JP4938523B2 - 鳥獣撃退装置並びにこの装置を使用した鳥獣撃退システム - Google Patents

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本発明は、例えば収穫間近の農耕地などに餌を求めて侵入してくる猿等の鳥獣を、主に爆竹花火の爆音によって威嚇し、山などに追い払うようにした鳥獣撃退手法に関するものであって、特に撃退装置の作動性や耐久性を高めながら同時に低コスト化をも達成し、更には日常的な保守管理も容易に行えるようにした新規な鳥獣撃退装置と、この装置を使用して多大な撃退効果をもたらす新規な鳥獣撃退システムに係るものである。
産業技術の発展に従い、本来は野性動物しか生息できなかった山林等の開発が急速に進められてきた。これに伴い、特に近年、鳥獣が餌を求めて里山や住宅地にまで出現し、収穫間近の農作物等を荒らすという被害が数多く報告されている。このような鳥獣による被害を極力抑えるために、例えば畑等の農耕地にスピーカを設置し、定時的に警報音を発して鳥獣を威嚇し、農耕地から追い払う手法が採られている。
そして、従来、この種の装置において威嚇効果を高めるための技術的な工夫としては、例えばプロパンガスを使用して警報音を大音響にするなどの対策が採られることが多かった。しかしながら、単に警報音を大きくするだけでは、最初のうちは鳥獣が脅え、威嚇効果として高まったかに見えても、学習効果によって鳥獣が次第にその大音響にも慣れ、結果的に威嚇効果が持続せず、被害が再発するという問題があった。また、農耕地近くに宅地がある場合(園地近くまでの宅地化により)には、大音響が出せない環境にもなっていた。
更に、現状では、農業を営む世代の高齢化が進んでいるが、大音響を発する装置は、大型化する傾向にあり、設置や保守管理に多大な労力や手間が掛かる点で問題であった。また、他にも装置自体が高価となる等、農家の費用負担が大きい点で問題があった。もちろん、苦労して育ててきた作物が収穫直前になって鳥獣に捕られること自体、農家の生産意欲を大きく損ねる要因となり、この点も高齢化しつつある農家では、やり甲斐(生き甲斐)の喪失につながり、切実な問題となっていた。
このような状況下、本出願人は長年にわたって、鳥獣の慣れを生じ難くさせる効果的な撃退装置(威嚇装置)の研究、開発を続けてきており、数々の特許出願にも及んでいる(例えば特許文献1〜4参照)。
このうち特許文献4は、鳥獣の習性や慣れ(学習効果)等を考慮し、これらを逆手に取った特に有効な撃退装置である。具体的には、侵入してきた鳥獣に対して、スピーカ音と爆竹花火の爆音とを複合的に作用させ威嚇するものである。この際、本出願人は、スピーカや爆竹花火を爆発させる威嚇手段を高い位置に設け、極力、鳥獣の頭上からスピーカ音や爆音を鳴らすようにしている。これは、動物が生まれながらに持っている、雷を恐れるという習性を利用したものである(雷効果)。また、上記特許文献4において本出願人は、スピーカ音については、予め何パターンか組み込んでおき、これを随時変えて鳴らし、鳥獣がスピーカ音に慣れてしまうことがないように考慮しており、これらの構成によって大きな威嚇効果を挙げている。
しかしながら、上記特許文献4の装置においても、まだ以下のような点において改良の余地が残されていた。すなわち、特許文献4の装置では、ほぼ垂直に吊着された爆竹花火の導火線とグロープラグとが接触した状態でグロープラグを赤熱させるヒータへの給電が行われ、導火線への着火、爆竹花火の爆発となる。この際、グロープラグを保持する支持体は、グロープラグの自重により当初、幾らか傾倒した状態(重力方向に幾分倒れ込んだ状態)となっており、これが接近してくる爆竹花火(導火線)に接触し、押し込まれることにより、ほぼ鉛直状態に立ち上げられ、グロープラグへの通電(ヒータ通電)が行われる。
しかし、このような重力方向の回動(上下方向の回動)によって、グロープラグと爆竹花火(導火線)との接触、着火を図る構造は、撃退装置が全体的に傾いた場合にグロープラグを保持している支持体が重力によって傾倒してしまうことがあった。また爆竹花火を吊着している円板に支持体が当接した場合には、グロープラグが初期位置に円滑に戻らないこと等もあり、まれに作動が確実に行えないことがあった。
特開2001−120156号公報 特開2002−98499号公報 特開2005−261253号公報 特開2006−187217号公報
本発明は、このような長年の撃退装置(威嚇装置)の開発の一環としてなされたものであって、爆竹花火を点火するためのグロープラグ(支持体)の作動を確実なものとし、ひいては撃退装置の作動安定性、信頼性等をより向上させ、また撃退装置のコンパクト化を達成し、保守管理などにおいてもほとんど労力を要せず、更にはスピーカ等と組み合わせることで、多大な威嚇効果を発揮できるようにした新規な鳥獣撃退装置とそのシステムの開発を試みたものである。
すなわち請求項1記載の鳥獣撃退装置は、適宜の姿勢に保持されたグロープラグに対し、ほぼ下垂状態に吊着された爆竹花火を接近させ、爆竹花火の導火線をグロープラグに接触させた状態で、導火線への点火を図り爆竹花火を爆発させることによって鳥獣を威嚇し、追い払うようにした撃退装置であって、前記グロープラグは、ほぼ一定の水平面上を回動自在に形成されていることを特徴として成るものである。
また請求項2記載の鳥獣撃退装置は、前記請求項1記載の要件に加え、前記グロープラグの水平回動は、吊着された爆竹花火の押し込み移動によってなされるものであり、また爆竹花火の押し込み移動は、グロープラグを最奥部まで押し込んだ状態で停止し待機状態に入り、この状態で鳥獣の侵入を捕捉した際に、グロープラグを赤熱させるヒータへの給電が開始されることを特徴として成るものである。
また請求項3記載の鳥獣撃退装置は、前記請求項1または2記載の要件に加え、前記グロープラグの水平回動は、グロープラグを保持する支持ステーが、装置中央部に立設されたステー保持体に対して回動自在に取り付けられることによって実現され、前記支持ステーとステー保持体との対向位置には、同極のマグネットが設けられ、この反発力によって、爆竹花火によって押し込まれていたグロープラグを初期状態に復帰させるようにしたことを特徴として成るものである。
また請求項4記載の鳥獣撃退装置は、前記請求項3記載の要件に加え、前記支持ステーは、平面から視て略L字状に形成され、その短片部に前記グロープラグが取り付けられ、もう一方の長片部のほぼ中央に回動支点が形成されるものであり、このため回動支点を基点としてグロープラグに対向する長片部の端部側に、モーメントの釣合いを取るためのモーメントバランサを設け、グロープラグを保持する支持ステーの水平回動の円滑化を図るようにしたことを特徴として成るものである。
また請求項5記載の鳥獣撃退装置は、前記請求項1、2、3または4記載の要件に加え、前記爆竹花火は、ほぼ一定の水平面上を回転する円板に対して複数吊着されるものであり、またこの円板は、平面から視て円板の外周縁から回転方向手前側に向かって傾斜状に形成される長スリットと、この長スリットの奥部から円板の回転方向にほぼ沿って形成される短スリットとを具えて成ることを特徴として成るものである。
また請求項6記載の鳥獣撃退装置は、前記請求項5記載の要件に加え、前記短スリットは、爆竹花火によって最奥部まで押し込まれたグロープラグに対し、適宜の逃げ角を有する傾斜状態に形成され、円板が暴走した場合でも、短スリットに位置した爆竹花火の導火線が円板の回転によってグロープラグに接触しながら外側の遠心方向に逃げられるようにしたことを特徴として成るものである。
また請求項7記載の鳥獣撃退システムは、鳥獣の侵入阻止を図る農耕地などの保護エリアに、鳥獣を威嚇する威嚇手段を設け、保護エリアに侵入してきた鳥獣に対し威嚇手段を作用させることにより、鳥獣を保護エリアから追い払うようにした撃退システムにおいて、前記威嚇手段は、爆竹花火を爆発させて鳥獣を威嚇する前記請求項1、2、3、4、5または6記載の鳥獣撃退装置と、専ら音によって鳥獣を威嚇するスピーカ等の警報音発生装置とを各々一基以上組み合わせて成るものであり、またこれら複数の威嚇手段の設置にあたっては、保護エリアのほぼ周縁に沿って点在状態に設けるものであり、保護エリアに侵入した鳥獣を撃退するにあたっては、鳥獣を異なる方向から複数の威嚇手段によって挟み打ち状態に威嚇し、撃退するようにしたことを特徴として成るものである。
また請求項8記載の鳥獣撃退システムは、前記請求項7記載の要件に加え、前記複数の威嚇手段を作用させるにあたっては、複数の威嚇手段を順次作用させ、複数の威嚇手段により鳥獣を時間差で挟み打ち状態にするようにしたことを特徴として成るものである。
また請求項9記載の鳥獣撃退システムは、前記請求項7または8記載の要件に加え、前記警報音発生装置から発報する警報音は、複数種を具えて成り、鳥獣の種類に応じて音の種類を変化させるようにしたことを特徴として成るものである。
また請求項10記載の鳥獣撃退システムは、前記請求項7、8または9記載の要件に加え、前記警報音発生装置から発報する警報音は、USB記憶メディア等のアイテムを使用して対象動物の忌避音をインターネットよりダウンロードして取り込み得ることを特徴として成るものである。
これら各請求項記載の発明の構成を手段として前記課題の解決が図られる。
すなわち請求項1記載の発明によれば、爆竹花火に接触するグロープラグは、ほぼ一定の水平面内において回動自在に構成されるため、例えば鳥獣撃退装置を取り付ける際、装置が多少傾いても、グロープラグがその影響で傾倒することがなく(爆竹花火に接触してしまうことがなく)、このような誤作動を確実に防止することができる。なお、鳥獣撃退装置は、爆音とともに火薬の匂いや煙等を放出するため、これらの複合作用により、極めて高い威嚇効果(撃退効果)を奏するものである。
また請求項2記載の発明によれば、爆竹花火への点火は、グロープラグが爆竹花火(導火線)に接触した状態が前提となり、この状態で侵入センサが鳥獣の侵入をキャッチした際に始めてヒータに給電が成されるため、入力信号(侵入信号)に合わせて爆竹花火を確実に爆発させることができる。
また請求項3記載の発明によれば、グロープラグの押し込みを、マグネットの反発力によって初期状態に戻すため、確実に復帰させることができる。すなわち、例えば重力方向への傾倒を利用してグロープラグを初期位置に戻す形態では、グロープラグや支持ステーが周辺部材と接触した場合、あるいは装置全体が幾らか傾いてしまった場合等に、グロープラグを初期位置に復帰させ得ないことが考えれる。しかしながら、本発明ではグロープラグをマグネットの反発力で水平方向に戻すため、このような復帰作動が確実に行える。
また請求項4記載の発明によれば、グロープラグを保持する支持ステーには、グロープラグの対向側(長片部)にモーメントバランサを設けるため、グロープラグの水平回動がよりスムーズに且つ確実に行える。特に、吊着した爆竹花火でグロープラグを押し込む場合、爆竹花火はグロープラグに比べて極めて軽く(一例として3g程度)、しかも下端側がフリー状態であるため、通常では回動させることが困難となる。しかしながら、支持ステーにモーメントバランサを設けることにより、モーメントの釣合いが取れ、このような極めて軽い力でも円滑且つ確実にグロープラグを押し込むことができる。
また請求項5記載の発明によれば、本来は爆竹花火を短スリット部に吊着するが、ユーザが誤って長スリット部に吊着しても円板の回転運動により自然に短スリット部に移動させることができる。そして、円板の回転を利用したこのような自動整列機能は、特別な部材を要するものではないため、コストアップにならず、また設置位置を誤っても確実に爆竹花火を爆発させ得るため、ユーザにとっては極めて使い勝手の良い装置となる。
また請求項6記載の発明によれば、短スリットは、最奥部まで回動したグロープラグに対し適宜の逃げ角を持つ傾斜状態に形成されるため、円板を回転させるモータが万一暴走しても、この逃げ角によって爆竹花火の導火線が外周方向に逃げることができ、装置を破損してしまうことがない。なお、本装置には円板の回転が何秒間か続くと、自動的にモータの回転をストップする制御機能が付加し得るため(本来は爆竹花火が全て爆発したことを感知するもの)、モータが暴走した場合でも適宜の時間でモータへの給電を切ることができ、バッテリーの無駄な消耗を防ぐことができる。
また請求項7記載の発明によれば、複数の威嚇手段によって鳥獣を前後・左右等、異なる方向から一挙に挟み打ち状態に威嚇でき、鳥獣の恐怖心を煽り立てることができる。なお、本システムでは、上述した鳥獣撃退装置によって、爆竹花火を爆発させる作動が安定し、且つ確実に行えるため、上記鳥獣撃退装置と、専ら音によって鳥獣を威嚇するスピーカ等の警報音発生装置とを組み合わせた複合的な撃退が確実に行えるものである。
また請求項8記載の発明によれば、鳥獣に対し複数の威嚇手段を時間差で仕掛けるため、例えば農耕地等の保護エリアに侵入した鳥獣は、一回目の威嚇手段によって逃げ出した方向から迎え撃たれるように二回目の威嚇を受けることになる。このため、鳥獣は、二回目の威嚇時に、逃走方向が絶たれたという極度の心理状態に追い込まれ、慌てふためき保護エリア内を右往左往して逃げ回るものと考えられる。従って、本手法は、鳥獣の恐怖心をより一層煽ることができ、そのため充分な威嚇効果を達成し、且つ持続させることができる。また、鳥獣は概ね威嚇音からのがれるように逃げるため、複数の威嚇手段を時間差で仕掛ける本手法は、鳥獣を追い払う方向やルートをある程度、ユーザの意図通りに設定することもできる。
また請求項9記載の発明によれば、スピーカ等の警報音発生装置から発する警報音を、侵入してきた鳥獣の種類によって変更できるため、鳥獣の種類が同じであっても、毎回、異なった警報音で威嚇することができ、慣れによる威嚇効果の低減を防ぐことができる。もちろん、威嚇対象となる鳥獣に応じて種々の音源の中から最も効果的な音(天敵動物の鳴き声等も含む)を発報し、威嚇することもできる。
また請求項10記載の発明によれば、スピーカ等の警報音発生装置から発報させる警報音の選択が際限なく広がり、例えばオオカミの遠吠え、虎やライオンの声なども手軽に警報音として取り込むことができ、従来にない幅広い撃退効果が望める。
本発明を実施するための最良の形態は、以下の実施例に述べるものをその一つとするとともに、更にその技術思想内において改良し得る種々の手法を含むものである。
なお、以下の説明にあたっては、爆竹花火10を爆発させて鳥獣ANを威嚇する鳥獣撃退装置1について説明した後、この装置を適用した鳥獣撃退システムについて説明する。
本発明装置の鳥獣撃退装置1は、爆竹花火10を爆発させ、主にその爆音により鳥獣ANを威嚇する装置であり、一例として図1に示すように、装置本体2の上方からカバー3を被せて成るものであり、この装置の内部に着火部4と爆音発生部5とが構成される。
なお、爆竹花火10の火薬には強力な酸化剤が使われているため、装置本体2やカバー3には、ステンレス製の素材が多用される。また、カバー3は、胴部15と天井部16とから成るものであり、天井部16はドーム状に形成する等、雨水などを速やかに落下排水し得る形状が好ましい。以下、装置本体2の内部に形成される着火部4と爆音発生部5とについて更に説明する。
着火部4は、装置本体2の内部上側に形成され、爆竹花火10への点火を図る部位であり、一例として図1、2に示すように、爆竹花火10が下垂状態に吊着される円板21と、爆竹花火10(導火線10a)に点火するグロープラグ30(支持ステー31)をほぼ一定の高さで回動自在に保持するステー保持体22と、着火部4の底部に当たる仕切板23とを具えて成るものである。
ここで爆竹花火10を点火させる仕組みについて概略的に説明しておく。まず複数の爆竹花火10を円板21に吊り下げた後、この円板21を回転させる。これにより爆竹花火10の導火線10aがグロープラグ30に接触し、更に円板21の回転を続けることで爆竹花火10によりグロープラグ30が押し込まれる。そして、この押し込み接触状態で円板21の回転が止まり待機状態に入る。そして、この間に例えば鳥獣ANの侵入を侵入センサ8Aが感知すると、マイコンのプログラムによってグロープラグ30を赤熱させるヒータに給電(通電)が開始され、ヒータの点火、グロープラグ30の赤熱となり、これに接触している導火線10aが点火し、爆竹花火10は落下して爆発する。なお、グロープラグ30は、ヒータへの給電によって、先端部から赤熱し(ここを赤熱部30aとする)、ここに接触している導火線10aを点火させるものである。
以下、着火部4を構成する各部材について説明する。まず円板21について説明する。円板21には、一例として図3に示すように、複数のスリット26が等配されて成り(ここでは13個)、爆竹花火10は、このスリット26に一束毎、下垂状態に吊り下げられる。このため導火線10aの端部(非花火側)には、スリーブ等の掛止体11を圧着状態に取り付け、爆竹花火10(導火線10a)のスリット26からの抜け止めを図っている。従って、掛止体11としては、圧着後の径寸法が、スリット26の幅よりも大きいスリーブ等が適用される。
なお、スリット26にセットする一束の爆竹花火10は、極めて軽いため(一例として約3g程度で、しかも下端はフリー状態)、この程度の軽さでもグロープラグ30を押すことができるように、本実施例ではグロープラグ30(支持ステー31)の回動がスムーズに行えるように考慮しており、これについては後述する。
また、スリット26は、円板21を平面から視て、その外周縁から回転方向手前側に向かって斜めに形成される長スリット26aと、この長スリット26aの奥部から円板21の回転方向にほぼ沿うように形成される短スリット26bとを具えて成るものであり、短スリット26bは、円板21の中心からほぼ一定の距離(ほぼ一定の円弧状)で形成される。
ここで長スリット26aを上記斜状に形成した理由について説明する。通常、爆竹花火10は、短スリット26bの位置にセット(掛止)されるが、ユーザが誤って長スリット26aの位置にセットしまうことも考えられる。そのため、ここでは長スリット26aを上記形状に形成し、長スリット26aにセットされた爆竹花火10が、グロープラグ30との接触によって(円板21の回転によって)、自然に短スリット部26bに移動するようにしたものである。
なお、爆竹花火10をセットする際には、円板21の外周縁から長スリット26aに導火線10aを入れるため、この受け入れを行い易くするため、長スリット26aの外周端部に、広開状の受け入れガイド26cを形成しておくことが好ましい。
一方、短スリット26bにおいては以下のような配慮がなされている。すなわち円板21を回転させるモータMが万一暴走した場合には、短スリット26bに位置した爆竹花火10(導火線10a)が円板21の回転によってグロープラグ30に接触しながら外側(遠心方向)に逃げられるように工夫している。つまり、この移動(逃げ)は、掛止体11が短スリット26bにとどまりながら、ここから下垂状態に吊着されている導火線10aがグロープラグ30上を擦りながら、グロープラグ30の先端方向に案内されるように徐々に外側に移動して行く移動である。これは、図3に示すように、短スリット26bに対して、最奥部まで回動したグロープラグ30の最終姿勢が、適宜の傾斜角度を形成することによって実現した動き(逃げ)であり、この角度を逃げ角とする。
逆に言えば、例えば短スリット26bに対して、回動しきったグロープラグ30の最終姿勢をほぼ直交させ、逃げ角を0度にした場合には、モータM(円板21)が暴走した際、グロープラグ30に円板21の回転力(爆竹花火10の回転移動)が直に掛かり、例えばモータMのシャフトが折れる等の破損が考えられる。もちろん、短スリット26bに対して、最奥部まで回動したグロープラグ30の最終姿勢を上記図3とは逆の傾斜状態に形成した場合(逃げ角をマイナスにした場合)には、円板21の回転によって導火線10aが内側(中心)に向かうため、やはり円板21やモータMに無理が掛かり、部材の破損が懸念される。なお、逃げ角を数式的に表すと以下のように示される(図3参照)。
逃げ角=90度−(回動しきったグロープラグと短スリットとの成す角)
また、円板21の中心には軸孔27が開口されており、ここにモータMによって駆動される回転軸44が嵌め込まれ円板21は回転する。そして、円板21の回転運動によって爆竹花火10はグロープラグ30に接近・接触し、且つグロープラグ30を押し込み、これを水平方向に回動させるものである。
次にステー保持体22について説明する。ステー保持体22は、グロープラグ30(支持ステー31)をほぼ一定の高さに維持しながら、支持ステー31を水平回動自在に保持して成るものである。なお、ここではステー保持体22そのものが筒状に形成され、その上部においてグロープラグ30が取り付けられた支持ステー31を回動自在に保持するものである。また、このため、筒状のステー保持体22の上端部には、支持ステー31(グロープラグ30)を回動させるための矩形状の切欠き32が形成されている。
また、ステー保持体22の上端側は、円板21の載置面ともなり、円板21はステー保持体22の上端縁に当接しながら回転を行うものである。
支持ステー31は、平面から視て略L字状を成し(その短片部と長片部とを各々31a、31bとする)、この短片部31aにグロープラグ30が長片部31bとほぼ平行に設けられる。この際、グロープラグ30は、赤熱部30aの突出寸法が適宜調整できるような取り付けが好ましく、例えば図2では、予めグロープラグ30の外周側にネジ部を形成しておき、短片部31aを両側からナットで挟み込み、赤熱部30aの突出寸法を調節した後、締め付けている。
また、支持ステー31をステー保持体22に取り付ける際には、短片部31aを筒状のステー保持体22の外周側に位置させるとともに長片部31bの端部側をステー保持体22の内周側に収めることにより、赤熱部30aを爆竹花火10に作用(接触)するようにしている。
更にグロープラグ30の端部(非赤熱側)と支持ステー31の端部(長片端部)とには、導体33a、33bが接続されており、これはグロープラグ30を赤熱させるための給電用の導線である。なお、この導体33a、33bは、支持ステー31(グロープラグ30)の回動を阻害することがないよう、編み込み式のフレキシブル性に優れた帯状導体が好ましい。これは、通常のコードでは、コードの硬さが支持ステー31の回動に追従せず、支持ステー31の滑らかな回動を阻害することが考えられるためである。
ここで、支持ステー31(グロープラグ30)を回動自在に形成する機構を水平回動機構6とし、以下これについて説明する。
水平回動機構6は、一例として図2に示すように、筒状のステー保持体22の内側から固定体36によって立設した回動軸37に、長片部31bのほぼ中央部に取り付けた軸受入体38を嵌め込んで成るものである。ここで軸受入体38は断面がコの字を成す中空状に形成され、回動軸37との接触面積を低減させ、且つ回動軸37と軸受入体38との隙間に異物が詰まり難いように考慮されている。これにより支持ステー31の円滑な回動を長期にわたって維持できるものである。もちろん、固定体36と軸受入体38との間にはワッシャ等を設け、更なる回動の円滑化を図ることが好ましい。
なお、図中符号39は、ステー保持体22から回動軸37にほぼ当接状態に差し込み、軸受入体38の上方への抜けを防止する抜け止め体であり、ここでは軸受入体38のコの字状空間にスクリューをねじ込み、例えば鳥獣撃退装置1が傾いた場合の軸受入体38(支持ステー31)の外れ(抜け)を阻止している。
またグロープラグ30は、上述したように支持ステー31の短片部31aに設けられ、回動軸37は長片部31bのほぼ中央に位置するため、このままでは支持ステー31として短片部31a側が重くなり、支持ステー31は短片部31aの方に傾倒する傾向を有する。当然、このような傾倒は、支持ステー31(グロープラグ30)を小さな力で円滑に水平回動させる際の障害となり得るため、上記水平回動機構6にあっては、長片部31bの端部にモーメントバランサ40を設け、回動軸37を支点とする短片部31aのモーメントと、長片部31bのモーメントとの釣合いを取ることが好ましい。
また、着火部4は、爆竹花火10によって最奥部まで押し込まれたグロープラグ30を元の位置に戻す初期位置復帰機構7を具えるものであり、以下これについて説明する。
初期位置復帰機構7は、ステー保持体22と支持ステー31(短片部31a)との双方に設けられた同極のマグネット43a、43bを具えて成るものであり、その反発力によって支持ステー31は初期位置に復帰するものである。ここでステー保持体22と支持ステー31とおいてマグネット43a、43bが取り付けられる位置は、ステー保持体22が押し込まれ最奥部まで回動した際に、互いに当接もしくは最も接近する位置に取り付けられるものである。もちろん、このような一組のマグネット43a、43bは、長片部31bにも設けることが可能である。
なお、グロープラグ30を初期位置に戻すのは、グロープラグ30への給電を切るため(給電を中止する信号を送るため)であり、また長スリット26aにセットされた爆竹花火10があった場合、これを円板21の回転運動を利用して短スリット26bに自動整列させるためである。
また、ステー保持体22には、その内側上部に円板21を回転させるためのモータM(例えばギヤドモータやステッピングモータ等)が設けられ、図中符号44は、このモータMのシャフトに接続された回転軸であり、上記円板21の軸孔27に嵌合するものである。
更に、ステー保持体22の内部には、鳥獣撃退装置1をコントロールするための基盤等が収納される。
またステー保持体22の下部からは、モータ給電用のコード、グロープラグ30(ヒータ)給電用のコード、爆竹花火10の残数等の信号を送るためのコード等が引き出されるものであるが、取り扱いの便を考慮すると、これらはコネクタでまとめ、後述する制御盤9とワンタッチ接続する形態が好ましい。
次に仕切板23について説明する。仕切板23は、着火部4と爆音発生部5とを仕切る部材であり、空間的には着火部4の底部を形成するとともに爆音発生部5の天井部を形成している。仕切板23は、一例として図1、2に示すように、中央部に円孔47が開口され、ここに筒状のステー保持体22を受け入れるものである。また、仕切板23の一部は、外縁側から略矩形状に開口され、これは着火した爆竹花火10を下部空間(爆音発生部5)に入れるための落下口48となっている。
また、仕切板23には、図1、2に示すような姿勢設定板49が設けられるものである。これは、円板21の回転によって爆竹花火10が円運動をすることや爆竹花火10(導火線10a)が製造段階で縒り(いわゆるクセ)を有し得るため、円板21での吊着姿勢が必ずしも定まらないことがあるためである。このため、例えば図2に示すように、落下口48の手前側で平板状の姿勢設定板49に当接させることによって爆竹花火10の姿勢を揃え(特に下端側)、着火した爆竹花火10を確実に落下口48に落とし込むものである。なお、ここでは姿勢設定板49を回転方向における前後二カ所に設け、姿勢設定を二段階で行っているが、これは姿勢設定をより確実に行うための構成であり、姿勢設定板49の数等は適宜変更可能である。
なお、仕切板23を設ける目的、すなわち爆竹花火10を落下させ、着火部4とは別の空間で爆発させるのは、着火部4において吊着されている待機中の爆竹花火10への引火(飛び火)を防ぐためである。
次に爆音発生部5について説明する。爆音発生部5は、導火線10aへの着火によって着火部4から落下してきた爆竹花火10を受け入れ、爆発させる部位であり、胴部51と底部52とによって筒型の籠状に形成されるものであり、以下これらについて説明する。
まず胴部51は、一例として図1、2に示すように、ステンレス製の金網等によって形成されるものであり、その上端と下端とが全周、リング状の補強体53によって構造的な強度アップが図られている。また胴部51には、爆発後の花火(以下、これを残骸花火とする)を取り出すための取出扉54が開閉自在に設けられており、この取出扉54には例えばバックルタイプの留め金55が設けられ、これによって閉鎖状態を維持するものである。
また、胴部51の上端付近の内側には、嵌め込んだ仕切板23の受けとなる支持片56を三等配などで設けるものである。なお、このような支持片56を胴部51に取り付けるには、例えば胴部51の外周側からネジ止めする手法等が一般的であるため、ここではこのネジを利用して鳥獣撃退装置1を吊るすためのワイヤ57も取り付けている。もちろん、このワイヤ57の上端側(先端側)は、リングやフックなどの掛止体58によって一まとめにすることが好ましい。なお、装置本体2に対し例えばカバー3をバヨネット係合させて取り付ける場合等には、上記ワイヤ57の代わりにカバー3の頂部に掛止体58を設けることも可能であり、このため図1ではカバー3の頂部に掛止体58を想像線で描いている。
また、底部52は、例えばステンレス製の穿孔板(パンチングメタル)等によって形成されるものであり、中央には、一例として矩形状のコード用孔61が開口され、ここからステー保持体22のコードやコネクタが外部に引き出される。また、このコード用孔61の外側には、筒状のステー保持体22を受け入れる際のガイドとなる嵌め込み片62が周状に立設されている。なお、この嵌め込み片62は、ステー保持体22を嵌める際の案内作用の他、このものの位置決め作用も担うが、コード類をステー保持体22とともに二重に保護するため、爆発する花火からコード類を保護する作用も期待できる。
このように、爆音発生部5の胴部51や底部52は、金網やパンチングメタルで形成されるものであり、これは爆音や火薬の匂いあるいは爆発時の煙等を効果的に外部に放出させ、これらの複合によって鳥獣ANを威嚇する効果を向上させるためである。
なお、上述したように爆竹花火10を爆発させる本装置には、ステンレス製の素材を多用するのが一般的であるが、花火の火薬には強力な酸化剤が使用されているため、本装置を繰り返し使用し続けると、ステンレスと言えども錆が強く出現するため、適宜、分解洗浄することが好ましく、このため本実施例では、上記構成部材が容易に分解/組み付けできるように考慮されており、以下この手順について説明する。
鳥獣撃退装置1の組み付けにあたっては、一例として図1に示すように、まず爆音発生部5の胴部51の内側に仕切板23を嵌め込む。この際、支持片56が仕切板23の受けとなり、仕切板23を常に一定の高さにセットできる。また、仕切板23の嵌め込みにあたっては、平面から視て、落下口48と取出扉54とをほぼ合致させることが好ましい。これは、着火した爆竹花火10は、全て落下口48を通って胴部51に落下してくるため、落下口48と取出扉54とを合致させておけば、爆発後の残骸花火が取り出し易いためである。もちろん、仕切板23と胴部51と間には、予め位置決めを形成しておき、仕切板23の嵌め込みに伴い、自然に落下口48が取出扉54に合致するような形態も適宜採り得る。
次に筒状のステー保持体22を仕切板23の中央の円孔47に嵌め込む。この際、ステー保持体22の下部から延びるコード類をコード用孔61から引き出しながら、底部52の中央に立設された嵌め込み片62にステー保持体22の下部を嵌め込むようにセットする(コードの噛み込みがないようにセットする)。また、このステー保持体22を嵌め込む際にも、平面から視てグロープラグ30(赤熱部30a)と落下口48とをほぼ合致させるように取り付けるものである。もちろん、ここでもステー保持体22の嵌め込みによって、自ずと赤熱部30aと落下口48とが合致する位置決めを別途設けることが可能である。
次いで、円板21を回転軸44に嵌め込み、各スリット26(短スリット26b)に爆竹花火10を吊り下げる。その後、カバー3を装置本体2に被せるように内嵌めして、鳥獣撃退装置1の組み付けを完了する。
なお、組み付けた鳥獣撃退装置1を分解する際には、上記作業を逆の手順で進めて行くものであり、カバー3の取り外し→円板21の取り外し→ステー保持体22の取り外し→仕切板23の取り外しとなる。もちろん、残骸花火を装置から取り出す際には、このような分解までは必要なく、取出扉54を開けて、ここから取り出すのが一般的である。
次に、このような鳥獣撃退装置1を適用した鳥獣撃退システムについて説明する。なお、本システムにおける威嚇手段としては、上記鳥獣撃退装置1の他、専ら音によって鳥獣ANを威嚇するスピーカ等の警報音発生装置1Aを併用すれば、鳥獣ANを追い払う撃退効果つまり鳥獣ANの恐怖心を煽る効果が極めて大きいため、以下の説明では、鳥獣撃退装置1と、警報音発生装置1AとしてスピーカSPとを併用するシステムを基本的に説明する。
なお警報音発生装置1Aとしては、必ずしもスピーカSPに限定されるものではなく、風雨等に耐え得る耐候性等を有するものであれば、ベルやブザー等を適用することも可能である。因みにベルやブザーを威嚇手段(警報音発生装置1A)として適用した場合には、連続音では音量を大きくしても鳥獣ANが次第に慣れ、威嚇効果がすぐに低減してしまうため、断続音とすることが好ましい。これは、一回の断続音発報で鳥獣ANを何回も驚かす(恐怖心を抱かせる)方が、威嚇効果が高いためである。また、その意味では、威嚇効果を持続させるには、音量よりもむしろ音をどのように聞かせるか(鳥獣ANの警戒心をどのように持続させるか)を考慮すべきであるとも言える。
本発明の鳥獣撃退システムは、例えば図6に示すように、鳥獣ANの侵入を感知する侵入センサ8Aと、この信号を受け取る受信機8Bと、上述した鳥獣撃退装置1と警報音発生装置1Aとを各々一基以上組み合わせて成る複数の威嚇手段と、威嚇手段の作動等をコントロールする制御盤9とを具えて成るものである。
なお、威嚇手段は、一例として図5に示すように、鳥獣撃退装置1と警報音発生装置1Aの幾つかを、樹木に吊るすなど、高所に設けることが好ましく、これは動物が生まれながらに持っている、雷を恐れるという習性を利用している。すなわち、農耕地等に侵入した鳥獣ANの頭上から警報音や爆音を鳴らすことで、鳥獣ANは雷が鳴ったときと同様の恐怖心を感じ、威嚇効果が持続・向上するものである。なお、鳥獣ANを頭上から威嚇することによって、威嚇効果が持続・向上することは、本出願人が長年、この種の装置を開発し、また威嚇された鳥獣ANの反応を観察して会得した知識である。
また、威嚇手段を設置するにあたっては、例えば図7(a)に示すように、鳥獣ANの侵入を阻む農耕地などの保護エリアARに、鳥獣撃退装置1を一基、スピーカSPを四基設けることが可能である。もちろん複数の威嚇手段の設置態様としては、種々の配置が想定されるが、ここでは保護エリアARのほぼ周縁に沿って、各威嚇手段を点在状態に(間隔をあけて)設けるものである。これは、保護エリアARに侵入した鳥獣ANに対し、異なる方向から複数の威嚇手段を仕掛け、警報音や爆音によって鳥獣ANを挟み打ち状態にするためである。なお、ここでの「挟み打ち状態」とは、必ずしも鳥獣ANの前後(正面方向と背面方向)から爆音や警報音を鳴らすことだけでなく、左右方向から鳴らす場合も包含するものであり、このため鳥獣ANを包囲するように、その前後左右から鳴らす場合(鳥獣ANを種々の方向から威嚇手段で包囲する場合)をも含むものである。また、鳥獣ANを挟み打ち状態にする際には、複数の威嚇手段をほぼ同時に作用させても良いが、鳥獣ANの恐怖心をより一層煽り立てる点から言えば、複数の威嚇手段を時間差で作用させることが好ましい。
また、威嚇手段を設置するにあたっては、例えば図7(b)のように、鳥獣撃退装置1とスピーカSPを各一基ずつ設けることも可能であり、その場合には保護エリアARの対角線上の両角部など保護エリアARのほぼ対向位置に設けることが好ましい。
以下、鳥獣撃退システムを構成する各部材(鳥獣撃退装置1以外)について説明する。
まず、侵入センサ8Aと受信機8Bについて説明する。侵入センサ8Aは、保護エリアARに鳥獣ANが侵入したことを感知するものであり、センシング手法としては鳥獣ANの体温を感知するもの、超音波を感知するもの(センサから空間に超音波を発し、その反射空間を鳥獣ANが通過すると超音波が乱れるため、反射波に変化が現れることを感知して出力を出すもの)、鳥獣ANの鳴き声をマイクロフォンで拾う音声感知手法などが挙げられ、センシング手法及びセンサ数ともに複数適用することが好ましい。なお、例えばマイクロフォンで鳥獣ANの鳴き声を拾う場合等には、鳴き声を解析することによって鳥獣ANの種類を特定することができるため、その鳥獣ANに最も効果的な警報音(忌避音)を選択して発報することが可能である。
また、ここでの侵入センサ8Aは、一例として威嚇手段や受信機8Bとは独立した別電源で作動する送信機内蔵型のセンサが適用され、キャッチした侵入信号は電波で受信機8Bに送られるが、これは有線(ケーブル)で送ることも可能である。また、受信機8BにはCDSが設けられ、充分に光(日光)が感知できる部位に設置されものであって、これは鳥獣撃退装置1の作動時間帯を設定するための機器である。
なお、侵入センサ8Aについては、特開平6−181674号、特開平7−236403号、実用新案登録第3004760号等に開示されており、適宜これらの手法を適用することが可能である。
次にスピーカSPについて説明する。スピーカSPは、専ら警報音によって鳥獣ANを威嚇するものであり、通常、アンプ(低周波増幅器)とともに設けられる。なお、スピーカSPから発報する警報音(音源)としては、適宜複数種用意しておき、侵入した鳥獣ANに応じて音源の種類を変更させたり、あるいは音源をランダムに変更したりして、鳥獣ANの慣れを防止することが好ましい。また、音源は単に機械的(電子的)なものだけでなく、例えばアンプの前段に音声メモリーICを設けておき、天敵の犬の鳴き声、銃砲の音、人間の声、合成忌避音などを音源とすることも可能である。また、音源については、USB記憶メディア等のアイテムを使用して対象となる鳥獣ANが嫌う音、例えばオオカミの遠吠え、虎、ライオンの声などの忌避音を、ユーザがインターネットから常に取り込めるようにしておくことで、鳥獣ANに応じた最も効果的な忌避音をユーザ自身が設定することができ、これにより慣れによる威嚇効果の低下をほぼ完全に防止でき、幅広い威嚇効果が望めるものである。
なお、図6では、一基のアンプに二基のスピーカSPを接続した、いわゆるステレオタイプを二セット設置する2系統4スピーカ形態を基本的に示したが、アンプやスピーカSPの数は適宜変更することが可能である。特にステレオタイプのスピーカSPを多数組設けた場合には、鳥獣ANを取り囲むようにステレオ音(警報音)を順次移動させ、あたかも雷鳴を模した威嚇を行うことができる。
また、図6では、同一アンプに接続された二基のスピーカSP(例えば図中のAとBのスピーカSP)をマイコンの制御によって直接且つ個別に鳴らせるようにもしている。これにより四基のスピーカSPを別々に時間差で鳴らすことができ、しかもその順序を適宜変更させることができる。また、例えばAのスピーカSPを地面近くに設置し、BのスピーカSPを高所(頭上)に設置しておく等、スピーカSPの設置高さに変化を付けても、多様な威嚇が行える。
すなわち、スピーカ音による威嚇は、警報音の種類を変えること、順次ステレオ音で包囲すること、地面または頭上など違った所から鳴らすこと、また音を鳴らすスピーカSPの順序を色々変化させること等で、スピーカ音(警報音)だけでも鳥獣ANに対して様々な威嚇が行え、慣れによる威嚇効果の低減を極めて抑制することができるものである。
次に制御盤9について説明する。制御盤9は、鳥獣撃退装置1やスピーカSP等の初期設定や作動状況をコントロールするものであり、一例として図4に示すように、操作パネル70に以下のような機器(スイッチ(SW)、表示灯、コネクタ)が設けられて成るものである。
まず図中符号71は、作動時間帯設定SWであり、侵入信号を受け取る受信機8Bに内蔵したCDSから、明るさ信号をマイクロコンピュータ(以下、マイコンとする)によって処理し、3ポジション設定(昼間のみ作動、夜間のみ作動、昼夜間の常時作動)で鳥獣撃退装置1の作動時間帯を決定するSWである。因みに「昼間のみ作動」は、例えば保護エリアARが住宅地に近く、夜間に鳥獣撃退装置1の爆音が鳴らせない場合等を考慮したものである。
また符号72は、バッテリーモニタランプであり、バッテリーの交換時期を的確に知らせるためのランプであり、例えば緑(図中の「G」)ならば使用可能電圧、赤(図中の「R」)ならば即交換を示す形態が可能である。
また符号73は、本システムの電気回路を保護するためのヒューズを収容するヒューズホルダであり、消費電力に比例したアンペアのものが選出して入れられる。
また符号74は、システム全体の電源SWであり、このSWを入れると鳥獣撃退装置1では、円板21を回転させるモータMが駆動し、爆竹花火10がグロープラグ30に接近・接触し、更にグロープラグ30を最奥部まで押し込むものである。
また符号75は、花火残数カウンタ通電SWであり、花火残数を読む際にこのSW(ボタン)を押し、後述する花火残数カウンタ78に残数をデジタル表示させるものである。すなわち、通常時には省エネルギのため花火残数カウンタ78の表示を切っておくものであり、花火残数カウンタ通電SWは、このために設けたボタンである。なお、ボタンを押せば7セグメント(数字表示)に通電されて花火残数が判読可能となる。
また符号76は、スピーカ発報時間設定SWであり、スピーカSPから警報音を自動的に発報させる場合の時間間隔を設定するSWであって、ここではサムロータリSWを使用して「窓に表示される数×10分」の10分間隔で時間設定を行うものである。なお、実際の作動形態としては、例えば10分間隔の設定で7分経過した時点で侵入センサ8Aが作動し、スピーカSPから警報音を発報した場合、7分という経過時間はリセットされ、ここから10分を新たにカウントする作動形態が現実的である。これは、自動的な時間設定よりも侵入センサ8Aからの信号を優先するという考え方に基づいたものである。
また符号77は、音量調整ボリュームSWであり、スピーカSPからの発報音の音量を任意に設定するSWである。
また符号78は、花火残数カウンタであり、初期設定(例えば図3の場合は13発)した爆竹花火10の全数から落下・爆発した数の差、すなわち円板21に吊着されている花火の残数を表示するダウンカウンタである。
また符号79は、残花火0表示ランプであり、全ての爆竹花火10が落下・爆発して上記花火残数カウンタ78が「00」を表示すると、花火が全て爆発し尽くした状態を例えば赤LEDの点滅によって知らせるランプである。なお、ここでは、このランプの点灯と同時に円板21を回転させるモータMへの給電、及びグロープラグ30の点火用ヒータへの給電を強制的にOFFにするインターロック設計を採用している。
また符号80は、残数カウンタリセットSWであり、花火残数カウンタ78を初期設定に戻すSWである。また、ここでは、このSWを押すことで、上記給電の強制OFF状態が解除される。
また符号81は、点火ヒータオフSWであり、爆竹花火10を円板21にセットする際に、誤ってグロープラグ30の点火用ヒータに給電が行われると、誤爆のおそれがあるため、これを完全に防止するために、点火ヒータ回路への給電をOFFにするSWである(ここではFETゲート回路をOFFにする)。なお、花火交換後(セット後)のSW復旧忘れを防ぐため、作動時(給電OFF状態)に赤LED等を点灯させることが好ましい。
また符号82は、受信機用コネクタであり、鳥獣撃退装置1と受信機8B間の電源及び通信信号を送受するコード(ケーブル)を接続するコネクタである。
また符号83は、スピーカ出力コンセントであり、スピーカSPから警報音を発報させるための出力用コンセントである。
また符号84は、点火ヒータ給電コネクタであり、制御盤9と点火用ヒータ間との給電及び信号線のコネクタである。
また符号85は、バッテリーコンセントであり、システム全てへの給電用バッテリーのコンセント(コネクタ)であって、例えば極性を間違えないように方向性のあるコネクタを使用することが好ましい。
そして、受信機8Bと制御盤9との接続、鳥獣撃退装置1と制御盤9との接続、制御盤9とバッテリーとの接続等は、上述したように利便性を考慮すると全てワンタッチで接続が行えるコネクタ(コンセント)を用いることが好ましい。また、このような制御盤9やバッテリーを実際に設置する際には、例えば図4、5に示すように、防水性の箱Bの中に入れて野外に設置することが好ましい。
本発明の鳥獣撃退システムは以上述べたような基本構成を採り、以下、このシステムによって保護エリアARに侵入した鳥獣ANを、捕獲殺傷することなく効果的に追い払う態様について説明する。なお、説明にあたっては、まず鳥獣撃退装置1の作動態様について通して説明し、その後、威嚇された鳥獣ANの行動パターンと併せて具体的な撃退態様を説明する。
(1) 爆竹花火の吊着(供給)
まず鳥獣撃退装置1のカバー3を取り外し、円板21の全ての短スリット26bに爆竹花火10をセットする(一例として13発)。なお、この作業を行う際には、点火ヒータオフSW81でグロープラグ30への給電(ヒータへの給電)は完全に切っておくものである。
なお、爆竹花火10の吊着は、通常の点検時において、残数が少なくなっていた場合にも行われるものである(補充)。そして、このような作業(花火セット)を行った後、装置本体2にカバー3を被せるように嵌め、鳥獣撃退装置1を所定の場所(例えば高所)に設置するものである。
(2) 制御盤の設定
このような作業に伴い、制御盤9の設定も行われる。具体的には、作動時間帯設定SW71、花火残数カウンタ78、スピーカ発報時間設定SW76、音量調整ボリュームSW77を適宜設定する。また、通常の点検時には、バッテリーモニタランプで72などの確認も併せて行うものである。
その後、点火ヒータオフSW81を切り換えて給電可能な状態に設定し、最後に電源SW74を入れる。これによって円板21を回転させるモータMが駆動し、円板21から吊り下げられた爆竹花火10(導火線10a)が回転する。なお、円板21の回転は、爆竹花火10がグロープラグ30を最奥部に押し込むまで続き、この状態で円板21の回転は停止し、待機状態に入る。もちろん、この接触状態だけでは、点火用のヒータに電流は流れないものである。
(3) 爆発
このような待機状態で侵入センサ8Aが鳥獣ANの保護エリアARへの侵入を感知すると、その信号が侵入センサ8Aから受信機8Bに送られ、更にこの侵入信号がマイコンに送られ、ここからスピーカSPに発報信号が送られる。この発報信号を受けて、スピーカSPから警報音を発報し、第一回目の威嚇を行う。威嚇された鳥獣ANは、例えば反射的に警報音から遠ざかる方向(離反方向)に逃げ出す。
また、侵入信号と同時にマイコンから、ヒータ点火回路に信号が送られ、ヒータへの給電が開始される。これによりグロープラグ30が幾らか遅れて赤熱し、ここに接触していた爆竹花火10の導火線10aが着火する。導火線10aに火が着いた爆竹花火10は、自重で爆音発生部5に落下し、導火線10aに着いた火が花火の本体に及ぶと爆発して、激しい爆音を轟かせる(ここでは二回目の威嚇となる)。なお、爆竹花火10は、姿勢設定板49により、設定板に沿ったほぼ一定の姿勢で落下するため、落下口48を確実に通過し、爆音発生部5に至る(落下する)ものである。
(4) 爆発による制御盤や装置の作動
また爆竹花火10の落下によってマイコンから花火残数カウンタ78に信号が送られ、残数表示を一つずつダウンさせて行く。
また爆竹花火10の落下によって支持ステー31がマグネット43a、43bの反発により回動し、初期位置に復帰する。
なお、爆竹花火10が落下した直後は、しばらくの間(例えば1分間程度)、モータMへの給電は行わず、円板21の回転を停止したままとする。これは、爆竹花火10が落下した直後は、たとえヒータへの給電が止められても、まだグロープラグ30が常温に戻っていないためである。つまり爆竹花火10が落下した直後に、モータM(円板21)を回転させると、グロープラグ30に触れた爆竹花火10が次々に着火してしまう恐れがあるのである。このため、該時間経過後に、モータMへの給電を開始して円板21を回転させ、再度、爆竹花火10をグロープラグ30に接触させ、グロープラグ30を最奥部まで押し込んだ状態で待機するものである(以下繰り返し)。
なお、爆竹花火10が全てなくなったことを感知するには、適宜の時間、円板21の回転が続いても接触状態(押し込み状態)が得られないことで感知し、これを感知したらモータMやヒータへの給電を中止するものである。もちろんスピーカSPや受信機8Bへの給電はそのまま継続され、バッテリーが持続する限り、スピーカSPによる威嚇だけは行えるようにするものである。また、爆竹花火10が全て爆発した状態を、点検にきたユーザに知らせるため、制御盤9では残花火0表示ランプ79が点灯し、これによりユーザは装置本体2を高所から降ろさなくても爆竹花火10が全数爆発したことを容易に知ることができるものである。
次に、威嚇された動物の行動パターンと併せて、具体的な撃退態様について説明する。ここでは、一例として図7(a)に示すように、威嚇手段として四基のスピーカSPと一基の鳥獣撃退装置1とを組み合わせた場合について説明する。
(a) 一回目の警報音による威嚇
保護エリアARに猿などの鳥獣ANが侵入すると、まず二基のスピーカSP(例えば図中のAとB)から一回目の警報音をほぼ同時に発報する。すると警報音に驚いた鳥獣ANは、例えば反射的に、この警報音から離れるように瞬時に反対方向に逃げ出すと考えられる。
(b) 二回目の警報音による威嚇
一回目の警報音からしばらく経過した後(実際には鳥獣撃退装置1による爆音が鳴るまでの間)、今度は、残った二基のスピーカSP(例えば図中のCとD)から二回目の警報音をほぼ同時に発報する。この二回目の警報音は、あたかも鳥獣ANの逃避方向から鳥獣ANを迎え打つように発報されるため、鳥獣ANは、逃げ道が塞がれたかのように思い込み、極度の緊張状態になることが容易に推測される。そのため、鳥獣ANは慌てふためき、逃げる方向を変えるために、例えば保護エリアAR内を右往左往しながら(逃げまどいながら)、四基の全スピーカSPから遠ざかるように逃げ出すものと考えられる。
(c) 三回目の爆音による威嚇
次に三回目の爆竹花火10による威嚇を行うが、通常は、グロープラグ30が赤熱するまでに多少の時間を要するため、上述したように一回目の警報音と三回目の爆音とのほぼ中間で、前記二回目の警報音による威嚇を行うことが好ましい。そして、三回目の爆音を聞いた鳥獣ANは、二回目までの警報音とは異なるため、例えば銃砲音などに近い恐怖心を感じ、更にあわてて他の方向に逃げ込むと思われる。その際、鳥獣ANは、再度、敵に包囲されたかのように思い込むため、鳥獣ANにとっては更に絶大な恐怖となって記憶に残り(いわゆる学習効果)、これが以後の多大な威嚇効果を奏する。
このように、本発明の撃退システムは、単に音で鳥獣ANを威嚇して保護エリアARから追い出すというものではなく、鳥獣ANを威嚇手段によって同時もしくは時間差で挟み打ち状態にすることにより、逃げ道が絶たれたという極度の心理状態に追い込み、鳥獣ANの恐怖心を煽り立てるものである。特に、ここでは警報音や爆音を鳥獣ANの頭上から聞かせるため、雷を恐れる効果も相まって、鳥獣ANの恐怖心をより一層倍増させ、これが絶大な威嚇効果を奏するものである。
なお、鳥獣AN(動物)には、上述したように学習能力があるため、たとえ爆竹花火10が全て無くなって(全て爆発し尽くして)警報音の後に爆音がしなくなっても、それまでに感じた恐怖心が無意識のうちに身体の中に刻み込まれるため、警報音だけでも充分に威嚇効果が持続する。
また、上記説明では、一回目の警報音で鳥獣ANが音からのがれる方向に逃げると説明したが、動物によっては直ぐに逃げず、暫く音が聞こえた方角をうかがう行動をとることも考えられる。しかし、そのような場合には、例えば音源をランダムに変更したり、警報音を断続音に且つそのボリュームを徐々に上げて行くこと等で、鳥獣ANを二回目の警報音を発報する方向に追い込むことができる。
また、ここでは時間差で鳥獣ANを挟み打ち状態にするように説明したが、鳥獣ANが保護エリアAR内に侵入してから、作物を荒らすまでには多少の時間が掛かるのが実状であるため、侵入信号を感知してからしばらく経過した後、スピーカ音と爆音とをほぼ同時的に鳴らし、鳥獣ANをその前後左右から一挙に包囲する(一種の挟み打ち)ことも可能であり、これも鳥獣ANの恐怖心を煽り立てるのに効果的な手法の一つと考えられる。
また図7(b)に示す実施例は、威嚇手段としてスピーカSPと鳥獣撃退装置1とを一基ずつ組み合わせた場合であり、これらを保護エリアARの対角線上角部に配置した実施例である。この場合もスピーカSPからの警報音と、鳥獣撃退装置1による爆音を同時的もしくは時間差で鳴らし、鳥獣ANを挟み打ち状態にすることにより、鳥獣ANの恐怖心を煽り、多大な威嚇効果を得ることができる。
なお上記図6に示した実施例では、2系統4スピーカの形態を示したがアンプを増設し、時間差を設けてスピーカSPを次々に鳴らせば、挟み打ち状態の威嚇が何回も行え、鳥獣ANに恐怖感を倍増学習させると同時に、逃げるルートをもコントロールすることができる。
また、上記鳥獣撃退装置1では爆竹花火10を適用したが、円板21に形成するスリット26の形状を変更すればロケット花火を打ち上げることもできるし、更には民家の近くで鳥獣撃退装置1による爆音が鳴らせない場合等には、主に匂いと煙を発生させるスモークボール花火(音がほとんどない)を適用することもできる。
また本発明の鳥獣撃退装置1は、爆竹花火10を爆発させるものであるため、警報音に比べると、激しい空気振動を伴い、このため鳥獣ANとしては、あたかも近くで雷が落ちたかの恐怖を受け、これが極めて高い威嚇効果につながるものと考えられる(もちろん火薬の匂いや煙の発生も相乗的に威嚇効果を高めると考えられる)。
しかしながら、現実には予め爆竹花火10をセットしておく数には限界があるため、鳥獣ANが確実に保護エリアARに入った際に爆音を聞かせることが好ましい。そのためには、鳥獣ANでないものを鳥獣ANだと誤認識した場合等の爆発(誤爆)を、できる限り防ぐことが肝要となる。逆に言えば、侵入センサ8Aにもよるが、例えばマイクロフォンで音を拾う場合等には、自動車等のクラクションや風の音、人の声などを鳥獣ANと誤認識することが考えられるし、光を認識するセンサの場合には、木の葉の揺らぎによって誤認識してしまう場合などがあるため、極力このような誤認識を防ぐことが好ましい。
このため例えば鳥獣撃退装置1については、一分間に二回、侵入信号を検出した場合のみ、ヒータへの着火信号を送るようにすることが可能である。もちろん、このような場合でも、警報音による威嚇は、一回の検出信号をキャッチした時点で発報するものであり、これは鳥獣ANの保護エリアARへの侵入が本当であった場合の保障機能である。
本発明は、以上述べたように鳥獣撃退装置1の使用を前提とし、特許請求の範囲で特定した技術思想を出願の主題とするものであるが、上述した実施例で開示されている全体的な技術思想または他の部分的な技術思想についても、新規な技術思想が開示されており、他の部分的な技術思想については、本出願とは別に、独立的に評価し得るものである。従って、これらについても、本出願を原出願とした、新たな分割出願を考慮し得る。
具体的には、鳥獣撃退装置1を適用せず、警報音発生装置1Aを複数用いた威嚇手段によって鳥獣ANを挟み打ち状態にする撃退システムが挙げられる。この技術思想の基本的な要旨は、鳥獣ANを単に警報音によって追い払うものではなく、挟み打ちという一種の極限的な心理状態に鳥獣ANを追い込むことによって、恐怖心を強く覚えさせ(学習効果)、これによって撃退効果を高め、またその効果を持続させるという思想である。そして、この技術思想は、必ずしも本出願において前提とした鳥獣撃退装置1を適用しなくても実現できるため、別途、独立的に評価し得るものである。すなわち、上記技術思想は、例えば保護エリアARが民家や住宅地の近くであり、鳥獣撃退装置1による爆音までは甘受されない場合などに適したシステムであり、この場合には、スピーカSP等から発する警報音の音量をボリュームでコントロールしての威嚇となる。因みに、スピーカSPのみの制御盤9は、作動時間帯設定SW71、バッテリーモニタランプ72、ヒューズホルダ73、電源SW74、スピーカ発報時間設定SW76、音量調整ボリューム77、受信機用コネクタ82、スピーカ出力コンセント83、バッテリーコンセント85のレイアウトになる。なお、市場への提供形態としては、後に鳥獣撃退装置1を付加してバージョンアップできる商品形態が好ましい。
本発明の鳥獣撃退装置1は、以上述べたように確実且つ正確に作動させることができ、しかもこのような作動を長時間にわたって維持でき、火の安全性にも優れ、耐久性、保守管理においても利便性の高い装置である。しかも、スピーカSP等の警報音発生装置1Aと組み合わせて使用することで、特に優れた撃退効果をもたらすものであるため、農業(農耕地)だけでなく、漁業や林業などにおいても利用できるし、空港近くで使用すれば、バードストライクを効果的に防ぐこともできるものである。
本発明の鳥獣撃退装置を示す分解斜視図である。 着火部を拡大して示す斜視図である。 爆竹花火を吊着する円板を示す平面図である。 制御盤に設けられる各機器を示す説明図である。 受信機、制御盤、鳥獣撃退装置、警報音発生装置としてのスピーカ等の設置状況の一例を示す斜視視である。 本発明の鳥獣撃退システムの一例を示すブロック図である。 本発明の鳥獣撃退システムによる具体的な撃退の様子を鳥獣の行動と併せて示す説明図である。
符号の説明
1 鳥獣撃退装置
1A 警報音発生装置
2 装置本体
3 カバー
4 着火部
5 爆音発生部
6 水平回動機構
7 初期位置復帰機構
8A 侵入センサ
8B 受信機
9 制御盤
10 爆竹花火
10a 導火線
11 掛止体
15 胴部
16 天井部
21 円板
22 ステー保持体
23 仕切板
26 スリット
26a 長スリット
26b 短スリット
26c 受け入れガイド
27 軸孔
30 グロープラグ
30a 赤熱部
31 支持ステー
31a 短片部
31b 長片部
32 切欠き
33a 導体
33b 導体
36 固定体
37 回動軸
38 軸受入体
39 抜け止め体
40 モーメントバランサ
43a マグネット
43b マグネット
44 回転軸
47 円孔
48 落下口
49 姿勢設定板
51 胴部
52 底部
53 補強体
54 取出扉
55 留め金
56 支持片
57 掛止ワイヤ
58 掛止体
61 コード用孔
62 嵌込み片
70 操作パネル
71 作動時間帯設定SW
72 バッテリーモニタランプ
73 ヒューズホルダ
74 電源SW
75 花火残数カウンタ通電SW
76 スピーカ発報時間設定SW
77 音量調整ボリューム
78 花火残数カウンタ
79 残花火0表示ランプ
80 残数カウンタリセットSW
81 点火ヒータオフSW
82 受信機用コネクタ
83 スピーカ出力コンセント
84 点火ヒータ給電コネクタ
85 バッテリーコンセント
AN 鳥獣
AR 保護エリア
B 箱
M モータ
SP スピーカ

Claims (10)

  1. 適宜の姿勢に保持されたグロープラグに対し、ほぼ下垂状態に吊着された爆竹花火を接近させ、爆竹花火の導火線をグロープラグに接触させた状態で、導火線への点火を図り爆竹花火を爆発させることによって鳥獣を威嚇し、追い払うようにした撃退装置であって、
    前記グロープラグは、ほぼ一定の水平面上を回動自在に形成されていることを特徴とする鳥獣撃退装置。
  2. 前記グロープラグの水平回動は、吊着された爆竹花火の押し込み移動によってなされるものであり、また爆竹花火の押し込み移動は、グロープラグを最奥部まで押し込んだ状態で停止し待機状態に入り、この状態で鳥獣の侵入を捕捉した際に、グロープラグを赤熱させるヒータへの給電が開始されることを特徴とする請求項1記載の鳥獣撃退装置。
  3. 前記グロープラグの水平回動は、グロープラグを保持する支持ステーが、装置中央部に立設されたステー保持体に対して回動自在に取り付けられることによって実現され、
    前記支持ステーとステー保持体との対向位置には、同極のマグネットが設けられ、この反発力によって、爆竹花火によって押し込まれていたグロープラグを初期状態に復帰させるようにしたことを特徴とする請求項1または2記載の鳥獣撃退装置。
  4. 前記支持ステーは、平面から視て略L字状に形成され、その短片部に前記グロープラグが取り付けられ、もう一方の長片部のほぼ中央に回動支点が形成されるものであり、
    このため回動支点を基点としてグロープラグに対向する長片部の端部側に、モーメントの釣合いを取るためのモーメントバランサを設け、グロープラグを保持する支持ステーの水平回動の円滑化を図るようにしたことを特徴とする請求項3記載の鳥獣撃退装置。
  5. 前記爆竹花火は、ほぼ一定の水平面上を回転する円板に対して複数吊着されるものであり、またこの円板は、平面から視て円板の外周縁から回転方向手前側に向かって傾斜状に形成される長スリットと、この長スリットの奥部から円板の回転方向にほぼ沿って形成される短スリットとを具えて成ることを特徴とする請求項1、2、3または4記載の鳥獣撃退装置。
  6. 前記短スリットは、爆竹花火によって最奥部まで押し込まれたグロープラグに対し、適宜の逃げ角を有する傾斜状態に形成され、円板が暴走した場合でも、短スリットに位置した爆竹花火の導火線が円板の回転によってグロープラグに接触しながら外側の遠心方向に逃げられるようにしたことを特徴とする請求項5記載の鳥獣撃退装置。
  7. 鳥獣の侵入阻止を図る農耕地などの保護エリアに、鳥獣を威嚇する威嚇手段を設け、保護エリアに侵入してきた鳥獣に対し威嚇手段を作用させることにより、鳥獣を保護エリアから追い払うようにした撃退システムにおいて、
    前記威嚇手段は、爆竹花火を爆発させて鳥獣を威嚇する前記請求項1、2、3、4、5または6記載の鳥獣撃退装置と、専ら音によって鳥獣を威嚇するスピーカ等の警報音発生装置とを各々一基以上組み合わせて成るものであり、またこれら複数の威嚇手段の設置にあたっては、保護エリアのほぼ周縁に沿って点在状態に設けるものであり、
    保護エリアに侵入した鳥獣を撃退するにあたっては、鳥獣を異なる方向から複数の威嚇手段によって挟み打ち状態に威嚇し、撃退するようにしたこと特徴とする鳥獣撃退システム。
  8. 前記複数の威嚇手段を作用させるにあたっては、複数の威嚇手段を順次作用させ、複数の威嚇手段により鳥獣を時間差で挟み打ち状態にするようにしたことを特徴とする請求項7記載の鳥獣撃退システム。
  9. 前記警報音発生装置から発報する警報音は、複数種を具えて成り、鳥獣の種類に応じて音の種類を変化させるようにしたことを特徴とする請求項7または8記載の鳥獣撃退システム。
  10. 前記警報音発生装置から発報する警報音は、USB記憶メディア等のアイテムを使用して対象動物の忌避音をインターネットよりダウンロードして取り込み得ることを特徴とする請求項7、8または9記載の鳥獣撃退システム。
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