JP4936182B2 - トイレ装置 - Google Patents

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本発明は、トイレ装置に関し、詳しくは便蓋にスピーカを組み込んだトイレ装置に関するものである。
トイレ空間において、音楽を聞いたり、或いは使用時の音消しとして排水擬似音等の音を発生させるなど、スピーカー部をトイレ空間内に設置する場合が増えており、またスピーカー部の設置箇所として便蓋に設置されることが提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
ところが、従来のように便蓋2にスピーカー部20を設置した場合、図5に示すように、便蓋2は一枚物であるのが一般的であるため、スピーカー部20が外部に露出して見栄えを低下させてしまうという問題がある。また外観性を重視して、スピーカー部20を小型にした場合は音質が低下し、特に低域周波数の音響を発生させることが困難になるという問題がある。
特開平6−264484号公報 特開2006−233755号公報
本発明は上記の従来の問題点に鑑みて発明したものであって、便蓋に外観上の見栄え良く加振器を取り付けることができると共に、加振器の音質向上を図ることができるトイレ装置を提供することを課題とするものである。
前記課題を解決するために本発明は、便座11の上面を開閉自在に覆う便蓋2を備えたトイレ装置において、便蓋2は2枚の蓋板材2A,2Bを互いに対向させた二重蓋構造を有しており、二重蓋構造内部に加振器3を配置すると共に加振器3を少なくとも一方の蓋板材2A(2B)の内面に取り付け、該少なくとも一方の蓋板材2A(2B)が音声発信板4として機能し且つ二重蓋構造内部がバックキャビティとして機能するように構成したことを特徴としている。
このような構成とすることで、加振器3を外部に露出させることなく、二重蓋構造内部に隠蔽できるので、意匠性を向上させることができるようになり、また従来のように外観性を考慮して加振器3を小型化する必要がないため、トイレ装置1全体の見栄えを良くしながら音質向上を図ることが可能となる。
また、上記二重蓋構造内部を中空密閉構造とし、この中空密閉部分5に加振器3を配置するのが好ましく、この場合、加振器3を防水構造にする必要がなくなるため、コスト削減を図ることができる。
また、上記加振器3を一方の蓋板材2Aに取り付け、該一方の蓋板材2Aの肉厚dを他方の蓋板材2Bの肉厚D(>d)よりも薄く形成するのが好ましく、この場合、音声発信板4として機能する蓋板材2Aを薄肉にすることで、加振器3の振動伝播の効率が良くなる。
また、上記中空密閉部分5に補強リブ6を架け渡すようにするのが好ましく、この場合、二重蓋構造内部に中空密閉部分5を設けた構造であっても補強リブ6によってその剛性を確保できるようになる。
また、上記加振器3を二重蓋構造内部の複数箇所に設置するのが好ましく、この場合、複数の加振器3によってステレオ感を増大させることができる。
また、上記便蓋2の一部に二重蓋構造内部と外部とを連通させるための音響ポート15を設けるのが好ましく、この場合、蓋板材2Aの振動により発せられた低域の音質を増長させることが可能となる。
本発明にあっては、二重蓋構造内部に加振器を収納すると共に、二重蓋構造を構成する少なくとも一方の蓋板材が音声発信板として機能し且つ二重蓋構造内部がバックキャビティとして機能することにより、加振器を外部に露出させることなく、便蓋から音楽や、使用時の音消しとして排水擬似音等の音を発生させることができるものであり、しかも、従来のように外観性を配慮して加振器を小型化する必要もないため、トイレ装置全体の見栄えを良くしながら音質向上を図ることができる効果を奏するものである。
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基いて説明する。
図1は、請求項1〜4に対応する実施形態であり、便座11の上面を開閉自在に覆う便蓋2を備えた洋式のトイレ装置1において、便蓋2は2枚の蓋板材2A,2B間に中空密閉部分5が形成される二重蓋構造を有していると共に、少なくとも一方の蓋板材2A(又は2B)の内面に加振器3を外部に露出しないように取り付けたものである。なお図1(a)中の21は便器10の側面を覆うスカート部を示し、図1(b)中の矢印Bは便蓋2の回動方向、Cは音の発生方向を示す。
便蓋2を構成する2枚の蓋板材2A,2Bは例えば樹脂材料で形成されている。本例では、2枚の蓋板材2A,2Bと回転軸12と補強リブ6とが一体に形成されている。便蓋2の基端部は、便器10の後方上部の左右両側に回転自在に軸支される回転軸12が設けられ、回転軸12を中心として便蓋2が上下に回動自在となっている。また便蓋2の基端部以外の外周部には額縁状の周囲リブ13が設けられており、この周囲リブ13により中空密閉部分5が閉鎖され且つ補強されるようになっている。
上記二重蓋構造内部は中空密閉構造とされ、バックキャビティとして機能する中空密閉部分5に加振器3が配置されている。本例では、便蓋2の起立姿勢で前側に位置する蓋板材2A(以下、「一方の蓋板材2A」と称する)の内面に加振器3を取り付けており、該一方の蓋板材2Aをスピーカーの音声発信板4(振動部/発音部)として機能させるものである。
なお加振器3としては、例えば、電磁誘導を利用したダイナミック型アクチュエータ、超磁歪材料を用いて広帯域で超音波を発生する超磁歪型アクチュエータ、圧電素子が取り付けられた音声発信板をケース内に設けた圧電型アクチュエータ等、スピーカーの原理を応用したものであればよく、特に限定されない。
また、加振器3が取り付けられる一方の蓋板材2Aを、長期に亙って安定した振動特性が得られる高耐張力の合成樹脂材或いは合成繊維で形成してもよい。さらに加振器3の振動を効率良く伝播させるために、一方の蓋板材2Aの肉厚dを他方の蓋板材2Bよりも肉厚D(>d)を薄く形成してある。さらに便蓋2の剛性を高めるために、二重蓋構造内部の中空密閉部分5には複数本の補強リブ6が架け渡されている。
しかして、便蓋2を2枚の蓋板材2A,2Bからなる二重蓋構造とし、一方の蓋板材2Aの内面に加振器3を取り付けたことにより、加振器3を外部へ露出しないようにして取り付け可能となり、意匠性を向上させることができるものであり、また加振器3は外部から見えないため従来のように外観性を配慮して加振器3を小型化する必要もなく、この結果、トイレ装置1全体の見栄えを良くしながら音質向上を図ることが可能となる。そのうえ、そのうえ一方の蓋板材2Aと加振器3とで薄型スピーカーを実現できるものであり、また着座姿勢において便蓋2が起立姿勢となった状態で前側に位置する一方の蓋板材2Aが音声発信板4として機能するので、スピーカー音が耳の位置近くになり、小音量でも明瞭に聞きとりやすくなる利点もある。
また本例では、二重蓋構造内部に中空密閉部分5を設け、この中空密閉部分5に加振器3を配置しているので、加振器3を防水構造にする必要がなくなるため、コスト削減を図ることができる。
また本例では、加振器3を一方の蓋板材2Aの内面に取り付けると共に、一方の蓋板材2Aの肉厚dを、加振器3が取り付けられない他方の蓋板材2Bの肉厚D(>d)よりも薄く形成しているので、一方の蓋板材2Aが薄肉化して加振器3の振動伝播の効率が良くなり、音質向上を一層図ることが可能となり、またこのように一方の蓋板材2Aを薄くしても、他方の蓋板材2Bの肉厚Dを厚くし且つ中空密閉部分5に補強リブ6を架け渡すことによって、中空密閉部分5の剛性を十分に確保することが可能である。
図2は請求項5に対応する実施形態であり、加振器3を二重蓋構造内部の複数箇所に設置した場合の一例を示している。本例では、2個(或いは2個以上でも可)の加振器3を一方の蓋板材2Aの複数箇所に取り付けている。また中空密閉部分5に掛け渡される補強リブ6の一例して、図2(a)は格子状を例示し、図2(b)は縞状を例示している。しかして、複数の加振器3を設置することで音質の向上を一層図ることができると共に、ステレオ感を増大させることが可能となる。さらに補強リブ6が中空密閉部分5を仕切る形となり、加振器3が取り付けられる蓋板材2A全体の振動/発音機能を高めることができる利点もある。
図3は請求項6に対応する実施形態である。先ず図3(a)は、加振器3の振動部3aを一方の蓋板材2Aの内面にネジ17で固定する固定手段8を設けた場合の一例を示している。本例では、一方の蓋板材2Aの内面からネジ固定部となる突出部8aを突設し、固定部材8bにより加振器3を覆うと共に、固定部材8bと加振器3との接触面にビビリ音抑止用の緩衝材18を介在した状態で、固定部材8bの固定用フランジ19をネジ17にて突出部8aにネジ固定することで、加振器3の振動部3aが蓋板材2Aに押し付け固定されるようになる。これにより、蓋板材2Aに対する加振器3の位置決め精度と機械的強度を向上させることができる。
図3(b)は、加振器3の振動部3aを係合手段9により係合させた場合の一例を示している。本例では、加振器3と係合することが可能な突出部9aを設けた固定部材16のベース16aを一方の蓋板材2Aに接着固定すると共に、固定部材16に設けた爪9bを加振器3の凹部9cに圧入嵌合により係合させるものである。この場合、固定部材16のベース16aを薄肉にすることで振動の伝播性を良好に保つことが可能となる。なお圧入嵌合方式以外に、例えば、ネジのように加振器3を回して固定部材16の爪9bに対してネジリ嵌合させる方式であってもよい。なお、加振器3を係合手段9を用いずに、一方の蓋板材2Aに対して直接接着してもよい。この場合、蓋板材2Aの内面に取り付けられる加振器3に対して外部から力がかかることがないため、接着剤7による接合のみでも十分な取り付け強度を確保できるものとなる。
図4は請求項7と対応する実施形態であり、便蓋2の一部に二重蓋構造内部の中空密閉部分5と外部とを連通させる音響ポート15を設けた場合の一例を示している。本例では、図4(b)に示すように、便蓋2の周囲リブ13の一部に、二重蓋構造内部の中空密閉部分5(バックキャビティ)と外部とを連通させるための孔を開設し、この孔を音響ポート15として機能させるようにしたバスレフ方式の一例を示している。なお音響ポート15の形状(長さ、断面積)は、中空密閉部分5の容積(一方の蓋板材2Aの背面容積)、増長したい音の周波数に基づき決定されるものである。また、音響ポート15の取り付け位置は、中空密閉部分5と外部とが連通可能な部位であればよく、図4(a)に示す便蓋2の上部P1、左右両側P2,P3、底部P4のいずれかが選ばれる。この音響ポート15により音響性能を向上させることができると共に、蓋板材2Aの振動により発せられた低域の音質を増長させることが可能となる。
なお、前記図1〜図4の各実施形態では、便蓋2の起立姿勢で前側に位置する一方の蓋板材2Aの内面に加振器3を取り付けた場合を説明したが、これに限らず、蓋板材2Aの背後に位置する他方の蓋板材2Bの内面に加振器3を取り付け、この蓋板材2Bを音声発信板4として機能させる構成とすることも可能である。さらに、両方の蓋板材2A,2Bの各内面にそれぞれ加振器3を取り付けることで、両方の蓋板材2A,2Bをそれぞれ音声発信板4として機能させる構成とすることも可能である。
(a)は本発明の一実施形態の加振器を内蔵した便蓋を備えるトイレ装置の斜視図であり、(b)は(a)のA−A線断面図である。 他の実施形態であり、(a)は同上の二重蓋構造内部の格子状の補強リブ間の2箇所に加振器を設置した場合の説明図であり、(b)は縞状の補強リブ間の2箇所に加振器を設置した場合の説明図である。 更に他の実施形態であり、(a)は加振器の振動部をネジで一方の蓋板材の内面に固定する場合の説明図、(b)は同上の加振器の振動部に係合する係合部材を接着剤にて一方の蓋板材の内面に接合した場合の説明図である。 更に他の実施形態であり、(a)は便蓋における音響ポートを設ける位置を説明する正面図であり、(b)は音響ポートを設けた状態を説明する側面断面図である。 (a)(b)は従来例の説明図である。
符号の説明
1 トイレ装置
2 便蓋
2A,2B 蓋板材
3 加振器
3a 振動部
4 音声発信板
5 中空密閉部分
6 補強リブ
7 接着剤
8 固定手段
9 係合手段
10 便器
11 便座
15 音響ポート
d,D 蓋板材の肉厚

Claims (6)

  1. 便座の上面を開閉自在に覆う便蓋を備えたトイレ装置において、便蓋は2枚の蓋板材を互いに対向させた二重蓋構造を有しており、二重蓋構造内部に加振器を配置すると共に加振器を少なくとも一方の蓋板材の内面に取り付け、該少なくとも一方の蓋板材が音声発信板として機能し且つ二重蓋構造内部がバックキャビティとして機能するように構成したことを特徴とするトイレ装置。
  2. 上記二重蓋構造内部を中空密閉構造とし、この中空密閉部分に加振器を配置したことを特徴とする請求項1記載のトイレ装置。
  3. 上記加振器を一方の蓋板材に取り付け、該一方の蓋板材の肉厚を他方の蓋板材の肉厚よりも薄く形成したことを特徴とする請求項1又は2記載のトイレ装置。
  4. 上記中空密閉部分に補強リブを架け渡したことを特徴とする請求項2又は3記載のトイレ装置。
  5. 上記加振器を二重蓋構造内部の複数箇所に設置したことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のトイレ装置。
  6. 上記二重蓋構造の一部に外部と連通させるための音響ポートを開設したことを特徴とする請求項1又は3乃至5のいずれか一項に記載のトイレ装置。
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