JP4934817B2 - マイクロフロー型バイオセンサおよび希少糖の検出または定量への使用 - Google Patents

マイクロフロー型バイオセンサおよび希少糖の検出または定量への使用 Download PDF

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Description

本発明は、電極と、二酵素系(bi-enzyme-system)とを有する2ライン型スイッチングバルブ方式のマイクロフローを特徴とする希少糖を検出または定量するバイオセンサならびに該バイオセンサの使用に関する。より詳細には本発明は、血液、汗等の生体試料、あるいは医薬品・食品工業における原料、製品などの試料中に含まれる特定成分(希少糖)を検出または定量するために用いるマイクロフロー型バイオセンサならびに該バイオセンサの使用に関する。
専門用語の説明
MFIA :Micro Flow Injection Analysisの略。
DTE : D-タガトース-3-エピメラーゼ(D-Tagatose-3-Epimerase)の略。D-タガトースの3位の水酸基をエピメリ化する。本発明者の何森健によって見いだされた酵素である。
DFDH : D-フルクトース デヒドロゲナーゼ(D-Fructose Dehydrogenase)の略。D-フルクトース(D-Fructose)からアクセプターの存在条件下において5-ケト-D-フルクトース(5-keto-D-fructose)を生じさせる酵素である。
CPE : カーボンペーストエレクトロード(Carbon paste electrode)の略。酵素とカーボンペーストを混ぜ合わせたものを電極先端に装着することによって作成した電極である。
イズモリング : 50種類以上に及ぶ自然界に微量にしか存在しない単糖(希少糖)を含む、全単糖の分子構造と生成酵素の関連をリング状に体系化したものである。
一般の人々による体液成分の簡易な定量を実現させることを目的として、近年、酵素の有する特異的触媒作用を利用した種々のタイプのバイオセンサが開発されている。電気化学的なグルコースの定量法としては、グルコースオキシダーゼ(GOD)と酸素電極あるいは過酸化水素電極とを組み合わせて使用する方法が一般的によく知られている(例えば、非特許文献1)。GODは、酸素を電子伝達体として、基質であるグルコースをグルコノラクトンに選択的に酸化する。酸素の存在下で、GODによるグルコースの酸化反応過程において、酸素が過酸化水素に還元される。酸素電極によって、この酸素の減少量を計測するか、あるいは過酸化水素電極によって過酸化水素の増加量を計測する。酸素の減少量及び過酸化水素の増加量は、試料液中のグルコースの含有量に比例するので、酸素の減少量または過酸化水素の増加量からグルコースを定量することができる。上記方法では、測定結果は試料液に含まれる酸素濃度の影響を受けるという欠点があり、試料液に酸素が存在しない場合は測定が不可能となる。
そこで、酸素を電子伝達体として用いるのではなく、フェリシアン化カリウム、フェロセン誘導体、キノン誘導体等の有機化合物や金属錯体を電子伝達体として用いるタイプのグルコースセンサが開発されてきた。このタイプのセンサにおいては、酵素反応の結果生じた電子伝達体の還元体を電極上で酸化し、その酸化電流量から試料液中に含まれるグルコース濃度を求めることができる。このような有機化合物あるいは金属錯体を酸素の代わりに電子伝達体として用いた場合には、これら電子伝達体を正確な量かつ安定な状態でGODとともに電極上に担持させて試薬層を形成させることが可能となる。さらに、試薬層を乾燥状態に近い状態で電極系と一体化させることもできるため、これらの技術に基づいた使い捨て型のグルコースセンサは近年多くの注目を集めている。その代表的な例が、特許文献1に示されるバイオセンサである。バイオセンサの一例として、グルコースセンサについて、ポリエチレンテレフタレート(PET)からなる絶縁性の基板に、スクリーン印刷により導電性カーボンペーストを印刷し、加熱乾燥することにより、対極、測定極からなる電極系を形成する。次に、電極系を部分的に覆い、各々の電極の電気化学的に作用する部分となる1mm2を残すように、絶縁性ペーストを前記と同様に印刷し、加熱処理して絶縁層を形成する。この電極系の表面を覆うようにCMC(カルボキシメチルセルロース)の水溶液を塗布し、さらに、CMC水溶液に酸化還元酵素としてGODと電子受容体であるフェリシアン化カリウムを溶かしたものを滴下し、40度で15分加熱乾燥して酵素反応層を形成し上記において、電極上では最初に展開したCMC水溶液を乾燥させることなく、CMC、GODおよびフェリシアン化カリウムからなる混合物溶液をさらに滴下することでこれら2つの水溶液が混ざり合い、これを乾燥することにより電極系上には上記混合物からなる反応層が形成される。使い捨て型のグルコースセンサにおいては、測定器に着脱可能に接続されたセンサに試料液を導入するだけで、容易にグルコース濃度を測定器で測定することができる。上記のようなグルコースセンサを用いた測定法では、1〜10μA/cm2オーダーの応答電流によって、30秒程度で試料中のグルコース濃度を求めることが可能である。
特許文献2には、バイオセンサの一例として、フルクトースセンサについて次の記述がある。PETからなる絶縁性の基板に、スクリーン印刷により銀ペーストを印刷しリードを形成し、さらに印刷法により、樹脂バインダーを含む導電性カーボンペーストからなる電極系(測定極、対極)および絶縁性ペーストからなる絶縁層を形成した。絶縁層は測定極および対極の露出部分の面積を一定とし、かつリ−ドを部分的に覆っている。電極部分を作製した後、CMCの0.5wt%水溶液を電極系上へ滴下、乾燥させてCMC層を形成した。次に、このCMC層を覆うように、酵素としてフルクトースデヒドロゲナーゼ(EC1.1.99.11;以下FDHと略す)の水溶液を展開し、乾燥させてCMC−FDH層(第1層)を形成した。この場合、CMCとFDHは部分的に混合された状態で厚さ数ミクロンの薄膜状となっている。さらに、このCMC−FDH層上を完全に覆うようにして、ポリビニルピロリドン(以下PVPと略す)の0.5wt%エタノール溶液を滴下し、乾燥させ、PVP層(第2層)を形成した。PVP層を設けることによって、果肉などの固形成分を含む果汁などの液体を試料液とした場合には、前記固形成分がPVP層によって濾過され、電極表面への吸着などを妨げることができ、その結果センサ応答の低下を防ぐことができる。さらに、酵素とフェリシアン化カリウムを分離することで、センサの保存特性を著しく向上させることができる。このPVP層上へ、分散剤としてレシチンの0.5wt%トルエン溶液中に電子受容体であるフェリシアン化カリウムの結晶を分散させたものを滴下、乾燥させることによってフェリシアン化カリウム−レシチン層(第3層)を形成した。以上のようにしてフルクトースセンサの反応層を形成した。この反応層と試料供給孔に相当する基板先端部の間にリン酸緩衝液(pH=4.5)を滴下、乾燥して水素イオン濃度制御層を形成した。本フルクトースセンサに用いた酵素はpH=4.5で酵素活性がほぼ最大値を示す(37℃)。フルクトース標準液はほぼ中性であるから、試料液が水素イオン濃度制御層に達し、試料液のpHが4.5になることで、酵素活性を最大限に引き出すことが可能となる。また、試料液が酸またはアルカリ性の場合には、試料液のpHをFDHが最大活性を示す値に近くすることができる。フルクトースセンサに試料液としてフルクトース標準液3μlを試料供給孔より供給し、2分後に対極を基準にして測定極にアノード方向へ+0.5Vのパルス電圧を印加し、5秒後の電流値を測定した。水素イオン濃度制御層を通過して、望ましいpHになった試料液が反応層へ到達すると、フェリシアン化カリウム−レシチン層、PVP層、CMC−FDH層が順次試料液に溶解する。試料液中のフルクトースはFDHによって酸化され、そこで移動した電子によってフェリシアン化カリウムがフェロシアン化カリウムに還元される。次に、上記のパルス電圧の印加により、生成したフェロシアン化カリウムの酸化電流が得られ、この電流値は基質であるフルクトースの濃度に対応する。
また、別の態様では、PETからなる絶縁性基板上に、スクリーン印刷により電極系を形成した。この電極系上にFDHおよびフェリシアン化カリウムをCMC0.5wt%に溶解させた混合水溶液を滴下し、40℃の温風乾燥器中で10分間乾燥させて反応層を形成した。親水性高分子、酵素および電子受容体の混合溶液を一度に滴下、乾燥させることによって製造工程を簡略化させることができる。また、乾燥時の温度範囲としては、酵素の失活がみられず、かつ短時間で乾燥可能な温度ということで20℃から80℃までが適している。
さらにまた、別の態様では、PETからなる絶縁性基板上に、電極部分を形成した。つぎに、電極系と試料供給孔である基板先端部の間にフェリシアン化カリウムをリン酸緩衝液(pH=4.5)に溶かした溶液を滴下、加熱乾燥してフェリシアン化カリウムを含む水素イオン濃度制御層を形成した。加熱温度によって乾燥に要する時間が変化し、その結果フェリシアン化カリウムの結晶粒径をコントロールすることができる。乾燥時間を短くすると結晶粒径は小さくなり、試料液への溶解速度が高められる。よってセンサ応答速度を速くすることが可能である。フェリシアン化カリウムが反応層中で酵素と共存している場合には、加熱によって酵素の活性が低下するため、加熱乾燥の際の温度を自由に設定することはできない。さらに、水素イオン濃度制御層にフェリシアン化カリウムを含ませることは、酵素とフェリシアン化カリウムを分離することになり、センサの保存特性を著しく向上させることができる。
香川大学では、自然界に大量に存在する天然型単糖を希少糖に変換する新規酵素D-タガトース3-エピメラーゼ(DTE)の発見によって、全単糖とその分子構造、生成酵素の関連をリング状に構造化した「イズモリング」を構築した。D-プシコースは希少糖と呼ばれている単糖類のひとつである。従来、この糖は大量生産ができず入手困難であったため、その生理活性や薬理活性に関する研究はほとんどなされていなかった。最近、香川大学農学部何森健らにより酵素を用いた大量生産方法が開発され、その生物活性が明らかにされてきている。
D-プシコースは、D-グルコースやD-フラクトースなどの単糖と比べて脂肪合成を促進せず、体脂肪、特に腹腔内脂肪を蓄積させない糖として、D-プシコースが注目されている(非特許文献2)。また、D-プシコースの有効エネルギー価はほぼゼロであることも報告されている(非特許文献3)。D-プシコースは、D-フラクトースを含有する複合体結晶性糖質として大量生産する方法が確立される可能性が高く(特許文献3)、甘味料としての用途が期待されるところである。
D-プシコースの生理活性や薬理活性に関して、特許文献4には、グルコースは食物が消化分解され腸から吸収されて供給されているので、グルコース吸収における希少糖に属するケトヘキソースの影響について、D-プシコースおよび腸管を用いて検討し、D-プシコースが血糖値を緩やかに抑える作用を動物(ラット)で裏付け、D-プシコースが高血糖時の血糖降下とインスリン分泌促進作用があること、ならびに、D-プシコースにより蛋白質の糖化がほとんどおこらないことを確認したことが報告されている。特許文献1には、希少糖に属するケトヘキソースの膵β細胞からのインスリン分泌刺激作用および高血糖状態における希少糖に属するケトヘキソースのインスリン分泌増強作用が判明され、希少糖に属するケトヘキソースは、今までにない新しい作用機序を有する物質として期待されること、また、臨床的に高血糖が認められる糖尿病患者において希少糖に属するケトヘキソースがインスリン分泌を促進し、血糖値を改善することが期待されること、また経腸管的に投与された希少糖に属するケトヘキソースがグルコースの吸収を抑制すること及び希少糖に属するケトヘキソースが糖代謝に影響を及ぼさないことは、糖尿病における食後過血糖を抑制する可能性があり、糖尿病における予防又は治療に有益な物質として期待されること、さらに、希少糖に属するケトヘキソースには糖尿病およびその合併症とも関連が大きい動脈硬化の予防効果も認められ、糖尿病の主死因は動脈硬化性疾患であるので、動脈硬化抑制作用もある希少糖に属するケトヘキソースは血糖値の改善および動脈硬化症の予防という画期的な糖尿病治療薬として期待されること、また、希少糖に属するケトヘキソースは、これらの治療効果や抗肥満等が期待される健康補助食品となり得ると期待されることなどが示されている。
また、ラットにおいて、でんぷんまたは蔗糖を経口投与したときの血糖上昇に対するD-プシコースの効果について実験を行った結果、でんぷんまたは蔗糖を経口負荷した場合に起こる血糖上昇を、同時に経口投与したD-プシコースが顕著に抑制することも確認できた(特許文献4)。
また、アルドースの1種であるD-アロースについては白血球を用いたin Vitro実験で活性酸素産生抑制作用等が、ケトースの1種であるD-プシコースについては同様の実験で活性酸素消去作用やMCP-1分泌抑制作用などが、それぞれ見出されている(特許文献5)。血糖は血中に存在するD-グルコースをいう。化学構造から見ると、D-グルコースはアルドースであり、D-アロースと同じグループに属している。従って、D-アロースについても、D-プシコースと同様に血糖上昇を抑制する効果が期待できる。
これまでにすべての希少糖生産の根幹原料となるD-プシコースの大量生産技術の確立によって入手困難であった希少糖の生産を可能にした。D-プシコースはさらに酵素反応によってD-アロースなどの新たな希少糖の生産へと展開することが可能である。希少糖の様々な生理活性作用が明らかになるにつれて、その測定方法の開発が求められてきている。しかしながら、これらの希少糖は近年我々がようやく手にすることができた物質であり、測定法の確立には至っていない。希少糖の薬理効果や新規機能の探索、また、生体内での機能性評価を正確に行うためにも、希少糖を測定、モニタリングを迅速かつ簡便にできる「希少糖計測用センサ」の開発が期待されている。
特許第2517153号公報 特許第2671693号公報 特開2001−11090号公報 国際公開番号WO03/097820 特開2005−213227号公報 鈴木周一編「バイオセンサー」講談社) MatsuoT, et al., Asia Pacific J. Clin. Nutr. 10, 233-237, 2001 Matsuo T, et al., J. Nutr. Sci. Vitaminol48, 77-80, 2002
希少糖は、自然界にごく僅かしか存在しない単糖のことであり、約50種類存在する。香川大学では天然型単糖を希少糖に変換するDTEの発見により、全六炭糖とその分子構造、生成酵素の関連をリングにした「イズモリング」(図7)を構築した。このイズモリングを利用して、香川から新バイオ産業が創出されることが期待されている。この希少糖のうち、D-プシコースは、癌の増殖抑制作用、糖尿病予防作用などの様々な生理活性作用を有しており、新規な生理活性物質として注目されている。
上記のとおり、香川大学では、希少糖を、自然界に多量に存在する糖から世界で初めて大量生産することに成功し、その様々な機能を明らかにして来た。しかしながら、その測定法が確立されていないことや生体内でのモニタリングが困難であるため、応用研究開発の進展が遅れているのが現状である。その定量には労力と時間を必要としている。そこで本発明では、希少糖生産の根幹原料であるD-プシコースを迅速かつ高感度に測定、モニタリングすることを目的とした希少糖測定用新規バイオセンサを構築することを目的とした。すなわち、微量の希少糖の検出をはじめ、生体内での情報伝達への関与や、薬理効果など、様々な効果をモニタリングすることができる、迅速で高感度な希少糖測定用新規バイオセンサの開発と実用化を目的とした。
既存のグルコースオキシダーゼなどを利用した測定方法を想定した場合、混在する大過剰のグルコースの影響によって、生体内(血液中)や飲料水、食品中の微量の希少糖を選択的に測定するは困難であることから、希少糖を選択的に検出することができる反応系を利用した測定系の開発が必要である。また、環境中における希少糖の量は、その名の示す通り希少(微量)であるため、夾雑物質が酵素固定化酸素電極先端部に直接影響を与えない様な条件の検討や、センサの検出限界値を上げる工夫、検出可能なレベルまで既存の糖へ転換させる転換反応(比率の異なる可逆反応)を促進させる工夫が必要である。
従来の分析素子においては、数マイクロリットル以上の試料があれば、試料中の基質濃度を容易に求めることができる。しかし、数マイクロリットルに満たない微量の試料については、信頼性のある測定が難しくなる場合がある。従って、本発明は、微量の試料について信頼性のある測定を可能にする電気化学分析素子を提供することを目的とする。
上記の説明から明らかなように、迅速、正確、容易かつ便利な分析機器用具は、医薬品・食品中の微量の希少糖を決定するのに必要とされる。本発明の目的は、食品または飲料中の希少糖を検出および/または検出または定量するためのバイオセンサの提供である。
本発明の更に別の目的は、食品中の希少糖の検出および/または検出における分析用具としてのバイオセンサの使用方法の提供である。
本発明は、以下の(1)ないし()のいずれかに記載のバイオセンサを要旨とする。
(1)
測定したい試料を第一ラインに向けてインジェクションするインジェクションポートを包含し、測定したい試料中に含まれる特定成分との直接反応で測定対象の基質を生成する酵素を固定化したカラムを装着した第一ライン、生成した測定対象の基質を他の化合物に変換する機能を有する物質を包含する電極系を構成する第二ライン、および第一ラインと第二ラインへの送液を切り換えるスイッチングバルブよりなる2ライン型スイッチングバルブ方式のマイクロフローにおいて、第一ライン用の緩衝液Aの容器がポンプ1とスイッチングバルブ1を介してインジェクションポートに、またはさらに他のスイッチングバルブ3を介して第二ラインに接続され、第二ライン用の緩衝液Bの容器がポンプ2とスイッチングバルブ2,3を介して第二ラインに、またはさらに他のスイッチングバルブ4を介してインジェクションポートに接続されることを特徴とするバイオセンサ。
)緩衝液Aおよび緩衝液Bが電子伝達体を包含する(1)記載のバイオセンサ

)上記電極系が、マイクロフローセルに配置された作用極および対極を含み、マイクロフローセルには測定対象の基質、緩衝液および電子伝達体を包含する反応液が送液される電極系である(1)または(2)に記載のバイオセンサ。
)前記生成した測定対象の基質を他の化合物に変換する機能を有する物質が、前記作用極上またはその近傍に設けられた()に記載のバイオセンサ。
)特定成分がD-プシコースであり、測定対象の基質がD-フラクトースであり、D-プシコースとの直接反応でD-フラクトースを生成する酵素がD-タガトース-3-エピメラーゼ(DTE)であり、および生成したD-フラクトースを他の化合物に変換する機能を有する物質がD-フラクトース デヒドロゲナーゼ(DFDH)である(1)ないし()のいずれかに記載のバイオセンサ。
)DTE固定化カラムを装着した第一ライン、DFDH固定化カーボンペースト電極(CPE)を装着した第二ラインよりなる()に記載のバイオセンサ。
)第一ラインの前に、D-アロースをD-プシコースに転換する酵素を固定化したカラムを装着したラインを設ける()に記載のバイオセンサ。
)上記CPE表面には選択的透過性を示す膜が装着されている()または(7)に記載のバイオセンサ。
)測定したい試料を、DTE固定化カラムを装着した第一ラインにインジェクションし、DTEの最適な条件において反応させ、次に、反応が終了すると同時にスイッチングバルブを作動させ、DFDHに最適な条件に設定した第二ラインへ反応液を送液し、第二ラインは、第一ラインの緩衝液よりもイオン強度が高く設定されており、このことによって第二ラインの緩衝液が反応溶液中に少量混合されるだけでpHがDFDHの最適値へと変化し、その後、第二ラインに装着されたDFDH固定化カーボンペースト電極表面にて反応液中のD-フルクトース量を測定することによって、サンプル中のD-プシコース量を測定する()、()、()または()に記載のバイオセンサ。
本発明は、以下の(10)の希少糖の検出または定量法を要旨とする。
10)(1)ないし()のいずれかに記載のバイオセンサを用いて血清、血漿、血液、汗、尿、細胞からなる群から選ばれる生体試料、医薬品・食品工業における原料または製品の試料中に含まれる特定成分を検出または定量する希少糖の検出または定量法。
以上のように本発明によれば、血液、尿等の生体試料、食品工業における原料や製品などの微量の試料中に含まれる特定成分を高精度で、迅速かつ容易に定量し得る電気化学分析素子を得ることができる。よって、本発明により、微量の希少糖の検出をはじめ、生体内での情報伝達への関与や、薬理効果など、様々な効果をモニタリングすることができる、迅速で高感度な希少糖測定用バイオセンサを提供できる。
2ライン型のスイッチングバルブ方式のMFIAを採用することによって、酵素特性が全く異なる(最適pHが異なる)2酵素(酵素1,酵素2)の連続反応が可能なシステムを構築した。さらに、このことによってセンサ内部の各反応ステージにおいて最適な条件で反応させることが可能となり、センサの検出限界値を格段に向上させることができる。また、糖のわずかな違いを厳密に見極めるセンサ素子を用いることが重要であるが、本センサで採用するDFDHが自然に多く存在する糖や、希少糖に対して全く反応しないことを確かめており、この酵素と、DTEを用いることによって、グルコースが多量に含まれた血液中の希少糖の検出やモニタリング、さらには糖分の多量に含まれた飲料や栄養補助食品中の希少糖を高感度に精度よく測定することができる。国内外で全く例がない希少糖を測定、モニタリングすることができるセンサを提供できる。
よって、本発明により、食品または飲料中の希少糖を検出および/または検出または定量するためのバイオセンサを提供できる。また、食品中の希少糖の検出および/または検出における分析用具としてのバイオセンサの使用方法を提供できる。
本発明は、測定したい試料中に含まれる特定成分との直接反応で測定対象の基質を生成する酵素(酵素1)を固定化したカラムを装着した第一ライン、生成した測定対象の基質を他の化合物に変換する機能を有する物質(酵素2)が包含された作用極および対極からなる電極系で構成され、この変換反応時に、電子受容体の受け取る電子を特定成分に相当する電流応答として測定する第二ライン、および第一ラインの反応溶液を、第二ラインにインジェクションする、第一ラインと第二ラインを切り換えるスイッチングバルブよりなる2ライン型スイッチングバルブ方式を特徴とするバイオセンサである。
測定したい試料中に含まれる特定成分について、第一ラインでの反応は、測定対象の基質を生成する酵素(酵素1)の作用により、特定成分を測定対象基質に変換する反応である。つまり第一ラインには測定対象の基質を生成する酵素(酵素1)が固定化されたカラム(リアクター)が装着されており、このラインを試料が一定時間かけて通過することによって、測定対象の基質を生成する酵素と試料中に含まれる特定成分の反応が進む。測定したい試料とは、血清、血漿、血液、汗、尿、細胞からなる群から選ばれる生体試料、医薬品・食品工業における原料または製品のことであり、測定したい試料中に含まれる特定成分とは、血清、血漿、血液、汗、尿、細胞からなる群から選ばれる生体試料、医薬品・食品工業における原料または製品の試料中に含まれる特定成分(希少糖)である。
次に第一ラインでの反応溶液が、第二ラインにインジェクションされる。反応によって生成した測定対象の基質は、他の化合物に変換する機能を有する物質(酵素2)が包含された電極系で構成されている第二ラインで電流応答として測定される。この時測定された測定対象の基質は、特定成分から生成されたものであり、すなわち、特定成分に相当する電流応答として確認できる。
測定したい試料中に含まれる特定成分としての希少糖について、炭素数が6つの単糖(ヘキソース)のイズモリングは、図7に示すように、炭素数が6つの単糖(ヘキソース)は全部で34種類あり、アルドースが16種類、ケトースが8種類、糖アルコールが10種類ある。これらの糖は、酸化還元酵素の反応、アルドース異性化酵素の反応、アルドース還元酵素の反応で変換できることは、本発明者の何森健の研究を含めた研究で知られている。D-タガトース-3-エピメラーゼ(D-Tagatose-3-Epimerase)は全てのケトースの3位をエピ化する酵素であり、これまで合成接続できなかったD-フラクトースとD-プシコース、L-ソルボースとL-タガトース、D-タガトースとD-ソルボース、L-プシコースとL-フラクトース、に作用するという非常に幅広い基質特異性を有するユニークな酵素であることが分かった。このDTEの発見によって、すべての単糖がリング状につながり、単糖の知識の構造化が完成し、イズモリング(Izumoring)と名付けた。
本発明のバイオセンサは、希少糖生産の根幹原料であるD-プシコースに着目した上記のD-フラクトースとD-プシコースの関係を用いるものであり、第一ラインでの反応は、イズモリングにおいて、D-プシコースに到る複数の反応を用いる変形が可能である。たとえば、D-アロースについて、イズモリング上のD-アロースとD-プシコースは非常に近く位置しており、これらはL-ラムノースイソメラーゼによって転換される。つまりL-ラムノースイソメラーゼとの最適条件を検討することによってD-プシコースに転換し、その後でD-フラクトースに転換し、D-フラクトースセンサ(第二ライン)にインジェクションすると、D-アロースに相当する電流応答が確認される。
2ライン型スイッチングバルブ方式のマイクロフローについて、自然界に大量に存在する単糖の存在下において微量の希少糖を測定するために、酵素1としてDTE (D-タガトース-3-エピメラーゼ)および酵素2としてDFDH(D-フラクトース デヒドロゲナーゼ)の複合酵素反応系を採用する。DTEは、反応が進むための最適なpHが中性付近であるのに対して、DFDHは最適pHが産生付近であるため、お互いの酵素反応を同じ緩衝液中において同時に進行させることは不可能である。例えば、DFDHの酵素反応が進むpH5付近において、DTEの酵素反応は殆ど進行しない。第一反応に使用するDTEと、第二反応に利用するDFDHは、その酵素特性が全く異なる(最適pHが異なる)ため、2酵素を共固定化して反応させることは不可能である。このように各酵素の性質が著しく異なっている場合、各酵素が別々反応できる2ライン型流路を採用する必要がある。
また、各緩衝液が最適なタイミングと比率で切り換えることが可能なスイッチングバルブ方式を採用する。これらの解決策として、本発明は、2ライン型のスイッチングバルブを採用したMFIAシステムとした。
DTEは本発明者の何森健によって見いだされた酵素であり、酵素の詳細な酵素特性とセンサの融合によって初めて測定が可能となる。希少糖を測定するセンサ、更には生体内での挙動をモニタリングできるセンサシステムテムはこれまでに全く例がない。生成した測定対象の基質を他の化合物に変換する機能を有する物質(酵素)を包含する電極系を構成する第二ライン中での酵素反応が円滑に進行させることにより、基質の迅速、かつ高精度な測定が可能となる。前記基質を他の化合物に変換する機能を有する物質は、当然のことながら、基質を元の特定成分に戻したり、酵素反応に悪影響を与えるような化合物に変換したりするものであってはならない。また、その物質自体が酵素反応に悪影響を与えるものであってはならない。
第二流路(第二ライン)を構成するD-フルクトースセンサについて、血液中や食品中に高濃度に存在するグルコースなどの夾雑妨害物質の影響を回避する方法として、例えばD-フルクトースデヒドロゲナーゼ(DFDH)を固定化したカーボンペースト電極を採用する。DFDHは、D-フルクトース以外の既存の単糖には全く反応せず、さらに本発明者らによって、香川大学にて入手可能な全ての希少糖に対して全く活性を示さない、基質特異性が極めて高い酵素であり、構築したセンサから得られる電流応答値の信頼性は極めて高い(図4)。また、電気化学的手法と生物成分を織り交ぜたセンサを構築する場合、例えば生物成分の機能を損なわない様に電気信号へと切り換えるために、カーボンペースト電極を採用する。カーボンペーストと酵素を最適な量比で混合させ、これを微細加工が施された筒に充填する。導電性の芯を筒の末端に装着し、反対側の溶液に浸される末端には、透析膜を装着し、カーボンペースト電極とする。
測定サンプルは、DTE固定化カラムが装着された第一ラインにインジェクションされ、DTEの最適な反応条件下において効率よくD-フルクトースへと転換される。反応が終了すると同時にスイッチングバルブが切り換わり、DFDHに最適な緩衝液で満たされた第二ラインへ送液される。第二ラインはDFDH固定化カーボンペースト電極が装着されたマイクロフローセルが装着されており、D-プシコースから転換されたD-フルクトースをDFDHの最適条件下にて測定することが可能である。マイクロフローセルは、容量が数μlから数十μlの容積のセルであり、この中に参照極、対極、作用極(2本)の計4本の電極が埋め込まれたものである。なお、片方の作用極(カーボンペースト電極)は酵素を固定化していないカーボンペースト電極を採用しており、この電極の電流値を同時に測定することによって、カーボンペースト電極そのものに反応性を示す夾雑物質の影響をバックグラウンドとして差し引くことができる。
さらに第一ラインと第二ラインの送液速度を変化させることによって、測定範囲を操作することができ、低濃度から高濃度まで、様々なサンプルに対応することができる。つまり、測定対象物質が測定したい試料中に高濃度で存在している場合、第一ラインの流速を上げることによって、第一ラインに装着されている「酵素1」の反応効率が下がり、反応生成物を減らすことができる。反応生成物が少ない状態で第二ラインへと送液されれば、第二ラインに装着されている「酵素2」の高濃度側の測定限界値を超えないため、測定が可能となる。また、MFIAシステムはマイクロ流路であるため、測定サンプルの消費を最小限に抑えることができ、また短時間での連続測定が可能である。
緩衝液A、緩衝液Bについて、緩衝能のある成分を溶解させ、pHが安定化された溶液のことを緩衝液といい、緩衝能のある成分を緩衝剤という。
特定成分がD-プシコースであり、測定対象の基質がD-フラクトースである場合、D-タガトース-3-エピメラーゼ(DTE)とD-フラクトース デヒドロゲナーゼ(DFDH)がそれぞれ用いられる。特定成分がD-プシコースとD-タガトース-3-エピメラーゼ( DTE)が効率よく反応するように緩衝剤を、D-フラクトースとD-フラクトースデヒドロゲナーゼ(DFDH)が効率よく反応するようにpH緩衝剤を添加するのが好ましい。
pH緩衝剤を用いる場合は、D-フラクトース デヒドロゲナーゼ(DFDH)の至適pHをも考慮する必要がある。pH緩衝剤としては、後述の実施例に用いるリン酸塩の組み合わせによる緩衝剤の他に例えば、リン酸塩、酢酸塩、ホウ酸塩、クエン酸塩、フタル酸塩、およびグリシンの一種あるいは複数を含む緩衝剤を用いることができる。バッファの組成は、pHが合えば何を使用しても問題はない。使用する2種のバッファに合わせてそれらの比率を最適にすることが重要である。
その他、必要により用いられる界面活性剤としては、本発明の効果を損なわないものであればよく、例えばn−オクチル−β−D-チオグルコシド、ポリエチレングリコールモノドデシルエーテル、コール酸ナトリウム、ドデシル−β−マルトシド、ジュークロースモノラウレート、デオキシコール酸ナトリウム、タウロデオキシコール酸ナトリウム、N,N−ビス(3−D-グルコンアミドプロピル)デオキシコールアミドおよびポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテルなどがあげられる。脂質を使用する場合、例えばレシチン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミンなどのリン脂質を用いるのが好ましく、特に両親媒性脂質を用いるのが好適である。
本発明のバイオセンサにおいては、酵素反応の結果生じた電子伝達体の還元体を電極上で酸化し、その酸化電流量から試料液中に含まれるフルクトース濃度を求めることができる(図1)。
図1は、本発明における希少糖測定の反応経路である。D-プシコースはDTE(D-タガトース-3-エピメラーゼ)によってD-フルクトースに可逆的に変換(D-プシコース:D-フルクトース=1:3)される。次に、DTEによって変換されたD-フルクトースはDFDH(D-フルクトースデヒドロゲナーゼ)によって5-ケト-D-フルクトースへ転換される。この反応時に、電子伝達体(アクセプター)の受け取る電子を電気化学的に測定することによって、D-プシコースの測定が可能になる。
また、D-アロースは、LRI(L-ラムノースイソメラーゼ)によってD-プシコースへと変換されるため、3酵素反応経路を採用する事によって、D-アロースの測定も可能である。
電子伝達体としては、フェリシアン化カリウム、オスミウム−トリス(ビピリジニウム)やフェロセン誘導体などの金属錯体、p−ベンゾキノンなどのキノン誘導体、フェナジンメトサルフェートなどのフェナジニウム誘導体、メチレンブルーなどのフェノチアジニウム誘導体、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸などがあげられる。これらの電子伝達体は、電極の周りに常に存在するように緩衝液Aと緩衝液Bに溶解した形態で用いるのが好ましい。実施例では、フェリシアン化カリウムを0.1Mの濃度で用いた。それより薄い濃度でも(例えば25mM程度)でもメディエータとして十分機能する。このような範囲で濃度を振っているのが各センサでは一般的といえる。また、電子伝達体はポリマーバックボーンに結合した形態、またはそれ自身の一部もしくは全部が高分子鎖を形成するような形態であってもよい(特許文献2参照)。電子伝達体は、これらの一種または二種以上が使用される。
また、酸化電流の測定方法としては、作用極および対極のみを用いる二電極方式と、これらの電極および参照極を用いる三電極方式とがある。なかでも、三電極方式を用いるほうがより正確な測定が可能である。
以下に実施例により本発明をさらに詳細に説明する。図6を参照して本発明のセンサの構造を説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
図6のセンサシステムのポンプは、トーソー社製のHPLCポンプ2台を用いている。インジェクターはレオダイン社製、ステンレスラインで構築されているが、ピークチューブでも全く問題はない。カラムはテフロンチューブを切断したものを用いたが、GLサイエンスの空カラム(ステンレス製、既製品)を用いることができる。材質に関しては、それらに限定されることはない。実施例では直径2.1mM、長さ6センチを採用している。フローセル、カーボンペースト電極、参照電極、対極、カーボンペースト、電気化学測定装置、ソフトウエアは全てBAS社を使用している。DFDHはトーヨーボー(東洋紡)製である。ポンプ、スイッチングバルブは目的に合うサイズや性能のものであればなんでも良い。スイッチングをきちっとすることによって、感度、精度が格段にあがる。これに流速の比率をさまざまに変化させることによって各酵素の反応時間を確保して、さらに感度を上げることができる。
[開発目的]
希少糖生産の根幹原料であるD-プシコースを迅速かつ高感度に測定、モニタリングすることを目的とした希少糖測定用新規バイオセンサを構築すること。
[方法]
本センサの反応ストラテジーを図6に示す。本センサはD-プシコースを迅速かつ簡便に測定することと連続測定を念頭に置き、2ライン型スイッチングバルブ方式のMFIAシステムを採用する。
D-プシコースはDTEによってD-フルクトースに可逆的に変換(D-プシコース:D-フルクトース=1:3)される。このため、DTEによって変換されたD-フルクトースを効率よく高感度に測定することができれば、D-プシコースの測定が可能となる。
DFDHはアクセプターの存在下において、D-フルクトースを5-ケト-D-フルクトースに転換する酵素であるが、基質特異性が高く、D-フルクトース以外の各単糖には全く活性を示さない。さらに本発明者らは、DFDHが香川大学にて生産可能な全ての希少糖において活性を示さないことを明らかにしている。
図2は、実施例として、D-フルクトースの電気化学測定における、D-プシコースの影響を確認した結果である。カーボンペースト25mgと10mgのDFDHを混合し、これを電極先端部に覆った。しかし、これに限定されることはないことはいうまでもない。電極先端部にてDFDHが作用し、アクセプターが電子授受することができればよい。このカーボンペースト電極と参照極、対極を用いた3電極を2mlの溶液に浸し、溶液を一定の回転数にて撹拌させた。対極を基準にして400mVの電圧を作用極に印加させた。これに、一定量(この図では終濃度が0.2mMに設定)を添加した時に流れた電流値を測定した。D-グルコース、D-プシコースを添加したときは、電流値に変化は認められなかった。D-フルクトースを添加した場合にのみ、特異的に応答電流が確認された。これにより、D-プシコースがD-フルクトースの電気化学的測定において、影響を与えないことが示された。
図3は、D-プシコースとDTEをバッチ反応で一定時間反応させ、その後にD-フルクトースを電気化学的に測定したものを示している。
反応は迅速かつ安定でした。最後から2番目にインジェクトしたプシコースは、DTEと反応させない状態でD-フルクトースを測定したものであり、電極応答は認められなかった。また、DTEのみを最後にインジェクトしたものも、電流応答は確認されなかった。この事より、DTEとプシコースは直接電極活性を有さないことが示された。
図4は、D-フルクトース測定における各種希少糖の影響を確認したものである。フルクトース以外の各糖をインジェクトしても、電流応答は確認されなかった。また、酵素を混合していないカーボンペースト電極を用いた際にも使用した各糖全てにおいて電流応答は確認されなかったことから、各単糖が電極そのものに活性を示さないということが示された。
本センサは、バイオセンサの最も得意としている基質特異性の高い酵素を利用することによって、D-フルクトースを精度よく高感度に測定することができることが確認できた。
2つの酵素反応を利用する場合、双方の酵素特性とセンサの反応経路が感度や精度に大きな影響を与えることに注意しなければならない。本センサの第一反応に用いるDTEと、第二反応に用いるDFDHはその酵素特性(特に至適pH)が大きく異なっていることが明らかになっている。そのため、一つの電極に両方の酵素を共固定化するという最も高効率の手法を用いることができない。
そこで、本センサでは2ライン型のスイッチングバルブ方式の流路を採用する(図6中央部)。測定したいサンプルを、DTE固定化カラムを装着した第一ラインからインジェクションし、DTEの最適な条件において効率よく反応させる。次に、反応が終了すると同時にスイッチングバルブを作動させ、DFDHに最適な条件に設定した第二ラインへ反応液を送液する。第二ラインは、第一ラインの緩衝液よりもイオン強度が高く設定されており、このことによって第二ラインの緩衝液が反応溶液中に少量混合されるだけでpHがDFDHの最適値へと変化する。
また、第一ラインと第二ラインの僅かな流速の違いを利用することによって、反応溶液をDFDHに最適なpHへより効率よく変化させることができる。その後、第二ラインに装着されたDFDH固定化CPE(カーボンペースト電極)表面にて反応液中のD-フルクトース量を測定することによって、サンプル中のD-プシコース量を測定することができる。
また、CPE表面には選択的透過性を示す膜を装着することによって、高分子夾雑物質の影響を防ぐ。本センサシステムの測定原理は、D-プシコースの測定だけではなく、性質の異なる2酵素を利用した様々な物質の測定についても、この原理を応用し、測定することができる画期的な流路システムである。
[応用開発]
汎用性の高いセンサを開発することは、希少糖研究を加速させることに貢献することができる。本発明にて提案したMFIAシステムは、さらに流路系の開発を進展させることによってマイクロチップ型フロー式バイオセンサへの応用が十分に考えられる。マイクロチップ型フロー式バイオセンサの実用化段階においては、毛細管効果を利用した低コストの簡易型のセンサ開発について検討する。企業や各種研究機関において容易に短時間で高感度に測定できるセンサが利用されることによって希少糖の新規機能の発見等に十分貢献できる。
さらに、イズモリングによって示されている希少糖を含む各単糖同士の関係に着目し、他の希少糖の測定について検討する。本発明によって構築したD-プシコースセンサをさらに改良することによって、希少糖の一つであるD-アロースを測定するセンサを開発する。イズモリング上のD-アロースとD-プシコースは非常に近く位置しており、これらはL-ラムノースイソメラーゼによって転換される。つまり、本センサとL-ラムノースイソメラーゼとの最適条件を検討することによってD-アロースセンサの構築が可能である。D-アロースはHPLCによって測定することが非常に難しく、夾雑物質の影響によっては測定することができないが、D-プシコースセンサを改良したD-アロースセンサは、容易にその量を短時間で高感度に測定することができるため、開発価値の非常に高いセンサである。
図5は、図1に示した反応経路を用いてD-アロースが電気化学的に測定できるかどうかを示したものである。先にD-アロースにLRIとDTEを一定時間同時に反応させ、この反応溶液中に生じたD-フルクトースを電気化学的に測定した。この結果、D-アロースから連続酵素反応によってD-フルクトースが生じたことによる電流応答が確認された。D-アロース + LRI + DTE (x2)は、2倍量の溶液をインジェクトしたものを示しており、電流応答は2倍になっている事がわかる。3種の酵素の連続反応によってD-アロースを測定することが示された。
[臨床応用研究]
本センサを用いた応用研究については以下の様に展開する。D-プシコース測定バイオセンサの検量線を作成した後、マウスより採取した血液とD-プシコースを用いて添加回収実験を行う。これにより、血液中の夾雑物質存在下におけるセンサ応答について確認する。
次にin Vitroの解析としてヒト末血リンパ球とD-プシコースをRPMI 1640培地中で24時間培養し、その培養上清のヒトリンパ腫由来U937細胞に対するD-プシコースの影響と残存するD-プシコース量との相関を本センサを用いてモニタリングする。その他、これまでに確認されたD-プシコース添加によって起こる様々な生物活性について、細胞内外のD-プシコース量の変化をモニタリングすることによって、細胞の代謝に与える影響について確認する。上記の処理を行ったU937細胞についてはその後の細胞増殖や、他の単糖に対する感受性変化についての基礎的知見を得る。
また、in Vivoの解析としては、健康なマウスにD-プシコースまたはD-アロースを投与し、一定期間血液を採取し、本センサを用いて血中希少糖の経時変化をモニタリングする。次にサルコーマ180腫瘍細胞等を用いた担癌マウスモデルを用いて、上記と同様な処理を行い血中の希少糖量の測定を行い、有効性が認められた際のD-プシコースの抗腫瘍活性における最適濃度について検討する。その際、各種抗腫瘍剤をip及び iv投与の他経口投与した場合の抗腫瘍効果と残存希少糖量をモニタリングし、その相関についても検討する。
さらに、特異的抗体を用いた免疫学的手法により、リンパ球培養上清に放出される可能性のあるリンフォカインについても同時に調査し、希少糖の変化との関係を調査する。また、同時に希少糖の有効最適濃度や、リンパ球の培養時間と添加時期などの実験条件に関しても明らかにする。さらに、アクチノマイシンDなどの抗生物質併用によるリンパ球培養上清の細胞毒性発現の増強と希少糖濃度との相関についても明らかにする。本研究により生体内における希少糖の挙動と細胞応答に関する有益な知見が得られる。本研究をさらに精力的に進めることにより、D-プシコースをはじめとする希少糖の新規な薬理効果や難治とされている病態の改善薬としての開発が期待されるとともに、臨床応用や健康食品として産業化する可能性につなげていきたい。
図6は、図1〜5の結果をふまえ、センサシステム反応経路を構築した。スイッチングバルブを採用したダブルポンプ方式の流路を設計している。他の希少糖に適応させる場合は、スイッチングバルブの数を増やすことによって、同時分析が瞬時に可能である。また、点線部分をチップ化、あるいはマイクロ流路化する事によって、簡易測定型のディスポーサブルチップ型のバイオセンサに発展させる事も可能であり、開発のための検定システムとしても有効である。
図6のセンサシステム図に従って構築したセンサを用いて、実際にD-プシコースをフローインジェクションで測定した。前の実施例でのデータはバッチ方式で測定しているのに対して、本実施例では2ライン型のスイッチングバルブ方式のMFIAを採用した。下記に詳述するように、センサの酵素反応経路がきちんと進むことを証明する結果を得た。図6のセンサシステムの各種条件(流速、2つのバッファの比率、インジェクション量等)を検討した結果と、最後にD-プシコースをセンシングした時の検量線が、今回のデータになる。センサの各種条件に関しましては、事例の一つではあるが、この条件が現時点では最も感度を稼ぐことができる条件である。
例えば、バッファに関して、その組成が必ずリン酸バッファとクエン酸バッファでなくても大丈夫である。それぞれの酵素に対する最適なpHに合ってさえいれば、他の組成のバッファ、例えばGood バッファや、Tris-HClバッファ、酢酸バッファ等でも問題はない。インジェクション量も、サンプルによって様々なインジェクション量で作成した検量線を作成しておけば、センサとして機能することがわかる。
複数の性質の全く異なる酵素を使用し、イオン強度の差と流速に差を持たせたシステムに組み込む事によって、これらの酵素を連続反応を可能にさせたことで、これまでに迅速かつ簡便に検出することができなかった希少糖を測定するセンサが構築できた。希少糖測定バイオセンサとしては勿論のこと、通常のセンサとしても、これまでにないセンサが構築できたと言える。
図8の左図Aは、ダブルポンプのうち、電極に固定化したD-フルクトースデヒドロゲナーゼ(DFDH)の最適pHに設定したバッファ-A(ポンプ1、クエン酸バッファ、四角表示)と、D-タガトース-3-エピメラーゼ(DTE)の最適pHにセットしたバッファ-B(ポンプ2、リン酸バッファ、三角表示)の比率を変化させた時の電流応答値(丸表示)を示したものである。ポンプ1とポンプ2を合計した流速が0.2ml/minになる様に設定している。5 mMのD-プシコースを50μlインジェクションしている。電流応答値が最も良かったのは、バッファ-A:バッファ-B =0.08ml/min : 0.12ml/minの時であった。バッファの組成は、この組成でなくても、pHが合えば何を使用しても問題はない。使用する2種のバッファに合わせてそれらの比率を最適にすることが重要である。
右図Bは、インジェクション量を示している。インジェクトする量を絶対量を500μmolにして、溶かす量を5μlから100μlに変化させた結果である。このセンサ条件では、50μlが最も電流応答値が良かった。測定するサンプルが少なかったり、濃かったりする場合は、サンプルの条件に合わせたインジェクション量で検量線を作成すれば問題なく測定できる。迅速かつ簡便、高感度という3条件を満たすことができる設定として50μlを採用した。
図9の左図Aは、フローセルのガスケットのサイズを様々に変化させたときの電流応答値を示している。DFDHが装着されたフローセルは2つのプラスティックの型の間にガスケットを挟んで作製されている。ガスケットのサイズを様々に変化させることによって、フローセル内部の容積を操作することができる。この場合は、750μmの厚さのガスケットを選択したとき、最も高い電流応答値を示した。フローセル内部にある程度容積がないと反応ができない。すなわち、カーボンペースト酵素電極上の酵素の反応が進む前に廃液の方に進んでしまう結果である。全て10mMを50μlインジェクトしている。
右図Bは、センサシステムの流速を様々に変化させたときの電流応答値を示している。全て10mMを50μlインジェクトしている。流速が遅いほど反応効率が良く、高い電流応答値を示すが、とても時間がかかってしまう。例えば0.05ml/minでは、1サンプルにつき、20分程度かかってしまう。そのため、通常は1サンプル5分程度で測定が終了する流速を選択する。
今回のセンサシステムでは、0.2 ml/mlの設定を採用することにした。
図10には、2種のバッファのpHを様々に変化させた値を示している。バッファAは中性付近からややアルカリ条件で、良い電流応答値が得られた。そのため、バッファAはpH7.5を採用した。バッファBはpH4.0からpH5.0付近が最も良い電流応答値を示した。DFDHは最も活性を示すpHが4.0であるが、安定性は、pH5付近が最も安定であるので、バッファBはpH5.0を採用した。データは取っていないが、DFDHは、固定化することによって酵素安定性が増していることを感じた。
図11には、今までのセンサシステム条件を最適化して検量線を作成したときの電流応答曲線を示す。かなり安定していることが確認できる。図12で検量線を引いているが、相関係数が0.999まで得られる(B)。測定精度が非常に良好であることがわかる。
図12のAにおいては、高濃度(50mM)まで測ると、若干曲線になるが、このままでも相関係数は、0.987であり、センサとして十分測定可能範囲である。この曲線の数式を作ると、更に正確にサンプルを測定することが可能である。3.1mMまでは、相関係数トリプル9が得られるので、完璧な測定が可能である。繰り返し測定(N)は、3回で測定してエラーバーを出している。
1サンプル約5分で測定が終了する。カラムオーブンやバッファオーブン、メディエータの最適化等を行うことによって、検出感度は向上する。現時点での検量限界値は、0.09mMであったが、更にシステムの条件を最適化すれば、10μM程度までは測定可能である。
希少糖センサの一つである実施例2のD-プシコースセンサ(D-プシコース測定用に各種測定条件を最適化した図6のセンサシステム)を用いて市販飲料水を測定した。
試料として用いた蒸留水、飲料A、B、Cのいずれの飲料水にも、D-プシコースは存在していない。それぞれの試料に10mMのD-プシコースを添加して試験をおこなったが、いずれも測定可能であった。結果を表1に示す。
複数の希少糖関連酵素を使用して、「イズモリング」を構成する全ての希少糖が測定可能であることを証明する実施例である。
図1の希少糖測定の反応経路を用いてD-アロースセンサを構築した。すなわち、D-アロースセンサは図1に示すD-アロースセンサの測定原理を用いる。D-アロースはL-ラムノースイソメラーゼを用いることによって、D-プシコースへと転換される。ここから先の反応はD-プシコースセンサと同様の測定原理を採用することによって、D-アロースを測定することが可能になる。
各濃度に調製したD-アロース溶液(20mM phosphate buffer, pH7.5に溶解)に酵素(LRI, 酵素濃度を20mg/mlに調製した溶液)を2μl入れて添加して、35℃で30分インキュベートしたものを実施例2のセンサシステムを用いて測定した。測定した結果を図13に示す。D-アロースの濃度依存的にセンサ電流応答が確認され、この測定原理が機能していることが確認できた。
これは、センサシステム構築に対する予備試験的な位置付けのデータである。フロー系の連続測定バイオセンシングシステムとしてD-アロースセンサ構築、あるいはその他の希少糖測定センサシステムの構築が可能であり、実施例1のセンサシステムに希少糖関連酵素をさらに搭載させることによって、他の希少糖も同様な形で測定できることがわかる。すなわち、複数の希少糖関連酵素を測定ターゲットに合わせて適応させることによって、「イズモリング」を構成するあらゆる希少糖の測定が可能であることがわかる。フロー変化プログラムや、温度条件の検討、マイクロ流路の最適化、そして、カラムスイッチングシステム(プログラム)の設定を行うことにより、有用なセンサとして機能させることができる。
希少糖のうち、本センサシステムのターゲットとなるD-プシコースは、腸管からの糖の吸収を抑えて血糖値の上昇を抑えることや、癌の増殖抑制作用、糖尿病予防作用、動脈硬化予防作用、脂肪合成抑制作用など、様々な生理活性作用を有しており、実用化が待たれる希少糖の一つであるが、その測定系が確立されていないために実用化が遅れている。新規物質を食品添加物や医薬品として採用する際、その測定系を示さなければならないが、本センサの完成は、D-プシコースの産業への適用を早めることに貢献できる。また、本センサの開発は、生体内での希少糖のモニタリングを可能にすることから、生体内での希少糖の挙動と生物活性との詳細な関係についての新知見が得られると期待できる。さらに、本研究で考案した反応経路を応用したセンサシステムは「イズモリング」を用いることによって、他の希少糖にも応用することが可能であり、生理活性の不明な希少糖の機能解明の新たなツール開発としても応用が可能である。実用化としては、バイオセンサで最も実績の血糖値センサの最新測定デバイスを利用した簡易型センサがハイスループットに実現できると期待される。本研究の様なこれまでに着目されなかった環境中の微量成分を計測するシステムの開発を行うことによって、今後細胞情報学や病理学などの医学分野のみならず、糖鎖生物学・環境科学などの関連分野にも多くの新知見をもたらすものと期待される。
本発明における希少糖測定の反応経路を説明する図面である。 実施例1として、D-フルクトースの電気化学測定における、D-プシコースの影響を確認したものを示す図面である。 D-プシコースとDTEをバッチ反応で一定時間反応させ、その後にD-フルクトースを電気化学的に測定したものを示す図面である。 D-フルクトース測定における各種希少糖の影響を確認したものを示す図面である。 図1に示した反応経路を用いてD-アロースが電気化学的に測定できるかどうかを示した図面である。 本発明の2ライン型スイッチングバルブ方式のマイクロフローを特徴とするバイオセンサを説明する図面である。 全六炭糖とその分子構造、生成酵素の関連をリングにした「イズモリング」(登録商標)の図面である。 Aは、ダブルポンプのうち、電極に固定化したDFDHの最適pHに設定したバッファ-A(四角表示)と、DTEの最適pHにセットしたバッファ-B(三角表示)の比率を変化させた時の電流応答値(丸表示)を示した図面である。Bは、インジェクション量を示した図面である。 Aは、フローセルのガスケットのサイズを様々に変化させたときの電流応答値、Bは、センサシステムの流速を様々に変化させたときの電流応答値を示す図面である。 2種のバッファのpHを様々に変化させた値を示す図面である。 センサシステム条件を最適化して検量線を作成したときの電流応答曲線を示す図面である。 センサシステム条件を最適化して検量線を引いている図面である。 D-アロースセンサの応答曲線を示す図面である。

Claims (10)

  1. 測定したい試料を第一ラインに向けてインジェクションするインジェクションポートを包含し、測定したい試料中に含まれる特定成分との直接反応で測定対象の基質を生成する酵素を固定化したカラムを装着した第一ライン、生成した測定対象の基質を他の化合物に変換する機能を有する物質を包含する電極系を構成する第二ライン、および第一ラインと第二ラインへの送液を切り換えるスイッチングバルブよりなる2ライン型スイッチングバルブ方式のマイクロフローにおいて、第一ライン用の緩衝液Aの容器がポンプ1とスイッチングバルブ1を介してインジェクションポートに、またはさらに他のスイッチングバルブ3を介して第二ラインに接続され、第二ライン用の緩衝液Bの容器がポンプ2とスイッチングバルブ2,3を介して第二ラインに、またはさらに他のスイッチングバルブ4を介してインジェクションポートに接続されることを特徴とするバイオセンサ。
  2. 緩衝液Aおよび緩衝液Bが電子伝達体を包含する請求項に記載のバイオセンサ
  3. 上記電極系が、マイクロフローセルに配置された作用極および対極を含み、マイクロフローセルには測定対象の基質、緩衝液および電子伝達体を包含する反応液が送液される電極系である請求項1または2に記載のバイオセンサ
  4. 前記生成した測定対象の基質を他の化合物に変換する機能を有する物質が、前記作用極上またはその近傍に設けられた請求項に記載のバイオセンサ。
  5. 特定成分がD-プシコースであり、測定対象の基質がD-フラクトースであり、D-プシコースとの直接反応でD-フラクトースを生成する酵素がD-タガトース-3-エピメラーゼ( DTE)であり、および生成したD-フラクトースを他の化合物に変換する機能を有する物質がD-フラクトース デヒドロゲナーゼ(DFDH)である請求項1ないしのいずれかに記載のバイオセンサ。
  6. DTE固定化カラムを装着した第一ライン、DFDH固定化カーボンペースト電極(CPE)を装着した第二ラインよりなる請求項に記載のバイオセンサ。
  7. 第一ラインの前に、D-アロースをD-プシコースに転換する酵素を固定化したカラムを装着したラインを設ける請求項に記載のバイオセンサ。
  8. 上記CPE表面には選択的透過性を示す膜が装着されている請求項またはに記載のバイオセンサ。
  9. 測定したい試料を、DTE固定化カラムを装着した第一ラインにインジェクションし、DTEの最適な条件において反応させ、次に、反応が終了すると同時にスイッチングバルブを作動させ、DFDHに最適な条件に設定した第二ラインへ反応液を送液し、第二ラインは、第一ラインの緩衝液よりもイオン強度が高く設定されており、このことによって第二ラインの緩衝液が反応溶液中に少量混合されるだけでpHがDFDHの最適値へと変化し、その後、第二ラインに装着されたDFDH固定化カーボンペースト電極表面にて反応液中のD-フルクトース量を測定することによって、サンプル中のD-プシコース量を測定する請求項5、6、7またはに記載のバイオセンサ。
  10. 請求項1ないしのいずれかに記載のバイオセンサを用いて血清、血漿、血液、汗、尿、細胞からなる群から選ばれる生体試料、医薬品・食品工業における原料または製品の試料中に含まれる特定成分を検出または定量する希少糖の検出または定量法。
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