JP4927765B2 - 機能素子の製造方法 - Google Patents

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Description

この発明は、機能素子、記憶素子、磁気記録素子、太陽電池、光電変換素子、発光素子、触媒反応装置およびクリーンユニットに関し、例えば、ボトムアップ系のシステムとトップダウン系のシステムとの統合に関するものである。
従来の機能素子は、半導体集積回路に代表されるように、微細加工に基づくトップダウンのアプローチで製造されたものが主流である。そして、特に半導体素子に関しては、バーディーン(Bardeen)らによるトランジスタの発明や、ノイス(Noyce)らによる半導体集積回路の発明を経て現在、このトップダウンのアプローチに基づく巨大な半導体エレクトロニクス産業が興っている。
一方、トップダウンのアプローチは様々な点で限界が見え始めているため、この限界を打破する手法として、自己組織化などによるボトムアップのアプローチが近年注目され、盛んに研究されている。
なお、細胞系も神経系も各場所において自律分散的に時間とともに連続的に拡大・成長することが報告されており(非特許文献1)、これはボトムアップの範疇に属する。
R.R.Llinas, The Biology of the Brain, p.94, W.H.Freeman & Company, NY,1989
また、ボトムアップでは、自律分散局所性により各部が局所ルールに従って勝手に構造形成していくが、この構造形成には四つのタイプ(一定、周期的[入れ子的]、機能構造的、ランダム)があることが、セルラーオートマトンを使って示されている(非特許文献2)。
S.Wolfram, A New Kind of Science, pp.51-81, Wolfram Media Inc., IL, USA, 2002
また、ドリフト速度の一定性に基づき、時間とともに連続的に移動する2次電子(素粒子の飛跡に沿って生成する電子)を利用した素粒子検出器としてタイムプロジェクションチェンバー(Time Projection Chamber,TPC)の改良が本発明者らにより報告されている(非特許文献3)。
P.Nemethy, P.Oddone, N.Toge, and A.Ishibashi, Nuclear Instruments and Methods 212 (1983)273-280
また、金属界面により形成されるナノ空間、特に、2次元試料平面とこれに対向する探針との局所空間に観測されているプラズモン励起による表面増強効果など、有用で興味深い物理現象が観測されている(非特許文献4)。
二又等、日本分光学会、平成14年度春季講演会シンポジウム「顕微振動分光法の最前線」講演要旨集、pp.20-23
また、有機金属化学気相成長法(MOCVD法)を用いた半導体成長において成長方向に1原子層の分解能が得られることが本発明者により報告されている(非特許文献5)。
A.Ishibashi, MOCVD-grown Atomic Layer Superlattices, Spectroscopy of Semiconductor Microstructures, eds.G. Fasol, A. Fasolino, P. Lugli, Plenum Press, NY, 1989
また、電気化学的成長においても、その機構の詳細が知られている(非特許文献6)。
春山志郎、表面技術者のための電気化学 p.112, 丸善、東京、2001
また、電気化学分野において、中和した高分子電解質を水中に分散させた溶液に被塗物と対極とを浸漬し、被塗物と対極との間に直流電流を印加して被塗物に高分子電解質を析出させることができることが知られている(非特許文献7)。
山岡亜夫監修「実用高分子レジスト材料の新展開−フォトポリマーとしての応用展開−」、第6章、シーエムシー出版、1996年
また、幅約40nmの金属ワイヤーの十字配置の交差部に分子エレメントをはさんだ構造が報告されている(非特許文献8)。
Y. Chen, D. A. A. Ohlberg, X. Li, D. R. Stewart, R. S. Williams, J. O. Jeppesen, K. A. Nielsen, J. F. Stoddart, D. L. Olynick, and E. Anderson, Nanoscale molecular switch devices fabricated by imprint lithography, Appl.Phys. Lett. 82 (2003)1610
また、ボトムアップの範疇の他の例として自己組織前進自律的階層獲得(self-organized progressive hierarchical acquisition,SOPHIA)化による構造形成の方法やニューロンの成長方法が提案されている(特許文献1、2)ほか、一般に生命・生体系に遍く見られる遺伝子支配による形態発現(遺伝子由来構造)がある。他方、トップダウンの範疇の他の例としてはMEMS(micro electromechanical systems)系やマイクロケミカルリアクターがあるほか、一般的にはホモ・ファベルとしての人間の脳による構造物形成(脳由来構造)が挙げられる(非特許文献9)。
特開2000−216499号公報 国際公開第02/35616号パンフレット 養老 猛、「唯脳論」、青土社、1989年
また、固体電解質における金属原子移動に基づいた、金属微細架橋を利用したナノブリッジ(NanoBridge) 構造と呼ばれるものが知られている(非特許文献10)。
[平成16年2月18日検索]、インターネット〈URL:http://www.nec.co.jp/press/ja/0402/1801-01.htm〉
また、スピントンネル接合の磁気インピーダンスの周波数依存性について報告されている(非特許文献11)。
Jpn. J. Appl. Phys. Vol.42 (2003)pp.1246-1249 また、トランジスタおよびLC回路からなる発振回路におけるトランジスタとLC回路との帰還ループの一部にスピントンネル接合素子を接続するとともに、スイッチング手段を設け、このスイッチング手段のスイッチング周波数によって磁気データの読み取り速度を規定するようにした磁気センサを再生用磁気ヘッドとして用いる磁気記録装置が提案されている(特許文献3)。 特許第3557442号明細書 また、pn接合面に太陽光が垂直入射するタイプの太陽電池は多く報告されている(例えば、非特許文献12)。 D.J.Friedman, J.F.Geisz, S.R.Kurtz, and J.M.Olson, July 1998・NREL/CP-520-23874
上述のトップダウン系とボトムアップ系とを統合することができれば、両者の利点を最大限活かすことができ、従来にない新たな機能素子の実現が可能になると考えられるが、本発明者の知る限り、これまで、そのための有効な具体的手法は何ら提案されていなかった。
そこで、この発明が解決しようとする課題は、ボトムアップ系とシリコンLSIに代表されるトップダウン系との利点を最大限活かすことができる高機能の記憶素子および磁気記録素子を提供することである。
この発明が解決しようとする他の課題は、上記の記憶素子または磁気記録素子の基本構成要素と同様な要素を用いた新規な太陽電池、光電変換素子、発光素子および触媒反応装置を提供することである。
この発明が解決しようとするさらに他の課題は、より一般的には、上記の記憶素子、磁気記録素子、太陽電池、光電変換素子、発光素子、触媒反応装置などを含む新規な機能素子を提供することである。
この発明が解決しようとするさらに他の課題は、従来のように大掛かりで小回りが効かず、巨大な設備投資や固定資産負担が必要な巨大なクリーンルームを用いることなく、クリーンな環境を容易に得ることができ、また、一直線状にしか連結できない従来のクリーンユニットの持つ空間利用効率の悪さを解決し、トータルのパフォーマンスを投資的にも作業効率的にも部屋の面積有効利用的にも最大化することができ、目的に応じたトータルな一連のプロセスフローに対応してプロセスを高いフレキシビリティーを持って低コストで簡便に実行することができ、上記の各種の機能素子の製造に用いて好適なクリーンユニットシステムおよびこれに用いて好適なクリーンユニットを提供することである。
上記課題およびその他の課題は、添付図面を参照した本明細書の以下の記述により明らかとなるであろう。
本発明者は、従来技術が有する上記の課題を解決すべく、鋭意考察を行った。以下にその概要について説明する。
周知のように、トップダウンのアプローチによる半導体デバイスの製造においては、フォトリソグラフィーを用いた2次元のパターニングが多用される。図1Aに半導体デバイスの一例としてMOSLSI(例えば、メモリ)を示す。図1Aに示すように、2次元のパターニングは通常、UV(紫外線)、EUV(極紫外線)フォトリソグラフィーや、電子線リソグラフィーを用いて、半導体基板において空間的に横方向の情報の交換を行うことなく、各時点で一気に(一括露光、現像、エッチングなど各要素プロセスが行われる時刻、時刻において瞬間的につまり、時間軸上の一点一点で)行われている。すなわち、2次元のパターニングの大きな特徴は時間が非連続、散発的(sporadic)に織り込まれていることである。
2次元のパターニングでは、フォトレジストに対する、フォトマスクを使った一括露光により構造が決まるので、構造形成においては構造間の横方向の情報の交換はない。すなわち、因果律は主に、面内ではなく面と垂直方向の相互作用の中に存在する(out-of-plane causality) 。2次元のパターニングでは、図1Bに示すように、大局的ルールの存在のもと、ブロック構造をとり、また各ブロック毎にある特別な方位が存在するため、空間構造は一般に、微視的にも巨視的にも非等方的になる。言い換えれば、構造は外在的要因から決まっており、回路設計図の実空間表現にすぎないと言える。また、基板上の構造の変化量は、時間に対してδ関数状のパルス列となる。
このように、トップダウン系は、いわば非連続的に時間が投影された非等方的な(方向性のある) 構造である。今、系が時間連続投影性あるいは空間等方性を有するときそれぞれ↑と記し、時間非連続投影性あるいは空間非等方性を有するときそれぞれ↓と記し、例えば、系が時間連続投影性と空間等方性とを有するとき、(時間投影性、空間方位性)=(↑、↑)のように記すことにすると、トップダウン系は時間非連続投影性と空間非等方性とを有するため、(時間投影性、空間方位性)=(↓、↓)と表される。
一方、すでに述べたように、最近その重要性が認識されてきたもうひとつの流れはボトムアップ系である。そのシステムとしては、例えば半導体量子ドットに代表される無機物系の自己組織化系がある。また、生物系の細胞の培養では、図2Aに示すような細胞および神経系の成長が挙げられる。図2Aにおいて、符号11は生体組織体、12は神経、13は細胞を示す。細胞系も神経系も各場所において自律分散的に時間とともに連続的に拡大・成長することは、すでに述べたとおりである(非特許文献1)。
図2Bに示すように、ボトムアップでは、自律分散局所性により各部が局所ルールに従って勝手に構造を形成していくため、時間が連続的に投影されている。このとき、例えば、図1Aの場合と同様の2次元的広がりを持つボトムアップ構造(例えば、膀胱上皮細胞など)では、因果律は面内に存在する(in-plane causality) 。S. Wolframがセルラーオートマトンを使って示しているように、この構造形成には四つのタイプI〜IV(一定、周期的[入れ子的] 、機能構造的、ランダム)がある(非特許文献2)。また、ボトムアップ系では、局所ルールに従うことから、大局的にはこれといった特別な方向が存在しないため、空間構造は一般に等方的になる。この場合、全体構造は、生成則に則って内在的要因から決まる。構造の変化量は、時間に対してスムーズな連続線となる。
このように、ボトムアップ系は、時間が連続的に投影された等方的な(方向性のない)構造であるので、上記の記法に従うと(時間投影性、空間方位性)=(↑、↑)と表される。
さて、生物は、遺伝子により支配される体組織性に基づくボトムアップ性と脳による統御性に基づくトップダウン性とをうまく絡み合わせて、総体としてそれらの統合を具現化している。より具体的には、体組織形成におけるボトムアップ性と脳によるトップダウン性との統合を、長い進化の過程を経て、受精卵からの個体の成長に際し、細胞に神経系を付随させることにより行っている。
すなわち、図2Bに示すように、ボトムアップの起こった細胞の集合体では、神経系という連絡網を随伴することで各場所へのアクセスが可能となり、この神経系を介して脳からの指令・制御・情報抽出などが行われる。自己組織化体としての生物にはこの随伴神経系があることが本質的である。
一方、系を有効に運用するには、制御系は被制御系よりはるかに少ない「体積」で情報伝達・制御を行わなければならない。生体系は、そのために、3次元の細胞系に対し神経系という1+α(ただし、0<α<1)のフラクタル次元のひもをつけていると言える。伝達・制御系の次元は常に細胞系の次元より小さいことが必要である。この神経系は生体内に3次元的に張り巡らされている。
生体は、このように、受精卵の発生からの経過時間が連続的に投影された神経系というボトムアップの自己相似的な低次元性構造物を通じて、いわば最小限のセットアップによって、細胞系という3次元性を持つ別種のボトムアップ系を制御・統合している。
他方、上述のような生体そのもののシステム以外にも、人工のシステムにおいて、リジッドな固体系ではないが、ドラム缶様の容器中に充填されたガスという最小限のセットアップにおいて、経過時間の空間座標への連続的投影を利用し、フルに3次元的に空間アドレスを認知するシステムとして図3に示すようなTPCがあり、本発明者らによりその開発および優れた性能が報告されている(非特許文献3)。
このTPCについて少し詳しく説明すると、図3に示すように、ガスの入った円筒形状のTPC21の両端から入射した電子ビーム22と陽電子ビーム23とが衝突して新たな素粒子24がジェット状に生成する。この素粒子24の飛跡に沿って生成した電子25は、軸方向に一定のドリフト速度で、TPC21の両端にあるセクター26と呼ばれる2次元検出器へ到達するので、上記の衝突時刻を起点としたときのセクター26への到達までの経過時間で軸方向、すなわちz方向の位置が分かる。図4はセクター26の部分の拡大図であり、符号26aはセンスワイヤー、26bはグリッド、26cはパッド、26dは電気力線を示す。図4に示すように、セクター26のセンスワイヤー26aの部分で電子がアバランシェを引き起こし、それによって電気信号をセンスワイヤー26aとその下部に存在するパッド26cとに与えることでx、y方向の位置が求まる。こうして3次元位置が求まるが、z方向の位置は、電子のドリフト速度が一定であることに起因して上述のように時間情報が空間に投影されている。この特徴からそのシステムはタイムプロジェクション(時間投影)チェンバーと呼ばれ、この空間への時間投影のコンセプトの有用性を実証するひとつの例となっている。
セクター26では、いわばセンスワイヤー26aとパッド26cとの間の状態が読み出されている。つまり、一種の情報読み出しが行われており、局所アドレシングを行っているとみなすことができる。パッド26cの代わりに例えばワイヤーとワイヤーとを近接させて交差させても同様の作用が生じる。図4では、センスワイヤー26aという微小電極の近傍の電場集中の様子が端的に示されている。強い電場を生じるにはなるべく細いセンスワイヤー26aが望ましいが、このようにTPCは時間の空間への投影と、細い構造体の交差部における電場集中(およびそれに伴なう信号増幅)という2つの重要な特徴を有している。
さて、ムーア(Moore)の法則に代表されるロードマップに沿った展開を示すシリコンLSIは、いわゆるトップダウン型のデバイスおよびシステムの代表格であるが、そのサイズ上、動作パワー上(環境温度上)、ならびに製造設備投資上の限界が言われているけれども、根本的な解決策は見出されておらず、早晩、限界を迎えると危惧されて久しい。
トップダウン型に対するアンチテーゼとしてボトムアップが叫ばれて注目されているが、その最大の難点は、個別アドレスができないという点である。
ナノスケールでは、生物由来の機能と非生物由来の機能とが、同じ相互作用機構(究極的には電磁相互作用)にまで還元できるので、進展の著しいナノテクノロジーは、非生物と生物とを統合する潜在的重要性を秘めているが、依然として本格的実用化に至っていない。
すなわち、従来技術の延長線上にある微細構造の作製方法は、EUVや電子線リソグラフィーなどを使うものか、分子などを用いるいわゆるボトムアップのものがあるが、両者をつなぎ、さらには結合によりシナジーを見出そうとするデバイス・システムはない。これは、上述の時間連続投影性と空間等方性とに関する記法に従うと、ボトムアップという(時間投影性、空間方位性)=(↑、↑)のシステムとトップダウンという(時間投影性、空間方位性)=( ↓、↓) のシステムとの両者がまったく正反対の、すなわち↑対↓という性格を持つため、水と油とが相容れないのとまったく同様に、両者の間に接点を見出すことが難しいことによる。
ナノスケールの世界と巨視的スケールの世界とをつなぐことは、ナノテクノロジー分野で今後得られる新しい効果や機能を既存のシリコンベースのITインフラ構造と接続し、相乗効果を引き出そうとする際に避けて通れない関門である。しかし、未だ嘗て誰もその接続に十分に成功していないと考えられる。
ナノテクノロジーを通じてその高度な効能が期待されるボトムアップ物質系はこのようにナノスケールで個別アドレシング可能な仕組みがないため、本格的な実用化に至っていない。
これはすなわち、人工のボトムアップ系では、生体の脳と体組織とを結ぶ神経に相当するボトムアップの主体に随伴する制御ラインを設けることに成功していないため、これがトップダウン・ボトムアップ両系統の接続をこれまで困難にしてきたといえる。
時間とともに成長して3次元的に構造を張り巡らしアクセスするという生体の神経系の備える特徴を部分的に満たす、似て非なるシステムとして上述のTPCがある。これは、電子の一定ドリフト速度に基づく時間連続投影性と、細い導電構造体の交差部における信号増幅に基づくシステム全体への3次元的なアクセスという2つの重要な特徴を有しているが、このTPCはその内部にガスを含むので、完全な固体デバイスとしては成立していない。
すでに述べたように、従来、トップダウン系をなす半導体集積回路(例えば、メモリー)などの2次元構造体の製造には、図1Aに示すような一括露光によるパターニングが用いられる。この場合、分解能はx、yの2方向に要求されるが、その精度は現在の最高の分解能でも、生産レベルで70nm程度、研究室のチャンピオンデータでも数nm程度であり、しかもこれはバルクサイズ全体に亘っては実現されていない。
また、2次元試料平面とこれに対向する探針との局所空間で観測されているプラズモン励起による表面増強効果など、有用で興味深い物理現象が観測されているが(非特許文献4)。このような物理現象を担いうるナノ構造体を例えばmm〜cmのバルクサイズに亘って並列多重化したシステムは存在しない。すなわち、ナノスケールで稠密な構造を有し、しかも個別アクセスが可能な、ナノ離散化バルクサイズ構造体をなす物質は存在しない。
上記の課題の解決は、いわば、水と油とを結ぶところの石鹸の性質(両親媒性)あるいは細胞系と脳系との間を結ぶところの神経系に相当する資質を備えた接続中間層あるいは接続プラットフォームを用意することにより達成することができ、特に、人工神経系によりボトムアップ系とトップダウン系とをつないだ配置を取ることにより達成することができる。
より詳細には、(時間投影性、空間方位性)=(↑、↑)のボトムアップ系と(時間投影性、空間方位性)=(↓、↓)のトップダウン系との間に、第3の構造として(時間投影性、空間方位性)=(↑、↓)の性質を持つ系を挿入することにより達成することができる。このために、人工のボトムアップ系で神経に相当する随伴ラインを設ける。あるいは、あらかじめ設けておいた随伴系のそばに自己組織化系を成長させる。
図5に示すように、1次元超格子31の成長を、時間が投影されたものとして起こさせる。ここで、1次元超格子31の成長方向の空間座標は時間の流れをそのまま表しているため、これは時間が連続的に空間構造へ投影された系と言える。制御された成長速度、望ましくは一定の成長速度を用いることにより、時間(座標)による空間構造の連続的な制御を行う。また、成長方向という特別な方位を存在させることにより、空間構造を一般に非等方的とすることができる。
さらに、上記のようにして成長させた1次元超格子31の薄片化を行う。その意義は次の点にある。図6Aは1次元超格子31、図6Bは1次元超格子31をワイヤー化した超格子ワイヤー32、図6Cは1次元超格子31を薄片化した超格子薄片33を示す。図6A、BおよびCに示すように、1次元超格子31は確かに成長方向に時間tが織込まれている構造であるが、時間(=成長方向の軸上の一点)にアクセスする際、距離rを指定しても面内座標は無限にあること(図6A)、1次元超格子31をワイヤー化してしまうと、時間(=成長方向の軸上の一点)を指定した時、その部分は量子ドットであるため他所からアクセスができない(図6B)、といった問題があるのに対し、1次元超格子31を薄片化した時には、一義的に位置を決定することができ、かつ、rだけ離れた異なる別の一点(地点)も一義的に定まり、そこから横ラインを通じてアクセスもできる(図6C)。このように、1次元超格子31の薄片化により、上述の(↑、↓)の性質を有する系を実現することができる。
さらに、図7に示すように、上記の2次元の超格子薄片33をもうひとつの同様な超格子薄片34と互いに90度方位がずれた状態で重ね合わせる。この超格子薄片の2枚重ねで擬似的(離散的)な等方性を回復すると同時に、この2枚重ねで2次元格子を形成することにより、ナノサイズにおいて離散的しかし稠密に空間にアクセスする仕組みができ、これを以って全体で連続的な任意のボトムアップ系に対し個別にアドレスする神経系に相当するものを人工的に付与することができる。
図7に示す構造は、図2AおよびBに示すボトムアップ系が、時間が連続的に投影された等方的な(方向性のない)構造(これを今第1の構造とする) であり、図1AおよびBに示すトップダウン系が、時間が非連続的に投影された非等方的な(方向性のある)構造(これを今第2の構造とする)であるのと対照的に、丁度それらの中間の性質を有する、時間が連続的に投影された非等方的な(方向性のある)構造(これを今第3の構造とする)であり、ボトムアップ系とその連続時間性を、またトップダウン系とその空間非等方性を共有する。このため、この第3の構造は、ボトムアップ系とトップダウン系との双方に良い親和性を有しており、時間連続投影性および空間等方性具有、つまり(↑、↑)なる性質と時間非連続投影性および空間非等方性具有、つまり(↓、↓)なる性質というまったくの両極端の構造(だからこそそれらの結合がこれまでなされなかった)を結びつけることができる。
しかも、図7に示すように、第3の構造は、上記の超格子薄片を2枚重ね合わせることで離散的な等方性(擬似等方性)を回復させ、ボトムアップ系に2次元的に完全にアクセスすることができる。
さらに、すでに述べたように、従来、トップダウン系をなす半導体集積回路などの2次元構造体では一括露光によるパターニングが用いられ、分解能はx、yの2方向に要求され、しかもその精度は現在の最高の分解能でも、数nm程度であるのと対照的に、上記の第3の構造の部分は、時間を空間に投影する手法で形成するため原子層の分解能を持つことができる。このため、たとえボトムアップ部分が分子程度の大きさのユニットからなっていても、そこへ個別アクセスすることが可能となる。
従来のリソグラフィーの分解能限界を乗り越える手法そのものとして、自己組織化を用いる試みがなされている。実際、例えば、自己組織化でできた量子ドットや単一分子を使った2次元メモリでは、数Åオーダーの精度での配列が可能である。しかし、これらの自己組織化微細構造への独立アクセスに関しては方法がない。金属配線などで外からアクセスしようとしても、金属配線をリソグラフィーにより形成するのでは、すでに述べたように、分解能が十分ではない。
すなわち、トップダウン系で用いられる従来のリソグラフィーでは1原子層オーダーの分解能はまったく得られておらず、また、ボトムアップのみを用いたのでは(分解能はまだしも) 独立アクセスが不可能であったものが、上記の超格子薄片33のように、1次元超格子の成長速度を制御して時間を空間に投影するとともに、これを薄片化して方向性の自由度を最小に絞った構造を用いることにより、トップダウン系とボトムアップ系とを相補的につなぐことができ、1原子層オーダーの分解能と独立アクセスとの両方を達成することができる。すでに述べたように、分解能に関しては、図8に示すように、本発明者により、MOCVD法によるAlAs/GaAs2原子層超格子の成長において成長方向に1原子層の分解能が得られることが示されている(非特許文献5)。ここで、図8A、図8Bおよび図8Cはそれぞれ、透過型電子顕微鏡(TEM)による暗視野像、格子像および回折パターンを示す。
すでに述べたように、MOCVDの成長機構は本質的に表面拡散とキンク成長とからなり、図9に示す電気化学的成長機構と同じである(非特許文献6)。従って、1次元超格子の成長は電気化学的手法を用いても時間の関数として行うことができる。つまり、電気化学的手法を用いて図6Aに示すような時間の連続的な流れをそのまま表している1次元超格子を成長させることができ、連続的時間座標による空間構造の制御を行うことができる。図1AおよびBに示す一括露光、現像、エッチングという時間軸上の離散的な点での空間構造の制御に比べ、一桁以上の分解能の向上が可能である。
このため、上記の方法によれば、微細で離散的かつ稠密な繰り返し構造、例えば、金属などの導電体ストリップ/誘電体の繰り返し構造を原子層の精度で形成することができる。
上記の第3の構造をこのような導電体ストリップ/誘電体の繰り返し構造で形成する場合、図10Cに示すような、導電体ストリップ41、42がそれらの面同士が対向するように交差していてその交差部の面積が大きい配置ではなく、図10Bに示すように、導電体ストリップ41、42がそれらのナイフエッジ同士が対向するように交差していて、その交差部の面積が非常に小さい配置とするのが望ましい。図10Bの場合、導電体ストリップ41、42の厚さ、すなわちエッジ幅は例えば1〜10nmオーダーであり、このとき導電体ストリップ41あるいは導電体ストリップ42を隔てる誘電体の厚さは例えば10〜100nmオーダーである。図10Bにおいて、符号45は1辺のサイズが例えば1〜10nmオーダーの擬0次元スペースを示す。
図10Bに示す配置が望ましい理由を以下に示す。
図10Aは局所的な電磁場による表面増強効果が確認されているSPM(表面プローブ顕微鏡)の配置を示し、探針43の先端が試料の表面44(2次元面)に近接している。以下、図10Aに示す場合と図10Bに示す場合とについてナノ空間での電位の空間分布を計算する。
図10Aの場合は、鏡映効果を勘案して探針同士が対向している場合として計算することができる。この時の探針の先端間の距離と、図10Bの交差部の導電体ストリップ41と導電体ストリップ42との間隔は、比較のため同じとする。今、真空中に金属性の構造物があり、金属部の電位は外から設定しているとすると、空間電荷はゼロであるので、この場合に解くべきポアッソン方程式は簡単になってラプラス方程式
(∂2/∂x2+∂2/∂y2+∂2/∂z2)φ(x,y,z) =0 (1)
となる。空間をメッシュ(間隔Δ)に切り差分方程式化すると
φ(i,j,k) に対して、
∂φ(i,j,k)/∂x = (φ(i,j,k)-φ(i-1,j,k))/ Δ
∂φ(i,j,k)/∂y = (φ(i,j,k)-φ(i,j-1,k))/ Δ
∂φ(i,j,k)/∂z = (φ(i,j,k)-φ(i,j,k-1))/ Δ
となる。例えば、x については、
2 φ/ ∂x2= (φ'(i+1,j,k)- φ'(i,j,k))/Δ
= ((φ(i+1,j,k)-φ(i,j,k))/ Δ-(φ(i,j,k)-φ(i-1,j,k))/ Δ)/Δ
= ((φ(i+1,j,k)+φ(i-1,j,k)- 2φ(i,j,k))/ Δ2
となる。同様にして∂2 φ/ ∂y2、∂2 φ/ ∂z2を求めて(1)式に代入すると結局
0=((φ(i+1,j,k)+φ(i-1,j,k)- 2φ(i,j,k))/ Δ2
+ ((φ(i,j+1,k)+φ(i,j-1,k)- 2φ(i,j,k))/ Δ2 + ((φ(i,j,k+1) + φ(i,j,k-1)- 2φ(i,j,k))/ Δ2
となる。以上をまとめると
φ(i,j,k) =(φ(i+1,j,k)+φ(i-1,j,k) + (φ(i,j+1,k)+φ(i,j-1,k)
+ (φ(i,j,k+1)+φ(i,j,k-1))/ 6 (2)
という漸化式を回すことによってラプラス方程式の解が求まる。
図10Aの配置における境界条件を入れて(2)式を用いて計算すると図11〜図14に示す電位分布が得られる。ここで、図11〜図14の各番号(1〜12)は探針の先端間の空間座標を表し、0と12が探針の先端の位置である。図11〜図14の各a図においては、z軸はフルスケール1000(任意単位)で固定であり、各b図においては、電位の大きさによってスケーリングを行って縦軸を描いてある。
同様にして図10Bの場合、すなわち導電体ストリップ41、42のナイフエッジ同士が対向している場合について計算すると、図15〜図18に示す電位分布が得られる。図15〜図18でも上記と同じく、各番号は導電体ストリップ41、42のナイフエッジ間の空間座標を表し、0と12がナイフエッジの先端の位置である。また、上記と同じく、図15〜図18の各a図においては、z軸はフルスケール1000(任意単位)で固定であり、各b図においては、電位の大きさによってスケーリングを行って縦軸を描いてある。
図11〜図14と図15〜図18とを比較すると、図10Aに示す場合および図10Bに示す場合ともに、交差部の断面積は0次元であることを反映して、中間地点付近では似たような電位変化、すなわち急峻な電場変化をしていることが分かるが、図12の番号5から図13の番号7への変化量と、図16の番号5から図17の番号7への変化量とを比較すると、同じ電位を与えた場合でも、探針の先端同士が対向している場合よりもむしろ、導電体ストリップ41、42のナイフエッジ同士が十字状に交差して対向している場合の方が、単位長さあたりの電場変化が大きく、強い量子効果を引き出すことができることを示唆している。
図11〜図14に見られるように、対向探針間のポテンシャルは両探針の先端を結ぶ軸の方向(図中、上下方向)に対称であり、また、その軸の周りに回転対称であるのに対し、ナイフエッジの十字交差配置では、図16および図17に見られるように、中間点付近でポテンシャルが鞍点状の特異な形状となる。すなわち、上下非対称であり、2回回転対称性と、π/4回転+上下反転の対称操作に対する不変性とを有する。すなわち、D2d対称性を持つ。これらは、十字交差部にはさまれる分子の配置・荷電対称性を制御して新しい量子機能を引き出すための良いツールとすることができる。また、交差角を90度からずらすことにより、D2 、C2v、C2 などの対称性へとブレークダウンすることもできる。
また、図6Cあるいは図7に示す構造において、1次元超格子31を導電体層と誘電体層との周期構造体とし、その導電体層の厚さを十分に小さくすることにより、図10Bに示す構造および図15〜図18に示す電位分布を実現することができることが分かる。
これにより、上記の第3の構造において、表面増強効果を引き起こすようなサイトを超多重並列に並べることができる。この場合、表面プローブ顕微鏡のヘッドを多数並べた構造の多重並列表面プローブの場合とまったく異なり、稼動部がない点が大きなメリットである。また、超格子薄片として例えば厚さが1〜100μmのものを用いることにより、導電体ストリップ41、42を極めて細くすることができ、かつ、導電体ストリップ41、42の高い導電性と薄片面の平坦性とを維持することができる。
例えば、図10Bに示す導電体ストリップ41、42の交差部の擬0次元スペース45にボトムアップ物質を設けると、この第3の構造におけるx、y交差系をなす導電体ストリップ41、42を人工神経ラインとして、例えばこの第3の構造の外側に設けた従来のシリコンLSI系とそのボトムアップ物質とをつないで新規の機能を得ることも可能となる(例えば、特許文献1、2)。
導電体ストリップ41、42、より一般的には導電ラインは、電子を媒体としているので、相互作用が伝わる速さが極めて速い。他方、ボトムアップ領域の変化、特に原子の配置(コンフィグレーション)の変化(官能基の位置変化など)は慣性質量が大きいため、速さはかなり遅い。通常、両者の速さの間には一桁以上(一般には数桁)の差がある。従って、図7に概念的に示した配置を実物質を用いて実現した一例である図19に示す構造はナノスケールで離散化されたバルクサイズ時空間系であり、各導電ラインの交差部にはさまれた原子・分子とラインを流れる電子(または正孔)とを断熱近似的に扱うことができる。すなわち、図19は金属と誘電体との周期構造体からなる2枚の超格子薄片を互いに90度方位がずれた状態で重ね合わせたものであり、金属からなる導電体ストリップ41、42の交差部の擬0次元スペース45にボトムアップ物質が設けられる。導電体ストリップ41は誘電体層46で分離され、導電体ストリップ42は誘電体層47で分離されている。図19には、この系がメモリであるとした場合に記憶密度1Tb/in2 に相当する各部の寸法の例を記載した。
通常、原子団・分子団の相互作用は最近接のものを通じて漣が立つように、いわば近接場的に伝わる。しかし、図19に示す系では、導電ラインを通じて原子・分子にとっては瞬時に、いわば遠隔作用的にやり取りが起こる。系が隅々までを「知っている」ことが臨界状態の本質のひとつであるので、この図19に示す系は、従来の物質にない(例えば、連続系に対し離散系であるセルラーオートマトン(例えば、非特許文献2参照のこと)がそうであるように)「臨界状態」に親しい新物質ということができる。そして、この系に現れると期待される変調された自己組織化臨界現象や自発的対称性の破れを通じてナノ構造物理の新側面を現出させることができる。すなわち、局所的かつ個別的にアドレスすることの可能なナノ構造体を大局的サイズで得ることによって微視的世界と巨視的世界とをつなぐとともに新しい量子機能を創出することができる。
この発明は上記の考察に基づいて案出されたものであり、上記の考察、後に記述する発明の実施の形態などにより裏付けられるものである。
すなわち、上記課題を解決するために、第1の発明は、
導電体層と当該導電体層の厚さ以上の厚さを有する非金属層との周期構造体からなる薄片を有し、当該薄片に交差する方向から光を入射させる(アクセスさせる)ことを特徴とする機能素子である。
この機能素子は、時間が連続的に織り込まれた構造において、織り込まれた方向に直交する方向から、当該構造にアクセスすることを特徴とする機能素子の一例である。
ここで、好適には、薄片に直交する方向から光を入射させる。また、導電体層は最も好適には金属層である。導電体層は、典型的にはストリップ状またはリボン状である。この機能素子が例えば太陽電池である場合には、この金属層としてアノード電極とカソード電極とを用い、非金属層としては半導体層を用いる。
第2の発明は、
導電体層と当該導電体層の厚さ以上の厚さを有する非金属層との周期構造体からなる薄片を有し、当該薄片に交差する方向に、少なくとも一部、電子を流すことを特徴とする機能素子である。
ここで、典型的には、導電体層の幅方向に沿う方向に電子を流す。導電体層は最も好適には金属層であり、典型的にはストリップ状またはリボン状である。
第3の発明は、
導電体層と当該導電体層の厚さ以上の厚さを有する非金属層との周期構造体からなる薄片をその層が互いに交差し、かつ、導電体層のエッジ同士が所定の機能物質を介して対向するように少なくとも2枚重ねた構造を含むことを特徴とする機能素子である。
ここで、導電体層は最も好適には金属層であり、典型的にはストリップ状またはリボン状である。
第4の発明は、
複数の導電体層がそれらのエッジを対向させて互いに交差し、かつ、導電体層のエッジ同士が所定の機能物質を介して対向する構造を含むことを特徴とする機能素子である。
第1〜第4の発明において、導電体層は、典型的にはストリップ状またはリボン状である。また、導電体層の厚さは、一般的には0.2nm以上100nm以下あるいは1nm以上100nm以下あるいは0.2nm以上60nm以下、好適には0.2nm以上30nm以下、非金属層の厚さは、一般的には0.2nm以上200μm以下、典型的には0.2nm以上50μm以下である。
第5の発明は、
厚さが0.2nm以上100nm以下の導電体層と当該導電体層の厚さ以上の厚さを有する誘電体層との周期構造体からなる薄片をその層が互いに交差し、かつ、導電体層のエッジ同士が所定の記憶媒体を介して対向するように少なくとも2枚重ねた構造を含むことを特徴とする記憶素子である。
ここで、導電体層は、典型的にはストリップ状またはリボン状である。また、導電体層の厚さは好適には1nm以上100nm以下あるいは0.2nm以上60nm以下、好適には0.2nm以上30nm以下、誘電体層の厚さは一般的には0.2nm以上200μm以下、典型的には0.2nm以上50μm以下である。記憶媒体は、例えば絶縁膜またはナノブリッジ構造である。記憶素子は、典型的には、読み出し専用記憶素子(ROM)である。交差部に記憶される情報(データ)の読み出しは、対角線(最長の対角線のみならず、折れ線状の部分対角線も含む)上の複数個の交差部に亘る並列読み出し((ほぼ)同時読み出し、あるいは(ほぼ)同時アクセス)により行うこともでき、このようにすると高速の読み出しが可能である。
第6の発明は、
絶縁体層と強磁性体層との周期構造体からなる薄片をその強磁性体層のエッジ同士が対向するように少なくとも2枚、その間に厚さが0.2nm以上10nm以下のトンネル絶縁体層をはさんで重ねた構造を含むことを特徴とする磁気記録素子である。
ここで、トンネル絶縁体層および強磁性体層としては種々のものを用いることができるが、具体的には、トンネル絶縁体層として例えばAl2 3 膜、強磁性体層として例えばCo膜を用いる。絶縁体層および強磁性体層は、典型的にはストリップ状またはリボン状である。
第7の発明は、
アノード電極とカソード電極とが、間に半導体層をはさんで渦巻き状に形成され、全体として板状の形状を有することを特徴とする太陽電池である。
ここで、半導体層は、光電変換が可能であり、渦巻き状に形成することに支障がない限り、基本的にはどのようなものであってもよいが、典型的には、アモルファスシリコン層などの無機半導体層または有機半導体層である。この太陽電池の形状は問わないが、典型的には円形、三角形または六角形の形状を有する。アノード電極およびカソード電極は、典型的にはストリップ状またはリボン状である。
第8の発明は、
厚さが0.5nm以上10nm以下の金属層と誘電体層との周期構造体からなる薄片を少なくとも1枚有することを特徴とする触媒反応装置である。
ここで、金属層は例えばAu膜、Pd膜、Pt膜などであり、誘電体層はTiO2 膜やSiO2 膜などの酸化膜である。金属層は、典型的にはストリップ状またはリボン状である。薄片は、反応ガスとの接触面積を増して触媒作用を高める観点より、好適には複数枚、間隔をあけて積層する。
第9の発明は、
光電変換層が渦巻き状または同心形状に形成され、全体として板状の形状を有し、この板に交差する方向から光を入射させる光電変換素子であって、
上記板の厚さ方向に上記光電変換層の光電変換可能な光の波長が段階的および/または連続的に変化していることを特徴とするものである。
典型的には、第1の電極と第2の電極とが、間に光電変換層をはさんで渦巻き状または同心形状に形成される。また、典型的には、第1の電極および第2の電極のうちの少なくとも一方、通常は少なくともアノード電極が、板の厚さ方向に互いに分離して設けられた複数の電極からなる。また、典型的には、板の光入射面から厚さ方向に光電変換層の光電変換可能な光の波長が段階的に増加しており、第1の電極および第2の電極のうちの少なくとも一方が、板の厚さ方向に上記の各段階に対応した位置に互いに分離して設けられた複数の電極からなる。光電変換層は、典型的には、p型半導体層とn型半導体層とからなるpn接合である。これらのp型半導体層およびn型半導体層は、無機半導体、有機半導体のいずれであってもよく、典型的には、板の厚さ方向に組成傾斜した無機半導体または有機半導体からなる。典型的には、板の光入射面から厚さ方向にp型半導体層およびn型半導体層のバンドギャップが段階的および/または連続的に減少している。第1の電極および第2の電極の厚さは必要に応じて決められるが、典型的にはそれぞれ0.2nm以上100nm以下である。また、光電変換層の厚さも必要に応じて決められるが、典型的には10nm以上100nm以下である。光電変換層は、公知の色素増感湿式太陽電池と同様に、色素を担持した半導体光電極とこの半導体光電極と接した電解質層とこの電解質層と接した対極とにより構成してもよい。電解質層としては、好適には固体電解質層が用いられる。この固体電解質層は印刷や塗布などにより形成することができる。半導体光電極としては、典型的には、酸化チタン(例えば、アナターゼ型構造のもの)などの金属酸化物からなるものが用いられる。典型的には、板の光入射面から厚さ方向に半導体光電極に担持させる色素の種類を変え、この色素が吸収する光の波長を段階的に増加させる。より具体的には、板の光入射面から厚さ方向に、半導体光電極に担持させる色素を、短波長の光を吸収するものから長波長の光を吸収するものへと段階的に変化させる。この光電変換素子の形状は問わないが、典型的には円形、三角形または六角形の形状を有する。
第10の発明は、
発光層が渦巻き状または同心形状に形成されたことを特徴とする発光素子である。
この発光素子は、典型的には、板状の形状を有し、具体的には、例えば円形、三角形または六角形の形状を有する。この発光素子を単色発光とする場合、発光層には単一のバンドギャップを有する発光材料を用いる。これに対して、白色発光あるいは複数色発光とする場合、この発光素子においては、典型的には、発光層のバンドギャップの制御により、板の厚さ方向に発光層の発光可能な光の波長が段階的および/または連続的に変化している。また、典型的には、第1の電極と第2の電極とが、間に発光層をはさんで渦巻き状または同心形状に形成される。また、典型的には、第1の電極および第2の電極のうちの少なくとも一方が、板の厚さ方向に互いに分離して設けられた複数の電極からなる。また、典型的には、板の一主面から厚さ方向に発光層の発光可能な光の波長が段階的に変化しており、第1の電極および第2の電極のうちの少なくとも一方が、板の厚さ方向に上記の各段階に対応した位置に互いに分離して設けられた複数の電極からなる。典型的には、発光層はp型半導体層とn型半導体層とからなるpn接合である。これらのp型半導体層およびn型半導体層は、無機半導体、有機半導体のいずれであってもよく、典型的には、板の厚さ方向に組成傾斜した無機半導体または有機半導体からなる。典型的には、板の一主面から厚さ方向にp型半導体層およびn型半導体層のバンドギャップが段階的および/または連続的に変化している。第1の電極および第2の電極の厚さは必要に応じて決められるが、典型的にはそれぞれ0.2nm以上100nm以下である。また、発光層の厚さも必要に応じて決められるが、典型的には10nm以上100nm以下である。
上記課題は、より一般的には、以下のようにして解決することが可能である。
すなわち、第11の発明は、
局所的な相互作用により形成される第1の構造と予め設定された大局的な規則により形成された第2の構造とが、非等方的な構造を有する第3の構造を介して結合されてなることを特徴とする機能素子である。
第12の発明は、
第1の構造と第2の構造とが第3の構造を介して結合されてなる機能素子の製造方法であって、
第3の構造を非等方的な構造を有するように形成する工程と、
第2の構造を予め設定された大局的な規則により形成する工程と、
第1の構造を局所的な相互作用により形成する工程とを有することを特徴とするものである。
第13の発明は、
局所的な相互作用により形成される第1の構造と予め設定された大局的な規則により形成された第2の構造とが、非等方的な構造を有する第3の構造を介して結合されてなる機能素子を用いたことを特徴とする機能システムである。
第11、第12および第13の発明においては、例えば、第1の構造が自律分散型相互作用により形成されたものであり、第2の構造が予め設定された大局的な設計ルールにより形成されたものであり、第3の構造が非等方的な周期構造を有する平面または曲面からなるものである。あるいは、第1の構造が自律分散型相互作用により形成されたものであり、第2の構造が予め設定された大局的な設計ルールにより形成されたものであり、第3の構造が非等方的な周期構造を有する面を複数交差させて重ねたものである。
第14の発明は、
時間が連続的に投影された等方的な第1の構造と時間が不連続的に投影された非等方的な第2の構造とが、非等方的な周期構造を有する第3の構造により結合されてなることを特徴とする機能素子である。
第15の発明は、
第1の構造と第2の構造とが第3の構造を介して結合されてなる機能素子の製造方法であって、
第3の構造を非等方的な構造を有するように形成する工程と、
第2の構造を時間が不連続的に投影された非等方的なものとして形成する工程と、
第1の構造を時間が連続的に投影された等方的なものとして形成する工程とを有することを特徴とするものである。
第16の発明は、
時間が連続的に投影された等方的な第1の構造と時間が不連続的に投影された非等方的な第2の構造とが、非等方的な周期構造を有する第3の構造により結合されてなる機能素子を用いたことを特徴とする機能システムである。
第14、第15および第16の発明においては、例えば、第3の構造が非等方的な周期構造を有する面を複数交差させて重ねたものである。
第17の発明は、
時間が連続的に投影された等方的な第1の構造と時間が不連続的に投影された非等方的な第2の構造とが、時間が連続的に投影された非等方的な第3の構造により結合されてなることを特徴とする機能素子である。
第18の発明は、
第1の構造と第2の構造とが第3の構造を介して結合されてなる機能素子の製造方法であって、
第3の構造を時間が連続的に投影された非等方的なものとして形成する工程と、
第2の構造を時間が不連続的に投影された非等方的なものとして形成する工程と、
第1の構造を時間が連続的に投影された等方的なものとして形成する工程とを有することを特徴とするものである。
第19の発明は、
時間が連続的に投影された等方的な第1の構造と時間が不連続的に投影された非等方的な第2の構造とが、時間が連続的に投影された非等方的な第3の構造により結合されてなる機能素子を用いたことを特徴とする機能システムである。
第17、第18および第19の発明においては、例えば、第3の構造が、時間が連続的に投影された非等方的な2次元構造をその方向性をずらして少なくとも二つ重ねて擬似的に等方性を回復したものである。
第20の発明は、
ボトムアップで形成された第1の構造とトップダウンで形成された第2の構造とが、非等方的な周期的な第3の構造を介して結合されてなることを特徴とする機能素子である。
第21の発明は、
第1の構造と第2の構造とが第3の構造を介して結合されてなる機能素子の製造方法であって、
第3の構造を非等方的な周期的なものとして形成する工程と、
第2の構造をトップダウンで形成する工程と、
第1の構造をボトムアップで形成する工程とを有することを特徴とするものである。
第22の発明は、
ボトムアップで形成された第1の構造とトップダウンで形成された第2の構造とが、非等方的な周期的な第3の構造を介して結合されてなる機能素子を用いたことを特徴とする機能システムである。
第20、第21および第22の発明においては、例えば、第1の構造が自己組織化によるボトムアップで形成されたものであり、第2の構造がトップダウンで形成された集積回路(半導体集積回路など)であり、第3の構造が、時間が連続的に投影された非等方的な2次元構造を複数交差させて重ねて擬似的に等方性を回復したものである。
第23の発明は、
自己相似性またはフラクタル構造を有する第1の構造とトップダウンで形成された集積回路からなる第2の構造とが、非等方的な周期構造を有する第3の構造により結合されてなることを特徴とする機能素子である。
第24の発明は、
第1の構造と第2の構造とが第3の構造を介して結合されてなる機能素子の製造方法であって、
第3の構造を非等方的な周期構造を有するように形成する工程と、
第2の構造をトップダウンで集積回路として形成する工程と、
第1の構造を自己相似性またはフラクタル構造を有するものとして形成する工程とを有することを特徴とするものである。
第25の発明は、
自己相似性またはフラクタル構造を有する第1の構造とトップダウンで形成された集積回路からなる第2の構造とが、非等方的な周期構造を有する第3の構造により結合されてなる機能素子を用いたことを特徴とする機能システムである。
第23、第24および第25の発明においては、例えば、第3の構造が、非等方的な周期構造を有する面を複数交差させて重ねたものであり、また、集積回路は半導体集積回路などである。
第11〜第25の発明において、第3の構造は、例えば、厚さが0.2nm以上60nm以下、好適には0.2nm以上30nm以下、典型的には1〜10nmオーダーの導電体層と厚さが0.2nm以上50μm以下、典型的には0.2nm以上600nm以下、より典型的には10〜100nmオーダーの誘電体層との周期構造体からなる薄片をその層が互いに交差するように少なくとも2枚重ねた構造を有する。
また、非等方的な構造は、単一の空間周波数を有するものであっても、複数の空間周波数を有するものであってもよい。さらに、非等方的な構造は、例えば、相互作用が伝わる特徴的な時間に1桁以上の差がある互いに異なる性質を有する複数種の相互作用または物理現象の担体を有し、注目している相互作用または物理現象についてそのホストとなる物質の系において、速い相互作用時間または物理現象時間で特徴付けられる担体(例えば、電子)に対応する第1のホスト物質により、遅い相互作用または物理現象で特徴付けられる担体(例えば、原子または分子)に対応する第2のホスト物質が、1nm以上100nm以下のスケールのオーダー(例えば、0.2nm以上600nm以下)で離散化されたものである。また、この場合、例えば、第1のホスト物質について、全体システムの内部の任意の位置に対して、これと連結しているこの第1のホスト物質が、少なくとも1箇所、このシステムを囲む1次元ラインまたは曲線上に存在するか、露出している。
第3の構造に導電体層と誘電体層との繰り返し構造を用いる場合、導電体層に接触する両側の誘電体層の性質は互いに同一であっても異なっていてもよい。
典型的な一つの例では、トップダウンで製造された集積回路(半導体集積回路など)からなる第2の構造と第1の構造および第3の構造の結合体とがこの結合体の辺縁に存在する直線または曲線状の一次元構造をインターフェース領域として結合する。
第26の発明は、
第11、第14、第17、第20、第23の発明における第3の構造が3層以上積層されてなることを特徴とする機能材料である。
第27の発明は、
第11、第15、第17、第20、第23の発明における第1の構造および第3の構造からなる積層体が2層以上積層されてなることを特徴とする機能材料である。
第28の発明は、
ストリップ状の導電体層と誘電体層との周期構造体からなる薄片をその層が互いに交差するように、かつ、導電体層のエッジ同士が対向するように少なくとも2枚重ねた構造を含むことを特徴とする機能素子である。
第29の発明は、
ストリップ状の導電体層と誘電体層との周期構造体からなる薄片をその層が互いに交差し、かつ、導電体層のエッジ同士が対向するように少なくとも2枚重ねた構造を含むことを特徴とする機能材料である。
第30の発明は、
厚さが0.2nm以上60nm以下のストリップ状の導電体層とこの導電体層の厚さ以上の厚さを有する誘電体層との周期構造体からなる薄片をその層が互いに交差し、かつ、導電体層のエッジ同士が対向するように少なくとも2枚重ねた構造を含むことを特徴とする機能素子である。
第31の発明は、
厚さが0.2nm以上60nm以下のストリップ状の導電体層とこの導電体層の厚さ以上の厚さを有する誘電体層との周期構造体からなる薄片をその層が互いに交差し、かつ、導電体層のエッジ同士が対向するように少なくとも2枚重ねた構造を含むことを特徴とする機能材料である。
第30および第31の発明において、導電体層の厚さは好適には0.2nm以上30nm以下、誘電体層の厚さは一般的には0.2nm以上200μm以下、典型的には0.2nm以上50μm以下である。
第32の発明は、
非等方的な構造が、相互作用が伝わる特徴的な時間に1桁以上の差がある互いに異なる性質を有する複数種の相互作用または物理現象の担体を有し、注目している相互作用または物理現象についてそのホストとなる物質の系において、速い相互作用時間または物理現象時間で特徴付けられる担体に対応する第1のホスト物質により、遅い相互作用または物理現象で特徴付けられる担体に対応する第2のホスト物質が、1nm以上100nm以下のスケールのオーダーで離散化されていることを特徴とする機能素子である。
第33の発明は、
非等方的な構造が、相互作用が伝わる特徴的な時間に1桁以上の差がある互いに異なる性質を有する複数種の相互作用または物理現象の担体を有し、注目している相互作用または物理現象についてそのホストとなる物質の系において、速い相互作用時間または物理現象時間で特徴付けられる担体に対応する第1のホスト物質により、遅い相互作用または物理現象で特徴付けられる担体に対応する第2のホスト物質を、1nm以上100nm以下のスケールのオーダーで離散化することを特徴とする機能素子の製造方法である。
第34の発明は、
非等方的な構造が、相互作用が伝わる特徴的な時間に1桁以上の差がある互いに異なる性質を有する複数種の相互作用または物理現象の担体を有し、注目している相互作用または物理現象についてそのホストとなる物質の系において、速い相互作用時間または物理現象時間で特徴付けられる担体に対応する第1のホスト物質により、遅い相互作用または物理現象で特徴付けられる担体に対応する第2のホスト物質が、1nm以上100nm以下のスケールのオーダーで離散化された機能素子を用いたことを特徴とする機能システムである。
第26〜第34の発明においては、その性質に反しない限り、第11〜第25の発明に関連して述べたことが成立する。
さらに、第11〜第34の発明においては、その性質に反しない限り、第1〜第10の発明に関連して述べたことが成立する。
上述のように構成されたこの発明においては、局所的な相互作用により形成される第1の構造と予め設定された大局的な規則により形成された第2の構造とを、非等方的な構造を有する第3の構造を介して結合することにより、従来困難であったトップダウン系とボトムアップ系との統合を容易に行うことができる。
上記の種々の素子は、以下の新規なクリーンユニットあるいはクリーンユニットシステムを用いることにより、巨大でかつ設備コストが高い従来のクリーンルームを用いることなく、高い歩留まりで製造することができる。
すなわち、第35の発明は、
クリーンな環境に維持することができる作業室と、
作業室の後部、上部および下部のうちの少なくとも一つならびに少なくとも一方の側部にそれぞれ設けられた連結部とを有することを特徴とするクリーンユニットである。
作業室の連結部を後部、上部、下部および二つの側部のどこに設けるかは、クリーンユニットを二次元的(平面的)または三次元的(立体的)にどのように配置するかに応じて適宜決められる。例えば、クリーンユニットを水平面内に配置する場合、連結の自由度を大きくし、クリーンユニットシステムのフレキシビリティーを高めるためには、好適には、連結部は、作業室の後部および両側部にそれぞれ設けられる。この場合、一つのクリーンユニットに対し、後部および両側部に合計三つのクリーンユニットを連結することが可能である。また、クリーンユニットを鉛直面内に配置する場合、連結の自由度を大きくし、クリーンユニットシステムのフレキシビリティーを高めるためには、好適には、連結部は、作業室の上部または下部および両側部にそれぞれ設けられる。この場合、一つのクリーンユニットに対し、上部または下部および両側部に合計三つのクリーンユニットを連結することが可能である。連結部は、一般的には、作業室の壁に設けられた開口部とこの開口部を開閉可能に設けられた遮断板とを有する。この遮断板は、開閉可能である限り、基本的にはどのようなものであってもよいが、典型的には、引き戸や扉などである。この遮断板の開閉は、手動で行ってもよいし、光センサーなどのセンサーを作業室内部に取り付けるとともに、遮断板の開閉機構を設け、オペレーターの手や試料が遮断板に近づいた時に自動的に開閉するようにしてもよい。また、作業室にベルトコンベアーなどの搬送機構を設け、入り口と出口との間でこの搬送機構により試料を搬送する場合には、試料が搬送機構により出口付近まで搬送された時、これをセンサーにより検知して遮断板を開閉機構により開閉するようにしてもよい。遮断板または作業室の壁面にパッキンなどのシール部材を設けて遮断時の気密性を高めるようにしてもよい。
作業室は、その中でどのような作業(あるいはプロセス)を行うかによっても異なるが、クリーンな環境において化学プロセス、化学反応、結晶成長、バイオプロセスなどを実行するような場合、典型的には排気ダクト、および送風動力を有しないパッシブな防塵フィルターを有する。これらの排気ダクトおよび防塵フィルターは、典型的には作業室の上部に設置される。この場合、一般的には、クリーンユニットは密閉タイプであるが、これに限定されるものではない。これに対し、作業室内で非化学プロセス(例えば、表面プローブ顕微鏡による物理測定や検査やアセンブル(組立)作業)を実行するような場合、作業室は、典型的には、圧力制御用などの通風孔および送風動力を有するアクティブな防塵フィルター(例えば、HEPAフィルターやULPAフィルターなど)を有する。典型的には、防塵フィルターは作業室の上部に設けられ、通風孔は作業室の側壁下部に設けられる。この場合、一般的には、クリーンユニットは、通風孔により作業室の内部圧力を制御する開放系タイプであるが、これに限定されるものではない。作業室には、圧力制御用などの通風孔に加えて、配線などを通すためなどの目的で一つまたは二つ以上の孔が設けられることがある。作業室から流出する気体が、活性炭などを用いた吸着装置または除害装置またはそれらの両方を経た後、アクティブな防塵フィルターの入り口に入るように構成し、さらに、好適には吸着装置および/または除害装置に外界に繋がる排気ダクトを設けることで、気体中に含まれる有害微粒子などを吸着し、あるいは有害ガスを無害化してから外部に排出するようにすることにより、有害微粒子や有毒ガスなどの発生を伴うバイオプロセス(細胞培養、細胞融合、遺伝子組み替え、植物体育成、形質改変など)や化学プロセスなどにも適用することができる。また、通風孔から流出する気体がアクティブな防塵フィルターの入り口に入るように構成することにより、同じ防塵フィルターを用いていながら、作業室の清浄度の大幅な向上を図ることができる。作業室の清浄度の向上の観点からは、最も好適には、作業室の通風孔などから流出する気体の全て(100%)がアクティブな防塵フィルターの入り口に入るように構成されるが、必ずしもそのようにする必要はなく、流出する気体の一部がアクティブな防塵フィルターの入り口に入るように構成するだけでも効果を得ることができる。典型的には、作業室に直結された気密性を有する管がアクティブな防塵フィルターの入り口に繋がっていることにより気体が循環するように構成され、かつ気密性を有するようにする(ターボシステム)。作業室は、必要に応じて作業用のグローブを有し、これは通常、作業室の前部に設けられる。
クリーンユニットは、例えば、ナノテクノロジープロセスユニットやバイオテクノロジープロセスユニットであり、各種のプロセスに用いることができる。
クリーンユニットは、例えばドラフト、クリーンベンチ、グローブボックスなどであるが、これに限定されるものではない。
クリーンユニットの作業室の形状は種々の形状であってよく、必要に応じて選ばれるが、具体例を挙げると、直方体状または立方体状、直方体または立方体を変形した形状、球状、半球状、楕円体状、円筒状などであってよい。また、作業室の内部の大きさは、基本的には使用目的などに応じて設計により適宜決定するものであるが、例えば、オペレーターがグローブなどを用いて作業室の内部で各種の作業(プロセスの実行、クリーニングなどのメンテナンスの実施など)を行うことができるようにするためには、作業室内に外部から手を入れて作業空間のほぼ全体に届く大きさであることが望ましく、一般的には幅、高さ、奥行きとも1m以内に選ばれる。一方、作業室の大きさがあまりに小さすぎると、作業に支障を来すおそれがあるため、一般的には30cm程度以上に選ばれる。作業室内に外部から手を入れて作業を行う必要がない場合、例えば作業を自動化する場合、あるいはクリーンユニットを試料などを入れたまま携帯する場合などには、作業室の大きさをより小さくすることが可能である。
作業室は、板状のハードな部材により構成するほか、風船あるいはバルーン状のソフトな材料を用いて構成してもよい。
クリーンユニットの内部には、使用目的に応じて、コンパクトな装置を収めることができる。この装置は、具体的には、例えば、後述のような各種のプロセス装置、ラッピング装置、解析装置(例えば、光学顕微鏡、走査型電子顕微鏡(SEM)、原子間力顕微鏡(AFM)などの走査プローブ顕微鏡(SPM)など)、反応装置、マイクロケミカルシステム、マイクロケミカルリアクター、露光装置、エッチング装置、成長装置、加工装置、殺菌装置、粒径フィルター、人工光源、バイオ装置、食品加工装置、検査装置、駆動装置などである。人工光源としては、細胞系の育成や植物体の育成を行う場合、好適には、スペクトル半値幅が30nm以下の発光ダイオードや半導体レーザ、特にパルス駆動半導体レーザが用いられる。
第36の発明は、
クリーンな環境に維持することができる作業室を有する複数のクリーンユニットが連結されてなるクリーンユニットシステムにおいて、
複数のクリーンユニットのうちの少なくとも一つのクリーンユニットが、
クリーンな環境に維持することができる作業室と、
作業室の後部、上部および下部のうちの少なくとも一つならびに少なくとも一方の側部にそれぞれ設けられた連結部とを有することを特徴とするものである。
複数のクリーンユニットは、その全てが、クリーンな環境に維持することができる作業室と、作業室の後部、上部および下部のうちの少なくとも一つならびに少なくとも一方の側部にそれぞれ設けられた連結部とを有するクリーンユニットであってもよく、また、このクリーンユニットと従来の左右方向のみ連結可能なクリーンユニットとが混在したものであってもよい。
このクリーンユニットシステムは、例えば、非単一直線状配置、左右方向あるいは上下方向あるいは前後方向の折れ線状配置、枝状配置、ループ状配置またはそれらの二つ以上が混合した配置でクリーンユニットが連結された部分を含み、全体がそれらの非単一直線状配置、折れ線状配置、枝状配置、ループ状配置または混合配置であってもよい。ここで、折れ線状配置は少なくとも一つの曲がりを有するが、好適には二つ以上の曲がりを有する。一つの曲がりを有する場合の一例はL字型である。ここで言う曲がりには、例えば直角に曲がる場合のように非連続的に曲がる場合だけでなく、連続的にあるいは滑らかに曲がる場合も含まれる。したがって、例えば二つの曲がりを有する場合には、Uの字型に曲がる場合も含まれる。折れ線状配置に関して述べた以上のことは、以下においても同様である。
クリーンな環境に維持することができる作業室と、作業室の後部、上部および下部のうちの少なくとも一つならびに少なくとも一方の側部にそれぞれ設けられた連結部とを有する上記のクリーンユニットについては、第35の発明に関連して述べたことが成立する。
第37の発明は、
クリーンな環境に維持することができる作業室を有する複数のクリーンユニットが連結されてなるクリーンユニットシステムにおいて、
非単一直線状配置または折れ線状配置でクリーンユニットが連結された部分を含むことを特徴とするものである。
第38の発明は、
クリーンな環境に維持することができる作業室を有する複数のクリーンユニットが連結されてなるクリーンユニットシステムにおいて、
複数のクリーンユニットのうちの少なくとも一つのクリーンユニットは複数の連結部を有し、この複数の連結部は、試料が当該連結部を通過する際の方向が互いに非平行または互いに直交する少なくとも二つの連結部を含むことを特徴とするものである。
第39の発明は、
クリーンな環境に維持することができる作業室を有する複数のクリーンユニットが連結されてなるクリーンユニットシステムにおいて、
複数のクリーンユニットのうちの少なくとも一組の隣接するクリーンユニットにおいて、一方のクリーンユニットの出口を試料が通過する方向と他方のクリーンユニットの入り口を当該試料が通過する方向とが互いに非平行または互いに直交することを特徴とするものである。
第40の発明は、
クリーンな環境に維持することができる作業室を有する複数のクリーンユニットが連結されてなるクリーンユニットシステムにおいて、
所定の有限エリアに収まるように折れ線状配置でクリーンユニットが連結されていることを特徴とするものである。
第41の発明は、
クリーンな環境に維持することができる作業室を有する複数のクリーンユニットが連結されてなるクリーンユニットシステムにおいて、
ループ状配置でクリーンユニットが連結された部分を含むことを特徴とするものである。
第42の発明は、
クリーンな環境に維持することができる作業室を有する複数のクリーンユニットが連結されてなるクリーンユニットシステムにおいて、
複数のクリーンユニットはモザイク状配置で連結された複数種類のクリーンユニットを含むことを特徴とするものである。
ここで、複数のクリーンユニットには、例えば、ドラフト、クリーンベンチ、グローブボックスなどが含まれる。実行するプロセスに着目すると、複数のクリーンユニットには、化学プロセスユニット、非化学プロセスユニット、バイオプロセスユニットなどが含まれる。複数のクリーンユニットは、例えば、ループ状配置でクリーンユニットが連結された部分を含んでもよい。
第43の発明は、
クリーンな環境に維持することができる作業室を有する複数のクリーンユニットが連結されてなるクリーンユニットシステムにおいて、
トータルな一連のプロセスフローの中で複数回現れる同種類のプロセスを、複数のクリーンユニットにループ状配置でクリーンユニットが連結された部分を設けることにより、同一のクリーンユニットにおいて実行可能であることを特徴とするものである。
第44の発明は、
クリーンな環境に維持することができる作業室を有する複数のクリーンユニットが連結されてなるクリーンユニットシステムを用いて素子を製造する素子製造方法において、
複数のクリーンユニットは互いに種類が異なるコンパクトな装置をそれぞれ内部に有する複数のクリーンユニットが折れ線状配置またはループ状配置で連結された部分を含み、この部分においてトータルな一連のプロセスフローのプロセスの全部または主要部を一貫して実行するようにしたことを特徴とするものである。
ここで、素子には、上記の種々の素子や半導体素子などの各種電子素子のほか、バイオ素子、バイオエレクトロニクス素子などが含まれる。
第37〜第44の発明において、好適には、複数のクリーンユニットのうちの少なくとも一つのクリーンユニットが、クリーンな環境に維持することができる作業室と、作業室の後部、上部および下部のうちの少なくとも一つならびに少なくとも一方の側部にそれぞれ設けられた連結部とを有する。複数のクリーンユニットの全てがこのようなクリーンユニットであってもよい。このクリーンユニットについては、第35の発明に関連して述べたことが成立する。
第45の発明は、
クリーンな環境に維持することができる作業室と、
作業室に設けられた排気ダクトおよびパッシブな防塵フィルターとを有することを特徴とするクリーンユニットである。
ここで、このクリーンユニットは、作業室の後部、上部および下部のうちの少なくとも一つならびに少なくとも一方の側部にそれぞれ設けられた連結部を有するものであっても、そうでなくてもよい。前者の場合については、その性質に反しない限り、第35の発明に関連して述べたことが成立する。以下に説明する第46の発明においても同様である。作業室は、典型的には化学プロセス装置を有するが、それに限定されるものではない。
第46の発明は、
クリーンな環境に維持することができる作業室を有する複数のクリーンユニットが連結されてなるクリーンユニットシステムにおいて、
複数のクリーンユニットのうちの少なくとも一つのクリーンユニットが、
クリーンな環境に維持することができる作業室と、
作業室に設けられた排気ダクトおよびパッシブな防塵フィルターとを有することを特徴とするものである。
第36〜第43および第46の発明において、クリーンユニットシステムは、各種用途に用いることができ、例えば、ナノテクノロジープロセスユニットやバイオテクノロジープロセスユニットを用いることにより、ナノテクノロジープロセスシステムやバイオテクノロジープロセスシステムなどの各種のプロセスシステムを得ることができ、さらには、ナノテクノロジープロセスユニットおよびバイオテクノロジープロセスユニットを組み合わせることにより、ナノ・バイオ融合プラットフォームを実現することができる。このことは、以下のクリーンユニットシステムにおいても同様である。このクリーンユニットシステムは、具体的には、材料処理システム(無機材料プロセスシステムや有機材料プロセスシステム)、素子製造システム、細胞系育成システム、植物体育成システムなどである。
また、第36〜第44および第46の発明において、複数のクリーンユニットのうちの少なくとも一つのクリーンユニットは、典型的には、例えば次に述べるようなコンパクトなプロセス装置、解析装置、反応装置、マイクロケミカルシステム、マイクロケミカルリアクター、露光装置、エッチング装置、成長装置、加工装置、殺菌装置、粒径フィルター、人工光源、バイオ装置、食品加工装置、検査装置、駆動装置などを内部に有する。
上記のクリーンユニットに搭載するプロセス装置、解析装置、反応装置、マイクロケミカルシステム、マイクロケミカルリアクター、露光装置、エッチング装置、成長装置、加工装置、殺菌装置、粒径フィルター、人工光源、バイオ装置、食品加工装置、検査装置、駆動装置などとしては、小型のクリーンユニットであってもその中に収まるような十分にコンパクトなものが好適に用いられる。例えば、クリーンユニットシステムで試料の投入から製品アウトプットまでのトータルな一連のプロセスを実行する場合、あるいは、そのプロセスの主要部を構成する一連のプロセスを実行する場合、そのプロセスフローの中で現れる種々の物理・化学処理に各々対応するプロセス装置について、このクリーンユニットに収まり得るコンパクトな装置群を用いる。これらのプロセス装置は、クリーンユニットに対して出し入れ自在に設けてもよいし、クリーンユニットに一体化してもよい。
例えば、上記の種々の素子や半導体素子などの高機能素子の製造は、材料投入から製品アウトプットに至る一貫したプロセスを用いるため、高度に管理された巨大なクリーンルームの中に配置されたリソグラフィー装置やエッチング装置などの高度精密装置間で基板を受け渡すことで従来実現されてきたことは既に述べたとおりであるが、この発明においては、最近の諸テクノロジーの発展をベースに以下のような装置の置換を行い、装置のコンパクト化を行う。例えば、透過型電子顕微鏡観察や従来型の走査型電子顕微鏡観察(TEM・SEM観察)などは卓上型走査トンネル顕微鏡観察・原子間力顕微鏡観察(STM/AFM観察)あるいはミニ走査型電子顕微鏡(SEM)にて置き換える。光リソグラフィー装置としては、その露光光源をガスレーザから半導体レーザ(例えば、文献10)で置き換える。薄膜成長法に関しては、分子線エピタキシ(MBE)、有機金属気相成長法(MOCVD)といった大規模装置の使用を取り止め、マイクロケミカルリアクター(文献11)などを用いる。メタライゼーションに関しても、金属メッキ装置あるいは卓上型ミニデポジション(成膜)装置などを用いる。さらに、マイクロCVD(化学気相堆積)装置、マイクロRIE(反応性イオンエッチング)装置、ミニスピンコータ、ミニベーキング装置などを用いる。
以上の置換を行うことにより、事実上、半導体などのプロセスにおける基板投入から光リソグラフィー、電極作製、表面観察など、基板投入からロットアウトまでのプロセスの全部あるいはその主要部分を構成する一連の流れを、巨大クリーンルームを用いることなく、通常の部屋に置かれた、局所的なクリーンな閉空間(典型的には卓上スペース程度の)を包むクリーンユニットの連結体の中で一貫して完結することができる。すなわち、上記の置換による装置のコンパクト化によりクリーンユニットをテーブル上に設置可能な程度に小型化することができるので、作業室の後部および少なくとも一方の側部にそれぞれ連結部が設けられた上記のクリーンユニットを折れ線状配置(つづら折り状配置など)やループ状配置などで連結することでクリーンユニットシステム全体でも小さな面積しか用いないで済む。そして、クリーンスーツ、エアシャワー、クリーンマットなどが不要となるため、ほとんど全ての作業を局所的に極めてクリーンな雰囲気下で、人体にも環境にもやさしく行うことができる。
上述のように構成された第35〜第46の発明によれば、クリーンユニットの作業室の後部、上部および下部のうちの少なくとも一つならびに少なくとも一方の側部にそれぞれ連結部が設けられていることにより、左右方向のみならず、後方あるいは上下部にも他のクリーンユニットを連結することができ、クリーンユニットの連結の自由度が大幅に増加する。このため、クリーンユニットを折れ線状配置やループ状配置などで連結することができ、実行するプロセスに応じて最適な配置でしかも最小の面積でクリーンユニットシステムを構成することが可能となる。また、特に、例えば、クリーンユニットの作業室の後部、上部および下部のうちの少なくとも一つならびに少なくとも一方の側部にそれぞれ連結部が設けられ、また、作業室に通風孔およびアクティブな防塵フィルターが設けられることにより、クリーンユニットの連結の自由度が大幅に増加するだけでなく、作業室の内部をクリーンな環境に維持することができる。
また、クリーンユニットシステムが非単一直線状配置、折れ線状配置、枝状配置、ループ状配置またはそれらの二つ以上が混合した配置でクリーンユニットが連結された部分を含むことにより、実行するプロセスに応じて最適な配置でしかも最小の面積でクリーンユニットシステムを構成することが可能となる。
また、複数のクリーンユニットのうちの少なくとも一つのクリーンユニットは複数の連結部を有し、この複数の連結部は、試料が当該連結部を通過する際の方向が互いに非平行または互いに直交する少なくとも二つの連結部を含むことにより、クリーンユニットの連結の自由度が大幅に増加し、実行するプロセスに応じて最適な配置でしかも最小の面積でクリーンユニットシステムを構成することが可能となる。
また、所定の有限エリアに収まるように折れ線状配置でクリーンユニットが連結されていることにより、実行するプロセスに応じたクリーンユニットシステムを最小の面積で構成することができる。
また、複数のクリーンユニットがモザイク状配置で連結された複数種類のクリーンユニットを含むことにより、多種多様なプロセスが含まれているプロセスに最適なクリーンユニットシステムを構成することができる。
また、トータルな一連のプロセスフローの中で複数回現れる同種類のプロセスを、複数のクリーンユニットにループ状配置でクリーンユニットが連結された部分を設けることにより、同一のクリーンユニットにおいて実行可能であることにより、同種類のプロセスに必要なクリーンユニットの数を大幅に減少させることができる。
また、複数のクリーンユニットが互いに種類が異なるコンパクトな装置をそれぞれ内部に有する複数のクリーンユニットが折れ線状配置またはループ状配置で連結された部分を含み、この部分においてトータルな一連のプロセスフローのプロセスの全部または主要部を一貫して実行することにより、材料処理、素子製造、細胞系育成、植物体育成などのプロセスを効率的に実行することができる。
また、クリーンユニットの作業室に排気ダクトおよびパッシブな防塵フィルターが設けられていることにより、作業室の内部を送風動力を用いずにクリーンな環境に維持することができる。
ところで、いま、連結部の有無を問わず、通風孔および送風動力を有するアクティブな防塵フィルター(例えば、HEPAフィルターやULPAフィルターなど)によりクリーンな環境に維持するボックス状の作業室を有するクリーンユニットを考える。この場合、この作業室内のダスト密度n(t)は、防塵フィルターの風量をV、作業室の体積をV0 、内面積をS、単位面積・単位時間当たりのダスト微粒子の脱離レートをσ、設置環境のダスト密度をN0 、防塵フィルターのダスト捕集率をγとして
Figure 0004927765
で記述される。このとき、
Figure 0004927765
および
Figure 0004927765
と定義すると、ダスト密度は
Figure 0004927765
となり、時間がたっても外気のダスト密度の一次の関数となってしまう。つまり設置環境に大きく左右されてしまう。
次に、既に述べたターボシステムを考える。すなわち、作業室に直結された気密性を有する管がアクティブな防塵フィルターの入り口に繋がっていることにより気体が循環するように構成され、かつ気密性を有する場合である。この場合、ダスト密度n(t)は、
Figure 0004927765
で記述される。このとき
Figure 0004927765
および
Figure 0004927765
と定義すると、ダスト微粒子濃度は
Figure 0004927765
となり、時間が十分たてば、第2項は急速にゼロに近づくため、第1項、すなわちαn /βn =(Sσ/V0 )/(γV/V0 )=Sσ/γVのみが残る。この項は外気のダスト密度を含まないため、このクリーンユニットの設置環境によらず、究極の清浄度が得られることがわかる。ここで特徴的なことは、ターボシステムを用いないクリーンユニットでは、作業室の清浄度は1−γあるいはそのべき乗(1−γ)n で支配されるのに対し、ターボシステムを用いるクリーンユニットでは、作業室の清浄度は1/γで支配されることである。また、Sσ/γVを最小化することが重要である。
そこで、第47の発明は、
アクティブな防塵フィルターを用いて作業室をクリーンな環境に維持するクリーンユニットにおいて、
上記防塵フィルターの粉塵捕集効率をγとするとき、上記作業室の清浄度が1/γで支配されることを特徴とするものである。
典型的には、防塵フィルターはHEPAフィルターまたはULPAフィルターであり、作業室から流出する気体の全てが上記アクティブな防塵フィルターの入り口に入るように構成される。特に、作業室に直結された気密性を有する管が上記防塵フィルターの入り口に繋がっていることにより気体が循環するように構成され、かつ気密性を有する。作業室内で化学プロセスを実行する場合には、好適には、化学プロセス対応の防塵フィルターを用いるとともに、上記の管に吸着剤または吸着塔を接続することで、ダクトなどを通じて外部に接続することなく、クローズドシステムで有害物質の除去とクリーンな環境の維持とを両立させることができる。作業室の内壁からのダストあるいは粉塵の放出を最小化するために、好適には、作業室の内壁の少なくとも一部に粘着シートが貼り付け、例えば一定期間使用したら貼り替える。粘着シートを多層化したものを使用した場合には、粘着シートを一枚ずつ剥がすことで清浄なシート面を出すことができる。また、作業室の内壁表面について、作業室から除去しようとするダスト微粒子の径と同じオーダーの表面凹凸のフーリエ成分を持たないように平滑加工することによって、この粒径を有するダスト微粒子の作業室の内壁表面への吸着を最小限に抑えることができる。
第35〜第46の発明によるクリーンユニットあるいはクリーンユニットシステムの構成あるいはこれに関連して説明したことは、その性質に反しない限り、この第47の発明にも成立し、あるいは適用することができる。
また、必要に応じて、上述の二以上の発明を組み合わせてもよい。
この発明によれば、時間が連続的に織り込まれた構造において、織り込まれた方向に直交する方向から、当該構造にアクセスすることによって、あたかも絵巻物を見るように、時間軸が織り込まれるのを、直面する2次元面の中に(例えば、左右方向に)見ることができ、例えば原子層オーダーの究極の空間分解能・制御性を、当該機能素子に持ち込むことが可能となる。
特に、ボトムアップ系とトップダウン系との利点を最大限活かすことができ、新規な超高集積密度の記憶素子および磁気記録素子を実現することができる。
また、新規な高効率の太陽電池、光電変換素子、発光素子および触媒反応装置を実現することができる。
より一般的には、この発明によれば、生命体に代表されるボトムアップ系とシリコンLSIに代表されるトップダウン系との利点を最大限活かすことができる高機能の機能素子を実現することができる。すなわち、細胞に相当するボトムアップ系とトップダウン系との間に随伴神経系に相当する人工情報伝達・制御系を設けた高機能の機能素子を実現することができる。
また、時間が連続的に投影された構造を用いることで、究極の分解能(原子層オーダの制御)を持った人工神経系相当物を形成することができる。これによって、例えば、表面増強効果を担いうるナノ構造/ゼロ次元構造をバルクサイズに亘って超並列多重に配列させることも可能になる。
また、ナノスケールで離散化されたバルクサイズの系を創出し、例えばシリコン基板上に形成されたLSIシステムと、それと近接して配された自律分散システムとを結合することにより、ボトムアップ系とトップダウン系とをつなぐプラットフォームを実現することができる。
また、ナノスケールで離散化されたバルクサイズ系を創出し、そこに現れる局所的かつ個別的にアドレスすることが可能な2〜3次元のナノ構造体を大局的サイズで得ることによって、微視的世界と巨視的世界とをつなぐ高機能のプラットフォームを実現することができる。さらに、現在では形がないが将来現れてくると考えられるほとんどのナノスケールの並列新機能要素と既存のULSIシステムとをシナジェティックに結合し、シリコンベースの世界と炭素系の有機物の世界との止揚をとることにより、飛躍的な機能の増大が可能となる。
また、この発明によれば、例えば、10〜160Gbits/cm2 (0.1〜1Tb/inch2 )の集積度のフレキシブルな機能素子を実現することができる。例えば、物質表面がそのまま機能素子となるようなユビキタス情報装置を実現することができる。この場合、機能素子の中核部分はリソグラフィーフリーで形成することができるので、機能素子を安価に製造することができる。また、要素の数をNとすると、従来はN2 の位置合わせが必要となるが、この発明では4Nの位置合わせで済み、従来に比べ1/ Nで位置合わせの困難さが減少する。しかも、記録容量が大きくなるほどこの効果が増大する。
また、特に記憶素子において、交差部に記憶される情報(データ)の読み出しを、対角線上の複数個の交差部に亘る並列読み出しにより行うことにより、高速の読み出しが可能である。
また、この発明によれば、微分方程式系に支配される物質系ではなく、セルラーオートマトンに代表される離散的な、差分方程式に支配されるような物質系を提供することができる。この物質系によれば、例えば、注目する性質に関して、変調された次元、連結性、自発的対称性の破れ、あるいは自己組織化臨界現象を示すことが可能となる。
ナノテクノロジーの発展は際限がないほどと期待されるが、それを支える母体の構造は原子間隔というカットオフがある以上(際限なく小さくなることはないので)その「収束先」をあらかじめ(ある精度を以って)見定めておき、その極限値と既存のULSIシステムとの結合を、現時点から正面の目標に据え、攻略し始めることは、単に時代に先行するという観点からのみならず、今は形なき、将来のナノテクノロジーの成果を先取りする上でも重要である。
一方、この発明によるクリーンユニット(連結部を有するもの)によれば、クリーンユニットの連結の自由度が大きく、様々な配置でクリーンユニットを連結することができることにより、従来のように大掛かりで小回りが効かず、巨大な設備投資や固定資産負担が必要な巨大なクリーンルームや植物工場を用いることなく、クリーンな環境や高度育成環境を容易に得ることができ、また、一直線状にしか連結できない従来のクリーンユニットの持つ空間利用効率の悪さを解決し、トータルのパフォーマンスを投資的にも作業効率的にも部屋の面積有効利用的にも最大化することができ、目的に応じたトータルな一連のプロセスフローに対応してプロセスを高いフレキシビリティーを持って低コストで簡便に実行することができる高機能クリーンユニットシステムを実現することができる。また、プロセスの上流から下流まで最小限の種類あるいは最小個数のクリーンユニットでクリーンユニットシステムを構成することができるため、プロセスの最大効率化を図ることができる。また、作業性を落とすことなく高度プロセス環境を手軽に実現することができる。
さらに、ナノテクデバイスを作製し、あるいはバイオテクノロジー処理を実行するにあたって、一つの巨大なボックス、すなわちクリーンルームを用いるのではなく、少なくとも入り口から出口までの一部を、超クリーンな複数のクリーンユニットをループ状配置あるいは上下左右方向のつづら折り状配置で連結したもので置き換えることにより、空間あるいは面積の利用効率の向上を図ることができる。
また、複数種類のクリーンユニットを用いることで、化学プロセス、非化学プロセス、バイオプロセスなどの作業を一つの高機能クリーンユニットシステムの中で行うことができる。
また、微細構造などの次世代を担うキーストラクチャーや植物形質改変をコストパフォーマンスのよいレスデマンディングな方法で作製することができる。
また、植物体の育成に関しては、人工光源などの利用により、所望の地方あるいは地域の環境条件で栽培を行うことができるほか、速成栽培や成分強化野菜・薬草の栽培を行うこともできる。
また、装置を配置する部屋そのものの性能にかかわらず、低コストで一貫プロセスラインを構築することができる。このため、投資負担が軽減され、ベンチャーの製造分野への参入が容易となる。また、固定資産が小さく済むため、高度ナノテク製品を中小ベンチャーでも供与することができ、かつてのITソフト隆盛がこれからナノテクハード主体で勃興し、新産業が興り得る。
また、従来の技術の延長線上にあるデバイスに対し、その製造方法を置き換えるのではなく、従来にない新規なナノテクデバイスを(従来の延長上にあるハイテクデバイスの製造方法ではない)コストパフォーマンスのよいレスデマンディングな方法で作製することができる。
また、クリーン度や無害性の高さを各プロセス要素ごとに設定したクリーンユニットを連結したクリーンユニットシステムにより、高度環境化において、前処理、レジスト塗布、ベーキング、露光、現像、ポストベーク、エッチング、薄膜成長、メタライゼーション、表面観察、アセンブリなどの要素プロセスを一貫性をもって完遂することができる。
また、プロセスを要素化し、この要素プロセスの処理機能を各クリーンユニットあるいは各機能ユニットに持たせ、目的に応じてクリーンユニットあるいは機能ユニットを連結して全体システムを構成することにより、高効率なナノテクノロジープラットフォームやバイオテクノロジープラットフォームが得られるのみならず、さらに、ナノテクノロジープロセスユニットとバイオテクノロジープロセスユニットとを混成(連結)することにより、ナノ・バイオ融合プラットフォームを実現することができる。加えて、植物工場ユニットを連結することも可能である。
また、プロセスフローをあたかもプログラミングと同様に、サブルーチンや、分岐などのコンセプトを入れて最小のクリーンユニット数で最大の効率にて、クリーンルームなしで実行、遂行することができる。また、投入からロットアウトまでの全プロセス、あるいはその主要部をなす一連の工程をコンピュータのプログラムになぞらえて完全自動化で遂行することができる。
さらには、ナノテクノロジー、バイオテクノロジーの実現環境をユビキタスに提供することが可能となる。
以下、この発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
まず、この発明の第1の実施形態について説明する。
この第1の実施形態においては、電気化学的成長法を用いて超格子薄片を形成する。図20Aはそのための成長装置を示す。図20Aに示すように、この成長装置においては、電解槽51に、成長させようとする二種類の物質に対応したアニオン(A- )52およびカチオン(C+ )53を含む電解液54が入れられている。そして、この電解液54中に、電気化学的成長の基板となる例えば微小円柱状の電極部を有する軸55が挿入されているとともに、この軸55をはさむように二つの電極56、57が設けられている。ここでは、軸55の電極部は接地されており、電極56、57はそれぞれ電圧Vl、Vrにバイアスすることができるようになっている。電極56、57はリング状に軸55の電極部を囲む配置でもよい。また、電解槽51に仕切りを設けてアニオン52とカチオン53とを別々に配するとともに、軸55を回転させるようにしてもよい。
図21は軸55の詳細構造の例を示す。図21に示すように、軸55は、成長時の基板となる電極部55aが他の部分55bに比べて少し直径が大きくなっている。そして、電極部55aの下側にこれと接触して例えばガラスやセラミックスなどからなる円板状の支持板58が軸55と同軸に取り付けられているとともに、電極部55aの上側に溶剤易溶性有機膜59がプリコートされた円板状の支持板60が同じく軸55と同軸に取り付けられている。支持板58、60の直径は同一とする。また、これらの支持板58、60の間隔は、成長させるべき超格子薄片の厚さと同一とし、具体的には例えば1〜1000μm、典型的には例えば10〜100μmである。
この成長装置を用いて超格子薄片を成長させるには、例えば、図20Bに示すように、電極56、57を交互にVl=+V2、Vr=−V1にバイアスする。この場合、電極56が+V2にバイアスされている時には、電解液54中のカチオン53が軸55の電極部55aの側面上に堆積し、電極57が−V1にバイアスされている時には、電解液54中のアニオン52が軸55の電極部55aの側面上に堆積する。このようにして、図21に示すように、支持板58と溶剤易溶性有機膜59との間の空間において、軸55の電極部55aの側面上に、交互に二種類の物質、具体的には、誘電体(絶縁体)である溶剤難溶性電析有機膜61および電析金属膜62の周期構造体を同心円状(年輪状あるいはバウムクーヘン状)にラテラル成長させることができる。成長終了後、溶剤易溶性有機膜59を溶剤で溶解して年輪状の周期構造体を取り出す。
ここで、電析金属膜62の金属としては、例えば、金(Au)、白金(Pt)、銅(Cu)などを用いることができる。めっき浴としては、Auの場合は、例えばKAu(CN)、(NH4 2 HPO4 、K2 HPO4 などを含むものを用い、Cuの場合は、例えばCuSO4 ・5H2 O、H2 SO4 、チオ尿素などを含むものを用い、Ptの場合は、例えば(NH4 2 PtCl、NaHPO4 ・12H2 Oなどを含むものを用いる。
また、溶剤難溶性電析有機膜61の成長には、例えば有機酸イオンをアクティブエージェントとして用いる(非特許文献7)。
溶剤難溶性電析有機膜61および電析金属膜62の成長にほぼ一定の成長速度を用いることにより、時間インターバルを構造に射影することができ、図22に示すように、各層が原子層オーダーの厚さ精度を有する溶剤難溶性電析有機膜61および電析金属膜62の周期構造体からなる円板状の超格子薄片を得ることができる。
次に、この円板状の超格子薄片の一部を図22の実線の四角形で示されるように切り出したものを2枚用意する。図23AおよびBにこのようにして切り出された四角形状の超格子薄片71、72を示す。そして、図23A、BおよびCに示すように、超格子薄片71に対して超格子薄片72の方位を90度回転して重ね合わせる。このようにして、2次元のパターンの最小単位として、人工神経系として信号・情報がアクセスすることができる格子(lattice)が完成する。この格子の精度は原子層オーダとすることができる。ここで、各超格子薄片71、72の溶剤難溶性電析有機膜61および電析金属膜62は厳密には円弧状であるが、電析金属膜62の周期は例えば10nm前後と極めて小さいため、これらの溶剤難溶性電析有機膜61および電析金属膜62は直線状に延在しているとみなすことができる。従って、この格子は、図19に示すものと実質的に同様な構造を有する。
超格子薄片71、72の電析金属膜62の本数をそれぞれN本とすると、超格子薄片71の電析金属膜62と超格子薄片72の電析金属膜62との交差点は合計N2 個ある。この場合、これらの交差点(アドレス)へのアクセスは、超格子薄片71、72の各電析金属膜62を通じて容易に行うことができる。例えば、図23Cに示すように、超格子薄片71、72の縁の電析金属膜62にそれぞれリレー回路73、74を接続することで、どのアドレスにアクセスするかを制御することができる。具体的には、例えば、超格子薄片71、72の一辺を1cmとし、電析金属膜62の間隔を10nmとすると、1cm/10nm=10-2m/10-8m=106 〜220であるが、例えば20段のリレー回路73、74で220〜106 本の電析金属膜62を選択することができるので、例えば(xy平面の一自由度あたり)約20ビットの情報でアドレスへのアクセスを制御することができる。
超格子薄片71の電析金属膜62と超格子薄片72の電析金属膜62とのN2 個の交差点には、ボトムアップにより生成される所望の機能を有する構造を設ける。このためには、例えば、超格子薄片71を基板としてその上に自己組織化により量子ドットを成長させ、その上に超格子薄片72を上記と同様に重ね合わせればよい。あるいは、超格子薄片71、72の間に機能材料層(例えば、無機分子や有機分子など)をはさみ込み、互いに交差しかつ対向している電析金属膜62間に例えば電流通電を行ってエネルギーを注入することにより生じる自己組織化臨界現象を用いて、結果として、ボトムアップ構造が超格子薄片71、72の間に設けられた構造を作製することができる。
超格子薄片71、72のN2 個の交差点に設けるボトムアップ構造をエネルギー注入と散逸とにより最後に形成する場合は、これらのボトムアップ構造を、何ら位置合わせの必要もなく、自己整合的に各交差点に自動的に形成することができる。この場合、超格子薄片71、72の電析金属膜62同士は必ずしも互いに直交している必要はなく、縁とつながっていることのみが要件である。各ボトムアップ構造は例えば、単純なメモリー素子でもよいし、上述の自己組織化により高度の機能を有するボトムアップ素子でもよい。超格子薄片71、72の電析金属膜62によるメッシュ構造の次元は1とボトムアップ系(今の場合、平面系である)の次元2との間であり、生体の神経系の次元が細胞系の次元より小さいことと同等の関係が成立している。上記のボトムアップ構造を形成する元になる材料物質は例えばインタカレーションにより導入することもできる。また、インタカレーションに先立って、電解エッチングにより電析金属膜62のナイフエッジを先鋭化させておくこともでき、これによって表面増強効果をより強化し、超格子薄片71、72の電析金属膜62の交差部に配置するボトムアップ構造をより少数の原子団(分子団)とすることも可能である。
超格子薄片71、72の各交差点にボトムアップ構造がはさまれた上記の2次元構造体をシリコンLSIと接続して機能素子を作る。すなわち、図24Aに示すように、基板81上に上記の2次元構造体82をマウントし、超格子薄片72の電析金属膜62を接続パッド83を介して配線接続部84と接続するとともに、超格子薄片71の電析金属膜62を配線接続部85と接続する。接続パッド83は枕木状の形状を有し、その厚さは配線接続部84の上面と超格子薄片72の下面との高さの差にほぼ等しい。図24Bは、超格子薄片72の電析金属膜62と接続パッド83との接続部を拡大して示したものであり、接続パッド83に幅の狭い絶縁体83aを介して形成された、溶剤難溶性電析有機膜61の幅(厚さ)と等しい幅の電極部83bと電析金属膜62とが接続されている。また、図24Cは、超格子薄片71の電析金属膜62と配線接続部85との接続部を拡大して示したものであり、配線接続部85に幅の狭い絶縁体85aを介して形成された、溶剤難溶性電析有機膜61とほぼ等しい幅の電極部85bと電析金属膜62とが接続されている。配線接続部84、85は配線86を介して所望の機能を有するトップダウン系のLSI87と接続されており、結果として2次元構造体82とLSI87とが接続されている。こうして機能素子が得られる。LSI87は典型的にはシリコンLSIであるが、他の半導体、例えばGaAsなどの化合物半導体を用いたLSIでもよい。また、LSI87はチップ状のものを基板81上にマウントしたものであっても、基板81としてシリコン基板などの半導体基板を用い、これにLSIプロセスで回路を形成したものでもよい。
超格子薄片71、72の電析金属膜62と外部の接続パッド83または配線接続部85との接続は、一辺あたりN個の接続でよい。この接続数と超格子薄片71、72の、ボトムアップ構造が設けられる交差点の数との比は1/Nでスケールする。このため、N2 の位置合わせ誤差を生ずる従来法と比べ、Nが大きくなるほど、言い換えれば集積度が上がるほど位置合わせ誤差が減少し、従って従来法に比べて素子の製造歩留まりの向上を図ることができる。特に、図24BおよびCに示すように、接続パッド83の電極部83bの幅は超格子薄片72の誘電体である溶剤難溶性電析有機膜61の幅(厚さ)とほぼ等しく、また、配線接続部85の電極部85bの幅は超格子薄片72の誘電体である溶剤難溶性電析有機膜61の幅(厚さ)とほぼ等しく設定することができるので、超格子薄片71、72の電析金属膜62と電極部83b、85bとの位置合わせのマージンを大きくすることができ、これも素子の製造歩留まりの向上に寄与する。
シリコンLSIなどに代表されるLSI87からなるトップダウン系は、すでに述べたように、時間が非連続に投影され、かつ空間的に非等方的な構造、先の記法に従えば(時間投影性、空間方位性)=(↓、↓)の構造を有している。また、超格子薄片71、72の間にはさまれたボトムアップ構造は、自律分散的生成則により形成されたものであるため、時間が連続的に投影され、局所ルールには大局性が存在しないので、特別な方向は特になく等方的な構造、すなわち(時間投影性、空間方位性)=(↑、↑) の構造を有している。両構造を直接隣り合わせて並べてみても、(↑、↑) (↓、↓)となって矢印がフリップするので、直ちにつながらない。これに対し、上記の2次元構造体82は、すでに述べたように、時間を成長方向に連続的に投影してできた空間座標の一方向に向いた非等方性を有する構造、すなわち(時間投影性、空間方位性)=(↑、↓)の構造を有している。図24A、BおよびCに示す機能素子においては、この2次元構造体82、すなわち(↑、↓)構造をボトムアップ構造、すなわち(↑、↑)構造とトップダウン構造のLSI87、すなわち(↓、↓) 構造との間に介在させていることにより、(↑、↑)(↑、↓)(↓、↓)となり、矢印が構造間でフリップすることなくつながっていくので、結局(↑、↑)構造と(↓、↓)構造とを、すなわちボトムアップ系とトップダウン系とを、個別アクセス性を失うことなく、うまくつなげることができる。
このように、この第1の実施形態によれば、ボトムアップ系とシリコンLSIに代表されるトップダウン系との利点を最大限活かすことができる高機能の機能素子を容易に実現することができる。この機能素子は、ボトムアップ系に持たせる機能とシリコンLSIに持たせる機能との組み合わせにより、多彩な機能を発現することができる。
次に、この発明の第2の実施形態について説明する。この第2の実施形態は、ボトムアップ構造として特に量子ドットを用いたものである。
図25に示すように、この第2の実施形態においては、基板81の中央部に2次元構造体82がマウントされているが、この場合、この2次元構造体82の超格子薄片71、72の電析金属膜62の十字交差点にボトムアップ構造として量子ドット91がはさまれている。ここで、超格子薄片71、72の電析金属膜62の周期および厚さは量子ドット91のサイズより十分小さくすることができるので、超格子薄片71、72の電析金属膜62の十字交差点と量子ドット91とは必ずしも1対1に対応している必要はない。つまり、全ての十字交差点に量子ドット91が付随している必要はないが、各量子ドット91には必ず十字交差点が付随している。この冗長性は、量子ドット素子の歩留まりを向上させるとともに、量子ドットを活性部とする十字交差よりなるダイオードへのサイドゲートの役割を果たさせることもでき、従来極めて困難であった量子ドット素子の3端子素子化も可能となる。特にその際、超格子薄片71、72として、極めて薄い誘電体を間にはさんだ導電層2層構造とやや厚めの誘電体との積層繰り返し構造、すなわち、空間周波数として大小二つの周波数を有する構造のものを用いることが有効である。
また、図25に示す構造は平面ディスプレイとしても適用することができる。この場合、量子ドット91として発光性量子ドットを用いるが、発光性有機分子モノマー、オリゴマー、ポリマーであってもよい。また、この場合、すでに述べたように、超格子薄片71、72の厚さの設定に自由度があるので、電析金属膜62を、高い導電性を持ち、かつ、極めて細い導電ラインとして構成することができるという長所を有する。この平面ディスプレイによれば、十字交差部の面積が小さいので、陰になることが少なく、明るい画面を低消費電力で実現することができる。また、図示は省略するが、図25の縦横の各電析金属膜62、すなわち各導電ラインに関して、上述のような極めて薄い誘電体を間にはさんだ導電層2層構造とやや厚めの誘電体との積層繰り返し構造、すなわち、空間周波数として大小二つの周波数を有する構造を用いることで導入される冗長性によって、例えば活性部の不良による画素落ちなどのリスクを低減することができ、製造歩留まりを向上させることができる。
さらに、図25の配置は、十字交差部にはさまれるπ電子系有機分子の官能基の配置や荷電状態を制御することで、光素子のみならず電子素子としても利用することができ、従って集積分子エレクトロニクス素子として利用することもできるが、空間周波数として大小二つの周波数を有する超格子薄片構造を用いることで得られる上述の冗長性は、分子エレクトロニクス素子に求められているフォルトトレランス(欠陥許容性)を高める上で極めて効果が大きい。
基板81の外周部81aはトップダウン型のLSIが配置される領域であるが、必ずしも四方八方全てに配置する必要はなく、一部に配置するだけでもよい。
なお、場合によっては、多層構造にして、基板81の中央部を含む全面の上下にトップダウン型LSIを配置することも可能である。
2次元構造体82の周囲の額縁部81bは、図24BおよびCと同様な配置で、2次元構造体82のN2 個の交差点にアクセスするx、y方向の平行な電析金属膜62と接続する。
上記以外のことは、その性質に反しない限り第1の実施形態と同様である。
この第2の実施形態によっても、第1の実施形態と同様な利点を得ることができる。
次に、この発明の第3の実施形態について説明する。
図26に示すように、この第3の実施形態においては、第2の実施形態においてボトムアップ構造として用いた量子ドット配列の代わりに、自己相似性を有する階層的な構造を有する面、すなわちフラクタル構造を有する面92をボトムアップ構造として用いる。この場合も、空間周波数として大小二つの周波数を有する超格子薄片構造を用いることで得られる上述の冗長性は、系のロバストネスを高める上で極めて大きな効力を発揮する。
上記以外のことは、その性質に反しない限り第1および第2の実施形態と同様である。
この第3の実施形態によっても、第1および第2の実施形態と同様な利点を得ることができる。
次に、この発明の第4の実施形態について説明する。
この第4の実施形態においては、図27Aに示すように、第1の実施形態において用いた成長装置の電解液54中に2本の軸101、102を所定の間隔で互いに平行に設ける。軸101の長手方向には複数の電極部101aが例えば等間隔に設けられ、軸102の長手方向には複数の電極部102aが電極部101aと互い違いに例えば等間隔に設けられている。そして、軸101の一番下の電極部101aの上下に支持板103および溶剤可溶樹脂板104が所定の間隔を持って取り付けられ、その上の電極部101aの上下に2枚の溶剤可溶樹脂板105、106が所定の間隔を持って取り付けられ、さらにその上の電極部101aの上下に同様に2枚の溶剤可溶樹脂板107、108が所定の間隔を持って取り付けられている。一方、軸102の一番下の電極部102aの上下に2枚の溶剤可溶樹脂板109、110が所定の間隔を持って取り付けられ、その上の電極部102aの上下に2枚の溶剤可溶樹脂板111、112が所定の間隔を持って取り付けられ、さらにその上の電極部102aの上下に溶剤可溶樹脂板113および支持板114が所定の間隔を持って取り付けられているが、これらの2枚の板の組み合わせは軸101に取り付けられたものと互い違いになっている。この場合、これらの支持板103、114および溶剤可溶樹脂板104〜113はいずれも円板状であり、それらの半径は軸101、102の間隔よりも少し小さく選ばれている。このため、軸101に取り付けられた支持板103および溶剤可溶樹脂板104〜108と、軸102に取り付けられた溶剤可溶樹脂板109〜113および支持板114とは、軸101、102の間の部分で互いに重なっている。
この成長装置においては例えば次のようにして成長を行う。
まず、軸101の電極部101aおよび軸102の電極部102aの側面にあらかじめ導電性有機レジスト(図示せず)を所定の厚さ塗布しておく。この有機レジストとしては、例えば、溶剤可溶樹脂板104〜113の溶解に用いられる溶剤により溶解することができるものを用いる。次に、第1の実施形態と同様にして、軸101に取り付けられた支持板103および溶剤可溶樹脂板104の間の空間と溶剤可溶樹脂板105、106の間の空間と溶剤可溶樹脂板107、108の間の空間とにおいて電極部101aの側面に導電性有機レジストを介して周期構造体をラテラル成長させる。同様に、軸102に取り付けられた溶剤可溶樹脂板109、110の間の空間と溶剤可溶樹脂板111、112の間の空間と溶剤可溶樹脂板113および支持板114の間の空間とにおいて電極部102aの側面に導電性有機レジストを介して周期構造体をラテラル成長させる。電極部101aの側面に成長させる周期構造体と電極部102aの側面に成長させる周期構造体とは互いに同一であっても異なってもよい。次に、電解槽51から電解液54を排出して代わりに所定の溶剤を入れ、この溶剤により溶剤可溶樹脂板104〜113および電極部101a、102aの側面に塗布した導電性有機レジストを溶解する。これによって、電極部101aの側面にラテラル成長した円板状の各超格子薄片115と電極部102aの側面にラテラル成長した円板状の各超格子薄片116とは沈降していき、順次交互に積層される。こうして、超格子薄片が交互に積層された積層構造体が形成される。
次に、この積層構造体を電解槽から取り出し、図27Bの実線の四角形で示される形に切り出す。これによって、例えば図28に示すように、超格子薄片三次元積層体が得られる。そして、この超格子薄片三次元積層体を用いて第1の実施形態と同様にして機能素子を製造する。
上記以外のことは第1の実施形態と同様であるので、説明を省略する。
この第4の実施形態によれば、第1の実施形態と同様な利点に加えて、超格子薄片三次元積層体を用いて機能素子を構成していることにより、機能性および集積度の大幅な向上を図ることができるという利点を得ることができる。
次に、この発明の第5の実施形態について説明する。
図29AおよびBは真空蒸着装置の真空チェンバー121の正面図および側面図である。図29AおよびBに示すように、この第5の実施形態においては、ローラ122に、例えば幅が狭くて薄い平坦なテープ状の樹脂製ベースフィルム123を巻き付けておき、この樹脂製ベースフィルム123の一方の面に、蒸着源124から例えば金属を蒸発させて薄く金属膜(図示せず)を形成した後、この金属膜付き樹脂製ベースフィルム123を巻き取りローラ125で巻き取っていく。符号126は樹脂製ベースフィルム123を両側から保持する支持板を示す。
上述のようにして金属膜付き樹脂製ベースフィルム123が巻き取りローラ125で巻き取られることにより、樹脂製ベースフィルム123と金属膜とが交互に積層されたスパイラル構造が形成される。このスパイラル構造は図22に示す同心円構造とほぼ類似のものである。そこで、このスパイラル構造を元にして第1の実施形態と同様にして超格子薄膜を得ることが可能である。
この第5の実施形態によれば、第1の実施形態と同様な利点を得ることができる。
次に、この発明の第6の実施形態について説明する。
この第6の実施形態においては、図30A〜Eに示す方法により超格子薄片71、72を作製する。すなわち、まず、図30Aに示すように、樹脂基板131に、第1の実施形態の電析金属膜62と同一のパターン形状を有するナノ構造金型132を近づけ、図30Bに示すように、このナノ構造金型132で樹脂基板131を型押しする。次に、図30Cに示すように、ナノ構造金型132を樹脂基板131から引き離す。次に、図30Dに示すように、例えば真空蒸着などにより樹脂基板131上に金属膜133を堆積させて、ナノ構造金型132による型押しで樹脂基板131に形成された溝の内部をこの金属膜133により埋め込む。次に、図30Eに示すように、樹脂基板131を上下からエッチングすることにより上面の不要な金属膜133を除去するとともに、裏面に金属膜133を露出させる。これによって、図30Fに示すように、超格子薄片71、72が作製される。
上記以外のことは、その性質に反しない限り第1の実施形態と同様である。
この第6の実施形態によっても、第1の実施形態と同様な利点を得ることができる。
次に、この発明の第7の実施形態について説明する。
この第7の実施形態においては、図24に示す、第1の実施形態による機能素子を特にROMに特化したものについて説明する。ただし、超格子薄片71、72の溶剤難溶性電析有機膜61および電析金属膜62はそれぞれ、各種の方法により成膜される有機膜または無機膜を含む各種の誘電体膜および各種の方法により成膜される各種の金属膜に一般化して考える。ここで、例えば、誘電体膜の厚さは10〜100nm、金属膜の厚さは1〜10nmである。また、超格子薄片71、72の金属膜と接続されるLSI87としてはインバータ群を含むもの(デコーダ)を用いる。
図31にこのROMの回路を模式的に示す。このROMにおいては、超格子薄片71、72の金属膜の本数をそれぞれN本とすると、超格子薄片71の金属膜と超格子薄片72の金属膜との交差点は合計N2 個あるため、このROMの容量はN2 ビットである。超格子薄片72のN本の金属膜にj=1〜Nの番号を付け、超格子薄片71のN本の金属膜にi=1〜Nの番号を付ける。超格子薄片71、72の互いに対向する主面上に露出した金属膜の表面には薄い自然酸化膜(図示せず)(例えば、金属膜がAlからなる場合にはAl2 3 膜)が形成されており、従って、各交差点では、超格子薄片71の金属膜と超格子薄片72の金属膜とはこの自然酸化膜を介して互いに対向している。超格子薄片72のN本の金属膜の一端はそれぞれnチャネルFETからなるインバータIj (j=1〜N)の一端と接続されている。インバータIj の他端は接地されている。超格子薄片71のN本の金属膜の一端は負荷抵抗RL を介して所定の電源に接続されている。
次に、このROMの動作原理について説明する。
まず、情報の書き込み方法について説明する。今、アドレス(i,j)にあるメモリセルAijに情報を書き込む場合を考える。超格子薄片72のj番目の金属膜と接続されているインバータIj を構成するnチャネルFETのゲートGj にハイレベルの信号を入力して導通させ、この状態で電源により、超格子薄片71の金属膜と超格子薄片72の金属膜との間に十分に高い電圧を印加することにより、これらの金属膜の間の自然酸化膜を絶縁破壊し、導通させる。こうして導通した部位に例えば情報「1」が書き込まれたとすると、自然酸化膜が絶縁破壊しておらず、導通していない部位には情報「0」が書き込まれていると考えることができる。選択されたアドレスのメモリセルの全てに対してこの操作を行うことにより、情報が書き込まれる。
次に、情報の読み出し方法について説明する。今、アドレス(i,j)にあるメモリセルAijの情報を読み出す場合を考える。まず、超格子薄片72のj番目の金属膜と接続されているインバータIj を構成するnチャネルFETのゲートGj にハイレベルの信号を入力して導通させるとともに、超格子薄片71のi番目の金属膜の一端に接続されている電源によりハイレベルの電圧を印加する。このとき、メモリセルAijに情報「1」が書き込まれている場合、すなわちこのメモリセルAijの交差点において自然酸化膜が導通している場合には、負荷抵抗RL を通って超格子薄片71のi番目の金属膜に電流が流れ、その結果、この金属膜の他端Ai ’の電位はローレベルになる。インバータIj を構成するnチャネルFETのゲートGj にローレベルの信号が入力される場合には導通しないため、負荷抵抗RL を通って超格子薄片71のi番目の金属膜に電流が流れず、その結果、この金属膜の他端Ai ’の電位はハイレベルに保持される。一方、メモリセルAijに情報「0」が書き込まれている場合、すなわちこのメモリセルAijの交差点において自然酸化膜が導通していない場合には、インバータIj を構成するnチャネルFETが導通しているか否かにかかわらず、負荷抵抗RL を通って超格子薄片71のi番目の金属膜に電流が流れず、その結果、この金属膜の他端Ai ’の電位はハイレベルに保持される。
以上のように、この第7の実施形態によれば、メモリセル部に超格子薄片71、72を用いた新規なROMを実現することができる。このROMは例えば10〜160Gビット/cm2 と大容量化が可能である。また、フレキシブルに構成することができるので、様々な電子機器への搭載が可能である。さらに、このROMでは、超格子薄片71、72はリソグラフィーフリーで形成することができるので、製造コストを安価に抑えることができ、例えば使い捨て可能なメモリとして用いることができ、ユビキタス情報装置などに用いて好適なものである。
次に、この発明の第8の実施形態について説明する。
この第8の実施形態においては、第7の実施形態によるROMにおいて、超格子薄片71の金属膜と超格子薄片72の金属膜との交差点に、いわゆるナノブリッジ構造(非特許文献12)を用いる。また、超格子薄片71の金属膜としてCu膜を用い、超格子薄片72の金属膜としてTi膜を用いるとともに、それらの交差点に挿入する物質としてCu2 S膜を用いる。
図32Aに、これらの金属膜の交差点の構造を示す。図32Aにおいて、符号141は超格子薄片71の金属膜としてのCu膜、142は超格子薄片72の金属膜としてのTi膜、143はそれらの間に挿入されたCu2 S膜を示す。この場合、Ti膜142に負電圧を印加すると、Cu膜141の表面で酸化反応が起こり、Cu原子がCu+ となってCu2 S膜143内に溶け込む。Ti膜142の表面では還元反応が起こり、Cu2 S膜143内のCu+ がCuとなって析出する。符号144はこのCu析出領域を示す。図32Bに示すように、析出したCuがCu膜141まで達してCu析出領域144からなる金属架橋を形成すると、ナノブリッジはオン状態になる。Ti膜142に正電圧を印加すると逆反応が起こり、図32Cに示すように、金属架橋が消滅し、オフ状態になる。以上の現象を利用することにより、メモリセルに情報を書き込むことができる。
上記以外のことについては、第7の実施形態とほぼ同様である。
この第8の実施形態によれば、第7の実施形態と同様な利点に加えて、メモリセルへの情報の書き込みを非破壊的に行うことができるという利点を得ることができる。
次に、この発明の第9の実施形態について説明する。
この第9の実施形態は、時間が連続的に折織り込まれた構造において、織り込まれた方向に直交する方向から、この構造にアクセスすることを特徴とする機能素子である。この機能素子は、ストリップ状またはリボン状の金属層などの導電体層と、この導電体層の厚さ以上の厚さを有する非金属層との周期構造体からなる薄片を有し、この薄片に交差する方向、好ましくは直交する方向から、光(太陽光など)をアクセスさせる。
具体的には、図33A、BおよびCはこの第9の実施形態による有機太陽電池を示す。ここで、図33Aは表面図、図33Bは裏面図、図33Cは側面図である。図33A、BおよびCに示すように、この有機太陽電池は、アノード電極151とカソード電極152とが間に有機半導体層153をはさんで渦巻き(スパイラル)状に形成されたもので、全体として薄い円板の形状を有する。図示は省略するが、アノード電極151とカソード電極152とが背中合わせになる部位にはこれらを互いに電気的に絶縁するための絶縁膜が設けられている。この有機太陽電池の裏面には、中心から半径方向に沿って線状の取り出し電極154、155が形成されている。ここで、取り出し電極154はアノード電極151とコンタクトしており、取り出し電極155はカソード電極152とコンタクトしている。
有機半導体層153はヘテロジャンクション型あるいはバルクヘテロジャンクション型の構造を有する。ヘテロジャンクション型構造の有機半導体層153においては、p型有機半導体膜およびn型有機半導体膜とを、それぞれアノード電極151およびカソード電極152と接触するように接合する。バルクヘテロジャンクション型構造の有機半導体層153は、p型有機半導体分子とn型有機半導体分子との混合物からなり、p型有機半導体とn型有機半導体とが互いに入り組んで互いに接触した微細構造を有する。有機半導体層153の材料としては、有機太陽電池の材料として一般的に報告されているものは全て用いることができるが、具体的には、ポリアセチレン(好ましくは二置換型ポリアセチレン)、ポリ(p−フェニレンビニレン)、ポリ(2,5−チエニレンビニレン)、ポリピロール、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリアニリン、ポリ(9,9−ジアルキルフルオレン)(PDAF)、ポリ(9,9−ジオクチルフルオレン−co−ビチオフェン)(F8T2)、ポリ(1−ヘキシル−2−フェニルアセチレン)(PHX PA)(発光材料としては青色の発光を示す)、ポリ(ジフェニルアセチレン)誘導体(PDPA−n Bu)(発光材料としては緑色の発光を示す)、ポリ(ピリジン)(PPy)、ポリ(ピリジルビニレン)(PPyV)、シアノ置換型ポリ(p−フェニレンビニレン)(CNPPV)、ポリ(3,9−ジ−tert−ブチルインデノ[1,2−b]フルオレン(PIF)などを用いることができる。これらの有機半導体のドーパントについては、ドナーとしてはアルカリ金属(Li、Na、K、Cs)を用いることができ、アクセプタとしてはハロゲン類(Br2 、I2 、CI2 )、ルイス酸(BF3 、PF5 、AsF5 、SbF5 、SO3 )、遷移金属ハロゲン化物(FeCl3 、MoCl5 、WCl5 、SnCl4 )、有機アクセプタ分子としてはTCNE、TCNQを用いることができる。また、電気化学ドーピングに用いられるドーパントイオンは、陽イオンとしてはテトラエチルアンモニウムイオン(TEA+ )、テトラブチルアンモニウムイオン(TBA+ )、Li+ 、Na+ 、K+ 、陰イオンとしてはClO4 - 、BF4 - 、PF6 - 、AsF6 - 、SbF6 - などを用いることができる。
有機半導体層153としてはさらに、高分子電解質を用いることもできる。この高分子電解質の具体例を挙げると、ポリアニオンとしては、サルフォネートポリアニリン、ポリ(チオフェン−3−酢酸)、サルフォネートポリスチレン、ポリ(3−チオフェンアルカンサルフォネート)など、ポリカチオンとしては、ポリアリルアミン、ポリ(p−フェニレン−ビニレン)前躯体高分子、ポリ(p−メチルピリジニウムビニレン)、プロトン化ポリ(p−ピリジルビニレン)、ポロトン(2−N−メチルピリジニウムアセチレン)などを用いることができる。
アノード電極151およびカソード電極152は好適には互いに仕事関数が異なる金属からなり、具体的には、例えば、アノード電極151はAuやNiからなり、電極152はAlからなる。
この有機太陽電池の各部の寸法の例を挙げると、有機半導体層153の厚さは70〜100nm、アノード電極151およびカソード電極152の厚さはそれぞれ100nm程度である。この有機太陽電池の高さ(厚さ)、従って有機半導体層153の高さは、この有機太陽電池の面に垂直な方向から入射する光のほぼ全部または完全に吸収されて光電変換されるのに十分な高さに選ばれ、具体的には数μm〜1mm程度に選ばれる。
次に、この有機太陽電池の製造方法の一例について説明する。ここでは、有機半導体層153が、p型有機半導体膜とn型有機半導体膜とを接合したヘテロジャンクション型構造を有する場合について説明する。図34A、BおよびCにこの有機太陽電池の製造に用いる真空蒸着装置を示す。ここで、図34Aは正面図、図34Bは側面図、図34Cは平面図である。
図34A、BおよびCに示すように、ローラ161に、例えば所定幅の薄い平坦なテープ状の樹脂製ベースフィルム162を巻き付けておき、この樹脂製ベースフィルム162の一方の面に、まず蒸着源163からカソード電極用の金属を蒸発させてカソード電極152を形成し、次に蒸着源164からn型有機半導体を蒸発させてn型有機半導体膜を形成し、次に蒸着源165からp型有機半導体を蒸発させてp型有機半導体膜を形成し、次に蒸着源163からアノード電極用の金属を蒸発させてアノード電極151を形成した後、この蒸着膜付き樹脂製ベースフィルム162を巻き取りローラ166で巻き取っていく。この場合、樹脂製ベースフィルム162としては、熱または光により剥離可能なものを用いる。そして、カソード電極152、n型有機半導体膜、p型有機半導体膜およびアノード電極151が渦巻き状に形成される際に樹脂製ベースフィルム162が巻き込まれないようにするため、巻き込まれる直前にこの樹脂製ベースフィルム162の裏面に高温に加熱されたローラを押し付けたり、この裏面に光を照射したりすることにより、樹脂製ベースフィルム162を剥離する。符号166〜171は蒸着源163〜165に通電を行うための電極を示す。また、樹脂製ベースフィルム162のローラ161および巻き取りローラ166の全体は下部が解放した容器172内に収容されている。蒸着源163〜165からの蒸着ビームは、この容器172の解放された下部から樹脂製ベースフィルム162に照射されるようになっている。
図34Bに示すように、容器172およびその中のローラ161および巻き取りローラ166の全体は点線で示すように鉛直面から傾斜させることができるようになっており、必要に応じて斜め蒸着を行うことができるようになっている。
また、実際には蒸着源163〜165の前方に例えば直径が1〜3mmの開口を有する金属製の遮蔽板(図示せず)が設けられており、蒸着源163〜165から樹脂製ベースフィルム162への熱放射を極力抑えることができるようになっている。
この第9の実施形態によれば、アノード電極151とカソード電極152とが間に有機半導体層153をはさんで渦巻き状に形成されて薄い円板状に有機太陽電池が構成されているので、有機太陽電池の単位面積当たりのpn接合の面積は極めて大きくなり、この有機太陽電池の面に垂直方向に光を入射させたとき、有機半導体層153の光吸収領域を増大させることができる。また、有機半導体層153は一般に電気抵抗が高いが、この有機半導体層153の厚さを十分に小さくすることができるため、その電気抵抗を十分に低く抑えることができる。このため、光電変換効率が高く、しかもフレキシブルな有機太陽電池を実現することができる。
次に、この発明の第10の実施形態について説明する。
図35A、BおよびCはこの第10の実施形態による有機太陽電池を示す。ここで、図35Aは表面図、図35Bは裏面図、図35Cは側面図である。図35A、BおよびCに示すように、この有機太陽電池は、アノード電極151とカソード電極152とが間に有機半導体層153をはさんで六角形の渦巻き状に形成されたもので、全体として薄い六角形板の形状を有する。その他の構成は第9の実施形態と同様である。
次に、この有機太陽電池の製造方法の一例について説明する。ここでは、有機半導体層153が、p型有機半導体膜とn型有機半導体膜とを接合したヘテロジャンクション型構造を有する場合について説明する。図36にこの有機太陽電池の製造に用いる真空蒸着装置を示す。また、図37は蒸着膜付き樹脂製ベースフィルム162が巻き取りローラ166で巻き取られる状態を示す。
図36に示すように、ローラ161に、例えば所定幅の薄い平坦なテープ状の樹脂製ベースフィルム162を巻き付けておき、この樹脂製ベースフィルム162の一方の面に、まず蒸着源163からカソード電極用の金属を蒸発させてカソード電極152を形成し、次に蒸着源164からn型有機半導体を蒸発させてn型有機半導体膜153aを形成し、次に蒸着源165からp型有機半導体を蒸発させてp型有機半導体膜153bを形成し、次に蒸着源163からアノード電極用の金属を蒸発させてアノード電極151を形成した後、この蒸着膜付き樹脂製ベースフィルム162を断面形状が六角形の巻き取りローラ166で巻き取っていく。その他のことは第9の実施形態と同様である。
図37において、符号173はp側とn側との電気的分離用の絶縁膜を示す。この絶縁膜173は、蒸着源163からアノード電極用の金属を蒸発させる直前に形成する。
カソード電極152、n型有機半導体膜153a、p型有機半導体膜153bおよびアノード電極151が渦巻き状に形成される際に樹脂製ベースフィルム162が巻き込まれないようにするため、巻き込まれる直前にこの樹脂製ベースフィルム162の裏面に高温に加熱されたローラ174を押し付けたり、この裏面に光を照射したりすることにより、樹脂製ベースフィルム162を剥離する。
この第10の実施形態によれば、第9の実施形態と同様な利点を得ることができるほか、次のような利点を得ることもできる。すなわち、この第10の実施形態による有機太陽電池は六角形の形状を有するため、図38に示すように、この有機太陽電池を隙間なく一面に敷き詰めることができる。このため、単位面積当たりの発電量を大幅に増すことができる。
次に、この発明の第11の実施形態について説明する。
この第11の実施形態においては、スピントンネル接合(例えば、非特許文献13、14参照)を用いた磁気記録装置について説明する。
この磁気記録装置においては、第7の実施形態によるROMと同様な構成において、超格子薄片71、72の金属膜としてCo膜を、これらの超格子薄片71、72間にはさまれる物質としてAl2 3 膜を用いる。ここで、例えば、Al2 3 膜の厚さは2nm、Co膜の厚さは10〜50nmである。この場合、強磁性金属である二層のストリップ状またはリボン状Co膜のエッジがAl2 3 膜を介して十字対向する構造がスピントンネル接合である。このとき、活性部位である交差部をまたいでストリップ状またはリボン状の構造の幅方向に沿う方向に電子が移動するようになっている。
この第11の実施形態によれば、超高密度の新規な磁気記録装置を実現することができる。
次に、この発明の第12の実施形態について説明する。
この第12の実施形態においては、触媒反応プラットフォームについて説明する。
図39に示すように、この触媒反応プラットフォームは、複数の超格子薄片71を所定の間隔をあけて互いに平行に積層した構造を有する。図40Aに一つの超格子薄片71を示す。この超格子薄片71の誘電体膜および金属膜としては、それぞれTiO2 膜やSiO2 膜などの酸化膜181およびAu膜、Pd膜、Pt膜などの金属膜182を用いる。ここで、例えば、酸化膜181の厚さは10〜100nm、金属膜182の厚さは0.5〜10nmである。図40Bに、超格子薄片71の一主面に露出した金属膜182の端部近傍の拡大図を示す。図40Bに示すように、この金属膜182の端部は凸面からなり、その曲率半径はその厚さと同程度、すなわち0.5〜10nm程度である。
この触媒反応プラットフォームの使用方法は次のとおりである。
図41Aに示すように、所定の反応装置内にこの触媒反応プラットフォームを入れておき、その一方の側から超格子薄片71に平行に反応ガスを流入させ、他方の側から流出させる。このとき、反応ガスは超格子薄片71の一主面に露出した金属膜182の端部の表面と接触するが、この端部の曲率半径は0.5〜10nm程度と極めて小さいため、この端部の表面の触媒活性は極めて高くなっている。この結果、図41Bに示すように、ガス分子183は、この金属膜182の端部の表面の触媒作用を受けることにより、反応速度が大幅に速くなる。
以上のように、この第12の実施形態によれば、一主面に露出した金属膜182の端部が曲率半径が0.5〜10nm程度と小さい凸面からなる超格子薄片71を用いることにより、高効率の触媒反応プラットフォームを実現することができる。
次に、この発明の第13の実施形態による太陽電池について説明する。
図42A、BおよびCはこの太陽電池を示す。ここで、図42Aは表面図、図1Bは裏面図、図1Cは側面図である。図42A、BおよびCに示すように、この太陽電池は、アノード電極151とカソード電極152とが、間にp型半導体層とn型半導体層とからなるpn接合をはさんで渦巻き状に形成されたもので、全体として薄い円板の形状を有する。これらのp型半導体層およびn型半導体層は無機半導体でも有機半導体でもよい。
図43にこの太陽電池の詳細構造を模式的に示す。図43において、符号191がp型半導体層、192がn型半導体層を示す。図43に示すように、アノード電極151とカソード電極152とが背中合わせになる部位には樹脂などの各種の絶縁体からなる絶縁膜193が設けられており、この絶縁膜193によりアノード電極151とカソード電極152とが互いに電気的に絶縁されている。この場合、カソード電極152は全面電極であり、n型半導体層192とオーミック接触しているのに対し、アノード電極151は円板の厚さ(W)方向に互いに分離された細長いn個の微小アノード電極151−1〜151−nからなる。これらの微小アノード電極151−1〜151−nの幅はそれぞれW1 、W2 、…、Wn であり、これらは互いに同一であっても異なっていてもよい。
p型半導体層191およびn型半導体層192のバンドギャップEg は、光入射面から円板の厚さ方向にn段階(n≧2)に段階的に減少しており、光入射面側から順にEg1、Eg2、…、Egn(Eg1>Eg2>…>Egn)となっている。p型半導体層191およびn型半導体層192のうちのバンドギャップEg がEgk(1≦k≦n)の領域をEgk領域と呼ぶ。このEgk領域のp型半導体層191と微小アノード電極151−kとがオーミック接触している。これらのEgk領域は一体になっていても互いに分離されていてもよい。微小アノード電極151−kとカソード電極152との間にEgk領域が挟まれた構造が微小太陽電池を構成し、カソード電極152を共通電極としたこれらのn個の微小太陽電池によりこの太陽電池が構成されている。
gkは次のように設定することができる。例えば、AM1.5太陽光スペクトルの全波長範囲またはその主要な波長範囲(入射エネルギーが高い部分を含む範囲)において、波長をn個の区間に分ける。そして、これらの区間に短波長側(高エネルギー側)から順に1、2、…、nというように番号を付け、k番目の区間の最小光子エネルギーに等しくEgkを選ぶ。こうすることで、k番目の区間の光子エネルギーを有する光子がEgk領域に入射すると電子−正孔対が発生し、光電変換が行われる。また、この場合、このk番目の区間の光子エネルギーを有する光子が各Egk領域に到達して十分に吸収されるように、光入射面からこのEgk領域までの深さを選ぶ。これによって、この太陽電池の光入射面に入射する太陽光は、まずEg1領域に入射してそのスペクトルのうち光子エネルギーがEg1以上のものが吸収されて光電変換され、続いてEg2領域に入射してそのスペクトルのうち光子エネルギーがEg2以上でEg1より小さいものが吸収されて光電変換され、最終的にEgn領域に入射してそのスペクトルのうち光子エネルギーがEgn以上でEgn-1より小さいものが吸収されて光電変換される。この結果、太陽光スペクトルのほぼ全範囲あるいは主要な波長範囲の光を光電変換に使用することができる。
gkの理想的な設定例について説明する。図44にAM1.5太陽光スペクトルの光子密度nphと光子エネルギーhνとの関係を示す。ここでは、AM1.5太陽光スペクトルの光子エネルギーをエネルギー幅Δの10個の区間に等分するものとする。この場合の理論最高光電変換効率は約65%にもなり、これは例えばEg =1.35eVの従来の太陽電池の理論最高光電変換効率31%の倍以上である。
各Egkの設定は、各Egk領域を構成する半導体の組成を変えることにより行うことができる。具体的には、各Egk領域を別種の半導体により構成する。無機半導体を用いる場合について具体例をいくつか挙げると次のとおりである。n=2の最も簡単な場合には、例えば、Eg1領域をGaAs(Eg =1.43eV)、Eg2領域をSi(Eg =1.11eV)により構成する。また、n=3の場合には、例えば、Eg1領域をGaP(Eg =2.25eV)、Eg2領域をGaAs(Eg =1.43eV)、Eg3領域をSi(Eg =1.11eV)により構成する。また、n=4の場合には、例えば、Eg1領域をGaP(Eg =2.25eV)、Eg2領域をGaAs(Eg =1.43eV)、Eg3領域をSi(Eg =1.11eV)、Eg4領域をGe(Eg =0.76eV)により構成する。さらには、GaInNx As1-x やGaInNx 1-x を用いてxの制御だけでn〜10の場合のEgk領域を構成することも可能である。加えて、Teを含ませると大きなボウイング(bowing)を示すことが知られているII−VI族化合物半導体を用いてEgk領域を構成してもよい。
この太陽電池の製造方法は第9の実施形態と同様である。
この太陽電池を複数用いて太陽電池システムを構成する場合には、例えば、一列に並べた太陽電池の微小アノード電極151−k同士を接続し、各列毎の最終段の太陽電池の微小アノード電極151−kから出力電圧を取り出す。
この第13の実施形態によれば、第9の実施形態と同様な利点に加えて、次のような利点を得ることができる。すなわち、例えば従来のアモルファスSi太陽電池では太陽光スペクトルのうち光子エネルギーが1.12eVより小さい波長の光は利用することができないのに対し、この第13の実施形態によれば、Egk領域の設計により、太陽光スペクトルの全部または主要部の光を光電変換に利用することができ、光電変換効率の飛躍的な向上を図ることができる。
次に、この発明の第14の実施形態による太陽電池について説明する。
図45A、BおよびCはこの太陽電池を示す。ここで、図45Aは表面図、図45Bは裏面図、図45Cは側面図である。図45A、BおよびCに示すように、この太陽電池は、アノード電極151とカソード電極152とが、間にp型半導体層191とn型半導体層192とからなるpn接合をはさんで渦巻き状に形成されたもので、全体として薄い六角形板の形状を有する。その他の構成は第13の実施形態と同様である。
この六角形の形状を有する太陽電池を隙間なく一面に敷き詰めて太陽電池システムを構成する場合には、一列に並べた太陽電池の微小アノード電極151−k同士を接続し、各列毎の最終段の太陽電池の微小アノード電極151−kから出力電圧を取り出す。このとき、一つの列の各太陽電池のEgk領域の微小太陽電池毎に並列接続する。この太陽電池システムを図46に示す。
この第14の実施形態によれば、第13の実施形態と同様な利点を得ることができるほか、次のような利点を得ることもできる。すなわち、この第14の実施形態による太陽電池は六角形の形状を有するため、図38に示すように、この太陽電池を隙間なく一面に敷き詰めることができる。このため、各太陽電池の光電変換効率の飛躍的な増加と相まって単位面積当たりの発電量を飛躍的に増加させることができる。
次に、この発明の第15の実施形態による太陽電池について説明する。
図47に示すように、この太陽電池は、アノード電極151とカソード電極152とが、間にp型半導体層とn型半導体層とからなるpn接合をはさんで渦巻き状に形成されていることは第13の実施形態による太陽電池と同様であるが、この場合、巻き取り軸である中心軸194がアノード側となっており、したがってn型半導体層192よりもp型半導体層191が先に巻きついていること、アノード電極151が円板の厚さ(W)方向に互いに分離された細長いn個の微小アノード電極151−1〜151−nからなるだけでなく、カソード電極152も、六角形板の厚さ(W)方向に互いに分離された細長いn個の微小カソード電極152−1〜152−nからなることが異なる。これらの微小カソード電極152−1〜152−nの幅はそれぞれW1 、W2 、…、Wn である。その他の構成は第13の実施形態と同様である。
図48に中心軸194の詳細構造を示す。図48に示すように、中心軸194の表面は絶縁体からなり、その表面にpコンタクト層195−1〜195−nが軸方向に互いに分離されて形成されており、その周りにそれぞれ微小アノード電極151−1〜151−nが巻き付いてコンタクトした構造になっている。中心軸194の一端にはコネクター196が設けられている。このコネクター196の表面は絶縁体からなり、この表面に電極197−1〜197−nが軸方向に互いに分離されて形成されている。電極197−1〜197−nは、図示省略した内部配線により、それぞれpコンタクト層195−1〜195−nと電気的に接続されている。
この太陽電池を複数用いて太陽電池システムを構成する場合には、例えば、一列に並べた太陽電池の微小アノード電極151−k同士および微小カソード電極152−k同士を接続し、各列毎の最終段の太陽電池の微小アノード電極151−kから出力電圧を取り出す。このとき、一つの列の各太陽電池のEgk領域の微小太陽電池毎に並列接続する。
この第15の実施形態によれば、第13の実施形態と同様な利点を得ることができる。
次に、この発明の第16の実施形態による太陽電池について説明する。
この太陽電池は、全体として薄い六角形板の形状を有する。その他の構成は第15の実施形態と同様である。
この六角形の形状を有する太陽電池を隙間なく一面に敷き詰めて太陽電池システムを構成する場合には、一列に並べた太陽電池の微小アノード電極151−k同士および微小カソード電極152−k同士を接続し、各列毎の最終段の太陽電池の微小アノード電極151−kから出力電圧を取り出す。このとき、一つの列の各太陽電池のEgk領域の微小太陽電池毎に並列接続する。この場合、太陽電池の側面に微小アノード電極151−kが露出しているため、この太陽電池の側面同士を突き合わせるだけで微小アノード電極151−k同士を電気的に接続することができる。この太陽電池システムを図49に示す。
次に、この太陽電池システムからの出力電圧の好ましい取り出し方について説明する。この太陽電池の各微小太陽電池の微小アノード電極151−kと微小カソード電極152−kとの間に発生する光起電力はEgk/eで表されるため、各微小太陽電池の光起電力は互いに異なる。各微小太陽電池の光起電力をそのまま使ってもよいが、太陽電池を最も有効に利用するためには、各微小太陽電池の接続の仕方を工夫して単一の電圧の出力電圧が得られるようにするのが好ましい。そこで、Egn=Δとし、Egi=Eg1−(i−1)Δ(i=1〜n)とする。このとき、一つの列の各太陽電池のEgk領域の微小太陽電池毎に並列接続する。そして、i番目の列のj番目の太陽電池をCijで表すとき、図50に示すように、2i−1番目の列の1番目の太陽電池C2i-1,1のEgk領域(k≧2)の微小太陽電池と2i番目の列の1番目の太陽電池C2i,1のEg(n+2-k)領域の微小太陽電池とを直列接続すると合計の光起電力の値は(Egk+Eg(n+2-k))/e=Eg1/eとなる。一方、Eg1領域の微小太陽電池の光起電力はEg1/eである。したがって、これらの光起電力を同一の端子から取り出すことにより、この太陽電池から単一の電圧の出力電圧を得ることができる。
次に、この発明の第17の実施形態による発光素子について説明する。
この発光素子の表面図、裏面図および側面図はそれぞれ図42A、BおよびCに示すものと同様である。
図51にこの発光素子の詳細構造を模式的に示す。図51に示すように、アノード電極151とカソード電極152とが背中合わせになる部位には絶縁膜193が設けられており、この絶縁膜193によりアノード電極151とカソード電極152とが互いに電気的に絶縁されている。この場合、カソード電極152は全面電極であり、n型半導体層192とオーミック接触しているのに対し、アノード電極151は円板の厚さ(W)方向に互いに分離された細長いn個の微小アノード電極151−1〜151−nからなる。これらの微小アノード電極151−1〜151−nの幅はそれぞれW1 、W2 、…、Wn であり、これらは互いに同一であっても異なっていてもよい。カソード電極152および微小アノード電極151−1〜151−nは、発光波長の光に対して透明な導電材料、例えばインジウム−スズ酸化物(ITO)などからなる。微小アノード電極151−kとカソード電極152との間にEgk領域が挟まれた構造が微小発光素子を構成し、カソード電極152を共通電極としたこれらのn個の微小発光素子によりこの発光素子が構成されている。
p型半導体層191およびn型半導体層192のバンドギャップEg は、光入射面から円板の厚さ方向にn段階(n≧2)に段階的に変化している。具体的には、例えば、Eg1領域、Eg4領域、Eg7領域、…からは赤色(R)発光が得られ、Eg2領域、Eg5領域、Eg8領域、…からは緑色(G)発光が得られ、Eg3領域、Eg6領域、Eg9領域、…からは青色(B)発光が得られるように、これらの領域のバンドギャップが選ばれている。すなわち、光入射面から円板の厚さ方向に微小発光素子の発光色はR、G、Bの繰り返しになっている。各発光色の微小発光素子の微小アノード電極151−kとカソード電極152との間にはそれぞれ所定の駆動電圧を印加して電流を注入し、発光を起こさせる。これらの微小発光素子の駆動により白色光が得られる。
上記以外のことは、その性質に反しない限り、第13の実施形態と同様である。
この第17の実施形態によれば、発光素子の体積の大部分を占める全てのEgk領域の全体から三次元的に発光が生じるため、従来の発光ダイオードに比べて発光効率の飛躍的な向上を図ることができ、超高輝度の発光素子を実現することができる。また、この発光効率の飛躍的な向上により、発光素子の注入電流密度を大きくしないでも十分に大きな光強度を得ることができるため、発光素子の寿命の向上を図ることができる。
次に、上記の第1〜第17の実施形態による各種の素子の製造に用いて好適なクリーンユニットおよびクリーユニットシステムについて説明する。
図52A、BおよびCはこの発明の第18の実施形態によるクリーンユニットを示し、図52Aは上面図、図52Bは正面図、図52Cは側面図である。このクリーンユニットでは、主に、ガスの発生や有機溶剤の使用などを伴う化学プロセスを行うが、これに限定されるものではない。
図52A、BおよびCに示すように、このクリーンユニットは、六面体形状の箱状の作業室211を有する。この作業室211の両側面は互いに平行、上面および底面も互いに平行、両側面と上面、底面、前面および背面とは互いに直角であるが、前面は背面に対して非平行でその上部が背面に近づく向きに角度θ(例えば、70〜80°)だけ傾斜している。作業室211の背面および両側面にそれぞれ、クリーンユニット間のコネクターおよび搬送路を兼用するトランスファーボックス212、213、214が着脱自在に設けられている。図52A、BおよびCには図示されていないが、これらのトランスファーボックス212、213、214が取り付けられている部分の作業室211の壁には開口部が設けられている。これらのトランスファーボックス212、213、214を用いて背面および両側面の三方向から他のクリーンユニットを連結することができるようになっているとともに、これらのトランスファーボックス212、213、214を通して試料などの搬送を行うことができるようになっている。作業室211の前面の壁には二つの円形の開口部が設けられており、これらの開口部に一対の手作業用グローブ215が装着されている。そして、これらの手作業用グローブ215にオペレーターが両手を入れて作業室211内で必要な作業を行うことができるようになっている。作業室211の上面には、排気ダクト216およびそれ自体は送風動力を持たないパッシブ防塵フィルター217が取り付けられており、これらにより作業室211の内部を例えばクラス10あるいはクラス100程度のクリーンな環境に維持することができるようになっている。このパッシブ防塵フィルター217としては、例えば、パッシブHEPAフィルターを用いることができる。
作業室211の前面は取り外し可能になっており、前面を取り外した状態でその中にプロセス装置や観察装置などの必要な装置を入れることができるようになっている。
作業室211の大きさは、その中に必要なプロセス装置などを収容することができ、かつ、オペレーターが手作業用グローブ215に両手を入れて作業室211内で必要な作業を行うことができる大きさに選ばれる。作業室211の寸法の具体例を挙げると、図52A、BおよびCにおいて、奥行きa=50〜70cm、幅b=70〜90cm、高さh=50〜100cmである。また、作業室211を構成する材料としては、好適には、外部から内部を見ることができるようにするため、透明材料、例えばアクリル樹脂板が用いられる。機械的補強のため、このアクリル樹脂板を金属枠に取り付けるようにしてもよい。トランスファーボックス212、213、214の寸法cは例えばc=15〜20cmである。
図53A、BおよびCはトランスファーボックス212、213、214の構成例を示し、図53Aは上面図、図53Bは正面図、図53Cは側面図である。
図53A、BおよびCに示すように、トランスファーボックス212、213、214は、矩形断面を有する筒218の両端にこの筒218よりも一回り大きい額縁状のつば(フランジ部)219を有するものからなる。この場合、つば219の内周は筒218の内周と一致している。
次に、作業室211とトランスファーボックス212、213、214との接続の仕方について説明する。ここでは、一例として、作業室211の右側の側面にトランスファーボックス214を接続する場合について説明するが、他のトランスファーボックス212、213の接続の仕方も同様である。図54AおよびBに示すように、作業室211の内外を仕切る壁220にはトランスファーボックス214が取り付けられる部分に矩形の開口部220aが設けられている。また、壁220の外側の面においてこの開口部220aの直ぐ下の位置に水平方向に延びるストッパー221が設けられており、このストッパー221の両端部の上に鉛直方向に延びる一対のガイドレール222が互いに対向して平行に設けられている。これらのガイドレール222と壁220との間の隙間は、トランスファーボックス214のつば219の厚さより僅かに大きく選ばれている。そして、この隙間にトランスファーボックス214のつば219の両側部を上から差し込んでガイドレール222に沿ってスライドさせる。つば219の下端がストッパー221に接した時点でつば219とガイドレール222および壁220とがほぼ密着し、トランスファーボックス214の取り付けが終了する。
また、壁220の内側の面にも、開口部220aの直ぐ下の位置に水平方向に延びるストッパー223が設けられており、このストッパー223の両端部の上に鉛直方向に延びる一対のガイドレール224が互いに対向して平行に設けられている。そして、ガイドレール224と壁220との間の隙間に開口部220aより一回り大きい矩形の引き戸225の両側部を差し込んでガイドレール224に沿ってスライドさせる。引き戸225の下端がストッパー223に接した時点で引き戸225とガイドレール224および壁220とがほぼ密着し、壁220の内外が遮断される。ガイドレール224と壁220との間の隙間は、引き戸225の厚さより僅かに大きく選ばれている。この引き戸225には取っ手226が付いており、この取っ手226を手で持って引き戸225を上下動させることにより引き戸225の開閉を行うことができるようになっている。そして、このように引き戸225の開閉を行うことにより、作業室211の内部とトランスファーボックス214との間の連通/非連通を制御することができるようになっている。
クリーンユニットシステムを拡張する際には、内側の引き戸225を閉じた状態で、壁220の開口部220aの外側にトランスファーボックス214を装着し、さらにそれに連なる次のクリーンユニットの作業室211をこのトランスファーボックス214の他端に接続した後、この内側の引き戸225を開けることで、作業室211内にクリーンな環境を維持したまま、クリーンな領域(空間)を左右ならびに奥行き方向に拡張していくことができる。
次に、クリーンユニットへの試料の投入および取り出しの仕方について説明する。図55図AおよびBに示すように、この試料の投入および取り出しのために、クリーンユニットの作業室211に、次のクリーンユニットを接続する代わりに投入/取り出しボックス227を取り付ける。この投入/取り出しボックス227は、トランスファーボックス212、213、214とほぼ同様な構成を有する。すなわち、この投入/取り出しボックス227は、矩形断面を有する筒228の両端にこの筒228より一回り大きい額縁状のつば(フランジ部)229を有するものからなるが、一方のつば229の下部にはストッパー230が取り付けられ、このストッパー230の両端部の上に鉛直方向に延びる一対のガイドレール231が互いに対向して平行に設けられている。つば229の内周は筒228の内周と一致している。そして、ガイドレール231とつば229との間の隙間に筒228より一回り大きい矩形の密閉遮断板232の両側部を差し込んでガイドレール231に沿ってスライドさせる。密閉遮断板232の下端がストッパー230に接した時点で密閉遮断板232とガイドレール231およびつば229とがほぼ密着し、投入/取り出しボックス227の内外が遮断される。ガイドレール231とつば229との間の隙間は、密閉遮断板232の厚さより僅かに大きく選ばれている。この密閉遮断板232には取っ手233が付いており、この取っ手233を手で持って密閉遮断板232を上下動させることによりこの密閉遮断板232の開閉を行うことができるようになっている。そして、このように密閉遮断板232の開閉を行うことにより、投入/取り出しボックス227の内部と外部との間の連通/非連通を制御することができるようになっている。投入/取り出しボックス227のクリーンユニットへの取り付け方法は、トランスファーボックス212、213、214の取り付け方法と同じであるので、説明を省略する。
次に、クリーンユニットの三箇所のコネクター部のうち、特に試料の出し入れもせず、他のクリーンユニットも連結しないコネクター部に関しては、図56AおよびBに示すように、壁220の外側にも、内側と同様に開閉機構が設けられている。すなわち、作業室211の壁220にストッパー234および一対のガイドレール235を取り付け、このガイドレール235と壁220との間の隙間に開口部220aより一回り大きい矩形の密閉遮断板236の両側部を差し込んでガイドレール235に沿ってスライドさせる。密閉遮断板236の下端がストッパー234に接した時点で密閉遮断板236とガイドレール235および壁220とがほぼ密着し、壁220の内外が遮断される。ガイドレール235と壁220との間の隙間は、密閉遮断板236の厚さより僅かに大きく選ばれている。この密閉遮断板236には取っ手237が付いており、この取っ手237を手で持って密閉遮断板236を上下動させることにより密閉遮断板236の開閉を行うことができるようになっている。そして、このように密閉遮断板236の開閉を行うことにより、クリーンユニットの内部と外部との間の連通/非連通を制御することができるようになっている。この場合、壁220の内側にも同様な開閉構造が設けられているため、コネクター部の壁220の両側に二重の密閉構造が備わっていることになる。このようにして、他のクリーンユニットとの接続がなく、かつトランスファーボックスも連結しない場合には、クリーンユニットの作業室211の内部の外気からの遮断を効率よく行うことができる。
図57A、BおよびCはこの発明の第19の実施形態によるクリーンユニットを示し、図57Aは上面図、図57Bは正面図、図57Cは側面図である。このクリーンユニットでは、主に、表面観察などの各種測定や検査やアセンブリなど、局所排気の必要ない、非化学的なプロセスを行うが、これに限定されるものではない。
図57A、BおよびCに示すように、このクリーンユニットは、図52A、BおよびCに示すクリーンユニットの作業室211と同様な構成の作業室251を有する。この作業室251の背面および両側面にはそれぞれ、クリーンユニット間のコネクターおよび搬送路を兼用するトランスファーボックス252、253、254が設けられ、これらのトランスファーボックス252、253、254を用いて背面および両側面の三方向から他のクリーンユニットを連結することができるようになっているとともに、これらのトランスファーボックス252、253、254を通して試料などの搬送を行うことができるようになっている。また、作業室251の前面には二つの円形の開口部が設けられており、これらの開口部に一対の手作業用グローブ255が装着されている。作業室251の上面には、それ自体送風動力を持つアクティブ防塵フィルター256が取り付けられており、作業室251の内部を例えばクラス10またはクラス100程度のクリーンな環境に維持することができるようになっている。この場合、排気ダクトは設けられておらず、その代わりに、作業室251の両側面の下部の隅に排気用通風孔257が設けられている。この排気用通風孔257は、アクティブ防塵フィルター256から送られた空気を作業室251の外部に排気し、アクティブ防塵フィルターの動作により加わる正圧を調節するためのものである。このアクティブ防塵フィルター256としては、例えば、アクティブHEPAフィルターを用いることができる。なお、例えば、このクリーンユニットをバイオクリーンルーム代替で用いるときには、このアクティブ防塵フィルター256に直列にイオン殺菌除去装置を加えてもよい。
上記以外の構成は図52A、BおよびCに示すクリーンユニットの構成と同一である。
トランスファーボックス252、253、254の連結部位には、図52A、BおよびCに示すクリーンユニットと同様に、他のクリーンユニットを連結しない場合には、外気との密閉遮断板または遮断扉を付けることも可能である。
次に、この発明の第20の実施形態によるクリーンユニットシステムについて説明する。
図58Aはこのクリーンユニットシステムを示す。また、図58Bはこのクリーンユニットシステムとの比較のための従来のクリーンユニットシステムを示す。
図58Aに示すように、部屋の中に定盤261、262、263、264がそれらの間にオペレーターが入って作業を行うのに十分なスペースをあけて設置されている。そして、定盤261上にはクリーンユニット265が、定盤262上にはクリーンユニット266、267が、定盤263上にはクリーンユニット268、269、270が、定盤264上にはクリーンユニット271、272、273がそれぞれ設置されている。これらのクリーンユニット265〜273はトランスファーボックス274により連結されており、繰り返し折れ曲がったつづら折り状配置となっている。
この場合、クリーンユニット265〜273としては三方向の連結が可能な第18または第19の実施形態によるクリーンユニットが用いられており、このため上述のようにクリーンユニット265〜273をつづら折り状に配置することが可能となっている。
ただし、クリーンユニット265、269、272、273としては、左右二方向のみの連結が可能な従来のクリーンユニットを用いてもよい。
前処理、レジスト塗布、ベーキング、露光、現像、ポストベーク、エッチング(食刻)、薄膜成長、表面観察、アセンブリなどの各要素プロセスは最近の技術の進歩によりコンパクトな装置で行うことが可能になってきたので、基本的に第18の実施形態によるクリーンユニット(以下「タイプA」という)と第19の実施形態によるクリーンユニット(以下「タイプB」という)とのどちらかの中に収めることが可能である。そこで、クリーンユニット265〜273には、実行するプロセスに応じた小型のプロセス装置(成長装置、エッチング装置などの化学プロセス装置またはリソグラフィー装置、ベーク炉などの非化学プロセス装置)や小型の観察装置(AFM、STM、光学顕微鏡、SEMなど)などが設置される。例えば、クリーンユニット270内には小型の成長装置が設置される。この場合、成長装置の電源275およびオシロスコープ276がこのクリーンユニット270の近くに設置されている。
このクリーンユニットシステムを用いてプロセスや観察、測定などを実行する場合には、例えば次のようにする。すなわち、オペレーターはまず、クリーンユニット265の前方に立って試料の出し入れ部から基板(図示せず)を投入する。そして、このクリーンユニット265内で所定のプロセスなどを実行した後、作業用グローブ(図示せず)を用いて基板をトランスファーボックス274を通して次のクリーンユニット266に搬送する。次に、オペレーターはクリーンユニット266の前方に移動し、このクリーンユニット266内で所定のプロセスを実行する。このようにして、基板をクリーンユニット265〜273間で受け渡しながら順次プロセスを実行する。そして、プロセス終了後にクリーンユニット273から基板を取り出す。
以上のように、この第20の実施形態によれば、クリーンユニット265〜273をつづら折り状に配置することが可能であるので、クリーンユニットシステムの占有面積を方形に近づけることができ、このクリーンユニットシステムを設置する部屋の設計への負担を軽くするとともに、部屋のスペースの有効利用を図ることができる。
すなわち、図58Bに示すように、左右方向にのみ連結可能なクリーンユニット281〜288を左右方向に単一直線状配置で連結した従来のクリーンユニットシステムでは、長さが極めて長くなるため、設置スペースも長くなり、部屋のスペースの使用効率が悪い。したがって、この第18の実施形態によるクリーンユニットシステムの優位性は明らかである。なお、図58Bにおいて、符号289〜292は定盤、293は連結部を示す。
次に、この発明の第21の実施形態によるクリーンユニットシステムについて説明する。
図59はこのクリーンユニットシステムを示す。図59に示すように、このクリーンユニットシステムにおいては、タイプAまたはタイプBの三方向接続可能なクリーンユニット1101〜1106がトランスファーボックス1107を介してループ状配置で連結されている。連結に使用されていないトランスファーボックス1107は密閉遮断板により遮断されている。
この第21の実施形態によれば次のような利点を得ることができる。すなわち、一般に、トータルな一連のプロセスにおいては、同一のプロセスを繰り返すことがよくあるが、左右方向にのみ連結可能なクリーンユニットを左右方向に連結した単一直線状配置の従来のクリーンユニットシステムでは、同一のプロセスを繰り返し行う場合、その都度上流側のクリーンユニットに試料を戻さざるを得ないため、作業効率が極めて悪い。これに対し、この第21の実施形態によれば、クリーンユニット1101〜1106が3方向接続可能であるので、プロセスフローに沿ってクリーンユニット1101〜1106の最適なループ状の連結が可能となり、試料の無駄な搬送を伴うことなく必要な回数、何回でも一連のプロセスを繰り返すことができる。このため、一連のプロセスを効率的に行うことができる。
次に、この発明の第22の実施形態によるクリーンユニットシステムについて説明する。
図60はこのクリーンユニットシステムを示す。図60に示すように、このクリーンユニットシステムにおいては、タイプAまたはタイプBのクリーンユニット1101〜1106がトランスファーボックス1107を介してループ状配置で連結されていることは第19の実施形態と同様であるが、この場合にはさらに、クリーンユニット1102とクリーンユニット1105とがトランスファーボックス1107および中継ボックス1108を介して直接連結されている。この場合、図52A、BおよびCまたは図57A、BおよびCにおいて、作業室の奥行きの寸法a、トランスファーボックスの寸法c、背面トランスファーボックスの、向かって右側面からの距離xがx=(a−c)/2を満たすように設計することにより、単一の構造仕様のクリーンユニット1101〜1106のみを用いて図60に示すような連結を行うことができる。
以上のように、この第22の実施形態によれば、クリーンユニット1101〜1106がループ状配置で連結され、しかもクリーンユニット1102とクリーンユニット1105とがトランスファーボックス1107および中継ボックス1108により直接連結されていることにより、第21の実施形態と同様な利点に加え、条件判断に伴う分岐や小ループなど、より小回りの効いたプロセスを実行することが可能になる。具体的には、クリーンユニット1101〜1106間で順番に基板を受け渡してプロセスを実行するほかに、例えば、クリーンユニット1101から出発してクリーンユニット1102でプロセスを実行した後、クリーンユニット1105に進んでプロセスを行うこともできる。
次に、この発明の第23の実施形態によるクリーンユニットシステムについて説明する。
図61はこのクリーンユニットシステムを示す。図61に示すように、このクリーンユニットシステムにおいては、タイプAまたはタイプBの三方向接続可能なクリーンユニット1121〜1128がトランスファーボックス1129を介して連結されている。この場合、クリーンユニット1122〜1127は第22の実施形態と同様なループ状配置で連結されている。
例えば、クリーンユニット1122、1123、1125、1126としてはタイプAのものを用い、クリーンユニット1121、1124、1127としてはタイプBのものを用いる。
各クリーンユニット1121〜1128で行われる作業は、例えば次のとおりである。まず、クリーンユニット1121は保管ユニットで、試料保管庫(例えば、基板を収納したウエハーカセット1130)が設置され、連結に使用されていない右側面のトランスファーボックス1129は試料投入口、同じく連結に使用されていない背面のトランスファーボックス1129は非常時試料取出口である。クリーンユニット1122は化学ユニットで、化学前処理システム1131が設置され、化学前処理が行われる。クリーンユニット1123はレジストプロセスユニットで、スピンコータ1132および現像装置1133が設置され、レジストのコーティングや現像が行われる。クリーンユニット1124はリソグラフィーユニットで、露光装置1134が設置され、連結に使用されていない右側面のトランスファーボックス1128は非常時試料取出口である。クリーンユニット1125は成長/メタライゼーションユニットで、電気化学装置1135およびマイクロリアクターシステム1136が設置され、連結に使用されていない右側面のトランスファーボックス1128は非常時試料取出口である。クリーンユニット1126はエッチングユニットで、エッチング装置1137が設置されている。このクリーンユニット1126の背面のトランスファーボックス1129は、中継ボックス1138を介して、クリーンユニット1123の背面のトランスファーボックス1129と連結されている。クリーンユニット1127はアセンブリユニットで、顕微鏡1139およびプローバー1140が設置されている。クリーンユニット1128は走査プローブ顕微鏡(SPM)観察ユニットで、卓上STM1141および卓上AFM1142が設置され、連結に使用されていない右側面のトランスファーボックス1129は試料取出口、同じく連結に使用されていない背面のトランスファーボックス1129は非常時試料取出口である。クリーンユニット1123のスピンコータ1132、クリーンユニット1124の露光装置1134、クリーンユニット1125の電気化学装置1135およびマイクロリアクターシステム1136、クリーンユニット1126のエッチング装置1137、クリーンユニット1127のプローバー1140などは電源1143に接続されていて電源が供給されるようになっている。また、クリーンユニット1125の電気化学装置1135は信号ケーブル1144により電気化学装置制御器1145と接続されており、この電気化学装置制御器1145により制御されるようになっている。さらに、クリーンユニット1127の顕微鏡1139、クリーンユニット1128の卓上STM1141および卓上AFM1142による観察画像は、液晶モニター1146に映し出すことができるようになっている。
この第23の実施形態によれば、次のような多くの利点を得ることができる。すなわち、化学前処理、レジスト塗布、露光、現像、成長/メタライゼーション、エッチング、プロービング、表面観察など、通常巨大なクリーンルームの中に設えられた装置群を駆使して行われるほぼあらゆる工程を、クリーンな局所空間を包むクリーンユニットを連結したクリーンユニットシステムにおいてループ状配置などを取ることによって、クリーンルームを用いることなく通常の実験室規模の部屋の中において簡便かつコンパクトに実現することができる。
また、一般的には、上記のタイプA、Bのクリーンユニットの中に収めるプロセス装置の性格により、図61に示すように、A、B(あるいはその変形型)からなる、いわゆる「モザイク」状のクリーンユニット配列パターンができ、これによりプロセス全体、あるいはその主要部の一連の工程(例えば、途中で有塵雰囲気に暴露すると歩留まりを下げてしまう恐れのある工程を済ませ、有塵雰囲気でも差し支えない、区切りの良い段階まで工程を進めてしまうことなど)を実行することができる。
また、あるトータルな、あるいは主要な一連のプロセスフローが与えられたとき、それに対応した一次元のクリーンユニットの繋がり具合(モザイクパターン)が決まるが、上記のタイプA、Bのクリーンユニットを用いることにより、同一処理(群)の繰り返しは同一クリーンユニット(群) で行うなどの束縛条件を満たすように(つまりこのモザイクのどことどこを繋げば最も効率がよくなるかを判定して)、クリーンユニットのループ状配置などの実現が可能となる。また、その際、必要な工程数、作業の段数の増加に対応して、拡張性に富み、かつ極めてフレキシブルなやり方でプロセス一貫システムを組上げることができる。
次に、この発明の第24の実施形態によるクリーンユニットシステムについて説明する。
図62はこのクリーンユニットシステムを示す。図62に示すように、このクリーンユニットシステムにおいては、タイプAまたはタイプBの三方向接続可能なクリーンユニット1151〜1171がトランスファーボックス1172を介して連結されている。この場合、クリーンユニット1160〜1165は第21の実施形態と同様なループ状配置で連結され、クリーンユニット1166〜1171は第22の実施形態と同様なループ状配置で連結されている。クリーンユニット1155の背面のトランスファーボックス1172とクリーンユニット1160の右側面のトランスファーボックス1172とは中継ボックス1173を介して連結されている。また、クリーンユニット1158の背面のトランスファーボックス1172とクリーンユニット1165の右側面のトランスファーボックス1172とは中継ボックス1173を介して連結されている。さらに、クリーンユニット1167の背面のトランスファーボックス1172とクリーンユニット1170の背面のトランスファーボックス1172とは中継ボックス1173を介して連結されている。クリーンユニット1160〜1165にはこのクリーンユニットシステムを用いて実行するプロセスに必要なプロセス装置や観察装置などが設置されている。
この第24の実施形態によれば次のような利点を得ることができる。すなわち、初段から最終段までの一連のプロセスフローは、(途中の計測により不具合が見つかった場合には、再度そのプロセスを繰り返すという条件判断およびその後の処理まで含めて)プログラミングのフローチャートと同一視できるが、この第24の実施形態によれば、プログラミングでいうところのサブルーチン部1174や、条件判断による分岐1175などの処理に対応して、三方接続を含め並べ替えることで、極めて順応性良く対応することができる。つまり、トランスファーボックス1172の開閉や基板の搬送を含めてコンピューターコントロールを行うことで(ループや条件判断によるプロセス上の別工程に飛び移ることを含み)全プロセス工程、あるいは主要な一連のプロセス工程を、プログラミングの下、コンピュータの管理下において自動的に実行することができる。
また、クリーンユニットシステムにループがあるため、クリーンユニット間で基板を行き来させることにより、最小の移動距離で基板に対して同様の処理を何度でも行うことができる。従来のクリーンユニットの直線状配置では同様の処理を行う際、遠いクリーンユニットまで長距離、基板を搬送する必要が出てくるため、これは非常に有利な点である。これを一般化すると次のとおりである。すなわち、ペアノ曲線あるいは図63に示すヒルベルト曲線などに似た形で面が埋められるので、空間(面積)占有率の向上の面でも有利である。特に、ヒルベルト曲線と同様に、一連の線上に乗っておりながら、同時に、この線上では遠隔地に存しながらも、残るもう1次元を利用した三方接続により一種のプロセス空間内でいわば「ワープ」させて、別系のプロセスを基板(試料)に適用することができることが利点である。これは、たんぱく質合成の際に、DNAの一次元配列の各所に散らばって存在する設計図をうまく読み取り合わせていく過程と相同の機能であり、一つのプロセスラインを多目的に利用することができる利便性を実現するものである。
次に、この発明の第25の実施形態によるクリーンユニットについて説明する。
図64A、BおよびCはこの第25の実施形態によるクリーンユニットを示し、図64Aは上面図、図64Bは正面図、図64Cは側面図である。
図64A、BおよびCに示すように、このクリーンユニットは、六面体形状の箱状の作業室211の背面および両側面にそれぞれトランスファーボックス212、213、214が着脱自在に設けられていることに加えて、この作業室211の上面および下面にそれぞれトランスファーボックス1201、1202が着脱自在に設けられている。これらのトランスファーボックス1201、1202の構造は、トランスファーボックス212、213、214と同様である。
上記以外のことは第18の実施形態と同様であるので、説明を省略する。
この第25の実施形態によるクリーンユニットを以下においてはタイプCという。
次に、この発明の第26の実施形態によるクリーンユニットについて説明する。
図65A、BおよびCはこの第26の実施形態によるクリーンユニットを示し、図65Aは上面図、図65Bは正面図、図65Cは側面図である。
図65A、BおよびCに示すように、このクリーンユニットは、六面体形状の箱状の作業室251の背面および両側面にそれぞれトランスファーボックス252、253、254が着脱自在に設けられていることに加えて、この作業室251の上面および下面にそれぞれトランスファーボックス1203、1204が着脱自在に設けられている。これらのトランスファーボックス1203、1204の構造は、トランスファーボックス212、213、214と同様である。
上記以外のことは第19の実施形態と同様であるので、説明を省略する。
この第26の実施形態によるクリーンユニットを以下においてはタイプDという。
次に、この発明の第27の実施形態によるクリーンユニットについて説明する。
図66はこの第27の実施形態によるクリーンユニットを示す正面図である。
図66に示すように、このクリーンユニットにおいては、作業室251の左側の側面の下部の隅の排気用通風孔(図示せず)は図示省略した蓋などにより塞がれており、右側の側面の下部の隅の排気用通風孔とアクティブ防塵フィルター256の入り口との間に、気密性を有する管1251が接続されている。そして、排気用通風孔から排気される気体の全てがこの管1251を通ってアクティブ防塵フィルター256の入り口に入るようになっている。このようにすることにより、気体は、アクティブ防塵フィルター256→作業室251→排気用通風孔→管1251→アクティブ防塵フィルター256のように循環するため、作業室251内の清浄度の大幅な向上を図ることができる。
作業室251内で化学プロセスを実行する場合には、化学プロセス対応のアクティブ防塵フィルター256を用いるとともに、上記の管1251の途中に吸着塔1252あるいは吸着剤を設置することで、ダクトなどを通じて外部に接続することなく、クローズドシステムで有害物質の除去とクリーンな環境の維持とを両立させることができる。
また、作業室251の内壁の全部または一部に粘着シートを貼り付けてダスト微粒子を付着させることで、清浄度のさらなる向上を図ることが可能である。この場合、粘着シートを多層化したものを用い、一枚ずつ剥がすことで清浄なシート面を露出させることにより、常時ダスト微粒子の付着効果を維持することができる。
作業室251の詳細の図示および説明は省略するが、第19または第24の実施形態と同様である。
この第27の実施形態によるクリーンユニットを以下においてはタイプEという。
図65は、このタイプEのクリーンユニットを通常のオフィス環境下に置いてアクティブ防塵フィルター256を運転した時の作業室251内の清浄度を測定した結果を示し、横軸は微粒子の粒径(μm)、縦軸は横軸の粒径以上の微粒子数(個/m3 )を示す。ただし、この測定に用いたクリーンユニットの作業室251は直方体形状でその大きさは幅80cm、奥行き60cm、高さ80cmである。アクティブ防塵フィルター256としては、アズワン株式会社製HEPAユニットGK−0757−01(型番25S)0.3μmを用いた。また、測定は、アクティブ防塵フィルター256の運転を開始してから20分または30分経過後に安定した状態となってから行った。図65より、この循環型クリーンユニットの清浄度の平均値(○)はクラス10並、最高値(●)はクラス1に近い値が得られている。しかも、この清浄度に到達するのに要する時間は、アクティブ防塵フィルター256の運転開始後20分または30分程度と極めて短い。以上のことは、排気用通風孔から排気される気体の全てを管1251を通してアクティブ防塵フィルター256の入り口に入れて循環させることが、高い清浄度を得るために極めて有効な方法であることを示す。図65には、比較のために、クリーンルームのスーパークリーンエリアの清浄度(△)、通常エリア(▲)の清浄度の測定結果も示してある。
以上、この発明の実施形態について具体的に説明したが、この発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
例えば、上述の実施形態において挙げた数値、材料、形状、配置などはあくまでも例に過ぎず、必要に応じて、これらと異なる数値、材料、形状、配置などを用いてもよい。必要に応じて、上述の実施形態の二以上を組み合わせてもよい。
また、例えば、超格子薄片にはさまれる層として、π電子共役有機分子系材料や生体分子系材料のほかに、強誘電体材料系やPrCaMnO系の巨大磁気抵抗材料を用いてもよい。
また、同心円構造自体は、第1〜第6の実施形態で述べた方法以外の方法で形成することもできる。例えば、回転軸を回転させながらその側面上に交互に異なる物質を真空蒸着により形成したり、MOCVD法などにより円柱状の基板に交互に異なる物質を成長させたりすることができる。
また、同心円構造を形成する物質としては、上述の第1〜第6の実施形態で用いたものと異なる物質を用いてもよい。誘電体としては酸化物などの無機物質のほか、ポリスチレンやポリカーボネートなどの有機物質を用いてもよい。
なお、(↑、↑)と(↓、↓)とを結びつけるに際し、目的に応じて、既に述べた(↑、↓)の性質を持つものの代わりに(↓、↑)の性質を持つもの、すなわち、時間的には不連続な投影をされた構造でかつ空間的には等方的な構造を有するものを用いてもよい。
また、上に述べたトップダウン構造の範疇の1つである脳由来構造には有形のものと無形のものとがある。前者は3次元的実在を伴ったハードウェアなど、物的アーキテクチャーであり、後者には知的学問体系、データベース、ソフトウェアなど、知的アーキテクチャーが含まれる。また、ボトムアップ構造の範疇の1つである遺伝子由来構造には単に細胞・組織レベルの構造のみならず、骨格や臓器などの器官も含まれる。
さらに、ボトムアップとトップダウンとの接続・統合は、狭い意味のハードウェアのみに適用されるものではなく、直接結合しようとしても相容れない2系統の流れがぶつかる種々の局面に適用することができる。一例を挙げると、両系統の持つ属性を精査し、各々において(↑、↑)のものと(↓、↓)のものという相反する性質の組を同定・抽出し、その上で(↑、↓)の性質を持つ中間層(緩衝材となる方策)を間にはさむ(さらに必要なら、この作業を漸化式的にイテレイティブ(iterative)に繰り返す)ことにより、市場形成や消費動向など、ユーザーやマスを形成する消費者などの(ヒエラルキー末端の)層に内在して下から湧き上がってくる動きと、企業運営や行政などの(ヒエラルキートップの)、あらかじめ設定された計画に基づいて上から下ろされてくるルールやプランニングとを整合させる際などにも、ソフトウェア的な(ビジネスモデルやサービスモデル上の)仕組みとしても機能させることができる。
また、(x1 ,x2 ,…,xN )とN成分系へと拡張することができ、xi ,xj などの複数成分間で結合することができること、さらにxi も↑、↓の2値のみならず、多値(離散的)変数であってもよいことは言うまでもない。
また、例えば、上述の第18〜第27の実施形態においては、サイズが同じタイプA〜Eの5種類の基本のクリーンユニットを所定の配置で連結してクリーンユニットシステムを構成しているが、タイプA〜E間でクリーンユニットのサイズが互いに異なっていてもよいし、タイプは同じであるがサイズが異なるクリーンユニットを用いてもよいし、タイプA〜Eを変形したクリーンユニットを用いてもよいし、さらには3種類以上のタイプのクリーンユニットを用いてもよい。
また、第20〜第24の実施形態によるクリーンユニットシステムにおいて、上下(鉛直)方向の自由度を利用して一部三次元的な接続を取り入れることも可能である。また、トランスファーボックスの密閉用の遮断板は、パッキンを備えた扉式のものを用いてもよい。また、一部のクリーンユニットおよびトランスファーボックスを加圧あるいは減圧対応、あるいは、真空対応にすることも可能である。この場合、トランスファーボックスは密閉性を高め、それ自体に加圧装置や局所排気装置をつけることが望ましい。また、トランスファーボックスは必ずしも直線状である必要はなく、例えばくの字型に曲がっていてもよい。また、トランスファーボックスに三方向接続性を備えさせることで、クリーンユニットをT字型に配置することも可能である。さらに、一旦クリーンユニットを連結した後に全てのトランスファーボックスの引き戸を開放して、例えば回転寿司店で寿司などの提供に用いられている搬送コンベアと同様の自動搬送コンベアをクリーンユニットシステムを貫いて設けることも可能である。
この発明を説明するための略線図である。 この発明を説明するための略線図である。 TPCを説明するための略線図である。 TPCを説明するための略線図である。 この発明を説明するための略線図である。 この発明を説明するための略線図である。 この発明を説明するための略線図である。 AlAs/GaAs2原子層超格子の成長を説明するための透過型電子顕微鏡による暗視野像、格子像および回折パターンを示す図面代用写真である。 電気化学的成長機構を説明するための略線図である。 この発明を説明するための略線図である。 図10Aに示す場合の交差部の電場分布の計算結果を示す略線図である。 図10Aに示す場合の交差部の電場分布の計算結果を示す略線図である。 図10Aに示す場合の交差部の電場分布の計算結果を示す略線図である。 図10Aに示す場合の交差部の電場分布の計算結果を示す略線図である。 図10Bに示す場合の交差部の電場分布の計算結果を示す略線図である。 図10Bに示す場合の交差部の電場分布の計算結果を示す略線図である。 図10Bに示す場合の交差部の電場分布の計算結果を示す略線図である。 図10Bに示す場合の交差部の電場分布の計算結果を示す略線図である。 この発明を説明するための略線図である。 この発明の第1の実施形態を説明するための略線図である。 この発明の第1の実施形態を説明するための略線図である。 この発明の第1の実施形態を説明するための略線図である。 この発明の第1の実施形態を説明するための略線図である。 この発明の第1の実施形態による機能素子を示す略線図である。 この発明の第2の実施形態を説明するための略線図である。 この発明の第3の実施形態を説明するための略線図である。 この発明の第4の実施形態を説明するための略線図である。 この発明の第4の実施形態を説明するための略線図である。 この発明の第5の実施形態を説明するための略線図である。 この発明の第6の実施形態を説明するための略線図である。 この発明の第7の実施形態を説明するための略線図である。 この発明の第8の実施形態を説明するための略線図である。 この発明の第9の実施形態を説明するための略線図である。 この発明の第9の実施形態を説明するための略線図である。 この発明の第10の実施形態を説明するための略線図である。 この発明の第10の実施形態を説明するための略線図である。 この発明の第10の実施形態を説明するための略線図である。 この発明の第10の実施形態を説明するための略線図である。 この発明の第12の実施形態を説明するための略線図である。 この発明の第12の実施形態を説明するための略線図である。 この発明の第12の実施形態を説明するための略線図である。 この発明の第13の実施形態を説明するための略線図である。 この発明の第13の実施形態を説明するための略線図である。 この発明の第13の実施形態を説明するための略線図である。 この発明の第14の実施形態を説明するための略線図である。 この発明の第14の実施形態による太陽電池を用いた太陽電池システムを説明するための略線図である。 この発明の第15の実施形態を説明するための略線図である。 この発明の第15の実施形態を説明するための略線図である。 この発明の第16の実施形態による太陽電池を用いた太陽電池システムを説明するための略線図である。 この発明の第16の実施形態による太陽電池を用いた太陽電池システムを説明するための略線図である。 この発明の第17の実施形態を説明するための略線図である。 この発明の第18の実施形態によるクリーンユニットを示す上面図、正面図および側面図である。 この発明の第18の実施形態によるクリーンユニットに装着するトランスファーボックスを示す上面図、正面図および側面図である。 この発明の第18の実施形態によるクリーンユニットとトランスファーボックスとの接続を説明するための側面図および正面図である。 この発明の第18の実施形態によるクリーンユニットに装着する投入/取り出しボックスを示す側面図および正面図である。 この発明の第18の実施形態によるクリーンユニットの使用しない連結用開口部の遮断方法を説明するための側面図および正面図である。 この発明の第19の実施形態によるクリーンユニットを示す上面図、正面図および側面図である。 この発明の第20の実施形態によるクリーンユニットシステムおよび比較のための従来のクリーンユニットシステムを示す略線図である。 この発明の第21の実施形態によるクリーンユニットシステムを示す略線図である。 この発明の第22の実施形態によるクリーンユニットシステムを示す略線図である。 この発明の第23の実施形態によるクリーンユニットシステムを示す略線図である。 この発明の第24の実施形態によるクリーンユニットシステムを示す略線図である。 ヒルベルト曲線を示す略線図である。 この発明の第25の実施形態によるクリーンユニットを示す上面図、正面図および側面図である。 この発明の第26の実施形態によるクリーンユニットを示す上面図、正面図および側面図である。 この発明の第27の実施形態によるクリーンユニットを示す正面図である。 図64に示すクリーンユニットにより得られる清浄度の測定結果を示す略線図である。
符号の説明
21…TPC、31…1次元超格子、33,34…超格子薄片、71,72…超格子薄片、115,116…超格子薄片、41,42…導電体ストリップ、46,47…誘電体層、54…電解液、61…溶剤難溶性電析有機膜、62…電析金属膜、73,74 …リレー回路、82…2次元構造体、83…接続パッド、84,85…配線接続部、87…LSI、91…量子ドット、92…フラクタル構造を有する面、131…樹脂基板、132…ナノ構造金型、133…金属膜、141…Cu膜、142…Ti膜、143…Cu2 S膜、151…アノード電極、151−1〜151−n…微小アノード電極、152…カソード電極、152−1〜152−n…微小カソード電極、153…有機半導体膜、154、155…取り出し電極、162…樹脂製ベースフィルム、181…酸化膜、182…金属膜、194…中心軸、195−1〜195−n…pコンタクト層、196…コネクター、197−1〜197−n…電極、211、251、1601…作業室、212〜214、252〜254、274、1107、1129、1172、1201〜1204、1317、1406、1602〜1604…トランスファーボックス、216…排気ダクト、217…パッシブ防塵フィルター、220…壁、220a…開口部、225…引き戸、227…投入/取り出しボックス、232、236…密閉遮断板、256…アクティブ防塵フィルター、265〜273、281〜288、1101〜1106、1121〜1128、1151〜1171、1301〜1316、1401〜1405、1108、1138、1173…クリーンユニット

Claims (3)

  1. 送風動力を有する防塵フィルターを用いて作業室をクリーンな環境に維持し、上記作業室から流出する気体の全てが上記防塵フィルターの入り口に入って気体が循環するように構成され、かつ気密性を有し、
    上記防塵フィルターの風量をV、上記作業室の体積をV0 、上記作業室の内面積をS、上記作業室の内面の単位面積・単位時間当たりのダスト微粒子の脱離レートをσ、設置環境のダスト密度をN0 、上記防塵フィルターの粉塵捕集効率をγとし、
    Figure 0004927765
    および
    Figure 0004927765
    と定義したとき、上記作業室内のダスト密度n(t)(tは運転開始後の時間)が
    Figure 0004927765
    で表されるクリーンユニットの上記作業室内において、1次元超格子を薄片化した超格子薄片を複数交差させて重ねるようにしたことを特徴とする機能素子の製造方法。
  2. 第1の構造と第2の構造とが第3の構造を介して結合されてなる機能素子の製造方法であって、
    上記第3の構造を1次元超格子を薄片化した超格子薄片を複数交差させて重ねたものとして形成する工程と、
    上記第2の構造を予め設定された大局的な規則により形成する工程と、
    上記第1の構造を局所的な相互作用により形成する工程とを有し、
    送風動力を有する防塵フィルターを用いて作業室をクリーンな環境に維持し、上記作業室から流出する気体の全てが上記防塵フィルターの入り口に入って気体が循環するように構成され、かつ気密性を有し、
    上記防塵フィルターの風量をV、上記作業室の体積をV 0 、上記作業室の内面積をS、上記作業室の内面の単位面積・単位時間当たりのダスト微粒子の脱離レートをσ、設置環境のダスト密度をN 0 、上記防塵フィルターの粉塵捕集効率をγとし、
    Figure 0004927765
    および
    Figure 0004927765
    と定義したとき、上記作業室内のダスト密度n(t)(tは運転開始後の時間)が
    Figure 0004927765
    で表されるクリーンユニットの上記作業室内において、上記超格子薄片を複数交差させて重ねるようにしたことを特徴とする機能素子の製造方法。
  3. 上記作業室内のダスト密度n(t)(tは運転開始後の時間)を
    Figure 0004927765
    に従って減少させ、上記ダスト密度n(t)がSσ/γVに到達してから上記作業室内において、上記超格子薄片を複数交差させて重ねるようにしたことを特徴とする請求項1または2記載の機能素子の製造方法。
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