本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施の形態にかかるRFIDタグシステム1のシステム構成を示す図である。同図は、スーパーの大根売り場付近を示している。陳列台の上に多数の大根が陳列されており、各大根にはRFIDタグ30が貼付されている。また、大根売り場の上方にはRFIDリーダ補助装置10が設置される。さらに、買い物客は携帯電話20を持ち歩いている。
RFIDリーダ補助装置10は、CPU、メモリ、及び無線通信機能を備えるコンピュータである。CPUは、メモリに記憶されるプログラムを実行するための処理ユニットであり、RFIDリーダ補助装置10の各部を制御する処理を行うとともに、後述する各機能を実現する。メモリは本実施の形態を実施するためのプログラムやデータを記憶している。また、CPUのワークメモリとしても動作する。RFIDリーダ補助装置10は商用電源と接続されており、この商用電源を動作電源として動作する。
携帯電話20も、CPU、メモリ、及び無線通信機能を備えるコンピュータである。CPUは、メモリに記憶されるプログラムを実行するための処理ユニットであり、携帯電話20の各部を制御する処理を行い、携帯電話20を移動体通信システムにおける移動局装置及びRFIDタグシステムにおけるRFIDリーダの両方として機能させるとともに、後述する各機能を実現する。メモリは本実施の形態を実施するためのプログラムやデータを記憶している。また、CPUのワークメモリとしても動作する。携帯電話20は二次電池を内蔵しており、この二次電池を動作電源として動作する。
RFIDタグ30は、集積回路及び無線通信機能を備えており、集積回路は所定量の情報(ここでは、大根の生産地や収穫日など)を記憶するとともに、無線通信機能により受信された電磁波に応じて所定の処理を行う。RFIDタグ30は、携帯電話20の送信する電磁波から動作電源を再生して動作する。
ここで、RFIDリーダとしての携帯電話20が送信する電磁波について説明する。図2は、RFIDリーダとしての携帯電話20が電磁波を送信する場合の例を示す図である。同図は、携帯電話20があるRFIDタグ30を読み取ろうとする場合の送信電磁波を示している。
携帯電話20は、所定周波数の搬送波を生成しており、図2に示すように、まず、変調することなくこの搬送波を送信する(電源供給用電磁波−A)。電源供給用電磁波−Aを受信したRFIDタグ30は、この電源供給用電磁波−Aからその動作電源を再生し、起動する。これにより、RFIDタグ30は質問信号の待機状態となる。
次に、携帯電話20は所定長の質問信号により変調した上記搬送波(質問波)を送信する。この質問波は、RFIDタグ30の情報を読み取るための読取電磁波として機能する。この質問波を受信したRFIDタグ30は、質問波からその動作電源を再生しつつ、これを復調することにより質問信号を取得し、ついで該質問信号により示される質問を解釈する。そして、この解釈結果に応じた返信信号を取得する。なお、図2では上記変調に振幅変調を使用する場合を記載しているが、位相変調若しくは周波数変調、又はこれらの組み合わせ(直交振幅変調など)を使用してもよいのは勿論である。
質問波の送信が終了すると、携帯電話20は再度無変調の搬送波を送信する(電源供給用電磁波−B)。RFIDタグ30は、電源供給用電磁波−Bからその動作電源を再生しつつ、所定周波数の搬送波を生成し、生成した搬送波を上記取得した返信信号により変調する。そして、この変調された搬送波(返信波)を送信することにより、携帯電話20に対して返信信号を送信する。
このように、携帯電話20は、質問波(質問信号)送信時以外には無変調の搬送波(電源供給用電磁波)を送信している。本実施の形態では、RFIDリーダ補助装置10が携帯電話20に代わってこの電源供給用電磁波を送信する。また、RFIDリーダ補助装置10は、複数のRFIDタグ30(各大根に貼付されたRFIDタグ30)の一部を選択し、選択したRFIDタグ30のみを動作させるようにする。以下、詳細に説明する。
図3は、RFIDタグシステム1の機能ブロックを示す図である。同図に示すように、RFIDリーダ補助装置10はRF(無線)部11、制御部12を含んで構成され、制御部12はさらにRFIDリーダ送信停止指示機能部120、RFIDタグ動作指示機能部130、電磁波検出部150を含んで構成される。また、携帯電話20はRF(無線)部21、制御部22、UI(ユーザーインターフェイス)部23を含んで構成され、制御部22はさらに質問信号生成部220、返信信号解析部221、搬送波生成部222、電源供給用電磁波停止部223、受信電力取得部224、リトライ回数取得部225を含んで構成される。
まず、携帯電話20の構成について説明する。
RF部21はアンテナを備え、制御部22から入力されるデジタル信号を電磁波に変換し、アンテナから無線区間に送出するとともに、アンテナで受信された電磁波をデジタル信号に変換し、制御部22に出力する。
UI部23はキーパッドなどの入力手段を備え、携帯電話20のユーザによる入力を受け付けて、該入力の内容を示すデジタル信号を制御部22に出力する。例えば、ユーザがRFIDタグ30の読み取り開始指示を入力した場合、該指示を示すデジタル信号が出力される。また、UI部23はディスプレイなどの出力手段も備えており、制御部22から出力されたデジタル信号を、ユーザに対して出力する。
制御部22は、UI部23から読み取り開始指示を示すデジタル信号が入力された場合、RFIDタグ30の読み取り開始のための処理を開始する。
具体的には、搬送波生成部222は搬送波を示すデジタル信号(連続する複数の振幅値を示すデジタル信号)を生成し、RF部21に対して出力する。RF部21は、該デジタル信号により示される振幅値を有する電磁波を生成し、アンテナから送信する。
質問信号生成部220は質問信号を生成し、該質問信号の送信タイミングにおいて、上記搬送波を示すデジタル信号を変調する。これにより、RF部21において生成される電磁波は質問波となる。
RFIDタグ30が質問波に対する返信波を送信すると、RF部21はこれを受信し、該返信波をデジタル信号(返信波の振幅値をデジタル化してなるデジタル信号)に変換して制御部22に出力する。返信信号解析部221は、こうして入力されたデジタル信号から返信信号を取得し、その内容を解析して所定の処理を行う。具体的な例では、返信信号に含まれる情報(大根の生産地や収穫日など)をUI部23の表示手段に表示させる。
電源供給用電磁波停止部223、受信電力取得部224、リトライ回数取得部225については、以下のRFIDリーダ補助装置10についての説明の中で説明する。
次に、RFIDリーダ補助装置10の構成について説明する。
RF部11はアレーアンテナを備え、制御部12から入力されるデジタル信号を電磁波に変換し、アレーアンテナを構成する各アンテナから無線区間に送出するとともに、アレーアンテナを構成する各アンテナで受信された電磁波をそれぞれデジタル信号に変換し、制御部12に出力する。
制御部12は、無線区間に送出すべきデジタル信号を取得してRF部11に出力するとともに、RF部11から入力されたデジタル信号に基づき、所定の処理を行う。以下、具体的に説明する。
電磁波検出部150は、RF部11から入力されたデジタル信号に基づき、携帯電話20が送信する電磁波を検出する。より具体的には、携帯電話20が送信している変調された上記搬送波(質問波)及び無変調の上記搬送波(電源供給用電磁波)を検出する。電磁波検出部150はまた、RF部11から入力されたデジタル信号に基づき、RFIDタグ30が送信している電磁波をも検出する。
RFIDリーダ送信停止指示機能部120は、RFIDリーダ補助装置10が携帯電話20に代わって電源供給用電磁波を送信するための機能部である。RFIDタグ動作指示機能部130は、複数のRFIDタグ30の一部を選択し、選択したRFIDタグ30のみを動作させるための機能部である。以下、これらの詳細について説明する。
RFIDリーダ送信停止指示機能部120は送信停止決定部121、送信停止指示部122、電源供給用電磁波生成部123を含んで構成される。
送信停止決定部121は、電磁波検出部150により携帯電話20が送信している電磁波(電源供給用電磁波又は質問波)が検出された場合に、携帯電話20に電源供給用電磁波の送信を停止させることを決定する。そして、この決定を送信停止指示部122及び電源供給用電磁波生成部123に通知する。
送信停止指示部122は、送信停止決定部121から上記決定の通知を受けた場合、携帯電話20に対して電源供給用電磁波の送信を停止するよう指示する。具体的には、携帯電話20を宛先とする該指示を示すデジタル信号を生成し、RF部11に入力する。RF部11は、このデジタル信号を電磁波に変換し、無線区間に送出する。
ここで、こうして送信される電源供給用電磁波送信停止指示を示す電磁波を受信した携帯電話20の動作について説明する。RFIDリーダ補助装置10が電源供給用電磁波の送信停止指示を示す電磁波を送信した場合、RF部21はこれを受信し、デジタル信号に変換して制御部22に出力する。電源供給用電磁波停止部223は、電源供給用電磁波の送信停止指示を示すデジタル信号が入力されると、電源供給用電磁波の送信を制限する。具体的には、搬送波生成部222による、質問信号による変調を受けない搬送波の出力を停止する。
電源供給用電磁波生成部123は電源供給用電磁波を示すデジタル信号を生成しており、送信停止決定部121から上記決定の通知を受けた場合、該デジタル信号をRF部11に出力する。RF部11は、このデジタル信号を電磁波に変換し、無線区間に送出する。このとき送出される電磁波は、RFIDタグがその動作電源を再生するための電源供給用電磁波となる。なお、この電源供給用電磁波の周波数は、互いに干渉しないよう、携帯電話20が送信する電磁波の周波数と異なっていることが望ましい。
RFIDタグ動作指示機能部130は位置推定部131、RFIDタグ決定部132、削除部133、RFIDタグ識別情報記憶部134、選択部135、動作指示部136を含んで構成される。
位置推定部131は、電磁波検出部150により携帯電話20が送信している電磁波が検出された場合に、該電磁波に基づいて携帯電話20の位置を推定する。具体的には、位置推定部131はRFIDリーダ方向推定部137とRFIDリーダ距離推定部138と含んで構成されており、RFIDリーダ方向推定部137は、RF部11に備えられるアレーアンテナを構成する各アンテナによりそれぞれ受信される電磁波の受信電力又は位相の少なくとも一方から携帯電話20の存在する方向を推定する。また、RFIDリーダ距離推定部138は、RF部11に備えられるアレーアンテナを構成する各アンテナによりそれぞれ受信される電磁波の受信電力から携帯電話20と当該RFIDリーダ補助装置10の距離を推定する。位置推定部131は、こうして推定された方向及び距離により、携帯電話20の位置を特定する。
RFIDタグ決定部132は、各大根に貼付された複数のRFIDタグ30のうち、携帯電話20と、各RFIDタグ30と、の通信状況に応じて、該携帯電話20について位置推定部131により推定される位置に対応する1又は複数のRFIDタグ30を決定する。以下、具体的に説明する。
まず、この決定を実現するための携帯電話20の動作について説明する。
携帯電話20の受信電力取得部224は、RF部21で受信された各RFIDタグ30からの返信波の受信電力を取得し、RFIDリーダ補助装置10に対して送信する。
また、携帯電話20のリトライ回数取得部225は、RFIDタグ30ごとに、質問信号の送信及び返信信号の受信処理のリトライ回数を取得する。すなわち、制御部22は、質問信号生成部220により生成された質問信号を送信し、該質問信号に対する返信信号を所定時間にわたり待機する。この所定時間がタイムアウトすると、質問信号を再度送信する。このとき、リトライ回数は1インクリメントされる。リトライ回数取得部225は、こうしてカウントされるリトライ回数を取得し、RFIDリーダ補助装置10に対して送信する。
RFIDタグ決定部132はRFIDリーダ側RFIDタグ受信電力取得部139とリトライ回数取得部140とを含んで構成されており、携帯電話20がRFIDタグ30の読み取りを行う際に、位置推定部131により推定される該携帯電話20の位置を示す位置情報と対応付けてRFIDタグ識別情報記憶部134に記憶されるRFIDタグ識別情報を更新する。以下、具体的に説明する。
RFIDリーダ側RFIDタグ受信電力取得部139は、上記受信電力取得部224により取得された各RFIDタグ30からの返信波の受信電力を取得する。また、リトライ回数取得部140は、上記リトライ回数取得部225により取得された各RFIDタグ30読み取り時のリトライ回数を取得する。
RFIDタグ決定部132は、こうして取得された受信電力とリトライ回数とに基づいて、携帯電話20について位置推定部131により推定される位置に対応する1又は複数のRFIDタグ30を決定する。すなわち、RFIDタグ決定部132は、各RFIDタグ30が送信する電磁波の携帯電話20における受信電力又は携帯電話20が各RFIDタグ30を読み取った際の、質問信号の送信リトライ回数のいずれか少なくとも一方に基づいて、該携帯電話20が読み取りやすい1又は複数のRFIDタグを決定する。
RFIDタグ決定部132は、携帯電話20の位置が変化する都度上記決定を行う。また、複数の携帯電話20がある場合には、これら複数の携帯電話20のそれぞれについて上記決定を行う。そして、携帯電話20の位置と対応付けて、該位置に対応する1又は複数のRFIDタグ30であると決定した1又は複数のRFIDタグ30をそれぞれ示す1又は複数のRFIDタグ識別情報を、RFIDタグ識別情報記憶部134に記憶させる。RFIDタグ決定部132は、こうしてRFIDタグ識別情報記憶部134に記憶されるRFIDタグ識別情報を更新する。
図4は、RFIDタグ識別情報記憶部134に記憶される位置−RFIDタグ識別情報対応テーブルの例を示す図である。同図に示すように、RFIDタグ識別情報記憶部134は、位置−RFIDタグ識別情報対応テーブルにおいて、所定の範囲内の携帯電話20の位置を示す位置情報と、該特定の位置からの電磁波に対する応答特性に応じてRFIDタグ決定部132により決定されるRFIDタグ識別情報と、を対応付けて記憶している。
選択部135は、複数のRFIDタグ30のうちの一部を選択する。具体的には、電磁波検出部150により携帯電話20が送信する電磁波が検出された場合に、該携帯電話20について位置推定部131により推定される位置に対応付けてRFIDタグ識別情報記憶部134に記憶される1又は複数のRFIDタグ識別情報によりそれぞれ示される1又は複数のRFIDタグ30のうちの少なくとも一部を選択する。
動作指示部136は、RFIDリーダからの質問波に応答しないよう、選択部135により選択されたRFIDタグ30以外のRFIDタグ30の動作を制限する。一方、選択部135により選択されたRFIDタグ30に対しては、動作するよう指示する。具体的には、選択部135により選択されたRFIDタグ30を宛先とする該指示を示すデジタル信号を生成し、RF部11に入力する。RF部11は、このデジタル信号を電磁波に変換し、無線区間に送出する。
この電磁波を受信したRFIDタグ30は、その宛先が自身であるか否かを判断し、自身である場合には携帯電話20が送信する電磁波に応答する。一方、宛先が自身でなければ携帯電話20が送信する電磁波に応答しない。この結果、携帯電話20は、多数の大根にそれぞれ貼付された多数のRFIDタグ30のうち、選択部135により選択されたRFIDタグ30のみを読み取るようになる。
ところで、大根の向きや位置は買い物客が大根を動かすことによって変化するし、また買い物客が持って行くことにより大根売り場からなくなることもある。この場合、RFIDタグ決定部132による決定結果が不適切となる場合がある。そこで、削除部133は補助装置側RFIDタグ受信電力取得部141を含んで構成され、電磁波検出部150を介して、各RFIDタグ30が送信している電磁波を受信する。補助装置側RFIDタグ受信電力取得部141は、この電磁波のRF部11における受信電力を取得する。
削除部133は、こうして取得された受信電力をRFIDタグ30ごとに保持しており、各RFIDタグ30についてこの受信電力の変化の有無を判断する。なお、削除部133は、例えば所定期間にわたり電磁波が受信されないRFIDタグ30については、受信電力が0になったと判断することが好適である。そして、削除部133は、受信電力の変化に応じて、RFIDタグ30を示すRFIDタグ識別情報を、RFIDタグ識別情報記憶部134に記憶される位置−RFIDタグ識別情報対応記憶テーブルから削除する。具体的には、受信電力が0になったRFID30及び受信電力が所定量以上変化したRFIDタグ30を示すRFIDタグ識別情報を、RFIDタグ識別情報記憶部134に記憶される位置−RFIDタグ識別情報対応記憶テーブルから削除する。このように、RFIDリーダ補助装置10は、RFIDタグ決定部132による決定結果が不適切となったと考えられるRFIDタグ30については、一旦位置−RFIDタグ識別情報対応記憶テーブルから削除するようにしている。
以上説明した各機能を、処理シーケンス図及び処理フロー図を参照しながら、再度より詳細に説明する。
図5は、RFIDリーダ補助装置10が携帯電話20に代わって電源供給用電磁波を送信する際の処理シーケンスを示す図である。同図に示すように、まずは携帯電話20が電源供給用電磁波を送信する(S1)。なお、図5及び後述する図6乃至図8において斜線で示した箇所は、電源供給用電磁波送信中であることを示している。
RFIDリーダ補助装置10は、携帯電話20が送信している電磁波を検出する(S2)。また、RFIDタグ30は、携帯電話20が送信している電源供給用電磁波により起動される(S3)。
S2において電磁波を検出したRFIDリーダ補助装置10は、自ら電源供給用電磁波の送信を開始する(S4)とともに、該電磁波の送信元である携帯電話20に対し、電源供給用電磁波送信停止指示を送信する(S5)。この電源供給用電磁波送信停止指示を受信した携帯電話20は、電源供給用電磁波の送信(S1)を停止する。
携帯電話20は所定のタイミングで質問波を送信する(S5)。このとき携帯電話20は、RFIDリーダ補助装置10から受信した電源供給用電磁波送信停止指示に応じて、質問波のうちRFIDタグ30の動作電源を再生するための電磁波成分の送信を停止するようにする。つまり、RFIDタグ30に対して電源を供給する必要がないため、RFIDリーダ補助装置10は、電源供給用電磁波を送信していない場合に比べて小さい送信電力でこの質問波を送信する。
RFIDタグ30は、携帯電話20により送信された質問波を受信し、これに応じて返信波を送信する(S6)。携帯電話20は、この返信波を受信し、受信が完了すると(S7)、RFIDリーダ補助装置10に対して受信終了通知を示す信号を送信する(S8)。RFIDリーダ補助装置10は、この受信終了通知を受信すると、電源供給用電磁波の送信(S4)を停止する。
図6は、RFIDリーダ補助装置10が位置−RFIDタグ識別情報対応テーブルに記憶させるRFIDタグ30(以下、推奨RFIDタグ30と称する。)を決定するための処理シーケンスを示す図である。
同図に示すように、まずは携帯電話20が電源供給用電磁波を送信する(S100)。各RFIDタグ30は、この電源供給用電磁波により一旦起動される(S102)。
RFIDリーダ補助装置10は、携帯電話20が送信している電磁波を検出する(S101)。電磁波を検出したRFIDリーダ補助装置10は、自ら電源供給用電磁波の送信を開始する(S103)とともに、該電磁波の送信元である携帯電話20に対し、電源供給用電磁波送信停止指示を送信する(S104)。この電源供給用電磁波送信停止指示を受信した携帯電話20は、電源供給用電磁波の送信(S100)を停止する。
続いてRFIDリーダ補助装置10は、S101において検出した電磁波から、携帯電話20の位置を推定する(S105)。そして、推定した位置に対応付けて位置−RFIDタグ識別情報対応テーブルにRFIDタグ30が記憶されているか否かを判定する。ここでは、記憶されていないと判定したとして説明する(S106)。
推定した位置に対応付けて位置−RFIDタグ識別情報対応テーブルにRFIDタグ30が記憶されていないと判定すると、RFIDリーダ補助装置10は、各RFIDタグ30に対し動作を停止するよう指示する(S107)。この停止指示を受けた各RFIDタグ30は、その動作を停止する(S108)。また、RFIDリーダ補助装置10は、携帯電話20に対して、当該RFIDリーダ補助装置10が認識している全てのRFIDタグ30(以下、読取対象RFIDタグ30と称する。)を読み取るよう指示する(S109)。この指示(全RFIDタグ読取指示)には、RFIDタグ30の読み取り順序を含む情報(順序情報)が含められる。
次に、RFIDリーダ補助装置10は、読取対象RFIDタグ30の中から上記順序情報に基づいて決定される1番目のRFIDタグ30(ここではRFIDタグ30−1であるとする。)を選択し、動作指示を送信する(S110)。RFIDタグ30−1は、この動作指示を受信すると起動する(S111)。
携帯電話20は、上記全RFIDタグ読取指示に含まれる順序情報に基づいて決定される1番目のRFIDタグ30(RFIDタグ30−1)に関し、リトライ回数を記憶するための変数(リトライ回数記憶変数)を確保し、初期値0を設定する(S112)。そして、RFIDタグ30−1に対して質問波を送信する(S113)。この質問波を受信したRFIDタグ30−1は、質問波に応じた返信波を送信する(S114)。携帯電話20は、この返信波の受信が完了すると、リトライ回数をRFIDリーダ補助装置10に対して送信する(S116)。S116で送信されるリトライ回数は0となる。
RFIDリーダ補助装置10は、上記S114で送信された返信波を受信し、その受信電力を測定する(S115)。そして、この受信電力と、S116において送信されたリトライ回数と、をRFIDタグ30−1と対応付けて記憶する。
こうして順序情報により示される1番目のRFIDタグ30についての記憶が完了すると、RFIDリーダ補助装置10は、読取対象RFIDタグ30の中から上記順序情報に基づいて決定される2番目のRFIDタグ30(ここではRFIDタグ30−2であるとする。)を選択し、動作指示を送信する(S117)。RFIDタグ30−2は、この動作指示を受信すると起動する(S118)。
なお、RFIDリーダ補助装置10はこの動作指示送信とともにRFIDタグ30−1に対して停止指示を送信し、RFIDタグ30はこの停止指示に応じて携帯電話20が送信する電磁波の受信を停止することとしてもよい。
携帯電話20は、上記順序情報に基づいて決定される2番目のRFIDタグ30(RFIDタグ30−2)に関し、リトライ回数記憶変数を確保し、初期値0を設定する(S119)。そして、RFIDタグ30−2に対して質問波を送信する(S120)。この質問波を受信したRFIDタグ30−2は、質問波に応じた返信波を送信する(S121)。ここでは、電波状態が悪く、携帯電話20は質問波送信後所定時間内にこの返信波を受信することができなかったとする。すると、携帯電話20は、S116で確保したリトライ回数記憶変数を1インクリメントした上で(S124)、再度質問波を送信する(S125)。なお、携帯電話20が返信波を受信できない場合でも、RFIDリーダ補助装置10は受信可能である場合がある。その場合、RFIDリーダ補助装置10はS121で送信された返信波を受信し、その受信電力を測定する(S123)。
S125において送信された質問波を受信したRFIDタグ30−2は、再度質問波に応じた返信波を送信する(S126)。携帯電話20は、この返信波の受信が完了すると、リトライ回数をRFIDリーダ補助装置10に対して送信する(S128)。S128で送信されるリトライ回数は1となる。
また、RFIDリーダ補助装置10は、上記S126で送信された返信波を受信し、その受信電力を測定する(S127)。そして、この受信電力と、S128において送信されたリトライ回数と、をRFIDタグ30−2と対応付けて記憶する。
RFIDリーダ補助装置10及び携帯電話20は、以上の処理を全読取対象RFIDタグ30について行う。以上の処理の結果、RFIDリーダ補助装置10は、各読取対象RFIDタグ30と対応付けて、該読取対象RFIDタグ30が送信している電磁波のRFIDリーダ補助装置10における受信電力と、該読取対象RFIDタグ30を読み取るに際して携帯電話20が質問波の送信をリトライした回数と、を記憶することになる。
なお、削除部133は、以上のようにして記憶される、各読取対象RFIDタグ30が送信している電磁波のRFIDリーダ補助装置10における受信電力に基づいて、受信電力の変化有無の判断を行う。
携帯電話20は、全読取対象RFIDタグ30の読み取りが完了すると、RFIDリーダ補助装置10に対して読み取り終了通知を示す信号を送信する(S129)。これを受信したRFIDリーダ補助装置10は、電源供給用電磁波の送信を停止するとともに、推奨RFIDタグ30を決定する処理を行う(S130)。すなわち、S105で推定した位置と対応付けて、上記読取対象RFIDタグ30のうちリトライ回数が最も小さいものを、位置−RFIDタグ識別情報対応テーブルに記憶させる。
図7も、RFIDリーダ補助装置10が位置−RFIDタグ識別情報対応テーブルに記憶させるRFIDタグ30(以下、推奨RFIDタグ30と称する。)を決定するための処理シーケンスを示す図である。図6ではリトライ回数を利用して決定していたが、ここでは各RFIDタグ30が送信している電磁波の携帯電話20における受信電力を利用して決定する。
同図に示すように、まずは携帯電話20が電源供給用電磁波を送信する(S200)。各RFIDタグ30は、この電源供給用電磁波により一旦起動される(S202)。
RFIDリーダ補助装置10は、携帯電話20が送信している電磁波を検出する(S201)。電磁波を検出したRFIDリーダ補助装置10は、自ら電源供給用電磁波の送信を開始する(S203)とともに、該電磁波の送信元である携帯電話20に対し、電源供給用電磁波送信停止指示を送信する(S204)。この電源供給用電磁波送信停止指示を受信した携帯電話20は、電源供給用電磁波の送信(S200)を停止する。
続いてRFIDリーダ補助装置10は、S201において検出した電磁波から、携帯電話20の位置を推定する(S205)。そして、推定した位置に対応付けて位置−RFIDタグ識別情報対応テーブルにRFIDタグ30が記憶されているか否かを判定する。ここでは、記憶されていないと判定したとして説明する(S206)。
推定した位置に対応付けて位置−RFIDタグ識別情報対応テーブルにRFIDタグ30が記憶されていないと判定すると、FIDリーダ補助装置10は、各RFIDタグ30に対し停止するよう指示する(S207)。この停止指示を受けた各RFIDタグ30は、その動作を停止する(S208)。また、RFIDリーダ補助装置10は、携帯電話20に対して、当該RFIDリーダ補助装置10が認識している全てのRFIDタグ30(読取対象RFIDタグ30)を読み取るよう指示する(S209)。この指示(全RFIDタグ読取指示)には、RFIDタグ30の読み取り順序を含む情報(順序情報)が含められる。
次に、RFIDリーダ補助装置10は、読取対象RFIDタグ30の中から上記順序情報に基づいて決定される1番目のRFIDタグ30(ここではRFIDタグ30−1であるとする。)を選択し、動作指示を送信する(S210)。RFIDタグ30−1は、この動作指示を受信すると起動する(S211)。
携帯電話20は、上記全RFIDタグ読取指示に含まれる順序情報に基づいて決定される1番目のRFIDタグ30(RFIDタグ30−1)に対して質問波を送信する(S212)。この質問波を受信したRFIDタグ30−1は、質問波に応じた返信波を送信する(S213)。携帯電話20は、この返信波の受信が完了すると、その受信電力を測定し(S215)、測定した受信電力値をRFIDリーダ補助装置10に対して送信する(S216)。
RFIDリーダ補助装置10は、上記S213で送信された返信波を受信し、その受信電力を測定する(S214)。そして、この測定した受信電力値と、S216において携帯電話20より受信した受信電力値と、をRFIDタグ30−1と対応付けて記憶する。
こうして順序情報により示される1番目のRFIDタグ30についての記憶が完了すると、RFIDリーダ補助装置10は、読取対象RFIDタグ30の中から上記順序情報に基づいて決定される2番目のRFIDタグ30(ここではRFIDタグ30−2であるとする。)を選択し、動作指示を送信する(S217)。RFIDタグ30−2は、この動作指示を受信すると起動する(S218)。
携帯電話20は、上記順序情報に基づいて決定される2番目のRFIDタグ30(RFIDタグ30−2)に対して質問波を送信する(S219)。この質問波を受信したRFIDタグ30−2は、質問波に応じた返信波を送信する(S220)。ここでは、電磁波状態が悪く、携帯電話20は質問波送信後所定時間内にこの返信波を受信することができなかったとする。すると、携帯電話20は、再度質問波を送信する(S222)。なお、携帯電話20が返信波を受信できない場合でも、RFIDリーダ補助装置10は受信可能である場合がある。その場合、RFIDリーダ補助装置10はS220で送信された返信波を受信し、その受信電力を測定する(S221)。
S222において送信された質問波を受信したRFIDタグ30−2は、再度質問波に応じた返信波を送信する(S223)。携帯電話20は、この返信波の受信が完了すると、その受信電力を測定し(S224)、測定した受信電力値をRFIDリーダ補助装置10に対して送信する(S225)。
RFIDリーダ補助装置10は、また、上記S223で送信された返信波を受信し、その受信電力を測定する(S224)。そして、この測定した受信電力値と、S224において携帯電話20より受信した受信電力値と、をRFIDタグ30−2と対応付けて記憶する。
RFIDリーダ補助装置10及び携帯電話20は、以上の処理を全読取対象RFIDタグ30について行う。以上の処理の結果、RFIDリーダ補助装置10は、各読取対象RFIDタグ30と対応付けて、該読取対象RFIDタグ30が送信している電磁波のRFIDリーダ補助装置10における受信電力と、該読取対象RFIDタグ30が送信している電磁波の携帯電話20における受信電力とを記憶することになる。
携帯電話20は、全読取対象RFIDタグ30の読み取りが完了すると、RFIDリーダ補助装置10に対して読み取り終了通知を示す信号を送信する(S226)。これを受信したRFIDリーダ補助装置10は、電源供給用電磁波の送信を停止するとともに、推奨RFIDタグ30を決定する処理を行う(S227)。すなわち、S205で推定した位置と対応付けて、上記読取対象RFIDタグ30のうち、受信電力が大きい方から所定個数を、位置−RFIDタグ識別情報対応テーブルに記憶させる。
図8は、位置−RFIDタグ識別情報対応テーブルにおいて、携帯電話20の位置と対応付けてRFIDタグ30が記憶されている場合の処理シーケンスを示す図である。
同図に示すように、まずは携帯電話20が電源供給用電磁波を送信する(S300)。各RFIDタグ30は、この電源供給用電磁波により一旦起動される(S302)。
RFIDリーダ補助装置10は、携帯電話20が送信している電磁波を検出する(S301)。電磁波を検出したRFIDリーダ補助装置10は、自ら電源供給用電磁波の送信を開始する(S303)とともに、該電磁波の送信元である携帯電話20に対し、電源供給用電磁波送信停止指示を送信する(S304)。この電源供給用電磁波送信停止指示を受信した携帯電話20は、電源供給用電磁波の送信(S300)を停止する。
続いてRFIDリーダ補助装置10は、S301において検出した電磁波から、携帯電話20の位置を推定する(S305)。そして、推定した位置に対応付けて位置−RFIDタグ識別情報対応テーブルにRFIDタグ30が記憶されているか否かを判定する。ここでは、複数のRFIDタグ30が記憶されていると判定され、RFIDリーダ補助装置10は、その中からRFIDタグ30−2を選択したものとして説明する(S306)。
RFIDリーダ補助装置10は、一旦全ての読取対象RFIDタグ30に対し停止するよう指示する(S307)。この停止指示を受けた各RFIDタグ30は、その動作を停止する(S308)。次に、RFIDリーダ補助装置10は、選択したRFIDタグ30−2に対し、動作指示を送信する(S309)。RFIDタグ30−2は、この動作指示を受信すると起動する(S310)。
RFIDタグ30−2が起動されると、携帯電話20はRFIDタグ30−2の読み取りを開始する。具体的には、RFIDタグ30−2に対して質問波を送信する(S311)。この質問波を受信したRFIDタグ30−2は、質問波に応じた返信波を送信する(S312)。携帯電話20は、RFIDリーダ補助装置10に対して読み取り完了通知を送信する(S314)。読み取り完了通知を受信したRFIDリーダ補助装置10は、電源供給用電磁波の送信を停止する。
また、RFIDリーダ補助装置10は、上記S312で送信された返信波を受信し、その受信電力を測定する(S313)。そして、この受信電力とRFIDタグ30−2とを対応付けて記憶する。なお、ここで記憶される受信電力も、削除部133による受信電力の変化有無判断に利用される。
図9は、図6乃至図8で説明した処理シーケンスを、RFIDリーダ補助装置10の処理フローによりさらに詳細に説明するためのフロー図である。
同図に示すように、RFIDリーダ補助装置10は、まず携帯電話20(RFIDリーダ)の送信電磁波を検出する(S400)。そして、この電磁波に基づいて携帯電話20の位置を推定する(S401)。さらに、位置−RFIDタグ識別情報対応テーブルにおいて、推定した位置と対応付けて記憶されるRFIDタグ30があるか否かを判定する(S402)。
S402の判定結果が肯定判定である場合、RFIDリーダ補助装置10は全RFIDタグ30(RFIDリーダ補助装置10と通信可能な全RFIDタグ30)を動作停止状態(Sleep状態)に設定し(S406)、位置−RFIDタグ識別情報対応テーブルにおいて、S401にて推定した位置と対応付けて記憶される各RFIDタグ30(推奨RFIDタグ30)を、順次起動させる(S407,S408,S410)。すると、携帯電話20は起動されたRFIDタグ30を読み取ろうとし、読み取りが完了した場合、RFIDリーダ補助装置10に通知する。RFIDリーダ補助装置10は、この通知を受信した場合、処理を終了する(S409)。一方、全推奨RFIDタグ30を起動しても携帯電話20からこの通知を受信しなかった場合、RFIDリーダ補助装置10は、その処理をS403に移す。
S402の判定結果が否定判定である場合、RFIDリーダ補助装置10は携帯電話20に対し、全RFIDタグ30の読み取りを実施させる(S403)。その結果、携帯電話20から各RFIDタグ30についてのリトライ回数(受信電力でもよい。)が得られ(S404)、このリトライ回数に基づいてS401で推定した位置に対応する推奨RFIDタグ30を決定し、該位置と対応付けて、位置−RFIDタグ識別情報対応テーブルに記憶させる(S405)。
なお、図6,図7の説明において、本実施例では全てのRFIDタグ30を読み取らせる事により位置−RFIDタグ識別情報対応テーブルを更新しているが、1つ(あるいは所定数)の読み取り感度の良い(リトライ回数が0若しくは所定数より少ない、携帯電話20での受信電力値が所定値より大きい、など)RFIDタグ30の識別情報が得られたら、その時点で更新動作を終了してもよい。つまり、RFIDタグ30を読み取ろうとする複数のRFIDリーダのそれぞれから少しずつ補完的に情報を得ることにより、RFIDリーダに負担をかけることなく、位置−RFIDタグ識別情報対応テーブルを更新することができる。
また、図3,図7の説明において、本実施例では「リトライ回数」を携帯電話20にカウントさせる構成としたが、RFIDリーダ補助装置10でカウントする構成としてもよい。
以上説明したように、パッシブ型RFIDタグを使用する上記RFIDタグシステム1において、RFIDリーダ補助装置10が携帯電話20(RFIDリーダ)に代わって電源供給用電磁波を送信することにより、携帯電話20の消費電力の抑制が実現される。
また、RFIDリーダ補助装置10が複数のRFIDタグ30の一部を選択し、選択したRFIDタグ30のみを動作させるようにしているので、これによっても、携帯電話20の消費電力が抑制される。
さらに、上記RFIDリーダ補助装置10によれば、携帯電話20が読み取りやすいRFIDタグ30を選択して、動作するようにすることができる。
1 RFIDタグシステム、10 RFIDリーダ補助装置、11 RF部、12 制御部、20 携帯電話、21 RF部、22 制御部、23 UI部、30 RFIDタグ、120 RFIDリーダ送信停止指示機能部、121 送信停止決定部、122 送信停止指示部、123 電源供給用電磁波生成部、130 RFIDタグ動作指示機能部、131 位置推定部、132 RFIDタグ決定部、133 削除部、134 RFIDタグ識別情報記憶部、135 選択部、136 動作指示部、137 RFIDリーダ方向推定部、138 RFIDリーダ距離推定部、139 RFIDリーダ側RFIDタグ受信電力取得部、140 リトライ回数取得部、141 補助装置側RFIDタグ受信電力取得部、150 電磁波検出部、220 質問信号生成部、221 返信信号解析部、222 搬送波生成部、223 電源供給用電磁波停止部、224 受信電力取得部、225 リトライ回数取得部。