JP4942340B2 - ロータリバルブ - Google Patents
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Description
一般的に粉粒体の移送は、粉粒体を気体の流れに乗せて、気体と粉粒体を混合させた状態で移送する。このような気体を用いて粉粒体を移送させることは、粉粒体移送工程を構成する機械を少なくし、移送工程を密閉系とすることによって、粉塵の飛散を防止できるという利点を有する。
ロータリバルブ(V)は、ロータリバルブ(V)外面を構成するケーシング(C)を備える。ケーシング(C)は、その内部に断面円形の粉粒体移送室(R)が形成されている。粉粒体移送室(R)内部には、ロータ(F)が配設され、ロータ(F)は粉粒体移送室(R)内で回転する。その回転軸は、粉粒体移送室(R)の軸と一致している。ロータ(F)は、回転シャフト(S)と回転シャフト(S)から放射線状に延設する複数の移送羽根(P)からなる。移送羽根(P)先端と粉粒体移送室(R)壁面との間には僅かなクリアランス(CL)が形成されている。
しかしながら、このような方法では、粉粒体移送室(R)上面に追加の硬化層(即ち、鍍金層)を付加することとなり、硬化層の厚さのばらつきが粉粒体移送室(R)周面のうねりを更に増加させることとなる。
追加の硬化層を設けることなしに、粉粒体移送室(R)周壁の硬度を増加させる手法として、焼き入れにて硬化させる手段も考えられるが、普通鋳鉄(ねずみ鋳鉄)で鋳造された鋳造品に焼き入れ処理を施すと、熱応力によって大きな歪みを生ずるものとなり、粉粒体移送室(R)周壁の表面うねりを増大させるものとなる。
硬化層の厚さの増大は、硬化層の厚さのばらつきに繋がり、厚い硬化層が設けられた粉粒体移送室(R)周壁のうねりも増大することとなる。
硬化層の厚さにばらつきがある場合、硬化層(H)の厚い部分ではクリアランス(CL)が狭く、硬化層(H)の薄い部分ではクリアランス(CL)が広く形成される。粉粒体を移送する粉粒体移送システム内を流れる気体は、広いクリアランスの方向へ流れる傾向がある。結果として、薄く形成された硬化層(H)の部分に気体は多く流れ、それとともにより多くの粉粒体が薄く形成された硬化層(H)に衝突するものとなる。したがって、薄く形成された硬化層の部分はより早く磨耗することとなり、十分な耐久性を発揮することができない。
このようなシール部材を用いた場合、良好なシール性を発揮し、それにともない良好な粉粒体の移送を実現可能であるが、可動部材を用いるため、該可動部材の可動機構に粉粒体が入り込んだ場合には、その可動性が失われ、ロータリバルブ(V)を容易に損傷させる可能性がある。更には、シール部材が粉粒体移送室(R)周壁上を接触して移動するため、シール部材と粉粒体移送室(R)周壁との間に粉粒体が侵入した場合には、粉粒体が粉粒体移送室(R)周面を傷つけることとなり、或いは粉粒体移送室(R)を磨耗させ、ロータリバルブ(V)の耐久性を損なうものとなる。
したがって、従来において、良好なシール性と耐久性を共に備えるロータリバルブは存在しなかった。
該ケーシング内に形成されるとともに前記粉粒体供給口及び前記粉粒体排出口と接続する断面略円形の粉粒体移送室内で回転可能に配設されるロータからなり、
前記ロータは前記粉粒体移送室と同軸に配設される回転シャフトと、該回転シャフトから放射状に延設する移送羽根からなり、
前記ケーシングが球状黒鉛鋳鉄により鋳造され、
前記粉粒体移送室周壁が焼き入れ処理を施され、
前記焼き入れ処理の焼き入れ深さが13mm以上17mm以下であり、
前記移送羽根先端と前記粉粒体移送室周壁との間に形成されるクリアランスが、0.1μm以下であることを特徴とするロータリバルブである。
請求項2記載の発明は、前記ロータが球状黒鉛鋳鉄により鋳造されることを特徴とする請求項1記載のロータリバルブである。
請求項2記載の発明によれば、ロータが球状黒鉛鋳鉄により鋳造されるので、複雑な形状の移送羽根を有するロータであっても、耐久性の高いロータを形成することができる。
本発明のロータリバルブ(1)は球状黒鉛鋳鉄で鋳造により成形されたケーシング(2)を備える。ケーシング(2)上下面の何れかの面が粉粒体上流側とされ、他の一方の面が粉粒体下流側とされ、上下面ともに開口部を有している。尚、本明細書において、以下上面を上流工程側の面とし、下面を下流工程側の面とするが、その逆とされても差し支えない。
後述するように、ケーシング(2)内部左右方向にロータが貫通している。ケーシング(2)左右にはロータ支持部材(21)が配設され、ロータの左右端部を回転可能に支持する。
ケーシング(2)左右何れかの側には、駆動機構(3)が配設され、駆動機構(3)はロータの一端と接続し、ロータをケーシング(2)内部で回転させる。図1に示す例では、駆動機構(3)にモータが用いられ、ロータ左端とカップリング(31)を介して接続しているが、本発明はこれに限られるものではなく、カップリング(31)の代わりにスプロケットを用い、チェーンでモータからロータに回転駆動を与える手段を用いてもよい。或いは、ロータを回転駆動させる他の手段が用いられてもよい。
ケーシング(2)上面及び下面は平坦に形成され、該上面には、ロータリバルブ(1)が据付けられる搬送システムの上流工程を担う機器、即ち、サイロ、バンカ、タンク或いはホッパ等の機器が据付けられる。下面は、例えば粉粒体を加工する加工機等に接続し、ロータリバルブ(1)は、一定流量の粉粒体を加工機へ送出する。尚、上面及び下面に形成される開口部の形状は上流及び下流側に配設される機器によって適宜定められる。これらの機器に固定されるために、ケーシング(2)上面及び下面には複数の取付用貫通穴が形成されている。
ケーシング(2)左右面もそれぞれ平坦に形成され、該平坦な面に上述のロータ支持部材(21)が取付けられる。ケーシング(2)は、その内部を左右に貫通する断面円形の穴が形成され、その開口部がケーシング(2)左右面に現れている。この穴の中間位置はロータが配設される粉粒体移送室(22)とされる。ケーシング(2)左右面には、ロータ支持部材(21)取付用のねじ穴が複数形成され、ケーシング(2)を左右に貫通する穴周囲に等間隔に形成されている。
上述の如く、ロータ(4)はケーシング(2)左右に貫通する貫通穴に挿通され、一対の側板(43)並びに移送羽根(42)はケーシング(2)中間位置の粉粒体移送室(22)に配設される。上述の如く、ロータ(4)は駆動機構によって、ケーシング(2)内部を回転する。
該回転に伴って、粉粒体移送室(22)の周壁面、側板及び一対の移送羽根(42)で形成される移送空間はケーシング(2)内部を回転移動し、粉粒体供給口(23)からもたらされる粉粒体を受け、ケーシング(2)下面に形成される粉粒体排出口へ粉粒体を移送する。
尚、ロータ(4)の移送羽根(42)が複雑な形状である場合には鋳造にて形成されることとなるが、鋳造で形成する場合には、球状黒鉛鋳鉄で形成することが好ましい。また、鋳造後に焼き入れ処理にて、移送羽根(42)先端部に焼き入れ処理を施すことが好ましい。
本発明に係るロータリバルブ(1)のケーシング(2)は、鋳造により成形された後、粉粒体移送室(22)の周壁は精密切削加工され、粉粒体移送室(22)の真円度並びに表面粗さが調節される。この後、粉粒体移送室(22)周面の耐磨耗性を向上させるため、粉粒体移送室(22)周面に高周波焼入れを施した。
このようにして得られた2つのケーシングについて、真円度、表面のうねり及び硬度について、下記の表1にまとめ、両者を比較する。
本発明のケーシング(2)は、球状黒鉛鋳鉄を用いているので、表面硬化処理に焼き入れを採用しても、粉粒体移送室(22)周壁に生ずるうねりは非常に小さく、従来の追加の硬化層を用いるものよりも小さくなる。尚、焼き入れ深さは13mm以上17mm以下であることが好ましい。焼き入れ深さが17mmを超えると、粉粒体移送室(22)周壁に生ずる歪みが顕著となり、粉粒体移送室(22)周壁の表面のうねりが大きくなり、好適な粉粒体の移送を実現できなくなる。一方で、焼き入れ深さが13mmを下回ると、硬化層が薄くなりすぎるため、十分な耐久性を得ることができないものとなる。
2・・・・・ケーシング
22・・・・粉粒体移送室
4・・・・・ロータ
41・・・・回転シャフト
42・・・・移送羽根
Claims (2)
- 粉粒体が供給される粉粒体供給口と粉粒体が排出される粉粒体排出口を備えるケーシングと、
該ケーシング内に形成されるとともに前記粉粒体供給口及び前記粉粒体排出口と接続する断面略円形の粉粒体移送室内で回転可能に配設されるロータからなり、
前記ロータは前記粉粒体移送室と同軸に配設される回転シャフトと、該回転シャフトから放射状に延設する移送羽根からなり、
前記ケーシングが球状黒鉛鋳鉄により鋳造され、
前記粉粒体移送室周壁が焼き入れ処理を施され、
前記焼き入れ処理の焼き入れ深さが13mm以上17mm以下であり、
前記移送羽根先端と前記粉粒体移送室周壁との間に形成されるクリアランスが、0.1μm以下であることを特徴とするロータリバルブ。 - 前記ロータが球状黒鉛鋳鉄により鋳造されることを特徴とする請求項1記載のロータリバルブ。
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