JP4940243B2 - 改良されたくすぶり特性を有する喫煙製品ラッピング材料 - Google Patents

Description

本発明は、喫煙物品、たとえばシガレットに、一方では燃焼している製品をその面全てに十分に空気にさらす自由燃焼（freeburn）状態に制御すると喫煙物品が妨害されずに燃焼し、また他方ではそれ自体が可燃性であってもよい基材と接触すると自己消火するような、制御された自由燃焼特性を与える、改良された喫煙物品ラッピング材料に関するものである。

関連分野では、たとえばポリマー、ケイ酸塩、多糖類および誘導体のような物質を、水溶液および非水溶液で、十分な量、適切な幾何学的分布で、喫煙物品のベースラッピング紙、好ましくはシガレット紙に塗布することが公知であり、それにより喫煙物品ラッピング材料の燃焼特性に影響を及ぼすためである。

ＷＯ−Ａ−０３／０３４８４５号には、自己消火する傾向が高められたシガレットが記載されており、このシガレット紙はポリマーの存在により多孔度が低減された環状の帯域を有する。使用するポリマーは、特にポリ酢酸ビニル、部分的に加水分解されたポリ酢酸ビニルまたはポリビニルアルコールを含む。

米国特許出願第２００２０１２９８２４号には、着火する傾向が低いシガレットを作るための、紙の表面に印刷された熱可塑性ポリマーの複数の帯域を有するベース紙を含む、シガレット紙が開示されており、ここでベース紙のその複数の帯域は、コレスタ（Coresta）多孔度０〜１４．９CU（＝コレスタ単位、１CU＝１cm²/cm＊cm³分、圧力差１kPa、推奨CORESTA［Cooperative Centre for Scientific Research Relative to Tobacco, Paris, France] 試験法No.40： Determination of Air Permeability of Materials used as Cigarette Paper, Filter Plug Wrap and Filter Joining Paper including Materials Having an oriented Permeable Zone, October 1994, Bulletin 1994-3/4に公表、にしたがう）を有する。この特許出願で用いる熱可塑性ポリマーは、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、Ｎ−置換アクリルアミド、ポリ（ビニルメチルエーテル）、ポリ（エチレンオキシド）、ポリ（ビニルアルコール）、ポリ（２−エチルオキサゾリン）、メチルセルロースエーテル、酢酸セルロース、酢酸フタル酸セルロースおよび酢酸酪酸セルロースを含む。

ＷＯ−Ａ−０２／０６７７０４号には、少なくとも１つの帯域に、ベースラッピング材料の透過性を低減するための組成物が塗布された喫煙物品ラッピング材料が開示されており、この組成物は透過性を低減する物質、燃焼速度遅延物質および燃焼速度加速物質を含む。ベースラッピング材料の透過性を低減する物質は、特に多糖類、たとえばスターチ、変性スターチ、スターチ誘導体、セルロース、セルロース誘導体、キトサン、キトサン誘導体、キチン、キチン誘導体、アルギン酸塩、アルギン酸塩誘導体およびこれらの組合せから選択される。

経験から、帯域のない喫煙物品ラッピング紙の、あるいは塗布された多孔度変化帯域のない部分において、多孔度は２０〜２００CUの範囲にあるのに対して、塗布された帯域では通常極めて低く、通常シガレットの構造に応じて３〜１５CUである。一方では塗布された帯域における多孔度の違いがまた他方ではベースシガレット紙の違いが、減じていない多孔度を有するシガレット紙と比べて、煙成分の量および組成を変えるが、それは関連技術において望ましくないと考えられるに違いない。したがって、帯域における多孔度がこれまで公知のレベルより高いシガレット紙が、特に対象となり、それは、この場合、煙成分の量および組成は変化がより小さなことを経験するからである。

本発明の目的は、上述した問題を克服し、そして、特に自由燃焼特性を変えた喫煙物品ラッピング材料を提供することである。

本発明の本発明者らは、驚くべきことには、この目的が、少なくとも不連続の帯域において、乾燥品の粒子サイズ（重みつき平均）が１〜１０００μmの範囲の機械破砕され化学架橋された多糖を含む組成物が塗布されたベースラッピング材料を含む喫煙物品ラッピング材料により達成されることを見出した。

本発明によれば、機械破砕され化学架橋された多糖として、機械破砕されかつ化学架橋されたスターチ、変性スターチ、スターチ誘導体、セルロース、セルロース誘導体、キトサン、キトサン誘導体、キチン、キチン誘導体、アルギン酸塩、アルギン酸塩誘導体またはこれらの組み合わせ、好ましくは機械破砕され化学架橋されたスターチを用いることができる。

機械破砕され化学架橋された多糖は、たとえば押出機を用いる剪断作用およびその後の膨張により微粉砕される多糖であり、この多糖を、たとえば酸化または還元のような広範な化学反応に付してもよい。

スターチを用いる場合、用いる粒状の最初のスターチは、たとえば天然のスターチまたは酸化的分解、熱分解もしくは加水分解されたスターチ、またはこれらの化学変性エーテルおよびエステル誘導体とすることができる。

イオン化多糖誘導体は、たとえば次のカチオン化剤またはアニオン化剤：３−クロロ−２−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、２，３−エポキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、３−クロロ−２−ヒドロキシプロピルジメチルドデシルアンモニウムクロリド、３−クロロ−２−ヒドロキシプロピルジメチルオクタデシルアンモニウムクロリド、モノクロロ酢酸ナトリウム、無水酢酸および／または無水マレイン酸を用いて、置換度（ＤＳ）０．０２〜０．１の範囲で製造することができる。

架橋のために、多糖分子の少なくとも２個の遊離ヒドロキシル基と反応することができる２官能または多官能剤０．１〜０．８重量％（多糖の重量に基づいて計算された、顆粒の形で）と、スターチ顆粒とを反応するのが好ましい。本発明により、用いることができる２官能または多官能剤は、たとえば脂肪族のエポキシハロゲンまたはジハロゲン化合物、ホスホロイルハライド、アルカリ金属メタホスフェート、アルデヒド（アルデヒド樹脂を含む）、酸無水物および多官能試薬、たとえばシアヌル酸クロリドよりなる群から選択される。

化学変性反応は、押出の前ばかりでなく、押出機内でもまた行うことができる。それを押出前に行うのが理にかなっていることがあり、それはその場合には押出機中での破砕およびその後の粉砕された生成物の水への分散がより小さな断片を有する分散液を生成するからである。

スターチは、出発原料として塊茎および根のスターチならびに穀物のスターチに由来するのが好ましい。代表的な塊茎および根のスターチは、ジャガイモスターチおよびタピオカスターチであり；入手が容易な穀物スターチは、トウモロコシスターチまたは小麦スターチである。しかし、前述のスターチの唯一の利点は、それらが現在のところ市場で入手するのが容易であるという点であり、有用なスターチはこれらのスターチに制限されない。天然の、酸化的分解、熱分解もしくは加水分解された、ならびに化学変性された塊茎、根または穀物スターチよりなる群から選択される１種以上のスターチの混合物を用いることもできる。原料として塊茎、根または穀物の粉末も使用することができる。

押出機（一軸スクリュー押出機ばかりでなく、二軸スクリュー押出機も）を使用して、たとえばジャガイモスターチ顆粒から所定の破砕処理を行うことができ、最終の乾燥品２mm未満の顆粒寸法、好ましくは１mm未満を、平均粒子サイズ約５００μmに粉砕する。

架橋された多糖顆粒を機械的および熱的微粉砕すると、その表面が配列した分子区域から構成されず、密でなく（ルーズで）、部分的に加水分解された多糖ストランドにより形成される断片が生じる。水中での膨潤後、「柔らかい」この層は、ファイバーと接触のより広い面積を可能にし、したがって多糖粒子のファイバーへのより固い結合を可能にする。

本発明によれば、ベースラッピング材料に塗布する組成物は、場合により溶剤ならびに機械破砕され化学架橋された多糖を含むことができる。

本発明によれば、溶剤は、水および／または有機溶剤とすることができる。有用な有機溶剤は、たとえばイソプロパノール、エタノール、ジメチルアセトアミド、Ｎ−メチルピロリドンおよび／またはＮ−メチル−モルホリンＮ−オキシドを含む。

ベースラッピング材料に塗布する組成物は、場合によりさらに充填剤、燃焼速度遅延物質および／または燃焼速度加速物質を含むことができる。

本発明によれば、有用な充填剤は、炭酸カルシウム、カオリン、二酸化チタン、タルクおよび酸化マグネシウムから選択することができる。

本発明によれば、リン酸水素二ナトリウムは、有用な燃焼速度遅延物質である。

本発明によれば、有用な燃焼速度加速物質は、ナトリウム、カリウムおよびマグネシウム塩のようなアルカリ金属またはアルカリ土類金属塩、または酢酸塩、クエン酸塩、リンゴ酸塩、乳酸塩および酒石酸塩のようなカルボン酸塩、特にクエン酸塩を含む。

組成物は、本発明により用いる機械破砕され化学架橋された多糖類に加えて、さらに別のベースラッピング材料の多孔度を変える物質を含んでもよい。特に機械的破砕および化学物質架橋に付されていない多糖類、たとえばスターチ、変性スターチ、スターチ誘導体、セルロース、セルロース誘導体、キトサン、キトサン誘導体、キチン、キチン誘導体、アルギン酸塩、アルギン酸塩誘導体またはこれらの組み合わせが、本明細書では適切である。

なお、ベース喫煙物品ラッピング材料に塗布する組成物への上述した任意の添加剤（充填剤、溶剤、燃焼速度遅延および／または燃焼速度加速物質）は、場合による。

ベース喫煙物品ラッピング材料に塗布する組成物中のそれぞれの成分の割合は、いずれの場合も組成物の固形分に基づいて、化学架橋され機械破砕された多糖、特にスターチが通常２０〜１００％、好ましくは４５〜１００％、特に７０〜１００％、適切ならば従来より用いられる多糖が０〜４０％、好ましくは０〜２０％、適切ならば充填剤が０〜５０％、好ましくは０〜３０％、そして場合により燃焼速度遅延および／または加速物質が０〜６％、好ましくは０〜３％である。

本発明により用いられるベースラッピング材料は、通常、たとえば亜麻、軟材または硬木から得られるセルロースファイバーからなる。ベースラッピング材料の特性を変えるために、所望の場合、セルロースファイバーの種々の混合物をベースラッピング材料として用いることができる。ベースラッピング材料は、通常、さらに充填剤および燃焼速度促進または加速物質を含む。

本発明により用いられる喫煙物品ラッピング材料の坪量は、通常１５〜６０g/m²の範囲、好ましくは１８〜４０g/m²の範囲にある。

本発明は、さらに、前述した喫煙物品ラッピング材料の製造方法であって、乾燥品の粒子サイズ（重みつき平均）が１〜１０００μmの範囲の機械破砕され化学架橋された多糖を含む組成物を、ベース喫煙物品ラッピング材料の少なくとも不連続の帯域に塗布することを含む方法を提供する。

本発明によれば、ベース喫煙物品ラッピング材料への組成物の塗布は、たとえば、通常ベース喫煙物品ラッピング材料の製造後、噴霧または印刷技術、好ましくはグラビア印刷技術を用いて行う。

これらの方法は、当業者に公知であり、特許文献に完全に記載されており、故に塗布の有用な方法の詳細な説明はここでは必要ない。

さらに、本発明の特に好ましい態様では、組成物のベース喫煙物品ラッピング材料への塗布は、機械方向に対してほぼ横の出口スロットを有する圧力ノズルによって行うこともできる。本発明による有用な圧力ノズルは、通常、流入圧力下インナーチャンバを有するノズル、ノズルスロットへの流出を制御するために制御され高速反応するバルブ、および望ましい塗布に適応させるノズル／出口スロット配置を含む。

このような圧力ノズルの使用は、記載した使用に必要な不連続の領域における、ベース喫煙物品ラッピング材料への連続的なまたは断続的な材料の塗布を可能にする。個々に制御可能な複数のノズルを、望ましい塗布のためにモジュラー形態で組み合わせることもできる。

塗布媒体に適切な粘度を付与する方法が、透明で、前および後ろの端の境界を正確に画定された、均一なコーティングを与える。噴霧法ではないので、不連続の領域外側に、塗布された材料の望ましくない個々の液飛びがない。

本発明によれば、上述した塗布の方法の一つによる、塗布する組成物のベース喫煙物品ラッピング材料への塗布を、ベース喫煙物品ラッピング材料の少なくとも不連続の帯域において行い、所望の場合、ベース喫煙物品ラッピング材料全体にも行う。

ベース喫煙物品ラッピング材料に塗布する組成物の量は、通常、ベース喫煙物品ラッピング材料の０．１〜１０g/m²、好ましくは０．３〜２g/m²の範囲にある。

塗布は、通常、得られた喫煙物品ラッピング材料上に、あったとしても、塗布がほとんど眼に見えないように行い、処理された帯域は、未処理の帯域のそれと実質的に等しい平滑で均一なコンシステンシーを有する。

塗布された帯域の幅および間隔は、一連の変数、たとえばベース喫煙物品ラッピング材料の多孔度、タバコ棒状体の組成の密度、などに依存する。帯域は通常、幅が少なくとも３mm、好ましくは５〜１０mmである。

帯域間の距離も一連の変数に依存する。帯域は通常、１〜３０mm、好ましくは１０〜２５mm離した間隔を置くべきである。

通常、喫煙物品ラッピング紙は、前述したように離して間隔を置かれた１〜３箇所の処理された環状の帯域を（その巻かれた形で）含有する。

一般に、喫煙物品ラッピング材料は、これらの帯域の領域において低減された多孔度を有し、そのため、自由な空気の接近が損なわれるならばシガレットはこの領域で自己消火する。自己消火する傾向を測定するために、本発明は一般に認められた標準、ＮＩＳＴ試験をＮＩＳＴ Ｔｅｃｈｎｉｃａｌ Ｎｏｔｅ １４３６にしたがって使用する。本発明はさらに一般的な分野で慣例の自由燃焼試験を使用し、これにより、空気が自由に接近できる状態で、ホルダーに固定されたシガレットを一度着火する。自由燃焼について成功した試験では、シガレットは、ホルダー中で点火した後、消火せずに完全に燃焼する。そうではなく、それが完全に燃焼してしまう前にシガレットが消火する場合には、この試験は合格していないか、または部分的にだけ合格している。

本発明により特許請求された喫煙物品ラッピング材料を用いると、喫煙物品は、空気が自由に接近できる場合は妨害されずに全焼するが、それ自体が可燃性であってよい基材上では自己消火する。これにより、本発明の喫煙物品ラッピング材料を自己消火喫煙物品用のラッピングとして用い、そしてこの喫煙物品が燃えている状態で可燃性基材、たとえば布地（カーペット、布張り家具）と接触するならば、喫煙物品が火事を引き起こす傾向を低減することができるようになる。

本発明は、さらに、タバコ棒状体と、少なくとも不連続の帯域において乾燥品の粒子サイズ（重みつき平均）が１〜１０００μmの範囲の機械破砕され化学架橋された多糖を含む組成物が塗布されたベースラッピング材料を含む喫煙物品ラッピング材料と、フィロケイ酸塩と、適切ならばフィルターとを含む喫煙物品を提供する。

実施例：
実施例１
試験シガレットを製造した。そのために、幅７mmの不連続のバンドを、１８mm離して、白熱燃焼可能なＣｉｇｌａ５５標準のシガレット紙（多孔度５５CU、Julius Glatz GmbH、Neidenfels）上にグラビア印刷した。用いた印刷媒体は、化学架橋されかつ機械破砕されたジャガイモスターチ（Ｆ６４９３、Emsland-Starke GmbH、Emlichheim）の１３．５％水性懸濁液であった。塗布された領域での多孔度は、１４CUであった。ＮＩＳＴ試験および自由燃焼試験は、１００％合格した。

比較例１
用いた印刷媒体が、フィルム形成の極めて有能なジャガイモスターチヒドロキシプロピルエーテル（Emsize E2、Emsland- Starke GmbH）の７．５％水溶液である以外は、実施例１と同様に試験シガレットを製造した。塗布された領域での多孔度は１４CUであり、自由燃焼試験は１００％合格したが、ＮＩＳＴ試験はわずか６３％であった。

実施例２
用いた印刷媒体が、実施例１の化学架橋されかつ破砕されたジャガイモスターチ（Ｆ６４９３）の１２．５％懸濁液である以外は、実施例１と同様に試験シガレットを製造した。塗布された領域での多孔度は２５CUであり、ＮＩＳＴ試験および自由燃焼試験は、１００％合格した。

比較例２
用いた印刷媒体が、ジャガイモスターチヒドロキシプロピルエーテル（Ｅｍｓｏｌ Ｋ １１５、Emsland-Starke GmbH、Emlichheim）の８％水中懸濁液である以外は、実施例１と同様に試験シガレットを製造した。多孔度は３７CUであり、自由燃焼は合格し、ＮＩＳＴ試験は合格しなかった。

Claims (10)

1. 少なくとも不連続の帯域において、乾燥品の粒子サイズ（重みつき平均）が１〜１０００μmの範囲の機械破砕され化学架橋された多糖を含む組成物が塗布されているベースラッピング材料を含む、喫煙物品ラッピング材料。
2. 機械破砕され化学架橋された多糖が、化学架橋され機械破砕されたスターチを含む、請求項１記載の喫煙物品ラッピング材料。
3. 組成物が、乾燥品の粒子サイズ（重みつき平均）が１〜１０００μmの範囲の化学架橋され機械破砕されたスターチだけを含む、請求項２記載の喫煙物品ラッピング材料。
4. 組成物がさらに多糖を含む、請求項１または請求項２記載の喫煙物品ラッピング材料。
5. 組成物がさらに充填剤、燃焼速度遅延物質および／または燃焼速度加速物質を含む、請求項１、２または４のいずれか１項記載の喫煙物品ラッピング材料。
6. 乾燥品の粒子サイズ（重みつき平均）が１〜１０００μmの範囲の機械破砕され化学架橋された多糖を含む組成物を、ベース喫煙物品ラッピング材料の少なくとも不連続の帯域に塗布することを含む前記組成物が塗布されている喫煙物品ラッピング材料の製造方法。
7. 塗布を印刷または噴霧により行う、請求項６記載の方法。
8. 塗布を、圧力ノズルを用いて行う、請求項６記載の方法。
9. 不連続の帯域を得るための組成物中の塗布すべき物質が、水、水と有機溶剤との混合物中、有機溶剤または有機溶剤の混合物中に存在する、請求項６〜８のいずれか１項記載の方法。
10. タバコ棒状体と、少なくとも不連続の帯域において、乾燥品の粒子サイズ（重みつき平均）が１〜１０００μmの範囲の機械破砕され化学架橋された多糖を含む組成物が塗布されているベースラッピング材料を含む喫煙物品ラッピング材料と、適切ならばフィルターとを含む喫煙物品。