JP4938521B2 - 車輪軸保持装置 - Google Patents
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Description
上記の例のように、従来の車輪軸保持装置には、検出精度を向上させる等、実用性を向上させるための観点から、未だ改良の余地がある。本発明は、そういった実情を鑑みてなされたものであり、より実用的な車輪軸保持装置を得ることを課題としてなされたものである。
サスペンション装置に支持される被支持体と、
車輪軸を保持する車輪軸保持体と、
それら被支持体と車輪軸保持体とを連結する連結体と、
(a)特定方向の荷重を検出する荷重センサと、(b)前記特定方向に延びる柱状をなし、前記特定方向において前記被支持体と前記車輪軸保持体との間に前記荷重センサと直列に配設され、前記特定方向における前記被支持体と前記車輪軸保持体との相対変位の少なくとも一部を前記荷重センサに伝達する柱状伝達体とを備え、その柱状伝達体が、それと同じ材料で長さが直径の2倍である円柱よりも弾性変形しやすいものである1以上の荷重検出装置と
を含むことを特徴とし、
さらに、第1の発明による車輪軸保持装置では、
前記1以上の荷重検出装置のうちの少なくとも1つのものが、前記車輪軸と平行な方向の成分を含む方向と、車両における上下方向と前後方向との少なくとも一方の成分とを含む方向である傾斜方向を前記特定方向として配設されたことを特徴とし、
また、第2の発明による車輪軸保持装置では、
前記被支持体が、互いに離間して配設されるとともにサスペンション装置に設けられた部材に取り付けられる複数の被取付部を含み、
前記連結体が、それら複数の被取付部の各々と前記車輪軸保持体とを連結する複数のブリッジ部を含み、
前記1以上の荷重検出装置の各々が、前記複数の被取付部のうちの1以上のものの各々と前記車輪軸保持体との間に配設され、
前記複数の被取付部の各々が、前記車輪軸保持体から半径方向に離間して配設され、
前記複数のブリッジ部が、前記複数の被取付部の各々と前記車輪軸保持体とを半径方向に沿って連結するものであり、
前記車輪軸保持体が、前記複数のブリッジ部によって前記複数の被取付部と連結される保持体本体と、その保持体本体に前記複数の被取付部のうちの互いに隣り合う2つのものの間に設けられ、前記1以上の荷重検出装置のうちの1つのものを、前記特定方向において前記互いに隣り合う2つの被取付部のうちの一方との間に狭持して押圧する車輪側押圧部とを含み、
前記複数の被取付部の各々が、前記保持体本体よりも径の大きい一円周上に配設され、
前記車輪側押圧部が、前記保持体本体から半径方向外側に突出して形成されたものであることを特徴とする。
前記従来の車輪軸保持装置においては、荷重センサを狭持する部分の剛性が過大であるために、荷重センサに適切な荷重が加わらないことが一因であると推測される。それに対して、本発明の車輪軸保持装置においては、比較的容易に弾性変形する柱状伝達体を備えているため、荷重センサに適切な荷重が加わるようにすることができ、検出精度の低下を抑制することができる。すなわち、本発明により、より実用的な車輪軸保持装置が得られるのである。
さらに、第1の発明による車輪軸保持装置においては、車輪軸と平行な方向の成分と、上下方向と前後方向との少なくとも一方の成分とを含む方向の荷重を取得することができる。
また、第2の発明による車輪軸保持装置おいては、車輪側押圧部を保持体本体から半径方向外側に突出して形成することで、例えば、車輪側押圧部と被取付部との離間距離を適切にできる等、荷重検出装置を配設する自由度が大きくなる。
車輪軸を保持する車輪軸保持体と、
それら被支持体と車輪軸保持体とを連結する連結体と、
(a)特定方向の荷重を検出する荷重センサと、(b)前記特定方向に延びる柱状をなし、前記特定方向において前記被支持体と前記車輪軸保持体との間に前記荷重センサと直列に配設され、前記特定方向における前記被支持体と前記車輪軸保持体との相対変位の少なくとも一部を前記荷重センサに伝達する柱状伝達体とを備え、その柱状伝達体が、それと同じ材料で長さが直径の2倍である円柱よりも弾性変形しやすいものである1以上の荷重検出装置と
を含むことを特徴とする車輪軸保持装置。
本車輪軸保持装置は、サスペンション装置に支持され、車輪が取り付けられる車輪軸を保持するものであり、車輪とともに車体に対して接近離間する。すなわち、車輪軸に加わる荷重(以後、特に必要がなければ「車輪軸荷重」と称する)をサスペンション装置に伝達する部分であり、本装置に荷重センサを組み込むことにより、比較的容易に車輪軸荷重を検出することができる。なお、車輪と車体とが接近離間する方向を、「車両における上下方向」、あるいは、単に「上下方向」と称する。また、車輪の進行方向を「車両における前後方向」あるいは、単に「前後方向」と称する。
車輪軸保持体は、車輪軸を回転可能に、あるいは、回転不能に保持するものである。つまり、車輪が車輪軸に相対回転不能に取り付けられる場合には、軸受を介して車輪軸を回転可能に保持する態様にされ、車輪が車輪軸に相対回転可能に取り付けられる場合には、車輪軸を固定的に保持する態様にされる。いずれの態様においても、車輪軸保持体が車輪軸荷重を受けることになる。
連結体は、被支持体と車輪軸保持体とを連結するものであり、適度の強度と弾性変形能とを有するものとされる。車輪軸荷重検出のために、被支持体と車輪軸保持体との適度の相対変位を許容することが必要なのである。その相対変位には、車輪軸の軸線と直交する方向の相対変位と、車輪軸の軸方向の相対変位と、車輪軸の軸線と直交する軸線回りの相対回転とのうち、検出したい荷重の種類と荷重検出装置の配設形態とで決まる少なくとも1つが含まれる。
荷重センサは、特定方向の荷重を検出するものとされ、荷重検出装置は荷重センサと柱状伝達体とが、特定方向において直列に配設されたものとされる。その荷重検出装置が、被支持体と車輪軸保持体との相対変位に応じて特定方向において伸縮させられると、荷重センサに加わる荷重が変化し、荷重センサの出力が変化する。その出力に基づいて荷重を取得することができる。すなわち、荷重検出装置において、車輪軸荷重に応じた被支持体と車輪軸保持体との相対変位が、荷重センサに加わる荷重の変化に変換され、荷重の検出が行われるのである。なお、被支持体と車輪軸保持体との相対変位量は、被支持体の荷重検出装置を支持する部分と、車輪軸保持体の荷重検出装置を支持する部分との相対変位量とする。荷重センサの出力が、被支持体と車輪軸保持体との相対変位に応じて変化することから、荷重検出装置を、被支持体と車輪軸保持体との相対変位量を検出するものと考えることもできる。
なお、荷重センサは、荷重を安定して検出するという観点から、ある程度大きな荷重が測定できるものとすることができる。さらに、例えば、車輪軸荷重の200分の1以上であることが望ましく、100分の1以上、50分の1以上とすることもできる。荷重センサには、例えば、セラミックセンサ(後述する)や,圧電センサ等を採用することができる。
ところで、従来の車輪保持装置において検出精度が低下する場合があるという問題があった。それは、荷重センサを狭持する部分の剛性が過大であるために、荷重センサに適切な荷重が加わらないことが一因であると推測される。例えば、被支持体と車輪軸保持体との相対変位に応じて適度に弾性変形できない場合等に検出精度の低下が生じると推測される。それに対して、本項の荷重検出装置は、比較的容易に弾性変形する柱状伝達体を備えているため、荷重センサに適切な荷重が加わるようにすることができ、検出精度の低下を抑制することができる。すなわち、本項の態様により、より実用的な車輪軸保持装置が得られるのである。
柱状伝達体は、それと材料が同じで長さが直径の2倍の円柱よりも弾性変形しやすいものとされる。上記円柱を、長さが直径の3倍,5倍,7倍のものとすることができ、その長さ−直径比(長さ/直径)が大きいほど弾性変形しやすくなる。なお、上記円柱は柱状伝達体と対比するためのものであり、断面形状が正円にされるが、柱状伝達体を円柱形状にすることが必須ではない。柱状伝達体の断面形状は、正円に限られず、例えば、楕円形,多角形,H形状等種々の形状とすることができる。また、柱状伝達体の断面形状および断面積が、軸方向において均一であることは不可欠ではなく、円錐台形状等のように軸方向において断面積が変化するものや、断面形状が変化するものとすることができる。すなわち、上記円柱よりも弾性変形しやすいものであればよいのである。柱状伝達体を構成する材料は、特に限定されないが、例えば、金属製のものとすることができる。
なお、柱状伝達体は、特定方向において、被支持体と車輪軸保持体との相対変位に応じて適度に弾性変形した際に、荷重センサに安定した荷重を加えられる程度の剛性ないし弾性変形能を有するものであることが望ましい。つまり、特定方向における相対変位に応じて柱状伝達体の圧縮量が適切に変化させられ、荷重センサに加わる荷重が適切に変化することで、被支持体と車輪軸保持体との相対変位の一部が荷重センサに伝達されるのである。
具体的には、例えば、比較的少ない相対変位によって比較的大きな荷重を発生させるために、柱状伝達体を、ヤング率(縦弾性係数と称する場合もある)が50GPa以上の材質のものとすることができ、また、90GPa以上、150GPa以上とさらに大きいものとすることができる。しかしながら、ヤング率が大きすぎると直角方向に撓みにくくなる。よって、柱状伝達体のヤング率は、他の設計事項、例えば、柱状伝達体の寸法(長さ、断面積)や、被支持体と車輪軸保持体との特定方向および直角方向における相対変位量の最大値、荷重センサの耐荷重等を考慮して決定される。
柱状伝達体は、1つの部材で形成されたものや、複数の部材で形成されたものとすることができる。例えば、複数の部材が、直列にあるいは並列に並べられたものとすることができる。さらに、複数の部材を直列に並べる場合に、複数の部材同士を隣接して並べることや、複数の部材のうちの2つのものの間に荷重センサを挟んで配設することもできる。また、柱状伝達体が、被支持体と車輪軸保持体との少なくとも一方と一体的に形成されていてもよい。
(2)前記柱状伝達体が、少なくとも前記車輪軸に加わる荷重が最大荷重を超えない範囲においては、前記特定方向に直角な直角方向における前記被支持体と前記車輪軸保持体との相対変位に応じて、前記荷重センサとの接触面においてその荷重センサとずれることなく前記直角方向に弾性的に撓むものである(1)項に記載の車輪軸保持装置。
まず、荷重センサに適切な荷重が加わらない要因として、被支持体と車輪軸保持体との直角方向の相対変位が悪影響する場合について説明する。
上述のように、荷重センサは特定方向、つまり、ある一方向の荷重を検出するものであるが、被支持体と車輪軸保持体との相対変位を一方向に限定することは難しく、特定方向と直角な直角方向に相対変位することを避け得ない。その場合には、荷重検出装置は、それの被支持体側の端部と車輪軸保持体側の端部とが上記直角方向において互いに逆向きに変位させられる。つまり、剪断方向の荷重を受けることになる。その剪断方向の荷重によって検出精度の低下が生じる傾向があることから、荷重センサと柱状伝達体とがそれらの接触面においてずれると検出精度が低下すると推測される。すなわち、剪断方向の剛性が過大であると検出精度が低下すると推測される。
それに対して、本項の柱状伝達体は、荷重センサと柱状伝達体との接触面におけるずれを防止できる程度に剪断方向の剛性が小さくされている、つまり、直角方向に撓みやすくされているため、荷重センサと柱状伝達体との接触面におけるずれの発生を防ぐという観点から、荷重センサの検出精度の低下を抑制することができる。すなわち、本項の態様は、より実用的な車輪軸保持装置とされているのである。
なお、被支持体と車輪軸保持体との直角方向の相対変位は、被支持体と車輪軸保持体との車輪軸にモーメントが加わった場合に大きくなる傾向がある。それは、被支持体と車輪軸保持体との相対回転の中心線と連結体との距離が、相対回転の中心線と路面との距離よりも小さいこと(例えば、4分の1から6分の1程度)が一因である。つまり、旋回時等に、車輪の接地部分に作用する軸方向の荷重の数倍の大きさの荷重が連結体に加わることになり、単純に、上下(前後)方向の荷重が加わる場合よりも、連結体の負担が大きくなるのである。
その被支持体と車輪軸保持体との相対回転によって、荷重検出装置の両端部が直角方向に相対変位させられる場合が多い。例えば、後の実施例で詳述するが、上下方向,前後方向等の荷重を検出するために、荷重検出装置が上下(前後)方向等を特定方向として配設された場合、被支持体と車輪軸保持体との相対回転によって、荷重検出装置の両端部が直角方向に相対変位させられる場合が多い。その相対変位量は、車輪軸と直交する方向における被支持体と車輪軸保持体との相対移動による変位量よりも大きくなる場合が多いのである。このような事情からも、被支持体と車輪軸保持体との相対回転による剪断方向の相対変位に撓みによって追随できることが重要である。
なお、荷重センサが、例えば、被支持体と車輪軸保持体との一方と、柱状伝達体との間に挟まれている場合に、荷重センサと、上記一方とが、それらの接触面においてずれる可能性がある。しかしながら、荷重センサと柱状伝達体との接触面におけるずれに対する抵抗力(摩擦力や接着力等)と、荷重センサと被支持体と車輪軸保持体との一方との上記抵抗力とが同程度の大きさであれば、柱状伝達体の撓み易さにより荷重センサと上記一方とのずれも防止できる。
車輪軸に加わる荷重が最大荷重を超えない範囲は、例えば、一般的な走行において想定される荷重の範囲とすることができ、衝突時や脱輪時等まで想定することを要しない。すなわち、柱状伝達体の剪断方向の剛性が、車両が正常に走行している状態において、想定される最大の荷重が車輪軸に加わっても荷重センサと柱状伝達体とがずれない程度にされていればよいのである。
なお、柱状伝達体の撓み量と比較してわずかであるが荷重センサもある程度上記直角方向に撓むので、その荷重センサの撓みや寸法の影響を考慮した上で、上記ずれが防止できればよい。つまり、検出精度の低下を防ぐには、荷重検出装置の全体が、荷重センサと柱状伝達体との接触面におけるずれが防止できる程度に撓むことができれば足りるのである。
(3)前記柱状伝達体が、少なくとも前記車輪軸に加わる荷重が最大荷重を超えない範囲においては、前記特定方向に直角な直角方向における前記被支持体と前記車輪軸保持体との相対変位に応じて、前記荷重センサとの接触面における前記荷重センサとのずれに対する抵抗力よりも小さい力によって、前記直角方向に弾性的に撓むものである(1)項または(2)項に記載の車輪軸保持装置。
本項の態様では、柱状伝達体が上記抵抗力よりも小さい力によって比較的容易に撓むものとされていることで、ずれの防止が担保されている。ずれに対する抵抗力は、例えば、摩擦,接着等によるものである。
(4)前記柱状伝達体が、前記荷重センサと前記被支持体との間に直列に配設された支持側伝達体と、前記荷重センサと前記車輪軸保持体との間に直列に配設された車輪側伝達体との少なくとも一方を含む(1)項ないし(3)項のいずれかに記載の車輪軸保持装置。
本項の態様には、柱状伝達体が、荷重センサの片側に配設される態様と、両側に配設される態様とが含まれる。柱状伝達体が荷重センサの片側に配設される態様では、構造が比較的シンプルになる。一方、柱状伝達体が荷重センサの両側に配設される態様では、詳細は後述するが、荷重センサと柱状伝達体との接触面を剥離させるモーメントが生じにくくなる。
(5)前記支持側伝達体と車輪側伝達体との少なくとも一方が、互いに別個に変形可能な状態で並列に並べられた複数の支柱体を含む(4)項に記載の車輪軸保持装置。
支持側伝達体等を、複数の支柱体で構成することにより、例えば、それらと材質,長さおよび断面形状が等しく、それらの総断面積と同じ断面積の1本の支柱体で構成する場合と比較して、撓みやすくなる。
被支持体、車輪軸保持体、連結体の構成によっては、被支持体と車輪軸保持体との直角方向における最大の相対変位量が、特定方向における最大の相対変位量よりも大きくなる場合があり、そのような場合に本項の柱状伝達体を採用することが効果的である。なお、最大の相対変位量は、例えば、一般的な走行において想定される値とすることができる。
また、柱状伝達体が、上記直角方向における最大の相対変位量が、上記特定方向における最大の相対変位量の2倍以上、5倍以上、10倍以上であっても、荷重センサとずれることなく前記直角方向に弾性的に撓むものであることが望ましい。
(7)前記柱状伝達体が、それの両端部を前記直角方向において互いに逆向きに相対変位させる向きの設定荷重が加えられた場合の前記直角方向における変形量が、前記両端部を軸方向において互いに逆向きに相対変位させる向きの前記設定荷重が加えられた場合の前記軸方向における変形量の10倍以上である(1)項ないし(6)項のいずれかに記載の車輪軸保持装置。
同じ大きさの荷重が加えられた場合に、柱状伝達体の軸方向において変形する場合と比較して、直角方向において変形しやすいほど荷重センサと柱状伝達体とのずれが生じにくくなる。なお、上記直角方向における変形量が、上記軸方向における変形量の20倍以上、40倍以上、80倍以上、160倍以上と大きい方が望ましい。
(8)前記柱状伝達体が、前記被支持体と前記車輪軸保持体との前記直角方向における相対変位量が最大になった状態において、前記直角方向に弾性的に撓ませる力(N)を前記相対変位量(mm)の最大値で除した値が3000N/mm以下になるものである(1)項ないし(7)項のいずれかに記載の車輪軸保持装置。
上記直角方向に弾性的に撓ませる力(N)を前記相対変位量(mm)の最大値で除した値(荷重−撓み比)が、2000N/mm以下、1000N/mm以下とされることが望ましい。
(9)前記1以上の荷重検出装置のうちの少なくとも1つのものが、前記荷重センサと前記柱状伝達体とがそれらの接触面において前記特定方向に離間することを防止する離間防止力が付与されたものであり、
前記柱状伝達体が、少なくとも前記車輪軸に加わる荷重が最大荷重を超えない範囲においては、前記直角方向に撓む際に前記柱状伝達体の端部に作用する曲げ応力の最大値が、前記離間防止力によって生じ得る抵抗曲げ応力の最大値よりも小さくなるものである(1)項ないし(8)項のいずれかに記載の車輪軸保持装置。
本項の態様は、撓みの要件の他に、接触面の剥離を防ぐ要件を加えるものである。被支持体と車輪軸保持体との直角方向における相対変位により、柱状伝達体に曲げモーメントが作用する。その曲げモーメントにより、柱状伝達体の端部に曲げ応力が作用し、中立軸の片側の部分が荷重センサに押し付けられ、反対側の部分が荷重センサから引き離される作用が生じる。一方、荷重検出装置には、荷重センサと柱状伝達体との接触面の離間を防ぐ力である離間防止力が、圧縮荷重、接着力等によって付与される。したがって、離間防止力による曲げ応力に抵抗する応力である抵抗曲げ応力が、曲げモーメントに依拠して柱状伝達体の端部を荷重センサから引き離す曲げ応力の最大値よりも大きければ、接触面の剥離を防止することができる。
本項以下の7項は、荷重検出装置の配設方向等について規定するものである。
荷重検出装置では、被支持体と車輪軸保持体との特定方向における相対変位によって荷重検出装置の圧縮量が変化させられる結果、車輪軸荷重が取得される。一方、被支持体と車輪軸保持体との直角方向における相対変位において、荷重検出装置は直角方向に撓むことができるため、被支持体と車輪軸保持体との直角方向における相対変位に追随することが可能であるとともに、その相対変位によっては圧縮量がほとんど変化しない。すなわち、荷重検出装置は、直角方向における相対変位による圧縮量の変化を回避することができるのである。
上述の特性を利用すれば、特定の中心線回りの被支持体と車輪軸保持体との相対回転による圧縮量の変化を回避することができる。すなわち、荷重検出装置を上記平面に沿って配設することにより、被支持体と車輪軸保持体とが相対回転する際に荷重検出装置が直角方向に撓むことで相対回転による圧縮量の変化を回避し得るのである。なお、連結体の剛性は比較的大きくされているため、被支持体と車輪軸保持体との相対回転は微少なものである。被支持体と車輪軸保持体との相対回転は、例えば、上下方向、前後方向の車輪軸荷重の取得に貢献しない場合が多いため、相対回転によって荷重検出装置の圧縮量が変化することはあまり好ましくない。よって、柱状伝達体の撓みによって相対回転による圧縮量の変化を回避できることは大きなメリットになる。
例えば、車輪軸の一方を上昇させ、他方を下降させるモーメントが加わった場合、被支持体と車輪軸保持体とが前後方向の中心線回りに相対回転させられる。その前後方向の中心線を含む平面に沿って荷重検出装置を配設することにより、その中心線回りに被支持体と車輪軸保持体とが相対回転した場合に、荷重検出装置が直角方向に撓むことで相対回転による圧縮量の変化を回避することができる。なお、荷重検出装置をある平面に沿って配設するとは、荷重検出装置の軸線がある平面に含まれた状態をいうものとする。
なお、相対回転中心線は、例えば、車輪軸と直交する直線とすることができる。また、相対回転中心線は、車輪軸の軸線と直交する方向の荷重が加わらない状態において、モーメントが加えられた場合の相対回転の中心にされることが望ましい。
(11)前記1以上の荷重検出装置のうちの少なくとも1つのものが、前記車輪軸と直交するとともに互いに異なる2つの方向のモーメントの各々によって、前記被支持体と前記車輪軸保持体とが相対回転させられる場合の2つの相対回転中心線の交点を通る直線に沿って配設された(1)項ないし(10)項のいずれかに記載の車輪軸保持装置。
前述のように、1の相対回転中心線を含む平面に沿って荷重検出装置を配設することにより、上記1の相対回転中心線回りの相対回転による圧縮量の変化を回避することができる。一方、2つの相対回転中心線の交点には、それら以外の相対回転中心線も通ることとなる。すなわち、上記交点を通る直線は、種々の相対回転中心線を含む平面上に含まれることとなる。よって、上記交点を通る直線上に荷重検出装置を配設することにより、種々の相対回転中心線回りの相対回転による圧縮量の変化を回避することができる。2つの相対回転中心線は、ある程度の角度をなして交差するものとすることができ、例えば、上下方向の直線および前後方向の直線にすることができる。
なお、荷重検出装置の特定方向は、車両における上下方向の成分と前後方向の成分との少なくとも一方を含む方向とすることができ、さらに、車輪軸の軸線方向の成分も含む方向とすることができる。
(12)前記1以上の荷重検出装置のうちの少なくとも1つのものが、前記車輪軸と直交する平面に沿って配設された(1)項ないし(10)項のいずれかに記載の車輪軸保持装置。
荷重検出装置は、車両における上下方向と前後方向との少なくとも一方の方向の荷重を検出するために用いられる場合が多い。その場合には、本項の態様のように、荷重検出装置が、車輪軸と直交する平面上に配設される態様が特に適している。すなわち、車輪軸の軸方向の成分を含まない方向に配設されているため、上下方向と前後方向との少なくとも一方の方向の荷重を検出することが容易なのである。なお、特定方向が互いに異なる2つの荷重検出装置を配設すれば、上下方向の荷重と前後方向の荷重とを別個に取得することができる。
(13)前記1以上の荷重検出装置のうちの少なくとも1つのものが、前記車輪軸と平行な方向の成分を含む方向を前記特定方向として配設された(1)項ないし(11)項のいずれかに記載の車輪軸保持装置。
車輪軸と平行な方向の成分を含む方向を特定方向とすれば、車輪軸の軸方向の成分を含む方向の荷重を取得することができる。
(14)前記1以上の荷重検出装置のうちの少なくとも1つのものが、前記車輪軸と平行な方向の成分を含む方向と、車両における上下方向と前後方向との少なくとも一方の成分とを含む方向である傾斜方向を前記特定方向として配設された(1)項ないし(11)項のいずれかに記載の車輪軸保持装置。
本項の態様によれば、車輪軸と平行な方向の成分と、上下方向と前後方向との少なくとも一方の成分とを含む方向の荷重を取得することができる。なお、本項の態様が、上記(10)項または(11)項に従属する場合には、相対回転による荷重検出装置の圧縮量の変化を回避できるため、特に好適である。
(15)当該車輪軸保持装置が、前記1以上の荷重検出装置として複数の荷重検出装置を含み、
それら複数の荷重検出装置のうちの2つのものが、互いに異なる方向を前記特定方向とするとともに、前記車輪軸から半径方向に離間し、かつ、前記車輪軸と平行な一平面に沿って配設された(14)項に記載の車輪軸保持装置。
本項の態様によれば、車輪軸の軸方向の荷重と、上下方向と前後方向との一方の荷重とを別個に取得することができる。
(16)当該車輪軸保持装置が、前記1以上の荷重検出装置として複数の荷重検出装置を含み、
それら複数の荷重検出装置のうちの2つのものが、それらの各々の特定方向と直交する平面が互いに直交する方向に配設された(1)項ないし(15)項のいずれかに記載の車輪軸保持装置。
本項の態様は、2つの荷重検出装置の特定方向が、直角にされているものである。例えば、一方の特定方向を上下方向とし、他方の特定方向を前後方向とすることができる。なお、本項の態様には、2つの荷重検出装置の軸線が、互いに直角に交差する場合と、直角に立体交差する場合(交わらない場合)とが含まれる。
前記連結体が、それら複数の被取付部の各々と前記車輪軸保持体とを連結する複数のブリッジ部を含み、
前記1以上の荷重検出装置の各々が、前記複数の被取付部のうちの1以上のものの各々と前記車輪軸保持体との間に配設された(1)項ないし(16)項のいずれかに記載の車輪軸保持装置。
本項の態様は、被支持体が複数の被取付部において、サスペンション装置に支持される態様である。それら被取付部と車輪軸保持体との間に荷重検出装置を配設することで、被支持体と車輪軸保持体との特定方向における相対変位に応じて荷重検出装置の圧縮量を効果的に変化させることができ、車輪軸荷重を取得することができる。車輪軸保持装置は、例えば、車輪のリムの内径よりも小さいものとすることができ、その場合には、車輪軸保持装置の配設が比較的容易になる。
本項の態様には、ブリッジ部が、被支持体と車輪軸保持体とを、上下方向の成分と前後方向の成分との少なくとも一方を含む方向に沿って連結する態様、車輪軸の軸方向に沿って連結する態様、上下方向の成分と前後方向の成分との少なくとも一方と、車輪軸の軸方向の成分とを含む方向に沿って連結する態様が含まれる。
本項の態様において、荷重検出装置を車輪軸保持体の外周に配置することができる。つまり、車輪軸を中心とする車輪軸保持体よりも大きな円周上に配置することができる。この場合、車輪軸保持体の外周に荷重検出装置の配設スペースを確保しやすくなる。なお、車輪軸からの離間距離が大きくなるほど被支持体と車輪軸保持体との相対回転に起因する相対変位量が大きくなる。
(18)前記複数の被取付部の各々が、前記車輪軸保持体から半径方向に離間して配設され、
前記複数のブリッジ部が、前記複数の被取付部の各々と前記車輪軸保持体とを半径方向に沿って連結するものである(17)項に記載の車輪軸保持装置。
本項の態様は、複数の被取付部が、車輪軸保持体を外周側から支持するものである。このような構造において、例えば、車輪軸保持装置の軸線方向の寸法をコンパクトにすることができるというメリットがある。しかし、ブリッジ部の軸方向の寸法が比較的小さい場合には、車輪軸に直交する軸線を中心とする被支持体と車輪軸保持体との相対回転を抑制しにくくなる。そういった場合に、荷重検出装置の直角方向への撓みによって、相対回転による圧縮量の変化を回避することが特に好適である。
(19)前記車輪軸保持体が、前記複数のブリッジ部によって前記複数の被取付部と連結される保持体本体と、その保持体本体に前記複数の被取付部のうちの互いに隣り合う2つのものの間に設けられ、前記1以上の荷重検出装置のうちの1つのものを、前記特定方向において前記互いに隣り合う2つの被取付部のうちの一方との間に狭持して押圧する車輪側押圧部とを含む(17)項または(18)項に記載の車輪軸保持装置。
本項の態様は、互いに隣り合う2つの被取付部の間に、荷重検出装置が配設されたものである。被取付部の間であればブリッジ部と干渉しにくく、荷重検出装置の配設が比較的容易になる。車輪側押圧部は、例えば、柱状伝達体を挿入する挿入穴を有するものとすることや、柱状伝達体や荷重センサと接触する面を有するものとすることができる。
(20)前記複数の被取付部の各々が、前記保持体本体よりも径の大きい一円周上に配設され、
前記車輪側押圧部が、前記保持体本体から半径方向外側に突出して形成されたものである(19)項に記載の車輪軸保持装置。
車輪側押圧部を保持体本体から半径方向外側に突出して形成することで、例えば、車輪側押圧部と被取付部との離間距離を適切にできる等、荷重検出装置を配設する自由度が大きくなる。
(21)前記車輪側押圧部が、前記複数の被取付部と同一平面上に配置された(20)項に記載の車輪軸保持装置。
本項の態様によれば、荷重検出装置を、車輪軸と直交する方向のモーメントによって被支持体と車輪軸保持体とが相対回転させられる場合の相対回転中心線を含み、車輪軸と直交する平面上に配設することができる。その作用効果については、上記(10)項,(11)項の態様と同様である。なお、本項は、上記(13)項,(14)項に従属しないものとする。
(22)前記複数の被取付部のうちの2つのものが、車両における上下方向と前後方向との一方に沿って並べられ、
前記車輪側押圧部が、それら2つの前記被取付部を結ぶ直線上まで延びて形成され、前記1以上の荷重検出装置のうちの1つのものを前記上下方向と前後方向との一方に沿って押圧するものである(20)項または(21)項に記載の車輪軸保持装置。
本項の態様によれば、比較的容易に荷重検出装置を上下方向と前後方向との一方に沿って配設することができ、上下方向の荷重と前後方向の荷重との一方を取得することができる。
(23)前記車輪側押圧部が、前記互いに隣り合う2つの被取付部と前記車輪軸線方向において離間して配設された(19)項または(20)項に記載の車輪軸保持装置。
本項の態様によれば、荷重検出装置を車輪軸の軸方向の成分を含む方向に配置することができる。その作用効果については、上記(13)項,(14)項の態様と同様である。なお、本項は、上記(12)項に従属しないものとする。
(24)前記車輪側押圧部が、前記保持体本体の外周部に半径方向外側向きに設けられたものであり、
前記被支持体が、両端部が前記複数の被取付部のうちの互いに隣り合う2つのものにそれぞれ連結されるとともに中間部において前記車輪側押圧部と対向し、前記1以上の荷重検出装置のうちの1つのものを、前記車輪側押圧部側に押圧する被支持側押圧部を含む(19)項に記載の車輪軸保持装置。
本項の態様は、被支持側押圧部と車輪側押圧部との間に荷重検出装置を挟んで押圧するものである。本項の態様によれば、比較的容易に、荷重検出装置を、前記「2つの相対回転中心線の交点」を通る直線に沿って配設することができる。その場合には、被支持側押圧部が、1以上の荷重検出装置のうちの1つのものを、車輪軸線を中心とする半径方向内側に押圧するものとされる。
摩擦抵抗力は、例えば、前記1以上の荷重検出装置の接触面における静止摩擦係数と、前記1以上の荷重検出装置が前記被支持体と前記車輪軸保持体とに挟まれて受ける荷重とを乗じた値となる。
(26)前記1以上の荷重検出装置が、標準状態において、前記特定方向において予め圧縮させられた予圧縮状態で配設され、前記車輪軸に加わる荷重が最大荷重を超えない範囲においては、前記1以上の荷重検出装置が前記被支持体と前記車輪軸保持体とに挟まれて圧縮された状態が維持されるものである(1)項ないし(25)項のいずれかに記載の車輪軸保持装置。
本項の態様は、荷重検出装置に予荷重が加えられた状態で配設されたものである。荷重検出装置に加わる荷重は、被支持体と車輪軸保持体との相対変位によって増加あるいは減少するが、本項の態様では、荷重の減少量が想定される最大値であっても圧縮された状態が保たれるように予荷重が設定される。そのため、標準状態からの荷重検出装置の特定方向における圧縮量の減少量を検出できる。なお、標準状態は、例えば、車両が静止している状態や、車輪軸に荷重が加わらない状態とすることができる。
なお、被支持体と車輪軸保持体との相対変位によって荷重検出装置の特定方向における圧縮量が減少しても、前記車輪軸に加わる荷重が最大荷重を超えない範囲においては、前記荷重センサに加わる圧力の最低値が10MPa以上になるように、予荷重を加えることが望ましい。また、圧力の最低値が、20MPa,40MPa,80MPa,120MPa以上となるように予荷重を加えることもできる。予荷重が大きいと荷重センサと柱状伝達体とのずれを防ぎ易くなるが、荷重センサの耐荷重を考慮して決定することが望ましい。また、荷重センサに加わる圧力は、前記離間防止力として作用する。なお、荷重センサに加わる圧力に、荷重センサの特定方向に直交する断面の面積を乗じた値が、荷重センサに加わる荷重となる。
(27)前記荷重センサが、高強度セラミック材料中に、歪みによって電磁気的特性が変化する材料が分散させられて形成されたセラミックセンサである(1)項ないし(26)項のいずれかに記載の車輪軸保持装置。
高強度セラミック材料は、例えば、高純度のジルコニア、アルミナ等のファインセラミックスや、それらに各種の添加物を添加したものとすることができる。電磁気的特性は、例えば、電気抵抗率とすることができる。なお、歪みによって電磁気的特性が変化するという現象は、ピエゾ抵抗効果と称される場合がある。歪みによって電磁気的特性が変化する材料には、例えば、La0.75Sr0.25MnO3等のピエゾ抵抗効果を有する材料を採用することができる。その場合には、電磁気的特性として電気抵抗率が変化する態様となる。本セラミックセンサは、剪断方向の荷重を検知しないという特性を有するため、特定方向の荷重を検出しやすいという特徴がある。
(28)前記柱状伝達体が、標準状態において前記荷重センサに加わる圧力と、前記特定方向における前記被支持体と前記車輪軸保持体との相対変位量が最大になった状態で前記荷重センサに加わる圧力との差が5MPa以上になるものである(1)項ないし(27)項のいずれかに記載の車輪軸保持装置。
本項の態様は、柱状伝達体の軸方向の剛性について規定するものである。被支持体と前記車輪軸保持体との相対変位によって、荷重センサに加わる圧力を標準状態から最大で5MPa以上変化させることによって、荷重を安定して検出することができる。なお、柱状伝達体を、上記圧力の差が、10MPa以上、20MPa以上、40MPa以上、80MPa以上になるものとすることができる。なお、上記圧力の差に荷重センサの面積(特定方向と直交する方向の断面積等)を乗じた値が、荷重センサに加わる荷重の差となる。
標準状態の内容は、上記柱状伝達体が予圧縮された態様におけるものと同様である。
(29)前記柱状伝達体が、それの軸方向に荷重が加えられた場合に、その荷重を軸方向の変形量で除した値が10000N/mm以上になるものである(1)項ないし(28)項のいずれかに記載の車輪軸保持装置。
本項の態様によれば、柱状伝達体の軸方向の剛性を十分なものとすることができる。なお、柱状伝達体を、軸方向の荷重を軸方向の変形量で除した値が、20000N/mm以上、40000N/mm以上、80000N/mm以上のものとすることができる。
なお、図1,図3における上下方向,左右方向が、それぞれ車両の上下方向(Z軸方向),左右方向(Y軸方向)である。また、図2における上下方向,左右方向が、それぞれ車両の上下方向(Z軸方向),前後方向(X軸方向)である。
円筒部20は、軸受の一種である玉軸受30を介してシャフト12を回転可能に保持するものとされている。玉軸受30は、複列アンギュラ玉軸受けとされており、それぞれ車輪側と車体側とにおいて、複数のベアリングボール32(以後、特に必要がなければ「ボール」と略記する)が2列に並べられて保持されている。円筒部20の内周部には、玉軸受30の2つの外側軌道面34が曲面状に形成されている。それら外側軌道面34により、複数のボール32の外周側への移動と、2列のボール列が互いに接近する向きの移動とが禁止される。
一方、シャフト12の外周部には、玉軸受30の2つの内側軌道面40が曲面状に形成されている。なお、シャフト12のハブ14側においては、シャフト本体42に一方の内側軌道面40が形成され、シャフト12の先端側(ハブ14が設けられた部分の反対側)には、軌道面形成リング44によって他方の内側軌道面40が形成されている。軌道面形成リング44は、シャフト本体42の先端部に形成された雄ねじと螺合する軸ナット46によって固定されている。上記2つの内側軌道面40により、複数のボール32の内周側への移動と、2列のボール列の互いに離間する向きの移動とが禁止される。
以上に述べた玉軸受30を介して、シャフト12が、円筒部20に相対回転可能かつ相対移動不能に保持されている。なお、円筒部20とシャフト12とに、玉軸受30の軌道面34,40が形成されることは不可欠ではなく、軌道面が形成された外輪および内輪を有する玉軸受を採用することもできる。
支持体22は、ボルト穴50が形成された被締結部52と、その被締結部52と円筒部20とを連結するスポーク部54とを含む。被締結部52は、被取付部の一種であり、サスペンション装置に設けられた支持部材に締結され、サスペンション装置に支持される。スポーク部54は、ブリッジ部の一種であり、それの剛性が、シャフト12に加わった荷重に応じて、被締結部52と円筒部20とを適度に相対変位させる大きさにされている。その相対変位の大きさは、スポーク部54が弾性変形可能で、車両の走行に問題が生じない範囲内で、車輪軸荷重を検出しうる程度にされている。具体的には、シャフト12と直交する方向(例えば、上下方向,前後方向)における被締結部52と円筒部20との相対変位量が、3μm〜20μm程度、例えば、10μmとされる。
また、円筒部20には、それの外周部から半径方向外側に延びる複数のアーム部60(本実施例において4つ)が設けられている。それらアーム部60の各々は、4つの被締結部52に対して、円筒部20が相対変位する際に、その円筒部20と一体的に相対変位させられる。また、各アーム部60は、周方向において、4つの支持体22の互いに隣り合う2つのものの中央に位置させられている。そして、各アーム部60の先端部は、上下方向または前後方向において、互いに隣り合う2つの支持体22の端部と同程度の位置に位置させられている。
それら相対変位反映部24の各々に、荷重検出装置の一種である柱状変形部26が配設されている。円筒部20の前後に位置し、上下方向(Z軸方向)に沿って配設された4つの柱状変形部26Zは、シャフト12に加わる上下方向の荷重を検出するものである。つまり、上下方向が特定方向とされている。一方、円筒部20の上側と下側とに位置し、左右方向に沿って配設された4つの柱状変形部26Xは前後方向(X軸方向)の荷重を検出するものである。つまり、前後方向が特定方向とされている。以後、上記のように、柱状変形部26の荷重検知方向を示すために符号の後に記号(X,Z)を付す場合がある。また、アーム部60等の他の構成要素についても、柱状変形部26に対応する記号(X,Z)を付す場合がある。
柱状変形部26は、荷重センサたるセラミックセンサ74と、ロッド支持部72に支持された支持側ロッド76と、アーム部60に支持されたアーム側ロッド78とが直列に配設されて構成されている。それら2つのロッド76,78については後に詳述するが、2つのロッド76,78は、それぞれ円柱形状を成し、金属材料である鋼材によって形成されている。柱状変形部26は、被締結部52とアーム部60との間に狭持されて圧縮荷重を受けることで荷重を検出するものであるが、後に詳述するように、2つのロッド76,78を備えることによって、軸方向と直角な直角方向(剪断方向)に撓みやすいものとされている。
このセンサ74は、圧力感知部80が2層の絶縁部82から受ける圧力に応じて電気抵抗率を変化させるものである。したがって、それら1層の圧力感知部80および2層の絶縁部82が積層された方向が、センサ74の荷重検知方向(前記特定方向の一種である)となる。なお、センサ74の寸法や感度等は、スポーク部54の剛性や柱状変形部26の剛性等を考慮に入れて決定される。なお、センサ74は、荷重検知方向に100MPaの圧力が加わった場合に、約1μmの変位を生じるようにされている。
また、センサ74は、支持側ロッド76等の軸線方向が荷重検知方向となるように配設されており、2層の絶縁部82において、それぞれ支持側ロッド76の先端面、アーム側ロッド78の先端面に面接触させられている。なお、2層の絶縁部82と、それぞれ支持側ロッド76の先端面、アーム側ロッド78の先端面とを接着することもできる。接着剤には、例えば、熱硬化型シート接着剤(エポキシ系)を用いることができる。
アーム本体90および固定部材92の2つのV字溝94は、アーム側ロッド78が2つのV字溝94に挟まれた状態で固定部材92がアーム本体90に締結された場合に、アーム側ロッド78が強固に固定される寸法にされている。なお、2つのV字溝94とアーム側ロッド78とを、銀ろう等によってろう接(ろう付け等)することもできる。
本実施例において、互いに隣り合う2つの柱状変形部26の2つのアーム側ロッド78が、連続する1本のロッドにされているが、別個の2本のロッドとすることもできる。
また、ボルト108は、標準状態において、センサ74に設定された予荷重が加わるまで締め込まれた状態で配設されている。なお、標準状態は、本実施例において、車両が静止した状態(1G状態)とされているが、他の状態とすることもできる。例えば、シャフト12に荷重が加わっていない状態を標準状態とすることもできる。
なお、支持側ロッド76の基端部は、先端側の部分よりも径が大きくされ、ロッド嵌合部104と締まり嵌合させられている。
本車輪軸保持装置10は、シャフト12に加わった荷重である車輪軸荷重に応じて、主にスポーク部54が弾性変形することで、円筒部20(アーム部60)と被締結部52(ロッド支持部72)との相対変位を許容するように構成されている。そして、アーム部60とロッド支持部72との相対変位によって柱状変形部26の圧縮変形量(以後、特に必要がなければ「圧縮量」と略記する)が変化させられるのに伴い、センサ74の出力信号が変化し、シャフト12に加わる荷重(あるいは、センサ74が受ける荷重)を取得することができる。
なお、車輪軸荷重の取得は、センサ74が導電線86を介して図示を省略する車輪軸荷重取得装置と電気的に接続され、その車輪軸荷重取得装置によってセンサ74の出力信号を処理することによってなされる。車輪軸荷重取得装置は、例えば、コンピュータ,増幅回路等の電気回路等を含むものとすることができる。
例えば、路面の隆起を乗り越える場合等、シャフト12に、それを上昇させる向きの車輪軸荷重が加わった場合には、円筒部20とともにアーム部60が被締結部52に対して上昇する向きに相対変位させられる。
この場合、車両の前後方向に延びる2つのアーム部60Zの上側の柱状変形部26Zの圧縮量が増大させられ、上記2つのアーム部60Zの下側の柱状変形部26Zの圧縮量が減少させられる。つまり、上側のセンサ74が受ける荷重が増加し、下側のセンサ74が受ける荷重が減少する。なお、上側のセンサ74の荷重の増加量と、下側のセンサ74の荷重の減少量とは絶対値が等しくなる。そして、上下のセンサ74は荷重に応じた抵抗値を出力するため、その出力値に基づいて上昇させる向きの車輪軸荷重を取得することができる。なお、標準状態における抵抗値が基準とされ、その基準値からの出力値の変化量に基づいて車輪軸荷重が取得される。また、上側のセンサ74Zと下側のセンサ74Zとの出力値の変化量は正負が逆にされる。
この例では、4つのセンサ74Zによって上下方向の車輪軸荷重が検出されており、それらの平均的な荷重を取得することで、精度よく車輪軸荷重を取得することができる。なお、4つのセンサ74Zのうちの1以上のものによって車輪軸荷重を取得することもできる。
また、センサ74は剪断方向の荷重を受けることになるが、本センサ74は剪断方向の荷重を検知しないという特性を有しているため、前後方向の荷重を検出するセンサ74Xの出力に影響しない。
なお、車輪のオフセットにより、シャフト12に、上下方向のモーメントが加わる場合があるが、それについては次の説明と同様である。
円筒部20が被締結部52に対して前後中心線回りに相対回転させられると、上下方向に延びる2つのアーム部60Xが、ロッド支持部72に対してシャフト12の軸線方向に相対変位させられる。その際には、前述と同様に、柱状変形部26Xが剪断方向に撓むことで、支持側ロッド76等とセンサ74との接触面におけるずれが防止され、検出精度の低下が回避される。また、柱状変形部26Xの荷重検知方向における圧縮量はほとんど変化しない。すなわち、本実施例において、各柱状変形部26Xが、前後中心線を含む平面に沿って配設されており、前後中心線回りの相対回転による圧縮量の変化が回避されているのである。センサ74は剪断方向の荷重を受けることになるが、前述と同様に、前後方向の荷重を検出するセンサ74Xの出力に影響しない。
一方、左右方向に延びる2つのアーム部60Zも相対回転させられるが、回転軸線となる前後中心線(X)からの距離が小さいため、その相対回転による柱状変形部26Zの剪断方向の撓みは、柱状変形部26Xと比較してわずかである。したがって、上述と同様に、センサ74Zの出力は相対回転に影響されない。
シャフト12に前後方向の荷重が加わった場合と、前後方向のモーメントが加わった場合については、それぞれ、シャフト12に上下方向の荷重が加わった場合と、上下方向のモーメントが加わった場合と同様であるため説明を省略する。
また、前後(上下)軸線回りの相対回転による圧縮量の変化が回避できることで、少ないセンサ数で荷重を測定することが可能である。
ここで、前記特許文献1に記載された従来の車輪軸保持装置の車輪軸荷重測定結果について説明する。図6に、シャフト12に取り付けられたハブ14に、上方に向かう車輪軸荷重を想定される最大の荷重まで増加させた後に減少させ、次に、下方に向かう車輪軸荷重を想定される最大の荷重まで増加させた後に減少させた場合の、センサ74の出力値の変化を模式的に示す。なお、荷重は上下方向ともオフセット入力とされ、被支持体と車輪軸保持体とが、上下方向に相対変位させられるとともに、前後中心線回りに相対回転させられるようにされている。
この測定結果では、センサ74の出力に、楕円状のヒステリシスが生じる傾向があった。なお、車輪軸荷重の最大値を十分小さくして同様な測定を行った場合には、ヒステリシスが生じないという傾向があった。ヒステリシスが生じた場合には、センサ74の出力値に対応する車輪軸荷重の値に幅ができ、検出精度が低下することとなる。このヒステリシスが生じる原因は、剪断方向の相対変位によってセンサ74の取付状態に何らかの変化が生じたためであると推測される。具体的には、例えば、剪断方向の相対変位によってセンサと外周部(あるいは内周部)とが、それらの接触面においてずれて、センサ74に加わる荷重が変化するためではないかと推測される。
Zm/2=Wa・L/(A・E) ・・・ (1)
なお、Waはロッド76,78に加わる荷重の増加量の最大値、L,A,Eは、それぞれロッド76,78の長さ,断面積,ヤング率である。このWaが設定範囲内の値になるように、各要素を調整することができる。
図7に、柱状変形部26が剪断方向に撓んだ状態を、誇張して模式的に示す。本実施例において、ロッド76,78は、材料および直径が互いに等しいものとされ、また、それぞれ軸方向において直径が均一にされている。さらに、支持側ロッド76のロッド支持部72から延び出した部分の長さLと、アーム側ロッド78のアーム部60から延び出した部分の長さLとが互いに等しくされている。その結果、支持側ロッド76の撓み形状とアーム側ロッド78の撓み形状とは、互いに等しくなり、また、図の左右方向において点対称となる。
そのため、想定される剪断方向の最大の撓み量をδmとすると、ロッド76,78の撓み量は、最大撓み量δmの半分のδm/2となる。なお、理解を容易にするために、センサ74を無視することとする。
ここで、ロッド76,78を長さLの片持ち梁とみなすと、その撓み量δは、次式によって求められる。
δ=WL3/(3EI) ・・・ (1−1)
なお、Wは剪断方向の荷重、Lは梁の長さ、Eはヤング率、Iは断面二次モーメントである。
上記式(1−1)に、撓み量「δm/2」と、剪断方向の撓み量を最大にする荷重である最大荷重「Wm」を代入し、Wmについて解く。
δm/2=WmL3/(3EI) ・・・ (1−2)
Wm=δm・(3EI/2L3) ・・・ (1−3)
上記式(1−3)において、剪断方向の最大荷重Wmの意味するところは、ロッド76,78を「δm/2」だけ撓ませるのに必要な荷重である。その最大荷重Wmは、ロッド76,78の各々とセンサ74との接触面のずれに対する抵抗力Rによってもたらされる。すなわち、荷重Wmが抵抗力Rよりも小さければロッド76,78とセンサ74との接触面はずれず、被締結部52とアーム部60との剪断方向の相対変位に応じて柱状変形部26が剪断方向に撓むことができるのである。逆に、荷重Wmが抵抗力R以上になる場合は、ロッド76,78とセンサ74との接触面がずれて荷重の測定精度の低下を招く虞がある。したがって、次式が得られる。
R>Wm ・・・ (1−4)
R=μP ・・・ (1−5)
なお、μは静止摩擦係数、Pは最低圧縮荷重である。圧縮荷重は、標準状態において予荷重P0にされているが、アーム部60とロッド支持部72とが離間する向きに相対変位した場合には、予荷重P0よりも小さくなる。そのため、最低圧縮荷重Pは、次式のように、想定される最小の大きさにされる。
P=P0−Ps ・・・ (1−6)
P0は予荷重、Psは想定される圧縮荷重の最大の減少量である。
なお、ロッド76,78とセンサ74とを接着すれば、抵抗力Rは剪断方向の接着強度となる。
本実施例において、センサ74が、ロッド支持部72とアーム部60とから等距離の位置に配置されている。すなわち、支持側ロッド76の撓み代と、アーム側ロッド78の撓み代とが等しくなるようにされている。そのため、ロッド76,78とセンサ74との接触面を離間させる曲げ応力が生じないというメリットがある。
(δm/Zm)・(Wa/Wm)=L2・A/(3I) ・・・ (2−1)
さらに、ロッド76,78が円柱形状であることから、次式を式(1−6)に代入する。
A=πd2/4、I=πd4/64 ・・・ (2−2)
(δm/Zm)・(Wa/Wm)=16L2/(3d2) ・・・ (2−3)
本実施例において、相対変位反映部24における剪断方向の最大の相対変位量δmは、軸方向の最大の相対変位量Zmの約20倍とされている。また、柱状変形部26に加わる軸方向の荷重の最大増加量Waは、剪断方向の荷重の最大値Wmの4倍以上とされている。したがって、式(2−3)の両辺の各々の値は80以上となり、次式が得られる。
16L2/(3d2)≧80 ・・・ (2−4)
L≧3.9d ・・・ (2−5)
すなわち、本実施例において、各ロッド76,78の長さLは、直径dの3.9倍以上とされている。また、柱状伝達体全体の長さ(2L)は、直径の7.8倍以上にされている。
(δ/Z)=16L2/(3d2) ・・・ (2−6)
δは剪断方向の相対変位量、Zは軸方向の相対変位量である。
式(2−6)のLに3.9dを代入すると、右辺は約81となる。
すなわち、本実施例において、各ロッド76,78は、剪断方向に設定荷重が加えられた場合の変形量δを、軸方向に同じ設定荷重が加えられた場合の変形量Zで除した値である剪断方向撓み比が81以上になり、非常に撓みやすくされている。
また、本実施例において、各ロッド76,78は、抵抗力Rを剪断方向の最大の相対変位量で除した値である剪断方向変位−荷重比が1000(N/mm)以下になるものとされている。
具体例としては、各ロッド76,78を、長さLが9mm(2つで18mm)、直径dが2mm、ヤング率Eが200GPaのものとすることができる。この例では、剪断方向の最大の相対変位量δmが200μm(大きめに見積もった値である)になった状態において、抵抗力Rが、剪断方向の最大荷重Wmの1.5倍以上になるように充分に大きくされている。なお、センサ74の面積は4mm2、抵抗力Rはおよそ100Nである。
上記実施例は、センサ74が2つのロッド76,78に挟まれていたが、センサ74の一方の側に柱状伝達体たるロッドを配設する態様とすることもできる。
図8,図9,図10に、請求可能発明の一実施例である車輪軸保持装置200の正面図、側面図を示す。なお、図9は、図8,図10におけるA-A断面視、図8は、図9におけるB-B断面視、図10は正面図(一部断面)である。車輪軸保持装置200は、上記実施例の車輪軸保持装置10と多くの部分が同様に構成されているため、共通する構成には上記実施例と同じ符号を付して説明を省略し、異なる部分を中心に説明する。本車輪軸保持装置200の作動は、上記車輪軸保持装置10と同様であるので、説明を省略する。
相対変位反映部210は、柱状変形部220と、ロッド支持部72と、アーム部222とを含む。柱状変形部220は、荷重センサたるセラミックセンサ230と、ロッド支持部72に支持された円柱形状の支持側ロッド232とが直列に配設されて構成されている。
支持側ロッド232は、円柱形状を成し、先端面においてセンサ230の絶縁部82と面接触させられ、基端部においてロッド支持部74のロッド嵌合部104に圧入されている。本実施例において、支持側ロッド232は、上記実施例のものと比較して、直径が小さいものとされている。ロッドの直径を小さくすると剛性が低くなり、比較的容易に弾性変形しやすいため、センサの耐荷重が小さい場合に好適である。
セラミックセンサ230(以後、特に必要がなければ「センサ」と略記する)は、上記実施例のセンサ74と同じ構造を有し、寸法が小さくされたものである。センサ230は、アーム部222の先端部に、各層が周方向と直交する向きに配設されている。詳細には、アーム部222の先端部には、周方向を向く2つの側方部の各々に凹部240が形成されており、その凹部240の、周方向と直交する凹部壁面242に、センサ230の2層の絶縁部82の一方において面接触した状態にされている。なお、本実施例において、センサ230は、上記実施例のものと比較して、受圧面積が小さくされており、耐荷重が比較的小さいものとされている。
図12に、柱状変形部220が剪断方向に撓んだ状態を、誇張して模式的に示す。なお、「支持側ロッド232」は、「ロッド支持部74から延び出した部分」が撓むことから、支持側ロッド232と記載した場合に、撓みや剛性等に関しては、ロッド支持部74から延び出した部分を指すものとする。
本実施例において、支持側ロッド232の、ロッド支持部74から延び出した部分は、軸方向において材質および直径が均一にされている。そのため、想定される剪断方向の最大の相対変位量をδmとすると、支持側ロッド232は、ロッド支持部74側の半分と、センサ230側の半分とが、それぞれ全体の相対変位量δmの半分「δm/2」ずつ撓むこととなる。また、ロッド支持部74側の撓み形状とセンサ230側の撓み形状とは、互いに等しくなり、また、図の左右方向において点対称となる。
図13に示すように、支持側ロッド232のセンサ230側の半分であるセンサ側部250には、剪断方向の荷重Wmによって、センサ側部250をセンサ230との接触部分を中心に回転させるモーメントMw(次式)が作用している。
Mw=Wm・L ・・・ (3−1)
そのモーメントMwにより、曲げ応力が発生し、支持側ロッド232の端部をセンサ230に押し付ける圧縮応力σcと引き離す引張応力σtとが生じる。ここでは、圧縮応力σcは問題とならないため、引張応力σtについて述べる。引張応力σtは、次式によって得られる。
σt=Mw/Z=Wm・L/Z ・・・ (3−2)
なお、Zは支持側ロッド232の断面係数である。
一方、支持側ロッド232とセンサ230とには、離間防止力たる圧縮荷重Pが作用している。この圧縮荷重Pによる支持側ロッド232の端部をセンサ230に押し付ける応力σp(抵抗曲げ応力の最大値に相当する)は次式によって得られる。
σp=P/A ・・・ (3−3)
そして、圧縮荷重Pによる圧縮応力σpが、モーメントMwによる引張応力σtよりも大きければ、接触面の剥離を防ぐことができる。
σp>σt ・・・ (3−4)
具体例としては、支持側ロッド232を、全体の長さ2Lが24mm、直径dが1mm、ヤング率Eが200GPaのものとすることができる。この例では、剪断方向の最大の相対変位量δmが100μmになった状態において、接触面の離間を防ぐ力による抵抗曲げ応力の最大値σpが、曲げ応力σtの1.5倍以上になるように充分に大きくされている。なお、センサ230の面積は1mm2、最低の圧縮荷重はおよそ150Nにされている。
上記2つの実施例において、柱状変形部は、シャフト12の軸線に直交する平面上に配置されていた。つまり、シャフト12の軸線方向(Y)の成分を含まない方向(XまたはZ)が、セラミックセンサの特定方向たる圧力感知方向とされていた。
それに対して、本実施例において、柱状変形部が、シャフト12の軸線に傾斜して配置されている。つまり、シャフト12の軸線方向(Y)の成分と、上下方向(Z)または前後方向(X)の成分とを含む方向が、セラミックセンサの特定方向たる圧力感知方向とされるのである。そのため、シャフト12の軸線方向(Y)における円筒部20と被締結部52との相対変位を検出することができる。つまり、軸線方向(Y)の車輪軸荷重を検出することができる。
相対変位反映部310は、柱状変形部320と、ロッド支持部322と、アーム部324とを含む。柱状変形部320は、荷重センサたるセラミックセンサ330と、ロッド支持部322に支持された円柱形状の支持側ロッド334と、アーム部324に支持された円柱形状のアーム側ロッド336とが直列に配設されて構成されている。セラミックセンサ330(以後、特に必要がなければ「センサ」と略記する)は、上記実施例のセンサ74と同様のものである。
なお、ホルダ354を貫通穴352に圧入する際には、柱状変形部320に加わる予荷重が設定された範囲内の大きさになるようにホルダ354の挿入量が調節されている。
また、左側と右側との各々において、2つの柱状変形部320Zは、シャフト12の軸線から半径方向に離間し、その軸線と平行な一平面に沿って配設されている。詳細には、アーム部324の先端部を通り、軸線(Y軸)および上下方向(Z軸)に平行な一平面に沿って配設されている。その一平面において、2つの柱状変形部320Zは、互いに直角に交差する方向に配置されている。
なお、円筒部20の上下に設けられた4つの相対変位反映部310Xについても同様であり、4つの相対変位反映部310Zの説明において、上下方向(Z軸)を前後方向(X軸)に読み替えることとする。
図18〜図20に、円筒部20の前後方向に設けられた2つの柱状変形部320Zのうちの上側のものの変位を模式的に示す。また、下側の柱状変形部320Zの圧縮量の変化も参考のため示す。なお、柱状変形部320Zと水平面とのなす角、つまり、傾斜角度をθとする。
アーム部324が、ロッド支持部322に対してZa上昇させられた場合(図18)は、柱状変形部320Zの圧縮量の変化は「Za・sinθ」となる。なお、上側の柱状変形部320Zの圧縮量は増加するので正の変化になり、下側の柱状変形部320Zの圧縮量は減少するので負の変化になる。また、剪断方向の成分(Za・cosθ)は、柱状変形部320Zを剪断方向に撓ませるように作用し、荷重検知方向の圧縮量の変化にほとんど影響しない。
アーム部324が、ロッド支持部322に対して、シャフト12の軸線方向にYa接近させられた場合(図19)は、柱状変形部320Zの圧縮量の変化は「Ya・cosθ」となる。なお、上下の柱状変形部320Zの圧縮量が増加するので、上下とも正の変化になる。
円筒部20が被締結部52に対して前後中心線(X)回りにαラジアン相対回転させられた場合(図20)は、前後中心線から柱状変形部320Zの先端までの距離をJとすると、その先端部の変位Qxはα・Jとなる。柱状変形部320Zの先端部は概ね軸線方向に変位させられるため、柱状変形部320Zの圧縮量の変化はQxと等しくなる。なお、上側の柱状変形部320Zが正の変化になり、下側の柱状変形部320Zが負の変化になる。
また、前後中心線(X)回りの相対回転によって、円筒部20の上下に配置された柱状変形部320Xの圧縮量も変化させられる。ここで、前後中心線から柱状変形部320Xの先端までの距離をJのC倍、つまりCJとする。また、前後中心線と柱状変形部320Xの先端とを結ぶ直線と、シャフト12の軸線との成す角度をβとする。そして、柱状変形部320Xの先端部の変位はα・CJとなり、その変位の軸方向の成分であるYxをα・CJ・sinβとする。その軸方向の成分Yxによる柱状変形部320Xの圧縮量の変化は「Yx・cosθ」となる。
円筒部20が被締結部52に対して上下中心線(Z)回りに相対回転させられた場合は、前後中心線(X)回りに相対回転させられた場合と同様に考えられる。つまり、柱状変形部320Xの先端部の変位Qzが圧縮量の変化と等しくなる。また、上下中心線回りの相対回転によって、円筒部20の前後に配置された柱状変形部320Zの圧縮量も変化させられる。柱状変形部320Zの圧縮量の変化は「Yz・cosθ」となる。
Uz1= Za・sinθ+Qx+Ya・cosθ+Yz・cosθ ・・・(4−1)
Uz2=−Za・sinθ−Qx+Ya・cosθ+Yz・cosθ ・・・(4−2)
Uz3= Za・sinθ+Qx+Ya・cosθ−Yz・cosθ ・・・(4−3)
Uz4=−Za・sinθ−Qx+Ya・cosθ−Yz・cosθ ・・・(4−4)
Ux1= Xa・sinθ+Qz+Ya・cosθ+Yx・cosθ ・・・(4−5)
Ux2=−Xa・sinθ−Qz+Ya・cosθ+Yx・cosθ ・・・(4−6)
Ux3= Xa・sinθ+Qz+Ya・cosθ−Yx・cosθ ・・・(4−7)
Ux4=−Xa・sinθ−Qz+Ya・cosθ−Yx・cosθ ・・・(4−8)
Yx=Qx・C・sinβ ・・・(4−9)
C・sinβをγとすると次式が得られる。
Yx=γQx ・・・(4−10)
上下中心線回りの相対回転時の柱状変形部320Zの先端部の変位の軸方向の成分Yzも同様に次式で表される。
Yz=γQz ・・・(4−11)
Uz1= Za・sinθ+Qx+Ya・cosθ+γQz・cosθ ・・・(5−1)
Uz2=−Za・sinθ−Qx+Ya・cosθ+γQz・cosθ ・・・(5−2)
Uz3= Za・sinθ+Qx+Ya・cosθ−γQz・cosθ ・・・(5−3)
Uz4=−Za・sinθ−Qx+Ya・cosθ−γQz・cosθ ・・・(5−4)
Ux1= Xa・sinθ+Qz+Ya・cosθ+γQx・cosθ ・・・(5−5)
Ux2=−Xa・sinθ−Qz+Ya・cosθ+γQx・cosθ ・・・(5−6)
Ux3= Xa・sinθ+Qz+Ya・cosθ−γQx・cosθ ・・・(5−7)
Ux4=−Xa・sinθ−Qz+Ya・cosθ−γQx・cosθ ・・・(5−8)
Za=(Uz1−Uz2+Uz3−Uz4)/(4sinθ)−(Ux1+Ux2−Ux3−Ux4)/(4γsinθ・cosθ) ・・・(5−9)
Xa=(Ux1−Ux2+Ux3−Ux4)/(4sinθ)−(Uz1+Uz2−Uz3−Uz4)/(4γsinθ・4cosθ) ・・・(5−10)
Ya=(Uz1+Uz2+Uz3+Uz4+Ux1+Ux2+Ux3+Ux4)/(8cosθ) ・・・(5−11)
上記全ての実施例において、柱状変形部がシャフト12の軸線と立体交差する直線上に配設されていた。それに対して、柱状変形部を、シャフト12の軸線と交差(例えば、直交)する直線上に配設することもできる。
図22,図23に、請求可能発明の一実施例である車輪軸保持装置400の正面図、側面図を示す。なお、図23は、図22におけるA-A断面視、図22は、図23におけるB-B断面視である。車輪軸保持装置400は、上記実施例の車輪軸保持装置10と多くの部分が同様に構成されているため、共通する構成には上記実施例と同じ符号を付して説明を省略し、異なる部分を中心に説明する。
フランジ部410には、円筒部20の外周に沿って細長く延びた扁平な断面形状を成し、そのフランジ部410をシャフト12の軸方向に貫通する扁平穴414が複数形成されている。なお、本実施例において、扁平穴414は、円筒部20の上下側および前後側に4つ設けられており、シャフト12の軸線を中心とする一円周上に等間隔に配設されている。それら4つの扁平穴414によって、フランジ部410が概ね外周部412と内周部413とに区画される。
なお、本スポーク部416と前記スポーク部54とは概ね同様の剛性にされている。
相対変位反映部419は、フランジ部410の外周部412と内周部413との間に狭持されて圧縮荷重を受ける柱状の柱状変形部420と、柱状変形部420の半径方向外側の端部を支持するロッド支持部422と、扁平穴414の内周側の壁部に設けられて柱状変形部420の半径方向内側の端部を支持する車輪側支持部424とを含む。柱状変形部420は、荷重センサたるセラミックセンサ430と、ロッド支持部422に支持された円柱形状の支持側ロッド434と、扁平穴414の内周側の壁部に支持された円柱形状の内周側ロッド436とが直列に配設されて構成されている。セラミックセンサ430(以後、特に必要がなければ「センサ」と略記する)は、前記実施例のセンサ74と同様のものである。また、ロッド434,436は、前記実施例のロッド76,78と同様のものである。
車輪側支持部424は、車輪側押圧部の一種であり、扁平穴414の内周側の壁部に設けられた内周側ロッド436の端部と締まり嵌合するロッド嵌入穴460を含む。そのロッド嵌入穴460に内周側ロッド436の端部が嵌入されている。
本車輪軸保持装置400は、シャフト12に加わった荷重に応じて、主にスポーク部416が変形することで、円筒部20と基体440とのわずかな相対変位を許容するように構成されている。そして、円筒部20と基体440との相対変位によって柱状変形部420の圧縮変形量(以後、特に必要がなければ「圧縮量」と略記する)が変化させられるのに伴い、センサ430の出力信号が変化し、シャフト12に加わる荷重を取得することが可能になる。なお、シャフト12に加わる荷重は、例えば、センサ430の出力信号を前述の車輪軸荷重取得装置等(図示省略)で処理することによって取得される。
例えば、路面の隆起を乗り越える場合等、シャフト12に、それを上昇させる向きの荷重が加わった場合には、円筒部20が被締結部52に対して上昇する向きに相対変位させられる。この場合、円筒部20の上側の柱状変形部420Zの圧縮量が増大させられ、円筒部20の下側の柱状変形部420Zの圧縮量が減少させられる。つまり、上側のセンサ430が受ける荷重が増加し、下側のセンサ430が受ける荷重が減少する。なお、上側のセンサ430の荷重の増加量と、下側のセンサ430の荷重の減少量とは絶対値が等しくなる。そして、上下のセンサ430は荷重に応じた出力値を示すため、その出力値に基づいてシャフト12を上昇させる向きの荷重を取得することができる。
この例では、2つのセンサ430によって上下方向の荷重が検出されており、それらの平均的な値を取得することで、精度よく荷重を取得することができる。なお、2つのセンサ430のうちの一方によって荷重を取得することもできる。
また、センサ430は剪断方向の荷重を受けることになるが、本センサ430は剪断方向の荷重を検知しないという特性を有しているため、前後方向の荷重を検出するセンサ430Xの出力に影響しない。
なお、車輪のオフセットにより、シャフト12に、上下方向のモーメントが加わる場合があるが、それについては次の説明と同様である。
円筒部20が被締結部52に対して前後中心線回りに相対回転させられると、上下の相対変位反映部419Zにおいて、ロッド支持部422と車輪側支持部424とが、シャフト12の軸線方向に相対変位させられる。その際には、前述と同様に、柱状変形部420Zが剪断方向に撓むことで、支持側ロッド434等とセンサ430との接触面におけるずれが防止され、検出精度の低下が回避される。また、柱状変形部420Zの荷重検知方向における圧縮量はほとんど変化しない。すなわち、本実施例において、各柱状変形部420Zが、前後中心線を含む平面に沿って配設されており、前後中心線回りの相対回転による圧縮量の変化が回避されているのである。センサ430は剪断方向の荷重を受けることになるが、前述と同様に、前後方向の荷重を検出するセンサ430Zの出力に影響しない。
シャフト12に前後方向の荷重が加わった場合と、前後方向のモーメントが加わった場合については、それぞれ、シャフト12に上下方向の荷重が加わった場合と、上下方向のモーメントが加わった場合と方向が異なる以外は同様であるため説明を省略する。
上記車輪軸保持装置400では、柱状変形部420が、シャフト12の軸線と直交し、軸線方向(Y)の成分を含まない直線上に配設されていた。それに対して、図25〜27に示すように、柱状変形部420を、シャフト12の軸線と交差するとともに、軸線方向(Y)の成分を含む直線上に配設することもできる。
本実施例において、車輪軸保持装置500は、車輪軸保持装置400と大部分の構成が共通しているため、同様の部品には同じ符号を付して説明を省略し、異なる部分を中心に説明する。なお、上記車輪軸保持装置400と比較して、円筒部20が軸方向に長くされている。
相対変位反映部510は、外周側から柱状変形部420の端部を支持するロッド支持部520(被支持側押圧部の一種である)を備えている。そのロッド支持部520は、基体522と、ホルダ450とを備えている。基体522は、扁平穴414の外周側に位置するとともに、2つの被締結部418と連結されている。また、基体522には、シャフト12の軸線方向においてハブ14側に延び出した庇部526が設けられている。
その庇部526には、ホルダ450が圧入される貫通穴528が設けられている。その貫通穴528は、円筒部20と被締結部418との上下中心線(Z)回りの相対回転軸線と、前後中心線(X)回りの相対回転軸線との交点である中心Oを通る直線Nを中心軸線とするものとされている。なお、中心Oは、シャフト12の軸線上に位置する。
また、相対変位反映部510は、内周側から柱状変形部420の端部を支持する車輪側支持部530(車輪側押圧部の一種である)を備えている。その車輪側支持部530は、円筒部20の外周部であって、直線Nが通過する部分に設けられている。その車輪側支持部530には、内周側ロッド436の端部と締まり嵌合するロッド嵌入穴532が、直線Nに沿って設けられており、そのロッド嵌入穴532に内周側ロッド436の端部が嵌入されている。
本車輪軸保持装置500において、円筒部20と基体522との相対変位は、上記車輪軸保持装置400と同様である。しかし、上記車輪軸保持装置400と異なり、柱状変形部420が、上下方向(Z)または前後方向(X)の成分に加え、軸線方向(Y)の成分を含む方向に配設されているため、例えば、上下方向と軸線方向との成分を含む荷重が同時に検出されることになる。そのため、各方向別の荷重を取得することが望ましい。
円筒部20の上下の相対変位反映部510Zは、上下方向の荷重と軸線方向の荷重とを検出する。なお、前後方向の荷重は検出されない。つまり、柱状変形部420Zが剪断方向に撓むことで、相対変位反映部510Zにおける前後方向の相対変位によって圧縮量が増減せず、センサ430の出力が影響されない。以下に、上下の相対変位反映部510Zによって上下方向および軸線方向の荷重を取得する方法について説明する。
ここで、直線Nとシャフト12の軸線とが交差する角度をθとし、上下方向における相対変位量をZaとすると、図29に示すように、上側の柱状変形部420Zの圧縮量の増加量は「Za・sinθ」、下側の柱状変形部420Zの圧縮量の増加量は「−Za・sinθ」(つまり、Za・sinθ減少する)となる。なお、上記相対変位の際に、柱状変形部420Zが剪断方向にZa・cosθ分撓むが、出力に影響しない。
一方、シャフト12に軸線方向(Y)の荷重、例えば、シャフト12を軸線方向においてハブ14側に移動させる向きの荷重が加わった場合には、上下の相対変位反映部510Zの柱状変形部420Zの圧縮量が増加する。そして、軸線方向における相対変位量をYaとすると、図30に示すように、上下の柱状変形部420Zの圧縮量の増加量は「Ya・cosθ」となる。
なお、円筒部20と被締結部418とが、上下中心線,前後中心線等の回りに相対回転させられた場合には、柱状変形部420Zが剪断方向に撓み、荷重検知方向の圧縮量はほとんど増減しない。よって、円筒部20と被締結部418との相対回転によってセンサ430の出力は影響されない。
U1=Za・sinθ+Ya・cosθ ・・・(4−1)
U2=−Za・sinθ+Ya・cosθ ・・・(4−2)
これらをZa,Yaについて解くと次式が得られる。
Za=(U1−U2)/(2sinθ) ・・・(4−3)
Ya=(U1+U2)/(2cosθ) ・・・(4−4)
すなわち、上下のセンサ430Zの出力に基づいて圧縮量の増加量U1,U2が取得され、それら圧縮量の増加量U1,U2から上下方向(Z)および軸線方向(Y)の相対変位量Za,Yaが求められる。それら相対変位量Za,Yaに基づいて上下方向および軸線方向の荷重を取得することができる。
なお、上下のセンサ430Zの出力に基づいて上下の柱状変形部420Zに加わる圧縮荷重を求め、上記式(4−3),式(4−4)と同様な式によって、上記圧縮荷重の上下方向(Z)および軸線方向(Y)の成分を求め、所定の係数を乗ずることにより、上下方向および軸線方向の荷重を取得することができる。
また、本実施例の柱状変形部420は、前記実施例の柱状変形部26と同様に、ロッド434,436とセンサ430とがそれらの接触面においてずれないように、ロッド434,436の剛性等が決定されている。
上記全ての実施例において、支持側ロッド等が1本のロッド部材によって構成されていたが、支持側ロッド等を複数のロッド部材によって構成することもできる。
図31に、車輪軸保持装置600を示す。本車輪軸保持装置600は、多くの部分が前記車輪軸保持装置400と共通するため、同様の構成については同じ符号を付して説明を省略し、異なる部分を中心に説明する。
柱状変形部620は、複数のロッド部材622が並列に並べられた並列ロッド部624と、センサ430とが直列に配設されて成る。図32に、並列ロッド部624をそれの軸線方向から眺めた図を示す。複数のロッド部材622は、本実施例において3本とされ、互いに相対移動可能に並べられている。また、各ロッド部材622は、支柱体の一種であり、それぞれ円柱形状を成し、金属材料である鋼材によって形成されている。
並列ロッド部624には、複数のロッド部材622の端部を覆う桶状の受部材630が配設されている。受部材630は、円板部632と環状壁部634とを備え、円板部632において複数のロッド部材622の端部と面接触するとともに、環状壁部634において複数のロッド部材622の端部を包囲している。なお、本実施例において、環状壁部634と複数のロッド部材622との間にクリアランスが設けられているが、クリアランスを設けない態様とすることもできる。また、受部材630は、円板部632の環状壁部634と反対側の面において、センサ430と面接触させられている。なお、受部材630を設けることは不可欠ではなく、複数のロッド部材622とセンサ430とを直接面接触させることもできる。さらに、複数のロッド部材622と受部材630とを接着すること、受部材630とセンサ430とを接着することもできる。
ロッド支持部636は、基体440と、その基体440の貫通穴442に圧入されたホルダ640とを含む。ホルダ640は、一端部が閉塞された有底円筒状を成しており、筒状部642と底部644とを備えている。筒状部642は、内径が複数のロッド部材622から十分に離間する大きさにされており、複数のロッド部材622の剪断方向の変位を許容するものとされている。底部644は、複数のロッド部材622の外周側の端部と面接触させられている。なお、複数のロッド部材622の外周側の端部と、筒状部642の内周壁との間には樹脂リング646が配設され、複数のロッド部材622の端部が筒状部642の中央に位置するようにされている。
車輪側支持部638は、扁平穴414の内周部413側の壁面に形成され、並列ロッド部624と直交する当接面とされており、センサ430と面接触させられている。
複数のロッド部材622の剛性について、説明する。
複数のロッド部材622の軸方向に伸縮変形する際の剛性は、前述と同様に、次の関係を満たすものとされる。すなわち、「並列ロッド部624とセンサ430との直列剛性」と「4つのスポーク部416の上下(前後)方向の剛性」との比が、設定された比になるようにされる。また、標準状態において荷重センサ74に加わる荷重である予荷重と、締結部52と円筒部20との荷重検知方向における相対変位量が最大になった場合に荷重センサ74に加わる荷重との差が、設定範囲内の値になるようにされる。なお、仮に、並列ロッド部624の長さ、複数のロッド部材622の断面積の合計、材質を、前記2つのロッド76,78と同じにすると、軸方向の剛性がそれらロッド76,78を直列に並べたものの剛性と等しくなる。なお、並列ロッド部624の長さは、2つのロッド76,78を直列に並べた場合の長さ「2L」とする。
複数のロッド部材622は、前記支持側ロッド232と同様に、接触面におけるずれを防止する条件となる式(1−4)と、接触面の剥離を防止する条件となる式(3−4)とを満たすものとされる。なお、各ロッド部材622に加わる圧縮荷重P3は、全体の圧縮荷重Pの3分の1ずつとなるので、前記式(1−5),式(1−6),式(3−3)において、圧縮荷重PをP3(P3=P/3)に置き換えることが必要である。また、予荷重P0、想定される最大の圧縮荷重の減少量Psもそれぞれ3分の1になる。
本実施例において、支持側ロッド等を複数のロッド部材622にすることで、長さ、材質および断面積の合計が同じ1本の支持側ロッド等に比較して撓みやすく、剪断方向のずれを防止しやすくなる。また、接触面の剥離を防止しやすくなる。
具体例としては、ロッド部材622を、全体の長さ2Lが18mm、直径dが0.8mm、ヤング率Eが200GPaのものとすることができる。この例では、剪断方向の最大の相対変位量δmが100μmになった状態において、接触面の離間を防ぐ力による抵抗曲げ応力の最大値σpが、曲げ応力σtの2倍以上になるように充分に大きくされている。なお、センサ430の面積は4mm2、最低の圧縮荷重はおよそ150N(3本のロッド部材622で450N)にされている。
Claims (8)
- サスペンション装置に支持される被支持体と、
車輪軸を保持する車輪軸保持体と、
それら被支持体と車輪軸保持体とを連結する連結体と、
(a)特定方向の荷重を検出する荷重センサと、(b)前記特定方向に延びる柱状をなし、前記特定方向において前記被支持体と前記車輪軸保持体との間に前記荷重センサと直列に配設され、前記特定方向における前記被支持体と前記車輪軸保持体との相対変位の少なくとも一部を前記荷重センサに伝達する柱状伝達体とを備え、その柱状伝達体が、それと同じ材料で長さが直径の2倍である円柱よりも弾性変形しやすいものである1以上の荷重検出装置と
を含む車輪軸保持装置であって、
前記1以上の荷重検出装置のうちの少なくとも1つのものが、前記車輪軸と平行な方向の成分を含む方向と、車両における上下方向と前後方向との少なくとも一方の成分とを含む方向である傾斜方向を前記特定方向として配設された車輪軸保持装置。 - サスペンション装置に支持される被支持体と、
車輪軸を保持する車輪軸保持体と、
それら被支持体と車輪軸保持体とを連結する連結体と、
(a)特定方向の荷重を検出する荷重センサと、(b)前記特定方向に延びる柱状をなし、前記特定方向において前記被支持体と前記車輪軸保持体との間に前記荷重センサと直列に配設され、前記特定方向における前記被支持体と前記車輪軸保持体との相対変位の少なくとも一部を前記荷重センサに伝達する柱状伝達体とを備え、その柱状伝達体が、それと同じ材料で長さが直径の2倍である円柱よりも弾性変形しやすいものである1以上の荷重検出装置と
を含む車輪軸保持装置であって、
前記被支持体が、互いに離間して配設されるとともにサスペンション装置に設けられた部材に取り付けられる複数の被取付部を含み、
前記連結体が、それら複数の被取付部の各々と前記車輪軸保持体とを連結する複数のブリッジ部を含み、
前記1以上の荷重検出装置の各々が、前記複数の被取付部のうちの1以上のものの各々と前記車輪軸保持体との間に配設され、
前記複数の被取付部の各々が、前記車輪軸保持体から半径方向に離間して配設され、
前記複数のブリッジ部が、前記複数の被取付部の各々と前記車輪軸保持体とを半径方向に沿って連結するものであり、
前記車輪軸保持体が、前記複数のブリッジ部によって前記複数の被取付部と連結される保持体本体と、その保持体本体に前記複数の被取付部のうちの互いに隣り合う2つのものの間に設けられ、前記1以上の荷重検出装置のうちの1つのものを、前記特定方向において前記互いに隣り合う2つの被取付部のうちの一方との間に狭持して押圧する車輪側押圧部とを含み、
前記複数の被取付部の各々が、前記保持体本体よりも径の大きい一円周上に配設され、
前記車輪側押圧部が、前記保持体本体から半径方向外側に突出して形成されたものである車輪軸保持装置。 - 前記柱状伝達体が、少なくとも前記車輪軸に加わる荷重が最大荷重を超えない範囲においては、前記特定方向に直角な直角方向における前記被支持体と前記車輪軸保持体との相対変位に応じて、前記荷重センサとの接触面においてその荷重センサとずれることなく前記直角方向に弾性的に撓むものである請求項1または2に記載の車輪軸保持装置。
- 前記柱状伝達体が、前記特定方向に直角な直角方向における前記被支持体と前記車輪軸保持体との最大の相対変位量が、前記特定方向における前記被支持体と前記車輪軸保持体との最大の相対変位量よりも大きい場合であっても、前記直角方向における前記被支持体と前記車輪軸保持体との相対変位に応じて、前記荷重センサとの接触面においてその荷重センサとずれることなく前記直角方向に弾性的に撓むものである請求項1ないし3のいずれかに記載の車輪軸保持装置。
- 前記柱状伝達体が、標準状態において前記荷重センサに加わる圧力と、前記特定方向における前記被支持体と前記車輪軸保持体との相対変位量が最大になった状態で前記荷重センサに加わる圧力との差が5MPa以上になるものである請求項1ないし4のいずれかに記載の車輪軸保持装置。
- 前記1以上の荷重検出装置のうちの少なくとも1つのものが、前記荷重センサと前記柱状伝達体とがそれらの接触面において前記特定方向に離間することを防止する離間防止力が付与されたものであり、
前記柱状伝達体が、少なくとも前記車輪軸に加わる荷重が最大荷重を超えない範囲においては、前記特定方向に直角な直角方向に撓む際に前記柱状伝達体の端部に作用する曲げ応力の最大値が、前記離間防止力によって生じ得る抵抗曲げ応力の最大値よりも小さくなるものである請求項1ないし5のいずれかに記載の車輪軸保持装置。 - 前記1以上の荷重検出装置のうちの少なくとも1つのものが、前記車輪軸と直交する方向のモーメントによって前記被支持体と前記車輪軸保持体とが相対回転させられる場合の相対回転中心線を含む平面に沿って配設された請求項1ないし6のいずれかに記載の車輪軸保持装置。
- 前記1以上の荷重検出装置のうちの少なくとも1つのものが、前記車輪軸と直交するとともに互いに異なる2つの方向のモーメントの各々によって、前記被支持体と前記車輪軸保持体とが相対回転させられる場合の2つの相対回転中心線の交点を通る直線に沿って配設された請求項1ないし7のいずれかに記載の車輪軸保持装置。
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