以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態におけるノズル装置を使用した衛生洗浄装置を便器に設置した状態の斜視図を示すものである。図2は、ノズル装置全体の外観の斜視図を示すものである。図3(a)は、ノズル装置全体の上ケースを外した状態の斜視図を示すものである。図3(b)は、図3(a)中のA方向からノズルユニットを見た場合の平面図である。図4は、ノズル装置のお尻洗浄位置での斜視図を示すものである。図5は、ノズル装置のビデ洗浄位置での斜視図を示すものである。図6(a)、(b)は、ノズル装置の先端部の詳細断面図を示すものである。
図1に示すように、便器10の上面には衛生洗浄装置11が設置されている。衛生洗浄装置11の後部に配設した本体12には、便座13と便蓋14が回動自在に枢支してある。また、本体12の前部には本実施の形態1のノズル装置15が設置してある。本体12の内部には、ノズル装置15に洗浄水を供給する洗浄水供給手段(図示せず)やノズル装置15と洗浄水供給手段等を制御する制御手段(図示せず)等が配設してある。また、衛生洗浄装置11の構成部品として、入室検知センサ600が、トイレ室内に設置されている。
入室検知センサ600は、トイレ装置が設置された個室内に使用者が侵入してきたことを検知するためのセンサであり、例えばトイレットルームの個室の入り口付近に取り付けられる。入室検知センサ600は、例えば反射型の赤外線センサを用いる。この場合、入室検知センサ600は、使用者がドアを開けて入室したときに使用者から反射された赤外線を検出することで、トイレットルームの個室内に使用者が入室してきたことを検知し、本体12の内部に設けられた制御部にその旨を伝える信号を送信する。
図2、図3(a)に示すように、樹脂材料で成型したケーシング16は、上下に分離可能な上ケース17と下ケース18とを組み合わせた構成である。ケーシング16の中央部には略円筒形のノズルガイド19が形成してあり、ノズルガイド19の一端には先端開口部20が設けてある。ノズルガイド19内には、円筒形のノズルユニット21が摺動自在に設置してある。つまり、ノズルユニット21は、図2に示す、ノズルユニット21をノズルガイド19内に収容した収納位置と、図4、図5に示す、ノズルユニット21が先端開口部20より突出した洗浄位置との間を進退可能な構成となっている。
ノズルユニット21は、略円筒形のノズル本体22と、ノズル本体を収容する略円筒形状のノズルカバー23と、ノズル本体22でノズルカバー23を牽引する連結手段24とで構成している。
ノズル本体22は、図6(a)に示すように、根元部分の外径が大きい大径部25と先端部分の外径が小さいビデノズル部26とから構成してあり、大径部25とビデノズル部25の中心位置は異なりビデノズル部26は大径部25の下部に配置してある。また、大径部25は、前記ノズルカバー23の内径より僅かに小さい外径であり、ノズル本体22とノズルカバー23が互いにスムーズに摺動可能な寸法関係となっている。ノズル本体22は樹脂材料で成型したものであるがビデノズル部26はその全体をステンレス製のカバーで覆ってある。
図3(b)は、図3(a)中のA方向からノズルユニットを見た場合の平面図である。図6(a)は、図3(b)中のA−A線断面図である。図6(b)は、図3(b)中のB−B線断面図である。図3(b)に示すように、ノズルカバー23の先端面には、プレ洗浄用の開口部100が設けられている。
また、ノズル洗浄流路30には、図6(b)、図9(a)に示すように、プレ洗浄のときに洗浄水が噴出するプレ洗浄噴出口300とノズルクリーニングのときに洗浄水が噴出するノズル洗浄噴出口33a、33bとが形成されている。この構成により、図18、22に示すように、ノズル本体22が最前方まで移動すると、ノズル洗浄流路30のプレ洗浄噴出口300と開口部100とが連接する。連接した状態でノズル洗浄流路30に洗浄水を流すと、洗浄水は開口部100から前方に飛び出し、便器内に拡散するので、便器のプレ洗浄を行うことができるものである。
図7は、図6(a)中のA−A線断面図を示し、図8は、図6(a)中のB−B線断面図を示すものである。図7に示すように、ノズル本体22の内部には、お尻洗浄流路28と、ビデ洗浄流路流路29と、ノズル洗浄流路30の3本の流路が形成してある。
お尻洗浄流路28は、根元の部分から大径部25の先端部近傍まで配置してあり、図6(a)に示すように、その先端は大径部25の上面に設けたお尻洗浄噴出口31に連接している。ビデ洗浄流路29は、根元の部分からビデノズル部26の略先端部まで配置してあり、その先端はビデノズル部26の上面に設けたビデ洗浄噴出口32に連接している。ノズル洗浄流路30は、根元の部分から大径部25の略先端部まで配置してあり、図8に示すように、その先端は大径部25の外側面と下方に設けたノズル洗浄噴出口33a、33bとプレ洗浄噴出口300に連接している。
ノズル本体22内に3本の流路を配設するために、図7に示すようにお尻洗浄流路28とノズル洗浄流路30はノズル本体22の中心に対して左右対称に配置してあり、お尻洗浄流路28はノズル本体22の中心から水平方向にずれた場所に位置してある。
一方、図8に示すようにお尻洗浄噴出口31は、ノズル本体22の中心に配置してあり、図10に示すようにお尻洗浄流路28はお尻洗浄噴出口31の近傍で湾曲した湾曲部28bを介してお尻洗浄噴出口に連接している。
図9(a)は、ノズル本体22の先端の要部斜視図であり、図9(b)は、ノズル本体22の先端の要部断面図である。図10(a)は、湾曲部28bの詳細を示ものであり、図10(b)は、ノズルカバー23を装着した状態のノズル本体の要部断面図である。図10(a)に示すように湾曲部28bの流路の中央より湾曲の中心寄りに同心の整流壁28cが配置してある。整流壁28cは厚みが0.5mmで上流側の端部と下流側の端部を薄く尖った形状にしており、流路の底から天井に亘って垂直に設置してある。
上記構成の湾曲部28bを形成するために、本実施の形態においてはノズル本体22のお尻洗浄噴出口31の近傍は上下別部品で形成している。図10(a)に示すように、お尻洗浄流路28と整流壁28cを一体で成型したノズル本体基材22aに対し、お尻洗浄流路の開放した部分を覆うように、お尻洗浄噴出口31を有するノズル蓋22bを上方から接着した構成となっている。
お尻噴出口31は、1個の開口部を備えたものであり、図8に示すように、根元の部分は開口面積の大きい大孔部31aと先端部分は開口面積の小さい小孔部31bからなる二段形状で形成しており、大孔部31aの開口面積は小孔部31bの約2倍になっている。
大孔部31aと小孔部31bが切り替わる角の部分は直角に切り立ったエッジ形状で形成している。エッジ形状で形成することにより、流れの剥離が起こりやすくなり洗浄水が断続流となる。断続的に洗浄水が局部に当たることで、洗浄力が高まるとともに人体に強い洗浄であるという感覚が生じるため、実際に局部にかかる荷重よりも強く感じ、高い満足感を与える効果が生まれる。
小孔部31bの厚みが薄い方が剥離が起こりやすく断続流になるが、洗浄噴流の進行方向規制が弱くなるため拡散しやすくなる。逆に厚みを厚くした場合、噴流の拡散は抑えられるが断続感は少なくなるため、本実施の形態においては噴流の拡散と断続感のバランスの最適値として小孔部31bの厚みを0.5mmとしている。
ビデ洗浄噴出口32は、複数の開口部で構成している。またノズル洗浄噴出口33は、図8に示すように、下方に向けて設けた内部洗浄噴出口33aと側面上方に設けた外部洗浄噴出口33bを備えており、2つのノズル洗浄噴出口33a、33bの噴出方向はノズル本体22の直径方向に対しオフセットした方向に設定してある。
お尻洗浄流路28と、ビデ洗浄流路29と、ノズル洗浄流路30根元の部分には、いずれも洗浄水を供給する洗浄水供給口28a、29a、30aが設置してあり流量調整弁61とホースを介して接続してある。流量調整弁61は前記各洗浄流路に対し個別に洗浄水の供給と停止および流量の調節を行う機能を有し洗浄水供給手段(図示せず)とホース(図示せず)を介して接続してある。流量調整弁61は、駆動用のモータを備え制御手段により制御される。また、ノズル本体22の下面には略全長に亘って歯型状のラック34が形成してある。
図11に示すように、ノズルカバー23は、ステンレスの薄板を円筒状に形成したノズルカバー本体23aと樹脂成型品のカバー後端部材23bとで構成している。カバー後端部材23bは下部が解放した略半円筒形状の両側部に水平方向に張り出した連結突起48と位置決め突起51とを備えている。ノズルカバー本体23aとカバー後端部材23bとの接合は、図11、図12に示すように、ノズルカバー本体23aとカバー後端部材23bの重合部23cを重合し、カバー後端部材23bの両側の開放端の近傍に設けた固定突起23dとノズルカバー本体23aに設けた固定穴23eを嵌合することにより固定している。固定穴3eの内径寸法は固定突起23dの外形寸法より多少大きく形成してあり、ノズルカバー本体23aあるいはカバー後端部材23bの寸法に多少誤差が生じても組立が可能な構成となっている。
また、カバー後端部材23bの重合部23cの寸法は他の部分より小さくノズルカバー本体23aの内面と略等しい寸法に成型してあり、カバー後端部材23bとノズルカバー本体23aは密接して重合する構成となっている。
一方、図3(a)に示すように、カバー後端部材23bの上面中央には前方に突出した突起23fが設けてあり、ノズルカバー本体23aの後端部に設けた凹部23gと係合することにより左右方向の移動を規制する構成となっている、突起23fと凹部23gは略同寸法に形成することにより、前記のようにノズルカバー本体23aあるいはカバー後端部材23bの寸法に多少誤差が生じても、ノズルカバー本体23aとカバー後端部材23bを適切な位置に位置決めをした状態で接着剤や接合部材を使用することなく確実に接合している。
上記のようにノズルカバー本体23aとカバー後端部材23bを接合して構成したノズルカバー23の先端面では閉塞面をなし、後端面は開放面となっており、後端面よりノズル本体が挿入可能な形状をなしている。先端面にはノズル本体22のビデノズル部26が貫通可能なビデノズル出入口35が設けてあり、ノズル本体22のビデノズル部26のみがビデノズル出入口35より突出可能な構成となっており、ノズル本体22のビデノズル部26はノズルカバー23のビデノズル出入口35より略全体を突出した状態と収容した状態の間を移動可能となっている。
また、図6(b)、図12、図22に示すように、ノズルカバー23の先端面の閉塞面にはノズル本体22のプレ洗浄噴出口300に対応する位置にプレ洗浄開口100が設けてあり、ノズル本体22がノズルカバー22より突出した状態で、プレ洗浄噴出口300から噴出した線浄水はプレ洗浄開口100に直接接触することなく通過して噴射される。
ノズルカバー23の上面には、ノズル本体22をノズルカバー23に収容した状態で、ノズル本体22のお尻洗浄噴出口31とノズル洗浄噴出口33bに対応する位置にそれぞれお尻洗浄開口36とノズル洗浄開口37が設けてあり、ノズル本体22をノズルカバー22に収容した状態で、お尻洗浄噴出口31とノズル洗浄噴出口33bから噴出した洗浄水はお尻洗浄開口36とノズル洗浄開口37に直接接触することなく通過して噴射される。
ノズルカバー23の下面後方には、ノズル本体22のラック34に対応する位置にスリット状のラック開口部38が設けてあり、下面前方にはノズルカバー23内の洗浄水を排出する排水口39が設けてある。
ノズル本体22とノズルカバー23と連結手段24からなるノズルユニット21を収容するケーシング16のノズルガイド19は、その後部はノズルカバー23の外径より僅かに大きい内径となっており、ノズルカバー23とノズルガイド19がスムーズに摺動可能な寸法関係となっている。
ノズルガイド19の先端開口20の近傍には内径の大きい洗浄拡大部40が設置してあり、洗浄拡大部40はノズルユニット21の収納位置においてノズル洗浄噴出口33およびお尻洗浄噴出口31を十分にカバーする奥行きとなっている。洗浄拡大部40の内径はノズルカバー23の外面と略全周に亘り僅かな隙間を形成する寸法となっており、前記隙間にノズル洗浄用の洗浄水が流通可能な構成となっている。また、洗浄拡大部40の下部には洗浄水を排出する排水口41が設置してある。
また、ノズルガイド19の先端開口部20の上部に枢支し上下に回動自在なノズルシャタ42が設けてあり、ノズルユニット21をノズルガイド19に収納した状態で先端開口部20を閉塞することができる。ノズルシャタ42はノズルユニット21が洗浄位置に進出するときは、ノズルユニット21の先端で押進することにより上方に開成し、ノズルユニット21が収納位置に収納したときはノズルシャタ42の自重で下方に回動し閉塞する構成である。
図13、図14、図15はノズル装置の駆動の状態を示す断面図であり、図13は収納状態を示し、図14はお尻洗浄状態を示し、図15はビデ洗浄又はプレ洗浄の状態を示すものである。
図に示すように、ケーシング16の下部にはノズル駆動手段43が設置してある。ノズル駆動手段43は駆動モータ44とウォームギア(図示せず)と変速ギア45とピニオンギア46を備え、ピニオンギア46はノズルカバー23のラック開口38を介してノズル本体22の下面に設置したラック34と噛合する位置に設置してある。駆動モータ44の回転はウォームギアと変速ギア45を介して回転数を落としてピニオンギア46に伝達され、ピニオンギア46が回転することにより、ラック34を有するノズル本体22が摺動可能な構成となっている。駆動モータ44は制御手段(図示せず)に接続してあり、制御手段により運転が制御される。また、駆動モータ44の後部には駆動モータ44の回転数を検知する回転検知センサ47が設置してある。
図16〜図21はノズル本体22とノズルカバー23を牽引移動させる連結手段の詳細を示す断面図である。
図に示すように、ノズル本体22とノズルカバー23にはノズル本体22の移動によりノズルカバー23を牽引移動させる連結手段24が設置してある。連結手段24はカバー後端部材23bの一方の側面に設置した連結受部48と、ノズル本体22の後端部に設置した連結部材49で構成している。
図20、図21に示すように、樹脂材料で成型した連結受部48はカバー後端部材23bの一方の側面にノズルカバー23と平行に設置してある。連結受部48の下面には前後に間隔を開けて2ヶ所に前凹陥部48aと後凹陥部48bを設けており、前凹陥部48aと後凹陥部48bの間隔はノズル本体22のビデノズル部26の長さと略等しい寸法となっている。
連結部材49はノズル本体22の後端部の側面に設けてある。ノズル本体22と一体に成型した連結部材本体49aには前記連結受部48に対向する連結片50が設けてあり、連結片50は弾性を有する金属材料で形成し、一端を連結部材49に固定した片持構造で先端に連結突起50aを形成した構成となっており、連結突起50aは前記連結受部48の前凹陥部48aと後凹陥部48bに嵌入する形状となっている。連結突起50aが前凹陥部48aまたは後凹陥部48bに嵌入することにより連結部材49と連結受部48が連結し、ノズル本体22とノズルカバー23が連動可能となる。
また、カバー後端部材23bの連結受部48を設けた反対の側面には位置決め突起51が設けてあり、位置決め突起51はケーシング16のノズルガイド19側部に設けた前ストッパ52と後ストッパ53に当接することによりノズルカバー23の摺動範囲を規制する手段となっている。
また、位置決め突起51の中央部には前後方向に長い摺動規制溝51aが形成してあり、図16〜図19にしめすように連結部材本体49aに設けた摺動規制突起49bが装入してあり、摺動規制溝51a内を摺動規制突起49bが移動することにより、連結部材49と連結受部48相互の摺動範囲を規制する移動規制手段24aを構成している。
なお、摺動規制突起49bの移動範囲は前記前凹陥部48aと後凹陥部48bの離間距離より僅かに長くなっており、ノズル本体22に強い力が加えられ、前凹陥部48aあるいは後凹陥部48bから逆方向に連結突起50aが飛び出すことを規制することができる。
以上のように構成されたノズル装置について、以下その動作、作用を説明する。
(待機状態)
まず、図2に示すノズルを使用しない収納状態(待機状態)においては、ノズル本体22はノズルガイド19の最も後部に位置し、ノズルカバー23も摺動範囲の最も後部に位置しており、ノズルカバー23に設けた位置決め突起51は、図16に示すようにノズルガイド19側部に設けた後ストッパ53に当接した状態であり、ノズル本体22、ノズルカバー23ともに最も後退した位置に配置されている。この時、連結片50の連結突起50aは図20に示すように連結受部48の後凹陥部48bに嵌入した状態になっており、図16に示すように摺動規制突起49bは摺動規制溝51aの後端部近傍に配置している。
(プレ洗浄)
次に、便器のボール面に大便等が付着するのを防止するため、プレ洗浄を行う。このプレ洗浄は、予め便器のボール面を濡らすことにより、大便等がボール面に付着するのを防止するための動作である。
プレ洗浄を開始するタイミングとしては、例えば、人体検知センサ600が人体の近接を検知して便蓋を開けるのと同時にノズルを駆動して、プレ洗浄を開始するものとしても良い。プレ洗浄の終了のタイミングとしては、洗浄水を所定量だけ噴出した後または所定時間が経過した後に終了するものとしても良い。
プレ洗浄を行うため、まず、ノズル本体22の原点位置を確認した後、前方へ移動するように駆動モータ44が回転し、ノズル本体22とノズルカバー23を前方に移動させる。
このとき、図14、図17に示すようにノズルカバー23に設けた位置決め突起51はノズルガイド19の側部に設けた前ストッパ52に当接し、ノズルカバー23はこれ以上前に移動することができない。さらにノズル本体22を前方に移動させると、図20、図21に示すように、連結片50の連結突起50aが後凹陥部48bから外れる。このような動作が可能となるためには連結突起50aを外すのに要する荷重値よりもノズルを前後方向に移動させる駆動モータ44の駆動トルクが大きいことが条件となる。
連結突起50aが後凹陥部48bから外れたことで、ノズル本体22とノズルカバー23は分離された状態となり、前ストッパ52によって移動が規制されたノズルカバー23に対して、ノズル本体22だけが前方に移動し、ノズル本体22のビデノズル部26がノズルカバー23の先端面に設けられたビデノズル出入口35から進出し始める。
さらにノズル本体22を前方に移動させると連結突起50aは前凹陥部48aにはまり込んでゆく。連結突起50aが前凹陥部48aに完全に嵌入すると、図18に示すようにノズル本体22のビデノズル部26がビデノズル出入口35から完全に進出した状態となる。この時点でノズル本体22の前方移動が終了するように、あらかじめ制御シーケンスによって駆動モータ44の回転数による位置制御が行われる。この時駆動モータ44の誤作動によりノズル本体22をもっと前方に移動させようとした場合は、移動規制手段24aの摺動規制突起49bが摺動規制溝51aの前端に当接しそれ以上前方への移動を規制することにより、連結突起50aが前凹陥部48aから飛び出すことがない。
このように、ビデノズル部26が最前方まで移動すると、図15、図18、図22に示すように、ノズル本体22のプレ洗浄噴出口300とノズルカバー23のプレ洗浄開口部100とが連接する。連接した状態でノズル洗浄流路30に洗浄水を流すと、洗浄水はプレ洗浄噴出口300とノズル洗浄噴出口33a、33bから噴出する。プレ洗浄噴出口300から噴出した洗浄水はプレ洗浄開口部100を通過して前方に飛び出し、便器内に拡散するので、便器のプレ洗浄を行うことができるものである。このときノズル洗浄噴出口33a、33bから噴出した洗浄水は、ノズルカバー23に妨げられ直接ノズルカバー23の外部に噴出することはなく、ノズル装置の周辺や衛生洗浄装置の外部に飛び散ることはない。
プレ洗浄を行う状態のとき、プレ洗浄噴出口300が、便器上端よりも下面に入りこみ、便器のボール面に近い位置で噴出する。また、プレ洗浄では便器の広い範囲を洗浄するために、プレ洗浄噴出口300から噴出した噴流は広い範囲に拡散した拡散流が望ましい。
プレ洗浄の標準位置にノズル本体22が到達した時点で、制御手段は流量調整弁61を制御し、ノズル洗浄流路30に通水を開始することでプレ洗浄が開始される。通水流路の切替および流量の調節は流量調整弁61によって行われる。
プレ洗浄を行っている状態で駆動モータ44を正転、逆転を交互に繰り返すように駆動させると、ノズル本体22とノズルカバー23はプレ洗浄の標準位置に対して前後に揺動した状態となり、洗浄水は便器のボール面の広い範囲を同時に洗浄できる。
プレ洗浄の停止を操作すると、駆動モータ44は逆回転し、ノズル本体22およびノズルカバー23は後方へ移動を開始する。収納のために後方へ移動する途中過程において、ノズルカバー23に設けた位置決め突起51はノズルガイドの側部に設けた後ストッパ53に当接し、ノズルカバー23はこれ以上後に移動することができない。さらにノズル本体22を後方に移動させると連結片50の連結突起50aが前凹陥部48aから外れる。このような動作が可能となるためには連結突起50a解除に要する荷重値よりもノズル本体22を前後方向に移動させる駆動モータ44の駆動トルクが大きいことが条件となる。
連結突起50aが前凹陥部48aから外れたことで、ノズル本体22とノズルカバー23は分離された状態となり、後ストッパー53によって移動を規制されたノズルカバー23に対して、ノズル本体22だけが後方に移動することで、ノズル本体22のビデノズル部26がノズルカバー23の前端面に設けたビデノズル出入口35の内部へと収納し始める。さらにノズル本体22を後方に移動させると連結突起50aは後凹陥部48bにはまり込んでゆく。連結突起50aが後凹陥部48bに完全に嵌入すると、ノズル本体22のビデノズル部26がビデノズル出入口35に対して完全に収納された状態となる。この時点でノズル本体22はノズルガイド19の後端に当接し、これ以上後方へ移動できない。駆動モータ44の回転は、あらかじめ設定された制御シーケンスに基づき、駆動モータ44の回転数による位置制御によって停止させる。
(局部洗浄動作)
続けて、洗浄を開始する際には、まず、使用者が操作手段を操作することにより、制御手段が制御を開始し、駆動モータ44の回転がピニオンギア46に伝えられることによりピニオンギア46と噛み合ったラック34を有するノズル本体22を後方に移動させようとするが、ノズル本体22はこれ以上後方に移動できないため、その前後方向の位置は変化しない。この位置を原点としてこれ以降のノズル本体22の位置は駆動モータ44の回転数を回転数検知センサ47で検知することで、ノズル本体22の移動量を推定しながら位置制御することが可能となる。
次に駆動モータ44を逆回転させてノズル本体22を前方に移動させる。このときノズルカバー23は連結片50の連結突起50aが連結受部48の後凹陥部48bに嵌入した状態が保たれていることによってノズル本体22に牽引され一体化した状態で前方に移動する。
(a)お尻洗浄
使用者の操作がお尻洗浄の操作であった場合は図4、図14、図17に示すように、前方に移動したノズル本体22およびノズルカバー23は、あらかじめ設定しておいた制御シーケンスに従い、原点状態からの駆動モータ44の回転数が設定値に達すると停止する。このとき、ノズルカバー23に設けた位置決め突起51はノズルガイド19の側部に設けた前ストッパ52に接触する手前で停止した状態であり、この位置がおしり洗浄の標準位置となる。
この状態で、制御手段は流量調整弁61を制御し、お尻洗浄流路28に通水することでお尻洗浄が開始される。お尻洗浄流路28に流入した洗浄水は直線部から湾曲部28bを通過してお尻洗浄噴出口31から噴出するが、一般的に湾曲部28bを通過して噴出させると、洗浄水は湾曲部28bで乱れ速度勾配を発生し、お尻洗浄噴出口31からの噴出方向が不安定になり局部に向けて適切に噴出できなくなる。
湾曲部28bにおいては、外周側の流速が速くなり、内周側の流速が遅くなる。この時、お尻洗浄流路28の内側の壁で流れがよどむため乱流が発生する。
この現象を解消するために、本実施の形態においては湾曲部28bに整流壁28cを設けることにより外周側の流れと内周側の流れを分離することにより整流効果発生し乱流を低減することができる。整流壁28cの設置位置を実験により検証した結果の湾曲部28bの流路中央からやや内側に備えることで整流効果を最大にすることが判明し本実施の形態においてはその位置に設置している。
湾曲部28bを通過した洗浄水は噴出口31から着座した使用者の局部に向けて噴出するが、本実施の形態の噴出口31は大孔部31aと小さい小孔部31bの2段形状とし、開口面積を変えることで流速を変化させ乱流を発生させることにより、洗浄水が断続流となって噴出し局部に当たり、使用者には実際に局部にかかる荷重よりも強く感じる効果が生まれる。
通水流路の切替および流量の調節は流量調整弁61によって行われる。この時、お尻洗浄噴出口31とビデ洗噴出口32の上部はノズルカバー23によって覆われている状態であり、お尻洗浄によって生じた汚水が直接かからないため、お尻洗浄噴出口31とビデ洗浄噴出口32は清潔に保たれる。
また流量調節弁のシール性が不十分である場合、お尻洗浄流路28とビデ洗浄流路29の流量切替が完全に行われずお尻洗浄中にもビデ洗浄噴出口29から微小量の水が噴出してしまうが、ビデ洗浄噴出口29の上部がノズルカバー23で覆われているため、その水がノズルの外部に噴出される恐れがない。
お尻洗浄を行っている状態で駆動モータ44を正転、逆転を交互に繰り返すように駆動させると、ノズル本体22とノズルカバー23は標準位置に対して前後に揺動した状態となり、洗浄水は人体の局所のより広い範囲を同時に洗浄できる。
お尻洗浄の停止を操作すると、駆動モータ44は逆回転し、ノズル本体22およびノズルカバー23は後方へ移動し、元の収納状態に戻る。
(b)ビデ洗浄
次にビデ洗浄を選択した場合、お尻洗浄と同様にノズル本体22の原点位置を確認した後、前方へ移動するように駆動モータ44が回転し、ノズル本体22とノズルカバー23を前方に移動させるのはおしり洗浄の場合と同じであるが、ビデ洗浄の場合はお尻洗浄位置を越えてさらにノズル本体22を前方に移動させてゆく。
このとき、図17に示すようにノズルカバー23に設けた位置決め突起51はノズルガイド19の側部に設けた前ストッパ52に当接し、ノズルカバー23はこれ以上前に移動することができない。さらにノズル本体22を前方に移動させると連結片50の連結突起50aが後凹陥部48bから外れる。このような動作が可能となるためには連結突起50aを外すのに要する荷重値よりもノズルを前後方向に移動させる駆動モータ44の駆動トルクが大きいことが条件となる。
連結突起50aが後凹陥部48bから外れたことで、ノズル本体22とノズルカバー23は分離された状態となり、前ストッパ52によって移動が規制されたノズルカバー23に対して、ノズル本体22だけが前方に移動し、ノズル本体22のビデノズル部26がノズルカバー23の先端面に設けられたビデノズル出入口35から進出し始める。
さらにノズル本体22を前方に移動させると連結突起50aは前凹陥部48aにはまり込んでゆく。連結突起50aが前凹陥部48aに完全に嵌入すると、図18に示すようにノズル本体22のビデノズル部26がビデノズル出入口35から完全に進出した状態となる。この時点でノズル本体22の前方移動が終了するように、あらかじめ制御シーケンスによって駆動モータ44の回転数による位置制御が行われる。この時駆動モータ44の誤作動によりノズル本体22をもっと前方に移動させようとした場合は、移動規制手段24aの摺動規制突起49bが摺動規制溝51aの前端に当接しそれ以上前方への移動を規制することにより、連結突起50aが前凹陥部48aから飛び出すことがない。
このように連結突起50aが前凹陥部48aに嵌入した状態で駆動モータ44をわずかに逆回転させることでノズル本体22を後方に移動させ、ビデ洗浄の標準位置まで移動させた時点で駆動モータ44を停止させる。この状態が図19に示すビデ洗浄の標準位置となる。
上記ビデ洗浄の標準位置にノズル本体22が到達した時点で、制御手段は流量調整弁61を制御しビデ洗浄流路29に通水を開始することでビデ洗浄が開始される。通水流路の切替および流量の調節は流量調整弁61によって行われる。この時、お尻洗浄噴出口31の上部はノズルカバー23によって覆われている状態であり、ビデ洗浄によって生じた汚水がお尻洗浄噴出口31に直接かからないため、お尻洗浄噴出口31は清潔に保たれる。また流量調節弁のシール性が不十分である場合、お尻洗浄流路28とビデ洗浄流路29の流量切替が完全に行われずビデ洗浄中にもお尻洗浄噴出口31から微小量の水が噴出してしまうが、お尻洗浄噴出口31の上部がノズルカバー23で覆われているため、その水がノズルの外部に噴出される恐れがない。
ビデ洗浄を行っている状態で駆動モータ44を正転、逆転を交互に繰り返すように駆動させると、ノズル本体22とノズルカバー23は標準位置に対して前後に揺動した状態となり、洗浄水は人体の局所のより広い範囲を同時に洗浄できる。
ビデ洗浄の停止を操作すると、駆動モータ44は逆回転し、ノズル本体22およびノズルカバー23は後方へ移動を開始する。収納のために後方へ移動する途中過程において、ノズルカバー23に設けた位置決め突起51はノズルガイドの側部に設けた後ストッパ53に当接し、ノズルカバー23はこれ以上後に移動することができない。さらにノズル本体22を後方に移動させると連結片50の連結突起50aが前凹陥部48aから外れる。このような動作が可能となるためには連結突起50a解除に要する荷重値よりもノズル本体22を前後方向に移動させる駆動モータ44の駆動トルクが大きいことが条件となる。
連結突起50aが前凹陥部48aから外れたことで、ノズル本体22とノズルカバー23は分離された状態となり、後ストッパー53によって移動を規制されたノズルカバー23に対して、ノズル本体22だけが後方に移動することで、ノズル本体22のビデノズル部26がノズルカバー23の前端面に設けたビデノズル出入口35の内部へと収納し始める。さらにノズル本体22を後方に移動させると連結突起50aは後凹陥部48bにはまり込んでゆく。連結突起50aが後凹陥部48bに完全に嵌入すると、ノズル本体22のビデノズル部26がビデノズル出入口35に対して完全に収納された状態となる。この時点でノズル本体22はノズルガイド19の後端に当接し、これ以上後方へ移動できない。駆動モータ44の回転は、あらかじめ設定された制御シーケンスに基づき、駆動モータ44の回転数による位置制御によって停止させる。
(ノズル洗浄)
前記お尻洗浄およびビデ洗浄が終了し、ノズル本体22が収納位置に停止した時点で、制御手段はノズル洗浄の制御を開始する。制御手段は流量調整弁61を制御し、ノズル洗浄流路30に通水を開始することでノズル洗浄が開始される。通水流路の切替および流量の調節は流量調整弁61によって行われる。
ノズル洗浄流路30に通水すると、ノズル本体22の大径部25の前端部に設けた2個のノズル洗浄噴出口33a、33bとプレ洗浄噴出口300から洗浄水が噴出する。外側面に設けた外部洗浄噴出口33bから噴出した洗浄水はノズルカバ−23に設けたノズル洗浄開口37を介してノズルカバー23の外側に噴出し、ノズルカバー23を覆うノズルガイド19の洗浄拡大部40の内壁に当たり、はね返る洗浄水によってノズルカバ−23の外周壁およびお尻洗浄噴出口31を洗浄する。また下方に向けて設けた内部洗浄噴出口33aから噴出した洗浄水はノズル本体22のビデノズル部26の側部に流れ、ビデノズル部26の表面およびビデ洗浄噴出32口を洗浄する。
この時、図8に示すように内部洗浄噴出口33aと外部洗浄噴出口33bおよびノズル洗浄開口37をノズ本体22の直径方向からオフセットした方向に設定してあるため、噴出した洗浄水はノズルガイド19およびノズルカバ−23の円周方向に旋回循環する旋回流となり、ノズル本体22、ノズルカバー23の汚れを効果的に除去することができる。洗浄し終わった洗浄水はノズルカバー23とノズルガイド19の下部に設けた排水口39、41から排出する。
一方、プレ洗浄噴出口300から噴出した洗浄水はノズルカバー23の内面に当たって反射するため、ほとんどノズルカバー23の外部に直接噴出することがなく、ビデノズル部26とノズルカバー23の内面を洗浄して排水口39から排出する。
上記、収納位置でのノズル本体22とノズルカバー23の洗浄は、局部の洗浄が終了後ノズル本体22とノズルカバー23が収納位置に戻った後自動的に実施されるものであるが、ノズル本体22とノズルカバー23に付着した汚れをブラシ等使用して、より確実に清掃するために操作手段には清掃モードの操作を備えている。
ノズル本体22とノズルカバー23が収納位置に収納した状態で、使用者が操作手段の清掃モードのスイッチを1回押すと、ノズル装置15は図4に示すようなお尻洗浄位置へ
移動する。この状態で流量調整弁61はノズル本体22内のお尻洗浄流路28とノズル洗浄流路30の両方に洗浄水を供給する。この時、お尻洗浄流路28とノズル洗浄流路30に流れる洗浄水は、上記お尻洗浄、プレ洗浄、ノズル洗浄する時より流量を少なくなるように制御している。これにより、お尻洗浄噴出口31やノズル洗浄噴出口33bから噴出する洗浄水が便器の外へ飛び出してしまったり、使用者にかかったりすることがない。
この状態で使用者がブラシ等でノズルカバー23を清掃することにより、ノズルカバー23に付着した汚染物質を除去することができる。しかも洗浄水を流しながら清掃できるので、予め清掃のための水を用意したり、わざわざブラシを水で濡らしたりする手間が省ける。また、洗浄水を流しながら清掃することでノズルカバー23から除去した汚染物質は直接便器に流してしまうため、お尻洗浄噴出口31やノズル本体22とノズルカバー23の隙間に入り込み再付着することがない。
次に清掃モードのスイッチを1回押すと、ノズル装置15は図5に示すようなビデ洗浄
位置へ移動する。通常、ノズル装置15の使用する際においてお尻洗浄位置からビデ洗浄位置への切替は、お尻洗浄位置から一旦ノズル本体22とノズルカバー23がノズルガイド19内部に収納してからノズルカバー23の洗浄を行った後、再びノズル本体22とノズルカバー23が前方に移動してビデ洗浄位置に移動するように制御されるが、清掃モードの時はノズル本体22とノズルカバー23の清掃を目的としているため、そのような動作をさせる必要がなく、お尻洗浄位置からそのままノズル本体22を前方に移動させることで、より早くビデ洗浄位置へと切り替えることができ、使用者を待たせることで煩わせることがない。
この状態で流量調整弁61はノズル本体22内のビデ洗浄流路29とノズル洗浄流路30の両方に洗浄水を供給する。この時、お尻洗浄位置の場合と同様にビデ洗浄流路29とノズル洗浄流路30に流れる洗浄水は上記ビデ洗浄、プレ洗浄、ノズル洗浄をする時より流量を少なくなるように制御している。これにより、ビデ洗浄噴出口32やプレ洗浄噴出口300から噴出する洗浄水が便器の外へ飛び出してしまったり、使用者にかかったりすることがない。この状態で、使用者はブラシ等を使用してノズル本体のビデノズル部26を清掃することができる。
ビデ洗浄位置での清掃作業が終了すると、再度清掃モードのスイッチを押すと、通水は停止し、ノズル本体22とノズルカバー23はノズルガイド19内に収納され、お尻洗浄またはビデ洗浄の終了時と同様にノズル洗浄が開始される。この時はノズル洗浄流路30にのみ洗浄水を供給することでノズル本体22とノズルカバー23の外側、内側をくまなく洗浄することができるため、清掃時に使用者が洗剤などを使用していた場合においてもノズル本体22やノズルカバー23の表面に付着た洗剤成分を全て洗い流すことができる。
以上のように、従来からノズルクリーニング用として形成されていた流路30がプレ洗浄用の流路として兼用されるので、新たにプレ洗浄用の流路を設ける必要がなく、ノズル装置を大型化することなくプレ洗浄機能を設けることができる。
また、局部を洗浄する洗浄水が流通する局部洗浄流路28とプレ洗浄時に用いるノズル洗浄流路30が別に形成されているため、局部を洗浄するための洗浄水とプレ洗浄するための洗浄水の性状を変えることが可能となる。よって、人体の局部洗浄に影響を与えることなく、薬剤や銀イオンを有する機能水を用いて、プレ洗浄の洗浄力を向上させることができる。
また、ノズルカバーのプレ洗浄開口100またはノズル本体のプレ洗浄噴出口300に対してチップを設けることで、洗浄水が噴出される形状を変化させても良い。この構成により、プレ洗浄の洗浄能力が向上する。
また、プレ洗浄を行う位置を、ノズル本体22とノズルカバー23とが駆動可能な範囲で調整できるので、様々な形状の便器に対応させて使用することができる。また、プレ洗浄を行っているときに、ノズル本体22とノズルカバー23とをともに進退させることで、便器のボール面の広範囲を濡らすことができる。
また、本実施の形態においては、洗浄水を噴出するお尻洗浄噴出口とビデ洗浄噴出口とノズル洗浄噴出口とそれぞれの噴出口に洗浄水を供給する流路を備えたノズル本体と、ノズル本体を覆いお尻洗浄噴出口に対応する噴出開口を有する筒状のノズルカバーと、ノズル本体とノズルカバーを連結する連結手段と、ノズル本体とノズルカバーとを収納するノズルガイドと、ノズル本体の進退を駆動するノズル駆動手段とを備えた構成とすることにより、噴出口と流路はノズル本体に集約して設け、ノズルカバーは簡単な構成とすることができるためノズル装置全体として小型で簡単な構成とすることができる。
しかもノズル本体とノズルカバーを相互に摺動することにより、対応する噴出口と噴出開口の位置合わせをすることにより、お尻洗浄噴出口からの洗浄水は噴出開口を介して噴出することとなり、洗浄水噴出時にはノズル本体特にビデ洗浄噴出口とお尻洗浄噴出口の近傍はノズルカバーで覆われており、洗浄により汚れた洗浄水でノズル本体が汚染されることがなく衛生的である。
また、ノズルカバーはステンレスで形成したノズルカバー本体と樹脂成型によるカバー後端部材を固定突起23dと固定穴の嵌合により固定することにより、接着剤や接合部材を使用することなく簡単な構成で確実に接合している。しかもノズルカバーをステンレスで形成したことにより、汚れが付着し難くまた付着した汚れを洗浄により容易に落とすことができる。
また、ビデ洗浄時はビデノズル部がノズルカバーの前端面より突出した状態で洗浄水を噴出するため、洗浄対象に近づけて洗浄水を噴射することができ、しかも繊細な噴射形態が望まれるビデ洗浄をビデ洗浄噴出口から直接行うことができるため最適な噴射形態を得ることができる。
また、ノズルカバーは収納位置とお尻洗浄位置の間を連結手段を介してノズル本体と連動するため、ノズル本体のみをノズル駆動手段で駆動するだけで、ノズル本体とノズルカバーの両方を連度して摺動するとともに、ビデ洗浄位置へはノズル本体のみを単独で摺動することができることなり1個のノズル駆動手段で2個の駆動対象をそれぞれの最適位置まで駆動できるため、装置の小型化と低コスト化を図ることができる。
また、ノズル本体に設けたノズル洗浄噴出口の外噴洗浄出口より噴出した洗浄水はノズル洗浄開口を介してノズルガイドの洗浄拡大部に噴出しノズルガイドで反射してノズルカバーの外面とノズルガイドの内面を洗浄し、内部洗浄噴出口より噴出した洗浄水はノズルカバーで反射して主としてビデノズル部の外面とノズルカバーの内面を洗浄することができるので、お尻洗浄とビデ洗浄において汚水や汚物で汚染されるノズル本体とノズルカバーのセルフクリーニング機構を小型で簡単な構成で実現し、衛生的なノズル装置を提供することができる。
また、ノズル本体とノズルカバーは、清掃モードを使用して使用者の意思により洗浄水を流しながらブラシ等を使用して清掃できるので、衛生面における高い満足度を使用者に与えることができる。
また、流路の湾曲部に整流壁を設けたことにより、流路内の乱流を抑制することにより、お尻洗浄噴出口からの噴出方向を安定させることができ、局部に向けて適切に洗浄水を噴出することができる。しかも、整流壁の上流側の端部と下流側の端部を薄く尖った形状にすることにより洗浄水の流れをスムーズに分流し再び混合することができる。特に下流側を薄く尖った形状とすることにより分かれた噴流がスムーズに混合されるため整流効果が増す。逆に整流部の下流側をエッジを残した形状にした場合は、分かれた洗浄水が合流する際に衝突する事で渦が発生するとともに、エッジでの流れの剥離が起こりやすくなるため断続流となる。
また、お尻洗浄噴出口を大孔部と小孔部の2段形状とすることにより、洗浄水が断続流となって噴出し局部に当たり、実際に局部にかかる荷重よりも強く感じるため、使用者は高い洗浄感を得ることができる。
なお、本実施の形態においてはノズル駆動手段としては駆動モータとウォームギアと変速ギアとピニオンギアを備えたギアを介した伝達機構を採用したが、これに限るものではなく、ベルトやチェーン等の伝達機構を使用してもよい。
また、本実施の形態においてはノズルカバーとビデノズル部をカバーする部材をステンレスで形成したが、これらの材料はこれに限るものではなく、他の耐食性を備えた金属材料やセラミック等の無機材料あるいは樹脂材料でもよい、特にこれらの材料に抗菌あるいは殺菌性能や撥水性能等を付加したものを使用することにより、より清潔性を高めることができる。
また、本実施の形態においては、ノズル本体にお尻洗浄噴出孔とビデ洗浄噴出口とノズル洗浄噴出口と、それらに連通するお尻洗浄流路とビデ洗浄流路とノズル洗浄流路に全て設けたが、噴出口と流路の配置はこれに限るものではなく、ノズルカバーを厚みをもたせて形成し、そのうちの一部、例えばお尻洗浄噴出口とお尻洗浄流路をノズルカバーに設け、洗浄水の噴出部材をノズル本体とノズルカバーに分けて設置することは可能であり、この場合ノズルカバーの構造が複雑になる反面、ノズル本体の構造がシンプルになるため、本実施の形態と近似の効果を得ることができる。
また、本実施の形態においては、連結手段の連結片は弾性を有する金属材料で形成したが、これに限るものではなく弾性を有する樹脂材料でもよく、樹脂材料を使用した場合、連結手段の連結部材を一体で成型することが可能となり安価に作ることが可能となる。
また、本実施の形態においては、整流壁の厚さを0.5mmとしたが、これに限るものではなく、一般的にノズル本体基材と一体に樹脂成型で構成するためには厚さを0.5〜1.0mm程度の厚さが必要であり、一方、流路の圧力損失を抑えるために整流壁はできるだけ薄く形成することが望ましく、そのため本実施の形態においては最小厚さの0.5mmを採用した。整流壁をより薄く成型する方法としては整流壁を金属等で別部材として形成してお尻洗浄流路の湾曲部に配設する方法等が考えられる。
また、本実施の形態においては、小孔部の厚みを0.5mmとしたが、これに限るものではなく、0.5〜1.5mmの範囲の厚みにすることにより洗浄水の断続流が得られることを確認しており、厚みを選択することにより希望する断続流に得ることができる。また、大孔部の開口面積を小孔部の約2倍としたが、この点に関しても1.5〜2.5倍の範囲で断続流を得られることを確認しており、開口面積を変えることにより最適な断続流を得ることができる。