JP4928570B2 - 籾殻散布装置 - Google Patents
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Description
稲作の収穫後に発生する籾殻は、適正な処理を行わずに放置すると風に飛ばされたり、雨水に流されてしまう等して周辺環境に悪影響を与えてしまうことから、潰したり砕いたりするか、そのまま焼却、あるいは蒸し焼きにして燻炭にする等の前処理を施した後、圃場に漉き込んで堆肥として利用するといった処理を行うのが一般的であったが、潰したり砕いたりする作業は、機械の導入や作業者の割り当て等の労力と経費とが嵩むという問題があり、また、焼却や蒸し焼きの際に発生する煙や埃等は、田園地帯に近接する住宅や工場、道路を利用する歩行者や車両等に多大な迷惑をかけてしまう等といった問題があり、最近ではそれらの処理を避ける傾向にある。
こうした状況の中、近年、脱穀後の籾殻をそのまま圃場に散布し、土壌内に漉き込んで地中に還元してしまうことにより、籾殻の性状とその特異な殻構造とによって土壌の改善に繋がると共に、堆肥その他の有機肥料による施肥効果を高めることができる等の事実が次第に明らかになってきたことから、籾摺機から排出された籾殻を、如何にして均質且つ効率的に圃場に散布するかという技術に関心が寄せられるようになり、こうした事情に着目した本願出願人は、既に特許文献1(1)に開示された、「籾殻散布装置」発明を開発、実用化することに成功している。
上述したとおり、上記特許文献1に代表されるような従前までに提案のある、粒状物や粉状物などを堆積状に収容し、底部がわから排出または散布可能とするような各種散布装置類は、構造の複雑化や耐久強度の低下、価格の高騰など種々の問題を生じる虞があったり、収容フレーム内に堆積状に収納した籾殻が、開閉板上で互いに噛合状となるブリッジ現象を惹起し易く、開閉板が開いた後に散布が停止してしまうという欠陥があり、別途開閉板の開放操作に連動する籾殻掻き部材を設けるなど掻き出し用の専用部品を追加しなければならず、部品点数の増加や、それに伴う開閉板の開放操作抵抗の増加などを招き、開閉操作性の低下などが懸念され等々、実用上のトラブルが絶えないにも拘らず、装置提供者がわにおいて、こうした現場における機構上の細かい配慮を欠いてきた恨みを否定できなかった。
そこで、この発明は、コンテナー部内に堆積状に収納した籾殻同士の噛合に起因する排出停止のトラブルを未然に防止することができると共に、散布口の開放操作を軽快に行うことができる新たな籾殻散布技術を開発することはできないものかとの判断から、逸速くその開発、研究に着手し、長期に渡る試行錯誤と幾多の試作、実験とを繰り返してきた結果、今回、遂に新規な構造の籾殻散布装置を実現化することに成功したものであり、以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構成を詳述することとする。
図面に示すこの発明を代表する実施例からも明確に理解されるように、この発明の籾殻散布装置は、基本的に次のような構成から成り立っている。
即ち、トラクタその他の走行車両に連結または搭載可能な骨格体と、該骨格体に支持され、所定量の籾殻が収容可能になるコンテナー部とを有し、当該骨格体には、前記コンテナー部の周壁下方に連続する散布口を開口し、該散布口には、同散布口を開閉自在に閉鎖可能な開閉蓋を、その基端が、同散布口の前後縁の何れか一方適所に水平軸支機構を介して軸着されると共に、該基端とは反対がわの回動端が、同水平軸支機構の在る散布口前後縁の何れか一方に対峙するがわの、同散布口前後縁の何れか他方に当接して閉鎖可能とするよう装着し、閉鎖状態の該開閉蓋天面姿勢を、水平姿勢とはせず、その基端から回動端に向けて僅かな下り勾配とするよう傾斜状配置で据え付けた上、該開閉蓋の適所に骨格体外側適所から操作可能な開閉操作機構を組み込み、閉鎖姿勢とした前記開閉蓋天面上に収納されている籾殻に、同開閉蓋開放前段階より、予め下り勾配方向に流れ下る力を付勢してなるものとした構成を要旨とする籾殻散布装置である。
骨格体は、コンテナー部を外側から支持、補強して所定量の籾殻等の粒状物や粉状物を収容可能としてコンテナー部の軽量化を可能とすると共に、トラクタその他の走行車両に連結または搭載可能とし、該コンテナー部の下方となる適所に散布口を形成可能とする機能を果たし、籾殻散布装置の全体形状を安定的に保持して、充分な強度をもって支持可能なものとしなければならず、適宜分解もしくは折り畳み可能な構造を採用し、保管や運搬の際には小型化して取り扱うことを可能にするものとなって利便性や経済性に有利になることから、構成部材は勿論のこと、各部の組み合せ構造等についても、そのための十分な配慮をすべきである。
以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構造について詳述することとする。
以上のとおりの構成からなるこの発明の籾殻散布装置1は、図1ないし図3、図5の籾殻を収容した籾殻散布装置の側面図、図6の散布口付近を拡大した側面図、図7の籾殻を散布する籾殻散布装置の側面図、および、図8の籾殻を散布する散布口付近を拡大した側面図に示すように利用可能であり、その骨格体10連結部12を図視しないトラクタなどの走行車両の搭載機構に連結して搭載し、図5および図6中に示すように、各開閉蓋4を閉鎖姿勢として、コンテナー部5および前後ホッパー部2,2内に籾殻9を堆積状に収納すると、同図5および図6中の白抜き大矢印Bに示すように、コンテナー部5内に収容された籾殻9の総荷重が、前後の各ホッパー部2,2内に加わり、夫々の開閉蓋4,4天面に集中するものとなるが、図3中に示すように、それら開閉蓋4,4天面は夫々、18度の下り勾配角度Aに閉鎖しており、図5および図6中の白抜き小矢印Dに示すように、閉鎖姿勢の各開閉蓋4,4天面上に収納されている籾殻9に、同開閉蓋4,4開放前段階より、予め下り勾配方向に流れ下る力を付勢可能なものとなる。
以上のような構成からなる実施例1の籾殻散布装置1は、前記この発明の効果の項で記載の特徴に加え、図1ないし図8中に示すように、開閉操作機構7の梃型操作レバー70と連動機構6の前方配置の開閉蓋4より立ち上げた槓杆60とを、垂下ロッド73、L型クランク74および横架ロッド75など、何れも剛性に秀れた硬質部品同士で連結されたものとしてあり、各開閉蓋4,4の開閉操作をより確実に行えるものとし、例えば籾殻9の放出途中であっても、各開閉蓋4,4の開度を簡単且つ確実に変更、調節することができるという利点が得られるものとなる。
叙述の如く、この発明の籾殻散布装置は、その新規な構成によって所期の目的を遍く達成可能とするものであり、しかも製造も容易で、従前からの籾殻散布技術に比較して、籾殻同士の噛合による排出停止を一段と確実に防止できるものとなり、製造、組み立ても用意で、耐久強度にも秀れ、軽量且つ低廉化して遥かに経済的なものとすることができる上、籾殻などの粒状物や粉状物を一層均質且つ円滑に散布可能にすることから、これまで効率的で均質な散布が困難な上に、深刻な人手不足や高齢化などの問題を抱える農家において、毎年大量に発生してその処理や効率化に苦慮してきた籾殻を、非常に簡便、確実に自然界に戻すようにして有効活用可能と成し、有機肥料として圃場土壌養分の富化に役立てて化学肥料の使用量を削減ないしは極力無くし、また酸欠状態になりがちな土質構造の改善にも寄与するものとし、廃棄物としての処理を全く無用のものにでき、経費の削減と優良米の生産とを達成可能にするものであり、圃場の籾殻散布に多大の関心を寄せる稲作農家は勿論のこと、農機具業界においても高く評価され、広範に渡って利用、普及していくことが予想される。
10 同 骨格体
11 同 ベースフレーム
12 同 連結部
13 同 上枠フレーム
2 ホッパー部
20 同 上端開口部
21 同 散布口
22 同 前縁
23 同 後縁
24 同 前送出壁
25 同 傾斜壁部
26 同 垂下壁部
27 同 後送出壁
28 同 垂直壁
29 同 阻害部材
3 水平軸支機構
30 同 軸着用フランジ部
31 同 軸受け用フランジ部
32 同 連結軸
33 同 隠蔽鍔
4 開閉蓋
40 同 基端
41 同 回動端
42 同 補強リブ
43 同 開閉シャッター
5 コンテナー部
50 同 周壁下方
51 同 前壁下方
52 同後壁下方
53 同 左右壁下方
6 連動機構
60 同 槓杆
61 同 攪拌棒
7 開閉操作機構
70 同 梃型操作レバー
71 同 伸縮部
72 同 仮止め螺子(または仮止めピン)
73 同 垂下ロッド
74 同 L型クランク
75 同 横架ロッド
76 同 開度調節部
77 同 溝板
78 同 係止溝
79 同 係合片
8 トラクタその他の走行車両
80 同 搭載機構
9 籾殻
A 開閉蓋天面の下り勾配角度
B 籾殻の荷重方向(白抜き大矢印)
C 開放スライド方向(白抜き小矢印)
D 開閉蓋天面上の籾殻付勢方向(白抜き小矢印)
Claims (6)
- トラクタその他の走行車両に連結または搭載可能な骨格体と、該骨格体に支持され、所定量の籾殻が収容可能になるコンテナー部とを有し、当該骨格体には、前記コンテナー部の周壁下方に連続する散布口を開口し、該散布口には、同散布口を開閉自在に閉鎖可能な開閉蓋を、その基端が、同散布口の前後縁の何れか一方適所に水平軸支機構を介して軸着されると共に、該基端とは反対がわの回動端が、同水平軸支機構の在る散布口前後縁の何れか一方に対峙するがわの、同散布口前後縁の何れか他方に当接して閉鎖可能とするよう装着し、閉鎖状態の該開閉蓋天面姿勢を、水平姿勢とはせず、その基端から回動端に向けて15度ないし25度の下り勾配とするよう傾斜状配置で据え付けた上、該開閉蓋の適所に骨格体外側適所から操作可能な開閉操作機構を組み込み、閉鎖姿勢とした前記開閉蓋天面上に収納されている籾殻に、同開閉蓋開放前段階より、予め下り勾配方向に流れ下る力を付勢してなるものとしたことを特徴とする籾殻散布装置。
- トラクタその他の走行車両に連結または搭載可能な骨格体と、該骨格体に支持され、所定量の籾殻が収容可能になるコンテナー部とを有し、当該骨格体には、前記コンテナー部の前壁下方および後壁下方に夫々連続し、左右一文字状に開口する散布口に向けてその開口面積を次第に縮小するよう傾斜させた前後送出壁と、前記コンテナー部の左右壁下方に連続し、前後送出壁左右を隠蔽する垂直壁とによって漏斗状のホッパー部を形成し、該ホッパー部散布口には、同散布口を開閉自在に閉鎖可能な左右一文字形状の開閉蓋を、その基端が、前送出壁または後送出壁の何れか一方適所に水平軸支機構を介して軸着されると共に、該基端とは反対がわの回動端が、同水平軸支機構の在る前送出壁または後送出壁の何れか一方に対峙するがわの散布口縁に当接して閉鎖可能とするよう装着し、閉鎖状態の該開閉蓋天面姿勢を、水平姿勢とはせず、その基端から回動端に向けて15度ないし25度の下り勾配とするよう設定した上、該開閉蓋の適所に骨格体外側適所から操作可能な開閉操作機構を組み込んでなるものとしたことを特徴とする籾殻散布装置。
- トラクタその他の走行車両に連結または搭載可能な骨格体と、該骨格体に支持され、所定量の籾殻が収容可能になるコンテナー部とを有し、当該骨格体には、前記コンテナー部の周壁下方に連続する前後2個以上の散布口を開口し、各散布口には、夫々の散布口を開閉自在に閉鎖可能な開閉蓋を、それらの基端が夫々、各散布口の前後縁の何れか一方適所に水平軸支機構を介して軸着されると共に、各基端とは反対がわの各回動端が夫々、各々の水平軸支機構の在る各散布口前後縁の何れか一方に対峙するがわの、各散布口前後縁の何れか他方に夫々当接して閉鎖可能とするよう装着し、閉鎖状態の各開閉蓋天面姿勢を夫々、水平姿勢とはせず、それらの基端から各々の回動端に向けて15度ないし25度の下り勾配とするよう傾斜状配置で据え付けた上、各開閉蓋の適所に互いの開閉姿勢を一致するよう連繋可能な連動機構、および、該連動機構かまたは各開閉蓋の少なくとも何れか一箇所に骨格体外側適所から操作可能な開閉操作機構を組み込み、閉鎖姿勢とした各開閉蓋天面上に収納されている籾殻に、各開閉蓋開放前段階より、予め下り勾配方向に流れ下る力を付勢してなるものとしたことを特徴とする籾殻散布装置。
- トラクタその他の走行車両に連結または搭載可能な骨格体と、該骨格体に支持され、所定量の籾殻が収容可能になるコンテナー部とを有し、当該骨格体には、平面矩形状とした2個以上の上端開口部を前後に配して形成し、各上端開口部から夫々の直下に対応する左右一文字状に開口した各散布口に向かうに従って各々の開口面積を縮小するよう傾斜させた前後送出壁と、それら前後送出壁左右を隠蔽する垂直壁とによって漏斗状のホッパー部を形成し、各ホッパー部の中、該骨格体の前端配置となるものの前送出壁を前記コンテナー部の前壁下方に連続し、同骨格体の後端配置となるものの後送出壁を前記コンテナー部の後壁下方に連続し、左右垂直壁を前記コンテナー部の左右壁下方に連続するものとした上、各ホッパー部散布口には、各散布口を開閉自在に閉鎖可能な左右一文字形状の開閉蓋を、その基端が、前送出壁または後送出壁の何れか一方適所に水平軸支機構を介して軸着されると共に、該基端とは反対がわの回動端が、同水平軸支機構の在る前送出壁または後送出壁の何れか一方に対峙するがわの散布口縁に当接して閉鎖可能とするよう装着し、閉鎖状態の該開閉蓋天面姿勢を、水平姿勢とはせず、その基端から回動端に向けて15度ないし25度の下り勾配とするよう設定した上、各開閉蓋の適所に互いの開閉姿勢を一致するよう連繋可能な連動機構、および、該連動機構の適所に骨格体外側適所から操作可能な開閉操作機構を組み込んでなるものとしたことを特徴とする籾殻散布装置。
- 連動機構は、各開閉蓋天面適所からコンテナー部内部に達するよう立ち上げた槓杆の各上端間に、対応箇所を枢着してリンク機構となすよう攪拌棒を横架、連結した上、各開閉蓋、各槓杆および攪拌棒の中の少なくとも何れ1個の適所に開閉操作機構を連結してなるものとした、請求項3または4何れか一方記載の籾殻散布装置。
- 開閉操作機構は、開閉蓋の姿勢角度を全閉、全開およびその他の適切な複数の開度姿勢に、段階的にか、または無段階的にかの何れか一方で仮固定可能な開度調節部を設けてなるものとした、請求項1ないし5何れか一項記載の籾殻散布装置。
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