を開閉する弁体部を駆動する駆動部が、上流側導入通路を介して前記圧力弁の上流側の冷水が導入される上流側導入室と、ダイヤフラムによって前記上流側導入室から仕切られた下流側導入室と、前記上流側導入室を前記下流側導入室に連通させるオリフィスと、前記ダイヤフラムの変形によって前記弁体部を駆動する弁駆動部材とを有している。さらに、前記温水導出通路に、前記上流側導入通路に接続された冷水流入室を有し、温水温度が所定値以上のとき開弁して、前記上流側導入通路の冷水を前記温水導出通路に流入させる温度制御弁が設けられている。ここで、所定値の温水とは、40℃ないし60℃程度の温湯のみならず、60℃を越える高温の温水をも含む。
この構成によれば、例えばカランを閉弁して温水を使用していないときには、冷水通路内を冷水が流れておらず、調節弁の駆動部に設けられたオリフィスの上流側と下流側との間に差圧が発生せず、それに伴い圧力弁の上流側と下流側との間にも差圧が発生しない。この場合、圧力弁の上流側と下流側の差圧に応じて熱交換器への加熱流体の供給量を調節する調節弁は閉弁しているので、前記調節弁によって熱交換器へ加熱流体が供給されないから、加熱流体が無駄に消費されることはない。一方、カランを開放して温水を使用し始めると、冷水通路の冷水が上流側導入室からオリフィスを通って下流側導入室に流れるから、オリフィスの上流側と下流側との間に冷水の差圧が生じる。したがって、この差圧に応じたダイヤフラムの変形により調節弁が開弁して、この調節弁を通って加熱流体が熱交換器に供給される。このとき、前記差圧の大小により調節弁の開度が調節される。温水の使用量、つまり冷水の流量が増大して前記差圧、すなわち圧力弁の上流側と下流側の圧力差が所定値よりも大きくなると、圧力弁が開弁して、大きな流量が確保される。
このように、温水を使用していないときには加熱流体が消費されることがなく、温水を使用しているときにのみ加熱流体が消費され、しかも加熱流体の供給量が前記差圧に応じて制御されるので、加熱流体が効率的に使用される。また、温水の温度を検知して調節弁をフィードバック制御しないので、温度検出の遅れがなくなり、常に所定温度の温水が安定して得られる。また、従来システムが温水の温度に基づき調節弁をフィードバック制御する複雑な機構を設けるのに比較して、簡単で安価な構成となり、その結果、コストダウンを達成できる。さらに、温水温度が所定値以上の異常な高温になった場合には、これを検知して開弁した温度制御弁を介して上流側導入通路の冷水が温水導出通路に導入されるので、調節弁の上流側導入室に冷水が流入しにくくなってオリフィスの上流側と下流側の差圧が小さくなり、調節弁の開度が小さくなって加熱流体の熱交換器への供給量が減少する。これにより、熱交換器から導出される温水の温度が低下するので、所定値以上の高温の温水が取り出されるのを有効に防止できる。
本発明において、さらに、前記冷水流入室と前記上流側導入通路とを接続する冷水逃し通路と、前記上流側導入通路および前記冷水逃し通路を通る冷水の流量を抑制する流量抑制用オリフィスとを設けることが好ましい。この構成によれば、温水温度が所定値以上の異常な高温に上昇したときに、温度制御弁が開弁して加熱流体の熱交換器への供給量を減少させて熱交換器からの温水の温度の低下を図る際に、流量抑制用オリフィスにより、温度制御弁を通って温水導出通路に流入する冷水の量が抑制されるが、この冷水量が少量であっても上流側導入通路の圧力は十分に低下するので、大量の冷水の流入によって温水温度が低下し過ぎるのを防止できる結果、温水温度のハンチングが抑制される。
本発明において、例えば、前記温度制御弁はさらに、前記温水導出通路に接続された温水流入室と、前記冷水流入室と前記温水流入室とを区画する区画壁と、この区画壁に設けた弁口を開閉する弁体と、前記温水流入室内の温水の温度に基づいて前記弁体を駆動する感温駆動体とを備えることが好ましい。この構成によれば、温度制御弁が簡単な構造となる。
本発明において、前記オリフィスは、前記ダイヤフラムまたはこれを支持する調節弁のケーシングに設けることができる。
本発明の加熱システムによれば、温水を使用していないときには、冷水通路およびオリフィスに冷水が流れないので、オリフィスの上流側と下流側との間に差圧が発生しない結果、調節弁が閉弁を保持して熱交換器へ加熱流体が供給されず、加熱流体が無駄に消費されない。一方、小量の温水を使用しているときには、冷水がオリフィスを通るので、オリフィスの上流側と下流側との間で発生した差圧により調節弁が開弁して、熱交換器へ加熱流体が供給される。このとき、前記差圧により調節弁の開度が調節されて加熱流体の供給量が制御されるので、温度検出の遅れがなくなり、常に安定した温度の温水が得られる。大量の温水を使用するときには、圧力弁が開弁するので、この圧力弁を通って大きな流量が確保される。しかも、温水温度が所定値以上の異常な高温になった場合には、温度制御弁が開弁して上流側導入通路の冷水を温水導出通路に流入させるので、冷水が調節弁の上流側導入通路に流入しにくくなって、調節弁のオリフィスの差圧が小さくなる結果、調節弁の開度が小さくなり、熱交換器への加熱流体の供給量が減少するので、熱交換器から導出される温水の温度が低下して、異常な高温の温水が取り出されるのを防止できる。
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は本発明の一実施形態に係る加熱システム10を示す系統図である。この加熱システム10は、蒸気のような加熱流体Sの熱で被加熱流体である冷水Cを加熱することにより温水Mを生成する熱交換器11を備えている。熱交換器11から導出される温水Mは、後述する湯水混合弁23からの温水M1よりも高温なので、以下では「熱水」と呼ぶ。熱交換器11としては、例えば複数のプレートを重ねて、その間に図示しない加熱流体Sの通路と冷水Cの通路とを、前記プレートを介して交互に配置したプレート型熱交換器と呼ばれるものが、小型で熱交換容量が大きいことから、好ましい。
また、前記加熱システム10は、外部の給水源WAから供給される冷水Cを前記熱交換器11に導く冷水通路12と、加熱流体供給源VAから供給される蒸気のような加熱流体Sを前記熱交換器11に導く加熱流体通路13と、前記熱交換器11で生成された熱水Mを導出する温水導出通路14と、熱交換器11を通った加熱後の加熱流体Sを復水(ドレン)として排出する復水排出通路15とを有している。
前記冷水通路12には、上流側の圧力が下流側の圧力よりも所定値以上大きくなったときに開弁する圧力弁20が設けられている。この圧力弁20の具体的な構成は、図2に示すように、冷水通路12を構成する冷水配管50内に、冷水Cの流れ方向と直交する方向に延びて冷水通路12を上流側と下流側に仕切る仕切り壁51を設け、この仕切り壁51に圧力弁20の弁口22が形成されている。この圧力弁20は、弁口22を開閉する弁体20aが圧縮コイルばね40のばね力により弁口22に押し付けられている。圧縮コイルばね40は、弁体20aとばね受け部材36との間に介装されており、ばね受け部材36に当接する調整ねじ41を仕切り壁51に向け進退させることにより圧縮コイルばね40のばね力を変化させて、開弁圧力、つまり仕切り壁51の上流側と下流側の圧力差を所定値に調整できるようになっている。
また、前記冷水配管50には、仕切り壁51に対し上流側の近傍箇所から上流側導入通路18を形成する上流側導入管52が分岐されており、この上流側導入管52から冷水逃し通路54を形成する冷水逃し管56が分岐され、また、仕切り壁51に対し下流側の近傍箇所の冷水配管50に下流側導入通路19を形成する下流側導入管53が接続されている。上流側導入管52における冷水逃し管56との接続点75よりも上流側には、流量抑制用オリフィス71が形成された仕切り壁72が設けられている。この流量抑制用オリフィス71は、上流側導入通路18と冷水逃し通路54の両方を通る冷水Cの流量を抑制する。上流側導入管52および下流側導入管53の各先端は、図1の調節弁17に接続されており、冷水逃し管55の先端は、図1の温度制御弁45の冷水流入室46に接続されている。前記調節弁17は、加熱流体通路13に配設されて、後述するオリフィス16の上流側と下流側との間に発生する差圧に応じて開度が調整されることにより熱交換器11への加熱流体Sの供給量を調節するものである。つぎに、この調節弁17の具体的構造について、図3を参照しながら説明する。
図3は調節弁17の閉弁状態を示したもので、調節弁17は、上部に加熱流体通路13が形成されたケーシング25内に、鉛直方向に配置された弁駆動部材である弁棒26が摺動自在に支持されており、この弁棒26の一端部(下端部)に、調節弁17の駆動部27が設けられているとともに、弁棒26の他端(上端)に、加熱流体通路13を開閉するボール弁からなる弁体部28が配置されている。この弁体部28は、弁体部28とケーシング25との間に介装された圧縮コイルばね29のばね力を受けて、弁棒26の上端または弁座25aに押し付けられる。弁体部28が弁座25aに押し付けられて調節弁17が閉弁し、加熱流体通路13を閉塞する。
前記駆動部27は、弁棒26の下端に設けられた円板状の受け部材26aと、この受け部材26aに重ね合わせ状態で固着されて周縁部がケーシング25に固定されたダイヤフラム30と、このダイヤフラム30により上下に仕切られた下流側導入室39および上流側導入室38と、この上流側導入室38と下流側導入室39を互いに連通するオリフィス16とを有しており、上流側導入室38と下流側導入室39の差圧、つまりオリフィス16の上流側の圧力と下流側の圧力との差圧を受けて、弁棒26を軸方向に駆動して弁体部28を前記軸方向に移動させることにより、弁開度を調節する。上流側導入室38には、圧力弁20の上流側の冷水Cが上流側導入通路18を通って導入され、上流側導入室38からオリフィス16を通過して下流側導入室38に導入された冷水Cは、下流側導出通路19を形成する下流側導出管53を通って冷水通路12における圧力弁20の下流側に導かれる。
前記オリフィス16は、ダイヤフラム30の挿通孔を貫通して受け部材26aのねじ孔にねじ込み固定されたねじ部材43の中心部に軸方向に形成された小径の貫通孔によって形成されている。ねじ部材43の外周にはブッシュ44が配置されており、ねじ部材43の締結によりダイヤフラム30が圧潰するのを防止している。なお、オリフィス16は、この実施形態において、ねじ部材43を軸方向に貫通する小孔としたが、二点鎖線で示すように、ケーシング25に上流側導入室38および下流側導入室39を互いに連通するよう形成した小孔を設けるようにしてもよい。
弁棒26とケーシング25との摺動面部位にはOリング42が取り付けられて、気密性および液密性が確保されており、これにより、図1の上流側導入室38からオリフィス16を通って下流側導入室39に導入された冷水Cが加熱流体通路13に侵入しないように配慮されている。なお、図1に明示するように、この実施形態では弁棒26と弁体部28とが別体となった場合を例示しているが、これら弁棒26と弁体部28が一体的に形成されたものであってもよい。
この加熱システム10には、圧力弁20をバイパスして冷水Cが流れるバイパス経路21が構成されており、このバイパス経路21は、上流側導入通路18を形成する上流側導入管52、上流側導入室38、オリフィス16、下流側導入室39および下流側導出通路19を形成する下流側導出管53により構成されている。したがって、調節弁17は、冷水Cが前記バイパス経路21を通って流れることによりオリフィス16の上流側の圧力が下流側の圧力よりも大きくなったときに、その上流側と下流側との差圧によりダイヤフラム30が上方に変形されるのに伴って、弁棒26が軸方向上方に駆動されて弁体部28が開弁状態となる。
また、前記温水導出通路14における熱交換器11の近傍箇所には温度制御弁45が設けられている。この温度制御弁45は、前記冷水流入室46と区画壁48によって区画された温水流入室55を有し、この温水流入室55が温水導出通路14に接続されている。区画壁48には弁口47が貫通して形成されており、温水流入室55内には、弁口47を開閉する弁体57と、熱交換器11から導出された熱水Mの温度を検知して作動し、熱水Mの温度が所定温度、例えば90℃以上に上昇したときに、膨張して常閉の弁体57を駆動して弁口47を開放する感温駆動体58とが設けられている。感温駆動体58としては、周知のバイメタル式、サーモワックス式などの温度センサが組み込まれたものを使用できる。また、温度制御弁45は、感温駆動体58による開弁温度(前記所定温度)を調節する手動の調節部材59を備えている。したがって、温度制御弁45は、熱水Mの温度が90℃未満の定常時に、閉弁状態を保持して、冷水流入室46から温水流入室55内に冷水Cが流入するのを阻止し、開弁状態となったときに、圧力弁20の上流側から冷水逃し通路54を通って冷水流入室46に流入する冷水Cを、冷水流入室46から温水流入室55内に導入して、温水導出通路14を流れる熱水Mに混合させる。
さらに、温水導出通路14における温度制御弁45と給湯出口となる給湯口弁(カラン)24との間の箇所には湯水混合弁23が設けられており、この湯水混合弁23は、熱交換器11からの熱水Mに給水源WAからの冷水Cを混合して、取り出すべき温水M1を所望の温度に調節する。
また、冷水通路12から分岐して前記湯水混合弁23に至る冷水バイパス通路37および冷水通路12における上流側導入通路18の接続点よりも上流側の箇所には、逆止弁31,32がそれぞれ配設されている。復水排出通路15には、加熱流体Sである蒸気をトラップして復水のみを排出する蒸気トラップ33が配設されている。冷水通路12における圧力弁20と熱交換器11との間の箇所から分岐した冷水排出通路34には、給湯口弁24からの温水M1の取り出しが停止されたときに熱交換器11内の熱水Mの圧力が上昇し過ぎるのを防止する逃し弁35が配設されている。
つぎに、前記加熱システム10の作用について説明する。図1の給湯口弁24が閉じられた温水M1の不使用時には、冷水通路12内およびバイパス経路21内を冷水Cが流れないので、バイパス経路21におけるオリフィス16を挟んで上流側導入室38と下流側導入室39の差圧がゼロとなる。そのため、図3に示すように、調節弁17は、弁体部28が圧縮コイルばね29のばね力により弁座25aに押し付けられて閉弁状態に保持され、加熱流体通路13が閉塞されて加熱流体Sの図1に示す熱交換器11への供給が停止される。すなわち、この加熱システム10では、給湯口弁24の閉弁による冷水通路12内の冷水Cの流動停止をオリフィス16の上流側と下流側との差圧がゼロとなるのに基づき機械的に検知して、調節弁17を閉弁状態に保持する。したがって、従来の加熱システムのように温度センサで感知した温水の温度情報に基づき調節弁を常にフィードバック制御する場合とは異なり、給湯口弁24が開かれない限り、つまり温水M1が使用されない限り、熱交換器60へ加熱流体Sが供給されることがないので、加熱流体Sの無駄な消費を防止することができる。
給湯口弁24が開かれると、給水源WAからの冷水Cが、圧力弁20の上流側で冷水通路12内から分岐してオリフィス16を通り圧力弁20の下流側で冷水通路12に至るバイパス経路21を流れる。このとき、温度制御弁45の閉弁により冷水逃し通路54が閉塞されているので、冷水通路内の冷水Cは冷水逃し通路54には流れない。この冷水Cがバイパス経路21のオリフィス16を通過するとき、ベンチュリ効果によって、オリフィス16に対し下流側導入室39の圧力が上流側導入室38の圧力よりも低下する。この両導入室38,39間に生じる差圧により、図4に示すように、ダイヤフラム30が上方に変形されて受け部材26aを押し上げるので、それに伴って、弁駆動部材である弁棒26が軸方向上方に移動する。これにより、弁体部28が圧縮コイルばね29のばね力に抗し上方に駆動され、調節弁17が開弁状態となり、加熱流体Sが加熱流体通路13を通って図1の熱交換器11に供給される。熱交換器11内で冷水Cが加熱流体Sにより加熱されて、熱水Mが生成される。
温水M1の使用量が増大すると、冷水通路12における仕切り壁51の下流側の圧力が低下するので、仕切り壁51の上流側の圧力と下流側の圧力との差圧が増大し、この差圧が圧力弁20の圧縮コイルばね40のばね力とバランスする所定値(圧力)以上となったときに、圧力弁20が開弁して、大径の弁口22を通過した大量の冷水Cが熱交換器11に供給される。このとき、圧力弁20の上流側の大きな圧力が上流側導入室38に作用して、調節弁17が大きな開度に調節され、加熱流体Sの供給量が増大する。
そののち、圧力弁20の弁口22を通過して熱交換器11に供給される冷水Cの流量が増減するのに対応してバイパス経路21に流れる冷水Cの流量も増減し、これに対応して上流側導入室38と下流側導入室39との間の差圧が変化して調節弁17の開度が調整される。すなわち、調節弁17の開度は、圧力弁20の上流側と下流側の差圧に対応するオリフィス16の上流側と下流側の差圧に応じて調整されて、加熱流体Sの熱交換器11への供給量が冷水Cの供給量に対応するよう調節される。加熱流体通路13を通って熱交換器11に導かれた加熱流体Sと圧力弁20を通って熱交換器11に導かれた冷水Cとの間の熱交換により生成され、さらに湯水混合弁23で温度調節された温水M1が、給湯口弁24から取り出される。
上述のように、この加熱システム10では、オリフィス16と圧力弁20とを並列に設けたことにより、温水M1の使用時に、冷水Cが小径のオリフィス16を通過して、オリフィス16の上流側と下流側との間に生じる差圧により応答性良く調節弁17を開閉させるとともに、圧力弁20を開弁させて大量の冷水Cを熱交換器11に供給するようにしているので、調節弁17による熱水Mの温度調整の応答性の向上と大量の熱水Mの確保の相反する二つの課題を同時に解決している。
この実施形態の加熱システム10は、従来の加熱システムのように感知した温水温度に基づいて調節弁をフィードバック制御する複雑な機構に代えて、オリフィス16の上流側と下流側との間に生じる差圧に応じて調節弁17の開度を可変することにより熱交換器11への加熱流体Sの供給量を調節する簡単な構成としているので、コストダウンを図ることができる。それに加えて、従来の加熱システムにおける温度センサによる温水温度の感知遅れや加熱流体の供給量変化に対する温水の温度変化の遅れなどに起因する温水の不測の温度変化が生じないので、湯水混合弁23を経て常に所定温度の温水M1を安定して生成することができる。
また、この加熱システム10では、一般にゴムなどの耐熱性の低い素材からなるダイヤフラム30が、バイパス経路21を通って流れる冷水Cにより冷却されるので、加熱流体Sからの伝熱によるダイヤフラム30の熱劣化が防止されて、調節弁17の弁動作が安定化するとともに、ダイヤフラム30の寿命が長くなる。
さらに、この加熱システム10は、熱水Mの温度が90℃以下の定常時において、上述のようにオリフィス16の上流側と下流側との差圧に応じて調節弁17の開度を制御して熱交換器11への加熱流体Sの供給量を調節しているが、例えば、夏期などにおいて熱水Mの温度が所定値(例えば90℃)以上の異常な高温になった場合に、温度制御弁45の感温駆動体58が弁体57を弁口47の下方に離間させることにより、温度制御弁45が常閉状態から開弁状態に移行する。したがって、上流側導入通路18を形成する上流側導入管52の上流部に導入された圧力弁20の上流側の冷水Cが、冷水逃し通路54および冷水流入室46を通って温水導出通路14に流入し、上流側導入通路18に流れにくくなる。つまり、バイパス経路21に冷水Cが流れにくくなるので、上流側導入通路18の圧力が低下することによってオリフィス16の上流側と下流側との差圧が小さくなるから、調節弁17の開度が小さくなり、熱交換器11への加熱流体Sの供給量が減少する結果、熱交換器11からの熱水Mの温度が十分に低下される。
ここで、流量抑制用オリフィス71が冷水逃し通路54を通る冷水Cの流量を抑制するので、過度の量の冷水Cが冷水流入室46から温水導出通路14に流入して熱水Mの温度を低下させるおそれはない。また、このように冷水逃し通路54から温度制御弁45を通って温水導出通路14に流入する冷水Cの量が抑制されるが、この冷水量が少量であっても上流側導入通路18の圧力は十分に低下するので、大量の冷水Cの流入によって温水温度が低下し過ぎるのを防止できる結果、温水温度のハンチングが抑制される。
また、熱水Mの温度が所定値以上に上昇したとき、温度制御弁45が開弁して、冷水逃し通路54を通ってきた冷水Cが、温水流入室55内で熱水Mに混合されるので、熱水Mの温度が低下する。さらに、温度制御弁45は、温水導出通路14に接続された温水流入室55と、冷水流入室46と温水流入室55とを区画する区画壁48と、この区画壁48に設けた弁口47を開閉する弁体57と、温水流入室55内の熱水Mの温度に基づいて弁体57を駆動する感温駆動体58とを備えた構成となっているので、温度制御弁45が簡単な構造となる。
また、温水導出通路14における温度制御弁45の下流側に温水混合弁23が設けられているから、熱水温度が急激に所定値以上となったとき、温度制御弁45の温度感知遅れによる開弁遅れがあっても、温水混合弁23で冷水Cが熱水Mに混合されることで、熱水Mの温度が低下するので、所定値以上の高温の温水M1が給湯口弁24から外部に取り出されるおそれがない。
本発明の一実施形態に係る加熱システムを示す系統図である。 同上の加熱システムにおける圧力弁の近傍を示す縦断面図である。 同上の加熱システムにおける調節弁の閉弁状態を示す縦断面図である。 同上の調節弁の開弁状態を示す縦断面図である。 従来の加熱システムの系統図である。
符号の説明
10 加熱システム
11 熱交換器
12 冷水通路
13 加熱流体通路
14 温水導出通路
16 オリフィス
17 調節弁
18 上流側導入通路
20 圧力弁
23 湯水混合弁
26 弁棒(弁駆動部材)
27 駆動部
28 弁体部
30 ダイヤフラム
38 上流側導入室
39 下流側導入室
45 温度制御弁
46 冷水流入室
47 弁口
48 区画壁
54 冷水逃し通路
55 温水流入室
57 弁体
58 感温駆動体
71 流量抑制用オリフィス
S 加熱流体
C 冷水
M 温水(熱水)
M1 温水
VA 加熱流体供給源
WA 給水源

Claims (4)

  1. 加熱流体と冷水との間の熱交換により温水を生成する熱交換器と、
    加熱流体供給源からの前記加熱流体を前記熱交換器に導く加熱流体通路と、
    給水源からの冷水を前記熱交換器に導く冷水通路と、
    前記冷水通路に設けられて、上流側の圧力が下流側の圧力よりも所定値以上大きくなったときに開弁する圧力弁と、
    前記加熱流体通路に設けられて、前記圧力弁の上流側と下流側の差圧に応じて前記熱交換器への加熱流体の供給量を調節する調節弁と、
    前記熱交換器から温水を導出する温水導出通路とを備え、
    前記調節弁は、前記加熱流体通路を開閉する弁体部を駆動する駆動部が、上流側導入通路を介して前記圧力弁の上流側の冷水が導入される上流側導入室と、ダイヤフラムによって前記上流側導入室から仕切られた下流側導入室と、前記上流側導入室を前記下流側導入室に連通させるオリフィスと、前記ダイヤフラムの変形によって前記弁体部を駆動する弁駆動部材とを有し、
    前記温水導出通路に、前記上流側導入通路に接続された冷水流入室を有し、温水温度が所定値以上のとき開弁して、前記上流側導入通路の冷水を前記温水導出通路に流入させる温度制御弁が設けられている加熱システム。
  2. 請求項1において、さらに、前記冷水流入室と前記上流側導入通路とを接続する冷水逃し通路と、前記上流側導入通路および前記冷水逃し通路を通る冷水の流量を抑制する流量抑制用オリフィスとを有する加熱システム。
  3. 請求項1または2において、前記温度制御弁はさらに、前記温水導出通路に接続された温水流入室と、前記冷水流入室と前記温水流入室とを区画する区画壁と、この区画壁に設けた弁口を開閉する弁体と、前記温水流入室内の温水の温度に基づいて前記弁体を駆動する感温駆動体とを備えた加熱システム。
  4. 請求項1から3のいずれか一項において、前記オリフィスが前記ダイヤフラムまたはこれを支持する調節弁のケーシングに設けられている加熱シテスム。
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