JP4940850B2 - ヘッドアップディスプレイ - Google Patents

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この発明は、情報を、使用者の通常の視界に重ねて表示するためのヘッドアップディスプレイに関する。
ヘッドアップディスプレイは、例えば車両のフロントガラスに情報を表示するために用いることで、運転者は、視線の移動や焦点の調節をほとんど行なうことなく、所望の情報を視認することが可能となる。このような装置では、コンバイナであるフロントガラスに信号光を投射し、これを使用者側へと反射させることで、表示像を視認可能としている。このようなヘッドアップディスプレイにおいては、信号光とは逆向きに入りこんだ外光が、液晶表示装置のような信号光を射出する表示器に照射される場合がある。このように外光によって表示器が照射されると、熱や赤外線あるいは紫外線によって、表示器の劣化や性能低下が起こるおそれがあるため、外光による表示器の照射を抑えることが望ましい。外光による表示器の照射を抑制するための構成としては、外光が表示器へと導かれる光路に偏光板を配置し、外光の一部を偏光板によって吸収させる構成が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開平10−138794号公報 特開平5−131866号公報 特開平7−230059号公報
しかしながら、このように吸収型偏光板を用いて外光の表示器への照射を抑制する場合には、吸収型偏光板は、比較的熱に弱く、入射パワーに制限があるため、熱や紫外線を伴う強い外光を吸収すると偏光板が劣化するという問題があった。
本発明は、上述した従来の課題を解決するためになされたものであり、ヘッドアップディスプレイにおいて、外光に起因する劣化を伴うことなく、表示装置への外光の照射を抑制することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、使用者の視界に重ねて所定の表示像を表示するヘッドアップディスプレイであって、
前記表示像に係る表示信号に基づく光を射出する光射出部と、
前記光が照射されて、前記光が含む所定の偏光光を反射する反射型偏光板と、
前記反射型偏光板に反射された前記所定の偏光光が照射されて、前記偏光光を前記使用者側へと反射して、前記偏光光による表示像を視認可能にするコンバイナと
前記ヘッドアップディスプレイの外部から前記反射型偏光板に照射されて前記反射型偏光板を透過した外光を、吸収可能な位置に配置された吸光板と、
を備えることを要旨とする。
以上のように構成された本発明のヘッドアップディスプレイによれば、光射出部から射出された光がコンバイナへと照射される光路の途中に、反射型偏光板が配置されているため、外光が光射出部へと反射される場合であっても、反射される光量を削減することができる。そのため、外光の照射に起因する光射出部の劣化や性能低下を抑制することができる。このように、光射出部へと照射される外光を削減するために、強度に優れて耐久性が高い反射型偏光板を用いているため、外光の入り込みを抑えることに起因するヘッドアップディスプレイ全体の耐久性の低下を抑制することができる。また、反射型偏光板を透過した外光の吸収を確保して、透過した外光に起因する不都合を抑えることができる。
本発明のヘッドアップディスプレイにおいて、
前記光射出部が射出する前記光は、前記反射型偏光板で反射される直線偏光光であることとしても良い。
このような構成とすれば、光射出部が射出する光を、効率良く、表示像の表示に用いることができる。
本発明のヘッドアップディスプレイにおいて、
前記反射型偏光板は、前記ヘッドアップディスプレイの外部から前記反射型偏光板に照射された外光が正反射した正反射光が、前記使用者の位置とは異なる位置へと向かう角度に配置されていることとしても良い。
このような構成とすれば、反射型偏光板で外光が反射する場合であっても、使用者における反射光に起因する視認性の低下を防止することができる。
本発明のヘッドアップディスプレイにおいて、さらに、
前記反射型偏光板での反射に先立って、拡散光である前記光の発散角をより小さくする発散角調節部を備えることとしても良い。
このような構成によれば、虚像が形成されることによって表示像が表示される位置(虚像位置)を、より遠くにすることができるため、比較的遠くに焦点を合わせている使用者において、表示像を見る際の焦点調節の負担を軽減することができる。
このような本発明のヘッドアップディスプレイにおいて、前記発散角調節部は、前記光射出部と前記反射型偏光板との間に配置された凸レンズであることとしても良い。あるいは、前記発散角調節部は、前記光射出部が射出した前記光を、前記反射型偏光板へと反射する凹面鏡であることとしても良い。このような構成とすることで、拡散光である光の発散角を、容易に小さくすることができる。
本発明のヘッドアップディスプレイにおいて、さらに、前記光射出部と前記反射型偏光板と前記吸光板とを内部に収納すると共に、前記反射型偏光板から前記コンバイナへと照射される前記光が通過する開口部が形成された筐体と、前記開口部に設けられて前記光を透過させる保護ガラスと、を備えることとしても良い。
本発明は、上記以外の種々の形態で実現可能であり、例えば、ヘッドアップディスプレイに備えられて光を射出する表示器における外光による熱に起因する劣化の抑制方法などの形態で実現することが可能である。
図1は、本発明の好適な一実施例としてのヘッドアップディスプレイ装置10の概略構成を表わす説明図である。ヘッドアップディスプレイ装置10は、液晶表示装置20と、レンズ24と、反射型偏光板26と、コンバイナ28と、筐体30と、を備えている。このような本実施例のヘッドアップディスプレイ装置10は、車両に搭載され車両に係る情報等を、使用者である運転者の視界に重ねて表示するための装置である。ここで、コンバイナ28は、車両のフロントガラスの一部の上に重ねて形成しても良いし、フロントガラス全体をコンバイナ28として形成しても良い。ヘッドアップディスプレイ装置10におけるコンバイナ28以外の構成要素は、筐体30内に収納されて、ダッシュボードやインストルメントパネルの内側等、運転席の近傍に配置されている。
液晶表示装置20は、光15を射出する光射出部であって、液晶ライトバルブ21と、光源22とを備えている。光源22としては、蛍光管、発光ダイオード(LED)、ハロゲンランプ、高圧水銀ランプなど、種々の光源を利用可能であり、得られる光量や消費電力等を考慮して、適宜選択すればよい。液晶ライトバルブ21は、液晶から成る層を、透過する光の偏光方向がそれぞれ直交する2枚の偏光フィルタで挟持した構造を有するTN型液晶ライトバルブである。光源22から射出された光は、液晶ライトバルブ21において映像信号(表示信号)に応じて変調され、液晶表示装置20からは、光15として、直線偏光光が射出される。
液晶表示装置20から射出された光15は、凸レンズであるレンズ24を透過する。このとき、拡散光である光15は、レンズ24を透過することによって発散角が変更され、発散角がより小さくなる。このように、レンズ24は、光15の発散角を調節する発散角調節部として機能しており、光15の発散角が小さくなることにより、後述する表示像の虚像位置がより遠くになる。
レンズ24を透過した光15は、反射型偏光板26において反射される。反射型偏光板26は、照射される光に含まれる特定方向の偏光光を反射する偏光子であり、例えば、ワイヤグリッド偏光子により構成することができる。ここで、本実施例では、反射型偏光板26の光軸は、液晶表示装置20から射出された直線偏光光である光15が反射するように合わされており、光15は、反射型偏光板26においてほぼ100%が反射する。
反射型偏光板26において反射した光15は、コンバイナ28でさらに運転者側へと反射して、光15による表示像が運転者に視認される。コンバイナ28をフロントガラスの一部の上に重ねて形成する場合には、コンバイナ28は、例えば、金属膜や誘電多層膜を蒸着したハーフミラーによって形成することができる。ここで、光15が含む表示情報は、図1に示す虚像位置に虚像が形成されることにより、運転者によって視認される。既述したように、光は、反射型偏光板26での反射に先立ってレンズ24を透過することにより発散角がより小さくなっているため、表示像の虚像位置は、レンズ24を設けない場合に比べてより遠くなる。図2は、液晶表示装置20から射出された拡散光である光が、レンズ24を透過して発散角が小さくなり、その後、反射型偏光板26およびコンバイナ28で反射して、より遠い位置で虚像を形成する様子を表わす。なお、図2では、光15の光源である液晶表示装置20とレンズ24との距離が、レンズ24の焦点距離よりも短い場合の光15の様子を表わしている。
このようなヘッドアップディスプレイ装置10を搭載する車両において、車両内に外光が入りこむと、その一部は反射型偏光板26に入射して、反射型偏光板26で反射し得る。反射型偏光板26に入射する外光の内、反射型偏光板26で反射した光15がコンバイナ28へと照射される際の光路を逆向きに入射する外光は、反射型偏光板26において液晶表示装置20側へと反射される。反射型偏光板26に入射するその他の角度の外光は、反射型偏光板26で反射されて、そのほとんどがヘッドアップディスプレイ装置10を収納する筐体30の内壁面に吸収される。このように反射型偏光板26で外光が反射する際には、外光の内の50%が反射されて、残りの50%の外光は反射型偏光板26を透過する。ここで、反射型偏光板26を透過した外光のほとんどは、筐体30の内壁面に吸収される。なお、筐体30の内壁面による透過光の吸収が不十分となる場合には、筐体30内において、反射型偏光板26の裏側(光が反射される側とは反対側)に黒色板等の吸光板32を配置して(図1参照)、透過光の吸収を確保しても良い。
以上のように構成された本実施例のヘッドアップディスプレイ装置10によれば、光射出部である液晶表示装置20から射出された光がコンバイナ28へと照射される光路の途中に、反射型偏光板26が配置されているため、外光が光射出部へと反射される場合であっても、反射される光量を削減することができる。そのため、外光の照射に起因する光射出部の劣化や性能低下、具体的には液晶ライトバルブ21の劣化や性能低下を抑制することができる。
さらに、本実施例のヘッドアップディスプレイ装置10によれば、光射出部へと照射される外光を削減するために、強度に優れて耐久性が高い反射型偏光板を用いている。そのため、外光の入り込みを抑えるために例えば吸収型偏光板を用いる場合とは異なり、ヘッドアップディスプレイ装置10全体の耐久性が低下することもない。
また、本実施例によれば、反射型偏光板26において光15の略100%が反射されるように、液晶ライトバルブ21の偏光板の光軸が合わされているため、液晶表示装置20から射出される光15を、効率良く表示に寄与させることができる。
さらに、本実施例によれば、光射出部からコンバイナ28へと照射される光15の光路の向きを途中で変更させる反射板として、反射型偏光板26を用いているため、この反射板で外光が運転者側へと反射する場合であっても、反射する外光の光量を50%に削減することができる。これにより、外光の反射が起こる場合であっても、運転者における反射光に起因する視認性の低下を抑えることができる。
なお、このような反射型偏光板26での外光の反射に起因する視認性の低下を抑えるには、車両に設けられたウインドウの位置等を考慮して、車両内に如何なる向きから外光が入りこんだ場合にも、反射型偏光板26に入射した外光の正反射光が、運転者の位置とは異なる位置へと向かうように、反射型偏光板26の向きを設定することとしても良い。これにより、運転者の視認性を、より充分に確保することができる。あるいは、反射型偏光板26および液晶表示装置20を収納する筐体において、反射型偏光板26からコンバイナ28へと照射される光15が通過する開口部近傍の形状を所定の形状とすることにより、反射型偏光板26へ入射した外光の運転者への反射を妨げても良い。
また、本実施例によれば、液晶表示装置20から射出された光15を、反射型偏光板26での反射に先立って、発散角調節部であるレンズ24に透過させて、光15の発散角をより小さくしており、これによって、表示像である虚像の形成位置を、より遠くにしている。したがって、比較的遠くに焦点を合わせて運転を行なっている運転者が表示像を見る場合に、焦点を調節する負担を軽減することができる。ただし、発散角調節部であるレンズ24を設けない構成とすることも可能である。このような場合には、虚像位置は、より近くなるものの、外光の反射を抑える同様の効果を得ることができる。
なお、厳密には、レンズ24を光15の発散角を小さくする発散角調節部として用いるためには、レンズ24と液晶表示装置20との距離が、レンズ24の焦点距離よりも近くなるように、レンズ24および液晶表示装置20を配置すればよい。このような位置にレンズ24および液晶表示装置20を配置すると、特に、レンズ24と液晶表示装置20との距離をレンズ24の焦点距離とする場合には、表示像の虚像位置は無限遠となる。このように、レンズ24および液晶表示装置20の配置によって、表示像の虚像位置は変化する。そのため、レンズ24を用いる場合には、運転者における焦点調節の負担をより軽減できるように、運転者の通常の焦点の位置を考慮して、レンズ24および液晶表示装置20の配置を適宜設定すればよい。
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
変形例1:
実施例では、光射出部は、直線偏光光を直接射出する液晶表示装置20としたが、異なる構成としても良い。例えば、LED表示装置や蛍光表示管、あるいは、エレクトロルミネッセンス(EL)のディスプレイを用いることができる。ただし、光射出部から射出される光が偏光光ではない場合には、光の半分が反射型偏光板26を透過することになる。そのため、光が表示に寄与する効率を確保するためには、反射型偏光板に応じた直線偏光光を射出する光射出部を用いることが望ましい。
変形例2:
実施例では、表示像の虚像位置をより遠くにするために光15の発散角を調節する発散角調節部として凸レンズを設けたが、異なる構成としても良い。例えば、凹面鏡によって発散角調節部を形成することもできる。このような構成のヘッドアップディスプレイ装置110を、変形例として図2に示す。ヘッドアップディスプレイ装置110は、レンズ24に代えて凹面鏡124を備える以外は、実施例のヘッドアップディスプレイ装置10と同様の構成を備えるため、実施例と共通する構成要素には同じ参照番号を付して、詳しい説明を省略する。
ヘッドアップディスプレイ装置110では、液晶表示装置20から射出された光15は、凹面鏡124で反射された上で反射型偏光板26へと入射し、反射型偏光板26で反射されてさらにコンバイナ28へと照射される。このような凹面鏡124を用いることによって、拡散光である光15の発散角を変更させて、光15を、発散角がより小さな拡散光とすることが可能になる。したがって、レンズ24を配置した実施例と同様に、表示像の虚像位置を、より遠くすることができる。このようなヘッドアップディスプレイ装置110においても、反射型偏光板26を用いることにより、反射型偏光板26および凹面鏡124で反射して光射出部へと照射される外光の光量を削減する同様の効果が得られる。
変形例3:
図1に示した実施例のヘッドアップディスプレイ装置10では記載していないが、反射型偏光板26や光射出部を収納する筐体において、反射型偏光板26からコンバイナ28へと照射される光15が通過する開口部に、保護ガラスを設けても良い。このような構成とすれば、筐体内の装置を、塵埃から保護し、装置の信頼性を高めることができる。このとき、車両内に入った外光の一部は保護ガラスで反射するが、保護ガラスを透過して反射型偏光板26へと入射する外光に関しては、その半分が反射型偏光板26を透過することにより、光射出部への外光の照射あるいは運転者への反射を抑える同様の効果が得られる。
ヘッドアップディスプレイ装置10の概略構成を表わす説明図である。 射出された光が虚像形成する様子を表わす説明図である。 ヘッドアップディスプレイ装置110の概略構成を表わす説明図である。
符号の説明
10,110…ヘッドアップディスプレイ装置
15…光
20…液晶表示装置
21…液晶ライトバルブ
22…光源
24…レンズ
26…反射型偏光板
28…コンバイナ
30…筐体
32…吸光板
124…凹面鏡

Claims (7)

  1. 使用者の視界に重ねて所定の表示像を表示するヘッドアップディスプレイであって、
    前記表示像に係る表示信号に基づく光を射出する光射出部と、
    前記光が照射されて、前記光が含む所定の偏光光を反射する反射型偏光板と、
    前記反射型偏光板に反射された前記所定の偏光光が照射されて、前記偏光光を前記使用者側へと反射して、前記偏光光による表示像を視認可能にするコンバイナと
    前記ヘッドアップディスプレイの外部から前記反射型偏光板に照射されて前記反射型偏光板を透過した外光を、吸収可能な位置に配置された吸光板と、
    を備えるヘッドアップディスプレイ。
  2. 請求項1記載のヘッドアップディスプレイであって、
    前記光射出部が射出する前記光は、前記反射型偏光板で反射される直線偏光光である
    ヘッドアップディスプレイ。
  3. 請求項1または2記載のヘッドアップディスプレイであって、
    前記反射型偏光板は、前記ヘッドアップディスプレイの外部から前記反射型偏光板に照射された外光が正反射した正反射光が、前記使用者の位置とは異なる位置へと向かう角度に配置されている
    ヘッドアップディスプレイ。
  4. 請求項1ないし3いずれか記載のヘッドアップディスプレイであって、さらに、
    前記反射型偏光板での反射に先立って、拡散光である前記光の発散角をより小さくする発散角調節部を備える
    ヘッドアップディスプレイ。
  5. 請求項4記載のヘッドアップディスプレイであって、
    前記発散角調節部は、前記光射出部と前記反射型偏光板との間に配置された凸レンズである
    ヘッドアップディスプレイ。
  6. 請求項4記載のヘッドアップディスプレイであって、
    前記発散角調節部は、前記光射出部が射出した前記光を、前記反射型偏光板へと反射する凹面鏡である
    ヘッドアップディスプレイ。
  7. 請求項1ないし6いずれか記載のヘッドアップディスプレイであって、さらに、
    前記光射出部と前記反射型偏光板と前記吸光板とを内部に収納すると共に、前記反射型偏光板から前記コンバイナへと照射される前記光が通過する開口部が形成された筐体と、
    前記開口部に設けられて前記光を透過させる保護ガラスと、
    を備えるヘッドアップディスプレイ。
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