JP4937991B2 - 蛍光内視鏡装置及びそれに用いる撮像ユニット - Google Patents

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Description

本発明は、励起光を生体に照射し、生体から発した蛍光を撮像して蛍光画像を得る蛍光内視鏡装置及びそれに用いる撮像ユニットに関し、より詳しくは、内視鏡観察下で生体内に発生した病変の診断を行うことができる蛍光内視鏡装置及びそれに用いる撮像ユニットに関するものである。
生体内に発生した病変の診断を行うための内視鏡装置が広く知られている。例えば、生体組織表面に励起光を照射して生体組織に含まれる蛍光物質を励起し、生体組織から発した蛍光を撮像することで蛍光画像を取得するようにした蛍光内視鏡装置が実用化されている。蛍光内視鏡装置は、取得した蛍光画像に含まれる情報に基づいて生体組織に発生した病変の診断を行うための装置である。
生体組織表面に励起光を照射して生体組織表面からの自家蛍光を検出する場合、正常組織と病変組織とでは自家蛍光の強度が異なることが知られている。そこで、生体組織の自家蛍光画像から得られる蛍光強度分布を解析することで、病変組織の領域と正常組織の領域を区分けすることができる。生体組織は層構造を呈しており、このうち粘膜下層には自家蛍光を発するコラーゲンやエラスチンが多く含まれている。粘膜下層よりも上層に位置する粘膜層の組織に病変による構造変化が生じると、コラーゲンやエラスチンの自家蛍光は、粘膜表層に到達するまでにその影響を強く受けて減衰する。このため、コラーゲンやエラスチンの主要な自家蛍光波長である420nm〜600nmの波長範囲の蛍光強度を検出することで、粘膜層に発生した病変組織の領域を識別するための情報を取得することができる。
一方、生体内に存在する有機化合物であるポルフィリンは腫瘍に蓄積される傾向があることが知られている。ポルフィリンは、コラーゲンやエラスチンと同様に、青色から緑色の波長範囲の励起光によって、630nm付近にピーク波長を持つ蛍光を発するので、630nmを含むごく狭い波長範囲の蛍光強度を検出することで、生体組織に腫瘍が発生していることを示す情報を取得することができる。また、ポルフィリンは5ALA(5-aminolevulinic acid)のような蛍光薬剤を体外から投与することでも腫瘍に蓄積させることが可能である。このように、生体組織からの自家蛍光スペクトルを波長帯域ごとに分けて検出することで、それぞれのスペクトル帯域に含まれる、異なる情報を取り出すことができる。
生体組織の自家蛍光を利用して生体組織の診断を行う手法および装置として、例えば、次の特許文献1に開示されるものが知られている。
特許第3317409号公報
特許文献1に開示される蛍光内視鏡装置は、病変組織の自家蛍光強度が正常組織の自家蛍光強度と実質的に相違するスペクトル帯域と、病変組織の自家蛍光強度が正常組織の自家蛍光強度と実質的に等しくなるスペクトル帯域の蛍光画像を利用して、病変組織の領域を明瞭に描出するものである。これにより、病変組織を周囲の正常な組織から明確に識別することができる。
また、生体に発生した病変組織に対して親和性を有し、励起光を吸収して蛍光を発する物質を利用して生体組織における病変組織の有無を診断する手法が知られている。この場合、まず生体外から病変の存在が疑われる部位に対して蛍光物質を投与する。少し時間を置くと、蛍光物質は病変組織に選択的に結合するので、その後に、その部位に対して励起光を照射して蛍光物質からの蛍光を検出することで、生体に発生した病変組織の領域を明らかにすることができる。このような蛍光物質としては、例えば、次の特許文献2および特許文献3に開示される蛍光プローブが知られている。
WO03/079015の明細書 WO2004/005917の明細書
蛍光プローブは、腫瘍などの病変組織が出現して成長していく過程に特異的に関与する物質(以下、検出対象物質とよぶ)を分子レベルで捉えて結合する部分と、蛍光を発する色素の部分から構成されている。蛍光を発する色素は、従来市販されている種々の色素から選択することが可能である。
例えば、特許文献2には、600nm〜1200nmの波長範囲に励起波長ピークおよび蛍光波長ピークをもつ市販の色素で構成される蛍光プローブが開示されている。このような蛍光プローブは、比較的安価に製造が可能であり、既に生体への安全性の検証が進められている。
また、特許文献3には、検出対象物質を捕捉する前には実質的に蛍光の発光が抑制され、検出対象物質を捕捉した後には実質的に強い蛍光を発する物質に変化する性質を有する蛍光プローブが開示されている。このような蛍光プローブは、検出対象物質と結合したときにのみ蛍光を発するので、病変を検出する精度を向上させることができるという利点を有している。また、蛍光プローブは、特定の検出対象物質を選択的に捉えて結合させるように設計することができるので、病変に固有の特徴に関与している物質をターゲットとして選ぶことで、その病変のもつ特異性(例えば癌であるかどうか)の分析および診断に役立たせることが可能である。
内視鏡観察下で生体組織に発生した病変の診断を行う場合には、内視鏡を通して取得した画像に含まれる病変に関する情報が多いほど診断精度を向上させることができる。そのため、蛍光内視鏡装置には、可視波長領域において病変組織からの自家蛍光画像を取得する機能と、赤色から近赤外波長領域において病変組織と結合した蛍光プローブからの蛍光画像を取得する機能の両方が備えられているのが望ましい。また、それぞれの蛍光画像に含まれる病変に関する情報を利用して、診断に有用な画像に加工する機能を有するのが望ましい。
しかし、特許文献1に開示されているような従来の蛍光内視鏡装置では、上記のような複合的な情報の取得と画像の加工を行うことは不可能である。また、特許文献2および3には、蛍光プローブの構造や蛍光プローブを生体に導入して蛍光を検出するまでの手順については開示されているものの、蛍光の検出と解析を行うための具体的な蛍光内視鏡装置の構成については全く開示されていない。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであって、一度の観察で病変を特徴付ける複数の情報を取得して診断に有用な画像に加工することができ、早期癌など、生体組織の構造上の変化が少ない病変でも内視鏡観察下で高精度に診断することができる蛍光内視鏡装置及びそれに用いる撮像ユニットを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本第の発明による蛍光内視鏡装置に用いる撮像ユニットは、蛍光物質を励起するための波長の異なる複数の励起光を生成する光源ユニットと、励起光を内視鏡の先端部まで光学的に伝送して生体に向けて照射する照明ユニットと、生体の蛍光像を撮像する撮像ユニットと、撮像ユニットが取得した画像信号をもとにして画像構築を行う画像構築ユニットとを備えた蛍光内視鏡装置に使用するためのものであり、対物光学系と、撮像素子と、エアギャップを有しており且つ該エアギャップを変化させることにより透過する光の波長を変更することが可能に構成された光学素子と、を備えた撮像ユニットにおいて、前記撮像ユニットは、前記対物光学系の最も物体側の面から前記撮像素子の撮像面までの間に前記光学素子を備えており、前記光学素子は、600nm未満の波長領域において、エアギャップを変化させても常に平均透過率が50%以上に保たれる第1の透過波長帯域と、600nm以上の波長領域において、エアギャップの変化とともに透過率がピークとなる波長が変化する第2の透過波長帯域を有していることを特徴としている。
ただし、前記光学素子の平均透過率は、所定の波長領域における光学素子の透過率TEの平均値である。前記光学素子の透過率TEは、任意波長λの光の光学素子の入射面への入射光量をIL1、光学素子の出射面からの波長λの光の出射光量をIL2としたとき、TE=(IL2/IL1)×100で表される。
また、本第の発明の蛍光内視鏡装置に用いる撮像ユニットにおいては、前記光学素子は、600nm〜740nmの波長範囲で少なくとも次の3つの状態を切換え可能であることが望ましい。
状態1:610nm〜640nmの波長範囲に透過率ピークが存在する状態
状態2:710nm〜740nmの波長範囲に透過率ピークが存在する状態
状態3:600nm〜740nmの波長範囲に透過率ピークが存在しない状態
また、本第の発明による蛍光内視鏡装置は、蛍光物質を励起するための波長の異なる複数の励起光を生成する光源ユニットと、励起光を生体に照射する照明ユニットと、生体の蛍光像を撮像する撮像ユニットと、撮像ユニットが取得した画像信号をもとにして画像構築を行う画像処理ユニットを備えた蛍光内視鏡装置において、前記光源ユニットが生成する2以上の励起光の数をn、前記撮像ユニットが検出する波長帯域が異なる蛍光の数をm T としたとき、以下の条件式、
n<m T <3n
を満足しており、前記撮像ユニットは、対物光学系と、撮像素子と、エアギャップを有しており且つ該エアギャップを変化させることにより透過する光の波長を変更することが可能に構成されたエタロンと、を備えており、前記撮像ユニットは、前記対物光学系の最も物体側の面から前記撮像素子の撮像面までの間に前記エタロンを備えており、前記エタロンは、600nm未満の波長領域において、エアギャップを変化させても常に平均透過率が50%以上に保たれる第1の透過波長帯域と、600nm以上の波長領域において、エアギャップの変化とともに透過率がピークとなる波長が変化する第2の透過波長帯域とを有しており、更に、前記エタロンは、600nm〜740nmの波長範囲で少なくとも次の2つの状態を切換え可能であることを特徴としている。
状態1:610nm〜640nmの波長範囲に透過率ピークが存在する状態
状態2:710nm〜740nmの波長範囲に透過率ピークが存在する状態
ただし、前記エタロンの平均透過率は、所定の波長領域におけるエタロンの透過率TEの平均値である。前記エタロンの透過率は、任意波長λの光のエタロンの入射面への入射光量をIL1、エタロンの出射面からの波長λの光の出射光量をIL2としたとき、TE=(IL2/IL1)×100で表される。
また、本第の発明の蛍光内視鏡装置においては、前記光源ユニットは、少なくとも、400nm〜430nmの波長範囲内の光で構成される励起光を生成する第1の照明状態と、670nm〜690nmの波長範囲内の光で構成される励起光を生成する第2の照明状態とを切換え可能に構成され、前記撮像ユニットには、2つの照明状態で生成される励起光をカットする励起光カットフィルターが配置されていることが望ましい。
また、本第の発明の蛍光内視鏡装置においては、前記励起光カットフィルターの光学濃度と前記エタロンの光学濃度との和が、400〜430nm、670〜690nmのそれぞれの波長範囲において次の条件式を満足することが望ましい。
4≦ODF+ODE
ただし、ODFは励起光カットフィルターの光学濃度、ODEはエタロンの光学濃度であり、励起光カットフィルター又はエタロンに入射する光の強度をI、励起光カットフィルター又はエタロンを透過した光の強度をI'としたときlog10(I/I')で表される。
また、本第の発明の蛍光内視鏡装置においては、前記画像処理ユニットは、演算回路を有し、前記演算回路は、撮像ユニットがエタロンの状態を切換えながら取得した複数の画像信号をもとにして演算を行うように構成されていることが望ましい。
また、本第の発明の蛍光内視鏡装置においては、前記演算回路は、前記エタロンが前記状態1となったときに前記撮像ユニットで取得される画像信号から、前記エタロンが前記状態1以外の状態となったときに前記撮像ユニットで取得される画像信号の減算を行うように構成されているのが望ましい。
また、本第1の発明の蛍光内視鏡装置に用いる撮像処理ユニットにおいては、前記光学素子は、600nm〜800nmの波長範囲で少なくとも次の4つの状態を切換え可能であることが望ましい。
状態1:610nm〜640nmの波長範囲に透過率ピークが存在する状態
状態2:710nm〜740nmの波長範囲に透過率ピークが存在する状態
状態3:770nm〜800nmの波長範囲に透過率ピークが存在する状態
状態4:600nm〜800nmの波長範囲に透過率ピークが存在しない状態
また、本第の発明による蛍光内視鏡装置は、蛍光物質を励起するための波長の異なる複数の励起光を生成する光源ユニットと、励起光を生体に照射する照明ユニットと、生体の蛍光像を撮像する撮像ユニットと、撮像ユニットが取得した画像信号をもとにして画像構築を行う画像処理ユニットを備えた蛍光内視鏡装置において、前記光源ユニットが生成する2以上の励起光の数をn、前記撮像ユニットが検出する波長帯域が異なる蛍光の数をm T としたとき、以下の条件式、
n<m T <3n
を満足しており、前記撮像ユニットは、対物光学系と、撮像素子と、エアギャップを有しており且つ該エアギャップを変化させることにより透過する光の波長を変更することが可能に構成されたエタロンと、を備えており、前記撮像ユニットは、前記対物光学系の最も物体側の面から前記撮像素子の撮像面までの間に前記エタロンを備えており、前記エタロンは、600nm未満の波長領域において、エアギャップを変化させても常に平均透過率が50%以上に保たれる第1の透過波長帯域と、600nm以上の波長領域において、エアギャップの変化とともに透過率がピークとなる波長が変化する第2の透過波長帯域とを有しており、更に、前記エタロンは、600nm〜800nmの波長範囲で少なくとも次の3つの状態を切換え可能であることを特徴としている。
状態1:610nm〜640nmの波長範囲に透過率ピークが存在する状態
状態2:710nm〜740nmの波長範囲に透過率ピークが存在する状態
状態3:770nm〜800nmの波長範囲に透過率ピークが存在する状態
ただし、前記エタロンの平均透過率は、所定の波長領域におけるエタロンの透過率TEの平均値である。前記エタロンの透過率TEは、任意波長λの光のエタロンの入射面への入射光量をIL1、エタロンの出射面からの波長λの光の出射光量をIL2としたとき、TE=(IL2/IL1)×100で表される。
また、本第の発明の蛍光内視鏡装置においては、前記光源ユニットは、少なくとも、400nm〜430nmの波長範囲内の光で構成される励起光を生成する第1の照明状態と、680nm〜700nmの波長範囲内の光で構成される励起光を生成する第2の照明状態とを切換え可能に構成され、前記撮像ユニットには、2つの照明状態で生成される励起光をカットする励起光カットフィルターが配置されていることが望ましい。
また、本第の発明の蛍光内視鏡装置においては、前記励起光カットフィルターの光学濃度と前記エタロンの光学濃度との和が、400〜430nm、680〜700nmのそれぞれの波長範囲において次の条件式を満足することが好ましい。
4≦ODF+ODE
ただし、ODFは励起光カットフィルターの光学濃度、ODEはエタロンの光学濃度であり、励起光カットフィルター又はエタロンに入射する光の強度をI、励起光カットフィルター又はエタロンを透過した光の強度をI'としたときlog10(I/I')で表される。
また、本第の発明の蛍光内視鏡装置においては、前記画像処理ユニットは、演算回路を有し、前記演算回路は、撮像ユニットがエタロンの状態を切換えながら取得した複数の画像信号をもとにして演算を行うように構成されていることが望ましい。
また、本第の発明の蛍光内視鏡装置においては、前記演算回路は、前記エタロンが前記状態1となったときに前記撮像ユニットで取得される画像信号から、前記エタロンが前記状態1以外の状態となったときに前記撮像ユニットで取得される画像信号の減算を行うように構成されていることが望ましい。
また、本第の発明の蛍光内視鏡装置に用いる撮像ユニットにおいては、前記光学素子は、600nm〜800nmの波長範囲で少なくとも次の5つの状態を切換え可能であることが望ましい。
状態1:610nm〜630nmの波長範囲に透過率ピークが存在する状態
状態2:690nm〜710nmの波長範囲に透過率ピークが存在する状態
状態3:720nm〜740nmの波長範囲に透過率ピークが存在する状態
状態4:770nm〜790nmの波長範囲に透過率ピークが存在する状態
状態5:600nm〜800nmの波長範囲に透過率ピークが存在しない状態
また、本第の発明による蛍光内視鏡装置は、蛍光物質を励起するための波長の異なる複数の励起光を生成する光源ユニットと、励起光を生体に照射する照明ユニットと、生体の蛍光像を撮像する撮像ユニットと、撮像ユニットが取得した画像信号をもとにして画像構築を行う画像処理ユニットを備えた蛍光内視鏡装置において、前記光源ユニットが生成する2以上の励起光の数をn、前記撮像ユニットが検出する波長帯域が異なる蛍光の数をm T としたとき、以下の条件式、
n<m T <3n
を満足しており、前記撮像ユニットは、対物光学系と、撮像素子と、エアギャップを有しており且つ該エアギャップを変化させることにより透過する光の波長を変更することが可能に構成されたエタロンと、を備えており、前記撮像ユニットは、前記対物光学系の最も物体側の面から前記撮像素子の撮像面までの間に前記エタロンを備えており、前記エタロンは、600nm未満の波長領域において、エアギャップを変化させても常に平均透過率が50%以上に保たれる第1の透過波長帯域と、600nm以上の波長領域において、エアギャップの変化とともに透過率がピークとなる波長が変化する第2の透過波長帯域とを有しており、更に、前記エタロンは、600nm〜800nmの波長範囲で少なくとも次の4つの状態を切換え可能であることを特徴としている。
状態1:610nm〜630nmの波長範囲に透過率ピークが存在する状態
状態2:690nm〜710nmの波長範囲に透過率ピークが存在する状態
状態3:720nm〜740nmの波長範囲に透過率ピークが存在する状態
状態4:770nm〜790nmの波長範囲に透過率ピークが存在する状態
ただし、前記エタロンの平均透過率は、所定の波長領域におけるエタロンの透過率TEの平均値である。前記エタロンの透過率TEは、任意波長λの光のエタロンの入射面への入射光量をIL1、エタロンの出射面からの波長λの光の出射光量をIL2としたとき、TE=(IL2/IL1)×100で表される。
また、本第の発明の蛍光内視鏡装置においては、前記光源ユニットは、少なくとも、400nm〜430nmの波長範囲内の光で構成される励起光を生成する第1の照明状態と、650nm〜670nmの波長範囲内の光で構成される励起光を生成する第2の照明状態とを切換え可能に構成され、前記撮像ユニットには、2つの照明状態で生成される励起光をカットする励起光カットフィルターが配置されていることが望ましい。
また、本第の発明の蛍光内視鏡装置においては、前記励起光カットフィルターの光学濃度と前記エタロンの光学濃度との和が、400〜430nm、650〜670nmのそれぞれの波長範囲において次の条件式を満足することが望ましい。
4≦ODF+ODE
ただし、ODFは励起光カットフィルターの光学濃度、ODEはエタロンの光学濃度であり、励起光カットフィルター又はエタロンに入射する光の強度をI、励起光カットフィルター又はエタロンを透過した光の強度をI'としたときlog10(I/I')で表される。
また、本第の発明の蛍光内視鏡装置においては、前記画像処理ユニットは演算回路を有し、前記演算回路は、撮像ユニットがエタロンの状態を切換えながら取得した複数の画像信号をもとにして演算を行うように構成されていることが望ましい。
また、本第の発明の蛍光内視鏡装置においては、前記演算回路は、前記エタロンが前記状態1となったときに前記撮像ユニットで取得される画像信号から、前記エタロンが前記状態1以外の状態となったときに前記撮像ユニットで取得される画像信号の減算を行うように構成されていることが望ましい。
本発明によれば、一度の観察で病変を特徴付ける複数の情報を取得して診断に有用な画像に加工することができ、早期癌など、生体組織の構造上の変化が少ない病変でも内視鏡観察下で高精度に診断することができる蛍光内視鏡装置及びそれに用いる撮像ユニットが得られる。
可視波長領域において、病変組織の自家蛍光スペクトルを波長帯域ごとに分けて検出することで、それぞれのスペクトル帯域に含まれる異なる情報を取り出して利用することができること、および、赤色から近赤外波長領域において、特定の検出対象物質を選択的に捉えて結合させるように設計することができる蛍光プローブを利用することによって、病変のもつ特異性(例えば、癌であるかどうか)の分析および診断に役立たせることができることは既に述べた。
そこで、本発明の蛍光内視鏡装置は、一度の観察で、病変組織の自家蛍光画像を取得する工程と、蛍光プローブが病変を特徴付ける物質と結合して発する蛍光の画像を取得する工程とを実行可能なように構成されている。また、それぞれの工程で取得した複数の画像に含まれる病変に固有の情報を抽出して所望の情報形態に加工し、診断に有用な蛍光画像に再構築することが可能に構成されている。
図1を用いて、本発明の一実施形態にかかる蛍光内視鏡装置の基本構成を説明する。
本実施形態の蛍光内視鏡装置は、光源ユニット3と、照明ユニット2と、撮像ユニット1を備えている。
撮像ユニット1と照明ユニット2は、内視鏡の挿入部先端101に配置されている。照明ユニット2は、ライトガイドなどの光学的な伝送手段により光源ユニット3と接続されており、光源ユニット3から供給される照明光を生体組織表面に照射するように構成されている。光源ユニット3は、少なくとも可視波長領域から赤外波長領域において異なる波長成分を有する複数の励起光を生成可能に構成されている。撮像ユニット1と光源ユニット3は、制御ユニット4に接続されている。制御ユニット4は、光源ユニット3が励起光を生成して照明ユニット2に供給するタイミングと、撮像ユニット1が生体組織表面からの蛍光像を撮像するタイミングを制御する機能を有している。撮像ユニット1が取得した画像信号は、画像処理ユニット5によって蛍光画像に加工される。画像処理ユニット5には、画像信号をデータとして一時的に格納するメモリ回路5aと、メモリ回路5aに格納されたデータをもとにして画像処理に必要な演算を行う演算回路5bが備えられている。また、画像処理ユニット5には、DVD、HDDなどの外部記録装置6が接続されており、撮像ユニット1が取得した画像信号データおよび画像処理ユニット5が処理を行った画像データを恒久的に保存することができるようになっている。外部記録装置6に記録された画像信号データは、適宜、画像処理ユニット5に読み出されてデータの加工が行われる。画像処理ユニット5により加工された蛍光画像は、TVモニター7の表示画面上に表示される。
本発明の蛍光内視鏡装置を使用した病変組織の診断に適用可能な蛍光プローブは、500nm以上の波長の光を吸収して蛍光を発する色素を用いて構成されている。例えば、ジカルボシアニン系の色素であるアマシャムバイオサイエンス社製のCy5やCy5.5、トリカルボシアニン系の色素であるアマシャムバイオサイエンス社製のCy7やインビトロジェン社製のAlexa700など、市販の色素を利用することができる。これらの色素の主要な吸収波長および蛍光波長は、次の表1に示すとおりである。

(表1)
Figure 0004937991
表1によれば、4種類の色素の主要な吸収波長範囲はほぼ重なっているが、蛍光波長範囲はそれぞれの蛍光を分離して検出可能な程度に異なっていることがわかる。すなわち、赤色の波長範囲から適当な波長の光を選ぶことで、これらの色素を同時に励起し、これらの色素が発する蛍光を個別に検出することが可能である。そこで、これらの色素を用いて、病変を特徴付ける複数種類の検出対象物質(例えば、病変が悪性化するときに関与する物質や、病変が活発に増殖するときに関与する物質など)をそれぞれ選択的に捉えて結合する蛍光プローブを作成して、蛍光内視鏡装置による病変組織の診断に適用すれば、診断精度を向上させることができる。
図2に、撮像ユニット1の構成例を示す。複数の蛍光プローブが発した蛍光を分離して検出するために、撮像ユニット1には、対物光学系11と、受光素子12と、対物光学系11の最も物体側の面から受光素子12の受光面までの間に、エアギャップを有しており且つ該エアギャップを変化させることにより透過する光の波長を変更することが可能に構成された光学素子が備えられている。また、その光学素子よりも物体側には、蛍光プローブを励起した光を遮断する光学フィルター14が配置されている。図2の構成例にかかる撮像ユニット1では、光学素子として、エアギャップを変化させることにより透過ピーク波長を走査することが可能なエタロン13が配置されている。
エタロン13が透過する光の波長帯域を変更する動作を行う期間は、制御ユニット4により励起光の照射期間との同期が取られるように構成されている。照明ユニット2を通して、例えば、3つの蛍光プローブを同時に励起することのできる光が生体組織の表面に照射される場合、エタロン13は、励起光の照射期間中に、透過する光の波長帯域が異なる少なくとも3つの状態を取るように切換え可能に制御される。
一方、生体の内部に元来存在する自家蛍光物質を励起する場合には、500nmよりも短い波長の光が用いられる。例えば、405nmの光は、生体組織の粘膜下層に存在するコラーゲンやエラスチンを励起すると同時に、生体内に存在する有機化合物であるポルフィリンを励起することができる。コラーゲンやエラスチンは主として420nm〜600nmの波長範囲の蛍光を発し、ポルフィリンは主として630nmの蛍光を発するので、図2の構成例にかかる撮像ユニット1を用いれば、これらの蛍光を分離して検出することが可能である。
コラーゲンやエラスチンの蛍光とポルフィリンの蛍光は、それぞれ病変に関する個別の情報を含んでおり、上記蛍光プローブを利用した観察から得られる病変の個別情報と組み合わせることにより、病変組織の診断精度を飛躍的に向上させることができる。例えば、生体に発生したばかりの未発達状態の癌組織では、周辺の正常組織との組織学的な構造上の差異がほとんどないと考えられている。このため、生体組織表面における自家蛍光の強度分布にも顕著な差異が現れ難く、従来の自家蛍光強度分布を観察する方法では癌を見逃してしまう可能性がある。
そこで、癌組織にのみ存在する複数の物質にそれぞれ結合する蛍光プローブを用いることにより、癌に固有の情報を取得し、生体組織表面における自家蛍光の強度分布の情報と組み合わせて、癌の診断に有用な画像に加工して提供することで、観察者が癌を見逃す確率を飛躍的に小さくすることが可能となる。
蛍光プローブは、500nm以上の波長の光を吸収して蛍光を発する色素で構成されているので、自家蛍光物質を利用した観察中に蛍光プローブが励起されることが無い。また、生体に存在する自家蛍光物質は、500nm以上の波長の光を吸収して蛍光を発することがほとんど無いので、自家蛍光物質からの蛍光がノイズとなって、蛍光プローブを利用した観察の妨げとなることが無い。このように、蛍光プローブを励起する光と自家蛍光物質を励起する光の波長を明確に分離することにより、蛍光プローブと自家蛍光物質の蛍光をそれぞれコントラスト良く検出することができる。
図3に、光源ユニット3の構成例を示す。ランプ20は、放電型のキセノンランプである。波長範囲の異なる複数の照明光を選択可能にするために、ランプ20からスコープのライトガイド入射端面26に至るまでの光路中に設置されたターレット21と回転ディスク24には、それぞれ光学フィルター22が配置されている。ターレット21および回転ディスク24は、集光光学系23の光軸に対して垂直な面に沿って移動し、かつ光軸に平行な回転軸を中心として回転することにより、ランプ20から射出してスコープのライトガイド入射端面26に集束するまでの光路中に、光学フィルター22を挿入することができるように設計されている。
図4(a)、(b)に、ターレット21に配置されるフィルターホルダー21bの構成例を示す。図4(a)はターレット21を正面から見た図であり、図4(b)はターレット21を側方から見た図である。ターレット21は、基板の中心に対して同心円状に少なくとも5つのフィルターホルダー21bが設けられており、フィルターホルダー21bには、1つまたは複数の光学フィルター22がそれぞれおさめられている。ターレット21が回転軸を中心にして回転することにより、フィルターホルダー21bにおさめられた光学フィルター22が光路中へ挿入されて固定される。
図4(c)に、回転ディスク24に配置される窓24bの構成例を示す。図4(c)は回転ディスク24を正面から見た図である。回転ディスク24は、基板の中心に対して同心円状に間隔を空けて窓24bが設けられており、窓24bには、光学フィルター22が接着固定されている。窓24bは、ディスク基板の外周と内周に設けられている。回転ディスク24は、回転軸を中心にして一定の回転速度で回転する。また、回転ディスク24は、図示しない回転ディスク移動機構により集光光学系23の光軸に対して垂直方向に移動させることができるようになっている。
そして、回転ディスク24を適当な位置に移動させることによって、次の3つの照明状態を選択的に作り出すことができる。
[照明状態1] 回転ディスク24の外周に設置された一連の光学フィルター22が、光路中に順番に挿入されて繰り返し照明を行う状態
[照明状態2] 回転ディスク24の内周に設置された一連の別の光学フィルター22が、光路中に順番に挿入されて繰り返し照明を行う状態
[照明状態3] 回転ディスク24が光路中から退避されて照明を行う状態
したがって、ターレット21に配置される光学フィルターと回転ディスク24の配置状態の組み合わせにより、複数の異なった照明状態を選ぶことが可能である。
図5に、ターレット21と回転ディスク24に配置される光学フィルター22の透過特性の例を示す。図5において、縦軸は透過率(単位:%)、横軸は波長(単位:nm)を表している。図5(a)、(b)、(c)は回転ディスク24の内周部分に配置される光学フィルター22の透過特性を示す図、図5(d)はターレット21に配置される光学フィルター22の透過特性を示す図、図5(e)、(f)は回転ディスク24の外周部分に配置される光学フィルター22の透過特性を示す図である。また、図5(a)〜図5 (f)に示す光学フィルター22の透過特性おいて、透過率Tが50%以上である波長範囲は、次の表2に示すとおりである。ここで透過率Tは、光学フィルター22の入射面に入射する波長λの光の総光量をIL1、光学フィルター22の出射面から出射する波長λの光の総光量をIL2としたとき、T=(IL2/IL1)×100で表される。

(表2)
Figure 0004937991
生体組織の蛍光観察を行う場合、ターレット21が回転して光路中には図5(d)に示される特性の光学フィルターが挿入され、固定される。また、回転ディスク24が移動して、光路中には回転ディスク24の外周部分が挿入されるとともに、回転ディスク24が一定の速度で回転して、図5(e)、(f)に示される特性の光学フィルターが順次挿入される。その結果、生体組織には照明ユニット2を通して、自家蛍光物質を励起する500nmよりも短い波長の狭帯域光Aと、蛍光プローブを励起する500nm以上の狭帯域光Bがそれぞれ一定時間ずつ繰り返し照射される。
回転ディスク24の内周部分に配置される光学フィルターは、通常のカラー画像観察用のR、G、B光を生成する場合に用いられる。そのため、光源ユニット3は、蛍光画像観察用の励起光生成モードと通常のカラー画像観察用のRGB光生成モードの2つのモードを選択することができる。
蛍光画像観察用の光学フィルターの透過波長範囲は、通常のカラー画像観察用の光学フィルターの透過波長範囲に比較して極めて狭く、30nm以下に設定されている。このため、生体組織表面での励起光の明るさは、通常のカラー画像観察用の照明光よりも暗くなる。そこで、励起光の明るさを改善するために、ランプ20の点灯電流を通常のカラー画像観察用に照明するときよりも上げて、ランプ20から放射される光の量を増加させるのが好ましい。
図6は光源ユニット3が生成する励起光の波長範囲と、撮像ユニット1が検出する蛍光の波長範囲との関係を例示する概念図である。縦軸には励起光および蛍光の強度を表しており、単位は任意単位である。横軸は波長(単位:nm)を表している。実際には、励起光の平均強度は蛍光のピーク強度に比べて100〜500倍程度の強度差を有しているが、ここでは励起波長と蛍光波長の関係を示すため励起光強度の表示スケールを変えて1つの図にまとめて表示した。後に示す実施例中でも励起波長と蛍光波長の関係を示す場合には、同様の概念図を示して説明を行うこととする。
自家蛍光物質を励起するための狭帯域光Aを一定時間、生体に照射することにより、生体組織の粘膜下層に存在するコラーゲンやエラスチンを励起して波長領域a1の蛍光を発生させると同時に、生体内に存在する有機化合物であるポルフィリンを励起して波長領域a2の蛍光を発生させる。また、蛍光プローブを励起するための狭帯域光Bを一定時間、生体に照射することにより、病変組織に結合した蛍光プローブを励起して波長領域a3の蛍光を発生させる。
図7は撮像ユニット1に配置される励起光カットフィルター14の透過特性を示す図である。図7において、実線で示した曲線は、励起光カットフィルター14の入射面への入射角度が0°の光線に対する透過特性であり、図の左側の目盛りが適用される。図の左側の目盛りは透過率(単位:%)である。また、一点鎖線で示した曲線は、同様の光線に対する励起光カットフィルター14の阻止特性であり、図の右側の目盛りが適用される。図の右側の目盛りは光学濃度であって、フィルター14に入射する光の強度をI、フィルター14を透過した光の強度をI'としたときlog10(I/I')で表される。横軸は波長(単位:nm)である。
励起光カットフィルター14は、自家蛍光物質を励起するための狭帯域光Aおよび蛍光プローブを励起するための狭帯域光Bが撮像素子12の受光面に到達して蛍光画像のコントラストを低下させるのを防ぐために配置されている。そのため、狭帯域光AおよびBの波長範囲において、撮像ユニット1の光路中に配置される励起光カットフィルター14の光学濃度ODFとエタロン13の光学濃度ODEとの和が4以上となるように、励起光カットフィルター14の特性が決められている。これにより、撮像素子1の受光面での励起光の平均強度を蛍光のピーク強度に対して20分の1以下とすることができるので、良好なコントラストの蛍光画像を得ることができる。
エタロン13は、600nm未満の波長領域において、エアギャップを変化させても常に平均透過率が50%以上に保たれる第1の透過波長帯域と、600nm以上の波長領域において、エアギャップの変化とともに透過率がピークとなる波長が変化する第2の透過波長帯域とを有している。図8に、エタロン13の光学特性を説明する図を示す。図8 (a)はエアギャップを形成する面の透過特性を表す図であり、横軸は波長(単位:nm)、縦軸は透過率(単位:%)を表している。図8 (b)はエアギャップを変化させたときのエタロン13の透過特性を表す図であり、横軸は波長(単位:nm)、縦軸は透過率(単位:%)を表している。
エタロン13のエアギャップを形成する面の透過率は、600nm以上の波長領域で50%未満に設定され、600nm未満の波長領域で50%以上に設定されている。この結果、エタロン13は、第1の透過波長帯域ではエアギャップの変化にかかわらず安定して光を透過するとともに、第2の透過波長帯域で多光束干渉作用を利用した透過率ピーク波長の走査が可能であるように構成することができる。
次に、一度の観察で、病変組織の自家蛍光画像を取得する工程と、蛍光プローブが病変を特徴付ける物質と結合して発する蛍光の画像を取得する工程とを実行する場合における、本実施形態の蛍光内視鏡装置の基本動作を、図9を用いて説明する。
図9(a)は図6と同様に光源ユニット3が生成する励起光の波長範囲と、撮像ユニット1が検出する蛍光の波長範囲との関係を例示する概念図である。縦軸には励起光および蛍光の強度を表しており、単位は任意単位である。横軸は波長(単位:nm)を表している。図9(b)、(c)はエタロンの透過特性を示す図である。縦軸は透過率(単位:%)、横軸は波長(単位:nm)を表している。図9(d)、(e)、(f)は撮像素子の撮像面で受光される光の強度を示す図である。縦軸は光の強度を表しており、単位は任意単位である。横軸は波長(単位:nm)を表している。
図9(a)に示すように、自家蛍光物質を励起するための狭帯域光Aを一定時間、生体に照射することにより、コラーゲンやエラスチンから波長領域a1の蛍光を発生させると同時に、ポルフィリンから波長領域a2の蛍光を発生させ、また、蛍光プローブを励起するための狭帯域光Bを一定時間、生体に照射することにより、病変組織に結合した蛍光プローブから波長領域a3の蛍光を発生させる場合を考える。
蛍光内視鏡装置の光源ユニット3が狭帯域光Aを生成している期間には、エタロン13は、蛍光内視鏡装置の制御ユニット4から送信される制御信号により次の2つの状態に調整される。
状態1:波長領域a1と波長領域a2の光を透過する特性を有する状態(図9(b))
状態2:波長領域a1と波長領域a3の光を透過する特性を有する状態(図9(c))
エタロン13が上記状態1に設定されているときには、撮像素子12の撮像面では波長領域a1と波長領域a2の蛍光が受光される(図9(d))。また、エタロン13が上記状態2に設定されているときには、撮像素子12の撮像面では波長領域a1の蛍光のみが受光される(図9(e))。
一方、蛍光内視鏡装置の光源ユニット3が狭帯域光Bを生成している期間には、エタロン13は、蛍光内視鏡装置の制御ユニット4から送信される制御信号により次の状態に調整される。
状態2:波長領域a1と波長領域a3の光を透過する特性を有する状態(図9(c))
このとき、撮像素子12の撮像面では波長領域a3の蛍光が受光される(図9(f))。
図10は照明の状態と、エタロンの状態と、撮像ユニットが取得する蛍光画像信号との関係を時系列的に示すタイミングチャートである。蛍光内視鏡装置の照明ユニット2が狭帯域光Aを照射する第1の照明期間A1では、エタロン13は上記状態1に設定され、その結果、蛍光内視鏡装置の撮像ユニット12は波長領域a1と波長領域a2の蛍光成分を含んだ画像信号D1を取得する。画像信号D1は、照明が遮光されている期間S1中に読み出され、蛍光内視鏡装置の画像処理ユニット5のメモリ回路5aに蓄積される。また、照明ユニット2が狭帯域光Aを照射する第2の照明期間A2では、エタロン13は上記状態2に設定され、その結果、撮像ユニット1は波長領域a1の蛍光成分を含んだ画像信号D2を取得する。画像信号D2は、照明が遮光されている期間S2中に読み出され、画像処理ユニット5のメモリ回路5aに蓄積される。また、照明ユニット2が狭帯域光Bを照射する第3の照明期間B1では、エタロン13は上記状態2に設定され、その結果、撮像ユニット1は、波長領域a3の蛍光成分を含んだ画像信号D3を取得する。画像信号D3は、照明が遮光されている期間S3中に読み出され、画像処理ユニット5のメモリ回路5aに蓄積される。
そして、本実施形態の蛍光内視鏡装置では、上記の3つの照明状態を1サイクルとして、狭帯域光Aおよび狭帯域光Bの2種類の励起光が生体に対して繰り返し照射され、1サイクル中に取得された3種類の画像信号をもとにして、画像処理が行われる。まず、画像処理ユニット5の演算回路5bにより、3種類の画像信号のうち、狭帯域光Aが照明されている間に蓄積された画像信号D1と画像信号D2を用いて演算が行われる。図11は画像信号D1と画像信号D2を用いた演算を説明する概念図であり、縦軸は信号強度、横軸は波長を表している。画像信号D1は、図11(a)に示すように、波長領域a1と波長領域a2の蛍光成分を有しており、画像信号D2は、図11(b)に示すように波長領域a1の蛍光成分を有している。そこで、画像信号D1から画像信号D2を差し引くことで、図11(c)に示すように波長領域a2の蛍光成分のみを有する新たな画像信号E1を生成する。
次に、3つの画像信号(画像信号D2、画像信号E1、画像信号D3)にTVモニター7の表示画面上にカラー表示を行うための色信号を割り当てる。例えば、R、G、Bの3色の信号を次の表3のように割り当てる場合、TVモニター7の表示画面上での蛍光画像は、生体組織の状態によって次の表4のように色分けされて表示される。

(表3)
Figure 0004937991
(表4)
Figure 0004937991
生体組織の粘膜下層に存在するコラーゲンやエラスチンの自家蛍光(以下、蛍光F01と略す)は粘膜層を通過して粘膜表面より放射される。同様に、生体内に存在する有機化合物であるポルフィリンの自家蛍光(以下、蛍光F02と略す)も、粘膜層を通過して粘膜表面より放射される。例えば、粘膜表層に炎症が起きると、粘膜表層における血流の量が増加して蛍光F01、F02の通り道が妨げられてしまい、粘膜表面より放射される蛍光F01、F02の強度は弱められる。このため、炎症が起きている組織から観測される蛍光F01、F02の強度は、その周辺の正常組織から観測される蛍光F01、F02の強度に比べて弱くなる。
一方、粘膜組織に腫瘍が発生した場合にも、腫瘍組織の細胞核が肥大したり、細胞核周辺の血流量が増加して蛍光F01、F02の通り道が妨げられてしまい、粘膜表面より放射される蛍光F01、F02の強度は弱められる。ただし、ポルフィリンは腫瘍に多く蓄積される傾向があるので、実質的には腫瘍組織から粘膜表面に向けて放射される蛍光F02によって、腫瘍組織で妨げられる蛍光F02の強度が補われることになる。このため、腫瘍組織から観測される蛍光F01の強度は、その周辺の正常組織から観測される蛍光F01の強度に比べて弱くなるが、腫瘍組織から観測される蛍光F02の強度は、その周辺の正常組織から観測される蛍光F02の強度と同じかそれよりも強くなる。
また、蛍光プローブは腫瘍組織に由来する物質に結合して蛍光を発するので、腫瘍組織のみから蛍光が観測される。
このような現象を踏まえ、3つの画像信号(画像信号D2、画像信号E1、画像信号D3)にそれぞれ異なる色信号を割り当てて、それらを合成表示させることで、TVモニター7の表示画面上では、上記表4に示すように、正常な組織は黄色、粘膜表層に炎症が起きている組織は灰色、腫瘍組織はマゼンダに色分けすることができる。
早期癌など、生体組織の構造上の変化が少ない病変を内視鏡観察下で高精度に診断するためには、病変部とそれ以外の部位が明確に識別できるように、例えば表示画面上で色分けがなされているのが望ましい。そこで、上記のように病変組織に関する個別の情報を有する3つの画像信号を利用して表示画像の構築を行うことで、病変部とそれ以外の部位を明確に識別することができる。特に、何らかの原因で正常な組織に炎症が起こるなどして、従来の観察方法では病変組織との識別が困難であった部位を、病変組織とは異なる色調で表示させることができるので、病変組織のみを容易に特定することができ、診断の精度を飛躍的に向上させることができる。
また、個別の蛍光画像には病変組織に関する固有の情報が含まれているので、上記のように擬似的に色分けされた画像に加えて、個別の蛍光画像も合わせて表示できるようにすれば、更に病変組織の診断を容易にすることができる。
図12を用いて、本発明の実施例1にかかる蛍光内視鏡装置の構成を説明する。
本実施例の蛍光内視鏡装置は、光源ユニット3と、照明ユニット2と、撮像ユニット1を備えている。
撮像ユニット1と照明ユニット2は、内視鏡の挿入部先端101に配置されている。照明ユニット2は、ライトガイド31などの光学的な伝送手段により光源ユニット3と接続されており、光源ユニット3から供給される照明光を拡散作用を持つレンズを通して生体組織表面に照射するように構成されている。光源ユニット3は、図3を用いて説明したものと同様の構成であるので説明を省略する。撮像ユニット1は、対物光学系33と、撮像素子36と、対物光学系33の最も物体側の面から撮像素子36の撮像面までの間に、励起光カットフィルター34と、エアギャップを有しており且つ該エアギャップを変化させることにより透過する光の波長を変更することが可能な素子と、を備えている。透過させる光の波長を変更することが可能な前記素子としては、エアギャップを有しており且つエアギャップを調整することにより透過率ピーク波長を所望の値に変更することが可能なエタロンを用いることができる。本実施例の撮像ユニットにおいては、図8(b)に示すように、600nm未満の波長領域においてエアギャップを変化させても常に平均透過率が50%以上に保たれる第1の透過波長帯域と、600nm以上の波長領域においてエアギャップの変化とともに透過率ピーク波長が変化する第2の透過波長帯域とを有するエタロン35が配置されている。エタロン35は、内視鏡の操作部102に設けられたドライブ回路37に接続されている。ドライブ回路37は、接続コネクタ38を介して制御ユニット4と接続されており、制御ユニット4から送信される同期信号を受信してエタロン35の動作をコントロールする。ドライブ回路37は、撮像素子36と操作部102に設けられたスイッチ39にも接続されており、制御ユニット4との通信を中継する役割を有している。
制御ユニット4は、光源ユニット3が励起光を生成して照明ユニット2に供給するタイミングと、撮像ユニット1が生体組織表面からの蛍光像を撮像するタイミングと、エタロン35がエアギャップを変えるタイミングを制御する機能を有している。撮像ユニット1が取得した画像信号は、画像処理ユニット5によって蛍光画像に加工される。画像処理ユニット5には、画像信号をデータとして一時的に格納するメモリ回路5aと、メモリ回路5aに格納されたデータをもとにして画像処理に必要な演算を行う演算回路5bが備えられている。また、画像処理ユニット5にはDVDやHDDなどの外部記録装置6が接続されており、撮像ユニット1が取得した画像信号データや画像処理ユニット5によって加工された画像データを恒久的に記録して保存することができるようになっている。外部記録装置6に記録された画像信号データは、適宜、再生することが可能であり、画像処理ユニット5に取り込んで新たな画像処理を行うこともできる。画像処理ユニット5により加工された蛍光画像は、TVモニター7の表示画面上に表示される。
また、本実施例の蛍光内視鏡装置は、光源ユニット3の代わりに、波長の異なるコヒーレント光を発する複数の半導体素子を備えた別の光源ユニット8から、ライトガイド81を通して生体組織に励起光を供給することができるように構成されている。光源ユニット8は、半導体素子82と、半導体素子82が発したコヒーレント光をライトガイド81の入射端面に入射させる光学系83と、ライトガイド81の入射端面と半導体素子82の間に配置された光路合成用の光学素子84と、半導体素子82の発光状態を制御するドライブ回路85を備えている。ドライブ回路85は、制御ユニット4に接続されて制御ユニット4から送信される同期信号を受信し、撮像ユニット1が生体組織表面から蛍光像を撮像するタイミングと、エタロン35がエアギャップを変えるタイミングと、半導体82がコヒーレント光を生成してライトガイド81に供給するタイミングとが同期するように半導体素子82の発光状態を切換える。半導体素子82を発したコヒーレント光は、内視鏡の処置具挿通口を通して内視鏡の挿入部先端まで導入されたライトガイド81により生体組織に照射される。なお、ライトガイド81の出射端面には、光を拡散する光学素子を配置することも可能である。また、半導体素子82の発光状態を一定に保ち、半導体素子82を発したコヒーレント光を周期的に遮光することで、ライトガイド81に対して励起光を供給する期間を制御することもできる。この場合は、図13に示すように、半導体素子82の前方の光路を周期的に遮るチョッパー86が配置される。チョッパー86には、光束を横切り始める状態と光束を横切り終わる状態とをそれぞれ検知するセンサーが備えられており、センサーが検知した信号はドライブ回路85を通して制御ユニット4に送信され、撮像ユニット1から画像信号を読み出すタイミングと遮光期間を同期させる信号として利用される。
次に、本実施例の蛍光内視鏡装置の基本動作を、図14および図15を用いて説明する。
図14(a)は図6と同様に本実施例の蛍光内視鏡装置で用いる励起光及び励起される蛍光を例示する概念図である。縦軸には励起光および蛍光の強度を表しており、単位は任意単位である。横軸は波長(単位:nm)を表している。図14(b)、(c)、(d)は、エタロンの透過特性を示す図である。縦軸は透過率(単位:%)、横軸は波長(単位:nm)を表している。図14(e)、(f)、(g)は、撮像素子の撮像面で受光される光の強度を示す図である。縦軸は光の強度を表しており、単位は任意単位である。横軸は波長(単位:nm)を表している。図14(h)は励起光カットフィルターの透過特性を示す図である。図14(h)において、実線で示した曲線は、励起光カットフィルターの入射面への入射角度が0°の光線に対する透過特性であり、図の左側の目盛りが適用される。図の左側の目盛りは、透過率(単位:%)である。図14(h)において、一点鎖線で示した曲線は、同様の光線に対する励起光カットフィルターの阻止特性であり、図の右側の目盛りが適用される。図の右側の目盛りは、光学濃度であって、フィルターに入射する光の強度をI、フィルターを透過した光の強度をI'としたときlog10(I/I')で表される。横軸は波長(単位:nm)である。また、図15は照明の状態と、エタロンの状態と、撮像ユニットが取得する蛍光画像信号との関係を時系列的に示すタイミングチャートである。
図14(a)に示すように、本実施例の蛍光内視鏡装置では、生体組織に対して2つの異なる励起光を照射して、それぞれ波長の異なる3種類の蛍光画像を取得することができる。405nmをピークとする強度分布を有するコヒーレント光Aは、コラーゲンやエラスチンを励起して波長領域a1の自家蛍光を発生させると同時に、ポルフィリンを励起して波長領域a2の自家蛍光を発生させる。波長領域a1は420nm〜580nm、波長領域a2は610nm〜640nmである。また、660nmをピークとする強度分布を有するコヒーレント光Bは、病変組織に結合した蛍光プローブを励起して波長領域a3の蛍光を発生させる。波長領域a3は710nm〜740nmである。撮像ユニットに配置されている励起光カットフィルター34の特性は、420nm〜640nmでの平均透過率および710nm〜740nmでの平均透過率が70%以上であり、405nmおよび660nmにおける光学濃度が4以上である(図14(h))。励起光カットフィルター34によってコヒーレント光AおよびBは十分に遮断される。
内視鏡の操作部102に設けられたスイッチ39を押すなどの動作により、内視鏡の操作者から蛍光内視鏡装置に対して蛍光画像の取得を開始するための指示が出されると、制御ユニット4は、光源ユニット3と撮像ユニット1とエタロン35のドライブ回路37に対して同期信号を送信する。エタロン35は、ドライブ回路37からの制御電流によりエアギャップを変化させ、少なくとも透過特性の異なる3つの状態に設定される。光源ユニット3がコヒーレント光Aを生成している期間には、エタロン35は次の2つの状態に順次設定される。
状態1:波長領域a1の光のみを透過する特性を有する状態(図14(b))
状態2:波長領域a1と波長領域a2の光を透過する特性を有する状態(図14(c))
上記状態1においては、エタロン35のエアギャップが3つの状態の中で最も長くなるように設定される。このとき、エタロン35の第2の透過波長帯域は、透過率ピークが740nmよりも長波長側にあって、透過率ピークに対する半値全幅が60nmである。また、上記状態2においては、エタロン35のエアギャップが3つの状態の中で最も短くなるように設定される。このとき、エタロン35の第2の透過波長帯域は、透過率ピークが610nm〜640nmの波長範囲にあって、透過率ピークに対する半値全幅が60nmである。エタロン35が上記状態1に設定されているときには、撮像素子36の撮像面では波長領域a1の光のみが受光される(図14(e))。また、エタロン35が上記状態2に設定されているときには、撮像素子36の撮像面では波長領域a1と波長領域a2の蛍光が受光される(図14(f))。
一方、光源ユニット3がコヒーレント光Bを生成している期間には、エタロン35は、次の状態に設定される。
状態3:波長領域a1と波長領域a3の光を透過する特性を有する状態(図14(d))
上記状態3においては、エタロン35のエアギャップが上記状態2よりも大きく上記状態3よりも小さくなるように設定される。このとき、エタロン35の第2の透過波長帯域は、透過率ピークが710nm〜740nmの波長範囲にあって、透過率ピークに対する半値全幅が60nmである。エタロン35が上記状態3に設定されているときには、撮像素子36の撮像面では波長領域a3の蛍光が受光される(図14(g))。
図15タイミングチャートに示すように、照明ユニット2がコヒーレント光Aを照射する第1の照明期間A1では、エタロン35は、上記状態1に設定される。その結果、撮像ユニット1は波長領域a1の蛍光画像信号D1を取得する。画像信号D1は、照明が遮光されている期間S1中に読み出され、画像処理ユニット5のメモリ回路5aに蓄積される。また、照明ユニット2がコヒーレント光Aを照射する第2の照明期間A2では、エタロン35は、上記状態2に設定される。その結果、撮像ユニット1は、波長領域a1と波長領域a2の蛍光成分を含んだ蛍光画像信号D2を取得する。画像信号D2は、照明が遮光されている期間S2中に読み出され、画像処理ユニット5のメモリ回路5aに蓄積される。また、照明ユニット2がコヒーレント光Bを照射する第3の照明期間B1では、エタロン35は、上記状態3に設定される。その結果、撮像ユニット1は、波長領域a3の蛍光画像信号D3を取得する。画像信号D3は、照明が遮光されている期間S3中に読み出され、画像処理ユニット5のメモリ回路5aに蓄積される。
そして、本実施例の蛍光内視鏡装置では、上記の3つの照明状態を1サイクルとして、コヒーレント光Aおよびコヒーレント光Bの2種類の励起光が生体に対して繰り返し照射され、1サイクル中に取得された3種類の画像信号をもとにして、画像処理が行われる。画像処理ユニット5による画像処理の手順は、上述した手順と同じであるので説明を省略する。
図16は本実施例の蛍光内視鏡装置がTVモニター7の表示画面上に表示可能な蛍光画像の種類を模式的に示す図である。図16(a)は画像信号D2を基にして作成されたコラーゲンやエラスチンの自家蛍光画像、図16(b)は画像信号E1を基にして作成されたポルフィリンの自家蛍光画像、図16(c)は画像信号D3を基にして作成された病変組織と結合した蛍光プローブからの蛍光画像、図16(d)は3つの画像信号を基にして作成された擬似カラー画像である。擬似カラー画像では、正常部位と、正常組織の表層が炎症を起こしている部位と、病変部位とが擬似的に色分けされて表示される。画像処理ユニット5は、これら4種類の画像をTVモニター7の表示画面上に同じ大きさで並べて表示させたり、各画像ごとに表示倍率を変えて表示させることができる。
このように、本実施例の蛍光内視鏡装置では、病変組織に関する個別の情報を含んだ蛍光画像と、擬似カラー画像とを比較しながら診断を行えるようにしたので、診断の精度を向上させることができる。
なお、本実施例の蛍光内視鏡装置に用いる撮像ユニット1は、対物光学系33と、撮像素子36と、対物光学系33の最も物体側の面から撮像素子36の撮像面までの間に配置された励起光カットフィルター34とエタロン35により構成されているが、この構成に限定されるものではなく、例えば、図17に示すように、挿入部先端101に配置された対物光学系50によって取得した被写体の像をイメージファイバ51などの光学的な像伝送手段を用いて操作部102まで伝送し、操作部102に配置された結像光学系52により撮像素子55の撮像面に結像させるように構成された内視鏡を用いることもできる。この場合、エタロン54は、結像光学系52と撮像素子55との間に配置され、励起光カットフィルター53は対物光学系50の最も物体側の面からエタロン54の光入射面までの間に配置される。また、エタロン54の動作は、操作部102に配置されたドライブ回路56により制御される。
このような構成の内視鏡は、挿入部先端101を細径にすることができるので、マウスなどの小動物を傷つけることなく消化器の生体組織を観察するのに適している。
図18を用いて、本発明の実施例2にかかる蛍光内視鏡装置の構成を説明する。
撮像ユニット1、照明ユニット2、光源ユニット3の基本構成は、実施例1で説明した構成と同様であるので説明を省略する。
制御ユニット4には、光源ユニット3が励起光を生成して照明ユニット2に供給するタイミングを基にして、撮像ユニット1が生体組織表面からの蛍光像を撮像するタイミングと、エタロン63がエアギャップを変えるタイミングを制御するタイミング制御回路4aと、エタロン63の動作を制御するドライブ回路4bと、エタロン63の動作制御に必要な情報を記録したメモリ回路4cが備えられている。内視鏡と制御ユニット4を接続する接続コネクタ65には、撮像ユニット1の製造番号やエタロンの種類などの基本情報を記録したメモリチップが備えられており、接続コネクタ65が制御ユニット4に接続されると、接続コネクタ65側のメモリチップから制御ユニット4に撮像ユニット1の基本情報が読み込まれるようになっている。エタロン63のドライブ回路4bは、読み取った撮像ユニット1の基本情報と制御ユニット4側のメモリ回路4cに格納されているエタロンの動作制御に必要な情報とを照合して、接続された撮像ユニット1に最も適したエタロン63の動作環境を自動的に設定する。撮像ユニット1が取得した画像信号は、画像処理ユニット5によって蛍光画像に加工され、TVモニター7に表示される。画像処理回路5、外部記録装置6、TVモニター7等の構成も実施例1の構成と同様であるので説明を省略する。
次に、本実施例の蛍光内視鏡装置の基本動作を、図19および図20を用いて説明する。
図19(a)は図6と同様に光源ユニット3が生成する励起光の波長範囲と、撮像ユニット1が検出する蛍光の波長範囲との関係を例示する概念図である。縦軸には励起光および蛍光の強度を表しており、単位は任意単位である。横軸は波長(単位:nm)を表している。図19(b)、(c)、(d)、(e)はエタロン63の透過特性を示す図である。図19(b)、(c)、(d)、(e)において、実線で示した曲線は、エタロンの光入射面への入射角度が0°の光線に対する透過特性であり、図の左側の目盛りが適用される。図の左側の目盛りは、透過率(単位:%)である。一点鎖線で示した曲線は、同様の光線に対するエタロンの阻止特性であり、図の右側の目盛りが適用される。図の右側の目盛りは、光学濃度であって、エタロンに入射する光の強度をI、エタロンを透過した光の強度をI'としたときlog10(I/I')で表される。横軸は波長(単位:nm)である。図19 (f)、(g)、(h)、(i)は撮像素子64の撮像面で受光される光の強度を示す図である。縦軸は光の強度を表しており、単位は任意単位である。横軸は波長(単位:nm)を表している。図19(j)は励起光カットフィルター62の透過特性を示す図である。図19(j)において、実線で示した曲線は、励起光カットフィルター62の入射面への入射角度が0°の光線に対する透過特性であり、図の左側の目盛りが適用される。図の左側の目盛りは、透過率(単位:%)である。一点鎖線で示した曲線は、同様の光線に対する励起光カットフィルター62の阻止特性であり、図の右側の目盛りが適用される。図の右側の目盛りは、光学濃度であって、励起光カットフィルター62に入射する光の強度をI、励起光カットフィルター62を透過した光の強度をI'としたときlog10(I/I')で表される。横軸は波長(単位:nm)である。また、図23は照明の状態と、エタロンの状態と、撮像ユニットが取得する蛍光画像信号との関係を時系列的に示すタイミングチャートである。
図19(a)に示すように、本実施例の蛍光内視鏡装置では、生体組織に対して2つの異なる励起光を照射して、それぞれ波長の異なる4種類の蛍光画像を取得することができる。400nm〜430nmの波長範囲内の光で構成される励起光Aは、コラーゲンやエラスチンを励起して波長領域a1の自家蛍光を発生させると同時に、ポルフィリンを励起して波長領域a2の自家蛍光を発生させる。波長領域a1は、440nm〜580nm、波長領域a2は、610nm〜640nmである。また、680nm〜700nmの波長範囲内の光で構成される励起光Bは、病変組織に由来する物質k1に結合した蛍光プローブを励起して波長領域a3の蛍光を発生させると同時に、病変組織に由来する別の物質k2に結合した蛍光プローブを励起して波長領域a4の蛍光を発生させる。波長領域a3は、710nm〜740nmであり、波長領域a4は、770nm〜800nmである。撮像ユニット1に配置されている励起光カットフィルター62の特性は、440nm〜640nmでの平均透過率および710nm〜800nmでの平均透過率が70%以上であり、400nm〜430nmおよび680nm〜700nmにおける光学濃度が4以上である(図19(j))。励起光カットフィルター62によって励起光Aおよび励起光Bは、十分に遮断される。
内視鏡の操作者から蛍光内視鏡装置に対して蛍光画像の取得を開始するための指示が出されると、制御ユニット4は、光源ユニット3を励起光生成モードに切換える信号を送信する。光源ユニット3がこの信号を受信すると、回転ディスク24の回転軸が所定の位置まで移動して一定速度で回転する。図21に、回転ディスク24に配置される光学フィルターのレイアウトを示す。光路中には、蛍光画像観察用の光学フィルター(e)および光学フィルター(f)が繰り返し挿入される。光学フィルター(e)は400nm〜430nmの波長範囲で透過率Tが50%以上となる透過特性を有しており、光学フィルター(f)は680nm〜700nmの波長範囲で透過率Tが50%以上となる透過特性を有している。その結果、照明ユニットが400nm〜430nmの波長範囲の励起光Aを照射する第1の照明期間A1および第2の照明期間A2と、680nm〜700nmの波長範囲の励起光Bを照射する第3の照明期間B1の3つの照明期間が遮光期間をはさんで繰り返される。光源ユニット3には、1つの光学フィルターが光束を横切り終わる状態と、その次の光学フィルターが光束を横切り始める状態を検知するセンサーユニット25が備えられている(図3)。センサーユニット25が検知した信号は制御ユニット4に送信され、撮像ユニット1から画像信号を読み出すタイミングやエタロン63がエアギャップを変えるタイミングを照明光が遮光されている期間と同期させる信号として利用される。
エタロン63は、ドライブ回路4bからの制御電流によりエアギャップを変化させ、少なくとも透過特性の異なる4つの状態に設定される。光源ユニット3が励起光Aを生成している期間には、エタロン63は、次の2つの状態に順次設定される。
状態1:波長領域a1の光のみを透過する特性を有する状態(図19(e))
状態2:波長領域a1と波長領域a2の光を透過する特性を有する状態(図19(d))
上記状態1においては、エタロン63のエアギャップが4つの状態の中で最も長くなるように設定される。このとき、エタロン63の第2の透過波長帯域は、透過率ピークが800nmよりも長波長側にあって、透過率ピークに対する半値全幅が30nmである。また、上記状態2においては、エタロン63のエアギャップが4つの状態の中で最も短くなるように設定される。このとき、エタロン63の第2の透過波長帯域は、透過率ピークが610nm〜640nmの波長範囲にあって、透過率ピークに対する半値全幅が30nmである。エタロン63が上記状態1に設定されているときには、撮像素子64の撮像面では波長領域a1の蛍光のみが受光される(図19(i))。また、エタロン63が上記状態2に設定されているときには、撮像素子64の撮像面では波長領域a1と波長領域a2の蛍光が受光される(図19(h))。
一方、光源ユニット3が励起光Bを生成している期間には、エタロン63は、次の2つの状態に設定される。
状態3:波長領域a1と波長領域a3の光を透過する特性を有する状態(図19(c))
状態4:波長領域a1と波長領域a4の光を透過する特性を有する状態(図19(b))
上記状態3および上記状態4においては、エタロン63のエアギャップが上記状態2よりも大きく上記状態1よりも小さくなるように設定される。ただし、上記状態3におけるエアギャップは上記状態4におけるエアギャップより小さい。エタロン63が上記状態3に設定されているときには、エタロン63の第2の透過波長帯域は、透過率ピークが710nm〜740nmの波長範囲にあって、透過率ピークに対する半値全幅が30nmである。このとき、撮像素子64の撮像面では、波長領域a3の蛍光が受光される(図19(g))。また、エタロン63が上記状態4に設定されているときには、エタロン63の第2の透過波長帯域は、透過率ピークが770nm〜800nmの波長範囲にあって、透過率ピークに対する半値全幅が30nmである。このとき、撮像素子64の撮像面では、波長領域a4の蛍光が受光される(図19(f))。
図20のタイミングチャートに示すように、照明ユニット2が励起光Aを照射する第1の照明期間A1から照明ユニット2が励起光Bを照射する第3の照明期間B1までを1サイクルとすると、本実施例の蛍光内視鏡装置では、2サイクルする間に画像処理に必要な画像データが取得される。最初の1サイクルでは、照明ユニット2が励起光Aを照射する第1の照明期間A1の間、エタロン63は上記状態1に設定される。その結果、撮像ユニット1は、波長領域a1の蛍光画像信号D1を取得する。画像信号D1は、照明が遮光されている期間S1中に読み出され、画像処理ユニット5のメモリ回路5aに蓄積される。また、照明ユニット2が励起光Aを照射する第2の照明期間A2では、エタロン63は、上記状態2に設定される。その結果、撮像ユニット1は、波長領域a1と波長領域a2の蛍光成分を含んだ蛍光画像信号D2を取得する。画像信号D2は、照明が遮光されている期間S2中に読み出され、画像処理ユニット5のメモリ回路5aに蓄積される。また、照明ユニット2が励起光Bを照射する第3の照明期間B1では、エタロン63は、上記状態3に設定される。その結果、撮像ユニット1は、波長領域a3の蛍光画像信号D3を取得する。画像信号D3は、照明が遮光されている期間S3中に読み出され、画像処理ユニット5のメモリ回路5aに蓄積される。
次の1サイクルでは、照明ユニット2が励起光Aを照射する第1の照明期間A1の間、エタロン63は、もう一度、上記状態1に設定される。その結果、撮像ユニット1は、波長領域a1の蛍光画像信号D4を取得する。画像信号D4は、照明が遮光されている期間S1中に読み出され、画像処理ユニット5のメモリ回路5aに蓄積される。また、照明ユニット2が励起光Aを照射する第2の照明期間A2では、エタロン63は、上記状態2に設定される。その結果、撮像ユニット1は、波長領域a1と波長領域a2の蛍光成分を含んだ蛍光画像信号D5を取得する。画像信号D5は、照明が遮光されている期間S2中に読み出され、画像処理ユニット5のメモリ回路5aに蓄積される。また、照明ユニット2が励起光Bを照射する第3の照明期間B1では、エタロン63は、上記状態4に設定される。その結果、撮像ユニット1は、波長領域a4の蛍光画像信号D6を取得する。画像信号D6は、照明が遮光されている期間S3中に読み出され、画像処理ユニット5のメモリ回路5aに蓄積される。
そして、本実施例の蛍光内視鏡装置では、上記の2サイクル中に取得された画像信号をもとにして、画像処理が行われる。画像処理ユニット5による画像処理の手順は、上述した手順と同じであるので説明を省略する。
図22は本実施例の蛍光内視鏡装置がTVモニター7の表示画面上に表示可能な蛍光画像の種類を模式的に示す図である。図22(a)は上述した最初の1サイクルの間に取得された3種類の画像信号を基にして作成された擬似カラー画像である。擬似カラー画像では、正常部位と、正常組織の表層が炎症を起こしている部位と、病変部位とが擬似的に色分けされて表示される。図22(b)は次の1サイクルの間に取得された3種類の画像信号を基にして作成された擬似カラー画像である。擬似カラー画像では、正常部位と、正常組織の表層が炎症を起こしている部位と、病変部位とが擬似的に色分けされて表示される。図22(c)は図22(a)に示す画像と図22(b)に示す画像とを合成表示させたものであり、図22(a)における病変部位の表示範囲と図22(b)における病変部位の表示範囲が重なる場合には、その部分を強調して表示するようにしたものである。
図22(a)に示す画像は、病変組織に由来する物質k1に関する情報を含む画像であり、図22(b)に示す画像は、病変組織に由来する別の物質k2に関する情報を含む画像である。そこで、図22(c)に示すように、これらの画像を合成表示することにより、病変組織に関する情報量を増加させ、病変組織を特定するにあたってより信頼性の高い画像を提供することができる。
このように、本実施例の蛍光内視鏡装置では、病変組織に由来する複数種類の検出対象物質(例えば、病変組織が悪性化するときに関与する物質や、病変組織が活発に増殖するときに関与する物質など)をそれぞれ選択的に捉えて結合する蛍光プローブを利用して病変組織の診断に有用な蛍光画像を構築したので、早期癌など、生体組織の構造上の変化が少ない病変でも高精度に診断することができる。
本実施例の蛍光内視鏡装置の構成は、実施例2の構成と同じであるので説明を省略する。
次に、本実施例の蛍光内視鏡装置の基本動作を、図23および図24を用いて説明する。
図23(a)は図6と同様に光源ユニット3が生成する励起光の波長範囲と、撮像ユニット1が検出する蛍光の波長範囲との関係を例示する概念図である。縦軸には励起光および蛍光の強度を表しており、単位は任意単位である。横軸は波長(単位:nm)を表している。図23(b)、(c)、(d)、(e)、(f)は、エタロン63の透過特性を示す図である。縦軸は透過率(単位:%)、横軸は波長(単位:nm)を表している。図23(g)、(h)、(i)、(j)、(k)は撮像素子64の撮像面で受光される光の強度を示す図である。縦軸は光の強度を表しており、単位は任意単位である。横軸は波長(単位:nm)を表している。図23(l)は、励起光カットフィルター62の透過特性を示す図である。図23(l)において、実線で示した曲線は、励起光カットフィルターの入射面への入射角度が0°の光線に対する透過特性であり、図の左側の目盛りが適用される。図の左側の目盛りは透過率(単位:%)である。一点鎖線で示した曲線は、同様の光線に対する励起光カットフィルター62の阻止特性であり、図の右側の目盛りが適用される。図の右側の目盛りは、光学濃度であって、フィルターに入射する光の強度をI、フィルターを透過した光の強度をI'としたときlog10(I/I')で表される。横軸は、波長(単位:nm)である。また、図24は照明の状態と、エタロンの状態と、撮像ユニットが取得する蛍光画像信号との関係を時系列的に示すタイミングチャートである。
図23(a)に示すように、本実施例の蛍光内視鏡装置では、生体組織に対して2つの異なる励起光を照射して、それぞれ波長の異なる5種類の蛍光画像を取得することができる。400nm〜430nmの波長範囲内の光で構成される励起光Aは、コラーゲンやエラスチンを励起して波長領域a1の自家蛍光を発生させると同時に、ポルフィリンを励起して波長領域a2の自家蛍光を発生させる。波長領域a1は、440nm〜580nm、波長領域a2は、610nm〜640nmである。また、650nm〜670nmの波長範囲内の光で構成される励起光Bは、病変組織に由来する物質k1に結合した蛍光プローブを励起して波長領域a3の蛍光を発生させると同時に、病変組織に由来する別の物質k2に結合した蛍光プローブを励起して波長領域a4の蛍光を発生させ、更に、病変組織に由来する別の物質k3に結合した蛍光プローブを励起して波長領域a5の蛍光を発生させる。波長領域a3は、690nm〜710nm、波長領域a4は、720nm〜740nm、波長領域a5は、770nm〜790nmである。撮像ユニット1に配置されている励起光カットフィルター62の特性は、440nm〜640nmでの平均透過率および690nm〜790nmでの平均透過率が70%以上であり、400nm〜430nmおよび650nm〜670nmにおける光学濃度が4以上である(図23))。励起光カットフィルター62によって励起光Aおよび励起光Bは十分に遮断される。
内視鏡の操作者が光源ユニット3の操作パネルに配置されたモード切換えスイッチを押すなどして、蛍光内視鏡装置に対して蛍光画像の取得を開始する指示を出すと、光源ユニット3は、励起光生成モードに切り換わる。それと同時に、制御ユニット4に対して、撮像ユニット1から画像信号を読み出すタイミングやエタロン63がエアギャップを変えるタイミングを照明光の遮光期間と同期させる信号が送信される。光源ユニット3の光路中には、回転ディスク24に設置された蛍光画像観察用の光学フィルター(e)および光学フィルター(f)が繰り返し挿入される。光学フィルター(e)は、400nm〜430nmの波長範囲で透過率Tが50%以上となる透過特性を有しており、光学フィルター(f)は、650nm〜670nmの波長範囲で透過率Tが50%以上となる透過特性を有している。その結果、照明ユニットが400nm〜430nmの波長範囲の励起光Aを照射する第1の照明期間A1および第2の照明期間A2と、650nm〜670nmの波長範囲の励起光Bを照射する第3の照明期間B1の3つの照明期間が遮光期間をはさんで繰り返される。
エタロン63は、ドライブ回路4bからの制御電流によりエアギャップを変化させ、少なくとも透過特性の異なる5つの状態に設定される。光源ユニット3が励起光Aを生成している期間には、エタロン63は次の2つの状態に順次設定される。
状態1:波長領域a1の光のみを透過する特性を有する状態(図23(f))
状態2:波長領域a1と波長領域a2の光を透過する特性を有する状態(図23(e))
上記状態1においては、エタロン63のエアギャップが5つの状態の中で最も長くなるように設定される。このとき、エタロン63の第2の透過波長帯域は、透過率ピークが800nmよりも長波長側にあって、透過率ピークに対する半値全幅が30nmである。また、上記状態2においては、エタロン63のエアギャップが5つの状態の中で最も短くなるように設定される。このとき、エタロン63の第2の透過波長帯域は、透過率ピークが610nm〜640nmの波長範囲にあって、透過率ピークに対する半値全幅が30nmである。エタロン63が上記状態1に設定されているときには、撮像素子64の撮像面では波長領域a1の蛍光のみが受光される(図23(k))。また、エタロン63が上記状態2に設定されているときには、撮像素子64の撮像面では波長領域a1と波長領域a2の蛍光が受光される(図23(j))。
一方、光源ユニット3が励起光Bを生成している期間には、エタロン63は次の3つの状態に設定される。
状態3:波長領域a1と波長領域a3の光を透過する特性を有する状態(図23(d))
状態4:波長領域a1と波長領域a4の光を透過する特性を有する状態(図23(c))
状態5:波長領域a1と波長領域a5の光を透過する特性を有する状態(図23(b))
上記状態3〜5においては、エタロン63のエアギャップが上記状態2よりも大きく上記状態1よりも小さくなるように設定される。ただし、上記状態3におけるエアギャップは、上記状態4におけるエアギャップより小さく、上記状態4におけるエアギャップは、上記状態5におけるエアギャップより小さい。エタロン63が上記状態3に設定されているときには、エタロン63の第2の透過波長帯域は、透過率ピークが690nm〜710nmの波長範囲にあって、透過率ピークに対する半値全幅が30nmである。このとき、撮像素子64の撮像面では、波長領域a3の蛍光が受光される(図23(i))。エタロン63が上記状態4に設定されているときには、エタロン63の第2の透過波長帯域は、透過率ピークが720nm〜740nmの波長範囲にあって、透過率ピークに対する半値全幅が30nmである。このとき、撮像素子64の撮像面では、波長領域a4の蛍光が受光される(図23(h))。エタロン63が状態5に設定されているときには、エタロン63の第2の透過波長帯域は、透過率ピークが770nm〜790nmの波長範囲にあって、透過率ピークに対する半値全幅が30nmである。このとき、撮像素子64の撮像面では、波長領域a5の蛍光が受光される(図23(g))。
図27のタイミングチャートに示すように、照明ユニット2が励起光Aを照射する第1の照明期間A1から照明ユニット2が励起光Bを照射する第3の照明期間B1までを1サイクルとすると、本実施例の蛍光内視鏡装置では、3サイクルする間に画像処理に必要な画像データが取得される。最初の1サイクルでは、照明ユニット2が励起光Aを照射する第1の照明期間A1の間、エタロン63は上記状態1に設定される。その結果、撮像ユニット1は、波長領域a1の蛍光画像信号D1を取得する。画像信号D1は、照明が遮光されている期間S1中に読み出され、画像処理ユニット5のメモリ回路5aに蓄積される。また、照明ユニット2が励起光Aを照射する第2の照明期間A2では、エタロン63は、上記状態2に設定される。その結果、撮像ユニット1は、波長領域a1と波長領域a2の蛍光成分を含んだ蛍光画像信号D2を取得する。画像信号D2は、照明が遮光されている期間S2中に読み出され、画像処理ユニット5のメモリ回路5aに蓄積される。また、照明ユニット2が励起光Bを照射する第3の照明期間B1では、エタロン63は、上記状態3に設定される。その結果、撮像ユニット1は、波長領域a3の蛍光画像信号D3を取得する。画像信号D3は、照明が遮光されている期間S3中に読み出され、画像処理ユニット5のメモリ回路5aに蓄積される。
次の1サイクルでは、照明ユニット2が励起光Aを照射する第1の照明期間A1の間、エタロン63は、もう一度、上記状態1に設定される。その結果、撮像ユニット1は、波長領域a1の蛍光画像信号D4を取得する。画像信号D4は、照明が遮光されている期間S1中に読み出され、画像処理ユニット5のメモリ回路5aに蓄積される。また、照明ユニット2が励起光Aを照射する第2の照明期間A2では、エタロン63は、上記状態2に設定される。その結果、撮像ユニット1は、波長領域a1と波長領域a2の蛍光成分を含んだ蛍光画像信号D5を取得する。画像信号D5は、照明が遮光されている期間S2中に読み出され、画像処理ユニット5のメモリ回路5aに蓄積される。また、照明ユニット2が励起光Bを照射する第3の照明期間B1では、エタロン63は、上記状態4に設定される。その結果、撮像ユニット1は、波長領域a4の蛍光画像信号D6を取得する。画像信号D6は、照明が遮光されている期間S3中に読み出され、画像処理ユニット5のメモリ回路5aに蓄積される。
更に、次の1サイクルでは、照明ユニット2が励起光Aを照射する第1の照明期間A1の間、エタロン63は、上記状態1に設定される。その結果、撮像ユニット1は、波長領域a1の蛍光画像信号D7を取得する。画像信号D7は、照明が遮光されている期間S1中に読み出され、画像処理ユニット5のメモリ回路5aに蓄積される。また、照明ユニット2が励起光Aを照射する第2の照明期間A2では、エタロン63は、上記状態2に設定される。その結果、撮像ユニット1は、波長領域a1と波長領域a2の蛍光成分を含んだ蛍光画像信号D8を取得する。画像信号D8は、照明が遮光されている期間S2中に読み出され、画像処理ユニット5のメモリ回路5aに蓄積される。また、照明ユニット2が励起光Bを照射する第3の照明期間B1では、エタロン63は上記状態5に設定される。その結果、撮像ユニット1は、波長領域a5の蛍光画像信号D9を取得する。画像信号D9は、照明が遮光されている期間S3中に読み出され、画像処理ユニット5のメモリ回路5aに蓄積される。
そして、本実施例の蛍光内視鏡装置では、上記の3サイクル中に取得された画像信号をもとにして、画像処理が行われる。画像処理ユニット5による画像処理の手順は、上述した手順と同じであるので説明を省略する。
図25は本実施例の蛍光内視鏡装置がモニターの表示画面上に表示可能な蛍光画像の種類を模式的に示す図である。図25(a)は上述した最初の1サイクルの間に取得された3種類の画像信号を基にして作成された擬似カラー画像である。擬似カラー画像では、正常部位と、正常組織の表層が炎症を起こしている部位と、病変部位とが擬似的に色分けされて表示される。図25(b)は次の1サイクルの間に取得された3種類の画像信号を基にして作成された擬似カラー画像である。擬似カラー画像では、正常部位と、正常組織の表層が炎症を起こしている部位と、病変部位とが擬似的に色分けされて表示される。図25(c)は更に次の1サイクルの間に取得された3種類の画像信号を基にして作成された擬似カラー画像である。擬似カラー画像では、正常部位と、正常組織の表層が炎症を起こしている部位と、病変部位とが擬似的に色分けされて表示される。図25(d)は図25(a)〜図25(c)に示す画像を合成表示させたものであり、図25(a)〜図25(c)における病変部位の表示範囲が重なる場合にはその部分を例えば等高線図のように強調して表示するようにしたものである。
図25(a)に示す画像は、病変組織に由来する物質k1に関する情報を含む画像であり、図25(b)に示す画像は、病変組織に由来する別の物質k2に関する情報を含む画像である。また、図25(c)に示す画像は、病変組織に由来する更に別の物質k3に関する情報を含む画像である。そこで、図25(d)に示すように、これらの画像を合成表示するとともに観察者が判断しやすいように画像を加工することにより、病変組織を特定するにあたってより信頼性の高い画像を提供することができる。
これまでの上記各実施例を通して説明したように、波長の異なる複数の励起光を生成する光源ユニット3と、励起光を生体に照射する照明ユニット2と、透過する光の波長帯域を変更可能な素子を有する撮像ユニット1を備えた本発明の蛍光内視鏡装置においては、光源ユニット3の生成する励起光の数をn、撮像ユニット1が検出する波長帯域の異なる蛍光の数をmTとしたとき、次の条件式を満足するのが望ましい。
n<mT<3n
ただし、nは2以上の自然数である。上記条件式において、mTが下限値以下である場合には、病変組織に関する情報が十分に得られないために、早期癌などの生体組織の構造上の変化が少ない病変を高精度に診断することができない。一方、mTが上限値以上である場合には、光源ユニット3の生成する励起光が全ての蛍光プローブに十分な励起エネルギーを与えることができないために、撮像ユニット1が取得する蛍光画像に十分な明るさが得られない。
本発明の蛍光内視鏡装置は、生体内部の病変(特に早期ガン)の早期かつ高精度な診断を行うことが求められる医療業界において有用である。
本発明の一実施形態にかかる蛍光内視鏡装置の基本構成を示す説明図である。 図1の蛍光内視鏡装置における撮像ユニット1の構成例を示す図である。 図1の蛍光内視鏡装置における光源ユニット3の構成例を示す図である。 図1の蛍光内視鏡装置における光源ユニット3に配置されるターレット21と回転ディスク24の構成例を示す図である。 図1の蛍光内視鏡装置におけるターレット21と回転ディスク24に配置される光学フィルター22の透過特性の例を示す図である。 図1の蛍光内視鏡装置における光源ユニット3が生成する励起光の波長範囲と、撮像ユニット1が検出する蛍光の波長範囲との関係を例示する概念図である。 図1の蛍光内視鏡装置における撮像ユニット1に配置される励起光カットフィルター14の透過特性を示す図である。 図1の蛍光内視鏡装置におけるエタロン13の光学特性を示す説明図である。 本実施形態の蛍光内視鏡装置の基本動作を示す説明図である。 本実施形態の蛍光内視鏡装置の基本動作を時系列的に示すタイミングチャートである。 画像信号D1と画像信号D2を用いた演算を説明する概念図である。 本発明の実施例1にかかる蛍光内視鏡装置の構成を示す説明図である。 本発明の実施例1にかかる蛍光内視鏡装置における光源ユニット8の別の構成例を示す図である。 実施例1の蛍光内視鏡装置の基本動作を示す説明図である。 実施例1の蛍光内視鏡装置の基本動作を時系列的に示すタイミングチャートである。 実施例1の蛍光内視鏡装置がTVモニター7の表示画面上に表示可能な蛍光画像の種類を模式的に示す図である。 実施例1の蛍光内視鏡装置に用いる内視鏡の別の構成例を示す図である。 本発明の実施例2にかかる蛍光内視鏡装置の構成を示す説明図である。 実施例2の蛍光内視鏡装置の基本動作を示す説明図である。 実施例2の蛍光内視鏡装置の基本動作を時系列的に示すタイミングチャートである。 回転ディスク24に配置される光学フィルターのレイアウト図である。 実施例2の蛍光内視鏡装置がTVモニター7の表示画面上に表示可能な蛍光画像の種類を模式的に示す図である。 本発明の実施例3にかかる蛍光内視鏡装置の基本動作を示す説明図である。 実施例3の蛍光内視鏡装置の基本動作を時系列的に示すタイミングチャートである。 実施例3の蛍光内視鏡装置がTVモニター7の表示画面上に表示可能な蛍光画像の種類を模式的に示す図である。
符号の説明
1 撮像ユニット
2 照明ユニット
3、8 光源ユニット
4 制御ユニット
4a タイミング制御回路
4b、37、56、85 ドライブ回路
4c、5a メモリ回路
5 画像処理ユニット
5b 演算回路
6 外部記憶装置
7 TVモニター
11、33、50 対物光学系
12 受光素子
13、35、54、63 エタロン
14、22 光学フィルター
20 ランプ
21 ターレット
24 回転ディスク
26 ライトガイド入射端面
34、62 励起光カットフィルター
36、55、64 撮像素子
38、65 接続コネクタ
39 スイッチ
51 イメージファイバ
52 結像光学系
81 ライトガイド
82 半導体素子
83 光学系
84 光路合成用の光学素子
86 チョッパー
101 内視鏡の挿入部先端
102 内視鏡の操作部

Claims (19)

  1. 蛍光物質を励起するための波長の異なる複数の励起光を生成する光源ユニットと、励起光を内視鏡の先端部まで光学的に伝送して生体に向けて照射する照明ユニットと、生体の蛍光像を撮像する撮像ユニットと、撮像ユニットが取得した画像信号をもとにして画像構築を行う画像構築ユニットとを備えた蛍光内視鏡装置に用いられ、
    対物光学系と、撮像素子と、エアギャップを有しており且つ該エアギャップを変化させることにより透過する光の波長を変更することが可能に構成された光学素子と、を備えた撮像ユニットにおいて、
    前記撮像ユニットは、前記対物光学系の最も物体側の面から前記撮像素子の撮像面までの間に前記光学素子を備えており、
    前記光学素子は、600nm未満の波長領域において、エアギャップを変化させても常に平均透過率が50%以上に保たれる第1の透過波長帯域と、600nm以上の波長領域において、エアギャップの変化とともに透過率がピークとなる波長が変化する第2の透過波長帯域を有していることを特徴とする蛍光内視鏡装置に用いる撮像ユニット。
    ただし、前記光学素子の平均透過率は、所定の波長領域における光学素子の透過率TEの平均値である。前記光学素子の透過率TEは、任意波長λの光の光学素子の入射面への入射光量をIL1、光学素子の出射面からの波長λの光の出射光量をIL2としたとき、
    E=(IL2/IL1)×100で表される。
  2. 前記光学素子は、600nm〜740nmの波長範囲で少なくとも次の3つの状態を切換え可能であることを特徴とする請求項1に記載の蛍光内視鏡装置に用いる撮像ユニット。
    状態1:610nm〜640nmの波長範囲に透過率ピークが存在する状態
    状態2:710nm〜740nmの波長範囲に透過率ピークが存在する状態
    状態3:600nm〜740nmの波長範囲に透過率ピークが存在しない状態
  3. 蛍光物質を励起するための波長の異なる複数の励起光を生成する光源ユニットと、励起光を生体に照射する照明ユニットと、生体の蛍光像を撮像する撮像ユニットと、撮像ユニットが取得した画像信号をもとにして画像構築を行う画像処理ユニットを備えた蛍光内視鏡装置において、
    前記光源ユニットが生成する2以上の励起光の数をn、前記撮像ユニットが検出する波長帯域が異なる蛍光の数をm T としたとき、以下の条件式、
    n<m T <3n
    を満足しており、
    前記撮像ユニットは、対物光学系と、撮像素子と、エアギャップを有しており且つ該エアギャップを変化させることにより透過する光の波長を変更することが可能に構成されたエタロンと、を備えており、
    前記撮像ユニットは、前記対物光学系の最も物体側の面から前記撮像素子の撮像面までの間に前記エタロンを備えており、
    前記エタロンは、600nm未満の波長領域において、エアギャップを変化させても常に平均透過率が50%以上に保たれる第1の透過波長帯域と、600nm以上の波長領域において、エアギャップの変化とともに透過率がピークとなる波長が変化する第2の透過波長帯域とを有しており、
    前記エタロンは、600nm〜740nmの波長範囲で少なくとも次の2つの状態を切換え可能であることを特徴とする蛍光内視鏡装置。
    状態1:610nm〜640nmの波長範囲に透過率ピークが存在する状態
    状態2:710nm〜740nmの波長範囲に透過率ピークが存在する状態
    ただし、前記エタロンの平均透過率は、所定の波長領域におけるエタロンの透過率TEの平均値である。前記エタロンの透過率TEは、任意波長λの光のエタロンの入射面への入射光量をIL1、エタロンの出射面からの波長λの光の出射光量をIL2としたとき、TE=(IL2/IL1)×100で表される。
  4. 前記光源ユニットは、少なくとも、400nm〜430nmの波長範囲内の光で構成される励起光を生成する第1の照明状態と、670nm〜690nmの波長範囲内の光で構成される励起光を生成する第2の照明状態とを切換え可能に構成され、
    前記撮像ユニットには、2つの照明状態で生成される励起光をカットする励起光カットフィルターが配置されていることを特徴とする請求項3に記載の蛍光内視鏡装置。
  5. 前記励起光カットフィルターの光学濃度と前記エタロンの光学濃度との和が、400〜430nm、670〜690nmのそれぞれの波長範囲において次の条件式を満足することを特徴とする請求項4に記載の蛍光内視鏡装置。
    4≦ODF+ODE
    ただし、ODFは励起光カットフィルターの光学濃度、ODEはエタロンの光学濃度であり、励起光カットフィルター又はエタロンに入射する光の強度をI、励起光カットフィルター又はエタロンを透過した光の強度をI'としたときlog10(I/I')で表される。
  6. 前記画像処理ユニットは、演算回路を有し、
    前記演算回路は、撮像ユニットがエタロンの状態を切換えながら取得した複数の画像信号をもとにして演算を行うことを特徴とする請求項3に記載の蛍光内視鏡装置。
  7. 前記演算回路は、前記エタロンが前記状態1となったときに前記撮像ユニットで取得される画像信号から、前記エタロンが前記状態1以外の状態となったときに前記撮像ユニットで取得される画像信号の減算を行うように構成されていることを特徴とする請求項6に記載の蛍光内視鏡装置。
  8. 前記光学素子は、600nm〜800nmの波長範囲で少なくとも次の4つの状態を切換え可能であることを特徴とする請求項1に記載の蛍光内視鏡装置に用いる撮像ユニット。
    状態1:610nm〜640nmの波長範囲に透過率ピークが存在する状態
    状態2:710nm〜740nmの波長範囲に透過率ピークが存在する状態
    状態3:770nm〜800nmの波長範囲に透過率ピークが存在する状態
    状態4:600nm〜800nmの波長範囲に透過率ピークが存在しない状態
  9. 蛍光物質を励起するための波長の異なる複数の励起光を生成する光源ユニットと、励起光を生体に照射する照明ユニットと、生体の蛍光像を撮像する撮像ユニットと、撮像ユニットが取得した画像信号をもとにして画像構築を行う画像処理ユニットを備えた蛍光内視鏡装置において、
    前記光源ユニットが生成する2以上の励起光の数をn、前記撮像ユニットが検出する波長帯域が異なる蛍光の数をm T としたとき、以下の条件式、
    n<m T <3n
    を満足しており、
    前記撮像ユニットは、対物光学系と、撮像素子と、エアギャップを有しており且つ該エアギャップを変化させることにより透過する光の波長を変更することが可能に構成されたエタロンと、を備えており、
    前記撮像ユニットは、前記対物光学系の最も物体側の面から前記撮像素子の撮像面までの間に前記エタロンを備えており、
    前記エタロンは、600nm未満の波長領域において、エアギャップを変化させても常に平均透過率が50%以上に保たれる第1の透過波長帯域と、600nm以上の波長領域において、エアギャップの変化とともに透過率がピークとなる波長が変化する第2の透過波長帯域とを有しており、
    前記エタロンは、600nm〜800nmの波長範囲で少なくとも次の3つの状態を切換え可能であることを特徴とする蛍光内視鏡装置。
    状態1:610nm〜640nmの波長範囲に透過率ピークが存在する状態
    状態2:710nm〜740nmの波長範囲に透過率ピークが存在する状態
    状態3:770nm〜800nmの波長範囲に透過率ピークが存在する状態
    ただし、前記エタロンの平均透過率は、所定の波長領域におけるエタロンの透過率TEの平均値である。前記エタロンの透過率TEは、任意波長λの光のエタロンの入射面への入射光量をIL1、エタロンの出射面からの波長λの光の出射光量をIL2としたとき、TE=(IL2/IL1)×100で表される。
  10. 前記光源ユニットは、少なくとも、400nm〜430nmの波長範囲内の光で構成される励起光を生成する第1の照明状態と、680nm〜700nmの波長範囲内の光で構成される励起光を生成する第2の照明状態とを切換え可能に構成され、
    前記撮像ユニットには、2つの照明状態で生成される励起光をカットする励起光カットフィルターが配置されていることを特徴とする請求項9に記載の蛍光内視鏡装置。
  11. 前記励起光カットフィルターの光学濃度と前記エタロンの光学濃度との和が、400〜430nm、680〜700nmのそれぞれの波長範囲において次の条件式を満足することを特徴とする請求項10に記載の蛍光内視鏡装置。
    4≦ODF+ODE
    ただし、ODFは励起光カットフィルターの光学濃度、ODEはエタロンの光学濃度であり、励起光カットフィルター又はエタロンに入射する光の強度をI、励起光カットフィルター又はエタロンを透過した光の強度をI'としたときlog10(I/I')で表される。
  12. 前記画像処理ユニットは、演算回路を有し、
    前記演算回路は、撮像ユニットがエタロンの状態を切換えながら取得した複数の画像信号をもとにして演算を行うことを特徴とする請求項9に記載の蛍光内視鏡装置。
  13. 前記演算回路は、前記エタロンが前記状態1となったときに前記撮像ユニットで取得される画像信号から、前記エタロンが前記状態1以外の状態となったときに前記撮像ユニットで取得される画像信号の減算を行うように構成されていることを特徴とする請求項12に記載の蛍光内視鏡装置。
  14. 前記光学素子は、600nm〜800nmの波長範囲で少なくとも次の5つの状態を切換え可能であることを特徴とする請求項1に記載の蛍光内視鏡装置に用いる撮像ユニット。
    状態1:610nm〜630nmの波長範囲に透過率ピークが存在する状態
    状態2:690nm〜710nmの波長範囲に透過率ピークが存在する状態
    状態3:720nm〜740nmの波長範囲に透過率ピークが存在する状態
    状態4:770nm〜790nmの波長範囲に透過率ピークが存在する状態
    状態5:600nm〜800nmの波長範囲に透過率ピークが存在しない状態
  15. 蛍光物質を励起するための波長の異なる複数の励起光を生成する光源ユニットと、励起光を生体に照射する照明ユニットと、生体の蛍光像を撮像する撮像ユニットと、撮像ユニットが取得した画像信号をもとにして画像構築を行う画像処理ユニットを備えた蛍光内視鏡装置において、
    前記光源ユニットが生成する2以上の励起光の数をn、前記撮像ユニットが検出する波長帯域が異なる蛍光の数をm T としたとき、以下の条件式、
    n<m T <3n
    を満足しており、
    前記撮像ユニットは、対物光学系と、撮像素子と、エアギャップを有しており且つ該エアギャップを変化させることにより透過する光の波長を変更することが可能に構成されたエタロンと、を備えており、
    前記撮像ユニットは、前記対物光学系の最も物体側の面から前記撮像素子の撮像面までの間に前記エタロンを備えており、
    前記エタロンは、600nm未満の波長領域において、エアギャップを変化させても常に平均透過率が50%以上に保たれる第1の透過波長帯域と、600nm以上の波長領域において、エアギャップの変化とともに透過率がピークとなる波長が変化する第2の透過波長帯域とを有しており、
    前記エタロンは、600nm〜800nmの波長範囲で少なくとも次の4つの状態を切換え可能であることを特徴とする蛍光内視鏡装置。
    状態1:610nm〜630nmの波長範囲に透過率ピークが存在する状態
    状態2:690nm〜710nmの波長範囲に透過率ピークが存在する状態
    状態3:720nm〜740nmの波長範囲に透過率ピークが存在する状態
    状態4:770nm〜790nmの波長範囲に透過率ピークが存在する状態
    ただし、前記エタロンの平均透過率は、所定の波長領域におけるエタロンの透過率TEの平均値である。前記エタロンの透過率TEは、任意波長λの光のエタロンの入射面への入射光量をIL1、エタロンの出射面からの波長λの光の出射光量をIL2としたとき、TE=(IL2/IL1)×100で表される。
  16. 前記光源ユニットは、少なくとも、400nm〜430nmの波長範囲内の光で構成される励起光を生成する第1の照明状態と、650nm〜670nmの波長範囲内の光で構成される励起光を生成する第2の照明状態とを切換え可能に構成され、
    前記撮像ユニットには、2つの照明状態で生成される励起光をカットする励起光カットフィルターが配置されていることを特徴とする請求項15に記載の蛍光内視鏡装置。
  17. 前記励起光カットフィルターの光学濃度と前記エタロンの光学濃度との和が、400nm〜430nm、650〜670nmのそれぞれの波長範囲において次の条件式を満たすことを特徴とする請求項16に記載の蛍光内視鏡装置。
    4≦OD F +OD E
    ただし、OD F は励起光カットフィルターの光学濃度、OD E はエタロンの光学濃度であり、励起光カットフィルター又はエタロンに入射する光の強度をI、励起光カットフィルター又はエタロンを透過した光の強度をI’としたときlog 10 (I/I’)で表される。
  18. 前記画像処理ユニットは、演算回路を有し、
    前記演算回路は、撮像ユニットがエタロンの状態を切換えながら取得した複数の画像信号をもとにして演算を行うことを特徴とする請求項15に記載の蛍光内視鏡装置。
  19. 前記演算回路は、前記エタロンが前記状態1となったときに前記撮像ユニットで取得される画像信号から、前記エタロンが前記状態1以外の状態となったときに前記撮像ユニットで取得される画像信号の減算を行うように構成されていることを特徴とする請求項18に記載の蛍光内視鏡装置。
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