本発明の実施例について、添付する図面を参照しながら詳細に説明する。
本発明は、多数の又は可能な限り無限個数のギヤ比で作動することができるトランスミッションを提供する。トランスミッションは、ギヤ比変更中に少なくとも1つの駆動ギヤと少なくとも1つの従動ギヤとの間で実質的に常時噛合を維持し、トランスミッションが中立出力状態にある間にもこのような噛合を維持することができる。少なくとも1つの駆動ギヤと少なくとも1つの従動ギヤとの間に実質的に常時噛合を維持することで、トランスミッションは、負荷が駆動されるとき、動力と負荷の連結を維持しつつ、同時に関連するギヤ比への変動を行うことができる。
本願に言及される「常時噛合」とは、制限的なものではないが、トランスミッションの全体ギヤ比への変更を果たすのに用いられる少なくとも1つの駆動ギヤと少なくとも1つの従動ギヤとの間に実質的に連続的な噛合を含み、その結果、駆動及び従動ギヤは、実質的に常時噛合するようになる。他の方式で表現すれば、常時噛合トランスミッションでは、互いに異なるギヤ比の間(及びその間で変更する間)及びトランスミッションの回転中に2つ以上のギヤが互いに噛合される。しかし、前述したように、任意の特定駆動ギヤが任意の特定従動ギヤと常に噛合される必要はないという点が理解できるはずである。
例えば、トランスミッションは、多様な駆動ギヤが1つ以上の従動ギヤと交互に噛合して、多様な駆動ギヤのうち少なくとも1つが、任意の所定時間に、1つ以上の従動ギヤと噛合される「常時噛合」で作動することができる。また、「常時噛合」は、任意の特定材料からなるギヤの間の噛合を要求するものではない。実際に、常時噛合は、単に一例であるが、金属、複合材、木、又はプラスチックを含む材料の任意の組み合わせを有するギヤの間で維持できる。金属である1つ以上の駆動ギヤと1つ以上の従動ギヤとの間に常時噛合が維持される場合、常時の金属間噛合が維持され、このような噛合は、本願で「正変位」と称されることもある。
本願では、本発明の一部の実施形態に係るトランスミッションの一態様を説明するために、「一定速度」という表現を使う。本願に言及するように、「一定速度」は、インボリュートギヤ形状のようなギヤ形状の手段によって、及び/又は非揺動の他の手段によって、入力から出力への動力伝達を示す。
本願ではまた、本発明の一部の実施形態に係るトランスミッションの一態様を説明するために、「無限に変更可能」という表現を使う。本願に言及するように、「無限に変更可能」とは、複数のギヤ比で作動することができるトランスミッションを含むが、このようなトランスミッションに制限されるのではなく、複数のギヤ比は、ギヤ比の範囲で非常に小さい、可能な限り無限に小さい増分に変わり得る。
上述したように、駆動及び従動ギヤの間に噛合を有するトランスミッションは、通常にギヤ比変更を果たすために、負荷から動力源を断絶することに依存する。このような連結解除によって招かれる問題を解消するために、多様なベルト駆動、摩擦変化、又はトルクを維持する他の方法が開発された。しかし、このような設計の如何なるものも、特に一定速度で運転しつつ、かつ、動力源と駆動及び従動ギヤとの間に常時又はほぼ常時連結を維持するように、ギヤ歯の間で常時噛合又は少なくともほぼ常時噛合を維持しつつ、エンジンがギヤ変動中に高いレベルのトルクを維持することを許容しなかった。
従って、高いトルクの適用時に、トランスミッションは、一般にギヤ比変更を提供する多重のギヤを採用する。例えば、異なる大きさを有する1つ以上の従動ギヤを駆動するために、異なる大きさを有する1つ以上の駆動ギヤが用いられる。ギヤ比の間で変えるために、トランスミッションは、駆動ギヤを従動ギヤから噛合解除させ、次いで、同じ又は異なる駆動ギヤを他の従動ギヤと再噛合させる。新たに噛合された駆動ギヤ及び/又は従動ギヤが以前に噛合されたギヤよりも小さい又は大きい直径を有して、噛合された1つのギヤの半径(レバーとも称される)が噛合された他のギヤの半径に係わって変わる限り、ギヤ比は変動される。
例えば、ギヤ比変更の前に、噛合された駆動及び従動ギヤは、例えば4:1のギヤ比で作動することができる。このようなギヤ比で、噛合された従動ギヤの半径は、噛合された駆動ギヤの半径よりも4倍大きくて、従動ギヤの1回転を果たすために、駆動ギヤが完全に4回転することが要求され得る。ギヤ比を変動させるために、駆動ギヤは、従動ギヤとの噛合から解除され得、以前に噛合された従動ギヤとは異なる大きさの他の従動ギヤと噛合され得る。新たに噛合された従動ギヤの大きさが増加又は減少することによって、関連するギヤ比も対応して増加又は減少される。従って、確認し得るように、多重の従動及び/又は駆動ギヤは、不連続ギヤ比の範囲内のギヤ比の間で変えるときに有用になる。
図1Aには、ギヤ比変更中に常時噛合を維持することができ、非常に小さい増分を有するギヤ比の間、及び可能な限り無限に小さい又は実質的に連続的な増分を有するギヤ比の間で変えられる、トランスミッション100の例示的な一実施形態の態様が示されている。図示の実施形態は、単に例示的な一実施形態に過ぎず、説明を補助する目的として提供することを理解しなければならず、従って本発明を制限するものとして考慮してはならない。
図示の実施形態において、トランスミッション100は、外部動力源に連結できるトランスミッション入力インターフェース105を含む。更に、トランスミッション入力インターフェース105は、トランスミッション100内の動力伝達システム110に連結できて、トランスミッション入力インターフェース105が外部動力源から入力される動力を動力伝達システム110に伝達することができる。動力伝達システム110は、次に、入力された動力をトランスミッション100の動力出力システム130に伝達することができる。本願でより詳細に示すように、動力伝達システム110及び動力出力システム130は、ギヤ比変更中に動力伝達システム110が動力出力システム130と実質的に常時噛合を維持して、動力伝達システム110及び動力出力システム130を同期化することで、トランスミッション100に係わる多様なギヤ比が得られるように結合できる。更に、ギヤ比の変更中に動力伝達システム110及び動力出力システム130が実質的に常時噛合を維持する限り、動力伝達システム110及び動力出力システム130は、小さい、可能な限り無限に小さい増分を有するように達成できる、ギヤ比変更中に実質的に常時噛合を維持する可変動力変換システム135として集合的に作動する。
本願に示すように、トランスミッション入力インターフェース105は、動力供給部に結合できるように適合できる。例えば、トランスミッション入力インターフェース105は、トランスミッション100外部にある動力供給部に結合できる。一例として、トランスミッション入力インターフェース105は、駆動シャフト又はエンジンによって回転される他の回転シャフトから、直接又は間接に入力される動力を受けることができる。これらのエンジンは、その他の様々な車両、航空機、及び船舶に用いられ得る。他の実施形態では、単に一例として、トランスミッション入力インターフェース105が、コンベヤシステム、風車、水力発電システム、エレベータ、又は他の任意の適切な利用手段の動力供給部に連結できる。更に、自動車において動力供給部と共にトランスミッション100を用いるのは、制限的なものではないが、一例として、旅客車両、運搬車両、建設装備、競走車両、オフロードカー(オール・テライン・ビークル)、軍用車両と装備、海上船舶、航空機、及び農業車両と装備を含むことができる。
図示の実施形態において、トランスミッション入力インターフェース105が動力を受けると、受けた動力が動力伝達システム110に伝達され、動力伝達システム110を介して動力出力システム130に伝達されるように、トランスミッション入力インターフェース105が動力伝達システム110に結合される。図示の実施形態において、動力伝達システムは、トランスミッション入力インターフェース105に連結され、動力の入力がトランスミッション入力インターフェース105に提供されるときに回転する搬送アーム112を含む。本願の開示内容から分かるように、動力の入力を受けると、トランスミッション入力インターフェース105は、トランスミッション入力105が完全に回転するそれぞれの場合に、搬送アーム112がこれに対応して完全に回転するように、搬送アーム112がトランスミッション入力インターフェース105と一致して回転するようにできる。しかし、他の実施形態では、搬送アーム112がトランスミッション入力インターフェース105とは異なる角速度で回転し、搬送アーム112がトランスミッション入力インターフェース105よりも速い又は遅い速度で回転し得るように、搬送アーム112がトランスミッション入力インターフェース105に結合することもあるという点が理解できるはずである。
図示のように、搬送アーム112はまた、1つ以上の比率基準ギヤ114に結合できる。本実施形態において、比率基準ギヤ114は、搬送アーム112が回転する場合、比率基準ギヤ114も搬送アーム112の中心周りを旋回するように搬送アーム112に結合される。旋回運動によって、比率基準ギヤ114は、基準ギヤ116と噛合して基準ギヤ116周りを回るようになり、比率基準ギヤ114もそれらの中心軸をそれぞれ中心に同時に回転する。2つの比率基準ギヤ114及び1つの基準ギヤ116が示されているが、これらの配置は単に例示に過ぎず、他の実施形態では、より多い又はより少ない比率基準ギヤ114及び/又は基準ギヤ116を用いることもあるという点が理解できるはずである。
図1Aに示すように、比率基準ギヤ114は、いくつかの実施形態においては、トランスミッション入力インターフェース105に入力される動力を1つ以上の駆動ギヤセット120a−bに伝達する伝達ギヤ118a−dのセットに結合される。図1Aに示す実施形態で比率基準ギヤ114は、一例として、比率基準ギヤ114と1対1に回転する一連の伝達ギヤ118a−dに結合されて、比率基準ギヤ114の完全な各回転に対して各伝達ギヤ118a−dも1回の完全な回転を有する。特に、図示の実施形態では、各比率基準ギヤ114がシャフト114aに結合される。シャフト114aは、搬送アーム112を通過し、更に伝達ギヤ118aに連結されて、比率基準ギヤ114が回転するときにシャフト114a及び伝達ギヤ118a各々が同じ回転速度を維持する。搬送アーム112内でシャフト114aが回転できるようにするために、搬送アーム112は軸支され、例えば、シャフト114aが搬送アーム112内で回転できるように、ベアリング又はブッシングを含むこともあるという点が理解できるはずである。図示の実施形態は、比率基準ギヤ114と伝達ギヤ118aとの間に1対1の比を示しているが、この比は単に一例であって、1つ以上の伝達ギヤ118a−dが比率基準ギヤ114に対してその他の比で回転することもあるという点を理解しなければならない。
伝達ギヤ118aはまた、同じ又は異なるRPMを維持する第2伝達ギヤ118bに結合されることもある。図示の実施形態で伝達ギヤ118a−bは、一例として、同じ大きさのベベルギヤとして示されているが、多様な大きさ及びタイプのギヤ、又は動力を伝達するための他のシステムが用いられ得るという点が理解できるはずである。例えば、他の実施形態で1つ以上の伝達ギヤ118a−bは、スプールギヤ、ウォームギヤ、ヘリカルギヤ、又は任意の他の適切なタイプのギヤであり得る。
トランスミッション100において、伝達ギヤ118bはまた、動力を駆動ギヤセット120a−bに伝達するように構成された伝達ギヤ118c−dに結合できる。例えば、図示の実施形態において、伝達ギヤ118a−bは、伝達シャフト122によって伝達ギヤ120a−bに間接的に結合される。特に、伝達ギヤ118bは、伝達ギヤ118bが伝達ギヤ118aによって回転されるときに伝達シャフト122が回転するように、伝達シャフト122に結合される。動力伝達システム110において、伝達シャフト122及び伝達ギヤ118bが回転するときに伝達ギヤ118cも回転するように、伝達ギヤ118cが伝達シャフト122に更に結合できる。また、伝達ギヤ118cは、伝達ギヤ118cによって伝達ギヤ118dが回転されるように、伝達ギヤ118dと対をなして噛合できる。結果的に、伝達ギヤ118aが比率基準ギヤ114aに結合され、更に少なくとも間接的に各伝達ギヤ118b−dに結合される限り、比率基準ギヤ114が回転する場合に各伝達ギヤ118a−dも回転することができる。以下でより詳細に示すように、いくつかの実施形態において、伝達ギヤ118c−dは更に、伝達シャフト122に沿って移動可能に構成されることもある。
また、いくつかの実施形態の例によれば、伝達シャフト122自体が回転する間、搬送アーム112の内部に収容されるように、搬送アーム112に結合できる。図示の実施形態で伝達シャフト122の端部は、一例として、搬送アームの内部に延び、この部分で前記端部は、回転自在に1つ以上のベアリング、ブッシング、又はその他適切な装置と共に軸支されるが、前記端部はまた、伝達シャフト122が軸方向に著しく移動することを防止するように、実質的に固定できる。しかし、他の実施例では、伝達シャフト122が回転及び軸方向に移動するように適合でき、図示の実施形態は、単に伝達シャフト122の一例であって、本発明を制限するものではない。
図示の実施形態において、動力伝達システム110はまた、駆動ロッド124a−bを含む。駆動ロッド124a−bは、本実施形態では、各々1つ以上の駆動ギヤ121a−fを含む各駆動ギヤセット120a−bを回転させるために用いられる。図示の実施形態で駆動ロッド124a−bは、一例として、各伝達ギヤ118dに結合されて、伝達ギヤ118dが回転すると、駆動ロッド124a−bも回転し、これにより駆動ギヤセット120a−bの駆動ギヤ121a−fが回転される。
本願に示し、図1Aの実施形態の例に示すように、各駆動ギヤセット120a−bは、1つ以上の駆動ギヤ121a−fを含むことができる。図示の実施形態で各駆動ギヤセット120a−bは、一例として、当該駆動ギヤセットに結合される3つの駆動ギヤを含むが、より多い又はより少ない駆動ギヤが1つ以上の駆動ギヤセットに採用されることもある。特に、図示の実施形態において、駆動ギヤセット120aは、駆動ギヤ121a−cを含み、駆動ギヤセット120bは、駆動ギヤ121d−fを含む。
図示のように、1つ以上の駆動ギヤ121a−fは、動力伝達システム110から動力出力システム130に動力を伝達するために、動力出力システム130と更に噛合できる。図示の実施形態で動力出力システム130は、一例として、本実施形態では、リングギヤであり、また1つ以上の駆動ギヤ121a−fによって各々噛合される、複数の従動ギヤ132a−cを含む。図示の実施形態で駆動ギヤ121fは、一例として、現在の従動ギヤ132cと噛合される。
本願に示すように、トランスミッション入力インターフェース105が動力源から動力を受ける場合、トランスミッション入力インターフェース105は、搬送アーム112を回転させることができる。例えば、図示の実施形態において、搬送アーム112は、トランスミッション入力インターフェース105の中心軸と実質的に同軸である中心軸を中心に回転するが、他の実施形態では、搬送アーム112がトランスミッション入力インターフェース105の中心軸と同軸ではない軸を中心に回転することもある。また、いくつかの実施形態では、搬送アーム112が駆動ロッド124a−bに結合される。例えば、図示の実施形態において、そして本願に示すように、比率基準ギヤ114、伝達ギヤ118a−d、及び/又は伝達シャフト122は、搬送アーム112がそれらの中心軸を中心にそれぞれ回転するとき、駆動ロッド124a−bがそれらの中心軸を中心にそれぞれ回転するように、駆動ロッド124a−bを搬送アーム112に結合することができる。このように、トランスミッション入力インターフェース105が動力の入力を受けると、搬送アーム112、駆動ロッド124a−b、及び駆動ギヤ121a−fはそれらの中心軸を中心にぞれぞれ回転する。
更に、図示の実施形態において、駆動ロッド124a−bは、搬送アーム112に更に結合されて、搬送アーム112がそれらの中心軸を中心にそれぞれ回転するとき、駆動ロッド124a−bは、同様の経路に沿い、搬送アーム112の中心軸周りに沿って集合的に旋回する。従って、トランスミッション入力インターフェース105が回転すると、駆動ロッド124a−bと、駆動ロッド124a−bに連結された駆動ギヤ121a−fは、それらの各中心軸を中心にそれぞれ回転運動し、更に搬送アーム112の中心軸周りに沿って旋回運動する。駆動ギヤ121a−fが駆動ロッド124a−bと同じ回転速度を維持するように、駆動ギヤ121a−fが駆動ロッド124a−b上に固定される実施形態の例では、駆動ギヤ121a−fが、互いに異なる各々の軸を中心に回転運動及び旋回運動することができ、従って、本願ではムーンギヤと称されることもあることが理解できるはずである。
駆動ギヤ121a−fが回転及び旋回するとき、これらは動力出力システム130の従動ギヤ132a−cと噛合されており、動力が動力出力システム130に伝達される。また、本願に示すように、図1Aの動力伝達システム110は、ギヤ比の間を変更させるのに用いられるクラッチ又はバンドなしに作動することができ、そうではない場合、トランスミッション入力インターフェース105と連結される外部動力源に実質的に常時連結されるように構成することもある。例えば、いくつかの実施形態において、各駆動ギヤ121a−fは、ムーンギヤとして作用し、リングギヤである従動ギヤ132a−cのいずれかの内部で回転及び旋回する。トランスミッション入力インターフェース105が動力の入力を受ける場合、駆動ギヤ121a−fが集合的にトランスミッション入力インターフェース105と実質的に常時連結を維持する限り、駆動ギヤ121a−f各々は回転及び旋回する。
また、動力出力システム130は、本願に示すように、任意の特定ギヤ比又は可能な限りギヤ比の間で変更する間、少なくとも1つの駆動ギヤ121a−fと常時噛合されるように構成できる。例えば、駆動ギヤ121a−fが旋回及び回転する場合、少なくとも1つの駆動ギヤ121a−fは、常に動力出力システム130の少なくとも1つの従動ギヤ132a−cと噛合できる。従って、少なくとも1つの従動ギヤ132a−cが少なくとも1つの駆動ギヤ121a−fと常に噛合される限り、そして少なくとも1つの駆動ギヤ121a−fが常に動力源と噛合される限り、少なくとも1つの従動ギヤ132a−cは、動力源に常時連結される。また、いくつかの実施形態において、そして本願でより詳細に示すように、従動ギヤ132a−cは、任意の1つ以上の従動ギヤ132a−cが駆動ギヤ121a−fと噛合されて回転される場合、噛合される1つ以上の従動ギヤ132a−cがそれらの中心軸を中心にそれぞれ回転し、全ての従動ギヤ132a−cがそれらの中心軸を中心に同期してそれぞれ回転するように接続できる。このような方式で、従動ギヤ132a−cの任意のいずれかが駆動ギヤ121a−fによって噛合され、これにより動力源に連結されると、各従動ギヤ132a−cも動力源に連結されて回転する。
1つ以上の駆動ギヤ121a−fと1つ以上の従動ギヤ132a−cとの間に実質的に常時噛合を維持するために、従動ギヤ132a−cは、少なくとも1つの駆動ギヤ121a−fが少なくとも1つの従動ギヤ132a−cと常に噛合される方式で、駆動ギヤ121a−fと交互に噛合されるように構成できる。例えば、図2A−Gには、トランスミッション100の近位端101からの正面視であって、図1Aのトランスミッション100の従動ギヤ132a−c及び駆動ギヤセット120a−bが示されている。具体的に、図2A−Gには、駆動ギヤセット120a−bの駆動ギヤ121a−fにおける特定の旋回周期の多様な段階にある駆動ギヤセット120a−bが示されており、動力出力システム130と動力伝達システム110との常時噛合が維持できる一方式が示されている。図2Aに示すように、例えば、いくつかの実施形態における従動ギヤ132a−cは、オフセットされた中心軸を中心に回転するようにオフセットできる。例えば、図示の実施形態において、従動ギヤ132a−cはオフセットされ、従動ギヤ132aは中心132a’を通過する中心軸を中心に回転し、従動ギヤ132bは中心132b’を通過する中心軸を中心に回転し、従動ギヤ132cは中心132c’を通過する中心軸を中心に回転する。
図示の実施形態において、従動ギヤ132a−cは、円周りに120度間隔でオフセットされる。特に、中心132a’−c’によって形成される正三角形を囲むように外接して円が描かれると、この外接円の中心を通過する線及び各中心132a’−c’を通過する線は、各々120度でオフセットされることが分かる。しかし、このようなオフセットは一例に過ぎず、本発明を制限するものではないことを理解しなければならない。例えば、他の実施形態では、3つのリングギヤより多い又はより少ないギヤが用いられ、各リングギヤは、120度以外の同一間隔でオフセットできる。他の実施形態では、出力ギヤの個数にかかわらず、互いに異なる角度のオフセットが用いられる。また他の実施形態では、多重の従動ギヤが共通の軸を中心に回転することができる。
図2Aに示すように、3つの従動ギヤ132a−cが120度の同じ角度間隔でオフセットされる場合、各従動ギヤ132a−cに共通し、また各従動ギヤ132a−cによって形成された一辺を有する、丸まった三角形部分が形成される。この共通領域内において、駆動ギヤセット120a−bは、従動ギヤ132a−cと集合的に噛合を維持しつつ旋回及び回転することができ、また個別に従動ギヤ132a−cと噛合し始めたり、噛合解除したりすることができる。本実施形態における駆動ギヤセット120a−bは、一例として、円周りに180度でオフセットされる。しかし、他の実施形態では、2つの駆動ギヤセットより多い又はより少ない駆動ギヤセットが用いられ、及び/又は駆動ギヤや駆動ギヤセットが互いに異なる角度間隔で離隔できる。
図1Aに示すように、各駆動ギヤセット120a−bは、各従動ギヤ132a−cに対応する少なくとも1つの駆動ギヤ121a−fを有することができる。例えば、図1Aにおいて、駆動ギヤ121a、121dは、従動ギヤ132aと同一平面にあって従動ギヤ132aと噛合される。同様に、駆動ギヤ121b、121eは、従動ギヤ132bと同一平面にあって従動ギヤ132bと噛合され、駆動ギヤ121c、121fも従動ギヤ132cに対して同様に配置される。他の実施形態では、より多い又はより少ない駆動ギヤが用いられる。例えば、1つのギヤが2つ以上の駆動ギヤセットに代えられる。例えば、1つの駆動ギヤが各従動ギヤ132a−cの平面を通過して延びるように大きさが決定でき、これにより1つの駆動ギヤが各従動ギヤ132a−cと噛合できる。他の方法として、駆動ギヤは、各従動ギヤ132a−cの平面の間で移動するように軸方向に移動し、かつ、各従動ギヤ132a−cと噛合するように適合できる。従って、駆動ギヤセットは、わずか1つの駆動ギヤを含むことができる。
図2Aに戻ると、駆動ギヤセット120a−bは、従動ギヤ132a−cの共通領域内で、かつ、1つ以上の従動ギヤ132a−cの中心からオフセットされた軸周りに旋回することができることが分かる。例えば、駆動ギヤセット120a−bは、従動ギヤ132a−cが回転する中心点132a’−c’のいずれとも整列されない中心点120’を通過する軸周りに集合的に旋回することができる。駆動ギヤセット120a−bがこのような共通領域で回転する場合、これらは共通領域の3つの湾曲側と交互に噛合できる。少なくとも図2Aから明らかなように、共通領域の3つの湾曲側各々は、各従動リングギヤ132a−cのいずれかの内部形状である。このような方式で、仮想出力ギヤ132のギヤ歯は、従動リングギヤ132a−c各々のギヤ歯を含む。従って、従動ギヤ132a−cは、特定ギヤ比の駆動ギヤセット120a−bと常時噛合され、この駆動ギヤセット120a−bによって駆動される仮想出力ギヤ134を集合的に形成する。また、仮想ギヤ134の構成は、あるギヤ比から他のギヤ比に変更することができる。例えば、仮想ギヤ134の大きさは、従動ギヤ132a−cが内側又は外側に移動することによって変えられる。明らかなように、従動ギヤ132a−cのギヤ歯が一定の大きさを維持すると、仮想出力ギヤ134の大きさが変わることによって、仮想出力ギヤ134の仮想ギヤ歯の個数も変わり得る。図2Aの実施例において、仮想ギヤは、3つの異なる従動ギヤ各々からのギヤ歯を含み、各従動ギヤは、仮想出力ギヤの約3分の1を形成するが、より多い又はより少ない従動ギヤを用いることで、各従動ギヤが寄与する割合だけでなく、各従動ギヤが寄与するギヤ歯の個数に対応して変えることができる。また、本願に示すように、仮想出力ギヤ134は、ギヤ比の間で変更する間、駆動ギヤセット120a−bによって実質的に常時噛合することもある。
駆動ギヤセット120a−bが従動ギヤ132a−cと選択的に噛合でき、これにより従動ギヤ132a−cによって形成された有効出力ギヤ134と更に噛合される方式の一例が図2A−Gに示されており、該図2A−Gには中心120’周りに駆動ギヤセット120a−bが半旋回する間の多様な段階が示されている。例えば、図2Aには、駆動ギヤセット120a−bが各々0度及び180度の仮想方向に整列される。この位置で、駆動ギヤセット120bの1つ以上の駆動ギヤは、従動ギヤ132cと死点噛合できるが、駆動ギヤセット120aの任意の駆動ギヤは、従動ギヤ132a−cのいずれとも完全に噛合が解除される。本願の開示内容から、図2Aに示された実施形態は、従動ギヤ132cと噛合された駆動ギヤセット120bを示しているが、駆動ギヤセット120bの各ギヤが同時に噛合されることを要求するものではないという点を理解しなければならない。実際に、駆動ギヤセット120bの任意の1つ以上の駆動ギヤ121d−fが噛合されるとき、駆動ギヤセット120bが噛合できる。図1Aの配置例で示すように、例えば、駆動ギヤ121fのみがリングギヤ132cと噛合されるときも駆動ギヤセット120bは、従動ギヤ132cと噛合される。
駆動ギヤセット120a−bが中心120’を通過する中心軸周りに旋回する場合、駆動ギヤセットは、従動ギヤ132a−cと交互に噛合することで、仮想ギヤ134との噛合を維持することができる。例えば、図2Bには、図2Aにおける位置から時計回りに30度旋回した後の駆動ギヤセット120a−bが示されている。図示のように、時計回りに30度回転する間、駆動ギヤセット120bは、従動ギヤ132cとの噛合を維持する。更に、30度回転時に、駆動ギヤセット120bは、従動ギヤ132cから噛合解除し始める用意をしている。しかし、それとほぼ同時に、駆動ギヤセット120aは、従動ギヤ132bと噛合し始める。例えば、駆動ギヤ121b(図1A)が従動ギヤ132bと噛合し始めることができる。
駆動ギヤセット120a−bが時計回りに30度更に旋回すると、駆動ギヤセット120a−bは、図2Cに示すような位置に移動するようになる。図2Cに示すように、駆動ギヤセット120aは、従動ギヤ132bとの死点噛合位置に移動する一方、駆動ギヤセット120bは、有効出力ギヤ134から完全に噛合解除される。死点噛合は、例えば、噛合するギヤ歯が、対となるギヤの根元内で実質的に中央に位置するインボリュートギヤ形状で生じ得る。
また、図2Dに示すように、中心120’周りに時計回りに30度更に旋回すると、各駆動ギヤセット120a−bは、仮想ギヤ134と再噛合される。例えば、駆動ギヤセット120bが従動ギヤ132aと噛合されるとき、駆動ギヤセット120aは、従動ギヤ132bとの噛合を維持する。例示的な一実施形態において、駆動ギヤセット120bの駆動ギヤ121d(図1)は、従動ギヤ132aと噛合される。その後、時計回りに30度更に旋回すると、図2Eに示すように、駆動ギヤセット120aが仮想ギヤ134から噛合解除されるとき、駆動ギヤセット120bは、従動ギヤ132aと死点噛合し始めることができる。
図2F−Gに示すように、同様の噛合が駆動ギヤセット120a−bによる継続的な旋回運動中に維持し続けられる。特に、中心120’周りに時計回りに30度更に旋回すると、駆動ギヤセット120a−bは、図2Fに示すように、位置決められ、この位置で、駆動ギヤセット120aが従動ギヤ132cと噛合し始めるとき、駆動ギヤセット120bは、従動ギヤ132aとの噛合を維持する。一実施例では、駆動ギヤセット120aの駆動ギヤ121c(図1A)が従動ギヤ132cと噛合し始める。その後、図2Aの位置から計180度回転となるように、駆動ギヤセット120a−bが時計回りに30度更に旋回すると、駆動ギヤセット120aが従動ギヤ132cと死点噛合関係になり、ギヤセット120bが各従動ギヤ132a−cから噛合解除される、図2Gに示す位置と同様の位置になり得る。
その後、駆動ギヤセット120a−bは、反対側の駆動ギヤセットが仮想ギヤ134と交互に噛合されるように設定される点を除いては、図2A−Gと同様の方式で回転し続けて完全な1回転を完成することができる。特に、図2A−Gの駆動ギヤセット120aの作動は、駆動ギヤセット120bの作動に代えられ、駆動ギヤセット120bの作動は、駆動ギヤセット120aの作動に代えられる。従って、駆動ギヤセット120a−bは、駆動ギヤセット120a−bが中心120’を通過する軸周りに旋回するとき、仮想出力ギヤ134と集合的に噛合を維持する。また、一部の実施形態では、従動ギヤ132a−cが駆動ギヤセット120a−bによって交互に噛合され、駆動ギヤセット120a−b及び駆動ギヤ121a−fも従動ギヤ132a−c及び仮想出力ギヤ134と交互に噛合されて、少なくとも1つの駆動ギヤ121a−fが少なくとも1つの従動ギヤ132a−cと常に噛合できるという点が分かる。また、同期回転を維持するために、従動ギヤ132a−cが接続し合う実施形態では、従動ギヤ132a−cのうち任意のいずれかの噛合によって、各従動ギヤ132a−cが対応して回転し得るようになり、これにより全ての従動ギヤ132a−cは、駆動ギヤセット120a−b及び動力源に連結された状態を維持する。
図2A−Gには、時計回りに旋回する駆動ギヤセット120a−bの一部周期と、駆動ギヤ121a−fの中心を中心として反時計回りに回転する態様が示されているが、本発明に係るトランスミッションは、任意の特定の旋回方向に限定されるものではなく、他の実施形態では、中心120’又は他の基準点を通過する軸周りに反時計回り又は他の方向に沿って駆動ギヤセット120a−bが旋回することもあるという点を理解しなければならない。例えば、反時計回りに旋回する駆動ギヤセット120a−bの旋回周期を示す例示的な実施形態は、図2A−Gに示す周期の順序を逆にすることで確認することができる。また、図示の実施形態には、一方の駆動ギヤセットが噛合解除される間、他方の駆動ギヤセットが死点噛合されることが示されているが、このような配置は単に例示に過ぎず、本発明を制限するのではない点も理解しなければならない。例えば、他の実施形態において、1つ以上の駆動ギヤセットが1つ以上の従動ギヤと噛合されると同時に、同じ又は異なる駆動ギヤセットが他の従動ギヤと死点噛合されることが予想し得る。
例えば、駆動ギヤセット120a−bが旋回経路に沿うとき、従動ギヤ132a−cと交互に噛合させることで、駆動ギヤセット120a−bが仮想ギヤ134と噛合する場合、駆動ギヤセット120a−bは、従動ギヤ132a−cを回転させる。これは、前述したように、駆動ギヤセット120a−bの駆動ギヤ121a−fが旋回し得るだけでなく、回転し得るためである。例えば、各従動ギヤは、それらの中心軸周りにそれぞれ回転させるようにすることができる。図1Aに戻って、一部の実施形態では、出力従動ギヤ132a−cがそれらの中心軸周りにそれぞれ回転する間、これら出力従動ギヤ132a−cが同じ回転を維持するように、共に接続し合えるという点が分かる。例えば、図示の実施形態における動力出力システム130は、各従動ギヤ132a−cのための連動システム136を含む。一般に、連動システム136は、各従動ギヤの回転を他の従動ギヤ各々の回転と接続する。このような方式で、いずれかの従動ギヤが回転する場合、他の従動ギヤは、それらの中心軸を中心に対応且つ同期する回転を有する。
本発明の一実施形態の例によれば、各連動システム136は、従動ギヤ132a−cのいずれかと噛合する出力ムーンギヤ138を含み得る。図示の実施形態において、駆動ギヤ121a−f各々は、従動ギヤ132a−cの内部上のギヤ歯形状と対となるギヤ歯形状を有し、駆動ギヤ121a−fが回転及び/又は旋回する場合、従動ギヤ132a−cの回転が生じる。また、従動ギヤ132a−cは、出力ムーンギヤ138のギヤ歯形状と対となる外部ギヤ歯形状を有することができる。単に一例であるが、このような方式で、駆動ギヤ121a−fが従動ギヤ132a−cと噛合及び従動ギヤ132a−cを駆動する場合、従動ギヤ132a−cは、連動システム136の出力ムーンギヤ138を回転させ、これにより動力が連動システム136の出力ムーンギヤ138に伝達される。
連動システム136はまた、出力ムーンギヤ138と対となる出力サンギヤ140を含むことができる。例えば、図1に示すように、出力ムーンギヤ138が従動ギヤ132a−c及び出力サンギヤ140と噛合できるように、出力ムーンギヤ138が延びている。しかし、他の実施形態において、出力ムーンギヤ138は、互いに異なる部分に分離でき、分離された部分は、第1ギヤが従動ギヤ132a−cと噛合し、第2ギヤが出力サンギヤ140と噛合するように互いに連結できる。
出力ムーンギヤ138が出力サンギヤ140と対となる限り、出力ムーンギヤ138が回転する場合、出力ムーンギヤ138上のギヤ歯は、出力サンギヤ140上のギヤ歯と噛合し、これにより出力サンギヤ140も回転するようになる。一実施形態において、連動システム136は、連動シャフト142を更に含み、該連動シャフト142は、それらの遠位端上で出力サンギヤ140に連結される。一部の実施形態において、連動シャフト142は、近位端上で出力伝達ギヤ145にも連結される。一部の実施形態において、連動シャフト142、出力サンギヤ140、及び出力伝達ギヤ145は、同じ回転速度を維持するように適合される。例えば、連動シャフト142は、出力サンギヤ140が回転するとき、出力伝達ギヤ145も回転されるように、出力サンギヤ140及び出力伝達ギヤ145に連結できる。状況に応じて、出力伝達ギヤ145は、出力サンギヤ140と同じ速度で回転される。
一部の実施形態の例において、トランスミッション100は、出力システム130における各従動ギヤ132a−cの連動システム136を連結するための構成要素を更に含んで、連動システム136のいずれかの出力部分が回転する場合、例えば出力サンギヤ140を回転させることで、他の全ての連動システム136の出力部分がその軸を中心に同一且つ同期して回転することができる。例えば、図示の実施形態におけるトランスミッション100は、各連動システム136の各出力伝達ギヤ145と噛合する出力ギヤ146を含む。このような方式で、従動ギヤ132a−cのうち任意のいずれかが回転すると、噛合されて回転する従動ギヤに対応している連動システム136が出力ギヤ146と噛合して、出力ギヤ146を回転させる。各連動システム136の各出力伝達ギヤ145が出力ギヤ146と噛合される場合、出力伝達ギヤ145のいずれかが回転すると、出力ギヤ146は噛合及び回転され、これにより更に他の全ての出力伝達ギヤが対応して回転するようになる。このような方式で、1つ以上の従動ギヤ132a−cの回転は、その対応連動システム136を介して動力を出力ギヤ146に伝達することができ、これにより噛合されていないギヤの連動システム136は、噛合されていないギヤを、当該1つ以上の噛合された従動ギヤの回転と同一、且つ当該1つ以上の噛合された従動ギヤの回転に対応して回転するように同期して回転させる。従って、従動ギヤ132a−cの任意のいずれかが動力源と連結(例えば、1つ以上の駆動ギヤ121a−cとの噛合によって)されることで、各従動ギヤ132a−cが動力源に連結できることが分かる。
トランスミッション100から動力を出力させるために、トランスミッション100はまた、出力される動力を駆動トレイン、負荷、又は動力シンクに伝達するように、駆動トレイン、負荷、又は動力シンクに連結できるトランスミッション出力インターフェース170を含むことができる。図示の実施形態において、トランスミッション出力インターフェース170は、従動ギヤ132bに対応する連動システム136に連結されるが、このような配置は、本発明を制限するものではない。トランスミッション出力インターフェース170が図1のように配置されるとき、従動ギヤ132bが1つ以上の駆動ギヤセット120a−bによって噛合されたり、回転したりするようになる場合、連動システム136も回転し、これによりトランスミッション出力インターフェース170が回転して、動力の出力が伝達される。本願の開示内容から明らかなように、トランスミッション出力インターフェース170は、従動ギヤ132bが駆動ギヤセット120a−bによって直接噛合されない場合も動力を出力することができる。例えば、従動ギヤ132a又は132cが噛合される場合、連動システム136及び出力ギヤ146は、出力従動ギヤ132bに対応する連動システム136を回転させ、これによりトランスミッション出力インターフェース170に動力を出力することができる。
図1Aには、従動ギヤ132bに係わる連動システム136の遠位端に直接的に連結されるトランスミッション出力インターフェース170が示されているが、このような配置は単に一例に過ぎないという点を理解しなければならない。他の実施形態において、トランスミッション出力インターフェース170は、任意の他の連動システム136に直接的に連結できる。また他の実施形態の例では、トランスミッション出力インターフェース170が任意の連動システム136と直接的に連結されない。その代りに、例えばトランスミッション出力インターフェース170は、任意の1つ以上の従動ギヤ132a−c又は出力ギヤ146に直接的に連結されたり、又は任意の連動システム136、出力ギヤ146、又は従動ギヤ132a−cに任意の適切な手段で間接的に結合されたりする。
一部の実施形態において、各駆動ギヤ121a−fは、同じ物理的大きさを有する。また、各出力従動ギヤ132a−cも同じ物理的大きさを有することができて、駆動ギヤ121a−fのいずれのギヤが従動ギヤ132a−cと噛合するかにかかわらず、駆動ギヤ121a−fの半径と、噛合された従動ギヤ132a−cとの関係は変わらない。結果的に、そして本願でより詳細に示すように、トランスミッション100は、互いに異なる大きさを有する物理的ギヤを選択的に噛合及び噛合解除せずに、またクラッチ及びバンドなしに、多数のギヤ比で作動することができる。従って、ギヤ比変更を果たすために駆動ギヤ又は従動ギヤと噛合及び噛合解除するクラッチ又はバンドなしに作動し得る限り、トランスミッション100は、クラッチレストランスミッションとして作動することができる。従って、トランスミッション100が駆動ギヤ及び従動ギヤ上に、及び/又はギヤ比を変更させるために、クラッチ又はバンドなしに作動し得る限り、トランスミッション100でクラッチ又はバンドが上記と異ならせて用いられることにかかわらず、トランスミッション100はクラッチレスである。しかし、トランスミッション100の一実施形態の例では、ある目的のためのクラッチ又はバンドがトランスミッション100に全く用いられない。
本発明の実施形態は、ギヤ比変更中にも駆動ギヤ121a−fが集合的に1つ以上の従動ギヤ132a−cと常時噛合を維持するクラッチレストランスミッションに拡大できるが、本発明の全ての実施形態でクラッチレス構成を必要とするのではない。特に、ある適用分野では、少なくとも一時的に駆動ギヤ及び従動ギヤと噛合解除して、動力源を負荷から断絶させるために、クラッチ又は他の機構を用いるのが好ましいこともある。しかし、このような実施形態の場合も、本発明の実施形態は、例えば非常に多数の、可能な限り無限に多数の連続的なギヤ比の間で変更する能力のような態様を含むことができることが理解できるはずである。本発明のこのような実施形態はまた、非常に短時間で、ギヤ比間で転換する能力を含むことができて、駆動ギヤ及び従動ギヤが一時的に互いに断絶しても、そのような断絶は関連する負荷の運動量に殆ど影響せず、トルクスパイクが殆ど生じない。
図1Bに示すように、例えば、変速トランスミッション100’の他の実施形態が示されており、この実施形態では、1つ以上のクラッチ123が駆動ギヤ121a−fと共に用いられる。図示の実施形態は単に例示に過ぎず、任意の適切なタイプ及び配置を有するクラッチが本発明に係るトランスミッションと共に用いられることもあることが理解できるはずである。
図1Bに示す実施形態では、少なくとも1つのクラッチ123が各駆動シャフト124a−b上に位置している。例えば、駆動シャフト124a上において、クラッチ123は、駆動ギヤ121aと伝達ギヤ118dとの間に位置決められ、駆動ギヤ121の回転を停止させるように構成できる。具体的に、入力シャフト105が回転して、駆動シャフト124a−bが回転及び旋回するようになれば、クラッチ123が噛合できる。クラッチの噛合は、次に、入力シャフト105の回転から駆動ギヤ121aを分離させ、これにより駆動ギヤ121aの回転運動が停止する。理解し得るように、駆動ギヤ121aと伝達ギヤ118との間にクラッチ123が配置されることで、クラッチ123が噛合されて駆動ギヤ121aの回転運動が抑制される場合、駆動ギヤ121b−cの回転運動も停止する。
また、図1Bに示すように、クラッチ123は、駆動ギヤ121dと伝達ギヤ118dとの間の駆動シャフト124b上に同様に位置できる。従って、このようなクラッチが噛合することで、駆動ギヤ121dは、入力シャフト105の回転から分離されて、駆動ギヤ121d−f各々の回転が停止する。本願の開示内容から理解し得るように、ほぼ同じ機能を与える任意の他のクラッチ配置を採用することができる。従って、本発明の範囲は、図示の実施形態に制限されず、クラッチの個数、クラッチのタイプ、クラッチの位置などを含む他のクラッチ構成が変わることもある。更に、適切なクラッチによって、駆動ギヤ及び従動ギヤを噛合解除するために、駆動ギヤ又は従動ギヤを移動させるような追加機能を提供することもある。また、前記1つ以上のクラッチ123は、任意の適切な方法によって制御できる。例えば、手動又は電子制御が用いられる。従って、一実施形態の例では、本願に示す電子制御システム180(図7)のようなトランスミッション制御システムによってクラッチが作動及び制御できる。
前述したように、1つ以上のクラッチ123は、クラッチが駆動ギヤ121a−fを入力シャフト105の回転から分離させることができる任意の適切な位置に配置され得る。例えば、クラッチ123は、上述したように、即ち伝達ギヤ118aと駆動ギヤ121a、dとの間に位置決められ得るが、クラッチ123は、他の方法によって又は付加的に、駆動シャフト124a−b上の他の位置に配置されることもある。例えば、クラッチ123の他の方法による配置又は付加的な配置が仮想線で示されている。具体的に、駆動シャフト124a上で1つ以上のクラッチ123が、駆動ギヤ121aと駆動ギヤ121bとの間、及び/又は駆動ギヤ121bと駆動ギヤ121cとの間に配置できる。同様に、1つ以上のクラッチ123が駆動ギヤ121dと駆動ギヤ121eとの間、及び/又は駆動ギヤ121eと駆動ギヤ121fとの間の駆動シャフト124bに配置されることもある。
図示のクラッチ123は、駆動シャフト124a−b上に位置されるものとして示されているが、このような方式によってクラッチを用いるのは、前記位置決めに制限されるのではない。実際に、一部の実施形態の場合、駆動ギヤ121a−fの旋回運動及び回転運動の両者を停止させるのが好ましいことがある。従って、駆動ギヤ121a−fの旋回運動を停止させるのに、クラッチが付加的又は他の方法によって用いられることがある。制限するのではないが、一例として、クラッチ(図示せず)は、入力シャフト105と搬送アーム112との間に配置できる。このようなクラッチが噛合解除される場合、入力シャフト105の回転は、図1Aを参照して上述したように、搬送アーム112を継続して回転させる。しかし、このようなクラッチが噛合解除されるとき、入力シャフト105の回転は、搬送アーム112から分離されて、搬送アーム112の旋回が停止できる。本願の開示内容から分かるように、搬送112の旋回運動を停止させることで、駆動ギヤ121a−fの回転運動及び旋回運動も停止でき、これにより入力シャフト105の回転から分離できる。
このような1つ以上のクラッチ123は、他の方法によって多様に実現し得る。例えば、一実施形態では、1つ以上のクラッチが駆動シャフト124a−bの端部に統合できる。このような実施形態では、シャフト装置内にシャフトが備えられるようにシャフトを配置することができ、単一クラッチが各駆動ギヤ121a−fの噛合及び/又は回転を制御することができる。
本願の開示内容から分かるように、クラッチ123は、入力シャフト105の回転から駆動ギヤ121a−fの回転及び/又は旋回運動を噛合及び分離するのに適した、及び/又は駆動ギヤ121a−fを従動ギヤ132a−cから噛合及び噛合解除するのに適した多様なタイプを有することができる。例えば、クラッチ123は、制限されるのではないが、特定の適用分野に好ましく、ディスククラッチ、円錐クラッチ、ジョークラッチ、爪クラッチ、螺旋爪クラッチ、ラチェットクラッチ、円錐ディスク結合クラッチ、磁気クラッチ、油圧クラッチ、又は遠心クラッチを含む多様な方法によって実現し得る。また、クラッチ123は、駆動ギヤ121a−fがクラッチ内に実現できるように位置決められるという点が理解できるはずである。例えば、駆動ギヤ121a−fは、クラッチパケット内に位置決められ、クラッチ123が従動ギヤ132a−cと本質的に整列できる。
また、上記トランスミッション100’の開示は、駆動ギヤ121a−fを従動ギヤ132a−cから選択的及び一時的に噛合解除するために、1つ以上のクラッチ123の使用を含むが、このような開示内容は、単に一例であることを理解しなければならない。例えば、他の実施形態では、駆動ギヤ121a−fを再配向させるために、時間ウィンドウが形成でき、駆動ギヤ121a−fの配向は、当該ウィンドウにおいて従動ギヤ132a−cとの噛合を維持するように決定できる。時間ウィンドウは、例えばトルクスパイクを回避するか又は無視できるほどのトルクスパイクを許容するのに十分なほどに短い。更に、この時間ウィンドウは、トランスミッションの出力に連結できる。一実施形態において、このような連結は、出力速度の変更によって時間ウィンドウを伸縮させる。従って、駆動ギヤ121a−fの配向は、時間ウィンドウ内で予め決定できる。従って、従動ギヤ132a−cとの継続的な噛合のために、クラッチの噛合又は噛合解除は、駆動ギヤ121a−fを再配向させることができるが、駆動ギヤ121a−f及び従動ギヤ132a−cの噛合解除をクラッチすることは不要なことがある。
本発明の実施形態は、各々同じ物理的大きさを有する駆動ギヤと、各々同じ物理的大きさを有する従動ギヤを用いることができるが、このような関係を必ずしも必要とするのではないという点を理解しなければならない。また、一部の実施形態では、駆動ギヤ及び従動ギヤが各々異なる物理的大きさを有することができるが、物理的大きさを任意に特定して変えることは、本願に示すトランスミッションにおける要求事項ではない。実際に、本発明においては、本願に示すように、ほぼ同じ物理的大きさを有する駆動ギヤ及び従動ギヤが用いられる。また、一部の実施形態では、駆動及び従動ギヤが、一方の軸方向の端部から他方の軸方向の端部まで実質的に同じ直径であるスプールギヤ又はヘリカルギヤであるため、これらのギヤは、自身の幅を横切るテーパを有しない。しかし、他の実施形態では、駆動及び従動ギヤが一方の軸方向の端部から他方まで先細となるベベルギヤであり得、又は一方の軸方向の端部から他方まで狭い又は不均一な大きさを有することができる。より一般に、本願に示す機能性の1つ以上の態様を実現するのに有効な任意のギヤ構造、大きさ、及び/又は配置が用いられ得る。従って、本発明の範囲は、本願に示す例示的な実施形態に限られるものではない。
トランスミッション100(図1A)及びトランスミッション100’(図1B)とある程度同様なトランスミッション200の態様が概略的に示されている図3A−Cを参照して、動力源と負荷との連結を維持しつつ、かつ、駆動ギヤと従動ギヤとの常時噛合又は実質的に常時噛合を維持しつつ、ギヤ比を変える方法を説明する。特に、図3A−Cには、多様なギヤ比のトランスミッション200が示されている。
図3Aに示す実施形態の例において、トランスミッション200は、それらの中心を通過する軸を中心にそれぞれ回転するように構成された3つの従動ギヤ232a−cを含む。また、トランスミッション200は、従動ギヤ232a−cと噛合されて回転する2つの駆動ギヤ220a−b、即ち駆動ギヤセットを含む。従動ギヤ及び駆動ギヤの個数は単に一例に過ぎず、他の実施形態では、より多い又はより少ない個数の駆動ギヤ及び/又は従動ギヤが用いられ得るという点を理解しなければならない。更に、一部の実施形態では、そして本願に示すように、3つの従動ギヤ232a−cは、各従動ギヤがそれらの中心軸を中心にそれぞれ回転するとき、3つの従動ギヤ232a−cが同じ回転を維持するように接続できる。また、図示の実施形態において、従動ギヤ232a−cは、リングギヤとして約120度の実質的に同じ角度間隔でオフセットされ、駆動ギヤ220a−bは約180度でオフセットされるが、従動ギヤ232a−c及び駆動ギヤ220a−bの開示構成及び配置は単に一例に過ぎないという点を理解しなければならない。
本願に示すように、従動ギヤ232a−cは、駆動ギヤ220a−bによって噛合されるとき又は連動システムによって回転するときに回転するように構成できる。しかし、回転運動だけでなく、リングギヤ232a−cはまた、直動に入ったり出たりすることもできる。例えば、図3A−Cに示すように、各従動ギヤ232a−cは、1つ以上の他の従動ギヤの直動経路とはある程度オフセットされる直動経路に沿って摺動して入ったり、出たりすることができる。例えば、図示の実施形態の例において、各従動ギヤ232a−cは、各従動ギヤ232a−cの各中心から放射状に延びる各直動経路233a−cに沿って各々直動する。ある場合は、各直動経路233a−cの角度オフセットは同じであり得る。従って、単に一例ではあるが、3つの従動ギヤ232a−cの場合、各直動経路233a−cの角度オフセットは約120度である。このような方式で、従動ギヤの半径方向位置にかかわらず、各従動ギヤは直動でき、他の従動ギヤから同じ角度オフセットを維持することができる。
図3Aに示すように、本実施形態で駆動ギヤ232a−cは、湾曲側を備える一般に三角形の部分を形成し、この湾曲側は、少なくとも1つの駆動ギヤ220a−bと常時噛合される仮想ギヤ234を形成する。理解し得るように、仮想ギヤ234の大きさ及び形態は変わることができ、仮想ギヤ234の如何なる特定の配置、大きさ、又は形態も必要としない。例えば、仮想ギヤ234の形態は、仮想ギヤ234を形成する従動ギヤの個数によって、又は本願に示すように、従動ギヤ232a−cの半径方向位置によって変わることができる。
仮想ギヤ234内において、駆動ギヤ220a−bは、レバー219a−bの遠位端に位置決められる。更に、前述したように、駆動ギヤ220a−bは、旋回運動するように構成できる。従って、一実施形態の例において、レバー219a−bは、駆動ギヤ220a−bと、駆動ギヤ220a−bが旋回する中心軸との間の距離を示す。従って、駆動ギヤ220a−bが位置決められる遠位端の対向側の各近位端において、レバー219a−bの交差部は、駆動ギヤ220a−bが旋回する中心軸が通過する中心を形成する。更に、旋回運動だけでなく又は旋回運動に代わって、各駆動ギヤ220a−bは、それらの中心を通過する各中心軸を中心にそれぞれ回転することができる。
図示のレバー219a−bは、本願に示す原理に従ってトランスミッション200を実現するにあたって、実際のレバー又は仮想のレバーであり得る。例えば、物理的レバーがレバーの端部の駆動ギヤと、レバー219a−bとの間の交差部の中心に取り付けられ得る。他の方法において、レバーは仮想のレバーであり得る。例えば、図1A−Bに示すように、軸方向シャフト120a−bは、駆動ギヤ121a−fと、該駆動ギヤ121a−fが旋回する軸との連結を維持する物理的レバーアームなしに、駆動ギヤ121a−fを保持することができ、中心の旋回軸を中心に駆動ギヤ121a−fを旋回させることができる。
実際であれ仮想であれ、レバー219a−bは、それらの長さが変化できるように制御及び変更可能である。例えば、駆動ギヤ220a−bについて、図3Aでレバー219a−bの端部にある駆動ギヤ220a−bは、半径方向外側に摺動でき、その結果、レバー219a−bの長さが変わる。例えば、図示のように、駆動ギヤ220a−bは、図3Aにおける位置から図3B及び3Cに示す位置まで半径方向に摺動したり、又は図3A及び図3Cに示す位置の間から任意の位置に摺動できる。従って、図3Aから図3Cまで駆動ギヤ220a−bの半径方向への直動が生じる場合、レバー219a−b長さが増加することが分かる。同様に、駆動ギヤ220a−bが図3Cの位置から図3B又は図3Aの位置まで半径方向に直動すると、レバー219a−b長さは対応して減少するようになる。
駆動ギヤ220a−bがレバー219a−bの中心周りに旋回する場合、駆動ギヤは、多様なリングギヤ232a−cと噛合でき、これにより従動ギヤ232a−cが回転するようになる。また、レバー219a−b長さの増加によって、駆動ギヤ220a−bの旋回半径が増加するようになり、これにより駆動ギヤ220a−bの旋回経路の長さも増加するようになる。駆動ギヤ220a−bがより長い旋回経路に沿いつつ一定の角速度を維持するために、駆動ギヤ220a−bの線速度は、必ず増加するようになる。同様に、レバー219a−b長さの減少によって、そして駆動ギヤ220a−bの旋回経路の半径及び全長の減少によって、駆動ギヤ220a−bの線速度は、対応して減少するようになる。
従って、駆動ギヤ220a−b上の任意の地点の線速度は、レバー219a−b長さ及び駆動ギヤ220a−bが回転する角速度と関連づけられる。例えば、図3A−Cに示す実施形態の例において、駆動ギヤ220a−bは、噛合地点235で従動ギヤ232a−cと対をなす。駆動ギヤ220a−b上の噛合地点235で当該噛合地点235は、駆動ギヤ220a−bの旋回運動に係わる線速度を有するという点が理解できるはずである。特に、v1が噛合地点235で駆動ギヤ220a−bの線速度であるとすれば、v1は、式v1=ω1・lによって駆動ギヤ220a−bの旋回運動と関連づけられ、ここで、ω1は角速度、即ち駆動ギヤ220a−bの旋回速度や旋回RPMであり、lは噛合地点235から駆動ギヤ220a−bが旋回する中心軸までの距離である。従って、v1はlに直接比例して、ω1が常数に維持されれば、lの増加によってv1が増加し、lの減少によってv1が減少するということが分かる。
また、従動ギヤ232a−cが駆動ギヤ220a−cによって噛合されるとき、それ自体の中心周りに回転すれば、従動ギヤ232a−c上の噛合地点の線速度v2は、式v2=ω2・rによって従動ギヤ232a−cの回転運動と関連づけられ、ここでω2は従動ギヤ232a−cの角速度、即ち回転速度又はRPMであり、rは従動ギヤ232a−cの半径である。従って、v2はω2に直接比例して、rが常数に維持されれば、v2の増加によってω2が増加し、v2の減少によってω2も減少するということが分かる。
更に、噛合地点235は、駆動ギヤ220a−b及び従動ギヤ232a−cに共通するため、噛合地点235において、駆動ギヤ220a−b及び従動ギヤ232a−cは、同じ線速度を有する。従って、噛合地点235においてv1=v2である。従って、駆動ギヤ220a−bの角速度ω1と従動ギヤ232a−cの半径rが実質的に常数であるシステムにおいて、そして駆動ギヤ220a−bの旋回距離lと従動ギヤ232a−cの角速度ω2が変わり得るシステムにおいて、lとω2との関係は、l=k・ω2で表され、ここでkはr/ω1に相当する常数である。従って、ω2及びlは直接比例して、一方が増加又は減少する場合、他方もそれに対応して変わるようになる。従って、レバー219a−b長さの増加及び減少によって、駆動ギヤ220a−bの噛合地点の線速度が増加又は減少するようになり、これに対応して従動ギヤ232a−cの角速度も増加又は減少するようになることが分かる。
レバー219a−b長さと従動ギヤ232a−cの角速度との関係は、簡単な2つの実施例を通じて更に説明できる。以下の実施例は、本発明を制限するのではなく、その代わり本発明の一態様を単に説明するために提供するものであることが理解できるはずである。
第1実施例において、図3Bのトランスミッション200のようなトランスミッションは、レバー長さを1インチにして用意することができる。また、駆動ギヤの直径は1インチに相当し、従動ギヤの半径は8インチに相当し、駆動ギヤは2000RPMの一定の角速度で旋回できるように、トランスミッションが配置又は構成できると仮定することができる。従って、このような実施例において、駆動ギヤが旋回する中心軸から最も離れた地点にある、駆動ギヤの外側エッジ上の噛合地点の線速度は、約4000インチ/分(ω1=2000RPM及びl=(1インチ+1インチ))に相当するという点が理解できるはずである。
また、噛合地点が駆動ギヤと従動ギヤとの間で共有される限り、噛合地点における従動ギヤの線速度v2は、噛合地点における駆動ギヤの線速度v1と同一である。従って、本実施例において、v2も4000インチ/分である。また、従動ギヤがその中心軸を中心に回転し、固定した半径を有する限り、従動ギヤの角速度ω2は、約500RPM(v2=4000インチ/分及びr=8インチ)に相当するものとして決定できる。従って、従動ギヤの角速度ω2は、駆動ギヤの角速度ω1よりも4倍(500RPMと2000RPMとを比べるとき)小さく、駆動ギヤ及び従動ギヤの前記例示的な配置によって4:1のギヤ減少が提供される。
しかし、第2実施例では、例えば図3Cのトランスミッション200を取り、第1実施例のように、駆動ギヤが1インチの直径を有し、従動ギヤの半径が常数で8インチに相当し、駆動ギヤが2000RPMの一定の角速度で旋回するものと仮定する。しかし、本実施例ではまた、レバー長さが、例えば3インチに増加したものと仮定する。理解し得るように、レバー長さがこのように増加すると、駆動ギヤが回転する中心軸から最も遠い距離にある、駆動ギヤの外側エッジ上の噛合地点の線速度v1は、約8000インチ/分(ω1=2000RPM及びl=(1インチ+3インチ))である。従動ギヤは、駆動ギヤと共通の噛合地点を有するため、噛合地点における従動ギヤの線速度v2も約8000インチ/分である。また、線速度v2の増加によって、従動ギヤの角速度ω2も第1実施例における従動ギヤの角速度よりも必ず増加する。例えば、この第2実施例において、従動ギヤ232a−cの角速度ω2は、約1000RPM(v2=8000インチ/分及びr=8インチ)である。従って、従動ギヤの角速度ω2は、駆動ギヤの角速度ω1よりも2倍(1000RPMと2000RPMとを比べるとき)小さく、駆動ギヤ及び従動ギヤのこのような例示的な配置によって2:1のギヤ減少が提供される。
従って、レバー219a−b長さを増加又は減少させるために、駆動ギヤ220a−bを半径方向に移動させることで、駆動ギヤ220a−bの角速度が常数に維持されても、従動ギヤ232a−cの角速度が対応して増加又は減少し得ることが分かる。結果的に、従動ギヤ232a−cの角速度は、駆動ギヤ220a−bの入力角速度が一定する場合も変わり得、これによりトランスミッション200におけるギヤ比変更が提供できる。また、駆動ギヤ220a−bは、前記実施例のように2つの位置に制限するのではないという点が理解できるはずである。実際に、一部の実施例では、図1Aのトランスミッション100及び図1Bのトランスミッション100’における駆動ギヤのように、駆動ギヤセットが多数の位置、可能な限り無限個数の位置の間で変わり得る。半径方向の各位置は、互いに異なるレバーアームを生成し、各ギヤ比は、互いに異なるレバー長さに対応する。従って、可能な位置範囲に沿って駆動ギヤ220a−bが摺動でき、駆動ギヤ220a−bは、無限個数の連続的なギヤ比を形成することができる。同様に、駆動ギヤ220a−bが単に離散的な位置で噛合を維持し、これにより位置の間に段が形成される場合も、駆動ギヤ220a−bは、有限個数の互いに異なる多くの不連続ギヤ比の間に段を形成することができる。
例えば、図1Aを参照すれば、駆動ギヤセット120a−bは、半径方向内側又は外側に摺動でき、これに対応して、従動ギヤ132a−bが半径方向内側又は外側に摺動する。上述したように、半径方向の直動経路に沿う各位置において、駆動ギヤセット120a−bの旋回経路は、互いに異なる長さを有し、これにより互いに異なるギヤ比が形成される。一部の実施形態では、本願でより詳細に検討するように、駆動ギヤセット120a−b及び従動ギヤ132a−cが半径方向に直動するとき、駆動ギヤセット120a−bが従動ギヤ132a−cとの常時噛合を維持するように構成できる。従って、駆動ギヤセット120a−bが線形経路上の任意の位置に直動可能な限り、無限個数の連続的なギヤ比が可能である。
本願の開示内容から、必ずしも無限個数の連続的なギヤ比を形成する必要はないという点が理解できるはずである。実際に、一実施形態では、隣接するギヤ比の間の移動が微細又は殆ど軽微に、多数の不連続なギヤ比が形成され、トランスミッションは、無段変速トランスミッションに近似する。例えば、図1Bに示すトランスミッション100’を考慮する。上述したように、トランスミッション100’は、駆動ギヤ121a−fの回転及び/又は旋回運動を少なくとも一時的に停止させる1つ以上のクラッチ123を含むことができる。このような停止は、クラッチを噛合することで生じ得、これはまた、ギヤ比変更と共に生じ得る。
例えば、一実施形態の例によれば、トランスミッション100’におけるギヤ比変更は、非常に小さい増分を有して、その変更が少なくとも殆ど軽微であり得る。例えば、一実施形態によれば、有効な各位置の旋回経路の長さは、非常に少量に増加又は減少し得、クラッチを噛合させ、駆動ギヤ121a−f及び従動ギヤ132a−cを移動させるのにかかる時間が非常に短く、前記ギヤ比変更が何分の1秒あるいはほぼ瞬時に行われる。時間を更に減らすために、前記制御は、電子制御システムを介して自動的に行える。しかし、本願に示す如何なるものでも、クラッチ123、及び/又は、駆動ギヤ121a−f及び従動ギヤ132a−cの移動が、人の操作による制御を妨害するものではない。
一実施形態によれば、様々な不連続の旋回経路が可能であり、各々の不連続の位置で仮想ギヤは、完全な整数仮想ギヤである。特に、仮想ギヤが円形であれば、仮想ギヤの円周の長さは、ギヤ歯の全体個数で割ることができ、部分的にギヤ歯がなければ、これは駆動ギヤ121a−f上のギヤ歯又は従動ギヤ132a−c内側のギヤ歯の大きさであると言える。一例として、ギヤ歯の幅が4分の1インチである具体例の場合、円周が12インチの仮想ギヤは、仮想ギヤの円周が正確に48個の完全なギヤ歯で割ることができる限り、完全な整数仮想ギヤである。従って、ギヤ歯の幅が同じ場合、12と3分の1インチの円周を有する仮想ギヤは、仮想ギヤの円周が49個の完全なギヤ歯+50番目のギヤ歯の3分の1で割ることができる限り、完全な整数仮想ギヤではない。
駆動ギヤ121a−fの旋回経路を、駆動ギヤ121a−fのギヤ歯の幅で完全に割ることができる長さを有する不連続経路の間で変えることで、更なる複雑性が減少し得る。例えば、上述したように、駆動ギヤ1221a−fが、従動ギヤ132a−cによって形成された仮想ギヤが完全な整数の仮想円ではない円周を有する半径方向位置に摺動すれば、駆動ギヤ121a−fが回転及び旋回するとき、駆動ギヤ121a−fは、従動ギヤ132a−cのギヤ歯と適切に整列されないことがある。その代わり、仮想ギヤの部分的なギヤ歯によって誤整列が生じ、トランスミッションの効率性を減少させることがある。
相対的に小さい直動距離上で非常に多数の不連続ギヤ比が提供できるという点は当業者に明らかである。例えば、一方の完全な整数仮想円から、その次の完全な整数仮想円に変えるために、ギヤ歯の幅に相当する量だけ円周が増加又は減少すれば良いという点が理解できるはずである。駆動ギヤ121a−f及び従動ギヤ132a−cが半径方向に移動する限り、そして仮想ギヤの半径及び円周が式c=2πrによって関連づけられる限り、twがギヤ歯の幅に相当する場合、tw/(2π)に相当する半径方向の変更は、駆動ギヤ132a−cによって形成された仮想ギヤだけでなく、駆動ギヤ121a−fの旋回経路の大きさをその次の完全な整数仮想ギヤに変えることが推定され得る。またトランスミッションは、形成された仮想ギヤが完全な整数仮想ギヤである位置でのみ駆動ギヤ121a−fと従動ギヤ132a−cとの噛合を保証するように制御できる。このような方式によって噛合を制御するために、機械式又は電気式制御が用いられ得る。例えば、ロックステップ機械移動機構が用いられ得る。他の方法によって又はこれに追加して、電子制御システムが、駆動ギヤ121a−f及び従動ギヤ132a−cの移動、噛合、及び噛合解除を制御することもできる。
駆動ギヤ121a−f及び従動ギヤ132a−cの対となるギヤ歯が相対的に小さい大きさを有する実施形態では、駆動ギヤ121a−f及び従動ギヤ132a−cが半径方向に非常に小さく直動しても、不連続ギヤ比が達成できるということが理解できるはずである。例えば、具体的な実施例において、駆動ギヤは、ギヤ歯が2分の1インチの幅を有するギヤ歯形状を有することができる。結果的に、駆動ギヤ121a−f及び従動ギヤ132a−cは、ギヤ比の間での移動のために、わずか1/(4π)インチ、即ち約0.08インチの距離を半径方向に移動する必要がある。従って、駆動ギヤ121a−f及び従動ギヤ132a−cが半径方向に単に2インチの距離を直動することで、25個よりも多くの不連続ギヤ比が得られる。
更に、ギヤ比の間での移動のために要求される半径方向距離が非常に小さければ、そのような変更を招くのにかかる時間も非常に短い。その結果、一部の実施形態では、あるギヤ比から次のギヤ比への変更がほぼ瞬時に起こる。例えば、図1Bのトランスミッション100’の例では、クラッチ123を噛合させ、駆動ギヤ121a−f及び従動ギヤ132a−cをその次の完全な整数仮想円及び旋回経路に半径方向に沿って直動させ、次いで、駆動ギヤ121a−fが回転及び/又は旋回運動を再開始するようにクラッチの噛合を解除させるのにかかる時間は、ほんの何分の1秒であり得る。実際に、トランスミッション100’が制御システムによってこのように自動的に制御される場合、このような変更を完成するのにかかる時間は、数百又は数十分の1秒オーダーであり得る。
上記説明は、仮想ギヤの大きさに対してギヤ歯1つの増分だけ離れている不連続ギヤ比の間で段階別に進む有段トランスミッションについて示しているが、このような特徴は、制限的なものではないため、他の実施形態も予想し得ることが理解できるはずである。例えば、上述したように、トランスミッション100(図1A)のような実施形態において、トランスミッションは、ギヤ比の間で段階別に進むものではなく、滑るように動くこともできる。しかし、有段ギヤ変更の他の実施形態において、1つのギヤ歯以外の他の増分が用いられることもある。例えば、他の実施形態では、ギヤ比の間の段数が2、3、4、又はより多いギヤ歯増分で行われることもある。また他の実施形態では、ギヤ比の間の段数が、トランスミッションの駆動又は従動ギヤの個数、又は駆動及び従動ギヤの位置に依存することもある。例えば、5つの駆動ギヤ、又は5つの駆動ギヤ位置を有するトランスミッションは、ギヤ歯5つ増分のギヤ比の間で段階別に進むことができる。同様に、3つの従動ギヤ又は3つの従動ギヤ位置を有するトランスミッションは、ギヤ歯3つ増分のギヤ比の間で段階別に進むことができる。
前述したように、トランスミッションへの入力によって回転が継続して生じる間、ギヤ比変更が達成できて、トランスミッションは、ギヤ比が変わる間に動力源に連結できる。しかし、他の実施形態において、本発明に係るトランスミッションは、動力源から断絶されたり、又はギヤ比が変わる間に動力源が遮断されたりし得るという点が理解できるはずである。例えば、本発明の一実施形態に係るトランスミッションは、コンベヤに連結されるギヤボックス内に実現し得る。ギヤ比の間で変更させるために、コンベヤシステムに供給される動力が断絶されることがある。そうすると、利用者は、手動で、電子的な方法で、又は他の方法で、駆動及び従動ギヤを所望のギヤ比で半径方向に沿って直動させて、動力を再噛合することもできる。このような場合、クラッチ123(図1B)を必要としない場合もあって、省略することがあるという点が理解できるはずである。
上記実施例では、駆動ギヤ220a−b及び従動ギヤ232a−cの個数、大きさ、位置、角速度、及びギヤ歯に関する一部の仮定を行ったが、これらの仮定は、単に前記実施例のために行われたものであって、本発明を制限するのではないという点が理解できるはずである。その代わり、これらは単に本発明の特定の実施形態の例に係るトランスミッションがギヤ比の間で変えられる方式をより明確に示すために確認する事項に過ぎない。実際に、トランスミッション100(図1A)、トランスミッション100’(図1B)、及びトランスミッション600(図11A−B)のようなトランスミッションの一態様は、多様な応用分野に適用するために、スケール調整可能であるという点が理解できるはずである。従って、トランスミッションが実現される応用分野における必要に応じて、駆動及び従動ギヤは、任意の多様な大きさを有することができ、任意の適切な大きさを有する任意の多様な個数のギヤ及びギヤ歯を有することができ、任意の多様な角速度で作動できるという点が予想される。例えば、本発明の一実施例に係るトランスミッションは、航空母艦又は他の大型船舶と共に実現し得、直径がヤードではないが、数フィートの非常に大きい駆動及び従動ギヤを採用することができる。他の方法において、本発明の他の実施例に係るトランスミッションは、例えば模型自動車で実現し得、直径がミリメートルではないが、センチメートルに特定される非常に小さい駆動及び従動ギヤを採用することができる。
図3A−Cに関して前述したように、レバー219a−b長さの増加によって、そして駆動ギヤ220a−bの旋回経路の変更によって、駆動ギヤ220a−bとの噛合を維持するために、従動ギヤ232a−cも移動しなければならない。従って、図3A−Cに示すように、従動ギヤ232a−cが、例えば、各直動経路233a−cに沿って移動することによって、仮想ギヤ234の大きさが変わるようになる。従って、互いに異なる大きさを有する物理的従動ギヤセットと駆動ギヤ220a−bとを噛合させなくても、トランスミッション200内におけるギヤ比変更が生じ得る。その代わり、本願に示すように、駆動ギヤ220a−bと噛合される仮想ギヤ234の大きさだけでなく、駆動ギヤ220a−bの旋回経路の大きさを変えることで、ギヤ比変更が行われる。
仮想ギヤ234の大きさが変わるギヤ比変更中に駆動ギヤ220a−bと従動ギヤ232a−cとの常時又は実質的に常時の噛合を維持するために、直動経路233a−cに沿う従動ギヤ232a−cの直動運動は、駆動ギヤ220a−bの半径方向運動を招くレバー219a−b長さの変更と同期化できる。特に、駆動ギヤ232a−cが外側又は内側に移動されることによって、レバー219a−b長さは、対応する量だけ実質的に同時に増加又は減少し得、これにより従動ギヤ232a−c及び駆動ギヤ220a−bは、それら各々の旋回及び回転によって実質的に常時噛合が維持でき、上述したように、場合によっては駆動ギヤ220a−bの旋回経路の長さ及び/又は直径の増加又は減少中にも、常時噛合が維持できる。このような方式で、実質的に常時噛合が多様なギヤ比で維持される。また、有段ギヤ比変更を用いる、一実施形態に係る例示的なトランスミッションの場合にも、このようなギヤ比変更が駆動ギヤ220a−b及び従動ギヤ232a−cが若干移動することで達成でき、駆動ギヤ220a−bとトランスミッション入力インターフェース及び/又は外部動力源が断絶される時間が、無視できるほど軽微であったり、殆ど感知できない。このような実施形態では、駆動ギヤ220a−b及び従動ギヤ232a−cが、ギヤ比の間で滑るように動くトランスミッションと同じ所望の効果を効果的に提供することができる。従って、多段が提供される場合、本願で説明する有段トランスミッションは、ギヤ比が変わる間、トランスミッションが駆動ギヤ220a−bと従動ギヤ232a−cとの有効な連結を維持する摺動方式で効果的に作動することができる。
例えば、従動ギヤ232a−cがその各直動経路232a−c上で滑り込んだり滑り出、これにより仮想ギヤ234の大きさ及び駆動ギヤ220a−bの旋回経路の長さが変わるときとほぼ同時に、レバー219a−b長さが調整できる。結果的に、本発明に係るトランスミッションが駆動ギヤ220a−bの回転及び/又は旋回運動を停止させたり、防止したりするために、クラッチと噛合する場合にも、クラッチが噛合解除される場合、駆動ギヤ220a−b及び従動ギヤ232a−cは、新しいレバー長さで継続して噛合される位置に置かれる。従って、駆動ギヤ220a−bが回転及び旋回運動を再開始するとき、噛合が維持されているため、駆動ギヤ220a−bは、従動ギヤ232a−cを駆動することができる。更に、本願に示すように、少なくとも部分的にレバー219a−b長さに基づいて、駆動ギヤ220a−b上の噛合地点235の線速度が増加したり減少することによって、従動ギヤ232a−c上の噛合地点235における対応線速度も増加する。従動ギヤ232a−cは、固定した大きさを有することができ、一部の実施形態では、常に従動ギヤ232a−cの中心と整列される軸周りに回転できるため、線速度の増加によって従動ギヤ232a−cの角速度が増加する。従って、駆動ギヤ220a−bの旋回経路の長さ及び/又は直径を変えることで、及び/又は仮想ギヤ234の大きさを変えることで、そして互いに異なる大きさを有する物理的ギヤの間に噛合を変更させずに、ギヤ比変更が行われる。
本願で述べるように、駆動ギヤは、実際のレバー又は有効のレバーの各端部に位置できる。一部の実施形態において、このような駆動ギヤは、複数態様のうち任意の態様を有するムーンギヤとして作動することができる。例えば、駆動ギヤ220a−bは、多様なギヤ比に対応する多様な出力を得るように従動ギヤを駆動するために、従動ギヤ、例えば、従動ギヤ232a−bと実質的に常時噛合を維持することができる。また、本願に示すように、駆動ギヤ220a−bは、その各中心軸を中心に回転することができ、更にレバー219a−bの間の交差部中心を通過する軸のような外部軸周りに旋回することができる。従って、例えば本願に示すように、駆動ギヤが従動出力ギヤとちょうど噛合し始めようとするとき、駆動及び従動ギヤのギヤ歯の同期化を保証する所定の制御方式で、駆動ギヤ220a−bが回転できる。更に、駆動ギヤ220a−bは、半径方向に直動することができる。上述したように、ムーンギヤの半径方向運動によって、非常に小さく増加する、可能な限り無限に小さく増加するギヤ比の範囲によって、トランスミッションが摺動方式又は段階方式で移動できる。従って、駆動ギヤは、可変出力を生成するために、半径方向に直動することができ、及び/又は対応従動ギヤと同期した噛合を果たすために回転することができる。また、駆動ギヤが半径方向に直動して、実質的に連続的なギヤ比の間又は不連続のギヤ比の間でトランスミッションが摺動したり、段階別に進んだりする限り、トランスミッションは、トルクスパイクを生成しなくても、又はほんの軽微なトルクスパイクのみを生成しつつギヤ比を変えることができて、トランスミッション及び/又はトランスミッションに結合される駆動トレインが損なわれない。
例示的な駆動ギヤ320a及び従動ギヤ332の多様で可能な運動が図4に示されている。特に、図4には、実現し得る従動ギヤ332と同期する2つの駆動ギヤ320a−bが、例えばリングギヤとして示されている。しかし、特定の適用分野で必要としたり又は要求する場合、より多い又はより少ない駆動ギヤ及び/又は従動ギヤを用いることもできる。従って、2つの駆動ギヤ320a−b及び1つの従動ギヤ332は、単に例示するために示される。
図4に示すように、任意の所定レバー長さにおいて、駆動ギヤ320aは、地点320’を通過する軸周りに、又は駆動ギヤ320aの中心320’’からオフセットされた任意の他の軸周りに旋回することができる。従って、駆動ギヤ320aは、例えば、旋回経路325に沿って旋回及び移動することができる。一部の実施形態において、地点320’と整列されるシャフト及び/又はキャリア(図示せず)は、駆動ギヤ320aを、地点320’を通過する軸を中心に時計回りに直接又は間接旋回させることができる。駆動ギヤ320aが旋回するとき、その中心320’’を中心に回転するように構成することもある。例えば、前述したように、動力の入力を受け、受けた動力の入力を、例えば多様な駆動ギヤの回転及び旋回運動に変える動力伝達システムが実現し得る。
駆動ギヤ320aの回転は、駆動ギヤ320aの旋回方向と逆になるよう、反時計回りであり得る。また、このような回転は、駆動ギヤ320a−bが従動ギヤ332と同期するように実現し得、駆動ギヤ320a−bが従動ギヤ332との噛合を用意する場合、駆動ギヤ320a−bのギヤ歯は、従動ギヤ332のギヤ歯と適宜整列される。次いで、駆動ギヤ320aが従動ギヤ332と噛合し始めると、駆動ギヤ320aのこのような噛合と、回転及び旋回運動によって、従動ギヤ332がその中心332’周りに回転するようになる。
図4で更に確認できるように、駆動ギヤ320a−bは、トランスミッション内で従動ギヤと噛合を維持しつつ、駆動ギヤの沿う旋回経路の長さを増加又は減少させる半径方向に直動するように更に構成できる。図示の実施形態では、駆動ギヤ320aが垂直経路331に沿って内側又は外側に直動できるように示されているが、このような運動は単に一例に過ぎないという点を理解しなければならない。特に、駆動ギヤ320aが旋回運動する限り、本願の開示内容から、駆動ギヤ320aは、旋回経路におけるその配向又は位置にかかわらず、垂直軸から任意の角度間隔でオフセットされる経路に沿って、中心320’に向かう半径方向内側又は中心320’から離れる半径方向外側に直動できるという点が理解できるはずである。また、従動ギヤ332のような従動ギヤは、半径方向に所定方向に沿って直動することができる。例えば、図示の実施形態において、従動ギヤ332は、例えば垂直から約120度オフセットされ、中心320’を通過する直動経路333に沿って内側及び/又は外側に直動する。本願に示すように、多重の従動ギヤが用いられる場合、各従動ギヤは、直動経路に沿って所定方向に移動することができ、一部の実施形態において、所定方向は各々実質的に同じ角度増分を有して、互いに対してオフセットできる。
本願の開示内容から、駆動ギヤ320aの回転及び旋回の純合計によって、駆動ギヤ320aが回転される角速度が制御されるという点を理解しなければならない。特に、前述したように、駆動ギヤ320a−bは、第1方向、例えば時計回りに旋回することができる一方、それらは、自身の各中心に対して第2の逆方向、例えば反時計回りに回転する。このような配置では、従動ギヤ332との噛合地点における、駆動ギヤ320aの時計回りの旋回運動及び反時計回りの回転運動の純合計によって、従動ギヤ320aの速度が決定される。特に、駆動ギヤ320aの回転運動及び旋回運動各々は、駆動ギヤ320aと従動ギヤ332との噛合地点における線速度に寄与し、従って、その噛合地点における従動ギヤ332の線速度と、このような線速度を生成する従動ギヤ332の対応角速度にも寄与する。従って、駆動ギヤ320aの旋回運動及び回転運動の純合計によって、従動ギヤ332の回転速度も決定される。
本願の開示内容から、トランスミッション入力における特定の回転速度の場合、そして特定のレバー長さ及び駆動ギヤの大きさにおいて、自身の軸を中心とする駆動ギヤ320aの回転は、噛合地点で駆動ギヤ320aの旋回運動が線速度に寄与するものとは逆方向でありつつほぼ同量で、噛合地点における線速度に寄与することができるという点が理解できるはずである。このような配置では、駆動ギヤ320aの回転が駆動ギヤ320aの旋回運動を相殺することができ、これにより無視できる、可能な限りゼロである純線速度が得られる。従って、駆動ギヤ320の回転及び旋回の純合計は、ゼロ出力を生成し得る。
噛合地点における駆動ギヤ320aの線速度が従動ギヤ332の回転する角速度(従って、トランスミッションの出力)を決定する限り、噛合地点でゼロの純線速度によって、従動ギヤは実質的に回転しなくなる。特に、駆動ギヤ320aの回転及び駆動ギヤ320aの反対側への旋回は、互いに中立することができる。その結果、駆動ギヤ320aは、従動ギヤ332と噛合でき、旋回及び回転運動を維持することができるが、従動ギヤ332の運動を停止させるために、クラッチ又はバンドを継続して適用しなくても、従動ギヤ332に任意の出力を提供しなくなる。結果的に、トランスミッションが中立状態になる。
従って、本発明に係るトランスミッションの少なくとも一部の実施形態によれば、駆動ギヤの回転及び旋回が従動ギヤと噛合される噛合中立状態が提供でき、駆動及び従動ギヤが動力源に各々連結されるが、如何なる出力も提供しない。また、一部の実施形態において、噛合中立状態の間、システムの各ギヤは噛合を維持するが、トランスミッションによってゼロ出力が提供される。従って、一部の自動トランスミッションとは異なって、本発明の駆動及び従動ギヤは、ギヤの移動を制限する外力を適用する装置の使用を必要とせず、ギヤ比変更中及び中立の間に噛合を維持する。
噛合中立状態からトランスミッションを解除するために、ギヤ比が変更し得る。例えば、レバー長さを増加させることでギヤ比が減少する可能性があり、これにより所定の駆動ギヤ又はギヤの回転に係わり、かつ、常数であり得る線速度上で、駆動ギヤの旋回に係わる線速度も増加するようになり、これによりトランスミッションは、多数、そして可能な限り無限個数の順ギヤ比のうち、変わり得る順ギヤ比に移動され、ここで順ギヤ比は、潜在的に出力速度が入力速度よりも速い過駆動比を含む。逆に、レバーが減って旋回速度が回転速度よりも小くなれば、トランスミッションは逆ギヤ比に移動して、任意の個数の逆ギヤ比の間で変えられる。
図5及び図6を参照して、入力駆動ギヤ及び出力従動ギヤを移動させるための機構の一例について説明する。特に、図5には、駆動ギヤ121a−fを1つ以上の従動ギヤとの噛合を維持しつつ、半径方向に移動させるための機構の一例が示されている。図6には、従動ギヤ132a−cを所定方向に移動させて、1つ以上の駆動ギヤとの噛合を維持することができる機構の一実施形態の例が示されている。
図5には、トランスミッション入力インターフェース105及び2つの比率基準ギヤ114に連結された搬送アーム112を含むキャリア111が示されている。図1Aに関して示すように、トランスミッション入力インターフェース105の回転によって、搬送アーム112も回転するようになる。また、搬送アーム112の回転は、更に比率基準ギヤ114を基準ギヤ116周りに回転させ、次いで、1つ以上の駆動ギヤセットを回転及び/又は旋回運動させることができる。
一部の実施形態において、キャリア111は、駆動ギヤ121a−f(図1A−B)の半径方向への移動を容易にするように構成される。例えば、図5に示すように、キャリア111は、駆動ギヤセット120a−b(図1A)を回転させる駆動ロッド124a−bに連結されている伝達ギヤ118dを含むことができる。伝達ギヤ118dは伝達ギヤ118cと対をなし、伝達ギヤ118cは伝達シャフト122に沿って移動することもできる。伝達ギヤ118c及び伝達ギヤ118dが伝達シャフト122に沿って集合的に移動する場合、駆動ロッド124a−bとトランスミッション入力インターフェース105の中心との間の距離は、増加又は減少し得るという点が分かる。トランスミッション入力インターフェース105の中心と整列された軸周りに駆動ギヤが旋回する一実形態において、例えば、駆動ロッド124a−b及び伝達ギヤ118c−dが伝達シャフト122に沿って外側に移動し、伝達ギヤ118a−bに更に近くなることによって、駆動ロッド124a−bによって移動される旋回経路の長さ及び直径と、駆動ロッド124a−bに取り付けられた駆動ギヤの対応旋回経路が増加するようになる。更に、一部の実施形態の例において、伝達ギヤ118cは、伝達シャフト122の各半分に沿う任意の位置に移動でき、これにより駆動ロッド124a−bによって移動される旋回経路の長さは、非常に小さい増分を有するように、かつ、可能な限り無限に小さい増分を有するように変えられる。従って、伝達ギヤ118cは、ギヤ比の間で滑るように行われたり、段階別に行われるトランスミッションのギヤ比変更を果たすために、伝達シャフト122に沿って移動することができる。
駆動ロッド124a−b及び取り付けられた駆動ギヤを移動させるために、そしてこれにより駆動ギヤのレバー距離を変えるために、一部の実施形態において、キャリア111は、ギヤラック126a−bと噛合されるピニオン125を含むこともできる。ピニオン125は、搬送アーム112に対して軸方向に固定できる一方、ギヤラック126a−bは、搬送アーム112に対して移動するように構成できる。例えば、ピニオン125がその中心周りに回転すると、ピニオン125上の歯は、ギヤラック126a−b上の歯と噛合することができ、これにより本実施形態において、ギヤラック126a−bは、ギヤラック126a−bに対して軸方向に、ピニオン125の中心に対して半径方向に移動するようになる。特に、ピニオンギヤ125が第1方向に回転すると、各ギヤラック126a−bは、ピニオン125の中心に対して半径方向外側に移動できる一方、ピニオン125が第2の逆方向に回転すると、各ギヤラック126a−bは、ピニオン125に対して半径方向内側に移動できるようになる。
ギヤラック126a−bはまた、伝達ギヤ118c−dに結合できて、ギヤラック126a−bが移動すると、伝達ギヤ118c−dは、対応距離を移動し、及び/又は対応方向に移動する。例えば、図示の実施形態において、伝達ギヤ118c−dは各々ブラケット127に連結され、ブラケット127は各々ギヤラック126a−bのいずれかに連結される。このような構成において、ギヤラック126a−bが移動すると、これによりギヤラック126a−bがブラケット127及び伝達ギヤ118c−dを移動させる。一部の実施形態において、駆動ロッド124a−bは、ブラケット127に直接的に連結できる。例えば、ピニオンギヤ125がラック126a−bを一方向に移動させる場合、ラック126aによって駆動ロッド124aが対応方向にピニオン125の中心に対して外側又は内側に移動され、ラック126bによって駆動ロッド124bがラック126bの移動方向に対応する方向に外側又は内側に移動されるように、駆動ロッド124a−bがブラケット127に直接的に連結でき、これにより駆動ロッド124a−b上の任意の駆動ギヤは、半径方向に対応距離を移動する出力従動ギヤとの同期化を維持させるために、駆動ロッド124a−bの中心に対して半径方向内側又は外側に移動することができる。従って、ピニオン125、ギヤラック126a−b、ブラケット127、伝達ギヤ118c−d、及び伝達シャフト122を含むキャリア111は、ギヤ比の範囲で駆動ギヤと従動ギヤとの間に実質的に常時噛合が維持されるように、駆動及び従動ギヤの移動を同期化させるための構造的な実現手段の一実施例である。
図示の実施形態では、駆動ロッド124a−bがブラケット127及びラック126a−bに連結されるが、他の実施形態では、駆動ロッド124a−bがブラケット127又はラック126a−bに直接的に連結されないこともあるという点を理解しなければならない。例えば、駆動ロッド124a−bは、伝達ギヤ118dが内側又は外側に移動する場合、駆動ロッド124a−bも対応する外側又は内側方向に移動するように、伝達ギヤ118dに直接的に連結できる。従って、例えば図1A−Bの実施例に示すように、駆動ロッド124a−b上に同一線上の駆動ギヤが取り付けられる実施形態では、駆動ロッド124a−bの外側又は内側への移動によって、駆動ギヤは、駆動ギヤの旋回する軸に対して半径方向に移動するようになり、これにより駆動ギヤの旋回経路も対応して増加又は減少する。
前述したように、ピニオン125が回転する場合、ピニオン125は、ギヤラック126a−bを移動させることができる。ピニオン125に供給される回転力は、任意の多様な方式であり得る。例えば、図示の実施形態では、ピニオン125を回転させるために、ピニオン125にシャフト128が連結される。一部の実施形態において、シャフト128は、トランスミッション入力インターフェース105を介して延びるが、ピニオン125の回転を制御したり、又は駆動ギヤ121a−f(図1A−B)が半径方向に移動するようにする任意の他の適切な手段を採用することもできる。
図6には、本発明の一部の実施形態に係る従動ギヤを移動させるための機構の一実施例が示されている。図示の実施形態では、リングギヤのような従動ギヤ132aを、例えば所定方向に移動させるための機構が示されている。明確性のために、1つの従動ギヤ132aのみ示されているが、他の従動ギヤを所望の他の所定方向に移動させるために、同様の装置及び機構が用いられるという点が理解できるはずである。
図6に示すように、トランスミッション内の従動ギヤ132aは、出力サンギヤ140に連結された出力ムーンギヤ138を含む連動システム136と噛合することができる。従動ギヤ132aの回転を可能にするために、従動ギヤ132aは、1つ以上の駆動ギヤによって選択的に噛合される内部ギヤ形状を含むことができる。また、本願に示すように、従動ギヤ132aは、その外面上に、出力ムーンギヤ138のギヤ形状と対となるように構成されるギヤ形状を含むことができる。出力ムーンギヤ138は、従動ギヤ132aの回転を他の従動ギヤ及び/又はトランスミッション出力インターフェースと連動させるための連動シャフト142に連結された出力サンギヤ140に更に連結できる。
一部の実施形態において、出力サンギヤ140は、その中心に固定できて、出力サンギヤが回転する間、半径方向に直動しない。また、一部の実施形態において、出力ムーンギヤ138は、出力サンギヤ140周りに少なくとも部分的に旋回するように構成できる。例えば、図示の実施形態では、連動装置147が出力ムーンギヤ138及び出力サンギヤ140各々に連結され、出力ムーンギヤ138が出力サンギヤ140周りに回転されれば、出力サンギヤ140から固定した距離が維持され、これにより出力ムーンギヤ138と出力サンギヤ140との間に実質的に常時噛合が維持される。
本願の開示内容から理解し得るように、出力ムーンギヤ138が出力サンギヤ140周りに回転されれば、従動ギヤ132aも出力ムーンギヤ138との噛合を維持するために移動することができる。一部の実施形態では、連動装置147が回転され、これにより出力ムーンギヤ138が出力サンギヤ140周りに回るようになれば、出力ムーンギヤ138のギヤ歯は、従動ギヤ132aのギヤ歯と噛合し、これにより従動ギヤ132aに対して押したり引いたりして従動ギヤ132aを移動させる。他の実施形態において、従動ギヤ132aは、連動装置147に連結されるケーシング内部に少なくとも部分的に含まれ得る。本実施例において、連動装置147が回転すると、このような回転によって従動ギヤ132a周りのケーシングは、ギヤトラック143に沿ってケーシング及び従動ギヤ132aを押したり引いたりするようになる。また他の方法において、従動ギヤ132aの円周周りに1つ以上の溝が設けられ、該溝に連動装置147が連結されて、連動装置147が回転すると、連動装置147は溝と噛合し、これにより従動ギヤ132aが所定経路に押されたり引かれたりして、駆動ギヤとの噛合が維持される。本願の開示内容から理解し得るように、このような噛合は、ギヤ比変更中又は単に不連続ギヤ比で維持できる。
一実施形態において、従動ギヤ132aは更に、所定方向への移動ラインを形成するギヤトラック143内に含まれ、この移動ラインに沿って従動ギヤ132aが移動できる。従って、連動装置147によって従動ギヤ132aが移動すれば、ギヤトラック143はその直動経路を形成する。例えば図6に示す実施形態のような場合、ギヤトラック143は実質的に線形移動経路を形成し、該直動経路に沿って従動ギヤ132aが移動する。しかし、他の実施形態において、ギヤトラック143は、曲げられた経路又は他のタイプの経路を形成することができ、この経路に沿って従動ギヤ132aが移動できる。本願の開示内容から理解し得るように、一部の実施形態においてギヤトラック143は、従動ギヤ132aの移動を拘束し、これにより従動ギヤ132aが半径方向に移動する間、従動ギヤ132aは、軸方向に実質的に移動することができない。従って、従動ギヤ132a−cは、駆動ロッド124a、b(図1A−B)に沿って軸方向に実質的に移動することなく、ギヤトラック143のようなギヤトラックに沿って移動することができる。また、本願の開示内容から、従動ギヤ132a−cが軸方向ではなく、半径方向に移動する実施形態では、駆動ギヤ121a−fも従動ギヤ132a−cと実質的に常時噛合を維持するために、軸方向ではなく、半径方向に移動するように構成されることもあるという点が理解できるはずである。
また、本願に示すように、トランスミッションは、曲線経路149を形成する支持部148を含むことができる。一実施形態の例において、曲線経路149は、出力ムーンギヤ138及び出力サンギヤ140の結合半径とほぼ同じ半径を有する半円又は円形経路の他の部分であるが、他の曲線又は曲線でない経路が予想し得る。出力ムーンギヤ138が出力サンギヤ140周りを旋回する場合、曲線経路149は、一般に出力ムーンギヤ138の沿う部分的な旋回経路に対応することができる。一部の実施形態において、シャフト(図示せず)が、支持部148の曲線経路149を貫通し、出力ムーンギヤ138の中心を貫通して連動装置147と連結される。このような方式で、シャフトが曲線経路149に沿って移動でき、これにより連動装置147が移動され、ギヤトラック143によって形成された経路に沿って従動ギヤ132aが移動される。しかし、連動装置147は、他の方式によって移動されることもある。例えば、一部の実施形態において、対応連動装置147は、出力ムーンギヤ138の反対側に形成され、出力サンギヤ140の中心と同軸に整列される回転シャフトに連結される。回転シャフトの回転によって、連動装置147が回転し得るようになり、出力ムーンギヤ318が曲線経路149のような経路に沿って旋回し得るようになる。
本願に示すように、本発明の少なくとも一部の実施形態の例に係るトランスミッションの入力駆動ギヤ及び出力従動ギヤの運動は、任意の半径方向に移動することができる入力駆動ギヤと、1つ以上の所定経路に沿って半径方向に移動する出力従動ギヤとの間の実質的な常時噛合を維持するように同期化できる。任意の個数の同期化システムが用いられ得る。例えば、一実施形態では、ピニオンギヤ125(図5)を回転させるシャフト128(図5)及びシャフト回転連動装置147が別途に制御できる。例えば、本発明の一実施形態の例に係るトランスミッションは、各回転シャフトを個別に制御するために、サーボモータのような電気機械制御装置を採用することができる。半径方向に直動する多重の従動ギヤを含むトランスミッションの実施形態では、本願の開示内容から、各従動ギヤは、多様な従動ギヤの半径方向移動を制御するための別途の連動装置及び/又はギヤトラックを有することができるという点が理解され得る。このような場合、各従動ギヤは、個別に制御されたり、又は一体のユニットとして制御されたりすることもある。
また他の実施形態の例において、ピニオン125及び連動装置147は、機械的に同期化できる。例えば、本願に示すように、各ピニオン125及び連動装置147は、時計回り及び反時計回りの両方に部分的に回転できて、これに対応して駆動ギヤ及び従動ギヤが半径方向に各々移動できる。回転シャフトが各ピニオン及び連動装置147を制御し得るように、ピニオンギヤ125の回転と連動装置142の回転とを関連づけるために、適切な連動器が用いられ得、これにより駆動ギヤ及び従動ギヤの同期した半径方向移動が得られる。
本願の開示内容から理解し得るように、例えば、従動ギヤ132a−c及びムーン駆動ギヤ121a−fの半径方向運動によるトランスミッションの作動は、単に所定ギヤ比でのみ噛合を維持するために、及び/又は場合によってはギヤ比変更中に駆動及び従動ギヤの間に噛合を維持するために、手動で又は自動制御システムを用いることで、又は手動及び自動制御システムを組み合わせることで行われる。例えば、移動レバー又は他の機構がピニオン125及び連動装置147の両方に機械的に連結され、上述した方法のように、操作者がギヤ比を手動で調整することができる。しかし、他の実施形態では、ピニオン125及び連動装置147に連結される機構を制御するために、又はピニオン125及び連動装置147を個別に制御するために、電子製品であり得る自動制御システムが用いられる。
自動制御システムは、トランスミッション100又は100’への動力供給及び動力入力を効率的に実現するのを補助し得るようにプログラムできる。例えば、自動制御システムは、人工知能システムを含むことができ、該人工知能システムは、ギヤ比変更中に所望のトルク又は所定範囲のトルクを実質的に維持し、そして連結されたエンジンを所望の、可能な限り最適の効率で駆動させる。例えば、車両が丘の上に移動し始めて、低いギヤ比が好ましい場合、人工知能システムは、自動制御システムに、トルク、角速度、又は効率を向上させるために又は最大化するために、駆動ギヤ121a−f及び従動ギヤ132a−cが半径方向に移動すべき位置を確認することができる。このような実施形態において、例えば自動制御システムは、次いで、例えば所望のギヤ比を提供する位置で従動ギヤ132a−fがムーンギヤ121a−fと噛合状態にあるように、連動装置147を移動させて従動ギヤ132a−cをその各トラック143に沿って移動させると同時に、又はこれとほぼ同時に、ムーン駆動ギヤ121a−fに係わるレバー長さを変えるために、ピニオン125を回転させる指示を伝達することができる。前述したように、本発明に係るトランスミッションは、駆動ギヤと従動ギヤの間に、非常に小さい、可能な限り無限に小さい移動を有してギヤ比の間で変わり得るため、あるギヤ比から次のギヤ比への移動にかかる時間を無視でき、トランスミッションがギヤ比変更中に常時噛合を維持するように見える。
本願の開示内容から、多様な自動制御システムが設計でき、本発明の実施形態と共に用いるのに適したものであるという点を理解しなければならない。例えば図7には、適切な電子制御システム180の一実施形態の例が概略的に示されており、この電子制御システムは、監視装置172、182、192から入力165a−cを受ける1つ以上の入力インターフェース162a−cを含むことができ、この監視装置は、例えばセンサであり、トランスミッション180、動力源171、及び/又は負荷190に係わるパラメータに関する。例えば、1つ以上のトランスミッション監視装置182は、駆動及び/又は従動ギヤの現在位置と、トランスミッション180に入力される動力のトルク及び/又は角速度と、トランスミッション180から出力される動力のトルク及び/又は角速度のような情報、又はトランスミッション180に関するパラメータに対する任意の所望の他の情報を決定するために、そして入力インターフェース162aに送るために、トランスミッション180に連結できる。同様に、1つ以上の負荷監視装置192は、負荷及び/又は負荷パラメータに対する任意の他の情報を決定するために、そして入力インターフェース162cに送るために負荷190に連結できる。
更に、動力源監視装置172は、エンジンRPMや、制限するのではないが、エンジンマニホールド圧力のような動力源パラメータに関する任意の他の情報を得るために、動力源171に連結できる。例えば、一実施形態の例に係る動力源監視装置172は、マニホールド圧力や他のそのようなパラメータを決定するために、エンジンマニホールド及び/又は動力源の他の部分に連結できる。一般に、マニホールド圧力量は、エンジン上に加えられる負荷を示す。従って、エンジン上の負荷を減少させるために、従って、マニホールド圧力を変えるために、ギヤ比が変更できる。
一般に、エンジンマニホールド製造者は、マニホールドが作動されなければならない最大及び/又は最小マニホールド圧力を具体化することができる。従って、監視装置172、182、及び/又は192から自動制御システム160に伝達される情報の入力165a−cを用いて、自動制御システム160は、供給された情報に基づいて、マニホールド圧力を必要な許容範囲内で維持させるために、どのような変更が必要なのかを決定することができる。
しかし、他の実施形態では、最大又は最小マニホールド圧力に近接したり、又は超過せずにギヤ比を調整するために、トランスミッション180内で変更が行われる。例えば、動力源171によって出力される任意の特定RPMにおいて、作動エンジン又は他の動力源は、単に特定負荷において、又は狭い範囲の負荷内で最適効率で作動することができる。従って、本発明に係る自動制御システム160は、トランスミッション180、負荷190、及び/又は動力源171の現在作動パラメータを決定するために、入力168a−cを用いることができ、また一部の実施形態の例は、所望の効率で作動する動力源171を維持するために、トランスミッション180、動力源171、及び/又は負荷190のパラメータにどのような変更が可能なのかを決定する人工知能システム164及び/又はプロセッサ166を含む。例えば、自動制御システム160に入力165bによって現在のエンジンRPM及びマニホールド圧力が提供される場合、マニホールド圧力が、人工知能システムによって決定される有効圧力範囲内になければ、自動制御システム160は、マニホールド圧力、RPM、トルク、又は他のパラメータを調整する変更を起こすように、1つ以上の出力168a−cを通じて電子信号を送ることができる。
例えば、インターフェース162a−cを介して、自動制御システム160は、制御出力信号を搬送する制御ライン168a−cに沿って制御出力信号を動力源171、トランスミッション180、及び/又は負荷190に送ることができ、この信号は、次いで制御インターフェース174、184、194によって解釈され、所望の変更を達成するように、1つ以上の動力源171、トランスミッション180、及び/又は負荷190内で作動パラメータを変えるのに用いられる。例えば、一実施形態の例において、自動制御システム160は、出力168aをトランスミッション制御インターフェース184に伝達して、トランスミッション制御インターフェース184にトランスミッション180内の駆動及び/又は従動ギヤの半径方向位置を変更するように指示することができる。従って、トランスミッション制御インターフェース184は、所望の変更を起こす、電気、機械、又は電気機械制御装置、又は電気、機械、及び/又は電気機械制御装置が組み合わされた装置を含むことができる。例えば、一実施形態において、トランスミッション制御インターフェース184は、1つ以上のシャフトを回転させ、次いでトランスミッション180の1つ以上の駆動ギヤ及び/又は1つ以上の従動ギヤの半径方向位置を調整するサーボモータを含む。例えば、このような方式で半径方向位置を調整することで、動力源171内のマニホールド圧力が所望の範囲、可能な限り最適範囲内にあるように変更できる。
一部の実施形態では、マニホールド圧力が動力源に加えられる負荷を示すが、例えば、入力165が負荷測定装置192及び自動制御システム160に直接的に連結できて、自動制御システム160が、負荷に関する情報をマニホールド圧力を通じて推定するのではなく、直接受けることができる。例えば、エレベーターシステムにおいて、自動制御システムへの入力にエレベータキャリッジ及び乗客の、例えば、ポンドの負荷が含まれ得るようにして、電気モータがエレベータを移動させることができる。このような実施形態において、自動制御システムはまた、与えられた入力動力に対して最適の出力効率を有するようにするために、トランスミッション出力が如何なる速度にあるべきなのかを決定することができる。本実施例において、自動制御システムは、例えば、人工知能システム164を介して、メモリ又は他の記憶媒体を含んだり、これに接近したりすることができ、このようなメモリ又は他の記憶媒体には、表、アルゴリズム、又はエンジンを効率的に用いる駆動及び従動ギヤのギヤ比又は位置決めを自動制御システム160が確認し得るようにする他の情報が含まれる。従って、自動制御システム内のプロセッサ166は、人工知能システム164に接近して、自動制御システム160内のメモリ又は記憶媒体にある情報を検索及び加工することができ、これにより所望の位置決め又は駆動ギヤ及び従動ギヤの位置決めに必要な変更事項が検索される。次いで、電子制御信号を、例えばトランスミッション制御インターフェース184で受ける出力168aとして送ることができ、それによりトランスミッション制御インターフェース184は、他のギヤ比及び/又は出力速度を得るために、トランスミッション180内で上記変更を達成する。
本願に示す内容は、自動制御システムと関連付けられ、部分的に動力源の効率を最大化することについて言及しているが、自動制御システムは、他の方法によって作動することもできるという点を理解しなければならない。例えば、一部の実施形態では、動力及び/又はトルク出力を最大化したり、最小化したりするために、自動制御システムがプログラムされる。他の実施形態では、自動制御システムが、多様な出力速度を得るために、動力源を制御するように更にプログラムされる。また他の実施形態では、自動制御システムが多様な作動モードの間で選択的に変わり得る。例えば操作者は、制御システムが各方法で作動するようにプログラムされている間、効率を最大化するか又は動力を最大化するかを選択することができる。
また、図7に示す実施形態の例には、1つ以上の動力源171、トランスミッション180、及び負荷190を監視及び/又は制御する集中自動制御システム160が示されているが、これは単に一例に過ぎず、本発明を制限するのではないという点を理解しなければならない。例えば一部の実施形態では、監視装置172、182、192及び/又は制御インターフェース174、184、194に、これらを集中制御システムと独立して作動させる回路又はプログラミングが含まれる。例えば一実施形態の例では、フィードバックループ191が動力源171、トランスミッション180、及び/又は負荷190を連結して、監視装置172、182、192又は制御インターフェース174、184、194がシステムの他の構成要素から情報を得たり、及び/又はシステムの他の構成要素を制御したりするようにできる。例えば一実施形態の例において、トランスミッション制御インターフェース184は、監視装置172からの動力源171におけるマニホールド圧力の表示事項、又は負荷監視装置192からの負荷の表示事項を、フィードバックループ191を介して受けることができる。それにより専用の又はプログラムされたロジックを用いて、トランスミッション制御インターフェース184は、例えば効率、動力、トルク、又は動力源171の他のパラメータを最大化するよう、トランスミッション180のギヤ比を修正するために、制御信号を生成したり、トランスミッション180を制御することができる。
制御信号を用いたり、トランスミッション180の運動及びパラメータを制御することで、駆動及び従動ギヤが同期化できる。例えば、駆動ギヤの多数の、可能な限り無限個数の互いに異なる旋回経路に沿って駆動ギヤと従動ギヤとの間に噛合が許容されるように、駆動及び従動ギヤの運動が同期化される場合、駆動ギヤを効率的に駆動させる噛合を維持するために、そして噛合が生じるとき、駆動ギヤのギヤ歯が従動ギヤのギヤ歯の根元内に又は根元付近で適切に一致するように保証するために、駆動ギヤのギヤ歯は、従動ギヤのギヤ歯と同期しなければならない。図8を参照して、駆動ギヤのギヤ歯が従動出力ギヤのギヤ歯と同期し得る例示的な方法について説明する。
図8に示すように、例えばトランスミッションは、基準ギヤ416を含むことができる。基準ギヤ416は、必ずしも必要とするものではないが、図1Aに示した基準ギヤ116に対応し得る。一部の実施形態において、基準ギヤ416は、直動又は回転しないように固定されて、駆動及び従動ギヤを同期化させるための固定基準点を提供する。しかし、他の実施形態では、駆動及び従動ギヤを同期化するために、基準ギヤ416が移動することもできる。
基準ギヤ416は、ムーン駆動ギヤのギヤ歯と、従動リング又はスプールギヤのギヤ歯の噛合を同期化するのに用いられ得る。例えば、図示のように、基準ギヤ416の各ギヤ歯から無限長さに仮想の基準角度ライン445を延ばすことができる。従って、角度ライン445は、実質的に同じ角度間隔で離隔されており、基準ギヤ416のギヤ歯が離れている角度数を示す。従って、角度ライン445間の弧長さが増加しても、レバーが延び駆動ギヤ420が半径方向外側に移動する場合、半径方向の分離角度は、定数に維持される。
本実施形態において、対応する駆動ギヤ420は、基準ギヤ416と1対1の比で結合される。従って、駆動ギヤ420の回転及び旋回は、駆動ギヤ420が基準ギヤ416を中心として旋回するとき、駆動ギヤ420のギヤ歯が基準ギヤ416のギヤ歯と常に整列関係にあるように制御される。例えば、図8に示すように、駆動ギヤ420が基準角度ライン445上の中心にあるとき、駆動ギヤ420のギヤ歯は、基準角度ライン445と直接整列される。また、駆動ギヤ420が駆動ギヤ420’の位置に回転及び旋回すると、駆動ギヤ420’のギヤ歯も角度ライン445と整列されるように、前記旋回及び回転が制御されることが分かる。
また、このような方式によって駆動ギヤ420の回転を制御することで、駆動ギヤ420の半径方向位置にかかわらず、駆動ギヤ420が基準ギヤ416と整列できる。特に、駆動ギヤ420は、半径方向内側及び外側に直動することができる。しかし、基準ギヤ416と駆動ギヤ420との間に如何なる半径方向距離を有しても、駆動ギヤ420のギヤ歯は、角度ライン445に沿って、基準ギヤ416の対応ギヤ歯と整列関係を維持するようになる。結果的に、基準ギヤ416は、弧長さではなく、回転角度によってギヤ歯の同期化を提供するのに用いられ、従って、これは、駆動及び従動ギヤの同期化手段を実現する構成の一実施例となり、これによりギヤ比の範囲で1つ以上の駆動及び従動ギヤの間に実質的に常時噛合が維持される。駆動及び従動ギヤを同期化するための手段の更なる実施例は、本願の他の部分、例えば図1A−B、6、及び11A−Bに関する部分に示されている。
図8には、各々同じ個数のギヤ歯を有して、ギヤ歯が1対1の関係にある駆動ギヤ420及び基準ギヤ416が示されているが、このような配置を必ずしも必要とするのではなく、他の関係を用いることもできることを理解しなければならない。例えば、他の一部の実施形態では、基準ギヤと駆動ギヤが異なる個数のギヤ歯を有する。このような実施形態では、基準ギヤ及び駆動ギヤが、例えば、公約数によって関連づけられるギヤ歯の個数を有することができる。例えば公約数は、従動ギヤの個数又はシステム内における従動ギヤ位置の個数であり得る。一実施形態の例において、基準ギヤ116(図1A)のような基準ギヤは、例えば90個のギヤ歯を有し、駆動ギヤは6つのギヤ歯を有する。このような場合、各ギヤのギヤ歯の個数は、3及び6で割ることができることが分かる。従って、従動ギヤの個数がギヤ歯のための約数である実施形態において、このような一実施形態は、3つ又は6つの従動ギヤを有することができる。
図1A−Bに示すような一部の実施形態において、例えば、比率基準ギヤ114上のギヤ歯の個数及び/又は従動ギヤ上のギヤ歯の個数も、同じ又は異なる共通因子によって関連づけられる。例えば、比率基準ギヤ114は30個のギヤ歯を有し、従動ギヤ132a−cは内部ギヤ形状上に36個のギヤ歯を有することができ、比率基準ギヤ114及び従動ギヤ132a−c上のギヤ歯の個数も3及び6で割ることができる。本願に示す配置及びギヤ歯の個数は、単に一例に過ぎず、他の個数のギヤ歯及び/又は公約数が用いられ得るという点を理解しなければならない。例えば、一部の実施形態では、基準ギヤ116、比率基準ギヤ114、駆動ギヤ121a−f、及び従動ギヤ132a−cが、3、6、又は他の公約数で割ることができる互いに異なる個数のギヤ歯を有することもできる。例えば、一実形態において、基準ギヤ及び比率基準ギヤは、各々96個のギヤ歯を有する一方、各駆動ギヤは18個のギヤ歯を有し、各従動ギヤは72個のギヤ歯を有する。従って、基準ギヤ、比率基準ギヤ、駆動ギヤ、及び従動ギヤ上のギヤ歯の個数は、各々3及び6で割ることができるということが分かる。また、3つ又は6つの従動ギヤがある実施形態の例において、基準ギヤ、比率基準ギヤ、駆動ギヤ、及び従動ギヤ上のギヤ歯の個数も各々従動ギヤの個数で割ることができる。
他の実施形態において、多様なギヤのギヤ歯の個数は、例えば2、4、5、7、8などのような他の約数によって割ることができ、これらの約数は、従動ギヤの個数又は従動ギヤ位置の個数と同じ又は異なることがある。また他の実施形態において、ギヤ歯の個数は、公約数1によってのみ割ることもでき、ギヤ歯は、駆動ギヤと従動ギヤとの常時噛合によって同期化が維持できる。例えば、一実施形態の例において、基準ギヤは60個、比率基準ギヤは15個、駆動ギヤは20個、そして従動ギヤは16個のギヤ歯を有することができる。従って、各ギヤに対して唯一の公約数は1であることが分かる。
また、図1A−Bに更に示すように、駆動ギヤ121a−fは、30個のギヤ歯又は同じ約数や異なる約数で割ることができる異なる個数のギヤ歯を有することができる比率基準ギヤ114を含んでいる構成要素によって、基準ギヤ116に連結できる。前述したように、比率基準ギヤ114は、基準ギヤ116と噛合され、基準ギヤ116周りに回転することができて、駆動ギヤ121a−fに回転及び/又は旋回運動が与えられる。特に、比率基準ギヤ114を介して基準ギヤ116と連結されることによって、駆動ギヤ121a−f各々は、自身の各中心軸周りに回転し、集団として、図示の実施形態では、基準ギヤ116の中心と整列されている外部軸周りに旋回する。このような方式で、比率基準ギヤ114及び基準ギヤ116の組み合わせによって、駆動ギヤ121a−fに係わる半径方向位置及びレバー長さにかかわらず、駆動ギヤ121a−fが予測可能な角度の量だけ回転され、駆動ギヤ121a−fのギヤ歯は噛合し始めるとき、従動ギヤ132a−cのギヤ歯と常に整列できる。従って、比率基準ギヤ114及び基準ギヤ116は、集合的に及び個別的に、ギヤ比の範囲で1つ以上の駆動ギヤと1つ以上の従動ギヤとの間に実質的に常時噛合が維持されるように、1つ以上の駆動及び従動ギヤを同期化する手段を実現する構成の一実施例となる。また、キャリア111(図5)が、駆動ロッド124a−bを半径方向に移動させて、駆動ギヤ121a−fを半径方向内側又は外側に移動させ、また半径方向内側又は外側に移動する出力ギヤ132a−cとの噛合を維持させ、これによりトランスミッション入力インターフェース105とトランスミッション出力インターフェース170との比が変わるように構成できる限り、キャリア111も、ギヤ比変更中そしてギヤ比範囲で、1つ以上の駆動及び従動ギヤの間に実質的に常時噛合が維持されるように、駆動及び従動ギヤを同期化する手段を実現する構成の一実施例である。
駆動ギヤのギヤ歯と従動ギヤのギヤ歯との常時同期化を維持するために、駆動ギヤ及び従動出力ギヤは、実質的に同じ直径ピッチを有するインボリュートギヤ歯を有することができる。このような構成の結果として、駆動ギヤのギヤ歯は、任意の他の噛合段階だけでなく、死点噛合段階にある場合、従動ギヤのギヤ歯と適切に一致するようになり、噛合段階にかかわらず駆動ギヤに一定の出力を提供する。更に、駆動ギヤ及び従動ギヤのギヤ歯は、全ての噛合段階において、ギヤ歯が整列されない場合よりもゆっくり摩耗される。更に、前述したように、駆動ギヤ及び基準ギヤは、同じ個数のギヤ歯を有したり、又は両立し得る任意の他の個数のギヤ歯を有したりすることができ、駆動ギヤが基準ギヤの角度基準ライン上に整列される場合、駆動ギヤのギヤ歯も上死点で基準ギヤのライン上の中心に位置される。一部の実施形態では、例えば基準ギヤ、比率基準ギヤ、駆動ギヤ、及び/又は従動ギヤ上のギヤ歯の個数を、従動ギヤの個数よりも多い又は少ない個数で割ることができる。他の実施形態では、約数が従動ギヤの個数と同じ場合もあるが、このような特徴は、本発明を制限するのではない。
公約数として駆動ギヤの個数を用いることは、多様な理由によって有効であり得る。例えば、このような手法は、各駆動ギヤの中心が基準ライン上にあるように保証するのに用いられる。また、前述したように、駆動ギヤのギヤ歯の個数は、同じ約数で割ることができる。このような手法はまた、1つの駆動ギヤのギヤ歯が従動ギヤと上死点で噛合するとき、全ての従動ギヤが上死点で基準ギヤの半径方向角度ラインと一列に整列される溝を有するという点でも有効であり得る。一部の実施形態では、これらの比及び特徴の組み合わせによって、駆動ギヤのギヤ歯の回転と、従動ギヤのギヤ歯及び溝の回転及び位置が接続され、レバー長さと駆動及び従動ギヤの半径位置にかかわらず、駆動及び従動ギヤが噛合及び噛合解除されるとき、駆動及び従動ギヤのギヤ歯が同期化される。従って、駆動ギヤは、小さく増加する可変出力を生成するために、半径方向外側に直動し、及び/又は従動ギヤとの噛合を同期化するために回転することができる。
上述したように、全ての駆動ギヤのギヤ歯が全ての従動ギヤのギヤ歯から噛合解除されて、入力駆動ギヤと出力従動ギヤとの間に如何なる噛合もなければ、又は従動ギヤがトランスミッション入力インターフェースに連結されなければ、トランスミッションによって駆動される負荷は、動力源から効果的に断絶され、トランスミッションが駆動及び従動ギヤを再噛合するまで、及び/又は従動ギヤとトランスミッション入力インターフェースを再噛合するまで、負荷は惰性で進むようになる。従って、動力源との連結が一定に維持されて、エンジンから負荷に一定の動力流れが保たれるのが好ましい環境及び適用分野では、常時噛合があるように、又はトランスミッションのギヤ比を決定する駆動ギヤ及び従動ギヤのギヤ歯の間に本質的に常時噛合と同じく好ましい結果を提供する、少なくとも実質的な常時噛合があるように保証されるのが好ましい。前述したように、これは、例えば基準ギヤ上に中心を有する外部軸周りの旋回経路に駆動ギヤを移動させることで達成できる。噛合が維持される場合、従動ギヤは、自身の各中心周りに集合的に回転して、動力の出力を提供する。また、従動出力ギヤが駆動ギヤの旋回軸からオフセットされる場合、駆動ギヤは、噛合解除された駆動ギヤが基準ギヤのラインに接近及び交差するとき、同期的な噛合のために、常に整列を用意しているように出力ギヤと交互に噛合することができる。更に、常時噛合の好ましい結果を提供する実質的な常時噛合はまた、非常に短時間で行われる直動方向への非常に短い移動によってギヤ比が変更できるように、多くのギヤ比を提供することで維持できる。
開示するトランスミッションの実施形態の例は、一般に2セットの駆動ギヤが3つの従動ギヤと噛合して、3つの従動ギヤを駆動する実施形態に係わるが、このような配置は単に例示に過ぎず、本発明を制限するのではないため、異なる個数の駆動ギヤ、駆動ギヤセット、及び従動ギヤを備える多様な他の配置が用いられ得るという点を理解しなければならない。また、駆動ギヤがムーンギヤ又はスプールギヤであったり、従動ギヤがリングギヤであったりする必要はない。実際に、トランスミッション構成成分は、同期して作動するため、逆モード、順モード、又は中立モードでも、動力はトランスミッションを通じて逆に流れることができる。例えば、トルク流れ経路は、一部の適用分野で好ましい他のトルク流れ経路を生成するために、トランスミッションを通じて逆になり得る。例えば、一部の実施形態の逆トルク流れ経路によって、トランスミッションは、より少ないトルクを有してより速い速度で作動することができる。
また、逆トルク流れ経路によって、リングギヤは駆動ギヤとして作動し、ムーンギヤ又はスプールギヤは、従動ギヤとして作動することができる。従って、このような実施形態では、駆動ギヤが、互いに所定の角度間隔でオフセットされる所定経路に沿って半径方向内側及び外側に直動する間、従動ギヤは、旋回及び回転運動し得るという点も理解できるはずである。しかし、動力の流れが逆になる一実施形態の例において、逆方向動力の流れは、トランスミッションの噛合された中立特徴を除くことができ、及び/又は順方向、中立、逆方向の間における容易な移動を除くことができる。このような一実施形態の例において、噛合された中立特徴と、順方向、逆方向、及び選択的に中立の間における移動は、図9の遊星ギヤセット104のような出力遊星ギヤセットを用いることで実現し得る。遊星ギヤセット104は、3つの遊星ギヤ107に対して回転する1つのサンギヤ106によって駆動されるリングギヤ108を示しているが、これは、単に本発明の一部の実施形態と共に用いられ得る遊星ギヤセットの一実施例に過ぎない。例えば、他の実施形態では、より多い又はより少ない個数の遊星ギヤ107がサンギヤ106周りを回転することができ、リングギヤ108と噛合することができる。
例えば、図1Aのトランスミッション100又は図1Bのトランスミッション100’のようなトランスミッションがトルク流れ経路が逆になる構成を有する一実施形態の例では、トランスミッション入力インターフェース105がトランスミッション出力インターフェースとして作用し、トランスミッション出力インターフェース170がトランスミッション入力インターフェースとして作用する。このような場合に、そして図9に示すように、トランスミッション入力インターフェース170は、トランスミッション100を通じて延びることができ、遊星ギヤセット104の入力サンギヤ106に連結できる一方、トランスミッション出力インターフェース105は、サンギヤ106に対して回転する遊星ギヤ107に連結できる。トランスミッション出力インターフェース105は、各遊星ギヤ107の同一回転を可能にする遊星キャリア(図示せず)を用いることで、各遊星ギヤ107に連結できる。
各遊星ギヤ107はまた、リングギヤ108と噛合する。また、サンギヤ106及び遊星ギヤ107は、互いに常時噛合状態にあり得、従って、新しいトランスミッション入力インターフェース170からの入力RPMが、新しいトランスミッション出力インターフェース105の出力RPMと対立し得る。従って、トランスミッション100が逆方向トルク流れで駆動され、サンギヤ106及び遊星ギヤ107が同じ大きさの場合に、サンギヤ106の入力RPMが遊星ギヤ107の出力RPMと同じ大きさを有するとき、サンギヤ106及び遊星ギヤ107は、無視できる、可能な限りゼロであるリングギヤ108に提供される純出力を有し、これにより遊星ギヤセット104のサンギヤ106と遊星ギヤ107との間に、そして駆動ギヤ121a−fと従動ギヤ132a−cとの間に噛合が維持されつつ、トランスミッションが中立状態に置かれるようになることが分かる。次いで、中立出力状態からトランスミッションを移動させるために、駆動及び/又は従動ギヤの位置は、入力及び出力RPMを変えるように調整できる。このように、トランスミッション出力インターフェース105及び遊星ギヤ106の角速度が、トランスミッションを順ギヤ又は逆ギヤのいずれかに移動させるために変わり得る。
例えば、遊星ギヤ107の角速度を増加させることで、トランスミッション入力インターフェース170が一定の角速度で維持されれば、遊星ギヤ107の角速度は、サンギヤ106の角速度よりも大きくなり、これによりリングギヤ108は、第1方向、例えば時計回りに回転するようになり、トランスミッションが順ギヤに移動される。逆に、遊星ギヤ106の角速度が減少すれば、遊星ギヤ107の角速度は、サンギヤ106の角速度よりも小さくなり、これによりリングギヤ108は、第2方向、例えば反時計回りに回転するようになって、トランスミッションが逆ギヤに移動される。従って、遊星ギヤ107及び/又はサンギヤ106の回転速度のみを調整することで、遊星ギヤセット106は、例えば1つ以上のリングギヤ108、遊星ギヤ107、又はサンギヤ106の回転を抑制するために、例えばクラッチ板やバンドを通じて外力を適用せずに、中立、順方向、又は逆方向状態を提供することができる。
図示の実施形態の例は、トランスミッション入力インターフェース170がサンギヤ106に結合され、トランスミッション出力インターフェース105が遊星ギヤ107に結合されることを示しているが、他の実施形態では、このような関係が変わり得、入力インターフェースがサンギヤ106に結合され、出力インターフェースが遊星ギヤ107に結合されるという点が理解できるはずである。また、一実施形態の例は、同じ大きさを有するサンギヤ106及び遊星ギヤ107を含むことができ、他の実施形態では、サンギヤ106及び遊星ギヤ107が各々異なる大きさを有することができる。例えば、サンギヤ106は、1つ以上の遊星ギヤ107よりも大きいことがあり、他の実施形態では、サンギヤ106が遊星ギヤ107よりも小さいことがある。また、サンギヤ106及び遊星ギヤ107の大きさが互いに異なる場合にも、サンギヤ106及び遊星ギヤ107の角速度がサンギヤ106と遊星ギヤ107との噛合地点で、同じであるが逆方向の大きさであり得る、関連する線速度を有する限り、遊星ギヤセット104は、本願に示すように中立出力状態を形成することができるという点が理解できるはずである。
開示する実施形態の例では、駆動及び従動ギヤを各々スプール及びリングギヤとして示すが、他の実施形態において、駆動及び/又は従動ギヤは、必ずしもスプール又はリングギヤである必要がないという点を理解しなければならない。例えば、一実施形態において、従動ギヤは、リングギヤではなくスプールギヤである。このような実施形態において、従動スプールギヤは、半径方向に移動可能な駆動スプールギヤとの噛合を維持するために、半径方向に移動でき、選択的に、共通の中心軸周りに沿って実質的に同じ角度間隔でオフセットされる所定軸に沿って移動可能である。例えば、3つの従動スプールギヤは各々オフセットでき、他の従動スプールギヤの直動経路に対して約120度の角度間隔でオフセットされる直動経路に沿って半径方向に直動することができる。また、駆動及び従動ギヤが各々スプール又はヘリカルギヤである前記実施形態の例において、従動ギヤの周辺が、駆動ギヤと実質的に常時噛合の状態に維持される仮想ギヤを形成するように、駆動ギヤが従動ギヤの外周辺周りに旋回することができる。他の実施形態の例において、駆動ギヤは、従動ギヤによって形成される周辺内で旋回し、従動ギヤの内部辺が、駆動ギヤと実質的に常時噛合の状態に維持される仮想ギヤを形成する。
駆動ギヤが多重の従動ギヤに噛合する一実施形態の例の概略図が図10Aに示されており、ここで多重の従動ギヤは、例えばスプール又はヘリカルギヤを含むことができる。図示の実施形態において、4つの従動ギヤ532a−dは、90度の同じ角度間隔でオフセットされる。また、図示の実施形態には、同じ角度間隔でオフセットされる4つの駆動ギヤ520a−dが示されており、これらの駆動ギヤは、従動ギヤ532a−dと死点噛合状態にある。従って、本実施形態において、駆動ギヤ520a−dは、従動ギヤ532a−dと90度ごとに上死点で噛合する。一部の実施形態において、そして本願に示すように、駆動ギヤ520a−d及び従動ギヤ532a−dは、半径方向内側及び外側に移動するように構成できる。例えば、駆動ギヤ520a−dは、駆動ギヤ520a−dに係わるレバー長さが増加又は減少し得るように、そして駆動ギヤ520a−dが駆動ギヤのレバーの交差点周りに旋回するときに沿う旋回経路も対応して増加又は減少するように、内側又は外側に移動することができる。同様に、従動ギヤ532a−dは、レバーの交差点及び各従動ギヤ532a−dの中心を通過する直動経路に沿って内側及び/又は外側に移動することができる。従って、図示の実施形態において、従動ギヤ532a−dは、互いに対して90度の間隔でオフセットされる直動経路に沿って直動することができる。このように、従動ギヤ532a−dは、駆動ギヤ520a−dが半径方向に直動することによって、駆動ギヤ520a−dとの噛合を維持するために、半径方向に直動することができる。特に、一部の実施形態では、駆動ギヤ520a−dのみ旋回及び直動し、従動ギヤ532a−dは直動するが、外部中心軸を中心に旋回しない。
上述したように、4つの駆動ギヤ520a−dが4つの従動ギヤ532a−dと噛合する場合、死点噛合は、各駆動ギヤ520a−dが各従動ギヤ532a−dのいずれかと噛合する90度ごとに生じる。図2A−Gに示す実施形態において、3つの従動ギヤ及び2つの駆動ギヤを備える実施形態では、上死点噛合が90度ごとではなく、60度ごとに生じ得るという点が分かる。従って、約37パーセント少ない個数のギヤで、上死点噛合の頻度は150パーセント増加する。
同様の実施形態が図10Bに示されており、この実施形態では、3つの駆動ギヤ520a−cが4つの従動ギヤ532a−dを駆動するのに用いられる。図示の実施形態に示すように、図10Aに示す実施形態から1つの駆動ギヤを取り除くことで、全体ギヤ個数を約12パーセント、駆動ギヤ個数を25パーセント減少させることで、噛合頻度は、図10Aに示す実施形態よりも300パーセント増加して、30度ごとに増加し得るようになる。
駆動及び従動ギヤの個数を変えることで生じる噛合頻度の最終変更は、キャリパのような測定装置に用いられるバーニヤの原理の変形によって説明できる。キャリパの場合において、バーニヤの原理は、基本的な測定原理であって、同じ距離、例えば10分の1インチを取り、これを奇数の増分、例えば25、及び偶数の増分、例えば24で割る。増分の整列に基づいて距離を測定することができる。例えば、24個の増分の線は、25個の増分の線と1000分の1インチごとに整列される。
同様の方法で、本発明の実施形態の例は、入力駆動部材及び出力従動部材を互いに異なる角度間隔でオフセットさせることで、及び/又は、互いに異なる個数の駆動及び従動部材を用いることで、駆動及び従動ギヤの実質的な常時噛合を維持するのに必要な部品の個数を変えるのに採用することができる。しかし、駆動部材に対する従動部材の単一比を要求するのではなく、特定の比は、任意の特定適用分野の要求事項による設計選択の問題である。それにもかかわらず、駆動部材及び従動部材の個数は、駆動部材と従動部材との間の噛合頻度に影響を及ぼし得るという点が分かる。
例えば、表1には、駆動部材及び従動部材の個数が噛合頻度に影響を及ぼし得る方式の一例が提供される。特に、表1は、互いに同じ間隔でオフセットされる駆動及び従動部材の個数を変えるための死点噛合の頻度を提供する。表1には駆動及び従動ギヤの個数によって死点噛合の頻度が言及されているが、本願の開示内容から、噛合の頻度は、単にギヤの総個数だけでなく、駆動及び従動ギヤの互いに異なる位置の個数によって決定できるという点が理解できるはずである。例えば、図1A−Bを参考して説明したように、例えば、トランスミッション100又は100’のようなトランスミッションは、駆動ギヤが2つの軸上に位置決められて、円周りへの2つの互いに異なる駆動ギヤの角度位置のみ存在するが、3つの従動ギヤ及び6つの駆動ギヤを含む。上述したように、このような実施例において、死点噛合は60度ごとに生じる。表1に示すように、このような結果は、3つの従動ギヤ及び2つの駆動ギヤを備えるトランスミッション、又は3つの従動ギヤ及び6つの駆動ギヤを備えるトランスミッションと一致する。
他の実施例において、表1及び本願に示すように、3つの駆動ギヤは、4つの従動ギヤと30度ごとに噛合することができる。しかし、このような噛合は、駆動及び従動部材の個数を変えることで増加し得る。例えば、6つの従動ギヤと噛合するのに5つの駆動ギヤが用いられると、1つの駆動ギヤは、従動ギヤと12度ごとに死点噛合し始める。この時間の間、他の駆動ギヤはまた、他の従動ギヤと噛合及び噛合解除の多様な他の状態になる。また、表1に示すように、単に1つの駆動部材を更に加えることで、噛合が単に60度ごとに1回生じるように、噛合頻度を実際に減少させることができる。
表1に示すように、一般に、駆動ギヤと従動ギヤとの間に奇数−偶数の比が存在する場合、又はその比が奇数−偶数の比で因数分解できるとき、駆動ギヤと従動ギヤとの間に最も頻繁な噛合が生じる傾向がある。例えば、表1に提供される数字において、8つの従動ギヤは、9つの駆動ギヤがあるときに最も頻繁に、即ち5度ごとに上死点で噛合され、7つの駆動ギヤがあるときは、ほぼ頻繁に、即ち6.5度ごとに上死点で噛合される。しかし、8つの従動ギヤと偶数の駆動ギヤとの最も頻繁な噛合は15度ごとであり、これは6つの駆動ギヤが存在するときに生じる。しかし、3つの駆動ギヤのみ、即ち駆動部材の個数の半数でこれと同じ頻度を得ることができる。
図11A−Bを参照して、他の例示的な実施形態に係るトランスミッション600の多様な態様を示す。本願に示す他の実施形態のように、図11A−Bに示す実施形態は、トランスミッション600のギヤ比を決定し、ギヤ比変更を招く駆動及び従動ギヤの間に実質的に常時噛合を維持するように配置されるギヤ又は他の部材を含むことができる。また、駆動ギヤと従動ギヤとの間に実質的に常時噛合を維持することで、トランスミッション600は、駆動ギヤと従動ギヤとの間に、従動ギヤと動力源との間に、そして動力源との間に実質的に常時連結を許容することができる。一部の実施形態では、駆動及び/又は従動ギヤの回転を抑制するクラッチ又は他の機構を含むことができるが、一部の実施形態では、ギヤの回転を抑制する外部ソースがない場合にも、実質的に常時連結が維持できる。しかし、どちらの例でも、トランスミッションは、本願に示すように、一般の作動原理及び同期化を採用することができる。
図示の実施形態において、トランスミッション600は、動力源に連結されて、動力源とトランスミッション600の間にインターフェースとして作用する入力シャフト601を含む。例えば動力源は、エンジンやモータであり得る。このようなエンジン又はモータは、自動車、エレベータ、コンベヤシステム、運動機構、旋盤、又は実質的に所定タイプのエンジンやモータと連結して作動する任意の他のシステム又は装置に関連し得る。従って、トランスミッション600は、移動車両、又は任意の他の特定タイプの動力源との使用に制限されるのではなく、多様且つ広範な適用分野における任意のタイプの動力源であり得るという点を理解しなければならない。より具体的に、トランスミッション600は、多重のギヤ比が要求される任意の適用分野に用いることができる。
図示の実施形態において、入力シャフト601が動力源から動力を受ければ、入力シャフトは、自身の軸を中心に回転する。このような回転を容易にするために、入力シャフト601は、入力ベアリング602を用いることで、回転のために軸支することができる。入力ベアリング602は、一部の実施形態において、例えばトランスミッションハウジング及び/又は他の構造物に固定されることで、適所に固定できる。
入力ベアリング602に隣接して、トランスミッション600は、入力シャフト601が貫通して延びる開口を含むことができる基準リング603を含むことができる。基準リング603は、一部の実施形態では、本願で説明する基準ギヤであり、入力シャフト601が回転するとき、回転されないように固定される。基準リング603はまた、トランスミッションハウジング(図示せず)、入力ハウジング601、又は他の支持部に固定できる。例えば、基準リング603は、トランスミッションハウジングに直接固定できる。他の実施形態において、基準リング603は、例えばトランスミッションハウジングに固定される入力ベアリング602に連結されることで、トランスミッションハウジングに間接固定できる。
選択的に、入力ハウジング610が提供されることもある。一部の実施形態の例において、入力ハウジング610は、入力シャフト601に固定して回転されるように適合され、トランスミッション600の駆動ギヤを回転させる。入力ハウジング610は、入力シャフト601に、例えば溶接、機械的締め具、又は他の適切な取り付け手段によって固定できる。従って、入力シャフト601の回転によって、取り付けられた動力供給部も入力ハウジング610を回転させる。図示の実施形態において、入力ハウジング610は、外周付近に多重の開口部を更に含むことができ、この開口部内にはベアリングが挿入され、その内部で回転する1つ以上の駆動シャフト604が収容される。開口部は、入力ハウジング610に任意の適切な方法で提供することができる。例えば穴は、ドリル又はリーマ、鋳造又は成形、あるいは任意の他の適切な方法で設けることができる。
図11Aに更に示すように、タイミングギヤ605が駆動シャフト604に取り付けられ、このタイミングギヤ605は、基準リング603と対となり得る。タイミングギヤ605は、例えば、基準リング603と噛合するスプール又はヘリカルギヤを含むことができ、基準リング603上のインボリュートギヤ歯と対となるインボリュートギヤ歯を含むことができる。結果的に、例えば入力シャフト601を回転させることで、入力ハウジング610が回転される場合、入力ハウジング610は、タイミングギヤ605を基準リング603周りに回転及び旋回させ、これにより駆動シャフト604を回転させる。これに関して、少なくともタイミングギヤ605は、図1Aの比率基準ギヤ114が作動する方式と同様に作動することができる。
駆動シャフト604にはまたピボット駆動ギヤ611(図11Bの実施形態の例では、集合的に「A」ギヤと示す)が固定できる。従って、駆動シャフト604が回転する場合、ピボット駆動ギヤ611も回転する。駆動シャフト604の回転を容易にするために、入力制御リンク613は、ピボット駆動ギヤ611の各側面に位置決められ、駆動シャフト604が支持及び/又は回転し得るように開口部及び対応ベアリングを含むことができる。また、ピボット駆動ギヤ611は、ピボット駆動ギヤ611の回転によって回転される駆動ギヤ612(図11Bの実施形態の例では、集合的に「B」ギヤと示す)と対となり得る。入力制御リンク613は、内部軸を中心に回転するムーンシャフト(図示せず)を収容する開口部及び対応ベアリングを更に含むことができる。
図示の実施形態において、入力リンク制御ギヤ606は、各駆動シャフト604上に取り付けられ、入力ハウジング610と第1入力制御リンク613との間に位置決められる。従って、入力リンク制御ギヤ606は、例えば一部の実施形態では、インボリュートであり得る、対となるギヤ歯を用いることで、第1チューブギヤ637と噛合し、その周りを回転することができる。本願に示すように、チューブギヤ637は、連結された制御チューブ634が回転するときに回転することができ、これにより入力リンク制御ギヤ606が回転される。一部の実施形態の例において、入力制御リンク613は、入力リンク制御ギヤ606が回転するときに回転するシャフト(図示せず)に結合されて、入力リンク制御ギヤ606の回転結果として、入力制御リンク613が回転し、更に駆動ギヤ612がピボット駆動ギヤ611周りに少なくとも部分的に旋回される。従って、駆動ギヤ612は、ピボット駆動ギヤ611周りに直動するように移動できる。従って、駆動ギヤ612は、ピボット駆動ギヤ611周りへの曲線経路に沿って内側及び/又は外側に直動し、これにより入力ハウジング610の中心と整列された軸に対して半径方向に移動される。このように駆動ギヤ612がピボット駆動ギヤ611周りに内側又は外側に移動することは、タイミングギヤ605による駆動ギヤ612の旋回によって、駆動ギヤ612の沿う旋回経路を更に変更させることができる。結果的に、駆動ギヤ612と、駆動ギヤ612が旋回する軸との間のレバー長さ、そして駆動ギヤ612の旋回経路の長さも増加又は減少する。
本願に示すように、入力制御リンク613は、入力制御リンク613を回転させるシャフト(図示せず)に結合できる。一部の実施形態の例において、シャフトは、入力制御リンク613が当該シャフトを中心に回転する場合、入力制御リンク613に連結された駆動ギヤ612の位置が変わるように、入力制御リンク613の中心からオフセットされる。例えば、図11Aに示す配置例において、入力制御リンク613は、駆動ギヤ612の半径方向位置がピボット駆動ギヤ611の半径方向位置内部にある内側位置に駆動ギヤ612が位置するように、内側構成で配置される。より詳細に、駆動ギヤ612と、駆動ギヤ612が旋回する軸との間の距離、即ちレバー長さが、前記同一軸とピボット駆動ギヤ611との間の距離よりも短い。駆動ギヤ612が各ピボット駆動ギヤ611周りに直動することによって、駆動ギヤ612の位置は変わり得る。例えば、一実施形態において、駆動ギヤ612は、ピボット駆動ギヤ611周りの曲線経路に沿って外側位置に直動しつつ、レバー長さが変わるように半径方向に直動することができて、駆動ギヤ612の半径方向位置は、ピボット駆動ギヤ611の半径位置外にある。より詳細に、外側位置において、駆動ギヤ612と、駆動ギヤ612が旋回する軸との間の距離、即ちレバー長さは、前記同一軸とピボット駆動ギヤ611との間の距離よりも大きい。例えば、図11A−Bの配置を有する一実施例では、駆動ギヤ612がピボット駆動ギヤ611周りに直動されるとき、駆動ギヤ612は、内側位置から外側位置に移動することができる。ムーン駆動ギヤ612の外側位置の一例が、図11A−Bで仮想線で示すムーン駆動ギヤ617として示されている。
ムーン駆動ギヤ617の外側位置が1つ示されているが、トランスミッション600の各ムーン駆動ギヤ612は、対応外側位置に移動することができ、ムーン駆動ギヤ617は、各駆動ギヤ612の外側位置の一例を示す。また、図11A−Bには、駆動ギヤ612の位置が2つのみ示されているが、このような配置は単に例示に過ぎない。実際に、一部の実施形態の例において、駆動ギヤ612は、ピボット駆動ギヤ611周りの任意の位置に移動することができ、入力シャフト601と整列される軸周りに駆動ギヤ612が旋回するとき、駆動ギヤ612の沿う旋回経路の長さが、非常に多数の長さの間で、好ましくは無限個数の長さの間で変わり得る。本願に示すように、一部の実施形態において、従動ギヤ614との噛合は、駆動ギヤ612の旋回経路の変更中に維持できる。他の実施形態では、駆動ギヤ612及び従動ギヤ614の噛合が不連続の旋回経路でのみ生じ、トランスミッション600内で不連続ギヤ比が提供される。しかし、前述したように、本発明の実施形態は、旋回経路における非常に小さい対応する変更によって不連続ギヤ比が維持できるようにする。例えば、各ギヤ比は、分数を含まないギヤ歯増分で維持できる。結果的に、ギヤ比変更を果たすために、非常に小さい直動方向移動が要求される。従って、従動ギヤ614がピボット駆動ギヤ611周りに直動することで、例えば10、20、30、又はより多くの他の不連続ギヤ比が提供できる。
駆動ギヤ612はまた、従動ギヤである出力ムーンギヤ614(図11Bで、集合的に「D」ギヤと示す)と対となって噛合することができる。従って、例えばピボット駆動ギヤ611の回転結果としてムーンギヤ612が回転する場合、図示の実施形態の例において、出力ムーンギヤ614も回転できる。駆動ギヤ612及び従動ギヤ614が同じ半径を有する必要はないが、入力駆動ギヤ612及び出力従動ギヤ614が同一半径の場合、回転する駆動ギヤ612は、入力ムーンギヤ612が回転する角速度と同じ角速度で従動ギヤ614を回転することができる。各々の場合に、駆動ギヤ612が従動ギヤである出力ムーンギヤ614と噛合する場合、出力ムーンギヤ614も自身の各中心軸を中心に回転する。一部の実施形態において、駆動ギヤ612と従動ギヤ614との噛合は、駆動ギヤ612が旋回経路に沿うときに交互に生じる。例えば、駆動ギヤ612が外部の軸周りに旋回する間、従動ギヤ614は、外部の軸周りに集合的に旋回しないように適合できる。このような実施例において、駆動ギヤ612が前記外部の軸周りに旋回することによって、各駆動ギヤ612は、各ムーン従動ギヤ614と噛合及び噛合解除することができる。結果的に、各従動ギヤ614は、多様な駆動ギヤ612によって交互に噛合されている。また、一部の実施例において、駆動ギヤ612が旋回運動する任意の段階において、少なくとも1つの駆動ギヤ612が少なくとも1つの従動ギヤ614と噛合されるように、駆動ギヤ612及び従動ギヤ614が配置される。このように、駆動ギヤ612は、従動ギヤ614と実質的に常時噛合を維持することができる。
このような実施形態の例において、従動ギヤ614はまた、出力制御リンク615に連結される。出力リンク制御リンク615は、出力リンク制御ギヤ640に更に連結でき、この出力リンク制御ギヤ640は、制御チューブ681によって回転が制御される第2チューブギヤ636周りに回転する。従って、第2チューブギヤ636が回転する場合、チューブギヤ636によって出力リンク制御ギヤ640が回転できる。また、出力リンク制御ギヤ640は、出力制御リンク615と結合でき、出力制御リンクギヤ640の回転によって、出力制御リンク615も回転される。出力ギヤ614は、例えば出力制御リンク615の中心からオフセットされたシャフトによって、出力制御リンク615に更に結合されることもある。一実施形態において、出力制御リンク615が回転する場合、出力制御リンク615は、従動ギヤ614を出力ピボットギヤ607(図11Bで、集合的に「C」ギヤと示す)周りの曲線経路に沿って直動させる。
一部の実施形態において、そして本願に示すように、制御チューブ634の回転は、第1チューブギヤ637を入力シャフト601の回転に対して回転させるが、制御チューブ681の回転は、第2チューブギヤ636を回転させる。従って、制御チューブ634、681の回転によって、各駆動ギヤ612及び従動ギヤ614は、少なくとも部分的に各ピボットギヤ607、611周りに回転することができる。従って、駆動ギヤ612が旋回する軸、例えば入力シャフト601と整列された軸に対して、半径方向内側及び外側に駆動ギヤ612及び/又は従動ギヤ614が移動できて、駆動ギヤ612と入力シャフト601との間のレバー長さが増加又は減少するようになる。制御チューブ634、681の回転が同期化されて、回転が同時又はほぼ同時に生じると、制御リンク613、615の回転も同期化でき、これにより駆動ギヤ612及び従動ギヤ614の半径方向の直動も同期化される。特に、出力制御リンクギヤ640及び入力制御リンクギヤ606は、第2チューブギヤ636及び第1チューブギヤ637によって各々回転でき、従動ギヤ614の半径方向位置決めが駆動ギヤ612の半径方向位置決めとほぼ同時に制御される。結果的に、駆動ギヤ612及び従動ギヤ614は、入力シャフト601の中心軸と、駆動ギヤ612及び従動ギヤ614との間の距離が変わる場合、実質的に常時噛合のための整列状態を維持することができる。他の方式で表現すれば、駆動ギヤ612のレバー長さが変わることによって、そして、例えば入力シャフト601周りへの駆動ギヤ612の旋回経路の長さが変わることによって、駆動ギヤ612は、例えば自身の各中心軸周りに回転し、そして対応する半径方向距離を移動する従動ギヤ614と実質的に常時噛合を維持する。トランスミッション100、100’の実施例について前述したように、このような噛合は、例えば摺動式ギヤ比変更をするトランスミッションにおけるギヤ比変更中に、又は段階式ギヤ比変更をするトランスミッションにおける不連続ギヤ比で維持できる。図11A−Bのトランスミッション600について、各々の場合において、従動ギヤ614の最外部、即ち制御チューブ634の中心から最も遠い距離である従動ギヤ614の部分が、図11Bに仮想線で示す仮想ギヤ651を形成する。
図11Bの実施形態の例で最も好適に示されているように、入力ハウジング610が回転する場合、駆動ギヤ612も、一部の実施例では入力シャフト601及び/又は制御チューブ634、681の中心と整列される入力ハウジング610の中心周りを旋回することができる。従って、駆動ギヤ612は、入力ハウジング610の中心から最も遠い距離である従動ギヤのエッジに沿って従動ギヤ614の外周周りに延びる旋回経路に沿うが、他の実施形態において駆動ギヤは、従動ギヤの内部周りの旋回経路、例えば入力ハウジング610の中心に最も近い従動ギヤ614のエッジに沿う旋回経路に沿うことができる。従って、従動ギヤ614は、半径方向外側に移動して、自身の外側エッジと入力ハウジング610の中心との間の距離が増加し、駆動ムーンギヤ612は、同期して又はほぼ同期して半径方向に移動でき、その結果、駆動ギヤ612と従動ギヤ614との間に実質的に常時噛合が維持される。他の方式で表現すれば、従動ギヤ614が半径方向外側に直動する場合、仮想ギヤ651の大きさが増加し、駆動ギヤ612は、仮想ギヤ651と実質的に常時噛合を維持するために、ほぼ同時に半径方向外側に対応して直動することができる。このような噛合は、例えば駆動ギヤ612及び従動ギヤ614が半径方向内側又は外側に摺動するとき、駆動ギヤ612と従動ギヤ614との常時噛合を維持するトランスミッションで、ギヤ比変更中に維持できる。他の方法で、駆動ギヤ612と従動ギヤ614との噛合は、例えばギヤ比の間の段階が駆動ギヤ612及び従動ギヤ614の不連続位置で形成されるトランスミッションでギヤ比変更が生じる場合、一時的に停止されることもある。
本願に示すように、トランスミッションがギヤ比の間で滑るように行われても、又は段階的に行われても、トランスミッションは、本質的に同じ結果を提供することができる。例えば、駆動ギヤ612と、駆動ギヤ612が旋回する軸との間の半径方向距離を変えることで、ギヤ比を変更させる摺動式又は段階式トランスミッションで、運動量又はトルクスパイクの損失は殆ど無視できる。図示の実施形態において、例えば駆動ギヤ612は、入力ハウジング610の中心と整列された軸周りに回転及び旋回する。結果的に、制御リンク613、615及びピボットギヤ607、611は、集合的に及び個別的に、非常に多数のギヤ比、可能な限り無限個数のギヤ比を形成するために、駆動及び従動ギヤが半径方向に移動するとき、駆動ギヤと従動ギヤとの間に実質的に常時噛合が維持されるように、駆動ギヤ及び従動ギヤを同期化するための手段を実現する構成の実施例である。
5つの従動ギヤ614を含む配置の実施例において、仮想ギヤ651は、従動ギヤ614と整列される丸まったコーナ部を有する一般的な五角形である。しかし、本願の開示内容から、仮想ギヤ651の形状は変わり得るという点が理解できるはずである。一般に、例えばより多くの従動ギヤが加えられることによって、仮想ギヤ651の形状は、円に近くなっていく。他の実施形態において、仮想ギヤの形態は、円形の仮想ギヤによって境界線が描かれる多角形の頂点に従動ギヤが位置決められる円として常にみなされ得る。例えば、図示の実施形態において、仮想ギヤ651は、仮想ギヤ651によって境界線が描かれる一般的な五角形の頂点に各駆動ギヤ618が位置決められる円形であり得る。また、従動ギヤ614が半径方向外側又は内側に移動することによって、仮想ギヤ651の大きさも対応して増加又は減少する。従って、駆動ギヤ614は、多数の、可能な限り無限個数の互いに異なる大きさを有する仮想ギヤ651を形成するように、任意の多様な半径方向位置に位置決められる。
前述したように、駆動ムーンギヤ617の位置のような外側位置に駆動ギヤ612が移動される場合、駆動ギヤ612によって取られる旋回経路の長さは増加する。このように、例えば入力ハウジング610の中心と整列される軸のような外部軸周りに駆動ギヤ612を一定の角速度で旋回させる一定の回転入力は、図11A−Bに示す位置で駆動ギヤ617が駆動ギヤ612よりも大きい線速度を有するようにする。これは、駆動ギヤ617が駆動ギヤ612よりも長い旋回経路に沿い、これにより回転当たりより大きい弧長さを移動しなければならないためである。駆動ギヤ612が従動ギヤ614と対となり、これにより従動ギヤ614が駆動される場合、このような増加した線速度は、噛合地点で従動ギヤ614によって共有される。従って、自身の中心を中心に回転するが、旋回しないことがある従動ギヤ614は、増加した線速度及び角速度を経験する。結果的に、ギヤ比の増加が実現される。ギヤ比変更は、駆動ギヤ612が半径方向外側に移動する経路上の任意の二地点の間で、駆動ギヤ612を直動させることで実現し得るという点も理解できるはずである。例えば、経路660上の任意の二地点の間で駆動ギヤ612を移動させることで、これに対応してギヤ比が増加又は減少し得る。また、経路660が駆動ギヤ612が回転できる任意の個数の不連続又は連続地点を有し得る限り、駆動ギヤ612は、任意の多数の、可能な限り無限個数の互いに異なる旋回経路に沿うことができ、多数の、可能な限り無限個数のギヤ比が実現し得る。
駆動ギヤの個数と従動ギヤの個数との関係は、適切に任意に変えられる。例えば、一実施形態では、同数の駆動及び従動ギヤが存在する。他の実施形態では、互いに異なる個数の駆動及び従動ギヤが存在する。また他の実施例として、偶数の入力ムーンギヤが奇数の出力ムーンギヤと共に用いられたり、その逆に用いられることが予想される。例えば、前述したように、3つの出力従動ギヤが2つの駆動ギヤと共に用いられ得る。図11Bに示すように、他の実施形態では、5つの従動ギヤが8つの駆動ギヤと共に用いられる。
より具体的に、図11Bは、図11Aに示すトランスミッション600の部分断面図を示し、ここでは、8つの駆動ギヤ612(集合的に「B」ギヤと示す)が5つの従動ギヤ614(集合的に「D」ギヤと示す)と噛合する。図示の実施形態において、駆動ムーンギヤ612及び従動ムーンギヤ614は、各々45度及び72度の角度間隔で等しく離隔されて位置決められるが、任意の他の特定個数の駆動ギヤ及び/又は従動ギヤが用いられ、各ムーン駆動ギヤ間隔及びムーン従動ギヤ間隔も変えられる。駆動ギヤ612は、自身の各中心を通過する軸に対する回転と、入力ハウジング610の中心を通過する軸に対する集合的な旋回を含んで多様に回転する。駆動ギヤ612の旋回運動の結果として、駆動ギヤ612は、駆動ギヤ612が旋回運動する多様な段階の間、従動ギヤ614と多様な角度で一定に噛合及び噛合解除している。例えば、図示の実施形態において、そして表1に示すように、入力シャフト601の90度回転ごとに、8つの駆動ギヤ612のうち1つが5つの従動ギヤ614のうち1つと死点噛合するようになる。図11Bに示すように、1つ以上の駆動ギヤ612が1つ以上の従動ギヤ614と噛合する間、他の駆動ギヤ612及び従動ギヤ614も多様な噛合段階にあり得る。
図11Aに示す実施形態において、従動ギヤ614はまた、出力ピボットギヤ607(図11Bで、集合的に「C」ギヤと示す)と噛合する。結果的に、従動ギヤ614が駆動ギヤ612と噛合されて、駆動ギヤ612によって回転される場合、従動ギヤ614は、出力ピボットギヤ607を自身の各軸に対して回転させる。各ピボット従動ギヤ607は、ピボットシャフト620に更に結合される。選択的に、ピボットシャフト620は、例えば、出力ハウジング616に備えられる穴及びベアリングを用いることで、出力ピボットギヤ607から出力ハウジング616を通過する。一部の実施形態で出力ハウジング616は、トランスミッションハウジング(図示せず)に連結されることもある。
図11Aに示すように、ピボットシャフト620は、出力ギヤ621に延びて出力ギヤ621と連結され得、本実施形態の例で出力ギヤ621は星ギヤである。結果的に、任意の出力ピボットギヤ607がムーン従動ギヤ614によって回転されることで、ピボットシャフト620は、対応する出力ギヤ621を回転させる。次いで、出力ギヤ621は、出力遊星リングギヤ622と噛合することができる。各出力ギヤ621が出力遊星リングギヤ622と噛合し得るため、各出力ギヤ621の回転は、各出力ギヤ621が自身の各中心に対して同じ回転を維持するように接続される。出力ギヤ621が接続されることで、ピボットシャフト620、ピボットギヤ607、及びムーン従動ギヤ614の回転も接続され、その結果、ムーン従動ギヤ614がムーン駆動ギヤ612によって噛合されるか否か、そして何度に噛合されているかにかかわらず、各ムーン従動ギヤ614は、自身の各中心軸に対して同じ回転を維持する。
本実施形態において、遊星リングギヤ622は、遊星ギヤ623と噛合する内部ギヤ形状を含む。従って、出力星ギヤ621の回転は、遊星リングギヤ622を回転させ、これにより遊星ギヤ623と噛合して遊星ギヤ623を回転させる。遊星ギヤ623は、比例する出力ヨーク630に、例えば伸長部625を用いて更に連結できる。伸長部625が遊星ギヤ623によって回転されることによって、出力ヨーク630も回転される。このような配置によってトランスミッション600から動力の出力が可能になる。また、トランスミッション600は、任意の適切な方法で負荷又は動力シンクに連結できて、出力ヨーク630もトランスミッション600の動力の出力を提供するためのインターフェースとして作用することができる。
選択的に、例えば、サンギヤであり得る入力ギヤ624が入力シャフト601に取り付けられて、各遊星ギヤ623と噛合することができる。このような配置で出力遊星リングギヤ622は、トランスミッション600への動力の入力を出力星ギヤ621の回転と関係づけることができ、これはトランスミッション600の中間出力である。特に、遊星ギヤ623及び入力サンギヤ624が同じ大きさの場合、そして遊星ギヤ623が入力サンギヤ624の回転角速度と同じ角速度で、リングギヤ622によって自身の各中心軸を中心に回転される場合、遊星ギヤ623は、入力サンギヤ624と直接の対立関係にあり、これにより出力ヨーク630に、無視できる、可能な限りゼロである出力が招かれる。つまり、駆動ギヤ612は従動ギヤ614との噛合が維持されるが、トランスミッション600は中立出力状態にある。このように、駆動及び従動ギヤが噛合され、自身各々の回転及び旋回運動を継続するにもかかわらず、噛合中立状態が実現される。従って、トランスミッション600は、負荷から動力源の連結を断絶する必要なく、また駆動及び従動ギヤの連結を断絶する必要なく、そしてトランスミッション600内で任意の駆動又は従動ギヤの回転を遅延させたり停止させる機構を必要とせず、中立出力状態にあることができる。出力ギヤ621が遊星ギヤ623を入力サンギヤ624よりも速く回転させる範囲で、出力ヨーク630は、トランスミッション600における順方向出力を生成する一方、入力サンギヤ624の回転に比べ、遊星ギヤ623がより遅く回転する場合には逆方向出力が招かれる。入力星ギヤ621及び出力遊星ギヤ623は、一実施形態の例において、同じ大きさであるが、このような特徴を必ずしも必要とするのではない。例えば、他の実施形態の例において、入力星ギヤ621及び出力遊星ギヤ623の各大きさは変わり得る。入力星ギヤ621及び出力遊星ギヤ623が互いに異なる大きさを有する場合、出力遊星ギヤ623及び入力星ギヤ621の互いに異なる角速度にもかかわらず、トランスミッション600は、中立出力状態に置かれることがある。
本願で検討したように、トランスミッション600は、不連続増分を有するギヤ比の間で、又は実質的に連続的な、可能な限り無限に小さい増分を有するギヤ比の間で変更するための機構を更に含むことができる。結果的に、トランスミッション600は、ギヤ比の間で段階的に行われたり滑るように行われ、これにより小グループの不連続ギヤ比のみの使用に依存せず、そしてトルクスパイクなしに、又はトランスミッションや関連する駆動トレインに損傷を与えるほどの大きいトルクスパイクなしに、ギヤ比を変更する、変速トランスミッションが提供される。図示の実施形態において、移動レバー631がピボット632にヒンジされる。移動レバー631がピボット632を中心に回転される場合、移動レバー631の回転は、本実施形態で入力シャフト601と同軸である制御チューブ634周りに位置決められた移動制御ベアリング633を変位させる。
一実施形態の例において、制御チューブ634は、一般に入力シャフト601の回転と同じ回転を維持するように適合される。従って、移動制御ベアリング633の内部側にパイロットベアリング(図示せず)が固定でき、制御チューブ634及び入力シャフト601にパイロットベアリングが固定でき、パイロットベアリングが制御チューブ634及び入力シャフト601と共に回転することができる。パイロットベアリングは、制御チューブ634に形成された制御溝635に沿って移動するように適合でき、入力シャフト601内部の溝(図示せず)内部に固定できる。一実施形態の例において、制御溝635及び入力シャフト601の溝は、互いに異なる経路を有することができる。その結果、移動制御ベアリング633の前後方向移動は、制御溝635によって輪郭が形成された経路に沿い、制御チューブ634が入力シャフト601の回転とは異ならせて回転される。結果的に、制御チューブ634は、入力シャフト601の回転に対して回転する。制御溝635は、任意の適切な経路を含むことができる。例えば、図示の実施形態において、制御溝635は、螺旋形の伸長した「S」構成を有するが、これは単に可能な一構成である。入力シャフト601の溝も任意の適切な経路を有することができる。例えば、一実施例において、入力シャフト601の溝は直線である。
一実施形態の例において、移動レバー631は、第2ピボット680で移動制御ベアリング630の外部に結合できる。従って、移動レバー631がピボット632を中心に回転され、移動制御ベアリング633が変位される場合、移動レバー631の回転は、第2ピボット680を更に制御チューブ634に対して軸方向に移動させる。一部の実施形態の例では、第2制御チューブ681はまた、移動制御ベアリング633周りに位置決められ、場合によっては、制御チューブ634周りに位置決められる。第2ピボット680は、第2制御チューブ681に形成された第2制御溝682内に位置決められて、第2ピボット680が第2制御溝682に沿って移動することによって、第2ピボット680は、制御チューブ634に対して軸方向に移動する。従って、移動制御ベアリング633の前後方向移動はまた、第2ピボット680を第2制御溝682によって形成された経路に従わせる。第2制御溝682はまた、任意の適切な経路を含むことができる。例えば、一実施形態において、第2制御溝682は、制御溝635と同様の構成を有する。一例として、制御溝635が螺旋形構成を有すれば、第2制御溝682も制御溝635の真上に位置づけられる又は制御溝635からオフセットされる螺旋形構成を有することができる。
また、移動制御ベアリング633及び第2ピボット680は、各々入力リンク制御ギヤ606及び出力リンク制御ギヤ640に更に接続できる。結果的に、移動制御ベアリング633及び第2ピボット680の前後方向移動は、制御チューブ634、681を回転させたり、制御チューブ634、681を入力シャフト601に対して回転させたりすることができて、入力リンク制御ギヤ606及び出力リンク制御ギヤ640が回転される。特に、制御ベアリング633が制御チューブ634に沿って軸方向に移動し、制御チューブ634が入力シャフト601に対して回転することによって、制御チューブ634が回転するようになる。同様に、第2ピボット680が第2制御チューブ681に沿って軸方向に移動する場合、第2制御チューブ681が回転する。制御チューブ634はまた、チューブギヤ636、637に結合できる。従って、制御チューブ634が入力シャフト601に対して回転する場合、チューブギヤ636、637も回転し、これにより入力リンク制御ギヤ606及び出力リンク制御ギヤ640が回転される。入力リンク制御ギヤ606が回転する場合、入力制御リンク613がこれと共に同時に回転し、入力制御リンクに取り付けられた駆動ギヤ612が、例えば直動経路660に沿ってピボット駆動ギヤ611周りに同期して直動されて、駆動ギヤ612に係わるレバーが変わる。同様の方式で、第2制御チューブ681は、チューブギヤ636に結合できて、第2制御チューブ681が回転する場合、チューブギヤ636も回転することができ、これにより出力リンク制御ギヤ646が回転するようになる。出力リンク制御ギヤ640が回転する場合、出力制御リンク615も回転するようになる。出力制御リンク615は、例えば、直動経路661に沿って出力ピボットギヤ657周りに直動するようになる従動ギヤ614に更に結合できる。結果的に、制御チューブ634、681、チューブギヤ636、637、リンク制御ギヤ606、640、及び制御リンク613、615は、集合的に及び個別的に、任意の多数の連続ギヤ比を形成するために、駆動ギヤ及び従動ギヤが半径方向に移動するとき、駆動ギヤと従動ギヤとの間に実質的に常時噛合を維持するように、駆動及び従動ギヤを同期化する手段を実現する構成の一実施例である。
制御チューブ634、681、チューブギヤ636、637、制御リンク613、615、及び/又はリンク制御ギヤ606、640、又は任意の他の等価構成を用いることで、駆動ギヤ612及び従動ギヤ614は、駆動ギヤ612が旋回する軸に対して1つ以上の半径方向に同期して移動できるが、他の実施形態では、制御チューブ634、681が互いに独立して回転するという点が理解できるはずである。このような関係は更に、駆動ギヤ612が自身が旋回するときに移動しなければならない弧長さを増加又は減少させる。本願に示すように、このような増加又は減少される弧長さは、駆動ギヤ612に係わる線速度を増加又は減少させ、これにより噛合地点で対応する線速度を有する従動ギヤ614の出力も増加又は減少され、そして対応角速度で回転される。また、駆動ギヤ612がピボット駆動ギヤ611周りの任意の位置に移動し得るため、駆動ギヤ612は、多数の不連続位置、又は可能な限り無限個数の連続位置のうち任意の位置に交互に位置決められ、これにより更に本願に示すように多数の、可能な限り無限個数の旋回弧長さ及びギヤ比が提供される。
また、移動レバー631、ピボット632、第2ピボット680、及び制御ベアリング633による入力リンク制御ギヤ606及び出力リンク制御ギヤ640の同期運動が、入力ムーンギヤ612を出力ムーンギヤ614と噛合状態に維持させて、入力ムーンギヤ612の旋回時に弧長さが変わる場合、実質的に常時噛合が維持される。特に、レバー長さが変わるとき、実質的に常時噛合が維持され、その結果、レバーの増加によって弧の距離が増加し、これにより出力ムーンギヤ614は、より大きい角速度で回転される。同様に、レバー長さが減少するようにレバー長さが変わると、旋回経路の弧長さも減少し、これにより出力ムーンギヤ614は、より少ない角速度で回転される。
一実施形態に係るトランスミッション600は、ギヤ比変更中に駆動ギヤ612と入力シャフト601との連結を維持する。しかし、他の実施形態によれば、駆動ギヤ612の回転運動及び/又は旋回運動は、ギヤ比変更が行われる少なくとも短時間の間、入力シャフト601の回転から分離できる。例えば、図1Bのトランスミッション100’と同様に、トランスミッション600は、噛合時に駆動ギヤ612の旋回運動及び/又は回転運動を停止させる1つ以上のクラッチ(図示せず)を含むことができる。例えば、クラッチは、入力シャフト601と入力ハウジング610との間に位置決められる。結果的に、入力シャフト601が回転するときにクラッチが噛合される場合、入力ハウジング610は回転しない。従って、入力ハウジング610は回転せず、駆動ギヤ612も回転又は旋回しない。
本願の開示内容によれば、クラッチの上記位置決めは、単に一例に過ぎないという点が理解できるはずである。例えば、他の実施形態において、クラッチ(図示せず)は、付加的に又は他の方法で、入力ハウジング610と駆動ギヤ612との間に配置できる。従って、このような実施形態でクラッチが噛合されることで、駆動ギヤ612は、集合的に継続して旋回することができるが、入力ハウジング610が回転するときに駆動ギヤ612の回転が停止されることがある。
図1Aのトランスミッション100について前述したように、一部の適用分野ではトランスミッション600を通じるトルク流れを逆にするのが好ましいこともある。例えば、一実施形態において、トランスミッション600が噛合中立状態から順方向ギヤを開始する場合、低いトルク出力を有するのが好ましいことがある。従って、他の実施形態では、トランスミッション700を通じるトルク流れが逆になり、中立状態から低いトルク特性又は他の好ましいトルク流れ特性が実現される。例えば、このような実施形態において、動力は、トランスミッション入力インターフェースとして作用するヨーク630を通じて入力される。トルク流れが逆になって、出力ムーンギヤ614は、駆動ギヤとして作動し、従動ギヤとなる入力ムーンギヤ612と噛合されて、入力ムーンギヤ612を駆動させる。ムーンギヤ614が回転する場合、ムーンギヤ614はまた旋回し、これにより入力シャフト601は回転するようになり、入力シャフト601は、動力の出力を提供するインターフェースとして作動するようになる。
ある場合には、選択的な噛合中立特徴を容易にするために、トランスミッション600を通じるトルク流れを逆にすることに調整が必要なこともある。従って、図9に関して前述したように、噛合中立状態は、遊星ギヤセットを用いることで実現し得る。特に、ヨーク630における入力は、トランスミッション600を通じて搬送でき、シャフト601の動力の出力に連結される多様なムーンギヤに対して回転するサンギヤに連結できる。このように、入力及び出力RPMは、対立関係に置かれるようになる。従って、噛合地点でサンギヤ及び遊星ギヤの線速度が同じ大きさを有する場合、サンギヤ及び遊星ギヤは、集合的にリングギヤに如何なる出力も提供しない。従って、トランスミッション600は、噛合中立状態になる。しかし、入力又は出力RPMが他方よりも増加すると、可能な限り低いトルクで作動する順方向出力が得られたり、逆方向出力が得られたりする。
従って、多様な適用分野に必要な噛合頻度及びギヤ個数を変更するために、多様なタイプ及び多様な個数の駆動及び従動ギヤとギヤセットのうち、任意のものが用いられるという点が分かる。実際に、各適用分野では互いに異なるセットの事項が要求され得るという点が予想され、多様なタイプ及び多様な個数のギヤを有する長所及び特徴は、どのような、そしていくつの駆動ギヤ及び従動ギヤを用いるかを決定するのに評価されなければならない。例えば、一部の実施形態において、そして図1A−Bについて前述したように、従動ギヤは、入力スプールギヤによって駆動されるリングギヤであり得る。他の実施形態では、従動ギヤが駆動ギヤになるように、トランスミッションを通じるトルク流れが逆になり得る。このような実施形態において、各リングギヤは、スプールギヤの旋回に有利な内部アーチを有し、これによりスプール又はヘリカルギヤによって許容されるものよりも長い弧の経路上で駆動ギヤ及び従動ギヤの噛合が維持できる。従って、より小さい個数の総部品でより一定する噛合を維持するために、リングギヤが好ましいことがある。
しかし、リングギヤは、図11A−Bに示す外部の従動スプールギヤよりも大きいことがある。リングギヤと逆に、外部従動ギヤの曲率は、駆動ギヤの曲線旋回経路と対照をなし、リングギヤによって維持されるものよりも短い各弧の経路上で噛合が維持できる。従って、一実施例で従動スプールギヤが用いられると、駆動ギヤと従動ギヤとの間に全体噛合を増加させるために、より多くの従動ギヤが用いられ得る。
また、トランスミッションの大きさ及び/又は重さが臨界設計パラメータである適用分野では、トランスミッションにおけるギヤの個数及び/又は大きさを最小化するのが好ましいことがある。一方、動力源が大きな負荷を支持していれば、より多くのギヤを備えるのが好ましいことがある。一例として、駆動ギヤ及び従動ギヤの個数が各々8つ及び5つに増加する場合、駆動ギヤの旋回経路に沿って約9度ごとに、駆動ギヤと従動ギヤとの間に死点噛合が生じることもある。駆動ギヤの旋回及び入力シャフトの回転が同じ角速度であるこのような配置においては、約9度の入力シャフト回転ごとに、駆動及び従動ギヤが死点噛合し始める。このような実施形態において、1つの駆動ギヤ及び1つの従動ギヤの死点噛合時に、残りの駆動及び従動ギヤは、多様な段階の噛合及び噛合解除状態にあり得る。例えば、駆動ギヤのうち5つは、ある程度の噛合状態にあり得るが、3つの駆動ギヤは、従動ギヤと噛合されない。(図11B参照)。従って、5つの駆動ギヤは、自身のギヤ歯の間で負荷を共有することができる。逆に、2つの駆動ギヤセットが3つの従動ギヤと噛合する図2A−Gに示す実施形態では、死点噛合時に、1つの駆動ギヤのみが任意の従動ギヤと噛合され、噛合される駆動ギヤ1つが全体負荷を支持しなければならない。
図12を参照すれば、本願に示すように、トランスミッションで用いられ得る動力変換システム735の他の実施形態が概略的に示されている。動力変換システム735は、図1A−B及び図11A−Bについて検討したように作動することができる多重の駆動ギヤ712及び従動ギヤ714を含む。図示の実施形態において、駆動ギヤ712は、各レバーアーム716a−bに連結される。しかし、本願で検討したように、レバーアーム716は、物理的レバー又は仮想的レバーであり得るという点が理解できるはずである。例えば、特に駆動ギヤ712は、仮想アームを通じて連結でき、駆動ギヤ712は、例えば駆動ギヤを半径方向内側及び/又は外側に移動させるキャリア又は他の機構に連結できる。同様に、従動ギヤ714は、半径方向に直動するように構成できる。また前述したように、駆動ギヤ712及び/又は従動ギヤ714は、自身の各中心を中心に回転するように構成でき、選択的に外部の中心軸周りに旋回するように構成できる。例えば、図示の実施形態において、駆動ギヤ712は、角をなして円周周りにオフセットでき、またその円の中心を通過する軸周りに旋回することができる。
トランスミッション600(図11A−B)について前述したように、本発明の一態様に係るトランスミッションは、単一平面で、即ち単一の軸方向位置で整列される複数の駆動ギヤ612及び従動ギヤ614を含むことができる。本願の開示内容を考慮するとき、これは単に一例であるという点が理解できるはずである。例えば、図12には、多重の駆動ムーンギヤ712が多重の従動サンギヤ714と噛合し、多重の従動サンギヤ714を回転させることができる動力変換システム735の一実施例が示されており、ここで駆動ギヤ712及び従動ギヤ714は、軸方向に離隔した多重の平面に位置される。
図12に示す特定の実施形態において、動力変換システム735は、駆動ギヤ712及び従動ギヤ714が2つの各平面708a−bに配列されるスタック構成を有する。このような実施形態は単に例示として提供されるもので、制限するものではなく、他の配置の予想が可能であるという点が理解できるはずである。例えば、一部の実施形態において、駆動ギヤ712及び従動ギヤ714は、特定の適用分野に好ましく又は適切に、3、4、5、又はより多くの平面に整列されるように積み重ねることができる。
スタック配置は、特に、多様な他の適用分野に有利であり得る。例えば、改良適用分野において、トランスミッションは、特定のエンベロープ内に嵌合するように要求され得る。ある場合には、エンベロープによって、トランスミッションが単に制限された幅を有しつつ、相対的に長い軸方向の長さを有するように許容できる。このような場合に、駆動及び従動ギヤの追加スタックは、トランスミッション長さを増加させることができ、このようなトランスミッションは、幅の要求条件を容易に満たしつつ、利用可能な空間の長さ内で容易に嵌合することができる。
また、本願で示すように、ある適用分野では、駆動ギヤ712と従動ギヤ714との間における死点噛合の頻度を増加させるのが好ましい。前述したように、このような噛合を増加させるための一方法は、バーニヤの関係を用いることである。表1に示すように、全てのバーニヤの関係が同一なのではなく、噛合頻度は、駆動及び従動ギヤの個数を更に変えることで、更に増加し得る。例えば、3つの従動ギヤと交互に噛合する4つの駆動ギヤのうち1つは、旋回経路に沿って30度ごとに死点噛合と衝突するようになる。しかし、このような噛合は、駆動及び/又は従動ギヤの個数を増加させることで増加し得る。更に、4つの駆動ギヤのうち1つは、5つの従動ギヤのうち1つと18度ごとに直接噛合する。また、9つの駆動ギヤのうち1つは、8つの従動ギヤのうち1つと5度ごとに直接噛合する。
可能な限りバーニヤの関係を維持しつつ、ギヤの個数が増加されることによって、トランスミッションの大きさ及び性能特性が影響を受け得る。例えば、所望の性能を得るために、トランスミッションが直径各々2インチである4つの駆動ギヤを用いることができると決定される簡単な実施例を考慮する。更に幅の制限を合わせるために、そして所望の範囲のギヤ比を得るために、旋回経路の直径は4.5インチと10インチとの間で変えなければならない。
駆動ギヤが従動ギヤの内部に位置される単一平面の実施形態において、4つの駆動ギヤは、所望の旋回経路のより小さい端部で作動し得ないこともあることが理解できるはずである。例えば、駆動ギヤが内側に直動して、各々約5インチの直径を有する仮想ギヤ及び旋回経路が形成される場合、旋回経路の内部にある4つの駆動ギヤは、衝突し始める。駆動ギヤが互いに対して噛合し始めて、互いの運動が妨害される。結果的に、トランスミッションは、4.5インチと5インチ直径の間の旋回経路にある駆動ギヤを用いることができない。結果的に、トランスミッションは、所望の範囲のギヤ比を提供し得ないこともある。
このような問題に関する1つの可能な解決策は、駆動ギヤの個数を減少させたり、より小さい駆動ギヤを用いることを含み、これにより旋回経路内部で利用可能な空間が増加される。ある適用分野では、各々の代替的な解決策が有用且つ実行可能である。しかし、前述したように、駆動ギヤの個数を減少させることは、死点噛合の頻度に影響を及ぼし得る一方、駆動ギヤの大きさを減少させることは、トルクを伝達する場合に駆動ギヤが失敗しやすくする。従って、ある適用分野では、他の解決策が要求されることがある。他の可能な解決策は、駆動ギヤがより大きい旋回経路で所望のギヤ比を提供し得るように、駆動トレインを調整することである。また、可能ではあるが、このような代案は、トランスミッションの大きさの増加を要求することができ、ある適用分野では適しないこともある。
図12に示す実施形態は、このような状況を考慮した他の代替的な解決策を示している。例えば、図示の実施形態に示すように、動力変換システム735は、旋回経路の直径が減少される場合にも、所望の大きさの4つの駆動ギヤ712を用いることができる。これは、駆動ギヤ712を多重のスタックに分離させることで実現される。図示の実施形態において、例えば駆動ギヤ712は、2つのスタックに分離される。具体的に、2つの駆動ギヤ712a−bは、第1平面708aに存在し、残っている2つの駆動ギヤ712c−dは、互いに軸方向にオフセットされて、第2平面708b内に存在する。
第1平面708aにおいて、駆動ギヤ712aは、円周りに離隔される。図示の実施形態において、駆動ギヤ712aは、180度の角度間隔で互いに離隔される。更に、駆動ギヤ712bは、第2平面708bで同様に離隔される。図示の実施形態において、駆動ギヤ712aセットは、互いに対して回転される。特に、駆動ギヤ712c−dは、駆動ギヤ712a−bに対して90度回転される。従って、図12に示すように、4つの駆動ギヤ712は、円周りに離隔され、互いに90度の間隔で分離して、駆動ギヤ712のための4つの角度位置が存在するようになる。
駆動ギヤ712と従動ギヤ714との間の噛合を維持するために、従動ギヤ714もスタック構成で配置され得る。図示の実施形態において、例えば5つの従動ギヤは、駆動ギヤ712との噛合のために、第1平面708a及び第2平面708b各々に整列されて、第1平面708aの5つの従動ギヤ714aが第2平面708bの5つの従動ギヤ714bから軸方向にオフセットできる。
更に例示するように、二重スタック又は多重スタックトランスミッションの一部の実施形態において、各スタックの従動ギヤ714は、共通の軸に沿って整列できる。例えば、各平面708a−bの5つの従動ギヤ714各々は、72度の間隔で円周りに離隔され得る。各スタックの従動ギヤ714は、残り1つ以上のスタックの従動ギヤに対して回転することもある。しかし、他の実施形態において、1つ以上のスタックの従動ギヤ714は、互いのスタックに対して回転しないこともある。例えば、図12に示す実施形態において、第1平面708aの5つの従動ギヤ714a各々は、第2平面708bの対となる従動ギヤ714bと同軸に整列される。従って、このような実施形態では、10つの従動ギヤ714のために、5つの角度位置のみ存在し得る。
本願の開示内容から理解し得るように、駆動ギヤ712及び従動ギヤ714の二重スタックを用いることによって、従動ギヤ714の内周によって形成される仮想ギヤの直径だけでなく、駆動ギヤ712が旋回する経路の直径が減少し得、これによりトランスミッションは、減少した幅又は直径を有するようになる。具体的に、より少ない個数の従動ギヤが各平面にある限り、旋回経路内で駆動ギヤ712の過密、干渉、及び傾斜が減少又は除去され、これにより単一平面トランスミッションと比べるとき、より多くの駆動ギヤ712が同一面積内に配置できる。
また、図示の実施形態は、駆動ギヤ712と従動ギヤ714との間にバーニヤの関係を維持する。具体的に、図示の実施形態は、4対10の比のために、4つの駆動ギヤ及び10つの従動ギヤを用いる。しかし、従動ギヤ714は各平面で同軸であり、これにより従動ギヤ714のために、単に5つの角度位置のみ存在するため、駆動ギヤと従動ギヤとの間のバーニヤの関係はまた、4対5の比として表現でき、死点噛合は、1つの駆動ギヤ712と1つの従動ギヤ714との間で18度ごとに生じる。
理解し得るように、駆動ギヤ712a、712bの回転及び旋回運動は、従動ギヤ714a、714bの回転のように互いに接続できる。このようなリンクは、特に、図1A−B及び11A−Bを参照して本願で示す方式を含む任意の適切な方式で維持することができる。一部の実施形態において、各平面の駆動ギヤ712は、同じ方向に回転及び旋回することができる。例えば、単に一例として、各平面の駆動ギヤ712は、時計回りに回転することができ、反時計回りに旋回することができる。従って、駆動ギヤ712はまた、従動ギヤ714を同一方向に、例えば両平面708a−bから反時計回りに回転させることができる。
従って、駆動ギヤ712の旋回及び回転運動の大きさ及び方向の両者と、従動ギヤ714の回転運動の大きさ及び方向は、駆動ギヤ712又は従動ギヤ714が位置する平面にかかわらず一定し得る。しかし、これは単に一実施例であるという点が理解できるはずである。例えば、他の実施形態において、駆動ギヤ712aは、駆動ギヤ712bと逆方向に回転及び旋回することができ、従動ギヤ714aは、従動ギヤ714bと逆方向に回転することができる。例えば、各平面にある駆動及び従動ギヤが差動装置によって連結できて、一平面にある駆動ギヤ及び従動ギヤは、第2平面にある駆動ギヤ及び従動ギヤに対して逆方向に等しく運動するようになる。具体的に、各平面708a−bにある駆動ギヤ712は、同じサイズ及び大きさを有するが、逆方向の回転及び旋回運動が可能である。同様に、各平面にある従動ギヤ714も同じ大きさを有するが、逆方向の回転運動が可能である。
本願の開示内容を考慮するとき、図12に示す実施形態は、単に一例に過ぎず、互いに異なる個数の多様な平面、スタック、又はギヤのうち任意のものが本発明に従って実現し得るという点を理解しなければならない。更に、一実施形態では、回転する駆動ギヤ712の利用を必要としないこともある。特に、一実施形態によれば、駆動ギヤ712は、旋回するが、回転はしないように固定できる。従って、従動ギヤ714に伝達される速度は、駆動ギヤ712の旋回運動のみの関数であり、旋回運動及び回転運動の両者の関数ではない。また、駆動ギヤ712の回転を必要としない限り、他の駆動部材に代えることもある。例えば、一実施形態によれば、駆動ギヤ712は、回転しない駆動フォークに代えることがある。特に、駆動フォークは、駆動ギヤ714と噛合する外周上にのみ歯を有することができ、これにより従動ギヤ714を回転させる。
従って、本発明の原理に従うトランスミッションは、任意の多様な適用分野に用いられるように適合でき、本発明は、任意の特定構成又は適用分野に制限されるのではない。例えば、本発明に係る常時噛合の変速トランスミッションは、自動車に、変速トランスミッションを用いる他の適用分野に、又は変速トランスミッションを用いていない他の適用分野に用いられる。
図13には、本発明に係るトランスミッションが実現し得る一方法が概略的に示されている。特に、図示の実施形態において、トランスミッション700は、動力源702と負荷704との間に配置される。このように、トランスミッション700は、動力源702によって提供された動力を駆動負荷704に伝達するように構成される。また、トランスミッション700が本発明の一実施形態の例に係る変速トランスミッションである場合、ギヤ比範囲で、多数の、可能な限り無限個数のギヤ比が提供でき、及び/又は負荷704のための噛合中立が提供できる。
また、図13に更に示すように、動力源702をトランスミッション700を介して負荷704に作動可能に連結するのに駆動トレインが用いられ得る。例えば、図示のように、例示的な駆動トレインは、動力源702をトランスミッション700に作動可能に連結する第1駆動部材701を含む。例えば、一実施形態において、駆動部材701は、動力源702から出力されたトルクをトランスミッション700の入力インターフェースに伝達する回転入力シャフトであり得る。一部の実施形態において、トルク入力シャフトは、動力源702をトランスミッション700に直接的に連結する単一シャフトであるが、特に、本願の開示内容から、他の実施形態において駆動部材701は、2つ以上の相互連結されたシャフト、ギヤ、ベルト、チェーン、又は動力源702とトランスミッション700の間に動力を伝達する他の部材を含むことができる点を理解しなければならない。
更に、本願に示すように、トランスミッション700は、動力源702によって提供される動力又はトルクを受けることができ、変速出力を提供することができる。例えば、動力源702が1つ以上のトルク入力シャフトによってトランスミッション700に連結される場合、動力源702は、トランスミッション700に動力を供給することができ、次いで、トランスミッション700は、入力の速度を変更させて、任意の多様な出力速度及び/又は出力方向を提供する。本願に示すように、トランスミッション700は、互いに異なる出力速度を提供するために、ギヤ比の範囲で多数の、可能な限り無限個数のギヤ比を提供する変速トランスミッションであり得る。また、一部の実施形態に係るトランスミッション700は、順方向出力及び逆方向出力の間で変わるように構成できる。一部の実施形態において、順方向出力と逆方向出力との間における変更は、動力源702を負荷704から実質的に噛合解除せずに、及び/又はトランスミッション700の1つ以上の駆動ギヤと従動ギヤのセットとの間の噛合を実質的に解除せずに、行うことができる。また、一実施形態において、トランスミッション700は、トランスミッション700によって如何なる動力も出力されない、又は殆ど無視できる動力しか出力されない中立出力状態を更に形成する。しかし、一実施形態では、例えばトランスミッション700で噛合中立を維持して、動力源702と負荷704との間の連結を実質的に維持することで、中立出力状態が保たれる。
動力がトランスミッション700から出力される場合、動力は、少なくとも1つの第2駆動部材703によって負荷に伝達できる。駆動部材703は、例えば、トランスミッション700が出力を提供するときに回転する出力シャフトであり得る。駆動部材703が出力トルクを受ける場合、トルク流れ経路は、トランスミッション700への入力トルクとトランスミッション700の出力トルクとの間で形成されることが理解できるはずである。
一部の実施形態において、トランスミッション700は、単一トランスミッション又は多重トランスミッションを含む。例えば、広範のギヤ比を提供するために、単一トランスミッションの使用が予想される。他の実施形態では、最終的なギヤ比変更を得るために、多重トランスミッションが使用できる。
多重トランスミッションが積み重なる実施形態において、各トランスミッションは、より狭い範囲の可変ギヤ比を提供することができるが、結合の場合、更に広範のギヤ比が可能である。例えば、第1トランスミッションに入力される動力は、第1ギヤ比で出力でき、次いで、第2ギヤ比が適用される第2トランスミッションに入力される。従って、第1トランスミッションへの入力と第2トランスミッションの出力との間の最終ギヤ比は、各トランスミッションのみで提供できるものよりも大きいことがある。
従って、このように積み重なる多重トランスミッションを用いる一態様によれば、各トランスミッションは、単一トランスミッション内で最終ギヤ比を得るために必要とするものよりも小さいことがある。従って、トランスミッションが配置できる外側直径は小さいが、利用可能な長さはより長い適用分野では、より広範のギヤ比を提供するために、多重トランスミッションの端部と端部とが繋がって「積み重なる」ことができる。これは、従来のトランスミッションを除去し、本発明に係るトランスミッションに改良する場合、特に有効である。例えば、従来のトランスミッションが除去される場合、新しいトランスミッションは、除去されたトランスミッションによって残されたエンベロープ内に嵌合しなければならない。そのトランスミッションの長さが長く且つ幅が小さければ、トランスミッションが積み重なって所定範囲のギヤ比が提供できる。しかし、従来のトランスミッションのギヤ比範囲を得るために、多重トランスミッションが積み重なる必要はないという点を理解しなければならない。実際、本発明の一部の実施形態において、3インチよりも小さくレバー長さを変えることで、従来のトランスミッションによって共通に用いられる完全な範囲のギヤ比が提供でき、可能な限りその範囲内でより多くの不連続又は連続ギヤ比が提供できる。従って、本発明の一実施形態に係るトランスミッションは、従来のトランスミッションのエンベロープ内に嵌合するように、そして同じ又はより広範のギヤ比を提供するように構成できる。
本願に示すように、本発明に係るトランスミッションは、任意の多様な適用分野で実現し得る。これに関して、動力源702は、任意の多様な適用分野で用いられる任意の互いに異なる多様な動力源を示し、負荷704は、動力源702によって移動又は動力源702と共に作動する任意の互いに異なる多様な負荷を示す。一実施形態において、動力源702は、制限されるのではないが、一例として、電気及び/又は内部燃焼エンジンであり得、任意の他の適切な動力源が考えられる。このようなエンジンは、例えば乗用車又は他のタイプのモータ式車に用いられてよく、その例としては、乗用車、トラクタ/トレーラ、軍用車両、海上船舶、航空機、ヘリコプター、オフロードカー、建設装備などがある。このような場合、負荷704は、車両によって支持されたり車両内部に含まれる任意の重量だけでなく、車両自体を含むことができる。例えば、このような車両には、負荷を移動させるのに用いられる複数の車輪が含まれ得る。このような実施形態において、トランスミッション700は、駆動部材701で表示される駆動トレインによって車輪に連結できる。従って、トランスミッション700から出力された動力は、駆動部材701から車輪へ伝達され、負荷704で表示される車両の他の重量が運搬及び搬送される。
本発明に係るトランスミッションの特別な態様は、低い又は高いトルク要求条件を有する多様な適用分野にトランスミッションを用いることができるということである。例えば、雪上車のような車両は、雪上車を摩擦基盤のCVT又はIVTトランスミッションで作動させる相対的に低いトルク要求条件を有することができる。しかし、セミトラクタトレーラや関連負荷の大きい任意の適用分野は、このようなトランスミッションを非実用的にするより大きいトルク要求条件を有する。しかし、本発明に係るトランスミッションは、摩擦に依存しないため、このような摩擦基盤システムに係わる燃焼や摩擦加熱の問題が生じない。また、中立で開始する場合、そして順方向及び逆方向に延びる場合、小さなギヤ比増分が得られるため、このような適用時において負荷は、クラッチを活性化せず、又はスチール間システムで燃焼を起こす摩擦を発生せずに起動できる。実際、前述したように、本発明の一部の実施形態に係るトランスミッションは、クラッチやクラッチ板なしに実現し得、摩擦クラッチによって発生される熱が減少する。また、このようなクラッチ板の必要性がなくなるため、関連クラッチを制御する油圧制御システムが減少又は除去し得、これにより動力源702によって駆動すべき負荷が軽減し、より小さく且つより効率的な動力源が用いられる。
本発明に係るトランスミッションが用いられ得る一適用分野として、モータが備えられた車両が示されているが、任意の多様な他の適用分野を示す動力源702及び負荷704と共にトランスミッション700が用いられるという点が理解できるはずである。例えば、一実施形態において、動力源702及び負荷704は、コンベヤシステムを示す。そのような実施形態において、電気モータ又は他のモータは、原料、組立製品、又は任意の他の物質や製品を搬送するコンベヤベルトをコンベヤトラックに沿って駆動することができる。従って、トラック及び搬送される物質は負荷704に寄与し、エンジンは動力源702で表現される。
本願で説明されるコンベヤシステムの実施形態において、コンベヤシステムが本発明の実施形態に係るトランスミッション700を用いる場合、実質的な利点が確認できる。例えば、トランスミッション700は、非常に小さい、可能な限り無限に小さい増分で変更可能な多数のギヤ比のうち任意のギヤ比で作動することができる。従って、コンベヤシステムが起動される場合、動力源702からコンベヤベルトへ動力を伝達するために、低いギヤ比が用いられ得、それによりコンベヤベルトは、低速で起動し始める。ベルトシステムが推力を確立すると、トランスミッション700は、ギヤ比を増加させるように制御でき、これによりギヤ比が変動される。また、コンベヤシステムを停止させる必要がある場合、トランスミッション700は、動力源702と負荷702の連結を維持しつつ、中立状態を提供するように制御できる。従って、コンベヤが再起動される場合、動力が再噛合される必要がなく、トランスミッション700は、作動速度を更に増加するように制御できる。また、一部の実施形態において、動力源702は、一定速度に作動することができ、トランスミッション700は、滑るように進む又は漸進的に進むギヤ比範囲によって多数のギヤ比を提供することができる。従って、多重の速度上で作動するように用いられる単一エンジンが従来のシステムよりも小さく製造でき、これによりシステムの効率が増加する。
他の態様として、トランスミッション700は、エレベータ、スキーリフト、ゴンドラ、又は他の人を移送するシステムに用いられ得る。例えば、このような実施形態において、トランスミッション700は、電気エンジン、燃焼エンジン、又は負荷704を駆動する動力源702として作動する一部の他のタイプのエンジンに連結でき、これらの負荷704には、エレベータキャリッジ、リフト椅子、ゴンドラ、移送される人及び装備などが含まれ得る。このような適用分野では、人を移送する負荷から動力源を断絶することは、安全に対する不安を与えるため、変速トランスミッションは通常に用いない。しかし、本発明に係るトランスミッションを用いれば、トランスミッション700は、多様なギヤ比を提供しつつ、負荷と動力源との間に常時連結を提供し得るという点が理解できるはずである。また、このようなシステムにおいて、負荷の増加によって、エンジンからより多くの動力が要求される代わりに、ギヤ比を変えるようにトランスミッション700が制御でき、これにより同一又はより小さなエンジンでより重い負荷が動くようになる。
また他の態様として、本発明に係るトランスミッション700は、動力発生システムで実現し得る。例えば、一実施形態において、動力源702は、風力源や水力源を含み、又は風力源や水力源から得られる。従って、単に一例として、トランスミッション700は、風車適用分野や水力発電ダムに採用することができる。例えば、風及び流れる水は、タービンブレードによって捕獲でき、駆動部材701によってトランスミッション700に伝達できる運動エネルギを有している。例えば、駆動部材701は、風又は水の運動エネルギが捕獲されるときに回転されるシャフトであり得る。また、駆動部材701は、運動の動力源を駆動部材701に入力させるタービンブレードを含むことができ、駆動部材701は、次いでトランスミッション700への入力のために、それを回転の動力源に変換させる。
回転シャフトが動力をトランスミッション700に入力することによって、供給されるトルクは、任意の多様な速度で出力される、そして第2駆動部材703によって負荷704で表示された発電機に連結されるトランスミッション700を介して流れることができ、これにより回転エネルギが電気に変換される。しかし、一部の発電機では、電力が生成される前に、回転エネルギの閾値が要求されることもある。従って、このような実施形態において、発電機とタービンブレードとの間にトランスミッション700が採用できて、非常に少ない風又は水の流れによって、駆動部材703のより大きい回転速度が得られる。また、流れの増加によって、そしてより多くのトルク提供によって、電力生成を増加させるようにトランスミッション700の可変比が用いられ得、これにより発電機からより大きい電力の出力が得られる。このように、電力生成のために、より広範の風及び水の流れが用いられ、大量の流れが更に用いられる。
他の実施形態において、人間又は動物が動力を提供して、動力源702として作用させるための人間又は動物の動力システムに、トランスミッション700が採用できる。例えば、本発明の一実施形態の例によれば、利用者である人間が動力の入力を提供する自転車にトランスミッション700が実現し得、この実施形態では、自転車及び自転車上の負荷が負荷704として作用する。このように、自転車を操作する人が駆動部材703を介して動力をトランスミッション700に提供することで、例えば負荷704に動力を伝達するのに必要な任意の多様なギヤ比をトランスミッション700が実現し得る。
本願の開示内容から理解し得るように、本発明の原理に従うトランスミッションの一態様は、トランスミッションが用いられ得る適用分野の多様性である。本願に多様な適用分野の例が説明されているが、本発明のトランスミッションは、制限的ではないという点が理解できるはずである。実際に、本発明に係るトランスミッションは、変速トランスミッションが好ましい任意の適用分野に用いられ得、そのような適用分野が現在の変速トランスミッションを用いているか否かにかかわらないものと考えられる。また、本発明に係るトランスミッションと使用可能な動力源のタイプは、任意の特定タイプの動力源に制限されない。例えば、前述したように、動力源は、エンジン、人間である操作者、又はこれらのあるいは自然のエネルギ源、又は任意の他のタイプの動力源の任意の組み合わせであり得る。